先ず第1の実施形態の燃料電池を図1乃至図5により説明する。図1は概略構成を示す横断面図であり、図2は燃料ガス拡散層の平面図であり、図3は単位電池の燃料ガス導入部分の縦断面図であり、図4は単位電池の燃料ガス導入部分以外の部分の縦断面図であり、図5は単位電池の燃料ガスの加湿距離と蒸発量、相対湿度の関係を示す図である。
図1乃至図4において、燃料電池1は、方形状の単位電池2を多数積層して形成された積層体のスタック3と、このスタック3の各側面部に設けられた導入ガスである燃料ガスや酸化剤ガスの各ガス供給マニホールド4a,5a、各ガス排出マニホールド4b,5b及び燃料ガスリターンホールド4cと、冷却水供給マニホールド6a及び冷却水排出マニホールド6bを備えて構成されている。そして、各ガス供給マニホールド4a,5a、各ガス排出マニホールド4b,5b及び燃料ガスリターンホールド4cと、冷却水供給マニホールド6a及び冷却水排出マニホールド6bには、それぞれ単位電池2のセパレータ7に形成された燃料ガス流路8、酸化剤ガス流路9、冷却水流路10の対応する端部が開口している。
これにより、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aに外部から導入され、対応する燃料ガス流路8を点線矢印Pで示すように流通し、燃料ガスリターンホールド4cで折り返し、流れ方向を逆方向として別の燃料ガス流路8を燃料ガス排出マニホールド4bへと流れ、集められて外部に排出される。また酸化剤ガスは、同じく酸化剤ガス供給マニホールド5aに外部から導入され、対応する酸化剤ガス流路9を破線矢印Qで示すように流通し、酸化剤ガス排出マニホールド5bへと流れ、集められて外部に排出される。そして、各導入ガスが対応する各ガス流路8,9を流通する間に発電が行なわれる。さらに、冷却水供給マニホールド6aに外部から導入された冷却水は、冷却水流路10を実線矢印Sで示すように冷却水排出マニホールド6bへと流通する間に熱交換を行い、単位電池2の発電による発生熱を除去した後、外部に排出される。
また、単位電池2は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガスのガス拡散層の燃料ガス拡散層13aとでなる燃料極側膜電極接合体14aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、同じく、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガスのガス拡散層の酸化剤ガス拡散層13bとでなる酸化剤極側膜電極接合体14bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。各膜電極接合体14a,14bを形成する燃料極触媒層12aと酸化剤極触媒層12は、例えば白金や白金合金のような金属触媒を担持した炭素担体と固体高分子電解質との複合体から構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体14aの外側には、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状のセパレータ7が燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層13a側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体14bの外側には、別のセパレータ7が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層13b側とするようにして配置されている。
セパレータ7は、片面に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート7aと、片面に酸化剤ガス流路9が削設され、他面に冷却水流路10が削設された第2のプレート7bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されており、これによって、セパレータ7は両面にそれぞれ燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9とが設けられ、内部に冷却水流路10が設けられた構造となる。さらに第2のプレート7bには、その片面の酸化剤ガス流路9と平行な端縁部位に、積層に際し端部シール部材を挿着する段部7cが形成されている。
またセパレータ7を形成する第1のプレート7aと第2のプレート7bは、それぞれ10重量%以下の熱硬化性樹脂を接着、結着剤とし、90重量%以上の炭素質あるいは黒鉛質粉体の混合、混練した材料を、内部離型剤等の成形補助剤を用いて熱間加圧成形によって形成されており、導電性を有する多孔質のプレートとなっている。そして、このように形成されているセパレータ7は、冷却水流路10に冷却水を流す等することで加湿機能を有するものとなり、さらにセパレータ7は、単位電池を積層した時、締付けを行っても形状を保持できるよう所定の機械的強度を有し、また同一セパレータ7を流れる燃料ガスと酸化剤ガスの混合を防止するようガス遮断機能を有するものとなっている。
また、燃料ガス拡散層13a及び酸化剤ガス拡散層13bのガス拡散層は、周縁部に全周にわたりガス不透過部15が形成されており、ガス不透過部15の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。そして、燃料ガス拡散層13aは、燃料ガス供給マニホールド4aから燃料ガスがセパレータ7の燃料ガス流路8に導入される燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aが幅A0となっており、燃料ガス導入部分17以外のガス不透過部15bについては、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
すなわち、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aからセパレータ7に導入される時、燃料ガス導入部分17の幅の広いガス不透過部15aを横断することになる。そして、燃料極側膜電極接合体14aからの水分の蒸発がガス不透過部15ではないため、幅A0のガス不透過部15aを横断する間、燃料ガスは、燃料極側膜電極接合体14aからは加湿されず、燃料極側膜電極接合体14aと略同形状のセパレータ7のガス不透過部15aに対応する周縁部分からのみ、相対湿度がα%以上となるまで加湿される。その際の幅A0は燃料ガスの加湿距離で、燃料ガス導入部分17以外のガス不透過部15bの幅Aよりも長いものとなっている。
