JP2010014381A - 保温給湯装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単に据付けられ短工期であり、簡素な構成で省スペース、省ランニングコストであるとともに瞬間出湯可能なエコキュート(登録商標)を採用した保温給湯装置を提供する。
【解決手段】本発明に関わる保温給湯装置Sは、水または低温水をヒートポンプ給湯機1で加熱した温水を貯留する貯湯タンク2と、貯湯タンク2から供給される温水を用いた給湯配管11を介しての給湯の停止時に給湯配管11内に残留する残留温水を循環させる循環ポンプ6と、貯湯タンク2から温水が供給され該温水で満たされるとともに、残留温水が通流され該供給される温水との熱交換により残留温水を加熱する温水加熱コイル5aおよび貯湯タンク2から供給される温水が冷却した場合に該冷却した温水を加熱する補助ヒータ5cを内蔵する蓄熱密閉タンク5とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、浴槽、シャワー等を利用する場合に間欠使用に拘らず、適温で瞬間出湯できるエコキュート(登録商標)採用の保温給湯装置に関する
近年、燃料高騰と地球温暖化防止を背景に、90℃での給湯とCOP(Coefficient Of Performance)3が得られることが特長のCO冷媒を採用したヒートポンプ給湯機、即ち「エコキュート(登録商標)」の需要が旺盛である。
図4は、従来のエコキュート(登録商標)と開放タンク循環保温とを採用した給湯システム100Sの一例を示す図である。
従来の給湯システム100Sは、水道管109、配管109a、109b等を通って流入する水道水を加熱するヒートポンプ101と、ヒートポンプ101で加熱された高温水を一時貯留する貯湯タンク102と、ヒートポンプ101で加熱された高温水をヒートポンプ101から貯湯タンク102に送る給湯管103aと、貯湯タンク102内に貯留された高温水を外部の所定の給湯機器に向けて送り出す給湯管103bとをエコキュート(登録商標)ユニットとして備えている。
所定の給湯機器とは、浴室117に配設されるシャワー114を具える混合水栓113a、浴槽118への湯張りを行なう混合水栓113b等である。
浴室117の混合水栓113a、113bからの給湯は、貯湯タンク102から高温水をいきなり出湯して火傷しないように、混合自動弁108で高温水と水道水とを混合して、40℃〜42℃の適温にして給湯している。すなわち、混合自動弁108は、出口の湯温センサ122aと温度調節器122とにより、貯湯タンク102からの高温水と配管109cからの水道水とを適温に調整して開放タンク121に適温の温水を供給している。
開放タンク121内の温水量は、開放タンク121に設けた電極水位センサ123aとレベルスイッチ123との信号を用いて、混合自動弁108下流の給湯電動弁119を開閉して調整している。
ヒートポンプ101は、配管109bを介して常時水道圧を受けているため、これと連通する給湯電動弁119を開制御することにより、水道圧力で開放タンク121内に湯を供給できる。
浴室117を使用しない間、次回の給湯に備えて開放タンク121と浴室117の給湯管111は、開放タンク121および給湯管111内の適温の温水の保温のため、給湯管111末に給湯還り管112を連通し、加圧ポンプ125により常時温水を流動させ、温水の放熱による温度低下をヒータ105bにより加熱し解消し、瞬間出湯を可能にしている。
給湯再開時には、混合水栓113a、113bの開栓に伴う給湯管111の圧力低下を感知して加圧ポンプ125は、圧力を高め流量増加の運転を開始する。そのため、加圧ポンプ125は、水圧感知による自動運転装置付である。
従来の給湯用循環保温システムの他の一例を図5を参照して説明する。なお、図5は、従来のエコキュート(登録商標)と密閉循環保温を採用した給湯システム200Sの他の一例を示す図である。
図5に示す給湯システム200Sは、ヒートポンプ201、貯湯タンク202等の構成については、前記給湯システム100Sの構成と同様であるので、同様な構成要素には、200番台の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
給湯システム200Sの給湯は、水道水の給水圧力により行なわれ、浴室217にある給湯使用設備類のシャワー214、浴槽218への給湯は、混合水栓213a、213bを開くと出湯可能な水道圧力の届くフロアに適用される。
この場合、給湯配管211には、混合自動弁208の下流にあり使用温度に調整された温水が流れており、給湯配管211の管末に給湯還り管212を連通して接続させ、循環ポンプ206およびヒータ205bを併用して給湯配管211内の残留温水の循環保温を可能にしている。なお、温度調節装置を装備してヒータ205bを制御しているが、ヒータ205bに内蔵した温度調節の事例は、公知であり温度調節器の記載は省略する。
なお、本願に係る文献公知発明としては、下記のものがある。
特開2007−333239号公報 特開平6−221673号公報
ところで、従来の図4に示す給湯システム100Sおよび図5に示す給湯システム200Sにおいては、図4および図5に示すエコキュート(登録商標)ユニットの配管接続口Gより(ロ)側(図4、図5に示す配管接続口Gの右側)は設備工事で対応する必要があり、その都度、設計・施工が発生する。
そのため、図4、図5に示す循環保温の給湯システムの具体化には豊富な技術経験を要し、併せてこの技術者の不足がエコキュート(登録商標)普及の障害になっている。
更に、開放タンク採用の循環装置は現地設備工事と設計手間を伴い、コスト高のため、設計技術を持たない設備業者ではシンプルな片道給湯管で済ます例があり、かかる例では給湯開栓時に冷めた温水を放流、しばらく適温まで待つ不便を伴い利用者の利便性が犠牲にされる事例がある。このような背景から、高効率かつ簡便に設置ができる完成品の循環加熱システムが望まれている。
