JP2010009470A - 震災時リスク推定システム、震災時リスク推定方法、震災時リスク推定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】金融機関における貸出先震災時の収益変動リスクを効率的に推定可能とする。
【解決手段】貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する手段110と、貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する手段111と、地震データに応じた地震が発生した場合の震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する手段112と、各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する手段113と、地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する手段114と、地震の発生後に貸出先企業が倒産するか否かを推定する手段115と、貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する手段116と、それぞれの地震に関し推定した回収不能額に基づき震災後のリスク量を算出する手段117とから震災時リスク推定システム100を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する手段110と、貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する手段111と、地震データに応じた地震が発生した場合の震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する手段112と、各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する手段113と、地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する手段114と、地震の発生後に貸出先企業が倒産するか否かを推定する手段115と、貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する手段116と、それぞれの地震に関し推定した回収不能額に基づき震災後のリスク量を算出する手段117とから震災時リスク推定システム100を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、震災時リスク推定方法、震災時リスク推定システム、震災時リスク推定プログラムに関し、具体的には、地震に伴う貸出先被災時における回収不能金額を推定し金融機関の収益変動リスクを算定する技術に関する。
地震リスクを精度良く算出することができる地震リスク診断システムを提供することを課題とした、地動加速度と施設を構成する構成要素の損傷確率との関係が示されたフラジリティ曲線を作成するフラジリティ曲線作成手段と、このフラジリティ曲線作成手段が作成したフラジリティ曲線と、施設を構成する構成要素が損傷を受けた場合の損害額とから、所定の地動加速度の地震が発生した場合に施設に発生する予想損害額を算出する予想損害額算出手段と、歴史地震の再現期待値が格納された被害地震データベースより、対象地点に影響を及ぼす地震動を抽出し、統計解析を行うことにより計算される回帰曲線の係数を用いて、所定の地動加速度の地震が発生する確率を算出する地震発生確率算出手段と、前記予想損害額算出手段が算出した、所定の地動加速度の地震が発生した場合に施設に発生する予想損害額と、前記地震発生確率算出手段が算出した、所定の地動加速度の地震が発生する確率とから、施設に所定の予想損害額が発生する確率を算出する被害発生確率算出手段とを有する地震リスク診断システムにおいて、前記フラジリティ曲線作成手段は、構成要素が建物である場合のフラジリティ曲線を、建物の耐震性能を示すIs値に応じて作成することを特徴とする地震リスク診断システム(特許文献1参照)などが提案されている。
また、コストのかからない地震リスクスワップを含めたさまざまな地震リスクマネジメント組合せの確率論的なコスト評価を可能とし、確率論的な費用便益と確定論的な財務インパクトの観点から地震リスクマネジメントの良否を定量的に評価することを課題とした、地震発生時に企業体に生じる損失額を、当該損失額が大きくなるに従って地震リスク補償の種類を増やして補填するように設定する地震損失補填評価方法において、前記損失額の最大想定額までの補填をするために必要な地震リスク補償を複数選定する処理、前記選定した複数の地震リスク補償により得られる効果および当該効果を得るための費用を算出する処理、前記費用から前記効果を減算して総費用を求める処理からなる一連処理を、前記各地震リスク補償の前記最大想定額に占める割合を順次変更して実行し、前記一連処理の実行結果に基づき、総費用が最小となるときに選択している地震リスク補償を実際の地震リスク補償として採用することを特徴とする地震損失補填評価方法(特許文献2参照)なども提案されている。
また、顧客ニーズに柔軟に応えることができ、且つ客観的な指標に基づく地震関連デリバティブの設計を可能にする管理装置を提供することを課題とした、記録装置が接続されたコンピュータにおいて、対象施設の所在地又は対象となる商圏の入力を受け付ける処理、受け付けた所在地又は商圏において発生する地震の揺れによる損害発生のリスクを定量化する処理、及び、定量化されたリスクに応じたデリバティブの給付金支払条件を定め、この給付金支払条件を前記記録装置に記録する処理を実行し、所定の地震観測ポイントからの地震の実観測データが入力される任意の時点で前記記録装置に記録されている給付金支払条件に基づく給付金額を算定可能にすることを特徴とする、地震関連デリバティブの管理方法(特許文献3参照)なども提案されている。
また、コンピュータを用いて、専門技術者で無くとも、簡便且つ速やかに耐震性能をIs値やPML値により定量的に算定でき、しかも上記顧客ニーズに即応できるほか、コスト削減にも寄与する、建物の耐震性能評価方法及びその耐震性能評価値に基く改修費用評価方法を提供することや、コンピュータを用いて、目標とする改修後の耐震性能に応じた建物の改修費及び被災時の被害額を費用対効果として定量的に且つ明確に把握でき、しかも上記顧客ニーズに即応できる、建物の耐震性能評価値に基く改修費用評価方法を提供することなどを目的とした、既存建物の耐震改修費用を算定し、耐震改修への投資効果を評価する方法であって、コンピュータが、評価対象建物の構造情報、地理情報、地盤情報から成る建物環境データの入力を促すステップと、前記コンピュータが前記建物環境データの入力に基づいてIs値算定データベース及びPML値算定データベースとから構成される基礎データを参照して前記評価対象建物の現状耐震性能評価値(現状Is値及び現状PML値)を次のように算定するステップと、現状Is値の算定:コンピュータが、前記建物環境データの構造情報を基に、Is値算定 用データベースに格納するIs値算定表、即ち、過去に耐震診断を行 った建物の耐震診断データを基に、前記構造情報の各入力項目情報と Is値との関係を数値データとして取りまとめたもの、を用いて算定 する。