JP2009545533A - 癌様疾患修飾抗体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、新規スクリーニングパラダイムを用いて癌様疾患修飾抗体を生産するための方法に関する。本法は、終末点として癌細胞傷害性を用いて抗癌抗体を分離することによって、治療および診断のための抗癌抗体の生産を可能とする。これらの抗体は、癌の段階判定および診断に役立てるために使用することが可能であり、かつ、一次腫瘍、例えば、前立腺または乳房癌腫、および腫瘍転移物を治療するために使用することが可能である。この抗癌抗体は、トキシン、酵素、放射性化合物、および造血細胞に接合させることが可能である。
【選択図】図5
【選択図】図5
Description
本発明は、癌様疾患修飾抗体(CDMAB)の単離および生産、および、治療および診断プロセスにおける、必要に応じて一つ以上の化学療法剤と組み合わせた、それらCDMABの使用に関するものである。本発明はさらに、本発明のCDMABを利用する結合アッセイに関する。
癌を抱える各個人は、ユニークであり、その個人のアイデンティテイと同じぐらい、他の癌と異なる癌を有する。にも拘わらず、現今の治療は、同じ段階にある、同じタイプの癌を持つ全ての患者を同じ様に治療する。これらの患者の少なくとも30パーセントは、第1線治療には奏功せず、したがって、次の治療ラウンドに進むが、治療不振、転移、および最終的な死の確率が高まる。もしこれよりも優れた治療法があるとすれば、それは、特定の個人に合わせた治療の特注であろう。この特注に応えられる、現今唯一の治療法は手術である。化学療法および放射線治療は、患者の個別要求に適合させることはできず、かつ、手術そのものも、多くの場合、治癒をもたらすには不十分である。
モノクロナール抗体の登場とともに、特注治療のための方法を開発する可能性が現実味を帯びてきた。なぜなら、各抗体は、単一のエピトープを指向することが可能だからである。さらに、ある特定の個人の腫瘍を一意に定義する、エピトープの関連集合体に向けた抗体の組み合わせを生産することが可能である。
癌様細胞と正常細胞の間の顕著な差は、癌様細胞が、形質転換細胞に特異的な抗原を含むことであることを認識してから、科学界は、モノクロナール抗体を、これらの癌抗原に対して特異的に結合させることによって、形質転換細胞を特異的に標的するように設計することが可能であると長い間思い続けてきた。このことから、モノクロナール抗体は、癌細胞を排除するための「魔法の弾丸」として役立ち得るとする信念が生まれた。ここに開示される本発明の教示にしたがって単離されるモノクロナール抗体は、患者にとって有益なやり方で、例えば、腫瘍負荷を軽減することによって、癌様疾患プロセスを修飾することが示されており、これを、本明細書では、種々の名称で、例えば、癌様疾患修飾抗体(CDMAB)、または「抗癌」抗体と呼ぶ。
現在、癌患者は、通常、治療についてほとんど選択肢を持たない。癌治療におけるスケジュール対処法は、地球規模の生存率および罹患率の改善をもたらした。しかしながら、特定の個人にとっては、これらの統計学的改善は、必ずしもその個人的状況の改善とは相関しない。
したがって、もしも、開業医が、同じ対象群の中の他の患者とは独立に各腫瘍を治療することを可能とする方法原理が提出されたならば、それは、まさにその個人だけに合わせた独自の治療を施すユニークな方法を可能とすることになろう。もしもこのような治療コースが実現するならば、それは、理想的に、治癒率を高め、さらによい結果を産み、したがって、長く希求されていた要求を満たすものとなろう。
歴史的には、ポリクロナール抗体が使用されてきたが、ヒト癌の治療ではごく限られた成功しか得られなかった。リンパ腫および白血病が、ヒトの血漿で治療されたが、長期の寛解または反応はほとんど見られなかった。さらに、再現性が不足しており、化学療法に比べ一段と優る長所が見られなかった。固体腫瘍、例えば、乳癌、メラノーマ、および腎細胞癌も、ヒト血液、チンパンジー血清、ヒト血漿、およびウマ血清によって治療されているが、同様にその結果は予測不明で、無効であった。
固体腫瘍に対するモノクロナール抗体について、これまでたくさんの臨床治験が行われている。1980年代、ヒトの乳癌について少なくとも四つの臨床治験が行われたが、特異的抗原に対する抗体、または、組織選択性に基づいて選ばれた抗体を用いたが、少なくとも47名の患者において僅かに1名の反応者しか得られなかった。1998年になって始めて、Cisplatinと組み合わせてヒト化抗Her2抗体を用いた臨床治験が成功を収めた。この治験では、37名の患者が反応評価を受けたが、その内、4分の1は、部分的反応率しか示さず、別の4分の1では、軽度の、または安定的な病気の進行が見られた。
結腸直腸癌を調べる臨床治験は、糖タンパクおよび糖脂質の両方を標的とする抗体を含む。腺癌に対して若干の特異性を持つ、17−1Aなどの抗体は、60名を超える患者において第2相臨床治験を経過したばかりであるが、1名の患者しか部分的反応を示さなかった。他の治験では、17−1Aの使用は、シクロフォスファミドを加えたプロトコールにおいて、52名の患者の内、完全反応は1名のみ、僅かな反応が2名で得られたにすぎなかった。17−1Aを含む他の治験も同様の結果を与えた。最初、画像化のために承認された、ヒト化マウスモノクロナール抗体の使用もやはり、腫瘍後退をもたらさなかった。これまでのところ、結腸直腸癌に対して有効な抗体は存在しない。同様に、肺癌、脳癌、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌、および胃癌についても不振な結果が続いている。メラノーマに対する抗GD3モノクロナール抗体の使用には若干の成功が見られた。したがって、ヒトの臨床治験のための要件である、小動物実験において奏功したにも拘わらず、試験した抗体は多くの場合無効であることが見て取れる。
従来特許:
特許文献1は、患者の腫瘍細胞が、前記患者の細胞または組織からクローンされてもよいMHC遺伝子によってトランスフェクトされるプロセスを開示する。次に、このトランスフェクト細胞を用いて、前記患者にワクチン接種する。
特許文献1は、患者の腫瘍細胞が、前記患者の細胞または組織からクローンされてもよいMHC遺伝子によってトランスフェクトされるプロセスを開示する。次に、このトランスフェクト細胞を用いて、前記患者にワクチン接種する。
特許文献2は、哺乳動物の腫瘍および正常細胞の細胞内成分に対して特異的であるが、外部成分に対してはそうではないモノクロナール抗体を獲得する工程、前記モノクロナール抗体を標識する工程、前記標識抗体を、腫瘍細胞を殺傷するための治療を受けたことのある哺乳動物の組織と接触させる工程、および、変性腫瘍細胞の細胞内成分に対する、前記標識抗体の結合を測定することによって治療の有効性を定量する工程を含むプロセスを開示する。ヒトの細胞内抗原に向けられる抗体を調製する際、この特許権者は、悪性細胞は、このような抗原の好適な供給源を代表することを認識する。
特許文献3は、新規抗体、およびその生産法を提供する。具体的には、この特許は、ヒトの腫瘍、例えば、結腸および肺の腫瘍と関連するタンパク抗原に対し強力に結合する性質を持つが、一方、正常細胞に対する結合の程度ははるかに低い、モノクロナール抗体の形成を教示する。
特許文献4は、癌の治療法であって、ヒトの癌患者から腫瘍組織を外科的に取り出すこと、前記腫瘍組織を処理して腫瘍細胞を獲得すること、前記腫瘍細胞を放射線暴露して、生存はするが発癌性を持たなくすること、および、これらの細胞を用いて、前記患者のために、一次腫瘍の回帰を抑制しながら、同時に転移を抑制することを可能とするワクチンを調製すること、を含む方法を提供する。この特許は、腫瘍細胞の表面抗原と反応するモノクロナール抗体の開発を教示する。コラム4、45行以下に記載されるように、本特許権者は、ヒトの新形成において活発な特異的免疫療法を発揮するモノクロナール抗体の開発に、自己発生の腫瘍細胞を利用する。
特許文献5は、ヒトの上皮癌に特徴的ではあるが、上皮起源組織には依存しない糖タンパク抗原を教示する。
特許文献6は、Her2発現細胞においてアポトーシスを誘発する抗Her2抗体、前記抗体を生産するハイブリドーマ細胞系統、前記抗体を使用する癌治療法、および前記抗体を含む製剤組成物を主題とする。
特許文献7は、腫瘍および非腫瘍組織供給源から精製したムチン抗原に対するモノクロナール抗体を生産するための、新規ハイブリドーマ細胞系統を記載する。
特許文献8は、所望の抗原に対して特異的な抗体を生産するヒトリンパ球を生成する方法、モノクロナール抗体の生産法、および、前記方法によって生産されるモノクロナール抗体を主題とする。本特許は、特に、癌の診断と治療に有用な、抗HDヒトモノクロナール抗体の生産を主題とする。
特許文献9は、ヒト癌細胞と反応する、抗体、抗体断片、抗体接合体、おおび、単一鎖免疫トキシンに関する。これらの抗体が機能する機序は、前記分子は、ヒト癌の表面に存在する細胞膜抗原と反応する点、さらに、前記抗体は、癌細胞内部へ進入する能力を持ち、そのため、抗体−薬剤、および抗体−トキシン接合体の形成に特に有用であるという点で二重である。その非修飾形態では、前記抗体はさらに、特異的濃度において細胞傷害性を示す。
特許文献10は、腫瘍の治療および予防のための自己抗体の使用を開示する。しかしながら、この抗体は、高齢哺乳動物から得られる抗核自己抗体である。その場合、この自己抗体は、免疫系に認められる、一種の天然抗体と言われるべきものである。この自己抗体は「高齢哺乳動物」から得られたものであるので、この自己抗体が、治療される患者から実際に得られるものとする必然的理由はない。さらに、本特許は、高齢哺乳動物から得られた、天然およびモノクロナールの、抗核自己抗体、および、モノクロナールの、抗核自己抗体を生産するハイブリドーマ細胞系統を開示する。
本発明人らは、以前に、癌様疾患を治療するのに有効な、個別に特化した抗癌抗体を選別するためのプロセスを主題とする、名称「個別患者特異的抗癌抗体」なる米国特許第6,180,357号を付与された。
本出願は、癌様疾患修飾性モノクロナール抗体をコードするハイブリドーマ細胞系統を単離するための、米国特許第6,180,357号に教示される、患者特異的抗癌抗体の生産法を利用する。これらの抗体は、一腫瘍に対して特異的に製造することが可能であり、したがって、癌治療の特注化を可能とする。本出願の通用範囲において、細胞殺傷性(細胞傷害性)、または細胞増殖抑制性(細胞静止性)を有する抗癌抗体を、以後、細胞傷害性を持つと呼ぶ。これらの抗体は、癌の段階判定および診断の補助に使用すること、腫瘍の転移の治療に使用することが可能である。
個別に特化される抗癌治療の展望は、患者の管理法にも変化をもたらす。考えられる臨床シナリオは、出現の時点で腫瘍サンプルが得られ、預託される。このサンプルについて、既存の、癌様疾患修飾抗体系列に基づいて、腫瘍のタイプ分けを行うことが可能である。通例では患者の段階判定が行われるが、この場合、患者をさらに段階判定するのに、手持ちの抗体を使用することが可能である。直ちに既存の抗体で患者を治療することが可能であり、その腫瘍に対して特異的な、一系列の抗体を、本明細書に略述される方法を用いて、または、本明細書に開示されるスクリーニング法と組み合わせてファージディスプレイライブラリーを用いて、生産することが可能である。生成される全ての抗体が、抗癌抗体のライブラリーに加えられる。なぜなら、交差反応性が出現する可能性があるから、言い換えれば、他の腫瘍が、治療されるものと同じエピトープのいくつかを担持する可能性があるからである。本法にしたがって生産される抗体は、これらの抗体に結合する癌を有する、任意の数の患者において癌様疾患を治療するのに有用である可能性がある。