従って、これらの障害の解消と、エコキュート(登録商標)設置の簡便化が可能なヒートポンプ利用の循環加熱システムの開発が、当業者においては、技術課題となっている。
「エコキュート(登録商標)」は、多くの場合、低温の水道水から直接高温にする大温度差加熱においては高効率である反面、50℃〜60℃の給湯需要温度帯から高温にする小温度差加熱の循環加熱には低いCOP特性を有する。
すなわち、水道水よりかなり高い温度の50℃〜60℃からのエコキュート(登録商標)での高温水への加熱は、高負荷になり効率が悪く、現在、エコキュート(登録商標)採用の循環加熱のシステムでは、55℃以上の高温循環使用時の加熱は極めて低いCOPになる欠点がある。
そのため、従来の循環加熱には、図4に示すヒータ105b、図5に示すヒータ205bのように、簡便な電気ヒータが広く使用されている。しかし、これらのヒータ105b、205bは、消費電力が多く問題となっている。
本発明は上記実状に鑑み、給湯使用始めに際して、適温での瞬間出湯を実現するために、エコキュート(登録商標)の高い経済性で製造した90℃の高温水を蓄熱源として貯湯し、この蓄熱を循環保温に利用した高品質かつ設置作業の手間のかからない簡便なユニット型循環保温装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、エコキュート(登録商標)採用に際して、省スペース、簡単据付、省ランニングコスト、手間のかからない良質のエコキュート(登録商標)を広く、短工期で提供できるようにすることにある。
上記目的を達成すべく、本発明に関わる保温給湯装置は、CO冷媒を用いた冷凍サイクルのヒートポンプ給湯機を用いて温水を作り、給湯する保温給湯装置であって、水または低温水をヒートポンプ給湯機で加熱した温水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクから供給される温水を用いた給湯配管を介しての給湯の停止時に給湯配管内に残留する残留温水を循環させる循環ポンプと、貯湯タンクから温水が供給され該温水で満たされるとともに、残留温水が通流され該供給される温水との熱交換により残留温水を加熱する温水加熱コイルおよび貯湯タンクから供給される温水が冷却した場合に該冷却した温水を加熱する補助ヒータを内蔵する蓄熱密閉タンクとを備えている。
本発明によれば、簡単に据付けられ短工期であり、簡素な構成で省スペース、省ランニングコストであるとともに瞬間出湯可能なエコキュート(登録商標)を採用した保温給湯装置を実現可能である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
<<循環保温給湯システムSの全体構成>>
図1は、本発明の一実施形態に係るエコキュート(登録商標)熱源機と給湯利用先の混合栓13a、13bに接続される二重管構造の給湯送り主管11とを備える循環保温給湯システムSの概念的構成図である。
本発明に係る実施形態の循環保温給湯システムSは、水道管9から供給される水道水または低温水を加熱し高温水にするヒートポンプ式冷凍機1と、該ヒートポンプ式冷凍機1で加熱された高温水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2から高温水が供給され適温での瞬間出湯を可能とする置換蓄熱タンク5と、該置換蓄熱タンク5からの90℃前後の高温水と水道管9を通して供給される水道水とを混合し50〜60℃前後の適温の温水に調整し出湯する混合自動弁8と、該混合自動弁8から適温の温水が供給され混合栓13a、13bからの給湯を行なうとともに内部に循環保温用の循環内管11aが挿入される二重管構造の給湯配管である給湯送り主管11と、置換蓄熱タンク5内に配設され、給湯停止時に給湯送り主管11内に残留する温水が冷却しないように熱交換により加熱する温水加熱コイル5aと、給湯停止時に給湯送り主管11内に残留する温水を温水加熱コイル5aを通流させて循環させる循環ポンプ6と、利用者が操作する風呂リモコン、台所リモコン等の操作部60と、該操作部60からの操作指令等に従って循環保温給湯システムS全体を統括的に制御するコントローラ61とを備え構成されている。
以下、図1における温水の流れに沿って循環保温給湯システムSの各部を詳細に説明する。
<エコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1>
ヒートポンプ式冷凍機1は、水道管9からの水道水を外気、すなわち空気の熱で温水にする加熱源の所謂、エコキュート(登録商標)である。
このエコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1は、CO冷媒の膨張、圧縮を繰り返し、外界の空気から吸熱し低温の水道水を加熱する図示しない冷凍サイクルのヒートポンプと、配管9dを流れる貯湯タンク2からの水道水または低温水をヒートポンプ式冷凍機1に向けて送るとともにヒートポンプ式冷凍機1で加熱された高温水を給湯管3aを通して循環させる図示しない循環ポンプとを備えている。
ヒートポンプは、CO冷媒を圧縮する圧縮機(図示せず)と、圧縮され高温になったCO冷媒と貯湯タンク2から供給される水道水または低温水との間で熱交換させ加熱する温水加熱器(凝縮器)(図示せず)と、CO冷媒を膨張させ減圧する膨張弁(図示せず)と、減圧され温度低下したCO冷媒に外気の熱を吸熱する蒸発器(図示せず)と、蒸発器用の送風機(図示せず)とを有している。
<貯湯タンク2>
貯湯タンク2は、エコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1で加熱した温水を貯留するタンクであり、配管9cが接続され水道水が供給される水道受け入れ口9aとエコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1に配管9dを通して水道水または低温水を供給する給水口9bとが形成されている。
