JP2009528826A - アレルギー性疾患の発症を診断および/または予測するための方法、ならびにそれを治療および/または予防するための薬剤 - Google Patents

アレルギー性疾患の発症を診断および/または予測するための方法、ならびにそれを治療および/または予防するための薬剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、非アレルギー性動物と比較してアレルギー性動物でその発現レベルが異なる遺伝子に関する。詳細には、本発明は、アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定することにより、哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測するための方法に関する。

Description

分野
本発明は、非アレルギー性動物と比較してアレルギー性動物でその発現レベルが異なる遺伝子に関する。したがって、本発明はまた、アレルギー性疾患の診断および/または予測の方法にも関する。これはまた、アレルギー性疾患を治療または予防しうる薬剤、治療法の進展をモニターする方法、および/または特定の形態の治療法に対する個々の哺乳動物の潜在的な反応性を決定する方法にも関する。本発明はさらに、アレルギーを治療または予防するための方法、およびアレルギー性疾患を治療または予防しうる薬剤に関するスクリーニングの方法にも関する。
背景
喘息、アトピー性皮膚炎、高IgE症候群、オーメン症候群およびアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患は、ヒトにおいて最も頻度が高く十分に特性が解明された免疫疾患のいくつかである。アレルギー性疾患は、米国では全人口のおよそ20パーセントにみられる。しかし、アレルギーを評価するための臨床検査手順は数多くあるものの、アレルギーの早期診断のため、または個体がアレルギーを発症するか否かを予測するため、またはアレルギーのどのサブタイプを個々の患者が有するかを判定するために利用しうる方法は不正確であり、患者間のばらつきが大きい。このばらつきの基礎をなす理由は、アレルギー性疾患が原因の点で多因子性であり、異なる個々の患者の内部で、多数の異なる遺伝子の産物によって動作するさまざまな炎症機構の組み合わせの働きが関与していることにある。しかし、現在利用しうる検査は、極めて限られた範囲の遺伝子の産物を測定している。換言すれば、アレルギーに関する現在の免疫学的検査は、個体の現在の免疫学的状態に関する表面的な情報しか与えない。
アレルギー性疾患の現在の治療には、アレルゲンの回避、医薬品を基にした治療法および免疫療法が含まれる。アレルゲン曝露を完全に回避することは最も論理的なアプローチであるが、これは大多数の場合には実現するのが極めて困難であるか不可能である。抗ヒスタミン薬、ステロイド、β-作動薬およびアドレナリンなどの医薬品は有用であるが、それらはアレルギーの症状を軽減するのみであり、その原因には影響を与えない。加えて、薬物治療は通常、望ましくない副作用によって制約され、特にステロイドの場合にはそうである。
現在の免疫療法アプローチには、脱感作、特異的抗体による認識を低下させることを目的とするアレルゲン改変、およびアレルゲン由来のペプチドの使用が含まれ、それらは特定のB細胞とT細胞との間のコグネイト相互作用に干渉する。脱感作療法は、問題を起こすアレルゲンの粗アレルゲン抽出物を、次第に用量を増やしながら繰り返し注射することを伴う。アレルゲン抽出物を用いた治療は、アレルゲン関連症状の軽減に適度に有効であることがクリニックで実証されており、アレルギークリニックで現在広く用いられている一般的な治療法であるが、脱感作の機序は未だに不明である。さらに、アナフィラキシー性の副作用が重大である、または致死的でさえある可能性もあるため、脱感作療法は非常に注意深く行われなければならない。
したがって、ヒトなどの哺乳動物におけるアレルギー性疾患を診断および/または予測するための、より正確な非侵襲的な方法に対しては需要がある。
さらに、アレルギー性疾患に対するより有効な治療に対しても、当技術分野では依然として需要がある。残念ながら、これらの治療の開発は、アレルギーの病因に関する理解が不十分であることが妨げとなっており、それは今後の解明を待たねばならない。
本発明者らは、アレルギーの基礎をなす機序の解明を進め、それにより、より有効な治療法、ならびにヒトなどの哺乳動物におけるアレルギー性疾患を予防および/または治療しうる薬剤に関するスクリーニングの方法を開発できるようになったと考えている。
概要
したがって、第1の局面において、本発明は、哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測するための方法であって、(a)哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、段階(a)における哺乳動物がアレルギーを発症するか否かが予測される段階、を含む方法を提供する。
第2の局面において、本発明は、哺乳動物におけるアレルギー性疾患を診断するための方法であって、(a)哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、段階(a)における哺乳動物がアレルギーであることが診断される段階、を含む方法を提供する。
第3の局面において、本発明は、哺乳動物におけるアレルギー性疾患を予防または治療するための方法であって、
(a)哺乳動物の臓器、組織または細胞から単離された核酸分子のプールを入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(b)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(a)に記載した核酸分子のプールの中の、特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含み、前記一団がCAMK2DおよびCDH1を含む段階;
(c)事前に判明している発現レベルと比較した場合に異なる、特定の配列の一団の1つまたは複数に関する遺伝子発現パターンを同定する段階;ならびに
(d)遺伝子発現パターンを事前に判明している発現レベルに至らせることのできる薬剤を投与する段階、を含む方法を提供する。
第4の局面において、本発明は、アレルギー性疾患を有する哺乳動物の治療のための薬剤を選択する方法であって、
(a)アレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが同程度であるならば、被験薬剤がアレルギーを有する哺乳動物の治療において有用とされる段階、を含む方法を提供する。
第5の局面において、本発明は、アレルギー性疾患を予防しようとする哺乳動物に対する予防薬を選択する方法であって、
(a)疑いのあるアレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが同程度であるならば、被験薬剤が哺乳動物におけるアレルギーの予防において予防薬として有用とされる段階、を含む方法を提供する。
第6の局面において、本発明は、アレルギー性疾患と関連のある遺伝子の発現を調整しうる薬剤に関するスクリーニングの方法であって、
(a)アレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが被験薬剤の存在下で異なるならば、このことが、その薬剤がCAMK2DおよびCDH1の発現を調整しうることを示す段階、を含む方法を提供する。
第7の局面において、本発明は、アレルギー性疾患に対する治療中の哺乳動物をモニターする方法であって、
(a)治療前の哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
(b)治療下にある哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
(c)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
(d)段階(a)、(b)および(c)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(e)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(d)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(f)段階(e)における発現パターンを比較して、発現レベルが治療中に変化したか否かを判定する段階であって、治療中の発現レベルの変化が治療法の進展の指標となる段階、を含む方法を提供する。
第8の局面において、本発明は、アレルギー性疾患に罹患した動物の、アレルギー性疾患に対しての治療に対する潜在的な反応性を決定する方法であって、
(a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、治療法に対する動物の潜在的な反応性が示される段階、を含む方法を提供する。
第9の局面において、本発明は、アレルギー性疾患に罹患した動物がより重症および/または持続的な型のアレルギー性疾患に進行するリスクを予測する方法であって、
(a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、アレルギー性哺乳動物と非アレルギー性哺乳動物との間の発現レベルの任意の違いによって、アレルギー性哺乳動物がより重症および/または持続的な型のアレルギー性疾患を発症するリスクが予測される段階、を含む方法を提供する。
第10の局面において、本発明は、動物におけるアレルギー性疾患の免疫学的表現型を決定する方法であって、
(a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルによって、動物の免疫学的表現型が示される段階、を含む方法を提供する。
いくつかの態様において、第1から第10までの局面のいずれか1つにおける特定の配列の一団は、さらに、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LまたはLIX1Lのうち任意の1つまたは複数を含む、またはそれらからなる。
第11の局面において、本発明は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための、以下の、
(a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される核酸の配列、もしくはその生物活性断片;
(b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
(c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;ならびに/または
(d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド、
の1つまたは複数を含む、単離された分子を提供する。
第12の局面において、本発明は、薬学的に許容される担体とともに、以下の、
(a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される核酸の配列を有する単離された核酸分子、もしくはその生物活性断片;
(b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
(c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;ならびに/または
(d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド、
の1つまたは複数を含む、治療薬または予防薬を提供する。
薬剤は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いるためのものである。担体は、滅菌水、リン酸ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムからなる群の1つまたは複数から選択することができる。
第13の局面において、本発明は、アレルギー性疾患を治療または予防する方法であって、哺乳動物に対して、以下の、
(a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される遺伝子の配列を有する単離された核酸分子、もしくはその生物活性断片;
