JP2010000003A - 標的核酸配列のコピー数検出方法 - Google Patents

標的核酸配列のコピー数検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、対照との比較によって得られた標的核酸の相対比が検出対象ゲノムのコピー数の絶対値を確実に反映する、標的核酸のコピー数の定量方法を提供することを目的とする。
【解決手段】標的核酸含有DNA及び既知のコピー数を有する対照DNAを制限酵素によって切断し、前記切断後の標的核酸含有DNA及び前記切断後の対照DNAにそれぞれアダプター配列を付加し、前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、第1の定量的PCRによって前記標的核酸含有DNAと前記対照DNAとの分子数比を算出し、前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、前記標的核酸の少なくとも一部の領域を核酸増幅して第2の定量的PCRを行い、その増幅産物の比から前記標的核酸のコピー数を求める。
【選択図】なし

Description

本発明は、生物のゲノム配列中に存在する標的核酸配列のコピー数を検出する方法に関する。
ヒトのゲノム塩基配列が解明され、遺伝子と疾患の研究が進められたことにより、ゲノム中の遺伝子のコピー数変化が疾患に影響することがわかってきた。非特許文献1にコピー数の変化を検出する方法として、検出対象の組織または細胞由来のゲノムDNAと、対照とする組織または細胞由来のゲノムDNAとを比較するComparative Genomic Hybridization(CGH)法が開示されている。CGH法は、染色体レベルの物理サイズで起きたコピー数の減少(loss)、過剰(gain)を決定することができる。
一方、近年、DNA断片を基板となる固体に均等間隔にスポットしたDNAマイクロアレイが実用化され、一度に数百〜数万種類の遺伝子の発現動態を検出するツールとして用いられている。そして、このDNAマイクロアレイとCGH法を組み合わせ、増幅や欠失などのゲノム異常をハイスループットに解析する方法が開発されている。このアレイCGHと呼ばれる解析方法は、新しい増幅領域の探索には非常に優れた方法であり、癌関連遺伝子の同定に積極的に用いられている。
A Kallioniemi、OP Kallioniemi、D Sudar、D Rutovitz、JW Gray、F Waldman, and D Pinkel、Science 、30 October 1992、258:818−821.
しかし、アレイCGHの場合、ゲノム中の標的核酸の増幅および欠失は同定できるが、コピー数の変化を正確に定量することは困難である。
コピー数を精度良く求める方法として、特許文献1の段落番号[0015]には、異なる個体由来のゲノムDNAに共通のアダプター配列を付加し、アダプタープライマーと各個体の配列特異的プライマーを用いてPCR増幅後、その増幅量比を測定することでゲノムDNAの量比を検出する方法が開示されている。
また、特許文献2の段落番号[0006]には、定量的PCR方法を用いて標的核酸のコピー数比を求める方法が開示されている。
しかし、いずれの方法も、異なる個体または組織由来のゲノムDNAを対照としてコピー数の相対比を求める方法であり、検出対象ゲノム内に存在するコピー数の絶対値を定量することは困難である。異なる個体または組織由来のゲノムDNAを対照として相対比を求める方法の場合、算出される値は対照組織または細胞に依存するからである。通常のヒト細胞において、標的核酸は各相同染色体に1ずつ存在し、細胞全体ではコピー数は2となる。対照組織または細胞におけるゲノムにおいて、標的核酸のコピー数が通常どおり2であった場合、PCR後の増幅産物の相対比は測定対象ゲノムのコピー数を反映する。しかし、対照の一倍体のゲノムにおいて標的核酸のコピー数が0(欠失)または3以上であった場合、相対比は検出対象ゲノムのコピー数の絶対値を反映しない。対照として用いるゲノムにおいて、標的核酸のコピー数がすべて2であることは必ずしも保証されないため、得られた相対比が検出対象ゲノムのコピー数の絶対値を必ずしも反映しないため定量できないという課題があった。