貯湯タンク2とエコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1とは給湯管3aを介して連結されており、貯湯タンク2には、温水消費側のシャワー14が接続される混合栓13a、浴槽18への湯張りを行なう混合栓13b等に温水を送り出すための給湯管3bが接続されている。
ここで、図1に示す接続口Gを境界として、(イ)側(図1に示す接続口Gの左側)はエコキュート(登録商標)ユニット範囲を示しており、(ロ)側(図1に示す接続口Gの右側)は給湯設備施工範囲を示している。
なお、エコキュート(登録商標)ユニット範囲とは、エコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1、貯湯タンク2、およびこれら廻りの配管をいう。
<置換蓄熱タンク5>
置換蓄熱タンク5には、図2に示す電気温水器Dを適用していることから、まず、電気温水器Dの構成について説明する。
<電気温水器D>
図2は、実施形態の循環保温給湯システムSの置換蓄熱タンク5に適用した電気温水器Dの一例であり、循環加温用熱交換コイル5a´内蔵タイプの電気温水器Dの概念的構成図である。
図2に示す電気温水器Dは、既に標準化量産されているものであり、熱効率の最適設計がなされており、希望する容量、機種など容易に入手できる。
電気温水器Dは、水道管3b´からタンク5´下部に給水してヒータ5c´により加熱して温水とし、タンク5´内の温水の温度を温度センサ20a´で検知して、この温度センサ20a´の温度検出信号を図示しないコントローラに入力し、コントローラの制御信号に従って温度調節器20´によってヒータ5c´に流す電流を制御し、タンク5´内の温水の温度を設定温度に制御している。タンク5´内の温水は、給湯管3c´を通って、温水消費側の図示しない混合水栓等に供給される。
電気温水器Dは、この貯湯を行なう構造に加え、浴槽内のお湯の保温や小規模床暖房等の循環保温を行なう温水の加熱のために、循環温度制御装置Eを装備している。この循環温度制御装置Eから温水循環給湯配管4´に供給される温水は、所望の設定温度へ制御可能である。
循環温度制御装置Eは、浴槽内のお湯や小規模床暖房の温水等が巡る給湯環り管12´と、該給湯環り管12´を流れる温水の温度を検知する環り温度センサ19a´と、循環温度制御装置Eで加熱され設定温度の温水が出湯される循環給湯配管4´と、該循環給湯配管4´を流れる温水の温度を検知する送り温度センサ19b´と、給湯環り管12´を通って環る冷却された温水または水を所定温度の温水にして循環給湯配管4´に出湯する加熱制御弁7´と、環り温度センサ19a´で検知した給湯環り管12´内の環り温水の温度情報と送り温度センサ19b´で検知した循環給湯配管4´内の温水の温度情報とから循環給湯配管4´を流れる温水の温度が所定の設定温度になるように加熱制御弁7´を制御する温度調節器19´とを有し構成されている。
ここで、加熱制御弁7´は、給湯環り管12´を通って巡る冷えた温水または水を、タンク5´内の循環加温用熱交換コイル5a´を通すことによりタンク5´内の高温水と熱交換を行ない加熱し高温にした温水と、給湯環り管12´を通って巡る冷えた温水または水とを混合して、温度調節器19´で設定された所定温度の温水にして循環給湯配管4´に出湯している。
図1に示す本循環保温給湯システムSの置換蓄熱タンク5は、この電気温水器Dの構成を転用したものであり、容量全体が温水で満たされる密閉構造の蓄熱密閉タンクである。
この場合、図2に示す電気温水器Dの水道管3b´は、転用後の図1においてエコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1の高温湯を置換蓄熱タンク5に供給するための給湯管3bに該当する。
また、実施形態の循環保温給湯システムSでの循環保温の熱源は、通常、蓄熱貯湯タンク5のみであり、毎日給湯を使用する場合においては、図1に示す補助ヒータ5cは必ずしも必要ではない。
しかし、給湯が隔日または連休など24時間以上ヒートポンプが休止する場合に、給湯配管の給湯送り主管11内に残留する温水の保温要求があるときに限り、非常用として補助ヒータ5cの使用によって置換蓄熱タンク5内の温水のバックアップ保温を行なうことを可能にしている。
続いて、図2に示す電気温水器Dの循環給湯配管4´に供給する温水の温度制御について説明する。
図1に示したヒートポンプ給湯では詳細な図示を省略しているが、図2に示す電気温水器Dに装備している循環温度制御装置Eを、小規模の循環保温給湯システムSの給湯のケースには、そのまま図1の用途に転用することが可能である。
実施形態の循環保温給湯システムSによる給湯規模の多くは給湯量に比例して、給湯停止時の給湯送り主管11に残留する温水の循環量が増加する。
そのため、図2に示す環り温水の温度変化に応じて流量調整可能な循環温度制御装置Eは取り外し、図1に示すように、必要な給湯規模専用に循環ポンプ6を設置して、環り温水、すなわち給湯第1環り管12aを流れる温水の温度変化に応じて循環ポンプ6によって給湯第1環り管12a内の流量を調整可能なように構成している。
勿論、循環温度制御装置Eを外した循環保温給湯システムSを標準品とし、この標準品以外に、図2と同様な目的での温水温度制御装置Eを取り付け適用することも可能である。
図2に示す循環温度制御装置Eを図1に示す循環保温給湯システムSに適用した場合、図2の括弧内に符号を示すように、図2に示す給湯環り管12´が図1に示す給湯第2環り管12bに相当し、図2に示す循環給湯配管4´が図1に示す循環給湯配管4に相当することになる。
この循環温度制御装置Eを適用した循環保温給湯システムSは、循環温度制御装置Eを適用しない図1に示す循環保温給湯システムSに比較し、よりきめ細かな給湯制御を行なうことが可能となる。
上記の如く構成された図1に示す循環保温給湯システムSの置換蓄熱タンク5には、エコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1で加熱され貯湯タンク2に貯留される高温水が、給湯管3bを通して供給される。
