JP2010002195A - センサ付き転がり軸受装置 - Google Patents

センサ付き転がり軸受装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010002195A
JP2010002195A JP2008158867A JP2008158867A JP2010002195A JP 2010002195 A JP2010002195 A JP 2010002195A JP 2008158867 A JP2008158867 A JP 2008158867A JP 2008158867 A JP2008158867 A JP 2008158867A JP 2010002195 A JP2010002195 A JP 2010002195A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensor
displacement
bearing device
rolling bearing
displacement sensors
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008158867A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobutsuna Motohashi
信綱 本橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2008158867A priority Critical patent/JP2010002195A/ja
Publication of JP2010002195A publication Critical patent/JP2010002195A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Force Measurement Appropriate To Specific Purposes (AREA)

Abstract

【課題】Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化することができるセンサ付き転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】車体側に固定される筒状の固定軌道輪と、この固定軌道輪の内部に回転自在に挿通され且つ車輪の取付部分を有する回転軌道輪と、これらの軌道輪の間に転動自在に配設される複列の転動体とを備えており、前記回転軌道輪の外周面とのギャップを検出するセンサ装置が、前記固定軌道輪に設けられてなるセンサ付き転がり軸受装置。前記センサ装置は、円周方向に沿って複数設けられた変位センサからなっている。前記転がり軸受装置は、さらに、前記複数の変位センサのうち、一方のセンサの出力信号を他方の変位センサの出力信号よりも増幅する増幅部を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明はセンサ付き転がり軸受装置に関する。さらに詳しくは、自動車などの車両に用いられ、当該車両の車輪から情報を得るセンサを備えたセンサ付き転がり軸受装置に関する。
近年、自動車において、走行時の運転制御を行うために車輪に作用する荷重や車輪の回転速度などといった種々の情報が必要とされている。このような情報を得るために、自動車の車輪が取り付けられる車輪用転がり軸受装置にセンサを設けることが種々提案されている。
例えば、本出願人の出願に係る特許文献1には、インダクタンス型のセンサ部材を固定軌道輪において軸方向に2列配設してなるセンサ付き転がり軸受装置が開示されている。この軸受装置では、2列に配置されたセンサ部材からの信号を信号処理回路に入力して、当該信号処理回路で、4つの径方向の変位に関する信号と、1つの軸方向の変位に関する信号とを算出し、これらの信号に基づいて、転がり軸受装置の3つの並進荷重と2つのモーメント荷重とを算出している。
かかる2列タイプのセンサ付き転がり軸受装置において、図7〜8に示されるように、上下前後4つのセンサを軸方向に2列配設する場合、合計8つのセンサからの出力信号は、次のように定義することができる。なお、図7〜8において、X軸は車輪の前後水平方向であり、Y軸は車輪の左右水平方向(軸方向)であり、Z軸は車輪の上下方向である(図9参照)。また、車両インナ側(第1センサ部材)のセンサの検出値に添え字「i」を使用し、車両アウタ側(第2センサ部材)のセンサに添え字「o」を使用し、更に、前側のセンサの検出値を「f(front)」と定義し、後側のセンサの検出値を「r(rear)」定義し、上側のセンサの検出値を「t(top)」と定義し、下側のセンサの検出値を「b(bottom)」と定義する。
