JP2010023278A - タイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具とタイヤおよびリム組立体の製造方法 - Google Patents

タイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具とタイヤおよびリム組立体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤおよびリム組立体へ中空粒子を装入して安全なタイヤおよびリム組立体を製造するに際し、上記した不利を招くことのない方途について提案することを目的とする。
【解決手段】内部に多数個の粒子が充填可能の袋体と、該袋体に一端側が固定され、かつ他端が自由端である線状操作部材とを有し、前記袋体は破断強度の低い部分を有し、前記線状操作部材の引張り操作によって、前記破断強度の低い部分を介して袋体が破断可能になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤが外傷等を受けることによってパンク状態となってなお、必要とされる距離を安全に継続走行することができるタイヤおよびリム組立体を製造するに際し、このタイヤおよびリム組立体内部に粒子を装入するのに用いる装入用具に関するものである。
タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画された空間内へ、樹脂による連続相と、大気圧より高圧に保持された独立気泡とからなる中空粒子を多数個封入してなるタイヤおよびリム組立体は、たとえば、出願人の先の提案に係る特許文献1に記載されている。
このタイヤおよびリム組立体では、タイヤが受傷して内圧が低下し始めると、ここで気泡含有粒子とも称される中空粒子が受傷部を封止し、急激な内圧低下が抑制される一方で、タイヤ内圧の低下に伴いタイヤの撓み量が増加し、タイヤ内容積が減少することによって、中空粒子そのものが直接的に荷重を負担することとなり、その後の走行に必要な最低限のタイヤ内圧を保持することとなるとし、また、受傷前のタイヤ内圧下で存在していた中空粒子の独立気泡中の気泡内圧力は、受傷後も上記のタイヤ内圧に準じた圧力を保ったまま、言い換えれば、受傷前の中空粒子総体積を保持したままタイヤ内に存在することになるので、タイヤがさらに転動することによって、中空粒子そのものが直接的に荷重を負担しつつ中空粒子同士が摩擦を引き起して自己発熱し、これにより、タイヤ内の中空粒子温度が急上昇して、該温度が中空粒子の連続相を形成する樹脂の軟化温度を越えると、中空粒子の独立気泡中の気泡内圧力が受傷前のタイヤ内圧に準じた圧力であるのに加え、前記中空粒子温度の急上昇によりさらに気泡内圧力が上昇するため、中空粒子が一気に体積膨張し、タイヤ内圧は受傷前の状態に近い圧力まで復活することになる。
以上の効能を有する中空粒子は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、たとえば粒径が10μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体であり、大気中に飛散し易いことから、タイヤ内への充填には工夫が必要になる。この点、特許文献1には、タイヤ内の気体を外部に吸引しながら、タイヤおよびリム組立体と中空粒子の貯蔵タンクとの間を往復する環状経路を形成し、この経路を加圧下に保持して中空粒子をタイヤ内に充填することが、提案されている。
特開2003−118312号公報
上記のように、中空粒子をタイヤ内に充填するには、タイヤ内気体の吸引を基本とした専用の供給経路を有する設備を準備する必要があり、煩雑で高コストの処理となるのは否めなかった。
そこで、本発明は、タイヤおよびリム組立体へ粒子、特に中空粒子を装入して安全なタイヤおよびリム組立体を製造するに際し、上記した不利を招くことのない方途について提案することを目的とする。
さて、発明者が、タイヤおよびリム組立体へ中空粒子を装入する方法について鋭意検討したところ、特別な設備を用いることなく中空粒子を装入するには、一旦中空粒子を袋体に充填し、この袋体を介してタイヤおよびリム組立体へ中空粒子を装入することが有効であるとの知見を得た。さらに、かような中空粒子の装入は、袋体に充填した中空粒子をタイヤおよびリム組立体内に確実に供給することで初めて実現されることから、ここでは、袋体に充填された中空粒子を再び袋体外に放出するのに適した構造を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)内部に多数個の粒子が充填可能の袋体と、該袋体に一端側が固定され、かつ他端が自由端である線状操作部材とを有し、前記袋体は破断強度の低い部分を有し、前記線状操作部材の引張り操作によって、前記破断強度の低い部分を介して袋体が破断可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(2)前記(1)において、前記破断強度の低い部分がミシン目であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(3)前記(1)または(2)において、さらにリムに固定するための係止部を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(4)前記(1)、(2)または(3)において、さらに前記袋体に一端側が固定され、かつ他端が自由端である線状引出部材を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(5)前記(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記線状操作部材が、タイヤのリムのバルブ取付口から外側に導出可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(6)前記(4)または(5)において、前記線状引出部材が、タイヤのリムのバルブ取付口から外側に導出可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(7)前記(4)ないし(6)のいずれかにおいて、前記線状操作部材と前記線状引出部材とが識別可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(8)前記(1)ないし(7)のいずれかにおいて、前記袋体は、非伸縮性および気密性を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