抗癌抗体の外に、患者は、多数方式統合治療の一部として、現今推奨の治療を受容するように選択することも可能である。本法によって単離される抗体は、非癌様細胞に対して比較的毒性を持たないという事実から、複数抗体の高用量の併用を、単独で、または通例治療と組み合わせて使用することが可能である。高い治療指数はさらに、治療耐性細胞出現の可能性を下げることになる、短い時間スケールでの再治療を可能とする。
さらに、標準的化学療法剤、例えば、核種を、本発明のCDMABと組み合わせ、そうすることによって前記化学療法剤の使用を標的に限局させることも本発明の視野の内にある。
患者が初回の治療コースに反応しにくかったり、または転移が起こった場合には、腫瘍に対する特異的抗体の生成プロセスを、再治療のために繰り返すことが可能である。さらに、抗癌抗体を、その患者から得た赤血球に接合させて、転移治療のために再輸液することが可能である。転移癌に対しては効果的な治療がほとんどなく、転移は通常、死に至る暗い結果の予兆である。しかしながら、転移癌には、通常、よく血管が発達しており、赤血球による抗癌抗体の送達は、腫瘍部位に抗体を濃縮する作用を及ぼす可能性がある。転移以前においても、大抵の癌細胞は、その生存を、宿主の血液補給に依存するので、赤血球に接合させた抗癌抗体は、体内の腫瘍に対して有効である可能性がある。それとは別に、抗体は、他の血液系細胞、例えば、リンパ球、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー(NK)細胞などに接合させてもよい。
5クラスの抗体があり、それぞれが、その重鎖によって与えられる機能と関連する。一般に、裸の抗体による癌細胞の殺作用は、抗体依存性細胞傷害性、または補体依存性細胞傷害性のどちらかによって仲介されると考えられている。例えば、マウスのIgMおよびIgG2a抗体は、補体系のC−1成分に結合することによってヒトの補体を活性化し、それによって補体活性化の古典経路を活性化し、これが、腫瘍の分解を可能とする。ヒトの抗体では、もっとも効果的な補体活性化抗体は、一般に、IgMおよびIgG1である。IgG2aおよびIgG3異性形から成るマウス抗体は、単球、マクロファージ、顆粒球、およびある種のリンパ球を介して細胞死をもたらすFc受容体を有する、細胞傷害性細胞を招集するのに有効である。IgG1およびIgG3異性形から成るヒト抗体はADCCを仲介する。
抗体介在性癌殺作用における、もう一つの可能な機序は、細胞膜における種々の化学結合の加水分解を触媒するように働く抗体、およびその関連糖タンパクまたは糖脂質、いわゆる触媒性抗体の使用を通じて行われるものが考えられる。
抗体介在性癌殺作用については、それよりも広く受け容れられている、さらに二つの別の機序がある。第1は、癌細胞の上に存在する候補抗原に対して免疫反応を生成するように生体を喚起するワクチンとしての抗体の使用である。第2は、増殖受容体を標的とし、それらの機能に干渉するか、または、受容体を下方調整して、前記受容体の機能を効果的に欠落させる抗体の使用である。
したがって、ヒトの腫瘍から選ばれた組織サンプルにおける癌様細胞の、抗体誘発性細胞傷害性を起動するための方法であって、ヒト腫瘍から組織サンプルを準備すること、ATCCに登録番号PTA−4890、PTA−4891、またはPTA−5643の下に寄託されるハイブリドーマによって生産されるモノクロナール抗体が結合するものと同じ、一つの、または複数のエピトープに結合する、単離モノクロナール抗体、または、その、細胞傷害誘発性の、抗原結合断片を準備すること、および、前記単離モノクロナール抗体、または、その、細胞傷害誘発性、抗原結合断片を、前記組織サンプルと接触させることを含む方法を教示することが、本発明の一つの目的である。
哺乳動物において、抗体誘発性細胞傷害性に対して感受性を持つヒトの乳癌または前立腺癌を治療するための方法であって、前記乳癌または前立腺癌が、ATCCに登録番号PTA−4890、PTA−4891、またはPTA−5643の下に寄託されるハイブリドーマによって生産されるモノクロナール抗体が結合するものと同じ、一つの、または複数のエピトープに結合する、単離モノクロナール抗体、または、その、細胞傷害誘発性、抗原結合断片に特異的に結合する抗原を発現することを特徴とし、前記哺乳動物に対し、前記単離モノクロナール抗体、または、その、抗原結合性断片を、細胞傷害性を誘発するのに有効な量として投与し、そうすることによって、前記哺乳動物の腫瘍負荷を低減することを含む方法を教示することが、本発明のもう一つの目的である。
ある特定の個人から得られる細胞由来の、癌様疾患修飾抗体であって、癌細胞に対しては細胞傷害性であるが、同時に、非癌細胞に対しては比較的無毒の抗体を生産するための方法を、ハイブリドーマ細胞系統、および、前記ハイブリドーマ細胞系統にコードされる、対応単離モノクロナール抗体、および、その抗原結合断片を単離するために利用することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
癌様疾患修飾抗体、およびその、抗原結合断片を教示することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
癌様疾患修飾抗体であって、その細胞傷害性が、抗体依存性細胞傷害性によって仲介される抗体を生産することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
癌様疾患修飾抗体であって、その細胞傷害性が、補体依存性細胞傷害性によって仲介される抗体を生産することが、本発明のさらに別の目的である。
癌様疾患修飾抗体であって、その細胞傷害性が、細胞の化学結合の加水分解を触媒するその能力の働きである、抗体を生産することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
癌様疾患修飾抗体であって、癌の診断、予後判定、および監視のための結合アッセイにおいて有用な抗体を生産することが、本発明のさらにもう一つの目的である。
本発明の、他の目的および利点は、本発明のいくつかの実施態様が、具体的説明と例示のために記載される、下記の説明から明らかとなろう。
一般に、下記の単語または語句は、要約、説明、実施例、および特許請求項において使用される場合、表示の定義を有する。
「抗体」という用語は、もっとも広い意味で使用され、特異的に、例えば、単一モノクロナール抗体(作用性、拮抗性、および中和性抗体、脱免疫化、マウス、キメラ、またはヒト化抗体を含む)、複数エピトープ特異性を有する抗体組成物、単一鎖抗体、免疫接合体、および抗体断片(下記参照)を含む。
本明細書で用いる「モノクロナール抗体」という用語は、事実上均一な抗体の集団、すなわち、前記集団を含む個々の抗体が、少量は存在してもよい、可能な天然の突然変異を除いては同一である集団から得られた抗体を指す。モノクロナール抗体は、特異性が高く、単一抗原部位を指向する。さらに、異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を含む、ポリクロナール抗体調製品とは違って、各モノクロナール抗体は、抗原上の単一決定基を指向する。その特異性の外に、モノクロナール抗体は、他の抗体によって汚染されることなく合成が可能である点で有利である。「モノクロナール」という形容詞は、事実上均一な抗体集団から得られたものであるという抗体の特徴を示すものであって、何らかの特定の方法による抗体の生産を要求するものと考えてはならない。例えば、本発明にしたがって使用されるモノクロナール抗体は、最初にKohler et al.,Nature, 256:495(1975)によって記載されたハイブリドーマ(マウス、またはヒト)法によって製造されてもよいし、または、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって製造されてもよい。「モノクロナール抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,Nature,352:624−628(1991)およびMarks et al.,J. Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
「抗体断片」は、好ましくは抗原結合部位、またはその可変域を含む、未加工抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、完全長未満の抗体、Fab、Fab′、F(ab′)2、およびFv断片;ダイアボディ;直線状抗体;単一鎖抗体分子;単一鎖抗体;抗体断片(単複)から形成される、単一ドメイン抗体分子、融合タンパク、組み換えタンパク、および多重特異性抗体が挙げられる。
「未加工」抗体とは、抗原結合可変域の外、軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメインCH1、CH2、およびCH3を含む抗体である。定常ドメインは、生得配列定常ドメイン(例えば、ヒトの生得配列定常ドメイン)、または、そのアミノ酸配列変異体であってもよい。未加工抗体は、一つ以上のエフェクター機能を有することが好ましい。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、未加工抗体を、様々の「クラス」に割り当てることが可能である。未加工抗体には、五つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、それらの内のいくつかはさらに、「サブクラス」(異性形)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2に分割することが可能である。異なる抗体クラスに対応する重鎖ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。これらサブユニットの構造、および、様々のクラスの免疫グロブリンの三次元形態は周知である。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(未加工配列Fc領域、またはアミノ酸配列変動Fc領域)の関与する生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞仲介細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体のもの、BCR)の下方調整などが挙げられる。
