JP2010002337A - 物体検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の反射波の受信時刻の相対的な関係を精度良く求め、検出対象の物体の位置を精度良く検出することのできる物体検出装置を提供する。
【解決手段】送信した超音波に対する物体からの反射波に基づいて物体の位置を検出する物体検出装置であって、それぞれ異なる位置に配置された複数の受信器に達した超音波を、それぞれ複数の振動波形により構成される受信信号Fとして受信する複数の受信部と、1つの受信部に受信された受信信号Fを基準受信信号FRとし、複数の振動波形VFの内の少なくとも1つの波形を基準波形VRとして特定する基準波形特定部と、他の受信部に受信された受信信号F2、F3から、基準波形VRの特徴と最も近似する特徴を有する振動波形VFを対象波形VTとして検出する対象波形検出部と、基準波形VR及び対象波形VTから特定される受信時刻tRに基づいて物体の位置を演算する演算部とを有する。
【選択図】図11

Description

本発明は、送信した超音波に対する物体からの反射波に基づいて当該物体の位置を検出する物体検出装置に関する。
この種の物体検出装置は、車両周辺の障害物検知を行い、その検知結果に基づいて車両の開閉体を開閉させる車両の開閉制御システムなどに用いられている。特開2005−69867号公報(特許文献1)には、物体からの反射波の振幅が変動した場合でも、反射波の受信時刻を正確に求める技術が開示されている。特許文献1では、反射波から得られる包絡線が異なる2つの閾値と交わる2交点から包絡線の立ち上がりを近似した近似直線を求め、この近似直線の値が電圧0ボルトとなる時刻を求める。反射波の振幅が変動して近似直線の傾きが変化してもこの時刻の変動は比較的少ないので、物体の位置を精度よく検出する上で好適とされる。
特開2005−69867号公報(第37〜56段落、図3〜5等)
一般に、この種の物体検出装置において物体の位置を検出する場合、反射波の受信時刻の差により、物体の3次元位置が演算される。つまり、複数の受信器における反射波の受信時刻の差に基づいて物体の位置が検出される。上述したように受信時刻を求める場合、複数の受信器のそれぞれの相対的な関係に拘わらず、それぞれの反射波の受信時刻が個別に求められる。上記手法により求められる受信時刻の変動は比較的少ないものの、それぞれの反射波において生じる変動は相互に無関係であるので、誤差として積算されてしまう可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたもので、複数の反射波の受信時刻の相対的な関係を精度良く求め、検出対象の物体の位置を精度良く検出することのできる物体検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る物体検出装置の特徴構成は、
送信した超音波に対する物体からの反射波に基づいて当該物体の位置を検出する物体検出装置であって、
所定の送信タイミングごとに送信器に複数の振動波により構成される超音波を送信させる送信部と、
それぞれ異なる位置に配置された複数の受信器に達した超音波を、それぞれ複数の振動波形により構成される受信信号として受信する複数の受信部と、
1つの前記受信部に受信された前記受信信号を基準受信信号とし、当該基準受信信号の振幅が最大値へ向かう途上、又は当該最大値を超えて減衰する途上において、複数の振動波形の内の少なくとも1つの振動波形を基準波形として特定する基準波形特定部と、
他の前記受信部に受信された前記受信信号から、前記受信信号を構成する複数の振動波形の内、前記基準波形の特徴と最も近似する特徴を有する振動波形を前記基準波形と同一の前記振動波に基づく振動波形である対象波形として検出する対象波形検出部と、
前記基準波形に基づいて特定される時刻、及び前記対象波形に基づいて特定される時刻である受信時刻に基づいて前記物体の位置を演算する演算部と、を備える点にある。
各受信器には同一の反射波が時間差を有して到達するので、伝搬距離の差に応じた振幅の減衰率には差があるものの、反射波が有する特徴は各受信器に伝達される。従って、反射波、つまり受信信号の持つ特徴が共通する点において複数の受信信号を関連づけることができる。超音波は、複数の振動波により構成されるので、受信信号も複数の振動波形により構成される。従って、特徴が近似する振動波形同士を関連づけて、当該振動波形に基づいて受信時刻を特定すれば、受信時刻の差は、反射波の相対的な関係を保ったままで求められることとなる。つまり、本特徴構成によれば、複数の受信部の内の1つの受信部により受信される受信信号を基準受信信号として、当該基準受信信号の受信時刻と、他の受信部により受信される受信信号の受信時刻との相対的な関係が演算される。全ての受信信号の受信時刻は、基準受信信号の受信時刻を基準として関係づけられるので、受信時刻を求める際の誤差の積算が抑制される。従って、検出対象の物体の位置が精度良く検出される。
