JP2009529530A - 新規の抗生物質組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗生物質性部分に共有結合した標的部分を含んでなる抗生物質組成物に関する。また、本発明は、本発明の抗生物質組成物を含む医薬組成物、本発明の抗生物質組成物の製造方法および使用方法を対象とする。

Description

発明の分野
本発明は、抗菌活性を有する抗生物質組成物、それらを生産するための方法および中間体に関する。また、本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における細菌感染を治療するための抗生物質組成物の使用に関する。
発明の背景
ヒトおよびその他の哺乳動物において、細菌感染によって引き起こされる病気はかなりの罹患率および死亡率を示す。感染プロセスは、細菌が侵入して宿主に定着すること、宿主組織中に細菌が浸潤して増殖して有毒物質が出現すること、宿主が応答すること、の3段階からなる。
細菌感染は、ブドウ球菌や連鎖球菌属のようなグラム陽性細菌によって引き起こされる細菌感染と、大腸菌のようなグラム陰性細菌によって引き起こされる細菌感染とに大きく分類することができる。グラム陽性細菌は、硬い細胞壁で囲まれた典型的な脂質二重層の細胞質膜を有する。細胞壁は、主としてペプチドグリカンから構成され、このペプチドグリカンとは、D−およびL−アミノ酸を交互に含むペンタペプチドによって架橋されたN−アセチルグルコサミンとN−アセチルムラミン酸とのポリマーである。加えて、グラム陽性菌の外側の細胞壁は、多糖類、タンパク質、タイコ酸およびリポタイコ酸の複合体を含む。それに対してグラム陰性細菌は、それよりかなり薄いペプチドグリカン層、炭水化物およびタイコ酸の複合層がないリポ多糖体を含む外膜を有する。
抗生物質は、様々な微生物種(細菌、菌類)によって生産される物質であり、これらはその他の微生物の増殖を抑制し、最終的にはそれらを破壊することもある。加えて、抗生物質という用語は、一般的な使用において、合成抗菌剤のような微生物の生成物ではない抗菌剤(例えばスルホンアミド類)、および、微生物の定着または浸潤に応答して局所的に生産される宿主の防御系に見出される様々なペプチド(例えばマゲイニン)を含む範囲にわたる。何百種もの抗生物質が同定されており、そのうち多くが感染症治療において有用なレベルまで開発されている。
抗菌剤を分類してグループ分けするために数種のスキームが提唱されている。最も一般的な分類は、以下のような化学構造および提唱されている作用機序に基づくものである:(1)微生物の細胞膜に直接作用して透過性に影響を与えることによって、細胞内化合物の漏洩を引き起こす物質、例えば洗浄剤、カチオン性ペプチド、グラミシジンA、および、ポリミキシン;
(2)細菌細胞壁の合成を阻害する物質、例えばベータ−ラクタム、および、糖ペプチド;
(3)細菌のタンパク質合成に影響を与える物質、例えばテトラサイクリン、および、クロラムフェニコール;
(4)代謝拮抗物質として作用し、細菌による葉酸の合成に干渉する物質、例えばスルホンアミド類;および、
(5)核酸合成または活性を阻害する物質、例えばキノロン。
細菌細胞膜に直接作用する抗菌剤は、細菌の細胞質膜の全体的な透過化または変性を引き起こす。これは、ペプチドが外膜表面成分に結合することによって生じ、それにより膜構造の再構築と孔の形成が起こり、これらの孔から細胞内の内容物が漏洩する可能性がある。一般的に、これらの特徴は、性質的に両親媒性であるペプチドに関連しており、これらはしばしば、らせん状の2次構造および正味の正電荷を有する。大まかに言ってこの作用機序を有するペプチド系抗生物質としては、マゲイニン、デフェンシン、および、ランチビオティックが挙げられる。このクラスの抗生物質の活性は、哺乳動物細胞というよりは細菌を対象にしており、これはなぜなら、抗生物質の正電荷を有する残基は、哺乳動物細胞膜ではなく圧倒的に細菌の細胞膜で見出されている負電荷を有する脂質と相互作用するためである。
臨床的に有効なために広く注目を集めている別のグループの抗生物質のさらなるグループは、抗生物質の糖ペプチドのグループである。これらの物質は硬い環化したヘプタペプチド主鎖からなっており、これらは様々なアミノおよび非アミノ糖類で置換されていてもよい。このクラスのうちいくつかの糖ペプチドのアミノ糖部分は、N−アシル、N−アルキル、または、N−アリール置換を含む。このクラスに属する抗生物質のうち2種は、バンコマイシン、および、テイコプラニンである。
抗生物質への耐性は十分に立証されており、耐性株は、人類の良好な状態に対する起こり得る大きな脅威である(例えば、D’Costa等,2006 Science 311:374)。細菌は抗菌剤に対して耐性になることが多いが、これはなぜならそのような薬物がその標的に到達できないためである。つまり、例えば、そのような薬物が不活性化されるか、および/または、標的が構造的に変化するか、および/または、標的の薬物の利用率または薬物への接近しやすさが変化した可能性があるためである。例えば、ある種の細菌は、細胞表面中またはその中に存在し、上記薬物を不活性化する酵素を生産するが、その他の細菌は、上記薬物の流入を防ぐ不浸透性の細胞膜を有する。
過去10年の間に、エンテロコッカス属における抗生物質の糖ペプチドグループに属する種類に対する高レベルの耐性が出現し蔓延した結果、有効性が証明された全ての抗生物質に対して耐性を有する臨床分離株が発生した。臨床分離株のなかでも糖ペプチド耐性株の発生が増えており、エンテロコッカス属が、院内病原菌として、および、耐性遺伝子の供給源として重要になりつつある。多剤耐性株による院内感染は、大惨事を招く恐れがあり、新規の抗菌性物質または細菌感染を制御する方法を確認する必要がある。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、目下深刻な院内病原菌であり、MRSA感染治療においてバンコマイシンが比較的高用量で用いられることが多い。MRSAの問題は、バンコマイシン類似体などの多数の新規の抗生物質の開発を促進してきた。
抗生物質耐性株の出現に対抗するために用いられてきたアプローチとしては、現存する抗生物質の耐性生物に対する効力を改善するような改変したり、細菌の細胞質膜を透過化することによってそれらの標的を殺す新しいペプチド系抗生物質の発見することが挙げられる。第一のアプローチの例は、近年、バンコマイシンのような糖ペプチドの誘導体を創作することを重要視してきた。カップリング剤である2−(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HBTU)を用いたバンコマイシンのカルボキシル末端の官能化が、液相と固相の両方において、短いペプチド配列を結合させることに成功している。また、バンコマイシンおよび関連する抗生物質のアミノ糖および末端のアミン部分も誘導体化されている。還元アルキル化アプローチにおいて、バンコサミンの糖においてアルキル化された一連の化合物を作製し、バンコマイシンと比較したところ、そのうちいくつかがバンコマイシン耐性菌株に対して大きく改善された活性を示した。
米国特許第6,713,606号には、治療に役立つ可溶性タンパク質またはペプチドが以下の一般構造を有するように改変されたポリペプチド誘導体が説明されている:
−{L−[W]}−X(1)
[式中Lは、それぞれ独立してフレキシブルなリンカー基であり、Wは、それぞれ独立してペプチドの膜結合型の構成要素であり、nは、1より大きい、または1に等しい整数であり、Xは、ペプチドまたは非ペプチドの膜結合型または挿入型の構成要素である]。
(1)型の構造は、膜と相互作用する構成要素の組み合わせ配列を示しているが、この配列が可溶性ポリペプチドに結合すると、そのポリペプチドの哺乳動物細胞の外側の細胞膜への結合を介在することが見出された。このアプローチは、特に細胞保護剤および抗炎症薬として作用する補体活性化の調節因子のケースにおいて治療的有用性を生じさせる。続いて、(1)型の構造は、真核生物よりも高い酸性リン脂質の比率を有し、さらに、それよりも高い膜結合型タンパク質の比率を有する細菌細胞膜へのより強い結合を示すと予想されるという仮説を立てた。この仮説と一致して、米国公開特許公報番号2004/0106544において、一般構造(1)に関し、糖ペプチド系抗生物質バンコマイシンでさらに誘導体化された抗菌性ペプチドを含む物質は、いずれかの成分単独によって表示された抗菌活性よりも大きい抗菌活性を有していたことが示された。
しかしながら、このような米国公報番号2004/0106544で説明されているような物質によれば、このようなある特定の抗菌性ペプチドは、物理的にそれらが細菌細胞膜に挿入され、細菌細胞膜を破壊することによって抗菌活性が強化されるため、このような抗菌性ペプチドは、(i)機能的に活性な膜結合型ドメイン、および、(ii)機能的に活性な膜挿入型ドメインの両方を有している必要がある。その結果として、これらの抗菌剤は必然的に、比較的大きく、立体配置的に正しい抗菌性のペプチドを含み、それ自身、このような物質の合成にかかる時間、コストおよび効率に関して、適切なフォールディングを確実にすることなどの付随する問題がある。抗生物質組成物が、より小さい、従ってより効率的な抗菌性の標的部分を用いて設計できるのであれば、明らかにこのような問題を回避することが望ましいといえる。本明細書において説明されているように、本発明はこの必要性を満たしており、その他の関連する利点を提供するものである。
関連する参考文献
以下の参考文献は、追加の発明の背景を提供する:
米国公開特許出願番号20040106544(Cooper等);
米国特許第6,713,606号(Smith等);
米国特許第6,794,181号(Coughlin等);
Figure 2009529530
Figure 2009529530
Figure 2009529530
これらの参考文献の開示、および、本明細書において開示されたその他のあらゆるジャーナルの論文、特許または特許出願の開示は全て、参照により本発明に包含される。
発明の要約
本発明は、標的部分に共有結合で連結した抗生物質性部分を含む抗生物質組成物を対象とする。これらの抗生物質組成物は、別個の様式による細菌細胞膜との相互作用を利用しており、意外なことに、各成分単独で提示された抗菌活性よりも大きい抗菌活性を有する。
従って、一形態において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物を対象とする:
T−L−P
[式中:
Tは、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有するナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを含む標的部分であり;
Lは、リンカー部分であり;および、
Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
Tは、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのポリペプチド相同体を含む標的部分であり、ここで前記ポリペプチド相同体は、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有し、さらに、スブチリン[1−12]のポリペプチドフラグメント、エピデルミンのポリペプチドフラグメント、(I1V 16L)エピデルミンのポリペプチドフラグメント、ミュータシンB−Ny266のポリペプチドフラグメント、および、ミュータシン1140のポリペプチドフラグメントから選択され;
Lは、リンカー部分であり;および、
Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
(a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは以下の式を含み:
PGA(配列番号1〜4)
式中、
は、F、I、VおよびWから選択され、
は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
は、E、I、KおよびWから選択され、
は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
は、I、FおよびLから選択され、
は、A、K、V、AX、KX、および、VXから選択され、ここでXは、A、G、I、L、M、PおよびVから選択され;
および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
(b)Lは、リンカー部分であり;および、
(c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
(a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは以下の式を含み:
PGA(配列番号5)
式中、
は、I、L、F、V、AおよびGから選択され、
は、G、A、V、L、I、F、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
は、I、L、F、V、AおよびGから選択され、
は、A、G、V、L、I、F、および、デヒドロアラニンから選択され、
は、L、I、F、V、A、Gから選択され、
は、K、G、A、V、N、Q、R、Hから選択され;
および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
(b)Lは、リンカー部分であり;および、
(c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
(a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは以下の式を含み:
PGA(配列番号6)
式中、
、AおよびAはアラニンであり、Aは、α−アミノ酪酸であり、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、あらゆる天然または非天然アミノ酸から選択され、
および、ここでTは、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用でき、ここで前記脂質IIは、ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAcを含む;
(b)Lは、リンカー部分であり;および、
(c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の構造で構成される抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
(a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは以下の式を含み:
PGA(配列番号7)
式中、
はIであり、
は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
、AおよびAはアラニンであり、
は、α−アミノ酪酸である、XはIであり、
は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
はLであり、
は、Kであり;
および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
(b)Lは、リンカー部分であり;および、
(c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
その他の実施態様において、本発明は、以下の式で示される化合物を含む抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩を対象とする:
T−L−P
[式中:
Tは、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有するナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを含む標的部分であり;
Lは、リンカー分子を含むリンカー部分であり、このリンカー分子は、TのC末端と第一のアミド結合を形成し、PのC末端と第二のアミド結合を形成し;および、
Pは、バンコマイシンを含む]。
その他の実施態様において、本発明は、本明細書に記載の抗生物質組成物および製薬上許容できる賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
所定の関連するさらなる実施態様において、Tは、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用でき、ここで前記脂質IIは、ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAcを含む。所定のその他の関連するさらなる実施態様において、Lは、標的部分と抗生物質性部分との間に直接の共有結合による連結を含む。所定のその他の関連するさらなる実施態様において、Lは、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ホスホロジエステル、チオホスホロジエステル、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾン、オキシムおよびアミノ結合から選択される直接の共有結合による連結を含む。所定のその他の関連するさらなる実施態様において、Lは、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子を含む。所定のその他の関連するさらなる実施態様において、Pは、バンコマイシンまたはバンコマイシン誘導体を含む。所定のその他の関連するさらなる実施態様において、Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分を含む。所定のその他の関連する実施態様において、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することができる抗生物質性の物質は、β−ラクタム系抗生物質、例えばペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系、および、モノバクタム系;糖ペプチド、リポグリコペプチド、および、リポグリコシドペプチド(lioglycodepsipetide)抗生物質、例えばバンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン(oritavancin)、および、ダルババンシン;ポリペプチド、例えばポリミキシン、および、バシトラシン;および、図8で列挙した抗生物質から選択される。所定のその他の関連する実施態様において、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することができる抗生物質性の物質は、バンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、および、図8の抗生物質性部分から選択される。
その他の形態において、本発明は、哺乳動物における細菌感染の治療方法を対象とし、ここで本方法は、それらを必要とする哺乳動物に、治療有効量の本明細書に記載の抗生物質組成物を投与することを含む。
これらのおよび本発明のその他の形態は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって明らかになると予想される。本明細書において開示された全ての参考文献は、それぞれ個々に含まれているものとして参照によりその全体を本発明に含める。
図面の簡単な説明
図1は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号12〜15)の製造方法を説明する。
図2は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号12、16および17)のA環の製造方法を説明する。
図2Aは、セグメントIのA環の製造で用いられる所定のアミノ酸の製造を説明する。
図3は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントII(配列番号18〜20)の製造方法を説明する。
図3Aは、セグメントIの製造で用いられるアミノ酸の製造方法を説明する。
図4は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(配列番号10)を生産するための、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号15)、および、セグメントII(配列番号20)のカップリング方法を説明する。
