JP2009542268A - 患者の身体内に手術器具を導入するための配備システム - Google Patents

Abstract

【課題】患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置８により患者の身体内に手術器具２を導入するための配備システムを提供すること。
【解決手段】この配備システムは、手術器具２に結合可能な連結装置９，１５，２１であって、手術器具２がガイドされた様態で挿入装置８に沿ってスライドすることができるように、挿入装置８に変位可能に結合可能である、連結装置を含み、連結装置９は、挿入装置８に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素１０を含む。
【選択図】図７

Description

開示の内容

本発明は、患者の身体内に手術器具を導入するための配備システムに関する。例えば下部胃腸管の病状の診断および／または治療において使用されうる、手術用ステープリング器具に特に関連して、治療が必要とされている病状の領域に達するために手術用ステープラを結腸内に深く導入する一般的な必要性がある。

国際公開第０１／９１６４６（Ａ１）号に開示されている既知の手術用ステープリング器具は、このステープリング器具の遠位端領域に位置するステープル留め組立体、剛性シャフト、およびこのシャフトからステープリング器具の近位端領域内に延びるハンドルを有する。この既知の手術用ステープリング器具は、組織、例えばポリープを切除するため、そして実際上即座に出血を止めるために使用されうる。外科手技において、ステープリング器具は、例えば肛門管内へ導入され、摘除されるべき組織部位へ移動される。切除されるべき組織は、ステープラのカートリッジ装置およびアンビルが離間された、すなわち開放位置にあるときに、アンビルとカートリッジ装置との間の領域内に、別個の組織把持器具によって引き込まれうる。その後、アンビルは、組織をクランプするために、カートリッジ装置に対して相対的に移動される。カートリッジ装置、およびアンビルが、閉鎖位置に達すると、外科医は、器具を「発射（fire）」させることができ、すなわちステープルが駆動されてカートリッジ装置から出て、組織に侵入し、それから、ステープルの端部がアンビルによって曲げられ、ナイフまたは切断エッジが、組織を取り除くためにアンビルに向かって移動される。器具が開放されると、完全に切除された組織は、器具自体を取り除くのと同時か、またはその前に、患者の身体から安全に取り除かれうる。

この器具の挿入シャフトの剛性および限定された長さのため、既知の手術用ステープリング器具の作用領域は、例えば直腸から遠く離れた肛門管の組織を切除するためには使用されることができないほど制限されている。

器具の挿入および配備に関するこれらの欠点を取り除くために、（国際公開第２００６／０２７０１４号に開示された）手術用ステープリング装置が提案されおり、この手術用ステープリング装置においては、近位ハンドルと遠位ステープル留め組立体とを柔軟に結合する、可撓性「バックボーン（backbone）」と呼ばれるものによって、剛性挿入シャフトが置き換えられている。この可撓性「バックボーン」は、ある種の可撓性シャフトまたは可撓性結合部であり、例えば、かなり長い場合がある内視鏡であって、ステープリング器具が、例えば肛門管内に導入され、肛門から遠く離れた部位の組織の治療ができるようにかなり長い距離まで先へ移動されることを可能にする、内視鏡である。ステープラの導入および前進の間、可撓性バックボーンは、腸の湾曲に適合する。

後者の解決案は、純粋に機械的な観点から見て、患者の身体内への手術器具のより深い導入に応じるものであるが、繊細な組織、例えば患者の結腸壁を、内視鏡導管が傷付けるか、または穿孔さえする、危険性から依然として免れてはいない。これは主に、第１に手術用ステープリング装置が、たとえ内視鏡寸法まで減少させられたとしても、内視鏡自体、および内視鏡が通過する必要がある天然の管と比較すると、相対的にかさが大きく、第２に器具は天然の管の湾曲し曲がりくねった通路を通過しなければならなく、そのため周囲の体組織に対して衝撃を与えてしまうという事実に起因する。

先行技術の配備システムの欠点を検討すると、本発明の目的は、患者の身体内に手術器具を導入するための配備システム、例えば手術ステープラを内視鏡ルートを通して送達するためのシステムであって、器具の安全な導入および取り除きを可能にし、かつ結腸鏡検査の間、周囲の組織、例えば患者の結腸壁への外傷または穿孔の危険性を最小にする、システムを提供することである。

主な目的の全般的な範囲内において、本発明のさらなる狙いは、本発明の配備システムを実行するような特徴を有する手術器具、特に手術用ステープリング装置を提供することである。

