JP2010005936A - 射出成形インサート成形品の損傷予測方法、および装置 - Google Patents

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晴彦 光畑
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Abstract

【課題】射出材料の熱や圧力もしくはせん断応力によって発生する射出材料充填工程におけるインサート物の損傷を定量的に予測する方法および装置を提供すること。
【解決手段】インサート物の初期形状データおよびインサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状データを設定する初期解析形状データ設定工程と、前記インサート成形品の成形工程における前記インサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める解析工程118と、該解析工程において求められた前記インサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記インサート物の負荷値を算出する負荷値算出工程119と、前記インサート物の前記負荷値と損傷予測基準値を比較する比較工程120とを有することを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、射出成形インサート成形品の損傷予測方法、および装置に関する。
射出成形品の意匠性、強度、剛性、機能などを向上させるため、フィルム、樹脂、金属、セラミックなどのインサート物を金型内に予めセットしておき、インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込み、所望の射出成形インサート成形品を成形するインサート成形法がある。
その一方で、インサート成形は、予めセットした部材と後から流し込む射出材料を一体化して製品とするため、様々な成形不良を発生させる問題がある。例えば、インサート成形を行う場合、一般に射出材料を高温、高圧で金型内に充填するため、充填する際、予めセットされたインサート物は射出材料の熱によって溶融したり、セットしたインサート物の位置がずれたり、インサート物や射出材料に応力が発生したりする場合がある。また、充填する際に不良が発生しなかったとしても、高温の射出材料が室温まで冷却する時の熱収縮の影響で、インサート成形品が変形したり、残留応力によるクリープ変形やクリープ破壊が生じたりする場合がある。
これらのインサート成形品の不良は、成形条件、製品形状、金型設計のトライアルアンドエラーによって改善することができる。しかし、近年は、製品の低コスト化や製品サイクルの短縮の影響で、解析などの事前検討の精度を高め、トライアルアンドエラーの回数や期間を短くすることが望まれている。
例えば、特許文献1では、インサート物を有する成形品を射出成形で製造する過程における流動解析と、流動解析により求められた流動によって生じる流動圧力によるインサート物の変形状態を解析するインサート物の流動変形解析、インサート物と射出材料の熱収縮によるインサート物の変形状態を解析するインサート物の熱収縮変形解析に関する射出成形解析方法、射出成形解析装置および射出成形解析プログラムを提供している。この方法を用いることにより、充填する際、セットしたインサート物の位置のずれ、変形、および高温の射出材料が室温まで冷却する時の熱収縮によるインサート成形品の変形を事前に検討することができることが開示されている。
また、特許文献2では、金属インサート成形品のクリープ破壊寿命を推定する方法を提供している。この方法を用いることにより、インサート成形品のクリープ寿命を事前に検討することができることが開示されている。
また、特許文献3から6では、射出成形品の流動解析について、所定の溶融材料温度における適正な溶融材料圧力と金型温度、もしくは所定の金型温度での適正な溶融材料温度と充填時間、もしくは所定の金型温度での溶融材料成形不可領域温度と充填時間の範囲、もしくは所定の溶融材料温度での適正な溶融圧力と金型温度を評価判定する方法を提供している。これらの方法を用いることにより射出成形品の最適成形条件を事前検討することができることが開示されている。
しかし、本発明者らの知見によれば、射出材料の熱や圧力もしくはせん断応力によって発生する射出材料充填工程におけるインサート物の損傷に対しては、解析などにより定量的に事前検討する方法がこれまで存在せず、インサート物やインサート成形品の物性や形状、射出材料の物性などの最適条件を探索する上で、大まかな推測を基にした事前検討しか行うことができなかった。
特開2003−112349号公報 特開2007−78646号公報 特開昭64−67319号公報 特開昭64−67322号公報 特開昭64−67323号公報 特開平1−98967号公報
本発明の目的は、成形過程におけるインサート物の温度および射出材料の圧力もしくはせん断応力の解析結果とインサート成形品の損傷との間の高い相関関係を利用し、射出材料の熱や圧力もしくはせん断応力によって発生するインサート成形品の成形工程におけるインサート物の損傷を定量的に予測する方法および装置を提供することにある。
