JP2010015864A - 燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池セルの乾きに対応した燃料供給制御を行うことにより、燃料電池セルの乾きを防止し、停止時間が長く経過したあとでも燃料電池の立ち上がりを早くすることができる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】燃料電池セルの発電停止中(燃料電池セルの吸排気口を閉じ、かつ供給燃料を零)の状態において、燃料電池セルのセル電圧Vをチェックしながら、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺を維持するように、吸排気口を閉じたまま、ごく少量の燃料を供給し続けることにより、セルの乾きを防止する。(A)では、燃料少量F1の供給オンオフの繰り返し、(B)では、燃料少量F2の連続供給、(C)では、セル電圧Vに関わらず当初から燃料少量F3の連続供給を行う。この閾値電圧VTは、実験等で予め、発電停止中の変化するセル電圧Vをパラメータとして、発電開始時の燃料電池セルの発電出力の立上がり時間との関係で決められた値である。
【選択図】図4
【解決手段】燃料電池セルの発電停止中(燃料電池セルの吸排気口を閉じ、かつ供給燃料を零)の状態において、燃料電池セルのセル電圧Vをチェックしながら、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺を維持するように、吸排気口を閉じたまま、ごく少量の燃料を供給し続けることにより、セルの乾きを防止する。(A)では、燃料少量F1の供給オンオフの繰り返し、(B)では、燃料少量F2の連続供給、(C)では、セル電圧Vに関わらず当初から燃料少量F3の連続供給を行う。この閾値電圧VTは、実験等で予め、発電停止中の変化するセル電圧Vをパラメータとして、発電開始時の燃料電池セルの発電出力の立上がり時間との関係で決められた値である。
【選択図】図4
Description
本発明は、携帯電話機等で使用される燃料電池の燃料制御に関するものである。
一般的に、燃料電池は、燃料電池セルと、水素やエタノールなどの燃料タンクと、燃料タンクから燃料電池セルへの燃料供給を調節するポンプと、燃料電池セルへの酸素(空気)吸気とセルからの水分排気とを兼ねる吸排気口及びこの開閉用の吸排気弁などを備える。そして、発電時には、燃料タンクから燃料電池セルへの燃料供給を行い、吸排気口を開けることで、水素と酸素を結合させて、電気と水を発生する。発電停止時には、燃料供給を停止し、吸排気口を閉じることで、水素と酸素の供給を停止している。
このような燃料電池を搭載した携帯電話機がある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の燃料電池自体には、吸排気口や吸排気弁の記載はない。この携帯電話機は折り畳み式の筐体であり、筐体の開閉状態により、携帯電話機が必要とする電力が異なることや使用者の携行状態が異なることに着目して、筐体が開かれた状態では燃料電池の発電を行って充電池に充電し、したがって発電に伴う水分が発生し、筐体が閉じられた状態では発電を停止し、したがって水分は発生しない。水分は、折り畳み式筐体の一方の表示筐体に設けられた排気穴から排気している。また、燃料電池への燃料の供給については、ガバナーで供給量を調節して発電量を制御している。また、充電池の充電量が特に少なくなっていれば燃料電池を常時運転させるモードの記載もある。
特開2007−88804号公報(段落番号27、43〜48)
燃料電池では、発電を停止したあとも燃料電池セルには供給された燃料が残っており、吸排気口を閉じても空気の漏れなどにより発電は微小ながら徐々に進行し、時間が経つと燃料電池セル内に残された燃料も空になって燃料電池セルは乾いた状態になる。この乾いた状態から燃料電池を発電させる場合、燃料電池セルに燃料を供給してもセル全体に燃料が行き渡らないと、本来の発電能力が発揮されない。この時間には数分から数10分程度かかり、燃料電池から十分な電力をすぐには得られないという問題があった。
特許文献1には、このような燃料電池セルの乾いた状態に関する問題点や対応の記載はなく、燃料電池セルが乾いてない良好な状態での制御と考えられる。
特許文献1には、このような燃料電池セルの乾いた状態に関する問題点や対応の記載はなく、燃料電池セルが乾いてない良好な状態での制御と考えられる。