現状PML値の算定:コンピュータが、PML値算定データベースの基礎データを参照し 、地震ハザード解析、損傷度解析、破壊確率の算定、被害関数、リスクカーブの解析の各工程を一連に処理して算定する。前記コンピュータが、目標耐震性能評価値(目標Is値)、及び前記評価対象建物の改修費用の算定に必要な対象建物の基準階面積、坪単価、改修単価等の算定情報の入力を促すステップと、前記コンピュータが前記評価対象建物の改修工事前後における被災時の予測被害額、及び改修費用を前記現状PML値を算定した際のデータ及び前記入力された対象建物の目標耐震性能評価値、建物環境データ、算定情報を基に算定するステップと、前記コンピュータが算定した評価対象建物の改修工事前後における被災時の予測被害額、及び改修費用をモニター等の出力表示手段に出力するステップとから成ることを特徴とする、建物の耐震性能評価値に基く改修費用評価方法(特許文献4参照)なども提案されている。
特開2003−27626号公報
特開2004−227353号公報
特開2005−158081号公報
特許第3765007号公報
地震に伴う各種リスクを推定する各種手法が上述の従来技術のように提案されているが、発生を想定する地震のデータ数(数十万件規模)やリスク推定対象(企業や建物等)が大規模となりやすく、そのため、リスク推定用計算の処理回数が膨大なものとなりがちであるという課題があった。従って例えば、貸出先企業が被災して企業活動に必要な建造物の破損やそれに伴う売上規模縮小、該当貸出先企業の倒産が発生し、その結果、貸付金回収が不可となるといった収益変動リスクの推定を行うに際しての計算時間やコストを適宜抑制し、効率的で低コストなリスク推定処理が可能な技術の提案が望まれている。
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、金融機関における貸出先震災時の収益変動リスクを効率的に推定可能とする技術の提供を目的とする。
本発明の震災時リスク推定方法は、地震に伴う貸出先被災時における金融機関の収益変動リスクを推定するコンピュータシステムが、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備え、前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する処理と、前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する処理と、前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する処理と、前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する処理と、前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する処理と、前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する処理と、前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する処理と、前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出する処理と、を実行することを特徴とする。
また、前記震災時リスク推定方法において、前記コンピュータシステムが前記震災後のリスク量を算出する処理に際し、複数の地震の回収不能額のうち金額最大のものから、所定の有意水準を越える金額までの平均値をリスク値として算出するとしてもよい。
また、前記震災時リスク推定方法において、前記コンピュータシステムが、前記債務者データベースにおける貸出先企業毎の所在地データに基づいて、各所在地を包含するマップを生成すると共に当該マップを所定面積で区画し、前記マップとその区画ならびに各区画と当該区画に含まれる前記所在地データとの対応関係を含んだ、マップデータを記憶装置に格納する処理を実行し、前記建物被害状況リストの生成処理、前記震災後財務状態リストの生成処理、および震度に応じた建物被害状況の特定処理の少なくともいずれかに際して、貸出先企業の所在地が存在する区画のみを前記記憶装置のマップデータより抽出し、該当区画に所在する貸出先企業を処理対象とするとしてもよい。
また、前記震災時リスク推定方法において、前記コンピュータシステムが、前記マップの各区画毎に、建物データに基づく構造耐震指標値を算定して当該構造耐震指標値が最小の貸出先企業の建物を各区画の代表建物としてメモリに格納する処理と、前記地震データベースの地震データに応じた地震が発生した場合の、所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理と、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画以遠であり、かつ代表建物の構造耐震指標値が前記所定区画の代表建物のものより大きい区画に所在する貸出先企業を前記処理対象から除外し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、を実行するとしてもよい。
また、前記震災時リスク推定方法において、前記コンピュータシステムが、住所毎の地盤データを格納した地盤データベースを備え、前記所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定する処理に際して、前記地盤データベースの該当地盤データに基づいて得られる地盤増幅率が最大の区画を前記所定区画として選定するとしてもよい。
また、前記震災時リスク推定方法において、前記コンピュータシステムが、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上である場合に、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い前記区画について、所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理とを、貸出先企業が所在する区画が前記マップ上で無くなるまで繰り返し実行するとしてもよい。
また、本発明の震災時リスク推定システムは、地震に伴う貸出先被災時における収益変動リスクを推定するコンピュータシステムであって、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備え、前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する手段と、前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する手段と、前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する手段と、前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する手段と、前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する手段と、前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する手段と、前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する手段と、前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出する手段と、を備える。