本発明者らの知見によると、この損傷の原因は、主として射出材料の熱がインサート物に伝熱溶融することにより発生すると思われたが、一定の温度条件であってもインサート物に損傷が発生するものと発生しないものが存在することが判明し、熱による要因に限定されないことが推察された。そこで、SEM(Scanning Electron Microscope)による断面観察など鋭意検討を行い、熱だけではなく機械的な破壊の影響を受けることを発見した。そこで、成形過程におけるインサート物の温度および射出材料の圧力もしくはせん断応力の解析結果と損傷の関係を鋭意検討したところ、両者に高い相関関係があることを見出し、本発明に至った。
上記目的を達成するために、本発明は、インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込み、所望の射出成形インサート成形品を成形する際に発生するインサート成形品の損傷を予測する方法であって、前記インサート物の初期形状データおよび前記インサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状データを設定する初期解析形状データ設定工程と、前記インサート成形品の成形工程における前記インサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める解析工程と、該解析工程において求められた前記インサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記インサート物の負荷値を算出する負荷値算出工程と、前記インサート物の前記負荷値と損傷予測基準値を比較する比較工程とを有することを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、単純形状のインサート成形品を成形することによって、前記単純形状のインサート成形品の損傷実測値を求める単純形状の損傷実測工程と、前記単純形状の射出成形インサート成形品の成形工程における単純形状のインサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める単純形状の解析工程と、該解析工程において求められた前記単純形状のインサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記単純形状のインサート物の前記負荷値を求める単純形状の負荷値算出工程と、前記単純形状の損傷実測値と前記単純形状の負荷値との相関データを作成することにより、前記損傷予測基準値を導出する基準値算出工程とを有する射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記負荷値が式(1)で表される射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
Figure 2010005936
また、本発明の好ましい形態によれば、前記負荷値が式(2)で表される射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
Figure 2010005936
また、本発明の好ましい形態によれば、前記射出材料として樹脂を用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記インサート物として樹脂を用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記インサート物としてウェブを用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込み、所望の射出成形インサート成形品を成形する際に発生するインサート成形品の損傷を予測する装置であって、前記インサート物の初期形状データおよび前記インサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状データを設定する初期解析形状データ設定手段と、前記インサート成形品の成形工程における前記インサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める解析手段と、該解析手段で求められた前記インサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記インサート物の負荷値を算出する負荷値算出手段と、前記インサート成形品の前記負荷値と損傷予測基準値を比較する比較手段とを有することを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、単純形状のインサート成形品を成形することによって、前記単純形状のインサート成形品の損傷実測値を求める単純形状の損傷実測手段と、前記単純形状の射出成形インサート成形品の成形工程における単純形状のインサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める単純形状の解析手段と、該解析工程において求められた前記単純形状のインサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記単純形状のインサート物の前記負荷値を求める前記単純形状の負荷値算出手段と、前記単純形状の損傷実測値と前記単純形状の負荷値との相関データを作成することにより、前記損傷予測基準値を導出する基準値算出手段とを有する射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記負荷値が式(1)で表される射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
Figure 2010005936
また、本発明の好ましい形態によれば、前記負荷値が式(2)で表される射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
