JP2010023257A - 液体噴射ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】液体の粘度を効率良く調整することで、安定して液体を吐出することが可能な液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】記録ヘッド1は、液体を吐出するノズル開口33に連通する圧力発生室36を複数列設した流路ユニット5と、圧力発生室毎に設けられた圧電素子10を有し圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニット3と、アクチュエータユニットを内包し、流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケース4と、を備え、アクチュエータユニットは、圧力発生室毎に対応して設けられた複数本の圧電素子を圧力発生室の列設方向に並設して備え、該ヘッドケースに圧電素子の並設方向Lに沿ってヒータ14を延在させる。
【選択図】図3
【解決手段】記録ヘッド1は、液体を吐出するノズル開口33に連通する圧力発生室36を複数列設した流路ユニット5と、圧力発生室毎に設けられた圧電素子10を有し圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニット3と、アクチュエータユニットを内包し、流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケース4と、を備え、アクチュエータユニットは、圧力発生室毎に対応して設けられた複数本の圧電素子を圧力発生室の列設方向に並設して備え、該ヘッドケースに圧電素子の並設方向Lに沿ってヒータ14を延在させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、インクジェット式記録ヘッドなどの液体噴射ヘッドに係り、特に、ノズル開口に連通する圧力発生室に圧力変動を与えて、圧力発生室内の液体をノズル開口から吐出させる液体噴射ヘッドに関する。
圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として吐出(噴射)させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、インクジェット式記録装置(以下、単にプリンタという)などの画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレーなどのカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)などの電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどがある。
例えば、上記の記録ヘッドでは、リザーバから圧力発生室を経てノズルに至る一連の液体流路が形成された流路ユニットや圧力発生室の容積を変動可能な圧力発生素子を有するアクチュエータユニットなどを樹脂製のヘッドケースに取り付けて構成されている。上記流路ユニットには、ノズルを開設した金属製のノズルプレートが接合されている。
このような記録ヘッドから吐出する液体には、液体の種類に応じて、例えば、常温でおよそ4mPa・sなどのように、吐出に適した粘度がある。液体の粘度は、温度と相関関係にあるために、温度が低いほど粘度が高くなり、温度が高いほど粘度が低くなる特性がある。そのため、通常使用する液体の粘度に適するように設計された記録ヘッドが、低温(高温)環境に置かれた場合や、粘度の高い(低い)液体を吐出する場合などには、液体を加熱(冷却)するための温度調節部を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この温度調節部は、リング状であり、ノズルに至るまでの一連の液体流路の一部に近接させて配置されており、液体流路内の液体を直接加熱(冷却)している。そのため、液体流路の内であっても温度調節部に近接していない部分は、液体を所望温度まで効率良く加熱することができなかった。即ち、このような構成の記録ヘッドは、液体流路内の液体を所望温度に調整するまでに長時間を必要とし、実用に供することができなかった。そして、効率良く加熱するために、液体流路と温度調節部とを近接させて、尚且つ長尺に亘って配置する必要があった。
しかしながら、液体流路と温度調節部との距離が離れてしまうと、熱伝導率が低く、また伝わる方向も制御できないので、液体流路内の液体を効率良く加熱することができなかった。また、温度調節部を液体流路に近接させて、尚且つ長尺に亘って配置しようとすると、配置が限定されてしまうために、記録ヘッドの大型化の虞や、記録ヘッドの形状の自由度を損なう虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の粘度を効率良く調整することで、安定して液体を吐出することが可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明の液体噴射ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室を複数列設した流路ユニットと、