これにより燃料ガスは、ガス拡散層の燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aを横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、横軸に加湿距離L、縦軸にセパレータ7及び電極である燃料極側膜電極接合体14aから導入ガスである燃料ガスへの蒸発量V、導入ガスの燃料ガスの相対湿度Hをとって示す図5のように、燃料電池1の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。なお、図5中の1点鎖線aはセパレータ7からの蒸発量曲線、破線bは燃料極側膜電極接合体14aからの蒸発量曲線、実線hは燃料ガスの相対湿度曲線である。
また、燃料ガスの導入による燃料極側膜電極接合体14aからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロストークを生じたりすることがなくなり、従来に比べ2倍以上の耐久性を得ることができる。
さらに、燃料ガス拡散層13aの周縁部に全周にわたり形成されるガス不透過部15の幅寸法が、燃料ガス導入部分17のみ、燃料ガスを所要とする相対湿度α%まで加湿するために必要なA0の幅とし、それ以外の部分の幅をA0よりも狭い幅のAであればいいことから、単位電池2における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率については、著しく低下させることなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第2の実施形態の燃料電池を図6乃至図8により説明する。図6は酸化剤ガス拡散層の平面図であり、図7は単位電池の酸化剤ガス導入部分の縦断面図であり、図8は単位電池の酸化剤ガス導入部分以外の部分の縦断面図である。なお、本実施形態は第1の実施形態とガス拡散層の構成のみが異なるため、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図6乃至図8において、多数積層することによって、第1の実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池22は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガスのガス拡散層の燃料ガス拡散層23aとでなる燃料極側膜電極接合体24aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガスのガス拡散層の酸化剤ガス拡散層23bとでなる酸化剤極側膜電極接合体24bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体24aの外側には、セパレータ7が燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層23a側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体24bの外側には、別のセパレータ7が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層23b側とするようにして配置されている。
また、燃料ガス拡散層23a及び酸化剤ガス拡散層23bのガス拡散層は、周縁部に全周にわたりガス不透過部25が形成されており、ガス不透過部25の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。そして、酸化剤ガス拡散層23bは、酸化剤ガス供給マニホールド5aから酸化剤ガスがセパレータ7の酸化剤ガス流路9に導入される酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部25aが幅A0となっており、酸化剤ガス導入部分27以外のガス不透過部25bについては、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給マニホールド5aからセパレータ7に導入される時、酸化剤ガス導入部分27の幅の広いガス不透過部25aを横断することになる。そして、酸化剤極側膜電極接合体14bからの水分の蒸発がガス不透過部15ではないため、幅A0のガス不透過部25aを横断する間に、酸化剤ガスは、酸化剤極側膜電極接合体14bからは加湿されず、酸化剤極側膜電極接合体14bと略同形状のセパレータ7のガス不透過部25aに対応する周縁部分からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。その際の加湿距離は幅A0となり、酸化剤ガス導入部分27以外のガス不透過部25bの幅Aよりも長いものとなっている。
これにより酸化剤ガスは、第1の実施形態における燃料ガスと同様に、ガス拡散層23の酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部25aを横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。また、酸化剤ガスの導入による酸化剤極側膜電極接合体14bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。
さらに、ガス拡散層23の周縁部に全周にわたり形成されるガス不透過部25の幅寸法が、酸化剤ガス導入部分27のみ、酸化剤ガスを所要とする相対湿度α%まで加湿するために必要なA0の幅とし、それ以外の部分の幅をA0よりも狭い幅のAとしているので、単位電池22における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率の著しく低下させることもなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第3の実施形態の燃料電池を図9乃至図11により説明する。図9はガス拡散層の平面図であり、図10は単位電池の燃料ガス導入部分の縦断面図であり、図11は単位電池の酸化剤ガス導入部分の縦断面図である。なお、本実施形態は上記の実施形態とガス拡散層の構成のみが異なるため、上記の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、上記の実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図9乃至図11において、多数積層することによって、上記の実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池32は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層であるガス拡散層33とでなる燃料極側膜電極接合体34aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと、酸化剤ガス拡散層であるガス拡散層33とでなる酸化剤極側膜電極接合体34bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体34aの外側には、セパレータ7が燃料ガス流路8を有する面をガス拡散層33側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体34bの外側には、別のセパレータ7が酸化剤ガス流路9を有する面をガス拡散層33側とするようにして配置されている。
