JP2010013626A - 廃蛍光体のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】廃棄された複数種類の蛍光体(G、B、R)が混在する混合物から、少なくとも1種類の蛍光体(R)を分離する方法であって、
前記混合物を溶媒に投入する第1ステップと、
勾配を有する磁場中に前記溶媒の少なくとも一部を位置させ、前記蛍光体(G、B、R)に発生する磁気力により少なくとも1種類の蛍光体(R)を分離する第2ステップとを含み、
1種類の蛍光体(R)に発生する磁気力、重力及び浮力の合力が鉛直上向きであり、これにより1種類の蛍光体(R)を溶媒表面に浮上させる。
【選択図】図1
Description
の比重が1以上であり、前記第2ステップが、前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が34.1T2/m以上107T2/m未満になるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光
体を採取する第4ステップを含んでいることを特徴としている。
向に磁気力が作用する。従って、本発明では、蛍光体の磁化率の違いに注目し、磁化率に応じて蛍光体を分離する。
g)当たりの磁化(emu/g)として表されている。なお、表2は一例であり、同じ色の蛍
光体であってもメーカーによって組成が異なることや、同じメーカーであっても同じ色の蛍光体の組成が型番によって異なることがあり得る。
2に示したプラズマディスプレイ用の蛍光体の混合物を分離とする場合について説明する。
混合された赤色、青色、緑色蛍光体を、それらよりも比重が小さい溶媒(液体)中に投入し、磁場強度が鉛直上方で大きく、鉛直下方で小さくなるように磁場勾配が存在する磁場中に、その溶液(溶媒及び蛍光体)を配置する(図1参照)。図1の(a)に示したように、投入された蛍光体G、B、Rは、重力によって溶媒M中の下方(溶媒を収容している容器の底)に沈殿する。その状態の溶媒Mを磁場中に配置すると、図1の(b)に示したように、赤色蛍光体Rには上向きの最も大きい磁気力FRが発生するので、磁気力FRと浮力Fuとの和FR+Fuが重力Fdよりも大きくなり(ここでFR、Fu、Fdは何れも単位
質量当たりの値である。以下同様)、赤色蛍光体Rを浮上させることができる。従って、液面に浮上した物質を採取すれば、赤色蛍光体Rのみを採取することができる。浮上した物質を採取するには、公知の手段、例えば吸引手段(スポイトなど)や吸着手段(蛍光体が自然に付着する部材)を使用すればよい。
使用可能な多くの溶媒は比重が蛍光体よりも小さいので、溶媒に投入された蛍光体は沈殿する。しかし、蛍光体よりも溶媒の比重が大きい場合には、磁場強度が鉛直下方で大きく、鉛直上方で小さくなるように分布する磁場中に、その溶液を配置する(図2参照)。この場合、蛍光体G、B、Rは溶媒Mの液面に浮上する(図2の(a)参照)。その状態の溶媒Mを磁場中に配置すると、図2の(b)に示したように、赤色蛍光体Rには、下向きの最も大きい磁気力FRが発生するので、磁気力FRと重力Fdとの和FR+Fdが浮力Fuよりも大きくなり、赤色蛍光体Rを沈殿させることができる。
図3に示したように、混合された赤色、青色、緑色の蛍光体G、B、Rを、それらよりも比重が小さい溶媒M中に投入し、蛍光体を溶媒M中で懸濁させた状態で、鉛直上方で強度が大きく鉛直下方で強度が小さい磁場分布中を、水平な一方向に所定の流速vで移動させる。図3では、左端の容器内で3種類の蛍光体G、B、Rが懸濁した状態の溶媒Mを、左端から移送管に投入し、移送管中を右側に向かって通過させる。磁場勾配は、移送管内中の、符号Lで示した範囲内に形成されている。この場合、3種類の蛍光体のうち、赤色蛍光体Rが鉛直上向きの最も大きい磁気力FRを受けるので、沈殿するまでに、最も長い
距離移動する(「Rの軌跡」と記載した破線参照)。青色蛍光体Bは鉛直上向きの最も小さい磁気力FBを受けるので、沈殿するまでに、最も短い距離移動する(「Bの軌跡」と
記載した破線参照)。そして、緑色蛍光体Gが受ける磁気力は、青色及び赤色蛍光体B、Rの間の値であるので、青色及び赤色蛍光体B、Rが沈殿する位置の間に沈殿する。即ち、蛍光体が沈殿する位置は、青色、緑色、赤色の順に移送管の入力端から遠くなり、3種類の蛍光体を、それぞれ異なる位置に沈殿させ、採取することができる。
混合された赤色、青色、緑色の蛍光体を、それらよりも比重が大きい溶媒中に投入し、その蛍光体を溶媒中で懸濁させた状態で、鉛直上方で強度が小さく鉛直下方で強度が大きく分布する磁場中を、水平な一方向に所定の流速で移動させる。この場合、3種類の蛍光体中、赤色蛍光体が鉛直下向きの最も大きい磁気力を受けるので、赤色蛍光体に作用する磁気力と重力との和が、浮力よりも大きくなるように、磁場及び勾配の大きさを設定しておけば、赤色蛍光体を沈殿させて採取することができる。
方法3と同様の方法であるが、磁場勾配が存在する領域L(図3参照)をより大きくし、緑色蛍光体に作用する磁気力と浮力との和が、重力よりも少し大きくなるように、磁場及び勾配の大きさを設定する。このように磁場分布を形成すれば、赤色蛍光体についても、磁気力と浮力の和が重力よりも大きくなるので、緑色及び赤色蛍光体を沈殿させず、青色蛍光体のみを沈殿させることができる。したがって、沈殿した物質を採取すれば、青色蛍光体を採取することができる。
図4に示すように、3種類の蛍光体G、B、Rを、鉛直に配置された移送管に、内側管壁の近傍の一箇所から投入する。移送管中では、溶媒Mが、例えば重力によって、下方に向かって移動する。移送管の外壁近傍(蛍光体が投入される位置に対向する側)には、磁石(例えば永久磁石)が配置されている。
管に投入する。このとき、事前に、緑色蛍光体Gに発生する右向きの磁気力が、緑色蛍光体Gが下降中に右端の内壁近傍まで移動するように、磁場及び勾配の大きさを設定しておく。従って、右端付近の溶液を容器に採取して静止させれば、沈殿物として緑色蛍光体Gのみを回収することができる。最後に、排出された溶液から青色蛍光体Bを採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
磁場及び磁場勾配を水平又は斜め方向に形成する場合には、磁化率の大きな蛍光体ほど磁場が強くなる方向に磁気力が働き、例えばプラズマディスプレイ用の蛍光体ZSM、YBO及びBAMの混合した混合物では、磁場の強くなる部位にYBOが集中する。従って、蛍光体を分散させた溶媒を所定の流路に沿って流し、その流路内に予め磁石を配置して局所的に磁場勾配を形成しておけば、磁石の近傍と、磁石から離れた下流部分とをそれぞれ別に採取することにより、磁化率の大きな蛍光体(磁石の近傍から採取)と、それ以外の蛍光体(下流から採取)とを分離して回収することができる。磁石の数は1つに限定されず、複数であってもよい。