これらおよび他の問題は、患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置によって（内視鏡、腹腔鏡、または開腹手術によって）患者の身体内に手術器具を導入するための配備システムによって解決され、この配備システムは、手術器具と結合可能な連結装置であって、手術器具が、ガイドされた様態で挿入装置に沿ってスライドすることができるように、挿入装置と変位可能に結合可能である、連結装置を含み、連結装置は、挿入装置と転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素を含む。

これによって、配備システムの連結装置は、挿入装置に沿って、非常に低摩擦で、比較的に大きい扱いにくい器具を担持することができ、外科医または胃腸科医が、より良い制御可能様式でこのような器具を送達することができ、作用部位へのアクセス管を画定する組織の外傷の危険性を減少させる。先行技術を参照して説明されたタイプの手術用ステープリング装置に特に関連して、ローラー要素のおかげで、前もって位置付けされた結腸鏡に沿って結腸内に深くステープリング装置を導入することが可能となり、それにより結腸壁組織の偶発的な穿孔の危険性を減少する。

本発明の重要な態様によれば、送達システムの連結装置は、球形、円筒形、または円錐台形状のローラーなどの、複数のローラー要素を有する１つ以上のローラーベアリングを具備し、ローラー要素は、ベアリングの特殊なローラー台座内または凹部内に回転可能に受容される。この状況では、挿入装置の実質的に全外周にわたって、挿入装置を包囲し、かつ挿入装置に転動可能に係合するために、実質的に環状の形状を有するベアリングを提供することが有利でありうる。代替的に、片側で弓形開口部を有するベアリングであって、挿入装置を部分的に包囲し、かつ挿入装置に転動可能に係合するのに適する、ベアリングを提供することが有利でありうる。

本発明のさらなる実施形態によれば、「内部」ベアリングが提供されえ、「内部」ベアリングは、この「内部」ベアリングの外側上に配列されたローラー要素であって、中空または凹状または管状の挿入装置、例えば管状保護シースの内側に接触し転動可能に係合するように構成された、ローラー要素を有する。このようなシースは、鋭く研がれた器具の安全な送達に対して、内視鏡アクセス管を保護するために、あるいは非常に鋭敏で容易に損害を受けやすい手術用器具または診断用器具の送達に対して、送達の間に体組織と直接接触することから器具を保護するために、必要となりうる。

本発明のさらなる態様によれば、連結装置は、好ましくはスナップフィットによって、連結装置が手術器具と取り外し可能に結合されることが可能となるように構成された結合部分を具備する。それにより、外科医が連結装置を手術器具に容易に組み立てることが可能となり、患者の身体の外側に位置されているとき、挿入装置の遠位端部分に手術器具を取り付ける。さらに、連結装置と手術器具との間の取り外し可能結合により、代替の異なる器具が、同じ連結装置によって、または異なる挿入ガイドの使用によって担持されることが可能となり、したがって異なる連結装置が同じ手術器具を備えることも可能となる。

手術器具、またはより一般的に言えば、挿入装置に沿って転動可能に誘導される手術器具の作動部分（例えば手術用ステープリング装置のステープル留め組立体）が、挿入装置の長さ方向とほぼ整列した、実質的に細長い形状を有することが好ましい。作動部分と挿入装置との間の相対的位置付けの安定性の改善は、作動部分と少なくとも２つのローラーベアリングとを結合させることによって得られることができ、双方のローラーベアリングは、挿入装置に係合し、好ましくは作動部分の長さ方向延在範囲に関連して作動部分の２つの対向端の近くに配列される。

本発明のさらに別の態様によれば、手術器具の作動部分は、スライド面を画定しており、スライド面は、この作動部分のスライド面にスライド可能に接触するように予定される挿入装置の対応面に対して、ほぼ相補的な形状を有する。この場合、連結装置のローラー要素は、手術器具が挿入装置にスライド可能で転動可能に係合するような方法で、実質的にスライド面に対向するように配列されている。この解決案は、構造的単純性の必要性および減じた摩擦抵抗を両立させる相乗的折衷案を表している。さらに、包囲ローラーベアリングと共に、挿入装置および手術器具の接触スライド面の少なくとも近似する形状の相補性により、手術器具が挿入器具と密接に接触して位置付けされることが可能となる。