「抗体依存性細胞仲介細胞傷害性」および”ADCC”とは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞における結合抗体を認識し、次いで、前記標的細胞の分解を誘発する、細胞仲介反応を指す。ADCCを仲介する主要細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、一方、単球は、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現が、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457−92(1991)の464ページの表3にまとめられている。対象分子のADCC活性を評価するために、例えば、米国特許第5,500,362号または5,821,337号に記載されるもののような、インビトロADCCアッセイを行ってもよい。このようなアッセイのために有用なエフェクター細胞としては、抹消血単核細胞(PBMC)、およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。それとは別に、またはそれに加えてさらに、対象分子のADCC活性は、インビボで、例えば、動物モデルにおいて、例えば、Clynes et al.PNAS(USA)95:652−656(1998)に開示されるように評価してもよい。
「エフェクター細胞」とは、一つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。この細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行することが好ましい。ADCCを仲介する、ヒトの白血球の例としては、抹消血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、および好中球が挙げられるが、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、その天然供給源から、例えば、本明細書に記載するように血液またはPBMCから単離されてもよい。
抗体のFc領域に結合する受容体を記述するのに、「Fc受容体」または”FcR”という用語が用いられる。好ましいFcRは、ヒトの、生得配列FcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体、および、対立遺伝子変異種、およびこれらの受容体の別様のスプライス形を含む受容体が挙げられる。FcγRII受容体は、FcγRIIA受容体(「活性受容体」)、およびFcγRIIB受容体(「抑制受容体」)を含む。これらは、同様のアミノ酸配列を有するが、主に、その細胞原形質ドメインにおいて異なる。活性受容体FcγRIIAは、その細胞原形質膜ドメインに免疫受容体チロシン系活性モチーフ(ITAM)を含む。抑制性受容体FcγRIIBは、その細胞原形質膜ドメインに免疫受容体チロシン系抑制モチーフ(ITIM)を含む。(M. in Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203−234(1997)の総覧を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25−34(1994);およびde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330−41(1995)において総覧される。将来特定されるべきものも含めた、他の、FcRも、本明細書の”FcR”という用語の中に包含される。この用語はさらに、母親のIgGの胎児への転送に与る(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)、および Kim et al.,Eur.J.Immunol.24:2429(1994))新生児受容体FcRnを含む。
「補体依存性細胞傷害性」または”CDC”とは、ある分子が、補体の存在下に標的を分解する能力を指す。補体活性経路は、補体系の第1成分(C1q)の、認識抗原と複合体を形成する分子(例えば、抗体)に対する結合によって起動される。補体活性化を評価するには、例えば、Gazzano−Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されるものと同様のCDCアッセイを行ってもよい。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が、配列において抗体間で大きく異なるという事実を指し、各特定の抗体について、その特定の抗原に対する結合および特異性に関して使用される。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメインの全体に亘って均一には分布していない。可変性は、軽鎖および重鎖可変ドメインの超可変域と呼ばれる三つのセグメントに集中する。可変ドメインの、比較的高度に保存される部分は、枠組み構造領域(FR)と呼ばれる。生得の、重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主にβシート形態を取る四つのFrを含み、これらは、前記シート構造を接続し、ある場合には、その一部を形成するループ状の、三つの超可変域によって接続される。各鎖における超可変域は、FRによってごく接近して保持され、他方鎖の超可変域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に与る(Kabat et al.,「免疫学的に興味深いタンパクの配列(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”)」、5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health, Bestheda,Md.pp15−17;48−53(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原に対する結合には直接には関与しないが、様々のエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞仲介細胞傷害性(ADCC)における抗体の参加に与る。
本明細書で用いる場合、「超可変域」という用語は、抗原結合に与る、抗体のアミノ酸残基を指す。超可変域は、一般に、「相補性決定域」または”CDR”のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24−34(L1)、50−56(L2)、および89−97(L3)、および、重鎖可変ドメインにおける残基31−35(H1)、50−65(H2)、および95−102(H3);Kabat et al.,「免疫学的に興味深いタンパクの配列(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”)」、5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bestheda,Md.pp15−17;48−53(1991)、および/または、「超可変ループ」の残基(例えば、軽鎖可変域ドメインにおける残基2632(L1)、50−52(L2)、および91−96(L3)、および重鎖可変域ドメインにおける残基26−32(H1)、53−55(H2)、および96−101(H3);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。「枠組み構造領域」または”FR”の残基は、本明細書に定義する超可変域残基以外の、可変ドメイン残基である。抗体をパパイン消化することによって、それぞれが、単一の抗原結合部位を有する”Fab”断片と呼ばれる、二つの、同一抗原結合断片、および、残余の”Fc”断片が生産される。後者の命名は、それが容易に結晶化(crystallize)する能力を持つことを反映する。ペプシン処理によって、二つの抗原結合部位を有し、依然として抗原に交差連結することが可能なF(ab′)2断片が生成される。
“Fv”は、一つの、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む、最小の抗体断片である。この領域は、緊密に、非共有的に連結された、1本の重鎖可変ドメインおよび1本の軽鎖可変ドメインのダイマーから成る。この形態においてこそ、各可変ドメインの三つの超可変域は相互作用を持ち、前記VH−VLダイマーの表面上に抗原結合部位を定める。全体として、この六つの超可変域が、抗体に対する抗原結合の特異性を付与する。しかしながら、単一可変ドメイン(すなわち、抗原に対して特異的な超可変域を三つしか含まない、Fvの半分)ですらも、全体結合部位よりも親和性は低いが、抗原を認識し、結合する能力を持つ。Fab断片はさらに、軽鎖の定常ドメインと、重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含む。Fab′は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端において、抗体ヒンジ領域の一つ以上のシステインを含む数個の残基を付加する点で、Fabとは異なる。Fab′−SHは、定常ドメインのシステイン残基(単数または複数)が、少なくとも一つの遊離チオール基を担持する、Fab′に対する本明細書の表示である。F(ab′)2抗体断片は、もともと、その間にヒンジシステインを有するFab′断片のペアとして生産された。抗体断片同士の、他の化学的結合も公知である。
任意の脊椎動物種から得られる抗体の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる、二つのはっきりと異なるタイプの内の一つに割り当てることが可能である。
「単一鎖Fv」または”scFv”抗体断片は、単一のポリペプチド鎖として現れる、抗体のVHおよびVLドメインを含む。このFvポリペプチドはさらに、VHおよびVLドメインの間に、このscFvが抗原結合のために所望の構造を形成することを可能とするように、ポリペプチドリンカーを含むことが好ましい。scFvに関する総覧については、Plueckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies(「モノクロナール抗体の薬理学」),vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、二つの抗原結合部位を有する、小型の抗体断片であって、同じポリペプチド鎖(VH−VL)中に、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続する重鎖可変ドメイン(VH)を含む断片を指す。同じ鎖の二つのドメイン間にペア形成を許さないほど短いリンカーを用いることで、これらのドメインは、もう一つの鎖の相補ドメインとペア形成し、二つの抗原結合部位を形成することを強制される。ダイアボディは、さらに詳細に、例えば、欧州特許第404,097号;国際特許第93/11161号、およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444−6448(1993)に記載される。