また、本発明の震災時リスク推定プログラムは、地震に伴う貸出先被災時における収益変動リスクを推定すべく、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備えるコンピュータシステムに、前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納するステップと、前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納するステップと、前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納するステップと、前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納するステップと、前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納するステップと、前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定するステップと、前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納するステップと、前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出するステップと、を実行させるプログラムである。
なお、前記コンピュータシステムが、住所毎の地盤データを格納した地盤データベースを備え、前記地震データに応じた地震の発生に際し、前記地震データと、前記地盤データベースの各所在地における地盤データと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の建物データとに基づいて、前記地震時における前記貸出先企業の直接被害率を前記建物被害状況として算出するとしてもよい。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、金融機関における貸出先震災時の収益変動リスクが効率的に推定可能となる。
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態における震災時リスク推定システムを含むネットワーク構成図である。本実施形態における震災時リスク推定システム100(以下、システム100)は、地震に伴う貸出先被災時における金融機関の収益変動リスクを推定するシステムである。ここで言う収益変動リスクは、例えば、地震発生に際して資金貸出先企業が被災し、当該貸出先企業が利用する建物類が損傷を受けることで営業活動に支障をきたして売上が急減したり、その結果、倒産に至って、該当企業に貸し付けていた資金の回収目途が立たなくなるリスクを想定できる。
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態における震災時リスク推定システムを含むネットワーク構成図である。本実施形態における震災時リスク推定システム100(以下、システム100)は、地震に伴う貸出先被災時における金融機関の収益変動リスクを推定するシステムである。ここで言う収益変動リスクは、例えば、地震発生に際して資金貸出先企業が被災し、当該貸出先企業が利用する建物類が損傷を受けることで営業活動に支障をきたして売上が急減したり、その結果、倒産に至って、該当企業に貸し付けていた資金の回収目途が立たなくなるリスクを想定できる。
前記システム100は、本発明の震災時リスク推定方法を実行する機能を実現すべくハードディスクドライブなどの記憶装置101に格納されたプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。
また、前記システム100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類といった入力インターフェイス105や、ディスプレイなどの出力インターフェイス106、ならびに震災時リスク推定を行いたい者が入出力指示等に利用する管理端末200などとの間のデータ授受を担う通信装置107などを有している。システム100は、前記通信装置107により、前記管理端末200と例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続しデータ授受を実行する。
続いて、前記システム100が例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記システム100は、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベース125と、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベース126と、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベース127と、住所毎の地盤データを格納した地盤データベース128とを記憶装置101に備えるものとする。
こうした前記システム100は、前記債務者データベース125より各貸出先企業の建物データをメモリ103に読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置101に格納する震災後被害計算準備部110を備える。
また、前記システム100は、前記記憶装置101に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベース125における該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置101に格納する震災後財務計算準備部111を備える。
また、前記システム100は、前記地震データベース126から所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置101の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリ103に格納する震災後被害予測部112を備える。
また、前記システム100は、前記メモリ103に格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリ103に格納する震災後被害額算定部113を備える。
また、前記システム100は、前記メモリ103に格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリ103に格納する震災後格付推定部114を備える。