この置換蓄熱タンク5は、混合栓13a、13bから給湯が行なわれ内部に貯留される高温水が消費される度にヒートポンプ式冷凍機1からの高温水が、給湯管3bを介して供給され高温の熱置換が繰り返される。
また、置換蓄熱タンク5には、給湯送り主管11内の温水を循環させ、置換蓄熱タンク5の高温水の熱により保温することを目的として、給湯送り主管11内の温水を循環させ置換蓄熱タンク5内の高温水と熱交換して加熱するための温水加熱コイル5aを内蔵している。
また、置換蓄熱タンク5には、給湯が隔日もしくは連休など24時間以上、ヒートポンプ式冷凍機1が休止する場合の保温要求に対応して、非常用として補助ヒータ5cが内部にその加熱表面積が大きくなるように突設されている。
そして、置換蓄熱タンク5の上部には、高温水を送り出す給湯管3cが接続され、給湯管3cは、混合栓13a、13bからの給湯を行なうための混合自動弁8の混合弁温水入口8aに連結されている。
<混合自動弁8>
混合自動弁8は、置換蓄熱タンク5の高温水が供給される給湯管3cが接続される混合弁温水入口8aと、水道水が供給される混合用水道管10が接続される混合弁水道入口8bと、置換蓄熱タンク5からの高温水と混合用水道管10からの水道水とが混合されて所定温度の温水が出湯される混合温水出口8cとを有している。
そして、図示しない温度センサで混合用水道管10内の水道水の温度、給湯管3c内の温水の温度等が検出され、その温度検出信号がコントローラ61に入力され、コントローラ61の制御信号により、混合自動弁8の開度が制御され、置換蓄熱タンク5から給湯管3cを介して供給される高温水と混合用水道管10から供給される水道水との混合量が調整され、混合自動弁8の混合温水出口8cから設定された所定温度の温水が出湯されている。
<給湯送り主管11>
図3(a)は、混合水栓13aからの給湯時の図1に示す給湯送り主管11のA部拡大図であり、図3(b)は、混合水栓13bからの給湯時の図1に示す給湯送り主管11のB部拡大図であり、図3(c)は、混合水栓13a、13bからの給湯停止時に給湯送り主管11内に残留する温水を循環保温する場合の図1に示す給湯送り主管11のB部拡大図である。
混合自動弁8の混合温水出口8cより下流は、逆止弁15bを介して、図1に示すように、二重管構造の給湯送り主管11を経由して、図3(a)、図3(b)に示すように、給湯分岐管11c1、11c2を介して、それぞれ混合水栓13a、13bに至る。そして、混合水栓13aで配管10a1からの水道水と混合され適温とされシャワー14から給湯ができ、また、混合水栓13bで配管10a2からの水道水と混合され適温とされ浴槽18に給湯できるように構成されている。
給湯送り主管11は、混合水栓13a、13bからの給湯が休止状態の際にその内部に残留する温水(以下、残留温水と称す)を保温することを目的として、二重管の給湯配管循環保温構造としている。
すなわち、給湯送り主管11は、混合水栓13a、13bからの給湯が休止状態の場合に内部に残留温水を含む配管は放熱により冷えることから、給湯送り主管11を、外管11bと外管11bの内部に挿入された循環内管11aとの二重構造(図2参照)として、放熱表面積を低減したものである。
図1、図3に示す給湯送り主管11内の循環内管11aは、循環保温に必要な湯量を賄うために、エコキュート(登録商標)の規模にもよるが、例えば、10mm〜20mm管外径若しくは内径が選択可能である。この場合、循環内管11aは、巻回されたフレキシブルな耐熱性のポリエチレン管等の樹脂管を使用することができる。
給湯送り主管11内の挿入管である循環内管11aには、保温熱源となる温水が、循環ポンプ6を用いて、給湯第1環り管12a、給湯第2環り管12b、温水加熱コイル5a、および循環給湯配管4を経由して、循環内管11aの入り口の一方端11a1から供給され、白抜き矢印α9のように、循環内管11a内を流れる。
そして、図3(c)に示すように、循環内管11aの他方端11a2から循環内管11aと外管11b間の二重管隙間に白抜き矢印α6のように折り返し流れ、循環内管11aと外管11bと間の二重管の隙間を図1の白抜き矢印α10のように流れ外管11bの還流口11b3から出湯し、給湯第1環り管12a、循環ポンプ6、給湯第2環り管12bを介して温水加熱コイル5aに環る循環加熱型の給湯配管の保温構造を形成している。
なお、図1に示すように、給湯送り主管11の外管11bには、膨張タンク16が設けられ、該管路が密閉構造のために温水の体積膨張変化で生じる異常圧力を膨張タンク16により吸収し、給湯設備が異常高圧になることを保護している。
<操作部60>
図1に示す操作部60は、利用者が、循環保温給湯システムSでの浴槽18内への湯張り、混合栓13a、13bからの給湯等を行なうために入力操作を行なう機器であり、浴室に配置される風呂リモコンやキッチンに配置される台所リモコン等である。
操作部60は、浴槽18に湯張りするための湯張りモード、混合栓13a、13bからの給湯を行なうための給湯モード等が選択可能であり、浴槽18への湯張り時の温水の温度、混合栓13a、13bからの給湯時の温水の温度等を設定できる構成である。
この操作部60は、コントローラ61と有線または無線で電気的に接続されており、利用者による操作部60への入力操作が、コントローラ61に操作信号として入力されている。
<コントローラ61>
コントローラ61は、循環保温給湯システムSを電子制御する制御装置であり、操作部60からの操作信号、還り温度センサ19a等の種々のセンサで検出した信号等に応じて制御を行なうマイコン(Microcomputer:マイクロコンピュータ)と、操作部60、種々のセンサ等で検出された検出信号等をマイコンに適合した入力信号に変換する増幅回路、A/D変換回路等の入力インターフェースと、マイコンからの制御信号の出力信号に応じて循環ポンプ6等のアクチュエータを駆動するための駆動回路等の出力インターフェースとを備え構成されている。
