JP2009531021A - 骨格筋周囲血管芽細胞および心筋中胚葉性血管芽細胞、それらの単離および使用方法 - Google Patents
骨格筋周囲血管芽細胞および心筋中胚葉性血管芽細胞、それらの単離および使用方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、成体骨格筋または成体心筋から単離される細胞の単離および特徴付けを開示する。これらの細胞は、それぞれ筋ジストロフィーおよび心疾患を含めた筋障害の治療に使用される。
Description
本発明は、哺乳動物成体骨格筋または心筋の生検からの、それぞれ周囲血管芽細胞(periangioblast)および心臓中胚葉性血管芽細胞(cardiac mesoangioblast)の単離を記載する。
(骨格筋の幹細胞)
ジストロフィー患者の筋肉構造および機能を回復できる細胞の探究は、衛星細胞の確認と共に1961年に始まった(1)。衛星細胞は、成体筋肉の主要な筋原性活性を一般的に保持している細胞型をとどめているが(2、3)、その生物学的な特徴の一部により、原発性筋疾患の治療に使用できる可能性が制限されている。実際、衛星細胞は、全身に送達された場合、筋内皮を横断する能力を欠いており、患者の全ての筋肉、または少なくとも生命に必須の筋肉の2mm3ごとに筋内注入しなければならない。というのは、これが注入部位から明らかに移動できる最大距離であるからである(4)。また、注入された細胞の大部分が、初日のうちに喪失することを考慮すると、少なくとも現時点でのテクノロジーではこの特徴だけで、細胞療法プロトコルにおける衛星細胞の使用は極めて困難になる(5)。第2の問題は、ジストロフィー患者からの衛星細胞の増殖効力の減少、また衛星細胞のインビトロ増殖がそれらのインビボ分化効力を減じるという最近の知見により表される(6)。
ジストロフィー患者の筋肉構造および機能を回復できる細胞の探究は、衛星細胞の確認と共に1961年に始まった(1)。衛星細胞は、成体筋肉の主要な筋原性活性を一般的に保持している細胞型をとどめているが(2、3)、その生物学的な特徴の一部により、原発性筋疾患の治療に使用できる可能性が制限されている。実際、衛星細胞は、全身に送達された場合、筋内皮を横断する能力を欠いており、患者の全ての筋肉、または少なくとも生命に必須の筋肉の2mm3ごとに筋内注入しなければならない。というのは、これが注入部位から明らかに移動できる最大距離であるからである(4)。また、注入された細胞の大部分が、初日のうちに喪失することを考慮すると、少なくとも現時点でのテクノロジーではこの特徴だけで、細胞療法プロトコルにおける衛星細胞の使用は極めて困難になる(5)。第2の問題は、ジストロフィー患者からの衛星細胞の増殖効力の減少、また衛星細胞のインビトロ増殖がそれらのインビボ分化効力を減じるという最近の知見により表される(6)。
骨髄または他の組織の血管ニッチ(vascular niche)に常在する他の細胞型が、インビトロまたはインビボで骨格筋に分化できることが立証されたことにより、筋ジストロフィーの細胞療法の別の可能性が生まれた(7)。理想的な細胞集団は、i)アクセス可能な解剖部位から容易に入手でき、ii)全身治療に必要な多数の(109以上)細胞にインビトロで増殖でき、iii)ウィルスベクターにより容易に形質導入でき、iv)全身経路を介して骨格筋に到達でき、最後に、v)自己複製能力を維持しながらインビボで骨格筋細胞に分化できる必要がある。最近同定され、特徴付けされた中胚葉性幹細胞の多くのタイプの中で、多くのものはこれらの特徴の1つまたは複数を示す。しかしながら、一般にそれらの特徴は、系統的に調査されていなかった。対照的に、胎性マウス中胚葉性血管芽細胞は、筋ジストロフィーのマウスモデルにおいて筋肉形態および機能を回復させることが示されている(8)。ヒト細胞とマウス細胞とは、インビトロで大規模に増殖する能力が著しく異なり、したがって、胎性マウス中胚葉性血管芽細胞に相当するヒト細胞が、胎児または出生後のヒト組織に存在するかどうか、もし存在するならば、それらが、筋ジストロフィーに対する細胞療法プロトコルにおける使用の成功を予測し得る特徴を示すかどうかを試験することが必須である。
本研究において、正常およびジストロフィーのヒト成体骨格筋に由来する細胞は、周囲血管芽細胞と呼ばれ、老化の前に、二倍体非腫瘍発生細胞として約20回の集団倍増でインビトロ増殖できる。該細胞をミニジストロフィンまたは他の治療用遺伝子を発現するウィルスベクターにより形質導入でき、次いで骨格筋に分化させるために誘導できる。
それらをジストロフィー免疫無能力マウスに移植した場合、ヒトジストロフィンを発現する多数の新しい線維を生じさせる。本発明の細胞は、a)それらの供給源(血管)、b)それらの単離方法(タンパク質分解消化ではなくて外植片)、およびc)常在衛星細胞を除いて体内の他の任意の細胞よりも著しく高いそれらの筋原性分化効力のため、他の任意の中胚葉性幹細胞/前駆細胞とも異なっている。
周囲血管芽細胞は、白血球が内皮に接着し、横断するために使用するタンパク質の一部を発現し、したがって動脈内に送達された場合、骨格筋の間質に拡散できる。これは、同じことを行うことができない常在の衛星細胞よりも明らかに大きな利点である。
したがって、鎖骨下動脈、横隔膜動脈および腸骨動脈へのカテーテル媒介送達により、運動および呼吸に必須な筋肉に、骨格筋からの周囲血管芽細胞を到達させ、コロニー化させられるはずである。
さらに重要なことに、インビトロで分化に誘導する場合、周囲血管芽細胞は、その集団の40%まで自発的に分化するが、これは今まで試験された他の任意の非筋原性細胞よりもはるかに優れた効率であり、循環を介して送達できない常在衛星細胞に次いで2番目の効率である。系統的な比較方法ではまだ試験されていないが、周囲血管芽細胞によりインビボで生じたジストロフィン陽性の筋線維数は、以前に他の著者により報告されたものよりもはるかに多い。
このように、本発明のヒト周囲血管芽細胞集団は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの筋障害における細胞治療プロトコルの成功のための全ての評価基準を満たしている。周囲血管芽細胞は、診断に用いられる生検から容易に単離することができる。針生検は、さらなるプロトコル療法に対して2、3年ごとに反復できる耐容性の手術である。
(心筋の幹細胞)
梗塞後の心室再構築は、最初の梗塞領域、および心室壁における線維組織沈着による心筋細胞の置換による左心室ルーメンの進行的増殖を特徴とする。心筋再構築を逆転させるために提案された1つのアプローチは、幹細胞を用いる心筋細胞の再生である(35)。種々のグループによってすでに、Sca-1またはc-Kitなどの別個の細胞表面マーカーに基づく心臓幹様細胞の単離が報告されている(36、37)。これらの細胞は、効力に変動があるが、虚血性傷害後の心機能を回復できる。しかしながら、それらの自発的心臓分化性は低く、またそれらは心臓の他の組織タイプにも分化し(36〜39)、末端心臓分化を受けるために特異的なシグナルをさらに必要とする多能性前駆体のインビトロ増殖を表すことを示唆している。一方、前駆体を発現するIsl-1は、心臓分化のみに関与しているように思われるが、増殖と分化双方のために他の細胞との相互作用をさらに必要とする(38)。明らかになりつつある計画では、種々のタイプの前駆体が同定でき、結局は種々の段階の分化過程で単離できる予見されない複雑性が示されている。また、これらの細胞の大部分が梗塞された心臓に及ぼす有利な効果のかなりの部分が、残存する心筋の生存および/または好都合な血管新生を増加させる因子の分泌によることが明らかになりつつある(40)。これは、例えば、胎性中胚葉性血管芽細胞の移植が心機能の50%回復をもたらすが、新たな心筋細胞への分化が稀であった場合である(41)。
WO 02/09650
WO 04/019767
US5,486,359
US6,184,035
梗塞後の心室再構築は、最初の梗塞領域、および心室壁における線維組織沈着による心筋細胞の置換による左心室ルーメンの進行的増殖を特徴とする。心筋再構築を逆転させるために提案された1つのアプローチは、幹細胞を用いる心筋細胞の再生である(35)。種々のグループによってすでに、Sca-1またはc-Kitなどの別個の細胞表面マーカーに基づく心臓幹様細胞の単離が報告されている(36、37)。これらの細胞は、効力に変動があるが、虚血性傷害後の心機能を回復できる。しかしながら、それらの自発的心臓分化性は低く、またそれらは心臓の他の組織タイプにも分化し(36〜39)、末端心臓分化を受けるために特異的なシグナルをさらに必要とする多能性前駆体のインビトロ増殖を表すことを示唆している。一方、前駆体を発現するIsl-1は、心臓分化のみに関与しているように思われるが、増殖と分化双方のために他の細胞との相互作用をさらに必要とする(38)。明らかになりつつある計画では、種々のタイプの前駆体が同定でき、結局は種々の段階の分化過程で単離できる予見されない複雑性が示されている。また、これらの細胞の大部分が梗塞された心臓に及ぼす有利な効果のかなりの部分が、残存する心筋の生存および/または好都合な血管新生を増加させる因子の分泌によることが明らかになりつつある(40)。これは、例えば、胎性中胚葉性血管芽細胞の移植が心機能の50%回復をもたらすが、新たな心筋細胞への分化が稀であった場合である(41)。
本発明において、マウス成体およびヒト成体の心筋生検が実施され、機械的および非酵素的解離法を介して、成体心臓中胚葉性血管芽細胞と称される細胞が単離できた。成体細胞の局所的関与により、胎性中胚葉性血管芽細胞で以前に観察されたものよりも効率的な心臓分化をもたらし得ることが、骨格筋からの細胞に対する以前の研究に基づいて推測された。実際、マウス心臓中胚葉性血管芽細胞は、自発的(化学的アジュバントなしで)で高い分化率を示して心筋細胞を拍動させるが、平滑筋細胞へは低い分化率だけを示す。ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞に関して、5-アザチジンの存在下、またはラット新生仔心筋細胞と共培養した場合、高い分化率を示して心筋細胞を拍動させるが、平滑筋細胞へは低い分化率だけを示す。
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞の場合、自発的心臓分化の効率は、驚くほど高く、すでに記載された心臓幹細胞(Anversaグループ、特許出願WO 02/09650)、Isl-1陽性心臓芽細胞(Chienグループ)、Tert/Sca 1+前駆体(Schneiderグループ、特許出願WO 04/019767)よりも優れており、心臓分化の能力が逸話的である他のタイプの幹細胞と同等でさえない。それらの表現型に関して、マウス心臓中胚葉性血管芽細胞は、他の全ての心臓幹細胞とは異なり:a)心臓幹細胞およびIsl-2心臓芽細胞とは異なるCD34およびCD31を発現し;b)Tert/Sca 1前駆体とは異なるc-KitおよびNkx 2.5を発現する。
ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞は、マウス心臓中胚葉性血管芽細胞と同様のマーカーおよび遺伝子を発現するが、これらの細胞は、5-アザチジンの存在下、またはラット新生仔心筋細胞との共培養において心筋細胞に分化できるだけである。
特許US5,486,359およびUS6,184,035は、ヒト間葉幹細胞およびそれらの単離ならびに活性化方法、骨格筋幹細胞または前駆体細胞からの分化の制御を記載している。これらの特許に記載された細胞は、特に特異的マーカーの存在または不在に関して本発明のものとは極めて異なる。
本発明は、骨格筋および心筋からの、以前に記載された中胚葉性血管芽細胞(9)と類似しているが異なるヒト細胞の単離および特徴付けを記載する。さらに、成体骨格筋から単離された細胞(本明細書では周囲血管芽細胞と呼ばれる)および成体心筋から単離された細胞(本明細書では心臓中胚葉性血管芽細胞と呼ばれる)が、それぞれ筋ジストロフィーおよび心疾患を含めた筋障害を治療する試みに必要な全ての評価基準を満たすことを本発明者らは立証した。
実際、本発明は、哺乳動物成体骨格筋または心筋の生検からの、それぞれ周囲血管芽細胞および心臓中胚葉性血管芽細胞の単離を記載する。
したがって、本発明の目的は、以下のマーカー表現型:CD31-、CD34-、CD45-、CD62L-、CD106-、CD117-、CD133-、CD146+、CD49b+、CD13+およびCD44+を発現することを特徴とする骨格筋周囲血管芽細胞集団である。好ましくは、骨格筋周囲血管芽細胞集団は、以下の群:VCAM-1(血管細胞接着分子)、ICAM-1/5/2(誘導性細胞接着分子)、CD36、CD44、b7、b5、b1、b2インテグリン、インテグリン(いくつかのa1、a5およびa6)、LFA-1(白血球因子抗原)、IL-1R(インターロイキン-1、受容体)、SDF-R(間質由来因子、受容体)またはカドヘリンに属する少なくとも1種のタンパク質をさらに発現する。より好ましくは、骨格筋周囲血管芽細胞集団は、誘発剤を含まない低栄養培地中で培養する好適な培養条件下で筋原性系列に自発的にインビトロで分化できる。さらに好ましくは、骨格筋周囲血管芽細胞集団は、外来性コード配列を発現するように遺伝子改変されている。好ましくは、外来性コード配列は、ジストロフィンタンパク質またはその誘導体をコードする。より好ましくは、外来性コード配列はミニジストロフィンタンパク質をコードする。
