JP2009529885A - リソソーム酵素に対する抗体の検出のためのアッセイ - Google Patents

リソソーム酵素に対する抗体の検出のためのアッセイ Download PDF

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Abstract

本発明は、体液または組織において、酵素補充療法の一環として投与されるリソソーム酵素に対する中和抗体およびアイソタイプ特異的抗体などの抗体をスクリーニングする方法に関する。本発明の一態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって、(a)動物の体液(血清など)サンプルと、捕獲部分で標識した第1のリソソーム酵素および検出部分で標識した第2のリソソーム酵素とを接触させて、LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、(b)LE特異的抗体/リソソーム複合体と捕獲部分に特異的に結合する固体支持体とを接触させて、ステップ(a)のLE特異的抗体/リソソーム複合体を捕獲するステップと、(c)検出部分で標識した第2のリソソーム酵素の存在を検出することで、体液サンプル中のLE特異的抗体の存在を検出するステップとを含む、方法である。

Description

(関連出願への相互参照)
本願は、2006年3月17日に出願された、米国仮特許出願第60/783,690号の利益を請求する。米国仮特許出願第60/783,690号の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、体液または組織において、酵素補充療法の一環として投与されるリソソーム酵素に対する中和抗体およびアイソタイプ特異的抗体などの抗体をスクリーニングする方法に関する。
(発明の背景)
ムコ多糖症(MPS)として知られるリソソーム蓄積症(クロック(Klock)ら著,「インターナショナルペディアトリクス(Internat Pediatr.)」第9巻:p.40−48(1994年);スター(Starr)ら著,「グリコシレーションアンドディジーズ(Glycosylation & Disease)」第1版:p.165−176(1994年))の原因は、酵素または酵素の組み合わせの欠損である。こうしたリソソーム蓄積症の特徴として、分解されないグリコサミノグリカンのリソソーム内への蓄積、グリコサミノグリカンの尿中への過剰排泄、進行性の精神および身体機能の悪化および早死にがある。患者は、ほとんどの場合、MPSの明らかな臨床的特徴がなく生まれてくるが、時間経過とともに臨床的病変が発生する。各タイプのMPSとも、特定のリソソーム酵素が欠損しているが、臓器障害の程度と悪化の速度は独特である。ムエンザー(Muenzer)著,「アドバンスズインペディアトリクス(Adv. Pediatri.)」第33巻:p.269−302(1986年)を参照されたい。
たとえば、MPS VI型(マロトー−ラミー症候群)は、酵素であるN−アセチルガラクトサミン−4−スルファターゼ(ASB:N−acetylgalactosamine−4−sulfatase)が患者に欠如しているリソソーム蓄積症である。この酵素は、グリコサミノグリカン(GAG:glycosaminoglycan)であるデルマタン硫酸の硫酸塩部分を代謝する(ニューフェルド(Neufeld)ら著,「ムコ多糖症(The mucopolysaccharidoses)」「ザメタボリックベイシスオブインヘリテッドディジーズ(The Metabolic Basis of Inherited Disease)」,スクリバー(Scriver)ら編 ニューヨーク:マグローヒル(McGraw−Hill),1989年,p.1565−1587)。酵素が欠損している場合、デルマタン硫酸の分解が段階的に遮断され、基質が、広範囲の組織で細胞内のリソソームに蓄積される。この蓄積により、複数の臓器障害および組織障害をともなう進行性の疾病が発症し、乳児は出生時に正常に見えるが、ほとんどの場合、思春期の前に死亡する。小児には、生後6〜24ヶ月で進行性の成長の鈍化、肝腫大、脾腫、骨格の変形、顔貌の変化、上気道閉塞および関節の変形が見られ、この時期にMPS VI型の診断が行われるのが一般的である。MPS VI型の小児は、進行性の角膜の混濁、交通性水頭症または心疾患を示すこともある。死因は、ほとんどの場合、呼吸器感染症または心臓病である。MPS VI型では一般に、精神的な機能障害の進行は認められないものの、身体的問題から、学習と発達に影響が出ることもある。MPS VI型の患者の大部分は疾患が重度であり、ほとんどの場合、13歳になる前に死亡するが、疾患の重症度が低い患者は、数十年にわたり生存する場合があることが報告されている。
患者の中には、小児期から成人期初期にかけて疾患関連の合併症で死亡するものもある。リソソーム蓄積症を治療する方法の1つは、静脈内投与による酵素補充療法(ERT:enzyme replacement therapy)である(カッキス(Kakkis)著,「エキスパートオピニオンオンインベスティゲーショナルドラッグス(Expert Opin Investig Drugs)」第11巻(5号):p.675−85(2002年))。ERTでは、血管系を活用し、投与した1つの部位から大部分の組織に酵素を運ぶ。広く分布したら、酵素は細胞に取り込まれるに違いない。細胞に取り込まれる根拠は、リソソーム酵素の独特の特徴にある。つまり、リソソーム酵素は、末端マンノース残基の6位でリン酸塩により規定される別クラスの糖タンパク質を構成する。マンノース 6−リン酸は、ほとんどの細胞表面に見られる受容体と高い親和性および特異性で結合する(ムニアー−リーマン(Munier−Lehmann)ら著,「バイオケミカルソサエティトランザクションズ(Biochem.Soc.Trans.)第24巻(1号):p.133−6(1996年);マーネル(Marnell)ら著,「ジャーナルオブセルバイオロジー(J.Cell.Biol.)」第99巻(6号):p.1907−16(1984年))。マンノース 6−リン酸受容体(MPR:mannose 6−phosphate receptor)は、血液から組織への酵素の取り込みを誘導し、次いでリソソームへの細胞内輸送を仲介している。
MPS VI型を処置する酵素補充療剤として、組換えヒトASB(rhASB:recombinant human arylsulfatase)が開発されている。rhASBは、カルシウム非依存性マンノース−6−リン酸受容体(CIMPR:calcium independent mannose−6−phosphate receptor)を介してリソソーム内に取り込まれる。この細胞内コンパートメントでは、低pH(pH4〜4.5)であることとタンパク質分解とにより、抗体とrhASBとの相互作用が低下または解消されると考えられる。
酵素補充療法(ERT)の投薬にともない予想される副作用として、複数回の治療を受けた患者に酵素特異的抗体が発生することが挙げられる。こうした酵素特異的抗体は、IgEアイソタイプの抗体に起因するアナフィラキシー様反応、薬物動態プロファイルの変化、リソソームにおける酵素活性の中和、受容体を介した酵素取り込みへの干渉および自己タンパク質に対する耐性の破壊など、有害事象および臨床的有効性の変化を引き起こす可能性がある。酵素抗体の発生を正確に測定する信頼性の高いアッセイを行えば、ERTを受けている患者の治療法を評価し、患者の治療計画を効率化しやすくなる(非特許文献1)。したがって、当該技術分野では、酵素補充療法において有用なリソソーム酵素に対する抗体を検出する信頼性の高い高感度アッセイが求められている。
マイアー−スルイス(Mire−Sluis)ら,「ジャーナルオブイムノロジカルメソッズ(J.Immunological Methods)」第289巻:p.1−16(2004年)
(発明の要旨)
本発明は、リソソーム貯蔵障害を対象とした酵素補充療法など、タンパク質療法に関連した抗体を測定する特異的かつ選択的アッセイの開発を基礎としている。
本発明の一態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって、(a)動物の体液(血清など)サンプルと、捕獲部分で標識した第1のリソソーム酵素および検出部分で標識した第2のリソソーム酵素とを接触させて、LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、(b)LE特異的抗体/リソソーム複合体と捕獲部分に特異的に結合する固体支持体とを接触させて、ステップ(a)のLE特異的抗体/リソソーム複合体を捕獲するステップと、(c)検出部分で標識した第2のリソソーム酵素の存在を検出することで、体液サンプル中のLE特異的抗体の存在を検出するステップとを含む、方法である。
本発明の第2の態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)の中和抗体を検出する方法であって、(a)動物の体液(血清など)サンプル中のリン酸イオンおよび硫酸イオンから抗体を単離するステップと、(b)ステップ(a)の単離した抗体と、リソソーム酵素とを接触させてLE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、(c)酵素基質を加えるステップと、(d)体液サンプル中の単離した抗体の存在下および非存在下でリソソーム酵素による酵素基質の切断量を検出するステップとを含み、単離した抗体の存在しない場合に比べて存在する場合の方が切断が減少していることから、体液サンプル中にLEの中和抗体が存在することが示される、方法である。
本発明の第3の態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)の取り込みを阻害する抗体を検出する方法であって、(a)検出部分で標識したリソソーム酵素と動物の体液(血清など)サンプルとをインキュベートするステップと、(b)ステップ(a)のインキュベーション混合物と、固体支持体に結合しているLE受容体またはそのLE結合フラグメントとを接触させるステップと、(c)ステップ(a)の検出部分で標識したリソソーム酵素がLE受容体またはそのLE結合フラグメントに結合したことを検出するステップとを含み、体液サンプルの非存在下での結合に比べて体液サンプルの存在下での結合が減少していることから、体液サンプルは、LEの取り込みを阻害する抗体を含むことが示される、方法である。
本発明の第4の態様は、動物(ヒトなど)のIgEアイソタイプのリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって、(a)体液サンプルと固体支持体に結合したIgE特異的抗体とを接触させることで、動物の体液(血清など)サンプル中のIgEを捕獲するステップと、(b)ステップ(a)で捕獲したIgEと検出部分で標識したリソソーム酵素とを接触させるステップと、(c)検出部分で標識したリソソーム酵素の量を検出することで、体液サンプル中のIgEアイソタイプのLE特異的抗体の量を検出するステップとを含む、方法である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、患者の体液および組織に由来する、リソソーム酵素に特異的な抗体を検出する高感度で特異的なアッセイの開発を基礎としている。
他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、開示した本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本発明で使用する多くの用語の一般的な定義を提供する:シングレトン(Singleton)ら著,ディクショナリーオブマイクロバイオロジーアンドモレキュラーバイオロジー(DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY)(第2版,1994年);ザケンブリッジディクショナリーオブサイエンスアンドテクノロジー(THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY)(ワーカー(Walker)編,1988年);ジグロッサリーオブジェネティクス(THE GLOSSARY OF GENETICS),第5版,R.リーガー(R.Riegerら)(編),シュプリンガーフェアラー(Springer Verlag)(1991年);およびヘールおよびマーハム(Hale & Marham)著,ハーパーコリンズディクショナリーオブバイオロジー(THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY)(1991年)。
本明細書に引用する各刊行物、特許出願、特許および他の参考文献については、本開示と矛盾しない範囲で、参照によってその全体を援用する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の言及を含むことに留意されたい。
本明細書で使用する場合、以下の用語は、他に記載がない限り、その用語の定義した意味を有するものである。
「誘導体」という語は、本発明の抗体物質およびポリペプチドとの関連で用いる場合、以下に限定されるものではないが、ユビキチン化、治療剤または診断剤へのコンジュゲーション、(放射性核種または様々な酵素などによる)標識化、ペグ化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)などポリマーとの共有結合、およびヒトタンパク質では通常行われないオルニチンなどのアミノ酸の化学合成による挿入または置換などの技法により化学修飾されたポリペプチドをいう。誘導体は、本発明の非誘導体化分子の結合特性を保持している。
本明細書で使用する場合、「検出可能な部分」、「検出部分」または「標識」という語は、以下に限定されるものではないが、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段またはこれ以外の物理的手段などの手段により検出可能な組成物をいう。たとえば、有用な検出可能な部分または標識として、ルテニウム(Ru)系触媒、ユウロピウム、32P、35S、蛍光色素、高電子密度の試薬、(たとえば、ELISA:enzyme linked immunosorbent assayで繁用されているような)酵素、ビオチン−ストレプトアビジン、ジオキシゲニン、抗血清またはモノクローナル抗体を用いることができるハプテンおよびタンパク質、ならびに標的と相補的な配列を持つ核酸分子が挙げられる。検出可能な部分または標識は、多くの場合、放射性シグナル、クロモジェニックシグナル、発光シグナルまたは蛍光シグナルなど、測定可能なシグナルを発生するため、これを用いれば、サンプル中の検出可能な結合部分または標識の量を定量化することができる。
本明細書で使用する場合、「捕獲部分」という語は、固体支持体に付着または連結している別の組成物と特異的に結合することができる組成物をいう。上記の検出部分の多くも、結合事象に関する限り、捕獲部分として用いることができる。たとえば、有用な捕獲部分には、特異的かつ選択的リガンドを用いることができる親和性標識(ビオチンとアビジン、グルタチオンとGSTなど)、抗血清またはモノクローナル抗体を用いることができるハプテンおよびタンパク質(c−Mycなど)、標的と相補的な配列を持つ核酸分子および特異的かつ選択的リガンドを用いることができるペプチド(ヒスチジンタグとNiなど)がある。クロマトグラフィー樹脂に対する結合特性に影響を与える分子についても想定している。固体支持体は、たとえば、フィルター、プレート、膜、クロマトグラフィー樹脂またはビーズでもよい。
2つ以上のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列において、「同一の」または「同一」率という語は、2つ以上の配列または部分配列を比較して一致度が最大になるように整列させて、配列比較アルゴリズムまたは目視検査で測定した場合、2つ以上の配列または部分配列が同一であるか、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基を一定の比率で含むことをいう。
本明細書で使用する場合、「変異体」という語は、ドメインをコードしている元のポリペプチドに対してコード領域に少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または挿入を含むポリペプチド配列をいう。変異体は、天然のポリペプチドの生物活性を保持している。たとえば、本発明の方法で用いるリソソーム酵素は、天然の酵素でもよいし、1つまたは2つ以上のアミノ酸が天然の酵素と異なっていてもよいが、酵素の生物活性を保持しているものを意図している。同様に、本発明の方法で用いるリソソーム酵素の受容体は、天然の受容体の変異体でも、フラグメントでも構わないが、リガンドとの結合を保持している。