このコントローラ61は、マイコンのROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムに従って、循環保温給湯システムSの循環ポンプ6、混合自動弁8等の各種アクチュエータおよびエコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1などを制御し、浴槽18への湯張り、混合栓13a、13bからの給湯等の各種のモードの制御を行なうものである。
<<循環保温給湯システムSの動作>>
次に、循環保温給湯システムSの動作について説明する。
<ヒートポンプ式冷凍機1による貯湯タンク2への貯湯>
図1に示すように、水道管9から低温の水道水が、矢印α1のように、逆止弁15a、水道減圧弁31等を介して貯湯タンク2の下部に供給される。
そして、コントローラ61の制御により、ヒートポンプ式冷凍機1の図示しない循環ポンプが稼動することで、貯湯タンク2内下部の水道水または低温水が、図1の矢印α2のように、配管9dを通ってヒートポンプ式冷凍機1内の配管(図示せず)に導かれ、冷凍サイクルの温水加熱器(図示せず)で外気から吸熱した熱との熱交換が行なわれ加熱された後、図1の矢印α3のように、給湯管3aを通って貯湯タンク2に供給され、貯湯タンク2内に約90℃前後の高温水が貯湯される。
そして、貯湯タンク2内の高温水が、図1の矢印α4のように、給湯管3bを通って、置換蓄熱タンク5内に供給される。
<混合栓13a、13bからの給湯>
こうして、予め、置換蓄熱タンク5内に85℃程度の高温水の貯湯が完了した後、置換蓄熱タンク5内の高温水は、水道減圧弁31により減圧された水道水圧によって、図1の矢印α5のように給湯管3cを介して混合自動弁8の混合弁温水入口8aに導かれる。
この混合弁温水入口8aの高温水と、水道水圧によって水道管9、混合用水道管10を通って混合自動弁8の混合弁水道入口8bに導かれた水道水を、コントローラ61の制御により、混合自動弁8の開度を調整することにより、混合制御して混合温水出口8cから適温(例60℃)の温水を出湯する。
そして、この適温の温水を、逆止弁15bを通過させた後、給湯送り主管11の外管11bの入り口11b1から、給湯送り主管11の外管11bと循環内管11aとの隙間に供給する。
そして、混合自動弁8から供給された適温の温水は、給湯送り主管11の二重管構造の外管11bと循環内管11aとの隙間を流れ、使用している給湯分岐管11c1、11c2からそれぞれ混合水栓13a、13bに達し、更に混合水栓13a、13bでそれぞれ、使用者により水道水と混合され所望の適温とされ出湯される。
<循環保温給湯システムSの循環保温機能>
次に、循環保温給湯システムSの循環保温機能について説明する。
一般に、混合水栓13a、13bからの給湯の休止が10分程度の間欠使用の場合には、給湯の温度低下は許容の範囲に納まるが、次回の混合水栓13a、13bからの給湯まで30分以上経過した場合、給湯用配管内に残留する温水は、該温水より低い温度の外気により冷却され、適温外に温度低下する。
この給湯用配管内に残留する温水の温度低下を抑制するために、循環保温機能を使用し、給湯用配管の給湯送り主管11内に残留する温水を適温に維持している。
循環保温給湯システムSでは、熱源である置換蓄熱タンク5内蔵の温水加熱コイル5aを利用して、給湯用配管の給湯送り主管11内に残留する残留温水を、下記のようにして、給湯のための適温に維持している。
まず、コントローラ61におけるタイマにより給湯後の経過時間が測定され、給湯後、所定時間が経過したとコントローラ61で判断された場合、コントローラ61の制御により、循環ポンプ6が稼動される。
この循環ポンプ6の稼動により、給湯送り主管11内に残留する残留温水は、図1に示す給湯送り主管11の外管11bの還流口11b3から出湯して、図1の白抜き矢印α7のように、給湯第1環り管12aを通って、循環ポンプ6を介して、給湯第2環り管12bを通り、置換蓄熱タンク5内の温水加熱コイル5aに通流される。置換蓄熱タンク5内の温水加熱コイル5aに送られた残留温水は、置換蓄熱タンク5内の高温水と熱交換され加熱された後、図1の白抜き矢印α8のように、循環給湯配管4を通って、逆止弁を介して、給湯送り主管11の循環内管11aの一方端11a1から該循環内管11aに送られる。
循環内管11aに送られ加熱された残留温水は、循環内管11a内を一方端11a1から図1の白抜き矢印α9のように、他方端11a2まで流れ、循環保温時の図1のB部拡大図の図3(c)に示すように、循環内管11aの他方端11a2から、図3(c)の白抜き矢印α6のように流出し、その後、給湯送り主管11の外管11bの末端部11b2から、図1の白抜き矢印α10のように、外管11bと循環内管11aとの隙間を外管11bの入り口11b1側に向けて流され、再び、還流口11b3から、給湯第1環り管12a内に還流される。この循環流れが、コントローラ61の制御によって、循環ポンプ6の稼動により、継続される。
この循環流れのモードにおいては、還り温度センサ19aにより、給湯第1環り管12a内の温水の温度が検出され、その温度検出信号が、温度調節器19を介して、コントローラ61に入力され、コントローラ61から給湯第1環り管12a内の温水の温度が設定温度、例えば60℃になるように、制御信号が温度調節器19に出力される。
この制御信号が入力された温度調節器19は、ポンプ用インバータ6aを用いて循環ポンプ6の回転角速度を制御して、給湯第1環り管12a、給湯第2環り管12b内を流れる残留温水の流量を制御することにより、還り温度センサ19aで検出される給湯第1環り管12a内の温水の温度が、設定温度、例えば60℃になるように制御する。
このように、循環保温給湯システムSの循環保温機能においては、熱源である置換蓄熱タンク5内蔵の温水加熱コイル5aを利用するために、温水加熱コイル5a内を通流し加熱された残留温水を、循環給湯配管4を経由して二重管構造の給湯送り主管11の循環内管11aの一方端11a1から循環内管11aに流し、二重管構造の給湯送り主管11の外管11bと循環内管11aとの隙間に温水の流れを反転して給湯送り主管11に熱を付与した後、循環ポンプ6の動力により、給湯第1環り管12a、給湯第2環り管12bを経由して、温水加熱コイル5aに再循環させて、給湯管である給湯送り主管11の保温効果を発揮している。
