JP2009542193A - 植物中のデンプン貯蔵に関する改善 - Google Patents
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Abstract
本発明は、野生型LEC1プロモータに対して欠失を含み、アラビドプシスの非胚植物生長性組織においてプロモータ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも500塩基を含むLEC1プロモータの単離断片、またはその機能的同等物を提供する。
Description
発明の分野
本発明は、植物におけるデンプンの貯蔵に関する。より詳しくは、本発明は、種子の発生に関与している遺伝子の発現の増大を引き起こし、例えば、デンプンおよびトリアシルグリセロールなどの貯蔵化合物の生成の増大をもたらし得るポリヌクレオチドに関する。
本発明は、植物におけるデンプンの貯蔵に関する。より詳しくは、本発明は、種子の発生に関与している遺伝子の発現の増大を引き起こし、例えば、デンプンおよびトリアシルグリセロールなどの貯蔵化合物の生成の増大をもたらし得るポリヌクレオチドに関する。
発明の背景
デンプンは、主要な工業製品であり、食品産業において特に重要性を有する。植物は、種子および塊茎などの貯蔵器官内にデンプンが高レベルに蓄積されるため、主要なデンプン供給源である。脂肪種子作物およびその近縁作物、例えば、アブラナ科(Brassica)ならびに遺伝モデルのアラビドプシス(Arabidopsis)などでは、デンプンの蓄積は、主に、発生中の種子、胚内または外胚葉内に限定されている。対照的に、生長性(vegetative)組織(例えば、葉、胚軸および根)には、有意なレベルのデンプンは蓄積されない。したがって、かかる植物では、デンプンの生成は、トリアシルグリセロール(貯蔵脂質)および貯蔵タンパク質の合成および蓄積とともに、胚発生の特徴とみなされ得る。胚の発芽後、このような貯蔵生成物は、エネルギー源として移動し、幼若な実生の生長を補助するために使用される。
デンプンは、主要な工業製品であり、食品産業において特に重要性を有する。植物は、種子および塊茎などの貯蔵器官内にデンプンが高レベルに蓄積されるため、主要なデンプン供給源である。脂肪種子作物およびその近縁作物、例えば、アブラナ科(Brassica)ならびに遺伝モデルのアラビドプシス(Arabidopsis)などでは、デンプンの蓄積は、主に、発生中の種子、胚内または外胚葉内に限定されている。対照的に、生長性(vegetative)組織(例えば、葉、胚軸および根)には、有意なレベルのデンプンは蓄積されない。したがって、かかる植物では、デンプンの生成は、トリアシルグリセロール(貯蔵脂質)および貯蔵タンパク質の合成および蓄積とともに、胚発生の特徴とみなされ得る。胚の発芽後、このような貯蔵生成物は、エネルギー源として移動し、幼若な実生の生長を補助するために使用される。
デンプン生合成の生化学および酵素学は、充分に特性評価されている。本質的に、光合成中に生成される糖質は、重合して不溶性のデンプン粒が形成され、これは、膜結合小器官内に貯蔵される。しかしながら、デンプンの合成および蓄積が、どのようにして胚内で活性化され、後胚期に生長性の器官および組織内で抑制されるのかは、まだ明らかになっていない。
顕花植物の胚形成の早期段階は、分極、放射相称および細胞分化の確立を伴う。また、苗条および根の分裂組織(meristem)の形成により、その植物の後胚発生が決定される(Lauxら、2004 Plant Cell 16,S190−S202)。胚形成の後期段階では、発芽中に必要とされる栄養貯蔵分が確立される。また、乾燥プロセスが起こり、胚を休眠状態へ準備させる(Razら、2001 Development 128,243−252)。胚形成の早期段階から後期段階への移行は、植物の生活環における重要な段階であり、いくつかの重要な遺伝子および植物生長調節因子の制御下にある(Parcyら、1997 Plant Cell 9,1265−1277;Ogasら、1997 Science 277,91−94;Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205;Luerbenら、1998 Plant J.15,755−764;Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,13839−13844;Razら、2001 Development 128,243−252;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci:USA 98,11806−11811)。
LEAFY COTYLEDONクラスの遺伝子(LEC1、LEC2、FUSCA3、FUS3)が、胚形成の後期段階における重要な調節因子として同定された(Parcyら、1997 Plant Cell 9,1265−1277;Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205;Leurbenら、1998 Plant
J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,11806−11811)。特に、LEC1は、CCAAT結合因子ファミリーのHAP3サブユニットに関連している転写因子サブユニットをコード
しており(Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205)、一方、FUS3およびLEC2は、B3ドメイン転写因子をコードしている(Luerbenら、1998 Plant J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,11806−11811)。これらの各遺伝子における機能低下性変異により、乾燥不耐性で、貯蔵化合物生成が欠陥性である胚生成がもたらされる。また、変異型胚は、発芽後プロセス、例えば、苗条の頂端(apical)分裂組織の早期活性化を開始させる。これにより、これらの遺伝子が早期発芽の阻害においてある役割を果たしているという示唆に至った(Meinkeら、1994 Plant Cell 6,1049−1064)。変異型の子葉は葉様の特徴(例えば、突起様構造の形成)を示し、これは、これらの遺伝子が器官アイデンティティ(identity)の決定においても機能を果たすことを示唆する。
J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,11806−11811)。特に、LEC1は、CCAAT結合因子ファミリーのHAP3サブユニットに関連している転写因子サブユニットをコード
しており(Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205)、一方、FUS3およびLEC2は、B3ドメイン転写因子をコードしている(Luerbenら、1998 Plant J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,11806−11811)。これらの各遺伝子における機能低下性変異により、乾燥不耐性で、貯蔵化合物生成が欠陥性である胚生成がもたらされる。また、変異型胚は、発芽後プロセス、例えば、苗条の頂端(apical)分裂組織の早期活性化を開始させる。これにより、これらの遺伝子が早期発芽の阻害においてある役割を果たしているという示唆に至った(Meinkeら、1994 Plant Cell 6,1049−1064)。変異型の子葉は葉様の特徴(例えば、突起様構造の形成)を示し、これは、これらの遺伝子が器官アイデンティティ(identity)の決定においても機能を果たすことを示唆する。
胚形成の後期段階で調節因子として機能を果たすことに加え、LEC遺伝子は、早期胚形成相の調節態様においてある役割を果たしている。lec変異型の胚柄(これは、胚と母組織間の導管としての機能を果たす)は、異常に発達することが示されている。Lec1−2 fus 3−3二重変異型の場合、胚柄は、継続して増殖することができ、二次胚が形成され得、したがって、LEC遺伝子は、胚柄細胞の発生運命を維持し、胚が胚柄になる可能性を抑止する機能を果たしているかもしれないことが示唆される。
LEC1遺伝子の発現は、胚形成に限定されるが、LEC2およびFUS3遺伝子は、発芽後も低レベルで発現される。CaMV35Sプロモータの制御下におけるLEC1またはLEC2の異所性発現によって充分に生長性組織内で胚性特質が誘導され、これは、これらの遺伝子が胚の反応能の調節に関与していることを示唆する(Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205;Luerbenら、1998 Plant
J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,11806−11811)。
J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,11806−11811)。
lec1変異型の以前の解析により、LEC1遺伝子は、胚性の器官アイデンティティを規定する(例えば、lec1変異型は、葉様の特徴を有する子葉を発生させる)に必要であることが示された。また、LEC1遺伝子は活性化経路にも関与しており、これは、貯蔵生成物の蓄積に関与する(Meinkeら、1994 Plant Cell 6,1049−1064;Westら、1994 Plant Cell 6,1731−1745)。CaMV35Sプロモータの制御下でのLEC1の過剰発現により、実生の高度な致死性がもたらされ、ここで、実生は胚様形態構造を例示することが示されている(Lotanら、1998 Cell 93,1195−1205)。生き残った実生では生長性組織から胚様構造が生成され、これは、LEC1発現によって、生長性組織内で胚発生経路が誘導されることを示す。
LEC遺伝子が胚発生の調節因子であるというさらなる証拠が、CHD3クロマチンリモデリング因子をコードするPICKLE(PKL)遺伝子の研究によって提供されている(Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,13839−13844)。PKL遺伝子における変異によって、生長性根分裂組織内で胚性形質の発現がもたらされる(Ogasら、1997 Science 277,91−94)。pkl変異型の遺伝子発現の解析により、これが、生長性組織において高レベルのLEC遺伝子発現を有することが示されている。PKL遺伝子は、発芽中および発芽後においてLEC遺伝子を抑制し、したがって発芽後の胚発生経路の活性化を妨げるのに必要とされる(Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,13839−13844;Dean Riderら、2003 Plant J.35,33−43)。興味深いことに、pkl変異型の表現型で示される浸透度(これは、生長調節因子によって影響され得る)は低い。特に、pkl表現型はジベレリンによっ