本発明は、燃料電池セルの乾きに対応した燃料供給制御を行うことにより、燃料電池セルの乾きを防止し、停止時間が長く経過したあとでも燃料電池の立ち上がりを早くすることができる燃料電池装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池装置は、燃料電池セルと、燃料電池セルに供給する燃料を蓄える燃料タンクと、燃料電池セルへの供給燃料の供給量を調節するポンプと、燃料電池セルの酸素吸気および水分排気用の吸排気口と、吸排気口の開閉を行う開閉弁と、前記吸排気口を閉じた状態で、前記燃料電池セルの出力電圧が所定の閾値電圧を維持するように前記燃料の供給量を可変制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池セルの乾きに対応した燃料供給制御を行うことができ、燃料電池セルの乾きを防止し、停止時間が長く経過したあとでも燃料電池の立ち上がりを早くすることができる。
図1は、本発明の実施例に係る燃料電池装置100のブロック図である。燃料電池装置100は、燃料注入口1、燃料タンク2、ポンプ3(Variable Delivery Pump)、開閉弁4(Valve)、吸排気口5、燃料電池セル6、DC/DCコンバータ7、二次電池8、燃料電池出力端9、制御部10などから構成される。
燃料注入口1は、エタノールなどの水素成分を含む燃料を外部から燃料タンク2へ補充するための注入口である。燃料タンク2は、燃料を格納する。ポンプ3は、燃料電池セル6への燃料供給量を可変調節する。開閉弁4は、吸排気口5の開閉を行う。吸排気口5は、燃料電池セル6への酸素(空気)吸気および燃料電池セル6が発生する水分の排気用である。
燃料電池セル6は、発電時には、燃料と酸素の供給を受けることで発電し、電気と水を発生し、電気はセル出力6aとして出力し、水は吸排気口5から排気する。セル出力6aのセル電圧Vは、燃料供給量や負荷電流変動により電圧値が変動する。また、燃料電池セル6は、発電停止時には、燃料と酸素の供給が絶たれることで、発電が停止する。
DC/DCコンバータ7は、昇圧型のコンバータであり、セル出力6aを所定の定電圧に昇圧し、燃料電池出力端9に定電圧を出力する。また、DC/DCコンバータ7は、二次電池8に対して充電制御を行って充電する。
二次電池8は、補助用であり、DC/DCコンバータ7と並列に接続される。燃料電池セル6が停止して、DC/DCコンバータ7の出力が得られない場合でも、二次電池8から、携帯電話機等の外部負荷(図示しない)や制御部10のVDD端子へ電源を供給する。なお、二次電池8は、燃料電池装置100に内蔵しなくてもよく、その場合は、制御部10のVDD端子への電源供給は、外部の接続機器などから供給を受けるようにしてもよい。
二次電池8として充電容量の小さな電池が使われる場合など、すぐに放電してなくなってしまい、燃料電池装置100を使用するシステムにとって好ましくないので、燃料電池セル6の発電の立上がりを早くする必要がある。
制御部10は、ポンプ3や開閉弁4を制御して、燃料電池セル6の発電を制御する。本発明に関する制御部10の詳細制御については、後の図3、図4で説明する。
図2は、本発明の実施例に係る燃料電池セル6内部の乾きと立上がり時間の関係に関する実験を説明する図である。(A)は発電停止期間が短い場合、(B)は発電停止期間が長い場合、(C)は制御部10の本発明の制御の基となる閾値電圧VT(Volt Threshold)を表す。
(A)は発電停止期間が短い場合である。タイミングT0以前の発電中の状態では、吸排気口が開けられ、燃料も供給され、燃料電池セル6に燃料が行き渡っている。
タイミングT0において、吸排気口を閉じ、かつ燃料供給量を零にして発電を停止する。発電停止中は、燃料電池セル6内には、行き渡った燃料がまだ残っており、また、燃料電池セル6内に残っている僅かな酸素(空気)や漏れ混む酸素(空気)により、燃料電池セル6の発電は、完全には停止せず徐々に進み、セル内の燃料残量も徐々に低下する。また、セル電圧Vも徐々に低下する。
タイミングT0において、吸排気口を閉じ、かつ燃料供給量を零にして発電を停止する。発電停止中は、燃料電池セル6内には、行き渡った燃料がまだ残っており、また、燃料電池セル6内に残っている僅かな酸素(空気)や漏れ混む酸素(空気)により、燃料電池セル6の発電は、完全には停止せず徐々に進み、セル内の燃料残量も徐々に低下する。また、セル電圧Vも徐々に低下する。
セル電圧VがV1に低下したとき(タイミングT1)、発電を再開すると、この時点では、発電停止期間が短く、したがって、セルに燃料がまだ行き渡っており、燃料電池セル6の発電能力がすぐに発揮され、セル電圧Vは短い立上がり時間TR1(Time Rise)で略元の電圧値まで復帰する。
