JP2010025810A - ヘルスモニタリング用振動予測装置およびヘルスモニタリング用振動予測方法 - Google Patents

ヘルスモニタリング用振動予測装置およびヘルスモニタリング用振動予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘルスモニタリング対象物の将来の異常を早期かつ正確に予測することができるようにする。
【解決手段】ヘルスモニタリング対象物における未来の振動を予測するヘルスモニタリング用振動予測装置であって、前記対象物の振動に応じて反射中心波長が変化するFBG24を有する光ファイバセンサ20と、前記反射光のスペクトルを分析してその中心波長を求めるスペクトルアナライザ30と、スペクトルアナライザ30による中心波長計測データをもとに、前記対象物の振動に起因するFBG24の中心波長変化データを逐次計算して記憶しておき、これら過去および現在の中心波長変化データをもとに、前記対象物における未来の予測振動量を演算する演算処理装置40とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバブラッググレーティング(以下、FBGという)による光ファイバセンサを使用してヘルスモニタリング対象物の未来の振動(歪み)を予測し、この対象物の異常を事前にかつ早期に感知するためのヘルスモニタリング用振動予測装置およびヘルスモニタリング用振動予測方法に関するものである。
FBGは、光ファイバの長さ方向に周期的な屈折率変化を作成することで、特定波長の光を反射させる特性を持った光ファイバ部品である。つまり、FBGは、光ファイバコアの長手方向の屈折率変化分布が一定間隔で変化するように構成したもの(高屈折率部と低屈折率部とを一定間隔で長手方向に繰り返す構造としたもの)であり、屈折率分布の幅(高屈折率部の幅+低屈折率部の幅)に応じた波長の光のみを反射する(例えば特許文献1参照)。このFBGに圧力等の印加により歪みが生じると、屈折率分布の幅が変化して、この幅変化に応じて反射中心波長が変化する。
FBGの重要な応用製品として、歪み(振動)等の変位や圧力を計測するための光ファイバセンサがある。FBGによる従来の光ファイバセンサとしては、光ファイバに形成したFBG部を計測対象物に接着剤で接着して、計測対象物にかかる歪みを検知するものがある(例えば特許文献2参照)。また、水などの液体から受ける圧力を、圧力によって歪む機構をもつ起歪体の一つであるブルドン管を用いて歪みに変換し、この得られた歪みをFBGで検知するものがある(例えば特許文献1参照)。
また、FBGは、通常、温度上昇により、その反射中心波長が長波側に変動する特性を有している。これは、温度上昇によって正の線膨張を有する光ファイバが膨張し、屈折率分布の幅が大きくなり、結果として反射光の波長が長くなるためである。この温度変化による波長変動を積極的に利用すると、FBGを温度センサとして応用することができるが、歪み(振動)等の変位や圧力を計測するために用いる光ファイバセンサにあっては、温度変化による波長変動は、測定誤差の要因となるため、極力抑える必要がある。
このため、2つのFBGによって温度変化による波長変動を補償するFBGが光ファイバセンサに用いられている。FBGの温度補償機能をもった光ファイバセンサとしては、圧力に起因する波長変化を計測する歪み計測用FBGの近傍にあり、この歪み計測用FBGと同じ温度であって圧力変化をまったく受けない位置に、温度変化に起因する波長変化を計測する温度計測用FBGを設置し、圧力および温度変化に起因する歪み計測用FBGでの波長変化値から、温度変化のみに起因する温度計測用FBGでの波長変化値を減算することによって、温度変化に起因する波長変化を補償して圧力のみに起因する波長変化を計測するものがある(例えば特許文献1,2参照)。
[従来の歪み計測装置]
図16は従来の歪み計測装置の構成例を示す図である。また、図17は従来の歪み計測装置においての歪み計測の全体手順を説明するフローチャートである。図16に示すように、従来の歪み計測装置100は、光ファイバセンサ200と、スペクトルアナライザ300,301と、演算処理装置400と、電気信号(データ)の通信ケーブル500,501とを備えている。
図16の歪み計測装置100において、光ファイバセンサ200は、光源210と、光サーキュレータ220,221と、光ファイバ230a,230b,230c,230d,231b,231c,231dと、歪み計測のためのFBG240と、温度計測のためのFBG241と、光カプラ250とを有する。歪み計測のためのFBG240は、歪み計測対象物に、例えば埋め込まれあるいは接着剤によって接着されており、歪み計測対象物が歪みを生じると、それに応じて歪み、反射光の中心波長が変化するが、温度計測のためのFBG241は、歪み計測対象物には接触せずかつFBG241と同じ温度の位置に設置されており、歪み計測対象物が歪みを生じても、それによっては反射光の中心波長は変化しない。
図16および図17において、まず光源210の出射光は、光カプラ250によって2等分される。そして、分光された一方の光は、光サーキュレータ220を介して歪み計測のためのFBG240に入射し、他方の光は、サーキュレータ221を介して温度計測のためのFBG241に入射する。
FBG240での反射光とFBG241での反射光のそれぞれは、光サーキュレータ220,221を介してスペクトルアナライザ300,301で反射スペクトルを分析し、その反射スペクトルにおいて反射光強度のピークからそれぞれ3dB下がった短波側の波長と長波側の波長の中央値を反射中心波長として求める。そして、これら計測されたFBG240の反射中心波長値のデータおよびFBG241の反射中心波長値のデータは、スペクトルアナライザ300,301から通信ケーブル(例えばGP−IBケーブルやRS232Cケーブル)500,501をそれぞれ介して電気信号により演算処理装置400に転送される。
演算処理装置400では、スペクトルアナライザ300から送信されたFBG240の反射中心波長計測データを受信するとともに(図17のステップS110a)、スペクトルアナライザ301から送信されたFBG241の反射中心波長計測データを受信すると(ステップ110b)、これらの中心波長値計測データをハードディスク等の記憶装置に書き込んで記憶する(ステップS111)。
