〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明すると以下の通りである。
〔デジタルオーディオプレーヤ1の概要〕
まず、図2に基づいて、本発明の概要の一例について説明する。図2は、本発明に係るデジタルオーディオプレーヤ1の外観を示す斜視図である。デジタルオーディオプレーヤ(電子機器)1は、音楽、動画等のコンテンツを記録、再生可能な携帯機器であり、図2に示すように、入力装置2と、機能キー3と、ディスプレイ4と、動作キー(起動手段)5とを備えている。
入力装置2は、ユーザが触れることによって知覚可能な出力を行う細長い矩形(帯状)の振動面(触覚刺激面)を有する振動部(触覚刺激部)21と、振動部21の振動面にユーザが触れたときの接触位置を検知し、接触位置をユーザが入力した位置として出力するタッチパネル(位置検知部)23とを備えている。入力装置2は、振動部21の振動面におけるユーザの接触位置を含む領域(第1の領域)と、当該領域を除いた他の領域(第2の領域)とが異なる振動状態(出力状態)となるように、当該振動部21を制御する。なお、上記振動状態としては、振動していない状態(振動の振幅が0の状態)を含むものとする。また、ユーザの接触位置を含む領域は、1つでなくてもよく、複数であってもよい。
また、図2に示すように、例えばデジタルオーディオプレーヤ1に入力装置2が備えられている場合、入力装置2は、デジタルオーディオプレーヤ1のスクロール機能の動作と連動するように、振動部21における振動を制御する。
入力装置2は、デジタルオーディオプレーヤ1表面の任意の位置に備えられており、例えば図2に示すように、ディスプレイ4が備えられたデジタルオーディオプレーヤ1表面の側面に備えられている。この側面とは、例えばユーザがディスプレイ4を見るときに、デジタルオーディオプレーヤ1を右手で持ったときの親指側の表面である。なお、入力装置2の具体的な構成については後述する。
このように、入力装置2は、デジタルオーディオプレーヤ1のような携帯端末に実装可能であれば、マウスのような操作性の高いポインティングデバイスを搭載するのが当該携帯端末のような小型機器でも使用することができる。
機能キー3は、デジタルオーディオプレーヤ1を操作するユーザが押下することによって、アプリケーションの動作状態を指定するコマンドを生成するためのものである。機能キー3は、例えば図2では、ディスプレイ4が備えられた面と同じ面に備えられている。
また、機能キー3としては、図2に示すように、再生キー31、早送りキー32、巻戻しキー33、停止キー34等が挙げられるが、これに限られたものではない。すなわち、機能キー3としては、ユーザが押下することによってアプリケーションの状態を指定するための機能を有するものであればよく、この他にも、一時停止キー、録音(録画)キー等が挙げられる。
ディスプレイ4は、デジタルオーディオプレーヤ1表面の、ユーザが視認しやすい位置に備えられており、例えば液晶ディスプレイで構成されている。ディスプレイ4は、動画、アプリケーションの状態等を表示する。
動作キー5は、図2に示すデジタルオーディオプレーヤ1では、当該デジタルオーディオプレーヤ1の側面(上述の入力装置2が備えられている面)に備えられているが、これに限らず、ユーザが操作しやすい位置であれば、デジタルオーディオプレーヤ1表面のどの位置に備えられていてもよい。動作キー5は、スライドSW(スイッチ)で実現されているが、これに限られたものではなく、デジタルオーディオプレーヤ1の機能、形状等にあわせたスイッチングデバイス(またはキーデバイス)によって実現されてもよい。
動作キー5は、入力装置2の起動を制御するものであり、振動部21およびタッチパネル23の機能を有効または無効にするための機能キーである。具体的には、動作キー5が有効を示す側(オン側)にスイッチされている場合には、入力装置2は、振動部21の振動面に振動を発生させると共に、タッチパネル23に対するユーザの入力操作を受け付ける。つまり、動作キー5が有効を示す側にスイッチされている場合には、振動部21およびタッチパネル23の機能が有効となっている。
一方、動作キー5が無効を示す側(オフ側)にスイッチされている場合には、入力装置2は、振動部21の振動面に振動を発生させないと共に、タッチパネル23に対するユーザの入力操作を受け付けない。つまり、動作キー5が無効を示す側にスイッチされている場合には、振動部21およびタッチパネル23の機能が無効となっている。
ここで、デジタルオーディオプレーヤ1のような携帯端末に入力装置2が備えられた場合、当該デジタルオーディオプレーヤ1がユーザの着衣または鞄等のポケット内で動作しているときに振動部21の振動面がポケットに触れることによって、入力装置2がユーザの所望しない入力操作を受け付けてしまう可能性がある。
従って、デジタルオーディオプレーヤ1が動作キー5を備えることによって、ユーザが入力装置2の操作を所望しないときには、入力装置2の各機能(振動部21の振動面からの出力、タッチパネル23による接触位置の検知等)を停止させることができる。これにより、入力装置2を備えたデジタルオーディオプレーヤ1の消費電力を低減させることができる。また、デジタルオーディオプレーヤ1では、入力装置2がユーザの所望しない入力操作を取得してしまう等の、入力装置2に対する誤動作を防止することができる。
また、動作キー5が3値の切り替えが可能なスライドSWであってもよい。この場合、動作キー5では、例えば「ホールドモード」、「振動キーモード(入力装置2の操作モード)」および「通常入力モード」の3値の切り替えが実現される。
ここで、「ホールドモード」とは、入力装置2を含めたデジタルオーディオプレーヤ1に対する操作が全て無効となる場合のモードを指す。また、「振動キーモード」とは、入力装置2を用いた操作のみ有効とする場合のモードを指す。「振動キーモード」は、デジタルオーディオプレーヤ1が例えばユーザの着衣または鞄等のポケット内で操作されるときに用いられるモードである。さらに、「通常入力モード」とは、入力装置2を含めたデジタルオーディオプレーヤ1の各機能に対する操作が全て有効となる場合のモードを指す。「通常入力モード」は、例えばユーザがデジタルオーディオプレーヤ1のディスプレイ4を見ながら操作を行うときに用いられるモードである。
なお、上記「ホールドモード」としては、例えば「コンテンツ出力型のホールドモード」と「コンテンツ/振動出力型のホールドモード」とが挙げられる。
「コンテンツ出力型のホールドモード」は、デジタルオーディオプレーヤ1が全操作の受け付けを無効としている場合に、音楽、動画等のコンテンツ出力だけを行い、振動部21の振動面に振動を発生させない(すなわち振動面で振動出力させない)ように機能させるためのモードである。一方、「コンテンツ/振動出力型のホールドモード」は、デジタルオーディオプレーヤ1が全操作の受け付けを無効としている場合に、音楽、動画等のコンテンツ出力を行うと共に当該振動面に振動を発生させるように機能させるためのモードである。
上記「コンテンツ出力型のホールドモード」に設定された場合には、デジタルオーディオプレーヤ1は、ユーザが入力装置2の操作を所望しないときに振動部21から不要な振動を出力させることがないので、当該デジタルオーディオプレーヤ1の消費電力を確実に低減させることができる。
一方、「コンテンツ/振動出力型のホールドモード」に設定された場合には、デジタルオーディオプレーヤ1の入力装置2は、ユーザの入力操作を受け付けないものの、ユーザに振動面での振動箇所を認識させることができる。例えばユーザが振動箇所を認識しながら上記「コンテンツ/振動出力型のホールドモード」を解除した場合には、ユーザは、入力装置2に対してそのまま入力操作を行うことができる。すなわち、動作キー5のモードとして「コンテンツ/振動出力型のホールドモード」を設けた場合には、デジタルオーディオプレーヤ1及び入力装置2の操作性を向上させることができる。なお、このモードは、以下で説明する入力装置2bを備えたデジタルオーディオプレーヤ1の動作キー5として用いられる場合には、特に有効に機能する。
また、入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1のような携帯端末以外の電子機器に備えられた場合には、当該電子機器に動作キー5を備えた構成でなくてもよい。入力装置2は、例えばデジタルオーディオプレーヤ1の通常使用時にホールド状態となる構成の場合には、振動部21の振動面を例えば2秒間触れ続けたとき(振動面に触れていることを、タッチパネル23が例えば2秒間検知し続けたとき)、これをトリガーとして入力装置2のホールド状態を解除するように構成されていてもよい。また、入力装置2は、タッチパネル23がダブルクリックを検知した場合をトリガーとして、入力装置2のホールド状態を解除するように構成されていてもよい。
さらに、デジタルオーディオプレーヤ1は、図1に示すように、アプリケーション制御部11とキー状態検出部12とをさらに備えている。
アプリケーション制御部11は、デジタルオーディオプレーヤ1で実行されるアプリケーションの制御を行う。当該アプリケーションとしては、例えば音楽および動画を配信するメディアプレーヤが挙げられる。また、メディアプレーヤは、例えば音楽および動画の再生位置の調節、または、音量もしくは音声出力の調整を行うスクロール機能を有している。なお、メディアプレーヤのスクロール機能は、上記以外にも、選局、早送り・巻戻し等の操作時にも用いられる。