本発明の配備システムは、内視鏡環境内部に優先的に用いられ、細長い挿入装置は、可撓性調節可能内視鏡、例えば結腸鏡を有利に具備するが、腹腔鏡または開腹手術アプローチも意図され、前もって配備されたガイド装置または挿入装置に沿う手術器具の低摩擦並進運動を必要とし、ある理由で、内視鏡アプローチが採用されない、これら全ての状況において有利になりうる。

制御された方法で挿入装置に沿って手術器具を移動させるために、手術器具に結合され、かつ器具に押す運動および／または引く運動を伝達するように構成された、変位手段を提供することが有利である。手術手技の間、好ましくは可撓性圧縮および／または引張ロッドによって具現化されうるこれらの変位手段は、挿入装置に沿って有利に誘導され、かつ、外科医によって直接操作可能となるように、手術器具から患者の身体の外側へ近位に延びる。

本発明の実施形態によれば、変位手段はまた、好ましくはローラー要素を含む１つ以上の連結装置によって、挿入装置に変位可能またはスライド可能にリンクされ、それにより、システム全体の運動を所望のガイド通路に拘束し、同時に変位手段の摩擦抵抗を最小まで減少させる。

本発明の好ましい実施形態によれば、変位手段は、遠位で手術器具に結合され、あるいは、より全般的には手術器具の作動部分（例えば、手術ステープリング装置のステープル留め組立体）に結合され、変位手段の近位端は、手術器具の作動機構を含むハンドルに結合され、配備運動を作動部分に伝達する、同じ変位手段が、ハンドル作動機構によって生み出された作動運動を作動部分に伝達するための手段を受容する１つ以上の内部チャネルを画定する。

有利なことに、本発明の配備システムは、手術器具または連結装置を挿入装置に対して封鎖するのに適した封鎖手段または遮断手段を提供し、これは手術器具、連結装置および挿入装置の相対位置を少なくとも一時的に固定させるためである。手術器具の挿入装置に対するこのような固定は、例えば挿入装置（例えば、内視鏡）の運動能力が手術器具の運動能力よりも良い場合に、器具が挿入装置と共に移動させられ、かつ挿入装置によって移動させられることを可能にする。封鎖手段は好ましくは、ハンドル作動機構によって生み出されうる封鎖力であって、好ましくは前述された変位手段に受容される特殊な封鎖力伝達手段によって封鎖手段に伝達されうる封鎖力に応答して作動される。そして、このことは、配備システムの全体的な妨害を制限することに貢献し、それにより周囲の体組織との偶発的な衝突の危険性がさらに減少させられる。

本発明のこれら、および他の詳細、および利点は、上記された発明の全体的な説明と共に、本発明の実施形態を図示している添付の図面、および図面の説明、ならびに本発明の本質を説明するのに役立つであろう、以下に述べられる発明の詳細な説明から明らかになるであろう。

図を参照すると、図１２は第１実施形態による手術用ステープリング器具１の等角全体図である。ステープリング器具１は、その遠位端領域にステープル留め組立体２を、およびその近位端領域にハンドル３を具備する。ハンドル３、およびステープル留め組立体２は、ステープリング器具１の機能を実行するために、ハンドル３からステープル留め組立体２へ力を伝達するために使用される、２つの細長い可撓性力伝達器４，５を介して、結合されている。

ステープル留め組立体２の主な構成要素は、数個の湾曲開放ステープル列、およびナイフまたは切断エッジを収容するカートリッジ装置６、ならびにステープル成形面を有して、ステープリング器具１が「発射」されると、カートリッジ装置から放出されたステープルの端部を成形するようにカートリッジ装置と協働するように構成された、湾曲アンビル７である。

アンビル７は、カートリッジ装置６に対して、平行関係に、すなわちステープル留め組立体２の長さ方向軸に平行な方向に、移動させられうる。図５を見ると、アンビル７は、カートリッジ装置６から離間されているが、図６では、同じアンビル７は、カートリッジ装置６に向かって全体的に移動されている。アンビル７をカートリッジ装置６に対して移動させるために使用されるステープリング器具１の機構およびその構成要素は、全体的に移動装置と呼ばれ、ステープルを前進させるために使用される機構および構成要素は、全体的にステープル駆動装置と呼ばれる。

本発明は、手術器具のための配備システム、およびこのような配備システムを具現化する手術器具に主に集中しているので、単純化のため、本説明において、前述の移動装置およびステープル駆動装置は、全体として、器具１の「作動機構」という用語で称される。このような作動機構の１つの可能な実施形態の詳細な説明として、このような説明は、参照によって本明細書に含まれる、出願人の同時係属中の国際出願第２００６／０２７０１４号の図４〜図１５、およびこの説明の対応部分に開示されている。