図5は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号21および22)の製造方法を説明する。
図6は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号21、23および24)のA’環の製造方法を説明する。
図7は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(配列番号11)を生産するための、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号22)、および、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントII(配列番号20)のカップリング方法を説明する。
図8は、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能である抗生物質性部分の例を示す。
発明の詳細な説明
本明細書において説明される所定の本発明の実施態様は、ランチビオティックのN末端ポリペプチドフラグメント、例えばナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、脂質II(ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAc、ここでこのペンタペプチドは、典型的には、配列L−Ala−D−γ−Glu−L−Lys−D−Ala−D−Ala(配列番号8)を有する)として知られている細菌細胞壁の前駆体のピロホスファートと結合相互作用することができる標的部分として、目下開示されている抗生物質組成物の構築において有効に用いることが可能であるという驚くべき発見から得られたものである。意外なことに、さらに以下でより詳細に説明されているように、ランチビオティックのN末端ポリペプチドフラグメント、例えば完全長のナイシンポリペプチドから誘導されたナイシン[1−12]フラグメントは、抗生物質性部分を送達するための標的部分としての生物活性を保持する。従って、および、非限定的な理論によれば、本明細書において開示されたT−L−P結合体は、驚くべきことに、ランチビオティックのポリペプチドフラグメントの標的部分(抗生物質耐性菌株中の容易に突然変異しない分子標的を認識する)を介して別個の機能的な抗生物質性部分を細菌細胞膜または細胞壁を標的として送達する形態で、有利な抗生物質性の生物活性を提供する。従って、および、本明細書において説明されているように、標的部分または抗生物質性部分のいずれか単独の抗菌活性よりも大きい抗菌活性を有する抗生物質組成物が提供される。
従って本発明は、具体的な実施態様によれば、および、本明細書において説明されているように、以下の一般構造を有する抗生物質組成物:
T−L−P
[式中Tは、標的部分であり、Lは、リンカー部分であり、Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]、
このような抗生物質組成物の製造方法、および、これらの組成物の使用方法に関する。
関連するある実施態様において、本抗生物質組成物は、2種またはそれより多くのこのようなT−L−P結合体の組み合わせを含んでもよく、このような組み合わせは、本明細書で示されたような1またはそれより多くのT、LおよびPに関して別個の部分を有する点で互いに異なっていてもよく、例えば、T−L−P、T−L−P、T−L−P等、または、その他の例として、T−L−P、T−L−P、T−L−P等が挙げられる。このような所定の好ましい実施態様において、T−L−P結合体の組み合わせは、共通のTおよびL部分を含んでもよいが、2種またはそれより多くの別個の抗生物質(P)部分を有する点で互いに異なっていてもよく、例えば、T−L−P、T−L−P、T−L−P等が挙げられ、ここでP1、P、P等は、本明細書で示されたような別個の抗生物質性部分を示す。
従って、具体的な実施態様によれば、T−L−Pという構造を有する複数の同一ではない組成物を含む抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩が提供され、式中Tは、少なくとも1つの標的部分を含み、この標的部分は、前記同一ではない組成物において同一でもよいしまたは異なっていてもよく、および、本明細書において説明されているような標的部分から選択され、Lは、本明細書で説明されているような少なくとも1つのリンカー部分を含み、このリンカー部分は、前記同一ではない組成物において同一でもよいしまたは異なっていてもよく、および、Pは、少なくとも1つの抗生物質性部分を含み、この抗生物質性部分は、前記同一ではない組成物において異なっており、前記抗生物質性部分はそれぞれ、本明細書において説明されているような細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分を含む。関連する好ましい実施態様において、抗生物質性部分は、バンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、および、図8の抗生物質性部分から選択される。
簡単に言えば、および、背景によれば、糖ペプチド系抗生物質のバンコマイシン、および、ランチビオティックのナイシン、5個のランチオニン環および3個の脱水されたアミノ酸が含まれるように翻訳後修された34−アミノ酸ポリペプチドは、長い間、細菌細胞表面上の同じ標的分子、すなわち、細菌細胞壁の前駆体である脂質II(例えば、Breukink等,1999 Science 286:2361)としても知られているウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(L−Ala−D−γ−Glu−L−Lys−D−Ala−D−Ala)−GlcNAc(配列番号8)を認識すると考えられてきた。さらにバンコマイシン、および、ナイシンのようなランチビオティックは、このような脂質中間体と相互作用してペプチドグリカン合成を阻害することによって、および、細菌細胞膜に結合するか、および/または、そこに挿入して、細菌の細胞質膜に孔形成促進することによって、それらの抗生物質性の作用を働かせると考えられている(例えば、Sahl,1991 in Nisin and Novel Lantibiotics(Jung,G.およびSahl,H.G.編集),347〜58頁,Escom,Leiden;Brotz等,2000 J.Antimicrob.Chemotherap.46:1;Breukink等,1999 Science 286:2361;Brumfit等,2002 J.Antimicrobiol.Chemotherap.50:731)。
近年、抗生物質と脂質IIとの相互作用の精度の高い構造解析から、バンコマイシンとナイシンとの結合メカニズムを見極めることができ、それによればバンコマイシンは、脂質IIのペンタペプチド部分中のD−Ala−D−Alaを認識する。それに対して、全長のナイシンのポリペプチドは、そのN末端領域を介して脂質IIのピロリン酸基を認識する(例えば、Bonev等,2004 FASEB J.18:1862;Hsu等,2004 Nature Struct.Molec.Biol.11:963)。しかしながら、単離されたナイシンのN末端のドデカペプチド(ナイシン[1−12])が生物学的に不活性であるというの初期の特徴付けと一致するため、ナイシン[1−12]と無傷の34−アミノ酸のナイシンポリペプチドとを機能的に区別することができる(例えば、Chan等,1996 FEBS Lett 390:129)。Hsu等(2004)も同様に、ナイシンのランチビオティックの生物活性は、ナイシンのC末端領域が膜へ挿入されることによってそれらが細菌細胞膜の孔形成に関与していることに起因しており、さらに、ナイシンのランチビオティックの生物活性はまた、ナイシンのヒンジ領域(アミノ酸残基20〜22)が介在するコンフォメーション変化にも依存すると結論付けている。従って、本願よりも前に、当業界の技術では、全長の(34−アミノ酸)ナイシンのランチビオティックとは異なるナイシン[1−12]のようなナイシンのN末端フラグメントは、何らかの有用な生物活性を有する可能性があり、その有用性は、抗生物質性部分の膜挿入を許容するような方式で別個の抗生物質性部分を送達すること(例えばバンコマイシン)に関して標的部分よりもかなり低い程度であることを示すことをいかなる方法によってもできなかった。従って本発明は、薬剤標的の構造の突然変異によって耐性を獲得するタイプの共通する細菌のメカニズムの影響を受けない標的部分を選択することによって、細菌における抗生物質耐性を克服するための組成物および方法を有利に提供する(ここで、さらなるこのような標的部分は、別々の細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分の送達を仲介する可能性がある)。
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるように、特記しない限り、以下の用語は以下に示す意味を有する。
本明細書において命名された所定の化学基は、示された化学基で見出され得る炭素原子の総数を示す略式の表記法から始まる。例えば;C〜C12アルキルは、以下で定義されるように合計7〜12個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、C〜C12シクロアルキルアルキルは、以下で定義されるように合計4〜12個の炭素原子を有するシクロアルキルアルキル基を意味する。略式の表記法における炭素の総数は、説明される基の置換基に存在する可能性がある炭素を含まない。
「アルキル」は、直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖ラジカルであって、炭素および水素原子だけからなり、不飽和結合を含まず、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、または、1〜6個の炭素原子を有し、単結合によって上記分子残りの部分に結合している直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖ラジカルを意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシルなどが挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、アルキル基は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロまたはアルキル基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はいずれも、特に他の指定がない限り、特に他の具体的な規定がない限り非置換である。
「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖ラジカル基であって、炭素および水素原子だけからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有し、および、単結合によって上記分子の残りの部分に結合しているものを意味し、例えば、エテニル、プロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニルなどが挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、アルケニル基は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基:シアノ、ニトロ、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロ基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はいずれも、特に他の指定がない限り、特に他の具体的な規定がない限り非置換である。
「アルキニル」は、直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖ラジカル基であって、炭素および水素原子だけからなり、少なくとも1個の三重結合を含み、任意に少なくとも1つの二重結合を含んでいてもよく、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有し、単結合によって上記分子の残りの部分に結合しているものを意味し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、アルキニル基は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基:シアノ、ニトロ、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロ基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はそれぞれ、特に他の具体的な規定がない限り非置換である。
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素鎖であって、上記分子の残りの部分がラジカル基と連結しており、炭素および水素だけからなり、不飽和結合を含まず、1〜12個の炭素原子を有するものを意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなどが挙げられる。このようなアルキレン鎖は、2つの単結合を介して上記分子の残りの部分に結合している。アルキレン鎖の上記分子の残りの部分への結合位置は、鎖内のいずれか2個の炭素を介して可能である。本明細書において特に他の指定がない限り、アルキレン鎖は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基:ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロ基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はいずれも、特に他の指定がない限り非置換である。
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」は、直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素鎖であって、上記分子の残りの部分がラジカル基に連結しており、炭素および水素だけからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜12個の炭素原子を有するものを意味し、例えば、エテニレン、プロペニレン、n−ブテニレンなどが挙げられる。アルケニレン鎖は、2つの二重結合を介して、2つの単結合を介して、または、1つの単結合および1つの二重結合を介して上記分子の残りの部分に結合している。アルケニレン鎖の上記分子の残りの部分への結合位置は、鎖内のいずれか2個の炭素を介して可能である。本明細書において特に他の指定がない限り、アルケニレン鎖は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基;ハロ、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロ基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はいずれも、特に他の指定がない限り非置換である。
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」は、直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素鎖であって、上記分子の残りの部分がラジカル基に連結しており、炭素および水素だけからなり、少なくとも1個の三重結合を含み、2〜12個の炭素原子を有するものを意味し、例えば、プロピニレン、n−ブチニレンなどが挙げられる。アルキニレン鎖は、2つの二重結合を介して、2つの単結合を介して、または、1つの単結合および1つの二重結合を介して上記分子の残りの部分に結合している。アルキニレン鎖の上記分子の残りの部分への結合位置は、鎖内のいずれか2個の炭素を介して可能である。本明細書において特に他の指定がない限り、アルキニレン鎖は、任意に、1個またはそれより多くの以下の置換基:アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、オキソ、トリメチルシラニル、−OR15、−OC(O)−R15、−N(R15、−C(O)R15、−C(O)OR15、−C(O)N(R15、−N(R15)C(O)OR15、−N(R15)C(O)R15、−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール(任意に、1個個またはそれより多くのハロ基で置換されていてもよい)、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルで置換されていてもよく、ここで上記の置換基はいずれも、特に他の指定がない限り非置換である。
「アリール」は、水素および炭素のみからなり、6〜19個の炭素原子を含む芳香族の単環式または多環式炭化水素環系を意味し、ここで環系は、部分的に飽和していてもよいし、または、完全に飽和していてもよい。アリール基としては、これらに限定されないが、フルオレニル、フェニル、および、ナフチルのような基が挙げられる。アリール基は、上記分子の残りの部分と、1つの単結合を介して、または、1つの二重結合を介して結合する。本明細書において特に他の指定がない限り、用語「アリール」または接頭辞「アラ(ar)−」(例えば「アラルキル」における)は、アリールラジカルを含むことを意味し、ここでこのアリールラジカルは、独立して、アルキル、アルケニル(akenyl)、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R16−OR15、−R16−OC(O)−R15、−R16−N(R15、−R16−C(O)R15、−R16−C(O)OR15、−R16−C(O)N(R15、−R16−N(R15)C(O)OR15、−R16−N(R15)C(O)R15、−R16−N(R15)C(O)N(R15、−R16−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−R16−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)からなる群より選択される1個またはそれより多くの置換基で任意に置換されていてもよく、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルである、および、R16はそれぞれ独立して、直接結合、または、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖である。
「アリーレン」は、アリール基内の2個の異なる炭素を介して上記分子の残りの部分に結合している上記で定義された2価のアリール基を意味する。アリーレン基の例は、以下に示すようなフェニレンである:
Figure 2009529530
アリーレン基は、任意に、アリール基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「アラルキル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルキレンラジカルであり、Rは、1個またはそれより多くの上記で定義されたアリールラジカルであり、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどである。アリールラジカルは任意に、上述のように置換されていてもよい。アラルキルラジカルのアルキレン部分は任意に、アルキレン基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「アラルケニル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルケニレンラジカルであり、Rは、1個またはそれより多くの上記で定義されたアリールラジカルである。アラルケニルラジカルのアリール部分は任意に、アリール基に関して上述されたように置換されていてもよい。アラルケニルラジカルのアルケニレン部分は任意に、アルケニレン基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「アラルキニル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルキニレンラジカルである、および、Rは、上記で定義された1個またはそれより多くのアリールラジカルである。アラルキニルラジカルのアリール部分は任意に、アリール基に関して上述されたように置換されていてもよい。アラルキニルラジカルのアルキニレン部分は任意に、アルキニル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「アリールオキシ」は、式−ORで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアリール基である。アリールオキシラジカルのアリール部分は、任意に、上記で定義されたように置換されていてもよい。
