JP2010000444A - 排水処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイオガスプラントで発生する消化液のような固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水を効率よく処理することができる排水処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御してアンモニアガスを気散させるアンモニア気散工程(11)と、アンモニア気散工程で気散したアンモニアガスを吸収水に吸収させるアンモニア溶解工程(21)と、アンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニア水中のアンモニアを分解して除去する窒素生物除去工程(31)とを有するとともに、窒素生物除去工程の処理水をアンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収するための吸収水として使用する。
【選択図】図1
【解決手段】固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御してアンモニアガスを気散させるアンモニア気散工程(11)と、アンモニア気散工程で気散したアンモニアガスを吸収水に吸収させるアンモニア溶解工程(21)と、アンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニア水中のアンモニアを分解して除去する窒素生物除去工程(31)とを有するとともに、窒素生物除去工程の処理水をアンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収するための吸収水として使用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、排水処理方法及び装置に関し、詳しくは、固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水、特に、家畜糞尿等を原料としたバイオガスプラントで発生する消化液を効率よく処理することができる排水処理方法及び装置に関する。
固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水を処理する技術として、アンモニア成分とBOD成分とを含有する対象処理液を、アンモニア含有液とBOD含有液とに分離した後、アンモニア含有液を好気性アンモニア酸化槽と嫌気性アンモニア酸化槽と嫌気性脱窒槽とで処理することにより液中の窒素成分を除去するとともに、分離した前記BOD含有液を嫌気性脱窒槽へ導入して処理する生物学的窒素除去方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、窒素成分とリン成分とが高濃度に含まれている廃水を処理する際に、アンモニアストリッピング工程でアンモニア性窒素を除去した後、嫌気性発酵工程、アナモックス工程、脱窒誘導型曝気工程、脱窒工程を行うことによって窒素成分を除去する処理方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−272177号公報
特開2002−159992号公報
しかし、特許文献1に記載された方法では、アンモニア含有液とBOD含有液とに分離するための膜分離装置が必要になるなど、装置構成が複雑になるという問題がある。また、特許文献2に記載された方法では、装置構成が複雑になるだけではなく、アンモニアストリッピング工程で除去したアンモニア性窒素の処理については考慮されていないという問題もある。
そこで本発明は、バイオガスプラントで発生する消化液のような固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水を効率よく処理することができる排水処理方法及び装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の排水処理方法は、固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御して前記アンモニア含有排水からアンモニアガスを気散させるアンモニア気散工程と、該アンモニア気散工程で気散したアンモニアガスを吸収水に吸収させるアンモニア溶解工程と、該アンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニア水中のアンモニアを分解して除去する窒素生物除去工程とを有するとともに、該窒素生物除去工程の処理水を前記アンモニア溶解工程で前記アンモニアガスを吸収するための吸収水として使用することを特徴としている。