前記圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットを内包し、前記流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケースと、を備え、
該ヘッドケースに加熱手段を設けたことを特徴とする。
前記圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットを内包し、前記流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケースと、を備え、
該ヘッドケースに加熱手段を設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、液体を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室を複数列設した流路ユニットと、圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニットと、アクチュエータユニットを内包し、流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケースと、を備え、該ヘッドケースに加熱手段を設けたので、加熱手段の熱をヘッドケース及び流路ユニットに伝導させることで、液体を効率良く温めて供給することができる。これにより、液体の粘度を効率良く調整して、ノズル開口から安定して吐出させることが可能となる。また、樹脂製のヘッドケースを用いた場合に比べ、液体に対する薬品性を高めることができ、吐出可能な液体の種類を増やすことができる。さらに、ヘッドケースの剛性が高まることで、圧力発生室におけるクロストークを抑制することができる。そして、ヘッドケースが導電体となって、静電気を逃がすことができ、静電気による駆動回路の損傷や、この静電気がノイズとして駆動信号に重畳することによる誤作動などの不具合を防止できる。そのため、液体噴射ヘッドの信頼性を高めることができる。
また、上記構成において、前記アクチュエータユニットは、前記圧力発生室毎に対応して設けられた複数本の圧力発生素子を圧力発生室の列設方向に沿って櫛歯状に並設して備え、
前記加熱手段を、前記圧力発生素子の並設方向に沿って延在させることが望ましい。
前記加熱手段を、前記圧力発生素子の並設方向に沿って延在させることが望ましい。
上記構成によれば、アクチュエータユニットは、圧力発生室毎に対応して設けられた複数本の圧力発生素子を圧力発生室の列設方向に沿って櫛歯状に並設して備え、加熱手段を、圧力発生素子の並設方向に沿って延在させたので、加熱手段と各圧力発生室との距離が均等になって加熱手段の熱を均一に伝導させ易くなり、液体噴射ヘッドの起動の際にも短時間で液体を加熱することができる。さらに、加熱手段をヘッドケース内の圧力発生素子の並設方向に沿わせることで、ヘッドケース内のスペース効率を高めることができ、液体噴射ヘッドの小型化が可能になる。
前記流路ユニットは、温度センサを備えることが望ましい。
上記構成によれば、流路ユニットは、温度センサを備えたので、流路ユニット内の液体の温度を計測することができ、温度センサでの測定結果に基づいて加熱手段の温度を調整することで、液体を吐出に適した粘度に調整することができる。
前記流路ユニットは、前記ノズル開口が開設されたノズル形成部材と、前記圧力発生室が形成された流路形成基板と、を有し、
前記流路形成基板に凹部を形成し、該凹部内に温度センサを配置することが望ましい。
前記流路形成基板に凹部を形成し、該凹部内に温度センサを配置することが望ましい。
上記構成によれば、流路ユニットは、ノズル開口が開設されたノズル形成部材と、圧力発生室が形成された流路形成基板と、を有し、流路形成基板に形成した凹部内に温度センサを配置するので、温度センサを流路形成基板に設けられた圧力発生室に近づけることができ、これにより、圧力発生室内の液体の温度をより正確に計測することができる。また、温度センサが突出する虞がなく、凹部内に収容することができる。
上記構成において、前記凹部を、前記流路形成基板における前記ノズル形成部材との接合面に形成し、該凹部内に配置した温度センサを前記ノズル形成部材に接触させることが望ましい。
上記構成によれば、凹部を、流路形成基板におけるノズル形成部材との接合面に形成し、凹部内に配置した温度センサをノズル形成部材に接触させるので、ノズル開口の形成されたノズルプレートの温度を直接計測して、吐出される寸前の液体の粘度を調整することができる。
上記構成において、前記ノズル開口を複数列設して備えるノズル列を、該ノズル列方向に直交する方向に複数列設し、