(9)タイヤをリムに装着するとともに、該タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に多数個の粒子を、前記(1)ないし(8)のいずれかに記載の装入用具を用いて装入してタイヤおよびリム組立体を製造するに当り、
該装入用具の袋体の内部に少なくとも多数個の粒子を充填し、該袋体をタイヤの内部に配置する工程、
該袋体を前記線状操作部材の引張り操作によって、破断強度の低い部分を介して袋体を破断し、該破断部から粒子をタイヤ気室内に装入する工程、
を有するタイヤおよびリム組立体の製造方法。
(10)前記(9)において、前記粒子は、樹脂による連続相とガス相とからなる中空粒子であるタイヤおよびリム組立体の製造方法。
本発明の装入用具を用いると、タイヤおよびリム組立体の内部へ中空粒子を装入するに当って、中空粒子を封入した袋体を介して、タイヤ内へ中空粒子を供給することが可能になる結果、中空粒子を飛散することなく確実に装入することができる。また、タイヤおよびリム組立体へ中空粒子を供給するに際して、専用の供給経路を有する設備を別途必要としない利点もある。
図1は、本発明の袋体を用いて作製される、タイヤおよびリム組立体を例示する幅方向断面図である。図示のタイヤおよびリム組立体は、タイヤ1をリム2に装着し、該タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室3内に、樹脂よりなる連続相と独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子4の多数を、加圧下で充填配置してなる。
なお、タイヤ1は、規格に従う各種自動車用タイヤ、たとえば、トラックやバス用タイヤ、乗用車用タイヤ等であれば、特に構造を限定する必要はない。すなわち、本発明はタイヤおよびリム組立体になるすべての安全タイヤに適用できる技術であり、図示のタイヤは、1対のビードコア5間でトロイド状に延びるカーカス6のクラウン部に、その半径方向外側へ順にベルト7およびトレッド8を配設してなる、一般的な自動車用タイヤである。図において、符号9は、タイヤ気室3に対して気体を給排するバルブを、10はインナーライナー層を、11はサイド部を、それぞれ示す。
上記中空粒子4は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、たとえば粒径が10μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体、あるいは、独立気泡による小部屋の多数を含む海綿状構造体である。すなわち、該中空粒子4は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、該独立気泡の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。この明細書では、この『中空粒子群の独立気泡内部』を総称して『中空部』と表現する。また、この粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指し、さらに、樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述のとおりである。
この中空粒子4の多数個である中空粒子群は、高圧気体とともにタイヤ気室3の内側に充填配置することによって、通常の使用条件下ではタイヤの『使用内圧』を部分的に担うと共に、タイヤ1の受傷時には、タイヤ気室3内の失った圧力を復活させる機能を発現する源となる。この『内圧復活機能』については後述する。
ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
さて、近年の車両の高性能化や高速化の実態を鑑みたとき、タイヤ気室内に配置した中空粒子が所期した機能を発揮することが肝要であり、そのためには、中空粒子の耐久性をさらに向上することが求められている。
そこで、発明者らは中空粒子の耐久性、具体的には耐熱性に関して、中空粒子の発熱の実態について鋭意検討し、中空粒子の更なる耐久性(耐熱性)の向上を達成した。
まず、中空粒子はその原料である『膨張性樹脂粒子』、すなわちガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた粒子を加熱膨張することにより得られ、この膨張性樹脂粒子には膨張開始温度Ts1が存在する。更に、この加熱膨張によって得られた中空粒子を室温から再度加熱すると、中空粒子は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の膨張開始温度Ts2が存在する。
発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子を製造し検討を重ねてきた結果、Ts1を耐熱性の指標としてきたが、耐熱性の指標としてはTs2が適切であることを見出すに到った。まず、膨張性樹脂粒子を加熱膨張させる場合における膨張挙動を観察した。膨張性樹脂粒子は膨張する前の段階にあるため、中空粒子の状態に比して粒径が極端に小さく、樹脂製の殻部の厚さが極端に厚い。よって、マイクロカプセルとしての剛性が高い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で樹脂製の殻部の連続相がガラス転移点を超えても、更なる加熱により殻部がある程度柔らかくなるまでは、内部ガスの拡張力が殻部の剛性にうち勝つことが出来ない。よって、Ts1は実際の殻部のガラス転移点よりも高い値を示す。
一方で、中空粒子を再度加熱膨張させる場合では、中空粒子の殻部の厚さが極端に薄く、中空体としての剛性が低い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で殻部の連続相がガラス転移点を超えると同時に膨張を開始するため、Ts2はTs1より低い位置づけとなる。本発明では、膨張性樹脂粒子の膨張特性を活用するのではなく、一旦膨張させた中空粒子の更なる膨張特性を活用するものであるため、耐熱性を議論するには、従来のTs1ではなくTs2を指標とすべきである。