ステープリング装置のステープル留め組立体２を患者の下部胃腸管内に導入するために、細長い挿入装置、例えば可撓性調節可能結腸鏡８が提供され、その結腸鏡８が切除部位に達するまで、結腸内に経肛門的（transanally）に導入される。結腸鏡８の位置付けの後、手術用ステープリング装置１のステープル留め組立体２は、患者の身体の外に延びている結腸鏡８の近位部分に変位可能またはスライド可能に連結され、切除部位に達するまで結腸鏡に沿って遠位に押される。ステープル留め組立体２と結腸鏡８との間のスライド結合は、ステープル留め組立体２に取り外し可能に結合されえ、かつ結腸鏡８にスライド可能に連結されうる連結装置９によって得られる。連結装置９は、結腸鏡８の外面に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素１０を含み、それにより連結装置９と結腸鏡８との間の摩擦抵抗が減少される。

特に、連結装置９は、好ましくは球形、または代替的に円筒形または円錐台形状の、複数のローラー要素１０を備えた、少なくとも１つのローラーベアリングを具備する。ローラー要素１０は、連結装置内に定められた特殊な台座１１内に捕らえられるように受容されるか、または（図には示されていない）ピンによって保持され、ローラー要素１０がそれぞれのピンの長さ方向軸周りに回転することが可能となるようになっている。

図１〜図３に示された実施形態によれば、ステープル留め組立体２のカートリッジ装置６およびアンビル７は、カートリッジ装置６とアンビル７との間の作業領域に容易にアクセスでき、かつ結腸鏡８の外面の一部の形状にほぼ相補的な凹状スライド面１２を定めている、全体的に細長い矩形の弓様形状を有する。特に、結腸鏡８は、実質的に円筒形（湾曲した）外面を有し、したがってステープル留め組立体２のスライド面１２は、円筒形の扇形（a sector of a cylinder）、好ましくは半円筒形に近似する形状を有する。ステープル留め組立体２は、組立体２の遠位端の近くに配列され、かつ弓形でほぼ半円形の遠位ボールベアリング１５の対応するスナップ係合部材１４に取り外し可能に係合するように構成された、２つの対向するスナップ係合台座１３を備えた、遠位結合部分を具備する。スナップ係合台座１３および対応するスナップ係合部材１４は、図２に概略的に示されるような弾性スナップ係合式ホック・キャッチシステム（elastically snap engaging hook-catch system）によって、あるいは任意の適切な同等または代替の結合システムによって具現化されうる。

遠位ボールベアリング１５は、複数の球形ローラー部材１０を具備し、複数の球形ローラー部材１０は、（ボールベアリング１５がステープル留め組立体２上に据え付けられている場合）凹状スライド面１２に対向して配列され、ほぼ半円筒形スライド面１２と共に結腸鏡８を包囲するリング構造を定め、それによりスライド可能かつ転動可能の両方で結腸鏡の外面に係合する。図に示された実施形態によれば、遠位ボールベアリング１５用のスナップ係合台座１３は、アンビル７内に形成されている。

遠位ボールベアリング１５は、実質的に滑らかで、切れ目のないほぼ半円筒形の被覆壁１６を具備し、この被覆壁１６は、ローラー要素の外側で半径方向に配列され、かつローラー要素を外側から、遠位におよび近位に被覆し、それによりローラー要素１０の周囲の体組織への暴露を防ぐ。

２つの力伝達器４，５の各々は、好ましくは可撓性であるが、長さ方向に伸張不能な管１７を具備し、管１７は、ステープル留め組立体２を結腸鏡８に沿ってスライドさせるために、患者の身体の外側からステープル留め組立体２への押す運動および／または引く運動を伝達するための長さ方向力伝達用圧縮／引張ロッドを形成する。手術手技の間、管１７は、例えば、変位可能またはスライド可能のコネクターによって、好ましくはステープル留め組立体２に取り付けられる連結装置９と同様のローラー要素を含む１つ以上の連結装置によって、結腸鏡８に密接に沿って誘導される。これは、配備システムが所望のガイド通路に沿った手術器具全体の運動を拘束し、手術器具の摩擦抵抗を最小に減少させることを可能にする。