i:第1前センサの検出値
i:第1後センサの検出値
i:第1上センサの検出値
i:第1下センサの検出値
o:第2前センサの検出値
o:第2後センサの検出値
o:第2上センサの検出値
o:第2下センサの検出値
この場合、5つの差動信号X1、X2、Z1、Z2、及びY1は、以下のようになる(図10参照)。
X1=fi−ri
X2=fo−ro
Z1=bi−ti
Z2=bo−to
Y1=(fo+ro+to+bo)−(fi+ri+ti+bi
そして、このように定義した場合、5つの値X1、X2、Z1、Z2、及びY1と、転がり軸受装置に作用しているX方向の力の大きさ(Fx)、転がり軸受装置に作用しているY方向の力の大きさ(Fy)、転がり軸受装置に作用しているZ方向の力の大きさ(Fz)、車輪に作用しているX軸回りのモーメント荷重の大きさ(Mx)、及び、車輪に左右しているZ軸回りのモーメント荷重の大きさ(Mz)との間には、線形関係があり、次の式(1)が成立する。
Figure 2010002195
ここで、m11〜m55は定数である。
したがって、式(1)から以下の式(2)が導かれる。
Figure 2010002195
転がり軸受装置の制御装置の記憶部には、式(2)の右辺の5行5列の定数行列(逆行列)の25個の要素(係数)が、ルックアップテーブルとして予めインプットされており、前記センサ部材の各センサが、制御装置の信号処理部に信号を出力すると、信号処理部が、それらの信号に基づいて、差動信号X1、X2、Z1、Z2、及びY1を算出する。そして、その後に、算出されたX1、X2、Z1、Z2、及びY1と、記憶部に記憶されている25個の要素とから、式(2)の演算を行って、転がり軸受装置に作用している荷重であるFx、Fy、Fz、Mx、及びMzが算出される。
特開2007−127253号公報
前記従来のセンサ付き転がり軸受装置では、8つのセンサ(4つ×2列)の仕様が全て同じであり、したがって各センサのゲインは同一である。また、Y1は、車両インナ側センサの合計出力と車両アウタ側センサの合計出力との差動出力としている。
ところで、かかる転がり軸受装置において、X軸回りのモーメント荷重(Mx)が作用すると、前後のセンサに比べて上下のセンサが大きく反応するが、Y1は、すべてのセンサ出力から算出されるので、Mx入力時のY1出力が非線形出力となることがある。非線形出力の場合、前述した式(2)のような逆行列演算ができないので、線形化するための演算処理(補正演算)が必要になるが、かかる演算処理を行うとセンサの応答性が低下するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化することができるセンサ付き転がり軸受装置を提供することを目的としている。
本発明のセンサ付き転がり軸受装置(以下、単に「軸受装置」ともいう)は、車体側に固定される筒状の固定軌道輪と、この固定軌道輪の内部に回転自在に挿通され且つ車輪の取付部分を有する回転軌道輪と、これらの軌道輪の間に転動自在に配設される複列の転動体とを備えており、前記回転軌道輪の外周面とのギャップを検出するセンサ装置が、前記固定軌道輪に設けられてなるセンサ付き転がり軸受装置であって、
前記センサ装置は、円周方向に沿って複数設けられた変位センサからなっており、且つ、
前記転がり軸受装置は、更に、前記複数の変位センサのうち、一方の変位センサの出力信号を他方の変位センサの出力信号よりも増幅する増幅部を備えていることを特徴としている。
本発明の軸受装置では、増幅部により、複数の変位センサのうち、一方の変位センサの出力信号を他方の変位センサの出力信号よりも増幅するように構成している。したがって、例えば、Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化するために、Y1を検出するセンサとして車輪の上下方向のセンサを非使用とし、前後水平方向のセンサだけを使用した場合であっても、かかる前後水平方向のセンサのゲインを大きくすることで、必要な大きさの出力信号を得ることができる。これにより、軸受装置に作用する荷重の検出精度を低下させることなく、Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化することができる。
前記センサ装置を、円周方向に沿って等間隔に4箇所設けられた変位センサからなる第1センサ部材と、この第1センサ部材と軸方向に離間しており且つ円周方向に沿って等間隔に4箇所設けられた変位センサからなる第2センサ部材とで構成するとともに、第1センサ部材及び第2センサ部材の各4つの変位センサにおいて、前記一方のセンサ及び他方のセンサを、それぞれ互いに対向する2つの変位センサで構成することができる。この場合、一方のセンサ及び他方のセンサを、それぞれ互いに対向する2つの変位センサとしているので、例えばY1を検出するセンサとして上下方向に配設された他方のセンサを非使用とし、前後水平方向に配設された一方のセンサだけを使用した場合であっても、かかる一方のセンサのゲインを大きくすることで、必要な大きさの出力信号を得ることができる。