本明細書で使用する場合、「検出可能なリソソーム酵素」という語は通常、リソソーム酵素特異的抗体への本来の結合に加えて、リソソーム酵素試薬に直接標識されているなど、検出が可能なリソソーム酵素をいう。
本明細書で使用する場合、「IgE特異的抗体」という語は、IgEアイソタイプ抗体に対する反応性が強い抗体をいい、たとえば、この抗体は、IgGなどの他の抗体アイソタイプとの交差反応性は、ほとんど見られない。
一般的に、本明細書で使用する場合、「検出限界」または「LOD(limit of detection)」または「感度」という語は、検出可能であるが、必ずしも正確な値として定量化できるとは限らない、体液(血清など)サンプル中のアナライトの最低濃度を指すのが通常である。たとえば、未処置のプールマトリックスの測定平均値とカットポイント係数との和を上回るシグナルを常に発生するアナライト濃度をLODとしてもよい。
本明細書で使用する場合、「カットポイント係数」または「閾値」という語は通常、サンプルを陽性と見なすのに必要な最小シグナルを設定するため、未処置のプールマトリックス(血清など)からのシグナルを数学的に操作する際に用いる値をいう。カットポイント係数については、それまで治療用リソソーム酵素に曝露されたことがない人の一連のサンプルの信頼区間に基づき決定してもよい。たとえば、1.645に個々のサンプルにおける標準偏差を掛けて算出される95%信頼区間では、偽陽性率はおよそ5%になる。
本明細書で使用する場合、「干渉」という語は通常、標的アナライトの正確な検出および測定を妨げる物質が体液(血清など)サンプル中に存在することをいう。本明細書で使用する場合、干渉とは一般に、遊離薬物の作用または濃度反応関係に対するマトリックス(血清など)の作用をいう。たとえば、マトリックスによる干渉については、潜在的な干渉のないサンプルに対する相対的な正確度として評価して、相対的な正確度で75〜125%の範囲を目標としてもよい。
本明細書で使用する場合、「精密度」という語は通常、分析者間および日数間のシグナルのばらつきをいう。たとえば、精密度を変動係数、値の範囲で、あるいは、ANOVA(analysis of variance)統計を用いて評価してもよい。
本明細書で使用する場合「試薬の安定性」という語は通常、試薬に関する調製のロバストネスおよび保存の安定性をいう。たとえば、試薬の安定性を、新たに調製した試薬と比較して、値の正確度が75〜125%以内のままで測定され得る条件により確立してもよい。
本明細書で使用する場合、「サンプルの安定性」という語は通常、採取した体液および体組織サンプルのその後の取り扱い条件に対する各サンプルのアナライトの安定性をいう。サンプルの安定性を、新たに採取したサンプルと比較して、値の正確度が75〜125%以内のままで測定され得る条件として判定してもよい。たとえば、サンプルの安定性については、通常の保存期間と同じ期間にわたり−20℃および−80℃で、通常のサンプル調製および分析の時間と同じ期間にわたり室温(RT:room temperature)または4℃で、通常の輸送期間と同じ期間にわたり、あるいは、行われることがある凍結融解サイクルを通じて−20℃、4℃および室温で評価してもよい。
本明細書で使用する場合、「ロバストネス」という語は通常、方法のパラメータのわずかな変動には影響を受けないアッセイの性能をいい、標準的な試験条件におけるアッセイの信頼性を示す。たとえば、ロバストネスを、表示条件と比較して、正確度が75〜125%以内のままシグナルを発生する試薬濃度、試薬量またはインキュベーション時間のパーセント変化として評価してもよい。
本明細書で使用する場合、「特異性」という語は通常、特定のタンパク質と反応する抗体を検出するアッセイの能力をいう。たとえば、特異性は、特定のアナライトとの検出反応の比を指してもよいが、リソソーム酵素に特異的でない抗体サンプルからの反応は、LOD未満にすべきある。反応の比を、相関係数であるR値の0.98以上を参照して評価してもよい。
本明細書で使用する場合、「マトリックス(単数または複数)」という語は通常、抗体を測定する生物学的バックグラウンドをいう。マトリックスの例として、たとえば、体液および組織が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「体液」という語は、ヒトなどの被検体から採取される液体をいう。たとえば、体液は、血液、脳脊髄液(CSF:cerebrospinal fluid)または尿でもよい。血液については、細胞を除去する(すなわち、血漿)ための分画または細胞と凝固因子を除去する(すなわち、血清)ための分画を行っても構わない。
本明細書で使用する場合、「組織」という語は、ヒトなどの被検体から採取される組織をいう。たとえば、組織は、生検サンプル、外科的に切除した組織または死後採取物由来でもよい。さらに、抗体を組織から単離するため、組織をホモジナイズして抽出してもよい。
本明細書で使用する場合、「未処置の」という語は、これまでにLE治療薬に曝露されたことはないが、生体内濃度では曝露されたことがあってもよいヒトなどの個体をいう。
変異体
ある実施形態では、リソソーム酵素(LE)またはLE受容体のアナログおよび変異体については、調製が可能であり、リソソーム酵素およびその受容体を用いる可能性がある様々な用途で有用になる。LEまたはLEフラグメントは、全長酵素、あるいは、少なくとも全長酵素の生物活性(すなわち、酵素活性)の一部を保持しているその任意の変異体、フラグメントまたは修飾体を含むものである。LE受容体またはLE結合フラグメントは、全長受容体、受容体の細胞外部分、あるいは、少なくとも全長LE受容体の生物活性(すなわち、LE結合活性)の一部を保持しているその任意の変異体、フラグメントまたは修飾体を含むものである。
全長LEについては、天然の供給源から単離しても、組換え技法を用いて調製してもよい。LEフラグメントも、組換え技法を用いて調製できる。LE受容体も、天然の供給源から単離しても(ウシ胎仔血清から精製するなど)、組換え技法を用いて調製してもよい。たとえば、組換え全長LE受容体もしくはLE受容体細胞外部分またはLE結合活性を保持しているこれらの変異体(単数または複数)、フラグメントもしくは修飾体を得る一般的な戦略は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)でLE受容体cDNAから目的のコード領域を増幅し、cDNAを哺乳類の発現ベクターにクローン化し、哺乳類の発現ベクターを、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)またはG.7.1細胞など、哺乳類細胞にトランスフェクトし、ウシ胎仔血清中にある細胞から放出されるLE受容体を単離する手順でLE受容体を精製するものである。LE受容体またはその変異体は、ヒト由来でも、他の哺乳類由来でもよい。
LEまたはLE受容体のアミノ酸配列の変異体は、たとえば、置換変異体でも、挿入変異体でも、欠失変異体でもよい。欠失変異体は、機能および/または免疫原性活性に必須ではない天然型LEまたはLE受容体の1つまたは複数の残基が欠損しているものである。挿入突然変異は一般に、ポリペプチドの末端以外に材料の付加が行われる。これには、免疫反応性エピトープまたは単純な1つの残基の挿入を含めてもよい。末端への付加は、LEまたはLE受容体のN末端もしくはC末端にアミノ酸配列を付加するものである。末端への付加により、LEまたはLE受容体の生物物理学的特徴を改良してもよいし、精製しやすくしてもよい。ペプチド付加体には、たとえば、HIS(6または12など)、TAT、FLAG(商標)、HA、c−Myc、VSV−G、V5、S−ペプチドおよびHSVがあるが、これに限定されるものではない。タンパク質付加体には、たとえば、GFP、MBPおよびGSTがあるが、これに限定されるものではない。
置換変異体は、1つまたは複数の部位で天然のLEまたはLE受容体のアミノ酸の1つを別のアミノ酸と交換したものであるのが一般的であるが、タンパク質分解的切断に対する安定性など、LEまたはLE受容体の1つまたは複数の特性を、他の機能または特性を失わずに調節するように設計されている場合もある。この種の置換は、好ましくは保存的、すなわち、1種のアミノ酸を、形状および電荷の類似したアミノ酸と置換するものである。
変異体は、天然のLEまたはLE受容体と実質的に相同であってもよいし、実質的に同一であってもよい。2つの核酸またはポリペプチドにおいて、実質的に相同であるとは、通常、2つの核酸またはポリペプチドを比較して一致度が最大になるように整列させて、当該技術分野において周知の配列比較アルゴリズムまたは目視検査で測定した場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性が少なくとも40%、60%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である2つ以上の配列または部分配列をいう。
標識(検出可能な部分および捕獲部分)
いくつかの実施形態では、アッセイ試薬を標識して検出しやすくする。標識部分または検出可能な部分は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段またはこれ以外の物理的手段で検出可能な組成物である。抗体については、放射性同位元素、親和性標識(たとえば、ビオチン、アビジンなど)、酵素標識(たとえば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光標識(たとえば、フルオレセインイソチオシアナート(FITC:fluorescein isothiocyanate)またはローダミンなど)または発光標識もしくは生物発光標識(たとえば、ユウロピウム、バナジウムなど)、常磁性原子、電気化学発光標識(たとえば、基質を併用したRu系標識など)および同種ものを用いて検出可能に標識することができる。
いくつかの実施形態では、アッセイ試薬を標識して捕獲しやすくする。捕獲部分は、固体支持体に付着または連結している別の組成物と特異的に結合できる組成物である。リソソーム酵素などのアッセイ試薬を、特異的かつ選択的リガンドを用いることができる親和性標識(たとえば、ビオチン、アビジンなど)と、抗血清またはモノクローナル抗体を用いることができるハプテンおよびタンパク質と、標的と相補的な配列を持つ核酸分子とを用いて標識することができる。こうした標識化を行う手順については、スターンバーガー(Sternberger)ら著,ジャーナルオブヒストケミストリーアンドサイトケミストリー(J.Histochem.Cytochem.)第18巻:p.315(1970年);バイヤー(Bayer)ら著,メソエンザイム(Meth.Enzym.)第62巻:p.308(1979年);エングバル(Engval)ら著,イムノロジー(Immunol.)第109巻:p.129(1972年);ゴディング(Goding)著,ジャーナルオブイムノロジカルメソッズ(J.Immunol.Meth.)第13巻:p.215(1976年))に記載されている。固体支持体は、フィルターでも、プレートでも、膜でも、ビーズなどでも構わない。
本発明に用いるのに好適な標識の例として、放射性標識(32Pなど)、フルオロフォア(フルオレセインなど)、高電子密度の試薬、(たとえば、ELISAで繁用されるような)酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、または放射能標識を自らに取り込み検出可能なものになり得る、あるいは、自らと特異的に反応する抗体の検出に使用できるハプテンおよびタンパク質が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、意図しているものとして、ナノタグ、高分子ビーズ、磁性剤、蛍光色素を含むナノビーズもしくはマイクロビーズ、量子ドット、量子ビーズ、蛍光タンパク質、蛍光標識デンドリマー、マイクロトランスポンダー、電子供与体分子もしくは分子構造体または光反射粒子も挙げられる。
たとえば、本発明において使用を意図している標識には、蛍光色素(フルオレセインイソチオシアナート、テキサスレッド、ローダミンおよび同種のものなど)、放射能標識(H、125I、35S、14Cまたは32Pなど)、酵素(西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAで繁用されるこれ以外のものなど)、ビオチン、比色標識(コロイド金、色ガラスまたはプラスチックプラスチックビーズ(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど))および発光標識または化学発光標識(ユウロピウム(Eu)、MSD(メソスケールディスカバリ(MesoScale Discovery)) Sulfo−タグなど)があるが、これに限定されるものではない。
標識については、アッセイの所望の成分に直接結合させても、間接的に結合させてもよい。好ましくは、一実施形態の標識は、本発明による活性剤をコンジュゲートするため、イソシアナートエステル試薬またはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル試薬を用いて生体高分子に共有結合させる。本発明の一態様では、本発明の二官能性イソシアナート試薬を用いて標識を生体高分子にコンジュゲートし、活性剤を結合させずに標識生体高分子コンジュゲートを形成してもよい。この標識生体高分子コンジュゲートについては、本発明による標識コンジュゲートを合成する中間体として用いてもよいし、生体高分子コンジュゲートを検出するために用いてもよい。前述のとおり、求められる感度、所望のアッセイ成分とのコンジュゲートのしやすさ、安定性要件、入手可能な器具類および廃棄規定に応じて標識を選択することで、多岐にわたる標識を用いることができる。非放射性物質による標識については、多くの場合、直接的な手段で結合する。通常、この分子にリガンド分子(ビオチンなど)を共有結合させる。次いで、このリガンドは、本質的に検出可能であるか、あるいは、検出可能な酵素、蛍光化合物もしく化学発光化合物などのシグナル系またはフィルター、プレート、膜もしくビーズおよび同種のものなどの固体支持体に共有結合する、別の分子(ストレプトアビジンなど)に結合する。
また、本発明の方法に有用な化合物を、酵素またはフルオロフォアとのコンジュゲーションなどによりシグナル発生化合物に直接コンジュゲートさせてもよい。標識として用いるのに好適な酵素には、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼまたはオキシドターゼ、特にペルオキシダーゼがあるが、これに限定されるものではない。標識として用いるのに好適な蛍光化合物、すなわち、フルオロフォアには、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどがあるが、これに限定されるものではない。さらに、好適なフルオロフォアの例として、エオシン、TRITC−アミン、キニーネ、フルオレセインW、アクリジンイエロー、リサミンローダミン、Bスルホニルクロリドエリトロセイン、ルテニウム(トリス、ビピリジニウム)、ユウロピウム、テキサスレッド、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。標識として用いるのに好適な化学発光化合物には、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、ルシフェリンおよびルミノールなどの2,3−ジヒドロフタラジンジオンがあるが、これに限定されるものではない。標識として用いるのに好適な電気化学発光化合物には、MSD タグ、MSD Sulfo−タグ、BV−タグおよびBV−タグ Plusがあるが、これに限定されるものではない。本発明の方法で用いることができる様々な標識系またはシグナル発生系の概説については、米国特許第4,391,904号を参照されたい。
検出方法およびキット