そこで、本発明は、対照との比較によって得られた標的核酸の相対比が検出対象ゲノムのコピー数の絶対値を確実に反映する、標的核酸のコピー数の定量方法を提供することを目的とする。
特開2001−333800号公報 特開2002−000275号公報
本発明に係る標的核酸のコピー数検出方法は、
標的核酸のコピー数が判明している対照DNAを用いて、生物のゲノム中における標的核酸のコピー数を検出する方法であって、
(1)標的核酸含有DNA及び前記対照DNAを制限酵素によって切断する工程と、
(2)前記切断後の標的核酸含有DNA及び前記切断後の対照DNAにそれぞれアダプター配列を付加し、アダプター付加標的核酸含有DNA及びアダプター付加対照DNAとする工程と、
(3)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、それぞれ前記アダプター配列の少なくとも一部を含む領域を核酸増幅して第1の定量的PCRを行い、前記標的核酸含有DNAと前記対照DNAとの分子数比を算出する工程と、
(4)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、前記標的核酸の少なくとも一部の領域を核酸増幅して第2の定量的PCRを行い、その増幅産物の比から前記標的核酸のコピー数を求める工程と、
を有することを特徴とする標的核酸のコピー数検出方法。
標的核酸のコピー数が判明している対照DNAを用いて、生物のゲノム中における標的核酸のコピー数を検出する方法であって、
(1)標的核酸含有DNA及び前記対照DNAを制限酵素によって切断する工程と、
(2)前記切断後の標的核酸含有DNA及び前記切断後の対照DNAにそれぞれアダプター配列を付加し、アダプター付加標的核酸含有DNA及びアダプター付加対照DNAとする工程と、
(3)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、それぞれ前記アダプター配列の少なくとも一部を含む領域を核酸増幅して第1の定量的PCRを行い、前記標的核酸含有DNAと前記対照DNAとの分子数比を算出する工程と、
(4)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、前記標的核酸の少なくとも一部の領域を核酸増幅して第2の定量的PCRを行い、その増幅産物の比から前記標的核酸のコピー数を求める工程と、
を有することを特徴とする標的核酸のコピー数検出方法。
(コピー数の検出方法)
本発明は、標的核酸のコピー数の検出方法に関し、標的核酸のコピー数が判明している対照核酸を用いて、生物のゲノム中における標的核酸のコピー数を検出する方法である。
ゲノムとは、ある生物のDNAにコードされていて、その生物が有する遺伝情報を意味する。例えばヒトゲノムとは、22対の常染色体と性染色体のXXまたはXY、計46本に含まれる遺伝情報全体を指す。ゲノム配列と記述した場合、遺伝情報を担う塩基配列の情報を意味し、ゲノムDNAと記述した場合、ゲノム配列に即した核酸を意味する。
標的核酸とは、コピー数の検出対象となる核酸であり、例えばゲノム中に含まれている多数の遺伝子領域の中で特に検出対象とする遺伝子領域を意味する。
対照DNAとは、対照DNAは標的核酸を少なくとも1つ有し、そのコピー数が判明している核酸断片である。塩基配列も判明しているものが好ましく用いられる。対照DNAとして、例えば、標的核酸を少なくとも1つ有するプラスミドDNAやファージを好ましく用いることができるが、これらに限定されるものではない。
コピー数とは、ゲノム中に含まれる標的核酸の個数を意味する。例えばEGFR(Epiderimal growth factor receptor:上皮細胞成長因子受容体)を標的核酸とした場合、正常細胞の一倍体のヒトゲノムにおけるEGFR領域の個数、つまりコピー数は1である。しかし、癌などの疾患ではこのEGFR領域が増加し、多い場合はゲノム中に数十個にまでなる場合もある。