「アラルキルオキシ」は、式−ORで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアラルキル基である。アラルキルオキシラジカルのアラルキル部分は、任意に、上記で定義されたように置換されていてもよい。
「シクロアルキル」は、非芳香族の安定な、非芳香族の単環式または多環式炭化水素ラジカルであって、炭素および水素原子だけからなり、融合または架橋された環系を含んでいてもよく、3〜15個の炭素原子を有し、好ましくは3〜10個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合によって上記分子の残りの部分に結合したものを意味する。単環式のラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル(cycloheptly)、および、シクロオクチルが挙げられる。多環式のラジカルとしては、例えば、アダマンタン、ノルボルナン、デカリニル(decalinyl)、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、用語「シクロアルキル」は、シクロアルキルラジカルを含むことを意味し、ここでこのシクロアルキルラジカルは、独立して、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、ニトロ、オキソ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R16−OR15、−R16−OC(O)−R15、−R16−N(R15、−R16−C(O)R15、−R16−C(O)OR15、−R16−C(O)N(R15、−R16−N(R15)C(O)OR15、−R16−N(R15)C(O)R15、−R16−N(R15)C(O)N(R15、−R16−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−R16−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)からなる群より選択される1個またはそれより多くの置換基で任意に置換されていてもよく、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルであり、および、各R16は独立して、直接結合、または、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖である。
「シクロアルキレン」は、上記で定義された2価のシクロアルキル基であって、そのシクロアルキレン基内の2個の異なる炭素を介して上記分子の残りの部分に結合しているものを意味する。シクロアルキレン基の例は、以下に示す通りである:
Figure 2009529530
シクロアルキレン基は、任意に、シクロアルキル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「シクロアルキルアルキル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルキレン基であり、Rは、上記で定義されたシクロアルキル基である。アルキレン基およびシクロアルキル基は、任意に、上記で定義されたように置換されていてもよい。
「シクロアルキルアルケニル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルケニレン基であり、Rは、上記で定義されたシクロアルキル基である。アルケニレン基およびシクロアルキル基は、任意に、上記で定義されたように置換されていてもよい。
「ハロ」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、または、ヨードを意味する。
「ハロアルキル」は、1個またはそれより多くの上記で定義されたハロラジカルで置換された上記で定義されたアルキルラジカルを意味し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、3−ブロモ−2−フルオロプロピル、1−ブロモメチル−2−ブロモエチルなどが挙げられる。ハロアルキルラジカルのアルキル部分は任意に、アルキル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「ハロアルケニル」は、1個またはそれより多くの上記で定義されたハロラジカルで置換された上記で定義されたアルケニルラジカルを意味する。ハロアルキルラジカルのアルケニル部分は、任意に、アルケニル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「ハロアルキニル」は、1個またはそれより多くの上記で定義されたハロラジカルで置換された上記で定義されたアルキニルラジカルを意味する。ハロアルキルラジカルのアルキニル部分は任意に、アルキニル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「ヘテロシクリル」は、安定な3〜18員環の非芳香環ラジカルであって、2〜12個の炭素原子、および、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜6個のヘテロ原子からなるものを意味する。本明細書において特に他の指定がない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であってもよく、これらは、融合または架橋された環系を含んでいてもよい;および、ヘテロシクリルラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、任意に酸化されていてもよく;窒素原子は、任意に四級化されていてもよく;および、ヘテロシクリルラジカルは、部分的に飽和していてもよいし、または、完全に飽和していてもよい。このようなヘテロシクリルラジカルの例としては、これらに限定されないが、アゼピニル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ヘキサヒドロ−1H−1,4−ジアゼピニル、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキシラニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および、1,1−ジオキソ−チオモルホリニルが挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、用語「ヘテロシクリル」は、上記で定義されたヘテロシクリルラジカルを含むことを意味し、ここでこのヘテロシクリルラジカルは、アルキル、アルケニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R16−OR15、−R16−OC(O)−R15、−R16−N(R15、−R16−C(O)R15、−R16−C(O)OR15、−R16−C(O)N(R15、−R16−N(R15)C(O)OR15、−R16−N(R15)C(O)R15、−R16−N(R15)C(O)N(R15、−R16−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−R16−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)からなる群より選択される1個またはそれより多くの置換基で任意に置換されていてもよく、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルである、および、R16はそれぞれ独立して、直接結合、または、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖である。
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルキレン基であり、Rは、上記で定義されたヘテロシクリル基であり、ここでヘテロシクリルが窒素を含むヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子の位置でアルキルラジカルに結合していてもよい。ヘテロシクリルアルキルラジカルのアルキレン部分は任意に、アルキレン基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。ヘテロシクリルアルキルラジカルのヘテロシクリル部分は任意に、ヘテロシクリル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、3〜13個の炭素原子、および、窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜6個のヘテロ原子からなる、3〜18員環の完全または部分的に芳香環のラジカルを意味する。本発明の目的に関して、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であってもよく、これらは、融合または架橋された環系を含んでいてもよい;および、ヘテロアリールラジカル中の窒素、炭素または硫黄原子は、任意に酸化されていてもよく;窒素原子は、任意に四級化されていてもよい。例えば、これらに限定されないが、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル(furanonyl)、イソチアゾリル、イミダゾリル、インタゾリル、インドリル、インタゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、および、チオフェニル(すなわちチエニル)が挙げられる。本明細書において特に他の指定がない限り、用語「ヘテロアリール」は、上記で定義されたヘテロアリールラジカルを含むことを意味し、ここでこのヘテロアリールラジカルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、シアノ、オキソ、チオキソ、ニトロ、オキソ、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−R16−OR15、−R16−OC(O)−R15、−R16−N(R15、−R16−C(O)R15、−R16−C(O)OR15、−R16−C(O)N(R15、−R16−N(R15)C(O)OR15、−R16−N(R15)C(O)R15、−R16−N(R15)C(O)N(R15、−R16−N(R15)S(O)15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)OR15(ここでtは、1または2である)、−R16−S(O)15(ここでpは、0、1または2である)、および、−R16−S(O)N(R15(ここでtは、1または2である)からなる群より選択される1個またはそれより多くの置換基で任意に置換されていてもよく、ここでR15はそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、または、ヘテロアリールアルキルであり、ここでR16はそれぞれ独立して、直接結合、または、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖である。
「ヘテロアリールアルキル」は、式−Rで示されるラジカルを意味し、ここでRは、上記で定義されたアルキレン基であり、Rは、上記で定義されたヘテロアリール基である。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は任意に、ヘテロアリール基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン部分は任意に、アルキル基に関して上記で定義されたように置換されていてもよい。
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物および調合物から有効な治療剤への有用な純度への単離に耐えるほど十分に強健な化合物を示すこととする。
「哺乳動物」は、ヒト、および、家畜、例えばネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ;ウサギなどを含む。本発明の目的に関して、好ましくは、哺乳動物はヒトである。
「天然または非天然アミノ酸」は、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質の生合成のためのビルディングブロックとして役立つ共通の天然に存在するアミノ酸(例えば、アラニン(Ala、A)、システイン(Cys、C)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、フェニルアラニン(Phe、F)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、リシン(Lys、K)、ロイシン(Leu、L)、メチオニン(Met、M)、アスパラギン(Asn、N)、プロリン(Pro、P)、グルタミン(Gln、Q)、アルギニン(Arg、R)、セリン(Ser、S)、スレオニン(Thr、T)、バリン(Val、V)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y))のいずれかを含み、さらに、天然に存在するのか、または、合成なのかにかかわらず、改変された、誘導体化された、エナンチオマーの、希少な、および/または、一般的ではないアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン、イソデスモシン、ε−N−メチルリシン、ε−N−トリメチルリシン、メチルヒスチジン、デヒドロブチリン、デヒドロアラニン、α−アミノ酪酸、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ホモシステイン、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、および、自然源から単離することができるその他のアミノ酸、および/または、化学合成することができるその他のアミノ酸、例えば、Proteins,Peptides and Amino Acids Sourcebook(White,J.S.およびWhite,D.C.,2002 ヒューマナ・プレス(Humana Press),トトワ,ニュージャージー州)、または、Amino Acid and Peptide Synthesis(Jones,J.,2002 Oxford Univ.Press USA,ニューヨーク州)、または、Unnatural Amino Acids,ChemFiles 第1巻,5号(2001 フルカ・ケミ社(Fluka Chemie GmbH);シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich),セントルイス,ミズーリ州)、または、Unnatural Amino Acids II,ChemFiles 第2巻,4号(2002 フルカ・ケミ社;シグマ−アルドリッチ,セントルイス,ミズーリ州)で確認できるようにして化学合成することができるその他のアミノ酸も含む。天然および/または非天然のアミノ酸のさらなる説明は、例えば、Kotha,2003 Acc.Chem.Res.36:342;Maruoka等,2004 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 101:5824;Lundquist等,2001 Org.Lett.3:781;Tang等,2002 J.Org.Chem.67:7819;Rothman等,2003 J.Org.Chem.68:6795;Krebs等,2004 Chemistry 10:544;Goodman等,2001 Biopolymers 60:229;Sabat等,2000 Org.Lett 2:1089;Fu等,2001 J.Org.Chem.66:7118;および、Hruby等,1994 Meths.Mol.Biol.35:249で確認することができる。Kuipers等(1992J.Biol.Chem.267:24340)により、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)のランチビオティックのナイシンにおいて翻訳後修飾によってアミノ酸残基を脱水させるタンパク質工学によるアプローチが説明されている。
本明細書において、天然および非天然のアミノ酸を示すのに標準的な3文字表記および1文字記号が用いられる。加えて、「DAla」は、本明細書においてD−アラニンを示すのに用いられ;「Dhb」は、本明細書においてデヒドロブチリンを示すのに用いられ;「Dha」は、本明細書においてデヒドロアラニンを示すのに用いられ;「Abu」は、本明細書においてα−アミノ酪酸を示すのに用いられ;および、「DAbu」は、本明細書においてD−α−アミノ酪酸を示すのに用いられる。
「任意の」または「任意に」は、ある状況においてその後に説明される現象が起こる可能性もあるし、または、起こらない可能性もあることを意味し、さらに、その説明は、前記現象または状況が起こる場合と、起こらない場合を含むことを意味する。例えば、「任意に置換されていてもよいアリール」は、アリールラジカルが置換されていてもよいし、または、置換されていなくてもよいことを意味し、さらにこの説明は、置換されたアリールラジカルと、置換されていないアリールラジカルとの両方を含むことを意味する。
「製薬上許容できる賦形剤」としては、これらに限定されないが、米国食品医薬品局によってヒトまたは家畜への使用が許容されると承認されているあらゆるアジュバント、キャリアー、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、フレーバーを強化する物質、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、または、乳化剤が挙げられる。
「製薬上許容できる塩」は、酸および塩基付加塩の両方を含む。
「製薬上許容できる酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的効果および特性を保持しており、生物学的に、またはその他の状況での不利益がないような塩であって、無機酸、例えばこれらに限定されないが塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、ならびに、有機酸、例えばこれらに限定されないが酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カーボネート、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などと共に形成される塩を意味する。
「製薬上許容できる塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的効果および特性を保持しており、生物学的に、またはその他の状況での不利益がないような塩を意味する。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することによって製造される。無機塩基から誘導された塩としては、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが挙げられる。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、および、マグネシウム塩である。有機塩基から誘導された塩としては、これらに限定されないが、第一、第二および第三アミン、置換されたアミン、例えば天然に存在する置換されたアミン、環状アミン、および、塩基性イオン交換樹脂、例えばアンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、および、カフェインである。