(b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
(c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;
(d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド;ならびに/または
(e)(a)、(b)および/もしくは(c)の分子の発現を調整しうる、もしくは(d)のポリペプチドと特異的に結合する薬剤、
の1つまたは複数を投与する段階を含む方法を提供する。
薬剤は、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される遺伝子の核酸配列に対してアンチセンスであるか、またはその生物活性断片であってよい。薬剤は、CAMK2D、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、TSPAN13およびSYTL3からなる群より選択される遺伝子の核酸配列に対してアンチセンスであるか、またはその生物活性断片であってよい。または、(d)のポリペプチドと特異的に結合しうる薬剤は、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、またはその生物活性断片である。
第14の局面において、本発明は、アレルギー性疾患を治療または予防しうる薬剤に関するスクリーニングのためのキットであって、以下の、
(a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される遺伝子の配列を有する単離された核酸分子、またはその生物活性断片;
(b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
(c)(a)または(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;
(d)(a)、(b)または(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド、
の1つまたは複数を含むキットを提供する。
第15の局面において、本発明は、アレルギー性疾患を治療または予防しうる薬剤に関するスクリーニングの方法であって、
(a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3およびPALM2-AKAP2、またはその生物活性断片を含む特定の配列の一団を、特定の配列の発現を可能にする条件下で提供する段階;
(b)特定の配列の発現レベルを決定する段階;
(c)特定の配列を薬剤と接触させる段階;
(d)発現レベルが変化するか否かを判定する段階であって、発現レベルの変化が、その薬剤がアレルギー性疾患を治療または予防しうることを示す段階、を含む方法を提供する。
第16の局面において、本発明は、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される2つまたはそれ以上のアレルギー関連遺伝子、またはその生物活性断片を含む、マイクロアレイを提供する。
第17の局面において、本発明は、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、およびTTC3からなる群より選択される2つまたはそれ以上のアレルギー関連遺伝子、またはその生物活性断片を含む、マイクロ流体デバイスを提供する。
好ましい態様の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特に例示された診断方法には限定されず、当然ながら異なる可能性があることが理解される必要がある。また、本明細書で使用される用語は本発明の特定の態様を説明することのみを目的としており、限定する意図はなく、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解される必要がある。
本明細書に引用されるすべての刊行物、特許および特許出願は、上記であるか下記であるかを問わず、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。しかし、本明細書で言及される刊行物は、本発明に関連して用いられる可能性のある、刊行物中に報告されたプロトコールおよび試薬の記述および開示を目的として引用される。本明細書中のいかなる記述も、先行技術のために本発明がそのような開示に先行する権利がないと認めたものと解釈されるべきではない。
さらに、本発明の実施には、他に指定がない限り、当技術分野の技能の範囲にある従来の免疫学的手法、化学および薬理学を使用する。そのような手法は当業者に周知であり、文献中に十分に説明されている。例えば、Coligan, Dunn, Ploegh, Speicher and Wingfield "Current protocols in Protein Science" (1999) Volume I and II (John Wiley & Sons Inc.);およびBailey, J.E. and Ollis, D.F., Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill Book Company, NY, 1986を参照のこと。
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「1つの(a)」「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに別のものを指示している場合を除き、複数形の言及も含むことに留意しなければならない。したがって、例えば「1つの遺伝子」への言及は、複数のそのような遺伝子を含み、「1つのアレルギー」への言及は、1つまたは複数のアレルギーへの言及であり、その他も同様である。
他に規定されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的な用語は、本発明の属する分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を持つ。本発明の実施または試験のためには、本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の材料および方法を用いることができるが、好ましい材料および方法については今から述べる。
いかなる特定の理論にも仮説にも拘束されることは望まないが、発明者らは、アレルゲンで刺激された細胞における、例えば末梢血単核細胞(PMBC)またはT細胞などにおける、1つまたは複数の遺伝子の発現が、アレルギー性疾患に対する感受性、素因またはアレルギー性疾患を有する哺乳動物では、アレルギー性疾患を有しない哺乳動物におけるのとは異なるレベルで起こることを観察および実証した。例えば、本発明者らは、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3およびTTC3、またはそれらの組み合わせを含む遺伝子(「関心対象の遺伝子」)からの発現レベルが、イエダニに対してアレルギー性であるヒト由来の、イエダニ(HDM)で刺激されたPMBCまたはT細胞での方が、アレルギー性でない対象におけるよりも高いことに気づいた。これに対して、他の遺伝子は、非アトピー性個体(正常個体)由来の、HDMで刺激されたPBMCでは、活発にダウンレギュレートされることがあるが、アトピー性(「アレルギー」)個体由来の対応するPBMC試料中ではダウンレギュレートされない。これらの遺伝子は、依然として非アトピー性表現型を示すと考えられるが、それらはまた、「防御」遺伝子を表すとも、すなわち、これらの遺伝子の産物が何らかの形でアレルギーの発症に対する防御を与えるとも考えられる。この観察所見は、アレルギー性哺乳動物を、非アレルギー性の、またはアレルギー性の程度が低い哺乳動物と識別するために用いることができ、それ故に、診断、予後判定、ならびに、哺乳動物におけるアレルギー性疾患を治療もしくは予防する、または哺乳動物におけるアレルギー性疾患の治療もしくは予防のための薬剤を選択する方法といった数多くの用途がある。
「性向」、「素因」または「感受性」とは、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3およびTTC3、またはそれらの組み合わせの発現レベルが、アレルギー性疾患に対する素因または感受性のある哺乳動物は「正常」または非アトピー性の哺乳動物で認められる産物の量と比べて異なる量のこれらの遺伝子の産物を有するように、アレルギー性疾患と本明細書で「関連づけられる」ことを意味する。
「アレルギー性疾患」または「アレルギー性状態」とは、さまざまな刺激に対する気管および気管支の反応性の増大、または炎症を伴う障害のいずれかを特徴とする、異常な生体機能のことを指す。これらのアレルギー性疾患に伴う症状には、風邪、風邪様および/または流感の症状、咳、皮膚刺激性、呼吸困難、流涙、鼻漏、くしゃみならびに喘鳴が非限定的に含まれる。アレルギー性疾患はしばしば、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-9およびIL-13などのTh2サイトカインの増加も伴う。アレルギー性疾患の例には、光線性皮膚炎(または光線皮膚炎)、アレルギー性肉芽腫症、アレルギー性血管炎、脂漏性皮膚炎、症候性皮膚描記症皮膚炎、喘息、アトピー性皮膚炎、気管支収縮、慢性気道炎症、化粧品性皮膚炎、クローン病、夏季皮膚炎、湿疹、浮腫、好酸球性胃腸炎、好酸球性肉芽腫、好酸球性心筋疾患、好酸球性胆嚢炎(eosinophilic chlorecystitis)、好酸球増多を伴う偶発性血管性浮腫、家族性組織球増加症、食物アレルギー、グレーブス病、枯草熱、好酸球増多症候群、過敏症、高血圧、高IgE症候群、特発性肺線維症、炎症性腸疾患、マスト細胞脱顆粒、オーメン症候群、乾癬、鼻炎、血清病、日光蕁麻疹、潰瘍性大腸炎および蕁麻疹が非限定的に含まれる。
本明細書で用いる場合、「アレルギー性」または「アトピー性」という用語は、例えば、食物、鱗屑または昆虫毒などのアレルゲンによって一般に引き起こされるアレルギー反応を有する動物のことを指す。その反対に、「非アレルギー性」または「非アトピー性」の哺乳動物とは、アレルギー性哺乳動物においてアレルギー性疾患を引き起こすアレルゲンによって引き起こされるアレルギー性疾患を有しない、または何らかのアレルゲンによって引き起こされるアレルギー性疾患を有しないもののことである。
本明細書で用いる場合、「哺乳動物」または「哺乳動物性」という用語には、チンパンジーならびに他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長動物を含む、ヒトおよび他の霊長動物;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの家畜;イヌおよびネコなどの家飼い動物;マウス、ラットおよびモルモットなどの齧歯動物を含む実験動物が非限定的に含まれる。これらの用語は特定の年齢を示すものではなく、それ故に成体および未熟な個体の両方がカバーされることを意図している。これらのすべての哺乳動物の免疫系は同様に働くため、本明細書に記載した方法は、上記の哺乳動物種の任意のものにおける使用を意図している。
したがって、いくつかの態様において、本発明は、ヒト、ならびに、ネコ、イヌおよびより大型のネコ科動物およびイヌ科動物などの肉食動物、ブタ、食肉用ブタおよびイノシシなどのブタ類、ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソンおよびラクダなどの反芻動物、ウマ、ならびに類人猿およびサルなどの非ヒト霊長動物を含む、ヒトにとって経済的および/または社会的に重要な哺乳動物を含む、任意の哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測するための方法を含む。したがって、本発明は、飼いブタ、反芻動物、ウマなどを非限定的に含む家畜、ならびに動物園または絶滅の危機に瀕した動物のスクリーニングを含む。