Figure 2010005936
また、本発明の好ましい形態によれば、前記射出材料として樹脂を用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記インサート物として樹脂を用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記インサート物としてウェブを用いることを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測装置を提供する。
本発明において、「インサート物」とは、予め金型内にセットされた部材をいう。インサート物は、射出成形品の意匠性、強度、剛性、機能などを向上させるために用いる。インサート物としては、例えば、樹脂、金属、セラミックなどの部材を用いることができる。
本発明において、「射出材料」とは、溶融状態の材料をいう。射出材料として、例えば、樹脂や金属を用いることができる。
本発明において、「射出成形インサート成形品」とは、インサート物と射出材料が成形により一体化した成形品をいう。
本発明において、「射出成形インサート成形品の損傷」は、例えば、熱による溶出、および圧力もしくはせん断応力による機械的な破壊等が挙げられる。
本発明において、「初期解析形状データ設定」とは、インサート物の初期形状データを設定するとともに、インサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状を求めて初期形状データを設定することをいう。初期形状データは、ユージーエス コーポレーション製“I−deas(登録商標)”のUNV形式など汎用のプリプロセッサーにより作成できるものが好ましく、1次元ビーム要素、2次元シェル要素、3次元ソリッド要素などで表現する。もちろん、節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどで記述されるデータであれば、形状データの形式は限定しない。また、形状データは補助記憶装置から読み込んでも、キーボードやマウスなどの入力手段を用いて直接入力しても構わない。
本発明において、「単純形状の射出成形インサート成形品」とは、単純形状のテストピースをいう。例えば、平板などの形状が挙げられる。インサート成形品の損傷の発生要因を探索するために用いる。
本発明において、「負荷値」とは、射出材料がインサート物に与える負荷をいう。温度および圧力もしくはせん断応力などによって定量的に表すことができる。
本発明において、「熱と圧力による負荷値」とは、射出材料がインサート物に与える負荷のことで、温度および圧力によって定量的に表すことができる。
本発明において、「熱と応力による負荷値」とは、射出材料がインサート物に与える負荷のことで、温度およびせん断応力によって定量的に表すことができる。
本発明において、「損傷実測値と負荷値との相関データを作成する」とは、損傷の実測値と解析の負荷値を関連付けることであり、損傷が発生する場合における解析の負荷値、および損傷が発生しない場合における解析の負荷値を算出することである。
本発明において、「損傷予測基準値」とは、損傷実測値と負荷値との相関データから射出成形インサート成形品のインサート物に損傷が発生する場合と損傷が発生しない場合の臨界点における負荷値をいう。
本発明において、「樹脂」とは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系プラスチック、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、芳香族ナイロン等のポリアミド系プラスチック、その他ポリイミド系、ポリスルホン系、ポリビニル系、ポリエステルエーテル系、ポリカーボネート系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリ乳酸系、セルロース系、アクリル系などからなるプラスチックをいう。もちろん、これらの樹脂の混合物やアクリトニトリルブタジエンスチレンなどの共重合物であってもよい。また各種の添加剤、例えば帯電防止剤や、耐候剤や、無機または有機の粒子や、ワックス等の滑剤や、顔料や、発泡剤を含むものであってもよい。
本発明において、「ウェブ」とは、紙やフィルム、薄い金属箔など特に限定されないが、プラスチックフィルムが好適である。フィルムとしては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、芳香族ナイロン等のポリアミド系フィルム、その他ポリイミド系、ポリスルホン系、ポリビニル系、ポリエステルエーテル系、ポリカーボネート系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリ乳酸系、セルロース系、アクリル系などからなるプラスチックフィルムが用いられる。もちろん、これらの樹脂の混合物や共重合物であってもよい。また各種の添加剤、例えば帯電防止剤や、耐候剤や、無機または有機の粒子や、ワックス等の滑剤や、顔料を含むものであってもよい。インサート物がフィルムである場合、成形品をフィルムインサート成形品、もしくはフィルム加飾成形品と呼び、塗装などよりも耐スクラッチ性、耐候性、接着性の優れた成形品を得ることができる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、射出材料の熱や圧力もしくはせん断応力によって発生する射出材料充填工程におけるインサート物の損傷を定量的に予測することができる。