また、燃料ガス拡散層及び酸化剤ガス拡散層のガス拡散層33は、周縁部に全周にわたりガス不透過部35が形成されており、ガス不透過部35の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。そして、ガス拡散層33は、それぞれ燃料ガス供給マニホールド4aから燃料ガスがセパレータ7の燃料ガス流路8に導入される燃料ガス導入部分17と、酸化剤ガス供給マニホールド5aから酸化剤ガスがセパレータ7の酸化剤ガス流路9に導入される酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部35aとが、幅A0となっており、燃料ガス導入部分17及び酸化剤ガス導入部分27の両ガス導入部分以外のガス不透過部35bについては、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
このため、燃料ガスと酸化剤ガスは、各ガス供給マニホールド4a,5aからセパレータ7に導入される時、それぞれ燃料ガス導入部分17と酸化剤ガス導入部分27の幅の広いガス不透過部35aを横断することになる。そして、各膜電極接合体34a,34bからの水分の蒸発がガス不透過部35ではないため、幅A0のガス不透過部35aを横断する間に、燃料ガスと酸化剤ガスは、対応する各膜電極接合体34a,34bからは加湿されず、両膜電極接合体34a,34bと略同形状のセパレータ7のガス不透過部35aに対応する周縁部分からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。その際の加湿距離は共に幅A0となり、燃料ガス導入部分17及び酸化剤ガス導入部分27の両ガス導入部分以外のガス不透過部35bの幅Aよりも長いものとなっている。
これにより燃料ガスと酸化剤ガスは、ガス拡散層33の各ガス導入部分17,27のガス不透過部35aを横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。また、燃料ガス、酸化剤ガスの導入ガスの導入による各膜電極接合体34a,34bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。
さらに、ガス拡散層33の周縁部に全周にわたり形成されるガス不透過部35の幅寸法が、各ガス導入部分17,27のガス不透過部35aだけ、燃料ガスと酸化剤ガスを所要とする相対湿度α%以上まで加湿するために必要なA0の幅とし、それ以外のガス不透過部35bの幅をA0よりも狭い幅のAとしているので、単位電池32における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率の著しく低下させることもなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
なお、ガス拡散層33のガス不透過部35について、燃料ガスと酸化剤ガスの各ガス導入部分17,27のガス不透過部35a幅寸法を共にA0としたが、各ガスの条件によって、各ガスをそれぞれ相対湿度α%以上まで加湿できると共に、各ガス導入部分17,27以外の部分の幅よりも広い、異なる幅寸法としてもよい。
次に、第4の実施形態の燃料電池を図12乃至図14により説明する。図12は単位電池の横断面図であり、図13は単位電池の燃料ガス導入部分の縦断面図であり、図14は単位電池の燃料ガス導入部分以外の部分の縦断面図である。なお、本実施形態は主に上記の各実施形態とセパレータの構成のみが異なるため、各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図12乃至図14において、多数積層することによって、上記の各実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池42は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる燃料極側膜電極接合体44aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる酸化剤極側膜電極接合体44bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体44aの外側には、第1の実施形態のセパレータ7と外形形状が異なる以外は同仕様に構成されたセパレータ47が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体44bの外側には、別のセパレータ47が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置されている。
セパレータ47は、片面に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート47aと、片面に酸化剤ガス流路9が削設され、他面に冷却水流路10が削設された第2のプレート47bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されており、第2のプレート47bには、その片面に積層に際し端部シール部材を挿着する溝47cが、各流路8,9,10より外側に、酸化剤ガス流路9と平行に形成されている。さらに、第1のプレート47aと第2のプレート47bは、燃料ガス導入部分17にのみ、外方に寸法Bだけ延出する延出部47dを備えている以外、外形を固体高分子電解質膜11と略同じくする略方形状のものとなっている。
また、燃料ガス拡散層及び酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43は、それぞれ周縁部に全周にわたり幅Aのガス不透過部45が形成されており、ガス不透過部45の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。