主として、本発明は、哺乳動物の細胞における1つまたは複数の核酸または遺伝子の発現レベルを決定することに基づく。「細胞」は、アレルゲンによって刺激されうる任意の細胞、例えば、T細胞などの末梢血単核細胞(PBMC)であってよい。PBMCは、リンパ球、マクロファージおよび単球のように、血流中に存在し、1つの核を有する細胞のことである。リンパ球はリンパ液およびリンパ組織中にも存在する。T細胞はリンパ球の一種であり、これらの細胞は、CD4またはCD8受容体が細胞の表面に発現されるか否かに従ってさらに細分することができる。
細胞は、哺乳動物の任意の生体試料中に位置してもよく、それから単離されてもよい。したがって、本明細書で用いる「生体試料」には、哺乳動物から単離された任意の生体材料が含まれる。好ましくは、生体試料は、骨髄、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚、気道、腸管および非尿生殖路の外部切片、涙液、唾液、乳、全血、血液細胞、腫瘍、臓器、またはインビボ細胞培養物の成分から単離された、組織または液体である。より好ましくは、生体試料は血液、リンパ液または血液成分である。最も好ましくは、生体試料は、末梢血からの骨髄由来単核細胞を含む。
生体試料は、単離後に直接、本明細書に記載した技術を用いて試験してもよく、または代替的に、生成されるデータの質を高めるためにさらに処理してもよい。この点に関して、本発明者らは、アレルゲンを用いた初期刺激によるアレルゲン特異的細胞の選択的増殖が、増殖を誘導して、当該細胞の頻度が哺乳動物から直接単離された生体試料中の同じ細胞よりも対数尺度で高い「細胞株」を作製するために有用であることに、文献から気づいた。文献はまた、必要に応じて、特定の細胞をクローニングすることによって、細胞をさらに濃縮および精製しうることも示している。
いくつかの態様においては、末梢血などの生体試料を、アレルギー性疾患の発症が疑われる、またはそれに対する感受性のある哺乳動物から採取する。続いて、生体試料を、血液から白血球を実質的に単離するように、すなわち、白血球を他の混入細胞から分離する(または別の様式で実質的に取り除く)ように、処理する。
本明細書で用いる場合、「単離された」という用語は、関心対象の分子、例えば白血球が、その自然環境の成分から同定および/または回収されることを意味する。その自然環境の混入成分は、その分子の使用に典型的には干渉すると考えられる材料である。
ひとたび単離されれば、続いて生体試料を、試料の細胞がアレルゲンと接触するように、アレルゲンに曝露させる。「アレルゲン」とは、哺乳動物において過敏性反応を引き起こす抗原のことである。一般的なアレルゲンには、花粉、ハウスダスト、動物の鱗屑、および種々の食物が含まれる。本明細書で用いる「環境アレルゲン」という用語は、アレルギー性疾患の発症と特異的な関連のあるアレルゲンのことを指す。例えば、アレルゲンには、ダニ(例えば、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)、ネッタイタマニクダニ(Blomia tropicalis))を含む動物のもの、例えばアレルゲンder p1(Scobie et al. (1994) Biochem. Soc. Trans. 22: 448S;Yssel et al. (1992) J. Immunol. 148: 738-745)、der p2(Chua et al. (1996) Clin. Exp. Allergy 26: 829-837)、der p3(Smith and Thomas (1996) Clin. Exp. Allergy 26: 571-579)、der p5、der p V(Lin et al. (1994) J. Allergy Clin. Immunol. 94: 989-996)、der p6(Bennett and Thomas (1996) Clin. Exp. Allergy 26: 1150-1154)、der p7(Shen et al. (1995) Clin. Exp. Allergy 25: 416-422)、der f2(Yuuki et al. (1997) Int. Arch. Allergy Immunol. 112: 44-48)、der f3(Nishiyama et al. (1995) FEBS Lett. 377: 62-66)、der f7(Shen et al. (1995) Clin. Exp. Allergy 25: 1000-1006);Mag 3(Fujikawa et al. (1996) Mol. Immunol. 33: 311-314)などが含まれうる。アレルゲンとして同じく関心の対象であるのは、イエダニアレルゲンTyr p2(Eriksson et al. (1998) Eur. J. Biochem. 251: 443-447)、Lep d1(Schmidt et al. (1995) FEBS Lett. 370: 11-14)およびグルタチオンS-トランスフェラーゼ(O'Neill et al. (1995) Immunol Lett. 48: 103-107);グルタチオンS-トランスフェラーゼと相同性のある25,589Daで219アミノ酸のポリペプチド(O'Neill et al. (1994) Biochim. Biophys. Acta. 1219: 521-528);Blo t 5(Arruda et al. (1995) Int. Arch. Allergy Immunol. 107: 456-457);ハチ毒ホスホリパーゼA2(Carballido et al. (1994) J. Allergy Clin. Immunol. 93: 758-767;Jutel et al. (1995) J. Immunol. 154: 4187-4194);ウシ皮膚/鱗屑抗原BDA 11(Rautiainen et al. (1995) J. Invest. Dermatol. 105: 660-663)およびBDA2O(Mantyjarvi et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 97: 1297-1303);主要ウマアレルゲンEqu c1(Gregoire et al. (1996) J. Biol. Chem. 271: 32951-32959);トビキバアリM. pilosulaアレルゲンMyr p Iおよびその相同なアレルゲン性ポリペプチドMyr p2(Donovan et al. (1996) Biochem. Mol. Biol. Int. 39: 877-885);ダニBlomia tropicalisの1〜13、14、16kDのアレルゲン(Caraballo et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 98: 573-579);ゴキブリアレルゲンBla g Bd90K(Helm et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 98: 172-80)およびBla g 2(Arruda et al. (1995) J. Biol. Chem. 270: 19563-19568);ゴキブリCr-PIアレルゲン(Wu et al. (1996) J. Biol. Chem. 271: 17937-17943);ハリアリ毒アレルゲン、Sol i 2(Schmidt et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 98: 82-88);昆虫Chironomus thummi主要アレルゲンChi t 1-9(Kipp et al. (1996) Int. Arch. Allergy Immunol. 110: 348-353);イヌアレルゲンCan f 1またはネコアレルゲンFel d 1(Ingram et al. (1995) J. Allergy Clin. Immunol. 96: 449-456);アレルゲン、例えばウマ、イヌまたはネコに由来するもの(Goubran Botros et al. (1996) Immunology 88: 340-347);分子質量が22kD、25kDまたは60kDのシカアレルゲン(Spitzauer et al. (1997) Clin. Exp. Allergy 27: 196-200);ならびにウシの20kd主要アレルゲン(Ylonen et al. (1994) J. Allergy Clin. Immunol. 93;851-858)である。
花粉および草木のアレルゲンには、例えば、Hor v9(Astwood and Hill (1996) Gene 182: 53-62, Lig v1(Batanero et al. (1996) Clin. Exp. Allergy 26: 1401-1410);Lol p 1(Muller et al. (1996) Int. Arch. Allergy Immunol. 109: 352-355)、Lol p II(Tamborini et al. (1995) Mol. Immunol. 32: 505-513)、Lol pVA、Lol pVB(Ong et al. (1995) Mol. Immunol. 32: 295-302)、Lol p 9(Blaher et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 98: 124-132);Par J I (Costa et al. (1994) FEBS Lett. 341: 182-186;Sallusto et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 97: 627-637)、Par j 2.0101(Duro et al. (1996) FEBS Lett. 399: 295-298);Bet v1(Faber et al. (1996) J. Biol. Chem. 271: 19243-19250)、Bet v2(Rihs et al. (1994) Int. Arch. Allergy Immunol. 105: 190-194);Dac g3(Guerin-Marchand et al. (1996) Mol. Immunol. 33: 797-806);Phl p 1(Petersen et al. (1995) J. Allergy Clin. Immunol. 95: 987-994)、Phl p 5(Muller et al. (1996) Int. Arch. Allergy Immunol. 109: 352-355)、Phl p 6(Petersen et al. (1995) Int. Arch. Allergy Immunol. 108: 55-59);Cry j I(Sone et al. (1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 199: 619-625)、Cry j II(Namba et al. (1994) FEBS Lett. 353: 124-128);Cor a 1(Schenk et al. (1994) Eur. J. Biochem. 224: 717-722);cyn d1(Smith et al. (1996) J. Allergy Clin. Immunol. 98: 331-343)、cyn d7(Suphiogluet al. (1997) FEBS Lett. 402: 167-172);Pha a 1、およびPha a 5のアイソフォーム(Suphioglu and Singh (1995) Clin. Exp. Allergy 25: 853-865);Cha o 1(Suzuki et al. (1996) Mol. Immunol. 33: 451-460);オオアワガエリまたはカバノキの花粉などに由来するプロフィリン(Valenta et al. (1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 199: 106-118);P0149(Wu et al. (1996) Plant Mol. Biol. 32: 1037-1042);Ory s1(Xu et al. (1995) Gene 164: 255-259);ならびにAmb a VおよびAmb t 5(Kim et al. (1996) Mol. Immunol. 33: 873-880;Zhu at al. (1995) J. Immunol. 155: 5064-5073)が含まれる。