て抑制されるが、浸透度は、ジベレリン酸生合成阻害剤であるウニコナゾール−Pの存在下での生長によって増加する(Ogasら、1997 Science 277,91−94)。これは、生長したpkl植物がジベレリン酸欠損変異型と類似した苗条表現型を示すことと合わせると、PKLが、胚発生から生長性発達への移行を促進させるジベレリン酸シグナル伝達経路の一部であることを示す。
て抑制されるが、浸透度は、ジベレリン酸生合成阻害剤であるウニコナゾール−Pの存在下での生長によって増加する(Ogasら、1997 Science 277,91−94)。これは、生長したpkl植物がジベレリン酸欠損変異型と類似した苗条表現型を示すことと合わせると、PKLが、胚発生から生長性発達への移行を促進させるジベレリン酸シグナル伝達経路の一部であることを示す。
接合体胚形成および体細胞胚形成の両方における生長調節因子、特に、オーキシンの関与は、広く報告されている(Toonenおよびde Vries,Embryogenesis the generation of a plant(T L WangおよびA Cuming編)、1996 Bios.Scientific Publishers,Oxford,pp.173−189;Fischer−Iglesiasら、2001 Plant J.26,115−129;Basuら、2002 Plant Physiol.130,292−302;Ribnickyら、2002 Planta 214,505−509;Frimlら、2003 Nature 426,147−153)。合成オーキシンは、体細胞胚形成を誘導するために、多くの種に使用されている(Toonenおよびde Vries,1996 Embryogenesis the generation of a plant(T L WangおよびA
Cuming編,1996 Bios.Scientific Publishers,Oxford,pp 173−189)が、オーキシン調節の機構は充分理解されていない。接合体胚形成では、オーキシン流出担体の局在および活性により、オーキシンの分布が分極軸の確立に重要な役割を果たすことが示唆されている(Frimlら、2003
Nature 426,147−153)。特に、オーキシンは、POLARISなどの遺伝子の極性発現に必要とされる(ToppingおよびLindsey,1997 Plant Cell 9,1713−1725;Cassonら、2002 Plant Cell 14,1705−1721)。しかしながら、現時点では、オーキシンとLECの機能との関係は不明である。
Cuming編,1996 Bios.Scientific Publishers,Oxford,pp 173−189)が、オーキシン調節の機構は充分理解されていない。接合体胚形成では、オーキシン流出担体の局在および活性により、オーキシンの分布が分極軸の確立に重要な役割を果たすことが示唆されている(Frimlら、2003
Nature 426,147−153)。特に、オーキシンは、POLARISなどの遺伝子の極性発現に必要とされる(ToppingおよびLindsey,1997 Plant Cell 9,1713−1725;Cassonら、2002 Plant Cell 14,1705−1721)。しかしながら、現時点では、オーキシンとLECの機能との関係は不明である。
発明の概要
第1の態様によれば、本発明は、野生型LEC1プロモータに対して欠失を含み、アラビドプシスの非胚植物生長性組織においてプロモータ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも500塩基、またはその機能的同等物(該用語は以下に規定する)を含むLEC1プロモータの単離断片を提供する。
第1の態様によれば、本発明は、野生型LEC1プロモータに対して欠失を含み、アラビドプシスの非胚植物生長性組織においてプロモータ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも500塩基、またはその機能的同等物(該用語は以下に規定する)を含むLEC1プロモータの単離断片を提供する。
本発明の単離断片は、図1に示す配列による少なくとも500塩基の配列またはその機能的同等物を含み、該機能的同等物もまた、アラビドプシスの非胚生長性植物組織においてプロモータ活性を有し、かつ、配列アラインメントプログラムCLUSTAL W(Chennaら、2003,Nucleic Acids Res 31,3497−3500)で測定したとき、図1に示す配列の少なくとも500塩基の一部分において95%の配列同一性を示す。
LEAFY COTYLEDON 1(LEC1)遺伝子は、胚形成の早期および後期段階において植物の正常な発達に必要とされる重要な調節因子である。野生型植物細胞では、LEC1発現は胚形成に限定され、生長性組織において、発芽後、PICKLE(PKL)遺伝子によって一部抑制される。LEC1によって生長性細胞において胚発生が十分に誘導され、LEC1発現の抑制は、胚から生長性成長への移行の重要な特徴である。
野生型LEC1プロモータ領域は、LEC1開始コドンの5’に1992個のDNA塩
基対を含み、ターミネーター領域は、LEC1停止コドンの3’に770個のDNA塩基対を含む(Kwongら、2003,The Plant Cell 15,548)。
基対を含み、ターミネーター領域は、LEC1停止コドンの3’に770個のDNA塩基対を含む(Kwongら、2003,The Plant Cell 15,548)。
用語「単離(された)」は、本明細書で用いる場合、その天然の環境に見られるポリペプチドまたは核酸と通常相互作用する実質的に他の成分を含まない核酸またはポリペプチド成分、あるいはポリペプチドまたは核酸がその天然の環境に存在する場合、成分は、ヒトの介在によって改変されて組成物が形成されたものである、および/または、核酸の場合は、その細胞のある遺伝子座が天然の遺伝子座以外で置き換えられたものをいう。
本明細書で用いる場合、用語「断片」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の不完全な部分をいう。
用語「プロモータ」には、遺伝子の転写開始部位の上流のDNA領域に対する言及が含まれ、「プロモータ活性」は、RNAポリメラーゼおよび他のタンパク質を認識して結合し、転写を開始させることをいう。プロモータ活性(特に、アラビドプシスにおける)を検出または測定するための方法は、レポータ遺伝子(例えば、GFPなど)の発現レベルの検出または測定を伴うものであり得る。本発明の単離断片は、非胚組織において、適当な構築物にて植物細胞(典型的には、アラビドプシス細胞)内に導入されると、コード配列に作動可能に連結された完全長の野生型LEC1プロモータを含む同等の構築物を含む他の同一の植物細胞と比べて、作動可能に連結されたコード配列の発現の増大をもたらし得る。したがって、本発明のプロモータ断片は、非胚組織では、作動可能に連結されたコード配列の有意な発現が誘導され得るが、非胚組織では、完全な野生型LEC1プロモータが抑制される場合、プロモータ活性を有するとみなされ得る。好ましい実施形態において、単離断片は、非胚組織において、胚内で同じ構築物によって引き起こされる発現のレベルの少なくとも10%が引き起こされる場合、プロモータ活性を有する。好ましくは、単離断片により、非胚組織において、同じ構築物で胚内で引き起こされる発現レベルの少なくとも50%、より好ましくは、胚内において引き起こされる発現レベルのほぼ100%が引き起こされる。
本発明の目的のため、用語「胚性組織」は、発芽後48時間までのアラビドプシスの種子中に存在する組織を意味する。用語「非胚性」組織は、発芽後30日間またはそれ以降の時点のアラビドプシス実生由来の組織を意味する。
用語「作動可能な連結」は、本明細書の目的のため、プロモータまたはプロモータ断片がポリヌクレオチドと、適当な条件において、プロモータまたはプロモータ断片によって関連するポリヌクレオチドの転写が引き起こされるように、作動可能に結合されていることを意味する。
本発明のプロモータ断片からは、完全な野生型LEC1プロモータに対して、典型的には少なくとも1000塩基、より好ましくは少なくとも1500塩基、最も好ましくは少なくとも2000塩基が欠失している。図1は、完全なLEC1プロモータの塩基配列を示す。したがって、本発明によるプロモータ断片は、図1に示すものよりも短い配列を有する。典型的には、本発明のプロモータ断片は、図1に示す配列より少なくとも1000、1500または2000塩基少ない。特に、本発明のプロモータ断片から、図1に示す完全な野生型LEC1プロモータ配列に対して2500、3000、3200または3256塩基までもが欠失しているものであり得る。
典型的には、野生型LEC1プロモータ内の本発明のプロモータ断片から欠失した(したがって非存在である)部分は、完全長プロモータの−1500〜−2000位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基(すなわち、ATGコドン)
である。より詳しくは、野生型プロモータ内の本発明のプロモータ断片から欠失した部分は、完全長プロモータの−1000〜−2500位に存在する配列部分、好ましくは完全長プロモータの−500〜−3500位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基である。特別な1つの実施形態において、野生型プロモータ内の本発明のプロモータ断片から欠失した部分は、完全長プロモータの−436〜−3792位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基である。開始コドンは、図1の四角で囲んだATGコドンのいずれかであり得る。
である。より詳しくは、野生型プロモータ内の本発明のプロモータ断片から欠失した部分は、完全長プロモータの−1000〜−2500位に存在する配列部分、好ましくは完全長プロモータの−500〜−3500位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基である。特別な1つの実施形態において、野生型プロモータ内の本発明のプロモータ断片から欠失した部分は、完全長プロモータの−436〜−3792位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基である。開始コドンは、図1の四角で囲んだATGコドンのいずれかであり得る。
好ましくは、本発明の単離断片は、LEC1遺伝子の構造的コード配列(AGIコードAt1g1970)またはその有効部分に、非胚植物細胞内に存在する場合、LEC1遺伝子の発現が増大し、かつ例えば、実生および他の後胚発達段階において、lec転写物アバンダンスの増大がもたらされるように作動可能に連結されている。同様に、本発明のプロモータ断片は、任意のコード配列に作動可能に連結されたものであり得、その発現は、本発明のプロモータ断片、特に、植物遺伝子コード配列によって調節されることが望ましい。