また、アプリケーション制御部11は、ディスプレイ4にスクロールバー(ボリュームバー、バランスバーおよび再生バーを含む)が表示されている場合に、つまみ部位の位置を検出し、検出した位置情報を入力装置2に送信する。一方、アプリケーション制御部11は、入力装置2の振動部21における振動領域の位置が変更されると、その振動領域の位置変更に連動するように、ディスプレイ4に表示されるスクロールバーのつまみ部位の位置を制御する。
キー状態検出部12は、機能キー3または動作キー5の何れが操作された場合、機能キー3または動作キー5が操作されたことを検出し、当該検出結果を入力装置2に送信する。
なお、ディスプレイ4には、例えば図3に示すようなスクロールバーが表示される。図3は、ディスプレイに表示されるスクロールバーの一例を示す図である。図3に示すスクロールバー40は、図23に示す垂直スクロールバー202と同様、つまみ部位41と、アロー42とから構成されている。
〔入力装置2の外観〕
次に、図4に基づいて、入力装置2の外観について説明する。図4は、本実施形態に係る入力装置2の外観の一例を説明するための図である。
入力装置2は、図4に示すように、振動部21とタッチパネル23とを備えており、細長い矩形となっている。入力装置2の形状は、図3に示すデジタルオーディオプレーヤ1のディスプレイ4に表示されるスクロールバー40の形状に対応した形状である。また、図4に示す矢印の方向がキー表面方向、すなわちユーザが触れることによって振動部21の振動を知覚可能な面(振動面)方向を示しており、この場合、当該振動部21のタッチパネル23と対向する面とは反対側の面がキー表面となる。
入力装置2は、振動面側から順に振動部21とタッチパネル23とが積層されており、振動領域の移動方向の長さ(図4に示す長さL)が、振動部21の振動面上において当該移動方向に対する垂直方向の長さ(図4に示す幅W)よりも長い構造となっている。また、入力装置2(すなわち入力装置2の露出面(振動面))は、例えば長さLは50mm程度、幅Wは10mm程度となるように設計されているが、これに限らず、入力装置2を搭載するデジタルオーディオプレーヤ1等の電子機器の大きさに対応させて変更可能である。また、上記露出面は、この電子機器に入力装置2を搭載したときに、当該入力装置2の操作性を確保できる程度の大きさであればよい。
なお、入力装置2は、図4では細長い矩形となっているが、これに限られたものではなく、例えば曲線状になっている等、一軸の帯状であればよい。また、入力装置2は、一軸の帯状でなくてもよく、例えば振動面が二軸の平面からなる構成であってもよい。
振動部21は、ユーザが触れることによって知覚可能な出力を行う細長い矩形の振動面を有しており、当該振動面の特定領域が振動すると共に、当該特定領域をユーザが触れることによって知覚可能な出力を行うものである。また、振動部21は、後述の制御部25によって振動状態が独立に制御される複数の区画に分割された構造となっており、この構造は、振動セルまたは振動伝達パネル22によって実現されている。
上記振動部21の構成によって、入力装置2は、振動面において区画毎に独立した振動を発生させることができるため、当該振動面の特定領域の振動状態(または当該特定領域以外の振動状態)を精度よく制御することができる。
なお、図4に示す振動部21は、例えば振動セルによって実現されているが、これに限らず、図7に示す振動伝達パネル22および駆動部24によって実現されていてもよい。振動部21が振動伝達パネル22および駆動部24によって実現されている場合については後述する。
振動部21に振動セルが用いられている場合、当該振動部21は、複数に分割された区画毎(すなわち振動セル毎)に独立して振動可能な構成となっており、例えば圧電フィルム、静電フィルム等により実現されている。各振動セルの大きさは、例えば(図4に示す長さL方向の幅5mm)×(図4に示す幅W)程度であるが、スクロールバーとしての機能が実現され、かつユーザの操作性を損なわない程度の大きさおよび形状であればよい。なお、上記区画は、上記長さL方向(長さW方向と平行)に分割されているが、これに限らず、さらに上記長さW方向にも分割されていてもよい。
具体的には、振動部21は、積層された複数の圧電シートを2枚のフィルムで上下から挟んだ構造となっている。また、振動部21の上端(振動面側)のフィルムの下面側と下端のフィルムの上面側とには電極が形成されている。振動部21は、振動セル毎に独立して振動可能なように、当該振動セル毎に電極が配置されている。これにより振動部21は、上下の電極に高電圧を印加すると厚さが薄くなり、高電圧を取り除くと厚さが戻るため、高電圧の印加と無負荷を高速で繰り返す繰り返し周波数により振動部21の厚さ方向に振動する構造を実現できる。
また、入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1に備えられている場合には、振動部21の振動面は、デジタルオーディオプレーヤ1表面に露出している。この場合、振動部21の振動面における特定領域は、図4に示す振動領域であり、図3に示すスクロールバー40のつまみ部位41に対応する。一方、振動部21の振動面において振動していない領域(特定領域以外の領域)が、図4に示す非振動領域に対応する。
なお、振動部21の構成では、スクロールバー40のつまみ部位41に対応する領域が振動するように構成されているが、これに限らず、当該つまみ部位41に対応する領域が非振動領域であり、それ以外の領域が振動領域であってもよい。これは、振動部21に後述の振動伝達パネル22および駆動部24が用いられた構成の場合も同様である。
すなわち、入力装置2は、デジタルオーディオプレーヤ1に備えられている場合、スクロールバー40のつまみ部位41に対応する領域の出力状態を、他の領域とは異なる出力状態とすることによって、ユーザが知覚することができるように制御すればよい。
また、後述の制御部25は、振動部21の振動面における振動領域内を様々な振動状態に制御してもよい。例えば制御部25は、振動領域内を単調な振動状態としても、当該振動領域内の領域毎に振動状態を変更するように制御してもよい。
ここで、振動面の振動領域が図3に示すつまみ部位41に対応している場合(図4に示す振動領域の場合)、入力装置2は、振動面に触れているユーザの指を移動させるように制御することも可能である。この場合、例えば制御部25は、振動面に触れているユーザの指を移動させる側の振動領域内の領域の振動を弱くするように制御する。
タッチパネル23は、振動部21の振動面にユーザが触れた場合に、当該振動面のどの位置に接触があったのかを検知し、当該接触位置をユーザが入力した位置として出力するものである。すなわち、タッチパネル23は、振動部21の振動面にユーザが触れることによる、タッチパネル23に対するユーザの入力操作を検知する。
また、タッチパネル23として、振動部21の振動面からタッチパネル23までの距離(振動部21の厚さ)を考慮すると、静電容量方式のタッチパネルを用いることが好ましいが、これに限らず、超音波方式、抵抗膜方式等のタッチパネルを用いてもよい。
ここで、静電容量方式のタッチパネルとは、振動部21の振動面にユーザが触れたときのタッチパネルにおける内部電荷量の変化を検出することによって、当該振動面での指の動きを検知する。また、超音波方式のタッチパネルとは、タッチパネルを形成するガラス表面に高周波数の表面弾性波(すなわち、超音波)を伝播させており、当該表面弾性波の減衰した位置を検出することによって、振動面での指の動きを検知する。さらに、抵抗膜方式のタッチパネルとは、タッチパネル表面と、当該表面とわずかな間隔で取り付けたフィルムとに導電性の薄膜を貼り、これら薄膜が接して電気が通ったか否かによって指の動きを検知する。
なお、ユーザの入力操作を検知する構成として、ここではタッチパネル23を挙げて説明したが、これに限らず、振動部21の振動面にユーザが触れたことを検知可能な構成であればよい。上記構成としては、例えば入力装置2の大きさによっては、カメラ等の撮像手段によってユーザの入力操作を検知する位置検知装置、長さL方向に一列に並べたプッシュSW等で構成されてもよい。
以上より、入力装置2は、後述の制御部25が、細長い矩形の振動面における接触位置を含む領域を、当該領域を除いた他の領域との振動状態が異なるように、振動部21を制御する。
従って、入力装置2は、ユーザが他の領域の振動状態とは異なる、接触位置を含む領域の振動状態を知覚することができるため、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能をハードウェアとして実現することができる。すなわち、入力装置2は、ユーザに対する感覚的(触覚的)な操作性を向上させることができる。また、ユーザは、入力装置2を利用することによって、ハードウェアとしてのスクロールバーを体感することができる。
さらに、入力装置2は、ユーザに対して触覚的な出力を行うため、入力装置2自体を見なくても操作することができる。入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1に備えられている場合には、ユーザは、当該デジタルオーディオプレーヤ1のディスプレイ4を見なくても振動部21の振動面を触れるだけでその出力が認識できるので、入力装置2に対してユーザ所望の操作を確実に行うことができる。
また、デジタルオーディオプレーヤ1等の電子機器に入力装置2を備えることによって、当該電子機器は、スクロールバーという既存のシステムをハードウェアとして実装することになる。このため、上記電子機器に入力装置2を容易に導入することができる。また、ユーザは、入力装置2の取扱説明書を読まない場合であっても、入力装置2を違和感なく感覚的に操作することができる。
なお、入力装置2は、振動部21の振動面と同一の形状を有する表示部(図示しない)を備え、当該表示部上に積層されていてもよい。このとき、表示部には、図4に示すスクロールバーが表示されていてもよい。