また、ゲノムは所望の生物に由来するゲノムを用いることができる。その際の生物は原核生物由来、真核生物由来のもののどちらを用いても良い。ゲノムは1つ又は複数のDNA鎖を含む。また、標的核酸含有DNAとは、標的核酸を有するDNA鎖のことである。
(工程(1);制限酵素処理)
本発明では、まず、標的核酸含有DNA及び前記対照DNAを制限酵素によって切断する。
検出対象となる標的核酸や標的核酸含有DNAに応じて、所望の制限酵素を使用できる。具体的には、標的核酸内に切断サイトをしない制限酵素で処理することが好ましい。また、標的核酸の直前領域に切断サイトがある制限酵素で処理することが好ましい。制限酵素としては、例えばMboI、NlaIII、HpaII、TaqI等がある。
(工程(2);アダプター付加)
次に、前記切断後の標的核酸含有DNA及び前記切断後の対照DNAにそれぞれアダプター配列を付加し、アダプター付加標的核酸含有DNA及びアダプター付加対照DNAとする。つまり、前記工程(1)で、特定の制限酵素を用いて、標的核酸含有DNAを含む試料A及び対照DNAを含む試料B中のDNAをそれぞれ切断した後、当該切断部位にアダプターを付加する。
アダプターとは、後の工程(3)における第1の定量PCRにおいて、アダプター用プライマーがアニールする部位となる。アダプター配列は、真核生物のゲノム配列由来、もしくは原核生物のゲノム配列由来、もしくはいずれの生物にも由来しない配列を用いることができる。また、例えば、化学合成により得ることができる。ただし、検出対象となるゲノムDNAが有する配列をアダプター配列として用いることは避けた方が好ましい。
(工程(3);第1の定量PCR)
次に、前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、それぞれ前記アダプター配列の少なくとも一部を含む領域を核酸増幅して第1の定量PCRを行い、前記標的核酸含有DNAと前記対照DNAとの分子数比を算出する。つまり、まず、前記工程(2)で調製したアダプター付加標的核酸含有DNAを含む試料及びアダプター付加対照DNAを含む試料について、第1の定量PCRを行う。この際、標的核酸含有DNAと対照DNAとの分子数比を算出できるようなプライマーを設計し用いる。
定量的PCR方法とは核酸中における標的遺伝子の存在量を、プライマーやプローブを用いたPCRを行って測定もしくは検出する方法である。PCRとはポリメラーゼ・チェーン・リアクション(polymerase chain reaction)のことであり、現在の分子生物学、遺伝子工学などで常用されている反応である。定量的PCR方法としては、分子生物学、遺伝子工学で定常的に用いられている公知の方法を用いることができる。例えば、一組の特異的なプライマーセットを用い、指数増幅している途中のサイクルで止め、増幅産物の量を測定、比較する方法を用いることができる。また、特に高い定量性を有する市販のキット(アプライドバイオシステム社など)を用いることができる。この場合一組の特異的なプライマーセットと特異的なプローブを用いて定量を行う。前記プローブは配列の一端が蛍光色素、反対側の一端が消光剤で標識されており、PCRのテンプレートに結合した後PCRの進行ととともに分解されて蛍光を発するように設計されている蛍光プローブを用いることができる。また、PCR増幅により得られる産物の検出は公知の方法により行うことができる。定量的PCR方法は、リアルタイムモニタリング定量的PCR方法がより好ましく用いられる。プローブは、増幅核酸の一部に特異的にハイブリダイズするようにデザインされたものを用いることができる。定量的PCR方法に使用するものを指し、特に指定がない限り長さは制限されない。
分子数比とは、標的核酸含有DNAの本数と対照DNAの本数との比のことである。例えば、リアルタイムモニタリング定量的PCRによる場合、その増幅曲線が一致すればそれらの本数は等しいということになる。