標識が放射性である場合、オートラジオグラフィーの場合と同様、検出の手段として、シンチレーションカウンターまたは写真フィルムが挙げられる。標識が蛍光標識である場合、適切な光の波長で蛍光色素を励起し、得られる蛍光を検出して、標識を検出することができる。蛍光については、電荷結合素子(CCD:charge coupled device)または光電子増倍管および同種のものなど、電子検出器を用いて目視検出することができる。酵素標識も同様に、酵素に適切な基質を加え、得られる反応生成物を検出して検出することができる。比色標識については、標識の色をそのまま観察するだけで検出することができる。本発明の方法で用いるのに好適なこれ以外の標識系および検出系に関しては、当業者には容易に明らかになるであろう。こうした標識モジュレーターおよびリガンドを疾患または健康状態の診断に用いてもよい。
化学発光標識については、標識と基質の反応時に放射される光を観察して、検出することができる。電気化学発光標識に関しては、電界において標識と基質の反応時に放射される光を観察して、検出することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の方法に有用な標識組成物を、以下に限定されるものではないが、フィルター、プレートまたは膜などの固体支持体に結合させる。この標識化合物については、標識を行い、溶液中で相互に作用させる場合があることもさらに意図している。たとえば、捕獲抗体を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET:fluorescent resonance energy transfer)ドナー分子で標識し、標的分子をFRET受容体分子で標識して、各分子が結合時に接近するようにしてもよい。あるいは、標的分子をFRETドナーで標識し、抗体分子をFRET受容体で標識しても構わない。もう1つの可能性としては、標的および抗体がハイブリダイズする際に、抗体または標的に存在する消光分子と蛍光分子とを分離することがある。標的分子は、試薬と相互作用する場合、十分に接近しているときだけ標識が発光する。これにより、分子が試薬と相互作用するときだけ発光する系が生成される(直接モニタリング)。狭帯域フィルターを用いて、分子の標識の波長以外の波長をすべて遮断することができる。FRET分子対は、当該技術分野において市販されており(インビトロジェン(Invitrogen)製など)、製造者プロトコルに従って用いることができる。FRETの発光に関しては、CCDカメラなどの光学イメージング技術を用いて検出する。
抗体−抗原の相互作用を検出する別の方法では、抗体−抗原を電子ドナーで標識する。このドナー標識では、試薬が結合している電気接点に電子を供給する。たとえば、エレクトロイムノアッセイに有用な酵素およびエレクトロイムノアッセイ法を記載したギンディリス(Ghindilis)著,バイオケミカルソサエティトランザクションズ 第28巻:p.84−9,(2000年)およびダイ(Dai)ら著,キャンサーディテクションアンドプリベンション(Cancer Detect Prev.)第29巻:p.233−40(2005年)を参照されたい。次いで電子の接触をA/D(アナログ/デジタル)変換器で読み取り、定量する。電子数が多ければ多いほど、相互作用は頻繁に起きた。
単一の分子の検出が可能な標識の一実施形態では、参照によって本明細書に援用するシュルツ(Schultz)ら著,プロシーディングスオブナショナルアカデミーオブサイエンシズ(Proc.Natl.Acad.Sci.)米国 第97巻:p.996−1001(2000年)に記載されているようにプラズモン共鳴粒子(PRP:plasomon−resonant particle)を光学レポーターとして用いる。PRPは、一般に直径が40〜100nmの金属ナノ粒子で、金属中の伝導電子の集団共鳴により光を極めて効率的に弾性的に散乱させる(すなわち、表面プラズモン共鳴)。ナノ粒子のプラズモン共鳴の大きさ、ピーク波長およびスペクトルバンド幅は、粒子のサイズ、形状および材料組成物、さらには局所環境によって決まる。調製の過程でこうしたパラメータに影響を与えることで、スペクトルの可視域の任意のところに散乱ピークを持つPRPを形成することができる。球状のPRPの場合、半径の増大とともに、散乱のピーク波長が増加し、同時に散乱効率も上昇するため、着色の異なる標識を作製する手段となる。たとえば、調製の過程で球状粒子の最終半径を調節することで、多数の銀の球状粒子を、散乱のピーク波長が標的波長から数ナノメートル以内にあるように再現性よく調製することができる。PRPは明るいうえ、ナノサイズであるため、単一分子の検出の指示薬として用いることができる。すなわち、視野にPRPの結合が存在すれば、単一結合現象を示唆している可能性がある。
一例示的実施形態では、アッセイ装置は側方流動の試験用ストリップであり、任意にこれをハウジングに入れる。リソソーム酵素に対する第1の標識抗体は溶液中にあるのに対し、リソソーム酵素に対する第2の抗体は、試験用ストリップに固定化されている。リソソーム酵素を含む患者サンプルを両方の抗体と接触させると、抗体−標的−抗体のサンドイッチ複合体が形成され、得られた複合体を固体支持体に固定化すると、標識により検出可能なものとなる。次いでこの試験用ストリップをリーダーに挿入し、複合体の標識からのシグナルを測定する。結果は、陽性または陰性で示す結果でもよいし、あるいは、疾患もしくは疾病の危険性または存在を示す結果と相関する、サンプル中のリソソーム酵素の濃度の定量値であってもよい。手順全体を自動化および/またはコンピュータ制御しても構わない。あるいは、適切な色の目視基準と比較して、試験用ストリップを目で読み取ってもよい。この試験では、リソソーム酵素のELISAと同等の臨床的に重要な情報が提供されるが、非常に短時間にポイントオブケアで提供される。
また、ナノ粒子由来の技法を用いて抗原−抗体複合体を検出してもよい。たとえば、金ナノ粒子による消光を記載したアオ(Ao)ら著,アナリティカルケミストリー(Anal Chem.)第78巻:p.1104−6(2006年)、抗体検出におけるSiO(2)/Auナノ粒子表面を記載したタン(Tang)ら著,バイオセンサーズアンドバイオエレクトロニクス(Biosens Bioelectron.)2005年11月30日、および固体基質室温リン光イムノアッセイ(SS−RTP−IA)で用いるジブロモフルオレセインを含む二酸化ケイ素ナノ粒子を記載したリュウ(Lieu)ら著,ジャーナルオブイムノロジカルメソッズ 第307巻:p.34−40(2005年)を参照されたい。
さらに、キットも本発明の範囲内であることを意図している。一実施形態では、キットは、任意に検出可能な標識または捕獲部分に結合しているリソソーム酵素および/またはリソソーム酵素に特異的に結合する抗体標準物質および/またはリソソーム酵素を既知量で含むリソソーム酵素標準物質を含むものである。別の実施形態では、キットは、リソソーム酵素基質および/またはリソソーム酵素を既知量で含むリソソーム酵素標準物質および/またはリソソーム酵素に特異的に結合してその酵素活性を中和する抗体標準物質を含む。別の実施形態では、キットは、任意に検出可能な標識に結合しているリソソーム酵素および/またはリソソーム酵素に特異的に結合するリソソーム受容体および/またはリソソーム酵素に特異的に結合してリソソーム酵素に対するリソソーム受容体の結合を遮断する抗体標準物質を含むものである。別の実施形態では、キットは、任意に検出可能な標識に結合しているリソソーム酵素および/またはIgEアイソタイプの抗体に特異的に結合する抗体および/またはリソソーム酵素に特異的に結合する抗体標準物質および/またはリソソーム酵素を既知量で含むリソソーム酵素標準物質を含むものである。キットは他の成分として、任意に試薬および/または上記のようなイムノアッセイの実施に関する説明書を含んでもよい。
さらに、スペクトル吸収標識を用いても構わない。考えられる検出方法は、相異なる光のスペクトルを吸収および透過する様々な材料をビーズポリマーに混入させることであろう。ビーズに(though)マルチスペクトル光を透過させ、吸収されるスペクトルを検出することで、異なるタイプのビーズをそれぞれ検出することができる。
リソソーム酵素
リソソーム酵素は、たとえば、アスパルチルグルコサミン尿症、コレステロールエステル貯蔵病/ウォルマン病、シスチン蓄積症、ダノン病、ファブリー病、ファーバー病(Farber Lipogranulomatosis/Farber disease)、フコシドーシス、ガラクトシアリドーシスI/II型、ゴーシェ病I/II/III型ゴーシェ病、グロボイド細胞白質ジストロフィー/クラッベ病、糖原病II型/ポンペ病、GM1ガングリオシドーシスI/II/III型、GM2ガングリオシドーシスI型/テイ−サックス病、GM2ガングリオシドーシスII型サンドホフ病、GM2−ガングリオシドーシス、α−マンノシドーシスI/II型、α−マンノシドーシス、異染性白質ジストロフィー、ムコリピドーシスI型/シアリドーシスI/II型 ムコリピドーシスII/III型I細胞病、ムコリピドーシスIIIC型偽ハーラーポリジストロフィー、ムコ多糖症I型(MPS I型)、ムコ多糖症II型ハンター症候群(MPS II型)、ムコ多糖症IIIA型サンフィリポ症候群(MPS IIIA型)、ムコ多糖症IIIB型サンフィリポ症候群(MPS IIIB型)、ムコ多糖症IIIC型サンフィリポ症候群(MPS IIIC型)、ムコ多糖症(MPS)IIID型サンフィリポ症候群(MPS IIID型)、ムコ多糖症(MPS)IVA型モルキオ症候群(MPS IVA型)、ムコ多糖症IVB型モルキオ症候群(MPS IVB型)、ムコ多糖症VI(MPS VI型)、ムコ多糖症VII型スライ症候群(MPS VII型)、ムコ多糖症IX型(MPS IX型)、多種スルファターゼ欠損、ポンペ病、神経性セロイドリポフスチノーシス、CLN1バッテン病、神経性セロイドリポフスチノーシス、CLN2バッテン病、ニーマン−ピック病A/B型ニーマン−ピック病、ニーマン−ピック病C1型ニーマン−ピック病、ニーマン−ピック病C2型ニーマン−ピック病、ピクノディスオストーシス、シンドラー病I/II型シンドラー病およびリソソームタンパク質欠損が病状を引き起こすシアル酸蓄積症、異染性白質ジストロフィー、ゴーシェ病、クラッベ病およびテイ−サックス病など、リソソーム蓄積症の処置には治療薬として有用である。特に好ましい実施形態では、リソソーム蓄積症は、MPS VI型である。別の好ましい実施形態では、リソソーム蓄積症は、ポンペ病である。
特定の実施形態では、本発明は、生物活性を持つ治療用タンパク質であって、標的リソソームが減少、欠乏または欠如し、かつ、被検体に投与されるタンパク質に対する抗体を検出する方法を提供する好ましい治療薬として、アスパルチルグルコサミニダーゼ、酸性リパーゼ、システイントランポーター、Lamp−2、α−ガラクトシダーゼA、酸性セラミダーゼ、α−L−フコシダーゼ、β−ヘキソサミニダーゼA、GM2−活性剤欠損、α−D−マンノシダーゼ、β−D−マンノシダーゼ、アリールスルファターゼA、サポシンB、ノイラミニダーゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼホスホトランスフェラーゼ、ホスホトランスフェラーゼγサブユニット、α−L−イズロニダーゼ、イズロネート−2−スルファターゼ、ヘパラン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチルCoA:N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン 6−スルファターゼ、ガラクトース 6−スルファターゼ、α−ガラクトシダーゼ、N−アセチルガラクトサミン 4−スルファターゼ、ヒアルロノグルコサミニダーゼ、パルミトイルプロテインチオエステラーゼ、トリペプチジルペプチダーゼI、酸性スフィンゴミエリナーゼ、コレステロールトラフィッキング、カテプシンK、β−ガラクトシダーゼB、α−グルコシダーゼおよびシアル酸トランポーターがあるが、これに限定されるものではない。好ましい実施形態では、α−L−イズロニダーゼ、α−グルコシダーゼまたはN−アセチルガラクトサミン 4−スルファターゼは、酵素である。
抗体の精製
抗体については、以下に限定されるものではないが、プロテインAセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析または親和性クロマトグラフィーなど、当該技術分野で標準的な技法を用いて精製することができる。微生物細胞、哺乳類細胞または血清から調製された抗体組成物については、たとえば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製できるが、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製手法である。プロテインAが親和性リガンドとして好適かどうかは、抗体に存在する任意の免疫グロブリンのFcドメインの種およびアイソタイプによって決まる。重鎖のヒトγ1鎖、γ2鎖またはγ4鎖に基づく抗体については、プロテインAを用いて精製してよい(リンドマーク(Lindmark)ら著,ジャーナルオブイムノロジカルメソッズ 第62巻:p.1−13(1983年))。マウスのすべてのアイソタイプおよびヒトγ3の場合、プロテインGが推奨される(ガス(Guss)ら著,EMBOジャーナル(EMBO J.)第5巻:p.1567−75(1986年))。親和性リガンドが結合するマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースまたはアクリルアミドであるが、他のマトリックスも使用できる。コントロールドポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなど、機械的に安定したマトリックスを用いると、アガロースの場合に比べて、流速が速くなり、処理時間を短縮できる。C3ドメインを含む抗体を精製する場合、ベーカーボンド(Bakerbond ABX)(商標)樹脂(J.T.ベーカー(J.T.Baker),ニュージャージー州フィリップスバーグ)が有用である。また、タンパク質精製のこれ以外の技法、たとえば、イオン交換カラムによる分画、エタノール沈殿、逆相HPLC(high performance liquid chromatography)、シリカクロマトグラフィー、ヘパリンセファロース(商標)クロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、クロマトフォーカシング、SDS−PAGEおよび硫酸アンモニウム沈殿なども、回収される抗体に応じて用いることができる。
固体支持体材料
本発明の方法の場合、抗体またはリソソーム酵素は、以下に限定されるものではないが、フィルターと、PVC(polyvinyl chloride)膜と、PDVF(polyvinylidene fluoride)膜と、PVCプレートと、タンパク質、マイクロキャリア、マクロ固相ビーズ、磁性ビーズに結合する他のプレート(たとえば、ポリスチレン、銀と金のバイメタルナノ粒子などのナノ粒子(ヤン スイ(Yan Cui)ら著,ジャーナルオブフィジカルケミストリー(J.Phys.Chem.)第B110巻(9号):p.4002−06(2006年)から製造される)と、ポリアミド膜(PAM:polyamide membrane)シート(サン(Sun)ら著,アナリティカルレターズ(Analytical Letters)第34巻:p.1627−37(2001年))など、種々の固体支持体に結合していてもよい。
たとえば、複数の蛍光分子充填物、様々な材料、表面組織、表面パターンなどを含むミクロスフェアを同定タグとして用いてもよい。このビーズに捕獲抗体あるいはリソソーム酵素のどちらか一方が共有結合し、他方の結合パートナーと反応しないことで、血清中のリソソーム酵素特異的抗体の量をアッセイすることが考えられている。たとえば、カレントプロトコルズインイムノロジー(Current Protocols in Immunology),ユニット6.p.11,2006年)を参照されたい。現在、蛍光材料が充填されたミクロスフェアは、モレキュラープローブスインク(Molecular Probes,Inc.)および他の企業から入手することができる。直径が20nmと小さなポリスチレンビーズのミクロスフェアも、現在市販されている。
リソソーム酵素または抗体については、たとえば、固体支持体の製造者が記載するような当該技術分野の標準的なプロトコル、あるいは、当該技術分野において公知の標準的な化学的架橋技術により、固体支持体に結合する。たとえば、ピアスバイオテクノロジーインク(Pierce Biotechnology,Inc.)(イリノイ州ロックフォード)の架橋キットを参照されたい。
1.リソソーム酵素特異的抗体の検出アッセイ