アラビドプシスゲノムイニシアティブ(Arabidopsis Genome Initiative)(AGI)は、モデル植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノムを配列決定するための国際共同研究である。シロイヌナズナから得られた遺伝子配列は、特定のAGIコードで示される。
LEC1プロモータを用いて好都合に発現され得る他の遺伝子としては、胚のアイデンティティ遺伝子、例えば、LEC2(AGIコードAtlg28300)、FUS3(AGIコードAt3g26790)、AB13(AGIコードAt3g24650)およびAt5g17430ならびに他の植物由来のその相同遺伝子などが挙げられる。
好ましくは、本発明のプロモータ断片とLEC1コード配列との作動可能な連結後に発現されるLEC1ポリペプチドは、図2に示す野生型LEC1コード配列と少なくとも80%の配列同一性を有する。より好ましくは、本発明によるLEC1ポリペプチドは、図2に示す野生型LEC1ポリペプチドコード配列に対して少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する。
1つの実施形態において、本発明の第1の態様のプロモータ断片の影響下での植物細胞におけるLEC1遺伝子の過剰発現により、生長性組織内でのデンプンおよび/または油分もしくは脂肪酸などの蓄積が引き起こされる。
LEC1発現は、非胚組織では抑制されることが知られている(Ogasら、1999
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96,13839−13844;Dean Riderら、2003 Plant J.35,33−43)。本発明者らは、LEC1プロモータの不完全な部分は、本発明によりLEC1コード配列に作動可能に連結させると、非胚組織において高レベルのLEC1発現が引き起こされ得ることを見出し、これは、本発明の不完全なプロモータ断片が、完全な野生型LEC1プロモータに対して作用するリプレッサ機構を回避することを明白に示す。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、リプレッサ機構は、野生型LEC1プロモータの本発明の第1の態様のプロモータ断片から欠失した部分に対して作用するか、または該部分を必要とするという仮説をたてる。
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96,13839−13844;Dean Riderら、2003 Plant J.35,33−43)。本発明者らは、LEC1プロモータの不完全な部分は、本発明によりLEC1コード配列に作動可能に連結させると、非胚組織において高レベルのLEC1発現が引き起こされ得ることを見出し、これは、本発明の不完全なプロモータ断片が、完全な野生型LEC1プロモータに対して作用するリプレッサ機構を回避することを明白に示す。なんら特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、リプレッサ機構は、野生型LEC1プロモータの本発明の第1の態様のプロモータ断片から欠失した部分に対して作用するか、または該部分を必要とするという仮説をたてる。
先行技術において示されているように、後胚発達段階におけるLEC1の過剰発現によって、胚発生経路の活性化および胚様形態学的構造の形成が引き起こされ得る。
典型的には、本発明の第1の態様の単離プロモータ断片を含む植物における生長性組織内でのLEC1発現によって、胚軸が胚性形質を獲得した植物の生成がもたらされる。より典型的には、該植物は、後胚期のデンプン、貯蔵脂質およびタンパク質の大量蓄積により肥大した胚軸を示す。
本発明の目的のため、用語「肥大した胚軸」は、同じ年齢(例えば、発芽後7〜14日の範囲)の野生型アラビドプシス実生と比較したとき、少なくとも50%大きい体積の胚軸を有するアラビドプシス実生に関する。胚軸の体積は、簡単な顕微鏡検査によって推定され得る。
好ましくは、本発明の単離プロモータ断片は、優性変異を引き起こす欠失を含む。1つの実施形態において、優性変異は低浸透度のものである。
上記に説明したように、第2の態様において、本発明は、野生型LEC1プロモータに対して欠失を含み、非胚植物生長性組織においてリプレッサ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも400塩基、またはその機能的同等物を含むLEC1プロモータの単離断片を提供する。説明として、本発明の第1の態様の野生型プロモータから欠失した部分は、LEC1プロモータ内の非胚組織においてlecが抑制されるのに必要とされる部分である。したがって、外挿により、LEC1プロモータの欠失した部分は、リプレッサ活性を有するはずである。
好ましくは、野生型LEC1プロモータに対して欠失を含む本発明の第2の態様の単離断片は、図1に示す配列の3256未満の塩基、より好ましくは3200未満、最も好ましくは3000または2500未満の塩基、またはそれと少なくとも95%の配列同一性を示す同等の大きさの分子を含む。
特に、本発明の第2の態様のプロモータ断片は、野生型LEC1プロモータの不完全な部分を含む。好ましくは、本発明の第2の態様の断片は、少なくとも500塩基、より好ましくは少なくとも1000塩基、最も好ましくは少なくとも1500塩基を含む。特に、本発明の第2の態様のプロモータ断片は、2000、2500まで、または3000塩基までも含むものであり得る。
好ましい実施形態において、本発明の第2の態様のプロモータ断片は、プロモータ開始部位上流の436〜3796塩基に存在する図1に示す野生型完全LEC1プロモータ配列の少なくとも500塩基の部分を含むか、または該部分と少なくとも95%の配列同一性を示す。
DNAの操作方法は当業者に公知である。本発明の単離断片は、標準的な組換え方法、合成技術またはその組合せを用いて作製され得る。読者はSambrookら 「Cloning.A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Press、New York(その内容は、引用により具体的に本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
第3の態様において、本発明は、上記規定の本発明の第1または第2の態様による単離プロモータ断片を含む組換え核酸構築物を提供する。
好都合には、構築物は、さらに、以下:植物細胞内への構築物の導入を容易にするT−DNA;構築物が適当な宿主細胞内で増幅されるのを可能にする複製起点;ポリペプチドをコードし、第1または第2の態様のプロモータ断片に作動可能に連結されたヌクレオチド配列;選択可能マーカー(抗生物質耐性遺伝子など);エンハンサーエレメント;およ
び適当な宿主細胞、特に植物宿主細胞において好ましく活性である構成的または誘導性の1つ以上のさらなるプロモータの1つ以上を含むものであり得る。
び適当な宿主細胞、特に植物宿主細胞において好ましく活性である構成的または誘導性の1つ以上のさらなるプロモータの1つ以上を含むものであり得る。
第4の態様において、本発明は、転写される配列を、本発明の第1または第2の態様による単離プロモータ断片と作動可能に連結された状態に配置する工程を含む、核酸配列の転写を引き起こす方法を提供する。好ましくは、第1または第2の態様の単離断片および転写される配列は、植物細胞内で作動可能に連結された状態に配置する。植物細胞は、単子葉植物または双子葉植物に由来するものであり得、特に、商用デンプン供給源である植物、例えば、トウモロコシ、イモ、コメ、キャッサバなどに由来するものであり得る。
LEC1変異型プロモータにより、アラビドプシスにおいてLEC1遺伝子の異所性発現が駆動され、通常は蓄積が非常に低レベルである組織においてデンプンのおよび油分の高蓄積(hyperaccumulation)がもたらされる。トウモロコシにおいて油分の生成量を増大させるためにLEC遺伝子ファミリーを使用することが報告されており(Allenら、2003 US2003/0126638)、刊行物の内容は、引用により具体的に本明細書に組み込まれる。しかしながら、本発明者らは、本発明の好ましい1つの実施形態を構成するデンプンの生成を増大させるためのツールとしてのLEC1および関連遺伝子の使用の示唆についてなんら認識はなかった。本出願は、特に、作物におけるデンプン生成量を増大させるためのLEC1ファミリー遺伝子の利用、例えば、オーキシン合成またはシグナル伝達に影響する遺伝子と共発現させる「遺伝子集積化(gene pyramiding)」アプローチに関する。
LEC1遺伝子は、同定されるべき最初の転写因子であり、生長性組織においてデンプン生合成経路をオンに切り替え得る。これは、潜在的に作物植物におけるデンプン生成量に対して大きな影響を及ぼし得る。この知見は、以下に記載するように、いくつかの様式で利用され得る。
1.変異型アラビドプシスLEC1プロモータおよび遺伝子は、標的作物種内(例えば、イモ、キャッサバ、コメ、トウモロコシなど)に単一の存在体(entity)として導入され、生長性組織内でのデンプン蓄積の活性化が誘導され得、またはインビトロで、通常はデンプンが蓄積されない培養植物細胞もしくは組織内に導入され得る。作物植物または細胞培養物の形質転換は、標準的な手法、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介型形質転換、または直接遺伝子導入方法、例えばマイクロプロジェクタイル・ボンバードメント(Casasら、1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,11212−11216);もしくはプロトプラストトランスフェクション(Lindsey & Jones,1988 New,Nucleic Acid Techniques,519−536,J A Walker編,Humana Press,Clifton,N
J;Lindsey & Jones,1989,Plant Cell Rep.8.,71−74)(当業者に公知である)などによって行なわれ得る。最大レベルの効果を確実にするため、および異所性LEC1発現によって媒介されるデンプン蓄積に対するオーキシンの促進効果に鑑み、LEC1遺伝子は、好ましくは、LEC1発現細胞においてオーキシン蓄積またはオーキシン感受性の増強が促進されるように設計された遺伝子(1つまたは複数)と共形質転換されるのがよい。例えば、かかる遺伝子の一例は、推定オーキシン受容体であるオーキシン結合タンパク質(Auxin Binding Protein)1(ABP1)(これは、過剰発現された場合、細胞に対してオーキシン応答性の増強を付与する)をコードするものである(Baulyら 2000 Plant Physiol.124,1229−1238;Chenら、2001 Genes Devel.15,902−911)。使用される遺伝子の第2の例は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のiaaM遺伝子であり、これは、オーキシン生合成酵素をコ