すでに言及されたように、伸張不能な管１７の遠位端は、ステープル留め組立体２の近位端部分に結合され、伸張不能な管１７の近位端は、手術用ステープリング装置１のハンドル３に結合され、それにより結腸鏡８の体外の近位部分に沿ったハンドル３の運動が、結腸鏡８の体内の遠位部分に沿ったステープル留め組立体２の対応する運動を引き起こす。

結腸鏡８に沿うステープル留め組立体２の変位に対するそれらの機能に加えて、伸張不能な管１７は内部で、手術用ステープリング装置１の作動力の伝達のための伝達手段を収容するのに適した、１つ以上のチャネルを画定する。これら伝達手段は、ハンドル作動機構によって生み出されたアンビル移動力、ステープル駆動力、および切断力の伝達のための、並進ロッドまたは回転伝達ロッドであることが好ましい。

外科医が、ステープル留め組立体の結腸鏡に沿う運動を手動で制御することによって、ステープル留め組立体の位置を絶え間なく積極的に制御した場合でも、ステープル留め組立体２または連結装置９の結腸鏡８に対する封鎖に適した封鎖手段または遮断手段（a blocking means or breaking means）を提供することは有利でありうる。ステープル留め組立体のそのような固定は、外科医が結腸鏡と共にステープル留め組立体を移動させることを可能とする。これは、結腸鏡の推進能力（motive capabilities）が、ステープル留め組立体の推進能力よりも良く、より正確である状況で非常に役に立ちうる。封鎖手段は、封鎖または遮断力に応じて結腸鏡の外面に摩擦係合するように構成された摩擦パッドまたは鉗子を備えたクランプ機構を具備し、この封鎖または遮断力は、ハンドル作動機構によって生み出されえ、かつ管１７の内側に配列されうる特殊な封鎖力伝達ロッドまたはワイヤーによって封鎖手段に伝達されうる。

図に示された結腸鏡８は、ステープリング装置１を配備するように使用されるために改造される必要のない、市販の内視鏡である。内視鏡８は、患者の天然の管（結腸）に導入される間、柔軟に湾曲されえ、いったん最終位置に置かれると、内視鏡８は、器具の転動可能挿入の間、手術器具１および内視鏡管に構造的強度を与える。

図３は、内視鏡８およびステープル留め組立体２の遠位部分の配列を図示している。内視鏡８の遠位端面は、２つの開口部を有し、１つは観察用光学部１８で、１つは光源１５である。好ましくは、内視鏡はまた、さらなる手術器具（例えば、可撓性シャフトを有する内視鏡把持器）を手術部位へ、すなわちステープル留め組立体２の領域へ、導入することを可能にする作業チャネル２０を含む。

図４〜図８は、本発明のさらなる実施形態を示し、同様の数字は、第１実施形態に関連してすでに記載された同様の構成要素を示している。この第２実施形態では、連結装置は、アンビル７の遠位結合部分１３に結合された１つの遠位ローラーベアリング１５、および遠位ベアリング１５に関連して先に記載されたように構成されうる付加された近位ローラーベアリング２１を具備する。近位ローラーベアリング２１はまた有利なことに、例えば、カートリッジ装置６の近位端領域に形成された２つの対向スナップ係合台座２２を備える近位結合部分に取り外し可能に結合可能であり、ステープル留め組立体２の長さ方向に遠位ベアリング１５から離間されている。ローラーベアリング１５および２１の双方は、内視鏡８の外面に係合して転動可能に接触しており、それによりステープル留め組立体と内視鏡８との間に特に安定した低摩擦スライド係合を提供する。

本発明による配備システム、および配備システムを具現化する内視鏡ステープリング装置は、例えば結腸内の病状の治療に有利に使用されうる。そのような内視鏡介入の第１ステップでは、内視鏡８は、患者の直腸２３および肛門管を通して、治療が必要とされている結腸２５の部分（切除部位２４）に達するまで、導入される。内視鏡８の設置の後、ステープル留め組立体２は、スライド可能な方法で内視鏡８の近位体外部分に結合され、ローラー要素を備えた連結装置は、ステープル留め組立体２と内視鏡８の外面との間に転動可能な接触を提供し、好ましくは、ステープル留め組立体２を内視鏡の外面にぴったりと接近させるように内視鏡８の完全な包囲を提供する。

内視鏡に転動可能に結合されたステープル留め組立体２は、肛門管内に経肛門的に導入され、切除部位２５に達するまで内視鏡に沿ってスライドされる。このスライド運動は、伸張不能な管１７によってステープル留め組立体２へ伝達される、ハンドルの押す力によって引き起こされる。