真菌アレルゲンには、クラドスポリウム-ヘルバレム(Cladosporium herbarum)のCla h III(Zhang et al. (1995) J. Immunol. 154: 710-717);真担子菌ミナミシビレタケ(Psilocybe cubensis)由来の菌シクロフィリンであるPsi c 2(Homer et al. (1995) Int. Arch. Allergy Immunol. 107: 298-300);クラドスポリウム-ヘルバレムのcDNAライブラリーからクローニングされたhsp 70(Zhang et al. (1996) Clin Exp Allergy 26: 88-95);アオカビ(Penicillium notatum)の68kDアレルゲン(Shen et al. (1995) Clin. Exp. Allergy 26: 350-356);アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)(Achatz et al. (1995) Mol Immunol. 32: 213-227);エノラーゼ(Achatz et al. (1995) Mol. Immunol. 32: 213-227);YCP4(同上);酸性リボソームタンパク質P2(同上)が、非限定的に含まれる。
適した食物アレルゲンには、例えば、プロフィリン(Rihs et al. (1994) Int. Arch. Allergy Immunol. 105: 190-194);αアミラーゼ/トリプシンインヒビター遺伝子ファミリーに属するイネのアレルゲン性cDNA(Alvarez et al. (1995) Biochim Biophys Acta 1251: 201-204);オリーブの主要アレルゲンOle e I(Lombardero et al. (1994) Clin Exp Allergy 24: 765-770);カラシ由来の主要アレルゲンであるSin a 1(Gonzalez De La Pena et al. (1996) Eur J Biochem. 237: 827-832);サケの主要アレルゲンであるパルブアルブミン(Lindstrom et al. (1996) Scand. J Immunol. 44: 335-344);主要アレルゲンMal d 1などのリンゴアレルゲン(Vanek-Krebitz et al. (1995) Biochem. Biophys. Res. Commun. 214: 538-551);およびAra h Iなどのラッカセイアレルゲン(Burks et al. (1995) J Clin. Invest. 96: 1715-1721)が含まれる。
本明細書で用いる場合、「接触させること」という用語は、直接的および間接的に接触させることの両方を含む。この段階は、潜在的には、関心対象の1つまたは複数の核酸または遺伝子の発現レベルが調整される、記載される方法の刺激相を構成する。細胞は、当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、細胞を取り囲む液体に、細胞の遺伝子を活性化するのに十分な量でアレルゲンを添加することによって、アレルゲンと接触させることができる。または、細胞を、適した量のアレルゲンを含む溶液に添加してもよい。適した量のアレルゲンは、1μg/ml〜100μg/mlであってよい。いくつかの態様において、アレルゲンの量は10μg/ml〜100μg/mlであってよい。他の態様において、アレルゲンの量は30μg/mlであってよい。
細胞がアレルゲンと接触させられると、細胞内の関心対象の核酸または遺伝子が活性化されうる。本明細書で用いる場合、「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質またはRNA分子をコードする、ある長さのDNAのことを意味し、これはDNAの5'および3'非翻訳領域を含んでもよく、含まなくてもよい。「本発明の遺伝子」、「関心対象の遺伝子」および「アレルギー関連遺伝子」という用語は、アレルギー性疾患の臨床症状を呈する動物が、アレルゲンの存在下で非アレルギー性動物のそれとは異なるレベルで活性化される遺伝子を有するという点で、アレルギー性疾患と関連性のあることが示されている遺伝子のことを指す。本発明で用いるのに特に適した遺伝子には、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lがある。これらの遺伝子のそれぞれの詳細は、表1にまとめられている。
本発明のヌクレオチド配列には、対立遺伝子変異体などの、1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失の点で異なる配列が含まれてもよく、遺伝暗号の縮重性のために異なる配列も含まれると考えられる。
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核酸分子または遺伝子の生物活性断片も本発明の範囲内にある。「断片」という用語は、分子全体の一部分のことを意味する。断片のサイズは、それが,非アレルギー性動物におけるそれとは異なるレベルでアレルギー性動物で発現される能力というような完全長分子の生物活性を保たねばならないという点のみで制約される。
本明細書で用いる場合、「活性化された遺伝子」という用語は、関心対象の遺伝子に対応するmRNAが、哺乳動物において活発に転写されていること、および/または、その遺伝子によってコードされるタンパク質が哺乳動物において検出可能であることを意味する。したがって、「発現レベル」という用語は、核酸または遺伝子から転写されているmRNAの量のことを指し、下記のいくつかの態様においては、哺乳動物において検出可能なタンパク質の量のことを指す。
アレルギー性疾患などの疾患は、遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを伴う場合があることが知られている。遺伝子がアップレギュレートされるかダウンレギュレートされるかは、具体的な遺伝子および疾患といった要因に依存すると考えられる。ある種の疾患は一群の遺伝子と関連があり、遺伝子のいくつかはアップレギュレートされ、別のものはダウンレギュレートされる。したがって、本発明の遺伝子は、アレルギー性動物の細胞においてアップレギュレートされてもよく、すなわち非アトピー性動物の細胞におけるレベルと比較してより高い発現レベルを有してもよく、このことは、その遺伝子に対応するmRNAおよび/またはタンパク質が、非アトピー性動物の細胞におけるレベルと比較して、アレルギー性動物の細胞により多く存在することを意味する。または、本発明の遺伝子はダウンレギュレートされてもよい。本発明の複数の遺伝子がアレルギー性疾患と関連がある場合には、遺伝子のいくつかがアップレギュレートされ、別のものはダウンレギュレートされてもよい。
本発明によって提供される方法の多くが、被験対象における本明細書に記載した核酸(「関心対象の遺伝子」)の発現レベルの測定だけでなく、健常または正常な対象における発現レベルとの比較も必要とすることは、当業者には明らかであろう。したがって、いくつかの態様においては、「公知の基準」を作成するために、正常または非アレルギー性の哺乳動物からの細胞または遺伝子も同じアレルゲンと接触させる。すなわち、公知の基準は、前記のものと同じ方法によって健常または正常な対象から生成される確立されたデータセットから導き出すことができる。
本文脈において、「健常対象」または「非アレルギー性哺乳動物」という用語は、アレルギー性疾患に罹患していないことがわかっている哺乳動物対象を意味すると解釈されるものとし、そのような知識は対象に関する臨床データから導き出される。「正常対象」という用語は、前記対象由来の特定の試料中の関心対象の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現レベルまたは量が正常である対象個体のことを意味すると解釈されるものとする。当業者には公知であるように、対象の十分に大規模な標本から得られたデータは、正規化して、特定のパラメーターの平均レベルを決定するためのデータセットの生成を可能にすると考えられる。したがって、「公知の基準」は、アッセイされる、すなわち被験対象からの試料中の、mRNAまたはタンパク質の相対的な量とその後に比較するために、任意の対象の集団に関して、さらには前記対象由来の任意の試料に関して、決定することができる。そのような正規化データセットに依拠する場合には、ばらつきに関する対照とするために、実施する各アッセイに内部対照を含めることが好ましい。
核酸または遺伝子の発現レベルまたは発現パターンは、mRNAおよび/またはタンパク質のレベルの決定を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって決定することができる。本明細書で用いる場合、「差異を伴う発現(Differential expression)」または文法的等価物は、細胞および組織の内部および間での、時間的および/または細胞性の遺伝子発現パターンの質的または量的な違いのことを指す。発現の違いの度合いは、以下に概説するような標準的な特性決定法によって、例えば、参照により本明細書に明示的に組み入れられる、Affymetrix社のGeneChip(商標)発現アレイ、Lockhart, Nature Biotechnology 14:1675-1680 (1996)の使用などによって十分に測定しうる程度の大きさであればよい。他の手法には、インサイチューハイブリダイゼーション、ノーザンブロット法、RNアーゼ保護アッセイ、定量的逆転写酵素PCR(RT-PCR)分析(例えば、レーザー捕捉マイクロダイセクションを行った試料に対して行う)およびマイクロアレイ技術、例えば、核酸プローブをプローブとする組織マイクロアレイ、または核酸プローブをプローブとする核酸マイクロアレイ(すなわち、RNAマイクロアレイまたは増幅DNAマイクロアレイ)を用いるものが非限定的に含まれる。
関心対象の遺伝子をコードするDNAまたはRNAは検出可能であるが、特に関心がもたれるのは、関心対象の遺伝子によって発現されるmRNAを検出、測定または評価する方法である。mRNAを検出するためのプローブは、そのmRNAに対して相補的であってそれとハイブリダイズするヌクレオチド/デオキシヌクレオチドプローブであり、これには、オリゴヌクレオチド、cDNAまたはRNAが非限定的に含まれる。プローブはまた、本明細書で定義するような検出可能な標識も含むべきである。1つの方法において、mRNAは、検査しようとする核酸をナイロン膜などの固体支持体上に固定化した後に、プローブを試料とハイブリダイズさせることによって検出される。非特異的に結合したプローブを除去するための洗浄の後に、標識を検出する。もう1つの方法では、mRNAの検出はインサイチューで行われる。この方法では、透過処理した細胞または組織の試料を、検出可能なように標識した核酸プローブと、プローブが標的mRNAとハイブリダイズするのに十分な時間にわたって接触させる。非特異的に結合したプローブを除去するための洗浄の後に、標識を検出する。例えば、関心対象のタンパク質をコードするmRNAに対して相補的なジゴキシゲニン標識リボプローブ(RNAプローブ)は、ジゴキシゲニンを抗ジゴキシゲニン二次抗体と結合させて、ニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドイルリン酸を用いて発色させることによって検出される。
プローブには二本鎖または一本鎖の核酸が含まれうるが、ハイブリダイゼーションに用いる前に融解させる必要がないことから、一本鎖プローブが好ましい。その一方で、より長いプローブも好ましいが、これは、より短いプローブよりも高度のハイブリダイゼーションストリンジェンシーで用いることができ、より短いプローブよりもバックグラウンドのハイブリダイゼーションが少ないためである。
特にマイクロアレイ技術のために適したプローブに関して、オリゴヌクレオチドプローブを選択するための推奨される前提条件は、Lockhart et al., 1996, Nature Biotech, 14, 1675-1680に記載されている。