「単離」抗体とは、その天然環境において特定され、その天然環境の成分から分離および/または回収される抗体である。その天然環境の汚染成分とは、前記抗体の診断的または治療的使用に干渉することが予想される物質であって、酵素、ホルモン、およびその他の、タンパク様、または非タンパク様溶質を含んでもよい。単離抗体は、組み換え細胞中に滞在する抗体を含む。なぜなら、抗体の天然環境の少なくとも一成分は存在しないのであるから。しかしながら、通常、単離抗体は、少なくとも一つの精製工程によって調製される。
対象抗原に「結合する」抗体とは、十分な親和性をもって前記抗原に結合することが可能であり、そのため、前記抗原を発現する細胞に対する標的行動において治療剤または診断剤として有用である抗体である。抗体が、抗原成分に結合するものである場合、前記抗体は、通常、他の受容体とは対照的に、その抗原成分に対し優先的に結合し、かつ、非特異的Fc接触などの偶発的結合、または、他の抗原に共通の、翻訳後修飾に対する結合を含まないが、他のタンパクと著明な交差反応をしないものであってもよい。対象抗原に結合する抗体を検出するための方法は、従来技術で周知であり、例えば、FACS、細胞ELISA、およびウェスタンブロットなどのアッセイ、ただしこれらに限定されないが、を含むことが可能である。
本明細書で用いる「細胞」、「細胞系統」、および「細胞培養体」という表現は、相互交換的に使用されるが、これらの表示は全て子孫を含む。全ての子孫は、DNA内容において、故意の、または不慮の突然変異によって正確に同じであるとは必ずしも限らないことが理解される。元の形質転換細胞においてスクリーニング選択されるものと同じ機能または生物学的活性を有する、突然変異子孫は含まれる。区別的表示が意図される場合は、文脈から明白である。
「治療」とは、その目的が、標的とする病的状態または障害を阻止すること、または遅延(低減)することである、治療処置および予防または防止対策の両方を指す。治療を要する人々としては、すでにその障害を抱える人々の外、その障害を持ちやすい人々、またはその障害を予防しなければならない人々が挙げられる。したがって、本発明において治療される哺乳動物は、障害を持つと診断されてもよいし、または、その障害にかかり易いか、または感受性を持っていてもよい。
「癌」または「癌様」という用語は、通常、無秩序な細胞増殖または死によって特徴づけられる、哺乳類における生理状態を指すか、または記述する。癌の例としては、上皮癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病およびリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。このような癌のさらに具体的な例としては、扁平上皮細胞癌(例えば、上皮の扁平細胞癌)、小細胞肺癌を含む肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃小腸癌を含む胃癌、すい臓癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーム、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓または腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、および頭部および頸部癌が挙げられる。
「化学療法剤」とは、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロフォスファミド(CYTOXAN(商標))など;スルフォン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファンなど;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなど;エチレンイミンおよびメチルアメラミン、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンフォスフォルアミド、トリエチレンチオフォスフォルアミド、およびトリメチロロメラミンを含む;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸、メルファラン、ノベンビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;抗体謝剤、例えば、メトトレキセート、および5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類縁体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセートなど;プリン類縁体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類縁体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FUなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎ホルモン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸など;アセグラトン;アルドフォスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;エリプチニウム酢酸塩;エトグリシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(“Ara−C”);シクロフォスファミド;チオプテア;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Meyers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Aventis,Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類縁体、例えば、シスプラチン、およびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポキシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン;および、上記の内の、任意の化学療法剤の製薬学的に受容可能な塩、酸、または誘導体が挙げられる。この定義の中にさらに含まれるものは、腫瘍に対するホルモンの作用を調整または抑制するように活動する抗ホルモン剤、例えば、抗エストロゲン、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ抑制性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston);および、抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、レウプロリド、およびゴセレリン;および、上記の内の、任意の抗ホルモン剤の製薬学的に受容可能な塩、酸、または誘導体が挙げられる。
治療のための「哺乳動物」とは、哺乳動物として分類される任意の動物、例えば、ヒト、マウス、SCIDまたはヌードマウス、またはマウスの純系、家庭内飼養および農場動物、および動物園、スポーツ、またはペット動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む動物を指す。本発明では、哺乳動物はヒトであることが好ましい。
「オリゴヌクレオチド」とは、既知の方法(例えば、1988年5月4日公刊の欧州特許第266,032号に記載されるような固相技術を用いた、フォスフォトリエステル、亜リン酸塩、またはフォスフォールアミダイト化学、または、Froehler et al.,Nucl.Acids Res.,14:5399−5407,1986によって記載されるデオキシヌクレオシドH−フォスフォネート中間体を介して)によって化学的に合成される、短鎖長の、1本鎖または2本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。これらは次にポリアクリルアミドゲル上で精製される。
「キメラ」抗体とは、重鎖および/または軽鎖の一部は、ある特定動物種由来の抗体、または、ある特定抗体クラスまたはサブクラスに所属する抗体の、対応配列と同一、または相同であるが、一方、前記鎖(単数または複数)の残余部分は、別の動物種由来の抗体、または、別の抗体クラスまたはサブクラスに所属する抗体の、対応配列と同一、または相同である、免疫グロブリン、および、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、そのような抗体の断片から成る免疫グロブリンである(米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の、「ヒト化」形態とは、最小限の、非ヒト免疫グロブリン由来の配列を含む、特異的キメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖または断片(例えば、抗体のFv、Fab、Fab′、F(ab′)2、またはその他の抗原結合性配列)である。その大部分において、ヒト化抗体は、ヒトの免疫グロブリン(レシピエント抗体)であるが、前記レシピエント抗体の相補性決定域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性、および容量を有する、非ヒト動物種、例えば、マウス、ラット、またはウサギ(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換される、ヒト免疫グロブリンである。ある例では、ヒトの免疫グロブリンのFv枠組み構造領域(FR)残基は、対応する、非ヒトFR残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、輸入CDRまたはFR配列にも見られない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体の機能をさらに洗練し、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも一つの、通常は二つの可変ドメインの事実上全てを含むが、前記可変ドメインにおいて、CDR領域の全て、または事実上全てが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつ、FR残基の全て、または事実上全てが、ヒト免疫グロブリンの共通配列のものに対応する。ヒト化抗体はさらに必要に応じて、免疫グロブリンの定常域(Fc)、通常、ヒトの免疫グロブリンの定常域の少なくとも一部を含む。
「脱免疫化」抗体とは、ある任意の動物種に対して非免疫原性、または比較的低い免疫性を有する、免疫グロブリンである。脱免疫化は、抗体に対して構造的変化を加えることによって実現することが可能である。当業者に既知の、いずれの脱免疫化技術であっても採用が可能である。抗体を脱免疫化するための、一つの好適な技術が、例えば、2000年6月15日公刊の国際特許第00/34317号に記載される。
「アポトーシス」を誘発する抗体とは、どのようなものでもよい、何らかの手段によって、例えば、ただしこれらに限定されないが、アネキシンVの結合、カスパーゼ活性、DNAの断片化、細胞縮小、小胞体の拡張、細胞の断片化、および/または膜小胞(アポトーシスボディと呼ばれる)の形成によってプログラム細胞死を誘発する抗体である。