また、本発明に係る物体検出装置の前記対象波形検出部は、前記基準受信信号の振幅の最大値に対する前記基準波形の振幅の比率を前記基準波形の特徴として、前記対象波形を検出すると好適である。
上述したように、各受信器には同一の反射波が時間差を有して到達する。従って、伝搬距離の差に応じた振幅の減衰率には差があるものの、反射波全体の形状などの特徴は、ほぼ同一、つまり、相似形であると考えることができる。反射波全体の振幅の最大値に対する振動波形の振幅の比率も、相似の関係を有すると考えることができる。従って、基準波形に対して相似の関係を満たす振動波形を検出することにより、精度良く対象波形を検出することができる。
また、本発明に係る物体検出装置において、前記受信時刻は、前記基準波形及び前記対象波形の頂点の時刻であると好適である。
受信時刻を特定するためには、波形状で特定が容易な点を基準として定義することが好ましい。振動波形の頂点は、定義が容易であり、受信時刻を特定するための基準として好適である。
また、本発明に係る物体検出装置において、前記基準波形は、前記基準受信信号の振幅が最大値へ向かう途上において特定されると好適である。
受信信号は、次第に振幅が大きくなり、最大値を超えて次第に減衰する信号である。基準波形は、基準受信信号の振幅が最大値へ向かう途上において特定されるので、基準受信信号が減衰し始める前に特定されることなる。従って、より早い時期に物体を検出することができる。
また、本発明に係る物体検出装置において、前記基準波形は、前記基準受信信号の振幅が所定の基準値を超えた最初の振動波形であると好適である。
基準受信信号の振幅が所定の基準値を超えた最初の振動波形を基準波形とすることによって、明確且つ確実に基準波形を特定することができる。
また、本発明に係る物体検出装置において、前記所定の基準値は、前記基準受信信号の振幅の最大値に基づいて設定されると好適である。
反射波の振幅は、物体の物性や物体までの距離によって異なる可能性がある。従って、所定の基準値を固定値とした場合には、反射波の振幅(受信信号の振幅)によって、精度に差が生じる可能性がある。しかし、当該所定の基準値を基準受信信号の振幅の最大値に基づいて設定することによって、精度の低下やばらつきを抑制することができる。その結果、精度良く物体の位置を検出することのできる物体検出装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態を、開閉体としての車両のバックドアを開閉する開閉制御システムを例として、図面に基づいて説明する。本発明の物体検出装置は、超音波センサとして開閉制御システムに組み込まれる。図1は、車両の開閉制御システムにおける超音波センサ(物体検出装置)2の検知範囲8を示す車両1の後面図であり、図2は、図1の検知範囲8を示す車両1の側面図である。なお、このバックドア11は上下開閉式の揺動ドアである。
超音波センサ2からは、超音波が送信され、この超音波が物体に当たって反射波が生じ、この反射波を当該超音波センサ2が受信する。超音波センサ2は、この送信から受信までの時間により、超音波センサ2と物体との間の距離及び位置を検知する。後述する制御部(ドアECU(electric control unit)3)は、その距離及び位置が一定の範囲内にあれば、物体(障害物)が存在すると判定する。制御部3は、その判定結果に基づいて、物体の存在をブザーや警告表示などにより報知したり、駆動部(ドアアクチュエータ)4を制御したりする。例えば、物体があると判定した場合には、バックドア11の開閉操作を停止させるなどの制御を行う。その結果、バックドア11と物体との接触を回避することが可能になる。
図1に示すように、ヒンジ13を揺動軸として揺動する車両のバックドア11の中央部、一般に車両のエンブレム15が設置される近傍に、超音波センサ2のセンサヘッド20が配置されている。このセンサヘッド20の送信方向の中心軸Cは、図2に示すように、バックドア11の表面12Aに略沿って、下方に傾斜している。中心軸Cがバックドア11の表面12Aに「略沿う」とは、具体的にはこの中心軸Cがバックドア11の表面12Aと成す角度が45°以内に収まることをいう。超音波センサ2の前方には検知範囲8が、超音波センサ2を含む平面上においては扇状、そして空間的には切頭円錐状に拡がっている。超音波センサ2は、その原理上、送信波の残響が受信波となり、物体を検知することができない不検知範囲9をセンサヘッド20の近傍に有している。