プライマーは、第1の定量PCRにおいて、標的核酸含有DNAと対照DNAとの分子数比を算出できるようなプライマーであればよい。例えば、以下のアダプター特異的プライマーと測定対象DNA特異的プライマーを用いることができる。
アダプター特異的プライマーとは、前記設計されたアダプターの配列と相補的な配列を有し、かつハイブリダイズすることができるプライマーである。
測定対象DNA特異的プライマーとは、例えば、標的核酸の直前領域のDNA配列(直前配列)を基に作製することができる。
(工程(4);第2の定量PCR)
前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、前記標的核酸の領域を核酸増幅して第2の定量PCRを行い、その増幅産物の比から前記標的核酸のコピー数を求める。
前記工程(3)より、アダプター付加標的核酸含有DNAの試料中に含まれる標的核酸含有DNAと、アダプター付加対照DNAの試料中に含まれる対照DNAとの分子数比は把握される。したがって、これらの試料を用いて、標的核酸の領域を核酸増幅して第2の定量PCRを行うことにより、その増幅産物の比から標的核酸のコピー数を求めることができる。
第2の定量PCRとしては、リアルタイムモニタリング定量的PCR方法がより好ましく用いられる。
第2の定量PCRに用いるプライマーとしては、標的核酸の少なくとも一部の領域を特異的に増幅することができるプライマーを用いる。例えば、標的核酸の一部の領域と相補的な配列を有し、当該領域にハイブリダイズすることができるようにプライマーを設計する。また、標的核酸の両末端に基づいてプライマーを設計することもできる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
測定対象となるゲノムとしてヒト舌癌細胞株NA由来ゲノム、対照DNAとしてBACクローンDNA、標的核酸としてEGFR(Epiderimal growth factor receptor:上皮細胞成長因子受容体)を選択した。そして、本発明に係るコピー数の検出方法により、NA細胞由来ゲノム中で増加しているEGFRのコピー数を定量した。
I.EGFRを含む核酸の調製
(1)EGFRを含むヒトゲノムDNAの抽出
ヒト舌癌細胞株NA(大日本製薬社製)から、ゲノムDNA抽出精製キット(商品名:DNEasy Tissue Kit;キアゲン社製)を用いて、キット添付の使用説明書の方法に従って、ゲノムDNAを抽出、精製した。まず、ヒト類表皮癌標準細胞NAの懸濁液(2×106個/200μl)に、上記キットに含まれているATL緩衝液を180μl加え、15秒間攪拌した。次に、この懸濁液に、上記キットに含まれているProteinase K溶液を20μl加え、攪拌した後、55℃で30分間加温した。次に、上記キットに含まれるAL緩衝液を400μl加え、30秒間攪拌後、70℃で10分間加熱した。次に、エタノールを400μl加えて15秒間攪拌後、まずその混合溶液600μlをカラムに添加した。そして、8,000rpmで1分間遠心後、廃液を捨ててから残りの混合溶液をカラムに添加し、8,000rpmで1分間遠心し、ゲノムDNAをカラムに吸着させた。廃液を捨てた後、カラムに上記キットに含まれるAW1緩衝液を500μl添加し、8,000rpmで15秒間遠心、さらに上記キット中のAW2緩衝液を500μlを加えて14,000rpmで3分間遠心した。次に、廃液を捨て、何も添加せずに15,000rpmで1分間遠心した。次に、新しいチューブに上記カラムをセットし、超純水を50μl加えて1分間静置後、8,000rpmで1分間遠心し、ゲノムDNAを溶出した。ナノドロップ分光光度計(ナノドロップテクノロジー社製)を用いてこのゲノムDNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、250ng/μlだった。
(2)EGFRを含むBAC DNAの抽出