前記一方のセンサを、車輪を基準として上下に設けられた変位センサとし、前記他方のセンサを、車輪を基準として前後に設けられた変位センサとすることができる。この場合、例えばY1を検出するセンサとして上下方向に配設されたセンサを非使用とし、前後水平方向に配設されたセンサだけを使用した場合であっても、かかる前後水平方向のセンサのゲインを大きくすることで、必要な大きさの出力信号を得ることができる。
本発明の軸受装置によれば、Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化することができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の軸受装置の実施の形態を詳細に説明する。
〔軸受装置の全体構造〕
図1は本発明の一実施の形態に係る軸受装置の側面断面図であり、図2はその軸受装置のセンサ部分の拡大断面図である。また、図3はその軸受装置を車両インナ側から見た図であり、図4は後述する蓋部材17を取り外した状態の軸受装置を車両インナ側から見た図である。なお、図1において、右側が車両アウタ側(車両の外側)であり、左側が車両インナ側(車両の内側)である。
図1に示されるように、本実施の形態の軸受装置100は、筒状の外輪1と、この外輪1の内部に回転自在に挿通されている内軸2と、この内軸2の車両インナ側端部に外嵌された内輪部材3と、この内輪部材3の車両インナ側端部に外嵌されたターゲット部4と、周方向に並ぶ複数の玉からなる複列の転動体5、5とを備えたものであり、これらにより複列アンギュラ玉軸受部が構成されている。転動体5、5としての各列の玉は保持器6によって周方向に所定間隔で保持されている。
なお、本明細書において、軸受装置100の中心線Cに沿った方向をY軸方向とし、これに直交する紙面貫通方向の水平方向をX軸方向とし、Y軸方向及びX軸方向に直交する鉛直方向をZ軸方向と定義している。従って、図9に示されるように、X軸方向は車輪の前後水平方向となり、Y軸方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z軸方向は上下方向となる。
本実施の形態の軸受装置100において、前記外輪1は車体側に固定される固定軌道輪とされている。他方、前記内軸2と内輪部材3とターゲット部4とが車輪側の回転軌道輪とされており、この固定軌道輪と回転軌道輪との間において前記複列の転動体5、5が転動自在に介在されている。これにより、固定軌道輪と回転軌道輪とは互いに同軸状に配置され、固定軌道輪に対して回転軌道輪が車輪(図9に示されるタイヤ及びタイヤホイール)とともに回転自在となっている。
回転軌道輪を構成する内軸2は、径方向外方へ延びるフランジ部7を車両アウタ側に有しており、このフランジ部7が車輪のタイヤホイールやブレーキディスク(図示せず)の取付部分となっている。このタイヤホイールなどは図示しない取付ボルトによって当該フランジ部7に取り付けられる。内輪部材3は内軸2の車両インナ側に形成された段差部分に外嵌され、内軸2のインナ側端部に螺合したナット8によって内軸2に固定されている。そして、内軸2の外周面と内輪部材3の外周面とに、転動体5、5の内側軌道面9、9がそれぞれ形成されている。
固定軌道輪を構成する外輪1は、転動体5、5の外側軌道面10、10が内周面に形成された円筒状の本体筒部11と、この本体筒部11の外周面から径方向外方へ伸びるフランジ部12とを有している。このフランジ部12は、車体側部材である懸架装置が有するナックル(図示せず)に固定され、これによって当該軸受装置100が車体側に固定されるようになっている。
本実施の形態の軸受装置100は、回転軌道輪に設けたターゲット部4の外周側面の変位に伴って変化する物理量(本実施の形態では、ターゲット部4の外周側面とのギャップによって変化するインダクタンス)を検出するためのセンサ装置14と、このセンサ装置14を固定軌道輪である外輪1に取り付けるためのケース部材15とを備えている。
〔ケース部材の構造〕
図1及び図2に示されるように、前記ケース部材15は、短円筒状の筒部材16と円盤状の蓋部材17とで構成されている。筒部材16は軸方向に短い円筒状の金属部材からなり、その一端側の開口部において、外輪1の車両インナ側端部に止めネジ18によって当該外輪1と同軸心状となるように固定されている。蓋部材17は、筒部材16の他端側の開口部を閉塞する部材であり、軸受装置100の内部への異物の侵入を防止するものである。