「医薬組成物」は、本発明の化合物、および、哺乳動物(例えばヒト)に生物学的に活性な化合物を送達する分野において一般的に容認されている媒体の調合物を意味する。このような媒体としては、そのためのあらゆる製薬上許容できるキャリアー、希釈剤または賦形剤が挙げられる。
「治療有効量」は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与した場合、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて以下で定義されるような対象となる病気または状態の治療を達成するのに十分な、本発明の抗生物質組成物の量を意味する。「治療有効量」を構成する本発明の抗生物質組成物の量は、本抗生物質組成物、病気または状態およびその重症度、ならびに治療しようとする哺乳動物の年齢に応じて様々であると予想されるが、当業者自身の知見およびこの開示を尊重して当業者によって慣例的手順で決定することができる。
本明細書で用いられる「〜を治療すること」または「治療」は、対象となる病気または状態を示す哺乳動物、好ましくはヒトにおける対象となる病気または状態の治療を包含し:
(i)哺乳動物における病気または状態の発症を予防すること、具体的には、このような哺乳動物がそのような状態に罹りやすい状態であるが、まだその発症が診断されていない場合に、それらの発症を予防すること;
(ii)病気または状態を抑制すること、すなわち、その進行を停止させること;
(iii)病気または状態を軽減すること、すなわち病気または状態の退縮を引き起こすこと;または、
(iv)病気または状態を安定化すること、
を含む。
本明細書で用いられる用語「病気」および「状態」は、同じ意味で用いられることもあるし、または、特定の疾患または状態が、既知の原因因子を有さない可能性があるため(すなわち原因が未だわかっていないため)未だ病気として認識されていないが、程度の差はあるが臨床医によって特定の一連の症状が認められるような単に望ましくない状態または症候群として認識されるという点で異なることもある。
本明細書および添付の請求項で用いられる単数形「a」、「および」および「the」は、文章中に明らかな他の指示がない限り複数形の指示対象も含む。従って、例えば「物質(an agent)」または「組成物(a composition)」 と記載される場合、これらは複数のこのような物質または組成物を含み、「細胞(the cell)」と記載される場合、1種またはそれより多くの細胞、および、当業者既知のそれらの等価体などへの言及を含む。用語「〜を含む」(および関連用語、例えば「〜を含む(comprise)」または「〜を含む(comprises)」または「を有する(having)」または「を含む(including)」)は、例えば、本明細書において説明されるあらゆる物体の組成物、組成物、方法もしくはプロセス、または同種のものが、「説明されている特徴からなる」ものであり得る実施態様、または「実質的に説明されている特徴からなる」ものであり得る実施態様を排除することは目的としない。
本発明の抗生物質組成物
発明の要約で上述したように、本発明の抗生物質組成物は、リンカー部分を介して抗生物質性部分に共有結合で連結した標的部分を含む。好ましくは、標的部分は、異なった細菌細胞膜との相互作用の様式を用いるランチビオティックのナイシンのフラグメントである。本発明の抗生物質組成物は、意外なことに、標的部分または抗生物質性部分それぞれ個々の抗菌活性よりも大きい抗菌活性を提供する。
A.本発明の抗生物質組成物の標的部分
本発明の抗生物質組成物の標的部分は、細菌細胞膜脂質のピロリン酸領域(具体的には脂質II)に結合することができるポリペプチドフラグメントを含む。好ましくは、標的部分のポリペプチドフラグメントはナイシンから誘導されるが、本発明はこれらに限定されず、具体的な実施態様において、本発明は、合成の生成物である標的部分、および/または、バイオ工学処理された生成物である標的部分を考慮してもよく、例えば、目下利用可能な組換え分子による生物学的な方法による生成物や、例えば、Rink等(2005 Biochem.44(24):8873〜82)、Kluskens等(2005 Biochem.44(38):12827〜34)、Wirawan等(2006 Appl.Env.Microbiol.72(2):1148〜56)、Aso等(2004 J.Biosci.Bioeng.98(6):429〜36)、Patton等(2005 Curr.Opin.Microbiol.8(5);543〜51)、および、Cotter等(2005 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 102(51):18584)で説明されているものが挙げられ、または、ノヴァクタ・バイオシステムズ社(Novacta Biosystems Ltd.,ハートフォードシャー州,英国)によって実施されたランチビオティックの組換え生産に関する方法による生成物が挙げられる。
ナイシンは、ランチビオティックと呼ばれるランチオニンおよび/またはβ−メチルランチオニンを含むペプチド群の代表的な種類の一つである。この群のその他の種類としては、これらに限定されないが、スブチリン、エピデルミン、pep5、ラクチシン481、アンコベニン(ancovenin)、および、デュラマイシンが挙げられる。ランチビオティックは、小さいサイズの(4kDa未満)広範囲のグラム陽性菌に対して活性な抗菌性ペプチドである。
ナイシンは、以下のアミノ酸配列および構造(配列番号9)を有する:
Figure 2009529530
上記したように、ナイシンは、アミノ酸が環化して4つの環構造(1つがランチオニン環構造、および、3つがβ−メチルランチオニン環構造)を形成した改変されたポリペプチド鎖からなり、それに応じた硬い構造はさらにデヒドロアラニン残基の存在によって定義される。アミノ酸3〜7によって形成された環構造は、本明細書においてA環と示され、アミノ酸8〜11によって形成された環構造は、本明細書においてB環と示され、アミノ酸13〜19によって形成された環構造は、本明細書においてC環と示され、アミノ酸23〜28によって形成された積み重なった環構造は、本明細書においてD〜E集積環構造(cumulated ring structure)と示される。
ナイシンは、ラクトコッカス発酵による天然に存在する生成物であり、乳および乳製品に見出される。ナイシンは一般的に食品添加物としての使用が安全であるとみなされているが、本発明の開示より以前に、ナイシンは、臨床的な抗菌剤として、または、抗生物質組成物の成分として、純粋な形態では広く用いられてはこなかった。ナイシンは2工程プロセスで作用すると考えられており、その第一の工程は、改変されたポリペプチドのN末端領域が介在する、細菌細胞壁の前駆体である脂質II[ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAc、ここで上記ペンタペプチドは一般的に、L−Ala−D−γ−Glu−L−Lys−D−Ala−D−Ala(配列番号8)を含んでいてもよい]のピロホスファートの認識であり、第二の工程は、コンフォメーション変化による膜中での孔の形成、および、C末端領域による自己会合した仲介である。
本明細書において説明されているような好ましい特定の実施態様によれば、抗生物質組成物は従って、関連する部分で、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用できる標的部分を含む。本明細書において開示された標的部分の脂質IIへの結合は、このような結合を検出するための当業界で容認された様々な方法のいずれかに従って決定することができ、ここでこのような結合は、一般的に、例えば静電的相互作用、水素結合の形成、立体相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用などの1種またはそれより多くの周知の非共有結合の分子間相互作用の結果である。
対象の分子、例えば本明細書において説明される標的部分または抗生物質組成物が、脂質IIと結合相互作用できるかどうかの決定のために使用可能な分析の非限定的な例は、例えば、Brotz等(1998 Antimicrob.Agent.Chemother.42:154)、および、Wiedemann等(2001 J.Biol.Chem.276:1772)で説明されている。Brotz等は、対象のリガンドの結合基質として脂質IIを含む細菌細胞壁の膜標品、または、プロトプラストの膜分画(このリガンドは、本願の場合、標的部分、抗生物質性部分、または、抗生物質組成物であり得る)の使用を説明している。またこれらの著者は、脂質IIが結合するリガンドを決定するためのポリアクリルアミドゲル電気泳動分析も説明しており、この分析において、検出可能に標識された脂質IIのリガンド(例えば、脂質IIに結合することができる物質)は、電気泳動の前に、脂質IIを含むミセルが結合相互作用に利用され得る場合、電気泳動ゲルに移動することができなくなる。このような結合相互作用の定量化は、例えば、検出可能に標識された脂質IIのリガンドの放射測定によって(例えば、放射線同位体で標識した標的部分の放射測定によって)、または、生合成によって放射標識した脂質IIそのもの放射測定によって達成することができる。Weidemann等(2001 J.Biol.Chem.276:1772)は、脂質IIを含む人工リポソームに結合する放射標識したナイシンの分析を説明している。
候補の標的部分と脂質IIとの結合相互作用を決定するために、このような分析の改変法および応用法が、本明細書で示される開示に基づいて当分野に詳しい者によって使用されてもよい。このような改変法はさらに、これらの分析に使用するための、特定の候補の標的部分が脂質IIのピロリン酸部分と結合相互作用できるかを決定するために、脂質IIの生合成および転換における特異的な工程の既知の阻害剤を用いたピロホスファートが存在しない脂質II誘導体の製造を含む場合もある(例えば、Bonev等,2004 FASEB J.18:1862)。
本明細書で示されたような標的部分、または、本明細書で示されたような抗生物質組成物は、それらが、標的と検出可能なレベルで、好ましくは、約10−1より大きいかまたはそれに等しい、または、約10−1より大きいかまたはそれに等しい、約10−1より大きいかまたはそれに等しい、約10−1より大きいかまたはそれに等しい、または、10−1より大きいかまたはそれに等しい親和定数Kで反応し、さらに、その他の構造的に異なる分子とは非特異的に結合しない場合、その標的(例えば脂質II、または、好ましくは脂質IIのピロホスファート)と結合相互作用できる。結合パートナーの親和性は、従来技術を用いて、例えば本明細書において説明される技術、または、例えば、Scatchard等(Ann.N.Y.Acad.Sci.USA 51:660(1949))で説明されているような技術を用いて、または、表面プラズモン共鳴(SPR;ビアコア(BIAcorTM),バイオセンサー(Biosensor),ピスカタウェイ,ニュージャージー州)によって、または、当業界において慣例的に実施されているその他の方法によって容易に決定することができる。
本発明にとって特に重要なものは、ナイシンのポリペプチドフラグメントで構成される標的部分であり、特に、以下に示すようなナイシンの最初の12個のN末端のアミノ酸を含むポリペプチドフラグメント(配列番号10)で構成される標的部分である:
Figure 2009529530
このフラグメントは、本明細書においてナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントと定義され、アミノ酸3とアミノ酸7との間のランチオニン結合(ランチオニン環構造を形成する)、および、アミノ酸13とアミノ酸19との間のβ−メチルランチオニン結合(β−メチルランチオニン環構造を形成する)を含む。
ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、図1〜4で説明されているように、本明細書においてナイシン[1−12]ポリペプチドのセグメントIと定義されるランチオニン環構造を含むポリペプチド、および、本明細書においてナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントIIと定義されるβ−メチルランチオニン環構造を含むポリペプチドから合成することができる。この合成は、Shiba,T.等,“Chemistry of Lanthionine Peptides”,Biopolymers(1986),第25巻,S11〜S19頁でより詳細に開示されている。
本発明にとって重要なその他の標的部分は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントである。飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、上記で定義されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントであって、以下に示すように、N末端からの2番目のアミノ酸、すなわちナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのデヒドロブチリンがα−アミノ酪酸で置換されており、さらにN末端から4番目のアミノ酸、すなわちデヒドロアラニンがアラニンで置換されているものである(配列番号11):
Figure 2009529530
この飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、図5〜7で説明されているようにして合成することができる。
加えて、ナイシンは、以下の実施例(例えば実施例4)においてより詳細に開示されているよように、トリプシンで消化されて、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを提供する可能性がある。
また、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのペプチド相同体も、標的部分として本発明の範囲内に含まれると考えられる。これらの相同体は、Hsu等,2004 Nature Struct.Molec.Biol.11:963で説明されているように、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有し、スブチリン[1−12]のポリペプチドフラグメント、エピデルミンのポリペプチドフラグメント(I1V 16L)エピデルミンのポリペプチドフラグメント、ミュータシンB−Ny266のポリペプチドフラグメント、および、ミュータシン1140のポリペプチドフラグメントからなる群より選択される。
本発明のその他の標的部分としては、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分が挙げられ、このペプチドフラグメントは、以下の式を含む:
PGA(配列番号1)
式中、
は、F、I、VおよびWから選択され、
は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
は、E、I、KおよびWから選択され、
は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
は、I、FおよびLから選択され、
は、A、K、および、Vから選択され;
および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成する。
本発明のその他の標的部分としては、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分が挙げられ、このペプチドフラグメントは、以下の式を含む:
PGA(配列番号6)
式中、
、AおよびAはアラニンであり、Aは、α−アミノ酪酸であり、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、あらゆる天然または非天然のアミノ酸から選択され、
および、ここでTは、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用できる[ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAc]。
本発明のその他の標的部分としては、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分が挙げられ、このペプチドフラグメントは、以下の式を含む:
PGA(配列番号7)
式中、
は、Iであり、
は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
は、Iであり、
は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
は、Lであり、
は、Kであり;
および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成する。
好ましくは、本発明の標的部分は、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファート[ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAc]と結合相互作用できる。
上述したように、望ましい配列を有するバイオ工学処理されたペプチド、例えばナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、それらの変異体、例えばナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのポリペプチド相同体を設計および合成するための確立された組換え方法も使用することができ、当分野に関して熟知した者にとっては周知である。従って組換え分子生物学による技術が使用可能であり、このような技術としては、ランチオニン結合が含まれるように翻訳後修飾される可能性があるバイオ工学処理されたペプチドの発現を可能にする技術が挙げられる(例えば、Rink等.2005 Biochem.44(24):8873〜82,Kluskens等,2005 Biochem.44(38):12827〜34,Wirawan等,2006 Appl.Env.Microbiol.72(2):1148〜56,Aso等,2004 J.Biosci.Bioeng.98(6):429〜36,Patton等,2005 Curr.Opin.Microbiol.8(5):543〜51、および、Cotter等,2005 Proc.Nat.Acad.Sci.USA 102(51):18584、および/または、ノヴァクタ・バイオシステムズ社,ハートフォードシャー州,英国によって商業的に実施されているプロセス)。
従って、本明細書において開示された所定の発明の実施態様は、ランチオニンおよびβ−メチルランチオニン環構造を有し、さらに本明細書において開示されたアミノ酸配列を有する組換えによって生産されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、および、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのポリペプチド相同体を考慮しており、さらに、所定のその他の発明の実施態様は、本明細書において開示されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、および、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント相同体のアミノ酸配列に類似したアミノ酸配列を有するこのようなペプチドの変異体を考慮している。このようなポリペプチド変異体は、1個またはそれより多くの置換、欠失、付加および/または挿入を含んでいてもよい。変異体としては、例えば、天然に存在する多型(例えば、対立遺伝子変異体)、または、組換え操作された、または、加工された変異体が挙げられる。このような変異体のアミノ酸配列は、天然型の(例えば天然に存在する)配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%または98%同一であるか、または、類似している。例えば、変異体は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント配列のアミノ酸位置番号12においてアミノ酸付加、欠失または置換を有するものでもよく(ここでこのアミノ酸位置番号12は上記フラグメントのカルボキシ末端である)、ここでさらなる非限定的な例として、このような添加、欠失または置換は、望ましくは、リンカー部分または抗生物質性部分に結合させるための有用な特性を有するアミノ酸側鎖に化学的な官能性を導入し得るものである。従って、例えば具体的な実施態様において、標的部分のC末端は、A、K、V、AX、KXおよびVXから選択されてもよく、ここでXは、A、G、I、L、M、PおよびVから選択される。