そして、歪み計測対象物の歪みを計算するために、FBG240の中心波長計測データおよびFBG241の中心波長計測データを主メモリに読み込むとともに、あらかじめ演算処理装置上のハードディスク上に保管してある、歪みが全くかかっていないときの(歪みが0のときの)歪み計測用FBG240の反射中心波長データおよび基準温度(例えば20℃)のときの温度計測用FBG241の反射中心波長データを主メモリに読み込む(ステップS112)。
次に、歪み計測用FBG240の中心波長計測データから、歪みがかかっていないときのFBG240の中心波長データを減算して、第1変化量データを生成するとともに(ステップS113a)、温度計測用FBG241の中心波長計測データから、基準温度のときのFBG241の中心波長データを減算して、第2変化量データを生成する(ステップS113b)。そして、第1変化量から変化量を減算した値を、純粋に歪み計測対象物に生じた歪みのみによるFBGの中心波長変化量として求める(ステップS114)。
そして、この歪みのみによるFBGの中心波長変化量から、ハードディスクにあらかじめ保存されている歪み量と中心波長変化量の関係式を用いて、歪み量を計算し(ステップS115)、この計算した歪み量をハードディスクに書き込んで記憶し(ステップS116)、歪みの計測を終了する。
[光ファイバセンサによるヘルスモニタリング]
光ファイバセンサについては、その重要な応用分野として、ヘルスモニタリングがある。
ヘルスモニタリングとは、時間軸上で対象物の健全性を監視することであり、例えば、構造物の健全性を確認する目的でなされる定期点検・調査・診断等の一連の作業を自動化して効率化・省力化を図るものである(例えば非特許文献1参照)。低コストで設備の維持管理をする必要等があるため、ヘルスモニタリングの必要性は高まっているといえる。
光ファイバセンサをヘルスモニタリングに適用した従来例としては、橋梁の渡行始点から終点までを接続する橋梁桁に設置した光ファイバと、この光ファイバの接続端から光信号を入力する発光部と、上記光ファイバの他端において伝播した光信号を反射させて反射信号を生成する反射部と、上記光ファイバの接続端において反射信号を受光する受光部と、上記発光部および上記受光部を制御する制御部と、受光部が反射信号を受光できないときにその橋梁桁の障害を報知する報知部とを有する橋梁監視装置がある(例えば特許文献3参照)。
特開2001−033325号広報 特開2003−222507号広報 特開2001−318028号広報 技術用語「ヘルスモニタリング」、[online]、社団法人電力土木技術委員会、[平成20年5月15日検索]、インターネット<URL:http://www.jepoc.or.jp/tecinfo/tec00095.htm>
光ファイバセンサを用いた上記従来の橋梁監視装置では、光ファイバ端(反射部)からの反射光を受光できなきなったことをもって橋梁に生じた障害を検知するため、計測対象物に現実に異常が発生して、初めてその異常を感知し、報知等の何らかの処置を講じることになる。従って、この橋梁監視装置では、現実に橋梁に生じた障害を早期に検知して、橋梁の障害発生後の二次被害を防ぐことはできるが、橋梁に将来生じる障害を事前に予測することはできない。つまり、将来の計測対象物に将来生じる障害を事前に予測するという概念自体がない。
ヘルスモニタリングの最終目的は、ヘルスモニタリング対象物の現在の健全度判定のみならず、将来の健全度を予測できるようにすることである。このため、上記従来技術では、ヘルスモニタリング対象物の将来の健全度を予測して、この対象物に将来生じる異常を事前に防止することはできないので、ヘルスモニタリングの上記最終目的を達成できないという問題があった。
また、FBGによる光ファイバセンサを用いた従来の計測装置では、FBGの温度補償機能を設けることにより高精度の歪み計測が可能であるが、2つのFBGを設置する必要があり、これらのFBGからの反射中心波長をそれぞれ計測し、2つの中心波長計測データから歪みのみによる中心波長変化を演算する必要があるので、温度補償のための構成が複雑になるという問題があった。特に、温度計測用FBGを設置する場所は、歪み計測対象物の歪みを全く受けず、かつ歪み計測用FBGと同じ温度でなければならず、現実にこのような都合のよい場所を確保するのが難しい。
以上のように、従来の歪み(振動)計測技術では、ヘルスモニタリンング用途に、光ファイバセンサを用いた従来の歪み計測装置をそのまま適用しても、ヘルスモニタリングの最終目的である「将来的な健全度予測」を達成できないという課題があった。さらに、従来の温度補償技術では、FBGによる光ファイバセンサを用いて歪み計測対象物の歪みを高精度に計測するためには、複雑な装置構成が必要となり、特に温度計測用FBGを設置することが困難であるという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、ヘルスモニタリング対象物の将来の異常を早期かつ正確に予測することができるヘルスモニタリング用予測装置およびヘルスモニタリング用振動予測方法を提供することを目的とするものである。さらには、簡易な構成および手順で高精度にヘルスモニタリング対象物の振動を予測できるヘルスモニタリング用予測装置およびヘルスモニタリング用振動予測方法を提供することを目的とするものである。
本発明のヘルスモニタリング用振動予測装置は、ヘルスモニタリング対象物における未来の振動を予測するヘルスモニタリング用振動予測装置であって、前記対象物の振動に応じて反射中心波長が変化するFBGを有する振動検知手段と、前記振動検知手段による反射光のスペクトルを分析してその中心波長を求める分析手段と、前記分析手段による中心波長計測データをもとに、前記対象物の振動に起因する前記FBGの中心波長変化データを逐次計算して記憶しておき、これら過去および現在の中心波長変化データをもとに、前記対象物における未来の予測振動量を演算する演算手段とを少なくとも備えたことを特徴とするものである。
また、本発明のヘルスモニタリング用振動予測方法は、ヘルスモニタリング対象物における未来の振動を予測するヘルスモニタリング用振動予測方法であって、前記対象物の振動に応じて反射中心波長が変化するFBGからの反射光のスペクトルを測定するステップと、前記反射中心波長を求めるステップと、前記中心波長をもとに、前記対象物の振動に起因する前記FBGの中心波長変化データを逐次計算して記憶しておくステップと、過去および現在の前記中心波長変化データをもとに、前記対象物における未来の振動を予測するステップとを少なくとも備えたことを特徴とものである。