さらに、本発明の排水処理方法は、前記アンモニア気散工程で前記アンモニア含有排水を30〜100℃の範囲に加温すること、前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を固液分離して液状物と固形物とに分離すること、前記固液分離は、アルカリ剤及び凝集剤を添加して行われ、分離した前記固形物は脱水してから導出することを特徴としている。
特に、本発明の排水処理方法は、前記アンモニア含有排水がバイオガスプラントで発生する消化液であって、前記バイオガスプラントで発生するバイオガス又はバイオガス燃焼排ガスを、前記アンモニア気散工程、アンモニア溶解工程又は窒素生物除去工程に導入すること、前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を前記バイオガスプラントの原料槽又は発酵槽に返送することを特徴とし、加えて、前記アンモニア含有排水がバイオガスプラントで発生する消化液であって、前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を固液分離した後の固液分離処理水を前記バイオガスプラントの原料槽又は発酵槽に返送することを特徴としている。
また、本発明の排水処理装置は、固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御して前記アンモニア含有排水からアンモニアガスを気散させるアンモニア気散装置と、該アンモニア気散装置で気散したアンモニアガスを水に吸収させるアンモニア溶解装置と、該アンモニア溶解装置でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニアを分解して除去する窒素生物除去装置とを備えるとともに、該窒素生物除去装置の処理水を前記アンモニア溶解装置で前記アンモニアガスを吸収するための水として導入する経路を備えていることを特徴としている。
さらに、本発明の排水処理装置は、前記アンモニア気散装置は、前記アンモニア含有排水を30〜100℃の範囲に加温する加温手段を備えていること、前記アンモニア気散装置と前記アンモニア溶解装置との間に、アンモニア気散装置で気散したアンモニアガスをアンモニア溶解装置に送るための送風手段又は吸引手段を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水を効率よく処理することができる。特に、本発明を家畜糞尿等を原料とするバイオガスプラントで発生する消化液の処理に適用することにより、処理後の液状物や固形物を肥料などとして有効利用することが可能となる。
図1は本発明の第1形態例を示す排水処理装置の系統図である。この排水処理装置は、本発明の基本的構成を示すもので、アンモニア気散工程を行うアンモニア気散装置11と、アンモニア溶解工程を行うアンモニア溶解装置21と、窒素生物除去工程を行う窒素生物除去装置31とで構成されている。
アンモニア気散装置11は、被処理液である固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水、例えば家畜糞尿等を原料とするバイオガスプラントで発生する消化液が流入する被処理液流入経路12と、pH調整用のアルカリ剤を添加するアルカリ剤添加経路13と、水中から気散したアンモニアガスを抜き出すアンモニアガス導出経路14と、アンモニアガスが気散した後の処理液を抜き出す気散処理水導出経路15とが設けられている。
被処理液流入経路12からアンモニア気散装置11内に流入した被処理液は、アルカリ剤添加経路13から添加されるアルカリ剤によってpHを7〜12の範囲に制御されることにより、被処理液中に含まれるアンモニア成分がガス化して被処理液から気散し、アンモニアガス導出経路14から抜き出される。また、アンモニアガスが気散することによってアンモニア成分濃度が低くなった気散処理水は、気散処理水導出経路15から抜き出される。
アンモニア気散装置11で使用するアルカリ剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の一般的なアルカリ剤を利用できる。アンモニア気散装置11の処理液中のアンモニア濃度は、pHを高くすれば低くすることができるが、気散処理水を液肥として利用する場合にはpHが高いものは好ましくないため、気散処理水を液肥として利用する際に許容されるアンモニア濃度以下になるようにpHを調節することが望ましい。したがって、アンモニア気散装置11における処理中のpHは7〜12の範囲が適当であり、さらに、pH8〜10の範囲が最適である。
アンモニアガス導出経路14に抜き出されたアンモニアガスは、必要に応じてファン等の送風手段又は吸引手段を介してアンモニア溶解装置21に送られる。このアンモニア溶解装置21は、アンモニアガス導出経路14から流入するアンモニアガスを、吸収水流入経路22から流入する吸収水に溶解させるもので、吸収水にアンモニアガスが溶解したアンモニア水は、アンモニア水導出経路23に導出されて窒素生物除去装置31に送られる。