尚、仰角αを60°以下かつ0°以上に設定すれば、低出力の超音波センサでも適用が可能となる。さらに、仰角αを45°以下かつ0°以上とすればさらに検知感度が向上する。もちろん、仰角αは90°前後であってもよく、この場合には、バックドア11の表面の全体を検知対象とすることができる。また、本実施形態では、センサヘッド20がエンブレム15の近傍に設置される場合を例示したが、ライセンスプレート17の近傍、例えばライセンスプレート17を照明するライセンスプレートランプの近傍に設置されてもよい。
超音波センサ2のセンサヘッド20は車両のバックドア11に配置されているため、このバックドア11の開閉の際に超音波センサ2はバックドア11と共に動くことになる。その結果、図3に示すように、超音波センサ2の送信方向の中心軸Cは、常に車両のバックドア11の表面に略沿った状態となり、バックドア11の開扉と共に検知範囲8も動くことになる。したがって、バックドア11の開扉方向に物体が存在する場合、これを容易に検知することができる。
さらに、図1〜図3に示すように、超音波センサ2の検知範囲8にはバックドア11の開閉側の端部(表面12Aの先端部)12aが含まれている。バックドア11の開閉側の端部12aは、バックドア11の開扉時に最も動き出しの早い箇所、すなわち最も物体に接触し易い箇所である。従って、この端部12aを超音波センサ2の検知範囲8に含むことにより、バックドア11の開扉時における物体検知をより確実なものとすることができる。
図4は、本発明に係る車両の開閉制御システムの構成例を超音波センサ2の原理ブロック図と共に模式的に示すブロック図である。図4に示すようにこの開閉制御システムは、超音波センサ2と、バックドア11を開閉駆動するドアアクチュエータ4と、超音波センサ2の検知結果に基づいてドアアクチュエータ4を駆動させ、さらにガススプリング16のアシストを受けてバックドア11を開閉制御する制御部としてのドアECU3とを備えて構成される。
超音波センサ2は、送信器21と受信器22とを有したセンサヘッド20と、送信部23と、受信部24と、検波部25と、演算部28とを有している。送信部23は、演算部28から出力される送信指令に基づいて所定の送信タイミングごとに送信器21に超音波(送信波)を送信させる機能部である。受信部24は、送信された超音波に対する物体からの反射波を含み、受信器22に達した超音波(受信波)を電気信号である受信信号として受信する機能部である。検波部25は、受信信号から受信時刻を特定するための特徴点を抽出して、受信波を検波する機能部である。演算部28は、送信部23を介して所定の送信タイミングごとに送信器21から送信波を送信させると共に、検波結果から物体の有無や物体までの距離、物体の位置を演算する機能部である。
演算部28は、マイクロプロセッサや論理回路群などを中核として構成される。本実施形態においては、演算部28は、A/Dコンバータを内蔵したマイクロコンピュータによって構成される。送信部23は、バースト波発生回路、発振器、昇圧回路などを有して構成されており、演算部28から出力される送信指令に基づいて、送信器21を振動させて超音波を送信させる。受信部24は、受信器22から受け取る電気信号に対してインピーダンス変換や増幅を行うアンプや、所定周波数帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタを備えて構成される。検波部25は、図6を利用して後述するように、基準波形特定部26及び対象波形検出部27を有して構成される。ここでは、物体の検出原理を簡潔に説明するので、検波部25により受信時刻を求める詳細な機能及び手順については、後述する。検波部25の出力は、演算部28を構成するマイクロコンピュータに伝達される。尚、検波部25もマイクロコンピュータによって構成され、デジタル信号処理により検波を行うものであってもよい。この場合、受信部24の出力がマイクロコンピュータにより制御される不図示のサンプルホールド回路を介して、当該マイクロコンピュータに内蔵されるA/Dコンバータに入力され、デジタル変換される。そして、デジタル変換された受信信号に基づいて検波が行われる。