ードし、過剰発現された場合、オーキシンの蓄積および応答の増大が誘導される(Kleeら、1987,Genes Devel.1,86−96)。これらの例は例示であり、当業者にはわかるオーキシンの合成、代謝またはオーキシンに対する細胞感受性に影響する他の遺伝子が使用され得る。
J;Lindsey & Jones,1989,Plant Cell Rep.8.,71−74)(当業者に公知である)などによって行なわれ得る。最大レベルの効果を確実にするため、および異所性LEC1発現によって媒介されるデンプン蓄積に対するオーキシンの促進効果に鑑み、LEC1遺伝子は、好ましくは、LEC1発現細胞においてオーキシン蓄積またはオーキシン感受性の増強が促進されるように設計された遺伝子(1つまたは複数)と共形質転換されるのがよい。例えば、かかる遺伝子の一例は、推定オーキシン受容体であるオーキシン結合タンパク質(Auxin Binding Protein)1(ABP1)(これは、過剰発現された場合、細胞に対してオーキシン応答性の増強を付与する)をコードするものである(Baulyら 2000 Plant Physiol.124,1229−1238;Chenら、2001 Genes Devel.15,902−911)。使用される遺伝子の第2の例は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のiaaM遺伝子であり、これは、オーキシン生合成酵素をコ
ードし、過剰発現された場合、オーキシンの蓄積および応答の増大が誘導される(Kleeら、1987,Genes Devel.1,86−96)。これらの例は例示であり、当業者にはわかるオーキシンの合成、代謝またはオーキシンに対する細胞感受性に影響する他の遺伝子が使用され得る。
2.また、遺伝子導入植物において直接、またはインビトロで培養植物の細胞もしくは組織において、アラビドプシスのLEC1遺伝子または標的作物種に由来する構造的および機能的に関連する遺伝子を、上記のようなオーキシン合成、代謝またはオーキシンに対する細胞感受性がモジュレートされるように設計された遺伝子とともに過剰発現させることも可能である。いくつかの作物学的に重要な植物種には、アラビドプシスECl遺伝子の相同遺伝子が含まれる。例としては、Oryza sativa(コメ、受託AY264284)、Zea mays(トウモロコシ、受託AF4101 76)、Brassica napus(菜種、受託CD814252)、Helianthus annuus(ヒマワリ、受託AJ879074)およびGlycine max(大豆、受託AY058917)が挙げられる。相同遺伝子は、LEC1ポリペプチドとその全配列において35〜60%の同一性を共有している。おそらく、このような相同遺伝子は、アラビドプシスLEC1遺伝子と基本的には等価であり、したがって、生長性組織におけるデンプン蓄積の操作のための魅力的な標的である。他の種に由来する同様の遺伝子は、当業者にはわかる標準的な分子生物学手法によって単離され得る。例えば、相同遺伝子は、縮重PCR(Compton,1990,PCR Protocols,pp.39−45,Innis,Gelfand,SvinskyおよびWhite編,Academic Press,New York);プローブとしてアラビドプシスのRNAもしくはDNA配列を用いることにより標的作物種のRNAから作製したcDNAもしくはゲノムDNAライブラリーのスクリーニング;またはゲノムもしくはcDNA配列情報を使用し、遺伝子特異的PCRプライマーを設計し、関連遺伝子もしくはcDNAの増幅およびクローニングを可能にすることによって単離され得る。植物においてLEC1相同遺伝子を増幅するために使用され得る縮重プライマーの配列は、以下のとおりである。
フォワードプライマー:
(G/A)CA(A/G)GA(C/T)(C/A)(A/G)N(T/C)(A/T)(C/G/T)ATGCC(A/G)AT(C/A/T)G、または標準的なIUPAC命名法RCA RGA YMR NYW BAT GCC RAT HGの使用
リバースプライマー:
C(G/C/A)(G/C)(T/C)(C/A)TC(T/A/G)A(T/A/G)(C/T)(C/T)C(A/C/G)C(G/T)(G/A)TA(C/G/A)C(G/T)(G/A/T)(またはIUPAC命名法CVS YMT CDA DYY CVC KRT AVC KDの使用)。
(G/A)CA(A/G)GA(C/T)(C/A)(A/G)N(T/C)(A/T)(C/G/T)ATGCC(A/G)AT(C/A/T)G、または標準的なIUPAC命名法RCA RGA YMR NYW BAT GCC RAT HGの使用
リバースプライマー:
C(G/C/A)(G/C)(T/C)(C/A)TC(T/A/G)A(T/A/G)(C/T)(C/T)C(A/C/G)C(G/T)(G/A)TA(C/G/A)C(G/T)(G/A/T)(またはIUPAC命名法CVS YMT CDA DYY CVC KRT AVC KDの使用)。
上記のプライマーは、作物学的に重要な植物種由来のおよそ200bpの断片を増幅する能力を有する。次いで、増幅断片は、cDNA/ゲノムライブラリーに対するプローブとして使用され得る。あるいはまた、5’および3’RACE手法(cDNA末端の迅速増幅)が必要とされ得る。代替法として、アラビドプシスLEC1 cDNAがプローブとして低ストリンジェンシー条件下で使用され得る。完全長LEC1 cDNAクローンは、cDNAまたはゲノムライブラリーのプローブ検索に使用され得る。適切な増幅、単離およびスクリーニング手法は、当業者には周知である(例えば、Sambrookら(前掲)において)。
LEC1またはその相同遺伝子の発現は、構成的または広域(widely)発現のいずれかのプロモータ(例えば、CaMV35Sプロモータ)あるいは当業者に利用可能な他のもの;または特定の組織もしくは器官における発現が駆動され得る遺伝子プロモータ
によって駆動され得る。
によって駆動され得る。
3.LEC1の相同遺伝子のプロモータを修飾し、生長性組織における発現を促進させること、およびこれを用いて特定の作物種においてLEC1相同遺伝子の発現を駆動することが可能である。このようなプロモータの欠失解析を使用し、当業者にはわかる標準的な手法を用いて、生長性組織内での発現の抑制に必要とされる領域が同定され得る。各欠失変異型の相同プロモータおよびその遺伝子は単一の存在体として、それぞれの標的作物種内に導入され、生長性組織内でのデンプン蓄積の活性化が誘導され得、またはインビトロで、通常はデンプンが蓄積されない培養植物細胞もしくは組織内に導入され得る。
4.スクロースが、オーキシンの存在下でLEC1の異所性発現を行なう組織のデンプン蓄積表現型を増大させるという証拠を考慮すると、デンプン蓄積を最大限にするため、遺伝子導入組織においてスクロース利用可能能を操作することが望ましい場合もあり得る。この例では、LEC1(またはその相同遺伝子)の発現、オーキシン応答およびスクロース利用可能能を同時に局所的に増大させる目的で、スクロース輸送因子とLEC1遺伝子とオーキシン合成/シグナル伝達遺伝子(上記)共発現によって細胞内のスクロース濃度を増大させ得る。これは、上記のものに対するさらなる「遺伝子集積化」を提示する。
1つの実施形態において、本発明の第1または第2の態様の単離断片および転写される配列は、植物細胞内に導入される同じ構築物上に存在させ得る。別の実施形態において、本発明の第1または第2の態様の単離断片および転写される配列を、植物細胞内に導入される異なる構築物上に、プロモータおよびコード配列植物細胞内で作動可能に連結された状態に配置される(典型的には、宿主細胞ゲノム内への組込み後に)ように存在させる。さらなる1つの実施形態において、転写される配列は、植物細胞に内在性のものであり得、本発明の第1または第2の態様の単離断片の導入、ならびにその後、標的遺伝子の充分近傍の宿主細胞ゲノム内に組み込まれることにより、内在配列の転写が、本発明の第1または第2の態様のプロモータ断片の制御下でもたらされる。
別の実施形態において、転写される配列の存在および/または本発明の第1もしくは第2の態様による単離断片の存在は、レポータアッセイを用いてモニターされ得、ここで、レポータ遺伝子は、当該配列を認識するものである。
第1の態様において、転写される配列と単離断片との作動可能な連結により、発現のアップレギュレーションがもたらされる。第2の態様では、転写される配列と単離断片との作動可能な連結により、発現のダウンレギュレーションがもたらされる。
一部のある実施形態において、第1または第2の態様によるプロモータ断片のプロモータ活性は、オーキシンによって調節可能であり、この場合、単離プロモータ断片を含む植物細胞におけるオーキシンの存在により、胚性形質、例えば、デンプン、脂質またはタンパク質の蓄積の発現などが引き起こされる。同様に、第1または第2の態様の単離断片を含む植物細胞へのスクロースの添加により、胚性表現型浸透度が増強される。逆に、ホルモンであるジベレリンおよびアブシジン酸(ABA)は、変異型の表現型の調節に役割を果たさず、サイトカイニンは、変異型の表現型浸透度に拮抗作用する。したがって、例えば、胚細胞の発生運命の制御におけるLEC1の役割には、細胞の分裂および分化を促進させるためのオーキシンおよびスクロースの存在が必要であり得る。
第5の態様において、本発明は、第1または第2の態様による単離プロモータ断片が植物細胞内に導入されており、続いて、細胞から小植物が生成される改変植物、またはその配列が植物内に導入されている改変植物を提供する。本発明はまた、かかる植物または小植物の子孫であって、導入プロモータ断片が好ましくは安定な様式で保持されている(す
なわち、当該核酸分子がそれ自身の子孫に伝達される)子孫を提供する。
なわち、当該核酸分子がそれ自身の子孫に伝達される)子孫を提供する。
本発明の方法に従って形質転換され得る植物の例としては、限定されないが、シロイヌナズナ(Columbia−O生態型)が挙げられ、また、トウモロコシ、コムギ、コメ、オオムギ、オートムギ、大豆、キャッサバ、カブおよびスイード(swede)などの単子葉植物および双子葉植物が挙げられる。単子葉植物および双子葉植物の形質転換方法は、当業者にはわかり、例えば、植物細胞プロトプラストまたは胚のカルスのエレクトロポレーション、粒子ボンバードメント、マイクロインジェクションなどの手法、アグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介型形質転換手法および遺伝子銃手法が挙げられる。デンプン供給源として商業的に使用される植物、例えば、トウモロコシおよびキャッサバなどが特に好ましい。