以下、本発明の最良の実施形態の例を、射出成形インサート成形品を成形する際に発生するインサート成形品の損傷予測装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の解析装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態において、(100)はコンピュータ、(101)はキーボード、(102)はマウス、(103)はディスプレイ、(104)は補助記憶装置である。(104)には、ハードディスク装置の他、テープ、FD(フレキシブルディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD(相変化光ディスク)、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)などのディスクメモリー、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリー、メモリーカードなどのリムーバブルメディアも利用可能である。
補助記憶手段(104)には、インサート物、インサート物と金型とにより形成される成形空間部の形状データ(105)、インサート成形工程の損傷を解析評価などを行うためのプログラム(106)、粘度、PVT特性(圧力−容積−温度特性)、弾性率、ポアソン比、線膨張係数などのインサート物および射出材料の物性データ(107)、設定温度、設定圧力、設定速度、設定時間などの成形条件(108)、インサート成形品の損傷を評価するための損傷予測基準値(109)が含まれることが好ましいが、キーボード(101)マウス(102)などの入力装置を用いて、逐一入力しても構わない。なお、損傷予測基準値(109)は、損傷予測基準値算出手段(110)を用い、単純形状の射出成形インサート成形品を成形および解析することによって、単純形状の射出成形インサート成形品の損傷実測値と単純形状の射出成形インサート物の負荷値との相関データを作成することによって導出してもよい。
本発明者らが鋭意検討した結果、射出成形インサート成形品の損傷は、製品形状によらず、インサート物と射出材料の境界におけるインサート物の温度および射出材料の圧力もしくはせん断応力によって生じることを見出した。従って、単純形状で損傷実測値と単純形状の射出成形インサート物の負荷値との相関データを求め、損傷予測基準値を作成しておけば、様々な形状に対しても、単純形状で作成した損傷予測基準値を利用することができるため、単純形状から算出した損傷予測基準値は、単純形状のインサート成形品だけではなく、様々なインサート成形品に適用させることが可能である。
なお、損傷予測基準値算出手段(110)には、単純形状の成形手段(111)と単純形状の損傷実測手段(112)が含まれる。また、形状データ(105)は、ユージーエス コーポレーション製“I−deas(登録商標)”のUNV形式など汎用の射出成形解析プリプロセッサーにより作成できるものが好ましく、1次元ビーム要素、2次元シェル要素、3次元ソリッド要素などで表現する。もちろん、節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどで記述されるデータであれば、形状データ(105)の形式は限定しない。
コンピュータ(100)には、インサート物ならびにインサート物と金型とにより形成される成形空間部の形状データ設定手段(113)、データ読み出し手段(114)、流動解析手段(115)、負荷値と損傷予測基準値との比較手段(120)が含まれる。
また、損傷予測基準値算出手段(110)を用いて、損傷予測基準値(109)を作成する場合は、コンピュータ(100)には、単純形状の損傷実測値と単純形状の負荷値との相関データ作成手段(121)も含まれる。
なお、流動解析手段(115)は、インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込む工程を解析する手段であり、金型内のインサート物や射出材料の温度解析手段(116)、射出材料の圧力解析手段(117)、射出材料のせん断応力解析手段(118)、およびインサート物の温度および射出材料の圧力もしくはせん断応力の解析値から算出される負荷値算出手段(119)が含まれる。これらは、実際のインサート成形品を解析する場合にも、単純形状のインサート成形品を解析する場合にも利用することができる。
図2は、本発明の一実施形態のフロー図である。コンピュータ(100)は、データ読み出し手段(114)でインサート物とインサート物と金型とにより形成される成形空間部の形状データ(105)の読み込み(ステップ200)、プログラム(106)の読み込み(ステップ201)、インサート物および射出材料の物性データ(107)の読み込み(ステップ202)、および成形条件データ(108)の読み込み(ステップ203)を行う。形状データ(105)、インサート物および射出材料の物性データ(107)、成形条件(108)が記憶装置(104)に保存されていない場合は、キーボード(101)、マウス(102)などの入力装置やプログラム(106)を用いて、入力や編集を行う。
次に、形状データ(105)、物性データ(107)、成形条件(108)を解析の入力ファイルとして、流動解析手段(115)により、射出成形インサート成形品の流動解析(ステップ205)を行う。流動解析(ステップ205)には、射出成形の射出材料充填工程の流動解析、好ましくは充填工程および保圧工程(射出材料に圧力をかけて、金型内における射出材料の収縮を補う工程)の流動解析が含まれる。もちろん、保圧工程後の冷却工程の解析、射出材料の配向解析、金型から射出成形インサート成形品を取り出した後の変形解析を実施しても構わない。