核酸プローブは、表1に列記されたような関心対象の遺伝子のコード鎖の内部にあるヌクレオチド配列を含みうる。そのような「センス」プローブは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、より好ましくは定量的PCRまたは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)などの増幅手順によって、RNAを検出するために有用である。または、試料中の発現タンパク質を検出するために有用なポリペプチドまたはその免疫活性誘導体を産生させるために、「センス」プローブを発現させることもできる。
本明細書で用いる「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は一般に、米国特許第4,683,195号に記載されたような、インビトロでの所望のヌクレオチド配列の増幅のための方法のことを指す。一般に、PCR法は、テンプレート核酸と選択的にハイブリダイズしうる2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR試薬の存在下でプライマー伸長合成のサイクルを繰り返すことを含む。典型的には、PCR法に用いられるプライマーは、増幅しようとするヌクレオチド配列の両端にあるか隣接するテンプレート内部のヌクレオチド配列に対して相補的であるが、増幅しようとするヌクレオチド配列に対して相補的なプライマーを用いることもできる。Wang, et al., in PCR Protocols, pp.70-75 (Academic Press, 1990);Ochman, et al., in PCR Protocols, pp. 219-227;Triglia, et al., Nucl. Acids Res. 16:8186 (1988)を参照のこと。
また、所望の配列と特異的に結合するプライマーを用いることによって、PCRを、特定の配列が存在するか否かを判定するために用いることもでき、この場合には増幅産物の存在によって特異的な結合複合体が形成されたことが示される。または、増幅された試料を電気泳動、例えばキャピラリーまたはゲル電気泳動によって分画し、適した支持体、例えばニトロセルロースに移行させ、続いてテンプレート配列の断片をプローブとして検索することもできる。対象配列を有するmRNAの検出により、遺伝子の活性化が示される。
「オリゴヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチドプローブ」とは、Engels, et al., Agnew. Chem. Int. Ed. Engl. 28:716-734 (1989)によって記載されたような公知の方法(例えば、トリエステル、ホスホルアミダイトまたはホスホン酸化学を含む)によって化学的に合成される、長さの短い一本鎖または二本鎖のポリデオキシヌクレオチドのことである。典型的には、続いてそれらを、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製する。本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、アレルギー関連遺伝子核酸内部の連続した核酸残基の領域に対して、好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイズするのに十分な相補性を有するDNA分子である。適切なハイブリダイゼーション条件を規定することは当技術分野の技能の範囲内にある。例えば、Maniatis et al., DNA Cloning, vols. I and II. Nucleic Acid Hybridisationを参照されたい。しかし、手短に述べると、核酸分子のハイブリダイゼーションまたはアニーリングのための「ストリンジェントな条件」とは、(1)洗浄のために低イオン強度および高温を用いる、例えば、50℃で0.015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いる、または(2)ハイブリダイゼーションの間にホルムアミドなどの変性剤を用いる、例えば、42℃で50%(vol/vol)ホルムアミド、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1% Ficoll/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5、750mM NaCl、75mMクエン酸ナトリウムを用いるものである。もう1つの例では、42℃で50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50μg/mL)、0.1% SDS、および10%硫酸デキストランを用い、42℃で0.2×SSCおよび0.1% SDS中にて洗浄する。
例示的なプローブには、少なくとも15核酸残基の長さであって、本発明のDNAの任意の15個またはそれ以上の連続した残基から選択されるオリゴマーが含まれる。好ましくは、本発明に用いられるオリゴマープローブは、少なくとも約20核酸残基の長さである。本発明はまた、150核酸残基またはそれ以上の長さのオリゴマープローブも想定している。当業者は、特定の長さのプローブと本発明のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを達成するための核酸ハイブリダイゼーション条件を容易に決定しうることを理解している。さまざまな長さのプローブに関して最適なハイブリダイゼーション条件を達成するためのそのような操作は、当技術分野で周知である。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor (1989)を参照されたい。
本明細書で用いる場合、「PCR試薬」という用語は、テンプレート核酸配列以外の、PCR工程を行うために必要な化学物質のことを指す。これらの化学物質は一般に、次の5つのクラスの成分からなる:(i)水性緩衝液、(ii)水溶性マグネシウム塩、(iii)少なくとも4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)、(iv)オリゴヌクレオチドプライマー(通常、各テンプレート配列につき2つのプライマーであり、その配列は二本鎖テンプレート配列の2つの相補鎖の5'末端を規定する)、および(v)ポリヌクレオチドポリメラーゼ、好ましくはDNAポリメラーゼ、より好ましくは熱安定性DNAポリメラーゼ、すなわち少なくとも合計10分間にわたる90℃〜100℃の温度に、その活性の約半分以上を失うことなく耐えうるDNAポリメラーゼ。
慣例的な4つのdNTPは、チミジン三リン酸(dTTP)、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)およびデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)である。これらの慣例的なデオキシリボヌクレオチド三リン酸に、慣例的な4つの塩基のようなワトソン-クリック塩基対を形成する塩基類似体を含むdNTP、例えばデオキシウリジン三リン酸(dUTP)を補充すること、またはそれと置き換えることもできる。
検出可能な標識を増幅反応に含めることもできる。ビオチン標識ヌクレオチドは、ニックトランスレーション、化学的および酵素的な手段などの手法によってDNAまたはRNAに組み入れることができる。ビオチン化プローブは、ハイブリダイゼーションの後に、アビジン/ストレプトアビジン、蛍光標識剤、酵素、金コロイド結合体などの表示手段を用いて検出される。また、核酸を他の蛍光化合物、免疫検出可能な蛍光誘導体、ビオチンアナログなどによって標識することもできる。また、核酸をタンパク質との連結によって標識することもできる。放射性または蛍光性のヒストン一本鎖結合タンパク質と架橋した核酸を用いてもよい。当業者は、本発明の実施に用いるために利用しうる、オリゴマープローブを検出するための他の適切な方法、および他の適した検出可能な標識があることを認識しているであろう。さらに、化学合成の間に、蛍光残基をオリゴヌクレオチドに組み入れることもできる。好ましくは、本発明のオリゴマープローブは、その検出を容易にするように標識される。検出可能な標識は、視覚的にまたは装置の助けを借りて検出しうる任意の種または部分でよい。
適した標識には、蛍光色素、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、2',7'-ジメトキシ-4',5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシ-2',4',7',4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)またはN,N,N',N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、放射性標識、例えば32P、35S、3Hなど、ならびに他のものが含まれる。蛍光化合物のもう1つの群は、α位またはβ位にアミノ基を有するナフチルアミンである。そのようなナフチルアミノ化合物には、1-ジメチルアミノナフチル-5-スルホネート、1-アニリノ-8-ナフタレンスルホネートおよび2-p-トルイジニル(touidinyl)-6-ナフタレンスルホネートが含まれる。他の色素には、3-フェニル-7-イソシアナトクマリン、9-イソチオシアナトアクリジンなどのアクリジン、アクリジンオレンジ;N-(p-(2-ベンゾキサゾリル)フェニル)マレイミド;ベンゾキサジアゾール、スチルベン、ピレンなどが含まれる。最も好ましくは、蛍光化合物は、VIC、カルボキシフルオレセイン(FAM)、Lightcycler(登録商標)640およびCy5からなる群より選択される。
標識は、増幅されたDNAにビオチン、ハプテン、または高親和性の結合パートナーを有する同様な物質、例えばアビジン、特異抗体などを結合させ、結合パートナーに検出可能な標識を結合させる2段階システムでもよい。標識は一方または両方のプライマーに結合させることができる。または、増幅に用いられるヌクレオチドのプールを標識し、標識が増幅産物に組み入れられるようにする。
RT-PCRは、mRNAをcDNAに変換する逆転写酵素を従来のPCRの前に用いて、公知のmRNA配列を増幅することのできる、PCRの一形態である。その最も簡単な実施においては、産物が検出不能な時点(典型的には約サイクル20)から始めて対数期全体に延長する形で、数サイクル毎にアリコートをPCRから取り出す。続いて産物を電気泳動で分離し、濃度測定、蛍光またはホスホイメージングによって定量する。または、自動PCR/蛍光検出システムに接続して、増幅の各サイクルの進行に伴うPCR産物の形成を報告するために、蛍光シグナルを利用することもできる(Heid C. A., Stevens J., Livak K. J., Williams P. M. Real time quantitative PCR. Genome Res. 1996; 6:986-994)。リアルタイムRT-PCRのために適した検出システムには、SYBR(登録商標)Green(Molecular Beacons)、Scorpions(登録商標)(Molecular Probes)およびTaqMan(登録商標)(Applied Biosystems)が含まれる。
ある特に好ましい態様において、本発明は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許(第6,140,054号および第6,174,670号)に開示されたFRETプローブの利用といった閉鎖管または均一アッセイ系の大部分を利用するために、統合型のPCRおよびハイブリダイゼーションプローブシステムを利用する。その最も簡単な構成の1つにおいて、FRETまたは「蛍光共鳴エネルギー移動」アプローチは、増幅される核酸の同じ鎖の隣接部位に結合する2つのオリゴヌクレオチドを利用する。一方のオリゴヌクレオチドは、第1の波長で光を吸収し、それに応答して光を発するドナー蛍光体で標識され、第2のものは、第1のドナーの発する光に応答して蛍光を発する能力のある(しかし、第1のドナーを励起する光源では実質的に発光せず、その発光を第1の蛍光体の発光と識別することのできる)アクセプター蛍光体で標識される。この構成では、第2のすなわちアクセプター蛍光体は、2つのオリゴヌクレオチドが、増幅される核酸の隣接部位にハイブリダイズして近接して存在する場合に起こるように(例えばPCRのアニーリング段階において)、第1すなわちドナー蛍光体に近接して存在して蛍光発生複合体を形成するような場合に、蛍光強度の大幅な上昇を示す。増幅される核酸が蓄積するにつれて、アクセプタープローブからの蛍光強度が上昇し、これを測定することができる。したがって、本方法は、産物が形成される間に、その量を検出することができる。PCRに基づくアッセイにおけるFRETプローブの利用に対して適用される、もう1つの単純な態様では、標識オリゴヌクレオチドの1つはPCRに用いられるプライマーでもある場合がある。この構成では、その全体が参照により本明細書に含められる、Neoh et al(J Clin Path 1999;52:766-769)、von Ahsen et al(Clin Chem 2000;46:156-161)に記載されているように、標識PCRプライマーは第2の標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズするDNA鎖の一部である。