この構成の特筆すべき効果は、給湯送り主管11が、外管11bと循環内管11aとの二重管構造を採用しているため、外気露出部の管長が短いことから、給湯送り主管11の外周面の放熱面積が縮小され放熱が極めて少ない。そのため、給湯環り管を兼ねた給湯送り主管11からの温度低下が少ないという特長を有し、熱源である置換蓄熱タンク5の有効保有熱を長く利用可能としたものである。
<<作用効果>>
<循環保温機能による保温の維持可能な時間>
次に、循環保温給湯システムSの特長である省エネルギ循環保温の維持可能な時間について事例を用いて説明する。
給湯の熱源である置換蓄熱タンク5の貯湯量を560L(リットル)とした場合、利用可能な温度範囲が85℃から75℃までの温度差10℃とすると、利用可能な熱量は、
560L×10℃÷0.86=6,511W(5600Kcal)
である。
この置換蓄熱タンク5の利用可能な蓄熱量、すなわち6,511Wに対して、二重管構造の給湯配管である給湯送り主管11からの放熱条件を、外気温10℃、湯温60℃、両者の温度差50℃、給湯配管サイズ25A(外管11bの口径)、管1m当り1時間の放熱量15Wとした場合、露出配管長30mの循環保温を60℃に維持可能な時間は、置換蓄熱タンク5の蓄熱量(約6,500W)を二重管構造の露出配管長30mの放熱で消費するとし、置換蓄熱タンク5の蓄熱量(約6,500W)を二重管構造の露出配管長30mの1時間当りの放熱量で除算することにより、単純計算で、
6,500W÷(15W/m×30m)≒14時間
維持可能と考えられる。
この場合、例えば、エコキュート(登録商標)の夜間沸上げを8時に停止すると、当日12時間後の20時に浴室を利用する時まで十分な保温維持が可能である。
この効果は、業務用給湯を利用する美容院、レストラン、福祉施設、レジャー銭湯、病院など、昼間営業の瞬間出湯要求(瞬間的に所望温度の温水の出湯を要求されること)のほか社宅、寮、ホテルなど夜間給湯需要における瞬間出湯ニーズの対応も可能になり、省エネルギ効果に加え、実用性と簡便な製造および施工、これに伴うコストダウンによる廉価を実現した構成である。
これに対して、実施形態の循環保温給湯システムSと異なる従来技術の往復露出の循環配管は、循環配管の放熱面積が2倍になることから単純に2倍の放熱を伴うため、保温維持できる循環保温時間は約7時間に半減するため、夕刻まで維持できないこととなり、保温性能の欠点は明らかである。
以上述べた本実施形態の効果は、従来技術で製造した安価な図2に示す電気温水器Dのタンク5´を置換蓄熱タンク5(図1参照)(第一の発明)に転用したものであり、該置換蓄熱タンク5は、給湯に対する温水の保温(約50℃から60℃前後)に対して熱効率が高いものであり、低ランニングコスト、すなわち省エネルギ運転を可能としている。
また、給湯配管の放熱を最小にできる二重管構造の給湯配管(第二の発明)を循環に採用した相乗効果により、高い省エネルギ性を創出したエコキュート(登録商標)を簡便に提供できるようにしたことである。
従って、浴槽、シャワー等を利用する場合に間欠使用に関らず、省エネルギかつ適温で瞬間出湯できる給湯システムを、製造および施工が簡便になるように実現するとともに、低価格、低ランニングコストを図れるエコキュート(登録商標)採用の高効率循環保温性能を有する循環保温給湯システムSを実現できる
なお、本実施形態では、給湯時には、二重管構造の給湯送り主管11の外管11bと循環内管11aとの隙間に温水を流して混合栓13a、13bから給湯する一方、給湯停止時の給湯送り主管11内の残留温水の保温時には、二重管構造の給湯送り主管11の循環内管11aから外管11bと循環内管11aとの隙間に残留温水を流し循環させる構成を例示して説明したが、混合自動弁8の混合温水出口8cの下流から分岐して循環内管11aの一方端11a1に連結されるとともに該方向のみの流れを許容する逆止弁を配置した分岐管を設け、混合栓13a、13bからの給湯時に、混合自動弁8から該分岐管を介して給湯送り主管11の循環内管11a内へ温水を供給する構成としてもよい。
ここで、給湯停止時の残留温水の加熱のための残留温水の循環時には、分岐管の逆止弁により、循環内管11aから混合自動弁8に向けて残留温水が流れることはない。
或いは、本実施形態とは異なり、給湯停止時の循環保温時に、温水加熱コイル5aで加熱した残留温水を外管11bと循環内管11aとの隙間に送った後に循環内管11aを通って還流させる構成としてもよく、二重管構造の給湯送り主管11を用いて、混合栓13a、13bからの給湯および給湯停止時の残留温水の温水加熱コイル5aを通流させる加熱ための循環流れが行えれば、給湯時に温水を流す方法および給湯停止時の残留温水を循環流れさせる方法は適宜選択可能であり、限定されない。
また、本実施形態では、貯湯タンク2と、補助ヒータ5cおよび温水加熱コイル5aを内蔵した置換蓄熱タンク5とを別体で構成した場合を例示して説明したが、貯湯タンク2と置換蓄熱タンク5とを一体に構成することも可能である。
貯湯タンク2と置換蓄熱タンク5とを一体に構成することにより、タンクが一つで済むとともに、両タンクを連結する配管が不要になるので、よりシンプルな構成が可能であり、部品原価が削減されるとともに現場施工が簡略化され、更なる低コスト化が可能である。
<<まとめ>>
本発明の循環保温装置に係る第一の発明は、CO冷媒を用いた冷凍サイクルのヒートポンプ給湯機(以下エコキュート(登録商標)と称す)を利用したシャワーや、浴槽給湯において給湯休止後の適温(約42℃)で瞬間出湯を行なうために放熱を伴う給湯配管保温に対応できる高い熱効率(COP)の加熱装置の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)を備えた循環保温システムであり、装置構成として、エコキュート(登録商標)のほか、温水加熱コイル(5a)および補助ヒータ(5c)を内蔵装備した熱源用の蓄熱密閉タンクと、循環ポンプ(6)とを用いて構成している。