流動解析手段(115)は、例えば、東レエンジニアリング製“3D−TIMON(登録商標)”、モールドフロー製“MOLDFLOW(登録商標)”、シーディー・アダプコ製“STAR−CD(登録商標)”、アンシス製“FLUENT(登録商標)”などの流動解析ソフトを用いることができる。流動解析によって、インサート物と金型とにより形成される成形空間部における射出材料の流動挙動を解析することができ、その際、射出材料の温度、圧力、流速、せん断応力などを導出することができる。なお、インサート物、および金型は溶融しないので、固体として取り扱うことが好ましく、より好ましくは、計算を簡便にするため、弾性体ではなく剛体として取り扱うことが好ましい。また、温度については、射出材料と金型との間、射出材料とインサート物との間、インサート物と金型との間にそれぞれ熱伝達率を設定することによって、それぞれの間での熱の収支を計算する。これにより、射出材料およびインサート物の温度の時刻変化を導出できる。もちろん、金型温度も射出材料およびインサート物と同様に温度の時刻変化を導出することができるが、より好ましくは、計算を簡便にするため、金型温度は一定温度として取り扱うことが好ましい。また、射出材料と金型との間、および金型とインサート物との間については、熱伝達率を設定せず、それぞれの間の温度は一定温度(金型温度)として取り扱ってもよい。なお、熱伝達率は実測することが困難であるため、解析ソフトの初期設定値やカタログデータを利用することが好ましい。
続いて、流動解析で得られたインサート物の温度、および射出材料の圧力もしくはせん断応力からインサート物の負荷値を算出する(ステップ206)。負荷値は、インサート成形品の流動解析から得られたインサート物の温度と射出材料の圧力もしくはせん断応力から求める。これらの温度、圧力、せん断応力はインサート物、射出材料の任意の位置について求めることができるが、インサート成形品の損傷はインサート物が高温になることとインサート物が射出材料から圧力もしくはせん断応力を受けることによって生じるので、インサート物と射出材料の境界位置での値を求めることが好ましい。なお、境界位置での負荷値をグラフィック表示する場合、インサート物もしくは金型とにより形成される成形空間部のいずれかを2次元のシェル要素でモデル化した場合はシェル要素部分に表示すればよく、いずれもソリッド要素でモデル化した場合は、ソリッド要素境界部分に2次元のシェル要素を作成し、その2次元のシェル要素に表示すればよい。もちろん、グラフィック表示を行わず、インサート物と射出材料の境界部における負荷値の最大値による評価でも構わない。また、これらの温度、圧力、せん断応力は成形工程における最大値、平均値、積分値などとすることができるが、最大値を用いることが損傷の有無を最も明確に表すことができるため、好ましい。
負荷値をインサート物の温度、射出材料の圧力から算出する場合、負荷値(熱と圧力による負荷値)は式(1)のように求めることが好ましい。もちろん、インサート物の温度、射出材料の圧力を利用した関数であれば、式(1)に限定するものではない。また、インサート物の温度、射出材料の圧力とは、インサート物と射出材料の境界位置での値を求めることが好ましい。なお、基準温度はインサート物の融点など損傷の基準となる温度、基準圧力はインサート物の機械的強度や硬度など基準となる値にすることが好ましい。
負荷値(熱と圧力による負荷値)は大きいほど負荷が大きく損傷しやすいことを表している。負荷値(熱と圧力による負荷値)に式(1)を用いた場合、インサート物の温度、および射出材料の圧力が高い場合、(T−T)、および(P−P)が小さくなる。従って、式(1)はインサート物の温度、および射出材料の圧力が高いほど、負荷値(熱と圧力による負荷値)が高くなること示している。
Figure 2010005936
また、負荷値をインサート物の温度、射出材料のせん断応力から算出する場合、負荷値(熱と応力による負荷値)は式(2)のように求めることが好ましい。もちろん、インサート物の温度、射出材料の圧力を利用した関数であれば、式(2)に限定するものではない。また、インサート物の温度、射出材料の圧力は、インサート物と射出材料の境界位置での値を求めることが好ましい。なお、基準温度はインサート物の融点など損傷の基準となる温度、基準せん断応力はインサート物の機械的強度や硬度など基準となる値にすることが好ましい。
負荷値(熱と応力による負荷値)は大きいほど負荷が大きく損傷しやすいことを表している。負荷値(熱と応力による負荷値)に式(2)を用いた場合、インサート物の温度、および射出材料のせん断応力が高い場合、(T−T)、および(σ−σ)が小さくなる。従って、式(2)はインサート物の温度、および射出材料のせん断応力が高いほど、負荷値(熱とせん断による負荷値)が高くなること示している。
Figure 2010005936
算出された負荷値を損傷予測基準値と比較して、インサート成形品の損傷予測を行う(ステップ207)。式(1)や式(2)に基づいて負荷値を計算した場合は、負荷値が損傷予測基準値よりも大きい場合は損傷が発生し、小さい場合は損傷が発生しないと判定する。損傷が発生した場合は、成形条件、インサート物や射出材料の種類などを変更し、損傷が発生しない条件を探索すればよい。このように計算で損傷の予測をすると、実際の成形で成形条件やインサート物や射出材料を変更しながら最適条件を探索するよりも大幅に時間やコストを削減することが可能となる。
