JP2010012643A - ディスク素材と、その製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性を高め、必要十分な特性を容易に実現する。
【解決手段】炭素繊維織物12を強化材とする繊維強化プラスチック材料を円板状に形成し、炭素繊維織物12の経糸12a、12a…は、周方向に螺旋状に連続させ、緯糸12b、12b…は、軸C方向に配列させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、たとえば自動車や飛行機などのディスクブレーキ用としても好適に適用可能なディスク素材と、その製造方法に関する。
自動車や飛行機などに使用されるディスクブレーキ用のディスク素材として、炭素繊維製の螺旋織物を強化材とする複合材料が提案されている(特許文献1)。
このものは、螺旋織物を同心状に多層に積層することによって円板状の積層体を作り、マトリックス樹脂としてのフェノール樹脂などを含浸して焼成することにより製造される。
また、炭素繊維を一方向に引き揃えてフェノール樹脂を含浸させたプリプレグシートを互いに直交させて積層し、樹脂を硬化させて焼成した上、金属銅を溶融して含浸させた金属マトリックス複合材料も提案されている(特許文献2)。
特開2002−3280号公報 特開2003−26479号公報
かかる従来技術の前者によるときは、強化材の螺旋織物は、それ自体の生産性がよくない上、螺旋織物の接着強度が小さいため、使用中に層間剥離を生じ易いという致命的な問題があった。また、後者によるときは、強化材としての炭素繊維がディスク素材の各面に平行に配列されているだけであるから、摩擦係数や耐摩耗性などの特性が必ずしも十分ではないという問題がある。
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、二次元の炭素繊維織物の経糸を周方向に螺旋状に連続させることによって、生産性がよく、必要十分な特性を容易に実現することができるディスク素材と、その製造方法を提供することにある。ただし、ここでいうディスク素材とは、必要な機械加工を施すことにより、たとえばディスクブレーキ用のディスクや、各種の回転ロータなどに容易に仕上げることができる円板状の素材をいう。
かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明(請求項1に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、炭素繊維織物を強化材とする繊維強化プラスチック材料を円板状に形成してなり、炭素繊維織物の経糸は、周方向に螺旋状に連続しており、炭素繊維織物の緯糸は、軸方向に配列していることをその要旨とする。
第2発明(請求項2に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、炭素繊維織物を熱硬化性樹脂とともに芯材に多層に巻き付けて円柱状の積層体を形成し、積層体を加熱硬化させ、芯材を除去し、軸方向と直角に所定厚さの円板状に切断することをその要旨とする。
第3発明(請求項3に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、炭素繊維織物を熱硬化性樹脂とともに芯材に多層に巻き付けて円柱状の積層体を形成し、積層体を加熱硬化させ、軸方向と直角に所定厚さの円板状に切断し、芯材を除去することをその要旨とする。
なお、炭素繊維織物は、カーボンブロックの芯材上に巻き取ることができる。
かかる第1発明の構成によるときは、強化材としての炭素繊維織物は、周方向に経糸が螺旋状に連続しているため、大きな遠心力に耐え、必要十分な機械的強度を容易に実現することができる上、軸方向に均一に配列している緯糸は、ディスク素材の各面に直角であり、しかも各面に十分高密度で均一に分布しているから、たとえばディスクブレーキ用のディスクとして使用しても、耐摩耗性が大きく、摩擦係数、耐摩耗性の安定性も良好である。ただし、摩擦係数、耐摩耗性の安定性とは、摩耗の進行による経時的な安定性をいう。なお、マトリックス材としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を使用するものとする。また、この発明のディスク素材は、たとえば外周部分に金属製の補強リングを付設することにより、エネルギ保存用のフライホイールなどとしても使用可能である。また、ディスク素材は、炭素繊維などの高強度繊維製の補強索を外周に巻き付けて補強してもよい。
第2、第3発明の構成によるときは、第1発明に係るディスク素材を効率的に製造することができる。円柱状の積層体は、炭素繊維織物が熱硬化性樹脂とともに芯材に多層に巻き付けられているから、これを加熱硬化すれば、炭素繊維織物を強化材とする均質な繊維強化プラスチック材料を作ることができる。また、その芯材を除去し、軸方向と直角に所定厚さの円板状に切断すれば、炭素繊維織物の経糸が周方向に螺旋状に連続し、緯糸が軸方向に均一に配列しているディスク素材を作ることができる。ただし、芯材の除去は、積層体を円板状に切断した後に実施してもよい。なお、カーボンブロックの芯材は、積層体の加熱硬化温度に耐える上、容易に破砕して除去することができる。
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
ディスク素材10は、軸C上に孔11を有する円板状に形成してなる(図1(A))。なお、ディスク素材10は、繊維強化プラスチック材料から形成され、外径D、内径d、厚さtである。
ディスク素材10の強化材は、幅w≒tの炭素繊維織物12が使用されている(図1(B))。炭素繊維織物12は、炭素繊維からなる無撚りのマルチフィラメントの経糸12a、12a…、緯糸12b、12b…により、平織、綾織などの二次元の織組織に製織されている。