本発明のさらなる目的は、筋ジストロフィーなどの筋障害の細胞療法治療のための、上記で定義した周囲血管芽細胞集団の使用である。好ましくは、筋ジストロフィーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、エメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィーまたは先天性筋ジストロフィーの群から選択される。あるいは、筋障害は、筋肉のミオパシーであり得る。
本発明のさらなる目的は、筋障害治療薬のスクリーニングのための、上記で定義した周囲血管芽細胞集団の使用である。
本発明の別の目的は、上記で定義した骨格筋周囲血管芽細胞集団をドナーの組織試料から単離するためのインビトロ方法であって、
a)非タンパク質分解消化手段により組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、成長因子、アミノ酸、微量元素、非必須アミノ酸、ウシ胎仔血清およびb-FGFを含む哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法である。
a)非タンパク質分解消化手段により組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、成長因子、アミノ酸、微量元素、非必須アミノ酸、ウシ胎仔血清およびb-FGFを含む哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法である。
好ましくは、増殖用培地は、MegaCell(登録商標)DMEMまたはIscov(登録商標)培地である。より好ましくは、このインビトロ方法は、培養抽出細胞をSdf-1またはTNFαと共にインキュベートするステップをさらに含む。
好ましくは、ドナーは健常対象または罹患対象である。より好ましくは、対象は筋ジストロフィーに罹患している。さらに好ましくは、筋ジストロフィーはデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。
本発明のさらなる目的は、以下のマーカー表現型:CD31+、CD34+、CD44+、CD117+、CD45-およびCD133-を発現することを特徴とするヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団である。好ましくは、ヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団は、以下のマーカー表現型:Nkx2.5+、Gata4+、Mef2A+、Tbx2+、Tbx5+およびIsl-1-をさらに発現する。より好ましくは、ヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団は、好適な培養条件下で心筋細胞に自発的にインビトロで分化できる。心細胞への分化は、細胞を5-アザチジンに曝露するか、またはヒト心臓中胚葉性血管芽細胞を新生児心筋細胞と共培養することによって誘導できる。集団間を識別するために、マウスまたはラットの新生仔心筋細胞を利用できる。
本発明の他の目的は、心疾患の細胞療法治療のための、上記で定義したヒト心筋中胚葉性血管芽細胞細胞集団の使用である。好ましくは、心疾患は、心壊死または心肥大から生じる。心疾患は、拡張型心筋症または弁膜症である。
本発明のさらなる目的は、以下のマーカー表現型:CD31+、CD34+、CD44+、Sca-1+、c-kit+およびCD45-を発現することを特徴とするマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団である。好ましくは、マウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団は、以下のマーカー表現型:Nkx2.5+、Gata4+、Gata6+、Tbx2+、Tbx5+、Isl-1+およびMef2A-をさらに発現する。より好ましくは、マウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団は、好適な培養条件で心筋細胞にインビトロで分化できる。心細胞への分化は、細胞を5-アザチジンに曝露するか、またはマウス心臓中胚葉性血管芽細胞を新生児心筋細胞と共培養することによって誘導できる。集団間を識別するために、マウスまたはラット新生仔の心筋細胞を利用できる。
本発明の他の目的は、心疾患治療薬のスクリーニングのための、上記で定義したマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団の使用である。
本発明のさらなる目的は、上記で定義したマウスまたはヒトの心筋中胚葉性血管芽細胞集団をドナーの組織試料から単離するためのインビトロ方法であって、
a)非タンパク質分解消化手段により組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、非接着コーティングの存在下、哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法である。
a)非タンパク質分解消化手段により組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、非接着コーティングの存在下、哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法である。
好ましくは、ドナーは健常対象または罹患対象である。より好ましくは、対象は心房弁膜機能不全に罹患している。
本発明を、以下の図面を参照して非限定的な実施例によりここに説明する。
<骨格筋周囲血管芽細胞>
(方法)
[周囲血管芽細胞の単離と培養]
診断用生検を受け、後で非ジストロフィー(二次的筋疾患に罹患していない)と分類された、10人の患者、および6人のDMD患者から細胞を調製した。その患者の年齢は、15歳から78歳(非DMD)、3歳から8歳(DMD)の範囲であった。上腕二頭筋の針生検からの筋肉試料(100〜200mg)を、抗生物質と共にFCSなしでDMEM中に保存し、切開前に、4℃で最大24時間維持した。この筋肉試料を、Ca2+/Mg2+を有するPBS(Sigmaから)中でリンスし、メスで1〜2mmの直径片に鋭く切開した。小血管を含有する間質組織の断片を、I型コラーゲン(0.1M酢酸中1mg/ml)でコーティングされたペトリ皿に移した。周囲の間葉および筋線維の断片から血管の清浄処理をしなかった。培地は、5% FCS、5ng/ml bFGF(Peprotec 100〜18B)、2mMグルタミン、0.1mMベータメルカプトエタノール、1%非必須アミノ酸、100IU/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンで補足されたMegaCell(登録商標)DMEM(Sigma、M3942)から構成された。組織断片を7〜8日間培養した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小円形細胞および屈折細胞が出現した。それらが接着性に乏しいため(これらの多くの細胞は浮遊した)、この細胞集団は、元の培養を静かにピペット操作することにより容易に採取され、5×104細胞/30mm皿の密度でコラーゲンコーティング皿上で平板培養した。細胞を、ポリクローナル集団として増殖させるか、またはI型コラーゲン(Sigma C9791)コーティング皿上で限定希釈によりクローン化した。
(方法)
[周囲血管芽細胞の単離と培養]
診断用生検を受け、後で非ジストロフィー(二次的筋疾患に罹患していない)と分類された、10人の患者、および6人のDMD患者から細胞を調製した。その患者の年齢は、15歳から78歳(非DMD)、3歳から8歳(DMD)の範囲であった。上腕二頭筋の針生検からの筋肉試料(100〜200mg)を、抗生物質と共にFCSなしでDMEM中に保存し、切開前に、4℃で最大24時間維持した。この筋肉試料を、Ca2+/Mg2+を有するPBS(Sigmaから)中でリンスし、メスで1〜2mmの直径片に鋭く切開した。小血管を含有する間質組織の断片を、I型コラーゲン(0.1M酢酸中1mg/ml)でコーティングされたペトリ皿に移した。周囲の間葉および筋線維の断片から血管の清浄処理をしなかった。培地は、5% FCS、5ng/ml bFGF(Peprotec 100〜18B)、2mMグルタミン、0.1mMベータメルカプトエタノール、1%非必須アミノ酸、100IU/mlペニシリンおよび100mg/mlストレプトマイシンで補足されたMegaCell(登録商標)DMEM(Sigma、M3942)から構成された。組織断片を7〜8日間培養した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小円形細胞および屈折細胞が出現した。それらが接着性に乏しいため(これらの多くの細胞は浮遊した)、この細胞集団は、元の培養を静かにピペット操作することにより容易に採取され、5×104細胞/30mm皿の密度でコラーゲンコーティング皿上で平板培養した。細胞を、ポリクローナル集団として増殖させるか、またはI型コラーゲン(Sigma C9791)コーティング皿上で限定希釈によりクローン化した。
あるいは、MegaCell(登録商標)DMEMは、Iscov(登録商標)Media(GIBCO、12440-053)により置き換えることができる。アルファ-MEM、DMEM、RPMI、F12は、周囲血管芽細胞の増殖を後押しすることはできなかった。
[核型分析]
分析72時間前に1/3のコンフルエンスで平板培養されたヒト周囲血管芽細胞は、製造元の取扱い説明書に従ってKaryomaxキット(Invitrogen)で処理した。分析された各々の核型に関して、5つの異なる分裂中期スプレッド(metaphase spread)を調べた。
分析72時間前に1/3のコンフルエンスで平板培養されたヒト周囲血管芽細胞は、製造元の取扱い説明書に従ってKaryomaxキット(Invitrogen)で処理した。分析された各々の核型に関して、5つの異なる分裂中期スプレッド(metaphase spread)を調べた。
[テロメラーゼ活性およびテロメア長分析]
テロメラーゼ活性は、以前に記載されたTRAPアッセイ(29)を用いて測定された。テロメア長は、分裂が異なるヒト周囲血管芽細胞試料からのDNA抽出後、制限酵素AluI、CfoI、HaeIII、HinfI、MspI、およびRsaIによる消化および他に詳述された0.7%アガロースゲル上の電気泳動により測定された(30)。ゲルを変性し、乾燥し、中和し、シグナルは、[-32P]ATPで末端標識されたテロマープローブを用いることによりインサイチュで検出された。放射標識プローブにハイブリダイズ後、消化産物サイズに対してシグナル強度を標準化するために設計された平均計算値を用いてプログラムTelorunによりシグナルを分析した。
テロメラーゼ活性は、以前に記載されたTRAPアッセイ(29)を用いて測定された。テロメア長は、分裂が異なるヒト周囲血管芽細胞試料からのDNA抽出後、制限酵素AluI、CfoI、HaeIII、HinfI、MspI、およびRsaIによる消化および他に詳述された0.7%アガロースゲル上の電気泳動により測定された(30)。ゲルを変性し、乾燥し、中和し、シグナルは、[-32P]ATPで末端標識されたテロマープローブを用いることによりインサイチュで検出された。放射標識プローブにハイブリダイズ後、消化産物サイズに対してシグナル強度を標準化するために設計された平均計算値を用いてプログラムTelorunによりシグナルを分析した。
[腫瘍形成能]
腫瘍形成の可能性を試験するために、10匹のヌードマウス(Charles Riverから)および10匹のSCIDマウス(Charles Riverから)に、107の正常なヒト周囲血管芽細胞を皮下注入した。ヒトミニジストロフィンを発現するレンチウィルスベクターで予め形質導入された107のDMDヒト周囲血管芽細胞を同数のマウスに同様に注入した。12時間後、マウスを殺処理し、肉眼で検出できる腫瘍の存在を分析した。いずれの注入動物においても腫瘍は検出されなかった。