なお、損傷予測基準値は、過去の成形実績などのデータベースから設定することが可能であるが、成形実績がない場合は、単純形状のインサート成形品を使用して、損傷予測基準値を導出することが好ましい。
次に、単純形状のインサート成形品を用いた損傷予測基準値の導出について説明する。
図3は、単純形状のインサート成形品の一例を示した斜視図である。(301)は単純形状の射出成形インサート成形品、(302)は樹脂フィルムのインサート物、(303)は射出材料注入点(ゲート)である。まず、成形条件、インサート物の種類、射出材料の条件を振って、単純形状のインサート成形品について成形実験を行う(ステップ208)。その上で、単純形状のインサート成形品の損傷を評価し、損傷が発生する条件と発生しない条件について分類する(ステップ209)。
次に、単純形状のインサート成形品について、解析を行い評価する。単純形状のインサート成形品について解析する場合も、通常のインサート成形品の解析と同様に、コンピュータ(100)によって、データ読み出し手段(114)で単純形状のインサート物と単純形状のインサート物と金型とにより形成される成形空間部の形状データ(105)の読み込み(ステップ201)、プログラム(106)の読み込み(ステップ202)、単純形状のインサート物および射出材料の物性データ(107)の読み込み(ステップ203)、および成形条件データ(108)の読み込み(ステップ204)を行う。そして、形状データ(105)、物性データ(107)、成形条件(108)を解析の入力ファイルとして、流動解析手段(115)により、単純形状の射出成形インサート成形品の流動解析(ステップ210)を行う。続いて、流動解析で得られた単純形状のインサート成形品のインサート物の温度、および射出材料の圧力もしくはせん断応力から単純形状インサート物の負荷値を算出する(ステップ211)。
最後に、単純形状のインサート成形で得られた単純形状の損傷実測結果と単純形状のインサート成形品の解析から得られた単純形状インサート物の負荷値より両者の相関データを作成し、損傷予測基準値を導出する(ステップ212)。すなわち、損傷が発生する場合における解析から得られた単純形状インサート物の負荷値、および損傷が発生しない場合における解析から得られた単純形状インサート物の負荷値を算出し、射出成形インサート成形品の損傷が発生する場合と損傷が発生しない場合の臨界点における単純形状インサート物の負荷値を損傷予測基準値として導出する。そして、この単純形状で導出した損傷予測基準値を様々なインサート成形品に適用させて、インサート成形品の損傷評価に活用する。
[実施例1]
図4は、携帯電話部品の一例を示した斜視図である。(401)は携帯電話部品の成形品、(402)は樹脂フィルムのインサート物、(403)、(404)はそれぞれ射出材料注入点(ゲート)である。携帯電話部品を射出成形によって製作する際、露出側にフィルムをインサートさせて樹脂を充填することによって、耐久性、意匠性の向上を図った。例えば、フィルムを木目調にすることにより、塗装では得ることができない意匠性を得ることができる。インサート物のフィルムは厚さ0.1mmのPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)とし、射出材料はABS樹脂(アクリトニトリルブタジエンスチレン)とした。また、解析は東レエンジニアリング社製の“3D TIMON(登録商標)”を用いて解析し、インサート物のフィルムは2次元のシェル要素、インサート物と金型とにより形成される成形空間部は3次元のソリッド要素で形状をモデル化した。
本実施の形態の図1の装置および図2のフロー図に従って、インサート射出成形品の損傷予測を行った。なお、損傷予測基準値は図3に示す単純形状を用いて行った。実験、解析の条件は、上記の携帯電話部品と同一とした(インサート物のフィルムは厚さ0.1mmの着色した不透明のPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)とし、射出材料はABS樹脂(アクリトニトリルブタジエンスチレン)、解析は東レエンジニアリング社製の“3D TIMON(登録商標)”を用いて行った。また、インサート物のフィルムは2次元のシェル要素、インサート物と金型とにより形成される成形空間部は3次元のソリッド要素で形状をモデル化した)。
単純形状による成形実験、および解析は表1に示すように射出材料の種類、射出速度、射出材料の温度、金型の温度条件を振って行い、成形実験では損傷の評価、解析では単純形状インサート物の負荷値の算出を行った。なお、損傷の判定は、不透明のフィルム側から目視で射出材料が見える場合は損傷有、見えない場合は損傷なしと判定した。
Figure 2010005936
表2、図5、図6は損傷評価結果と負荷値の関係を示したものである。ここでは、基準温度を503K(230℃)、基準圧力、基準せん断応力を50MPaとした。そして、損傷が発生する場合は、損傷が発生する部位における負荷値の最大値、損傷が発生しない場合はインサート物と射出材料との間のすべての部位における負荷値の最大値を各水準の負荷値とした。
Figure 2010005936
表2、図5、図6より、インサート物の温度、射出材料の圧力から算出する場合は、損傷予測基準値が0.83、インサート物の温度、射出材料のせん断応力から算出する場合は、損傷予測基準値が0.79と導出された。