本発明はまた、植物内に本発明の第1または第2の態様による単離断片を導入すること、および/または本発明の第3の態様による導入することを含む、植物の改変方法を提供する。本発明はまた、第1もしくは第2の態様のプロモータ断片または第3の態様による構築物を導入し、任意選択で、形質転換植物細胞から小植物および/または植物を生成させることによる植物の改変方法を提供する。好ましくは、植物は、望ましい形質、例えば、生長性組織内でのデンプンまたは他の貯蔵分子の貯蔵の増大などを有するように改変する。所望の場合、デンプン合成を増大または改変させるために、植物内の1種類以上のデンプン合成酵素(例えば、可溶性のデンプン合成酵素、顆粒性結合デンプン合成酵素、デンプン分枝酵素)を、該植物においてアップレギュレートまたは修飾してもよい。
本発明の単離断片は、シロイヌナズナ植物において遺伝子タグ化手法を用いて同定した。本質的に、本発明者らは、後胚実生において胚性特質を示すアラビドプシス変異型についてスクリーニングを行なった。具体的には、本発明者らは、胚および実生の分極の分子マーカーPOLARIS(PLS)遺伝子の発現パターンの変更を引き起こす変異についてスクリーニングを行なった。PLS遺伝子は、最初にプロモータtrapによって同定され、シロイヌナズナ植物の中心段階の胚の基礎領域においてGUS発現を示す(Toppingら、1994 Plant J.5,895−903;ToppingおよびLindsey,1997 Plant Cell 9,1713−1725)。PLS遺伝子は、推定36アミノ酸残基を含み、正しいホルモンシグナル伝達および発達に必要なペプチドをコードする(Cassonら、2002 Plant Cell 14,1705−1721)。
本発明者らは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のT−DNAを有するアラビドプシスのPLS−GUSプロモータtrap系統の大集団を形質転換した。本発明者らは、おそらくT−DNA挿入事象の欠如(abort)により、LEC1天然遺伝子に近い欠失変異がもたらされ、これによりさらに、生長性組織内での遺伝子の発現がもたらされることを見出した。変異は、機能獲得変異である。かかる変異よって、生長性組織内で胚性経路が活性化されることにより、LEC1遺伝子発現が変更され得る。本発明者らによって同定された変異を「カブ」(tnp)変異と命名した。
疑念の回避のため、本明細書において「好ましい(preferable)」、「好ましい(preferred)」、「好都合な」、「望ましい」などと記載する本発明の任意の特徴は、特に記載のない限り、単独、またはそのように記載した任意の他の特質(1つまたは複数)との組合せで存在するものであり得ることを明白に記載しておく。
以下の実施例は、本発明の例示であって、限定するものではない。実施例では図面を参照する。
実施例
カブ(tnp)変異型の同定
tnp変異を含む植物を、正しい根生長に必要な推定小ポリペプチドをコードする遺伝子が欠失したpls変異型の活性化タグ化スクリーニングにおいて単離した(Cassonら、2002,The Plant Cell 14,1705−1721)。PLS発現の変更因子を同定するため、pls系統(シロイヌナズナ生態型C24、プロモータtrap p gusBinl9を含む、Toppingら、1991,Development 112,1009−1019;Toppingら、1994,Plant J.5,895−903;Cassonら 2002,Plant Cell 14,1705− 1721)由来の植物を、活性化タグ構築物(バイナリーベクターpMOG 1006内において4×CaMV35Sエンハンサーエレメントのタンデムリピートからなる)で形質転換した(Mogen,Leiden,オランダ)。植物は、フローラル・ディップ(floral dip)法によって(CloughおよびBent,1998,Plant J.16,735−743)、アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58C1を用いて形質転換した(Daleら、1989,Plant Sci..63,237−245)。遺伝子導入集団を、β−グルクロニダーゼ(GUS)発現が改変された変異型についてスクリーニングした。スクリーニングした系統のうち、系統番号930は、植物の胚軸と根の間の接合部でPLS−GUSの異常発現を示した(図3a参照)。肥大した密集構造がこの位置に形成された。この表現型は分離し、「カブ」(tnp)変異型と称した。
tnp変異を含む植物を、正しい根生長に必要な推定小ポリペプチドをコードする遺伝子が欠失したpls変異型の活性化タグ化スクリーニングにおいて単離した(Cassonら、2002,The Plant Cell 14,1705−1721)。PLS発現の変更因子を同定するため、pls系統(シロイヌナズナ生態型C24、プロモータtrap p gusBinl9を含む、Toppingら、1991,Development 112,1009−1019;Toppingら、1994,Plant J.5,895−903;Cassonら 2002,Plant Cell 14,1705− 1721)由来の植物を、活性化タグ構築物(バイナリーベクターpMOG 1006内において4×CaMV35Sエンハンサーエレメントのタンデムリピートからなる)で形質転換した(Mogen,Leiden,オランダ)。植物は、フローラル・ディップ(floral dip)法によって(CloughおよびBent,1998,Plant J.16,735−743)、アグロバクテリウム・ツメファシエンスC58C1を用いて形質転換した(Daleら、1989,Plant Sci..63,237−245)。遺伝子導入集団を、β−グルクロニダーゼ(GUS)発現が改変された変異型についてスクリーニングした。スクリーニングした系統のうち、系統番号930は、植物の胚軸と根の間の接合部でPLS−GUSの異常発現を示した(図3a参照)。肥大した密集構造がこの位置に形成された。この表現型は分離し、「カブ」(tnp)変異型と称した。
Tnp変異は優性であるが、不完全な浸透度を示す
T2集団に存在するtnp実生の数は、単一の劣性遺伝子座について予測され得る数よりも多かった。したがって、これは、tnp変異が優性であることを示唆する。特に、T2集団は126種の野生型植物を含むことがわかったが、170種もの多くの植物がtnp変異を含むことがわかった。T2実生の分離比解析により、tnp変異は、T−DNAの挿入に連鎖していないことが明らかになった。PCR手法を使用し、野生型シロイヌナズナ(Col−O)とtnp変異を含む植物との異種交配後に生成された植物のF2子孫を解析した。その結果、変異は、部分活性化タグの存在によるものではなく、pls変異に依存性ではないことが示された(データ示さず)。
T2集団に存在するtnp実生の数は、単一の劣性遺伝子座について予測され得る数よりも多かった。したがって、これは、tnp変異が優性であることを示唆する。特に、T2集団は126種の野生型植物を含むことがわかったが、170種もの多くの植物がtnp変異を含むことがわかった。T2実生の分離比解析により、tnp変異は、T−DNAの挿入に連鎖していないことが明らかになった。PCR手法を使用し、野生型シロイヌナズナ(Col−O)とtnp変異を含む植物との異種交配後に生成された植物のF2子孫を解析した。その結果、変異は、部分活性化タグの存在によるものではなく、pls変異に依存性ではないことが示された(データ示さず)。
実験データによってtnp変異が優性であることが示されたが、独立したT3系統の解析により、tnp表現型浸透度は系統間で有意に異なり、値は、およそ0〜60%の範囲であることが示された。不完全な浸透度がメチル化依存性遺伝子サイレンシングによるものである否かを確証するため、個々のT3同種系統を、メチル化阻害剤である100μMの5−アザシチジンの存在下で発芽させた(JonesおよびTaylor,1980 Cell 20,85−93)。各系統への5−アザシチジンの添加により、対照レベルと比べてtnp表現型浸透度の増大が引き起こされたが、その効果は、独立した系統間で高度に変動性であることがわかった(表1参照)。しかしながら、この結果は、メチル化媒介性遺伝子サイレンシングが、不完全なtnp浸透度の原因の一部であることを示した。
Tnp変異型は細胞実体の改変を示す
tnp変異を含む実生は、高度表現型変動性を示した。稀な場合において、tnp変異は実生に対して致死性であった(図4b参照)。tnpおよび対照の長角果由来の胚の検査では、形態学的な違いはなんら示されず、これは、表現型の欠陥が発芽後に発現されることを示す。走査電子顕微鏡検査手法を使用し、異常胚軸の表面パターン形成を調べた。表皮細胞は、pls親のものよりもずっと小さく平坦であった(図4cおよび4d参照)。tnp変異を含む細胞は、厳密なファイル(strict file)状態のままであったしかしながら、場合によっては、あるファイルにおいて異常な細胞分裂が起こり、この場合、変異によって、大きさが小さいいくつかの細胞の生成がもたらされた(図4e参照)。異常な細胞分裂の境界部では、細胞の過剰な伸張の実行が見られた(図4f)。この形態発生の改変が内部細胞パターン形成の変化と関連しているか否かを調べる試みにおいて、構造体の放射断面および縦断面を調べた。明白なパターン形成の欠陥は観察されなかった(図6aおよび6b参照)。しかしながら、断片化により、胚軸の異常領域内の細胞は、事実上、液胞を欠くこと、および異常細胞から正常細胞への移行は、構造体の厳密な境界部では起こらないことが明らかになった(図6c参照)。
tnp変異を含む実生は、高度表現型変動性を示した。稀な場合において、tnp変異は実生に対して致死性であった(図4b参照)。tnpおよび対照の長角果由来の胚の検査では、形態学的な違いはなんら示されず、これは、表現型の欠陥が発芽後に発現されることを示す。走査電子顕微鏡検査手法を使用し、異常胚軸の表面パターン形成を調べた。表皮細胞は、pls親のものよりもずっと小さく平坦であった(図4cおよび4d参照)。tnp変異を含む細胞は、厳密なファイル(strict file)状態のままであったしかしながら、場合によっては、あるファイルにおいて異常な細胞分裂が起こり、この場合、変異によって、大きさが小さいいくつかの細胞の生成がもたらされた(図4e参照)。異常な細胞分裂の境界部では、細胞の過剰な伸張の実行が見られた(図4f)。この形態発生の改変が内部細胞パターン形成の変化と関連しているか否かを調べる試みにおいて、構造体の放射断面および縦断面を調べた。明白なパターン形成の欠陥は観察されなかった(図6aおよび6b参照)。しかしながら、断片化により、胚軸の異常領域内の細胞は、事実上、液胞を欠くこと、および異常細胞から正常細胞への移行は、構造体の厳密な境界部では起こらないことが明らかになった(図6c参照)。