ほとんどのタンパク質治療薬は、ある程度の抗体反応を惹起する。場合によっては、この抗体反応により、重篤な副作用または有効性の低下が起こることがある。本明細書では、特定の抗体のIgアイソタイプまたはサブクラスに関係なく、リソソーム酵素(LE)に対する全抗体反応を検出することができるアッセイを開発することを目指した。
第1の態様では、本発明は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)に対して特異的な抗体を検出する方法であって:(a)動物の体液(血清など)サンプルと、ビオチンで標識した第1のリソソーム酵素および検出部分で標識した第2のリソソーム酵素とを接触させ、LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、(b)ストレプトアビジンコーティングプレートでステップ(a)のLE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を捕獲するステップと、(c)検出部分で標識した第2のリソソーム酵素の存在を確認することで、体液サンプルにおいて捕獲したLE特異的抗体の存在を確認するステップとを含む、方法を意図している。
一実施形態では、本発明は、組換えヒトアリールスルファターゼB(rhASB)に対して特異的な抗体を検出するイムノアッセイであって、Igアイソタイプおよび宿主種に左右されず、体液中の遊離薬物に対して耐性があり、感度がng/mLである、ブリッジングイムノアッセイを意図している。酵素の免疫原性の試験を行うため、電気化学発光アッセイ(ECLA:electrochemiluminescence assay)ブリッジフォーマットを実施して、体液(血清など)サンプル中の遊離薬物に対する耐性が向上したより感度の高いアッセイを開発した。このブリッジフォーマットは、別々の捕獲部分または捕獲剤と検出部分または検出剤とを持つリソソーム酵素を調製することにより、抗体アナライトの二価性を活用したものである。このアッセイフォーマットは、種またはアイソタイプに関係になく抗体を検出する。検出試薬および捕獲試薬を同時に溶液相でインキュベートすれば、長時間のインキュベーションにより、試薬と、体液(血清など)サンプル中の抗体に結合した任意の遊離薬物との交換が可能になることで、遊離薬物からの干渉を低減することができる。このアッセイフォーマットでは、加える洗浄剤が少なくなるため、理論的には低親和性抗体を検出することができる。
好適なLE特異的抗体アッセイを開発する重要な態様では、感度を最適化しながら、遮断されるエピトープの数を最小限に抑えるよう、検出部分または捕獲部分でLEを標識するやり方を見出すこととした。これを実現するため、複数の標識化学物質および負荷率を評価し、最終生成物の標識率を得た。十分なシグナルを発生する最低標識率については、マスクされるエピトープの数が確実に最小になるように選択した。
ストレプトアビジン−ビオチン相互作用の利点として、その強さおよび特異性の2つがある。こうした特性から、この対合は捕獲部分として優れた選択肢にはなるものの、この結合の強度が、アッセイ開発に課題を提起する。ビオチン捕獲部分で標識したLEとストレプトアビジンコーティング固体支持体との相互作用により、捕獲LEが溶液から隔離されるためである。固相における結合変化のキネティクスから、検出LEおよび捕獲LEの比率を最適化しても、もはや十分なシグナルを発生することはない。この作用を最小限に抑えるため、体液およびLE試薬のプレインキュベーションステップをストレプトアビジンプレートの捕獲ステップから分離し、2つのインキュベーションステップを別々に最適化した。別のアプローチとして、固相/溶液相の混合相の相互作用に応じて試薬の比率を個々に最適化することが考えられる。
好ましい実施形態では、このブリッジングアッセイを、メソスケールディスカバリ(MSD)セクター(Sector) PR400プレートリーダーにより開発する。ブリッジングアッセイでは、ビオチンで標識した試薬とMSD Sulfo−タグで標識した試薬の2種類のrhASB試薬を用いる。このアッセイの場合、rhASBを、捕獲用にはビオチンなどのタグまたは標識(ビオチン−rhASB、ピアス EZ−Link)で、検出用にはルテニウムなどの第2のタグ(MSD Sulfo−タグ NHS−Ester)で調製する。ECL(electrochemiluminescence)フォーマットでは、抗体が1つのビオチン−rhASBおよび1つのRu−rhASBと結合すると、シグナルが発生される。体液(血清など)については、ストレプトアビジンプレートのインキュベーションの前に標識rhASBとともに一晩インキュベートして、体液サンプルに存在する遊離薬物からの干渉を低減させる。陽性の結果を確認するには、体液サンプルを過剰の非標識rhASBとともにインキュベートし、シグナルの減少により特異的相互作用を確認する。報告値は、陽性の状態が続く最大の希釈倍率に対応するタイター値である。
このアッセイを用いて、被検体の体液または組織サンプル中のLE特異的抗体を検出してもよい。好ましい実施形態では、体液は血清である。別の実施形態では、体液は脳脊髄液(CSF)である。
代替の実施形態では、第1および第2の蛍光標識が非常に近接、すなわち、体液のrhASB特異的抗体との同一複合体に結合したときに、検出装置がシグナルを発するように2つの標識を選択して、捕獲rhASBを第1の蛍光標識で標識し、血清抗体に前結合していてもよい検出rhASBを、第2の蛍光標識で標識する。
別の代替の実施形態では、捕獲rhASBを第2の標識で標識する代わりに固体支持体に結合させる。このフォーマットでは、結合反応は溶液相ではなく固相になるが、複数の種に由来する複数のIgアイソタイプに結合する機会は依然として生じる。
別の実施形態では、本発明は、別のリソソーム酵素である組換えヒトα−グルコシダーゼ(rhGAA:recombinant human α−glucosidase)に対して特異的な抗体を検出するイムノアッセイであって、Igアイソタイプおよび宿主種に左右されず、体液中の遊離薬物に対して耐性があり、感度がng/mLである、ブリッジングイムノアッセイを意図している。
代替の実施形態では、第1および第2の蛍光標識が非常に近接、すなわち、血清のrhGAA特異的抗体との同一複合体に結合したときに、検出装置がシグナルを発するように2つの標識を選択して、捕獲rhGAAを第1の蛍光標識で標識し、血清抗体に前結合していてもよい検出rhGAAを、第2の蛍光標識で標識する。
なお別の代替の実施形態では、捕獲rhGAAを第2の標識で標識する代わりに固体支持体に結合させる。このフォーマットでは、結合反応は溶液相ではなく固相になるが、複数の種に由来する複数のIgアイソタイプに結合する機会は依然として生じる。
2.リソソーム酵素(LE)中和抗体を検出するアッセイ
リソソームコンパートメントでは、低pH(pH4〜4.5)であることとタンパク質分解とにより、抗体とrhASBなどのリソソーム酵素との相互作用が低下または解消される可能性があるため、抗LE抗体が直接酵素活性を阻害するとは考えられない。しかしながら、活性を中和する可能性は残っており、酵素治療の有効性に干渉すると考えられる。本明細書では、患者の酵素補充療法の一環として投与されるリソソーム酵素(LE)に対する中和抗体を検出するアッセイであって、この治療用結合タンパク質が酵素活性を示す条件下で、患者から単離された中和抗体が、LEに結合する能力を保持している、アッセイを開発することを目指した。
本発明の第2の態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)の中和抗体を検出する方法であって、(a)動物の体液(血清など)サンプル中のリン酸イオンおよび硫酸イオンから抗体を単離するステップと、(b)ステップ(a)の単離した抗体と、リソソーム酵素とを接触させてLE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、(c)酵素基質を加えるステップと、(d)体液サンプル中の単離した抗体の存在下および非存在下でリソソーム酵素による酵素基質の切断量を検出するステップを含み、単離した抗体の存在しない場合に比べて存在する場合の方が切断が減少していることから、体液サンプル中にLEの中和抗体の存在が示される、方法である。
好ましい一実施形態は、rhASBに結合する抗体を含むヒト血清によりrhASBの酵素活性が阻害されるかどうかを判定するように設計された中和抗体アッセイである。この血清は、生産物阻害によりスルファターゼ活性の測定を阻害するリン酸および硫酸など、複数のイオンを含むものである。こうした妨害物質については、rhASB結合活性を持つ抗体を最大限に回復させる条件下でアフィニティー分離を行うことにより抗体画分を血清マトリックスから単離することで除去することができる。好ましい実施形態では、この除去を、プロテインA/Gにコンジュゲートされた樹脂を用いることによって成し遂げることができる。代替の実施形態では、妨害物質を、他のタンパク質または以下に限定されるものではないが、プロテインA、プロテインL、プロテインA/LおよびプロテインG/Lなど、Igドメインとの結合特徴を持つタンパク質の組み合わせにコンジュゲートされた樹脂を用いて除去することができる。抗体を血清から単離した後、LEが酵素活性を保持しながら、抗体−LE複合体の形成が可能になる条件を特定する。LEとともにプレインキュベートするステップを行えば、酵素基質に曝露する前に抗体−LE複合体の形成が可能になる。好ましい実施形態では、基質は、合成蛍光発生基質である。代替の実施形態では、基質は、特異的基質を含む合成または天然の供給源に由来する多糖類であってもよい。
適切な抗体の精製手順を作成する際の課題は、好適な性能およびロバストネスを備えた方法を特定することであった。磁性ビーズ、高タンパク質の結合プレート、ディスクおよびクロマトグラフィー樹脂など、多様な支持体を調査した。反復性に優れ最も高い回収量を示した方法は、プロテインA/Gが結合したポリアクリルアミド樹脂であった。
樹脂を選択したら、酵素反応に好適な条件(すなわち、pH、塩濃度など)まで抗体を溶出および中和する方法の開発が必要になった。課題は、保持されるリン酸イオンおよび硫酸イオンを最小限に抑える抗体溶出条件を特定することであった。PBS(phosphate buffered saline)と脱イオン水を組み合わせた集中的な調査により、抗体の保持率が高く樹脂上に保持されるリン酸がわずかにとどまる条件を特定した。
新たな課題は、その後の酵素反応で許容可能と思われる中和条件を特定することであった。再現性をよくするには酵素反応は約pH5.6で起こる必要があるため、トリスを用いた中性pHへの標準的な中和法には問題があった。複数の緩衝液を試験して、同じ最終pHを達成する際に、グリシン溶出緩衝液の割合および塩基性中和の条件において若干の乱れがあっても、酵素アッセイへの干渉をわずかにとどめ最大のロバストネスが得られる基準に適合する適切な候補を同定した。標準的なグリシン溶出緩衝液の代わりに様々な溶出緩衝液を用いてみたが、緩衝液を変えると、抗体溶出のロバストネスが低下した。
このアッセイを用いて被検体の体液または組織サンプル中のLE中和抗体を検出してもよい。好ましい実施形態では、体液は血清である。
3.リソソーム酵素(LE)の取り込みを阻害する抗体を検出するアッセイ
治療薬とその受容体との結合に干渉する中和抗体により薬の取り込みが制限されれば、薬剤処置の有効性が阻害されるであろう。したがって、抗体による受容体リガンドの中和を検出する方法の開発が、当該技術分野において引き続き求められている。本明細書では、同族LE受容体への結合に用いられる複数のエピトープをLE自体が持っている場合に、LE受容体によるLE取り込みを阻害する抗体を検出するアッセイを開発することを目指した。
本発明の第3の態様は、動物(ヒトなど)のリソソーム酵素(LE)の取り込みを阻害する抗体を検出する方法であって:(a)動物の体液(血清など)サンプルを検出部分で標識したリソソーム酵素とともにインキュベートするステップと、(b)ステップ(a)のインキュベーション混合物と、固体支持体に結合しているLE受容体またはそのLE結合フラグメントとを接触させるステップと、(c)ステップ(a)の検出部分で標識したリソソーム酵素のLE受容体またはそのフラグメントに対する結合を検出するステップとを含み、体液サンプルの非存在下での結合に比べて体液サンプルの存在下での結合が減少していることから、体液サンプルは、LE取り込みを阻害する抗体を含むことが示される、方法である。
好ましい実施形態は、LEとヒトマンノース−6−リン酸受容体との相互作用を阻害するrhASB抗体を検出する方法である。代替の実施形態は、LEと他の哺乳類のマンノース−6−リン酸受容体との相互作用を阻害するrhASB抗体を検出する方法である。受容体結合アッセイについては、取り込みを行うのに必要かつ十分な受容体結合が前の作業により確立されているため、このアッセイを細胞の取り込みアッセイの代替として用いてもよい(ディンチス(Dintzis)ら著,ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(J Biol Chem)第269巻:p.12159−66(1994年))。この方法が克服すべき大きなハードルは、組換えrhASBが、他のリソソーム酵素と同様に、マンノース−6−リン酸受容体との結合に関与する複数のマンノース−6−リン酸残基を持っており、したがって、マンノース−6−リン酸受容体に取り込まれる可能性があることである。LEおよび抗体のプレインキュベーションステップを行えば、抗体複合体が受容体に曝露される前に形成される機会が確実に得られる。
このアッセイの開発における主な課題は、結合がわずかに変化しても測定を可能にするLE受容体とLEとの濃度の組み合わせを決定することであった。LE受容体の濃度については、LE受容体の結合曲線が細胞系の結合曲線と類似するように選択した。検出可能なLEシグナルのレベルを100%の高さに保つため、LE受容体の濃度に対して最大結合シグナルの半分のシグナルを発生するLE濃度を選択した。このLE濃度では、結合曲線の急勾配部分に沿って阻害を測定することができた。この条件については、細胞との結合の阻害とプレートとの結合の阻害とを比較して設定した。
このアッセイを用いて、被検体の体液または組織サンプルのLE取り込みを阻害する抗体を検出してもよい。好ましい実施形態では、体液は血清である。
4.IgEアイソタイプのリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出するアッセイ
薬物投与に対して過敏症反応を示した一部のヒト患者では、薬物特異的IgE抗体の増加を観察することができた。アナフィラキシーなどの極端なアレルギー反応には、IgEが介在するヒスタミン遊離または他の細胞機構が関連している可能性がある。アレルギー反応では、重要なアナライトは血清総IgEではなく、むしろMPS VI型疾患の酵素補充療法の過程で、rhASBなどの投与薬物に結合がすることができる総IgEの画分である。本明細書では、患者の体液中の大部分の抗体、特に抗rhASB抗体などのLE特異的抗体においてアイソタイプが異なる場合、とりわけIgGアイソタイプである場合に、LE特異的IgEアイソタイプ抗体を検出するアッセイの開発を目指した。
本発明の第4の態様は、動物(ヒトなど)のIgEアイソタイプのリソソーム酵素(LE)特異的抗体検出する方法であって:(a)動物の体液(血清など)サンプルと固体支持体に結合したIgE特異的抗体とを接触させることで、体液サンプル中のIgEを捕獲するステップと、(b)ステップ(a)で捕獲したIgEと検出可能な部分で標識したリソソーム酵素とを接触させるステップと、(c)検出部分で標識したリソソーム酵素の量を検出することで、体液サンプル中のIgEアイソタイプLE特異的抗体の量を検出するステップとを含む、方法である。
MPS VI型患者では、rhASBの点滴静注に対する顕著なアレルギー反応は稀であるものの、体液(血清など)に存在するrhASB特異的IgE抗体のレベルが、薬物を投与されてない人が示すバックグラウンドレベルに比べて著しく高いものであるかどうかを判定できる実験アッセイが求められている。ヒト血清中の非特異的総IgEの公称濃度は、IgG(6〜13mg/mL)と比較して極めて低い(20〜400ng/mL)。総IgGと総IgEのこうした値は、最大650,000倍の差になることもある。したがって、LE特異的IgGが存在すると、LE特異的IgEの検出に対する大きな障害になる可能性がある。この干渉を最小限に抑えるため、通常のアッセイにおいては固体支持体に結合した標的タンパク質に結合させることで任意のアイソタイプのLE特異的抗体を血清から捕獲するが、このアッセイの第1のステップでは、血清のIgE画分全体を固体支持体上に捕獲する。その後、IgEアイソタイプであるLE特異的抗体のサブセットを測定する代わりに標識LEで検出を行うことで、LEに特異的な総IgEの亜画分を測定することができる。好ましい実施形態は、逆イムノアッセイ(抗rhASBのIgEのELISA)に基づきヒト血清中のrhASB特異的IgE抗体の存在を検出する方法である。