窒素生物除去装置31は、アンモニア水導出経路23から流入するアンモニア水に対して、亜硝酸化処理と嫌気性アンモニア酸化処理とを行うものであって、アンモニア水中のアンモニアを亜硝酸化細菌によって亜硝酸に生物学的に酸化するとともに、生成した亜硝酸とアンモニアとを嫌気性アンモニア酸化細菌(アナモックス菌)によって嫌気条件下で生物学的に窒素ガスに変換することにより、アンモニア水中のアンモニアを分解して水中から除去する。この窒素生物除去装置31は、少なくとも亜硝酸化処理手段と嫌気性アンモニア酸化処理手段とを含んでいればよく、その形態は特に限定されるものではない。
例えば、アンモニア溶解装置21からのアンモニア水の略全量を部分亜硝酸化処理した後に嫌気性アンモニア酸化処理を行うようにしてもよく、アンモニア水の約半量を亜硝酸化処理し、残りの約半量は亜硝酸化処理せずに、亜硝酸化処理したものと亜硝酸化処理しないものとを合流させて嫌気性アンモニア酸化処理するようにしてもよく、微生物担体あるいは仕切り部材を設けて同一槽内で亜硝酸化処理と嫌気性アンモニア酸化処理とを同時に行うようにしてもよく、膜分離手段を用いて有用な亜硝酸化細菌や嫌気性アンモニア酸化細菌の流出を防止するようにしてもよい。
窒素生物除去装置31にてアンモニア成分を除去した窒素生物除去処理水は、窒素生物除去装置31から前記吸収水流入経路22に導出されてアンモニア溶解装置21に循環導入され、アンモニアガスを吸収するための吸収水として使用される。
このように、アンモニア気散装置11でアンモニア成分を気散させて液中のアンモニア濃度(窒素濃度)を低くすることにより、アンモニア気散装置11から気散処理水導出経路15に抜き出した気散処理水を液肥として有効利用することが可能となる。例えば、家畜糞尿等を原料とするバイオガスプラントにおいては、発生する消化液をそのままの状態で液肥として利用することができれば最も経済的であるが、地下水等の窒素汚染の問題から、アンモニア濃度の高い消化液(一般的に2000〜5000mg/Lと高いアンモニア濃度を示す)を直接利用することは困難な場合が多い。
このような場合でも、アンモニア気散装置11でアンモニアを気散させて消化液中のアンモニア濃度を低くすることにより、アンモニア濃度が低く、有機物、リン等の肥厚成分を含む気散処理水をアンモニア気散装置11から取り出すことができるので、この気散処理水を牧草地等に散布する液肥として利用することが可能となり、地下水等への窒素汚染の問題が軽減され、リン肥料としても有効に活用することができる。
さらに、窒素生物除去装置31の窒素生物除去処理水をアンモニア溶解装置21でアンモニアガスを吸収させる吸収水として使用することから、外部から地下水等の吸収水を連続的に供給する必要はなく、さらに、窒素生物除去処理水を河川等に放流する場合に比べて厳密な処理を行う必要もないことから、経済的である。なお、必要に応じて、窒素生物除去装置31へのリンやミネラル成分等の供給を目的として、アンモニア気散装置11から抜き出した少量の処理液(液肥)を添加したり、アンモニア気散装置11に流入する前の少量の消化液を添加したりすることにより、窒素生物除去装置31における処理効率を向上させることができる。
この表1からわかるように、バイオガスプラントからの消化液は、固形物(TS)及びアンモニア濃度(NH4−N)が非常に高いことが特徴であり、これらの濃度を下げることができれば、リン肥料として用途が広がる。また、この消化液を液肥として利用することができない場合には、下水道あるいは環境水中への放流を行うために水処理を行う必要があるが、BOD濃度に対して窒素濃度(T−N)が高いことから、一般的な排水処理装置での水処理は困難である。
一方、前記形態例に示したような構成の排水処理装置を用いて固形物及びアンモニアの大部分を除いたアンモニア気散装置11から取り出した気散処理水は、これを環境水中に放流する場合でも、BODと窒素濃度とのバランスが良くなっているため(BOD:NH4−N=1〜3:1)、放流するための水処理を容易に行うことができる。また、アンモニア気散装置11からの気散処理水を下水道に放流する場合には、井戸水等で2〜5倍程度に希釈するだけで下水道の除害施設(除外施設)の水質基準を満たすことが可能になる。
また、アンモニア気散装置11でアンモニアガスを気散させる際には、ガス撹拌、機械撹拌、水蒸気注入、加温等の気散促進手段を適宜採用し、好ましくは加温手段によって被処理液を30〜100℃の範囲に加温することにより、被処理液のpHが7〜10の範囲で被処理液からのアンモニアガスの気散を効果的に行うことができ、アルカリ剤の使用量を削減することができる。