当業者既知の様々な基準によって、ペプチドまたはポリペプチド中の特定の位置におけるアミノ酸が、保存的であるかどうか、または、類似しているかどうかが示される。例えば、類似のアミノ酸または保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものであり、例えば、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン);酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸);非荷電の極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、ヒスチジン);非極性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);ベータ位で分岐した側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および、芳香族の側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン)の残基での置換である。プロリンは、分類がより難しいとみなされているが、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(例えば、ロイシン、バリン、イソロイシン、および、アラニン)と共通の特性を有する。所定の環境において、グルタミンのグルタミン酸での置換、または、アスパラギンのアスパラギン酸での置換は、グルタミンおよびアスパラギンは、それぞれグルタミン酸およびアスパラギン酸のアミド誘導体であるという点で類似の置換とみなすことがある。2種のペプチドのアミノ酸配列間の同一性または類似性のパーセント、例えばナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントと、それらの相同体または変異体との間の同一性または類似性のパーセントは、当業界における通常の技術を有する者であれば熟知している目視検査、または、アライメント方法(例えば、GENEWORKS、AlignまたはBLASTアルゴリズムを用いて)によって容易に決定することができ、さらに、ランチオニン環形成に関与する配列モチーフのような翻訳後修飾で容易に処理することができる配列モチーフの選択は、最先端技術の範囲内であり、余計な実験を行わずに容易に達成することができる(例えば、Rink等.2005 Biochem.44(24):8873〜82,Kluskens等,2005 Biochem.44(38):12827〜34)。
従って、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有するナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、それらの相同体もしくはそれらの変異体は、遺伝子工学、ならびに組換えによる分子生物学的な方法および技術によって容易に製造することができる。簡単に言えば、このようなペプチドの一次および二次アミノ酸配列の解析、ならびに、上記ポリペプチドのアミノ酸配列および基準の構造およびモチーフを用いた三次構造を解析するためのコンピューターモデリングによる解析は、置換が可能な特異的なアミノ酸残基の同定に役立つ可能性があり、このような解析としては、例えば、配列の変異体の構造のコンピューターを利用した予想が挙げられる(Bradley等,Science 309:1868(2005);Schueler−Furman等,Science 310:638(2005))。加えて、関連のポリペプチドにおけるアミノ酸の変異性に関する進化的な保存または寛容は、活性を減少させる、活性を維持する、または、活性を強化するように変更された可能性があるアミノ酸残基に関する見識を提供する可能性がある。
ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、それらの相同体もしくは変異体をコードするDNAの改変は様々な方法によって行うことができ、このような方法としては、部位特異的な、または、特定部位へのDNA変異誘発が挙げられ、この方法は、DNAテンプレート中に変更を導入し、それらを増幅するためのプライマーを用いたDNA増幅を含み、例えばオーバーラップ伸長によるPCRスプライシング(SOE)が挙げられる。突然変異配列を含み、天然型の配列のフラグメントへのライゲーションを可能にする制限部位を端部に有するオリゴヌクレオチドを合成することによって、突然変異を特定の位置に導入することができる。ライゲーションの後、得られた再構築された配列は、望ましいアミノ酸の挿入、置換または欠失を有する変異体(または誘導体)をコードする。
部位特異的変異誘発は通常、一本鎖および二本鎖の形態を有するファージベクターを用いて実行され、このようなファージベクターとしては例えばM13ファージベクターが挙げられ、これは周知であり市販されている(例えば、Veira等,Meth.Enzymol.15:3(1987);Kunkel等,Meth.Enzymol.154:367(1987))、および、米国特許第4,518,584号および4,737,462号を参照)。オリゴヌクレオチドに特定の部位特異的な(またはセグメント特異的な)変異誘発手法を用いて、望ましい置換、欠失または挿入に従って変更された特定のコドンを有する変更されたポリヌクレオチドを提供することができる。また、タンパク質の欠失またはトランケーションによる誘導体も、望ましい欠失に隣接する便利な制限エンドヌクレアーゼ部位を用いることによって構築することができる。上記で説明した変更を作製する典型的な方法が、Sambrook等(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press),ニューヨーク州,2001)によって開示されている。あるいは、ランダム変異誘発技術、例えばアラニンスキャニング変異誘発、エラープローンポリメラーゼ連鎖反応変異誘発、および、オリゴヌクレオチド部位特異的変異誘発を用いて、変異体を製造することもできる(例えば上記のSambrook等を参照)。
ポリペプチド変異体の三次元構造の上述のコンピューターによる予想(上記のBradley等;上記のSchueler−Furman等)に加えて、変異体が非変異体ポリペプチドまたはフラグメントに匹敵するコンフォメーションにフォールドするかどうかを評価するための確認分析を含んでいてもよく、このような分析としては、例えば、上述の脂質II結合分析を用いた機能試験が挙げられる。
ペプチドフラグメントの組換え発現のための、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、それらの相同体もしくは変異体をコードする核酸分子に作成される突然変異は、好ましくはコード配列のリーディングフレームを保存する。さらに突然変異は、好ましくは、転写された際に、ハイブリダイズしてmRNAの翻訳に悪影響を与えると予想されるループまたはヘアピンのような第二のmRNA構造を生産する可能性がある相補的な領域を形成しないと予想される。突然変異部位は予め決められている可能性があるが、突然変異そのもの性質は、予め決められている必要はない。例えば、所定部位において最適な突然変異の特徴を選択するために、標的コドンにおいてランダム変異誘発を行って、発現された突然変異体を生物活性(例えば、脂質II結合)の増加または損失または保持に関してスクリーニングしてもよい。
ポリヌクレオチド変異体は、ディジェネレート変異体であってもよいし、または、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント、または、それらの相同体もしくは変異体をコードするポリヌクレオチド変異体を含んでいてもよく、このようなポリヌクレオチド変異体はまた、ハイブリダイゼーション方法によって同定することもできる。適切な中度にストリンジェントな条件は、例えば、5×SSC、0.5%SDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液中での予備洗浄;50℃〜70℃、5×SSC、1〜16時間のハイブリダイゼーション;それに続いて、1回またはそれより多くの、それぞれ2×、0.5×および0.2×SSCを含む0.05〜0.1%SDSで22〜65℃で20〜40分間の一回または2回の洗浄を含む。さらなるストリンジェンシーのために、条件に、0.1×SSC、および、0.1%SDS中での、50〜60℃で15分間の洗浄が含まれていてもよい。当業界において通常の技術を有する者であれば理解できるように、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーにおける変動は、プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および、洗浄工程で用いられる時間、溶液の温度および/または濃度を変更することによって達成することもできる。また適切な条件は、部分的に、用いられるプローブの具体的なヌクレオチド配列(すなわち、例えばグアニン+シトシン(G/C)対アデニン+チミジン(A/T)含量)に依存する場合もある。従って、当業者であれば、適切なストリンジェンシーを有する条件は、余計な実験を行うことなく、プローブの望ましい選択性が同定されると容易に選択できることが理解できると予想される。
B.本発明の抗生物質組成物の抗生物質性部分
本発明の抗生物質性部分は、好ましくは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質を含む。「〜を変更すること」は、本明細書において、統計学的に有意な方式で、すなわち当業者によって選択され得るような適切なコントロールと比較して、このような活性を増加または減少させることと定義される。「細菌細胞膜または細菌細胞壁の活性」は、本明細書において、例えば、これらに限定されないが、細菌細胞膜および/または細菌細胞壁に関与する条件、プロセス、経路、動的構造、状態またはその他の活性に直接関連するものであり、さらに、変更された(例えば、統計的に有意に増加または減少した)機能を検出することができるあらゆる検出可能なパラメーターと定義される。従って、本発明の所定の実施態様の組成物および方法は、部分的に、細菌細胞膜または細菌細胞壁の活性の変更が、例えば、細菌細胞膜の透過性における変更、例えば代謝産物、異化代謝産物、前駆体、補因子、媒介物質などの変更された受動または能動輸送のような選択的な透過性における変更、および/または、1種またはそれより多くの細菌細胞膜および/または細菌細胞壁の成分の生合成活性における変更、または、本明細書で示されたようなその他の基準であり得るような相関に関連する。
従って、「変更された細菌細胞膜または細菌細胞壁の活性」は、直接的または間接的に細菌の機能に関するあらゆる細菌細胞膜または細胞壁の構造または活性が、コントロールまたは標準に比べて統計学的に有意な方式で変化したようなあらゆる条件または状態を意味することもある。変更された細菌細胞膜または細菌細胞壁の機能は、細胞外の構造または現象に基づいていてもよいし、加えて膜内または細胞内の構造または現象に基づいていてもよいし、細菌の遺伝子と、宿主遺伝子および/またはそれらの遺伝子産物との間の直接的な相互作用に基づいていてもよいし、または、このような相互作用の結果として形成される可能性がある中間体(例えば、代謝産物、異化代謝産物、基質、前駆体、補因子など)間の相互作用の結果として起こる構造的または機能的な変化に基づいていてもよい。
加えて、変更された細菌細胞膜または細菌細胞壁の機能としては、一部または全部の細胞における変更された呼吸、代謝またはその他の生化学もしくは生物物理学的な活性が挙げられる。非限定的な例として、著しく機能が損なわれた細菌細胞膜電位の維持は、例えば機能が損なわれた細菌の複製の適性、または、欠陥のある呼吸のような変更された細菌細胞膜または細胞壁の機能に関連する可能性がある。さらなる例として、変更された細菌細胞膜および/または細菌細胞壁の生合成、細菌細胞の完全性を損なう非選択的な細菌細胞膜の孔の誘導、および、酵素的または非酵素的メカニズムによるものかどうかに関わらず、細菌細胞内における不規則な化学的および/または生化学的に架橋された種の形成はいずれも、変更された細菌細胞膜または細菌細胞壁の機能の指標とみなすことができる。
また、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性が変更された細菌細胞は、変更された細胞膜の透過性の特性を示す可能性もあり、これは例えば、生体色素(例えば、トリパンブルー、蛍光性の核酸標識色素、例えばモレキュラープローブス(Molecular Probes,メドフォード,オレゴン州)より入手可能なLIVE/DEAD(R)BacLightTM Bacterial Viability Kitにおいて提供されているヨウ化プロピジウムまたはSYTO(R)9、または、ルシフェラーゼを用いた細胞性のATPの発光検出、例えばプロメガ(Promega,マディソン,ウィスコンシン州)より入手可能なBacTiter−GloTM Microbial Cell Viability分析キット)の使用によって、または、細胞質のマーカー(例えば、容易に検出可能な酵素または代謝産物)の細胞外の環境への漏出の検出によって容易に検出することができる。形態学的な基準、生化学的な基準、変更された細胞質膜の透過性、および/または、関連の変化によって変更された細菌細胞膜または細胞壁活性を有する細胞を検出するための、これらの、およびその他の手段は、当業者には明白であると予想される。
従って、本明細書において開示された発明に従って使用するための抗生物質性部分としては、これらに限定されないが、β−ラクタム系抗生物質、例えばペニシリン系、セファロスポリン系、カルバペネム系、および、モノバクタム系;糖ペプチド、リポグリコペプチド、および、リポグリコシドペプチド(lioglycodepsipetide)抗生物質、例えばバンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、および、ダルババンシン;ポリペプチド、例えばポリミキシン、および、バシトラシン;および、図8で列挙した抗生物質が挙げられる。なかでも特に重要なものは、バンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、および、図8の抗生物質性部分からなる群より選択される抗生物質性部分である。
なかでも本発明にとって特に重要なものは、バンコマイシンとして知られている糖ペプチド系抗生物質である。バンコマイシンは、インドネシアおよびインドの土壌サンプルから単離された放線菌であるストレプトコッカス・オリエンタリス(Streptococcus orientalis)によって生産される。バンコマイシンは、約1500Daの分子量を有する複雑な三環式糖ペプチドである。
バンコマイシンは、主にグラム陽性菌に対して活性である。細菌株は、4μg/mL未満またはそれに等しい最小阻止濃度で作用を受けると考えられている。化膿連鎖球菌(Strep.Pyogenes)、肺炎連鎖球菌(Strep.Pneumoniae)、コリネバクテリウム属は、高い感受性を有し、同様にほとんどのエンテロコッカス属の株も高い感受性を有する。また、ほとんどの放線菌およびクロストリジウム属の種もバンコマイシンに感受性を有するが、抗生物質はより高濃度である。バンコマイシンは、重篤な感染を治療するためだけに用いられており、肺炎、蓄膿、心内膜炎、骨髄炎および軟組織の膿瘍などのメチシリン耐性ブドウ球菌による感染の管理において特に有用である。またこのような物質は、ペニシリンおよびセファロスポリンに対してアレルギー性の患者におけるブドウ球菌感染の治療においても極めて有用である。
バンコマイシンは、細菌細胞壁合成中に隣接するペプチドグリカン鎖の架橋をブロックすることによって、感受性細菌における細胞壁の合成を阻害する。十分な架橋がないと細胞壁は機械的に脆くなるため、このような細菌は浸透圧変化に晒すと溶菌する。バンコマイシンは、架橋の前にペプチドグリカン前駆体のペンタペプチド部分のD−アラニル−D−アラニン(D−Ala−D−Ala)末端に高親和性で結合する。D−Ala−D−Alaジペプチドは、バンコマイシンのペプチド主鎖と相補的な水素結合を形成する。バンコマイシン−ペプチドグリカン複合体はトランスペプチダーゼ酵素の作用を物理的にブロックすることによって、ペプチドグリカンを強化しているペプチドの架橋形成を阻害すると考えられる:またこの活性によっても、細菌の細胞質にペプチドグリカン前駆体の蓄積が起こる。
発明の背景で上述したように、抗生物質への耐性がよく知られている。バンコマイシンについては、3タイプの耐性が説明されている。VanA表現型はバンコマイシンによって誘導され得るものであり、テイコプラニンおよびバンコマイシンの両方に耐性を付与する。VanA表現型は、転移因子Tn1546または密接に関連した因子が介在する。このようなトランスポゾンは、ピルビン酸塩をD−乳酸塩(D−lac)に還元するデヒドロゲナーゼ(VanH)、および、D−AlaとD−Lacとの間のエステル結合の形成を触媒する広範な基質特異性を有するリガーゼ(VanA)をコードする。得られたD−Ala−D−Lacデプシペプチドは、ペプチドグリカン合成経路において、ジペプチドD−Ala−D−Alaで置換される。この置換により、抗生物質の結合にとって重要な水素結合が除去される。またVanB表現型も、バンコマイシンへの曝露の際に誘導される;しかしながら、VanA表現型に対して、これらの微生物はテイコプラニンに対して耐性ではなく、これはなぜなら、テイコプラニンはVanB細菌における耐性に必要な遺伝子の発現を誘導しないためである。VanB表現型の細菌によるバンコマイシンに対する耐性は、VanA耐性と類似のメカニズムを介して起こり、すなわち未成熟のペプチドグリカンにおける末端のD−Ala−A−Alaペプチドグリカン前駆体がD−Ala−D−Lacデプシペプチドで置換されることによって起こる。さらにもう1種のバンコマイシン耐性の表現型は、E.ガリナルム(E.gallinarum)、エンテロコッカス・カセリフラブス(E.casseliflavus)、および、エンテロコッカス・フラヴェセンス(E.flavescens)種に属するエンテロコッカス属において説明されている(VanC)。これらの細菌は、本質的に低レベルのバンコマイシンに対しては耐性であり、テイコプラニンに対しては感受性を有する。耐性は、D−セリンの末端におけるペプチドグリカン前駆体の生産によって生じる。ペプチドグリカン前駆体類似体のカルボキシ末端においてD−AlaがD−Serで置換されると、バンコマイシンの前駆体への親和性が低くなるが、テイコプラニンへの親和性は比較的小さい変化しか起こらない。
抗生物質性部分が細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能である本明細書で開示された具体的な実施態様に従って使用可能なその他の抗生物質性部分としては、これらに限定されないが、テイコプラニン、ラモプラニン(ramoplanin)、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、6−アミノペニシラン酸、7−アミノデスアセトキシセファロスポラン酸、アモキシリン、アンピシリン、アゾシリン、バシトラシン、カルベノシリン(carbenocillin)、セファクロル、セファマンドール、セファゾリン、セフメタゾール、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフスロジン、セフトリアキソン、セファレキシン、セファロスポリンC、セファロチン、セファピリン、セフラジン、クロキサシリン、d−(−)−ペニシラミン、d−シクロセリン、ジクロキサシリン、エコナゾール、エタンブトール、リソスタフィン(スタフィロコッカス・スタフィロリティカス(staphylococcus staphylolyticus)由来)、モクサラクタム、ナフシリン、ニッコーマイシン(nikkomycin)、ニッコーマイシンZ(ストレプトマイセス・テンダエ(streptomyces tendae)由来)、2−メルカプトピリジンN−酸化物、4−ブロモカルシマイシン、アラメチシン、アンホテリシンB、カルシマイシン(A23187)、クロルヘキシジンアセト酢酸塩、クロトリマゾール、コリスチン、エコナゾール、ヒドロコルチゾン21−酢酸塩(VETRANAL(R))、フィリピン、グリオトキシン(グリオクラディウム・フィンブリアタム(gliocladium fimbriatum)由来)、グラミシジンA、B、CおよびD、ならびに、パラセルシン(paracelsin)(トリコデルマ・リーゼイ(trichoderma reesei)由来)が挙げられる。また、適切な抗生物質性部分も説明されており、例えば、Fisher等.(2005 Chem.Rev.105:395〜424),Kahne等.(2005 Chem.Rev.105:425〜448)、Walker等.(2005 Chem.Rev.105:449〜476)、Chatterjee等.(2005 Chem.Rev.105:633〜684)、および、Bagley等.(2005 Chem.Rev.105:685〜714)によって説明されている。抗生物質性部分が細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能である本明細書において開示された発明の具体的な実施態様に従って使用可能な抗生物質性部分の例としては、これらに限定されないが、図8で示されているものが挙げられる。