アッセイフォーマットに対する特異的IgGの影響を最小限に抑えるため、ヒトIgGおよびヒトIgEの曲線を参照して複数の抗ヒトIgE抗体をスクリーニングし、相対感度を判定した。最も優れた抗体は、IgGを300ng/mLで検出したのに対し、IgEではより強力に0.41ng/mLで検出しており、IgEに対する結合親和性は、少なくとも約730倍超に相当する。誤って捕獲されたLEに対して特異的なIgGはごく一部にとどまると思われるため、このレベルの交差反応性は、許容できるものである。
代替の実施形態は、間接イムノアッセイを用いる。このフォーマットでは、ELISAマルチウェルプレートへのrhASBの結合と、rhASBへの血清サンプルの結合と、HRP(horseradish peroxidase)コンジュゲート抗ヒトIgEまたはビオチン化抗ヒトIgEとストレプトアビジン−HRPとによる検出とが行われる。このフォーマットは、抗rhASBのIgGからの干渉に対する感度がさらに高かったため、この特定の用途には向いていないかもしれない。
別の代替の実施形態では、IgE特異的抗体は、固体支持体には結合していないが、検出可能なリソソーム酵素標識に接近すると検出可能になる第2の標識に結合し、この2つの試薬は、溶液中で反応できるようになる。例示的な一実施形態では、第1および第2の蛍光標識が非常に近接、すなわち、リソソーム酵素(LE)特異的抗体との同一複合体に結合したときに検出装置がシグナルを発するように選択して、IgE特異的抗体を第1の蛍光標識で標識し、血清抗体に結合していてもよい検出可能なリソソーム酵素を第2の蛍光標識で標識する。
このアッセイを用いて、被検体の体液中または組織サンプル中のIgEアイソタイプのLE特異的抗体を検出してもよい。好ましい実施形態では、体液は血清である。
本発明について全体的に記載してきたが、次に、以下の実施例を参照することでさらに理解しやすくなるであろう。提供する実施例は、説明だけを目的としたものであり、いかなる意味でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用した数字(たとえば、量、温度など)に関しては、正確性を確保するように努力したが、言うまでもなく、実験誤差および偏差を考慮すべきである。
実施例1
血清由来のヒトアリールスルファターゼB特異的抗体の検出
このアッセイ開発の目的は、組換えヒトアリールスルファターゼB(rhASB)の免疫原性を判定する方法を創出することにあった。
アッセイの開発に用いた抗体は、そのすべてをプロテインGカラムに続いてrhASBアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した、ポリクローナル抗体を含むものである。研究対象の4つの種は、ヒツジ(G192)、ウサギ(BP15)、カニクイザル(プール)およびヒト(プール)であった。特異性を試験するため、組換えヒトα−L−イズロニダーゼに対するウサギのポリクローナル抗体(抗rhIDU:antibody against recombinant human alpha−L−iduronidase)を用いて、ブリッジングフォーマットが他のLEに対する抗体を測定しないようにした。
Ru−rhASBおよびビオチン−rhASBのサンプル希釈液およびサンプル原液を2%ブロッカー(Blocker)A[リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)に加えた2%ウシ血清アルブミン(BSA:bovine serum albumin)]で調製した。同量のRu−rhASB、ビオチン−rhASBおよびサンプル希釈液をプレインキュベーションプレートで混合した。このプレインキュベーションプレートを室温(RT:room temperature)でインキュベートした。ストレプトアビジンアッセイプレートを、1ウェル当たり150μLの5%ブロッカー AでRTまたは4℃にてブロッキングした。ブロックを振盪してアッセイプレートから除去し、混合物を50μLずつブロッキングしたストレプトアビジンアッセイプレートに移した。このアッセイプレートをRTでインキュベートし、PBS−トウィーン(Tween)で3回洗浄し、1ウェル当たり150μLのリードバッファ T(Read Buffer T)を加えた。このプレートをセクターPR 400で読み取った。
このスクリーニングアッセイでは、まず、試薬を低結合性のホワイト96ウェルプレートでプレインキュベートし、30μLの4μg/mL Ru−rhASBと、30μLの4μg/mLビオチン−rhASBと、対照とサンプルの1:10希釈液30μLを各ウェルに加えた。このプレインキュベーションプレートをホイルシールでシールし、プレートシェーカー上でRTにて一晩インキュベートした。MSDストレプトアビジンプレート(アッセイプレート)を150μLの5%ブロッキング緩衝液(5%BSA)(MSD ブロッカー A)で4℃にて一晩ブロッキングした。翌日、このストレプトアビジンアッセイプレートの溶液を捨て、1ウェル当たり50μLをプレインキュベーションプレートからこのアッセイプレートへ移した。アッセイプレートをシールし、プレートシェーカー上でRTにて30分間インキュベートした。次いで、このプレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。150μLの2倍リードバッファ T(メソスケールディスカバリ)を各ウェルに加え、このアッセイプレートを適切な波長で読み取った。各サンプルおよび対照からのシグナルとプールの1:10希釈液からのシグナルと比較検討した。
確認アッセイの場合、サンプルの1:10希釈液2種類を、2%ブロッカー Aあるいは2%ブロッカー Aに加えた100μg/mLのrhASBで標識rhASB試薬とインキュベートする前に調製したこと以外は、スクリーニングプロトコルと同様にした。rhASBを含むブロッカー Aで希釈したサンプルのシグナルと、ブロッカー Aのみで希釈したサンプルのシグナルを比較検討した。
タイターアッセイの場合、サンプルの1:10希釈液を、標識rhASB試薬とインキュベートする前に3倍に連続希釈したこと以外は、スクリーニングプロトコルと同様にした。各希釈液のシグナルとプールの1:10希釈液からのシグナルとを比較検討した。
インキュベーションの合計時間を、プレインキュベーションステップとストレプトアビジンプレートのインキュベーションとに分けたことで、バックグラウンドとの比較でシグナルが強まった。ストレプトアビジンアッセイプレートのインキュベーション時間には約30分を選択し、シグナルをあまり失わずにバックグラウンドを最小限に抑えるようにした。プレインキュベーションについては一晩のインキュベーションに最適化し、バックグラウンドがあまり増加せずに低い抗体濃度でシグナルが増加するようにした。
ビオチンおよびRuによるrhASBの標識化
rhASBの緩衝液を標識化緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7.8)に交換し、2mg/mLに濃縮した。標識化の直前に、MSD Sulfo−タグおよびビオチンの原液を調製した。このMSDタグおよびビオチンの原液を、1.25〜12倍モル過剰負荷比で加えた。
チューブをVan−Mixロッカー(rocker)上でRTにて1時間インキュベートした。反応を20〜25%v/vの2Mグリシンでクエンチし、次いで試薬の安定性のため緩衝液交換を行い元の製剤緩衝液にし、遊離タグを除去した。rhASBの濃度をピアス BCAキットを用いてmg/mL単位で判定し、MW59687g/molを用いてモル濃度に変換した。
Ruの定量化の範囲を定量するため、455nmの吸光度を測定し、吸光係数15400MT−1cm−1を用いてRuのモル濃度を算出した。
ビオチン標識を定量するため、HABA/アビジン法を採用した。
ビオチン取り込みの程度測定における正確度を向上させるため、クロモジェニックビオチン生成物も調べた(ピアス EZ−Link NHS−クロモジェニックビオチン)。予備実験では、ビオチン−rhASBの2つの形態は、類似した挙動を示したが、クロモジェニック形態に関する十分な特性評価は行わなかった。
試薬調製の最適化には、負荷率を標準的な条件から大幅に引き下げる必要があった。ビオチン−rhASBとRu−rhASBとの負荷率をともに約2.5にすると、標識率は約1.5となり、シグナルを得るのに必要なrhASB標識のバランスがとれると同時に、rhASBにほとんど変化がなくエピトープのマスキングが回避されることが、複数の実験から明らかになった。条件の差は大きくなかったが、2つの試薬をほぼ等モル比で用いると、シグナルとバックグラウンドの差が最小になった。これは、抗体が1つのRu−rhASBと1つのビオチン−rhASBに結合した場合にのみ、シグナルが得られることから予想通りであった。
アッセイのカットポイントの設定
複数の人の未処置血清を用いて、アッセイで陽性結果となるシグナル(カットポイント)を判定するため、複数の未処置の人のアッセイシグナルの平均値を3回の反復実験から算出し、個々の平均値から標準偏差を計算した。この標準偏差に1.645、すなわち、片側95%信頼区間のt値を掛けた。カットポイントを95%信頼区間で設定し、偽陽性率は5%とした。
50種の未処置ヒト血清またはCSFをアッセイしてカットポイント係数を設定した。ウサギの血清、ラットの血清、ネコの血清およびネコのCSFの場合、20種の未処置サンプルをアッセイしてカットポイント係数を設定した。個々のヒト血清のシグナル平均値の標準偏差は、系のばらつき(SD:standard deviation=14〜18)に非常に近く、個々の血清の変動が、アッセイの重要因子ではないことが示された。試験対象のその後のマトリックスでもすべて類似の分布が観察された。
感度
このアッセイにおいて検出可能だが、必ずしも定量、精製できるとは限らない、血清中のアナライトの最低濃度を判定するため、未処置のプール血清で50〜100,000ng/mLの抗体を調製した。各調製濃度の1:10希釈液からのシグナルと、未処置のプール血清の1:10希釈液からのシグナルとを比較検討した。
検出限界は、ポリクローナル抗体の供給源に応じて変化したが、4種類の供給源すべてで約250ng/mLを上回る濃度が検出された。このアッセイでは、少なくとも約50ng/mLという低濃度で未希釈血清中のヒツジポリクローナル抗体G192を検出することができ、これは、アッセイ混合物における抗体の最終濃度約1.7ng/mLに相当する。代替の実施形態では、材料をより連続的に供給するためモノクローナル抗体を対照として用いることもあった。複数の種から単離した抗体の検出から、このブリッジングアッセイでは、異なる定常ドメインを持つ抗体を検出することができることが確認された。
遊離薬物による干渉
濃度反応関係に対する遊離薬物の作用を評価するため、0〜100ng/mLのrhASBを含む未処置ヒト血清で、0.5〜50μg/mLの親和性精製ヒト抗rhASBを調製した。総容量150μLにおいて、1:10サンプル希釈液からのシグナルと未処置血清の1:10希釈液とを比較検討した。rhASBの様々な血清濃度に対する検出限界を比較検討した。
以前の薬物動態解析から、注入療法を24週間行ってから5時間後に血漿中に存在するrhASBが663ng/mLを超える患者は認められず、半数以上で、rhASBが100ng/mL未満であることが明らかになった。血清サンプルを採取した注入後7日目の濃度は、1ng/mLよりも低いと予測された。PK(pharmacokinetic)曲線を延長させる抗体反応が患者に認められた場合、濃度に応じて10μg/mLまで検出限界を設定した。未希釈血清中の少なくとも約500ng/mLの感度については、未希釈血清中のrhASBの10μg/mLまで維持された。
さらに、100μg/mLのrhASBに加えた1:10サンプル希釈液からのシグナルと、2%ブロッカー Aに加えた1:10サンプル希釈液からのシグナルとを比較検討した。このアッセイは、遊離薬物に対する耐性はあったものの、サンプル希釈薬液中にrhASBが100μg/mL存在すれば、陽性結果の確認試験としての役割を果たすことができた。この濃度は、この製剤の濃度であるため、実際の患者サンプルでは生じる可能性がなかった血清濃度1mg/mLに相当する。
マトリックスによる干渉
濃度反応関係に対するマトリックス(すなわち、ヒト血清)の作用を評価するため、未処置のプール血清と、10%血清と、2%ブロッカー Aとで、50〜50,000ng/mLの親和性精製ポリクローナル抗体を調製した。1:10サンプル希釈液からのシグナルを様々な血清濃度において比較検討した。検出限界に近い正確度は、96〜110%であった。濃度が上昇するとばらつきも大きくなるが、報告値はタイター値で、検出限界に近い抗体濃度を与える希釈液から判定されるため、こうしたばらつきは、許容できるものである。
上記のアッセイはヒト血清以外に、ヒト脳脊髄液、ウサギ血清、ラット血清、ネコ血清およびネコのCSFにおいても確認または検証されている。これらすべてのマトリックスでは、マトリックス干渉が、ELISAフォーマットを大きく下回り、マトリックスの耐性がすべてのフォーマットで10%以上高かった。
ELISAに対するこのフォーマットの最も著明な改善点は、ネコの血清で観察された。試験対象のすべてのELISAフォーマットでは、バックグラウンドを0%血清のレベルまで排除する、ネコ血清の最小希釈倍率は、少なくとも100であった。さらに、rhASBのELISAでは非特異的結合も大きな課題であり、多くの動物において遊離LEと競合できない高いシグナルが明らかになっている。本明細書に記載する溶液相ブリッジングアッセイは、このようなばらつきが大きく高度に非特異的なシグナルを示さない。
ロバストネス
使用した試薬(3.5〜4.5μg/mLのRu−rhASBおよびビオチン−rhASB)およびインキュベーション時間(プレインキュベーション時間が14〜22時間およびストレプトアビジンアッセイプレートインキュベーション時間が20〜40分間)を変化させて用いてアッセイのロバストネスを評価した。その結果から、試薬濃度をわずかに変化させても、比較的高濃度の対照に対してはあまり影響がないが、ビオチン−ASB濃度がRu−ASB濃度よりも高い場合、100ng/mLの対照ではカットポイントを下回ることが示された。サンプル解析の過程でこの状態が生じた場合、低陽性対照を検出することができないため、このプレートを使用しないことになった。プレインキュベーション時間は、16時間から22時間までの幅があってもよく、すべての対照でシグナルに大きな変化はなかった。ストレプトアビジンアッセイプレートのインキュベーションは、25〜35分間の幅があってもよかった。
特異性
rhASBに対する抗体アッセイの特異性を判定するため、未処置ヒト血清中で抗rhASBまたは抗rhIDUのサンプルを試験した。100、1000または50,000ng/mLの抗rhASBを調製し、50,000ng/mLの抗IDUを調製した。対照としてrhIDUに対する抗体を選択した。rhIDUも、rhASBに特有ではないエピトープを介して抗体に特異的に結合することができるマンノース−6−リン酸の翻訳後修飾体を含むためである。50,000ng/mLの抗IDUのシグナルは、100ng/mLの抗rhASBのシグナルを下回っており、このアッセイが抗rhASB抗体に高度に特異的であることが明らかになった。
試薬の安定性
rhASB試薬に関する調製のロバストネスおよび保存の安定性の特性評価を行うため、rhASB試薬を複数のロットで調製し、これを用いて未処置ヒト血清に加えた精製抗体の同様のサンプルを解析した。3ロットのアリコートを、最初の4℃での7週間の保存期間後、4℃、−20℃および−70℃で保存した。2ヶ月間にわたり、保存温度の異なるアリコートを用いて、未処置ヒト血清に加えた精製抗体の等価サンプルを解析した。試薬の小ロットを複数作製し、これらを陽性対照希釈液を参照して検査して、試薬調製におけるロバストネスを試験した。ロット全体でばらつきが観察されたものの、感度は同等であった。保存条件下、3ロットを用いて安定性を試験した。保存条件は、3とおりの保存温度すべてで8週間維持された。インスタディバリデーションでは、試薬の安定性は最長6ヶ月であるが、継続調査に基づき期間がさらに長くなることが明らかになっている。
システムの適合性