このため、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aからセパレータ47に導入される時、それぞれ燃料ガス導入部分17のセパレータ47に設けられた延出寸法Bの延出部47dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅Aのガス不透過部45とを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスは、燃料極側膜電極接合体44aからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ47からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスは、燃料ガス導入部分17のセパレータ47の延出部47dによる空間部と、燃料ガス拡散層であるガス拡散層43のガス不透過部45を横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、燃料ガスの導入による燃料極側膜電極接合体44aからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、ガス拡散層43の周縁部に形成されるガス不透過部45の幅寸法が全周にわたって幅Aであるので、単位電池42における反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第5の実施形態の燃料電池を図15乃至図17により説明する。図15は単位電池の横断面図であり、図16は単位電池の酸化剤ガス導入部分の縦断面図であり、図17は単位電池の酸化剤ガス導入部分以外の部分の縦断面図である。なお、本実施形態は主に上記の各実施形態とセパレータの構成のみが異なるため、各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図15乃至図17において、多数積層することによって、上記の各実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池52は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる燃料極側膜電極接合体44aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる酸化剤極側膜電極接合体44bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体44aの外側には、第1の実施形態のセパレータ7と外形形状が異なる以外は同仕様に構成されたセパレータ57が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体44bの外側には、別のセパレータ57が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置されている。
セパレータ57は、片面に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート57aと、片面に酸化剤ガス流路9が削設され、他面に冷却水流路10が削設された第2のプレート57bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されており、第2のプレート57bには、その片面に積層に際し端部シール部材を挿着する溝(図示せず)が、各流路8,9,10より外側に、酸化剤ガス流路9と平行に形成されている。さらに、第1のプレート57aと第2のプレート57bは、酸化剤ガス導入部分27にのみ、外方に寸法Bだけ延出する延出部57dを備えている以外、外形を固体高分子電解質膜11と略同じくする略方形状のものとなっている。
また、燃料ガス拡散層及び酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43は、それぞれ周縁部に全周にわたり幅Aのガス不透過部45が形成されており、ガス不透過部45の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給マニホールド5aからセパレータ57に導入される時、それぞれ酸化剤ガス導入部分27のセパレータ57に設けられた延出寸法Bの延出部57dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅Aのガス不透過部45とを横断することになる。そして、両部を横断する間に、酸化剤ガスは、酸化剤極側膜電極接合体44bからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ57からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入部分27のセパレータ57の延出部57dによる空間部と、酸化剤ガス拡散層であるガス拡散層43のガス不透過部45を横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、酸化剤ガスの導入による酸化剤極側膜電極接合体44bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、ガス拡散層43の周縁部に形成されるガス不透過部45の幅寸法が全周にわたって幅Aであるので、単位電池52における反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第6の実施形態の燃料電池を図18により説明する。図18は単位電池の横断面図である。なお、本実施形態は主に上記の各実施形態とセパレータの構成のみが異なるため、各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図18において、多数積層することによって、上記の各実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池62は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層43aとでなる燃料極側膜電極接合体44aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層43bとでなる酸化剤極側膜電極接合体44bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体44aの外側には、第1の実施形態のセパレータ7と外形形状が異なる以外は同仕様に構成されたセパレータ67が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体44bの外側には、別のセパレータ67が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置されている。