このケース部材15の筒部材16の内周側に、内軸2の車両インナ側端部に取り付けられたターゲット部4の外周側面とのギャップを検出するための前記センサ装置14が搭載されている。
〔センサ装置の構造〕
図2及び図4に示されるように、本実施の形態のセンサ装置14は、ターゲット部4の外周側面における軸方向で離れた位置のギャップをそれぞれ検出する第1センサ部材21と第2センサ部材22とを備えている。なお、本明細書において、センサ装置14及びターゲット部4に関して、「第1」は車両インナ側を意味し、「第2」は車両アウタ側を意味する。
第1及び第2センサ部材21、22は、ターゲット部4の外周側面とのギャップの変化をインダクタンスの変化によって検出するインダクタンス型の変位センサからなっており、筒部材16の内周側に軸方向に離れた二列の状態で取り付けられたセンサリング23と、このセンサリング23の周方向に所定間隔おきに配置された複数(本実施の形態では4つ)の変位センサ24とを備えている。各センサリング23は、筒状スペーサ25を介在させた状態で筒部材16の鍔部16aに対して止めネジ26で固定されている(図1参照)。
第1及び第2センサ部材21、22を構成する各変位センサ24は、円周方向に沿って等間隔に、すなわち前後及び上下の4箇所にそれぞれ設けられており、回転軌道輪のターゲット部4の外周側面とのX軸方向及びZ軸方向におけるギャップの変化を検出できるように配設されている。
すなわち、車両インナ側の第1センサ部材21は、回転軌道輪の前後に配置された第1前センサ24f及び第1後センサ24rと、回転軌道輪の上下にそれぞれ配置された第1上センサ24t及び第1下センサ24bとを備えている。また、車両アウタ側の第2センサ部材22も、回転軌道輪の前後に配置された第2前センサ24f及び第2後センサ24rと、回転軌道輪の上下にそれぞれ配置された第2上センサ24t及び第2下センサ24bとを備えている。前記第1センサ部材21及び第2センサ部材22において、各4つの変位センサは円周方向において等間隔に配置されており、その結果、前後の変位センサは互いに対向する位置関係にあり、また上下の変位センサも互いに対向する位置関係にある。
これら8つの各変位センサ24(f、r、t、b)は、それぞれ、ターゲット部4に対する独立した検出面を有する周方向で近接して配置された一対のコイル素子27、27を直列に連結することによって構成されている。この一対のコイル素子27、27は、センサリング23の内周側から突設した一対の磁極28の周囲にコイルを巻き付けて構成されている。これらの磁極28はセンサリング23から径方向内方へ突出しており、その径内側の端面(検出面)が、ターゲット部4の外周側面に対して径方向の隙間を有して対向するように配置されている。
このように、本実施の形態の軸受装置100では、前後及び上下に配置された4つの変位センサ24を有する、軸方向で離れた第1及び第2センサ部材21、22がケース部材15に一体に搭載されたセンサユニットとなっているので、軸受装置100の組み立ての際に当該ケース部材15を外輪1のインナ側端部に取り付けるだけで、すべての変位センサ24を外輪1に取り付けることができる。このため、各変位センサ24を個別に外輪1に取り付ける必要がなく、しかも、外輪1にセンサ装着用の貫通孔を設ける必要もない。
また、ケース部材15を外輪1に取り付けることで、回転軌道輪のターゲット部4に対する各変位センサ24の周方向位置及び径方向位置がそれぞれ位置決めされるので、各変位センサ24をそれぞれ位置調整しながら取り付ける必要がなく、この点で軸受装置100の組み立てが極めて容易となっている。
また、ケース部材15に組み込まれた各変位センサ24は、回転軌道輪の軸方向中央部(図1に示す軸受中心Oに近い部分)よりも外力に対する変形挙動が大きい回転軌道輪のインナ側端部に位置するターゲット部4の変形挙動に伴うギャップを検出することになるので、当該ギャップの検出精度が高まるという利点がある。
更に、外輪1のインナ側端部にセンサ付きのケース部材15を取り付けた場合、外輪1のフランジ部12から比較的遠く離れた位置に変位センサ24が配置されることになるので、フランジ部12の周囲の歪の影響を受け難く、この点でギャップの変化を精度よく検出できるという利点もある。
図5(a)は本実施の形態のセンサ装置14によるギャップの検出回路の一例を示している。同図に示されるように各センサ部材21、22の変位センサ24のうち、上下方向で相対向するセンサ(図5では上センサと下センサ)24t、24bはそれぞれ発振器30に接続されており、この発振器30から一定周期の交流電流が各センサ24t、24bに供給される。なお、この各センサ24t、24bには同期用のコンデンサ31が並列に接続されている。