平板状に形成した当該加熱手段を、隣り合うノズル列の間に配置することが望ましい。
平板状に形成した当該加熱手段を、隣り合うノズル列の間に配置することが望ましい。
上記構成によれば、ノズル開口を複数列設して備えるノズル列を、ノズル列方向に直交する方向に複数列設し、平板状に形成した加熱手段を、隣り合うノズル列の間に配置したので、加熱手段をその両側に位置するノズル列の各ノズル開口に近づけることができ、各ノズル開口から吐出される液体を均等に加熱することができる。この結果、各ノズル開口から吐出される液体の粘度を均一にすることができる。
上記構成において、前記ヘッドケースの前記流路ユニットとの接合面に、前記圧力発生室側に供給するための液体を貯留する液体貯留空間を形成することが望ましい。
上記構成によれば、ヘッドケースの流路ユニットとの接合面に、圧力発生室側に供給するための液体を貯留する液体貯留空間を形成したので、ヘッドケースの液体貯留空間で液体を効率良く加熱した後に、温めた液体を圧力発生室へ供給することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと略す)の外観を示す分解斜視図、図2は、流路ユニットとヘッドケース(以下、ケースと略す)の一部の内部構造を示す要部断面図である。
図1は液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドと略す)の外観を示す分解斜視図、図2は、流路ユニットとヘッドケース(以下、ケースと略す)の一部の内部構造を示す要部断面図である。
記録ヘッド1は、圧電素子群2を有するアクチュエータユニット3と、このアクチュエータユニット3を収納するケース4と、ケース4の一方の面に接合される流路ユニット5と、流路ユニット5とは反対側のケース4の他方の面に配置される接続基板6と、接続基板6の上方に配設された供給針ユニット7と、ケース4に収容されるヒータ14(本発明における加熱手段の一種)等から概略構成されている。
上記のアクチュエータユニット3は、櫛歯状の圧電素子群2と、この圧電素子群2の基端部分が接合される固定板8と、圧電素子群2に駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル9とにより構成される。
圧電素子群2は、列状に並べて形成された複数本の圧電素子10を備える(以下、この並設方向を矢印Lで示す)。これらの各圧電素子10は、列の両端に位置する一対のダミー素子と、これらのダミー素子の間に配置された複数の駆動素子とから構成されている。そして、各駆動素子は、例えば、50μm〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に切り分けられ、180本設けられる。また、ダミー素子は、駆動素子よりも十分広い幅であり、駆動素子を衝撃等から保護する保護機能と、アクチュエータユニット3を所定位置に位置付けるためのガイド機能とを有する。
圧電素子群2は、固定端部を固定板8上に接合することにより、自由端部を固定板8の先端面よりも外側に突出させている。即ち、圧電素子群2は、所謂片持ち梁の状態で固定板8上に支持されている。そして、圧電素子群2の自由端部は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成されており、対向する電極間に電位差を与えることで素子長手方向に伸縮するようになっている(以下、この並設方向を矢印Kで示す)。
フレキシブルケーブル9は、固定板8とは反対側となる固定端部の側面で圧電素子群2と電気的に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル9の表面には、各圧電素子10の駆動等を制御するための制御用ICが実装されている。また、圧電素子群2を支持する固定板8は、圧電素子群2からの反力を受け止め得る剛性を備えた金属製の板状部材であり、本実施形態においては、ステンレス鋼を用いている。
接続基板6は、記録ヘッド1に供給する各種信号用の電気配線が形成されると共に、信号ケーブルを接続可能なコネクタ11が取り付けられた配線基板である。そして、この接続基板6は、フレキシブルケーブル9の電気配線が半田付け等によって接続される。また、コネクタ11には、制御装置(図示せず)からの信号ケーブルの先端が挿入される。
上記のケース4は、例えば、SUSなどの金属を加工したブロック状部材である。そして、このケース4の内部には、アクチュエータユニット3が収納される一対の収納空部12と、ヒータ14が収容されるヒータ収容部15と、インク(本発明における液体の一種)の流路の一部を構成するインク供給路13(液体供給路)とが形成されている。
ケース4の流路ユニット接合面側には、本発明の液体貯留空間の一種である共通インク室(共通液体室)16となる空部が形成されている。