セパレータ67は、片面に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート67aと、片面に酸化剤ガス流路9が削設され、他面に冷却水流路10が削設された第2のプレート67bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されており、第2のプレート67bには、その片面に積層に際し端部シール部材を挿着する溝が、各流路8,9,10より外側に、酸化剤ガス流路9と平行に形成されている。さらに、第1のプレート67aと第2のプレート67bは、燃料ガス導入部分17と酸化剤ガス導入部分27にのみ、外方に寸法Bだけそれぞれ延出する延出部47d,57dを備えている以外、外形を固体高分子電解質膜11と略同じくする略方形状のものとなっている。
また、燃料ガス拡散層及び酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43は、それぞれ周縁部に全周にわたり幅Aのガス不透過部45が形成されており、ガス不透過部45の内方側にはガスが透過可能な反応部16が形成されている。
このため、燃料ガスと酸化剤ガスは、それぞれ各ガス供給マニホールド4a,5aからセパレータ67に導入される時、それぞれ各ガス導入部分17,27のセパレータ67に設けられた延出寸法Bの延出部47d,57dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅Aのガス不透過部45とを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスと酸化剤ガスは、各膜電極接合体44a,44bからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ67からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスと酸化剤ガスは、各ガス導入部分17,27のセパレータ67の延出部47d,57dによる空間部と、ガス拡散層43のガス不透過部45を横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、燃料ガス、酸化剤ガスの導入による各膜電極接合体44a,44bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、ガス拡散層43の周縁部に形成されるガス不透過部45の幅寸法が全周にわたって幅Aであるので、単位電池62における反応部16の面積を十分に確保することができる。
なお、セパレータ67の各ガス導入部分17,27に延出する延出部47d,57dの延出寸法を共にBとしたが、各ガスの条件によって、各ガスをそれぞれ相対湿度α%以上まで加湿できる異なる突出寸法としてもよい。
次に、第7の実施形態の燃料電池を図19により説明する。図19は単位電池の横断面図である。なお、本実施形態は上記の各実施形態と主にガス拡散層とセパレータの構成のみが異なるため、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図19において、多数積層することによって、第1の実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池72は、固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層13aとでなる燃料極側膜電極接合体14aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層13bとでなる酸化剤極側膜電極接合体14bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体14aの外側には、第1のプレート47aと第2のプレート47bとを張り合わせて形成した燃料ガス導入部分17にのみ外方に寸法Bだけ延出する延出部47dを備えるセパレータ47が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層13a側とするようにして配置されている。また酸化剤極側膜電極接合体14bの外側には、別のセパレータ47が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層13bとするようにして配置されている。
また、燃料ガス拡散層13a及び酸化剤ガス拡散層13bは、周縁部に全周にわたりガス不透過部15が形成されており、ガス不透過部15の内方側には反応部16が形成されている。そして、燃料ガス拡散層13aのガス不透過部15は、燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aが、幅A0となっており、燃料ガス導入部分17以外のガス不透過部15bについては、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
このため、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aからセパレータ47に導入される時、燃料ガス導入部分17のセパレータ47に設けられた延出寸法Bの延出部47dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅A0のガス不透過部15aとを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスは、燃料極側膜電極接合体14aからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ47からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスは、燃料ガス導入部分17のセパレータ47の延出部47dによる空間部と、燃料ガス拡散層13aのガス不透過部15aを横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、燃料ガスの導入による燃料極側膜電極接合体14aからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、燃料ガス拡散層13aの周縁部に全周にわたるガス不透過部15が、燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aのみ、燃料ガスを所要とする相対湿度α%まで加湿するために必要なA0の幅で、それ以外の部分の幅がA0よりも狭い幅のAであればいいことから、単位電池72における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率については、著しく低下させることなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第8の実施形態の燃料電池を図20により説明する。