そして、本実施の形態では、この各センサ24t、24bでの出力電圧(検出値)を差動アンプ32で差を取って上下方向の変位量に対応する出力電圧(検出値)とすることにより、温度ドリフトを取り除くようにしている。なお、図示していないが、水平方向で相対向するセンサについても、前記と同様に差動アンプで差を取ることによって温度ドリフトを取り除いている。
ところで、インダクタンス型の変位センサ24では、コイルのインダクタンスをL、検出面の面積をA、透磁率をμ、コイルの巻き数をN、検出面からターゲット4までの間隔(ギャップ)をdとすると、次の式(a)が成立する。
L=A×μ×N2/d ・・・(a)
従って、ターゲット4までのギャップdが変化すると、変位センサ24のインダクタンスLが変化して出力電圧が変化するので、この出力電圧の変動を検出することにより、変位センサ24の検出面からターゲット部4までの径方向のギャップを検出することができる。
そして、本実施の形態では、ターゲット部4に対する独立した検出面を有する一対のコイル素子27を直列に連結することによって一つの変位センサ24を構成しているので、図5(b)に示されるように、一つのコイル素子27で一つの変位センサ27を構成する場合に比べて発生する磁束密度がより高まっており、これにより、ターゲット部4とのギャップの検出感度をより向上させるようにしている。
〔ターゲット部の構造〕
図1及び図2に示されるように、前記ターゲット部4は、内輪部材3のインナ側端部に外嵌して取り付けられた円筒部材からなる。このターゲット部4の外周側面には、車両インナ側の第1センサ部材21の検出面(磁極28の先端面)に対向する環状の第1被検出部34と、アウタ側の第2センサ部材22の検出面に対向する環状の第2被検出部35とが設けられている。本実施の形態では、これらの被検出部34、35は、ターゲット部4の周方向に沿って形成された第1及び第2環状溝により構成されている。
図2(b)に示されるように、車両インナ側の第1環状溝34は、その車両アウタ側の溝端面34aが第1センサ部材21の検出面A1の中心近傍に位置するように配置され、車両アウタ側の第2環状溝35は、その車両インナ側の溝端面35aが第2センサ部材22の検出面A2の中心近傍に位置するように配置されている。
このため、回転軌道輪のターゲット部4が軸方向の例えば車両インナ側に距離δだけ変位したとすると、車両インナ側においては、第1センサ部材21と第1環状溝34との軸方向のラップ長が減少して、第1センサ部材21によるギャップの検出値が減少し、車両アウタ側においては、第2センサ部材22と第2環状溝35との軸方向のラップ長が増大して、第2センサ部材22によるギャップの検出値が増大する。
同様に、回転軌道輪のターゲット部4が軸方向の車両アウタ側に距離δだけ変位したとすると、車両インナ側の第1センサ部材21によるギャップの検出値が増大し、車両アウタ側の第2センサ部材22によるギャップの検出値が減少する。
このように、本実施の形態のターゲット部4は、回転軌道輪が軸方向における同じ向きに変位した場合には、第1及び第2センサ部材21、22が検出する検出値に差を生じさせる、軸方向に離れた一対の環状溝34、35を外周側面に備えている。
また、前述の通り、これらの環状溝34、35は、回転軌道輪が軸方向における同じ向きに変位した場合に各センサ部材21、22が検出する検出値を正負逆向きに変化させるように、センサ側に対する軸方向位置が設定されている。
従って、後述の制御装置37における検出値の演算方法でも明らかな通り、車両インナ側の第1センサ部材21の検出値と車両アウタ側の第2センサ部材22の検出値の差を取ることにより、回転軌道輪の軸方向への単位並進量に対する検出値が増幅され、これによってセンサ装置全体としての軸方向変位の検出感度を高めることができる。
なお、図2(b)に図示した配置とは逆に、車両インナ側の第1環状溝34を第1センサ部材21の検出面A1に対して車両アウタ側にずらし、車両アウタ側の第2環状溝35を第2センサ部材22の検出面A2に対して車両インナ側にずらして配置することにしてもよく、この場合でも前記と同様の作用効果が得られる。
前記第1及び第2センサ部材21、22を構成する各変位センサ24は、ケース部材15の蓋部材17を貫通する信号線36(図4参照)を介して例えば車体側のECUなどからなる制御装置37に接続されている。各センサから得られた出力電圧(検出値)は、その制御装置37において以下に述べる演算方法で演算され、これによって車輪に作用する各方向のモーメント荷重及び並進荷重が求められる。
〔各荷重の演算方法〕