Human BAC clone RPCI−11−815K24(インビトロジェン社製)から(1)と同様の手法でBAC DNAを抽出、精製した。このDNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、300ng/μlだった。なお、BACクローンDNAはEGFRを1コピー含む。
II.制限酵素による切断とアダプター配列付加
(1)制限酵素の選択
ヒトゲノムにおいてEGFR領域の直前に切断サイトがあり、かつ適当な長さ(平均6500bp程度)にゲノムを断片化する制限酵素としてBss SI(第一化学薬品株式会社製)を選択した。
(2)アダプター配列の選択と合成
ヒトゲノムが有しない配列として、原核生物Streptococcus pneumoniaeのゲノムの一部を選択し、制限酵素Bss SIの切断サイトを加えた配列をアダプター配列として用いた。また、アダプター配列(ベックス社にて合成)を以下に示す。
5' GCAGGCGGTTAGATAAGTCTGAAGTTAAAGGCTGTGGCTTAACCATAGTAGGCTTTGGAA 3'
3' CGTCCGCCAATCTATTCAGACTTCAATTTCCGACACCGAATTGGTATCATCCGAAACCTTTGCT 5'
(3)制限酵素による切断
(3−1)ヒトゲノムDNAの断片化
上記(I−1)で得たNA由来のヒトゲノムDNAについて、Bss SIによる断片化を以下の手順で行った。表1の混合液を37℃で1時間インキュベートした後、80℃で20分間加熱して酵素を不活性化した。
Figure 2010000003
NEBuffer 3は制限酵素の付属品を使用した。
また、断片化した上記ゲノムDNAについて、DNA精製キット(商品名:QIAquick PCR Purification Kit DNEasy;キアゲン社)を用いて精製した。
こうして得た検体を、断片化測定用DNA(又は検体1−1)と称する。
(3−2)BACクローンDNAの断片化
上記(I−2)で得たBACクローンDNAについて、上記(3−1)と同様にBss SIによる断片化を以下の手順で行った。表2の混合液を37℃で1時間インキュベートした後、80℃で20分間加熱して酵素を不活性化した。
Figure 2010000003
NEBuffer 3は制限酵素の付属品を使用した。
また、断片化した上記ゲノムDNAについて、DNA精製キット(商品名:QIAquick PCR Purification Kit DNEasy;キアゲン社)を用いて精製した。こうして得た検体を、断片化対照DNA(又は検体2−1)と称する。
(4)アダプター配列の付加
(4−1)ヒトゲノムDNAへのアダプター配列の付加
II−(2)で得たアダプター配列とII−(3−1)で得た断片化標的核酸含有DNAとを表3の組成で混合し、16℃で1時間静置して結合させた。その後、精製を行った。
Figure 2010000003
DNA リガーゼ、10×リガーゼ緩衝液はともにInvitrogen社製
こうして得た検体を、アダプタ付加標的核酸含有DNA(又は検体1−2)と称する。
(4−2)BACクローンDNAへのアダプター配列の付加
II−(2)で得たアダプター配列と(3−2)で得た断片化対照DNA(又は検体2−1)とを表3の組成で混合し、16℃で1時間静置して結合させて結合させた。その後、精製を行った。こうして得た検体を、アダプタ付加対照DNA(又は検体2−2)と称する。
III.定量的PCR方法によるコピー数の定量
(1)アダプター配列用のプライマー、プローブの設定
Taqman定量PCR法(アプライドバイオシステム社)のキットを用いて、定量的PCR方法を行うためアダプター配列用プライマーセットとプローブを設計した。プライマーの一方はアダプター配列上に、もう一方は7番染色体上でEGFR直前の特異的な配列上に設計し、2本鎖の増幅産物が一種類のみ得られるように工夫した。また、蛍光色素と消光剤とMGBで標識されたアダプター用プローブは、アダプター配列とEGFRの結合部位をカバーするように設計した。これらの配列を以下の表4に示す。尚、プライマーとプローブはアプライドバイオシステム社に依頼して合成した。