第一の発明は、密閉構造の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)を有し、該蓄熱密閉タンクは、エコキュート(登録商標)のヒートポンプ式冷凍機1から送られる高温水を出湯する機能並びに高温水を給湯で消費しては供給される置換貯湯の機能を有し、給湯停止時に迅速に循環環り湯を加熱できる温水加熱コイル(5a)を蓄熱密閉タンクに内蔵する構成である。
この熱源に用いる蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)は、給湯使用の度にエコキュート(登録商標)からの高温水に置換される効果に着目し、この貯湯熱を温水加熱コイル(5a)で取り出して循環加熱に利用できるように構成したものであり、給湯のための温水の温度(約50℃から60℃前後)の保温に熱効率が高いものである。
そして、給湯停止時に給湯配管(給湯送り主管11)に残留する残留温水の循環保温に必要な流量と圧力を付与するポンプ(循環ポンプ6)を内蔵している
この場合、温水加熱コイル(5a)に流す環り湯量を循環保温に必要かつ経済的湯量になるよう調節できる機能(還り温度センサ19a、温度調節器19、ポンプ用インバータ6a、コントローラ61等)を設けている。
また、給湯先(混合水栓13a、13b)から求められる適温での給湯を可能にするために、蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)に貯湯される高温水と水道水とを適温に混合して調整する混合自動弁8を設けるとよい。
なお、第一の発明の背景として、従来技術の給湯停止時の給湯配管内に残留する残留温水の加熱は、簡便な電気ヒータを多用しているが該電気ヒータのエネルギ消費効率(以下、COPと称す)は1以下のため、COPが3倍高いエコキュート(登録商標)自体による循環加熱への改善が望ましいが、高温域の循環加熱時のCOP特性が低く保温に不適当なため、従来の用途はCOPが高い水道水から沸き上げる一過加熱に重点的に使用している。
かかる状況において、従来の一部のエコキュート(登録商標)製品において温度帯55℃〜60℃の循環加熱可能な製品もあるが不本意なCOP性能で終わっているのに対して、本発明は、エコキュート(登録商標)の高いCOPを維持しながら循環加熱に利用できるようにした技術である。
従来の循環保温配管は、給湯送り主管の端末に細径の還り管を接続し、給湯停止時に給湯送り主管に残留する残留温水の加熱装置に還る往復配管は常に大気に露出しており放熱表面積が大きい。
この放熱量削減のために、給湯送り主管、往復配管等の全てに、断熱材のグラスウール等を巻き保温する保温被覆施工を必要としている。
このように、従来、給湯使用しない時間帯の給湯配管は、保温のための被覆をしているが外気の影響を受けて放熱し、残留温水が冷めてくるという課題があった。この課題を解決するため、従来技術は、給湯配管をループ状にしてポンプとヒータ併用により循環保温している。この場合の循環配管は、往復露出配管であるため放熱面積が大きく、放熱量も配管長さにほぼ比例して増大する欠点があった。
そこで、本発明は、給湯配管の放熱量の最小化のために、給湯配管の外気露出部をシンプルかつ最小化することが基本的に必要であることに着目し、送り給湯管と環り配管を外観上1本の二重管構造の給湯送り主管とし、放熱を伴う露出管長を半減、すなわち放熱面積を半減するようにしている。
本発明の循環保温装置の第二の構成は、給湯管からの放熱量を最小限にする目的を達成するために、蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)に接続される給湯配管(給湯送り主管11)の温水供給口(入り口11b1)から給湯使用末端に至る給湯送り主管の構造を二重管式にして、二重管内循環保温構造を形成することにより、外観上給湯配管(給湯送り主管11)を一本にして放熱を伴う露出配管長を半減し、放熱面積を減少させている。
すなわち、給湯送り主管内に細管の循環内管を給湯送り主管の先端部近傍まで挿入し、この細管の循環内管に熱源の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)からの温水を供給し、該給湯送り主管内先端からUターン循環させる二重管構造を採用することにより管露出部、すなわち放熱面積の最小化を図り、この蓄熱源の有効利用時間を大幅に延長できる波及効果を創出している。
また、循環保温に伴う加熱エネルギ消費量を半減し、給湯の総合的な省エネルギを図っている。
これにより、給湯停止時に給湯管に残留する残留温水の循環熱損失の削減と、配管保温施工費用の削減がもたらされ、給湯装置の提供者および利用者双方に有効な総合的コスト低減を可能としている。
本発明の循環保温装置に係る第二の発明は、より具体的には次の通りである。
給湯停止時に給湯配管内に残留する残留温水に対する循環保温を必要とする主な用途は、浴槽、シャワーなど人体に直接接触する給湯であるため、火傷しない範囲の50℃を超えない循環保温温度もしくは60℃の給湯では水道水との手元自動混合水栓を採用した給湯設備が一般的に採用されている。
したがって、エコキュート(登録商標)の出湯温度90℃は、貯湯熱量の高密度化が目的であるため、この温度の循環保温のケースは極めて稀である。
ここで提供しようとする給湯は、概ね、適温が50℃〜60℃範囲のものであり、この適温の給湯に必要な循環保温について、その働きについて更に説明する。
二重管構造の給湯配管の挿入内管(循環内管11a)の細管のサイズは、循環保温に必要な湯量を賄うために、エコキュート(登録商標)の規模にもよるが、10mm〜20mm管外径若しくは内径で済む。
この場合、二重管構造の外管は、給湯熱源より流れる湯量により適当な口径を選定するが、二重管における流路面積は、外管と挿入内管(循環内管11a)の隙間が有効な流路である。