腫瘍形成の可能性を試験するために、10匹のヌードマウス(Charles Riverから)および10匹のSCIDマウス(Charles Riverから)に、107の正常なヒト周囲血管芽細胞を皮下注入した。ヒトミニジストロフィンを発現するレンチウィルスベクターで予め形質導入された107のDMDヒト周囲血管芽細胞を同数のマウスに同様に注入した。12時間後、マウスを殺処理し、肉眼で検出できる腫瘍の存在を分析した。いずれの注入動物においても腫瘍は検出されなかった。
[レンチウィルスベクターによる細胞形質導入]
先に記載されたとおり(8)、細胞は、nuclear LacZまたはGFPもしくはヒトミニジストロフィンを発現する第三世代レンチウィルスベクターを形質導入した(31)。
先に記載されたとおり(8)、細胞は、nuclear LacZまたはGFPもしくはヒトミニジストロフィンを発現する第三世代レンチウィルスベクターを形質導入した(31)。
[分化アッセイ]
先に記載されたとおり(9)、平滑筋細胞および骨芽細胞への分化は、それぞれTGFβ1およびBMP2による処理により誘導された。骨格筋細胞への分化は、ヒト周囲血管芽細胞とC2C12マウス筋芽細胞とで共培養することにより誘導された。ヒト周囲血管芽細胞を1:5の比率で添加し、培養物を分化用培地(2%ウマ血清で補足されたDMEM)に移した。5日後、培養物を固定し、横紋ミオシン(MF20)およびヒトラミンA/Cに対して抗体で染色した。ヒト核の同定は、DAPIにより確認された。筋原性分化のパーセンテージは、全ヒト核のパーセンテージとしてミオシン陽性細胞内のヒト核数をカウントすることにより算出された。生化学的分化は、それぞれMyoDおよびNkx2.5に対してヒト特異的オリゴヌクレオチドを用いてRT-PCRにより確認された。
先に記載されたとおり(9)、平滑筋細胞および骨芽細胞への分化は、それぞれTGFβ1およびBMP2による処理により誘導された。骨格筋細胞への分化は、ヒト周囲血管芽細胞とC2C12マウス筋芽細胞とで共培養することにより誘導された。ヒト周囲血管芽細胞を1:5の比率で添加し、培養物を分化用培地(2%ウマ血清で補足されたDMEM)に移した。5日後、培養物を固定し、横紋ミオシン(MF20)およびヒトラミンA/Cに対して抗体で染色した。ヒト核の同定は、DAPIにより確認された。筋原性分化のパーセンテージは、全ヒト核のパーセンテージとしてミオシン陽性細胞内のヒト核数をカウントすることにより算出された。生化学的分化は、それぞれMyoDおよびNkx2.5に対してヒト特異的オリゴヌクレオチドを用いてRT-PCRにより確認された。
ヒト周囲血管芽細胞の自発的骨格筋原性分化は、分化用培地中、マトリゲルでコーティングされた皿上に細胞を平板培養することにより誘導された。7日後、培養物を固定し、横紋ミオシン(MF20)およびMyf5に対する抗体で染色した。ウェスタンブロット解析は、同じ抗体を用いて実施した。陽性対照として用いられたヒト衛星細胞を、記載されたとおり(32)培養した。
[免疫ブロット法]
ウェスタンブロット解析は、記載されたとおり(8)実施した。手短に言うと、1.5×106細胞を、Laemli緩衝液(Tris/Hcl pH6.8、グリセロール10%、SDS 2%)中、90℃で5分間溶解した。対照であるSCIDまたはSCID/mdxマウスから、および周囲血管芽細胞移植筋肉SCID/mdxマウスからの組織試料を、溶解用緩衝液(50mM Tris/HCl、pH 7.4、1mM EDTA、1mM EGTA 1% Triton X-100およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)(Sigma)によりホモジナイズし、4℃で10分間1000rpmで遠心分離して核および細胞破片を廃棄した。この上澄液をSDS PAGEにより分離した。ウェスタンブロット解析に関して、タンパク質を、PBS(遮断溶液)中5%ミルク、0.2% TritonX-100(Sigma)で飽和したImmobilon(Amersham)膜に移し、適切に希釈された種々の抗体と4℃で一晩反応した。フィルタを、PBS 0.2% TritonX-100溶液で3回(室温でそれぞれ15分)洗浄してから、1:10000の希釈で西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)IgG(Biorad)とコンジュゲートした抗マウス二次的抗体と室温で1時間反応させ、3回洗浄し、最後にECL免疫ブロット法検出システム(Amersham)により視覚化した。
ウェスタンブロット解析は、記載されたとおり(8)実施した。手短に言うと、1.5×106細胞を、Laemli緩衝液(Tris/Hcl pH6.8、グリセロール10%、SDS 2%)中、90℃で5分間溶解した。対照であるSCIDまたはSCID/mdxマウスから、および周囲血管芽細胞移植筋肉SCID/mdxマウスからの組織試料を、溶解用緩衝液(50mM Tris/HCl、pH 7.4、1mM EDTA、1mM EGTA 1% Triton X-100およびプロテアーゼ阻害剤カクテル)(Sigma)によりホモジナイズし、4℃で10分間1000rpmで遠心分離して核および細胞破片を廃棄した。この上澄液をSDS PAGEにより分離した。ウェスタンブロット解析に関して、タンパク質を、PBS(遮断溶液)中5%ミルク、0.2% TritonX-100(Sigma)で飽和したImmobilon(Amersham)膜に移し、適切に希釈された種々の抗体と4℃で一晩反応した。フィルタを、PBS 0.2% TritonX-100溶液で3回(室温でそれぞれ15分)洗浄してから、1:10000の希釈で西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)IgG(Biorad)とコンジュゲートした抗マウス二次的抗体と室温で1時間反応させ、3回洗浄し、最後にECL免疫ブロット法検出システム(Amersham)により視覚化した。
[免疫蛍光法]
ヒト周囲血管芽細胞を、マトリゲルコーティングガラスカバースリップ上で増殖させ、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。対照であるSCID/mdxマウス、または周囲血管芽細胞-移植mdx/SCIDマウスからの筋肉試料を、液体窒素冷却イソペンタン中で凍結させ、8μm厚さの連続切片でLeycaクリオスタットにより切断した。細胞は、PBS中0.2% TritonX-100、1%BSAにより、室温で30分間透過化処理するが、一方、組織切片は界面活性剤なしでインキュベートした。細胞および組織切片を、10%ロバ血清と室温で30分間インキュベートし、適切に希釈された一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、試料を、透過化処理用緩衝液で2回洗浄してから、適切なFITCまたはTRTCコンジュゲート抗マウスまたは抗ウサギIgGおよびHoechstと室温で45分間インキュベートした。3回の最終洗浄後、カバースリップをPBS中モーイオール(mowiol)を用いてガラススライド上に乗せて、蛍光顕微鏡(Nikon)下で分析した。他の組織切片または細胞を、記載されたX-Gal(8)で染色した。
ヒト周囲血管芽細胞を、マトリゲルコーティングガラスカバースリップ上で増殖させ、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。対照であるSCID/mdxマウス、または周囲血管芽細胞-移植mdx/SCIDマウスからの筋肉試料を、液体窒素冷却イソペンタン中で凍結させ、8μm厚さの連続切片でLeycaクリオスタットにより切断した。細胞は、PBS中0.2% TritonX-100、1%BSAにより、室温で30分間透過化処理するが、一方、組織切片は界面活性剤なしでインキュベートした。細胞および組織切片を、10%ロバ血清と室温で30分間インキュベートし、適切に希釈された一次抗体と4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、試料を、透過化処理用緩衝液で2回洗浄してから、適切なFITCまたはTRTCコンジュゲート抗マウスまたは抗ウサギIgGおよびHoechstと室温で45分間インキュベートした。3回の最終洗浄後、カバースリップをPBS中モーイオール(mowiol)を用いてガラススライド上に乗せて、蛍光顕微鏡(Nikon)下で分析した。他の組織切片または細胞を、記載されたX-Gal(8)で染色した。
[抗体]
本試験では以下の抗体を用いた:1:125の希釈で抗ジストロフィンモノクローナル抗体Dys1、Dys2およびDys3(Novacastra、NCL-Dys1、Dys2およびDys3);1:100の希釈で抗ラミニンモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(Sigma L8271およびL9393);1:5の希釈でMF20抗体、1:300の希釈で抗平滑アルファアクチンおよびSigmaからの1:50で抗デスミン、1:200で抗Myf5(Santa Cruz SC302から)、1:3の希釈でハイブリドーマバンクからのPax7、1:250でヒトlam A/C(NovocastraからのNLC-lam/AC)NG2(William Stallcupからの寄贈)、1:500で抗PDGF受容体ベータ(Cell Signaling Technologies 56874から)。FACS分析に関して、以下の抗体:BD Biosciences(553133、555821、555483、555498、555714、555544)からのCD44、CD34、CD45、CD49b、CD117、CD62L、ID labs incからのCD31、CD13、CD106、Biocytes(IDAC1400、IDAC1071、IDAC1272)からのCd146が使用された。
本試験では以下の抗体を用いた:1:125の希釈で抗ジストロフィンモノクローナル抗体Dys1、Dys2およびDys3(Novacastra、NCL-Dys1、Dys2およびDys3);1:100の希釈で抗ラミニンモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体(Sigma L8271およびL9393);1:5の希釈でMF20抗体、1:300の希釈で抗平滑アルファアクチンおよびSigmaからの1:50で抗デスミン、1:200で抗Myf5(Santa Cruz SC302から)、1:3の希釈でハイブリドーマバンクからのPax7、1:250でヒトlam A/C(NovocastraからのNLC-lam/AC)NG2(William Stallcupからの寄贈)、1:500で抗PDGF受容体ベータ(Cell Signaling Technologies 56874から)。FACS分析に関して、以下の抗体:BD Biosciences(553133、555821、555483、555498、555714、555544)からのCD44、CD34、CD45、CD49b、CD117、CD62L、ID labs incからのCD31、CD13、CD106、Biocytes(IDAC1400、IDAC1071、IDAC1272)からのCd146が使用された。
[周囲血管芽細胞の動脈内送達]
およそ5×105のヒト周囲血管芽細胞を、mdx/SCIDジストロフィーマウス(Charles Riverから)に注入した。マウスは、ケタミン(5mg/ml)およびキシラジン(1mg/ml)を含有する生理食塩水(10ml/kg)の腹腔内注射により麻酔にかけ、脚の内側に限定された切開を実施した。細胞を、大腿動脈に挿入された0.20mm直径針を介して注入した。この針を、ヘパリン化Tygonチューブ(Ika Labortechnik)により蠕動ポンプに接続した。このTygonチューブを、200μl中1.6×106個の細胞を含有する滅菌エッペンドルフチューブに接続した。細胞を、10秒間かけて層流(5μl/秒)により送達した。この手法前または手法中に血流を止めなかった。操作中または操作後、血管壁に対して目に見えるような損傷はなかった。体壁筋を縫合糸で、皮膚を外科用ステープルで閉じた。注入後、種々の時間で動物を殺処理した。通常、30日間隔で3回の連続注入を実施した。
およそ5×105のヒト周囲血管芽細胞を、mdx/SCIDジストロフィーマウス(Charles Riverから)に注入した。マウスは、ケタミン(5mg/ml)およびキシラジン(1mg/ml)を含有する生理食塩水(10ml/kg)の腹腔内注射により麻酔にかけ、脚の内側に限定された切開を実施した。細胞を、大腿動脈に挿入された0.20mm直径針を介して注入した。この針を、ヘパリン化Tygonチューブ(Ika Labortechnik)により蠕動ポンプに接続した。このTygonチューブを、200μl中1.6×106個の細胞を含有する滅菌エッペンドルフチューブに接続した。細胞を、10秒間かけて層流(5μl/秒)により送達した。この手法前または手法中に血流を止めなかった。操作中または操作後、血管壁に対して目に見えるような損傷はなかった。体壁筋を縫合糸で、皮膚を外科用ステープルで閉じた。注入後、種々の時間で動物を殺処理した。通常、30日間隔で3回の連続注入を実施した。