従って、および、理論に制限されることは望まないが、本明細書において開示された一般構造T−L−Pを有する抗生物質組成物における好ましい抗生物質性部分(P)は、本明細書において説明されているような細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である。しかしながら、所定のT−L−P抗生物質組成物の発明の実施態様はそのように限定されないこともあり、従って、抗生物質性部分(P)が細菌細胞膜または細菌細胞壁の活性を変更することができることがわかっているような場合であっても細菌細胞の細胞内でそれらの作用を働かせるようなT−L−P結合体を含んでいてもよい。
C.本発明の抗生物質組成物のリンカー部分
本発明の抗生物質組成物のリンカー部分は、抗生物質性部分を標的部分に連結させる。リンカー部分は、抗生物質性部分における官能基と標的部分における官能基との間の直接の共有結合による連結であってもよい(例えば、抗生物質性部分におけるカルボキシ基と、標的部分におけるアミノ基との間のアミド共有結合)。このような直接の共有結合による連結の例としては、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ホスホロジエステル、チオホスホロジエステル、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾン、オキシムまたはアミノ結合が挙げられる。当然ながら、2つの部分間に望ましい直接的な連結を製造するために、標的部分または抗生物質性部分のいずれかにおける官能基に、保護基を用いなければならない場合もある。保護基の使用は、Green,T.W.およびP.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),第3版,Wileyで詳細に説明されている。あるいは、反応pHの慎重な制御によって、望ましい直接的な連結への選択性が提供される可能性もある。
また、抗生物質性部分および標的部分がリンカー分子を介して互いに共有結合で結合し、本発明の抗生物質組成物を形成してもよい。このようなリンカー分子は、好ましくはカルボキシル、ヒドロキシル、アルデヒドまたはアミノ基のような少なくとも2つの官能基を含む対応する親分子から誘導され、これら官能基はそれぞれ、抗生物質性部分における適切な官能基、および、標的部分における適切な官能基と共有結合を形成してリンカー分子を形成するために用いることができる。親分子における官能基は、同一でも異なっていてもよい。当然ながら、リンカー分子を介した抗生物質性部分の標的分子への望ましい連結を製造するために、親分子、抗生物質性部分および標的部分における官能基に保護基を用いなければならない場合もある。
好ましくは、リンカー分子は、TおよびPに共有結合で結合し、a)直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレン;および、b)−O−、−S−、−C(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−C(O)O−、−C(O)S−、および、−OC(O)N(R)−からなる群より選択される2個またはそれより多くの官能基を含み、ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである。
より好ましくは、リンカー分子は、−N(R)−R−N(R)−、−C(O)N(R)−R−C(O)N(R)、−C(O)O−R−C(O)N(R)、−C(O)S−R−C(O)N(R)、−C(O)N(R)−R−N(R)、−C(O)O−R−N(R)、−C(O)S−R−N(R)、−N(R)C(O)−R−C(O)N(R)−、および、−N(R)−R−C(O)N(R)−からなる群より選択され;
ここでRはそれぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり;および、ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである。
さらにより好ましくは、リンカー分子は、−N(R)−R−N(R)−であり、ここで各Rは水素であり、Rはヘキシレンである。
以下の図表は、本発明の範囲を限定するすものではなく、当業者であれば、抗生物質性部分が、直接結合またはリンカー分子のいずれかを介して標的分子に共有結合で連結している本発明の抗生物質組成物の製造において実施できる様々なアプローチを説明するものである。以下の図表において、標的部分は、本発明のナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントの略図として示される:
Figure 2009529530
式中、一方のアミノ(−NH)基はフラグメントのN末端を示し、他方のアミノ基は、フラグメント中のリシンのアミノ酸における遊離のアミノを示し、カルボキシ(−C(O)OH)基はフラグメントのC末端を示す。以下の図表において、抗生物質性部分は、バンコマイシンの略図として示す:
Figure 2009529530
式中、カルボキシ基はバンコマイシンのC末端を示し、アミノ基はバンコサミンの糖のアミンを示し、メチルアミノ(−N(CH)−)基はバンコマイシンのN末端を示す。当然ながら、本発明の抗生物質組成物を製造するために、本明細書で説明したようなその他の標的部分、および、本明細書で説明したようなその他の抗生物質性部分は、以下に示すような類似の方式で用いてもよい。さらに当然ながら、標的部分が抗生物質性の物質に共有結合によって直接連結している本発明の抗生物質組成物の製造は、標的部分に存在する官能基のタイプ、および、抗生物質性部分におけるに存在する官能基のタイプ、官能基上の保護基の慎重な使用、および、連結を完了させるのに必要なカップリング条件および試薬に依存すると予想され、これらは当業者であれば、既知の化学の専門書を参照して容易に確認することができる(例えば、March,J.,Advanced Organic Chemistry,Reactions,Mechanisms,and Structure(1992),第4版,Wileyおよびジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley&Sons)(1992)、および、Green,T.W.およびP.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),第3版,Wileyを参照)。
1つのアプローチにおいて、標的部分のC末端 は、抗生物質性部分のC末端に、以下の式で示されるリンカー分子を介して連結していてもよく:
H−R−R−R−H
式中RおよびRは、それぞれ独立して、−N(R)−、−O−、または、−S−であり;各Rは、存在する場合、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり;および、Rは、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり、このような場合、以下の本発明の抗生物質組成物を形成することができる(ここでR、R、および、Rは上記で定義した通りである):
Figure 2009529530
好ましくは、リンカー分子は、長さが2〜10個の炭素のジアミノアルカンであり、例えば1,6−ジアミノヘキサンである。このアプローチはさらに以下の実施例で例示される。
その他のアプローチにおいて、標的部分のC末端は、抗生物質性部分のN末端に、アミド結合を介して直接連結していてもよく、このような場合、以下の図表で示されるような本発明の抗生物質組成物を製造することができる(ここでRは、水素またはアルキルである):
Figure 2009529530
アミド結合形成の選択性は、反応pH、およびの調節、官能基上の保護基の慎重な使用によって達成される可能性がある。
この直接のアミド結合の形成は、以下の図表で例示される(ここでFmocは、9−フルオレニルメトキシカルボニルである):
Figure 2009529530
その他のアプローチにおいて、標的部分のC末端は、抗生物質性部分のN末端に、以下の式で示されるリンカー分子を介して直接連結していてもよく:
Figure 2009529530
式中Rは、−N(R)−、−O−、または、−S−であり;Rは、存在する場合、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり;および、Rは、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり、このような場合、以下の本発明の抗生物質組成物を形成することができる(ここで各RおよびRは上記で定義した通りである):
Figure 2009529530
が−N(R)−である上記の抗生物質組成物は、以下の図表で例示したように直接のアミド化によって製造することができる(ここでRおよびRは上記で定義した通りであり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニルである):
Figure 2009529530
当然ながら、それに対応する−N(R)−が−O−または−S−で置換されている抗生物質組成物は、当業者既知の方法によって類似の方式で製造することができる。
その他のアプローチにおいて、標的部分のC末端は、抗生物質性部分のN末端に、以下の式で示されるリンカー分子を介して直接連結していてもよく:
Figure 2009529530
式中Rは、−N(R)−、−O−、または、−S−であり;Rは、存在する場合、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり;および、Rは、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり、このような場合、以下の本発明の抗生物質組成物を形成することができる(ここで各RおよびRは上記で定義した通りである):
Figure 2009529530
が−N(R)−である上記の本発明の抗生物質組成物は、以下の図表で例示したように還元的アミノ化によって製造することができる(ここでRおよびRは上記で定義した通りであり、TFAは、トリフルオロ酢酸であり、Fmocは、9−フルオレニルメトキシカルボニルである)(単に都合上、以下の図表では、上記の抗生物質組成物の1種のみの製造を示す;当然ながら、その他の抗生物質組成物も同様に当業者既知の方法を用いて製造することができる):
Figure 2009529530
その他のアプローチにおいて、標的部分のN末端は、以下の図表で示すように、抗生物質性部分のC末端に、アミド結合を介して直接連結していてもよく、このようにして本発明の抗生物質組成物の混合物を生産することができる:
Figure 2009529530
このアプローチはさらに以下の実施例で例示される。
その他のアプローチにおいて、標的部分のN末端は、抗生物質性部分のC末端に、以下の式で示されるリンカー分子を介して連結していてもよく:
Figure 2009529530
式中Pgは、ヒドロキシの保護基であり、Rは、−N(R)−、−O−または−S−であり;Rは、存在する場合、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり;および、Rは、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり、このような場合、以下の本発明の抗生物質組成物を形成することができる(ここで各R、R、および、Rは上記で定義した通りである):
Figure 2009529530
上記の抗生物質組成物は、以下の図表で示すようにアミド化(またはエステル化、Rが何であるかに応じて)によって製造することができ、ここでRおよびRは上記で定義した通りであり、および、Pgは、酸素保護基、例えばベンジルである:
Figure 2009529530
その他のアプローチにおいて、標的部分のN末端は、抗生物質性部分のC末端に、以下の式で示されるリンカー分子を介して連結していてもよく:
Figure 2009529530
式中Rは、−N(R)−、−O−、または、−S−であり;Rは、存在する場合、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり;および、Rは、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり、このような場合、以下の本発明の抗生物質組成物を形成することができる(ここで各RおよびRは上記で定義した通りである):
Figure 2009529530
上記の抗生物質組成物は、以下の図表で例示したように、アミド化(またはエステル化、Rが何であるかに応じて)、それに続いて還元的アミノ化によって製造することができ、ここでRおよびRは上記で定義した通りであり、R’は、水素または窒素保護基、例えばFmocである:
Figure 2009529530
その他のアプローチにおいて、標的部分のN末端は、以下の本発明の抗生物質組成物で例示されたように、抗生物質性部分のN末端にリンカー分子を介して連結していてもよく、ここでRはそれぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンである:
Figure 2009529530
当然ながら、上記で例示されていない本発明のその他の抗生物質組成物は、当業者既知の類似の方法によって製造してもよい。
本発明のその他の好ましい実施態様において、標的部分は、ほぼ完全に抗菌活性がないナイシン[1−12]ポリペプチドであり、抗生物質性部分は、バンコマイシンである。ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのバンコマイシンへの連結は、各成分における3ヶ所での誘導体化(バンコマイシンにおけるN末端(2)、C末端(1)、および、バンコサミンの糖のアミン(3)での誘導体化[以下の図Aを参照]、および、ナイシンにおけるN末端、C末端、および、リシンのN−イプシロンアミンでの誘導体化)によって達成してもよい。より好ましい本発明の実施態様において、この連結は、両方の成分のC末端によって達成され、リンカー部分は、対称的なジアミンアルキル基である。
Figure 2009529530
従って、好ましい本発明の一実施態様において、本発明の抗生物質組成物は、以下の構造を含む:
T−L−P
式中:
Tは、以下のナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのいずれか1種から選択される標的部分である:
Figure 2009529530
Lは、−N(R)−R−N(R)−であり、ここで各Rは水素であり、および、Rは、ヘキシレンであり;および、Pは、上述のようなバンコマイシンまたはバンコマイシン誘導体であり;または、それらの製薬上許容できる塩である。
本発明の医薬組成物および投与
本発明の抗生物質組成物またはそれらの製薬上許容できる塩の投与は、純粋な形態で、または、適切な医薬組成物で、類似の効用を提供するための物質の容認された投与様式のいずれかを介して行うことができる。本発明の医薬組成物は、本発明の抗生物質組成物と、適切な製薬上許容できるキャリアー、希釈剤または賦形剤を組み合わせることによって製造することができ、さらに、固体、半固体、液体またはガス状の形態で、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射、吸入剤、ゲル、マイクロスフェア、および、エアロゾルの形態で製剤化してもよい。このような医薬組成物の典型的な投与経路としては、これらに限定されないが、経口、局所、経皮、吸入法、非経口、舌下、直腸、膣および鼻腔内が挙げられる。本明細書で用いられる非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射、または、点滴技術を含む。本発明の医薬組成物は、そこに含まれる活性成分が本組成物の患者へ投与された際に生物学的に利用されるように製剤化される。被検体または患者への投与が予想される組成物は、1種またはそれより多くの投与単位の形態をとるが、例えば錠剤は単一の投与単位であり、エアロゾルの形態の本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持する可能性がある。このような投薬形態の実際の製造方法は既知であるか、当業者には明らかであろう。例えば、The Science and Practice of Pharmacy,第20版(フィラデルフィア薬科大学(Philadelphia College of Pharmacy and Science),2000)を参照。投与される予定の組成物は、いずれの場合においても、本発明の化合物またはそれらの製薬上許容できる塩を、本発明の教示に従って対象の病気または状態を治療するための治療有効量で含むと考えられる。
本発明の医薬組成物は、固体の形態であってもよいし、液体の形態であってもよい。一形態において、本組成物が例えば錠剤または粉末の形態である場合、キャリアーは微粒子である。本組成物が、例えば、経口シロップ、注射用の液体、または、例えば吸入投与において有用であるエアロゾルであるような場合、キャリアーは液体であり得る。
経口投与を目的とする場合、本医薬組成物は、好ましくは、固体または液体のいずれかの形態であり、ここで、本明細書において固体または液体のいずれかとみなされる形態には、半固体、半流動体、懸濁液およびゲルの形態も含まれる。
経口投与のための固形組成物として、本医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、チューインガム、ウェハーまたは同種の形態に製剤化してもよい。このような固形組成物は、典型的に、1種またはそれより多くの不活性希釈剤、または、食用のキャリアーを含むと予想される。加えて、以下のうち1種またはそれより多くが存在していてもよい:結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、または、ゼラチン;賦形剤、例えばスターチ、ラクトース、または、デキストリン、崩壊剤、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチなど;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、または、ステロテックス(Sterotex);滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロース、または、サッカリン;矯味矯臭薬剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、または、オレンジ香料;ならびに、着色剤。
本医薬組成物がカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態である場合、本医薬組成物は、上記のタイプの材料に加えて、液体キャリアー、例えばポリエチレングリコール、または、油を含んでいてもよい。
本医薬組成物は、液体の形態であってもよく、例えばエリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン、または、懸濁液の形態である。このような液体は、2つの例として、経口投与のための液体であってもよいし、または、注射による送達のための液体であってもよい。経口投与を目的とする場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、1種またはそれより多くの甘味剤、保存剤、色素/着色剤、および、フレーバーを強化する物質を含む。注射による投与を目的とする組成物において、1種またはそれより多くの界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤、および、等張剤が含まれていてもよい。