Figure 2010000003
(2)EGFR用のプライマー、プローブの設定
III−(1)と同様に、Taqman定量PCR法(アプライドバイオシステム社)のキットを用いて定量的PCR法を行うため、EGFR用プライマーセットとプローブを設計した。プライマーセットとプローブはいずれもEGFRのイントロン1の配列上に設計した。これらの配列を以下の表5に示す。尚、プライマーとプローブはアプライドバイオシステム社に依頼して合成した。
Figure 2010000003
(3)定量的PCR方法によるアダプター配列の定量
定量的PCR方法により、検体1−2(アダプタ付加標的核酸含有DNA)と検体2−2(アダプタ付加対照DNA)とで、アダプター配列とEGFRを含む断片の分子数をそろえる。アダプター配列用プライマーセットとプローブ(以下、アダプター配列用プライマーミックス)を用い、2種類のチューブについてそれぞれ定量的PCR方法を行った時に増幅曲線が一致すれば、2種類のチューブはEGFR領域直前に結合したアダプター配列を同量含有していることになる。前記アダプター配列用プライマーミックスとキット(商品名:Taqman Gene Expression Assay;アプライドバイオシステムズ社)を用いて、表6の従ってPCR溶液を調製した(例数n=2)。
Figure 2010000003
マスターミックス(商品名:Taqman Universal PCR MasterMix,No AmpErase UNG;アプライドバイオシステムズ社)
表6で調製したPCR溶液を装置(商品名:Applied Biosystems 7500 Fast リアルタイムPCRシステム;アプライドバイオシステムズ社)にセットし、定量的PCR方法を行った。PCRのサイクル条件は50℃ 2分→95℃ 10分→(95℃ 15秒→60℃ 1分を40回)である。この結果からアダプタ付加標的核酸含有DNAとアダプタ付加対照DNAについてアダプター配列の増幅曲線が一致した。このときの増幅曲線を図1に示す。図1の結果から、アダプタ付加標的核酸含有DNA(検体1−2)とアダプタ付加対照DNA(検体2−2)とで、アダプター配列とEGFRを含む断片の分子量が同量存在することが確認された。
(4)定量的PCR方法によるEGFRの定量
次に、各検体(検体1−2と検体2−2)に含まれるEGFRのコピー数を定量的PCR方法により定量した。EGFR用プライマーセットとプローブ(以下、EGFR用プライマーミックス)を用いて定量的PCR方法を行った場合、アダプタ付加標的核酸含有DNA(検体1−2)とアダプタ付加対照DNA(検体2−2)から得られる増幅曲線の差が各検体中のEGFRのコピー数の差を反映する。したがって、本実施例では、アダプタ付加標的核酸含有DNAとアダプタ付加対照DNAにおける増幅曲線の比が、標的核酸含有DNA中のEGFRのコピー数を表すことになる。
前記EGFR用プライマーミックス(商品名:Taqman Gene Expression Assay;アプライドバイオシステムズ社)を用いて、表6に従ってPCR溶液を調製し、III−(3)と同様の条件で定量的PCR方法を行った(例数n=2)。このときの増幅曲線を図2に示す。BACクローンDNAはEGFRを1コピーのみ含むことがわかっている。アプライドバイオシステムズ社のソフト7500 System SDS Softwareを用いて増幅曲線を解析した結果、EGFRのコピー数は、アダプタ付加対照DNA(検体2−2)に対してアダプタ付加標的核酸含有DNA(検体1−2)が17倍であった。
(5)まとめ及び考察