セクターPR400リーダーのシステムノイズを評価するため、溶液なし(ダークノイズ)または2倍リードバッファ TまたはMSD 遊離タグを用いてプレートを試験した。この3つのばらつきを、非コーティングプレート上と標準的なストレプトアビジンプレート上とで試験した。ダークノイズは、標準偏差がそれぞれ14および15であった。リードバッファは、標準偏差がそれぞれ18および14であった。遊離タグは、非コーティングプレート上の変動係数(CV:coefficient of variation)が1.2%であった。これらの数字については、96回の反復実験から算出した。いかなるアッセイ成分もない場合のシステムのばらつきは、許容できるものであり、サンプルの測定において、ばらつきの原因となる可能性はない。
精密度
精密度については、未希釈血清中で100、1000および50,000ng/mLの陽性対照に対して判定した。2名の分析者が、合計5日間にわたり、3種類のサンプルすべてから類似のシグナルを得た。17回の試験におけるG192のCV%は、50μg/mL、1μg/mL、100ng/mLおよび0ng/mLで、それぞれ19%、10%、10%および7%であった。2名の分析者は、合計3日間にわたり類似のタイター値を得た。6回の試験におけるタイター値は、各濃度の隣り合う2つの希釈倍率以下であった。
サンプルの安定性
様々な保存条件に対する抗体サンプルの安定性を評価するため、対照を、複数の凍結融解サイクルと、4℃での複数日の保存と、1:10スクリーニング希釈液用の4℃での複数日の保存とに付した。抗rhASBの場合、未希釈血清または未希釈血清の1:10希釈液に対して、5回の凍結融解サイクルおよび4℃での3日間の保存を超えるサンプルの安定性を確立した。
実施例2
血清のヒトα−グルコシダーゼ特異的抗体の検出
このアッセイ開発の目的は、ヒトα−グルコシダーゼ(rhGAA)の免疫原性を判定する方法を創造することであった。rhASBアッセイに導入したアッセイの改善点の多くを、rhGAAアッセイにおいて試験したが、すべてが成功したわけではなく、さらに最適化する必要があった。
アッセイの開発に用いた抗体は、3種類のウサギポリクローナル抗体(BP32、J8255、J8266)であり、これをプロテインGカラムに続いてrhGAAアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。
Ru−rhGAAおよびビオチン−rhGAAのサンプル希釈液および原液を、2%ブロッカー A[リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加えた2%ウシ血清アルブミン(BSA)]で調製した。同量のRu−rhGAAと、ビオチン−rhGAAと、サンプル希釈液とをプレインキュベーションプレートで混合した。このプレインキュベーションプレートを室温(RT)で18〜22時間インキュベートした。ストレプトアビジンアッセイプレートを1ウェル当たり150μLの5%ブロッカー AでRTまたは4℃にて一晩ブロッキングした。ブロックを振盪してアッセイプレートから除去し、混合物を50μLずつブロッキングしたストレプトアビジンアッセイプレートに移した。このアッセイプレートをRTで23〜35分間インキュベートし、PBS−トウィーンで3回洗浄し、1ウェル当たり150μLのリードバッファ Tを加えた。このプレートをセクターPR 400で読み取った。
このスクリーニングアッセイでは、まず、試薬を低結合性のホワイト96ウェルプレートでプレインキュベートし、30μLの4μg/mL Ru−rhGAAと、30μLの4μg/mLビオチン−rhGAAと、対照とサンプルの1:10希釈液30μLを各ウェルに加えた。このプレインキュベーションプレートをホイルシールでシールし、プレートシェーカー上で室温にて一晩インキュベートした。MSDストレプトアビジンプレート(アッセイプレート)を150μLの5%ブロッキング緩衝液(5%BSA)(MSD ブロッカー A)で4℃にて一晩ブロッキングした。翌日、このストレプトアビジンアッセイプレートの溶液を捨て、1ウェル当たり50μLをプレインキュベーションプレートからこのアッセイプレートへ移した。アッセイプレートをシールし、プレートシェーカー上で室温にて30分間インキュベートした。次いで、このプレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。150μLの2倍リードバッファ T(メソスケールディスカバリ)を各ウェルに加え、このアッセイプレートを適切な波長で読み取った。
ビオチンおよびRuによるrhGAAの標識化
実施例1でrhASBに関して記載したのと同様の要領でrhGAAを標識した。ビオチン−rhGAAとRu−rhGAAとの負荷率をともに約4にすると、標識率は約3となることが実験において明らかになった。その後最適化を行ったところ、標識率が約1〜2となり、シグナルを得るのに必要なrhGAA標識のバランスがとれると同時に、rhGAAにほとんど変化がなくエピトープのマスキングが回避される条件を特定することができた。
感度
このアッセイにおいて検出可能だが、必ずしも定量、精製できるとは限らない、血清中のアナライトの最低濃度を判定するため、未処置のプール血清で50〜100,000ng/mLの抗体を調製した。各調製濃度の1:10希釈液からのシグナルと、対応する未処置のプール血清の希釈液からのシグナルとを比較検討した。
検出限界は、個々のポリクローナル抗体により異なったが、3種類の供給源すべてで約1μg/mLを上回る濃度が検出された。このアッセイでは、少なくとも約250ng/mLという低濃度で未希釈血清中のウサギポリクローナル抗体BP32を検出することができた。
マトリックスによる干渉
濃度反応関係に対するマトリックス(ラット血清)の作用を評価するため、2%ブロッカー Aに加えた0、5、10、25、50および100%の未処置のプール血清で、100〜10,000ng/mLの親和性精製ポリクローナル抗体を調製した。1:10サンプル希釈液からのシグナルと、0%血清中の1:10サンプル希釈液とを比較検討した。25%までの血清濃度では、正確度は67〜119%の範囲に維持された。
遊離薬物による干渉
さらに、10μg/mLのrhGAAに加えた1:10サンプル希釈液からのシグナルと、2%ブロッカー Aに加えた1:10サンプル希釈液からのシグナルとを比較検討した。このアッセイは、遊離薬物に対する耐性はあったものの、サンプル希釈薬液中にrhGAAが10μg/mL存在すれば、陽性結果の確認試験としての役割を果たすことができた。この濃度は、この製剤の濃度の20%であるため、実際の患者サンプルでは生じる可能性がなかった血清濃度100μg/mLに相当する。
アッセイのカットポイントの設定
複数の人の未処置血清を用いて、アッセイで陽性結果となるシグナル(カットポイント)を判定するため、複数の未処置の人のアッセイシグナルの平均値を3回の反復実験から算出し、個々の平均値から標準偏差を計算した。カットポイントを95%信頼区間で設定し、偽陽性率は5%とした。標準偏差に1.645、すなわち、片側95%信頼区間のt値を掛けた。
少なくとも50種の未処置ヒト血清またはヒトCSFをアッセイして、ヒトマトリックスのカットポイント係数を設定した。動物マトリックスのカットポイント係数については、20種の未処置ラット血清、ウサギ血清、ネコ血清またはネコのCSFをアッセイして設定した。血清サンプルごとに3回の反復実験を用いてサンプルをマッチングさせ、これについても三重反復で解析した。すべての場合において、個々の血清のシグナル平均値の標準偏差は、系のばらつき(SD=16)に非常に近く、個々の血清の変動が、アッセイの重要因子ではないことが示された。
システム適合性
rhGAAアッセイでは、カラムにおけるシグナルの減少によりプレートのアーチファクトが見られたが、これは、リードバッファの添加からプレートの読み取りまでの経過時間に起因していた。実施可能な対処法は、ばらつきがサンプル間ではなく、サンプル内に広がるプレートレイアウトを設計することであった。
実施例3
リソソーム酵素中和抗体のアッセイ
rhASB活性中和抗体の存在を評価するため、バイオマリン(BioMarin)で精製rhASBのロットリリースアッセイとして以前開発された活性アッセイを改変した。rhASBの活性は、pH5.6で蛍光分子が蛍光発生基質から遊離するのを測定するもので、無血清条件において検証済みのアッセイである。このアッセイでは、合成基質である4−メチルウンベリフェリルスルファート(4−MUS:4−methylumbelliferyl sulfate)を用いるが、この基質は、rhASBによって遊離硫酸および4−メチルウンベリフェロン(4−MU:4−methylumbelliferone)に切断される。この活性アッセイは、ともに患者の血清中に様々な量で存在するリン酸塩および硫酸塩により阻害される。中和抗体の検出アッセイを作製するため、抗体単離の前処理ステップを開発し、抗体結合とrhASB酵素活性とがともに維持される条件においてリン酸塩および硫酸塩を除去した。
抗体単離の前処理の評価
リン酸塩および硫酸塩から抗体を単離するため、プロテインA/Gによるアフィニティー精製ステップを選択した。プロテインA/G樹脂法では、酸性溶離ステップが必要になるが、その後、rhASB活性を測定する際にpH5.6に戻す必要がある。樹脂を試験する前に、20mLの0.1Mグリシン(pH2.70)については、1M Naアセテート6.9mL(pH7.20)あるいは2M Naアセテート3.4mL(pH7.29)でpH5.6に調整し得ることを確認した。トリス緩衝液についても様々なpH値およびモル濃度で調べたが、量のわずかな違いに過敏な反応を示した。Naアセテートの量の変化に対するpHの反応が低いため、1MのNaアセテート緩衝液を選択した。
抗体をプロテインA/Gに結合させ、溶出させる複数のアプローチを検討した。第1は、磁性ビーズアプローチで、再現性はあったものの、このアッセイを行うには結合能力が十分ではなかった。次に、ウルトラリンク(UltraLink)固定化プロテインA/G樹脂を試験したところ、結合ステップと溶出ステップの間で樹脂を水で洗浄すれば、良好な溶出が示された。溶出した抗体の量は、樹脂100μL当たり血清100μLまでは直線性を示したが、血清200μLでは減少した。結合能力については、血清200μLにおいて抗体600μg/樹脂100μLとして算出した。次に、飽和に達しないようにするため、100μLの樹脂とともにインキュベートした1:2血清希釈液200μL(200μLのスラリーに相当する)を用いて血清結合ステップを実施した。量をすべて半分にしても、収率は同等であり、必要サンプル量を最小にするため、後の実験ではこの形をとった。
プロトコルを簡略化し、処理量を増大させるため、ウルトラリンク固定化プロテインA/G樹脂を用いた標準的な遠心分離法とは別に、真空濾過によるプレートベースの方法を調べた。この方法は、遠心分離ステップの代わりに真空濾過ステップを用いたものである。精製抗体を3種類のヒト血清にスパイクすることで生じるサンプルの阻害率は、複数の分析者および日数において一定していた。
この最終フォーマットの抗体精製では、プロテインA/G樹脂を混合し、100μLのスラリーをマルチスクリーンプレート(Multiscreen plate)に加えた。このスラリー液を真空除去し、次いで400μLのPBS(pH7.4)で1回洗浄した。血清をPBS(pH7.4)に加えて1:2に希釈し、100μLの2倍希釈液を用いて樹脂を再懸濁した。この混合物をRTで1時間インキュベートさせ、血清を遠心分離または真空で除去した。その後、樹脂を400μLのPBS(pH7.4)で1回、400μLの精製水で2回洗浄した。抗体を200μLの0.1Mグリシン(pH2.70)で10分間、2回溶出した。この溶出液を、1M酢酸ナトリウムを加えてpH5.6に中和した。
酵素活性の評価
単離ステップを用いると、ロットリリースアッセイと比較して緩衝液組成物が変化したことから、rhASB活性の直線性に対するこの緩衝液の変化の作用を評価した。0〜62.5ng/mLのrhASB原液10μLと、40μLのグリシン/アセテート緩衝液とを混合し、次いで4−MUS基質とともに20分間インキュベートした。このグリシン/アセテート緩衝液系は、スルファターゼ活性を阻止するグリシン/カルボナート停止溶液の能力に影響を与えず、すでに観察された直線性および時間に対するロバストネスは、維持された。
中和ステップのロバストネスの評価については、0.1Mグリシン(pH2.70)の量を180〜220μLに、1M Naアセテートの量を62〜76μLに故意に変化させて、0〜62.5ng/mLのrhASBの活性を評価して行った。10%緩衝液組成物が変質しても、rhASB活性の測定値は、200μLのグリシンと69μLのグリシンとの至適組み合わせのrhASBで得られる値の10%以内にあった。このことから、ピペッティング時に小さなばらつきがあっても、酵素活性の測定において大きな誤差の原因にはならないと予想されることが示される。
この最終フォーマットで酵素活性を測定するため、精製抗体と62.5ng/mLのrhASB酵素とを混合した。グリシン/アセテートに加えた精製抗体(40μL)と、62.5ng/mLのrhASB10μLとを組み合わせた(0.05Mアセテート(pH5.60)、0.05%トウィーン 20)。この混合物を低結合性の平底黒プレート(グライナー(Greiner)など)で37℃にて1時間インキュベートし、抗体をrhASBに結合させた。活性アッセイの緩衝液中であらかじめ加温した5mMの4−MUS基質(シグマ(Sigma)など)を各ウェルに加え、37℃で20分間インキュベートした。この反応を、1ウェル当たり150μLの停止緩衝液(0.35Mグリシン、0.44Mカルボナート)を加えて止めた。このプレートを、ソフトマックスプロ(SoftMax Pro)ソフトウェアを備えたスペクトラマックスジェミニ(SPECTRAmax Gemini)プレートリーダーを用いて、励起366nm、発光446nm、カットオフ435nmで読み取った。
特異性
このアッセイの特異性を試験するため、12.5ng/mLのrhASBを、未処置血清に加えた0〜150μg/mLの様々な抗rhASB抗体(G192、BP14、BP15、J3549、J3550)、および未処置血清に加えた40および150μg/mLの抗アウドラザイム(組換えヒトイズロニダーゼ(IDU))抗体(BP 13)とともにプレインキュベートした。rhASB活性のレベルを、未処置血清および緩衝液と抗体との比較で検討した。
5種の親和性精製ポリクローナル抗rhASB抗体のうち4種類(BP14、BP15、J3549およびJ3550)は、未処置血清と比較してrhASB活性を阻害することができた。この反応は、血清にスパイクした抗体の量に比例した。これに対し、ポリクローナル抗アウドラザイム抗体(BP13)、ポリクローナル抗rhASB(G192)および未処置血清は、rhASB活性を著しくは低減しなかった。
ポリクローナル抗rhASBの1つ(G192)にはrhASB活性に影響を及ぼす能力がないことと、同一濃度で複数のポリクローナル抗体に対する反応が異なることとから、このアッセイは、中和抗体の検出に好適なものであり、総抗体濃度を反映しないことが示された。アッセイ検証およびサンプル試験の対照としてBP14(ウサギ抗rhASB)を選択した。精製抗体のうち反応が最も高く、酵素活性を阻害するモノクローナル抗体の比率がより高い可能性があるためである。
カットポイントの設定
陽性と見なす最低のシグナルを判定するため、50種の未処置血清を試験して信頼区間(CI:confidence interval)を設定した。未処置血清は、かなり広範囲に分布し、負のバイアスが示された。低下が統計学的に有意であることが90%確実になるよう、片側t検定でカットポイントを10%(平均値プラス標準偏差(SD)の1.282倍)に設定した。95%信頼区間は、15%(平均値プラスSDの1.645倍)であった。99%信頼区間は、25%(平均値プラスSDの2.326倍)であった。サンプル解析には、90%信頼区間を選択した。
感度
先の実験において、ウサギ血清の親和性精製BP15 IgGポリクローナル抗体は、rhASBの酵素活性を中和できることが示された。抗体または阻害血清を用いないrhASBからのシグナルを100%と判定した。11.8μg/mLのBP15とともにインキュベートしたrhASBからのシグナルは、54%減少した。したがって、このアッセイは、異なる緩衝液条件でrhASBの阻害を検出することが可能であった。