そして、中空粒子のTs2は、90℃以上200℃以下であることが肝要である。なぜなら、中空粒子のTs2が90℃未満では、選択したタイヤサイズによっては、そのタイヤの保証速度に到達する以前に、中空粒子が再膨張を開始する場合があるからである。一方、200℃を超えると、パンク受傷後のランフラット走行において、中空粒子の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、膨張開始温度Ts2に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
よって、Ts2の範囲は90℃以上200℃以下に設定することが好ましく、更に好ましくは130℃以上200℃以下、そして150℃以上200℃以下であり、もっとも好ましいのは160℃以上200℃以下の範囲である。
以上のように、上記した上限値および下限値に従う膨張開始温度Ts2を有する中空粒子をタイヤ気室内に配置することにより、内圧復活機能を確実に発現させることはもとより、高速度走行での耐熱性を向上させる事によって、常用走行時の『内圧復活機能保持』が達成される。
次に、上述のように耐久性を向上した中空粒子をタイヤ気室内に配置したタイヤとリムの組立体が安全タイヤとして機能するための基本的要件を述べる。従来の空気入りタイヤは、タイヤ気室圧力が大気圧まで低下した状態で走行すると、荷重によりタイヤが大きく撓み、そのサイド部が路面に接地してしまうため、路面との摩擦と繰り返し屈曲変形とによる発熱によって骨格のカーカス材が疲労し、サイド部の磨耗傷が最終的にタイヤ気室内まで貫通することで破壊に到る。
そこで、本発明の袋体を用いて作製されるタイヤおよびリム組立体では、外傷によってタイヤ気室内の気体が漏れ出た際に、その後の走行に必要な最低限のタイヤ気室圧力を適正に与え、失った圧力を回復させることを主目的としている。よって本発明では、タイヤとリムの組立体を圧力容器と捉えている。すなわち、傷ついてパンク状態に陥った圧力容器の傷口を、タイヤ気室内に配置した中空粒子群により暫定的に封止した上で、中空粒子を機能させて失った圧力を回復することによって、この目的を達成しようとするものである。従って、従来の空気入りタイヤのように、パンク後の走行自体がタイヤ、すなわち圧力容器を故障破壊に導くような事があってはならない。
すなわち、タイヤ気室圧力が大気圧にまで低下したとしても、早期に上述の機能を発揮させることによって、前述のタイヤ破壊に至ることを回避し、圧力容器として機能させることが重要であり、そのために、タイヤ気室内の圧力を『少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなる圧力』まで復活させることが肝要である。
より具体的には、タイヤ気室に配置する中空粒子について、下記式(I)に従う中空粒子の充填率を20 vol%以上80 vol%以下とする。

中空粒子の充填率(%)=(中空粒子体積値/タイヤ気室容積値)×100 ---(I)
ここで、中空粒子体積値は、タイヤ気室に配置した全中空粒子の大気圧下での合計体積と粒子周囲の空隙体積との合計量(cm)であり、以下の方法で算出できる。
まず、該中空粒子の大気圧下での平均嵩比重を求める。その方法は、例えば大気圧下にて既知体積であるものの重量を測定することにより算出する。最初に、大気圧下でメスシリンダーに粒子を量りとり、超音波水浴中にて振動を与え、中空粒子間のパッキングが安定した状態にて、中空粒子の総体積(粒子周囲の空隙体積を含む)と中空粒子の総重量とを測定することによって、上記大気圧下での平均嵩比重を算出する。すなわち、中空粒子の大気圧下での平均嵩比重は、
中空粒子の大気圧下での平均嵩比重=(中空粒子の総重量)/(中空粒子の総体積)
である。
次に、タイヤ気室内に配置した中空粒子の総重量を測定し、前記にて算出した該中空粒子の大気圧下での平均嵩比重で割ることによって、タイヤ内部に配置した『中空粒子体積値』を算出することができる。すなわち、
中空粒子体積値=(タイヤに充填した粒子の総重量)/(粒子の大気圧下での平均嵩比重)
である。なお、容積が既知の容器に中空粒子を量り取りながらタイヤ気室内に配置する方法でも所望の中空粒子体積値の中空粒子をタイヤ内に配置することが出来る。
また、タイヤ気室容積値は、タイヤとリムとの組立体に空気のみを充填して使用内圧(kPa)に調整した後、充填空気を内圧が大気圧になるまで排出した際の充填空気排出量(cm)を用いて、次式(II)から求めた値(cm)である。
タイヤ気室容積値=(充填空気排出量)/(使用内圧/大気圧)---(II)
なお、式(II)において使用内圧はゲージ圧値(kPa)を、大気圧値は気圧計による絶対値(kPa)を用いる。すなわち大気圧は、ゲージ圧では0[kPa]で表されるが、大気圧値自体は日々刻々と変動するものであるため、その時点での気圧計から観測される絶対値を用いる。よって例えばある時の大気圧が1013hPaであった場合は、大気圧絶対値として101.3kPaを式(II)に用いる。
さて、上記したタイヤおよびリム組立体は、タイヤをリムに装着したタイヤおよびリム組立体において、該タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に、樹脂による連続相と独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子の多数個を装入することによって作製される。
次に、この中空粒子のタイヤ気室内への装入手順について、図面を参照して具体的に説明する。
まず、本発明に従う粒子の装入用具を、図2に示す。
すなわち、図2(a)に示すように、装入用具20は、多数個の中空粒子4を充填する袋体21と該袋体21に一端が固定された線状操作部材22とを有する。さらに、袋体21は、破断強度の低い部分を有する。具体的には、図2に示す事例においては、破断強度の低い部分として、ミシン目23を設けている。
ここで、ミシン目23は、中空粒子4が充填されて筒状を呈する袋体21の周面を、2つの矩形領域24aおよび24bに区画する配置の下に設ける。各矩形領域24aおよび24bには、袋体21の周方向に沿って延びるミシン目23aを設けた側の端部に、前記線状操作部材22の一端を固定してあり、従って、図示例では、2本の線状操作部材22を有する。
また、袋体21の線状操作部材22の一端を固定した側には、前記したリム2の例えばビードシート2a(図1参照)に設けたフックを通すための係止孔25を有する係止部26を備える。なお、この係止部26は、必要に応じて備えればよく、省略することも可能である。