本発明によれば、1つのFBGの反射光の中心波長をもとに、ヘルスモニタリング対象物の振動に起因する中心波長変化量を求め、この結果を逐次記憶しておき、これら過去および現在の中心波長変化量をもとに、上記対象物における将来の振動量を予測することにより、ヘルスモニタリング対象物に将来生じる異常を早期かつ正確に予測することができるので、「ヘルスモニタリング対象物の将来の健全度を予測する」というヘルスモニタリングの最終目的を達成することができ、ヘルスモニタリング対象物に生じる障害自体を未然に防止できるという効果がある。
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
[本発明の振動予測装置の全体構成]
図1は本発明の振動予測装置の全体構成図である。また、図2は本発明の振動予測装置においての振動予測の全体手順を説明するフローチャートである。なお、歪みを計測・予測することは、振動を計測・予測することに他ならない。ヘルスモニタリング対象物の将来(未来)の振動を予測する詳細な手順に関してはあとで説明する。
図1に示すように、本発明の振動予測装置10は、光ファイバセンサ20(振動検知手段)と、スペクトルアナライザ(中心波長計測装置)30(分析手段)と、演算処理装置40(演算手段)と、データ(電気信号)の通信ケーブル50とを備えている。
図1の振動予測装置10において、光ファイバセンサ20は、光源21と、光サーキュレータ22と、光ファイバ23a、23b、23cとを有する。そして、光ファイバ23bは、振動計測のための温度補償型のFBG24を形成したFBG部65を有している。
光ファイバ23aは、光源21と光サーキュレータ22の入射端子間に設けられており、光源21の出射光を光サーキュレータ22に入射させる。また、光ファイバ23bは、その一端が光サーキュレータ22の入出射端子に設けられており、ヘルスモニタリング対象物(図示せず)まで延設されて、他端のファイバコアにはFBG24が一体形成されている。この光ファイバ23bは、光サーキュレータ22の入出射端子から出射した光源21の出射光をFBG24に入射させ、FBG24の反射光を光サーキュレータ22の入出射端子に入射させる。また、光ファイバ23cは、光サーキュレータ22の出射端子とスペクトルアナライザ30の入射端子間に設けられており、光サーキュレータ22から出射したFBG24の反射光をスペクトルアナライザ30に入射させる。
FBG24は、ヘルスモニタリング対象物に、例えば埋め込まれあるいは接着剤によって接着されており、ヘルスモニタリング対象物が歪みを生じると(振動すると)、それに応じて歪み(振動し)、反射中心波長が変化する。このFBG24は、温度変化に起因する反射中心波長変動を補償する機能を有する温度補償型のFBGである。
スペクトルアナライザ30は、FBG24の反射光スペクトルを分析し、このスペクトルをもとにFBG反射中心波長を求め、その中心波長データ(中心波長計測データ)を演算処理装置40に転送する。
演算処理装置40は、スペクトルアナライザ30より転送された中心波長計測データ、演算したデータ、振動予測演算のためのプログラム等を記憶するハードディスク(記憶装置)や、演算処理のための主メモリを有しており、計測されたFBG反射中心波長をもとにヘルスモニタリング対象物の未来のある時点あるいはある期間における歪み(振動)を予測する。また、演算処理装置40のハードディスクには、歪みが全くかかっていないときのFBG24の反射中心波長値データが中心波長基準データとしてあらかじめ記憶されている。この演算処理装置40としては、パソコン等を使用できる。
通信ケーブル50は、スペクトルアナライザ30を演算処理装置40に接続し、光ファイバセンサ20およびスペクトルアナライザ30によって計測されたFBG反射中心波長データ等の電気信号を演算処理装置に転送する。この通信ケーブル50としては、例えばGP−IBケーブルやRS232Cケーブルを使用できる。
図1および図2において、まず光源21の出射光は、光サーキュレータ22を介して温度補償型のFBG24に入射する。FBG24において反射された光(FBG反射光)は、光サーキュレータ22を介してスペクトルアナライザ30に入射する。
スペクトルアナライザ30では、FBG反射光のスペクトルにおいてその強度がピーク波長からそれぞれ3dB下がった短波側の波長と長波側の波長の中央値を、上記FBG反射中心波長値として計測する。そして、この計測されたFBG反射中心波長値のデータは、スペクトルアナライザ30から通信ケーブル50を介して電気信号により演算処理装置40に転送される。
演算処理装置40では、スペクトルアナライザ30から送信されたFBG反射中心波長計測データを受信すると(図2のステップS10)、この中心波長計測データをハードディスクに書き込んで記憶する(ステップS11)。
そして、ヘルスモニタリング対象物の未来の歪みを予測するために、上記中心波長計測データを主メモリに読み込むとともに、あらかじめハードディスクに保存してある中心波長基準データを同様に主メモリに読み込み(ステップS12)、スペクトルアナライザ30で計測された中心波長の値から中心波長基準値を減算して、純粋にヘルスモニタリング対象物に生じた歪みのみによるFBGの中心波長変化量を求める(ステップS13)。
次に、上記計算された歪みのみによるFBGの中心波長変化量をもとに、あとで説明する予測手順によってヘルスモニタリング対象物の未来の歪み(振動)を予測する(ステップS14)。そして、演算した歪みの予測結果(予測データ)を演算処理装置40のハードディスクに書き込んで記憶し(ステップS15)、歪みの予測を終了する。
[光ファイバセンサ20および温度補償型のFBG24]
本発明の振動予測装置10の光ファイバセンサ20では、温度補償機能付き(温度補償型)の1つのFBG24を用い、歪が全くかかっていないときの中心波長基準データとの比較によって、温度変化によらず歪み(振動)のみによって中心波長が変化する反射光を得ることができる。このため、歪み計測用と温度計測用の2つのFBGを設ける必要がなく、これによって光サーキュレータおよびスペクトルアナライザを1つ設ければ足りるとともに、光カプラを設ける必要がなくなり、光ファイバセンサの構成および装置構成を従来よりも簡易にできるので、センサ部品数等の減少により故障率を低下させることができるとともに、センサ等のコストを削減できる。特に、温度計測用FBGを設ける必要がないので、センサ部品の配置空間や配置環境の自由度を大きくできる。
温度補償型のFBG24の説明の前に、まずFBGの原理について説明する。光ファイバグレーティング(FBG)は、光ファイバの長さ方向に周期的な屈折率変化を作成することで、特定波長の光を反射させる特性を持った光ファイバ部品である。