ゲノムを制限酵素で切断後、アダプター配列を付加することで、ゲノム中に複数の配列が多数存在することになる。しかし、アダプター側に結合するプライマーからはPCRが進むが、反対側のプライマーが結合できるのはEGFR直前領域なので、効率よくPCRが行われるのはある特定の領域だけである。さらに、定量的PCRに最も大きな意味をもつ標識プローブであるが、これはアダプター配列とEGFR直前領域との連結部分にのみ結合する。Taqman定量PCR方法の原理上、プライマーで挟まれた領域にプローブが結合しないと定量できない。よって、両側から効率よくPCRが進み、かつ標識プローブが結合するアダプター配列−EGFR直前領域のみが定量されると考えられる。増幅領域となるテンプレート量が等しければ増幅曲線が同一になることを利用し、アダプタ付加対照DNAとアダプタ付加標的核酸含有DNAについてそれぞれの増幅曲線が等しくなるような量を把握した。アダプタ付加対照DNAとアダプタ付加標的核酸含有DNAにおいて、アダプターが付加されたEGFR領域の双方の量をそろえた後に、EGFR領域に特異的なプライマーミックスで定量した。BACクローンDNA中の標的核酸のコピー数は1とわかっているので、ゲノムDNAと比較した時に得られた値(17倍)は、ゲノムDNA中の標的核酸のコピー数の絶対値を反映していると考えられる。 <実施例2>
ゲノムとしてヒト肺癌細胞株A431由来ゲノムDNA、対照DNAとしてBACクローンDNA、標的核酸としてEGFRを用い、本発明に係るコピー数の検出方法により、A431細胞由来ゲノムDNA中で増加しているEGFRのコピー数を定量した。A431細胞では、エクソン15の前後の領域で増加しているEGFRが異なることが報告されている(参考文献1;MOL. Cell. Biol. July 1985, p1722−1734 参考文献2;Jpn. J. Cancer Res. (Gann), 79, 1174−1183; November, 1988)。A431細胞においてEGFRのコピー数は全体的に増加しているが、特にエクソン15より前の一部の領域が多く増加していると言われている。そこで、イントロン1とエクソン19を同時に定量し、各領域のコピー数の絶対値を求めた。
I.EGFRを含む核酸の調製
ヒト類表皮癌標準細胞A431(大日本製薬社製)から、ゲノムDNA抽出精製キット(商品名:DNEasy Tissue Kit;キアゲン社製)を用いて、実施例1のI−(1)に従って、ゲノムDNAを抽出、精製した。ナノドロップ分光光度計(ナノドロップテクノロジー社製)を用いてこのゲノムDNA溶液の吸光度を測定し濃度を求めたところ、200ng/μlだった。EGFRを含むBACクローンDNAは実施例1と同様のRPCI−11−815K24(インビトロジェン社製)を用いた。
II.制限酵素による切断とアダプター配列付加
制限酵素とアダプター配列の選択、およびDNAに対する制限酵素処理とアダプター配列付加は実施例1と同様に行った。こうして得られた、A431細胞由来のゲノムDNAを制限酵素処理したものを断片化標的核酸含有DNA2(検体3−1)と称する。さらに、断片化測定用DNA2(検体3−1)にアダプター配列を付加した検体を、アダプタ付加標的核酸含有DNA2(検体3−2)と称する。BACクローンDNAについては実施例1と同様に、制限酵素処理されたBACクローンDNAを断片化対照DNA(検体2−1)、さらにアダプター配列が付加された検体をアダプタ付加対照DNA(検体2−2)と称する。
III.定量的PCR方法によるコピー数の定量
(1)定量PCR用のプライマー、プローブの設定
アダプター配列用プライマーミックスは実施例1と同様のものを使用した。EGFR用プライマーミックスで、イントロン1を検出するものは実施例1と同様の配列を用い、EGFR用プライマーミックス−1と称する(配列は表7参照)。さらに、エクソン19を検出するプライマーミックスを設計し、EGFR用プライマーミックス−19と称する(配列は表7参照)。尚、プライマーとプローブはアプライドバイオシステムズ社に依頼して合成した。
Figure 2010000003
(3)定量的PCR方法によるコピー数の定量