図20は単位電池の横断面図である。なお、本実施形態は上記の各実施形態と主にガス拡散層とセパレータの構成のみが異なるため、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図20において、多数積層することによって、第1の実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池82は、固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層23aとでなる燃料極側膜電極接合体24aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層23bとでなる酸化剤極側膜電極接合体24bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体24aの外側には、第1のプレート57aと第2のプレート57bとを張り合わせて形成した酸化剤ガス導入部分27にのみ外方に寸法Bだけ延出する延出部57dを備えるセパレータ57が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層23a側とするようにして配置されている。また酸化剤極側膜電極接合体24bの外側には、別のセパレータ57が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層23b側とするようにして配置されている。
また、燃料ガス拡散層23a及び酸化剤ガス拡散層23bは、周縁部に全周にわたりガス不透過部25が形成されており、ガス不透過部25の内方側には反応部16が形成されている。そして、酸化剤ガス拡散層23bのガス不透過部25は、酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部25aが、幅A0となっており、酸化剤ガス導入部分27以外のガス不透過部25bは、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
このため、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給マニホールド5aからセパレータ57に導入される時、酸化剤ガス導入部分27のセパレータ57に設けられた延出寸法Bの延出部57dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅A0のガス不透過部25aとを横断することになる。そして、両部を横断する間に、酸化剤ガスは、酸化剤極側膜電極接合体24bからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ57からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入部分27のセパレータ57の延出部57dによる空間部と、酸化剤ガス拡散層23bのガス不透過部25aを横断し、反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、酸化剤ガスの導入による酸化剤極側膜電極接合体24bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、酸化剤ガス拡散層23bの周縁部に全周にわたるガス不透過部25が、酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部25aのみ、酸化剤ガスを所要とする相対湿度α%まで加湿するために必要なA0の幅であって、それ以外の部分の幅がA0よりも狭い幅のAであればいいことから、単位電池82における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率については、著しく低下させることなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
次に、第9の実施形態の燃料電池を図21により説明する。図21は単位電池の横断面図である。なお、本実施形態は上記の各実施形態と主にガス拡散層とセパレータの構成のみが異なるため、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図21において、多数積層することによって、第1の実施形態と同様の燃料電池を構成する単位電池92は、固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層33aとでなる燃料極側膜電極接合体34aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層33bとでなる酸化剤極側膜電極接合体34bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体34aの外側には、第1のプレート67aと第2のプレート67bとを張り合わせて形成した燃料ガス導入部分17と酸化剤ガス導入部分27にのみ、外方に寸法Bだけそれぞれ延出する延出部47d,57dを備えるセパレータ67が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層33a側とするようにして配置されている。また酸化剤極側膜電極接合体24bの外側には、別のセパレータ67が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層33b側とするようにして配置されている。
また、燃料ガス拡散層33a及び酸化剤ガス拡散層33bは、周縁部に全周にわたりガス不透過部35が形成されており、ガス不透過部35の内方側には反応部16が形成されている。そして、燃料ガス拡散層33aと酸化剤ガス拡散層33bのガス不透過部35は、燃料ガス導入部分17と酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部35aが、幅A0となっており、これらのガス導入部分17,27以外のガス不透過部35bは、その幅がA0よりも狭いAとなっている。