また、前記システム100は、前記メモリ103に格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベース127における格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する震災後倒産推定部115を備える。
また、前記システム100は、前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリ103に格納する回収不能額推定部116を備える。
また、前記システム100は、前記地震データベース126の含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ103中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出するリスク計測部117を備える。
なお、前記リスク計測部117は、複数の地震の回収不能額のうち金額最大のものから、所定の有意水準を越える金額までの平均値をリスク値として算出するとすれば好適である。
また、前記システム100は、前記債務者データベース125における貸出先企業毎の所在地データに基づいて、各所在地を包含するマップを生成すると共に当該マップを所定面積で区画し、前記マップとその区画ならびに各区画と当該区画に含まれる前記所在地データとの対応関係を含んだ、マップデータを記憶装置101に格納するマップ処理部118を備えるとすれば好適である。
この場合、前記震災後被害計算準備部110および震災後財務計算準備部111は、前記建物被害状況リストの生成処理、前記震災後財務状態リストの生成処理、および震度に応じた建物被害状況の特定処理の少なくともいずれかに際して、貸出先企業の所在地が存在する区画のみを前記記憶装置101のマップデータより抽出し、該当区画に所在する貸出先企業を処理対象とすることとすれば好適である。
また、前記システム100は、前記マップの各区画毎に、建物データに基づく構造耐震指標値を算定して当該構造耐震指標値が最小の貸出先企業の建物を各区画の代表建物としてメモリ103に格納する代表選定部119を備えるとすれば好適である。
この場合、前記システム100は、前記地震データベース126の地震データに応じた地震が発生した場合の、所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理を行う判定処理部120を備えるものとする。
また、前記システム100は、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画以遠であり、かつ代表建物の構造耐震指標値が前記所定区画の代表建物のものより大きい区画に所在する貸出先企業を前記処理対象から除外し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理を行う区画選定部121を備える。
また、前記システム100が、住所毎の地盤データを格納した地盤データベース128を備えるとし、前記判定処理部120は、所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定する処理に際して、前記地盤データベース128の該当地盤データに基づいて得られる地盤増幅率が最大の区画を前記所定区画として選定するとすれば好適である。
また、前記システム100の区画選定部121は、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上である場合に、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い前記区画について、所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理とを、貸出先企業が所在する区画が前記マップ上で無くなるまで繰り返し実行するとすれば好適である。
なお、これまで示したシステム100における各機能部110〜121は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリ103やHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、前記CPU104がプログラム実行に合わせて記憶装置101より該当プログラムをメモリ103に読み出して、これを実行することとなる。
また、前記ネットワーク140に関しては、インターネット、LANの他、ATM回線や専用回線、WAN(Wide Area Network)、電灯線ネットワーク、無線ネットワーク、公衆回線網、携帯電話網、シリアル・インターフェース通信線など様々なネットワークを採用することも出来る。また、VPN(Virtual Private Network)など仮想専用ネットワーク技術を用いれば、インターネットを採用した際にセキュリティ性を高めた通信が確立され好適である。なお、前記シリアル・インターフェイスは、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で、外部機器と接続するためのインターフェースを指し、通信方式としてはRS-232C、RS-422、IrDA、USB、IEEE1394、ファイバ・チャネルなどが想定できる。
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態におけるシステム100が利用するテーブルの構造について説明する。図2は本実施形態における、(a)債務者データベース125、(b)地震データベース126、(c)倒産データベース127、(d)地盤データベース128の各データ構造例を示す図である。
−−−テーブル構造例−−−
次に、本実施形態におけるシステム100が利用するテーブルの構造について説明する。図2は本実施形態における、(a)債務者データベース125、(b)地震データベース126、(c)倒産データベース127、(d)地盤データベース128の各データ構造例を示す図である。
前記債務者データベース125は、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも格納したデータベースである。この債務者データベース125は、例えば、貸出先企業の企業IDをキーとして、所在地、建物データ(例:低層〜超高層、建設年代、免震装置有無、制振措置有無など)、与信データ(例:該当企業への与信限度額)、財務データ(例:売上高、利益率など)といったデータを関連づけたレコードの集合体となっている。
また、前記地震データベース126は、過去発生している地震の情報や地質学的に算出された活断層データなどに基づいて今後の発生が予想される地震のデータを格納するデータベースである。この地震データベース126は、例えば、地震IDをキーとして、活動域(例:歴史地震データに基づく活動域、活断層データに基づく活動域、太平洋プレート上面に沿った中小地震発生活動域、フィリピン海プレート上面に沿った中小地震活動域、陸側プレート地殻内の中小地震発生活動域で、“千島海溝南西”、“駿河湾沖”など)、マグニチュード、発生経度、発生緯度、震源深さ、発生頻度などといったデータを関連づけたレコードの集合体となっている。