また、入力装置2は、図5、6に示すように、振動部21の振動面上にカバー部20を備える構成でもよい。ここで、図5は、図4に示す入力装置2の変形例を示すものであり、当該入力装置2の積層状態を示す外観図である。図6は、図4の変形例である入力装置2の動作状態を説明するための図である。なお、図5に示す矢印の方向は、図4と同様、キー表面(振動面)方向を示しており、この場合、カバー部20の振動部21と対向する面とは反対側の面がキー表面となる。
図5に示す入力装置2は、カバー部20と、振動セルからなる振動部21と、タッチパネル23とを備えており、図4に示す振動部21の振動面全体にカバー部20を備える構成となっている。なお、振動部21とタッチパネル23とは、図4に示す振動部21とタッチパネル23と同一の機能を有するため、これら部材の説明は省略する。
カバー部20は、振動部21の振動面全体を覆うように設けられており、ボール(突起部)20aとライン部20bとを備えている。ボール20aは、図6に示すように、カバー部20の両表面(すなわち、振動面および振動部21と対向する面)から略垂直に突出するように、かつ振動部21の各振動セルに1つ対応するように配置されている。また、ボール20aは、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム等のゴムで形成されているが、これに限らず、伸縮自在なゴム状の性質を有していればよい。すなわち、ボール20aは、振動部21の任意の振動セルが振動した場合に、当該振動セルの振動をユーザに出力可能な構成であればよい。
また、隣接するボール20a同士は、ライン部20bによって接続されている。ライン部20bは、ボール20aと同様、伸縮自在なゴム状の性質を有していればよい。振動部21の任意の振動セルが振動した場合、この振動は、当該振動セルに対応したボール20aに伝達される。このとき、ボール20a同士がライン部20bで接続されているため、ボール20aに伝達された振動は、隣接するボール20aに伝達される前にライン部20bにおいて減衰する。すなわち、振動部21の任意の振動セルが振動しても、隣接するボール20aにその振動が伝わることはない。
以上より、入力装置2にカバー部20を備えることによって、振動部21における任意の振動がカバー部20のボール20aを介してユーザに対して出力される。このため、ユーザは、振動面の振動している位置を判別しやすくなる。
なお、当然ながら、入力装置2にカバー部20を備えた場合であっても、入力装置2は、タッチパネル23へのユーザ入力(すなわち、振動部21を形成する振動セルの上からのセンサ入力)を受け付けることが可能なように構成されている。
また、上記では、入力装置2にカバー部20を備えることによって、振動部21における振動がボール20aを介してユーザに対して出力されていたが、これに限らず、振動部21の各振動セルに対応する振動面の領域にボール20aが形成されていてもよい。この構成であっても、ユーザは、振動面の振動している位置を判別しやすくなる。また、カバー部20(特にボール20a)は、振動部21が振動セルである場合に限らず、振動伝達パネル22にも適用可能である。この場合、ボール20aは、振動伝達パネル22の各パネルに対応するように形成されることとなる。
〔入力装置2の変形例の外観〕
次に、図7に基づいて、入力装置2の外観について説明する。図7は、本実施形態に係る入力装置2の一例を示すものであり、入力装置2の外観を説明するための斜視図、側面図およびA−A’線矢視断面図である。図7に示す入力装置2は、振動部21が振動セルの代わりに振動伝達パネル22と駆動部24とから構成されている点で、図4に示す入力装置2とは異なる。なお、タッチパネル23については上述したので、ここではその説明を省略する。
入力装置2は、図7に示すように、ユーザが触れることによって振動部21の振動を知覚可能な面(振動面)から順に振動伝達パネル22とタッチパネル23とが積層されている。また、入力装置2は、振動伝達パネル22の振動面側(キー表面側)とは反対側の面に接するように駆動部24が設けられている。すなわち、駆動部24は、タッチパネル23側面(振動伝達パネル22の幅W方向に垂直で、かつ長さL方向に平行な面)に沿って設けられている。このため、図7に示すように、タッチパネル23の幅は、振動伝達パネル22の幅Wよりも駆動部24を設けた分だけ小さくなっている。
振動伝達パネル22は、複数のパネルを長さL方向に連結したものであり、駆動部24が駆動したときに発生する振動を振動面に触れるユーザが知覚できるようにする(振動面に触れるユーザに振動を伝達する)ためのものである。また、振動伝達パネル22は、キーボードのキートップのように、各パネルが独立して動作可能な構造となっており、例えば天然ゴム、ブタジエンゴム等のゴムで形成されているが、これに限らず、伸縮自在なゴム状の性質伸縮自在なゴム等からなっていればよい。この構成により、ユーザは、振動伝達パネル22に発生する振動領域(振動部位)の特定を容易に行うことができる。
また、振動伝達パネル22の各パネルの大きさは、例えば(図7に示す長さL方向の幅5mm)×(図7に示す幅W)程度であるが、スクロールバーとしての機能が実現され、かつユーザの操作性を損なわない程度の大きさおよび形状であればよい。
駆動部24は、例えば図8に示すようなモータが、振動伝達パネル22のパネル毎に配置されるように、上記タッチパネル23側面に沿って設けられている。なお、図8は、駆動部24に使用されるモータの一例を示すものであり、当該モータの大きさを10円玉と比較した結果を示す図である。
上記モータは、図8に示すように、10円玉よりも若干小さく、その直径は2.8mm程度である。また、このモータは、携帯電話等に実装されるものであるため、本実施形態に係る入力装置2に十分適用できる程度に小型である。なお、駆動部24は、図8に示すようなモータでなくてもよく、振動伝達パネル22の各パネルから振動を出力させることが可能な構成であればよい。
以上より、図7に示す入力装置2では、後述の制御部25が駆動部24の各モータを駆動させることによって、細長い矩形の振動面を有する振動伝達パネル22のパネルが当該モータに対応して振動する。従って、図7に示す入力装置2は、図4に示す入力装置2と同様、ユーザが他の領域の振動状態とは異なる、接触位置を含む領域の振動状態を知覚することができるため、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能をハードウェアとして実現することができる。すなわち、図7に示す入力装置2は、ユーザに対する感覚的(触覚的)な操作性を向上させることができる等、図4に示す入力装置2と同様の効果を奏する。
〔入力装置2の構成〕
次に、入力装置2を制御するための構成について図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るデジタルオーディオプレーヤ1に備えられた入力装置2の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、デジタルオーディオプレーヤ1は、入力装置2と、機能キー3と、動作キー5と、アプリケーション制御部11と、キー状態検出部12とを備えている。機能キー3と、動作キー5と、アプリケーション制御部11と、キー状態検出部12とについては上述したので、ここではその説明を省略する。
入力装置2は、振動部21と、タッチパネル23と、制御部(出力状態制御手段)25と、記憶部27とを備えている。また、図1では、振動部21は、上述の振動伝達パネル22と駆動部24とを備えているが、これに限らず、上述の振動セルによって構成されていてもよい。振動部21が振動セルによって形成されている場合には、駆動部24の機能が振動セルの構成に含まれる構成となる。なお、振動部21と、振動伝達パネル22と、タッチパネル23と、駆動部24とについては上述したので、ここではその説明を省略する。
制御部25は、駆動制御部(出力状態制御手段)251と位置制御部(出力状態制御手段)252とを備えており、振動部21の振動面におけるユーザの接触位置を含む領域と当該領域を除いた他の領域とが異なる振動状態になるように、上記振動部21を制御するものである。また、制御部25は、入力装置2の各種機能を制御するための所定の演算処理を行うものであり、例えばCPU等によって実現される。さらに、制御部25は、デジタルオーディオプレーヤ1のアプリケーション制御部11と情報をやり取りすることによって、振動部21の出力状態とアプリケーションの状態を連動させるものである。さらに、制御部25は、キー状態検出部12からの情報により、動作キー5の状態を検出する。
駆動制御部251は、位置制御部252から送信される振動位置情報に基づいて振動部21の振動面の特定領域を振動させるために、振動セルの電極または駆動部24を制御するものである。駆動制御部251は、振動部21が静電フィルムからなる振動セルで形成されている場合、振動部21の各振動セルに対応するように備えられた電極に対して、周期的にかつ高速に切換えられる電圧を印加する構成となっている。また、駆動制御部251は、振動部21が振動伝達パネル22と駆動部24とで構成されている場合、振動伝達パネル22の各パネルを独立して振動させるように、駆動部24を構成する各モータの駆動を制御する。
位置制御部252は、振動部21の振動面における振動領域を示す振動位置と、タッチパネル23から得られる接触位置とを制御するものである。また、位置制御部252は、アプリケーションの状態と振動部21の振動領域とを連動させるものである。位置制御部252は、例えばディスプレイ4に表示されるスクロールバー40の状態(つまみ部位41の位置)、メディアプレーヤによる動画または音楽再生時の音量、出力バランス、再生位置を、振動部21の振動領域と連動するように制御する。