さらに、家畜糞尿等を原料とするバイオガスプラントにおいては、バイオガスボイラー等の熱を利用して消化液の加熱殺菌を行うことが多い。この消化液の加熱殺菌は、一般的に、消化液を70℃程度に加熱して約1時間の殺菌処理を行うようにしているので、このときに消化液のpHを8〜10程度に調整することにより、消化液の殺菌処理とアンモニアガスの気散処理とをアンモニア気散装置11にて同時に行うことができ、エネルギーの有効利用が図れる。
また、バイオガスプラントで発生するバイオガスや、バイオガス燃焼装置等の排ガスを、アンモニア気散装置11、アンモニア溶解装置21、窒素生物除去装置31に導入することもできる。前記バイオガスや排ガスには二酸化炭素が多く含まれているため、窒素生物除去装置31に導入することにより、生物処理に必要な無機炭素源を経済的かつ効率的に供給することが可能になり、燃焼装置等からの高温の排ガスをアンモニア気散装置11に導入することにより、被処理液(消化液)の加熱源として用いることができる。
さらに、バイオガスを前記各装置の水中に通気させることにより、バイオガス中の二酸化炭素、アンモニア、硫化水素等のガス成分を水中に溶解してこれらの濃度を低減することができ、メタンガス濃度を高めることができる。なお、前記バイオガス燃焼装置等には、バイオガスボイラー、バイオガスエンジン(発電)、ガスタービン、燃料電池等が含まれる。
また、牛の糞尿を原料とするバイオガスプラントにおいては、液肥の使用先となる牧草地を近隣に有しているが、豚の場合には、近隣に都合のよい牧草地がないことが多ことから、豚の飼料として利用可能な野菜などを栽培し、これを飼料として活用することにより、「家畜の肥育→糞尿を原料とするバイオガスプラント→消化液の処理→処理水を液肥として用いた飼料栽培→栽培飼料による家畜の肥育」という循環システムを構築することができる。
さらに、アンモニア気散装置11の気散処理水を液肥として利用する場合、気散処理水の性状によっては、地下浸透を含めて周辺環境に液肥が流出することを防止することが好ましく、また、河川等に放流する場合には、放流水質が基準に適合していることを確認することが好ましい。例えば、牧草地や畑地に液肥を散布する場合には、土壌の下、100〜1000mm程度の位置に防水シートを敷設することにより、地下浸透を防止することができる。
また、ビニールハウス等において野菜の水耕栽培を行う場合には、栽培に利用した水を集水する手段及び受槽を設け、この受槽の水質が基準に適合していればそのまま放流すればよく、基準に適合していない場合には、別途、排水処理設備を付加して受槽の水を処理してから放流すればよい。さらに、放流用の受槽とは別に混合槽を設け、気散処理水(液肥)を混合槽に導入して肥厚成分の調整を行った後、栽培用水として循環利用することも可能である。また、水蒸気として気散する水量を多くすることで、放流水量を低減することも可能である。
図2は本発明の第2形態例を示す排水処理装置の系統図である。なお、以下の説明において、各排水処理装置における同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本形態例は、アンモニア気散装置11に固液分離装置41を設けた例を示している。アンモニア気散装置11から抜き出す気散処理水中には固形物が多く含まれていることから、気散処理水をそのまま液肥として使用する際に散水装置を使用すると目詰まりを起こすおそれがある。このような場合、アンモニア気散装置11から気散処理水を抜き出す部分に固液分離装置41を併設し、固形物を分離して液状物のみを分離液導出経路42から液肥として抜き出すことで散水装置の目詰まりを回避することができる。一方、液状物から分離して固形物導出経路43から抜き出される固形物は、コンポストとして利用することができる。
また、固液分離装置41を、アルカリ剤及び凝集剤を添加した後に脱水する装置とすることにより、固液分離装置41を小型化することができる。添加するアルカリ剤及び凝集剤は、特に限定されるものではなく、加圧脱水機等で一般的に利用されている消石灰と塩化第二鉄の組合せなどが利用できる。なお、固液分離後に液肥やコンポストとして利用する場合、凝集剤にはアルミニウム塩より鉄塩を用いることが好ましく、有機凝集剤(ポリマー)を用いたり、無機凝集剤と有機凝集剤とを組み合わせたりすることもできる。
さらに、窒素生物除去装置31に無機炭素源を供給する必要があるときには、アンモニア溶解装置21や窒素生物除去装置31あるいはその流入経路に無機炭素源供給経路24を設けることによって適宜な無機炭素源を供給することができる。この無機炭素源供給経路24から供給する無機炭素源として、前述のバイオガスやバイオガス燃焼装置等の排ガスを使用し、バイオガスや排ガス中に含まれている二酸化炭素等を利用することにより、別の無機炭素源を用意する必要がなくなる。