また、前記倒産データベース127は、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納するデータベースである。この倒産データベース127は、例えば、レコードのIDをキーとして、モード(平常時、震災後)、当期格付、翌期格付、前記翌期格付への遷移確率、倒産確率といったデータを関連づけたレコードの集合体となっている。
また、前記地盤データベース128は、住所毎の地盤データを格納するデータベースである。この地盤データベース128は、例えば、地域IDをキーとして、対象地点の表層地盤の地質データ、地形分類(国土庁土地局等による地形分類図などに基づく)といったデータを関連づけたレコードの集合体となっている。
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における震災時リスク推定方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する震災時リスク推定方法に対応する各種動作のうち前記システム100に関するものは、前記システム100がメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そして、このプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。図3は、本実施形態の震災時リスク推定方法の処理手順例1を示す図である。
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における震災時リスク推定方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する震災時リスク推定方法に対応する各種動作のうち前記システム100に関するものは、前記システム100がメモリ103に読み出して実行するプログラム102によって実現される。そして、このプログラム102は、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。図3は、本実施形態の震災時リスク推定方法の処理手順例1を示す図である。
まず、本実施形態における震災時リスク推定方法のメインフローについて説明する。ここで前記システム100の震災後被害計算準備部110は、前記債務者データベース125より各貸出先企業の建物データをメモリ103に読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置101に格納する(s100)。ここで生成する建物被害状況リストは、例えば、貸出先企業ないしその建物のID毎に、震度と建物被害状況のデータとを関連づけたリストとなる。
前記ステップs100において建物被害状況を推定する手法については、耐震性能の指標である構造耐震指標値(Is(Seismic Index of Structure)値:値が大きいほど耐震性が高い)を用いて建物の損壊度合いを推定する従来手法を採用すればよい。
次に、前記システム100の震災後財務計算準備部111は、前記記憶装置101に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベース125における該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置101に格納する(s101)。ここで生成する震災後財務状態リストは、例えば、貸出先企業のID毎に、震度と建物被害状況のデータと財務健全度のデータとを関連づけたリストとなる(前記建物被害状況リストとマージしてもよい)。
前記ステップs100において震災後財務状態を推定する手法については、建物等の損壊度合いに応じて生じるであろう資産や利益の減少を推定する従来手法を採用すればよい。
続いて、前記システム100の震災後被害予測部112は、例えば乱数発生器(システム100が備える)が発生させた乱数値の桁値とマッチする地震ID等を前記地震データベース126で検索して、該当地震IDの地震データを読み出して、活動域、マグニチュード、発生経度、発生緯度、震源の深さ、発生頻度などといった地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定する(s102)。ここでの地震データに応じた震度算定処理は、震源深さ、地震規模、震源からの距離などに応じて所定地点の震度を推定する従来の震度推定手法を採用して行えばよい。
そして前記震災後被害予測部112は、前記記憶装置101の建物被害状況リストより、前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリ103に格納する(s103)このようにリスト中から震度をキーとして検索を行うだけで建物被害状況が迅速に得られる本実施形態によれば、震災時リスク推定の処理効率が従来より著しく上昇する。
或いは、前記地震データに応じた地震の発生に際し、前記地震データと、前記地盤データベース128の各所在地における地盤データと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の建物データとに基づいて、前記地震時における前記貸出先企業の直接被害率を前記建物被害状況として算出するとしてもよい。この場合、前記直接被害率の算定は、以下(1)〜(3)の通りとなる。
(1)震源の種々のパラメータおよびマグニチュード、断層からの距離と、対象地点の地震動の大きさを関係付ける式である下記の距離減衰式(式1)により、
Log10(Ab)=α・M+β・H-γ・log10(R+δ・exp(ε・M) )+ζ−−−式1
水平2成分の平均最大加速度Ab(cm/s2)を求める。なお、Mはマグニチュード、H(km)は震源深さ、R(km)は震源距離であり、α、β、γ、δ、ε、ζはそれぞれ、観測結果から回帰された回帰係数となる。
(2)一様に固いと見なせる岩盤(工学的基盤)で予測される地震動の揺れに対して、その上部に堆積している表層地盤の影響による増幅の割合を示す地盤増幅率SAFを求める。地盤の増幅率は、地点の地形分類に応じて異なる事が既往の調査研究で明らかとなっているが、対象地点の地形区分は既に国土庁土地局等による地形分類図が利用可能であり、本システム100では、電子化された地形分類に基づく単位メッシュ毎に格納された地盤増幅率を用いる。地盤増幅率SAFと、(1)で予測した工学的基盤の加速度Abを用いて、下記の(式2)により、対象地点の地表面の加速度Asを求める事が出来る。
(1)震源の種々のパラメータおよびマグニチュード、断層からの距離と、対象地点の地震動の大きさを関係付ける式である下記の距離減衰式(式1)により、
Log10(Ab)=α・M+β・H-γ・log10(R+δ・exp(ε・M) )+ζ−−−式1
水平2成分の平均最大加速度Ab(cm/s2)を求める。なお、Mはマグニチュード、H(km)は震源深さ、R(km)は震源距離であり、α、β、γ、δ、ε、ζはそれぞれ、観測結果から回帰された回帰係数となる。