本明細書を通じて、ハイブリドーマ細胞系統、および、前記ハイブリドーマによって生産される単離モノクロナール抗体は、それぞれ交換的に、私的名称7BD−33−11A、1A245.6、または11BD−2E11−2、または、寄託表示、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643と呼ばれる。
本明細書で用いる「抗体−リガンド」とは、標的抗原の少なくとも一エピトープに対し結合特異性を示し、未加工抗体分子、抗体断片、および、少なくとも一つの抗原結合域、またはその一部(すなわち、抗体分子の可変部分)を有する任意の分子であってもよい成分であって、例えば、Fv分子、Fab分子、Fab′分子、F(ab′)2分子、二重特異性抗体、融合タンパク、または、任意の遺伝学的に加工された分子であって、それぞれ、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643として表示されるハイブリドーマ細胞系統によって生産される単離モノクロナール抗体によって結合される抗原(ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643抗原)の少なくとも一つのエピトープを特異的に認識し、結合する分子であってもよい。
本明細書で用いる「癌様疾患修飾抗体」(CDMAB)とは、患者にとって有益なやり方で、例えば、腫瘍負荷を低減するか、または、腫瘍を抱える個人の生存時間を延長することによって癌様疾患プロセスを修飾するモノクロナール抗体、および、その抗体−リガンドを指す。
本明細書で用いる「抗原結合領域」は、標的抗原を認識する分子の一部を意味する。
本明細書で用いる「競合的に抑制する」とは、それぞれ、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643と表示されるハイブリドーマ細胞系統によって生産されるモノクロナール抗体(それぞれ、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643抗体)が指向する決定部位に対し、通例の相反性抗体競合アッセイ(Belanger L.,Sylvestre C.and Dufour D.(1973),「競合およびサンドイッチ法によるアルファ胎児タンパクの酵素連結免疫アッセイ(“Enzyme linked immunoassay for alpha fetoprotein by competitive and sandwich procedures”)」Clinica Chimica Acta 48,15)を用いて認識および結合することが可能であることを意味する。
本明細書で用いる「標的抗原」とは、それぞれ、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643抗原か、またはその部分である。
本明細書で用いる「免疫接合体」とは、細胞トキシン、放射能剤、酵素、トキシン、抗腫瘍剤、または治療剤に化学的または生物学的に連結される、任意の分子またはCDMAB、例えば、抗体である。抗体またはCDMABは、細胞トキシン、放射能剤、抗腫瘍剤、または治療剤に対し、その標的に結合可能である限り、分子に沿って任意の位置に連結されてよい。免疫接合体の例としては、抗体トキシン化学的接合体、および抗体トキシン融合タンパクが挙げられる。
本明細書で用いる「融合タンパク」とは、抗原結合領域が、生物学的活性分子、例えば、トキシン、酵素、またはタンパク剤に接合される、任意のキメラタンパクを意味する。
本発明のCDMABは、誘導体分子を生産するために、前記分子内のアミノ酸修飾によって修飾してもよい。化学的修飾も可能である。
誘導体分子は、ポリペプチドの機能的特性を保持すると考えられる。すなわち、そのような置換を有する分子であっても、ポリペプチドが、それぞれ、ATCC番号PTA−4890、PTA−4889、またはPTA−5643抗原、またはその一部に結合することを依然として可能とする。
これらのアミノ酸置換としては、例えば、ただし必ずしもこれらに限定されないが、「保存的」として当該技術分野で既知のアミノ酸置換が挙げられる。
例えば、「保存的アミノ酸置換」と称せられる、ある種のアミノ酸置換は、タンパクの立体配座または機能を変えることなく、前記タンパクにおいて実行することが可能であることは、タンパク化学の十分に確立された原理である。
このような変化として、他の任意の疎水性アミノ酸に対する、イソロイシン(I)、バリン(V)、およびロイシン(L)の内の任意のものによる置換;グルタミン酸(E)のアスパラギン酸(D)による置換、およびその逆;アスパラギン(N)のグルタミン(Q)による置換、およびその逆;および、トレオニン(T)のセリン(S)による置換、およびその逆が挙げられる。その他の置換も、特定のアミノ酸の環境、およびタンパクの三次元構造におけるその役割に応じて保存的と見なすことも可能である。例えば、グリシン(G)およびアラニン(A)は、アラニンおよびバリン(V)と同様、しばしば相互交換が可能である。比較的疎水性の高いメチオニン(M)は、しばしばロイシンおよびイソロイシンと、ときにバリンと相互交換することが可能である。リシン(K)およびアルギニン(R)は、そこでのアミノ酸残基の重要特性は、その電荷であり、その二つのアミノ酸残基の異なるpKが重要ではない、位置においてしばしば相互交換可能である。特定の環境において「保存的」と考えることが可能な変化はさらに外にもある。
実施例1
ハイブリドーマ生産−ハイブリドーマ細胞系統7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2ハイブリドーマ
ハイブリドーマ細胞系統7BD−33−11Aおよび1A245.6は、ブダペスト協定に基づいて、2003年1月8日、それぞれ、登録番号PTA−4890およびPTA−4889の下に、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。37 CFR 1.808にしたがって、本寄託者は、寄託資料の一般公衆に対する利用可能性に対して課せられた制限は全て、特許承認と同時に問題なく解除されるであろうことを確信する。
ハイブリドーマ生産−ハイブリドーマ細胞系統7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2ハイブリドーマ
ハイブリドーマ細胞系統7BD−33−11Aおよび1A245.6は、ブダペスト協定に基づいて、2003年1月8日、それぞれ、登録番号PTA−4890およびPTA−4889の下に、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。37 CFR 1.808にしたがって、本寄託者は、寄託資料の一般公衆に対する利用可能性に対して課せられた制限は全て、特許承認と同時に問題なく解除されるであろうことを確信する。
ハイブリドーマ細胞系統11BD−2E11−2は、ブダペスト協定に基づいて、2003年11月11日、登録番号PTA−5643の下に、American Type Culture Collection,10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209に寄託された。CFR 1.808にしたがって、本寄託者は、寄託資料の一般公衆に対する利用可能性に対して課せられた制限は全て、特許承認と同時に問題なく解除されるであろうことを確信する。
抗癌抗体7BD−33−11Aを生産するハイブリドーマを生産するために、抗原、すなわち、ヒト乳癌細胞の単一細胞縣濁液を、冷PBS溶液として調製した。20万から2百50万個の細胞を含む、抗原アジュバント100マイクロリットルを、分割用量として、Freundの完全アジュバントと共に、皮下および腹腔内に注入することによって8から9週齢のBALB/cマウスを免疫化した。初回の免疫化の3週後、および最後のブーストの2週後、調製したばかりの抗原アジュバントを用い、同様に、20万から2百50万個の細胞によってブーストした。最後の免疫化の少なくとも2日後、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾臓細胞を、Sp2/0骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合物からの上清を、ハイブリドーマのサブクローンについて試験した。
抗癌抗体1A245.6を生産するハイブリドーマを生産するために、抗原、すなわち、ヒト乳癌細胞の単一細胞縣濁液を、冷PBS溶液として調製した。2百50万個の細胞を含む、抗原アジュバント100マイクロリットルを、分割用量として、Freundの完全アジュバントと共に、皮下および腹腔内に注入することによって8から9週齢のBALB/cマウスを免疫化した。初回の免疫化の3週後、および最後のブーストの2週後、5週後、および3週後、調製したばかりの抗原アジュバントを用い、同様に、2百50万個の細胞によってブーストした。最後の免疫化の少なくとも3日後、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾臓細胞を、NSO−1骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合物からの上清を、ハイブリドーマのサブクローンについて試験した。
抗癌抗体11BD−2E11−2を生産するハイブリドーマを生産するために、抗原、すなわち、ヒト乳癌細胞の単一細胞縣濁液を、冷PBS溶液として調製した。20万から2百50万個の細胞を含む、抗原アジュバント100マイクロリットルを、分割用量として、Freundの完全アジュバントと共に、皮下および腹腔内に注入することによって8から9週齢のBALB/cマウスを免疫化した。初回の免疫化の2〜3週後、および最後のブーストの2週後、調製したばかりの抗原アジュバントを用い、同様に、20万から2百50万個の細胞によってブーストした。最後の免疫化の少なくとも2日後、脾臓を融合のために使用した。ハイブリドーマは、単離脾臓細胞を、NSO−1骨髄腫パートナーと融合することによって調製した。融合物からの上清を、ハイブリドーマのサブクローンについて試験した。