[遺伝子発現プロファイリングおよびデータ解析]
全細胞RNAを、製造元の推奨に従ってRNeasy RNA単離キット(Qiagen、バレンシア、カリフォルニア州)を用いてヒト周囲血管芽細胞集団から単離した。使い捨てRNAチップ(Agilent RNA 6000 Nano LabChipキット)を使用して、Agilent 2100バイオアナライザーを用いてRNA試料の濃度および純度/完全性を決定した。cDNA合成、ビオチン標識標的合成、HG-U133プラス2.0 GeneChip(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア州)アレイハイブリダイゼーション、染色およびスキャニングは、Affymetrixにより供給された標準的プロトコルに従って実施された。転写物mRNA(シグナル)量は、すでに記載された(33)Affymetrix GeneChip Operative Software(GCOS)1.2絶対分析アルゴリズムにより決定した。GCOS絶対分析において遺伝子に関する全ての発現値は、広域スケーリングオプションを用いて測定した。あるいは、ロバストマルチアレイ平均(RMA)法(34)を用いて、プローブレベルデータを発現値に変換した。完全マッチ(PM)値は、背景調整され、不変セット標準化を用いて標準化され、対数変換された。RMA作出データは、log2変換法を用いてGeneSpring(商標)ソフトウェアバージョン7.2にアップロードされた。「1チップ当たり」および「1遺伝子当たり」の標準化は、その試料における10シグナルを超える全ての50.0番目のパーセンタイルに関して各シグナルを割ることにより、また全ての試料におけるその値の中央値により得られた。GeneSpring(商標)における低レベルフィルタは、10%未満の試料において「プレゼント(Present)」と呼ばれる全てのプローブセットを除去するか、またはその標準化発現レベルは、全ての試料にわたって常に0.5と2の間であった。監視解析では、GCOS比較アルゴリズムを用いて(33)実施された対比較の少なくとも90%においてチェンジコール「I」または「D」を示す転写物を選択するために最初のフィルタリング法が適用された。次いで、ファミリーごとの誤差率のBonferroni補正をしたANOVA検定(0.005の信頼水準でのt検定)を用い、ならびにBioconductor SAMパッケージにおいて実施されたSignificance Analysis of Microarrays(SAM)解析を用いて監視解析を実施した。GeneSpringの最新フィルタリングオプションを用いて、種々の解析から作出された遺伝子リストを組み合わせた。ピヤソンの相関係数ならびに距離としての平均連結および連結法を用いてGeneSpring(商標)にて階層的集団クラスタ分割を実施した。
全細胞RNAを、製造元の推奨に従ってRNeasy RNA単離キット(Qiagen、バレンシア、カリフォルニア州)を用いてヒト周囲血管芽細胞集団から単離した。使い捨てRNAチップ(Agilent RNA 6000 Nano LabChipキット)を使用して、Agilent 2100バイオアナライザーを用いてRNA試料の濃度および純度/完全性を決定した。cDNA合成、ビオチン標識標的合成、HG-U133プラス2.0 GeneChip(Affymetrix、サンタクララ、カリフォルニア州)アレイハイブリダイゼーション、染色およびスキャニングは、Affymetrixにより供給された標準的プロトコルに従って実施された。転写物mRNA(シグナル)量は、すでに記載された(33)Affymetrix GeneChip Operative Software(GCOS)1.2絶対分析アルゴリズムにより決定した。GCOS絶対分析において遺伝子に関する全ての発現値は、広域スケーリングオプションを用いて測定した。あるいは、ロバストマルチアレイ平均(RMA)法(34)を用いて、プローブレベルデータを発現値に変換した。完全マッチ(PM)値は、背景調整され、不変セット標準化を用いて標準化され、対数変換された。RMA作出データは、log2変換法を用いてGeneSpring(商標)ソフトウェアバージョン7.2にアップロードされた。「1チップ当たり」および「1遺伝子当たり」の標準化は、その試料における10シグナルを超える全ての50.0番目のパーセンタイルに関して各シグナルを割ることにより、また全ての試料におけるその値の中央値により得られた。GeneSpring(商標)における低レベルフィルタは、10%未満の試料において「プレゼント(Present)」と呼ばれる全てのプローブセットを除去するか、またはその標準化発現レベルは、全ての試料にわたって常に0.5と2の間であった。監視解析では、GCOS比較アルゴリズムを用いて(33)実施された対比較の少なくとも90%においてチェンジコール「I」または「D」を示す転写物を選択するために最初のフィルタリング法が適用された。次いで、ファミリーごとの誤差率のBonferroni補正をしたANOVA検定(0.005の信頼水準でのt検定)を用い、ならびにBioconductor SAMパッケージにおいて実施されたSignificance Analysis of Microarrays(SAM)解析を用いて監視解析を実施した。GeneSpringの最新フィルタリングオプションを用いて、種々の解析から作出された遺伝子リストを組み合わせた。ピヤソンの相関係数ならびに距離としての平均連結および連結法を用いてGeneSpring(商標)にて階層的集団クラスタ分割を実施した。
(結果)
[一次的骨格筋生検からの細胞の単離およびインビトロ増殖]
骨格筋の生検断片は、インフォームドコンセント後に、診断目的のために生検を受ける患者によって得られ、その後正常またはデュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患していると診断された。解剖顕微鏡下で、血管および周囲間葉組織の断片を切開し、マウス中胚葉性血管芽細胞に関して以前に記載された(8、9)コラーゲンコーティング皿で平板培養した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、基層への接着が乏しい小円形細胞および屈折細胞が出現し(図1A)、静かなピペット操作により採取した。浮遊細胞を、ポリクローナル集団として増殖させた。種々の試みを行った後、増殖されたヒト周囲血管芽細胞の増殖を支える最適な培養培地が考案された。該培地は、ウシ胎仔血清およびbFGFで補足したMegaCell(登録商標)を含む(図2および3)。これらの条件下、大部分の細胞集団は、三角形の屈折形態を獲得し(図1B)、およそ36時間の倍増時間でおよそ20継代の間、高い増殖速度を維持した(図1D)。増殖速度は、正常細胞の場合、ほとんど、ドナーの年齢(20歳から78歳の範囲)には依存していなかった。子供(3歳から8歳の範囲)由来のDMD患者からの細胞において、増殖速度は正常細胞と同様であった(図1D)。この増殖速度により、5〜10,000個の増殖細胞から出発して最終的な細胞数がおよそ109個に至る。この細胞数は、ジストロフィーマウスに送達されたマウス細胞との1kg当たりの比較に基づいて(8)、若年患者への動脈内送達に好適となるであろう。20継代(およそ25PD)後、大型の平坦細胞の出現頻度が増加した。これらの細胞はこれ以上分裂せず、わずかな継代後、全集団は老化を受けた。早期および後期双方の継代において、正常なヒト周囲血管芽細胞は、二倍体カリオタイプを維持した(図1C)。テロメラーゼ活性について試験した場合、正常なヒト周囲血管芽細胞は、早期(VIII°)継代においてかなりのTRAP活性、すなわちH1299参照癌細胞に見られるおよそ5〜10%を示した(図1E)。しかしながら、後期継代においては、活性はもはや検出されず、したがって増殖老化の理由を説明するものとなっている。一貫して、テロメア長は累進的に短縮し、継代IX°までに前老化細胞に典型的なサイズに到達した(図1F)。同じことが、DMD患者から単離された周囲血管芽細胞にも当てはまった。
腫瘍形成能を試験するために、107個のヒト周囲血管芽細胞を、ヌードマウスおよびSCIDマウスに皮下注入した。20匹の注入マウス(各群10匹)を、注入12カ月後まで維持したが、それらのいずれにも、剖検で肉眼的に検出できた目に見える腫瘍はなかった。ヒトDMD周囲血管芽細胞は、同一の形態および培養挙動(カリオタイプ、腫瘍形成能)を示したが、それらは、ドナー年齢と関連している可能性のある、より高い増殖速度を示した(図1D)。
[一次的骨格筋生検からの細胞の単離およびインビトロ増殖]
骨格筋の生検断片は、インフォームドコンセント後に、診断目的のために生検を受ける患者によって得られ、その後正常またはデュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患していると診断された。解剖顕微鏡下で、血管および周囲間葉組織の断片を切開し、マウス中胚葉性血管芽細胞に関して以前に記載された(8、9)コラーゲンコーティング皿で平板培養した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、基層への接着が乏しい小円形細胞および屈折細胞が出現し(図1A)、静かなピペット操作により採取した。浮遊細胞を、ポリクローナル集団として増殖させた。種々の試みを行った後、増殖されたヒト周囲血管芽細胞の増殖を支える最適な培養培地が考案された。該培地は、ウシ胎仔血清およびbFGFで補足したMegaCell(登録商標)を含む(図2および3)。これらの条件下、大部分の細胞集団は、三角形の屈折形態を獲得し(図1B)、およそ36時間の倍増時間でおよそ20継代の間、高い増殖速度を維持した(図1D)。増殖速度は、正常細胞の場合、ほとんど、ドナーの年齢(20歳から78歳の範囲)には依存していなかった。子供(3歳から8歳の範囲)由来のDMD患者からの細胞において、増殖速度は正常細胞と同様であった(図1D)。この増殖速度により、5〜10,000個の増殖細胞から出発して最終的な細胞数がおよそ109個に至る。この細胞数は、ジストロフィーマウスに送達されたマウス細胞との1kg当たりの比較に基づいて(8)、若年患者への動脈内送達に好適となるであろう。20継代(およそ25PD)後、大型の平坦細胞の出現頻度が増加した。これらの細胞はこれ以上分裂せず、わずかな継代後、全集団は老化を受けた。早期および後期双方の継代において、正常なヒト周囲血管芽細胞は、二倍体カリオタイプを維持した(図1C)。テロメラーゼ活性について試験した場合、正常なヒト周囲血管芽細胞は、早期(VIII°)継代においてかなりのTRAP活性、すなわちH1299参照癌細胞に見られるおよそ5〜10%を示した(図1E)。しかしながら、後期継代においては、活性はもはや検出されず、したがって増殖老化の理由を説明するものとなっている。一貫して、テロメア長は累進的に短縮し、継代IX°までに前老化細胞に典型的なサイズに到達した(図1F)。同じことが、DMD患者から単離された周囲血管芽細胞にも当てはまった。
腫瘍形成能を試験するために、107個のヒト周囲血管芽細胞を、ヌードマウスおよびSCIDマウスに皮下注入した。20匹の注入マウス(各群10匹)を、注入12カ月後まで維持したが、それらのいずれにも、剖検で肉眼的に検出できた目に見える腫瘍はなかった。ヒトDMD周囲血管芽細胞は、同一の形態および培養挙動(カリオタイプ、腫瘍形成能)を示したが、それらは、ドナー年齢と関連している可能性のある、より高い増殖速度を示した(図1D)。
[ヒト周囲血管芽細胞の表現型]
正常な個体からの周囲血管芽細胞の2つの集団(およびこれらの1つからの2種のクローン)ならびにデュシェンヌ型患者からの2つの集団のAffimetrixチップに対するゲノム広範分析により、正常およびDMD双方の細胞が、以下の周皮細胞マーカー(10) を発現することが明らかにされた:
- 高レベルで:アネキシンV、アルカリホスファターゼ、デスミン、平滑アルファアクチン、ビメンチン、
- 中等度レベルで:PDGF受容体ベータ、アンジオポイエチンおよびNG2プロテオグリカン。
正常な個体からの周囲血管芽細胞の2つの集団(およびこれらの1つからの2種のクローン)ならびにデュシェンヌ型患者からの2つの集団のAffimetrixチップに対するゲノム広範分析により、正常およびDMD双方の細胞が、以下の周皮細胞マーカー(10) を発現することが明らかにされた:
- 高レベルで:アネキシンV、アルカリホスファターゼ、デスミン、平滑アルファアクチン、ビメンチン、
- 中等度レベルで:PDGF受容体ベータ、アンジオポイエチンおよびNG2プロテオグリカン。