ステープル留め組立体２の配備の後、内視鏡把持器は、内視鏡８の作業チャネル２０を通して、作業チャネル２０の遠位端開口部から出るまで、遠位に前進させられる。ここで、病巣例えばポリープまたは腫瘍が、内視鏡把持器によって把持されえ、ステープル留め組立体２のアンビルとカートリッジ装置との間の空間内に引き込まれうる。ステープリング装置の作動機構の操作時に、アンビルは、カートリッジ装置に向かって移動させられ、アンビルとカートリッジ装置との間に組織をクランピングする。組織のクランピングの後、ステープラが「発射」され、したがって、ステープルは組織内へ駆動され、病巣がステープリング装置のナイフによって切除される。切除の完了後、ステープル留め組立体２は、ステープル留め組立体２を内視鏡に沿って近位に引くことによって患者の身体から取り除かれえ、あるいは代替的に、ステープル留め組立体２は、内視鏡と共に引き抜かれうる。病変組織の切除サンプルは、内視鏡の作業チャネルを通して近位方向に取り除かれうるか、あるいは、サンプルが作業チャネルを通過するにはかさが大きすぎる場合、サンプルは、内視鏡と共に引き抜かれうる。

本発明は、いくつかの実施形態の説明によって例証され、例示的実施形態が、かなり詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限するか、またはいかようにも限定することは意図ではない。さらなる利点および修正は、当業者にとっては容易に明らかとなるであろう。

例えば、配備システムは、内視鏡ステープラとは異なる手術用または診断用器具の導入および配備のために等しく十分に使用されうる。したがって、本発明の配備システムを実行するための、ローラー要素を備えた連結部分を具備する手術用または診断用器具は、記載された例に限定されない。配備システムは、内視鏡ステープラとは異なる手術用または診断用器具内に有利に一体化されうる。

挿入装置に関して、このような装置は、いくらか詳細に記載された内視鏡に限定されない。その代わりまたは追加的に、挿入装置は、腹腔鏡式の、可撓性または剛性の、湾曲または真っ直ぐの、細長いシャフトまたは中空シースを具備することができ、連結装置のローラー要素は、外側から、または内側から挿入装置に接触でき、手術器具自体は、挿入装置の外側に沿うか、または挿入装置の内部チャネルを通して、転動可能にスライドされうる。

最後に、変位手段、すなわち伸張不能な管１７は、２つである必要はなく、管状である必要もない。管１７は、牽引ケーブル機構によるか、または単一変位ロッドによって、置き換えられえ、例えば図１３に見られるように、全ての作動力伝達器は、挿入装置に沿って誘導される単一可撓性変位管２６内に収容され、挿入装置は、内視鏡または異なる細長い誘導用構造でありうる。

この実施形態では、単一可撓性変位管２６は、移動装置およびステープル駆動装置の力伝達器である回転ロッドまたは並進運動ロッドを誘導するための２つ以上の長さ方向チャネルを内部に画定する。