未処置のプールヒト血清で、2.5、5、7.5、10、15および20μg/mLのBP14希釈液のシリーズを調製し、95%信頼区間と比較した。7.5μg/mL以上のBP14は、95%CIを超えてrhASBと結合してrhASB活性を阻害することができた。10μg/mL以上のBP 14は、99%CIを超えてrhASBを阻害することができた。酵素活性を阻害することができる抗体の母集団はごく一部にとどまる可能性があるため、LODは、約7.5μg/mL以下と記録する方がより正確である。
遊離薬物による干渉
以前の薬物動態解析において、注入療法を24週間行ってから5時間後の患者では、血漿中のrhASBが100ng/mL未満の患者が50%を超え、いずれの患者も663ng/mL以下であることが明らかになった。遊離薬物の作用を評価するため、10〜150μg/mLの抗rhASBを、0〜1000ng/mLのrhASBを含む未処置血清で調製した。血清サンプル中の遊離rhASBが抗体精製ステップを通じて保持されれば、活性アッセイにおけるシグナルが高まり、抗体による減少がマスクされる可能性がある。rhASBの濃度ごとに、0ng/mLのrhASBに対する相対的な正確度を算出した。
10ng/mLのrhASBでは、相対的な正確度は82〜109%で、強いバイアスは見られなかった。100ng/mLのrhASBでは、相対的な正確度は47〜76%で、この濃度のrhASBでは、抗体精製ステップを通じて保持されるタンパク質は、中和抗体の検出に干渉しない量であることが示された。10ng/mLを超えるrhASB濃度は、注入後7日目にはあり得ない濃度であるため、抗体単離ステップは、遊離薬物の干渉に対して十分にロバストである。
マトリックスによる干渉
抗体活性反応の関係に対するマトリックス(血清など)の作用を評価するため、プロテインA/G樹脂法を用いて血清を調製し、この血清サンプルに対するrhASBの活性と、緩衝液単独の活性とを比較検討した。血清はアッセイに干渉することがすでに明らかになっていたため、サンプル調製ステップの能力を評価して、干渉の除去における有効性を判定した。3回の実験において、未処置血清は、緩衝液対照の10%以内にあり、抗体精製ステップでは、血清干渉が活性アッセイから効果的に除去されることが示された。
複数の個体の未処置血清で25μg/mLの抗rhASBのサンプルを調製し、サンプルごとに3つのアリコートを試験することで、抗体の回収率を評価した。個体内CVは、酵素活性の低下に対して2〜13%で、総タンパク質の回収率に対しては3〜17%であった。酵素活性の低下に対する個体間CVは11%で、個々のマトリックスは、中和抗体の存在を評価する際に有意なばらつきの原因にはならないと予想されることが示された。
精密度
複数のサンプル調製において血清中の抗体に対して同等の活性抑制を与えるアッセイの性能を判定するため、抗体調製物の個々のアリコートを、プロテインA/G精製ステップにより試験し、分析者間および日数間で比較検討した。アッセイは優れた再現性を示し、CVは5.6〜23.4%で、検出限界に近づくと観察されたCVは高くなった。このサンプル解析の精密度は、通常の使用時において信頼性を示す指標となる。
ロバストネス
さらに、方法のパラメータをわずかだが故意に変動させても影響を受けないアッセイの性能を判定し、通常の使用時における信頼性の指標を示す必要もあった。
rhASBおよび4−MUSのアッセイ濃度の最適値である80%、100%および120%で品質管理サンプルによる低下率を比較したところ、アッセイの直線性は、4−MUSおよびrhASBの濃度が20%変動しても影響を受けないことが示された。予想通り、rhASB濃度が変化すると、活性比はそれにともない増減した。同じrhASB濃度において4−MUS濃度を4mMから6mMに変化させると、結果に若干の影響が出たが、その値は、5mMの4−MUSの値から10%以内にとどまった。さらに、この調製サンプルでは、プロテインA/G樹脂による処理から0〜4日後の結果も類似していた。こうした結果から、アッセイのロバストネスおよびアッセイ変数のわずかな変動に対する対応力が示される。
2つの抗体インキュベーションステップの時間は、血清のインキュベーションでは30〜65分、グリシンによる溶出では5〜20分およびrhASBと精製抗体とのプレインキュベーションでは40〜65分の範囲であった。こうした結果に基づき、このアッセイでは、それぞれ60〜70分、10〜15分および60〜70分という時間枠を推奨する。
このアッセイに対してロバストネスの範囲をいくつか設定した。許容可能な温度範囲は、36〜38℃であった。インキュベーション時間は、19〜21分においてロバストであった。試薬の有効期限についても、活性アッセイの緩衝液では1ヶ月、停止緩衝液では2ヶ月、4−MUSでは1年であれば信頼できることが分かった。
サンプルの安定性
様々な保存条件に対する抗体サンプルの安定性を評価するため、対照を、複数の凍結融解サイクル、4℃での複数日の保存および抗体溶出液用の4℃での複数日の保存に付した。抗rhASBの場合、5回の凍結融解サイクルおよび未希釈血清用の4℃での4日間の保存を超えるサンプルの安定性を確立した。抗体溶出液の保存は、正確度が不十分であったため、アッセイの実施には望ましくない。
実施例4
酵素/受容体結合に干渉する抗酵素抗体の測定
リソソーム酵素(LE)治療が成功するには、LEは細胞に取り込まれ、リソソームを標的にしなければならない。この取り込み機構は、主にLEのマンノース−6−リン酸残基のカルシウム非依存性マンノース−6−リン酸受容体(CIMPR)への結合によるものである。取り込みには、この受容体への結合が、必要かつ十分であることが明らかにされている(ディンチスら,ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー 第269巻:p.12159−66(1994年))。したがって、CIMPR結合の中和を評価するアッセイの場合は、受容体介在性の取り込みの中和に関する代理アッセイとして使用することができる。
受容体結合を中和する抗体の存在を評価するため、バイオマリンで精製rhASBの特性評価用にすでに開発されていたプレートベースのsCIMPR結合アッセイを改変した。元のアッセイは、rhASB活性を用いてrhASBの量を定量するものであった。中和における2つの潜在的なモード、すなわち、活性と結合とを区別することが目的であるたため、酵素活性は、中和抗体アッセイに適合させるには好ましい検出法ではない。中和抗体を検出するアッセイを構築するため、ビオチンで標識したrhASBを用いた。
sCIMPRの精製
CIMPRの可溶性細胞外ドメイン(sCIMPR)を、ホスホマンナンアフィニティーカラムに続いて酸性のサイズ排除クロマトグラフィーを用いてウシ胎仔血清から精製した(バレンザノ(Valenzano)ら著,アナリティカルバイオケミストリー(Analytical Biochemistry)第209巻:p.156−162(1993年))。細胞外ドメイン(分子量250kDa)は、正常なCIMPR分子(分子量275kDa)をおよそ90%含むものである。
ビオチン−rhASBによる検出の評価
ビオチン−rhASBを実施例1に記載されているように調製した。酵素活性の代わりに用いるビオチン−rhASBによる検出の能力を評価するため、一連のサンプルを両方の検出方法で調べた。サンプルは、ブロッキング緩衝液単独と、未処置血清と、受容体結合の阻害で知られている抗rhASBポリクローナル抗体の希釈液シリーズ(BP 14またはBP15)とを含んだ。
活性の読み取りでは、受容体、酵素および酵素基質を用いて行った活性アッセイにより、受容体結合を評価した。プレート(96ウェル、黒、平底)を4μg/mlのsCIMPRでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを各ウェル200μLで2回洗浄し、ブロッキング緩衝液中でRTにて1時間インキュベートした。サンプルをシェーカー上で2nM rhASBまたは2nMビオチン−rhASBとともにRTで20分間プレインキュベートした。プレートを2回洗浄し、希釈サンプルを各ウェルに100μL加え、RTで1時間インキュベートした。このインキュベーションの過程で、基質(5mM4−MUS)をブロッキング緩衝液で1:2に希釈し、水浴中で平衡処理(37℃で30分間)した。プレート上のサンプルを捨て、プレートを2回洗浄し、希釈した基質をプレートの各ウェルに100μL加えた。このプレートをプレートインキュベーター上にて37℃で20分間インキュベートした。この反応を、グリシン/カルボナート緩衝液を各ウェルに150μL加えて止めた。プレートをex(excitation)=366nm、em(emission)=446nmで読み取った。
ビオチン−rhASBの読み取りでは、受容体、標識酵素およびストレプトアビジン−HRPコンジュゲートを用いて行った活性アッセイにより、受容体結合を評価した。受容体結合アッセイにおいて、96ウェル平底プレート(ヌンクマキシソープ(Nunc Maxisorp))を4μg/mLのsCIMPRでコーティングし、4℃で一晩インキュベートして、2回洗浄した。200μLのブロッキング緩衝液を加え、このプレートをRT(約25℃)で1時間インキュベートした。血清およびビオチン化rhASBを含む抗体(2nM)を、RT(約25℃)で30分間プレインキュベートした。ブロッキング緩衝液を2回の洗浄で除去し、Ab/ビオチン−rhASB溶液を100μL各ウェルに加え、37℃またはRTで(振盪してまたはせずに)1時間インキュベートした。プレートを2回洗浄し、Lストレプトアビジン−HRP(1:5000)を37℃で30分間各ウェルに100μ加えた。プレートを2回洗浄し、TMB基質を各ウェルに100μL加えると、およそ30分間で発色した。この反応を各ウェルに100μLの2N硫酸を用いて止めて、吸光度を450nmで読み取った。
ビオチン標識の存在は、sCIMPRに対するrhASBの結合に干渉しなかった。標識材料および非標識材料では、活性の読み取り結果が非常に類似しており、ビオチン標識がsCIMPRに対するrhASBの結合に干渉しないことが示された。
ビオチン−rhASBを対象に、活性の読み取りとSA(streptavidin)−HRPの読み取りとの相関性を調べた。固定化したsCIMPRに対するビオチン化rhASBの結合から生じるシグナルを100%と見なした。ビオチン−rhASBの場合、受容体結合アッセイおよび活性アッセイの結果は類似しており、活性に基づく結合アッセイとELISA法とのコンパラビリティーが明らかになった。また、2つのアッセイでは、BP14およびBP15抗血清が、対照との比較で同等のレベルまでrhASBとsCIMPRとの相互作用を中和した。さらに、BP14もBP15も酵素活性を阻害するため、2つの読み取り値におけるわずかな差は、容認できる。採血前血清は、どちらのアッセイの読み取りにも影響を与えなかった。
カットポイントの設定
陽性と見なす最低のシグナルを判定するため、50種の未処置血清を試験して、未処置のプール血清に対するシグナル低下に関する95%信頼区間(CI)を設定した。低下が統計学的に有意であることが95%確実になるよう、片側t検定でカットポイントを8.5%(標準偏差(SD)の1.645倍)で設定した。さらに、99%信頼区間も11.5%(SDの2.326倍)で算出した。
特異性
アッセイの特異性を、サンプル血清と同じようにインキュベートした抗rhIDU(BP 13)を用いて判定した。抗rhIDUは、抗血清の同じ希釈液ではrhASB−sCIMPR結合に大きな変化を引き起こさず、未処置血清にスパイクした場合は125μg/mLまでrhASB−sCIMPR結合に大きな変化を引き起こさなかった。
検出限界
カットポイントを超えてrhASB/sCIMPR結合を中和できる抗体の最低濃度の希釈液を設定するため、精製G192を、15、20、25、30、35、40、45および50μg/mLの希釈液シリーズに加えた未処置ヒト血清にスパイクした。35μg/mLでは、カットポイント8.5%を超えて結合を低減できたが、ばらつきが非常に大きかった。許容可能な精密度で結合を低減できた最低濃度は、45μg/mLであった。酵素活性を阻害することができる抗体の母集団はごく一部にとどまる可能性があるため、LODは、約45μg/mL以下と記録する方がより正確である。
このLODは高いとはいえ、各rhASB分子は受容体結合に介在し得る複数のマンノース−6−リン酸グリコシル化部位を含んでいるため、sCIMPRに対するrhASBの結合を阻害するには、複数の抗体の相互作用が必要になると予想される。こうした必要性から、単一のマンノース−6−リン酸残基により結合を遮断できる複数の抗体の濃度を上昇させるには、機能作用を1つにする必要があるかもしれない。
抗体の濃度が低いと、50種の未処置個体から統計学的に有意な負の低下率が得られた。こうしたインビトロでの受容体結合の増強から、一部の抗体クローンがインビボでのCIMPRに対するrhASBの結合を実際に増強する可能性があることが示される。中和抗体の同定において、このアッセイでは、負の低下率を示すサンプルがあれば、LOD未満と見なしている。
遊離薬物による干渉
注入療法を24週間行ってから5時間後の患者では、血漿中のrhASBが100ng/mL未満の患者が50%を超え、いずれの患者も663ng/mL以下であることが明らかになった。血清サンプル中の遊離rhASBは、sCIMPRの結合部位に対して競合することでビオチン−rhASBの結合を阻害する可能性があった。抗体による結合阻害を抑制する遊離rhASBの能力を調べるため、rhASBを増量(10、50および100ng/mL)させながら、低濃度(10μg/mL)、中濃度(50μg/mL)および高濃度(100μg/mL)でBP14とともに10%血清に加えてインキュベートし、標準的な条件における結合と比較検討した。rhASBの濃度ごとに、0ng/mLのrhASBに対する相対的な正確度を算出した。
rhASB濃度が10ng/mLを超える場合、濃度反応関係は、遊離薬物の干渉があるサンプルと遊離薬物の干渉がないサンプルとの正確度の許容基準(75〜125%以内)に適合しなかった。したがって、アッセイが正確であるためには、遊離薬物の濃度は、10ng/mL以下に保たなければならない。10ng/mLを超えるrhASB濃度は、注入後7日目にはあり得ない濃度であるため、アッセイは、遊離薬物の干渉に対して十分にロバストである。
マトリックスによる干渉
濃度反応関係に対するマトリックス(血清など)の作用を評価するため、10〜100μg/mLの抗rhASB抗体を0〜20%ヒト血清で希釈した。結果からは、20%血清ではrhASB−sCIMPR結合の中和測定値が50%以上減少することが明らかになった。10%血清では、シグナルの減少は0%血清と比べて2.5〜12%であった。したがって、推奨する最小希釈倍率は10である。
精密度
2名の分析者が、43、72および125μg/mLの抗rhASBの一連の品質管理サンプルを複数日にわたり評価した。アッセイ内の精密度を単一プレート上の反復実験において評価したところ、CVは1〜15%であった。アッセイ間の精密度をすべての反復実験における変動係数として評価したところ、6つのプレートでは5〜7%であった。
ロバストネス
インキュベーション温度およびビオチン−rhASBの濃度など、アッセイパラメータのわずかな変動を調べて、アッセイ性能への影響を判定した。方法のパラメータがわずかに変動しても、アッセイの変動性は、LODでは25%を超えることがなく、これ以外では20%を超えることがなかった。
インキュベーション時間については、43、72および125μg/mLの抗rhASBを用いて、血清とrhASB−ビオチンとの50〜70分間、血清/rhASB−ビオチンとsCIMPRとの50〜70分間およびSA−HRPの20〜40分間を対象として評価し、標準的な条件に対する相対的な正確度を判定した。43μg/mLのサンプルは、インキュベーション時間の変動に対して非常に過敏に反応したため、インキュベーション時間に関しては、合計10分間という狭い時間帯を推奨する。
サンプルの安定性
様々な保存条件に対する抗体サンプルの安定性を評価するため、対照に複数の凍結融解サイクルを施した。抗rhASBでは、3回を超える凍結融解サイクルでサンプルの安定性を確立した。
実施例5
IgEアイソタイプの抗rhASB抗体の測定
ヒト血清中のrhASB特異的IgE抗体の存在を、未処置ヒト母集団の血清サンプルが示す反応範囲と比較して検出できるように逆イムノアッセイ(抗rhASB IgE ELISA)を開発した。このアッセイでは、ELISAマルチウェルプレートへの抗ヒトIgE抗体の結合と、IgE抗体への血清サンプルの結合と、ビオチン化rhASBおよびストレプトアビジン−HRPコンジュゲートによる検出とが行われる。
カットポイント