このため、燃料ガスと酸化剤ガスは、各ガス供給マニホールド4a,5aからセパレータ67に導入される時、セパレータ67に設けられた各ガス導入部分17,27の延出寸法Bの延出部47d,57dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅A0のガス不透過部35aとを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスと酸化剤ガスは、各膜電極接合体34a,34bからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ67からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスと酸化剤ガスは、各ガス導入部分17,27のセパレータ67の延出部57dによる空間部と、燃料ガス拡散層33aと酸化剤ガス拡散層33bのガス不透過部35aを横断し、応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。
また、燃料ガス及び酸化剤ガスの導入による燃料極側膜電極接合体34a及び酸化剤極側膜電極接合体34bからの水分蒸発が防止、抑制され、固体高分子電解質膜11の乾燥等を招かないから、その結果、長時間の発電を行った後でも固体高分子電解質膜11が損傷したり、クロスリークを生じたりすることがなくなり、固体高分子電解質膜11の耐久性を向上させることができる。さらに、燃料ガス拡散層33aと酸化剤ガス拡散層33bの周縁部に全周にわたるガス不透過部35が、燃料ガス導入部分17と酸化剤ガス導入部分27のガス不透過部35aのみ、燃料ガスと酸化剤ガスを所要とする相対湿度α%まで加湿するために必要なA0の幅であって、それ以外の部分の幅がA0よりも狭い幅のAであればいいことから、単位電池92における反応部16の面積の減少が最小限にとどめられ、反応面積効率については、著しく低下させることなく、反応部16の面積を十分に確保することができる。
なお、上記の各実施形態においては、スタック3の側面に燃料ガスと酸化剤ガスの各ガス供給マニホールド4a,5a等を設けた、所謂、外部マニホールド方式のものを例示して説明したが、セパレータに各マニホールド部を設けて積層した際に各ガス供給マニホールドが形成されるように構成した内部マニホールド方式のものにも、同様に適用でき、同様の効果を得ることができる。
因みに、第1の実施形態に対応する内部マニホールド方式のものを、第10の実施形態として、図22、図23を参照して説明する。図22は単位電池の横断面図であり、図23は単位電池の燃料ガス導入部分の縦断面図である。なお、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図22及び図23において、多数積層することによって、上記各実施形態のものと同様に動作する内部マニホールド方式の燃料電池を構成する単位電池2′は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層13aとでなる燃料極側膜電極接合体14aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層13bとでなる酸化剤極側膜電極接合体14bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体14aの外側には、第1の実施形態のセパレータ7と外形形状が異なる以外は同仕様に構成された方形状のセパレータ7′が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層13a側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体14bの外側には、別のセパレータ7′が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層13b側とするようにして配置されている。
セパレータ7′は、片面の中央部に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート7′aと、片面の中央部に酸化剤ガス流路9が削設され、他面の中央部分に冷却水流路10が削設された第2のプレート7′bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されている。これによって、セパレータ7′は両面にそれぞれ燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9とが設けられ、内部に冷却水流路10が設けられた構造となる。
また、第1のプレート7′a、第2のプレート7′bの辺部分には、辺縁に沿って導入ガスの燃料ガスや酸化剤ガスの各ガス供給マニホールド4a,5a、各ガス排出マニホールド4b,5b及び燃料ガスリターンホールド4cと、冷却水供給マニホールド6a及び冷却水排出マニホールド6bが形成されており、それぞれに対応する流路8,9,10の端部が開口している。さらに、第2のプレート7′bには、積層に際し端部シール部材を挿着する挿着部7′cが端縁部位に形成されている。
また、燃料ガス拡散層13a及び酸化剤ガス拡散層13bは、全周に形成されたガス不透過部15の燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aが幅A0となっており、燃料ガス導入部分17以外のガス不透過部15bについては、その幅がA0よりも狭いAとなっている。このため、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aから燃料ガス流路8に導入される時、燃料ガス導入部分17以外のガス不透過部15bの幅Aよりも幅広の幅A0のガス不透過部15aを横断することになり、燃料極側膜電極接合体14aからは加湿されず、セパレータ7のガス不透過部15aに対応する周縁部分からのみ、相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスは、ガス不透過部45の内方側のガスが透過可能な反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。その結果、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第4の実施形態に対応する内部マニホールド方式のものを、第11の実施形態として、図24、図25を参照して説明する。図24は単位電池の横断面図であり、図25は単位電池の燃料ガス導入部分の縦断面図である。