一方、図4の携帯電話部品について、射出速度0.3m/s、樹脂温度500K(227℃)、金型温度340K(67℃)として、樹脂を注入するゲート位置を403の位置として、インサート物と射出材料の境界位置におけるインサート物の負荷値分布を求めた。
図7は境界位置における負荷値分布をグラフィック表示したものである。表示は、インサート物の2次元のシェル要素を利用して行った。図7に示すように、負荷値分布を評価した結果、樹脂を注入するゲート付近で負荷値が最大であった。
そして、上記成形条件において、ゲート付近におけるインサート物の温度が393K(120℃)、射出材料の圧力が6.9MPa、射出材料のせん断応力が0.41MPaとなり、熱と圧力による負荷値の最大値Dは0.81、熱と応力による負荷値の最大値Dは0.78と算出され、いずれも単純形状で算出した損傷予測基準値を下回った。
そこで、上記で検討した携帯電話部品の成形条件と同一の条件(射出速度0.3m/s、樹脂温度500K(227℃)、金型温度340K(67℃))で、実際に成形したところ、インサート成形品に損傷が発生せず、良好な成形品を得ることができた。
[実施例2]
図4の携帯電話部品について、実施例1で検討した携帯電話部品の成形条件と同一の条件(射出速度0.3m/s、樹脂温度500K(227℃)、金型温度340K(67℃))で、樹脂を注入するゲート位置を404の位置に変更すると、インサート物の温度が396K(123℃)、射出材料の圧力が11.9MPa、射出材料のせん断応力が0.83MPaとなり、熱と圧力による負荷値の最大値Dは0.84、熱と応力による負荷値の最大値Dは0.79と算出され、いずれも単純形状で算出した損傷予測基準値を上回った。
通常、このような場合は成形条件として採用しないが、本発明の検証のために上記で検討した携帯電話部品の成形条件と同一の条件(射出速度0.3m/s、樹脂温度500K(227℃)、金型温度340K(67℃))で、実際に成形したところ、インサート成形品に損傷が発生した。
以上のように、負荷値と損傷予測基準値を比較評価することにより、事前にインサート成形品の損傷を検討することができる。
[比較例1]
図4の携帯電話部品について、樹脂を注入するゲート位置を404の位置として、本発明の解析による負荷値計算を行わずに、成形中に試行錯誤で成形条件を変更し、インサート成形品に損傷が発生しない条件を探索したが、ゲート位置404では損傷が発生しない条件を見つけることができなかった。そこで、樹脂を注入するゲート位置404にするため、金型を再度製作しなおすこととなり、時間、コストを費やした。
以上のように、試行錯誤で成形条件を変更し、最適条件を探索する方法では、試行錯誤の上で最適条件が見つける場合は問題ないが、見つけることができなかった場合は時間とコストの面で問題が生じる。
本発明は、射出成形インサート成形品の損傷予測装置に限らず、発泡成形インサート成形品の損傷予測装置や押出成形インサート成形品の損傷予測装置などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本発明の一実施形態例の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態例のフローチャート図である。 本発明の単純形状のインサート成形品の一例を示す斜視図である。 本発明の目的形状のインサート成形品の一例(携帯電話)を示す斜視図である。 本発明の単純形状のインサート成形品におけるインサート物の熱と圧力による負荷値Dと損傷の相関関係を示すグラフの一例である。 本発明の単純形状のインサート成形品におけるインサート物の熱と応力による負荷値Dと損傷の相関関係を示すグラフの一例である。 本発明の目的形状のインサート成形品の一例(携帯電話部品)の負荷値分布を示す斜視図である。
符号の説明
100:コンピュータ
101:キーボード
102:マウス
103:ディスプレイ
104:補助記憶手段
105:形状データ
106:プログラム
107:物性データ
108:成形条件
109:損傷予測基準値
110:損傷予測基準値算出手段
111:単純形状の成形手段
112:単純形状の損傷実測手段
113:形状設定手段
114:データ読み出し手段
115:流動解析手段
116:温度解析手段
117:圧力解析手段
118:せん断応力解析手段
119:負荷値算出手段
120:負荷値と損傷予測基準値との比較手段
121:相関データ作成手段
301:単純形状の成形品
302:インサート物(フィルム)
303:射出材料注入点(ゲート)
401:携帯電話部品の成形品
402:インサート物(フィルム)
403:射出材料注入点(ゲート)
404:射出材料注入点(ゲート)

Claims (14)

  1. インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込み、所望の射出成形インサート成形品を成形する際に発生するインサート成形品の損傷を予測する方法であって、前記インサート物の初期形状データおよび前記インサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状データを設定する初期解析形状データ設定工程と、前記インサート成形品の成形工程における前記インサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める解析工程と、該解析工程において求められた前記インサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記インサート物の負荷値を算出する負荷値算出工程と、前記インサート物の前記負荷値と損傷予測基準値を比較する比較工程とを有することを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