図3は本発明の第3形態例を示す排水処理装置の系統図である。本形態例に示す排水処理装置は、窒素生物除去装置31を亜硝酸化装置32と嫌気性アンモニア酸化装置33とに分割するとともに、アンモニア水導出経路23からのアンモニア水の約半量を亜硝酸化経路34に分岐させて亜硝酸化装置32に導入することにより亜硝酸化処理し、アンモニア水導出経路23からアンモニア水経路35に分岐した残りの約半量のアンモニア水は、亜硝酸化処理することなく、亜硝酸化装置32から亜硝酸化処理水導出経路36に導出した亜硝酸化処理水に合流させて嫌気性アンモニア酸化装置33に導入し、嫌気性アンモニア酸化処理を行うように形成している。
また、前記固液分離装置41から分離液導出経路42に導出した固液分離処理水を嫌気性アンモニア酸化装置33から窒素生物除去処理経路37に導出した窒素生物除去処理水に合流させ、嫌気性脱窒装置51及び再曝気装置52で更なる脱窒処理を行った後、脱窒処理水の一部を前記吸収水流入経路22に分岐させて前記アンモニア溶解装置21に循環導入するとともに、残部の脱窒処理水を適当に希釈された液肥として利用することができ、また、水質によっては放流することもできる。なお、嫌気性アンモニア酸化装置33から窒素生物除去処理経路37に導出した窒素生物除去処理水中の窒素濃度によっては嫌気性脱窒装置51及び再曝気装置52を省略することができる。
図4は本発明の第4形態例を示す排水処理装置の系統図である。本形態例に示す排水処理装置は、家畜糞尿等を原料としてバイオガスを発生させるメタン発酵槽61を一体的に組み込んだものであって、メタン発酵槽61で発生したバイオガスをバイオガス導入経路62からアンモニア気散装置11内の水中に導入して曝気させることにより、アンモニアガスの気散を促進させるとともに、気散したアンモニアガスに同伴されたバイオガスをアンモニア溶解装置21でアンモニアガスから分離してバイオガス導出経路63から抜き出すことにより、メタン発酵槽61で発生したバイオガス中に含まれる二酸化炭素、アンモニア、硫化水素等のガス成分を水中に溶解させてバイオガスから分離することができ、これらの不純物を分離した精製バイオガスをバイオガス導出経路63から得ることができる。
また、アンモニア気散装置11から気散処理水導出経路15に抜き出したアンモニア気散処理水の一部を循環経路64からメタン発酵槽61に循環導入するとともに、固液分離装置41から分離液導出経路42に導出した液状物の一部を循環経路65からメタン発酵槽61に循環導入するように形成している。
通常、家畜糞尿等を原料とするバイオガスプラントにおいては、原料中に多くの窒素成分を含むことから、メタン発酵槽61でのメタン発酵においてアンモニア阻害を起こし易く、糞や敷き藁等の固形物を多く含むために発酵槽の混合不良を招き易いが、アンモニア気散装置11でアンモニアを気散させてアンモニア濃度が低下した処理水や固液分離した液状物を循環経路64,65を通してメタン発酵槽61や、メタン発酵槽61の前段に設けられている原料槽に循環導入して家畜糞尿等を希釈することにより、メタン発酵を行う原料中の窒素成分濃度を低くしてメタン発酵槽61におけるアンモニア阻害を抑制するとともに、固形物濃度も低くして混合性を高めることができる。
また、メタン発酵槽61における有機物負荷が高すぎる場合には、メタン発酵槽61内のpHが低下する酸敗といわれる現象が生じることがあるが、アルカリ性のアンモニア気散処理水や固液分離後の液状物を循環経路64,65にて循環させることにより、発酵槽のpH低下を抑えることができる。
さらに、消化液に含まれる固形物は、発酵速度が遅く未発酵の有機物を含む場合も多いことから、固液分離装置41から固形物導出経路43に抜き出した固形物の一部を循環経路66を通して、障害が起こらない範囲でメタン発酵槽61や原料槽に循環導入することにより、消化液中の有機物の分解率を高めることができる。
このような排水処理方法及び排水処理装置を適用することにより、家畜糞尿の受入、バイオガスプラントの運転、消化液処理、排水(液肥)の有効利用、固形物(コンポスト)の有効利用、バイオガスを利用した熱や電力の利用、液肥やコンポストを利用した植物の栽培及び栽培した植物の販売などを一連の事業として行うことが可能となる。
11…アンモニア気散装置、12…被処理液流入経路、13…アルカリ剤添加経路、14…アンモニアガス導出経路、15…気散処理水導出経路、21…アンモニア溶解装置、22…吸収水流入経路、23…アンモニア水導出経路、24…無機炭素源供給経路、31…窒素生物除去装置、32…亜硝酸化装置、33…嫌気性アンモニア酸化装置、34…亜硝酸化経路、35…アンモニア水経路、36…亜硝酸化処理水導出経路、37…窒素生物除去処理経路、41…固液分離装置、42…分離液導出経路、43…固形物導出経路、51…嫌気性脱窒装置、52…再曝気装置、61…メタン発酵槽、62…バイオガス導入経路、63…バイオガス導出経路、64,65,66…循環経路