図3は光ファイバブラッググレーティング(FBG)の原理図である。図3に示すように、FBGは、光ファイバコア1の長手方向の屈折率変化分布が一定間隔で変化するように構成したものであり、高屈折率部2と低屈折率部3とを一定間隔Λで繰り返す構造としたものである。FBGの反射波長λは、屈折率分布の幅(高屈折率部の幅+低屈折率部の幅)Λと光ファイバコア1の実効屈折率neffを用いて以下の式で表すことができる。
Figure 2010025810
上記式(1)より、屈折率分布の幅(周期)Λは、Λ=λ/2neffである。また、高屈折率部2の屈折率をn2、低屈折率部3の屈折率をn3とすると、実効屈折率neffは、neff=(n2+n3)/2≒1.48である。従って、FBGは、入射光4に対して、屈折率分布の幅Λに応じた波長λの光5を反射して、それ以外の波長λ’の光を透過する特性を有する。
図4はFBGにおいての歪み量△eに対する反射中心波長変化量△λの特性を示す図である。このFBGに圧力の印加等により歪みが生じると、屈折率分布の幅Λが変化し、この変化に応じて反射光5の波長λは、図4に示すように、歪み量Δeに比例して直線的に変化する。このとき、FBGの反射中心波長変化量△λは以下の式(2)で表される。
Figure 2010025810
FBGによる光ファイバセンサは、FBGの重要な応用部品であって、歪み(振動)等の変位や圧力を計測するためのセンサであるが、検知信号が光信号(反射光)であり、この光信号を光ファイバで伝送するため、従来の電気式センサよりも、電磁雑音を受け難く、誤差の少ない高精度な計測が可能になる。なお、従来の電気式センサは、検知信号が電気信号であり、この電気信号を伝送するため、電磁雑音の影響を受けやすく、計測誤差を生じる原因になる可能性があった。
FBGは、通常、温度上昇により、その反射光の中心波長が長波側に変動する特性を有している。これは、温度上昇によって正の線膨張を有する光ファイバが膨張し、屈折率分布の幅が大きくなり、結果として反射光の波長が長くなるためである。この温度変化による波長変動を積極的に利用すると、FBGを温度センサとして応用することができるが、歪み(振動)等の変位や圧力を計測するために用いる光ファイバセンサにあっては、温度変化による波長変動は、特性の劣化につながるため、極力抑える必要がある。
例えば、中心波長を僅かにずらした光信号を重ねて多重化することにより1本の光ファイバで同時に何重もの情報を伝送する通信方式であるWDM(Wavelength Division Multiplexing)方式をさらに高密度化させ、使用する中心波長を非常に狭くすることでより多数の光信号を多重化するDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)方式では、FBGの中心波長変化量は、想定される使用温度範囲内で最大において0.1nm以下に抑える必要がある。これは、隣り合う中心波長間隔が0.4nm程度であるため、0.1nm以上波長変動した場合、隣り合う波長に大きな影響を与えてしまうためである。FBGは、一般的に1℃で0.01nm程度中心波長が変化する。
図5は本発明において振動計測のために用いる温度補償型FBG24を設けたFBG部65の構成例を示す断面図である。図5において、光ファイバ23bに設けられたFBG部65は、FBG24が形成された光ファイバコア(ガラスコア)61と、ガラスコア61の周囲に設けられたガラスクラッド62と、ガラスクラッド62を被覆する光ファイバ被覆樹脂63と、負膨張繊維64aを含む樹脂64とによって構成されている。この図5のように、FBG24が形成された光ファイバコア(ガラスコア)61の周囲の光ファイバ被覆樹脂63を除去し、長手方向に負の線膨張係数を有する繊維64aを含む樹脂64を配置した構成とすることにより、温度上昇による繊維の収縮が光ファイバの膨張を抑制して、式(1)の周期Λが大きくなり、反射波長λが大きくなる現象を防止することができる。
この温度補償型FBG24の基本的な原理は、温度上昇による繊維の収縮が光ファイバの圧縮応力として働き、正の線膨張係数を持つ光ファイバの膨張を抑制することによって温度補償が達成されるというものである。また、負膨張繊維64aを含む樹脂64は、負膨張繊維64a同士または負膨張繊維64aとガラスクラッド62との空隙に樹脂材料を充填したものである。このように、負膨張繊維64aに加えて樹脂64をFBG24の周囲に配置すると、ガラスクラッド62と負膨張繊維64aの間の摩擦力が増し、負膨張繊維64aの膨張具合を確実にFBG24に届かせることができるため、より確実に温度補償できることができる。なお、このようなFBG部として、線膨張係数が負である補強材によって固定されて、周囲を樹脂で充填した構造とすることも可能である。
これを式で表すと、
Figure 2010025810
となる。式(3)から、FBGの変位量xfがFBGの熱膨張による変位を打ち消すようにSfおよびEfをもとにしてSn,En,Sr,Erを設計することによって温度補償構造が達成される。
実際に、約3.5質量%のGeOを添加、コア直径が約10μm、コアとクラッドの比屈折率差が0.35%であるシングルモード光ファイバを用いて以下のようにして、本発明に用いるFBGを作製した。
まず、光ファイバを、55℃,100気圧の水素雰囲気中に一週間放置して光感受性を高めた上で、アルゴンイオンレーザの第二高調波(波長244nm)を用いて位相マスク法により反射中心波長1550nmのFBGを作製した。その際、石英光ファイバの周囲の保護のために被覆されている紫外線硬化型樹脂は、紫外光を透過しないため、FBG形成部を含んで部分的に樹脂被覆を除去して石英部分を剥き出しにした。この部分の長さは3cmであり、グレーティング長は3mmである。
そして、この光ファイバの剥き出し部分の周りに、負膨張繊維としてダイニーマ(東洋紡績株式会社登録商標)と称される、室温でのヤング率50MPaの超高分子量ポリエチレン繊維を1900本配置し、さらにこの負膨張繊維と光ファイバの間に紫外線硬化樹脂を充満させ、紫外線を当てて硬化させた。
このようにして作成した、図5に示す構造のFBGについて、反射中心波長の温度依存性を確認したところ、−20℃から80℃の温度変化で、0.1nm以下の中心波長変動量に収まっていた。これにより、図5に示す温度補償型FBGは、使用が想定される上記温度範囲内(−20℃から80℃)においての温度変化に伴うFBGの中心波長変化量の上限である0.4nmを十分に満たしていることが判る。なお、温度補償構造を設けていないFBGでは、−20℃から80℃の温度変化で、1nm程度の中心波長変動を生じていた。