インク供給路13は、ケース4の高さ方向を貫通するように形成され、一端は、共通インク室16に連通するようになっている。また、インク供給路13における上面側の端部は、ケース4の上面から突設した接続口13´内に形成されている。なお、高さ方向とは、後述するノズルプレート31を基準(最下部)とした、ヘッド構成部材の積層方向を示すものと、前記したK方向と同じである。
インク供給路13は、ケース4の高さ方向を貫通するように形成され、一端は、共通インク室16に連通するようになっている。また、インク供給路13における上面側の端部は、ケース4の上面から突設した接続口13´内に形成されている。なお、高さ方向とは、後述するノズルプレート31を基準(最下部)とした、ヘッド構成部材の積層方向を示すものと、前記したK方向と同じである。
上記の供給針ユニット7は、インクカートリッジ(図示せず)が接続される部分であり、針ホルダ21と、インク供給針22と、フィルタ23とから概略構成される。
インク供給針22は、インクカートリッジ内に挿入される部分であり、インクカートリッジ内に貯留されたインクを導入する。このインク供給針22の先端部は円錐状に尖っており、インクカートリッジ内に挿入し易くなっている。また、この先端部には、インク供給針22の内外を連通するインク導入孔が穿設されている。
針ホルダ21は、インク供給針22を取り付けるための部材であり、その表面にはインク供給針22の根本部分を止着するための台座24を形成している。この台座24の底面には、針ホルダ21の板厚方向を貫通するインク排出口25を形成している。また、この針ホルダ21は、フランジ部を側方に延出している。
フィルタ23は、埃や成型時のバリ等のインク内の異物の通過を阻止する部材であり、例えば、目の細かな金属網によって構成される。このフィルタ23は、台座24内に形成されたフィルタ保持溝に接着されている。
そして、この供給針ユニット7は、ケース4の上方に配設される。この配設状態において、供給針ユニット7のインク排出口25と、ケース4のインク供給路13とは、パッキン26を介して液密状態で連通する。
次に、上記の流路ユニット5について説明する。この流路ユニット5は、流路形成基板30の一方の面にノズルプレート31(本発明におけるノズル形成部材の一種)を、他方の面に振動板32をそれぞれ配置して積層し、接着して一体化することで構成される。
ノズルプレート31は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口33を列状に開設したステンレス鋼製のプレートである。本実施形態では、例えば、180dpiのピッチで180個のノズル開口33により1つのノズル列を構成し、インクの種類に対応してノズル列(33a,33b)を横並び(ヘッド主走査方向)に2列平行に開設している。
流路形成基板30は、圧力発生室36となる空部を隔壁で区画した状態で各ノズル開口33に対応させて複数ノズル列方向に沿って列状に形成した板状の部材である。この流路形成基板30は、例えば、シリコンウェハーをエッチング処理することによって作製される。上記の圧力発生室36は、ノズル開口33の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向(ヘッド副走査方向)に細長い室として形成されている。そして、各圧力発生室36は、矢印Lに沿って形成された圧電素子10毎に対応した位置に配される。また、流路形成基板30には、共通インク室16における後述するコンプライアンス部42の作動空間となる逃げ凹部37が形成されている。
なお、本発明における流路形成基板30は、シリコンで作製するが、ステンレス鋼やニッケル等の金属の基板などをプレス加工することで作製しても良い。なお、流路ユニット全体の線膨張率が金属の線膨張率と同等であることが望ましい。
なお、本発明における流路形成基板30は、シリコンで作製するが、ステンレス鋼やニッケル等の金属の基板などをプレス加工することで作製しても良い。なお、流路ユニット全体の線膨張率が金属の線膨張率と同等であることが望ましい。
振動板32は、図2に示すように、支持板38と弾性体膜39とからなる2層構造の板材である。本実施形態では、支持板38としてステンレス板を用い、弾性体膜39としてステンレスフィルム(金属箔の一種)を用いている。なお、弾性体膜39としては、上記のステンレスフィルム以外のもの、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂フィルムを用いることも可能である。即ち、この場合、振動板32は金属板と樹脂フィルムの2層構造となる。
振動板32には、ダイヤフラム部40と、インク供給口41と、コンプライアンス部42とが形成されている。図2に示すように、ダイヤフラム部40は、流路形成基板30の圧力発生室36の開口面を封止する機能を有し、各圧力発生室36に対応させて矢印Lに沿って列設されている。このダイヤフラム部40は、圧力発生室36に対応する部分を環状に薄くして弾性体膜39のみとすることで作製され、この環内には島部43を形成し、この島部43に圧電素子10の先端面が接合されている。