定量的PCR方法によりアダプタ付加対照DNA(検体2−2)と、アダプタ付加標的核酸含有DNA2(検体3−2)でアダプター配列とEGFRを含む断片の分子数をそろえた(例数n=3)。このときの増幅曲線を図3に示す。試薬や手順は実施例1−III−(3)に従い、検体1−1と同様に行った。その後、各検体に含まれるEGFRのイントロン1とエクソン19のコピー数を定量的PCR方法により定量した(例数n=3)。前記EGFR用プライマーミックス1および19(商品名:Taqman Gene Expression Assay;アプライドバイオシステムズ社)を用いて、表6に従ってPCR溶液を調製し、実施例1−III−(3)と同様の条件で定量的PCR方法を行った。このときの増幅曲線を図4に示す。アプライドバイオシステムズ社のソフト7500 System SDS Softwareを用いて増幅曲線を解析した結果、検体2−2に対する検体3−2EGFRのコピー数は、イントロン1で約34倍、エクソン19で約16倍であった。
(4)考察
実施例1と同様、両側から効率よくPCRが進み、かつ標識プローブが結合するアダプター配列−EGFR直前領域のみが定量されると考えられる。増幅曲線をもとにBACクローンDNAとゲノムDNAの量をそろえた後、EGFRの2箇所についてそれぞれ定量PCR方法を行ったところイントロン1とエクソン19ではコピー数の絶対値が異なっていた。非特許文献3によると、A431細胞由来のDNAをサザンハイブリダイゼーションした結果、EGFR領域は約20倍に増加しているとの報告がある。さらに非特許文献2によると、A431細胞ではEGFRは全体的に重複しているが、すべてのEGFR領域が均一に重複しているとは限らず、エクソン15より前の部分のみが重複している部分もある。つまり、サザンハイブリダイゼーションによって得られたコピー数はこれら不均一な重複も含め平均した数値である。本手法で得られた結果は、これら不均一な重複部位のコピー数をも個別に検出していると考えられる。
実施例1における第1の定量的PCRを行った際の増幅曲線である。 実施例1における第2の定量的PCRを行った際の増幅曲線である。 実施例2における第1の定量的PCRを行った際の増幅曲線である。 実施例2における第2の定量的PCRを行った際の増幅曲線である。

Claims (6)

  1. 標的核酸のコピー数が判明している対照DNAを用いて、生物のゲノム中における標的核酸のコピー数を検出する方法であって、
    (1)標的核酸含有DNA及び前記対照DNAを制限酵素によって切断する工程と、
    (2)前記切断後の標的核酸含有DNA及び前記切断後の対照DNAにそれぞれアダプター配列を付加し、アダプター付加標的核酸含有DNA及びアダプター付加対照DNAとする工程と、
    (3)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、それぞれ前記アダプター配列の少なくとも一部を含む領域を核酸増幅して第1の定量的PCRを行い、前記標的核酸含有DNAと前記対照DNAとの分子数比を算出する工程と、
    (4)前記アダプター付加標的核酸含有DNA及び前記アダプター付加対照DNAについて、前記標的核酸の少なくとも一部の領域を核酸増幅して第2の定量的PCRを行い、その増幅産物の比から前記標的核酸のコピー数を求める工程と、
    を有することを特徴とする標的核酸のコピー数検出方法。
  2. 前記対照DNAがプラスミドDNAまたはファージに由来するDNAである請求項1に記載の標的核酸のコピー数検出方法
  3. 前記プラスミドDNAが所望のBACクローンを含むプラスミドである請求項2に記載の標的核酸のコピー数検出方法。
  4. 前記ゲノムDNAが真核生物、もしくは原核生物由来のゲノムDNAである、請求項1乃至3のいずれかに記載の標的核酸のコピー数検出方法。
  5. 前記第1の定量的PCRは、前記アダプター配列及び前記標的核酸の直前配列を基に設計されたプライマーを用いる請求項1乃至4のいずれかに記載の標的核酸のコピー数検出方法。
  6. 前記アダプター配列が前記生物のゲノム中に存在しない配列である請求項1乃至5のいずれかに記載の標的核酸のコピー数検出方法。
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