(B)は、発電停止期間が長い場合である。発電停止期間が長いとセルの乾きが発生し始め、乾きに伴ってセル電圧Vも急激に低下していく。今、セル電圧VがV3に低下した時点(タイミングT3)では、発電停止期間が長く、したがって、セルの乾きがすでに発生している。このセル電圧VがV3に低下した時点(タイミングT3)で、発電を再開すると、燃料を供給したにも関わらず、セルに燃料が行き渡るのに数分から数10分程度の時間がかかり、その間、発電能力が発揮されず、セル電圧Vは長い立上がり時間TR3かかってやっと略元の電圧値まで復帰する。これだと、燃料電池装置100を使用するシステムとして許されない。
(C)は、制御部10の本発明の制御の基となる閾値電圧VT(Volt Threshold)を実験で求めた結果である。(A)(B)で説明したように、セル電圧Vをパラメータとして、立上がり時間との関係を実験で求める。そして、立上がり時間として、この燃料電池装置100を使用するシステムとして許される短い立上がり時間が得られる最も低いセル電圧Vを閾値電圧VTとして決定する。
すなわち、閾値電圧VTは、V1とV2の間にあり、セル電圧Vが閾値電圧VTまで低下した時点(タイミングT2)で発電を再開すると、セル電圧Vは短い立上がり時間TR2で略元の電圧値まで復帰する。したがって、閾値電圧VTまで低下したタイミングにおいては、まだ、セル内の燃料が立上がりに影響するほど乾いてないことを意味する。
この実験は、セル内の燃料残量や乾きを直接観測するものではなく、セル内の乾きに起因して、発電停止中のセル電圧Vと、発電開始時のセル電圧Vの立上がり時間との関係が変化することに着目したものである。
なお、発電開始時のセルの発電能力として、セル電圧Vの立上がり時間をチェックしたが、セルの出力電力(電圧×電流)をチェックしてもよい。すなわち、セル内の乾きに起因して、発電停止中のセル電圧Vと、発電開始時のセルの出力電力の立上がり時間との関係により、閾値電圧VTを決定してもよい。
このように、予め実験等で決定した閾値電圧VTを基準にして、制御部10は制御を行う。その詳細を次に図3、図4により説明する。
図3は、本発明の実施例に係る燃料電池装置100の制御部10のフローチャート(例1)である。フローチャートは例1のみについて図示説明する。
図4は、本発明の実施例に係る燃料電池装置100の制御部10の制御を説明するタイムチャートであり、(A)例1、(B)例2、(C)例3の3通りの処理例を示す。
本発明の(A)例1、(B)例2、(C)例3での制御部10の制御は、発電停止中の処理であり、停止中にセル内の燃料が立上がりに影響するほどの乾きが発生しないように、ごく少量の燃料を供給するように制御する。そのとき、発電が進まないように吸排気口を閉じて行うことが特徴である。
図3は、本発明の実施例に係る燃料電池装置100の制御部10のフローチャート(例1)である。フローチャートは例1のみについて図示説明する。
図4は、本発明の実施例に係る燃料電池装置100の制御部10の制御を説明するタイムチャートであり、(A)例1、(B)例2、(C)例3の3通りの処理例を示す。
本発明の(A)例1、(B)例2、(C)例3での制御部10の制御は、発電停止中の処理であり、停止中にセル内の燃料が立上がりに影響するほどの乾きが発生しないように、ごく少量の燃料を供給するように制御する。そのとき、発電が進まないように吸排気口を閉じて行うことが特徴である。
(A)例1では、制御部10は、発電停止中の処理に入ると(ステップS1)、発電停止処理、すなわち、開閉弁4を閉じて吸排気口5を閉じる(ステップS2)およびポンプ3を停止して燃料供給量を零にする(ステップS3)(タイミングT0)。
そして、セル電圧Vと予め決められた閾値電圧VTとを比較し(ステップS4)、セル電圧Vが閾値電圧VT以下になると(タイミングT2)、ポンプ3を制御して極少量の燃料少量F1を燃料電池セル6に供給する(ステップS5)。すると、吸排気口5は閉じられているが、酸素(空)の漏れなどによる微小な発電によりセル電圧Vがゆるやかに上昇する。
制御部10は、次に、セル電圧Vと「閾値電圧VT+ヒステリシス分」とを比較し(ステップS6)、セル電圧Vが「閾値電圧VT+ヒステリシス分」以上になると、ポンプ3を停止して供給燃料を零にする(ステップS7)。
以上のステップS4〜S7をループして繰り返すことにより、燃料少量F1の供給オンオフが繰り返され、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺に維持される。また、このループ中に、微小な発電は発生するので、その水分を排気するために、定期的に、開閉弁4を開けて吸排気口5を一定時間開けて、また閉じる処理(ステップS8)(タイミングT4)を行う。