また、制御部25は、タッチパネル23が検知した接触位置を示す接触位置情報をアプリケーション制御部11に送信することにより、当該接触位置に対応させてデジタルオーディオプレーヤ1で制御されるアプリケーション(入力装置2の外部のアプリケーション)の状態を変更することができる。なお、接触位置情報は、タッチパネル23から直接アプリケーション制御部11に送信されてもよい。
また、記憶部27は、制御部25で利用される各種データ、プログラムの実行によって得られたデータなどを記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、および、ROM(Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリで実現される。上記各種データは、記憶部27内部の各種記憶部に記憶される。
〔入力装置2における処理の流れ〕
次に、入力装置2における処理の流れについて説明する。図9は、入力装置2における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部25は、動作キー5の状態がオンである(すなわちオン側にスイッチされている)か否かを判定する(S21)。具体的には、キー状態検出部12は、動作キー5がオン側にスイッチされている場合には、動作キー5から有効信号を検出して制御部25に送信する。一方、キー状態検出部12は、動作キー5がオフ側にスイッチされている場合には、動作キー5から無効信号を検出して制御部25に送信する。制御部25は、キー状態検出部12からの信号が有効信号である場合には、動作キーの状態がオンであると判定する。すなわち、制御部25は、キー状態検出部12から送信される有効信号または無効信号を受信することによって、動作キー5の状態がオンであるのか否かを判定する。
制御部25は、有効信号を受信することによって、動作キー5の状態がオンであると判定した場合(S21でYES)、アプリケーション制御部11から、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41の位置を示すつまみ位置情報を検出する。制御部25の位置制御部252は、当該つまみ位置情報から振動部21の振動面を振動させる振動領域を示す振動位置情報を算出する。位置制御部252は、例えばつまみ位置情報と振動位置情報とを対応付けた位置対応テーブルを参照することによって、当該振動位置情報を決定する。なお、位置制御部252が位置対応テーブルを参照する場合には、当該位置対応テーブルが記憶部27に記憶されていてもよい。
位置制御部252は、当該振動位置情報を駆動制御部251に送信する。駆動制御部251は、位置制御部252から振動位置情報を受信すると、当該振動位置情報の示す領域(パネル)に対応する駆動部24のモータを駆動させる。すなわち、振動部21では、駆動部24の駆動に連動して振動位置情報の示す領域が振動することになり、アプリケーション(つまみ部位41の位置)にあわせた振動が出力されることとなる(S22)。なお、駆動制御部251は、例えば振動位置情報と駆動部24の各モータを識別するモータ識別情報とを対応付けた駆動対応テーブルを参照することによって、駆動部24のモータを駆動させる。また、駆動制御部251が駆動対応テーブルを参照する場合には、当該駆動対応テーブルが記憶部27に記憶されていてもよい。駆動制御部251は、位置制御部252から振動位置情報を受信すると、当該振動位置情報を制御部25内または記憶部27に記憶する。なお、制御部25は、動作キー5の状態がオフであると判定した場合(S21でNO)、再びS21の処理に戻る。
S22の処理が完了すると、位置制御部252は、タッチパネル23に対してユーザによる入力があったか否かを判定する(S23)。具体的には、位置制御部252は、タッチパネル23によってどの位置に接触があったか(もしくは接触がないか)を示す検知結果を検出した場合に、タッチパネル23に入力があったと判定する。
位置制御部252は、タッチパネル23に入力があったと判定した場合(S23でYES)、上記検知結果に含まれる接触位置を示す接触位置情報を検出し、記憶する。そして、位置制御部252は、S22の処理にて記憶した振動位置情報と、検出した接触位置情報とが一致しているか否かを判定する。すなわち、位置制御部252は、振動部21にユーザの触れた位置が、このときの振動部21の振動領域を示す振動位置と一致するか否かを判定する(S24)。なお、位置制御部252がタッチパネル23に入力がないと判定した場合(S23でNO)、S21の制御部25の処理に戻る。
なお、S23の処理において、位置制御部252は、制御部25(または記憶部27)に予め設定された所定の時間が経過した後に、タッチパネル23に対してユーザによる入力があったか否かを判定してもよい。この構成によれば、ユーザは、振動面を触れてから所定の時間が経過する間に、振動領域を探すことが可能となる。
位置制御部252によって振動位置情報と接触位置情報とが一致していると判定された場合(S24でYES)、制御部25は、振動部21の振動領域に対する制御を行う(S25)。一方、振動位置情報と接触位置情報とが一致しないと判定された場合(S24でNO)、制御部25は、振動部21の非振動領域に対する制御を行う(S26)。そして、制御部25は、S25またはS26の処理を完了すると、入力装置2における処理を終了する。
ここで、S25またはS26における制御部25の具体的な処理の流れについて、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、振動位置情報と接触位置情報とが一致した場合の、振動部21の振動領域に対する制御部25の処理の流れを示すフローチャートである。また、図11は、振動位置情報と接触位置情報とが一致しなかった場合の、振動部21の非振動領域に対する制御部25における処理の流れの一例を示すフローチャートである。さらに、図12は、振動位置情報と接触位置情報とが一致しなかった場合の、振動部21の非振動領域に対する制御部25における処理の流れの別例を示すフローチャートである。
図9に示すS25の処理では、制御部25は、図10に示すように、動作キー5の状態がオンである(すなわちオン側にスイッチされている)か否かを判定する(S31)。制御部25がキー状態検出部12から有効信号を受信することによって動作キー5の状態をオンであると判定した場合(S31でYES)、位置制御部252は、タッチパネル23に入力がないことを示す検知結果を検出したか否かを判定する。すなわち、位置制御部252は、タッチパネル23からユーザの指が離れたか否かを判定する(S32)。
ここで、位置制御部252は、タッチパネル23による検知結果を所定時間毎に検出している。そして、位置制御部252は、上記検知結果を検出する毎に、当該検知結果に含まれる接触位置情報を検出し、記憶している。すなわち、位置制御部252は、接触位置情報を検出する毎に、当該接触位置情報を現在の接触位置情報とし、現在の接触位置情報として記憶されていた情報を前回検出の接触位置情報として更新する。
S32の処理において、タッチパネル23からユーザの指が離れていなかったと判定された場合(S32でNO)、位置制御部252は、上述の前回検出の接触位置情報と現在の接触位置情報とが一致するか否かを判定する。すなわち、位置制御部252は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置の移動があったか否かを判定する(S33)。
接触位置の移動があったと判定された場合、すなわち前回検出の接触位置情報と現在の接触位置情報とが一致しなかった場合(S33でYES)、位置制御部252は、現在の接触位置情報を振動位置情報として駆動制御部251に送信する。駆動制御部251は、位置制御部252から振動位置情報を受信すると、当該振動位置情報の示す領域(パネル)に対応する駆動部24のモータを駆動させる。すなわち、位置制御部252は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置にあわせるように、振動部21の振動領域を移動させる(S34)。
このとき、位置制御部252は、位置対応テーブルを参照して、現在の振動位置情報に対応するつまみ位置情報を取得し、アプリケーション制御部11に送信する。これにより、アプリケーション制御部11は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置に対応付けて(連動させて)、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41を移動させることができる。これにより、入力装置2は、スクロールバー40で制御可能なアプリケーションの動作(ボリュームバー、バランスバー、再生バー、選局、早送り・巻戻し等の動作)を変更することが可能となる。
なお、S34の処理が完了した場合、および位置制御部252によって接触位置の移動がなかったと判定された場合(S33でNO)、S31の処理に戻る。また、制御部25がキー状態検出部12から無効信号を受信することによって動作キー5の状態がオフであると判定した場合(S31でNO)、位置制御部252がタッチパネル23からユーザの指が離れたと判定した場合には(S32でYES)、入力装置2の振動領域に対する制御の処理を終了する。