本発明の液状医薬組成物は、それらが溶液、懸濁液などの形態であるかどうかにかかわらず、1種またはそれより多くの以下のアジュバントを含んでいてもよい:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、塩化ナトリウムの等張液、不揮発性油、例えば合成モノまたはジグリセリド(これは、溶媒または懸濁媒として役立つ可能性がある)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたはその他の溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール、または、メチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、または、亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩、または、リン酸塩、および、張度を調節するための物質、例えば塩化ナトリウム、または、デキストロース。非経口用製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨ての注射器、または、複数用量用のバイアルに封入されていてもよい。生理食塩水は、好ましいアジュバントである。注射用の医薬組成物は、好ましくは滅菌されたものである。
非経口または経口投与のいずれかを目的とする本発明の液状医薬組成物は、適切な投与量が得られると予想されるような量の本発明の化合物を含むと予想される。典型的には、この量は、本組成物中において少なくとも0.01%の本発明の抗生物質組成物である。経口投与を目的とする場合、この量は、本組成物の重量の0.1〜約70%の範囲で様々であってよい。好ましい経口用医薬組成物は、約4%〜約50%の本発明の抗生物質組成物を含む。好ましい医薬組成物および本発明に係る製剤は、本発明において希釈される前に、非経口用の投与単位が、本抗生物質組成物の0.01〜10重量%で含まれるように製造される。
本発明の医薬組成物は、局所投与を目的とすることもあり、このような場合、キャリアーは、溶液、エマルジョン、軟膏またはゲルベースを含むことが適切な場合がある。例えばこのようなベースは、1種またはそれより多くの以下のものを含んでもよい:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、ミネラルオイル、希釈剤、例えば水およびアルコール、ならびに乳化剤、および、安定剤。局所投与用の医薬組成物には、増粘剤が存在していてもよい。経皮投与を目的とする場合、本組成物は、経皮パッチ、または、イオン導入装置を含んでいてもよい。局所用製剤は、本発明の抗生物質組成物を約0.1〜約10%w/v(単位体積あたりの重量)の濃度で含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、直腸内投与を目的とすることもあり、例えば、直腸内で溶融して本抗生物質組成物を放出すると予想される坐剤の形態であり得る。直腸内投与用の組成物は、適切な刺激の少ない賦形剤として油性ベースを含んでいてもよい。このようなベースとしては、これらに限定されないが、ラノリン、カカオバター、および、ポリエチレングリコールが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、固形または液状の投与単位の物理的形状を改変する様々な材料を含んでいてもよい。例えば、本組成物は、活性成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含んでいてもよい。このようなコーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、糖、セラック、および、その他の腸溶コーティング剤から選択することができる。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセル中に封入されていてもよい。
固体または液体の形態の本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合することによって、本化合物の送達を補助する物質を含んでいてもよい。この能力に関する作用を発揮し得る適切な物質としては、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、タンパク質、または、リポソームが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、エアロゾルとして投与することができる投与単位からなっていてもよい。エアロゾルという用語は、コロイドの性質を有する系から、加圧された包装からなる系に至る範囲の様々な系を意味するものとして用いられる。送達は、液化または圧縮ガスによって、または、活性成分を分配する適切なポンプシステムによってなされ得る。本発明の抗生物質組成物のエアロゾルは、活性成分を送達するために単一相、二相、または、三相の系で送達され得る。エアロゾルの送達は、必要な容器、活性化剤、バルブ、副次的な容器などを含み、これらが一緒になってキットを形成していてもよい。当業者であれば、余計な実験を行うことなく好ましいエアロゾルを決定することができる。
本発明の医薬組成物は、製薬分野において周知の方法論によって製造してもよい。例えば、注射による投与を目的とする医薬組成物は、溶液が形成されるように本発明の抗生物質組成物と滅菌蒸留水とを組み合わせることによって製造することができる。均一な溶液または懸濁液の形成を容易にするために、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、水性送達系における本化合物の溶解または均一な懸濁が容易になるように、本発明の抗生物質組成物と非共有結合によって相互作用する化合物である。
本発明の抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩は、治療有効量で投与され、この治療有効量は、例えば、用いられる具体的な抗生物質組成物の活性;本抗生物質組成物の代謝的安定性ならびに作用の長さ;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;投与様式および時間;排出速度;薬物の組み合わせ;特定の障害または状態の重症度;および、治療を受ける被検体などの様々な因子に応じて様々であると予想される。一般的に、治療上有効な1日用量は(70kgの哺乳動物の場合)、約0.001mg/kg(すなわち、0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち、7.0g)であり;好ましくは、治療上有効な用量は(70kgの哺乳動物の場合)、約0.01mg/kg(すなわち、7mg)〜約50mg/kg(すなわち、3.5g)であり;より好ましくは、治療上有効な用量は(70kgの哺乳動物の場合)、約1mg/kg(すなわち、70mg)〜約25mg/kg(すなわち、1.75g)である。
また、本発明の抗生物質組成物、または、それらの製薬上許容できる塩は、1種またはそれより多くのその他の治療剤の投与と同時に、その前に、または、その後に投与してもよい。このような併用療法は、本発明の抗生物質組成物、および、1種またはそれより多くの追加の活性物質を含む単一の投薬形態の投与を含み、加えて、それ自身別個の投薬形態としての、本発明の抗生物質組成物、および、各活性物質の投与を含む。例えば、本発明の抗生物質組成物、および、その他の活性物質は、錠剤またはカプセルのような単一の経口投与用組成物として一緒に患者に投与してもよいし、または、別個の経口用の投薬形態で各物質を投与してもよい。別個の投薬形態が用いられる場合、本発明の抗生物質組成物、および、1種またはそれより多くの追加の活性物質は、実質的に同じ時間に、すなわち同時に投与してもよいし、または、別々にずらした時間で、すなわち連続的に投与してもよい;併用療法には、これらのあらゆる処方計画が含まれるものとする。
本発明の抗生物質組成物の製造
以下の具体的な実施例は、本発明の実施に役立つ基準として提供されものであり、本発明の範囲を限定することは目的としない。
一般的に、本発明の抗生物質組成物は、当業者既知の工程、または、そのような工程に類似した工程を用いた方法によって製造することができる。一般的な合成方法は、“Comprehensive Organic Transformations”,R.C.Larock,VCHパブリッシャーズ(VCH Publishers),ニューヨーク,ニューヨーク州,1989、および、そこで引用された文献で確認することができる。
実施例1
直接結合を介したナイシン[1−12]−バンコマイシン抗生物質組成物の合成
最初の12個のアミノ酸からなるナイシンのフラグメント(ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント)を単離させるために、ナイシンをトリプシンで消化した。このナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、C末端にリシンを含む。ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、2種の異なる本発明の抗生物質組成物が生成するようなアミド形成条件を用いてバンコマイシンとの反応に利用できる2個のアミノ基を含む。窒素保護基を慎重に選択することによって、本抗生物質組成物それぞれの特異的な製造が可能になると予想される。
具体的には、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(8.1mg,0.007mmol)、および、塩酸バンコマイシン(10.4mg,0.007mmol)を、DMF/DMSO(1mL/0.5mL)の混合物に室温で溶解させた。HOBt(〜1mg)、および、EDC(6.7mg,0.035mmol)を添加し、それに続いてDIEA(6.1μL,0.035mmol)を添加した。この反応液を室温で24時間撹拌し、次に少量の水で処理した。未精製の混合物を、分取用HPLC(方法A)で分離し、生成物をプールし、凍結乾燥した。収率:1.0mg(6%、白色の発泡体);MS:2564.3[M−16+H],1282.7[M−16+2H]2+,855.8[M−16+3H]3+
実施例2
リンカー分子を介したナイシン[1−12]−バンコマイシン抗生物質組成物の合成
標的部分のナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、バンコマイシンのような抗生物質性部分にリンカー分子を介して結合することができる。1つの方法は、アミドカップリングを介してナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントおよびバンコマイシンの両方と結合するジアミノ化合物、例えば1,6−ジアミノヘキサンを使用するものである。ナイシン[1−12]−1,6−ジアミノヘキサン−バンコマイシンの合成は、このアプローチの代表例である。
一般的に、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントの2つのアミノ基は、まずFmoc基で保護される。次に、保護されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを、リンカー分子のモノ−トリチル−1−6−ジアミノヘキサンで処理する。その際に、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのC末端のリシンは、そのカルボキシル基とモノ−トリチル−1,6−ジアミノヘキサンとの反応によってアミド形成を受ける。次に、リンカー分子からトリチル基を除去し、続いてその遊離アミンをバンコマイシンのカルボキシル基とカップリングさせる。得られた複合体からFmoc基を除去することによって、本発明の抗生物質組成物であるナイシン[1−12]−バンコマイシン複合体が得られる。
A.Fmocで保護されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントの合成
DMF(2mL)中のナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(34.5mg,0.03mmol)の撹拌溶液に、FmocCl(21.7mg,0.084mmol)、続いてDIEA(26μL,0.15mmol)を室温で添加した。この混合物を室温で4時間撹拌し、続いて粗生成物を分取用HPLCで精製した(方法B)。収率:10.4mg(22%,黄色がかったガラス)。1H NMR(300MHz,CDOD)δ:Fmocシグナル:7.8(4H,d),7.7(4H,m),7.3(8H,m)。
B.Fmocで保護されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントとモノ−トリチル1,6−ジアミノヘキサン(C リンカー分子)とのカップリング
DMF(3mL)中のFmocで保護されたナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(18.6mg,0.012mmol)、および、モノ−トリチル1,6−ジアミノヘキサン(10.5mg,0.029mmol)の撹拌溶液に、HOBt(4mg,0.029mmol)、および、EDC(22.4mg,0.12mmol)を室温で添加した。この混合物を66時間撹拌し、次に粗生成物を分取用HPLCで精製した(方法B)。収率:10mg(44%)。1H NMRは、7.8〜7.2ppmのFmocシグナルとトリチルシグナルの両方を示した。
C.C リンカー分子からのトリチル保護基の切断
上記段落Bからの生成物(10mg、それに加えてその他のバッチから3.4mg)を、TFA/水/トリイソプロピルシラン(TIPS)(9:0.5:0.5、2mL)の混合物で室温で1時間処理した。溶媒を、ロータリーエバポレーションによって除去し、残留物を分取用HPLCで精製して、Fmocで保護されたナイシン[1−12]−ジアミノヘキサンを得た。収率:4.7mg(40%)。1H NMRによれば、トリチルシグナルの消失が示された。
D.Fmocで保護されたナイシン[1−12]−ジアミノヘキサンとバンコマイシンとのカップリング
上記の段落Cからの生成物(4.7mg,0.028mmol)をDMF/DMSO(1mL/0.5mL)に溶解させ、得られた溶液に、塩酸バンコマイシン(7.2mg,0.0048mmol)、HOBt(1mg)、EDC(3.1mg,0.016mmol)、および、DIEA(1.1μL,0.0063mmol)を添加した。この混合物を室温で1日撹拌し、追加のバンコマイシン(3.6mg,0.0024mmol)、EDC(3.1mg,0.016mmol)を添加した。この反応をさらに1日継続し、続いて少量の水で処理した。未精製の混合物を分取用HPLCで精製して、Fmocで保護されたナイシン[1−12]−ジアミノヘキサン−バンコマイシンを得た:収率:5.4mg(62%)。1H NMRによれば、Fmocナイシン(1−12)およびバンコマイシンシグナルの両方が示された。
E.Fmoc保護基の切断
上記の段落からの生成物(5.4mg,0.0017mmol)を、DMF(1mL)中の20%ピペリジンで室温で20分間処理した。HOAc(〜0.2mL)および少量の水を撹拌しながら慎重に添加した。未精製の混合物を分取用HPLCで精製した(方法D)。収率:1.1mg(24%)。1H NMRによれば、ナイシン(1−12)およびバンコマイシンシグナルの両方が示された。MS:1340.4[M+2H]2+
実施例3
ナイシンの精製
市販のナイシン(ニュートリション21社(Nutrition 21 Inc.),ニューヨーク州,米国,バッチ番号84FC)は、約80重量%のナイシンを含む。不純物の塩を分取用HPLCによって除去した。
市販のナイシン(518mg)を、0.1%(v/v)のTFAを含む27%(v/v)ACN/水(10mL)に溶解させ、分取用HPLC(254nm検出,サンファイアー・プレップ(SunFire Prep)C18 OBD 5μm 30×100mm)で5回注入を行って精製した。4.3〜5.8分間で生成物を回収し、ロータリーエバポレーションで濃縮し、凍結乾燥した。収率:470mg(ふわふわした白色の固体)。ナイシンの最小阻止濃度は、MRSAに対して0.3〜0.6μg/ml、および、VREに対して5〜10μg/mlであった。
HPLC法
溶媒A=水中の0.1%(v/v)TFA
溶媒B=9:1のACN/水中の0.1%(v/v)TFA
勾配の変化は、指定された期間にわたり直線的である。
流速:40mL/分。
プロファイル:30%Bで3分間、1分間かけて30〜50%B、50%Bで3分間、50〜30%Bで1分間より長く、30%Bで4分間。
実施例4
ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントの製造および精製
A.消化緩衝液の製造
酢酸ナトリウム(1.41g)、トリズマ塩基(402mg)、および、CaCl・2HO(407mg)を、水(550mL)に溶解させ、HCl水溶液およびNaOH水溶液で溶液をpH7.0に調節し、消化緩衝液(25mMの酢酸ナトリウム、6mMのトリス酢酸塩、5mMのCaCl)を得た。
B.トリプシン溶液の製造(LNB CH104−86)
トリプシン(125mg)を消化緩衝液(25mL)に溶解させ、トリプシン溶液(5mg/mL)を得た。
C.ナイシンのナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントへのトリプシン消化
ナイシンのトリプシン消化のために2種の方法を用いた。
1.方法A
ナイシン(625mg,〜80wt%ナイシン,〜150μmol,1当量)を消化緩衝液(500mL)に溶解させ、次に0.5MのNaOH水溶液(1.19mL,596μmol,4当量)を添加して、pH7にした。トリプシン溶液(10mL,50mg,10wt%)を添加して、この混合物を30℃で6日間インキュベートした。1日目、2日目および3日目に、追加のトリプシン(それぞれの日に5mL,25mg,5wt%)を添加した。
この混合物をロータリーエバポレーターで約60mLの体積に濃縮した。トリフルオロ酢酸(TFA)(1mL)の添加によりpH4にして、いくらかの沈殿の溶解を促進した。生成物を分取用HPLC(215nm検出,フェノメネックス(Phenomenex)のジュピター(Jupiter)10μm C18 300Å,250×21.20mm)で精製した。反応混合物(1.7mL)を水で3.0mLに希釈し、ろ過し(0.45μmのナイロン,25mmの注射器フィルター)、続いて注入した。生成物を約16.25〜17.5分間で回収し、濃縮し、凍結乾燥した。分析用HPLC(APT法1,210nm検出、ウォーターズ(Waters)のXテラ(Xterra)RP18 3.5μm 4.6×150mm)によれば、純度98%が示された。収率:158mg(白色の固体)。MS:1150.8[M+H],575.9[M+2H]2+
2.方法B
ナイシン(625mg,〜80wt%ナイシン,〜150μmol,1当量)を、pH調節されていない消化緩衝液(100mL)に溶解させた。トリプシン溶液(10mL,50mg,10wt%)を添加し、この混合物をHCl水溶液でpH7.0に調節し、次に30℃で7日間インキュベートした。追加のトリプシン(それぞれの日に5mL,25mg,5wt%)を1日目、2日目および3日目に添加した。
TFA(1mL)の添加によりpH1にして、いくらかの沈殿の溶解を促進した。生成物を分取用HPLC(215nm検出、フェノメネックスのジュピター10μm C18 300Å、250×21.20mm)で1回の注入あたり4mLの反応混合物をローディングして精製した。ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを約16.25〜17.25分間で回収し、濃縮し、凍結乾燥した。分析用HPLC(215nm検出,ウォーターズのXテラMS C18 3.5μm 4.6×150mm)によれば、純度99%が示された。収率:186mg(白色の固体)。MS:1150.8[M+H],576.1[M+2H]2+。ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントは、それぞれ10または40μg/mlの高濃度でもMRSAまたはVREのいずれも阻害しなかった。
実施例5
抗菌活性分析