アッセイにおいて検出可能だが、必ずしも定量できるとは限らないアナライトの最低濃度を特定するため、一連の未処理ヒト血清(50サンプル)を試験して、IgEのベースラインバックグラウンドの制御範囲を設定した。50種のヒト血清サンプルについて、個々に未処置血清のシグナル分布を判定した。プールロットとの差をアッセイプレートごとに算出した。平均および標準偏差については、個々のシグナルから算出した。95%信頼区間に関しては、0.030(SDの1.645倍)として算出した。95%信頼区間をカットポイント係数として用い、次いでこれを各アッセイプレート上の未処置血清プールの平均値に加え、プレートカットポイントを得た。95%CIを用いると、偽陽性率はおよそ5%(95%信頼区間)になる。試験対象の50種の未処置ヒト血清サンプルのうち、3種では吸光度値がカットポイントを上回り、偽陽性率は6%であった。
検出限界
LODは、反応の測定平均値が、未処置のプールヒト血清の平均値とカットポイント係数との和を上回るアナライト濃度とした。ヒトIgE抗rhASBは入手できなかったため、0.41〜300ng/mLのウサギIgG抗rhASBおよび代替の捕獲抗体を用いて検出限界を推計した。0.41ng/mL以下の濃度では、プレートのカットポイントを下回った。したがって、約1.23ng/mLをこのアッセイのLODと見なすことができる。
選択性および特異性
抗rhASB IgEの検出の特異性を試験するため、検証の過程で、いくつかのパラメータを調べた。シグナルがrhASB特異的抗体に起因することを確認するため、非標識rhASBをビオチン−rhASBとのインキュベーションの過程で加え、ウサギIgG抗rhASBに対するrhASB特異的な競合を明らかにした。2000ng/mLを加えると、20および50ng/mLの抗rhASB対照ではそれぞれ、64.6%および52.1%の阻害率が観察された。さらに、50ng/mLのウサギ抗rhIDU抗体では、シグナルはLODを有意に下回り、吸光度は、緩衝液のバックグラウンドレベルとほぼ等しかった。これらの結果から、このアッセイはrhASB抗体に特異的であることが明らかになった。
遊離薬物からの干渉
IgEサンプルは、過敏症反応の後、すぐに採取することができるため、注入によるrhASBがかなりの量で存在し得る可能性がある。
濃度反応関係に対する遊離薬物の作用を評価するため、非標識rhASBおよび抗rhASB IgGの組み合わせを、濃度を高めながら試験した。rhASB(2、20および200ng/mL)および抗rhASB(2、5、20および100ng/mL)を用いて、遊離薬物の作用および抗体の正確度を判定した。混合物をクラスターチューブで調製し、穏やかに振盪させながらRTで1時間インキュベートしてから、アッセイプレートに注入した。
アッセイにおいては、rhASBをウサギ抗rASB IgGに加えた際の阻害の様々なレベルを観察した。この阻害は、正確度の割合の低下で表され、添加したrhASB濃度およびウサギ抗rhASB IgG濃度と相関した。2ng/mLのrhASB(希釈倍率50で調整後の血清濃度は100ng/mL)の存在下で、遊離薬物の干渉があるサンプルと遊離薬物の干渉がないサンプルとの正確度は、83.2〜98.0%であった。20または200ng/mLのrhASBが存在する場合、正確度は、許容可能な範囲である80〜120%に収まらなかった。試験対象の3つのrhASB濃度すべてで、正確度の百分率は、抗rhASB IgG濃度レベルの上昇とともに低下し、このアッセイフォーマットに対するrhASBの阻害は、大部分が血清サンプル中で抗rhASB抗体に結合したrhASBに起因することが示された。
マトリックスからの干渉
濃度反応関係に対する血清の作用を評価するため、1%、2%および10%ヒト血清がウサギIgG抗rhASB標準物質の正確度に及ぼす作用を判定した。
曲線の直線範囲内(1.2ng/mL〜100ng/mL)では、干渉する血清の増量(1%、2%および10%)にともなうサンプル間の正確度は、80〜103%内にあった。2パーセント血清マトリックスでは、許容可能な正確度で直線範囲が最大となったため、サンプル解析時の推奨希釈倍率は、50である。
IgGからの干渉
適切な捕獲抗体を同定するため、ヒトIgGおよびヒトIgEの曲線をプレート上でコーティングし、ビオチンまたはHRPで直接標識した様々な抗ヒトIgEで検出した。アッセイ開発用に選択した抗体のシグナルは、0.41ng/mLのIgEよりも300ng/mLのIgGの方が低かった。この約730倍の差から、総IgGよりも総IgEが優先的に捕獲されることが確認される。一部のIgGが捕獲されることもあるが、検出可能なrhASBに特異的に結合するIgG抗体は、そのように誤って捕獲されたIgGのごく一部にすぎないであろう。
他の抗体アイソタイプからの干渉を評価するため、抗ヒトIgE被膜を、IgE標準物質、IgG標準物質またはIgEとIgGとを等モル濃度で含むサンプルとともにインキュベートした。IgEフォーマット全体では、IgGが存在しても、IgEの測定に干渉しなかった。さらに、IgG標準物質では、IgE標準物質の場合に観察されたような、緩衝液のバックグラウンドレベルを大きく上回るシグナルもまったく発生しなかった。
アッセイがIgEに対して特異的であり、IgEに関する濃度反応関係がサンプル中に存在するIgGにより大きな影響を受けないかどうかを判定するため、IgGを同量でIgE標準物質に加えた。このパラメータを抗ヒトIgEコーティングフォーマットにおいて試験した。ヒトIgGが存在する場合と存在しない場合とで0.07〜50ng/mLの範囲のヒトIgEの検量線を作成し、総ヒトIgEフォーマットにおいて解析した。総IgE曲線の直線範囲内(0.21ng/mL〜16.7ng/mL)では、抗rhASB IgGの干渉があるサンプルと干渉がないサンプルとの正確度は、88.4〜106.5%以内にあり、IgGからの干渉は示されなかった。
精密度
アッセイ内およびアッセイ間の精密度を、低濃度(0.4ng/mL)、中濃度(3ng/mL)および高濃度(20ng/mL)でウサギIgG抗rhASBを試験して調べた。アッセイ内の精密度については、三重反復サンプルからCV%として算出し、6つのプレートにおいて1〜5%以内であった。アッセイ間の精密度については、6つのプレートにおける平均値のCV%として算出し、2〜11%以内にあり、濃度が下がるとCV%が上昇した。
ロバストネス
ロバストネスアッセイでは、標準濃度の10%の変動までアッセイが正確に測定できることが示され、サンプルに対する複数回の凍結融解の影響は、アッセイ結果には認められない。
インキュベーション温度および検出試薬の濃度など、アッセイパラメータのわずかな変動を調べて、アッセイ性能の効果を判定した。インキュベーション時間については、最適化時間(TMBの発色に10分、他のすべてのステップに60分)の90、100および110%で調べ、濃度については、設定した濃度の90、100および110%で調べた。アッセイ性能への作用を評価するため、0.07〜16.7ng/mLのウサギIgG抗rhASBを試験し、標準曲線から逆算した正確度を判定した。試験対象のすべての条件で、正確度は、検出限界を上回る値の場合、85〜110%以内にあった。
サンプルの安定性
様々な保存条件に対する抗体サンプルの安定性を評価するため、サンプルに複数の凍結融解サイクルを施した。ウサギIgG抗rhASBでは、3回を超える凍結融解サイクルでサンプルの安定性を確立した。
当業者であれば、上記の例示的な実施例に示すような本発明において、多くの変更および変形に想到することが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲に見られるような限定のみが、本発明に課されるべきである。

Claims (40)

  1. ヒトのリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって:
    (a)前記ヒト由来の体液サンプルと、捕獲部分で標識した第1のリソソーム酵素および検出部分で標識した第2のリソソーム酵素とを接触させて、LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、
    (b)前記LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体と、前記捕獲部分に特異的に結合する固体支持体とを接触させて、ステップ(a)の前記LE特異的抗体/リソソーム酵素を捕獲するステップと、
    (c)前記検出部分で標識した前記第2のリソソーム酵素の存在を検出することで前記体液サンプルから捕獲したLE特異的抗体の存在を検出するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記第1のリソソーム酵素の前記捕獲部分は、非共有結合性相互作用により前記固体支持体に結合している、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非共有結合性相互作用は、ビオチン−アビジン相互作用である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記体液と、第1のリソソーム酵素と、第2のリソソーム酵素とはすべて、同じ溶液中で接触している、請求項1に記載の方法。
  5. 前記体液と、第1のリソソーム酵素と、第2のリソソーム酵素とは、ステップ(b)の前に少なくとも約30分間接触している、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1のリソソーム酵素のモル濃度は、前記第2のリソソーム酵素のモル濃度とほぼ同じか、それよりも低い、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1のリソソーム酵素および前記第2のリソソーム酵素は、ほぼ等モル比で用いられる、請求項1に記載の方法。
  8. 検出限界は、約500ng/mL未満である、請求項1に記載の方法。
  9. 検出限界は、約100ng/mL未満である、請求項1に記載の方法。
  10. 検出限界は、約1.7ng/mL〜約8.5ng/mLである、請求項1に記載の方法。
  11. LE特異的抗体は、ヒト、カニクイザル、ネコ、イヌ、ウサギ、ラットおよびマウスからなる群から選択される種から検出することができる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記種は、ヒトである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記体液は、血清である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記第1および第2のリソソーム酵素は、組換えヒトアリールスルファターゼ(rhASB)である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記第1および第2のリソソーム酵素は、組換えヒトα−グルコシダーゼ(rhGAA)である、請求項1に記載の方法。
  16. ヒトのリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって:
    (a)前記ヒト由来の体液サンプルと、固体支持体に結合した第1のリソソーム酵素とを接触させることで、前記体液サンプル中の前記LE特異的抗体を捕獲するステップと、
    (b)ステップ(a)で捕獲したLE特異的抗体と、検出部分で標識した第2のリソソーム酵素とを接触させるステップと、
    (c)前記検出部分で標識した前記第2のリソソーム酵素の存在を検出することで、前記血清サンプルから捕獲したLE特異的抗体の存在を検出するステップと
    を含む、方法。
  17. ヒトのリソソーム酵素(LE)の中和抗体を検出する方法であって:
    (a)前記ヒトの体液サンプル中のリン酸イオンおよび硫酸イオンから抗体を単離するステップと、
    (b)ステップ(a)の前記単離した抗体とリソソーム酵素とを接触させて、LE特異的抗体/リソソーム酵素複合体を形成するステップと、
    (c)酵素基質を加えるステップと、
    (d)前記体液サンプル中の前記単離した抗体の存在下および非存在下で前記リソソーム酵素による前記酵素基質の切断量を検出するステップと
    を含み、前記単離した抗体が存在しない場合に比べて存在する場合の方が切断が減少していることから、前記体液サンプル中にLEの中和抗体が存在することが示される、方法。
  18. ステップ(a)は、前記体液サンプルとプロテインA/G樹脂とを接触させることで行われる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記LEは、組換えヒトアリールスルファターゼB(rhASB)であり、前記酵素基質は、4−メチルウンベリフェリルスルファート(4−MUS)である、請求項17に記載の方法。
  20. 検出限界は、約7.5μg/mL以下である、請求項17に記載の方法。
  21. 前記体液は、血清である、請求項17に記載の方法。
  22. 前記リソソーム酵素は、組換えヒトアリールスルファターゼ(rhASB)である、請求項17に記載の方法。
  23. ヒトのリソソーム酵素(LE)の取り込みを阻害する抗体を検出する方法であって:
    (a)検出部分で標識したリソソーム酵素と前記ヒト由来の体液サンプルとをインキュベートするステップと、
    (b)ステップ(a)のインキュベーション混合物と、固体支持体に結合しているLE受容体またはそのLE結合フラグメントとを接触させるステップと、
    (c)ステップ(a)の前記検出部分で標識した前記リソソーム酵素が前記LE受容体またはそのLE結合フラグメントに結合したことを検出するステップとを
    含み、前記体液サンプルの存在下での結合の減少から、前記体液サンプルは、LEの取り込みを阻害する抗体を含むことが示される、方法。
  24. 前記リソソーム酵素は、ビオチンとの結合により標識され、ストレプトアビジン蛍光標識を用いて検出される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記LE受容体またはそのLE結合フラグメントは、非共有結合性相互作用により前記固体支持体に結合している、請求項23に記載の方法。
  26. 前記インキュベーションステップ(a)は、少なくとも約30分間行われる、請求項23に記載の方法。
  27. 前記接触ステップ(b)は、少なくとも約1時間行われる、請求項23に記載の方法。
  28. 前記LEは、マンノース−6−リン酸を含む、請求項23に記載の方法。
  29. 前記LEは、組換えヒトアリールスルファターゼ(rhASB)であり、前記LE受容体は、CIMPRまたはそのrhASB結合フラグメントである、請求項23に記載の方法。
  30. 前記CIMPRは、CIMPRの可溶性細胞外ドメイン(sCIMPR)またはそのrhASB結合フラグメントである、請求項29に記載の方法。
  31. 検出限界は、約45μg/mL以下である、請求項23に記載の方法。
  32. 前記体液は、血清である、請求項23に記載の方法。
  33. ヒトのIgEアイソタイプのリソソーム酵素(LE)特異的抗体を検出する方法であって:
    (a)前記ヒト由来の体液サンプルと固体支持体に結合したIgE特異的抗体とを接触させることで、前記体液サンプル中のIgEを捕獲するステップと、
    (b)ステップ(a)で捕獲されたIgEと検出部分で標識したリソソーム酵素とを接触させるステップと、
    (c)前記検出部分で標識したリソソーム酵素の量を検出することで、前記血清サンプル中のIgEアイソタイプLE特異的抗体の量を検出するステップと
    を含む、方法。
  34. 前記IgE特異的抗体は、非共有結合性相互作用により前記固体支持体に結合している、請求項33に記載の方法。
  35. 前記非共有結合性相互作用は、ビオチン−アビジン相互作用である、請求項34に記載の方法。
  36. IgGがIgEよりも少なくとも約730倍高い濃度で存在する場合、前記IgE特異的抗体は、IgGに対して検出可能な交差反応を示さない、請求項33に記載の方法。
  37. ステップ(a)の後に第1の洗浄ステップが行われ、ステップ(b)の後に第2の洗浄ステップが行われる、請求項33に記載の方法。
  38. 検出限界は、ヒトIgEで約1.23ng/mlである、請求項33に記載の方法。
  39. 前記体液は、血清である、請求項33に記載の方法。
  40. 前記LEは、組換えヒトアリールスルファターゼB(rhASB)である、請求項33に記載の方法。
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