  2. 単純形状のインサート成形品を成形することによって、前記単純形状のインサート成形品の損傷実測値を求める単純形状の損傷実測工程と、前記単純形状の射出成形インサート成形品の成形工程における単純形状のインサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める単純形状の解析工程と、該解析工程において求められた前記単純形状のインサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記単純形状のインサート物の前記負荷値を求める単純形状の負荷値算出工程と、前記単純形状の損傷実測値と前記単純形状の負荷値との相関データを作成することにより、前記損傷予測基準値を導出する基準値算出工程とを有する請求項1に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
  3. 前記負荷値が式(1)で表される請求項1または2に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
    Figure 2010005936
  4. 前記負荷値が式(2)で表される請求項1または2に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
    Figure 2010005936
  5. 前記射出材料として樹脂を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
  6. 前記インサート物として樹脂を用いることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
  7. 前記インサート物としてウェブを用いることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測方法。
  8. インサート物と金型とにより形成される成形空間部に射出材料を流し込み、所望の射出成形インサート成形品を成形する際に発生するインサート成形品の損傷を予測する装置であって、前記インサート物の初期形状データおよび前記インサート物と金型とにより形成される成形空間部の初期形状データを設定する初期解析形状データ設定手段と、前記インサート成形品の成形工程における前記インサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める解析手段と、該解析手段で求められた前記インサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記インサート物の負荷値を算出する負荷値算出手段と、前記インサート物の前記負荷値と損傷予測基準値を比較する比較手段とを有することを特徴とする射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
  9. 単純形状のインサート成形品を成形することによって、前記単純形状のインサート成形品の損傷実測値を求める単純形状の損傷実測手段と、前記単純形状の射出成形インサート成形品の成形工程における単純形状のインサート物の温度、および前記射出材料の圧力もしくはせん断応力を求める単純形状の解析手段と、該解析工程において求められた前記単純形状のインサート物の温度解析値、および前記射出材料の圧力解析値もしくはせん断応力解析値から前記成形工程における前記単純形状のインサート物の前記負荷値を求める単純形状の負荷値算出手段と、前記単純形状の損傷実測値と前記単純形状の負荷値との相関データを作成することにより、前記損傷予測基準値を導出する基準値算出手段とを有する請求項8に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
  10. 前記負荷値が式(1)で表される請求項8または9に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
    Figure 2010005936
  11. 前記負荷値が式(2)で表される請求項8または9に記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
    Figure 2010005936
  12. 前記射出材料として樹脂を用いること特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
  13. 前記インサート物として樹脂を用いることを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
  14. 前記インサート物としてウェブを用いることを特徴とする請求項8から13のいずれかに記載の射出成形インサート成形品の損傷予測装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012219884A (ja) * 2011-04-07 2012-11-12 Jtekt Corp インサート成形品の応力解析方法
JP2016013650A (ja) * 2014-07-02 2016-01-28 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 多色成形品及びその成形方法

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