当業者は、増幅およびハイブリダイゼーションプローブを用いた増幅の検出を、例えば、まずPCR増幅を行い、続いて増幅された核酸の量を測定するための条件下でハイブリダイゼーションプローブを添加することによって、2つの別々の段階で実施しうることを理解するであろう。しかし、本発明の1つの好ましい態様では、閉鎖管または均一アッセイ系の大部分を利用するために、統合型のPCRおよびハイブリダイゼーションプローブシステムを利用し、これはRoche Lightcycler(登録商標)または他の同様の仕様のもしくは適切に構成された装置を用いて行われる。
そのようなシステムは、本明細書に記載した検出法にも適合すると考えられる。当業者は、欠失および挿入に加えて点変異を検出するために適切に設計されていれば、そのようなプローブを対立遺伝子の識別のために用いうることを理解するであろう。代替的または追加的に、当業者に周知の方法による対立遺伝子の識別のために非標識PCRプライマーを設計することもできる(Ausubel 1989-1999)。
また、均一および/または閉鎖管における増幅の検出を、例えば、PCR反応にTaqMan(登録商標)ハイブリダイゼーションプローブを用い、十分な増幅が行われた後に標的核酸に対して特異的な蛍光を測定するといった、当技術分野におけるさまざまな手段を用いて行いうることも、当業者に理解されるであろう。
当業者は、TaqManアプローチに基づくもの(米国特許第5,538,848号および第5,691,146号)、蛍光偏向測定(例えばGibson et al., Clin Chem, 1997; 43: 1336-1341)、およびInvaderアッセイ(例えばAgarwal P et al., Diagn Mol Pathol 2000 Sep; 9(3): 158-164;Ryan D et al, Mol Diagn 1999 Jun; 4(2): 135-144)といった他の同様な定量的「リアルタイム」および均一核酸増幅/検出システムも存在することを認識しているであろう。そのようなシステムも、記載した本発明を用いるように適合化されて、核酸増幅のリアルタイムモニタリングを可能にすると考えられる。
ノーザンブロット分析は、変性ゲル電気泳動によってサイズに基づいてRNA種を分画し、その後にキャピラリー式、バキューム式または加圧式ブロッティングによってRNAを膜に移行させることを伴う(Sambrook, J., Fritsch, E. F. & Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)。RNAは、短波長紫外光に対する曝露により、または真空オーブン内で80℃に加熱することにより、見かけ上の非共有相互作用で膜に結合させることができる。関心対象のRNA配列は、オリゴヌクレオチドプローブに対するハイブリダイゼーションによってブロット上で検出される。ノーザンブロット検出用のプローブは一般に完全または部分的なcDNA配列を含み、放射標識(通常は32Pまたは33P)ヌクレオチドの酵素的組み入れにより、またはその後の化学発光検出用にビオチンなどのハプテンを結合させたヌクレオチドにより、標識することができる。プローブのハイブリダイゼーションおよび非特異的標識を除去するための洗浄の後、ハイブリダイゼーションシグナルは、必要であれば化学発光基質との事前のインキュベーションの後に、X線フィルムまたは蛍リン光体貯蔵プレートにブロットを露光させることによって一般に検出される。その結果として生じ、プローブによって同定されたバンドはmRNAのサイズを示し、バンドの強度は相対的存在量に対応する。オートラジオグラフのバンド強度は、密度測定によって、ハイブリダイズした放射標識プローブの貯蔵蛍リン光体画像化を用いた直接測定によって、または励起されたバンドのシンチレーション計数によって定量することができる。
RNアーゼ保護アッセイ(RPA)は、標識プローブと標的mRNAとのハイブリダイゼーションを伴うという点で、ノーザンブロットと同じ原理で働く。しかし、RPAでは、ハイブリダイゼーションは、事前のゲル分画またはブロッティングを伴わずに、標識アンチセンスRNAプローブおよび標的mRNAを含む溶液中で起こる(Azrolan N., Breslow J. L. A solution hybridization/RNase protection assay with riboprobes to determine absolute levels of apo B, apo A-I and apo E mRNA in human hepatoma cell lines. J. Lipid Res. 1990; 31:1141-1146;Sambrook, J., Fritsch, E. F. & Maniatis, T. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)。数時間のインキュベーションの後に、ハイブリダイズしなかったプローブおよび試料RNAを酵素的に分解し、残ったハイブリッドを変性ポリアクリルアミドゲルによって電気泳動して、オートラジオグラフィーまたはホスホルイメージングによって描出する。または、シンチレーション計数による直接定量のために、RNアーゼ抵抗性ハイブリッドを沈降させてフィルターに結合させる(Melton D. A., Krieg P. A., Rebagliati M. R., Maniatis T., Zinn K., Green M. R. Efficient in vitro synthesis of biologically active RNA and DNA hybridization probes from plasmids containing a bacteriophage SP6 promoter. Nucleic Acids Res. 1984; 12:7035-7056)。さらに、mRNAセンス鎖に対応する非標識RNA転写物との滴定反応を行うことにより、絶対的RNAレベルを決定することができる。
例えば、アレルギーを発症するリスクがより高い対象、特にヒト対象の公衆衛生的スクリーニングといった、多数の試料のハイスループットスクリーニングのためには、マイクロアレイ技術が好ましいアッセイ形式である。
そのようなハイスループット形式に準拠して、DNA分子の固定化アレイを作製するための手法が当技術分野で記載されている。一般に、大部分の先行技術の方法は、例えば、固体基質上のさまざまな離散的な場所に配列のさまざまな順列置換物を構築するためのマスキング法を用いて、一本鎖核酸分子アレイをいかにして合成するかを記載している。その内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,837,832号は、超大規模集積技術に基づいてシリコン基質に固定化されたDNAアレイを作製するための改良された方法を記載している。詳細には、米国特許第5,837,832号は、固定化DNAアレイを作製するために用いられる基質上の空間的に規定された位置にプローブの特定のセットを合成するための「タイリング(tiling)」と呼ばれる方策を記載している。米国特許第5,837,832号はまた、同じく用いうるより以前の手法に関する参考文献も提供している。
このようにして、DNAは基質の表面上にインサイチュー合成される。しかし、例えば、ピンまたは圧電デバイスを備えたロボット工学デバイスを用いて、基質にDNAを直接印刷することもできる。
多数のポリヌクレオチド配列が、典型的には、固体基質の離散的領域上または領域内に固定化される。基質は基質内部への固定化が可能となるように多孔性であるか、または実質的に無孔性であり、この場合にはライブラリー配列は典型的には基質の表面に固定化される。固体基質は、ポリペプチドが直接的または間接的に結合しうる任意の材料でできている。適した固体基質の例には、平板ガラス、シリコンウエハー、マイカ、セラミック、ならびにポリスチレンおよびポリメタクリレートを含むプラスチックなどの有機ポリマーが含まれる。また、広く販売されているニトロセルロースまたはナイロン膜などの半透過性膜を用いることもできる。半透過性膜は、ガラスなどの比較的強固な固体表面上に置かれる。表面は任意で、金、白金または他の遷移金属などの金属の層でコーティングしてもよい。適した固体基質の具体的な例には、市販されているBIACore(商標)チップ(Pharmacia Biosensors)がある。
ハイスループットスクリーニングのための、試料またはプローブには一般に、例えばWO 96/17958号に記載されたような、ガラスまたは他の固体マトリックス上にある核酸のアレイを含む。高密度アレイを作製するための手法は、例えば、Fodor et al., 1991, Science, 767-773および米国特許第5,143,854号に記載されている。他のアッセイ形式のための典型的なプロトコールは、例えば、Current Protocols In Molecular Biology, Unit 2 (Northern Blotting), Unit 4 (Southern Blotting)およびUnit 18 (PCR Analysis), Frederick M. Ausubul et al. (ed)., 1995に記載がある。
本発明のこの局面に従った検出手段は、例えば、核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅反応(例えば、PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)システム、逆ポリメラーゼ連鎖反応(iPCR)、インサイチューポリメラーゼ連鎖反応またはRT-PCRといった、核酸に基づく任意の検出手段であってよい。
プローブは、同定可能なシグナルを生じるレポーター分子(例えば、32Pもしくは35Sなどの放射性同位体、または蛍光性もしくはビオチン化された分子)により標識可能である。この態様によれば、当業者は、前記レポーター分子の検出によってプローブの同定が得られること、およびハイブリダイゼーション反応の後に、試料中の対応するヌクレオチド配列の検出が容易になることを了解するであろう。単一のプローブを用いて得られたアッセイ結果を裏づけるために、別のプローブを用いることもできる。
検出手段が、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応または核酸配列に基づく増幅(NASBA)システムまたはそれらの変形物などの増幅反応である場合には、少なくとも約20個の連続ヌクレオチドの長さである1つまたは複数の核酸プローブ分子を、タンパク質をコードするmRNAとハイブリダイズさせ、または代替的には、前記mRNAから生成されるcDNAまたはcRNAとハイブリダイズさせ、テンプレートの核酸コピーを酵素的に増幅させる。
1つの形式では、PCRは、ハイブリダイズしたプローブが、熱安定性DNAポリメラーゼ酵素の制御下で介在領域内の核酸の5'→3'合成を促すように配置されるように、二本鎖核酸テンプレート分子の種々の鎖(すなわち、DNA/RNA、RNA/RNAまたはDNA/DNAテンプレート)に対する非相補的プローブのハイブリダイゼーションを与える。この態様によれば、本明細書に記載したような1つのセンスプローブおよび1つのアンチセンスプローブを用いて、ハイブリッドRNA/DNAテンプレートまたはcDNAからDNAを増幅することが考えられる。