対照的に、それらは、筋原性因子、Pax3、Pax7、MEF2CおよびMEF2D(それらは低レベルでMEF2AおよびBを発現するが)、サイトカインまたは神経フィラメント(ネスチンを除いて)を発現しない。培養細胞に対する免疫細胞化学およびウェスタンブロット解析により、これらの結果を確認した。それらのマウス対応物と同様に、正常およびDMD双方の集団のおよそ10%は、平滑アルファアクチン(SMA)およびデスミンを発現したが、これは恐らく平滑筋に対する自発的分化を示していると考えられる(図4a、b)。クローンもまた、連続的継代で変化しなかった同じパーセンテージでこれらのマーカーを発現した。これによって、平滑筋細胞が連続的に培養中に作出されるが、より遅い増殖速度のため、それらは全細胞集団の小さなフラクションにとどまっていることが示唆される。正常およびDMD双方のヒト周囲血管芽細胞は、また、それらの表面に低レベル(わずかなものは鮮明に陽性で、いくつかは陰性、図4c)でPDGF受容体ベータを発現する。表面の受容体(緑色)および円滑APhaアクチン(赤色)を発現する細胞の高拡大図もまた、図4dおよび4eに示す。ヒト周囲血管芽細胞の2つの正常集団および2つのDMD集団の抽出物に対するウェスタンブロット解析により(図4h)、NG2プロテオグリカンおよびPDGF受容体ベータ双方の発現が明らかにされた。同じ集団は、MyoD、Myf5、ミオゲニンまたはPax7を発現せず、したがって衛星細胞とは明らかに異なっている(図4gおよび図7)。さらに、正常およびDMD双方のヒト周囲血管芽細胞は、正常ヒト周囲血管芽細胞に関して図4Kに示されるようにアルカリホスファターゼ(AP)を発現する。特に、一次外植から増殖する小型の円形細胞もまた、APを発現する(図4Kにおける差込図)。成体骨格筋において周皮細胞のみが、APに陽性であることから、この観察により、ヒト周囲血管芽細胞は、周皮細胞集団内に含まれることが強く示唆されている。APにより、マウス成体中胚葉性血管芽細胞とマウス胎仔中胚葉性血管芽細胞とが区別される(未発表観察)。周囲血管芽細胞がAP陽性集団に由来するかどうかを試験するために、ヒト正常骨格筋の生検を、37℃で0.1%コラゲナーゼ(Sigma C9263から)×30分により単一細胞集団に酵素的に消化し、次いでこれを、蛍光活性化セルソーターによりAP陽性およびAP陰性フラクションに分離した。次に両集団をクローン化し、周囲血管芽細胞のクローン数を2週間後に評価した。この実験結果により、AP+細胞は、全単核化細胞集団のおよそ10%を表すが、それらは、AP-フラクションよりも10倍以上のクローンを生じさせ、AP+フラクションにおいて約100倍のクローン原性細胞に富むことを示した(図4M)。ヒト正常およびDMD周囲血管芽細胞は、表面抗原の発現に関しても特徴付けされた。該細胞は、CD31、CD34、CD45、CD62L、CD106、CD117、CD133に関しては均一に陰性であり;CD146およびCD49bに関して陽性であり、CD13およびCD44に関して強く陽性であった(図4Iおよび図5)。これらの結果は全て、ミクロアレイの分析結果からのデータと一致した。これらマーカーの発現における均一性により、この培養条件は、少なくとも上記抗原の発現に関しては均一な集団を選択したことが明らかにされた。ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞間の唯一の著しい相違は、全てのマウス周囲血管芽細胞に存在し、対応するヒト細胞に存在しないCD34の発現であると思われた。
DMD患者からの周囲血管芽細胞は、増殖速度(上記参照)に関するものを除いて、上記の全てのパラメータに関して野生型細胞と区別が付かなかった。Affimetrixチップを用いて実施されたDMD筋肉からのヒト中胚葉性血管芽細胞の分子表現型(図4のレーン1、2)および正常筋肉からのもの(レーン3〜6)は著しく類似しており、差異的に発現された遺伝子はわずかであると思われた:これらは、主として、DMD細胞においてアップレギュレートされたと思われる炎症性遺伝子であることが判明し、10PD後であっても、細胞は培養中、炎症性細胞および分子への曝露の記憶を保持したことが示唆される。一方、Ephrin B2、Wnt誘導タンパク質1およびアルファトロポミオシンなどの少数の遺伝子は、正常細胞においてより多く発現したが、この重要性は不明瞭である(図4jおよび図6)。これらの遺伝子は、DMD周囲血管芽細胞においてアップレギュレートされたと思われる主として炎症性遺伝子であることから、細胞は培養中、炎症性の細胞および分子への曝露の記憶を保持することが示唆される。一方、Ephrin B2、Wnt誘導タンパク質1およびアルファトロポミオシンなどのほんのわずかな遺伝子が、正常細胞においてより多く発現したが、この重要性は不明瞭である。特に2つの周囲血管芽細胞ポリクローナル集団(図4j、レーン3、4)およびそれらの1つからの2種のクローン(図4j、レーン5、6)の全ては、同様のプロフィールを発現し、外植培養法により選択された細胞集団の均一性をさらに立証した。
[ヒト周囲血管芽細胞の分化潜在能]
正常およびDMDヒト周囲血管芽細胞のインビトロ特徴付けを完了させるために、種々の中胚葉性細胞型への終末分化するそれらの能力を試験した。それらのマウス対応物と同様に、ヒト周囲血管芽細胞は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)、インスリン-デキサメタゾンまたは骨形成タンパク質2(BMP2)で処理された場合、平滑筋、骨芽細胞または脂肪細胞に容易に分化する。
正常およびDMDヒト周囲血管芽細胞のインビトロ特徴付けを完了させるために、種々の中胚葉性細胞型への終末分化するそれらの能力を試験した。それらのマウス対応物と同様に、ヒト周囲血管芽細胞は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)、インスリン-デキサメタゾンまたは骨形成タンパク質2(BMP2)で処理された場合、平滑筋、骨芽細胞または脂肪細胞に容易に分化する。
[ヒト周囲血管芽細胞のインビボ試験]
次に本発明者らは、mdx、免疫不全マウスにおいてヒト周囲血管芽細胞の筋原性潜在能を試験した。この目的のために、大腿動脈に注入された場合に下流骨格筋に帰着するヒト周囲血管芽細胞の能力を、本発明者らは最初に評価した。定量的測定を得るために、ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞を、GFPを発現するレンチベクター用いて形質導入(両集団は、ベクターにより90%を超えて形質導入された)してから、Galvezら、2006年にマウス細胞に関して詳述されたヒト細胞を拒絶しないmdx/SCIDジストロフィーマウスの大腿動脈に注入した。6時間後、マウスを殺処理し、個々の筋肉を、注入された対側脚ならびに肝臓および脾臓などのフィルタ臓器から切開した。GFPに関する定量的PCRにより正確な分析ができ、注入された細胞のおよそ10%が下流筋肉に、1%未満が対側筋肉に帰着し、残りの細胞は主としてフィルタ臓器に局在化することが明らかになった(図8A)。たとえその差異が統計的に有意でなくても、骨格筋への帰着がマウス対応物よりもわずかに効率的であったことをこの図面は示している。
次に本発明者らは、mdx、免疫不全マウスにおいてヒト周囲血管芽細胞の筋原性潜在能を試験した。この目的のために、大腿動脈に注入された場合に下流骨格筋に帰着するヒト周囲血管芽細胞の能力を、本発明者らは最初に評価した。定量的測定を得るために、ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞を、GFPを発現するレンチベクター用いて形質導入(両集団は、ベクターにより90%を超えて形質導入された)してから、Galvezら、2006年にマウス細胞に関して詳述されたヒト細胞を拒絶しないmdx/SCIDジストロフィーマウスの大腿動脈に注入した。6時間後、マウスを殺処理し、個々の筋肉を、注入された対側脚ならびに肝臓および脾臓などのフィルタ臓器から切開した。GFPに関する定量的PCRにより正確な分析ができ、注入された細胞のおよそ10%が下流筋肉に、1%未満が対側筋肉に帰着し、残りの細胞は主としてフィルタ臓器に局在化することが明らかになった(図8A)。たとえその差異が統計的に有意でなくても、骨格筋への帰着がマウス対応物よりもわずかに効率的であったことをこの図面は示している。
次に本発明者らは、免疫蛍光法によりヒト移植細胞の分布および引き続くヒトジストロフィンの出現を評価した。注入後、ヒト核(矢印)が基底層下で確認され(抗ヒトラミンA/C抗体により)、注入細胞の少なくとも一部が筋核または衛星細胞(図8Bにおける矢印)として筋線維内に局在化することが示された。また、結果としてヒトジストロフィンを発現する筋線維間、時には筋線維内に局在化されたヒト細胞群を、抗ヒト特異的抗体Dys3により染色することにより明らかにされるように低拡大率で可視化することができる(図8C)。ヒト細胞の3回連続注入後、注入された筋肉の大きな領域が、ヒトジストロフィンを発現する線維により再構成された(図8D、E)。ヒトミニジストロフィンを発現するレンチウィルスベクターをインビトロで形質導入されたジストロフィーヒト周囲血管芽細胞を、mdx/SCIDマウスの骨格筋に注入した場合、その結果は、正常な周囲血管芽細胞で観察されたものと同様であった(図8F、G)。移植筋肉中に発現されたヒトジストロフィン量は、ウェスタンブロットにより解析すると(図8H)、種々の移植動物間で差異はあるが、野生型ジストロフィンおよびミニジストロフィン双方のかなりの蓄積が判明した。
(考察)
[ヒト周囲血管芽細胞の単離および特徴付け]
本発明で報告されたデータは、健常な対象およびジストロフィー患者双方の骨格筋の生検から周囲血管芽細胞を単離することが可能であることを示している。細胞は、約20継代(およそ40集団の倍増)インビトロで増殖でき、ウィルスベクターで形質導入し、次いで骨格筋に分化させるために誘導できる。ジストロフィー免疫無能マウスに移植された場合、このような周囲血管芽細胞は、ヒトジストロフィンを発現する多数の新規な線維を生じる。したがって、このヒト細胞集団は、筋ジストロフィーにおける細胞療法プロトコルの成功のために必要な全ての評価基準を満たす。
[ヒト周囲血管芽細胞の単離および特徴付け]
本発明で報告されたデータは、健常な対象およびジストロフィー患者双方の骨格筋の生検から周囲血管芽細胞を単離することが可能であることを示している。細胞は、約20継代(およそ40集団の倍増)インビトロで増殖でき、ウィルスベクターで形質導入し、次いで骨格筋に分化させるために誘導できる。ジストロフィー免疫無能マウスに移植された場合、このような周囲血管芽細胞は、ヒトジストロフィンを発現する多数の新規な線維を生じる。したがって、このヒト細胞集団は、筋ジストロフィーにおける細胞療法プロトコルの成功のために必要な全ての評価基準を満たす。
さらに本発明者らは本発明において、周囲血管芽細胞は、アルカリホスファターゼおよび多数の周皮細胞マーカーを発現し、実際、インビボでもAP、すなわち周皮細胞を発現する細胞に由来することを示している(11)。したがって、ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞は、周皮細胞集団内に含まれ、インビボで周皮位置を占めることが結論付けられる。それらは、胎仔血管から単離された場合、Flk1、Tie2およびCD31を一過性に発現する胎仔中胚葉性血管芽細胞とは対照的に、内皮マーカーは発現しない。
正常およびDMD周囲血管芽細胞は、さらなる外科処置を必要することなく、診断用に用いられる同じ生検から容易に単離できる。いずれの場合も、針生検は、2、3年ごとに反復できると考えられる耐容性の手術である。細胞の供給源は、実用的な理由からのみではなく重要である。これらの多分化能中胚葉性前駆体は、それらが常在する組織の細胞型への動員に好都合である何らかの種類の局所的コミットメントを受けている可能性がある。実際は、マウス筋芽細胞との共培養後、ハイブリッド筋管に取り込まれるヒト周囲血管芽細胞核のパーセンテージは、種々の実験で30%から60%の範囲と著しく高い。これは、非筋肉源に由来する他のタイプの幹細胞で観察されたものより有意に高い。
さらに、本発明により、ヒト正常およびDMDの周囲血管芽細胞が、適切な培養条件の下で骨格筋管に自発的に分化する(集団の40%まで)ことが立証されている。これは、筋芽細胞との共培養によってのみ分化に誘導できるマウス中胚葉性血管芽細胞との著しい相違である(8、9)。この特徴により、筋ジストロフィー患者において大型筋肉の再構成効率の増加した劇的な治療の改善がもたらすことができると考えられる。
[中胚葉の他の幹細胞との比較]