本発明の抗生物質組成物を、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)ATCC番号33591、および、バンコマイシン耐性腸球菌(Enterococcus faecalis)(VRE)ATCC番号51575に対する抗菌活性に関して試験した。病原体の培養物を、5g/LのNaClを含むトリプシンダイズ液体培地(TSB)(TSB+)中で37℃で一晩(〜18時間)増殖させた。この培養物をインキュベーターから取り出し、少なくとも3時間冷却して、さらなる培養による増殖を止めた。アリコートにおける培養物の液体培地に対する比率を測定して、約2.5×10CFU/mlを得たが、ここで正確なカウントは5g/LのNaClを含むトリプシンダイズ寒天(TSA+)プレート上での連続希釈によって測定された。0.005〜10、および、0.005〜40μg/mlの一連の2倍希釈液をMRSAおよびVREそれぞれのために製造した。最初の一晩37℃でインキュベートする前に、チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(MTT)を除く全ての成分を、ウェルに添加した。MRSAまたはVREプレートそれぞれについて29μlまたは37μlのMTTを各ウェルに添加し、続いて37℃で1時間インキュベートした。試験化合物と同じ方法で製造したバンコマイシンの参照化合物として、バンコマイシンおよび/またはザイボキサム(Zyvoxam)を包含させた。ザイボキサムを2mg/ml溶液として供給した。目に見える増殖を示さない最低濃度として、評価項目の最小阻止濃度(MIC)を読み取った。
ザイボキサムの最小阻止濃度は、この分析で試験したところ、MRSAに対して0.3μg/mL、および、VREに対して1.2μg/mLであった。バンコマイシンの最小阻止濃度は、この分析で試験したところ、MRSAに対して1.2μg/mL、および、VREに対して500μg/mLであった。
実施例1で製造されたナイシン[1−12]−バンコマイシン抗生物質組成物の最小阻止濃度は、この分析で試験したところ、MRSAに対して5.0μg/mL、および、VREに対して40μg/mLであった。
実施例2で製造されたナイシン[1−12]−1,6−ジアミノヘキサン−バンコマイシン複合体の最小阻止濃度は、この分析で試験したところ、MRSAに対して0.04μg/mL、および、VREに対して20μg/mLであった。
本明細書において参照された全ての米国特許、米国公開特許公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、または、特許以外の出版物の開示は、この参照によりそれらの全体が開示に含まれる。
前述した発明を理解を容易にするために詳細に説明したが、添付の請求項の範囲内であればある種の変化および改変が実施されてもよいことは明白と思われる:従って、説明した実施態様は、限定的ではなく説明のためとみなされることとし、本発明は本明細書に記載の詳細に限定されないこととするが、添付の請求項およびその等価体の範囲内であれば改変されていてもよい。
図1は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号12〜15)の製造方法を説明する。 図2は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号12、16および17)のA環の製造方法を説明する。 図2Aは、セグメントIのA環の製造で用いられる所定のアミノ酸の製造を説明する。 図3は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントII(配列番号18〜20)の製造方法を説明する。 図3Aは、セグメントIの製造で用いられるアミノ酸の製造方法を説明する。 図4は、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(配列番号10)を生産するための、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI(配列番号15)、および、セグメントII(配列番号20)のカップリング方法を説明する。 図5は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号21および22)の製造方法を説明する。 図6は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号21、23および24)のA’環の製造方法を説明する。 図7は、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメント(配列番号11)を生産するための、飽和ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントI’(配列番号22)、および、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのセグメントII(配列番号20)のカップリング方法を説明する。 図8は、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能である抗生物質性部分の例を示す。

Claims (26)

  1. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    Tは、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有するナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを含む標的部分であり;
    Lは、リンカー部分であり;
    Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  2. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    Tは、ナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのポリペプチド相同体を含む標的部分であり、ここで前記ポリペプチド相同体は、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有し、スブチリン[1−12]のポリペプチドフラグメント、エピデルミンのポリペプチドフラグメント、(I1V 16L)エピデルミンのポリペプチドフラグメント、ミュータシンB−Ny266のポリペプチドフラグメント、および、ミュータシン1140のポリペプチドフラグメントからなる群より選択され;
    Lは、リンカー部分であり;
    Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  3. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    (a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは、
    PGA(配列番号1〜4)
    (式中、
    は、F、I、VおよびWから選択され、
    は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
    、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
    は、E、I、KおよびWから選択され、
    は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
    は、I、FおよびLから選択され、
    は、A、K、V、AX、KX、および、VXから選択され、ここでXは、A、G、I、L、M、PおよびVから選択され;
    および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成する)
    を含んでなり;
    (b)Lは、リンカー部分であり;および、
    (c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  4. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    (a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは、
    PGA(配列番号5)
    (式中、
    は、I、L、F、V、A、および、Gから選択され、
    は、G、A、V、L、I、F、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
    、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
    は、I、L、F、V、A、および、Gから選択され、
    は、A、G、V、L、I、F、および、デヒドロアラニンから選択され、
    は、L、I、F、V、A、Gから選択され、
    は、K、G、A、V、N、Q、R、Hから選択され;
    および、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成する)
    を含んでなり;
    (b)Lは、リンカー部分であり;および、
    (c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  5. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    (a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは、
    PGA(配列番号6)
    (式中、
    、AおよびAはアラニンであり、Aは、α−アミノ酪酸であり、ここでAおよびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成し;
    、X、X、X、XおよびXは、それぞれ独立して、あらゆる天然または非天然アミノ酸から選択される)
    を含んでなり、
    Tは、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用でき、ここで前記脂質IIは、ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAcを含む;
    (b)Lは、リンカー部分であり;および、
    (c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  6. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    (a)Tは、ランチビオティックのN末端ペプチドフラグメントを含む標的部分であり、このペプチドフラグメントは、
    PGA(配列番号7)
    (式中、
    は、Iであり、
    は、A、K、α−アミノ酪酸、および、デヒドロブチリンから選択され、
    、AおよびAはアラニンであり、Aはα−アミノ酪酸であり、
    は、Iであり、
    は、F、アラニン、および、デヒドロアラニンから選択され、
    は、Lであり、
    は、Kであり;
    およびAは一緒になってランチオニン結合を形成し、さらにAおよびAは一緒になってβ−メチルランチオニン結合を形成する)
    を含んでなり;
    (b)Lは、リンカー部分であり;および、
    (c)Pは、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分である]。
  7. Tが、細菌細胞壁の前駆体である脂質IIのピロホスファートと結合相互作用でき、ここで前記脂質IIは、ウンデカプレニル−ピロホスホリル−MurNAc−(ペンタペプチド)−GlcNAcを含む、請求項1〜4および6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. Lが、TとPとの間の直接の共有結合による連結を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  9. Lが、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ホスホロジエステル、チオホスホロジエステル、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾン、オキシムおよびアミノ結合からなる群より選択される直接の共有結合による連結を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  10. Lが、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  11. Lが、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子を含み、このリンカー分子は:
    a)直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレン;および、
    b)−O−、−S−、−C(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−C(O)O−、−C(O)S−、および、−OC(O)N(R)−からなる群より選択される2個またはそれより多くの官能基、
    を含んでなり、ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  12. Lが、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子を含み、このリンカー分子は、−N(R)−R−N(R)−、−C(O)N(R)−R−C(O)N(R)、−C(O)O−R−C(O)N(R)、−C(O)S−R−C(O)N(R)、−C(O)N(R)−R−N(R)、−C(O)O−R−N(R)、−C(O)S−R−N(R)、−N(R)C(O)−R−C(O)N(R)−、および、−N(R)−R−C(O)N(R)−からなる群より選択され;
    ここでRはそれぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり;および、
    ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  13. Lが、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子を含み、このリンカー分子は、−N(R)−R−N(R)−であり、ここで各Rは水素であり、Rはヘキシレンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  14. Pが、バンコマイシンまたはバンコマイシン誘導体を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗生物質組成物。
  15. 以下の式で示される化合物を含む抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    Tは、ランチオニン環構造およびβ−メチルランチオニン環構造を有するナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントを含む標的部分であり;
    Lは、リンカー分子を含むリンカー部分であり、このリンカー分子は、TのC末端と第一のアミド結合を形成し、PのC末端と第二のアミド結合を形成し;および、
    Pは、バンコマイシンを含む]。
  16. Pが、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分を含む、請求項1〜6および15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 前記抗生物質性部分が、バンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、および、図8の抗生物質性部分からなる群より選択される、請求項16に記載の組成物。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の抗生物質組成物と製薬上許容できる賦形剤とを含む医薬組成物。
  19. 哺乳動物における細菌感染の治療方法であって、それが必要な哺乳動物に治療有効量の請求項1〜17のいずれか一項に記載の抗生物質組成物を投与することを含む、上記方法。
  20. 以下の構造を有する複数の同一ではない組成物を含む抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    Tは、少なくとも1つの標的部分を含み、この標的部分は、前記同一ではない組成物において同一でもよいしまたは異なっていてもよく、および、請求項1〜7のいずれか一項に記載の標的部分からなる群より選択され;
    Lは、少なくとも1つのリンカー部分を含み、このリンカー部分は、前記同一ではない組成物において同一でもよいしまたは異なっていてもよく、および、(i)TとPとの間に直接の共有結合による連結、および、(ii)TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子からなる群より選択され;および、
    Pは、少なくとも1つの抗生物質性部分を含み、この抗生物質性部分は、前記同一ではない組成物において異なっており、前記抗生物質性部分はそれぞれ、細菌細胞膜または細菌細胞壁の少なくとも1種の活性を変更することが可能な抗生物質性部分を含む]。
  21. 前記抗生物質性部分が、バンコマイシン、バンコマイシン誘導体、テイコプラニン、ラモプラニン、オリタバンシン、ダルババンシン、ポリミキシン、バシトラシン、および、図8の抗生物質性部分からなる群より選択される、請求項20に記載の抗生物質組成物。
  22. Lが、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、ホスホロジエステル、チオホスホロジエステル、カーボネート、カルバメート、ヒドラゾン、オキシムおよびアミノ結合からなる群より選択されるTとPとの間に直接の共有結合による連結である、請求項20に記載の抗生物質組成物。
  23. Lが、TおよびPに共有結合で結合したリンカー分子であり、このリンカー分子は:
    a)直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレン;および、
    b)−O−、−S−、−C(O)−、−N(R)−、−C(O)N(R)−、−C(O)O−、−C(O)S−、および、−OC(O)N(R)−からなる群より選択される2個またはそれより多くの官能基、
    を含み、ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである、請求項20に記載の抗生物質組成物。
  24. 前記リンカー分子が、−N(R)−R−N(R)−、−C(O)N(R)−R−C(O)N(R)、−C(O)O−R−C(O)N(R)、−C(O)S−R−C(O)N(R)、−C(O)N(R)−R−N(R)、−C(O)O−R−N(R)、−C(O)S−R−N(R)、−N(R)C(O)−R−C(O)N(R)−、および、−N(R)−R−C(O)N(R)−からなる群より選択され;
    ここでRはそれぞれ独立して、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルキレン鎖、直鎖または分岐鎖のC〜C10アルケニレン鎖、シクロアルキレン、または、アリーレンであり;および、ここでRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである、請求項23に記載の抗生物質組成物。
  25. 前記リンカー分子が、−N(R)−R−N(R)−であり、ここで各Rは水素であり、Rはヘキシレンである、請求項24に記載の抗生物質組成物。
  26. 以下の構造で構成される抗生物質組成物またはその製薬上許容できる塩:
    T−L−P
    [式中:
    Tは、以下:
    Figure 2009529530
    のナイシン[1−12]ポリペプチドフラグメントのいずれか1種から選択される標的部分であり、
    Lは、−N(R)−R−N(R)−であり、ここで各Rは水素であり、および、Rは、ヘキシレンであり;および、
    Pは、バンコマイシンまたはバンコマイシン誘導体である]。
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