上記の構成になる装入用具20は、図2(b)に示すように、線状操作部材22をミシン目23aが設けられた側の端部とは逆の端部側に引くと、破断強度の低いミシン目23aに案内されて破断が始まり、さらにミシン目23に沿って破断が進展し、矩形領域24aおよび24bが線状操作部材22の引っ張り方向に捲れ上がって袋体21から分離する。その結果、袋体21に大きな開口部が形成され、これら開口部から中空粒子が外側に放出される。この際、係止部26の係止孔25に、ビードシート2aに設けたフックを通しておけば、袋体21をリムに固定しておけるため、上記の破断を確実に行うことができる。
図5の事例では、図2の事例と異なり、ティアテープ23を袋体21から剥離したのち、袋体21の大半がタイヤ1内に残されることになるが、図5に示すように、袋体21に線状引出部材24の一端を固定し、他端側に引いて袋体21残存部分をタイヤの外側に引き出すことができる。
以上、図2に示した事例では、2本の線状操作部材22の引張り操作によって2つの矩形領域24aおよび24bをミシン目に沿って袋体から分離しているが、該分離領域は適宜選択すればよい。
例えば、図3に別の態様を示すように、ミシン目23を袋体21の周面の半周領域24を区画するように設け、袋体21の軸方向に延びるミシン目23を端部に至らない中間点Pにて止めるとともに、該中間点Pではミシン目23を円軌道上で終了する。さらに、半周領域24の端部に、線状操作部材22の一端を固定してある。
かような装入用具20は、図3(b)に示すように、線状操作部材22を中間点P側に引くと、破断強度の低いミシン目23に案内されて破断が始まり、さらにミシン目23に沿って破断が中間点Pまで進展し、半周領域24が線状操作部材22の引っ張り方向に捲れ上がって袋体21から分離する。その結果、袋体21に大きな開口部が形成され、この開口部から中空粒子4が外側に放出される。
この際、線状操作部材22を引き続けることによって、図3(c)に示すように、半周領域24は中間点Pを中心にほぼ180°回動し、袋体21と半周領域24とが同軸上に並ぶ一連の線状体となり、後述するように、タイヤのバルブからの引き出しが容易になる。さらに、このバルブからの引き出しに当たり、係止部26の係止孔25に、ビードシート2aに設けたフックを通して袋体21をリムに固定した場合は、係止部26との境界部分にミシン目23bを形成し、ここで袋体21と係止部26とを切り離すようにしてもよい。
なお、袋体21に対する中空粒子4の充填は、袋体21に設けた開口部から、例えば、スクリューフィーダによって中空粒子4を袋体21内へ圧入するか、気体輸送装置によって例えば空気とともに中空粒子4を袋体21内へ供給し、中空粒子4を充填する。この場合、袋体21には、伸縮性や通気性に富まない一般的な布、合成樹脂または紙やセルロースなどを用いることができ、とりわけポリエチレンフィルム製の袋を用いるとよい。その際、中空粒子4をウェット化して袋に入れることが推奨される。
すなわち、中空粒子4を貯留する例えば容器内に、中空粒子の体積に対して0.30vol%以上1.5vol%以下の液体を添加することによって、中空粒子をウェット化する。ここで、中空粒子のウェット化とは、図4に示すように、添加した液体12が中空粒子4全体に均一に分散した状態を意味し、上記の所定量の下で液体を添加することによって、中空粒子のウェット化は実現する。
このように、中空粒子に液体を少量添加すると、図5に2つの粒子間モデルを示すように、液体12は中空粒子4間に保持され、粒子4間に液架橋を形成する。この液架橋は、中空粒子4間の付着力として働く結果、粉状の中空粒子4を塊状に変化させる。塊状となった中空粒子は、飛散などを考慮することなしに扱うことができるため、伸縮性や通気性のない袋体への充填を簡便に行える。
その際、中空粒子の体積に対して0.30vol%以上1.5vol%以下の液体を添加することが好ましい。すなわち、液体の添加量が0.30vol%未満または1.5vol%を超えると、上記した中空粒子のウェット化を実現することが難しくなる。ここで、中空粒子の体積とは、前記した中空粒子の充填率を算出する際に用いる中空粒子体積値のことであり、その求め方は上述のとおりである。なお、液体としては、シリコンオイル、水またはエチレングリコールに代表される脂肪族多価アルコールなどを用いることができる。
また、中空粒子4間の付着力として働く液架橋力は、主に該粒子4間に働く静的液架橋力である。この静的液架橋力は、図5に示したところに従って幾何学的に近似させると、
2πRγ・cosθ
但し、γ:液体の表面張力
θ:液体の接触角
にて示すことができる。
すなわち、静的液架橋力を大きくするには、液体に表面張力γを大きく液体の接触角θを小さくすることが有効である。従って、添加する液体としては、その表面張力γが大きく接触角θが小さいものを用いることが好ましい。具体的には、表面張力γ:28mN/m以上および接触角θ:60°以下である液体が推奨される。
なお、接触角θについては、小さすぎると液が粒子全体に濡れ広がり液架橋が形成されない可能性があることから、5°以上とすることが好ましい。より好ましくは、θ:10〜40°、さらに15〜25°である。
上記の条件に合致する液体としては、シリコンオイルや水を挙げることができ、中空粒子を膨潤させないものを選択することがより好ましい。
ここで、中空粒子4間に形成される液架橋によって中空粒子4を塊状にするに当り、さらに上記液体に加えて中空粒子より小径の微粒子を添加することが中空粒子4を強固に塊状化するのに有効である。すなわち、図6に拡大して示すように、中空粒子4より小径の微粒子13を添加し、中空粒子相互間の隙間に微粒子13を介在させることによって、該隙間が減少するため、中空粒子4塊の強度が高まる。その結果、例えばタイヤ内に充填した際に大きな傷口からの中空粒子の噴き出しはより確実に抑制される効果をもたらすことができる。
しかしながら、ウェット化した中空粒子に比し、さらに流動性が低くなるから、タイヤおよびリム組立体と中空粒子の貯蔵タンクとの間を往復する環状経路を形成し、この経路を加圧下に保持して中空粒子をタイヤ内に充填する、従来の手法を用いるのは極めて難しくなり、本発明の装入手法の適用が極めて有効になる。