ハイブリドーマ細胞によって分泌される抗体が、IgGまたはIgM異性形であるかどうかを決めるために、ELISAアッセイを用いた。コーティングバッファー(0.1M炭酸塩/重炭酸塩バッファー、pH9.2−9.6)に2.4マイクログラム/mLの濃度で溶解したヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)を、ウェル当たり100マイクロリットルとしてELISAプレートに加え一晩置いた。洗浄バッファー(PBS+0.05% Tween)にてプレートを3回洗浄した。ウェル当たり、100マイクロリットルのブロッキングバッファー(洗浄バッファーに溶解した5%ミルク)をプレートに加え、室温で1時間放置し、次いで洗浄バッファーにて3回洗浄した。ウェル当たり、100マイクロリットルのハイブリドーマ上清を加え、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ヤギ抗マウスIgGまたはIgM・西洋ワサビペルオキシダーゼ接合体の1/5000希釈液(1%ウシ血清アルブミンを含むPBSにて希釈)を、ウェル当たり100マイクロリットル加えた。プレートを室温で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した。ウェル当たり100マイクロリットルのTMB液を室温で1−3分インキュベートした。発色反応を、ウェル当たり100マイクロリットルの2M H2SO4を加えて停止させ、プレートを、Perkin−Elmer HTS7000プレートリーダーによって450nmにおいて読み取った。表1に示すように、7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2ハイブリドーマは、IgG異性形の抗体を主に分泌した。
1から4ラウンドの限界希釈後、細胞ELISAアッセイにおいて、ハイブリドーマ上清を、標的細胞に結合する抗体について試験した。三つめの乳癌細胞系統を試験した:MDA−MB−231(別名MB−231)、MDA−MB−468(別名MB−468)、およびSKBR−3である。プレートに撒いた細胞は、使用前に固定した。MgCl2およびCaCl2を含むPBSにて、プレートを室温で3回洗浄した。PBSで希釈した2%パラフォルムアルデヒド100マイクロリットルを、各ウェルに加え、室温で10分置き、次いで捨てた。再び、MgCl2およびCaCl2を含むPBSにてプレートを室温で3回洗浄した。ブロッキングは、ウェル当たり、洗浄バッファー(PBS+0.05% Tween)に溶解した5%ミルク100マイクロリットルを加え、室温で1時間置いて行った。洗浄バッファーにてプレートを3回洗浄し、ウェル当たり、100マイクロリットルとしてハイブリドーマ上清をプレートに加え、室温で1時間放置した。プレートを洗浄バッファーにて3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼに接合させた、ヤギ抗マウスIgGまたはIgM抗体の1/5,000希釈液(1%牛血清アルブミンを含むPBSにて希釈)を、ウェル当たり100マイクロリットル加えた。室温で1時間インキュベーションした後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、ウェル当たり100マイクロリットルのTMB基質を室温で1−3分インキュベートした。反応を、ウェル当たり100マイクロリットルの2M H2SO4を加えて停止させ、プレートを、Perkin−Elmer HTS7000プレートリーダーによって450 nmにおいて読み取った。表1に掲載する結果は、IgG異性形コントロール(3BD−27)と比較して背景を上回る倍数として表した。7BD−33−11Aおよび1A245.6ハイブリドーマ細胞系統から得られた抗体は、三つの乳房細胞系統全てに強力に結合し、その結合は、背景よりも少なくとも6倍大きかった。両抗体とも、MDA−MB−231細胞系統に対しもっとも強力に結合した。11BD−2E11−2ハイブリドーマ細胞系統由来抗体も、MDA−MB−231細胞系統にはきわめて強度に結合したが、他の2種の細胞系統に対しては、背景よりも大きい結合を示さなかった。これらの結果は、この抗体によって認識されるエピトープは、MDA−MB−468またはSKBR−3細胞上には存在せず、7BD−33−11Aおよび1A245.6によって認識されるエピトープとは異なることを示唆する。
抗体結合の試験と合わせて、同じ乳癌細胞系統:MDA−MB−231、MDA−MB−468、およびSKBR−3において、ハイブリドーマ上清の細胞傷害作用を試験した。生存/死亡細胞傷害アッセイはMolecular Probes (Eugene,OR)から購入した。アッセイは下記に略述する変更を除き、メーカーの指示にしたがって行った。細胞は、アッセイの前に、あらかじめ指定された適切な密度でプレートした。2日後、100マイクロリットルの上清を、ハイブリドーマ・マイクロタイタープレートから細胞プレートに転送し、5パーセントCO2インキュベータにおいて5日間インキュベートした。陽性コントロールとして使用したウェルは、空になるまで吸引し、100マイクロリットルのアジ化ナトリウムおよび/またはシクロヘキシミドを加えた。さらに、異性形コントロールとして、3BD−27モノクロナール抗体を加えた。このものは、試験した三つの乳房細胞系統には結合しないことが知られていたからである。さらに、本アッセイでは、比較のために抗EGFR抗体(C225)が使用された。5日間の処置後、プレートを反転して空とし、ブロットして乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含む室温DPBSを、多数チャンネル自動投与ボトルから各ウェルに滴下し、3回叩き、反転して空とし、ブロット乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含むDPBSに希釈した生存/死亡判別蛍光染料50マイクロリットルを各ウェルに加え、5パーセントCO2インキュベータにおいて37℃で30分インキュベートした。プレートを、Perkin−Elmer HTS7000蛍光プレートリーダーによって読み取り、データをMicrosoft Excelで分析した。結果は図1にまとめた。
この三つの抗体には差別的細胞傷害性が観察された。11BD−2E11−2は、39−73%の殺作用を示し、SKBR−3細胞においてもっとも高い細胞傷害性が観察された。1A245.6および7BD−33−11Aも、MDA−MB−231細胞では同様の細胞傷害性を示したが、1A245.6は、MDA−MB−486細胞に対して細胞傷害性を有するものの、一方、7BD−33−11Aは細胞傷害性を持たなかった。
このことは、このハイブリドーマ細胞系統由来の抗体は、癌細胞において細胞傷害性をもたらすことが可能であることを示す。さらに、抗体結合の程度と、ハイブリドーマ上清によってもたらされる細胞傷害性の間には全体的相関があった。この傾向にはいくつかの例外がある。例えば、結合は貧弱であるにも拘わらず、MB−468癌細胞およびSKBR−3癌において11BD−2E11−2によってもたらされる細胞傷害性の量などである。これは、抗体が、この細胞型において、細胞ELISA結合アッセイでは検出されない介在作用を有するか、または、アッセイは、細胞固定などのアッセイ条件のために、問題の結合を検出しないことを示唆する。最後に、さらにもう一つの可能性、すなわち、アッセイは、この特定の状況において細胞傷害性を仲介するのに十分な結合があるにも拘わらず、それを検出するほどの十分な感受性を持たないという可能性が存在する。他方の例外として、7BD−33−11Aは、MB−468細胞に対し、異性形コントロールと比較して背景を上回る6倍の結合を持つにも拘わらず、その細胞傷害性が比較的貧弱であることが挙げられる。これは、結合は、抗体の、その認識抗原に対する連結の結果を必ずしも予測するものではない可能性を指し示す。既知の、非特異的細胞傷害剤シクロヘキシミドは、予想通りの細胞傷害性をもたらした。
実施例2
抗体生産
モノクロナール抗体は、ハイブリドーマ7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を、CL−1000フラスコ(BD Biosciences, Oakville,ON)において培養することによって生産した。培養は、タンパクGセファローズ4高速フロー(Amersham Biosciences,Baie d’Urfe,QC)によって、週に2回の収集および再播種および標準的抗体精製法を用いて行った。ヒト化、キメラ化、またはマウス抗体である、モノクロナール抗体を利用することは、本発明の範囲内にある。7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を、細胞傷害性分析において、いくつかの陽性コントロール:抗Fas(EOS9.1、IgM、カッパ、20マイクログラム/mL、eBioscience,San Diego,CA)、抗Her2/neu(IgG1、カッパ、10マイクログラム/mL、Inter Medico,Markham,ON)、抗EGFR(C225、IgG1、カッパ、5マイクログラム/mL、Cederlane,Hornby,ON)、シクロヘキシミド(100マイクロモル、Sigma,Oakville,ON)、NaN3(0.1%、Sigma,Oakville,ON)、および陰性コントロール:107.3(抗TNP、IgG1、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、G155−178(抗TNP、IgG2a、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、MPC−11(抗原特異性未知、IgG2b、カッパ、20マイクログラム/mL)、J606(抗フルクトサン、IgG3、カッパ、20マイクログラム/mL)、IgGバッファー(2%))(表2)と比較した。乳癌(MB−231、MB−468、MCF−7)、結腸癌(HT−29、SW1116、SW620)、肺癌(NCI H460)、卵巣癌(OVCAR)、前立腺癌(PC−3)、および非癌(CCD 27sk、Hs888 Lu)細胞系統(全て、ATCC,Manassas,VAから入手した)を試験した。生存/死亡細胞傷害アッセイはMolecular Probes(Eugene,OR)から購入した。アッセイは下記に略述する変更を除き、メーカーの指示にしたがって行った。細胞は、アッセイの前に、あらかじめ指定された適切な密度でプレートした。2日後、100マイクロリットルの精製抗体を媒体に希釈し、次いで細胞プレートに転送し、8パーセントCO2インキュベータにおいて5日間インキュベートした。次に、プレートを反転して空とし、ブロット乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含む室温DPBSを、多数チャンネル自動投与ボトルから各ウェルに滴下し、3回叩き、反転して空とし、ブロット乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含むDPBSに希釈した生存/死亡判別蛍光染料50マイクロリットルを各ウェルに加え、5パーセントCO2インキュベータにおいて37℃で30分インキュベートした。プレートを、Perkin−Elmer HTS7000蛍光プレートリーダーによって読み取り、データをMicrosoft Excelで分析した。結果は表2にまとめた。データは、3重に試験した4回の実験の平均を表し、定性的に下記の形式で示される:4/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(+++)、3/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(++)、2/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(+)。表2においてマークされない細胞は、その作用が一定しないか、または、閾値細胞傷害性未満であることを表す。7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体は、乳癌および前立腺癌細胞系統において選択的に細胞傷害性を示したが、一方、形質転換されていない正常細胞に対してはまったく作用を及ぼさなかった。両方とも、陽性コントロールである抗Fas抗体を25−50%上回る殺作用を示した。11BD−2E11−2は、乳癌および卵巣癌細胞において特異的細胞傷害性を持つが、正常細胞には影響を及ぼさなかった。化学的細胞傷害剤は、予想通りの細胞傷害性を誘発したが、一方、比較のために含めた、いくつかの他の抗体は、生物学的細胞アッセイの限界を考慮に入れるならば、予想通りの成果を挙げた。以上まとめると、この三つの抗体は、いくつかの癌細胞タイプに対して細胞傷害活性を有することが示された。これらの抗体は、それらに対して必ずしも全ての癌細胞タイプが感受性を持たないという点で、その活性が選択的であった。さらに、これらの抗体は、非癌性細胞タイプに対して細胞傷害性をもたらさないという点で、機能的特異性を示した。これは、治療状況においては重要な因子である。