次に、非振動領域に対する制御部25の処理について図11に基づいて説明する。図11に示す処理は、例えばデジタルオーディオプレーヤ1が動画または音楽を出力している場合にディスプレイ4に表示することが可能なボリュームバー、バランスバーおよび再生バーを操作するときに有効な処理である。
まず、図9に示すS26の処理では、制御部25は、振動部21の振動領域を、タッチパネル23が検知するユーザの接触位置と一致するように移動させる(S41)。具体的には、位置制御部252は、タッチパネル23による検知結果に含まれる接触位置情報を現在の接触位置情報とすると共に、当該現在の接触位置情報を振動位置情報として駆動制御部251に送信する。駆動制御部251は、位置制御部252から振動位置情報を受信すると、当該振動位置情報の示す領域(パネル)に対応する駆動部24のモータを駆動させる。すなわち、位置制御部252は、タッチパネル23が検知するユーザの接触位置に、振動部21の振動領域を移動させることによって、ユーザの接触位置と振動部21の振動領域とを一致させる。
S41の処理が完了すると、制御部25は、図9に示すS25の処理、すなわち図10に示す処理を実行する(S42)。そして、S42の処理が完了すると、入力装置2の非振動領域に対する制御を終了する。
すなわち、非振動領域にユーザの入力があった場合には、制御部25は、振動部21の振動領域をユーザの接触位置まで移動させる(接触位置と振動領域とを一致させる)ことにより、当該振動領域をユーザが触れたときと同様の処理を行う。
ここで、制御部25が振動位置情報と接触位置情報とが一致しないと判定した場合における、図11に示す入力装置2の制御処理とは異なる処理について図12に基づいて説明する。図12に示す処理は、例えばデジタルオーディオプレーヤ1のウィンドウ内に表示されるスクロールバー40を操作するときに有効な処理である。
まず、図10に示すS31の処理と同様、制御部25は、動作キー5の状態がオンである(すなわちオン側にスイッチされている)か否かを判定する(S51)。制御部25がキー状態検出部12から有効信号を受信することによって動作キー5の状態をオンであると判定した場合(S51でYES)、図10に示すS32の処理と同様、位置制御部252は、タッチパネル23に入力がないことを示す検知結果を検出したか否かを判定する。すなわち、位置制御部252は、タッチパネル23からユーザの指が離れたか否かを判定する(S52)。なお、制御部25がキー状態検出部12から無効信号を受信することによって動作キー5の状態がオフであると判定した場合(S51でNO)、位置制御部252がタッチパネル23からユーザの指が離れたと判定した場合には(S52でYES)、入力装置2の振動領域に対する制御の処理を終了する。
S52の処理において、タッチパネル23からユーザの指が離れていなかったと判定された場合(S52でNO)、制御部25は、振動部21の振動領域を、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置の方向へ所定距離だけ移動させる(S53)。すなわち制御部25は、S53の処理後再びS53の処理を行うまでの時間(1回のループにかかる時間)が同じ場合には、振動部21の振動領域を所定の速度で移動させることとなる。
このとき制御部25は、例えば接触位置情報と振動位置情報とが一致するまで、振動領域を(入力装置2の長さLの5%/0.2秒)の速さで接触位置方向に移動させる(この制御部252の処理を「一定距離の移動処理」とする)。具体的には、位置制御部252は、0.2秒毎に、入力装置2全体の長さLの5%だけ接触位置情報の示す位置方向に移動した位置を振動位置情報として更新し、駆動制御部251に送信する。但し、この場合入力装置2は、振動領域を当該入力装置2全体の長さLの5%よりも細かく移動させることができるように設計されているものとする。
また、制御部25は、図11に示す処理と同様、S53の処理に入ったことをトリガーとして、振動部21の振動領域をユーザの接触位置まで一気に移動させる構成であってもよい(すなわち接触位置を、振動領域を示す振動位置としてもよい)。
さらに、制御部25は、振動部21の振動領域とユーザの接触位置との距離に比例するように、当該振動領域を当該接触位置に移動させる構成であってもよい。すなわち、制御部25は、振動領域が接触位置に近くなるほど、当該振動領域の移動速度が遅くなるように当該振動領域の移動の制御を行う構成であってもよい。
このとき制御部25は、例えば接触位置情報と振動位置情報とが一致するまで、振動領域を(振動領域を示す振動位置から接触位置までの距離の5%/0.2秒)の速さで接触位置方向に移動させる(この制御部252の処理を「一定割合の移動処理」とする)。具体的には、位置制御部252は、まず振動位置情報と接触位置情報とを用いて、振動領域と接触位置との距離を算出する。次に、位置制御部252は、算出した距離の5%だけ接触位置情報の示す位置方向に移動した位置を振動位置情報として更新し、駆動制御部251に送信する。位置制御部252は、振動領域と接触位置との距離を算出して位置情報を更新する処理を0.2秒ごとに繰り返す。但し、この場合入力装置2は、振動位置を十分細かく移動させることができるように設計されているものとする。
また、制御部25は、振動領域を所定距離だけ移動させる処理として、上記一定距離の移動処理と一定割合の移動処理とを組み合わせた処理を行う構成であってもよい。この場合、例えば制御部25(または記憶部27)には、閾値としての振動領域と接触位置との距離(例えば入力装置2全体の長さLの40%)が予め設定されている。そして、制御部25は、振動領域と接触位置との距離がこの閾値以上である場合には上記一定距離の移動処理を行い、閾値未満である場合には上記一定割合の移動処理を行う。これにより、制御部25は、振動領域と接触位置とが離れている場合に、より早く当該振動領域を当該接触位置に近づけるように、当該振動領域の移動の制御を行うことができる。
なお、上記組み合わせはこれに限らず、上記組み合わせを反対に組み合わせたもの(すなわち、振動領域と接触位置とが離れている場合に一定割合の移動処理を行う)であってもよい。また、上記組み合わせは、一定割合の移動処理と一気に移動させる処理とを組み合わせたものであってもよい。
その他、例えば入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1に搭載され、再生バーを実現している場合、制御部25の上記移動処理の制御としては、例えば接触位置の示す再生位置の30秒前までは振動領域を一気に移動させ、その後、上記一定距離の移動処理で早送り状態とするように、当該振動領域の移動処理の制御が挙げられる。
なお、制御部25の移動処理の制御は、入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1に搭載される場合には、当該デジタルオーディオプレーヤ1に実装されるアプリケーションに対応するように変更可能である。
また、S53の処理において、位置制御部252は、位置対応テーブルを参照して、現在の振動位置情報に対応するつまみ位置情報を取得し、アプリケーション制御部11に送信する。これにより、アプリケーション制御部11は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置に対応付けて(連動させて)、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41を移動させることができる。なお、S53の処理が完了すると、S51の処理に戻る。
以上より、入力装置2は、アプリケーションの状態(スクロールバー40等の状態)に対応した振動を、振動部21の振動面から出力させる。一方、入力装置2は、振動部21の振動領域を示す振動位置とユーザの接触位置とが一致しているか否かを判定することにより、当該振動領域の移動を制御する。
従って、入力装置2は、位置制御部252が振動部21の細長い矩形の振動面にユーザが触れたときの接触位置(タッチパネル23による検知結果)を検出することで、その接触位置を移動させるように、駆動制御部251を制御する。そして、駆動制御部251は、位置制御部252の指示に基づいて、振動部21の振動位置を制御する。すなわち、入力装置2は、ユーザが振動部21の細長い矩形の振動面を触れることによって、当該ユーザが触れた接触位置の移動にあわせるように当該振動面における出力を制御することができる。つまり、入力装置2は、ユーザが触れた接触位置の移動を追随するように、振動面の他の領域とは異なる振動状態である領域を移動させることができる。
このため、入力装置2は、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能をハードウェアとして実現することができる。これにより、入力装置2は、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能により制御可能なボリュームバー、バランスバー、再生バー、選局、早送り・巻戻し等の機能についても制御することが可能となる。
従って、入力装置2は、ユーザに振動による知覚を提供することによって、ユーザに対する感覚的(触覚的)な操作性を向上させることができる。また、ユーザは、入力装置2を利用することによって、ハードウェアとしてのスクロールバーを体感することができる。
さらに、入力装置2は、ユーザに対して触覚的な出力を行うため、入力装置2自体を見なくても操作することができる。入力装置2がデジタルオーディオプレーヤ1に備えられている場合には、ユーザは、当該デジタルオーディオプレーヤ1のディスプレイ4を見なくても振動部21の振動面を触れるだけでその出力が認識できるので、入力装置2に対してユーザ所望の操作を確実に行うことができる。