ここで、該微粒子13は、前記中空粒子4の平均径の1/15以上1/6以下の径を有することが好ましい。なぜなら、微粒子13の径が中空粒子4の平均径の1/15未満では、後述するタイヤ用バルブのフィルターの目詰まりを引き起こすなど、扱いが難しくなり、一方1/6を超えると、中空粒子相互間の隙間を効率良く埋めることが難しくなり、中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。
同様に、微粒子13の添加量は、タイヤ気室内に充填した中空粒子の体積の0.6vol%以上2.0vol%以下であることが好ましい。すなわち、添加量が0.6vol%未満では上述の中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。一方、2.0vol%を超えて添加しても中空粒子相互間の隙間を減少する効果は飽和し、逆に微粒子14がコロとして働き中空粒子相互の結合を阻害する可能性がある。
なお、微粒子としては、中空粒子の連続相と同様の素材からなるもののほか、シリカ、カーボン、ステアリン酸リチウムおよび各種プラスチックなどを用いることができる。
また、中空粒子4塊の強度上昇は、上記した微粒子13に変えて繊維を用いることによっても実現することができる。すなわち、図7に拡大して示すように、繊維14を添加し、中空粒子相互間に繊維14を絡ませることによって、中空粒子相互間の結合力は高まるため、中空粒子4塊の強度が上昇する。その結果、大きな傷口からの中空粒子の噴き出しはより確実に抑制される。
かように繊維14を添加する場合、ウェット化した中空粒子に比し、さらに流動性が低くなるから、タイヤおよびリム組立体と中空粒子の貯蔵タンクとの間を往復する環状経路を形成し、この経路を加圧下に保持して中空粒子をタイヤ内に充填する、従来の手法を用いるのは極めて難しくなり、本発明の装入手法の適用が極めて有効になる。
該繊維14は、2mm以上50mm以下の長さおよび2dtex以上200dtex以下の繊度を有することが好ましい。すなわち、繊維14の長さが2mm未満では、上述の中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。一方、長さが50mmを超えると、繊維同士が絡まり中空粒子群の全体に均一に分散しにくくなる上、タイヤ気室内への充填作業も難しくなる。
さらに、繊維14の繊度が2dtex未満では、上述の中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。一方、繊度が200dtexを超えると、繊維が太くなりすぎて中空粒子と絡まり難くなり、上述の中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。よって、繊維14の繊度は2〜200dtexであることが好ましい。
同様に、繊維14の添加量は、タイヤ気室内に充填した中空粒子の体積の0.1vol%以上1.0vol%以下であることが好ましい。すなわち、添加量が0.1vol%未満では上述の中空粒子4塊の強度上昇が小さくなる。一方、1.0vol%を超えると、繊維同士が絡まり中空粒子群の全体に均一に分散しにくくなる。なお、繊維としては、化学繊維のほか、動物の毛や植物繊維などを用いることができる。
また、タイヤ気室内に微粒子13および繊維14を併せて添加することも可能である。また、タイヤ気室内に添加した微粒子13または繊維14は、液体12が中空粒子4全体に均一に分散している必要があり、液体12の場合と同様、微粒子13または繊維14を添加したタイヤとリムとの組立体を車両に装着して通常走行を行うことによって、中空粒子全体に均一に分散させることができる。
ところで、車両装着から分散が完了するまでの間は、十分な液架橋が得られないために、該中空粒子4塊の強度は比較的に低い状態にある。よって、本発明の装入手法の適用が極めて有効になる。すなわち、上述したように、本発明手法によれば、予め十分に均一分散させた中空粒子4塊をタイヤ気室内に装入することが可能であり、前記分散のための走行なしに、車両装着直後から中空粒子4塊の強度を十分に発揮させることができる。
なお、袋体21の内部に中空粒子4が充填されたならば、開口部を熱溶着や紐による結束などの手段にて閉じておく。或いは、ジッパー形式としたり、テープによって貼り合わせてもよい。
以上に従って、図2または図3に示した、袋体21の内部に多数個の中空粒子4が充填された、装入用具20が得られる。
次に、中空粒子4を充填した袋体21を用いてタイヤ気室内に中空粒子を装入する方法について、図2に示した装入用具を用いた場合を例に詳述する。
すなわち、図8(a)に示すように、中空粒子4を封入した袋体21は、リムに装着する前のタイヤ1の内部に配置する。
次いで、図8(b)に示すように、タイヤ1の一方のビード部5aをリム2のリムフランジ間に配置する。この状態において、他方のビード部5bとリム2のビードシート2aとの隙間を介して作業を行い、袋体21から延びる2本の線状操作部材22の先端部分をリム2のバルブ9からリム2の外側に導出する。その後、図8(c)に示すように、他方のビード部5bをリム2のリムフランジ間に配置する。
ここで、バルブ9から気体をタイヤ1に充填して内圧を付与し、タイヤ1の両ビード部5aおよび5bをリム2のビードシート2aに密着させた後、一旦大気圧までタイヤ内圧を低下させる。この操作は、タイヤ1をリム2に均等に密着させるためであり、必ずしも必要な操作ではなく、例えば扁平率が20〜50%の扁平タイヤでは、省略することも可能である。また、この段階にて、タイヤをバランサーに装着して、ウェイトバランスを調整しておく。
その後、図8(c)に示すように、線状操作部材22を引いてミシン目23aからミシン目23に沿って破断を進展させ、矩形領域24aおよび24bが線状操作部材22の引っ張り方向に捲れ上がって袋体21から分離し、袋体21の開口部から中空粒子4をタイヤ気室内へ放出する。ここで、袋体21はほぼ3分割されて原型を留めることはないため、全ての中空粒子4が袋体21外側へ放出される。
この際、図9に示すように、係止部26の係止孔25に、ビードシート2aに設けたフックFを通しておけば、袋体21をリムに固定しておけるため、上記の破断を迅速に行うことができる。
引き続き、図8(d)に示すように、線状操作部材22を引いていくと、袋体2から分離した矩形領域24aおよび24b部分をタイヤ1の外側に引き抜くことができる。最後に、タイヤの使用内圧まで気体を充填する。上記したリムへの密着作業を省略した場合には、ビード部5aおよび5bをビードシート2aに確実に密着させるまで内圧を付与し、その後、使用内圧に調整する。かくして、図1に示したタイヤ気室3内に中空粒子4を装入したタイヤおよびリム組立体が得られる。