している青蛍光体の内、BMA(1)のみを浮上させることができる。より確実に分離する
ためには、B・gradBを115〜130T2/mの範囲の値に設定するのがより望ましい。その他の蛍光体に関しても、同様にして分離することができる。
になるように、磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。一例として、合力F1が合力F2及びF3と逆向きである場合が考えられる。この場合、1種類の蛍光体(合力F1を受ける蛍光体)を空間的に集合させることができ、容易に採取可能となる。その後、残存する2種類の蛍光体を分離するには、上記と同様に、それぞれに作用する合力F2、F3が逆向きになるように、磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。また、合力F1が合力F2と逆向きであり合力F3がほぼ0である場合には、2種類の蛍光体(合力F1、F2を受ける蛍光
体)をそれぞれ異なる場所に集合させる(一方を沈殿させ、他方を浮上させる)ことができ、容易に採取可能となる。ほぼ0である合力F3を受ける蛍光体は、最初に拡散された
状態であれば溶媒中に拡散されたままとなる。
容器を超伝導磁石から取り出し、ガラス容器の上部壁面に付着したLAPをへらで採取し、液面付近の溶液(LAPを含む)をスポイトで採取した。ガラス容器を超伝導磁石から取り出すと、溶液中でLAPは沈降していくが、下部の溶液は採取せず他の色の蛍光体の混入を避けた。さらに、LAPを多く回収するために、残りの溶液(蛍光体を含む)に界面活性剤入り水を加えて、再び上記したように磁場による分離操作を繰り返し行った。その後、採取した溶液を700℃に加熱して界面活性剤を除去することにより、200mgの蛍光体の混合物から99%以上の純度のLAPを56mg回収することができた。
B、BAM 青色蛍光体
R、YOX 赤色蛍光体
M 溶媒
FG、FR 磁気力
Fd 重力
Fu 浮力
Claims (10)
- 廃棄された複数種類の蛍光体が混在する混合物から、少なくとも1種類の蛍光体を分離する方法であって、
前記混合物を流体に投入する第1ステップと、
勾配を有する磁場中に前記流体の少なくとも一部を位置させ、前記蛍光体に発生する磁気力により少なくとも1種類の蛍光体を分離する第2ステップとを含むことを特徴とする廃蛍光体のリサイクル方法。 - 前記勾配が鉛直方向に形成され、
複数種類の前記蛍光体の各々に作用する磁気力、浮力及び重力の合力のうち、少なくとも2種類の前記蛍光体に作用する前記合力が逆向きになるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。 - 前記合力が逆向きになる2種類の前記蛍光体以外の蛍光体のうち、1種類の蛍光体に作用する前記合力が0になるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
- 前記流体が液体の溶媒であり、
前記第1ステップが、前記溶媒に投入された前記蛍光体を懸濁させる第3ステップを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。 - 前記溶媒が、界面活性剤を含む水、又は水酸基を有するアルコール類であることを特徴とする請求項4に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
- 複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてLaPO4:Ce,Tbを、青色蛍光体としてBaMgAl10O17:Eu及び(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Euを含み、
前記溶媒の比重が1以上であり、
前記第2ステップが、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が34.1T2/m以上107T2/m未満になるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光体を採取する第4ステップを含む請求項4又は5に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。 - 複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mnを、赤色蛍光体として(Y,Gd)BO3:Euを含み、
前記溶媒の比重が1以上であり、
前記第2ステップが、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が21.2T2/m以上110T2/m未満になるように磁場分布を設定し、前記赤色蛍光体を採取する第5ステップと、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が110T2/m以上209T2/m未満なるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光体を採取する第6ステップとを含む請求項4又は5に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。 - 前記第2ステップにおいて、前記磁場中を、前記混合物が投入された前記流体を通過させることを特徴とする請求項1〜7に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
- 前記混合物が投入された前記流体の表面近傍に、前記蛍光体を吸着可能な吸着手段を設け、
前記流体の表面に浮上する前記蛍光体を、前記吸着手段に付着させて採取することを特徴とする請求項1〜7に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。 - 前記第2ステップが、
内部に局所的に前記勾配が形成されている流路に沿って、前記混合物が投入された前記流体を流す第7ステップと、
前記勾配が形成された近傍に存在する前記流体を採取する第8ステップとを含む請求項1〜7の何れか1項に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
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