図6は振動計測のための温度補償型FBGをヘルスモニタリング対象物に設置した構成例を示す図である。図6に示すように、温度補償型FBGを形成した光ファイバ71を、歪み計測対象物であるヘルスモニタリング対象物72に、接着剤73によって固定することにより、FBGの持つ反射中心波長の温度依存性を考慮せずに、ヘルスモニタリング対象物72の歪みのみを計測することが可能になる
[スペクトルアナライザ30]
スペクトルアナライザ30は、FBG24の反射光スペクトルを計測し、このスペクトルをもとにFBG反射中心波長を求め、その中心波長データを演算処理装置40に転送する光波長の計測装置である。
現在多くのスペクトルアナライザで用いられている方式は、掃引型スーパーヘテロダイン方式であり、その動作原理上、表示波形が同時刻の計測値ではない。この掃引時間は、計測の分解能を小さくするほど長くなるが、一般的なスペクトルアナライザでは5ms程度となっていて、画面上に計測されたスペクトルを表示するためには5秒程度必要になる。
一方で、上記掃引型スーパーヘテロダイン方式とは別に、極短期間の高速フーリエ変換を短い周期で繰り返す方式を用いた、一般にリアルタイムスペクトルアナライザと称されるスペクトルアナライザがある。このリアルタイムスペクトラムアナライザは、フレームと呼ばれる極めて短い期間のデジタル信号に対して、高速フーリエ変換を実行して、フレームの取り出しと高速フーリエ変換の実行を連続して処理するので、リアルタイム性のある計測データを得ることができる。
リアルタイムスペクトラムアナライザとしては、例えば1秒間の間に33回画面にスペクトラムを表示できるものがある。従って、このリアルタイムスペクトラムアナライザでは、計測されたスペクトルを約0.03秒間で画面上に表示することが可能である。
ヘルスモニタリング用途の場合、例えば風車の風速を測る間隔は一般に50ms程度であることから、画面にスペクトルを表示できる時間間隔はそれ以下であることが望ましい。この時間間隔は、従来の掃引型スーパーヘテロダイン方式のスペクトルアナライザでは満たせないが、上記リアルタイムスペクトルアナライザでは満たすことができる。そこで、本発明に用いるスペクトルアナライザ30としては、リアルタイムスペクトラムアナライザを用いることが望ましい。
[演算処理装置40および振動(歪み)予測手順]
スペクトルアナライザ30から転送されたFBG24の反射光に関する中心波長計測データを用いて、演算処理装置40において具体的にヘルスモニタリング対象物の歪みを予測する方法について以下に説明する。ここでは、演算処理装置40としてパソコンを使用する。
(歪み予測の準備手順)
歪みを予測する準備段階として、まず任意の長さの時間、FBG24の反射中心波長変化量および歪み量の計算を繰り返し、これらの中心波長変化量データおよび歪み量データをパソコンのハードディスクに保存してデータベースを作成する。例えば、1秒間隔で1000回、スペクトルアナライザ30で計測されたFBG24の反射光中心波長から中心波長変化量をそれぞれ計算し、これらの中心波長変化量から式(2)に従って歪み量をそれぞれ計算して、1000個の中心波長変化量データおよび1000個の歪み量データをハードディスクにあらかじめ記憶する。このようにして、ヘルスモニタリング対象物の歪みのみに起因するFBG24の反射中心波長変化とその中心波長変化に応じた歪みに関するある程度の個数のデータをデータベースとして集める。
ある時刻tにおける上記式(2)を以下の式(4)に表す。
Figure 2010025810
この式(4)に従って、ある同じ時刻tにおけるFBG24で得られた中心波長(中心波長計測値)λ(t)から、あらかじめ計測済みの歪みがないときの同じFBG24の中心波長(中心波長基準値)λFBGを減算し、得られた中心波長変化量△λ(t)をもとに時刻tにおける歪み量△e(t)を求める。なお、式(4)においてCは光弾性係数である。これらのデータをパソコンのハードディスクに保存して歪み予測の準備は完了する。
(歪み予測時点の決定手順)
次に、歪みを予測したい未来のある時点を決める。そして、データの対応を次式のように変える。
Figure 2010025810
つまり、式(5)のように、ある時刻tからkステップ後(k時間後)の未来における歪みと時刻tにおける中心波長変化量を対応させるようにする。ここで、例えばデータが1秒間隔のものであれば、k=1とすると時刻tにおける中心波長変化量とその時点から1秒後における歪みとを対応させることになる。
(ステップワイズ法による使用パラメータの選択手順)
次に、式(5)を用いて得られたデータベース中のいずれのパラメータを用いて予測をすればいいかをステップワイズ法によりあらかじめ決定する。ここでは、パラメータとして、中心波長変化量データを用い、上記ステップワイズ法により、これから予測するヘルスモニタリング対象物における未来の歪み(振動)に相関が強い中心波長変化量データを、上記データベース中より選択する。
例えば、kステップ後(k時間後)の歪みが以下の式(6)のような関数で表されるとする。
Figure 2010025810
この式(6)のf(…)内に表されたパラメータに対してステップワイズ法を適用して、適切なパラメータを選択する。このステップワイズ法を用いたパラメータ選択法について以下に説明する。
図7はステップワイズ法による歪み予測用パラメータの選択手順を説明するフローチャートである。まず、式(6)中で表された各パラメータを一つずつ用いて、そのパラメータと式(6)中で表された歪みを対応させて、最小二乗法で線形近似式を作成する(図7のステップS20)。
そして、その各場合において、どれぐらい精度よく近似式が当てはまっているかを示す指標である残差平方和を計算して(ステップS21)、その残差平方和が最小になった、つまり最も精度よく式(6)における歪みを表現できるパラメータを式(6)の右辺にあるものから一つ選択する(ステップS22)。
次に、上記選択したパラメータに加えて、残りの式(6)の右辺にあるパラメータから一つずつ加えて、この二つのパラメータを用いて同じように最小二乗法を用いて線形近似式を作成して、残差平方和を計算する。そして、新たに加えたパラメータの中で、残差平方和がもっとも小さくなったパラメータを選択して(ステップS23)、以下の式(7)に代入する。
Figure 2010025810