なお、矩形領域24aおよび24b部分以外の袋体は、タイヤ気室内に残されることになるが、袋体2はポリエチレンフィルムなどの薄肉軽量の材料であるから、特にタイヤ性能に影響を与える、おそれはない。特に、図8に示したように、係止部26の係止孔25にフックFを通しておけば、残余の袋体をリムに固定しておけるため、推奨される。また、矩形領域24aおよび24b部分以外の袋体2の部分に、紐などの線状操作部材(図示せず)を取り付け、これをタイヤの外側から引張り操作することによって、当該袋体2部分をタイヤ外に取り出すことが可能である。その際、係止部26はミシン目などを介して当該袋体2部分と切り離し可能としておくことが推奨される。
また、以上で説明した工程順は必ずしも上記の時系列に従う必要はなく、適宜の変更が可能である。
すなわち、図8(b)に示した、タイヤ1の一方のビード部5aをリム2のリムフランジ間に配置する工程の後に、タイヤ1の他方のビード部5bとリム2のリムフランジとの隙間から、袋体21をタイヤ1の内部に配置してもよい。
さらに、線状操作部材22の先端部分をリム2のバルブ9からリム2の外側に導出する工程を最初に行い、次いで、図8(a)に示した、リムに装着する前のタイヤ1の内部に袋体21を配置する手順でもよい。同様に、線状操作部材22の先端部分をリム2のバルブ9からリム2の外側に導出する工程を最初に行い、次いで、図8(b)に示した、タイヤ1の一方のビード部5aをリム2のリムフランジ間に配置する工程の後に、タイヤ1の他方のビード部5bとリム2のリムフランジとの隙間から、袋体21をタイヤ1の内部に配置する手順でもよい。
さらにまた、図8(c)にて示した、他方のビード部5bをリム2のリムフランジ間に配置する工程に先立って、線状操作部材22を引いて袋体21を破断してもよい。
なお、バルブ9には、一般的なものを用いることもできるが、中空粒子および気体の充填に併用するタイヤ用バルブを有することが好ましい。このタイヤ用バルブは、中空粒子をタイヤ気室内に堰止め、かつ気体のみをタイヤ気室外に通過可能としたフィルターを備えることを特徴とするものである。かようなタイヤ用バルブを取り付けることによって、1つのバルブ穴しか持たない汎用リムをそのまま使用することが出来る。加えて、通常の走行におけるタイヤ気室圧力の自然低下に対し、『気体補充作業における中空粒子の漏洩』を防ぐ事が出来、簡便にタイヤ気室圧力をメンテナンスする事を実現できる。かようなタイヤ用バルブとしては、図10に例示するように、リム2のバルブ取付口40に装着した給排気バルブ9について、たとえば不織布とすることができるフィルタ41を具える構造のものとする。このバルブを用いれば、線状操作部材24および線状引出部材25の導出は、バルブ9を外してバルブ取付口40から行うことができる。
ところで、以上のようにして構成される中空粒子4の、タイヤ気室3内への充填下での、タイヤ気室内圧による圧潰変形を防止し、それを略球形状に維持するためには、中空粒子4の中空部内の圧力を、以下のようにして調整することが好ましい。
すなわち、中空粒子4の中空部内の圧力を、所望のタイヤ気室3内の圧力に対してたとえば70%以上とした中空粒子4を、タイヤ気室3内に所定の充填量で配置するには、例えば耐圧容器に、タイヤの使用内圧以上の高圧気体中に中空粒子4の多数を収容し、この中空粒子を、袋体を介してタイヤ気室内に供給し、その後タイヤ気室内に高圧気体を充填することが好ましい。
なぜなら、中空粒子4を、耐圧容器の内部に高圧気体とともに収容した当初は、中空粒子4の中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しく、容器内の圧力より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子4の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状となっている。粒子形状が扁平化して歪んだ状態のままこの中空粒子4をタイヤ内に充填し、使用内圧にて走行すると、中空粒子4は、球形状の場合と比べて粒子同士の衝突やタイヤおよびリム内面との衝突により、破壊しやすくなる。すなわち、中空粒子が扁平化して歪んだ形状では、衝突による入力を均一に分散させることができず、耐久性の面で大きな不利をもたらすことになる。
また、タイヤが受傷した場合、中空粒子4が入り込んで閉塞できる傷口の大きさが小さいものだけに限定されることになり、また、中空粒子4がタイヤ外部に噴出することはないにしても、中空粒子4が扁平化して歪んだ形状であるためにミクロな通路が多く発生し、かような通路を介してタイヤ気室内の気体が著しく漏洩することがあり、その場合、復活させた内圧が早期に散逸してしまう懸念がある。
この一方で、扁平化して歪んだ中空粒子4は、その中空部内の圧力と容器内の圧力との差により体積減少した状態にあるが、一定期間にわたって耐圧容器内圧に晒すことによって、中空粒子の中空部内の圧力、言い換えれば該粒子内の独立気泡内の圧力を、耐圧容器の圧力程度にまで高めることができる。すなわち、扁平化した中空粒子の殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いて、扁平化した中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内圧力よりも低くなる傾向にあることから、その圧力差を解消するために、耐圧容器内の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透することになる。
また、中空粒子の中空部は独立気泡であり、その中の気体は発泡剤に起因するガスで満たされているため、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の気体とは異なる場合があり、この場合は、上述したような単なる圧力差だけではなく気体の分圧差に従いながら、その分圧差を解消するまで耐圧容器内の高圧気体が粒子中空部内へ浸透していく。このように、耐圧容器内の高圧気体は、時間と共に中空粒子の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、耐圧容器内の圧力は低下することとなる。よって、中空粒子の中空部内に浸透した分を補うために、耐圧容器内へ高圧気体を充填した上で所望の圧力をかけ続けることにより、中空粒子の中空部内圧を、所望の使用内圧に調整することができる。