以下、超音波センサ2が物体を検知する原理、及び超音波センサ2の検知結果に基づいてバックドア11が開閉制御される開閉制御システムの概要について説明する。尚、物体の位置を検出する場合には、公知の三角測量などの手法が用いられる。このため、受信器22、受信部24、検波部25は、後述する図6のように、それぞれ複数の機能部を有して構成される。ここでは、まず、超音波センサ2の原理について説明するので、理解を容易にするために図4に示すような簡略的なブロック図を用いて説明する。図5は、超音波センサ2による物体検知の基本的な動作を示すタイミングチャートである。以下、図4及び図5を用いて超音波センサ2の各機能部の機能を詳述する。
演算部28は、図5(a)に示すように、上述した送信指令に相当するタイミング信号として、時刻a0において送信部23に対してタイミングパルスTPを出力する。タイミングパルスTPは、所定の送信タイミングとしての設定間隔(例えば10ms〜100ms)で繰り返し出力される。演算部28は、図5(b)に示すように、タイミングパルスTPに同期してリセットされるメインカウンタを有している。メインカウンタは、タイミングパルスTP間において、カウント数0〜(N−1)までのN回カウントされる。メインカウンタの値は、1回の送信タイミングにおける絶対時刻を示すものとなる。1カウントの周期は、超音波の波長やセンサヘッド20における受信器22の設置間隔などによって定まる超音波センサ2の分解能に応じて、マイクロコンピュータのクロックの分周比を考慮して設定される。
送信部23のバースト波発生回路は、タイミングパルスTPを入力されると、所定の設定個数(例えば10個)のパルス信号であるバースト波を発生する。そして、バースト波に基づいて、送信部23の発振回路が所定周波数の発振信号を発生させる(図5(c))。本実施形態においてこの所定周波数は40kHzである。この40kHzの発振信号は、例えばコイルなどを用いて構成された昇圧回路に入力され、当該昇圧回路で昇圧された後、送信器21へ出力される。送信器21は、共振器として機能するカバー部材などを備えた圧電素子等により構成され、昇圧された40kHzの発振信号により発振して送信波W1としての超音波を出力する(図5(d))。図5(d)において、発振信号よりも多くのバースト波が出力されているのは、送信器21の残響によるものである。
受信器22は、送信器21と同一構成であり、共振器として機能するカバー部材などを備えた圧電素子等により構成される。振動するカバー部材から応力が圧電素子に印加され、圧電素子による圧電効果に電気信号を出力する。
受信器22と送信器21とは、センサヘッド20として近接して配置されている。従って、送信器21の近傍に存在する受信器22は、図5(e)に示すように、送信器21が送信する超音波を直接受信する。また、センサヘッド20から比較的近い距離には、バックドア11の開閉側の端部12aと対向し、この端部12aよりも車両1から突出して設けられる突出部としてのバンパー14が存在する。このため、送信波はバンパー14により反射し、その反射波が受信器22に入力される。
図5(e)に示す例では、送信器21の残響が残る期間中にバンパー14からの反射波が受信器22に到達する場合を模擬しており、図5(d)に示す送信波よりも図5(e)に示す受信波W2の継続時間の方が長くなっている。尚、図5(e)に示す受信波W3は、バンパー14以外の別の物体からの反射波を模擬したものである。物体からの反射波としての受信波W3と区別するため、送信波W1及びバンパー14からの反射波が含まれる受信波W2を適宜「初期受信波」と称する。
検波部25や演算部28は、送信波W1及びバンパー14からの反射波が含まれる初期受信波W2を物体からの反射波として検波したり、位置検出したりする必要はない。従って、図5(f)に示すように、検知範囲を定めると好適である。本実施形態では、時刻a1〜時刻a3に対応するメインカウンタのカウンタ値CstからCenまでの期間を検知範囲としている。別途、演算部28から受信部24へマスク信号を出力して、受信信号をマスクしたり、サンプルホールド回路において信号を固定したりしてもよい。
図5(e)において、受信波W3は物体からの反射波である。上述したように、検波部25は、受信部24から出力される受信信号を検波して特徴点Rを特定し、この特徴点Rの時刻a2を特定する。時刻a2は、本発明における受信時刻tRに相当する。