中心部の大きな液胞の非存在および色素トルイジンブルーでの細胞の密集染色部により、細胞が貯蔵組織を形成したという提案がもたらされた。したがって、細胞を貯蔵化合物の存在について試験した。ルゴール溶液での染色により、細胞がデンプン粒を含むことが示された(図6d)。さらにまた、色素Fat Redでの染色により、大量のトリアシルグリセロールの存在が示された(図6e参照)。
細胞形態発生の改変、高レベルのデンプンおよびトリアシルグリセロールの蓄積、ならびに異常胚軸領域内でのPLS発現の改変により、細胞実体が変化したという示唆がもたらされた。この仮説をさらに調べるため、他のマーカーの発現パターンをモニターした。胚軸の表皮細胞を、Haseloff J2662およびJ2601 GFPマーカー系統の発現によってマーキングする(http://www.plantsci.cam.ac.uk/Haseloff)。tnp変異を含む実生において、発現は、異常胚軸細胞では非存在であったが、胚軸より上部の細胞では存在した(図7a〜d参照)。また、ARR5/IBC6::GFPマーカー(BrandstatterおよびKieber,1998 Plant Cell 10,1009−1019;Cassonら、2002 Plant Cell 14,1705−1721)は、通常、根の内鞘細胞および胚軸において発現され、また、サイトカイニン応答性のマーカーである。しかしながら、tnp実生では、発現は、異常胚軸および形態学的に正常な胚軸細胞の両方で高度に変
動性であり、ほとんどの場合、表皮細胞層に出現することがわかった(図7e〜g)。SCR::GFPマーカー(Wysocka−Dillerら、2000 Development 127,595−603)の発現を使用し、内胚葉細胞の実態を調べた。発現は、根および形態学的に正常な胚軸細胞において明白であったが、発現は、異常構造体では事実上、非存在であった。しかしながら、tnp変異を含む実生の胚軸の横断面の解析では、稀だが液胞を有する細胞がSCR::GFP発現を示すことが示された(図7h〜j参照)。通常、胚形成後の胚軸の生長は、細胞増殖によって起こる。これがtnp実生においてもそうであるか否かを調べるため、CYCAT1:CDB:GUSマーカー(HauserおよびBenfey,2000 Plant and Soil 226,1−10)を使用し、細胞分裂事象を調べた。予測どおり、野生型実生では細胞分裂は観察されなかったが、tnp変異を含む実生では細胞分裂は明白であった(図7k〜l参照)。
動性であり、ほとんどの場合、表皮細胞層に出現することがわかった(図7e〜g)。SCR::GFPマーカー(Wysocka−Dillerら、2000 Development 127,595−603)の発現を使用し、内胚葉細胞の実態を調べた。発現は、根および形態学的に正常な胚軸細胞において明白であったが、発現は、異常構造体では事実上、非存在であった。しかしながら、tnp変異を含む実生の胚軸の横断面の解析では、稀だが液胞を有する細胞がSCR::GFP発現を示すことが示された(図7h〜j参照)。通常、胚形成後の胚軸の生長は、細胞増殖によって起こる。これがtnp実生においてもそうであるか否かを調べるため、CYCAT1:CDB:GUSマーカー(HauserおよびBenfey,2000 Plant and Soil 226,1−10)を使用し、細胞分裂事象を調べた。予測どおり、野生型実生では細胞分裂は観察されなかったが、tnp変異を含む実生では細胞分裂は明白であった(図7k〜l参照)。
tnp変異を含む実生は、暗所条件において欠陥性の生長を示す
暗所にて1%スクロースの存在下で、tnp変異を含む実生を生長させると、明所で生長させたtnp実生で観察されたものよりも低い浸透度割合がもたらされた(すなわち、明所生長条件では16.7%+SEに対して暗所生長条件では11.3%±SEの浸透度を有した)。また、実験により、暗所で生長させた実生は、部分脱黄化を受けたことも示された(図8a〜c参照)。暗所条件での生長中、pls対照植物の苗条頂端分裂組織(SAM)は発達しなかった。対照的に、tnp変異を含む実生の生長中、子葉の葉柄は拡張し、7日後に最初の葉が発育された。先の実験により、SAMをスクロース含有培地と接触させると、同様の効果がもたらされることが示されている(Roldinら、1999 Plant J.20,581−590)。本発明者らの観察では、部分脱黄化を示すtnp実生の60%において、SAMを生長培地と接触させなかった。しかしながら、脱黄化表現型は、接触を示した実生において、より顕著であることが示された。SAMの活性の差に加え、tnp実生の根系もまたplsのものと異なり、より多数で、より伸張された側根を有した(図8a〜b参照)。対照的に、明所で生長させたplsとtnp実生の根の構造に差はみられなかった(データ示さず)。
暗所にて1%スクロースの存在下で、tnp変異を含む実生を生長させると、明所で生長させたtnp実生で観察されたものよりも低い浸透度割合がもたらされた(すなわち、明所生長条件では16.7%+SEに対して暗所生長条件では11.3%±SEの浸透度を有した)。また、実験により、暗所で生長させた実生は、部分脱黄化を受けたことも示された(図8a〜c参照)。暗所条件での生長中、pls対照植物の苗条頂端分裂組織(SAM)は発達しなかった。対照的に、tnp変異を含む実生の生長中、子葉の葉柄は拡張し、7日後に最初の葉が発育された。先の実験により、SAMをスクロース含有培地と接触させると、同様の効果がもたらされることが示されている(Roldinら、1999 Plant J.20,581−590)。本発明者らの観察では、部分脱黄化を示すtnp実生の60%において、SAMを生長培地と接触させなかった。しかしながら、脱黄化表現型は、接触を示した実生において、より顕著であることが示された。SAMの活性の差に加え、tnp実生の根系もまたplsのものと異なり、より多数で、より伸張された側根を有した(図8a〜b参照)。対照的に、明所で生長させたplsとtnp実生の根の構造に差はみられなかった(データ示さず)。
また、tnp変異を含む植物では、他の発達側面も影響を受けた。特に、開花期は高度に変動性であることがわかった。植物のほとんどは、pls親系統と同じ時期に開花したが、一部のtnp植物は、遅くに開花することがわかった(図8d参照)。tnp植物の最初の本葉を調べると、pls植物のものより楕円形であることが示された(図8e参照)。
TNPのクローニング
分離比解析により、tnp変異は、T−DNAの挿入と関連していないことが示された。したがって、tnp変異を含む植物(C24−生態型)をシロイヌナズナのCol−O生態型と異系交配することにより、F2マッピング集団が作製されるマップ系クローニングストラテジーを使用した。単純配列長多型(simple sequence length polymorphism)(SSLP)マーカーnga 280(83cM)を使用し、TNP遺伝子座は、暫定的に第I染色体上のほぼ40cMに位置決定された。
分離比解析により、tnp変異は、T−DNAの挿入と関連していないことが示された。したがって、tnp変異を含む植物(C24−生態型)をシロイヌナズナのCol−O生態型と異系交配することにより、F2マッピング集団が作製されるマップ系クローニングストラテジーを使用した。単純配列長多型(simple sequence length polymorphism)(SSLP)マーカーnga 280(83cM)を使用し、TNP遺伝子座は、暫定的に第I染色体上のほぼ40cMに位置決定された。
さらに27VP遺伝子座をマッピングするため、tnpの優性の表現型が不完全な浸透度と連鎖することが説明され得るストラテジーを開発した。F2マッピング集団の種子を、20%スクロースおよび25nM 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)を含有する培地上で発芽させると、生長に対して影響を及ぼすことなくtnpの最高浸透度がもたらされ、したがって、集団においてTNP/tnpヘテロ接合体の割合が増大する
ことがわかった。次いで、TNP遺伝子のいずれか側に存在することが予測されるマーカーを用いて、SSLP解析を行なった。一方のマーカーにCol−O生態型を有し、第2のマーカーにCol−O/C24生態型を有する(またはその逆)植物が同定された。したがって、優性tnpヘテロ接合体を用いてTNPの遺伝子座をマッピングした。このアプローチを使用すると、24/800の植物が、マーカーnga 248(42.17cM、BACF3H9)でCol−Oであり、1/800の植物がマーカーF24J8(およそ32cM、BAC F24J8)でCol−Oであることがわかった。このような植物は、代替マーカーではCol−O/C24ヘテロ接合体であった。精細なマッピングにより、TNPがBAC T26F17またはF2E2のいずれかの遺伝子座に存在するという決定がもたらされた(図9a参照)。
ことがわかった。次いで、TNP遺伝子のいずれか側に存在することが予測されるマーカーを用いて、SSLP解析を行なった。一方のマーカーにCol−O生態型を有し、第2のマーカーにCol−O/C24生態型を有する(またはその逆)植物が同定された。したがって、優性tnpヘテロ接合体を用いてTNPの遺伝子座をマッピングした。このアプローチを使用すると、24/800の植物が、マーカーnga 248(42.17cM、BACF3H9)でCol−Oであり、1/800の植物がマーカーF24J8(およそ32cM、BAC F24J8)でCol−Oであることがわかった。このような植物は、代替マーカーではCol−O/C24ヘテロ接合体であった。精細なマッピングにより、TNPがBAC T26F17またはF2E2のいずれかの遺伝子座に存在するという決定がもたらされた(図9a参照)。
BAC T26F17は、LEC1遺伝子を含み(Lotanら、1998 Cell
93,1195−1205)、これは、pkl変異型において、発芽後に異所性発現される(Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,19839−19844)。pkl根の表現型はtnp 胚軸表現型と類似しており、したがって、これは、LEC1遺伝子がTNPの潜在的候補であったことを示す。したがって、LEC1コード配列を含むゲノム領域をtnp変異型から増幅し、配列決定したが、tnp系統とpls親系統間でヌクレオチドの違いは同定されなかった。この観察結果の説明の一例は、LEC1プロモータ内のヌクレオチド変化によって、pkl変異型に観察されるような生長性組織内でのLEC1の発現がもたらされるかもしれないことである。したがって、半定量的逆転写酵素(RT)−PCR実験を行ない、発芽1〜2日後の実生におけるLEC1転写物のレベルを調べた。対照発芽実生由来のRNAでは低レベルのLEC1が検出されたが、tnp変異型では、LEC1転写物レベルは強くアップレギュレートされた。対照的に、同様にpklにおいてアップレギュレートされるLEC2(Dean Riderら、2003 Plant J.35,33−43)は、影響を受けないままであった(図9b参照)。