この場合、中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の圧力に、次第に近づくことになり、これにより、中空粒子は、一旦減少した粒子体積を回復して、扁平化されて歪んだ粒子形状から元の略球形状へと回復することになる。この形状回復過程で、中空粒子の中空部内圧が耐圧容器の内圧に対して70%以上にまで増加することにより、粒子形状は略球形へ十分に回復することが出来、これによって上述した中空粒子の耐久性を保証することが出来る。
かくして、中空粒子4を、タイヤとは別の耐圧容器内に配置し、粒子周囲の空隙圧力を少なくとも所望のタイヤ気室3内の使用圧力以上まで高めた状態に保持し、この圧力をかけ続けたまま該耐圧容器内にて適切な時間保管したうえで、中空部内の圧力が増加した状態の中空粒子4をその周囲の雰囲気と共にタイヤ気室内に供給することにより、その中空粒子4は、粒子体積を回復して、粒子形状を略球形に回復しているため、中空粒子充填後のタイヤの、転動時の繰り返し変形に伴って粒子に加わる疲労や破壊も大幅に低減させることができ、中空粒子4の耐久性が損なわれることはない。
なお、中空粒子4の、耐圧容器内への適切な保持時間は、中空粒子の殻の部分、すなわち粒子の連続相に対する空隙気体の透過性と、粒子中空部内の気体と空隙気体との分圧差とを考慮して設定すればよい。以上の機構と粒子の形状、体積の変化過程に則り、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)に充填する気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することにより、中空粒子4の中空部内の圧力を所望の範囲に設定することができる。
かように耐圧容器内で調整された中空粒子4は、タイヤ気室3内へ供給された段階で、その中空部内の圧力(独立気泡中の気泡内圧力)が、タイヤ気室3内の使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室3内に存在する結果、タイヤとホイールとの組立体に所要の内圧復活機能を十分に発揮させることができる。
また、中空粒子を封入する袋体に、前記した伸縮性と通気性を併せ持つ織り目の細かい布帛を適用すれば、特に通気性を有することから、この袋体ごと前記耐圧容器内に入れて高圧を付与すれば、中空粒子の中空部内の圧力を高くでき、中空粒子の圧力調整が簡便になる。
かように中空部圧力が調整された、上述した中空粒子群をタイヤ気室内に配置したタイヤ1とリム2との組立体では、タイヤ1が受傷すると、中空粒子4の相互間の空隙に存在するタイヤ気室3内の高圧気体がタイヤの外側に漏出し、これに伴って、高圧気体の流出に共連れされた中空粒子4の多数が受傷部を閉塞し、急激な気室圧力の低下を抑制する。つまり、受傷部の傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、中空粒子4は、その流路内に『圧密』状態で入り込んで多数の中空粒子4によって流路を詰まらせることができる。
さらに、上述の内圧復活機構によりタイヤ気室3内の圧力が大気圧から増圧されると、タイヤ骨格に張力が与えられることにより、傷口の内径は絞り込まれるように減少していくので、傷口内に圧密状態で入り込んだ中空粒子群には、タイヤ気室3内の増圧により、タイヤ側から絞り込まれるような圧縮力が働く。この場合、中空粒子4は、中空部圧力が高いため、その圧縮力に対し、中空部圧力に基く反力を発生して、圧密の度合いを高めることができ、より大きな内径の傷口においても、タイヤ気室3内の気体がほとんど漏れ出さない程度まで傷口を閉塞することができる。したがって、パンクの原因となった傷口は、中空粒子4によって、瞬時にかつ確実に塞がれることになる。
一方で、タイヤ気室圧力の低下に伴ってタイヤの撓み量が増加して、タイヤ気室容積が減少すると、その気室内に配置した中空粒子は、タイヤ1の内面とリム2の内面との間に挟まれながら、圧縮およびせん断入力を受けることとなり、これによれば、中空粒子同士が摩擦して、自己発熱するために、タイヤ気室3内の中空粒子4の温度が急上昇し、その温度が、中空粒子4の殻部である樹脂連続相の熱膨張開始温度Ts2(該樹脂のガラス転移温度に相当する)を超えると、該粒子の殻は軟化し始める。
このとき、中空粒子4の中空部内の圧力が、タイヤの使用内圧に準じた高い圧力にあることに加え、中空粒子温度の急上昇により中空部内圧力がさらに上昇しているために、中空粒子4が一気に体積膨張して粒子周囲の空隙気体を圧縮し、または該せん断力による中空粒子の破裂による、中空部圧力の開放によって、タイヤ気室の圧力を、少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなるタイヤ気室圧力まで回復させることができ、この結果として、タイヤおよびリム組立体、ひいては、それを装着した車両は、必要とされる距離を安全に継続走行することが可能となる。
また、上述したように、中空粒子としてウェット化したものを用いた場合は、それを供給したタイヤおよびリム組立体は、以下の機能をも有することになる。すなわち、タイヤがサイドカットのような裂傷を受けたときは、傷口が大きく拡がるため、上記した中空粒子による封止効果が及ばない場合がある。その際、大きな傷口を介して中空粒子が噴き出すことになるため、かような事態に陥るのを未然に防ぐ必要がある。そこで、中空粒子に、好ましくはその体積に対して0.30vol%以上1.5vol%以下の液体を添加することによって中空粒子をウェット化すると、傷口からの噴き出しを防止することが可能となる。
すなわち、タイヤ気室内に充填した中空粒子に液体を少量添加すると、図5に示したように、液体13は中空粒子4間に保持され、粒子4間に液架橋を形成する。この液架橋は、中空粒子4間の付着力として働く結果、粉状の中空粒子4を塊状に変化させる。塊状となった中空粒子は、大きな傷口であっても容易に噴き出すことが難しくなり、結果として中空粒子の噴き出しは抑制されることになる。この中空粒子の噴き出し抑制効果は、中空粒子4に液体12を添加することに加え、上述の微粒子および繊維のいずれか一方または両方を添加することで、さらに向上する。