それらの供給源のため、本発明者らは最初に、ヒト周囲血管芽細胞が、やはり骨髄の周皮細胞に由来する異なるサブセットの間葉幹細胞(MSC)に相当し得る可能性を考慮した(13)。しかしながら、ヒト周囲血管芽細胞と間葉幹細胞との詳細な比較により、2つの細胞集団は、著しい数の遺伝子の発現において明らかに異なることが示された。さらに重要なことに、ヒト中胚葉性血管芽細胞は、MSCに使用される培地であるα-MEM中で増殖せず、したがって、これらの集団は実際に異なっていることを確認した。
それらの供給源のため、本発明者らは最初に、ヒト周囲血管芽細胞が、やはり骨髄の周皮細胞に由来する異なるサブセットの間葉幹細胞(MSC)に相当し得る可能性を考慮した(13)。しかしながら、ヒト周囲血管芽細胞と間葉幹細胞との詳細な比較により、2つの細胞集団は、著しい数の遺伝子の発現において明らかに異なることが示された。さらに重要なことに、ヒト中胚葉性血管芽細胞は、MSCに使用される培地であるα-MEM中で増殖せず、したがって、これらの集団は実際に異なっていることを確認した。
この数年間、多種のタイプの中胚葉性幹細胞が、マウスおよびヒト組織から単離され、種々の程度に特徴付けされた。これらには、内皮前駆体細胞(EPC、14)、多分化能成体前駆体細胞(MAPC、15)、筋由来幹細胞(MDCS、16)、側方集団細胞(SP、17〜19)、中胚葉性血管芽細胞(9)、筋内皮からの幹細胞/前駆体細胞(20)、滑膜(21)、真皮(22)、および脂肪組織(23)が挙げられる。種々の実験手法、種々の供給源および部分的特徴付けによって、これら細胞の異質性の完全な理解はなお妨げられており;それらの起源および可能な系列関係に関する知識はさらに少ない。MDSCまたはMAPCなどこれら細胞の多くは、インビトロで骨格筋へ、またMDSCに関しては移植後ジストロフィー筋肉に分化することが示されている。しかしながら、ヒトMDSCは、未だ単離されていない。これら細胞のいくつかは、インビトロで大増殖するが、EPCおよびSPなどの他の細胞はそうではない。一方、EPCおよびSPは、血中に送達できるが、大部分の他の細胞型に関しては全身送達が試験されていない。他の中胚葉性細胞型もまた同様の特質を示し得ることが可能であるかもしれないが、現在のところ、本発明のヒト周囲血管芽細胞は、要求される全ての評価基準が有効であると認められた唯一の細胞型である。例えば、脂肪組織から単離された細胞は、インビトロで大増殖でき、骨格筋を含むいくつかの組織に分化でき、免疫抑制をしなくてもmdxマウスに注入された場合、ヒトジストロフィン発現線維を生じ得ることが最近示されている(23)。幹細胞は免疫系を回避できるが(24)、それらが形成する線維が高レベルのクラスI HLA抗原を発現することから(25)、このような驚くべき結果の確認が待たれている。さらに、生じたジストロフィン量の生化学的分析は報告されておらず、本発明との直接比較が困難になる。最後に、通常、低効率で骨格筋に分化するMSCは、ノッチの細胞内活性ドメインを形質導入し、一定のサイトカインに曝された場合、インビトロおよびmdxマウスにおいて多数の線維を生じることが報告されている(26)。この逆説的な結果は興味をそそるが、分子的説明が待たれる。実際、ノッチは、形質転換能力を有する筋形成阻害剤(27)として知られている(28)。
[周囲血管芽細胞による臨床試験の見通し]
臨床プロトコルにおいて、筋内送達には多くの注入が必要と思われることから、全身送達が絶対的選択のように思われる。ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞は、白血球が、内皮に接着および横断するために使用するいくつかのタンパク質(例えば、血管細胞接着分子(VCAM-1)、誘導性細胞接着分子(ICAM-1/5/2)、白血球セレクチン(L-セレクチン)、CD36、CD44、b7、b5、b1、b2インテグリン、インテグリン(a1、a5およびa6)、白血球因子抗原(LFA-1)、インターロイキン-1受容体IL-1R、間質由来因子受容体(SDF-R)およびカドヘリン)を発現し、したがって動脈内に送達された場合、骨格筋の間質に拡散できる。これは、それを行うことができない常在の衛星細胞よりも明らかに大きな利点であり;他の中胚葉性幹細胞/前駆体細胞が同じ能力を示す可能性は高いが、これは今まで試験されていない。さらに、Sdf-1(間質細胞由来因子-1)またはTNF-αに予め曝されたマウス周囲血管芽細胞におけるα-4インテグリンまたはL-セレクチンの一過性発現により、骨格筋への帰着を4倍から5倍増加させる(42)ことを本発明者らは最近示しており、これは、ドナー細胞により患者の筋肉のコロニー化をさらに増加させ得る簡便な手法である。鎖骨下動脈、横隔膜動脈または腸骨動脈へのカテーテル媒介送達により、運動および呼吸に必須の筋肉に周囲血管芽細胞を到達させ、コロニー化させるはずである。
臨床プロトコルにおいて、筋内送達には多くの注入が必要と思われることから、全身送達が絶対的選択のように思われる。ヒトおよびマウスの周囲血管芽細胞は、白血球が、内皮に接着および横断するために使用するいくつかのタンパク質(例えば、血管細胞接着分子(VCAM-1)、誘導性細胞接着分子(ICAM-1/5/2)、白血球セレクチン(L-セレクチン)、CD36、CD44、b7、b5、b1、b2インテグリン、インテグリン(a1、a5およびa6)、白血球因子抗原(LFA-1)、インターロイキン-1受容体IL-1R、間質由来因子受容体(SDF-R)およびカドヘリン)を発現し、したがって動脈内に送達された場合、骨格筋の間質に拡散できる。これは、それを行うことができない常在の衛星細胞よりも明らかに大きな利点であり;他の中胚葉性幹細胞/前駆体細胞が同じ能力を示す可能性は高いが、これは今まで試験されていない。さらに、Sdf-1(間質細胞由来因子-1)またはTNF-αに予め曝されたマウス周囲血管芽細胞におけるα-4インテグリンまたはL-セレクチンの一過性発現により、骨格筋への帰着を4倍から5倍増加させる(42)ことを本発明者らは最近示しており、これは、ドナー細胞により患者の筋肉のコロニー化をさらに増加させ得る簡便な手法である。鎖骨下動脈、横隔膜動脈または腸骨動脈へのカテーテル媒介送達により、運動および呼吸に必須の筋肉に周囲血管芽細胞を到達させ、コロニー化させるはずである。
細胞療法プロトコルに関するさらなる懸念は、インビトロ大増殖が、分化および/または自己複製能力を損なうか、またはさらに悪性の形質転換に導き得る危険性である。本発明は、ヒト周囲血管芽細胞が大増殖できるが、インビトロで無限でないことを示している。重要なことにヒトジストロフィー周囲血管芽細胞は、それらの正常な対応物と同じ増殖能力を示し、少なくとも若年層においてこの疾患により、増殖潜在能が枯渇しないことを示唆している。正常およびジストロフィー双方の周囲血管芽細胞は、二倍体カリオタイプを維持し、免疫不全マウスにおいて腫瘍形成性ではなく、インビトロでおよそ20継代後に老化を受ける。周囲血管芽細胞は主として、終末に分化され、有糸分裂後の持続性筋線維を生じることを考慮すべきである。場合によっては、新しいバッチの細胞は、第2の針生検により容易に得ることができると考えられる。
最後に、ここでジストロフィーの細胞療法に関する代わりの選択として以下の2つのプロトコルが出されている:a)インビトロで遺伝子補正後の自己ジストロフィー細胞またはb)免疫抑制の存在で正常なドナー細胞。筋ジストロフィーの場合、自己細胞の遺伝子補正は、巨大サイズのジストロフィンによって表される問題に直面する。レンチウィルスベクターが、(患者への使用を未だ承認されておらず、大型筋線維の状況での修飾ジストロフィンの機能的効力試験が残されたままではあるが、)レンチウィルスベクターからのヒトミニジストロフィンの発現により、ジストロフィン合成が効率的に再生されることを本発明者らは示している。
ドナー細胞の移植により、これらの問題が克服されると思われるが、長期でありかつ生涯の早期から始まると考えられる免疫抑制の必要性に直面している。
結論として、ヒト周囲血管芽細胞が、筋ジストロフィーの細胞療法にとって理想的な細胞集団であることを本発明者らは示した。実際、ゴールデンレトリバーの筋ジストロフィーの実験では、ジストロフィー犬の機能的改善が可能であり(43)、本発明の細胞の治療適用が示唆されている。
<心臓中胚葉性血管芽細胞>
(方法)
[マウスおよびヒトの心臓中胚葉性血管芽細胞の単離および培養]
4週齢のHomoGFPマウス(Charles Riverから)から単離した心臓を、FCSなしで、抗生物質と共にDMEM(Sigma、D5671)中に保持し、5つの異なる領域:大動脈、心室、心耳、開放壁および隔壁に細分した。各片をCa/Mgを有するPBS中ですすぎ、メスで1〜2mm直径の小片に薄く切開した。小血管を含有する断片を、先にマウスの中胚葉性血管芽細胞(8、9)に関して記載したように、20% FBS-DMEMプラス5mMのグルタミンおよび抗生物質の存在下、ゼラチン1%(Sigma G9382)でコーティングしたペトリ皿に移した。これらの心臓断片を、領域に依って8〜15日間培養し、線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小型円形で屈折した細胞が現れた。この細胞集団は、元の培養物を静かにピペット操作することにより容易に回収され、カウントし、ゼラチン1%でコーティングした96マルチウェルプレートでの限界希釈によりクローン化した。種々のクローンを、位相差形態により選択し、増殖させてから、表面マーカー発現によって特徴付けした。
(方法)
[マウスおよびヒトの心臓中胚葉性血管芽細胞の単離および培養]
4週齢のHomoGFPマウス(Charles Riverから)から単離した心臓を、FCSなしで、抗生物質と共にDMEM(Sigma、D5671)中に保持し、5つの異なる領域:大動脈、心室、心耳、開放壁および隔壁に細分した。各片をCa/Mgを有するPBS中ですすぎ、メスで1〜2mm直径の小片に薄く切開した。小血管を含有する断片を、先にマウスの中胚葉性血管芽細胞(8、9)に関して記載したように、20% FBS-DMEMプラス5mMのグルタミンおよび抗生物質の存在下、ゼラチン1%(Sigma G9382)でコーティングしたペトリ皿に移した。これらの心臓断片を、領域に依って8〜15日間培養し、線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小型円形で屈折した細胞が現れた。この細胞集団は、元の培養物を静かにピペット操作することにより容易に回収され、カウントし、ゼラチン1%でコーティングした96マルチウェルプレートでの限界希釈によりクローン化した。種々のクローンを、位相差形態により選択し、増殖させてから、表面マーカー発現によって特徴付けした。
本質的にはマウスの心臓中胚葉性血管芽細胞に関して上記に記載したとおり、ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞を、心房弁膜機能不全の手術を受けている患者の生検から単離した。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞分化アッセイ]
成体マウス心臓中胚葉性血管芽細胞クローンとラット新生仔心筋細胞とを共培養することによって、心臓細胞への分化が誘導された。心臓中胚葉性血管芽細胞を1:5の比率で加え、培養物を分化用培地(2%ウマ血清を添加したDMEM)に移した。5日後、培養物を固定し、ミオシンに対する抗体(MF20)によって染色した。核の同定は、ヘキスト染色によって確認した。心臓分化のパーセンテージは、ミオシン染色(赤色)に陽性な緑色GFP-心臓中胚葉性血管芽細胞の数をカウントすることによって算出した。生化学的分化は、種々の心臓中胚葉性血管芽細胞クローンから抽出されたRNAと共に、Nkx2.5、GATA4/6、isl-1、mef2aおよびTbx2/6に対してマウス特異的なオリゴヌクレオチドを用いて、RT-PCRによって確認した。
成体マウス心臓中胚葉性血管芽細胞クローンとラット新生仔心筋細胞とを共培養することによって、心臓細胞への分化が誘導された。心臓中胚葉性血管芽細胞を1:5の比率で加え、培養物を分化用培地(2%ウマ血清を添加したDMEM)に移した。5日後、培養物を固定し、ミオシンに対する抗体(MF20)によって染色した。核の同定は、ヘキスト染色によって確認した。心臓分化のパーセンテージは、ミオシン染色(赤色)に陽性な緑色GFP-心臓中胚葉性血管芽細胞の数をカウントすることによって算出した。生化学的分化は、種々の心臓中胚葉性血管芽細胞クローンから抽出されたRNAと共に、Nkx2.5、GATA4/6、isl-1、mef2aおよびTbx2/6に対してマウス特異的なオリゴヌクレオチドを用いて、RT-PCRによって確認した。
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞分化アッセイ]
心臓細胞への分化は、細胞を5μMの5-アザシチジンに曝露するか、またはマウスまたはヒトの心臓中胚葉性血管芽細胞と新生仔心筋細胞との共培養によって誘導された。集団間の識別のため、マウスまたはラットの新生仔心筋細胞が利用された。