ディスク素材10内において、炭素繊維織物12は、経糸12a、12a…が孔11のまわりに周方向に螺旋状に連続し(図1(A)の矢印A方向)、緯糸12b、12b…は、軸C方向に配列されている。なお、ディスク素材10内の炭素繊維織物12は、内周から外周に至るまで互いに密着するようにして多層に積層されており、したがって、緯糸12b、12b…は、ディスク素材10の各面に対し、実質的に均等に、かつ直角に配列されている。
ディスク素材10の図示しないマトリックス材は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であって、炭素繊維織物12の強化材の空隙内に均一に含浸されて硬化されている。
かかるディスク素材10は、必要な機械加工を施し、孔11に軸を通して固定し、必要な金属製または非金属製の補強リングまたは補強索などを外周部分に付加することにより、たとえばディスクブレーキ用のディスクやエネルギ保存用のフライホイールなどとして好適に使用することができる。
ディスク素材10は、図2のフローチャートに従って製造することができる。
すなわち、幅W≫wの炭素繊維織物21を用意し(図3)、カーボンブロックの芯材22に多層に巻き付けて巻層21aを形成し、円柱状の積層体20を形成する(図2のステップ(1)、以下、単に(1)のように記す)。図3において、炭素繊維織物21は、同幅のプリプレグ材23を挟み込みながら芯材22に巻き付けるものとし、プリプレグ材23は、たとえば炭素繊維フィラメントを長さ方向にテープ状に引き揃え、または炭素繊維織物21と同様の別の炭素繊維織物の基材に未硬化の熱硬化性樹脂を十分に含浸し、または担持させて構成されている。また、芯材22の外径は、ディスク素材10の内径dに一致するものとする。炭素繊維織物21、プリプレグ材23は、ディスク素材10内の炭素繊維織物12の2条以上を幅方向に分割して作り得るように、幅W≫2wに設定するのがよい。
つづいて、積層体20を加熱炉に搬入して加熱硬化させる(2)。なお、積層体20は、あらかじめ予熱炉に搬入し、十分に予熱してから加熱炉に搬入することが好ましい。また、予熱炉、加熱炉は、その一方または双方を減圧して加熱することが好ましい。
加熱硬化後の積層体20は、加熱炉から搬出し、芯材22を破砕して除去することにより、繊維強化プラスチック材料の円筒体15を作ることができる(図4)。そこで、円筒体15を軸C方向と直角に厚さtごとに切断し(3)、円板状のディスク素材10を作ることができる(図4)。
以上の説明において、図2のステップ(3)は、加熱硬化後の積層体20を芯材22とともに軸C方向と直角に厚さtごとに円板状に切断し、その後、芯材22を破砕して除去することにより、ディスク素材10を作ってもよい。
他の実施の形態
図2のステップ(2)は、炭素繊維織物21を熱硬化性樹脂とともに芯材22上に巻き付けて円柱状の積層体20を形成するが、この工程は、図3に代えて、図5によってもよい。
図5において、炭素繊維織物21は、巻きロール24から巻きほどかれると、浸漬ローラ31を介して貯留パン32内の液状の熱硬化性樹脂F中に導くことにより、熱硬化性樹脂Fが含浸される。そこで、浸漬ローラ31からの炭素繊維織物21は、スクイズローラ33、33によって熱硬化性樹脂Fの含浸量を適切に制御した上、芯材22上に巻層21aとして巻き取ることにより、積層体20を形成する。
また、図2のステップ(2)は、図6によってもよい。すなわち、炭素繊維織物21は、積層体20に巻き取る際に、ノズル34からの熱硬化性樹脂Fを全幅に亘って塗布する。ノズル34には、炭素繊維織物21に向けて開口する多数のノズル孔34a、34a…が列設されており、熱硬化性樹脂Fは、図示しないポンプを介してノズル34に加圧供給し(図6の矢印F方向)、ノズル孔34a、34a…から吐出させる。ただし、図6には、1個のノズル孔34aのみが図示されている。なお、ノズル孔34a、34a…は、図6の紙面に垂直方向に連続するスリットとしてもよい。ノズル34の下流側には、余分の熱硬化性樹脂Fを除去するドクタブレード35と、炭素繊維織物21を挟み込む上下の送りローラ36、36とがこの順に配置されている。
以上の説明において、積層体20の芯材22は、破砕可能なカーボンブロック製に代えて、破砕不能な金属製などとしてもよい。ただし、このとき、図2のステップ(3)の切断工程は、積層体20から芯材22を除去してから実施するものとする。なお、この場合の芯材22は、適当な縮径機構を組み込むことにより、外径を機械的に小さくして積層体20から抜き取り易くすることが好ましく、適当な離形紙または離形材を外周に施すことにより、巻層21aから分離し易くすることが好ましい。
全体構成模式説明図 製造工程フローチャート 要部工程説明図(1) 要部工程説明図(2) 他の実施の形態を示す図3相当図(1) 他の実施の形態を示す図3相当図(2)
符号の説明
C…軸
10…ディスク素材
12…炭素繊維織物
12a…経糸
12b…緯糸
20…積層体
21…炭素繊維織物
22…芯材

特許出願人 株式会社 エマージー
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

Claims (4)

  1. 炭素繊維織物を強化材とする繊維強化プラスチック材料を円板状に形成してなり、前記炭素繊維織物の経糸は、周方向に螺旋状に連続しており、前記炭素繊維織物の緯糸は、軸方向に配列していることを特徴とするディスク素材。
  2. 炭素繊維織物を熱硬化性樹脂とともに芯材に多層に巻き付けて円柱状の積層体を形成し、積層体を加熱硬化させ、芯材を除去し、軸方向と直角に所定厚さの円板状に切断することを特徴とするディスク素材の製造方法。
  3. 炭素繊維織物を熱硬化性樹脂とともに芯材に多層に巻き付けて円柱状の積層体を形成し、積層体を加熱硬化させ、軸方向と直角に所定厚さの円板状に切断し、芯材を除去することを特徴とするディスク素材の製造方法。
  4. 炭素繊維織物は、カーボンブロックの芯材上に巻き取ることを特徴とする請求項2または請求項3記載のディスク素材の製造方法。
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