演算部28は、タイミングパルスTPを出力した時刻a0と受信時刻tR(a2)との時間差に基づいて、具体的にはメインカウンタのカウンタ値に基づいて、センサヘッド20と物体との距離を演算する。時刻a0と時刻a2との時間差は、センサヘッド20と物体との間を、おおむね340m/sの速度の超音波が往復する時間である。従って、往復時間の半分の時間、つまり片道の時間と音速との積を求めることにより、距離が求められる。図6に示すように、異なる位置に複数の受信器22を備えれば、物体の位置、即ち3次元座標を求めることができる。
演算部28による演算結果は、ドアECU3に対して出力される。ドアECU3は、バックドア11の近傍に物体があると検出された場合には、例えばドアアクチュエータ4の作動を停止させる。これにより、バックドア11が物体に接触する前に開扉を停止させることができる。
以下、異なる位置に複数の受信器22を備えるセンサヘッド20を有した、本発明に係る物体検出装置の実施形態について詳述する。図6は、本発明の実施形態に係る物体検出装置(超音波センサ2)を備える車両の開閉制御システムの構成例を模式的に示すブロック図である。また、図7は、複数の受信器22を備える超音波センサのセンサヘッド20の一例を模式的に示す説明図である。図6及び図7に示すように、超音波センサ2は、1つの送信器21と、3つの受信器22a、22b、22cとの4つの振動部を有している。超音波センサ2は、3つの受信器22a、22b、22cを備えることにより、3次元的に障害物の位置を検知することができる。
4つの振動部は、正方形の各頂点部に1つの振動部が対応する形態で配置される。この正方形の一辺の長さd、即ち隣接する振動部の間隔dが小さいほど、物体を検出する際の分解能が高くなる。但し、間隔dが狭いと、他の振動部の振動の影響を受け易くなるため、間隔dは適切に設定される。また、送信波の1/2波長は、振動部の間隔dよりも充分小さい値に設定される。一例として、間隔dは10〜12mm程度とすることができる。送信波の周波数が40kHzの場合、その波長は8.5mmとなり、1/2波長は4.25mmであるから、振動部の間隔dよりも充分小さい値となり、分解能が確保される。図7においてx軸は車幅方向、z軸は超音波センサ2の送信方向の中心軸Cに沿う方向、y軸はx軸及びz軸に直交する方向の軸である。z軸は、4つの振動部が配置される正方形の重心20cを貫く軸である。
超音波センサ2は、図6に示すように、3つの受信器22a、22b、22cに対応して3つの受信部24a、24b、24cを有している。また、3つの受信部24a、24b、24cに対応して検波部25は3つの機能部26、27b、27cを有している。3つの受信器22a、22b、22cの位置は、図7に示すように異なっているため、1つの物体からの距離も異なっており、3つの受信部24a、24b、24cは、当該物体からの反射波を異なった時刻に受信する。従って、検波部25の3つの機能部26、27a、27bによって検波されて特定される受信時刻tRは、それぞれ異なった受信時刻tR1、tR2、tR3となる。3つの受信器22a、2b、22cの幾何学的な関係は演算部28にとって既知の情報である。従って、演算部28は、受信時刻tR1、tR2、tR3により特定されるそれぞれの受信器22a、22b、22cと物体との距離と、3つの受信器22a、2b、22cの幾何学的な関係とに基づいて、公知の三角測量演算により、物体の方向及び位置を求めることができる。三角測量など、方向及び位置を求める手法は、公知の手法であるので、詳細な説明は省略する。
以下、超音波センサ2が受信時刻tR1、tR2、tR3を取得する手法について詳細に説明する。上述したように、超音波センサ2は、送信した超音波に対する物体からの反射波に基づいて当該物体の位置を検出する物体検出装置である。送信部23は、所定の送信タイミング(タイミングパルスTP)ごとに送信器21に複数の振動波VWにより構成される超音波(送信波W1)を送信させる(図5参照。)。複数の受信部24a、24b、24cは、それぞれ異なる位置に配置された複数の受信器22a、22b、22cに達した超音波(受信波W2、W3)を、それぞれ複数の振動波形VFにより構成される受信信号Fとして受信する(図5及び図8参照。)。
複数の機能部により構成された検波部25の1つは、基準波形特定部26である。基準波形特定部26は、複数の受信部24の内の1つの受信部24により受信された受信信号Fを基準受信信号FRとして検波を行う。本実施形態では、受信部24aからの受信信号Fを基準受信信号FRとして検波する。具体的には、基準波形特定部26は、基準受信信号FRを構成する複数の振動波形VFの内の少なくとも1つの振動波形VFを基準波形VRとして特定する。