93,1195−1205)、これは、pkl変異型において、発芽後に異所性発現される(Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,19839−19844)。pkl根の表現型はtnp 胚軸表現型と類似しており、したがって、これは、LEC1遺伝子がTNPの潜在的候補であったことを示す。したがって、LEC1コード配列を含むゲノム領域をtnp変異型から増幅し、配列決定したが、tnp系統とpls親系統間でヌクレオチドの違いは同定されなかった。この観察結果の説明の一例は、LEC1プロモータ内のヌクレオチド変化によって、pkl変異型に観察されるような生長性組織内でのLEC1の発現がもたらされるかもしれないことである。したがって、半定量的逆転写酵素(RT)−PCR実験を行ない、発芽1〜2日後の実生におけるLEC1転写物のレベルを調べた。対照発芽実生由来のRNAでは低レベルのLEC1が検出されたが、tnp変異型では、LEC1転写物レベルは強くアップレギュレートされた。対照的に、同様にpklにおいてアップレギュレートされるLEC2(Dean Riderら、2003 Plant J.35,33−43)は、影響を受けないままであった(図9b参照)。
tnp実生におけるLEC1のアップレギュレーションがプロモータ領域における変異によるものであるか否かを調べるため、LEC1転写開始部位の上流のゲノムDNAを、熱的非対称インターレース(thermal asymmetric interlaced)(TAIL)PCR(Liuら、1995 Plant J.8,457−463)によって増幅し、配列決定した。その結果、tap実生は、推定LEC1転写開始部位のおよそ436塩基対上流の部位に3256bpの欠失を含むことが明らかになった(図9c)。マッピング集団由来のtap実生のF2世代のPCR解析により、欠失は、試験したすべての植物に存在することが示され、したがって、これは、この欠失がtnp表現型の原因であることを示す。
オーキシンおよびスクロースは、tnp表現型浸透度を増大させる
tnp変異型の表現型はpkl変異型のものと類似しており、これは、肥大した緑がかった根(トリアシルグリセロールおよびタンパク質体が蓄積されている)の発達を特徴とする(Ogasら、1997 Science 277,91−94;Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,13839−13844)。また、pkl変異型の表現型浸透度は変動性であり、ジベレリン酸およびジベレリン生合成阻害剤であるウニコナゾール−Pによって影響される。生長因子がtnp表現型浸透度に対して効果を有するか否かを調べるため、tnp種子をいくつかの化合物の存在下で発芽および生長させた(表2参照)。
tnp変異型の表現型はpkl変異型のものと類似しており、これは、肥大した緑がかった根(トリアシルグリセロールおよびタンパク質体が蓄積されている)の発達を特徴とする(Ogasら、1997 Science 277,91−94;Ogasら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,13839−13844)。また、pkl変異型の表現型浸透度は変動性であり、ジベレリン酸およびジベレリン生合成阻害剤であるウニコナゾール−Pによって影響される。生長因子がtnp表現型浸透度に対して効果を有するか否かを調べるため、tnp種子をいくつかの化合物の存在下で発芽および生長させた(表2参照)。
pklで観察されたように、tnpの浸透度は、パクロブトラゾールとして知られるジベレリン酸生合成阻害剤の存在下で増大した。しかしながら、pklとは異なり、ジベレリン酸によってtnpの浸透度は抑制されず、tnpに対して弱い正の効果を有することが示されたにすぎなかった。興味深いことに、tnp種子を10nMのパクロブトラゾールおよび10μMのジベレリン酸(GA)両方の存在下で発芽させると、パクロブトラゾールの正の効果は一部抑制された(データ示さず)。
天然のオーキシンインドール−3−酢酸(IAA)ならびに合成オーキシンナフタレン酢酸(NAA)および2,4−Dは各々、低濃度でtnp表現型浸透度に対して正の効果を有した。試験したオーキシンのうち、2,4−Dが最も有効であり、lμMの濃度で浸透度はほぼ100%まで増大した。オーキシン輸送阻害剤である1−N−ナフチルフタラミン酸(NPA)およびナフトキシ酢酸(NOA)もまたtnp浸透度に対して正の効果を有するが、エチレン前駆体1−アミノシクロプロパン−1−カルボキシレート(ACC)はほとんど効果がないことがわかった。サイトカイニンN(6)−ベンジルアデニン(BA)は、試験した中で、tnp表現型浸透度を著しく抑制した唯一の化合物であったが
、これは、100nMより上の濃度でのみ有意であった。試験した他の化合物の中で、アブシジン酸(ABA)が浸透度に対して効果を有することは見出されず、tnp実生では、発芽試験においてABAに対する感受性の差は示されなかった(データ示さず)。
、これは、100nMより上の濃度でのみ有意であった。試験した他の化合物の中で、アブシジン酸(ABA)が浸透度に対して効果を有することは見出されず、tnp実生では、発芽試験においてABAに対する感受性の差は示されなかった(データ示さず)。
大量のデンプンがtnpにおいて貯蔵されたことを考慮し、浸透度に対する糖質の効果を調べた。培地中にスクロースが非存在であると、tnp表現型浸透度の完全な消失がもたらされたが、スクロース濃度2%では、最高レベルの浸透度が観察された。培地への10nMの2,4−Dの添加により、スクロースの非存在下であっても、スクロース単独の場合よりも大きな浸透度がもたらされ、こrは、この化合物が、異なる経路によって作用し、浸透度を増大させることを示す(表3)。さらにまた、1%のグルコースまたはフルクトースの効果は、スクロース単独で得られる効果ほど強力ではなかった。しかしながら、2,4−Dの添加により、同等の割合の浸透度がもたらされ、したがって、これは、オーキシンが、浸透度の増大において糖質由来の炭素源よりも有効であることを示す(データ示さず)。マンニトールが糖の非存在での浸透度の誘導に有効でなかったため、tnpの浸透度に対する糖質の効果は、浸透圧効果によるものではなかった(データ示さず)。
高濃度のスクロースまたはグルコースは発芽を阻害することが示されており、糖感受性変異型を同定するための選択スクリーニングに使用されている(Labyら、2000 Plant J.23,587−596)。tnp浸透度に対する糖の効果が糖感受性の変化によるものであるか否かを調べるため、発芽に対する高濃度のスクロースまたはグルコースの効果を調べた。1〜10%のスクロースまたは7%グルコースの存在下において、pls変異型とtnp変異型間に差は観察されず(データ示さず)、したがって、これは、tnpがこれらの糖に対して超感受性でも非感受性でもないことを示す。
オーキシン、パクロブトラゾールおよびサイトカイニンは、LEC1転写物レベルに影響しない
オーキシン,パクロブトラゾールおよびサイトカイニンは、LEC1転写物のレベルを改変することによりtnp浸透度に影響を及ぼし得、転写物レベルが高いほど、大きく浸透度に関連することが考えられ得る。これらの化合物が作用する機構を調べるため、発芽実生を各化合物ならびにジベレリン酸(これは、浸透度に対して効果はない)で処理し、発芽1〜2日後にRNAを抽出した。LEC1転写物レベルを半定量的RT−PCRによって測定すると、tnp対照およびpls対照両方で、これらの化合物に応答して改変されないことがわかった(図10a参照)。したがって、浸透度に対するこれらの化合物の効果は、LEC1転写物レベルの改変によって媒介されるものではないが、転写または翻訳後効果は排除され得ない。
オーキシン,パクロブトラゾールおよびサイトカイニンは、LEC1転写物のレベルを改変することによりtnp浸透度に影響を及ぼし得、転写物レベルが高いほど、大きく浸透度に関連することが考えられ得る。これらの化合物が作用する機構を調べるため、発芽実生を各化合物ならびにジベレリン酸(これは、浸透度に対して効果はない)で処理し、発芽1〜2日後にRNAを抽出した。LEC1転写物レベルを半定量的RT−PCRによって測定すると、tnp対照およびpls対照両方で、これらの化合物に応答して改変されないことがわかった(図10a参照)。したがって、浸透度に対するこれらの化合物の効果は、LEC1転写物レベルの改変によって媒介されるものではないが、転写または翻訳後効果は排除され得ない。
あるいはまた、これらの化合物が他の重要な胚性調節因子の発現を変化させて浸透度を改変することにより作用している可能性があることが考えられ得る。FUS3およびLEC2は、胚形成および発芽への移行に重要な役割を果たしている(Luerbenら、1998 Plant J.15,755−764;Stoneら、2001 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98,11806−11811;Krojら、2003 Development 130,6065−6073)。半定量的RT−PCRを使用し、これらの遺伝子の転写物レベルが、これらの化合物での処理に応答して、発芽1〜2日後のtnp実生において影響されるか否かを調べた(図10b参照)。2,4−D、BAまたはジベレリン酸での処理により、tnp実生において、LEC2転写物のレベルは有意に低下するが、パクロブトラゾールは効果がないことがわかった。FUS3の場合は、2,4−Dでの処理により、転写物レベルは増大するが、BAでの処理ではレベルの低下が引き起こされることがわかった。パクロブトラゾールおよびジベレリン酸での処理は、tnp変異型において、FUS3転写物レベルに対して有意な効果はなかった。
カブ(tnp)変異型では、LEC1遺伝子のプロモータにおける欠失によって生長性組織内での異所性LEC1発現がもたらされ、デンプン含有量が増大した改変貯蔵器官への胚軸の変換を含む表現型がもたらされると提案されている。
この見解の証明のため、完全な変異型tnpゲノム遺伝子座である欠失プロモータおよび完全LEC1コード配列を含む3.4kb断片を、tnp変異型から、オリゴヌクレオチドTNP遺伝子座For3(GAATTCCCATAACGCGTTGGTACTCTACGC)およびTNP遺伝子座Rev3(CTGCAGCTTGGTGGACAAACAAGTTAAGGG)を用いてポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。この領域をバイナリーベクターpCIRCE内にクローニングし、次いで、野生型アラビドプシス(CoI−O生態型)内にアグロバクテリウム媒介型形質転換によって形質転換した。一次形質転換体を、pCIRCE T−DNAによって付与された抗生物質カナマイシン耐性によって同定した。中でも、これらの一次形質転換体は実生であり、元のtnp変異型と類似しており、これは、変異型tnp遺伝子座の存在が、充分に元のtnp系統で観察される表現型の改変を誘導することを示す。