式(7)に従って計算した値Fが2.0を超えた場合は(ステップS24でYES)、その選択したパラメータは式(6)における歪みと関連があり、歪み予測に有用なパラメータと考えられるので、新たに取り入れる。また、式(7)の値Fが2.0以下だった場合は(ステップS24でNO)、そのパラメータは式(6)における歪みと関連性がないと考えられるので取り入れない。これを前進法という。
上記前進法によって、式(7)に従って新たにパラメータを取り入れた場合は、今度は逆に今までに取り入れたパラメータ(既存のパラメータ)が本当に式(6)における歪みを予測するために有用なパラメータであるか調べる(ステップS25〜S27)。具体的には、今までに取り入れたパラメータを一つずつ取り除いて、その各場合において以下の式を計算して判定する。
Figure 2010025810
式(8)において、もし計算結果が2.0以下の場合は(ステップS25でNO)、その取り除いたパラメータは歪み予測に不要なパラメータであるとして、既存のパラメータから削除(除去)する(ステップS26)。また、計算結果が2.0を超える場合は(ステップS25でYES)、その取り除いたパラメータは歪み予測に必要なパラメータであるとして、既存のパラメータから取り除かずそのままにする。これを後進法という。そして、この後退法を今までに取り入れた全てのパラメータに適用する(ステップS27)。
このように前進法と後退法を繰り返して、式(6)の右辺の全てのパラメータについて完了したら(ステップS28)、ステップワイズ法による歪み予測に用いるパラメータ選択は終了する。
(K−BN法による振動予測手順)
次に、選択されたパラメータを用いてK-Bipartite Neighbors法(以下、K−BN法という)により未来の歪みを予測する。図8はK−BN法による歪み予測手順を説明するフローチャートである。また、図9は2パラメータを用いたときの近傍データの選択手順を説明する図である。また、図10は1パラメータを用いたときの歪み予測計算手順を説明する図である。なお、図9および図10はK−BN法を説明する図であるが、図9については同時にK-Surrounding Neighbors法(以下、K−SN法という)を説明する図でもある。
(計測データの作成)
まず、現時点のFBG反射中心波長計測データについて、中心波長変化に関するパラメータを計算し、式(6)の右辺のパラメータに相当するパラメータから歪み予測に用いるパラメータを選択し、その選択したパラメータを次式のようにベクトル表示して、現時点の計測データXを作成する(図8のステップS30)。データベースには、同様にしてすでに作成されている過去の計測データが保存されている。
Figure 2010025810
(近傍データの検索)
次に、計測データXの近傍データを検索する。計測データXと既存のデータベース中にすでに保存されている同様のデータXを以下のようにユークリッド距離を用いて比較して、次式の値が小さくなったデータベース中のデータから順番に近傍データとして選択していく。
Figure 2010025810
具体的には、図9に示すように、計測データXを中心にして状態空間を各区間に区切る。そして、区切られた各区間において、式(10)を計算して値が小さい順から任意個を近傍データとして取り入れる(図8のステップS31)。なお、図9は2つのパラメータを選択して計測データXを作成し、各区間の近傍データ数を2つとした場合の説明図である。
次に、計測データXと近傍データに対してK−BN法を実行し(図10のステップS32)、図10に示すように、各区間において近傍データに最小二乗法を適用して線形近似式を作成する。なお、図10は1つのパラメータを選択して計測データXを作成し、各区間の近傍データ数を2つとした場合の説明図である。
そして、それぞれの区間について、線形近似式に計測データXのパラメータ値(中心波長変化データ)を代入して、計測データXに対する歪み予測値を計算し、各区間の歪み予測値の平均値を最終的な歪み予測値とする(図8のステップS33)。
このようなK−BN法による予測法は、単純に式(10)を計算して距離が小さくなった近傍データを任意個数選択してそれらのデータにおける歪みの平均値を計測データに対する歪み予測値とするK-Nearest Neighbors法に比べて、データベース中のデータの分布が偏った場合に有効である。また、K−BN法による予測法は、図9に示すように選択された各区間における近傍データにおける歪みの平均値を計算してその各区間において計算された歪み平均値の平均をとった値を歪み予測値とするK−SN法による予測法に比べて、ノイズの強いデータに対して有効である。
[ヘルスモニタリング用途について]
以上説明したように、本発明の振動予測装置は、温度補償型のFBGによる光ファイバセンサから出射されるFBG反射中心波長データをスペクトルアナライザによって求め、演算処理装置において、中心波長計測データからヘルスモニタリング対象物の振動に起因する中心波長変化データを逐次計算して保持しておき、現在および過去の中心波長変化データから未来においての上記対象物の歪みを予測するものである。なお、ヘルスモニタリング対象物の歪みを予測することは、ヘルスモニタリング対象物の振動を予測していることと同じことになる。このことは、振動センサのひとつとして、歪みケージを用いたセンサが用いられていることからもこのことが裏付けられる。
このように、ヘルスモニタリング対象物の将来の歪みを事前に予測することができるので、ヘルスモニタリング対象物が異常となる歪み量をあらかじめ演算処理装置に設定しておけば、ヘルスモニタリング対象物が異常になること(ヘルスモニタリング対象物にかかる歪が異常を生じるほどに大きくなること)を事前に予測することができるので、ヘルスモニタリング対象物の異常を事前に感知できることになる。同時に、予測した歪みをもとにヘルスモニタリング対象物が正常であることも予測することができるので、ヘルスモニタリング対象物が健全であることも事前に感知できる。
従って、将来においてヘスモニタリング対象物が異常を生じること、または健全であることを、通知あるいは報知する手段を演算処理装置に設けておけば、その管理者やその他の第三者に、ヘルスモニタリング対象物が異常を生じることまたはその健全性が保たれることを事前に通知あるいは報知することができ、ヘルスモニタリング対象物に生じる障害等を未然に防止することが可能となる。
本発明の振動予測装置を用いて、「ヘルスモニタリング対象物の将来の健全度を予測する」というヘルスモニタリングの最終目的をより効果的に達成するためには、未来のある一時点の振動(歪み)を予測するよりも、将来のある程度長期に及ぶ一定期間の振動の合計(あるいは平均値)を予測したほうがより有用だと考えられる。