本文脈において、cDNAは一般に、試験される試料中に存在するmRNAの逆転写(すなわち、RT-PCR)によって生成される。RT-PCRは、関心対象の遺伝子の発現を判定することが望ましい場合には特に有用である。また、mRNA/DNAハイブリッド分子をこのような増幅反応のテンプレートとして用いること、およびその結果として、増幅反応の前に行う必要があるのは第一鎖cDNA合成だけであることも、当業者には公知である。
本明細書に記載した態様の変形物は、McPherson et al., PCR: A Practical Approach. (series eds, D. Rickwood and B.D. Hames), IRL Press Limited, Oxford. pp 1-253, 1991に詳細に記載されている。
遺伝子から転写されたmRNAの量を検出するもう1つの方法は、特定の核酸マイクロアレイおよびマイクロチップ技術を用いることを含む。マイクロアレイは遺伝子発現を分析するためのツールであり、典型的には、小型の膜またはスライドガラスの上に多くの核酸分子の試料が規則的パターンで配列しているものからなる。核酸マイクロアレイは、所定のmRNA分子が、その起源となったDNAテンプレートとハイブリダイズするという能力を利用することによって動作する。多くの核酸試料を含むアレイを用いることにより、アレイ上の各部位に結合したmRNAの量を測定することによって、多数の遺伝子の発現レベルを決定することができる。コンピュータを利用することで、各部位に結合したmRNAの量を正確に測定することができる。さまざまな標識を用いることができ、最も一般的なものは放射性同位体、特に32Pである。しかし、ポリヌクレオチドへの導入用のビオチン修飾ヌクレオチドを用いるといった他の手法を用いることもできる。ビオチンはその後に、アビジンまたは抗体に対する結合のための部位としての役割を果たし、後者を放射性同位体、蛍光団、発色団などの多岐にわたる標識で標識してもよい。Keller, et al., DNA Probes, pp.149-213 (Stockton Press, 1989)。または、DNA二重鎖、RNA二重鎖およびDNA-RNAハイブリッド二重鎖またはDNA-タンパク質二重鎖を含む、特定の二重鎖を認識しうる抗体を用いてもよい。続いて抗体を標識し、表面上の二重鎖の形成によって二重鎖と結合した抗体の存在が検出可能なように、二重鎖が表面に結合する様式でアッセイを行うこともできる。
本発明の1つの態様において、最初の手順は、オリゴヌクレオチドマトリックスまたはマイクロチップの製造を伴う。これらは一連の固定化された合成オリゴマーを含み、前記オリゴマーは転写因子DNAの所望の部分に対する相補的配列を含むように合成されている。続いて、オリゴマーを、クローニングまたはPCR増幅を行った転写因子核酸とハイブリダイズさせるが、前記ハイブリダイゼーションは上記に概説したストリンジェントな条件下で行う。高度にストリンジェントな条件では、ハイブリダイゼーションの際に、マイクロチップに埋め込まれた配列と標的配列との間での完璧またはほぼ完璧な合致のみが保証される。
それぞれの初期ハイブリダイゼーションの後に、大部分のミスマッチ性の断片を除去するためにチップを洗浄する。続いて、結合したDNA断片を取り出すために反応混合物を変性させ、その後にこれらを蛍光マーカーで標識する。次に、固定化オリゴヌクレオチドの異なるセットを含む配列マイクロチップ上で、標識DNA断片による2回目のハイブリダイゼーションを行う。最初にこれらの断片を、より短い長さに切断してもよい。固定化オリゴヌクレオチドの異なるセットは、全シークエンシング、部分的シークエンシング、配列比較または配列同定のために必要なオリゴヌクレオチドを含んでもよい。最終的に、この第2のハイブリダイゼーション段階による蛍光は、例えば、CCDカメラを接続したエピ蛍光顕微鏡を用いて検出することができる(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,851,772号を参照されたい)。
本発明の分子の発現を検出するもう1つの方法は、マイクロ流体技術を用いることである。マイクロ流体デバイスは1μm未満の流路を含み、電場を用いて流体の流速を制御する。マイクロ流体技術は、マイクロ流体流路のネットワークに加えて組み込み型ポンプを用いる核酸またはタンパク質マイクロアレイに応用することができる(Lenigk R, Liu RH, Athavale M, Chen Z, Ganser D, Yang J, Rauch C, Liu Y, Chan B, Yu H, Ray M, Marrero R, Grodzinski P: Plastic biochannel hybridization devices: a new concept for microfluidic DNA arrays. Anal Biochem 2002, 311:40-49;Wang Y, Vaidya B, Farquar HD, Stryjewski W, Hammer RP, McCarley RL, Soper SA, Cheng YW, Barany F: Microarrays assembled in microfluidic chips fabricated from poly (methyl methacrylate) for the detection of low-abundant DNA mutations. Anal Chem 2003, 75:1130-1140;Barry R, Scrivener E, Soloviev M, Terrett J: Chip-Based Proteomics Technologies. Int Genomic / Proteomic Technology 2002, 14-22;Scrivener E, Barry R, Platt A, Calvert R, Masih G, Hextall P, Soloviev N, Terrett J: Peptidomics: A new approach to affinity protein microarrays. Proteomics 2003, 3:122-128;Barry R, Diggle T, Terrett J, Soloviev M: Competitive assay formats for high-throughput affinity arrays. J Biomol Screen 2003, 8:257-263)。または、液体中に存在する気泡の振動(固体表面での)を誘導するための音場の使用を伴う、キャビテーションマイクロストリーミング(cavitation microstreaming)を用いることもできる(Liu RH, Lenigk R, Druyor-Sanchez RL, Yang J, Grodzinski P: Hybridization enhancement using cavitation microstreaming. Anal Chem 2003, 75:1911-1917)。
いくつかの態様において、本発明は、本明細書に定義した正常または健常な対象からの「発現パターン」を提供し、これは正常試料における1つまたは複数の関心対象の遺伝子の遺伝子発現レベルまたは量を示す。これはしばしば、「標準的発現パターン」、すなわち、正常または非アトピー性の対象から採取した1つまたは複数の関心対象の遺伝子のパターンと呼ばれる。被験対象から採取した試料における発現パターンをこれらの標準的発現パターンと比較することにより、「変化した」発現パターン、すなわち、「標準的発現パターン」と同じでないものの有無を突き止めることによって、特定のアレルギー性疾患に対する被験対象の感受性または素因を決定することができる。
「公知の標準的パターン」という用語は、源として、健常細胞から、好都合には類似の起源のものから導き出されるパターンを含む。いくつかの態様において、標準的パターンは、ある特定の細胞種および/またはある特定の細胞区画の多くの試料の平均である。もう1つの態様において、標準的パターンは、アレルギー性疾患の発症前の対象から、またはアレルギー性疾患に罹患していない細胞から導き出すことができる。または、もう1つの態様において、標準的パターンは、数多くの源から得られたパターンの平均であることができ、例えば、標準的パターンは、2例またはそれ以上の非アトピー性対象から得られたパターンの平均であってよい。
「常軌を逸した(aberrant)レベル」または「異常パターン」という言い回しは、非アトピー性対象から採取した試料のmRNAのレベルと異なる、細胞、細胞区画またはオルガネラにおけるmRNAの任意のレベル、量または濃度を含む。
いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、少なくともCAMK2DおよびCDH1を含む、特定の配列または遺伝子の一団の形成を含む。そのほかの一団を構築することもでき、それはSLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LまたはLIX1Lの任意のものを含むと考えられる。
他の態様において、その一団はさらに、DACT1、IL17RB、KRT1、LNPEP、MAL、NCOA3、OAZ、PECAM1、PLXDC1、RASGRP3、SLC39A8、XBP1、NDFIP2、RAB27B、GNG8、GJB2およびCISHからなる群より選択される1つまたは複数の特定の配列を含む。
いくつかの態様において、核酸または遺伝子の「発現レベル」は、アレルギー性対象における関心対象の遺伝子によってコードされるタンパク質の量を検出し、それを正常対象における核酸またはタンパク質の量と比較することによって決定される。「関心対象のタンパク質」または「本発明のタンパク質」という用語は、関心対象の遺伝子から転写および翻訳されるタンパク質か、または関心対象の遺伝子によってコードされるタンパク質のことを指す。
本明細書で用いる「相対量」または「相対レベル」という用語は、前記タンパク質の公知の量に対して規準化または標準化された、1つまたは複数の関心対象の遺伝子によってコードされる各核酸(例えば、mRNA)またはタンパク質のレベル、量または濃度のことを指す。当技術分野ではタンパク質の相対量を測定するための数多くの方法が公知である。例えば、さまざまな型の固相酵素免疫アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが当技術分野で周知である。ウエスタンブロット法、ドットブロット法、FACS分析などの他の手法を用いることもできる。
最も好ましくは、相対量を決定する方法は、定量的な結果を直接生成することができる。
いくつかの態様において、試料中のタンパク質の相対量は、対象由来の試料を、特定のタンパク質と結合しうる抗体またはその免疫原性断片もしくはエピトープと接触させ、続いて抗原-抗体複合体の形成を検出システムを用いて検出することによって測定される。
本明細書で想定している好ましい検出システムには、対象から単離された試料中のタンパク質またはそれに結合した抗体を検出するための任意の公知の方法が含まれ、これには例えば、SDS/PAGE、等電点電気泳動(isoelectric focussing)、SDS/PAGEおよび等電点電気泳動を含む二次元ゲル電気泳動、イムノアッセイ、抗体またはタンパク質の非抗体性リガンド、例えば、低分子(例えば、化合物、タンパク質の作動薬、拮抗薬、アロステリックモジュレーター、競合性阻害薬または非競合性阻害薬)を用いる検出を基にしたシステムがある。これらの態様によれば、抗体または低分子を、タンパク質の検出に適用しうる任意の標準的な固相または溶液相の形式で用いることができる。光学検出または蛍光検出、例えば、質量分析、MALDI-TOF、バイオセンサー技術、微細光ファイバーまたは蛍光共鳴エネルギー転移などは、明らかに本発明に含まれる。大量の試料のハイスループットスクリーニングに用いるのに適した検出システム、特にハイスループット分光共鳴法(例えば、MALDI-TOF、エレクトロスプレーMSまたはナノエレクトロスプレーMS)は、特に想定されている。
イムノアッセイ形式、例えば、イムノブロット、ウエスタンブロット、ドットブロット、固相酵素免疫アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイからなる群より選択されるものは、特に好ましい。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、同位体コード化アフィニティータグ(isotope-coded affinity tag)(ICAT)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間法(MALDI-TOF)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、バイオセンサー技術、微細光ファイバー技術またはタンパク質チップ技術を利用する改変イムノアッセイも有用である。