Claims (43)
- 野生型LEC1プロモータに対して欠失を含むLEC1プロモータの単離断片であって、前記単離断片は、アラビドプシスの非胚植物生長性組織においてプロモータ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも500塩基、またはその機能的同等物を含み、前記機能的同等物もまた、アラビドプシスの非胚植物生長性組織においてプロモータ活性を有し、かつ、配列アラインメントプログラムCLUSTAL W(Chennaら、2003,Nucleic Acids Res 31,3497−3500)で測定したとき、図1に示す配列の少なくとも500塩基の一部分において95%の配列同一性を示す、単離断片。
- 非胚組織において、胚内で同じ構築物によって引き起こされる発現のレベルの少なくとも10%が引き起こされる、請求項1に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 非胚組織において、胚内で同じ構築物によって引き起こされる発現のレベルの少なくとも50%が引き起こされる、請求項1または2のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 非胚組織において、胚内で同じ構築物によって引き起こされる発現のレベルのほぼ100%が引き起こされる、請求項1、2または3のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 完全な野生型LEC1プロモータに対してプロモータ断片から少なくとも1000塩基が欠失している、前記請求項のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 完全な野生型LEC1プロモータに対してプロモータ断片から少なくとも1500塩基が欠失している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 完全な野生型LEC1プロモータに対してプロモータ断片から少なくとも2000塩基が欠失している、請求項1〜4のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 図1に示す完全な野生型LEC1プロモータ配列に対して2500、3000、3200または3256までの塩基が欠失している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 前記プロモータ断片から欠失し、したがって非存在である部分が、完全長プロモータの−1500〜−2000位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基であり、開始コドンが、図1の四角で囲んだATGコドンのいずれかであり得る、請求項1〜4のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 前記プロモータ断片から欠失した部分が、完全長プロモータの−1000〜−2500位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基であり、開始コドンが、図1の四角で囲んだATGコドンのいずれかであり得る、請求項1〜4のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 前記プロモータ断片から欠失した部分が、完全長プロモータの−500〜−3500位に存在する配列部分を含み、−1が開始コドンの上流の最初の塩基であり、開始コドンが、図1の四角で囲んだSTGコドンのいずれかであり得る、請求項1〜4のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 前記プロモータ断片から欠失した野生型プロモータの部分が、完全長プロモータ436〜−3792位に存在する配列部分を含み、−1位が開始コドンの上流の最初の塩基であり、開始コドンが、図1の四角で囲んだATGコドンのいずれかであり得る、請求項1〜4のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 構造的コード配列に、非胚植物細胞内に存在する場合に該コード配列が発現されるように作動可能に連結されている、前記請求項のいずれかに記載の単離断片。
- 前記コード配列が、図2に示す野生型LEC1コード配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするLEC1コード配列である、請求項13に記載の単離断片。
- 前記コード配列が、図2に示す野生型LEC1コード配列と90%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするLEC1コード配列である、請求項13に記載の単離断片。
- 前記コード配列が、図2に示す野生型LEC1コード配列と少なくとも95%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするLEC1コード配列である、請求項13に記載の単離断片。
- 野生型LEC1プロモータに対して欠失を含むLEC1プロモータの単離断片であって、前記単離断片が非胚植物生長性組織においてリプレッサ活性を有し、図1に示す配列の少なくとも400塩基、またはその機能的同等物を含み、前記機能的同等物が400塩基部分において少なくとも95%の配列同一性を示す、単離断片。
- 少なくとも500塩基を含む、請求項17に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 少なくとも1000塩基を含む、請求項17に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 少なくとも1500塩基を含む、請求項17に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 2000、2500または3000までの塩基を含む、請求項17に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- プロモータ開始部位の上流の436〜3796塩基間に存在する、図1に示す野生型完全LEC1プロモータ配列の少なくとも500塩基の部分を含むか、または前記部分と少なくとも95%の配列同一性を示す、請求項17に記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 植物において発現されると、前記植物の胚性形質の獲得を引き起こし、生長性組織内でのデンプンおよび/または油分もしくは脂肪酸などの蓄積を引き起こすLEC1と作動可能に連結された状態である、請求項1〜22のいずれかに記載のLEC1プロモータの単離断片。
- 前記請求項のいずれか1項に記載の単離プロモータ断片を含む核酸構築物。
- コード配列に作動可能に連結されたプロモータ断片を含む、請求項24に記載の核酸構築物。
- コード配列がLEC1コード配列である、請求項25に記載の核酸構築物。
- 以下:植物細胞内への構築物の導入を容易にするT−DNA;構築物が適当な宿主細胞内で増幅されるのを可能にする複製起点;ポリペプチドをコードし、請求項1〜22いずれかに記載のプロモータ断片に作動可能に連結された核酸配列;選択可能マーカー(抗生物質耐性遺伝子など);エンハンサーエレメント;および適当な宿主細胞において活性である構成的または誘導性の1つ以上のさらなるプロモータの1つ以上を含む、請求項24〜26のいずれかに記載の核酸構築物。
- 転写される配列を、請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片と作動可能に連結された状態に配置する工程、および適当な宿主細胞内で該プロモータ断片の制御下で配列の転写を引き起こす工程を含む、核酸配列の転写を引き起こす方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片を、植物細胞内にコード配列と作動可能に連結された状態に配置する、請求項28に記載の方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片および転写される配列を、植物細胞内に導入される同じ構築物上に存在させる、請求項29に記載の方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片および転写される配列を、植物細胞内に導入される異なる構築物上に、宿主細胞ゲノム内への組込み後にプロモータおよびコード配列が植物細胞内で作動可能に連結された状態に配置されるように存在させる、請求項29に記載の方法。
- 転写される配列が植物細胞に内在性のものであり、請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片の導入、およびその後、標的遺伝子の充分近傍の宿主細胞ゲノム内に組み込まれることにより、内在配列の転写が、請求項1〜22のいずれか1項のプロモータ断片の制御下でもたらされる、請求項29に記載の方法。
- 転写される配列の存在および/または請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片の存在が、レポーターアッセイを用いてモニターされる、請求項28〜32のいずれか1項に記載の方法。
- 植物内に、請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離断片を導入すること、および/または請求項24に記載の核酸構築物を導入することを含む、植物の改変方法。
- 実施により成熟植物の胚性組織の形成がもたらされる、請求項34に記載の方法。
- 実施により、成熟植物においてデンプンまたは別の貯蔵分子の蓄積がもたらされる、請求項34または35に記載の方法。
- 実施により、肥大した胚軸を示す植物の生成がもたらされる、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項に記載の単離プロモータ断片が、植物細胞内に導入され、核酸コード配列と作動可能に連結された状態に配置され、形質転換植物細胞から小植物(plantlet)および/または植物が生成される、請求項37に記載の植物の改変方法。
- 植物細胞が単子葉植物または双子葉植物から得たものである、請求項38に記載の方法。
- 請求項38に記載の方法によって生成される改変植物細胞。
- 請求項38に記載の方法によって生成される改変植物もしくは小植物またはその子孫であって、前記植物または(of)小植物の子孫が導入プロモータ断片を保持している、改変植物もしくは小植物またはその子孫。
- 実質的に本文中に記載し、以下の図面に関連する単離断片。
- 実質的に本文中に記載した植物の改変方法。
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