なお、入力装置2の構成では、振動部21とタッチパネル23とが一体に備えられた構成となっているが、この構成に限らず、振動部21とタッチパネル23とが別体に備えられた構成となっていてもよい。この場合、入力装置2では、ユーザがタッチパネル23に直接触れたときの接触位置に応じて振動部21の振動位置を制御することとなる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について図13〜図16に基づいて説明する。なお、上述の実施形態と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
ここで、本実施形態に係る入力装置2aは、振動部21とタッチパネル23との間に伸縮部26を設けた点で、実施形態1に係る入力装置2の構成とは異なる。
〔入力装置2aの外観〕
まず、図13〜15に基づいて、本実施形態に係る入力装置2aの外観について説明する。図13は、本実施形態に係る入力装置2aの外観を説明するための図である。
入力装置2aは、実施形態1に係る入力装置2と同様、振動部21の振動面におけるユーザの接触位置を含む領域(第1の領域)と、当該領域を除いた他の領域(第2の領域)とが異なる振動状態(出力状態)となるように、当該振動部21を制御するものである。なお、上記振動状態としては、振動していない状態(振動の振幅が0の状態)を含むものとする。また、ユーザの接触位置を含む領域は、1つでなくてもよく、複数であってもよい。
また、例えばデジタルオーディオプレーヤ1に入力装置2aが備えられている場合、入力装置2aは、デジタルオーディオプレーヤ1のスクロール機能の動作と連動するように、振動部21における振動を制御する。
具体的には、入力装置2aは、図13に示すように、振動部21とタッチパネル23と伸縮部(触覚刺激部、隆起部)26とを備えており、細長い矩形となっている。また、図13に示す矢印の方向がキー表面方向、すなわちユーザが触れることによって振動部21の振動を知覚可能な面(振動面)方向を示しており、この場合、当該振動部21のタッチパネル23と対向する面とは反対側の面がキー表面となる。
入力装置2aは、振動面側から順に振動部21と伸縮部26とタッチパネル23とが積層されており、振動領域の移動方向の長さ(図13に示す長さL)が、振動部21の振動面上において当該移動方向に対する垂直方向の長さ(図13に示す幅W)よりも長い構造となっている。なお、入力装置2aの形状(長さLおよび幅W)は、実施形態1に係る入力装置2と同一の形状である。
図13に示す入力装置2aでは、振動部21に振動セルを用いた場合を示しているが、これに限らず、振動伝達パネル22と駆動部24とを用いてもよい。なお、振動部21とタッチパネル23については、実施形態1にて説明したので、ここではその説明を省略する。
伸縮部26は、長さL方向(すなわち振動部21の長辺方向)に伸縮する複数の伸縮区画を有するものであり、振動部21の振動領域に対応した領域を伸縮させるものである。すなわち、振動部21のある区画が振動している場合、伸縮部26は、図14に示すように、当該区画に対応した領域(伸縮区画)が伸縮し、振動面に対して垂直方向に隆起するように後述の制御部25aによって制御される。このとき、振動部21は、伸縮部26の伸縮によって振動領域が隆起する。なお、図14は、入力装置2aの振動部21の振動領域が隆起している様子を示す図である。
伸縮部26は、例えば図15に示すような板状の人工筋肉を用いて実現されている。図15は、伸縮部26に用いられる板状の人工筋肉を示す図である。人工筋肉は、複数の板状の高分子によって形成されており、当該各板(伸縮区画)の両面には2つの電極261が設けられている。なお、人工筋肉の複数の板は、振動部21における振動領域に対応する大きさであることが好ましい。
人工筋肉では、各板の両面に設けられた2つの電極261に電圧を印加することによって、電圧の高い側の板の表面が縮む。このため、電圧が印加された電極261を備えた板が曲がり、当該板上に積層された振動部21の一部(振動領域)を隆起させることが可能となる。従って、人工筋肉の板において電圧を高く印加する側の電極261をタッチパネル23側にすることによって、上述のような起伏を生じさせることができる。
なお、入力装置2aが振動部21の振動面の領域を振動させないように構成されている場合(振動部21の振動領域が振動しない領域よりも広い場合)には、振動していない領域に対応する伸縮区画が隆起するように構成されていてもよい。
また、上記では、人工筋肉の板において電圧を高く印加する側の電極261をタッチパネル23側になるように配設されているが、これに限らず、当該電圧を高く印加する側の電極261を振動部21側に配設するようにしてもよい。この構成により、振動部21の振動領域を陥没させることが可能となる。
また、伸縮部26として用いられる板状の人工筋肉は、高分子によって形成されていなくてもよく、例えば圧電式、形状記憶合金、静電式、圧空式等の人工筋肉であってもよい。
さらに、入力装置2aでは、伸縮部26に振動部21を積層させた構成となっているが、タッチパネル23に伸縮部26だけを積層させた構成であってもよい。また、入力装置2aは、伸縮部26が振動部21の振動面を隆起または陥没させることが可能な構成であれば、振動部21と伸縮部26との積層順は上記構成に限られない。
〔入力装置2aの構成〕
次に、入力装置2aを制御するための構成について図16に基づいて説明する。図16は、本実施形態に係る入力装置2aの概略構成を示すブロック図である。図16に示すように、入力装置2aは、振動部21と、タッチパネル23と、制御部(出力状態制御手段)25aと、伸縮部26と、記憶部27とを備えている。なお、図16に示す入力装置2aでは、振動部21が振動セルで構成されているが、振動伝達パネル22を用いた場合には入力装置2と同様、駆動部24を設けることとなる。また、振動部21と、タッチパネル23と、伸縮部26と、記憶部27については上述したので、ここではその説明を省略する。
制御部25aは、駆動制御部(出力状態制御手段)251aと位置制御部252とを備えており、入力装置2aの各種機能を制御するための所定の演算処理を行うものである。制御部25aは、例えばCPU等によって実現される。また、制御部25aは、入力装置2の制御部25と同様、デジタルオーディオプレーヤ1のアプリケーション制御部11と情報をやり取りすることによって、振動部21の出力状態とアプリケーションの状態を連動させることも可能である。さらに、制御部25aは、キー状態検出部12からの情報により、動作キー5の状態を検出することも可能である。
駆動制御部251aは、位置制御部252から送信される振動位置情報に基づいて振動部21の振動面の特定領域を振動させるために振動セルの電極を制御すると共に、当該特定領域に対応する伸縮部26の板に設けられた2つの電極261に電圧を印加する。駆動制御部251aは、振動位置情報を受信すると、例えば当該振動位置情報と、当該振動位置情報に対応する振動セルの位置(すなわち制御する電極)および伸縮部26の人工筋肉の板(すなわち電圧を印加する電極261)とを対応付けた駆動対応テーブルを参照することによって、振動部21の振動領域に連動するように伸縮部26の伸縮区画を隆起させてもよい。
以上より、制御部25aは、振動する振動面の特定領域に対応するように伸縮部の伸縮区画を長辺方向に伸縮させる。伸縮部26の伸縮区画は、伸縮することによって振動面の振動領域を、当該振動面に対して垂直方向に隆起させることができる。従って、入力装置2aは、振動による出力に加えて隆起による出力を行うことができるので、ユーザに対してさらに感覚的な操作性を提供することができる。
なお、上記入力装置2aの構成では、振動面を有する薄板状の振動部21(振動セルまたは振動伝達パネル22)と、当該振動面を隆起または陥没させる薄板状の伸縮部26とを積層した構造となっているが、これに限られたものではない。すなわち、入力装置2aが伸縮部26を備えずに、振動部21が、当該振動面における振動の振幅の中心位置を変更するように、当該振動面に対して垂直方向に隆起または陥没する構成となっていてもよい。この場合であっても、入力装置2aは、ユーザに対して振動領域を隆起または陥没させることができるため、ユーザに対してさらに感覚的な操作性を提供することができる。
〔実施形態3〕
次に、本発明の他の実施形態について図17〜図22に基づいて説明する。なお、上述の実施形態と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
ここで、本実施形態に係る入力装置2bは、振動部21と伸縮部26との代わりに、電極部(触覚刺激部)28を設けた点で、実施形態1、2に係る入力装置2、2aとは異なる。
〔入力装置2bの外観〕
まず、図17〜図22に基づいて、本実施形態に係る入力装置2bの外観について説明する。図17は、本実施形態に係る入力装置2bの外観を説明するための図である。
入力装置2bは、実施形態1に係る入力装置2と同様、電極部28の出力面(触覚刺激面)におけるユーザの接触位置を含む領域(第1の領域)と、当該領域を除いた他の領域(第2の領域)とが異なる出力状態となるように、当該電極部28を制御する。この場合の出力状態とは、出力面に微弱電流を発生させることによる、ユーザに対する電気的な出力の状態を指す。なお、上記出力状態としては、電気的な出力が行われていない状態(微弱電流が発生していない状態)を含むものとする。また、ユーザの接触位置を含む領域は、1つでなくてもよく、複数であってもよい。
また、例えばデジタルオーディオプレーヤ1に入力装置2bが備えられている場合、入力装置2bは、デジタルオーディオプレーヤ1のスクロール機能の動作と連動するように、電極部28における出力を制御する。