(2)一様に固いと見なせる岩盤(工学的基盤)で予測される地震動の揺れに対して、その上部に堆積している表層地盤の影響による増幅の割合を示す地盤増幅率SAFを求める。地盤の増幅率は、地点の地形分類に応じて異なる事が既往の調査研究で明らかとなっているが、対象地点の地形区分は既に国土庁土地局等による地形分類図が利用可能であり、本システム100では、電子化された地形分類に基づく単位メッシュ毎に格納された地盤増幅率を用いる。地盤増幅率SAFと、(1)で予測した工学的基盤の加速度Abを用いて、下記の(式2)により、対象地点の地表面の加速度Asを求める事が出来る。
As = SAF ・ Ab−−−式2
(3)ある地表面加速度Asに対する直接被害率DL(As)は、建物の耐震性に応じて決まるIs値を助変数として、下記の(式3)により求められる。
DL(As) = f(As, Is )−−−式3
Is値は、本来は、耐震診断による算定が必要であるが、本システム100では、前記建物データに従って、以下の分類を参考に換算Is値を設定する。
・中低層:建設年代、建物階数から平均的な値を設定
・高層:換算値 Is=0.6×1.5〜2.0倍 ⇒ 1.2
・免震:換算値 Is=0.6×2.0倍以上 ⇒ 1.8
・制振大臣認定:換算値 Is=0.6×1.5〜2.0倍 ⇒ 1.2
・制振一般:換算値 Is=0.6×1.25〜1.5倍 ⇒ 0.85
・電力施設:換算値 Is=0.6×1.5〜2.0倍 ⇒ 1.2
なお、f(As, Is ) は、Is値に応じて定まる、小破になる確率、中破になる確率、大破になる確率、倒壊となる確率を、それぞれ各被害状態の基準化復旧費で重み付け平均して求められる関数である。
このようにして、ある地震データに基づく地震が発生した際の建物被害状況(直接被害率の概念含む)をメモリ103に格納したシステム100において、前記震災後被害額算定部113は、前記メモリ103に格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリ103に格納する(s104)。ここでの建物被害状況に応じた各貸出先企業の被害額推定処理は、建物の被害レベル(被害無し、小破、中破、大破、倒壊・・・)に応じて建物自体や建物内部の資産に関して統計的に見積もられる被害額を推定する既存手法を採用して行えばよい。
次に、前記システム100の震災後格付推定部114は、前記メモリ103に格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリ103に格納する(s105)。ここでの貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定処理についても、地震により被った損害に応じた財務状況の悪化影響やそれによる格付値の見直しロジックなど既存手法を採用して行えばよい。
また、前記システム100の震災後倒産推定部115は、前記メモリ103に格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベース127における格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する(s106)。更に、前記システム100の回収不能額推定部116は、前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリ103に格納する(s107)。
そして、前記システム100のリスク計測部117は、前記地震データベース126の含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ103中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出する(s108)。このリスク量の算出は、複数の地震に関するそれぞれの回収不能額のうち金額最大のものから、所定の有意水準(例:最大値から100番目)を越える金額までの平均値をリスク値として算出する。つまりここでリスク値として算出する値は、貸出先企業が被災により倒産してしまい、貸し付けていた資金が回収不能となる金額をベースにしたものとなる。
−−−処理フロー例2−−−
図4は、本実施形態の震災時リスク推定方法の処理手順例2を示す図である。次に、前記震災後被害計算準備部110、震災後財務計算準備部111、および震災後被害額算定部113の少なくともいずれかにおける各処理に際しての、本実施形態における処理効率化手法について説明する。従って、この処理フロー例2で説明する処理については、上記処理フロー例1において前記震災後被害計算準備部110、震災後財務計算準備部111、および震災後被害額算定部113について説明した処理の前処理として実行されると想定しても良い。
−−−処理フロー例2−−−
図4は、本実施形態の震災時リスク推定方法の処理手順例2を示す図である。次に、前記震災後被害計算準備部110、震災後財務計算準備部111、および震災後被害額算定部113の少なくともいずれかにおける各処理に際しての、本実施形態における処理効率化手法について説明する。従って、この処理フロー例2で説明する処理については、上記処理フロー例1において前記震災後被害計算準備部110、震災後財務計算準備部111、および震災後被害額算定部113について説明した処理の前処理として実行されると想定しても良い。
ここで前記システム100のマップ処理部118は、前記債務者データベース125における貸出先企業毎の所在地データに基づいて、各所在地を包含するマップ50を生成する(s200)。このマップ生成処理に際しては、例えば、住所情報が紐付いている電子地図データを記憶装置101に予め格納しておき、前記債務者データベースにおける各所在地データの含む住所群を全て包含する電子地図データを前記記憶装置101から読み出して、一体のマップ50とする処理を想定できる。
また前記マップ処理部118は、前記ステップs200の処理と共に前記マップ50を所定面積で区画し、前記マップ50とその区画51ならびに各区画51と当該区画に含まれる前記所在地データとの対応関係を含んだ、マップデータを記憶装置101に格納する(s201)。前記マップデータは、例えば、地図IDおよび区画ID毎に、貸出先企業の所在地、区画が含む地図上領域の範囲、を対応付けたレコードの集合体となる。
図5は本実施形態におけるマップと代表建物の概念イメージを示す図である。図5に示すように、マップ50は、例えば複数の矩形区画51から構成されるものとなる。各区画51には、当該区画51が地図上領域として含む緯度経度の範囲や貸出先企業(の所在地データ)の情報が記憶装置101上で紐付いている。
こうした状況で、前記震災後被害計算準備部110、震災後財務計算準備部111、および震災後被害額算定部113の少なくともいずれかは、それぞれ、前記建物被害状況リストの生成処理、前記震災後財務状態リストの生成処理、および震度に応じた建物被害状況の特定処理に際して、貸出先企業の所在地が存在する区画51のみを前記記憶装置101のマップデータより抽出し、該当区画51に所在する貸出先企業を処理対象とするのである(s202)。
また、前記システム100の代表選定部119は、前記マップ50の各区画51毎に、建物データに基づく構造耐震指標値(Is値)を算定して当該構造耐震指標値が最小の貸出先企業の建物、つまり最も耐震性が低いと推定される建物を各区画の代表建物52としてメモリ103に格納する(s203)。マップ50における代表建物52のイメージは図5に示す通りである。