図9は、基準受信信号FRから基準波形VRを特定する方法を示す説明図である。基準波形特定部26は、1つの受信部24aに受信された基準受信信号FRの振幅が最大値PRへ向かう途上において、振動波形VFの内の少なくとも1つの波形を基準波形VRとして特定する。尚、基準波形VRは、振動波形VFの振幅が最大値PRを超えて減衰する途上において特定されてもよい。図9に示すように、振動波形VFの振幅が最大値PRへ向かう途上において基準波形VRを特定されると、基準受信信号FRの前半において基準波形が特定され、早期に受信時刻tRを特定することができて好適である。受信時刻tRは、基準波形VRと振幅中心などの基準電圧との交点や、基準波形VRの頂点の時刻であると同定が容易である。基準波形VRの頂点は、他の電圧と比較することなく、受信信号F(基準受信信号FR)のみで特定することができるので、特に受信時刻tRの同定が容易で好適である。
図9には、基準受信信号FRを構成する振動波形VFの振幅が所定の基準値THを超えた最初の振動波形VFが基準波形VRとして特定される例を示している。本例では、基準値THを超えた最初の振動波形VFを基準波形VRとしているが、基準値THを超えて所定回数後の振動波形VFを基準波形VRとしても良い。また、所定の基準値THは、固定値であっても良いし、基準受信信号FRの振幅の最大値PRに基づいて設定される可変値であっても良い。
後述するように、基準波形VRの特徴に対する近似性(類似性)により、他の受信部24b及び24cにおいて受信された受信信号Fから対象波形VTが検出される。基準波形VRの特徴は、一例として以下のように定義される。基準受信信号FRの振幅の最大値PRに対する基準波形VRの振幅AR(頂点の値)の比率が、基準波形VRの特徴として定義される。また、他の例として、図10に示すような特徴を定義することもできる。
上記では、図9に基づき、基準受信信号FRを構成する複数の振動波形VFの内の1つの振動波形VFが基準波形VRとして特定される例を示した。しかし、図10に示すように、基準受信信号FRを構成する複数の振動波形VFの内の複数の振動波形VFが基準波形VRとして特定されてもよい。図10では、基準受信信号FRを構成する振動波形VFの振幅が所定の基準値THを超えた最初の振動波形VF及びその次の振動波形VFの2つが基準波形VRとして特定される例を示している。この場合、2つの基準波形VRの頂点を直線Lで結び、この直線Lの傾きを基準波形VRの特徴とすることもできる。また、基準受信信号FRの振幅の最大値PRに対して、複数の基準波形VRの比率をそれぞれ求めて、複数の比率を特徴としてもよい。
このようにして、基準波形VRが特定されると、対象波形検出部27は、他の受信部24b及び24cに受信された受信信号F(F2、F3)から、基準波形VRと同一の振動波VWに基づく振動波形VFである対象波形VTを検出する。対象波形検出部27は、それぞれ、受信部24bに対応する対象波形検出部27bと、受信部24cに対応する対象波形検出部27cとを備えている。それぞれ、対象波形検出部27bは、受信部24bにより受信された受信信号F2から対象波形V2を検出し、対象波形検出部27cは、受信部24cにより受信された受信信号F3から対象波形V3を検出する。
対象波形検出部27は、受信信号Fを構成する複数の振動波形VFの内、基準波形VRの特徴と最も近似する特徴を有する振動波形VFを基準波形VRと同一の振動波VWに基づく振動波形VFである対象波形VTとして検出する。以下、対象波形VTの検出及び複数の受信信号Fの相対的な時間差Δを示す説明図である図11を参照して説明する。
上述したように、本実施形態において基準波形VRの特徴は、基準受信信号FRの振幅の最大値PRに対する基準波形VRの振幅ARの比率として定義されている。図11の下段に示すように、受信信号F2の振幅の最大値はP2である。従って、振幅の最大値P2に対して、基準波形VRの特徴である比率(=AR/PR)に最も近い比率を示す振幅A2を有する振動波形VFが対象波形V2(VT)として検出される。同様に、図11の上段に示すように、受信信号F3の振幅の最大値はP3である。従って、振幅の最大値P3に対して、基準波形VRの特徴である比率(=AR/PR)に最も近い比率を示す振幅A3を有する振動波形VFが対象波形V3(VT)として検出される。