Claims (11)
- 固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御して前記アンモニア含有排水からアンモニアガスを気散させるアンモニア気散工程と、該アンモニア気散工程で気散したアンモニアガスを吸収水に吸収させるアンモニア溶解工程と、該アンモニア溶解工程でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニア水中のアンモニアを分解して除去する窒素生物除去工程とを有するとともに、該窒素生物除去工程の処理水を前記アンモニア溶解工程で前記アンモニアガスを吸収するための吸収水として使用することを特徴とする排水処理方法。
- 前記アンモニア気散工程で前記アンモニア含有排水を30〜100℃の範囲に加温することを特徴とする請求項1記載の排水処理方法。
- 前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を固液分離して液状物と固形物とに分離することを特徴とする請求項1又は2記載の排水処理方法。
- 前記固液分離は、アルカリ剤及び凝集剤を添加して行われ、分離した前記固形物は脱水してから導出することを特徴とする請求項3記載の排水処理方法。
- 前記アンモニア含有排水がバイオガスプラントで発生する消化液であって、前記バイオガスプラントで発生するバイオガス又はバイオガス燃焼排ガスを、前記アンモニア気散工程、アンモニア溶解工程又は窒素生物除去工程に導入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の排水処理方法。
- 前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を前記バイオガスプラントの原料槽又は発酵槽に返送することを特徴とする請求項5記載の排水処理方法。
- 前記アンモニア含有排水がバイオガスプラントで発生する消化液であって、前記アンモニア気散工程でアンモニアガスを気散させた後の気散処理水を固液分離した後の固液分離処理水を前記バイオガスプラントの原料槽又は発酵槽に返送することを特徴とする請求項1記載の排水処理方法。
- 固形物及び有機物を含むアンモニア含有排水をpH7〜12の範囲に制御して前記アンモニア含有排水からアンモニアガスを気散させるアンモニア気散装置と、該アンモニア気散装置で気散したアンモニアガスを水に吸収させるアンモニア溶解装置と、該アンモニア溶解装置でアンモニアガスを吸収したアンモニア水を亜硝酸化及び嫌気性アンモニア酸化によってアンモニアを分解して除去する窒素生物除去装置とを備えるとともに、該窒素生物除去装置の処理水を前記アンモニア溶解装置で前記アンモニアガスを吸収するための水として導入する経路を備えていることを特徴とする排水処理装置。
- 前記アンモニア気散装置は、前記アンモニア含有排水を30〜100℃の範囲に加温する加温手段を備えていることを特徴とする請求項8記載の排水処理装置。
- 前記アンモニア気散装置と前記アンモニア溶解装置との間に、アンモニア気散装置で気散したアンモニアガスをアンモニア溶解装置に送るための送風手段又は吸引手段を備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の排水処理装置。
- 前記アンモニア気散装置でアンモニアガスが気散した後の気散処理水を固液分離して液状物と固形物とに分離する固液分離手段を備えていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載の排水処理装置。
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JP2008161153A Pending JP2010000444A (ja) | 2008-06-20 | 2008-06-20 | 排水処理方法及び装置 |
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KR20220146712A (ko) | 2020-03-27 | 2022-11-01 | 스미토모 킨조쿠 코잔 엔지니어링 가부시키가이샤 | 피처리수의 처리 방법 및 그 처리 방법을 포함하는 배수 처리 방법 |
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2008
- 2008-06-20 JP JP2008161153A patent/JP2010000444A/ja active Pending
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