〔実施の態様〕
（１） 患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置（８）によって、前記患者の身体内に手術器具（２）を導入するための配備システムにおいて、
前記配備システムは、
前記手術器具（２）に結合可能である連結装置（９，１５，２１）であって、前記手術器具（２）が、ガイドされた様態（guided manner）で前記挿入装置（８）に沿ってスライドすることができるように、前記挿入装置（８）に変位可能に結合可能である、連結装置、
を含み、
前記連結装置（９）は、前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む、配備システム。
（２） 実施態様１に記載の配備システムにおいて、
前記連結装置（９）は、複数のローラー要素（１０）を有する１つ以上のローラーベアリング（１５，２１）を具備する、配備システム。
（３） 実施態様２に記載の配備システムにおいて、
前記ローラーベアリング（１５，２１）は、前記挿入装置（８）の実質的に全外周にわたって、前記挿入装置（８）を包囲し、かつ前記挿入装置（８）に転動可能に係合するのに適した実質的に環状の形状を有する、配備システム。
（４） 実施態様２に記載の配備システムにおいて、
前記ローラーベアリング（１５，２１）は、前記挿入装置（８）を部分的に包囲し、かつ前記挿入装置（８）に転動可能に係合するのに適した弓状の形状を有する、配備システム。
（５） 実施態様１〜４のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記連結装置（９）は、前記手術器具（２）に取り外し可能に結合するように構成された結合部分（１４）を具備する、配備システム。
（６） 実施態様１〜５のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記結合部分（１４）は、前記手術器具（２）の対応する結合部分（１３，２２）にスナップ係合するように構成されている、配備システム。
（７） 実施態様１〜６のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記連結装置（９）と、
前記手術器具（２）と、
を具備し、
前記手術器具（２）は、少なくとも２つのローラーベアリング（１５，２１）に結合可能であり、前記ローラーベアリング（１５，２１）は双方とも、前記挿入装置（８）に係合するのに適し、かつ前記手術器具（２）の長さ方向に互いに離間されている、配備システム。
（８） 実施態様１〜７のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記手術器具（２）は、前記挿入装置（８）の対応するスライド面の形状とほぼ相補的な形状を有するスライド面（１２）を定め、
前記連結装置（９，１５，２１）の前記ローラー要素（１０）は、前記手術器具（１）がスライド可能かつ転動可能に前記挿入装置（８）に係合するように、前記スライド面（１２）と実質的に対向するように配列されている、配備システム。
（９） 実施態様１〜８のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記手術器具（２）に結合可能な変位手段（１７）であって、押す運動および／または引く運動を前記器具（２）に伝達するように構成された、変位手段、
を具備する、配備システム。
（１０） 実施態様１〜９のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記変位手段（１７）は、遠位で前記手術器具（２０）に結合され、近位で前記手術器具（２０）のハンドル（３）に結合され、
前記ハンドルは、前記手術器具の作動機構を含み、
前記変位手段（１７）は、前記ハンドル作動機構によって生み出された作動運動の伝達のための手段を収容する、１つ以上の内部チャネルを画定する伸張不能な管（１７）を具備する、配備システム。
（１１） 実施態様１〜１０のいずれか１つに記載の配備システムにおいて、
前記細長い挿入装置（８）、
を具備し、
前記細長い挿入装置（８）は、内視鏡である、配備システム。

（１２） 内視鏡ステープリング装置（１）において、
組織サンプルを摘除し、かつ切除部位を縫合するのに適した、ステープル留め組立体（２）と、
前記ステープル留め組立体（２）に結合可能な連結装置（９，１５，２１）であって、前記ステープル留め組立体（２）が、ガイドされた様態で細長い挿入装置（８）に沿ってスライドすることができるように、前記挿入装置（８）に変位可能に結合可能である、連結装置と、
を具備し、
前記連結装置（９）は、前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む、内視鏡ステープリング装置。
（１３） 患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置（８）によって前記患者の身体内に手術器具（２）を導入するための配備方法において、
前記患者の前記身体内に前記細長い挿入装置（８）を導入するステップと、
前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む連結装置（９）によって前記挿入装置（８）に前記手術器具（２）をスライド可能に結合するステップと、
前記挿入装置（８）に沿って前記手術器具（２）を手術部位まで変位させることによって、前記手術器具を前記患者の身体内に配備するステップと、
を含む、配備方法。

図１は、本発明の第１実施形態による配備システムを備えた手術用ステープリング装置の近位等角図である。 図２は、図１の手術用ステープリング装置の遠位図である。 図３は、挿入装置と連結された、図１の手術用ステープリング装置の遠位等角図である。 図４は、挿入装置に連結され、閉鎖された構成にある、本発明の第２実施形態による配備システムを備えた手術用ステープリング装置の遠位等角図である。 図５は、挿入装置に連結され、開放された構成にある、図４の手術用ステープリング装置の遠位等角図である。 図６は、閉鎖された構成にある図４の手術用ステープリング装置、および手術用ステープリング装置の連結装置に向かって近づいている挿入装置の遠位等角図を示している。 図７は、閉鎖された構成にある図４の手術用ステープリング装置、および手術用ステープリング装置の連結装置の近位部に係合している挿入装置の遠位等角図を示している。 図８は、閉鎖された構成にある図４の手術用ステープリング装置、ならびに手術用ステープリング装置の連結装置の近位部および遠位部に完全に係合している挿入装置の遠位等角図を示している。 図９は、図８に示された状態の上面図である。 図１０は、患者の身体内に手術用ステープリング装置を配備する手順を示す概略的部分断面図である。 図１１は、患者の身体内に手術用ステープリング装置を配備する手順を示す概略的部分断面図である。 図１２は、本発明のある実施形態による配備システムを実行する手術用ステープリング装置の概略的等角全体図である。 図１３は、本発明の別の実施形態による配備システムを実行する手術用ステープリング装置の概略的等角全体図である。

Claims (13)