対象波形V2及び対象波形V3が検出されると、基準波形VRと同様に、対象波形VTに基づいて、受信時刻tR(tR2、tR3)が特定される。対象波形V2に対応する受信時刻はtR2であり、対象波形V3に対応する受信時刻はtR3である。受信時刻tR2、tR3は、受信時刻tR1と同様に、対象波形V2及びV3の頂点の時刻である。
図11に示したように、3つの受信部24a、24b、24cにおいて受信された受信信号FR、F2、F3はそれぞれ異なる振幅を有しているが、その形状は相似である。従って、比率を特徴とすることによって、振幅に拘わらず、反射波に含まれる複数の振動波VWの内、同一の振動波VWによる振動波形VF(VR、V2、V3)を特定及び検出することができる。
受信時刻tR2、tR3は、受信時刻tR1と相対的な関連性を持って特定されているので、個々の受信時刻を特定する際の誤差の積算が抑制される。従って、3つの受信時刻tR1、tR2、tR3相互の時間差Δ12、Δ23、Δ31の誤差は抑制される。その結果、物体の位置は、これらの時間差Δ12、Δ23、Δ31に基づいて演算部28により非常に精度良く求められる。
以上説明したように、本発明によれば、複数の反射波の受信時刻の相対的な関係を精度良く求め、検出対象の物体の位置を精度良く検出することのできる物体検出装置を提供することが可能となる。
車両の開閉制御システムにおける物体検出装置の検知範囲を示す車両後面図 図1の検知範囲を示す車両側面図 図1の車両のバックドドアを開けた場合の検知範囲を示す車両側面図 車両の開閉制御システムの構成例を超音波センサの原理ブロック図と共に模式的に示すブロック図 超音波センサによる物体検知の基本的な動作を示すタイミングチャート 車両の開閉制御システムの構成例を模式的に示すブロック図 超音波センサのセンサヘッドの一例を模式的に示す説明図 受信信号の一例を示す波形図 基準受信信号から基準波形を特定する方法の一例を示す説明図 基準受信信号から基準波形を特定する方法の他の例を示す説明図 対象波形の検出及び複数の受信信号の相対的な時間差を示す説明図
符号の説明
2:超音波センサ(物体検出装置)
21:送信器
22、22a、22b、22c:受信器
23:送信部
24、24a、24b、24c:受信部
26:基準波形特定部
27、27a、27b:対象波形検出部
28:演算部
F:受信信号
FR:基準受信信号
VW:振動波
VF:振動波形
VR:基準波形
VT:対象波形
V2、V3:対象波形
R:特徴点
R、tR1、tR2、tR3:受信時刻
PR、P2、P3:受信信号の振幅の最大値
AR、A2、A3:基準波形及び対象波形の振幅

Claims (6)

  1. 送信した超音波に対する物体からの反射波に基づいて当該物体の位置を検出する物体検出装置であって、
    所定の送信タイミングごとに送信器に複数の振動波により構成される超音波を送信させる送信部と、
    それぞれ異なる位置に配置された複数の受信器に達した超音波を、それぞれ複数の振動波形により構成される受信信号として受信する複数の受信部と、
    1つの前記受信部に受信された前記受信信号を基準受信信号とし、当該基準受信信号の振幅が最大値へ向かう途上、又は当該最大値を超えて減衰する途上において、複数の振動波形の内の少なくとも1つの振動波形を基準波形として特定する基準波形特定部と、
    他の前記受信部に受信された前記受信信号から、前記受信信号を構成する複数の振動波形の内、前記基準波形の特徴と最も近似する特徴を有する振動波形を前記基準波形と同一の前記振動波に基づく振動波形である対象波形として検出する対象波形検出部と、
    前記基準波形に基づいて特定される時刻、及び前記対象波形に基づいて特定される時刻である受信時刻に基づいて前記物体の位置を演算する演算部と、を備える物体検出装置。
  2. 前記対象波形検出部は、前記基準受信信号の振幅の最大値に対する前記基準波形の振幅の比率を前記基準波形の特徴として、前記対象波形を検出する請求項1に記載の物体検出装置。
  3. 前記受信時刻は、前記基準波形及び前記対象波形の頂点の時刻である請求項1又は2に記載の物体検出装置。
  4. 前記基準波形は、前記基準受信信号の振幅が最大値へ向かう途上において特定される請求項1〜3の何れか一項に記載の物体検出装置。
  5. 前記基準波形は、前記基準受信信号の振幅が所定の基準値を超えた最初の振動波形である請求項4に記載の物体検出装置。
  6. 前記所定の基準値は、前記基準受信信号の振幅の最大値に基づいて設定される請求項5に記載の物体検出装置。
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