なお、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図24及び図25において、多数積層することによって、上記各実施形態のものと同様に動作する内部マニホールド方式の燃料電池を構成する単位電池42′は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる燃料極側膜電極接合体44aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、固体高分子電解質膜11と略同じ外形形状の酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層であるガス拡散層43とでなる酸化剤極側膜電極接合体44bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体44aの外側には、第4の実施形態のセパレータ7と外形形状が異なる以外は同仕様に構成された方形状のセパレータ47′が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体44bの外側には、別のセパレータ47′が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43側とするようにして配置されている。
セパレータ47′は、片面の中央部に燃料ガス流路8が削設され、他面が平坦面となっている第1のプレート47′aと、片面の中央部に酸化剤ガス流路9が削設され、他面の中央部分に冷却水流路10が削設された第2のプレート47′bとを他面同士を張り合わせるようにして形成されている。これによって、セパレータ47′は両面にそれぞれ燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9とが設けられ、内部に冷却水流路10が設けられた構造となる。
また、第1のプレート47′a、第2のプレート47′bの辺部分には、辺縁に沿って導入ガスの燃料ガスや酸化剤ガスの各ガス供給マニホールド4a,5a、各ガス排出マニホールド4b,5b及び燃料ガスリターンホールド4cと、冷却水供給マニホールド6a及び冷却水排出マニホールド6bが形成されており、さらに第1のプレート47′aと第2のプレート47′bには、燃料ガス導入部分17にのみ、中央部から燃料ガスガス供給マニホールド4a内方向に向け寸法Bだけ延出する延出部47′dが備えられている。そして、各マニホールド4a,4b,5a,5b,6a,6b、燃料ガスリターンホールド4cには、それぞれに対応する各流路8,9,10の端部が開口している。また第2のプレート47′bには、積層に際し端部シール部材を挿着する挿着部47′cが端縁部位に形成されている。
また、燃料ガス拡散層及び酸化剤ガス拡散層のガス拡散層43は、それぞれ周縁部に全周にわたり幅Aのガス不透過部45が形成されている。このため、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aから燃料ガス流路8に導入される時、燃料ガス導入部分17に設けられた延出寸法Bの延出部47′dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅Aのガス不透過部45とを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスは、燃料極側膜電極接合体44aからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ47′からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスは、ガス不透過部45の内方側のガスが透過可能な反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。その結果、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第7の実施形態に対応する内部マニホールド方式のものを、第12の実施形態として、図26を参照して説明する。図26は単位電池の横断面図である。なお、上記の各実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、各実施形態と異なる本実施形態の構成について説明する。
図26において、多数積層することによって、上記各実施形態のものと同様に動作する内部マニホールド方式の燃料電池を構成する単位電池72′は、方形状の固体高分子電解質膜11の片面側に、燃料極触媒層12aと燃料ガス拡散層13aとでなる燃料極側膜電極接合体14aを、燃料極触媒層12aを固体高分子電解質膜11側として設け、他面側に、酸化剤極触媒層12bと酸化剤ガス拡散層13bとでなる酸化剤極側膜電極接合体14bを、酸化剤極触媒層12bを固体高分子電解質膜11側として設けて構成されている。
さらに、燃料極側膜電極接合体14aの外側には、方形状の第1のプレート47′aと第2のプレート47′bとを張り合わせるようにして形成したセパレータ47′が、燃料ガス流路8を有する面を燃料ガス拡散層13a側とするようにして配置され、また酸化剤極側膜電極接合体14bの外側には、別のセパレータ47′が酸化剤ガス流路9を有する面を酸化剤ガス拡散層13b側とするようにして配置されている。なお、配置する際、第1のプレート47′aと第2のプレート47′bの燃料ガス導入部分17にのみ備えられた延出寸法Bの延出部47′dが、燃料ガスガス供給マニホールド4aの内方向に向けて延出するよう配置される。
また、燃料ガス拡散層13a及び酸化剤ガス拡散層13bは、ガス不透過部15の燃料ガス導入部分17のガス不透過部15aが幅A0となっており、セパレータ47′は、燃料ガス導入部分17に延出寸法Bの延出部47′dが設けられている。このため、燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド4aから燃料ガス流路8に導入される時、燃料ガス導入部分17に設けられた延出寸法Bの延出部47′dにより上下両方から挟まれた空間部と、幅A0のガス不透過部15aを横断することになる。そして、両部を横断する間に、燃料ガスは、燃料極側膜電極接合体14aからは水分の蒸発がないために加湿されず、セパレータ47′からのみ相対湿度がα%以上となるまで加湿される。
これにより燃料ガスは、ガス不透過部45の内方側のガスが透過可能な反応部16に到達した時点で、その相対湿度が、燃料電池の電流密度、運転温度、電池材料の物性値などの条件で決まる固体高分子電解質膜11の乾燥、劣化を招かない所定のα%以上となる。その結果、第7の実施形態と同様の効果を得ることができる。