入力装置2bは、図17に示すように、電極部28とタッチパネル23とを備えており、細長い矩形となっている。また、図17に示す矢印の方向がキー表面方向、すなわちユーザが触れることによって電極部28の電気的な出力を知覚可能な面(出力面)方向を示しており、この場合、当該電極部28のタッチパネル23と対向する面とは反対側の面がキー表面となる。
入力装置2bは、出力面側から順に電極部28とタッチパネル23とが積層されており、微弱電流を発生させる領域の移動方向の長さ(図17に示す長さL)が、電極部28の出力面上において当該移動方向に対する垂直方向の長さ(図17に示す幅W)よりも長い構造となっている。なお、入力装置2bの形状(長さLおよび幅W)は、実施形態1、2に係る入力装置2と同一の形状である。
電極部28は、その出力面の特定領域に微弱電流が発生するものである。すなわち、電極部28は、当該電極部28の特定領域をユーザが触れることによって知覚可能な程度の電気的な出力を行う。この微弱電流の大きさは、ユーザが触れることによって知覚可能な程度の出力が実現される程度であることが好ましい。また、微弱電流は、電極部28を実装する入力装置2の大きさ、安全性等も踏まえて決定されるものであるが、例えば電荷量が10μC程度、周波数が数百Hz以下のパルス電流であってもよい。
電極部28は、上記振動セルと同様の構成であり、複数に分割された区画毎に独立して微弱電流を発生させることが可能な構成となっている。具体的には、電極部28の各区画には、図17に示すように、プラス電極およびマイナス電極からなる2つの導子281が対角となる位置に取り付けられている。そして、電極部28では、2つの導子281間に微弱電流を流すことによって、各区画からの電気的な出力が行われる。
すなわち、電極部28は、後述の制御部25bによって出力状態が独立に制御される複数の区画に分割された構造となっている。この構成によって、入力装置2bは、出力面において区画毎に独立した微弱電流を発生させることができるため、当該出力面の特定領域の出力状態(または当該特定領域以外の出力状態)を精度よく制御することができる。なお、各区画の大きさおよび形状については、実施形態1に係る入力装置2の振動部21に用いられる振動セルの各振動セルと同一の形状である。
電極部28の各区画は、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、EPDM、水素化ニトリルゴム、シリコンゴム等のゴムが用いられている。また、導子281は、例えば導電性平板電極が好ましく、上記ゴムにカーボンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電性粉末物、オイル等を分散させ、硫黄加硫またはパーオキサイド架橋したものが使用される。
なお、上記区画では、2つの導子281が対角となる位置に取り付けられているが、これに限らず、上記区画に微弱電流を発生させることができる構成であれば、当該区画内にどのように配置されてもよい。
また、電極部28における微弱電流の発生領域と非発生領域(微弱電流が発生していない領域)とは、図17に示す領域と逆になってもよい。すなわち、図17に示す発生領域が非発生領域となり、かつ図17に示す非発生領域が発生領域となるように、後述の制御部25bが電極部28を制御してもよい。
〔入力装置2bの構成〕
次に、入力装置2bを制御するための構成について図18に基づいて説明する。図18は、本実施形態に係る入力装置2bの概略構成を示すブロック図である。図18に示すように、入力装置2bは、タッチパネル23と、制御部(出力状態制御手段)25bと、記憶部27と、電極部28とを備えている。なお、図18に示す入力装置2bでは、タッチパネル23と、記憶部27と、電極部28にについては上述したので、ここではその説明を省略する。
制御部25bは、駆動制御部(出力状態制御手段)251bと位置制御部(出力状態制御手段)252bとを備えており、電極部28の出力面(触覚刺激面)におけるユーザの接触位置を含む領域と当該領域を除いた他の領域とが異なる出力状態になるように、上記電極部28を制御するものである。また、制御部25bは、入力装置2bの各種機能を制御するための所定の演算処理を行うものであり、例えばCPU等によって実現される。さらに、制御部25bは、入力装置2の制御部25と同様、デジタルオーディオプレーヤ1のアプリケーション制御部11と情報をやり取りすることによって、電極部28における出力状態とアプリケーションの状態を連動させることも可能である。さらに、制御部25bは、キー状態検出部12からの情報により、動作キー5の状態を検出することも可能である。
駆動制御部251bは、位置制御部252bから送信される電流発生位置情報に基づいて電極部28の出力面の特定領域に微弱電流を発生させるために、各区画の導子281に電圧を印加する。駆動制御部251aは、電流発生位置情報を受信すると、例えば当該電流発生位置情報と、当該電流発生位置情報に対応する区画の位置(すなわち電圧を印加する電極)とを対応付けた駆動対応テーブルを参照することによって、電極部28の特定領域に微弱電流を発生させてもよい。
なお、駆動制御部251bは、電極部28の導子281に印加する電圧は、電圧が印加される導子281を有する区画からの電気的な出力をユーザが知覚可能な程度の大きさであればよく、例えば1〜数百ヘルツの周波数の電流を発生させる程度の大きさであればよい。
位置制御部252bは、電極部28における微弱電流の発生領域を示す電流発生位置情報と、タッチパネル23から得られる接触位置情報とを制御するものである。また、位置制御部252bは、アプリケーションの状態と電極部28における微弱電流の発生領域とを連動させるものである。位置制御部252bは、位置制御部252と同様、例えばディスプレイ4に表示されるスクロールバー40の状態(つまみ部位41の位置)、メディアプレーヤによる動画または音楽再生時の音量、出力バランスおよび再生位置を、上記発生領域と連動させるように制御する。
〔入力装置2bにおける処理の流れ〕
次に、入力装置2bにおける処理の流れについて図19に基づいて説明する。図19は、入力装置2bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部25bは、図9に示すS31の処理と同様、動作キー5の状態がオンであるか否かを判定する(S61)。
制御部25bは、キー状態検出部12から有効信号を受信することによって、動作キー5の状態がオンであると判定した場合(S61でYES)、アプリケーション制御部11から、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41の位置を示すつまみ位置情報を検出する。制御部25bの位置制御部252bは、当該つまみ位置情報から電極部28の出力面に微弱電流を発生させる領域を示す電流発生位置情報を算出する。位置制御部252bは、例えばつまみ位置情報と電流発生位置情報とを対応付けた位置対応テーブルを参照することによって、当該電流発生位置情報を決定する。なお、位置制御部252bが位置対応テーブルを参照する場合には、当該位置対応テーブルが記憶部27に記憶されていてもよい。
位置制御部252bは、当該電流発生位置情報を駆動制御部251bに送信する。駆動制御部251bは、位置制御部252から電流発生位置情報を受信すると、当該電流発生位置情報の示す領域に対応する区画の導子281を駆動させることで、アプリケーション(つまみ部位41の位置)にあわせて電流発生位置情報の示す領域に微弱電流を発生させることとなる(S62)。なお、駆動制御部251bは、例えば電流発生位置情報と電極部28の各区画の導子281を識別する導子識別情報とを対応付けた駆動対応テーブルを参照することによって、当該導子281を駆動させる。駆動制御部251bが駆動対応テーブルを参照する場合には、当該駆動対応テーブルが記憶部27に記憶されていてもよい。駆動制御部251bは、位置制御部252bから電流発生位置情報を受信すると、当該電流発生位置情報を制御部25b内または記憶部27に記憶する。なお、制御部25bは、動作キー5の状態がオフであると判定した場合(S61でNO)、再びS61の処理に戻る。
S62の処理が完了すると、位置制御部252bは、図9に示すS23の処理と同様、タッチパネル23に対してユーザによる入力があったか否かを判定する(S63)。
位置制御部252bは、タッチパネル23に入力があったと判定した場合(S63でYES)、上記検知結果に含まれる接触位置を示す接触位置情報を検出し、記憶する。そして、位置制御部252は、S62の処理にて記憶した電流発生位置情報と、検出した接触位置情報とが一致しているか否かを判定する(S64)。なお、位置制御部252bがタッチパネル23に入力がないと判定した場合(S63でNO)、S61の制御部25bの処理に戻る。
なお、S63の処理において、位置制御部252bは、制御部25b(または記憶部27)に予め設定された所定の時間が経過した後に、タッチパネル23に対してユーザによる入力があったか否かを判定してもよい。この構成によれば、ユーザは、出力面を触れてから所定の時間が経過する間に、微弱電流の発生領域を探すことが可能となる。
位置制御部252bによって電流発生位置情報と接触位置情報とが一致していると判定された場合(S64でYES)、制御部25bは、電極部28における微弱電流の発生領域に対する制御を行う(S65)。一方、電流発生位置情報と接触位置情報とが一致しないと判定された場合(S64でNO)、制御部25bは、電極部28における微弱電流を発生させていない領域(微弱電流の非発生領域)に対する制御を行う(S66)。そして、制御部25bは、S65またはS66の処理を完了すると、入力装置2bにおける処理を終了する。