1. 患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置（８）によって、前記患者の身体内に手術器具（２）を導入するための配備システムにおいて、
   前記配備システムは、
   前記手術器具（２）に結合可能である連結装置（９，１５，２１）であって、前記手術器具（２）が、ガイドされた様態で前記挿入装置（８）に沿ってスライドすることができるように、前記挿入装置（８）に変位可能に結合可能である、連結装置、
   を含み、
   前記連結装置（９）は、前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む、配備システム。
2. 請求項１に記載の配備システムにおいて、
   前記連結装置（９）は、複数のローラー要素（１０）を有する１つ以上のローラーベアリング（１５，２１）を具備する、配備システム。
3. 請求項２に記載の配備システムにおいて、
   前記ローラーベアリング（１５，２１）は、前記挿入装置（８）の実質的に全外周にわたって、前記挿入装置（８）を包囲し、かつ前記挿入装置（８）に転動可能に係合するのに適した実質的に環状の形状を有する、配備システム。
4. 請求項２に記載の配備システムにおいて、
   前記ローラーベアリング（１５，２１）は、前記挿入装置（８）を部分的に包囲し、かつ前記挿入装置（８）に転動可能に係合するのに適した弓状の形状を有する、配備システム。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
   前記連結装置（９）は、前記手術器具（２）に取り外し可能に結合するように構成された結合部分（１４）を具備する、配備システム。
6. 請求項１〜５のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
   前記結合部分（１４）は、前記手術器具（２）の対応する結合部分（１３，２２）にスナップ係合するように構成されている、配備システム。
7. 請求項１〜６のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
   前記連結装置（９）と、
   前記手術器具（２）と、
   を具備し、
   前記手術器具（２）は、少なくとも２つのローラーベアリング（１５，２１）に結合可能であり、前記ローラーベアリング（１５，２１）は双方とも、前記挿入装置（８）に係合するのに適し、かつ前記手術器具（２）の長さ方向に互いに離間されている、配備システム。
8. 請求項１〜７のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
   前記手術器具（２）は、前記挿入装置（８）の対応するスライド面の形状とほぼ相補的な形状を有するスライド面（１２）を定め、
   前記連結装置（９，１５，２１）の前記ローラー要素（１０）は、前記手術器具（１）がスライド可能かつ転動可能に前記挿入装置（８）に係合するように、前記スライド面（１２）と実質的に対向するように配列されている、配備システム。
9. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
   前記手術器具（２）に結合可能な変位手段（１７）であって、押す運動および／または引く運動を前記器具（２）に伝達するように構成された、変位手段、
   を具備する、配備システム。
10. 請求項１〜９のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
    前記変位手段（１７）は、遠位で前記手術器具（２０）に結合され、近位で前記手術器具（２０）のハンドル（３）に結合され、
    前記ハンドルは、前記手術器具の作動機構を含み、
    前記変位手段（１７）は、前記ハンドル作動機構によって生み出された作動運動の伝達のための手段を収容する、１つ以上の内部チャネルを画定する伸張不能な管（１７）を具備する、配備システム。
11. 請求項１〜１０のいずれか１項に記載の配備システムにおいて、
    前記細長い挿入装置（８）、
    を具備し、
    前記細長い挿入装置（８）は、内視鏡である、配備システム。
12. 内視鏡ステープリング装置（１）において、
    組織サンプルを摘除し、かつ切除部位を縫合するのに適した、ステープル留め組立体（２）と、
    前記ステープル留め組立体（２）に結合可能な連結装置（９，１５，２１）であって、前記ステープル留め組立体（２）が、ガイドされた様態で細長い挿入装置（８）に沿ってスライドすることができるように、前記挿入装置（８）に変位可能に結合可能である、連結装置と、
    を具備し、
    前記連結装置（９）は、前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む、内視鏡ステープリング装置。
13. 患者の身体内に挿入されうる細長い挿入装置（８）によって前記患者の身体内に手術器具（２）を導入するための配備方法において、
    前記患者の前記身体内に前記細長い挿入装置（８）を導入するステップと、
    前記挿入装置（８）に転動可能に接触するように構成された１つ以上のローラー要素（１０）を含む連結装置（９）によって前記挿入装置（８）に前記手術器具（２）をスライド可能に結合するステップと、
    前記挿入装置（８）に沿って前記手術器具（２）を手術部位まで変位させることによって、前記手術器具を前記患者の身体内に配備するステップと、
    を含む、配備方法。

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