インク供給口41は、圧力発生室36と共通インク室16とを連通するための孔であり、振動板32の板厚方向を貫通している。このインク供給口41も、ダイヤフラム部40と同様に、各圧力発生室36毎に形成されている。
コンプライアンス部42は、共通インク室16の一部を区画する部分である。即ち、コンプライアンス部42は、共通インク室16となる空部の一方の開口面を封止している。このコンプライアンス部42もまた、弾性体膜39によって構成される。
この振動板32では、圧電素子10を駆動して素子長手方向に沿って伸長させると、島部43が圧力発生室36側に押圧され、島部43周辺の弾性体膜39が変形して圧力発生室36が収縮する。一方、圧電素子10を素子長手方向に沿って収縮させると、弾性体膜39の弾性により圧力発生室36が膨張する。
そして圧力発生室36の膨張や収縮を制御すると、圧力発生室36内のインク圧力が変動するので、ノズル開口33からインク滴(液滴)が吐出される。
そして圧力発生室36の膨張や収縮を制御すると、圧力発生室36内のインク圧力が変動するので、ノズル開口33からインク滴(液滴)が吐出される。
次に、ケース4に設ける加熱手段であるヒータ45について説明する。本実施形態に示すヒータ14は、平板状に形成され、セラミックや電熱線などの発熱体を金属ケースで封止した、所謂カートリッジヒータである。ヒータ14は、リード線46に電流を流すことによって発熱する。このように構成されたヒータ14は、ケース4に設けられたヒータ収容部15に収容される。
ヒータ収容部15は、隣り合う収納空部12の間に、ケース4の流路ユニット5とは反対側の上面からケース4の深さ方向に向かって形成され、その底面が矢印Lに沿って長尺となるように形成されている。即ち、ヒータ収容部15は、図1に示すように、ノズルプレート31に対する投影方向において隣り合うノズル列33a,33bの間であって、矢印Lに沿ってヒータ14を両側に位置する櫛歯状圧電素子群2に挟まれて三者がそれぞれ平行になる状態で形成される。このようにして形成したヒータ収容部15の内部に板状のヒータ14を収容し、隙間に充填剤を充填して固定し、ヒータ14の下端を矢印Lに沿って延在させる。
そして、ヒータ収容部15に収容されたヒータ14に電流が流れると、ヒータ14が発熱し、その熱がヒータ収容部15からケース4全体に伝導する。このため、インク供給路13及び共通インク室16内のインクが加熱されると共に、ケース4の流路ユニット5との接合面から振動板32を介して流路形成基板30に形成された圧力発生室36やノズル開口33内のインクが加熱される。
この結果、インク供給路13及び共通インク室16で加熱されたインクが圧力発生室36に供給され、さらにヒータ14の熱が流路ユニット5に伝導されることで、インクの流量や粘度に拘らずに、インクを効率良く加熱することができる。この様にして、圧電素子10を駆動させると、インクは、温められて粘度が低くなっているので、粘度を効率良く調整されたインク滴は、圧力発生室46の変動により、ノズル開口33から安定した状態で設計通りの量が吐出される。また、樹脂製のヘッドケースを用いた場合に比べ、インクに対する薬品性を高めることができ、吐出可能なインクの種類を増やすことができる。さらに、ヘッドケース4の剛性が高まり、圧力発生時における固定板8から反力を強固に受け止めることができる。そして、ヘッドケース4が導電体となって、静電気を逃がすことができ、静電気による駆動回路の損傷や、この静電気がノイズとして駆動信号に重畳することによる誤作動などの不具合を防止できる。そのため、液体噴射ヘッド1の信頼性を高めることができる。
また、ヒータ14は、矢印Lに沿って延在しているので、列設した圧力発生室36のそれぞれに均一にヒータ14の熱を伝導させ易くなり、記録ヘッド1の起動の際にも短時間で液体を加熱することができる。さらに、平板状のヒータ14をヘッドケース4内の圧電素子10の並設方向に沿わせることで、平面視面積を可及的に小さくしてあるので、ヘッドケース4内のスペース効率を高めることができ、これにより、記録ヘッド1の小型化が可能になる。
また、平板状のヒータ14が、ノズルプレート31に対する投影方向において隣り合うノズル列33a、33bの間に配置されているので、各ノズル開口33からヒータ14までの距離が等しくなる。そのため、ヒータ14による加熱によって、各ノズル開口33に均一な粘度に調整されたインクを供給することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、流路形成基板30に、熱電対48(本発明における温度センサの一種)を収容するための凹部49が形成されている。この凹部49は、流路形成基板30の振動板32との接合面に、その表面から窪んだ状態で、隣り合うノズル列33a,33bに属する圧力発生室36の列の間に設けられ、矢印Lに沿って溝状に延びている。このような凹部49内に熱電対48が接着剤などによって接着固定される。