抗体生産
モノクロナール抗体は、ハイブリドーマ7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を、CL−1000フラスコ(BD Biosciences, Oakville,ON)において培養することによって生産した。培養は、タンパクGセファローズ4高速フロー(Amersham Biosciences,Baie d’Urfe,QC)によって、週に2回の収集および再播種および標準的抗体精製法を用いて行った。ヒト化、キメラ化、またはマウス抗体である、モノクロナール抗体を利用することは、本発明の範囲内にある。7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2を、細胞傷害性分析において、いくつかの陽性コントロール:抗Fas(EOS9.1、IgM、カッパ、20マイクログラム/mL、eBioscience,San Diego,CA)、抗Her2/neu(IgG1、カッパ、10マイクログラム/mL、Inter Medico,Markham,ON)、抗EGFR(C225、IgG1、カッパ、5マイクログラム/mL、Cederlane,Hornby,ON)、シクロヘキシミド(100マイクロモル、Sigma,Oakville,ON)、NaN3(0.1%、Sigma,Oakville,ON)、および陰性コントロール:107.3(抗TNP、IgG1、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、G155−178(抗TNP、IgG2a、カッパ、20マイクログラム/mL、BD Biosciences,Oakville,ON)、MPC−11(抗原特異性未知、IgG2b、カッパ、20マイクログラム/mL)、J606(抗フルクトサン、IgG3、カッパ、20マイクログラム/mL)、IgGバッファー(2%))(表2)と比較した。乳癌(MB−231、MB−468、MCF−7)、結腸癌(HT−29、SW1116、SW620)、肺癌(NCI H460)、卵巣癌(OVCAR)、前立腺癌(PC−3)、および非癌(CCD 27sk、Hs888 Lu)細胞系統(全て、ATCC,Manassas,VAから入手した)を試験した。生存/死亡細胞傷害アッセイはMolecular Probes(Eugene,OR)から購入した。アッセイは下記に略述する変更を除き、メーカーの指示にしたがって行った。細胞は、アッセイの前に、あらかじめ指定された適切な密度でプレートした。2日後、100マイクロリットルの精製抗体を媒体に希釈し、次いで細胞プレートに転送し、8パーセントCO2インキュベータにおいて5日間インキュベートした。次に、プレートを反転して空とし、ブロット乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含む室温DPBSを、多数チャンネル自動投与ボトルから各ウェルに滴下し、3回叩き、反転して空とし、ブロット乾燥した。MgCl2およびCaCl2を含むDPBSに希釈した生存/死亡判別蛍光染料50マイクロリットルを各ウェルに加え、5パーセントCO2インキュベータにおいて37℃で30分インキュベートした。プレートを、Perkin−Elmer HTS7000蛍光プレートリーダーによって読み取り、データをMicrosoft Excelで分析した。結果は表2にまとめた。データは、3重に試験した4回の実験の平均を表し、定性的に下記の形式で示される:4/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(+++)、3/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(++)、2/4回の実験が、閾値細胞傷害性を上回る(+)。表2においてマークされない細胞は、その作用が一定しないか、または、閾値細胞傷害性未満であることを表す。7BD−33−11Aおよび1A245.6抗体は、乳癌および前立腺癌細胞系統において選択的に細胞傷害性を示したが、一方、形質転換されていない正常細胞に対してはまったく作用を及ぼさなかった。両方とも、陽性コントロールである抗Fas抗体を25−50%上回る殺作用を示した。11BD−2E11−2は、乳癌および卵巣癌細胞において特異的細胞傷害性を持つが、正常細胞には影響を及ぼさなかった。化学的細胞傷害剤は、予想通りの細胞傷害性を誘発したが、一方、比較のために含めた、いくつかの他の抗体は、生物学的細胞アッセイの限界を考慮に入れるならば、予想通りの成果を挙げた。以上まとめると、この三つの抗体は、いくつかの癌細胞タイプに対して細胞傷害活性を有することが示された。これらの抗体は、それらに対して必ずしも全ての癌細胞タイプが感受性を持たないという点で、その活性が選択的であった。さらに、これらの抗体は、非癌性細胞タイプに対して細胞傷害性をもたらさないという点で、機能的特異性を示した。これは、治療状況においては重要な因子である。
細胞は、先ず前記細胞の単層をDPBS(Ca++およびMg++無添加)によって洗浄することによってFACSのために準備した。次に、細胞解離バッファー(INVITROGEN)を37℃で用いて、細胞培養プレートから細胞を分離した。遠心および収集後、4℃においてMgCl2、CaCl2、および25%ウシ胎児血清を含む、Dulbeccoのリン酸バッファー生理的食塩水(洗浄媒体)において細胞を再縣濁し、カウントし、適切な細胞密度となるように分液し、遠心してペレットとし、この細胞を、7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2、またはコントロール抗体(異性形コントロール、または抗EGF−R)を20マイクログラム/mLで含む染色媒体(MgCl2およびCaCl2を含むDPBS)に氷上で30分再縣濁した。Alexa Fluor 488接合二次抗体を添加する前に、細胞を、一度、洗浄媒体で洗浄した。次に、染色媒体に溶解したAlexa Fluor 488接合抗体を加え、20分放置した。次に、細胞を最終洗浄し、1マイクログラム/mLのヨウ化プロピジウムを含む染色媒体に再縣濁した。細胞のフローサイトメトリー捕獲は、FACScanの上にサンプルを走らせ、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて評価した。細胞の前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)は、FSCおよびSSC検出器における電圧および増幅ゲインを調節することによって設定した。精製異性形コントロール抗体、次いで、Alexa Fluor 488接合二次抗体で染めた細胞を、前記細胞が、約1−5単位の蛍光強度中央値を持つ均一ピークを形成するように走らせることによって、三つの蛍光チャンネル(FL1、FL2、およびFL3)用の検出器を調節した。生存細胞は、FSCに対して開門し、ヨウ化プロピジウム排除するようにゲート処理することによって獲得した。各サンプルについて、約10,000個の生存細胞を分析のために捕獲し、その結果を表3に示した。表3は、異性形コントロールを上回る、蛍光強度平均値の倍数をまとめたもので、定性的に:5未満(−);5から50(+);50から100(++);100を超える(+++)で、かつ、染色細胞のパーセントを括弧中数字で表す。
7BD−33−11A抗体の代表的ヒストグラムはまとめて図1に、1A245.6抗体のものは図2に、11BD−2E11−2のものは図3に掲載されるが、いくつかの事例において、図示の2峰性ピークを含む結合特徴を明らかにする。11BD−2E11−2は、乳癌細胞系統MDA−MB−231に対し特異的結合を示した。7BD−33−11Aおよび1A245.6は共に、乳房(MDA−MB−231およびMCF−7)、結腸、卵巣、および前立腺起源の癌細胞系統に対し同様の結合を示したが、乳癌細胞系統の一方(MDA−MB−468)に対しては差別的結合を示した。三つ全ての抗体が、非癌細胞に対して結合したが、その結合は、細胞傷害性をもたらさなかった。これも、結合は、抗体が、その認識抗原に対して果たす抗体連結の結果を必ずしも予測させるものではなく、非自明的所見であることを示す、さらに別の証拠である。これは、種々の細胞における抗体連結プロフィールの方が、単なる抗体結合よりも、細胞傷害性に関してより決定的であることを示唆する。
実施例3
インビボ実験
ここで図5および6に示すデータを参照すると、4から8週齢の雌性SCIDマウスの後頸部皮下に、100マイクロリットルに縣濁した5百万個のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を注入して移植した。これらのマウスを10匹から成る四つの治療群にランダムに分けた。移植後1日目に、20mg/kgの、11BD2E−11−2、7BD−33−11A、1A245.6試験抗体のいずれか、または、3BD−27異性形コントロール抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られる)を、2.7mM KCl,1mM KH2PO4,137mM NaCl,20mM Na2HPO4を含む希釈液による保存濃度希釈後300マイクロリットル容量として、各群に腹腔内投与した。次いで、同様にして、抗体を週に1回7週間に亘って投与した。
インビボ実験
ここで図5および6に示すデータを参照すると、4から8週齢の雌性SCIDマウスの後頸部皮下に、100マイクロリットルに縣濁した5百万個のMDA−MB−231ヒト乳癌細胞を注入して移植した。これらのマウスを10匹から成る四つの治療群にランダムに分けた。移植後1日目に、20mg/kgの、11BD2E−11−2、7BD−33−11A、1A245.6試験抗体のいずれか、または、3BD−27異性形コントロール抗体(MDA−MB−231細胞に結合しないことが知られる)を、2.7mM KCl,1mM KH2PO4,137mM NaCl,20mM Na2HPO4を含む希釈液による保存濃度希釈後300マイクロリットル容量として、各群に腹腔内投与した。次いで、同様にして、抗体を週に1回7週間に亘って投与した。