以下、図6〜9を参照しつつ、制御装置37で行われる荷重の演算方法について説明する。なお、本実施の形態における各変位センサの配置位置とその検出値の定義は、図7〜8を用いて説明した従来のものと同じである。また、図6はセンサ変位量とY1出力との関係を示す図である。
〔方向及びセンサ検出値の定義〕
図9に示されるように、車輪の前後水平方向をX軸方向、車輪の左右水平方向(軸方向)をY軸方向、車輪の上下方向をZ軸方向と定義する。
また、図7〜8に示されるように、車両インナ側(第1センサ部材21)のセンサの検出値に添え字「i」を使用し、車両アウタ側(第2センサ部材22)のセンサに添え字「o」を使用する。更に、前側のセンサの検出値を「f(front)」と定義し、後側のセンサの検出値を「r(rear)」定義し、上側のセンサの検出値を「t(top)」と定義し、下側のセンサの検出値を「b(bottom)」と定義する。
従って、第1及び第2センサ部材21、22に設けられた合計8つのセンサの検出値は、次のように定義される。
i:第1前センサの検出値
i:第1後センサの検出値
i:第1上センサの検出値
i:第1下センサの検出値
o:第2前センサの検出値
o:第2後センサの検出値
o:第2上センサの検出値
o:第2下センサの検出値
そして、本実施の形態では、5つの差動信号X1、X2、Z1、Z2、及びY1を、以下のようにしている。
X1=fi−ri
X2=fo−ro
Z1=bi−ti
Z2=bo−to
Y1=(fo+ro)−(fi+ri
すなわち、5つの差動信号のうちX1、X2、Z1、及びZ2の検出に使用するセンサの構成は従来と同様とし、一方、差動信号Y1の検出に使用するセンサは、前後の4つのセンサのみとしている。上下のセンサの検出値を使用しないことにより、Mx入力時のY1出力が非線形出力となるのを防ぐことができる。その結果、Y1信号のクロストークを排除するか又は線形化することができ、補正演算が不要になった分センサの応答性を向上させることができる。
また、差動信号Y1の検出に「ti、bi、to、bo」を使用しなくなったことに伴い、「fi、ri、fo、ro」のゲインを「ti、bi、to、bo」の2倍にしている。具体的には、前述した式(a)に示されるように、インダクタンスLがコイルの巻き数Nの二乗に比例することから、コイルの巻き数を1.4倍にしている。本実施の形態では、このように巻き数が1.4倍にされた前後の変位センサにおけるコイルが、一方の変位センサ(前後の変位センサ)の出力信号を他方の変位センサ(上下の変位センサ)の出力信号よりも増幅する増幅部を構成している。
このように前後のセンサだけ使用する場合、X軸回りのモーメントMxが作用したときのセンサの検出変位量を大幅に小さくすることができる。図6は、センサ変位量とY1出力との関係を示す図であり、半径0.32mのタイヤが装着された車輪に10kNのY方向の力が入力された場合を想定している。この場合、軸受装置の外輪(固定軌道輪)には、10×0.32=3.2kN・mの大きさのモーメントMxが作用する。図6の(a)は前後及び上下のセンサを用いる場合(従来)の変位量を示しており、(b)は前後のセンサだけを用いる場合(本発明)の変位量を示している。Y1の検出にすべてのセンサを用いる場合、変位量δ≒±0.12mmと非常に大きいのに対して、Y1の検出に前後のセンサだけを用いる場合、変位量δ≦0.02mmと従来に比べ約1/6以下の大きさとなる。
そして、5つの値X1、X2、Z1、Z2、及びY1と、転がり軸受装置に作用しているX方向の力の大きさ(Fx)、転がり軸受装置に作用しているY方向の力の大きさ(Fy)、転がり軸受装置に作用しているZ方向の力の大きさ(Fz)、車輪に作用しているX軸回りのモーメント荷重の大きさ(Mx)、及び、車輪に左右しているZ軸回りのモーメント荷重の大きさ(Mz)との間には、線形関係があり、次の式(3)が成立する。
Figure 2010002195
ここで、n11〜n55は定数である。
したがって、式(3)から以下の式(4)が導かれる。
Figure 2010002195
転がり軸受装置の制御装置の記憶部には、式(4)の右辺の5行5列の定数行列(逆行列)の25個の要素(係数)が、ルックアップテーブルとして予めインプットされており、前記センサ部材の各センサが、制御装置の信号処理部に信号を出力すると、信号処理部が、それらの信号に基づいて、差動信号X1、X2、Z1、Z2、及びY1を算出する。そして、その後に、算出されたX1、X2、Z1、Z2、及びY1と、記憶部に記憶されている25個の要素とから、式(4)の演算を行って、転がり軸受装置に作用している荷重であるFx、Fy、Fz、Mx、及びMzが算出される。