次に、前記システム100の判定処理部120は、前記地震データベース126の地震データに応じた地震が発生した場合の、所定区画53の前記代表建物52に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定するか、或いは前記直接被害率の算定を行ってこれを建物被害状況として特定する(s204)。更に、前記判定処理部120は、前記地盤データベース128の該当地盤データに基づいて得られる前記地盤増幅率SAFが最大の区画を前記所定区画53として選定するものとする(s205)。そして、前記判定処理部120は、前記所定区画53の代表建物52の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理を行う(s206)。
図6は本実施形態における処理対象区画の選定概念を示す図である。続いて、前記システム100の区画選定部121は、前記所定区画53の代表建物52の被害が所定レベル以下であれば(s206:OK)、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画以遠であり、かつ代表建物52の構造耐震指標値が前記所定区画53の代表建物52のものより大きい区画54に所在する貸出先企業を前記処理対象(建物被害状況リストの生成処理、震災後財務状態リストの生成処理、および震度に応じた建物被害状況の特定処理の対象)から除外する(s207)。つまり、地盤増幅率が最大で地震の被害を受けやすい区画において最も耐震性の低いとした建物における被害が所定基準より低ければ、震源からの距離に反比例する建物被害の特性からして、震源からの距離が前記所定区画53以遠で前記代表建物52より耐震性が高い建物が代表建物となっている区画(に所在する貸出先企業)については震災時リスクの推定対象として考慮するまでもない、と判定するのである。
他方、前記所定区画53の代表建物52の被害が所定レベル以上であれば(s206:NG)、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画53より近い区画55に所在する貸出先企業を前記処理対象とする(s208)。つまり、震源からの距離に反比例する建物被害の特性からして、震源からの距離が前記所定区画53より近い区画(に所在する貸出先企業)については震災時リスク考慮の必要性が残されている、と判定するのである。この区画55のうち、貸出先企業が所在する未処理(s205〜s208の処理について未処理)区画が含まれていれば(s209:YES)、フローを前記ステップs205に戻し、前記地盤増幅率SAFが最大(ステップs205で最初に選定したSAF最大区画を除いてSAF最大の区画:ステップs205(YES)〜s209のループ1回目なので、マップ50全体で2番目にSAFが大きい区画となる)の区画を所定区画53としてあらためて選定し、上記ステップs206からの処理を更に実行することとなる。その後、処理を進めて前記ステップs209に再度至った際に、貸出先企業が所在する未処理区画が残されていれば(s209:NO)、処理を終了する。
こうして、前記システム100の区画選定部121は、前記所定区画53の代表建物52の被害が所定レベル以上である場合に、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画53より近い区画55に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画53より近い前記区画55について、所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理とを、貸出先企業が所在する区画が前記マップ上で無くなるまで繰り返し実行する。こうした処理を実行することで、膨大な数に上る貸出先企業について前記マップ上での事前絞り込み処理を可能とし、震災時リスク推定対象のマップ上の境界60を最終的に特定できる。
以上説明したように本実施形態によれば、予め震度に応じた建物被害状況のリストや震災後財務状態のリスト等を生成・準備しておく処理や、貸出先企業の所在地をマッピングした地図を区画してリスク推定処理対象を事前に絞り込む処理などを実現し、収益変動リスクの推定を行うに際しての計算時間やコストを適宜抑制し、効率的で低コストなリスク推定処理が可能となる。したがって、金融機関における貸出先震災時の収益変動リスクが効率的に推定可能となる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
50…マップ
51…マップ上の区画
100…震災時リスク推定システム
101…記憶装置(ハードディスクドライブ)
102…プログラム
103…メモリ
104…CPU
105…入力インターフェイス
106…出力インターフェイス
107…通信装置
110…震災後被害計算準備部
111…震災後財務計算準備部
112…震災後被害予測部
113…震災後被害額算定部
114…震災後格付推定部
115…震災後倒産推定部
116…回収不能額推定部
117…リスク計測部
118…マップ処理部
119…代表選定部
120…判定処理部
121…区画選定部
125…債務者データベース
126…地震データベース
127…倒産データベース
128…地盤データベース
140…ネットワーク
200…管理端末
51…マップ上の区画
100…震災時リスク推定システム
101…記憶装置(ハードディスクドライブ)
102…プログラム
103…メモリ
104…CPU
105…入力インターフェイス
106…出力インターフェイス
107…通信装置
110…震災後被害計算準備部
111…震災後財務計算準備部
112…震災後被害予測部
113…震災後被害額算定部
114…震災後格付推定部
115…震災後倒産推定部
116…回収不能額推定部
117…リスク計測部
118…マップ処理部
119…代表選定部
120…判定処理部
121…区画選定部
125…債務者データベース
126…地震データベース
127…倒産データベース
128…地盤データベース
140…ネットワーク
200…管理端末
Claims (8)
- 地震に伴う貸出先被災時における金融機関の収益変動リスクを推定するコンピュータシステムが、
貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備え、
前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する処理と、
前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する処理と、
前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する処理と、
前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する処理と、
前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する処理と、