<作用>
次に、二重管構造給湯配管において循環保温を形成する挿入細管の循環内管11aの作用について説明する。
二重管入口部の挿入細管の循環内管11aに流入する熱源の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)で加温された温水の温度は、おおよそ60℃である。この温水が二重管の挿入細管の循環内管11aの先端部(他方端11a2)で二重管の内外管隙間内に放出され内外管隙間を逆流して、挿入細管(循環内管11a)内の温水に対する保温および外気への放熱による温度降下を伴いながら熱源の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)に至る。
この場合、二重管構造の給湯配管の内外管隙間を流れる温水は、挿入細管の循環内管11aとの対向流伝熱作用により加温回復される結果、循環する二重管の起点・終点間の給湯温度偏差を極めて小さくできる特筆すべき性能の保温効果を生み出す。
これにより、二重給湯配管に供給する熱源の蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)からの温水の高精度制御は必ずしも必要ではなくなり、本発明では、密閉保温タンクの蓄熱密閉タンク内に設けた温水加熱コイル(5a)に流入する還り温度が設定温度より低下すれば流量を増加させ、設定温度より上昇すれば流量を減少するように、還り温度調節器によりポンプを連動調節することによって加熱量の調整が可能になり、循環配管の温水温度の安定化が行なえる。
そのため、従来制御技術において熱交換コイル流量制御に用いた電動三方弁(図2に示す加熱制御弁7´)を必ずしも必要としなくなるため、給湯における循環保温システムのシンプル化に寄与できる。なお、電動三方弁(図2に示す加熱制御弁7´)は、上記の如く無くしてもよいし、用いてもよい。
更には、二重給湯配管内の挿入細管の循環内管11aは、耐圧強度を必要とせず、曲げ易く耐熱性のある樹脂管であれば機能するため、現地配管施工がし易くなりコストの合理的削減にも寄与できる効果を奏する。
例えば、二重給湯配管を形成する外管内に、曲げ易く耐熱性のある樹脂管の循環内管11aを挿入することにより、二重給湯配管の施工が容易に行なえる。
<効果>
本発明は、上記作用により、給湯設備における循環保温の放熱損失を最小化できるために蓄熱密閉タンク(置換蓄熱タンク5)の熱を利用する際、循環保温における維持時間を大幅に延長できることになり、高いCOP性能のエコキュート(登録商標)で加熱して、90℃の温水を貯湯した蓄熱を有効に利用できる効果がある。また、循環保温装置の簡素化により、循環保温装置のユニット化が実現できることにより、現地での省工事化と工期短縮との両立が可能になり、経済的なヒートポンプ給湯機の普及促進に大きく寄与できる。
本発明の実施形態に係るエコキュート(登録商標)熱源機と給湯利用先の混合栓に接続される二重管構造の給湯送り主管とを備える循環保温給湯システムを示す概念的構成図である。 実施形態の循環保温給湯システムの置換蓄熱タンクに適用した循環加温用熱交換コイル内蔵タイプの電気温水器を示す概念的構成図である。 (a)は、実施形態の混合水栓等から給湯時の図1に示す給湯送り主管のA部拡大図であり、(b)は、混合水栓等から給湯時の図1に示す給湯送り主管のB部拡大図であり、(c)は、混合水栓等からの給湯停止時の残留する温水を循環保温する場合の図1に示す給湯送り主管のB部拡大図である。 従来のエコキュート(登録商標)と開放タンク循環保温とを採用した給湯システムの一例を示す図である。 従来のエコキュート(登録商標)と密閉循環保温を採用した給湯システムの他の一例を示す図である。
符号の説明
1 ヒートポンプ式冷凍機(ヒートポンプ給湯機)
2 貯湯タンク
5 置換蓄熱タンク(蓄熱密閉タンク)
5a 温水加熱コイル
5c 補助ヒータ
6 循環ポンプ
11 給湯送り主管(給湯配管)
11a 循環内管(送り給湯配管)
11b 外管(環り配管)
S 循環保温給湯システム(保温給湯装置)

Claims (6)

  1. CO冷媒を用いた冷凍サイクルのヒートポンプ給湯機を用いて温水を作り、給湯する保温給湯装置であって、
    水または低温水を前記ヒートポンプ給湯機で加熱した温水を貯留する貯湯タンクと、
    前記貯湯タンクから供給される温水を用いた給湯配管を介しての給湯の停止時に前記給湯配管内に残留する残留温水を循環させる循環ポンプと、
    前記貯湯タンクから温水が供給され該温水で満たされるとともに、前記残留温水が通流され該供給される温水との熱交換により前記残留温水を加熱する温水加熱コイルおよび前記貯湯タンクから供給される温水が冷却した場合に該冷却した温水を加熱する補助ヒータを内蔵する蓄熱密閉タンクとを
    備えることを特徴とする保温給湯装置。
  2. 前記給湯配管は、外観上1本の二重管構造である
    ことを特徴とする請求項1に記載の保温給湯装置。
  3. 前記給湯配管は、給湯停止時に前記残留温水を保温するに際し、前記温水加熱コイルを通流した前記残留温水が供給される送り給湯配管と、該送り給湯配管との隙間を通って前記残留温水を前記温水加熱コイルに向けて環流させる環り配管とを有する二重管構造である
    ことを特徴とする請求項2に記載の保温給湯装置。
  4. 給湯時に、前記環り配管と前記送り給湯配管との間に前記蓄熱密閉タンクから温水を供給し給湯を行なう
    ことを特徴とする請求項3に記載の保温給湯装置。
  5. 前記給湯時に、さらに前記送り給湯配管に前記蓄熱密閉タンクから温水を供給する
    ことを特徴とする請求項4に記載の保温給湯装置。
  6. 前記貯湯タンクと前記蓄熱密閉タンクとを一つのタンクで構成した
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの何れか一項に記載の保温給湯装置。
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