本発明の軸受装置の一実施の形態の側面断面図である。 (a)は同軸受装置のセンサ部分の拡大断面図であり、(b)はセンサ部材と環状溝の位置関係を表す図である。 同軸受装置を車両インナ側から見た図である。 蓋部材を取り外した状態の同軸受装置を車両インナ側から見た図である。 (a)は変位センサによるギャップの検出回路の一例を示す回路図であり、(b)はコイル素子の機能説明図である。 センサ変位量とY1出力との関係を示す図である。 各変位センサの配置位置を示す正面説明図である。 各変位センサの配置位置を示す側面説明図である。 X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向と各荷重の定義を示す車輪部分の斜視図である。 従来の軸受装置における演算方法を示すブロック図である。
符号の説明
1 外輪(固定軌道輪)
2 内軸(回転軌道輪)
3 内輪部材(回転軌道輪)
4 ターゲット部
7 フランジ部(取付部分)
12 フランジ部(固定部分)
14 センサ装置
15 ケース部材
21 第1センサ部材
22 第2センサ部材
24 変位センサ
27 コイル素子
34 第1環状溝(第1被検出部)
35 第2環状溝(第2被検出部)
37 制御装置

Claims (3)

  1. 車体側に固定される筒状の固定軌道輪と、この固定軌道輪の内部に回転自在に挿通され且つ車輪の取付部分を有する回転軌道輪と、これらの軌道輪の間に転動自在に配設される複列の転動体とを備えており、前記回転軌道輪の外周面とのギャップを検出するセンサ装置が、前記固定軌道輪に設けられてなるセンサ付き転がり軸受装置であって、
    前記センサ装置は、円周方向に沿って複数設けられた変位センサからなっており、且つ、
    前記転がり軸受装置は、更に、前記複数の変位センサのうち、一方の変位センサの出力信号を他方の変位センサの出力信号よりも増幅する増幅部を備えていることを特徴とするセンサ付き転がり軸受装置。
  2. 前記センサ装置は、円周方向に沿って等間隔に4箇所設けられた変位センサからなる第1センサ部材と、この第1センサ部材と軸方向に離間しており且つ円周方向に沿って等間隔に4箇所設けられた変位センサからなる第2センサ部材とで構成されており、
    第1センサ部材及び第2センサ部材の各4つの変位センサにおいて、前記一方のセンサ及び他方のセンサは、それぞれ互いに対向する2つの変位センサで構成されている請求項1に記載のセンサ付き転がり軸受装置。
  3. 前記一方のセンサが、車輪を基準として上下方向に設けられた変位センサからなり、前記他方のセンサが車輪を基準として前後水平方向に設けられた変位センサからなる請求項2記載のセンサ付き転がり軸受装置。
JP2008158867A 2008-06-18 2008-06-18 センサ付き転がり軸受装置 Pending JP2010002195A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008158867A JP2010002195A (ja) 2008-06-18 2008-06-18 センサ付き転がり軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008158867A JP2010002195A (ja) 2008-06-18 2008-06-18 センサ付き転がり軸受装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010002195A true JP2010002195A (ja) 2010-01-07

Family

ID=41584052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008158867A Pending JP2010002195A (ja) 2008-06-18 2008-06-18 センサ付き転がり軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010002195A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012172623A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Ntn Corp 転がり軸受および風力発電装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55132926A (en) * 1979-03-22 1980-10-16 Lechler Gerhard Power measuring apparatus
JP2004003918A (ja) * 2002-03-28 2004-01-08 Nsk Ltd 荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニット
JP2008128639A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Jtekt Corp 車輪用転がり軸受装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55132926A (en) * 1979-03-22 1980-10-16 Lechler Gerhard Power measuring apparatus
JP2004003918A (ja) * 2002-03-28 2004-01-08 Nsk Ltd 荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニット
JP2008128639A (ja) * 2006-11-16 2008-06-05 Jtekt Corp 車輪用転がり軸受装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012172623A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Ntn Corp 転がり軸受および風力発電装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007127253A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP4888074B2 (ja) 車輪用転がり軸受装置
EP1764521B1 (en) Sensor-equipped rolling bearing assembly
JP2006266278A (ja) センサ付車輪用軸受
US20060155507A1 (en) Load-measuring device for rolling bearing unit and rolling bearing unit for load measurement
US8523446B2 (en) Sensor equipped wheel support bearing assembly
JP2005090994A (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2004198247A (ja) 転がり軸受ユニット用荷重測定装置
JP2010002195A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2007078073A (ja) 車輪用転がり軸受装置
JP2009288048A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP4957390B2 (ja) 物理量測定装置付転がり軸受ユニットの製造方法
JP4779544B2 (ja) 空気圧異常判定装置
JP2006226477A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP4239758B2 (ja) センサ付きハブユニット
JP2008275510A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2008128812A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2008128639A (ja) 車輪用転がり軸受装置
JP2004198210A (ja) 転がり軸受ユニット用荷重測定装置
JP2009156677A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2008215977A (ja) センサ付車輪用軸受
JP2008275507A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2008008462A (ja) 車輪用転がり軸受装置
JP2005099003A (ja) センサ付きハブユニット
JP2006284286A (ja) センサ付き転がり軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20110221

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130208

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20130219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130702