このある将来の一定期間に及ぶ歪みの合計(あるいは平均値)を予測することは、式(6)におけるkの値を変えながら、それぞれのk値について歪みを予測し、それらの合計値を求めることによって実現できる。また、その求められた合計値をその一定区間に渡る時間で割れば平均値を求めることができる。例えば、データ間隔を1秒として、現時点から30秒後までの歪みの合計値を予測するためには、式(6)においてkを1から30まで変えて、その各場合において歪みを予測して、その歪み予測結果を合計すればよい。
光ファイバセンサを用いた従来の橋梁管理装置では、計測対象物の将来の歪みを予測することはできず、従って計測対象物に将来生じる障害あるいは将来の健全性を事前に感知することはできず、「ヘルスモニタリング対象物の将来の健全性を予測する」というヘルスモニタリングの最終目的を達成することができなかった。しかし、本発明の振動予測装置では、ヘルスモニタリング対象物の将来の歪みを早期かつ正確に予測することができ、従ってヘルスモニタリング対象物に将来生じる異常あるいは将来の健全性を事前に感知することができるので、上記ヘルスモニタリングの最終目的を達成することができる。
さらに、FBGによる光ファイバセンサを用いた従来の歪み計測装置では、高精度の歪み計測をするために、歪み計測用と温度計測用の2つのFBGを設ける必要があり、光ファイバセンサおよび計測装置の構成や演算処理装置での歪み量の演算処理が複雑となり、部品数増加に起因する故障率の増加やコストの増加を招くとともに、温度計測用FBGを配置空間・配置環境を確保することが困難であった。しかし、本発明の振動予測装置では、温度補償型のFBGが温度によるFBG中心波長変化を自動補償するので、温度計測用FBG、これに光を入射させるための光ファイバおよび光カップラ、温度計測用FBGの反射光を伝送するための光ファイバおよび光サーキュレータ、ならびに温度計測用FBGの反射光の中心波長を求めるためのスペクトルアナライザが不要になるので、光ファイバセンサの構成や演算装置での歪み量の演算処理を簡易にすることができ、このような簡易な構成で高精度な計測を実現できる。
本発明の振動予測装置10を用いたと仮定して、以下の予測シミュレーションをした。ここで、FBG24は温度変化による中心波長変化が完璧に補償され、中心波長変化は歪み計測対象物に設置したFBG24にかかる歪みのみによって生じるものとした。
光ファイバ23は、コアに約3.5質量%のGeOが添加され、コア直径約10μm、コアとクラッドの非屈折率差が0.35%、径125μmのシングルモードファイバを使用した。FBG24は、位相マスク法で反射中心波長1550nmのものを用いた。また、スペクトラムアナライザ30は、リアルタイムスペクトラムアナライザとし、データをまったく遅れることなく演算処理波置40に転送するものとした。
ここで、1秒ごとに計測された中心波長データ500個をデータベースとしてデータ解析した上で、続いて500個のデータに関して歪み予測をした。また、式(5)におけるk値は1として、計測データから1秒後の歪みを予測するシミュレーションをした。また、式(6)におけるnは3として、これらのパラメータの中から予測に有用なパラメータを選択した。
図9における各区域における近傍データ選択数は10とする。また、これらのデータは歪み100gf〜200gfの間で変動するものとする。そして、ヘルスモニタリング対象物においては、歪みが150gf以上かかると異常な状態にあると仮定した。従って、この異常な状態をいち早く検知することが重要となる。
本発明の振動予測装置10による実施例1のシミュレーション結果を、図16の従来の歪み計測装置によって得られた歪み計測結果をそのまま1秒後の歪予測値としたものと比較した。その比較結果を図11および図12に示す。図11は正常状態のヘルスモニタリング対象物が異常状態に推移する場合の振動予測結果であり、図12は異常状態にあるモニタリング対象物が正常状態に戻る場合の振動予測結果である。
図11に示すように、本発明の振動予測装置10では、常に100gf近辺で推移していた歪みが突然上昇し始めてヘルスモニタリング対象物の異常を示す歪み150gfまで上昇する様子を、従来のシステムに比べて早く感知できていることが判る。また、図12に示すように、本発明の振動予測装置では、歪みが200gf近辺にあったが急に150gf近辺まで低下する様子を、従来のシステムに比べて早く検知できていることが判る。図11と図12から、本発明の振動予測装置では、従来の歪み計測装置よりも早くヘルスモニタリング対象物の異常を発見できることが明らかになった。
上記実施例1において予測法をK−BN法から、図8に示すK−SN法に変更して、上記実施例1と同様の予測シミュレーションをした。その他の条件は上記実施例1と同様である。
そして、この実施例2のK−SN法によるシミュレーション結果を、上記実施例1のK−BN法によるシミュレーション結果、および図16の従来の歪み計測装置によって得られた歪み計測結果をそのまま1秒後の歪予測値としたものと比較した。その比較結果を図13および図14に示す。図13は正常状態のヘルスモニタリング対象物が異常状態に推移する場合の振動予測結果であり、図14は異常状態にあるモニタリング対象物が正常状態に戻る場合の振動予測結果である。
図13と図14から、本発明の振動予測装置においては、K−SN法による振動予測は、上記実施例1のK−BN法に比べてヘルスモニクリング対象物の異常発見が遅れたことが確認された。つまり、本発明の振動予測装置で用いる予測法として望ましいとしたK−BN法の有用性を確認できた。
上記実施例1,2のように、未来のある一点(時点)においてヘルスモニタリング対象物にかかる歪みを予測して、ヘルスモニタリング対象物の異常を早く検知するよりも、未来のある程度長期に及ぶ一定区間(一定期間)にヘルスモニタリング対象物にかかる歪みの平均を予測して、あらかじめヘルスモニタリング対象物の異常を検知したほうが、「ヘルスモニタリング対象物の将来の健全性を予測する」というヘルスモニタリングの最終目的により近づける可能性がある。
そこで、この実施例3では、上記実施例1において、式(5)におけるk値を1から30まで変えて、その各時点において歪みを予測し、現時点から30秒間のヘルスモニタリング対象物にかかる歪みの平均値を予測するシミュレーションをした。予測値平均が150gf以上である場合に異常とする。その他の条件は上記実施例1と同様である。