また、図8に示した手法では、線状操作部材24および線状引出部材25の先端部分をリム2のバルブ9から外側に導出したが、図11に示す手順に従って中空粒子の供給を行うことも可能である。
すなわち、袋体21をタイヤ1の内部に配置したのち、図11(a)に示すように、該タイヤ1の一方のビード部5aをリム2のリムフランジ間に配置する。この状態において、線状操作部材22の先端部分をビード部5bとリムのフランジ2bとの隙間gから外側に導出しておく。
次に、図11(b)に示すように、他方のビード部5bをリム2のリムフランジ間に配置し、線状操作部材22を引いて袋体21を破断し、中空粒子4を放出する。引き続き、図10(c)に示すように、線状操作部材22を引いて袋体2から分離した矩形領域24aおよび24b部分を、隙間gからタイヤ1の外側に引き抜く。
かくして、図11(d)に示すように、中空粒子4が装入されたタイヤおよびリム組立体が得られる。
なお、線状操作部材22を引いて袋体21を破断し中空粒子を放出するに先立ち、タイヤの他方のビード部5bをリム2のリムフランジ間に配置してから、タイヤに高内圧を付与してビード部5aおよび5bをビードシート2aに密着させ、その後内圧を大気圧まで低下させて他方のビード部5bとビードシート2aとの密着を解放した後、前記した図11(b)からの手順を繰り返してもよい。この操作は、タイヤ1をリム2に均等に密着させるためであり、必ずしも必要な操作ではなく、例えば扁平率が50%を超えるタイヤの場合や、ウェット化していないために流動性が高く飛散し易い中空粒子を用いる場合に、特に有効である。
また、以上で説明した工程順は必ずしも上記の時系列に従う必要はなく、適宜の変更が可能である。
すなわち、図11(a)に示した、タイヤ1の一方のビード部5aをリム2のリムフランジ間に配置する工程の後に、タイヤ1の他方のビード部5bとリム2のリムフランジとの隙間から、袋体21をタイヤ1の内部に配置してもよい。
さらに、図11(b)にて示した、他方のビード部5bをリム2のリムフランジ間に配置する工程に先立って、線状操作部材22を引いて袋体21を破断して中空粒子4を放出してもよい。
なお、図3に示した装入用具を用いて中空粒子を供給する場合も、図8又は図11に示した手順に従うことが基本である。但し、図3に示した装入用具では、係止部26の係止孔25にフックFを通すことなくリム側に袋体21を固定しない場合、線状操作部材22を引いて図3(c)の状態となった袋体21をそのままタイヤの外側まで導出することができ、タイヤ内に袋体が残されることはない。
本発明が対象とするタイヤおよびリム組立体の幅方向断面図である。 本発明の装入用具を示す図である。 本発明の別の装入用具を示す図である。 中空粒子に液体を添加した状態を示す図である。 本発明による液体の添加効果を示す図である。 中空粒子に液体および微粒子を添加した状態を示す図である。 中空粒子に液体および繊維を添加した状態を示す図である。 本発明のタイヤおよびリム組立体の製造手順を示す図である。 本発明の装入用具をリムに固定した状態を示す図である。 本発明に従うタイヤとリムとの組立体に搭載する、中空粒子および気体の充填に併用する『フィルターを備えたタイヤ用バルブ』の一例を示す図である。 本発明のタイヤおよびリム組立体の別の製造手順を示す図である。
符号の説明
1 タイヤ
2 リム
2a ビードシート
3 タイヤ気室
4 中空粒子
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト
8 トレッド
9 バルブ
12 液体
13 微粒子
14 繊維
20 装入用具
21 袋体
22 線状操作部材
23、23a、23b ミシン目
24a、24b 矩形領域
25 係止孔
26 係止部

Claims (10)

  1. 内部に多数個の粒子が充填可能の袋体と、該袋体に一端側が固定され、かつ他端が自由端である線状操作部材とを有し、前記袋体は破断強度の低い部分を有し、前記線状操作部材の引張り操作によって、前記破断強度の低い部分を介して袋体が破断可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  2. 請求項1において、前記破断強度の低い部分がミシン目であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  3. 請求項1または2において、さらに、リムに固定するための係止部を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  4. 請求項1、2または3において、さらに前記袋体に一端側が固定され、かつ他端が自由端である線状引出部材を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記線状操作部材が、タイヤのリムのバルブ取付口から外側に導出可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  6. 請求項4または5において、前記線状引出部材が、タイヤのリムのバルブ取付口から外側に導出可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  7. 請求項4ないし6のいずれかにおいて、前記線状操作部材と前記線状引出部材とが識別可能であることを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記袋体は、非伸縮性および気密性を有することを特徴とするタイヤおよびリム組立体内部に配置される粒子の装入用具。
  9. タイヤをリムに装着するとともに、該タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に多数個の粒子を、請求項1ないし8のいずれかに記載の装入用具を用いて装入してタイヤおよびリム組立体を製造するに当り、
    該装入用具の袋体の内部に少なくとも多数個の粒子を充填し、該袋体をタイヤの内部に配置する工程、
    該袋体を前記線状操作部材の引張り操作によって、破断強度の低い部分を介して袋体を破断し、該破断部から粒子をタイヤ気室内に装入する工程、
    を有するタイヤおよびリム組立体の製造方法。
  10. 請求項9において、前記粒子は、樹脂による連続相とガス相とからなる中空粒子であるタイヤおよびリム組立体の製造方法。
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