ここで、S65またはS66における制御部25bの具体的な処理の流れについて、図20〜図22に基づいて説明する。図20は、電流発生位置情報と接触位置情報とが一致した場合の、電極部28における微弱電流の発生領域に対する制御部25bの処理の流れを示すフローチャートである。また、図21は、電流発生位置情報と接触位置情報とが一致しなかった場合の、電極部28における微弱電流の非発生領域に対する制御部25bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。さらに、図22は、電流発生位置情報と接触位置情報とが一致しなかった場合の、電極部28における微弱電流の非発生領域に対する制御部25bにおける処理の流れの別例を示すフローチャートである。
図19に示すS65の処理では、制御部25bは、図20に示すように、動作キー5の状態がオンであるか否かを判定する(S71)。制御部25bがキー状態検出部12から有効信号を受信することによって動作キー5の状態をオンであると判定した場合(71でYES)、位置制御部252bは、タッチパネル23からユーザの指が離れたか否かを判定する(S72)。なお、図20に示すS71〜S73の処理は、図10に示すS31〜S33の処理と同様である。
S72の処理において、タッチパネル23からユーザの指が離れていなかったと判定された場合(S72でNO)、位置制御部252bは、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置の移動があったか否かを判定する(S73)。
接触位置の移動があったと判定された場合(S73でYES)、位置制御部252bは、現在の接触位置情報を電流発生位置情報として駆動制御部251bに送信する。駆動制御部251bは、位置制御部252bから電流発生位置情報を受信すると、当該電流発生位置情報の示す領域に対応する区画の導子281を駆動させる。すなわち、位置制御部252bは、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置にあわせるように、電極部28における微弱電流の発生領域を移動させる(S74)。
このとき、位置制御部252は、位置対応テーブルを参照して、現在の電流発生位置情報に対応するつまみ位置情報を取得し、アプリケーション制御部11に送信する。これにより、アプリケーション制御部11は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置に対応付けて(連動させて)、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41を移動させることができる。これにより、入力装置2bは、スクロールバー40で制御可能なアプリケーションの動作(ボリュームバー、バランスバー、再生バー、選局、早送り・巻戻し等の動作)を変更することが可能となる。
なお、S74の処理が完了した場合、および位置制御部252bによって接触位置の移動がなかった判定された場合(S73でNO)、S71の処理に戻る。また、制御部25bが動作キー5の状態がオフであると判定した場合(S71でNO)、位置制御部252bがタッチパネル23からユーザの指が離れたと判定した場合には(S72でYES)、入力装置2bの電極部28における微弱電流の発生領域に対する制御の処理を終了する。
次に、電極部28における微弱電流の非発生領域に対する制御部25bの処理について図21に基づいて説明する。図21に示す処理は、例えばデジタルオーディオプレーヤ1が動画または音楽を出力している場合にディスプレイ4に表示することが可能なボリュームバー、バランスバー、再生バーを操作するときに有効な処理である。
まず、図19に示すS66の処理では、制御部25bは、電極部28における微弱電流の発生領域を、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置と一致するように移動させる(S81)。具体的には、位置制御部252bは、タッチパネル23による検知結果に含まれる接触位置情報を現在の接触位置情報とすると共に、当該現在の接触位置情報を電流発生位置情報として駆動制御部251bに送信する。駆動制御部251bは、位置制御部252bから電流発生位置情報を受信すると、当該電流発生位置情報の示す領域に対応する区画の導子281を駆動させる。すなわち、位置制御部252bは、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置に、微弱電流の発生領域を移動させることによって、ユーザの接触位置と微弱電流の発生領域とを一致させる。
S81の処理が完了すると、制御部25bは、図19に示すS65の処理、すなわち図20に示す処理を実行する(S82)。そして、S82の処理が完了すると、入力装置2bの電極部28における微弱電流の非発生領域に対する制御を終了する。
すなわち、微弱電流の非発生領域にユーザの入力があった場合には、制御部25bは、微弱電流の発生領域をユーザの接触位置まで移動させる(接触位置に微弱電流の発生領域を一致させる)ことにより、当該微弱電流の発生位置にユーザが触れたときと同様の処理を行う。
ここで、制御部25bが振動位置情報と接触位置情報とが一致しないと判定した場合における、図21に示す入力装置2bの制御処理とは異なる処理について図22に基づいて説明する。図21に示す処理は、例えばデジタルオーディオプレーヤ1のウィンドウ内に表示されるスクロールバー40を操作するときに有効な処理である。なお、図22に示すS91〜S92の処理は、図12に示すS51〜S52の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
S92の処理において、タッチパネル23からユーザの指が離れていなかったと判定された場合(S92でNO)、制御部25bは、電極部28における微弱電流の発生領域を、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置の方向へ所定距離だけ移動させる(S93)。すなわち制御部25bは、S93の処理後再びS93の処理を行うまでの時間(1回のループにかかる時間)が同じ場合には、電極部28における微弱電流の発生領域を所定の速度で移動させることとなる。なお、S93の処理における制御部25bの処理は、図12に示すS53の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、S93の処理において、位置制御部252bは、位置対応テーブルを参照して、現在の電流発生位置情報に対応するつまみ位置情報を取得し、アプリケーション制御部11に送信する。これにより、アプリケーション制御部11は、タッチパネル23が検知したユーザの接触位置に対応付けて(連動させて)、ディスプレイ4に表示されるスクロールバー40のつまみ部位41を移動させることができる。なお、S93の処理が完了すると、S91の処理に戻る。
上記構成によれば、入力装置2bは、電極部28の出力面の特定領域に微弱電流を発生させ、当該微弱電流の発生領域をユーザの入力操作にあわせて移動するように制御することができる。すなわち、入力装置2bは、ユーザが電極部28の細長い矩形(帯状)の出力面を触れることによって、当該ユーザが触れた接触位置の移動にあわせるように当該出力面における出力を制御することができる。つまり、入力装置2bは、ユーザが触れた接触位置の移動を追随するように、出力面の他の領域とは異なる出力状態である領域を移動させることができる。
このため、入力装置2bは、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能をハードウェアとして実現することができる。これにより、入力装置2は、ソフトウェアとしてのスクロールバーの機能により制御可能なボリュームバー、バランスバー、再生バー、選局、早送り・巻戻し等の機能についても制御することが可能となる。
従って、入力装置2は、ユーザに電気的な知覚を提供することによって、ユーザに対する感覚的(触覚的)な操作性を向上させることができる。また、ユーザは、入力装置2bを利用することによって、ハードウェアとしてのスクロールバーを体感することができる。
さらに、入力装置2bは、ユーザに対して触覚的な出力を行うため、入力装置2b自体を見なくても操作することができる。入力装置2bがデジタルオーディオプレーヤ1に備えられている場合には、ユーザは、当該デジタルオーディオプレーヤ1のディスプレイ4を見なくても電極部28の出力面を触れるだけでその出力が認識できるので、入力装置2bに対してユーザ所望の操作を確実に行うことができる。
〔補足〕
最後に、入力装置2、2a、2bの各ブロック、特に制御部25および制御部25aの駆動制御部251、251a、251bと位置制御部252は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、入力装置2、2a、2bは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである入力装置2、2a、2bの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記入力装置2、2a、2bに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、入力装置2、2a、2bを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。