本発明の振動予測装置10による実施例3のシミュレーション結果を、図16の従来の歪み計測装置によって得られた歪み計測値の30秒間の平均をそのまま現時点から30秒間の歪予測値平均としたものと比較した。その比較結果を図15に示す。
図15に示すように、本発明による予測値平均を用いた歪み予測では、従来の計測値平均をそのまま予測値平均としたものに比べて、異常値である歪み平均150gfを超える場合、および異常値から正常値に戻る場合のいずれにおいても、早く検知することができる。
本発明の振動予測装置の構成例を示す図である。 本発明の振動予測装置においての振動予測手順を説明するフローチャートである。 FBGの原理を説明する図である。 FBGの歪み量に対する反射中心波長変化量の特性を示す図である。 振動計測のための温度補償型FBGを設けたFBG部の構成例を示す断面図である。 振動計測のための温度補償型FBGをヘルスモニタリング対象物に設置した構成例を示す図である。 ステップワイズ法による歪み予測用パラメータの選択手順を説明するフローチャートである。 K−BN法による歪み予測手順を説明するフローチャートである。 2パラメータを用いたときの近傍データの選択手順を説明する図である。 1パラメータを用いたときの歪み予測計算手順を説明する図である。 実施例1の予測シミュレーション結果を示す図である。 実施例1の予測シミュレーション結果を示す図である。 実施例2の予測シミュレーション結果を示す図である。 実施例2の予測シミュレーション結果を示す図である。 実施例3の予測シミュレーション結果を示す図である。 従来の歪み計測装置の構成例を示す図である。 従来の歪み計測装置においての歪み計測手順を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 振動予測装置、 20 光ファイバセンサ(振動検知手段)、 21 光源、 22 光サーキュレータ、 23a,23b,23c 光ファイバ、 24 温度補償型のFBG、 30 スペクトルアナライザ(分析手段)、 40 演算処理装置(演算手段)、
50 通信ケーブル、 61 光ファイバコア(ガラスコア)、 62 ガラスクラッド、 63 光ファイバ被覆樹脂、 64a 負膨張繊維、 64 負膨張繊維を含む樹脂、 65 FBG部、 71 光ファイバ、 72 ヘルスモニタリング対象物。

Claims (9)

  1. ヘルスモニタリング対象物における未来の振動を予測するヘルスモニタリング用振動予測装置であって、
    前記対象物の振動に応じて反射中心波長が変化するFBGを有する振動検知手段と、
    前記振動検知手段による反射光のスペクトルを分析してその中心波長を求める分析手段と、
    前記分析手段による中心波長計測データをもとに、前記対象物の振動に起因する前記FBGの中心波長変化データを逐次計算して記憶しておき、これら過去および現在の中心波長変化データをもとに、前記対象物における未来の予測振動量を演算する演算手段と
    を少なくとも備えた
    ことを特徴とするヘルスモニタリング用振動予測装置。
  2. 前記FBGは、長手方向に負の線膨張係数を有する繊維を周囲に配置した温度補償型FBGであることを特徴とする請求項1に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  3. 前記温度補償型FBGは、温度範囲−20℃から80℃における温度変化に起因する前記反射中心波長変化が最大0.1nm以下であることを特徴とする請求項2に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  4. 前記分析手段は、50msよりも短い時間間隔で前記中心波長を求めることを特徴とする請求項1に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  5. 前記演算手段は、前記対象物に全く振動がないときの前記FBGの反射中心波長データを中心波長基準データとしてあらかじめ記憶しており、前記中心波長基準データから前記中心波長計測データを減算することによって、前記中心波長変化データを計算することを特徴とする請求項1に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  6. 前記演算手段は、あらかじめ記憶してある前記対象物の振動異常値を参照して、前記予測振動量をもとに、前記対象物に将来生じる異常を事前に感知することを特徴とする請求項1に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  7. 前記演算手段は、前記過去および現在の中心波長変化データにステップワイズ法を適用し、これら中心波長変化データの中から、予測したい前記対象物における未来の振動に強い相関のある中心波長変化データを選択し、これら選択した中心波長変化データをもとに前記予測振動量を演算することを特徴とする請求項1に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  8. 前記演算手段は、前記選択した中心波長データにK−BN法を適用し、現時点における前記選択した中心波長データによって計測データを構成し、この現時点の計測データを中心にして状態空間を区間に区切り、それぞれの区間について、過去における前記選択した中心波長データから構成した計測データ中から、前記現在の計測データとのユークリッド距離が近い順に所定数のデータを近傍データとして選択し、前記区間ごとに前記近傍データをもとにした最小二乗法による近似式を作成し、それぞれの区間の近似式に現時点の計測データを代入することによって前記予測振動量を演算することを特徴とする請求項7に記載のヘルスモニタリング用振動予測装置。
  9. ヘルスモニタリング対象物における未来の振動を予測するヘルスモニタリング用振動予測方法であって、
    前記対象物の振動に応じて反射中心波長が変化するFBGからの反射光のスペクトルを測定するステップと、
    前記反射中心波長を求めるステップと、
    前記中心波長をもとに、前記対象物の振動に起因する前記FBGの中心波長変化データを逐次計算して記憶しておくステップと、
    過去および現在の前記中心波長変化データをもとに、前記対象物における未来の振動を予測するステップと
    を少なくとも備えた
    ことを特徴とするヘルスモニタリング用振動予測方法。
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