その後、発電処理が発生すると(フローチャートには図示しない)、発電を再開し(タイミングT5)、図2で説明したように、十分早い立上がり時間TR2を得ることができる。
なお、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺になるようにヒステリシスで燃料少量F1の供給オンオフを繰り返したが、インバータ制御のようにきめ細かく燃料の供給量を制御してもよい。
この例1によれば、発電停止中において、発電が進まないように吸排気口を閉じたまま、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺に維持されるようにごく少量の燃料を供給する。これにより、発電を再開したときに、十分早い立上がり時間TR2を得ることができる。
次に、図4の(B)例2について説明する。フローチャートは省略する。先の例1では、制御部10は、セル電圧Vが閾値電圧VT以下になると(タイミングT2)、ヒステリシスで燃料少量F1の供給オンオフを繰り返した。この例2では、制御部10は、セル電圧Vが閾値電圧VT以下を一旦検出すると(タイミングT2)、燃料少量F2を供給し続ける。
この燃料少量F2は、予め実験などで、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺を維持できるようにポンプ3の調節量を決めた時の供給量である。
この例2でも、発電停止中において、発電が進まないように吸排気口を閉じたまま、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺に維持されるようにごく少量の燃料を供給する。これにより、発電を再開したときに、十分早い立上がり時間TR2を得ることができる。
次に、図4の(C)例3について説明する。フローチャートは省略する。この例3では、制御部10としては、閾値電圧VTのチェックは行わない。制御部10は、発電停止のタイミングT0において、燃料を零にするのではなく、燃料少量F3を供給し続ける。
この燃料少量F3は、予め実験などで、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺を維持できるようにポンプ3の調節量を決めた時の供給量である。
この例2でも、発電停止中において、発電が進まないように吸排気口を閉じたまま、セル電圧Vが閾値電圧VT近辺に維持されるようにごく少量の燃料を供給する。これにより、発電を再開したときに、十分早い立上がり時間TR2を得ることができる。
1 燃料注入口
2 燃料タンク
3 ポンプ(Variable Delivery Pump)
4 開閉弁(Valve)
5 吸排気口
6 燃料電池セル
7 DC/DCコンバータ
8 二次電池
9 燃料電池出力端
10 制御部
100 燃料電池装置
2 燃料タンク
3 ポンプ(Variable Delivery Pump)
4 開閉弁(Valve)
5 吸排気口
6 燃料電池セル
7 DC/DCコンバータ
8 二次電池
9 燃料電池出力端
10 制御部
100 燃料電池装置
Claims (4)
- 燃料電池セルと、
燃料電池セルに供給する燃料を蓄える燃料タンクと、
燃料電池セルへの供給燃料の供給量を調節するポンプと、
燃料電池セルの酸素吸気および水分排気用の吸排気口と、
吸排気口の開閉を行う開閉弁と、
前記吸排気口を閉じた状態で、前記燃料電池セルの出力電圧が所定の閾値電圧を維持するように前記燃料の供給量を可変制御する制御手段と
を具備することを特徴とする燃料電池装置。 - 燃料電池セルと、
燃料電池セルへの供給燃料の供給量を調節するポンプと、
燃料電池セルの酸素吸気および水分排気用の吸排気口の開閉を行う開閉弁と、
前記吸排気口を閉じた状態で、前記燃料電池セルの出力電圧が所定の閾値電圧を維持するように予め決められた所定量の燃料を供給制御する制御手段と
を具備することを特徴とする燃料電池装置。 - 前記閾値電圧は、
前記燃料電池セルの発電停止中の変化する個々の出力電圧値と発電開始時の燃料電池セルの発電出力の立上がり時間との関係が予め求められ、所定の立上がり時間が得られる前記出力電圧値を予め閾値電圧として決定したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池装置。 - 前記制御手段は、
前記制御を行いながら、更に、一時的に前記吸排気口を開ける処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池装置。
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