心臓細胞への分化は、細胞を5μMの5-アザシチジンに曝露するか、またはマウスまたはヒトの心臓中胚葉性血管芽細胞と新生仔心筋細胞との共培養によって誘導された。集団間の識別のため、マウスまたはラットの新生仔心筋細胞が利用された。
[マウス心筋細胞の電気生理学]
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞についての電気生理学的試験を35℃で実施した。全細胞様式のパッチクランプ法を用いて膜電流を記録し、静電容量も測定した(Hamill OPら、1981年)。データ解析およびグラフは、Clampfit 8.1およびOrigin版7.0によって得た。
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞についての電気生理学的試験を35℃で実施した。全細胞様式のパッチクランプ法を用いて膜電流を記録し、静電容量も測定した(Hamill OPら、1981年)。データ解析およびグラフは、Clampfit 8.1およびOrigin版7.0によって得た。
[心筋細胞増殖の解析]
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞を、種々の培地中、5×103細胞/cm2の濃度で塗布し、平均3日ごとに継代した。各継代時に、細胞数を血球計数器で3連でカウントした。心臓クローンの増殖曲線に関して、細胞を当初、完全DMEM中、1×104細胞/cm2で塗布し、5日ごとに継代した。各継代時に、細胞数を血球計数器で3連でカウントした。
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞を、種々の培地中、5×103細胞/cm2の濃度で塗布し、平均3日ごとに継代した。各継代時に、細胞数を血球計数器で3連でカウントした。心臓クローンの増殖曲線に関して、細胞を当初、完全DMEM中、1×104細胞/cm2で塗布し、5日ごとに継代した。各継代時に、細胞数を血球計数器で3連でカウントした。
(結果)
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞]
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞の単離およびインビトロ増殖]
成体心臓を、上記に示したように回収し、切開し、塗布した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小型円形で屈折した細胞が現れた。これらの細胞は、基層への接着が弱く、したがって、静かにピペット操作することによって回収した。浮遊細胞を、ゼラチン1%でコーティングしたプレート上で最終希釈によりクローン化した(フィーダー層なし)。この場合、増殖およびクローニングに用いた培地は、20%血清を有する完全DMEMであった。これらの条件下、クローンのいくつかは、およそ72時間の倍増時間で、およそ25継代の間、平均増殖速度を維持しつつ(図10)、サブコンフルエント(subconfluent)な条件下、三角の屈折した形態(図9A〜9E)、またはコンフルエントな条件下、玉石パターン(図9A'〜9E')を得た。増殖速度は、クローンの解剖学的起源によって変動し、大動脈、心室および開放壁由来のクローンは、心耳および隔壁由来のものよりも増殖がより速かった(図10)。この増殖速度によると、大動脈クローンでの最良の場合、10,000細胞の増殖から出発して、最終およそ1×109細胞数に至る。25継代後、大型の平たい細胞が、より高くなる頻度で現れた。これらの細胞はもはや分裂せず、わずかな継代後に全集団は老化を受けた。成体マウスの心臓クローンはさらに、フローサイトメトリーおよびPCR遺伝子発現により特徴付けし(表IおよびIIならびに図11)、心筋細胞への分化に関するそれらの能力は、免疫染色(図12、13および表III)および電気生理学(図14)によって分析した。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞]
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞の単離およびインビトロ増殖]
成体心臓を、上記に示したように回収し、切開し、塗布した。線維芽細胞様細胞の最初の増殖後、小型円形で屈折した細胞が現れた。これらの細胞は、基層への接着が弱く、したがって、静かにピペット操作することによって回収した。浮遊細胞を、ゼラチン1%でコーティングしたプレート上で最終希釈によりクローン化した(フィーダー層なし)。この場合、増殖およびクローニングに用いた培地は、20%血清を有する完全DMEMであった。これらの条件下、クローンのいくつかは、およそ72時間の倍増時間で、およそ25継代の間、平均増殖速度を維持しつつ(図10)、サブコンフルエント(subconfluent)な条件下、三角の屈折した形態(図9A〜9E)、またはコンフルエントな条件下、玉石パターン(図9A'〜9E')を得た。増殖速度は、クローンの解剖学的起源によって変動し、大動脈、心室および開放壁由来のクローンは、心耳および隔壁由来のものよりも増殖がより速かった(図10)。この増殖速度によると、大動脈クローンでの最良の場合、10,000細胞の増殖から出発して、最終およそ1×109細胞数に至る。25継代後、大型の平たい細胞が、より高くなる頻度で現れた。これらの細胞はもはや分裂せず、わずかな継代後に全集団は老化を受けた。成体マウスの心臓クローンはさらに、フローサイトメトリーおよびPCR遺伝子発現により特徴付けし(表IおよびIIならびに図11)、心筋細胞への分化に関するそれらの能力は、免疫染色(図12、13および表III)および電気生理学(図14)によって分析した。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞表面マーカーおよび遺伝子発現の特徴付け]
種々の心臓領域からの成体心臓クローンを、幹細胞マーカーの細胞表面における発現に関して、フローサイトメトリーによって分析した。全クローンは、CD34、CD31、Sca-1、c-kitならびにCD44陽性およびCD45陰性であった(表I)。
種々の心臓領域からの成体心臓クローンを、幹細胞マーカーの細胞表面における発現に関して、フローサイトメトリーによって分析した。全クローンは、CD34、CD31、Sca-1、c-kitならびにCD44陽性およびCD45陰性であった(表I)。
また、増殖時(ND、非分化)、または分化5日後(DIF、分化、表II)、RNAを種々のマウス成体心臓クローン細胞から抽出した。他のグループによりすでに記載した心臓発生または分化に関与する種々の遺伝子の発現を分析するために、RT-PCRを実施した(表IIおよび図11)。
図11は、MEF2およびTbx5などの心臓特異的転写因子の発現に関して、クローンが互いに異なっていることを示している。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞の分化能力]
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)、インスリン-デキサメタゾンまたは骨形成タンパク質2(BMP2)によって処置された場合、平滑筋、骨芽細胞または脂肪細胞へと容易に分化することはできなかった。対照的に、心筋分化がこれらの成体心臓クローンとラットの新生仔心筋細胞との共培養によって誘導された場合、より多数の大動脈クローン細胞が筋節ミオシンを発現し、これらの細胞が心筋形成を受ける潜在能力(90%まで、図12)を有することを示した。さらに、予想外なことに、大動脈またはFWクローン細胞が心臓分化培地(低血清)に曝露されると、およそ70%〜80%の細胞が自発的にミオシン陽性心筋細胞に分化した(図13)。本発明者らはまた、分化が、心臓クローンの単離された領域に依存することも認めた(表III)。
マウス心臓中胚葉性血管芽細胞は、形質転換成長因子ベータ(TGFβ)、インスリン-デキサメタゾンまたは骨形成タンパク質2(BMP2)によって処置された場合、平滑筋、骨芽細胞または脂肪細胞へと容易に分化することはできなかった。対照的に、心筋分化がこれらの成体心臓クローンとラットの新生仔心筋細胞との共培養によって誘導された場合、より多数の大動脈クローン細胞が筋節ミオシンを発現し、これらの細胞が心筋形成を受ける潜在能力(90%まで、図12)を有することを示した。さらに、予想外なことに、大動脈またはFWクローン細胞が心臓分化培地(低血清)に曝露されると、およそ70%〜80%の細胞が自発的にミオシン陽性心筋細胞に分化した(図13)。本発明者らはまた、分化が、心臓クローンの単離された領域に依存することも認めた(表III)。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞の機能的試験]
マウス成体心臓中胚葉性血管芽細胞の機能的性質を評価するために、心室心臓クローン細胞に対して、生理学的温度(35〜37℃)で、電気生理学的実験を実施した。図14Aは、測定実施の間、拍動している単離心室心臓細胞を示す。これらの細胞の電気容量は、図14Bに示されるように、新鮮単離マウス心筋細胞によって得られたもの(134.5±6.8 pF、n=12)と同等である。興味深いことに、これらの細胞の活動電位を記録すると、本発明者らの波形パターンは、新鮮単離左心室筋細胞によって得られたものと同様である(図14C)。
マウス成体心臓中胚葉性血管芽細胞の機能的性質を評価するために、心室心臓クローン細胞に対して、生理学的温度(35〜37℃)で、電気生理学的実験を実施した。図14Aは、測定実施の間、拍動している単離心室心臓細胞を示す。これらの細胞の電気容量は、図14Bに示されるように、新鮮単離マウス心筋細胞によって得られたもの(134.5±6.8 pF、n=12)と同等である。興味深いことに、これらの細胞の活動電位を記録すると、本発明者らの波形パターンは、新鮮単離左心室筋細胞によって得られたものと同様である(図14C)。
したがって、心臓心室は、律動的な収縮活性および適切なイオンチャネルを発現した。それらは、心室の心筋細胞と同様に挙動すると思われる。
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞]
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞の単離および特徴付け]
ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞を、方法に詳述したプロトコルに従って、ヒトの心室、心耳または大動脈の生検から単離した。図15(A、B)に示されるように、これらの細胞は、マウスの心臓中胚葉性血管芽細胞と同様な形態を有し、種々の培地の存在下、高速で増殖することができた(図15C)。
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞の単離および特徴付け]
ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞を、方法に詳述したプロトコルに従って、ヒトの心室、心耳または大動脈の生検から単離した。図15(A、B)に示されるように、これらの細胞は、マウスの心臓中胚葉性血管芽細胞と同様な形態を有し、種々の培地の存在下、高速で増殖することができた(図15C)。
ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞は、CD31、CD44、CD34およびCD117を発現したが、CD45もCD133も発現しなかった(表IV)。
本発明者らはまた、これらの細胞の遺伝子発現パターンを試験した(表V)。
ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞は、nkx2.5、gata4、tbx2/5およびmef2Aに関して陽性であったが、isl1に関しては陰性であった。
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞の分化潜在能力]
ラット新生仔心筋細胞との共培養によって、心筋分化が誘導され、ヒト細胞の35%までが分化し、心臓アクチンを発現した(表VI)。さらに、これらの細胞は、5-アザシチジン(5μM)の存在下で心筋細胞へと分化できる(図16および表VI)。
ラット新生仔心筋細胞との共培養によって、心筋分化が誘導され、ヒト細胞の35%までが分化し、心臓アクチンを発現した(表VI)。さらに、これらの細胞は、5-アザシチジン(5μM)の存在下で心筋細胞へと分化できる(図16および表VI)。
(考察)
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞]