腫瘍増殖を、約7日に1回、最大10週間、または、個別の動物がCanadian Council for Animal Care(CCAC)の終末点に達するまで、キャリパーで測定した。実験期間中動物の体重を記録した。実験の終了時、全ての動物を、CCACのガイドラインにしたがって安楽死させた。
実験を通じて毒性の臨床的兆候は無かった。週間隔で測定された体重は、健康状態および節約繁栄失敗の代用物とされた。異性形コントロール、3BD−27および7BD−33−11A、1A245.6、または11BD−2E11−2によって処置された群の体重にはごく僅かな差しか無かった。60日目(処置終了11日後)、1A245.6によって処置された群の腫瘍体積は、コントロール群の5.2%であり(p=0.0002)、抗体処置による腫瘍負荷低減において有効性を示した。これらの、7BD−33−11A抗体で処置された癌移植マウスは、病気とは無縁で、腫瘍負荷を持たなかった。67日目では、腫瘍体積は、11BD−2E11−2処置群の方が(コントロールの45%)低かった(p=0.08)。これもまた、コントロール抗体と比べて、細胞傷害性抗体処置による方が、腫瘍負荷がより小さくなることを示した。7BD−33−11A、1A245.6、および11BD−2E11−2細胞傷害性抗体によって処置されると、それに対応した生存率利益が見られた(図6)。3BD−27抗体によって処置されたコントロール群は、移植後74日目までに100%死亡率に達した。一方、7BD−33−11Aで処置された群は、病気とは無縁で、1A245.6処置動物は、100%生存率を示し、11BD−2E11−2で処置した群は、24%生存率を有した。
総合すると、細胞傷害性抗体処置は、ヒト癌疾患の公認モデルにおいて、コントロール抗体と比べた場合、腫瘍負荷の低減および生存率の増加をもたらした。これは、ヒトを含めた他の哺乳動物における治療においても、これらの抗体(7BD−33−11A、1A245.6、11BD−2E11−2)は、薬理学的および薬学的利点を有することを示唆する。
実施例4
インビボ的に確立される腫瘍実験
5から6週齢の雌性SCIDマウスの後頸部皮下に、100マイクロリットルに縣濁した5百万個の、MDA−MB−231乳癌細胞を注入して移植した。腫瘍増殖を、毎週キャリパーで測定した。移植34日後、対象群の大多数において、腫瘍体積が100 mm3(50−200mm3の範囲)を超えたとき、8−10匹のマウスを、三つの治療群の一つにランダムに割り当てた。7BD−33−11A、1A245.6試験抗体、または3BD−27異性形コントロール抗体(MDA−MB−231細胞には結合しないことが知られる)を、15mg/kgで、2.7mM KCl,1mM KH2PO4,137mM NaCl,および20mM Na2HPO4を含む希釈液による保存濃度希釈後150マイクロリットル容量として腹腔内投与した。次に、同様にして、これらの抗体を、移植56日後まで、週に3回、合計10回投与した。腫瘍増殖を、約7日に1回、移植59日後まで、または、個々の動物がCCAC終末点に達するまで、キャリパーで測定した。実験期間中、動物の体重を記録した。実験の終了時、全ての動物を、CCACのガイドラインにしたがって安楽死させた。
インビボ的に確立される腫瘍実験
5から6週齢の雌性SCIDマウスの後頸部皮下に、100マイクロリットルに縣濁した5百万個の、MDA−MB−231乳癌細胞を注入して移植した。腫瘍増殖を、毎週キャリパーで測定した。移植34日後、対象群の大多数において、腫瘍体積が100 mm3(50−200mm3の範囲)を超えたとき、8−10匹のマウスを、三つの治療群の一つにランダムに割り当てた。7BD−33−11A、1A245.6試験抗体、または3BD−27異性形コントロール抗体(MDA−MB−231細胞には結合しないことが知られる)を、15mg/kgで、2.7mM KCl,1mM KH2PO4,137mM NaCl,および20mM Na2HPO4を含む希釈液による保存濃度希釈後150マイクロリットル容量として腹腔内投与した。次に、同様にして、これらの抗体を、移植56日後まで、週に3回、合計10回投与した。腫瘍増殖を、約7日に1回、移植59日後まで、または、個々の動物がCCAC終末点に達するまで、キャリパーで測定した。実験期間中、動物の体重を記録した。実験の終了時、全ての動物を、CCACのガイドラインにしたがって安楽死させた。
実験を通じて毒性の臨床的兆候は無かった。体重を週間隔で測定した。異性形コントロールで処置された群と、7BD−33−11Aまたは1A245.6抗体によって治療された群において体重に有意差は無かった。図4において見て取れるように、移植後59日目(処置終了の2日後)、7BD−33−11Aによって処置された群の腫瘍体積は、コントロール群の29.5%であった(p=0.0003)。この群では、59日目の値を52日目と比べた場合、腫瘍平均体積において後退に向かう傾向が認められた(p=0.25)。同様に、1A245.6抗体による治療も、有意に、腫瘍増殖を抑え、腫瘍負荷を低減した。この抗体によって処置される、移植腫瘍確立動物では、腫瘍体積が、異性形処置コントロール群の56.3%であった(p=0.017)。
総合すると、7BD−33−11Aまたは1A245.6抗体による処置は、ヒト癌疾患の公認モデルにおいて、コントロール抗体と比べ、確立腫瘍の腫瘍負荷を有意に低減した。これは、ヒトを含めた他の哺乳動物における治療においても、これらの抗体は、薬理学的および薬学的利点を有することを示唆する。
本明細書に引用される特許および公刊物は全て、本発明の関わる当業者のレベルを示すものである。特許および公刊物は全て、各個別の公刊物が、特異的、個別的に、引用により本明細書に含まれるとされるのと同程度に引用により本明細書に含まれる。
本発明のある形態が説明されるけれども、それは、本明細書に記載され、図示される部分の特異的形態または配置に限定されるべきものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲から逸脱することなく様々の変更が実行可能であること、および、本発明は、本明細書に図示し、記載されるものだけに限定されると考えてはならないことは、当業者には明白である。当業者であれば、本発明は、言及した目的、および言及した目標および利点ばかりでなく、本明細書に内在する目標および利点を実行し、獲得するためも十分適応可能であることを直ちに理解されるであろう。本明細書に記載される、全てのオリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、生物学的関連化合物、方法、手順、および技術は、現在、好ましい実施態様を代表するものであるが、例示を意図するものであって、発明の範囲の限定を意図するものではない。本明細書における使用および他の使用の変更が、当業者に思い浮かぶであろうが、それらは、本発明の精神、および付属の特許請求項の範囲内に包含される。本発明は、特定の好ましい実施態様と関連させて説明されてきたわけであるが、請求される発明は、これらの特異的実施態様にのみ不当に限定されてはらないことを理解しなければならない。実際、本発明を実行するための、記載の方式については、様々の改変が、当業者には明白であるが、それらは、下記の特許請求の範囲内に納まることが意図される。
Claims (15)
- ヒトの乳房または前立腺腫瘍から選ばれた組織サンプルにおける癌様細胞の、抗体誘発性細胞傷害性を起動するための方法であって:
前記ヒトの乳房または前立腺腫瘍から組織サンプルを準備すること;
ATCCに登録番号PTA−4890の下に寄託されるハイブリドーマによって生産されるモノクロナール抗体が結合するものと同じエピトープに結合する、単離モノクロナール抗体、または、その抗原結合断片を準備すること;および、
前記単離モノクロナール抗体、または、その、細胞傷害誘発性、抗原結合断片と、前記組織サンプルを接触させること、
を含む方法。 - 哺乳動物において、ヒトの乳房または前立腺腫瘍を治療するための方法であって、ATCCに登録番号PTA−4890の下に寄託されるハイブリドーマによって生産されるモノクロナール抗体が結合するものと同じエピトープに結合する、単離モノクロナール抗体、または、その抗原結合断片を、前記哺乳動物に投与することを含み、前記投与が、細胞傷害性を誘発するのに有効な量として行われ、そのため、前記哺乳動物の腫瘍負荷が低減されることを特徴とする方法。
- 前記単離モノクロナール抗体、またはその抗原結合断片が、細胞傷害性成分に接合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 前記細胞傷害性成分が、放射性同位元素であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 前記単離モノクロナール抗体が、補体を活性化することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 前記単離モノクロナール抗体が、抗体依存性細胞傷害性を仲介することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 前記単離モノクロナール抗体がヒト化抗体であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 前記単離モノクロナール抗体がキメラ抗体であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 哺乳動物においてヒトの乳房または前立腺腫瘍を治療するための、投与可能形状の化合物の使用であって、前記化合物は、ATCCに登録番号PTA−4890の下に寄託されるハイブリドーマによって生産されるモノクロナール抗体が結合するものと同じエピトープに結合する、単離モノクロナール抗体、または、その抗原結合断片を含み、前記投与可能形状は、細胞傷害性を誘発するのに有効な量として存在し、そのため、前記哺乳動物の腫瘍を低減することを特徴とする使用。
- 前記単離モノクロナール抗体、またはその抗原結合断片が、細胞傷害性成分に接合されることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 前記細胞傷害性成分が、放射性同位元素であることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
- 前記単離モノクロナール抗体が、補体を活性化することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 前記単離モノクロナール抗体が、抗体依存性細胞傷害性を仲介することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 前記単離モノクロナール抗体がヒト化抗体であることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 前記単離モノクロナール抗体がキメラ抗体であることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
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