前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する処理と、
前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する処理と、
前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出する処理と、
を実行する震災時リスク推定方法。 - 前記コンピュータシステムが前記震災後のリスク量を算出する処理に際し、複数の地震の回収不能額のうち金額最大のものから、所定の有意水準を越える金額までの平均値をリスク値として算出することを特徴とする請求項1に記載の震災時リスク推定方法。
- 前記コンピュータシステムが、前記債務者データベースにおける貸出先企業毎の所在地データに基づいて、各所在地を包含するマップを生成すると共に当該マップを所定面積で区画し、前記マップとその区画ならびに各区画と当該区画に含まれる前記所在地データとの対応関係を含んだ、マップデータを記憶装置に格納する処理を実行し、
前記建物被害状況リストの生成処理、前記震災後財務状態リストの生成処理、および震度に応じた建物被害状況の特定処理の少なくともいずれかに際して、貸出先企業の所在地が存在する区画のみを前記記憶装置のマップデータより抽出し、該当区画に所在する貸出先企業を処理対象とすることを特徴とする請求項1または2に記載の震災時リスク推定方法。 - 前記コンピュータシステムが、前記マップの各区画毎に、建物データに基づく構造耐震指標値を算定して当該構造耐震指標値が最小の貸出先企業の建物を各区画の代表建物としてメモリに格納する処理と、
前記地震データベースの地震データに応じた地震が発生した場合の、所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理と、
前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画以遠であり、かつ代表建物の構造耐震指標値が前記所定区画の代表建物のものより大きい区画に所在する貸出先企業を前記処理対象から除外し、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上であれば、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、
を実行することを特徴とする請求項3に記載の震災時リスク推定方法。 - 前記コンピュータシステムが、住所毎の地盤データを格納した地盤データベースを備え、
前記所定区画の代表建物に関する建物被害状況を前記建物被害状況リストより特定する処理に際して、前記地盤データベースの該当地盤データに基づいて得られる地盤増幅率が最大の区画を前記所定区画として選定することを特徴とする請求項4に記載の震災時リスク推定方法。 - 前記コンピュータシステムが、前記所定区画の代表建物の被害が所定レベル以上である場合に、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い区画に所在する貸出先企業を前記処理対象とする処理と、前記地震の震源地からの距離が前記所定区画より近い前記区画について、所定区画の代表建物の被害が所定レベル以下であるか否かの判定処理とを、貸出先企業が所在する区画が前記マップ上で無くなるまで繰り返し実行することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の震災時リスク推定方法。
- 地震に伴う貸出先被災時における収益変動リスクを推定するコンピュータシステムであって、
貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備え、
前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納する手段と、
前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納する手段と、
前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納する手段と、
前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納する手段と、
前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納する手段と、
前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定する手段と、
前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納する手段と、
前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出する手段と、
を備える震災時リスク推定システム。 - 地震に伴う貸出先被災時における収益変動リスクを推定すべく、貸出先企業毎の所在地、建物、与信、および財務の各データを少なくとも備える債務者データベースと、発生が予想される地震のデータを格納した地震データベースと、企業格付の推移傾向を示す格付推移データもしくは格付け推移や財務状態等に応じた企業の倒産確率のデータを格納した倒産データベースとを記憶装置に備えるコンピュータシステムに、
前記債務者データベースより各貸出先企業の建物データをメモリに読み出し、当該建物データから所定震度毎の震災後の建物被害状況を推定し、貸出先企業毎の建物被害状況のリストを生成して記憶装置に格納するステップと、
前記記憶装置に格納した所定震度毎の震災後の建物被害状況リストと、前記債務者データベースにおける該当貸出先企業の与信および財務の各データとに基づいて、該当貸出先企業における所定震度毎の震災後の財務状態を推定し、貸出先企業毎の震災後財務状態のリストを生成して記憶装置に格納するステップと、
前記地震データベースから所定地震データを読み出して、当該地震データに応じた地震が発生した場合の各貸出先企業の所在地における震度を算定し、前記記憶装置の建物被害状況リストより前記算定した震度に応じた建物被害状況を特定しメモリに格納するステップと、
前記メモリに格納した各建物被害状況に応じて各貸出先企業の被害額の推定を行ってメモリに格納するステップと、
前記メモリに格納した各貸出先企業の被害額に基づいて前記地震発生後の貸出先企業の財務状態の推定と当該財務状態に応じた震災後格付の推定とを行ってメモリに格納するステップと、
前記メモリに格納した震災後格付または財務状態と、前記倒産データベースにおける格付推移データもしくは倒産確率データとから、前記地震の発生後に該当貸出先企業が倒産するか否かを推定するステップと、
前記推定により震災後に倒産するとされた貸出先企業が実際に倒産した場合の債権の回収不能額を推定しメモリに格納するステップと、
前記地震データベースの含む複数の各地震データに基づいてそれぞれの地震に関し推定した前記メモリ中の回収不能額に基づき、震災後のリスク量を算出するステップと、
を実行させる震災時リスク推定プログラム。
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