本発明において、本発明者らは、成体マウス心臓の種々の領域からの心臓中胚葉性血管芽細胞様の幹細胞を単離することが可能であることを示している。以前、AnversaまたはChienにより、成体心臓から幹細胞を得る可能性が報告されているが、この研究の目標は、異なる分化および機能的性質を有する心臓の異なる領域からの異なる心臓幹細胞を得ることである。本発明者らは、25継代まで増殖でき、Sca-1またはc-kitなどの幹細胞表面マーカー、ならびにnkx2.5またはgata4などの心臓遺伝子を発現できる大動脈、心室、心耳、開放壁および隔壁から心臓中胚葉性血管芽細胞を単離した。種々の心臓幹細胞/前駆体細胞におけるマーカー発現の比較分析を、下表VIIに示す。
[マウス心臓中胚葉性血管芽細胞]
本発明において、本発明者らは、成体マウス心臓の種々の領域からの心臓中胚葉性血管芽細胞様の幹細胞を単離することが可能であることを示している。以前、AnversaまたはChienにより、成体心臓から幹細胞を得る可能性が報告されているが、この研究の目標は、異なる分化および機能的性質を有する心臓の異なる領域からの異なる心臓幹細胞を得ることである。本発明者らは、25継代まで増殖でき、Sca-1またはc-kitなどの幹細胞表面マーカー、ならびにnkx2.5またはgata4などの心臓遺伝子を発現できる大動脈、心室、心耳、開放壁および隔壁から心臓中胚葉性血管芽細胞を単離した。種々の心臓幹細胞/前駆体細胞におけるマーカー発現の比較分析を、下表VIIに示す。
さらに、これらのマウス成体心臓中胚葉性血管芽細胞は、心筋細胞との共培養のみならず、分化培地(低血清)の存在下でも分化することができる。それらは、上記表(表Iおよび表II)に示されたいくつかの心臓マーカーと一緒に筋節ミオシンを発現することができる。電気生理学的アプローチにより、本発明者らは、これらの成体心臓細胞が、電流に対する機能的チャネルを有し、心室筋細胞と同様に挙動することを示した。したがって本発明者らは、心臓分化機序の研究および心臓疾患の治療的適用のための強力なツールを有している。
[ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞]
本発明では、心耳のみならず、心室または大動脈領域のヒト成体生検からの外植片からヒト心臓幹細胞を単離する可能性が実証されている。細胞はインビトロで成長し増殖させることができる。それらは、ラットの新生仔心筋細胞と共培養すると、インビトロで心筋細胞へと分化する能力を有する。それらの電気的性質ならびにそれらのインビボで分化する能力は依然として不明であった。上記の表(表IVおよびV)に示されるように、ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞は、マウス心臓中胚葉性血管芽細胞と同様に、全ての表面マーカーならびに心臓関与に必要な心臓遺伝子を発現する。このことから、それらは、心臓疾患に罹っているヒト患者における療法に好適となる。
本発明では、心耳のみならず、心室または大動脈領域のヒト成体生検からの外植片からヒト心臓幹細胞を単離する可能性が実証されている。細胞はインビトロで成長し増殖させることができる。それらは、ラットの新生仔心筋細胞と共培養すると、インビトロで心筋細胞へと分化する能力を有する。それらの電気的性質ならびにそれらのインビボで分化する能力は依然として不明であった。上記の表(表IVおよびV)に示されるように、ヒト心臓中胚葉性血管芽細胞は、マウス心臓中胚葉性血管芽細胞と同様に、全ての表面マーカーならびに心臓関与に必要な心臓遺伝子を発現する。このことから、それらは、心臓疾患に罹っているヒト患者における療法に好適となる。
[心臓中胚葉性血管芽細胞による臨床試験の見通し]
今まで、心臓の細胞療法のためのツールとしての胚性幹細胞の使用は、これらの細胞が機能的心筋細胞の形成において効率は高い(44〜46)が、腫瘍形成の可能性および免疫抑制の必要性によって制限されていた。心筋形成の可能性の高い成体心臓における心臓中胚葉性血管芽細胞の発見は、ヒト患者の治療に新たな可能性を開く。これらの細胞による心室壁のコロニー形成および引き続いてのそれらのインビボでの心筋細胞への分化が、電子顕微鏡および組織学によって実証された。これによって、顕著な、しかし完全ではない機能的回復がもたらされる。興味深いことに、心臓中胚葉性血管芽細胞は、壊死領域の内側に数mm以上移動することはできないようである。冠状動脈結さつは、広い経壁梗塞をもたらし、新血管形成および/または壊死組織の除去により移動が成功しない限り、細胞はその領域全体を治癒することはできないと考えられる。壊死領域が再生により相互分散される筋ジストロフィーのような病態または明らかに健常な領域では、中胚葉性血管芽細胞移植により、効率の高い組織修復がもたらされる(43)。したがって、肥大など、心臓組織の大量の壊死を生じない他の心臓疾患は、心臓中胚葉性血管芽細胞による細胞療法のより良い標的になり得る。
今まで、心臓の細胞療法のためのツールとしての胚性幹細胞の使用は、これらの細胞が機能的心筋細胞の形成において効率は高い(44〜46)が、腫瘍形成の可能性および免疫抑制の必要性によって制限されていた。心筋形成の可能性の高い成体心臓における心臓中胚葉性血管芽細胞の発見は、ヒト患者の治療に新たな可能性を開く。これらの細胞による心室壁のコロニー形成および引き続いてのそれらのインビボでの心筋細胞への分化が、電子顕微鏡および組織学によって実証された。これによって、顕著な、しかし完全ではない機能的回復がもたらされる。興味深いことに、心臓中胚葉性血管芽細胞は、壊死領域の内側に数mm以上移動することはできないようである。冠状動脈結さつは、広い経壁梗塞をもたらし、新血管形成および/または壊死組織の除去により移動が成功しない限り、細胞はその領域全体を治癒することはできないと考えられる。壊死領域が再生により相互分散される筋ジストロフィーのような病態または明らかに健常な領域では、中胚葉性血管芽細胞移植により、効率の高い組織修復がもたらされる(43)。したがって、肥大など、心臓組織の大量の壊死を生じない他の心臓疾患は、心臓中胚葉性血管芽細胞による細胞療法のより良い標的になり得る。
本発明の成体マウス心臓からの心臓中胚葉性血管芽細胞に関する単離法は、ヒトにおけるそれらの対応物の単離にすでに用いられており、自己由来療法に使用できる関連ヒト心臓前駆体の形成に有利に働いている。
(参考文献)
Claims (30)
- 以下のマーカー表現型:CD31-、CD34-、CD45-、CD62L-、CD106-、CD117-、CD133-、CD146+、CD49b+、CD13+およびCD44+を発現することを特徴とする骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 以下の群:VCAM-1(血管細胞接着分子)、ICAM-1/5/2(誘導性細胞接着分子)、CD36、CD44、b7、b5、b1、b2インテグリン、インテグリン(a1、a5およびa6)、LFA-1(白血球因子抗原)、IL-1R(インターロイキン-1、受容体)、SDF-R(間質由来因子、受容体)またはカドヘリンに属する少なくとも1種のタンパク質をさらに発現する、請求項1に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 好適な培養条件下で筋原性系列に自発的にインビトロで分化できる、請求項1または2に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 外来性コード配列を発現するようにインビトロで遺伝子改変されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 前記外来性コード配列がジストロフィンタンパク質またはその誘導体をコードする、請求項4に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 前記外来性コード配列がミニジストロフィンタンパク質をコードする、請求項5に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団。
- 筋障害の細胞療法治療のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の周囲血管芽細胞集団の使用。
- 前記筋障害が筋ジストロフィーである、請求項7に記載の周囲血管芽細胞集団の使用。
- 前記筋ジストロフィーが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、エメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー、遠位型筋ジストロフィーまたは先天性筋ジストロフィーの群から選択される、請求項8に記載の使用。
- 前記筋障害が炎症性筋疾患である、請求項7に記載の周囲血管芽細胞集団の使用。
- 筋障害治療薬のスクリーニングのための、請求項1から6のいずれか一項に記載の周囲血管芽細胞集団の使用。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の骨格筋周囲血管芽細胞集団をドナーの組織試料から単離するためのインビトロ方法であって、
a)非タンパク質分解消化手段により前記組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、成長因子、アミノ酸、微量元素、非必須アミノ酸、ウシ胎児血清およびb-FGFを含む哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法。 - 前記増殖用培地が、MegaCell(登録商標)DMEMまたはIscov(登録商標)培地である、請求項12に記載のインビトロ方法。
- 培養抽出細胞をSdf-1またはTNFαと共にインキュベートするステップをさらに含む、請求項13に記載のインビトロ方法。
- 前記ドナーが健常対象または罹患対象である、請求項12から14のいずれか一項に記載のインビトロ方法。
- 前記対象が筋ジストロフィーに罹患している、請求項15に記載のインビトロ方法。
- 前記筋ジストロフィーがデュシェンヌ型筋ジストロフィーである、請求項16に記載のインビトロ方法。
- 以下のマーカー表現型:CD31+、CD34+、CD44+、CD117+、CD45-およびCD133-を発現することを特徴とするヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 以下のマーカー表現型:Nkx2.5+、Gata4+、Mef2A+、Tbx2+、Tbx5+およびIsl-1-をさらに発現する、請求項18に記載のヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 好適な培養条件下で心筋細胞に自発的にインビトロで分化できる、請求項18または19に記載のヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 心疾患の細胞療法治療のための、請求項18から20のいずれか一項に記載のヒト心筋中胚葉性血管芽細胞集団の使用。
- 前記心疾患が心壊死または心臓肥大から生じる、請求項21に記載の使用。
- 前記心疾患が拡張型心筋症または弁膜症である、請求項21に記載の使用。
- 以下のマーカー表現型:CD31+、CD34+、CD44+、Sca-1+、c-kit+およびCD45-を発現することを特徴とするマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 以下のマーカー表現型:Nkx2.5+、Gata4+、Gata6+、Tbx2+、Tbx5+、Isl-1+およびMef2A-をさらに発現する、請求項24に記載のマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 好適な培養条件下で拍動心筋細胞に自発的にインビトロで分化できる、請求項24または25に記載のマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団。
- 心疾患治療薬のスクリーニングのための、請求項24から26に記載のマウス心筋中胚葉性血管芽細胞集団の使用。
- 請求項18から20または24から26のいずれか一項に記載の心筋中胚葉性血管芽細胞集団をドナーの組織試料から単離するためのインビトロ方法であって、
a)非タンパク質分解消化手段により前記組織試料から細胞を解離させるステップと;
b)解離した細胞を、非接着コーティングの存在下、哺乳動物細胞増殖用培地中で培養するステップと
を含む方法。 - 前記ドナーが健常対象または罹患対象である、請求項28に記載のインビトロ方法。
- 前記対象が心房弁膜機能不全に罹患している、請求項29に記載のインビトロ方法。
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