なお、流路ユニット5の接着工程の際に、凹部49内に接着剤を同時に充填して、熱電対48を凹部49内に接着固定すると、熱電対48を別途固定する工程を省くことができる。
なお、流路ユニット5の接着工程の際に、凹部49内に接着剤を同時に充填して、熱電対48を凹部49内に接着固定すると、熱電対48を別途固定する工程を省くことができる。
そして、凹部49内に収容された熱電対48は、流路形成基板30の温度を測定して、圧力発生室36及びノズル開口33内のインクの温度を測定することができる。したがって、この測定値に基づいて、ヒータ14の温度を調整することで、インクの温度を吐出に適した粘度に調整することができる。また、凹部49がその内部に熱電対48を確実に収容する寸法に形成することで、熱電対48が流路ユニット5から突出する虞がなくなり、ノズルプレート31表面をワイピング(払拭)する際にも邪魔にならない。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、本変形例におけるケース4と流路ユニット5の要部断面図であり、図2と同じ部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。この変形例は、凹部49が流路形成基板30のノズルプレート31との接合面に形成され、熱電対48がノズルプレート31と接触していることに特徴を有する。即ち、熱電対48は、ノズルプレート31の温度を間近で測定することができる。
このように、本実施形態の記録ヘッド1は、熱電対48によってノズルプレート31の温度を間近で測定することができるので、吐出寸前のノズル開口33内のインクの粘度を正確に調整することができる。
ところで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。上記実施形態では、ヒータ収容部16にヒータ14を収容することで、ケース4の内部にヒータ14を配置する例を示したが、これには限らずに、例えば、ケース4の側面にヒータ14を配置しても良い。結果的にヒータ14を金属製のケース4に配置させれば良い。
以上は、インクジェット式記録ヘッドに本発明を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。
1…記録ヘッド、3…アクチュエータユニット、4…ヘッドケース、5…流路ユニット、10…圧電素子、14…ヒータ、16…共通インク室、30…流路形成基板、31…ノズルプレート、33…ノズル開口、33a,33b…ノズル列、36…圧力発生室、48…熱電対、49…凹部、L…並列方向
Claims (7)
- 液体を吐出するノズル開口に連通する圧力発生室を複数列設した流路ユニットと、
前記圧力発生室に圧力変動を生じさせるアクチュエータユニットと、
前記アクチュエータユニットを内包し、前記流路ユニットを一面に接合する金属製ヘッドケースと、を備え、
該ヘッドケースに加熱手段を設けたことを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記アクチュエータユニットは、前記圧力発生室毎に対応して設けられた複数本の圧力発生素子を当該圧力発生室の列設方向に沿って櫛歯状に並設して備え、
前記加熱手段を、前記圧力発生素子の並設方向に沿って延在させたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記流路ユニットは、温度センサを備えたことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記流路ユニットは、前記ノズル開口が開設されたノズル形成部材と、前記圧力発生室が形成された流路形成基板と、を有し、
前記流路形成基板に凹部を形成し、該凹部内に温度センサを配置したことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記凹部を、前記流路形成基板における前記ノズル形成部材との接合面に形成し、該凹部内に配置した温度センサを前記ノズル形成部材に接触させたことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
- 前記ノズル開口を複数列設して備えるノズル列を、該ノズル列方向に直交する方向に複数列設し、
平板状に形成した当該加熱手段を、隣り合うノズル列の間に配置したことを特徴とする請求項5に記載の液体噴射ヘッド。 - 前記ヘッドケースの前記流路ユニットとの接合面に、前記圧力発生室側に供給するための液体を貯留する液体貯留空間を形成したことを特徴とする請求項6に記載の液体噴射ヘッド。
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2008
- 2008-07-16 JP JP2008184454A patent/JP2010023257A/ja active Pending
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