標準的な固相ELISA形式は、種々の試料からのタンパク質の濃度を決定するのに特に有用である。
本明細書における1つまたは複数の抗体に対する言及は、単独であるか他の部分(moiety)と結合している、完全なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ならびにそれらの部分を含む。抗体部分にはFabおよびF(ab)2フラグメントならびに一本鎖抗体が含まれる。抗体は、適した実験動物においてインビボで作製してもよく、または組換え抗体(一本鎖抗体またはSCABSなど)の場合には、インビトロで組換えDNA法を用いて作製してもよい。
抗体の調製および特性決定のための手段は当技術分野で周知である(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照。これは参照により本明細書に組み入れられる)。抗体は、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lなどの遺伝子によってコードされるタンパク質またはペプチドに基づく合成ペプチドに対して調製することが好都合である。
本明細書に記載した検出システムで用いられる抗体は、一般に、その各々の標的と特異的に結合する。ポリペプチドと「特異的に結合する」という語句は、本発明のタンパク質に対する抗体の結合が、タンパク質および他の生物製剤の異種混交的な集団におけるタンパク質の存在を決定づけることを意味する。すなわち、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定された抗体は、特定のタンパク質とバックグラウンドの少なくとも2倍で、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍を上回って結合する。典型的には、本発明の抗体は、関心対象のタンパク質と、少なくとも約0.1mM、より一般的には少なくとも約1μM、好ましくは少なくとも約0.1μM、最も好ましくは少なくとも0.01μMのKdで結合する。
検出システムの1つの形態では、試料を、例えばポリスチレン製またはポリカーボネート製のマイクロウェルまたはディップスティック、膜またはガラス支持体(例えば、スライドガラス)などの固体マトリックス上に固定化する。続いて、関心対象のタンパク質と特異的に結合する抗体を、固定化された試料と直接接触させて、前記試料中に存在するその標的タンパク質のいずれかと直接的な結合を形成させる。添加される抗体は一般に、検出可能なレポーター分子、例えば、蛍光標識(例えば、FITCまたはTexas Red)または酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))、アルカリホスファターゼ(AP)またはβ-ガラクトシダーゼなどによって標識されている。代替的または追加的に、第1の抗体または単離された/組換え抗原と結合する第2の標識抗体を用いることもできる。結合しなかった抗体または抗原を除去するための洗浄の後に、標識を適宜、蛍光標識の場合には直接的に、または例えば過酸化水素、TMBもしくはトルイジンもしくは5-ブロモ-4-クロロ-3-インドール-β-D-ガラクトピラノシド(galaotopyranbside)(x-gal)といった基質の添加によって検出する。
そのようなELISAを基にしたシステムは、例えば、既知の量の標準物質に対して検出システムを較正することなどによる、試料中の関心対象のタンパク質の量の定量のために特に適している。
もう1つの形態において、ELISAは、本発明のタンパク質と特異的に結合する抗体を、例えば膜、ポリスチレン製もしくはポリカーボネート製のマイクロウェル、ポリスチレン製もしくはポリカーボネート製のディップスティック、またはガラス支持体といった固体マトリックス上に固定化することからなる。続いて試料を前記抗体と物理的に関係させて、試料中の抗原を結合させる、または「捕捉」させる。続いて、結合したタンパク質を標識抗体を用いて検出することができる。例えば、タンパクがヒト試料から捕捉されたならば、捕捉されたタンパク質を検出するために抗ヒト抗体を用いる。または、第2の(検出用)抗体と結合する第3の標識抗体を用いることもできる。
本明細書に記載した検出システムが、Mendoza et al., 1999, Biotechniques, 27(4): 778-788に記載されたように、ハイスループット形式に、例えばスクリーニング過程の自動化またはマイクロアレイ形式などに適用可能であることは、当業者には明らかであろう。さらに、例えば競合ELISAのような、上記の検出システムの変形物も当業者には明らかであろう。
別の箇所に記載したように、ウエスタンブロット法も、試料中の本発明のタンパク質を検出するため、およびその相対量を測定するために有用である。そのような検出システムでは、試料からのタンパク質を、当技術分野で周知であって、例えば、Scopes(Protein Purification: Principles and Practice, Third Edition, Springer Verlag, 1994中)に記載されている手法を用いて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を用いて分離する。続いて、分離されたタンパク質を、当技術分野で周知の方法、例えばエレクトロトランスファーを用いて、例えば、膜またはより具体的にはPVDF膜などの固体支持体に移行させる。続いて、この膜をブロックして、関心対象のタンパク質と特異的に結合する標識された抗体またはリガンドをプローブとして用いて検索することができる。または、標識された二次性、またはさらには三次性の抗体またはリガンドを、特異的な一次抗体の結合を検出するために用いることもできる。続いて、膜を剥がして、例えば抗β-アクチン抗体をプローブとして用いて再び検索することもできる。続いて、免疫反応性バンドを濃度測定分析に供して、試料内部のβアクチンのレベルに対する補正によって、タンパク質の相対量を計算することができる。
関心対象のタンパク質またはそれと結合した抗体の有無を検出するためのハイスループット方法が特に好ましい。
いくつかの態様においては、タンパク質の迅速同定のためにMALDI-TOFが用いられる。したがって、関心対象のタンパク質と特異的に結合する抗体またはリガンドを用いて関心対象のタンパク質を検出する必要はない。その代わりに、試料由来のタンパク質を当技術分野で周知の方法を用いるゲル電気泳動を用いて分離し、分子量および/または等電点がほぼ正しいタンパク質を、関心対象のタンパク質の有無を判定するためにMALDI-TOFを用いて分析する。
または、例えばPBMCなどの試料中の特定のタンパク質の濃度を決定するために、MALDIまたはESIまたは複数のアプローチの組み合わせを用いる。
バイオセンサーデバイスは一般に、電流またはインピーダンス測定素子と組み合わされた電極表面を、アッセイ基板と組み合わせてデバイス中に組み込んで用いる(米国特許第5,567,301号に記載されたものなど)。関心対象のタンパク質と特異的に結合する抗体またはリガンドは、好ましくはバイオセンサーデバイスの表面に組み入れられ、対象から単離された試料を前記デバイスと接触させる。バイオセンサーデバイスによって検出される電流またはインピーダンスの変化により、前記抗体またはリガンドに対するタンパク質の結合が示される。当技術分野で公知のバイオセンサーのいくつかの形態は、タンパク質相互作用を検出するために表面プラズモン共鳴にも依拠しており、この場合には反射面プラズモン共鳴の変化により、リガンドまたは抗体に対するタンパク質の結合が示される(米国特許第5,485,277号および第5,492,840号)。
バイオセンサーはハイスループット分析において特に有用であり、これは、このようなシステムをミクロスケールまたはナノスケールに順応させることが容易なためである。さらに、このようなシステムはいくつもの検出試薬を組み入れるように都合良く順応しており、単一のバイオセンサーユニットで診断試薬を多重に用いることを可能にする。これは少量の体液中のいくつものエピトープの同時検出を可能にする。
微細バイオセンサーは、関心対象のタンパク質の検出の前に試料の前処理を必要としないことからも好ましい。微細バイオセンサーは一般に、蛍光分子、例えばプローブの表面の近くに付着させた蛍光性抗体などと相互作用して、診断用タンパク質の抗体またはリガンドとの結合によって異なる波長の蛍光を発せさせる、波長が事前に判明している光に依拠する。
タンパク質チップを作製するためには、特異抗体または関心対象のタンパク質と結合しうるタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体またはリガンドを、例えばガラス、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、酸化ケイ素および金属または窒化ケイ素などの固体支持体と結合させる。この固定化は直接的(例えば、共有結合、例えばシッフ塩基形成、ジスルフィド結合またはアミドもしくは尿素結合などの形成による)でも間接的でもよい。タンパク質チップを生成するための方法は当技術分野で公知であり、例えば米国特許出願第20020136821号、第20020192654号、第20020102617号および米国特許第6,391,625号に記載されている。タンパク質を固体支持体に結合させるためには、表面上に化学反応性基を作り出すために、例えばアルデヒド含有シラン試薬で、固体支持体を処理することがしばしば必要である。または、Arenkov et al., 2000, Anal. Biochem., 278:123-131に記載されているように、抗体またはリガンドを、微細加工したポリアクリルアミドゲルパッド上に捕捉させ、微量電気泳動法を用いてゲルの中に急速に進展させることもできる。
タンパク質チップは、いくつものタンパク質、リガンドまたは抗体が前記チップ上に配列されるように生成されることが好ましい。この形式は、試料中のいくつものタンパク質の存在に関する同時スクリーニングを可能にする。
あるいは、タンパク質チップが1つのタンパク質、リガンドまたは抗体のみを含み、関心対象の1つのポリペプチドの存在に関して1つまたは複数の患者試料をスクリーニングするために用いられてもよい。このようなチップは、一連の試料を特定の関心対象のタンパク質に関して同時スクリーニングするために用いることもできる。
好ましくは、タンパク質チップを用いて分析しようとする試料を、当技術分野で周知の方法を用いて検出しうる、例えば蛍光分子、放射性分子、酵素または抗体などのレポーター分子と付着させる。結果的に、タンパク質チップを標識試料と接触させ、その後に結合しなかったタンパク質を除去するために洗浄することによって、当技術分野で周知の方法を用いて、例えばDNAマイクロアレイリーダーを用いて、結合したタンパク質の存在が検出される。
または、複合的な生体試料中に低レベル〜フェムトモル未満のレベルで存在するタンパク質を迅速に検出して特性を決定づけるために、生体分子相互作用解析-質量分析法(BIA-MS)を用いる(Nelson et al., 2000, Electrophoresis, 21: 1155-1163)。タンパク質チップの分析において有用な1つの手法は、タンパク質チップと結合したタンパク質の特性を決定づけるための表面増強レーザー脱離/イオン化-飛行時間型-質量分析(SELDI-TOF-MS)技術である。または、米国特許出願第20020139751号に記載されたように、タンパク質チップをESIを用いて分析する。
当業者には明らかであろうが、タンパク質チップは、検出試薬を多重に用いることに特に適用しうる。すなわち、それぞれが異なるペプチドまたはタンパク質と特異的に結合しうる、いくつもの抗体またはリガンドを前記タンパク質チップの異なる領域に結合させることができる。続いて、前記チップを用いた生体試料の分析により、関心対象の多数のタンパク質の検出が可能になる。
1つのさらなる態様においては、本質的には米国特許出願第20020076739号に記載された通りに、試料をICATを用いて分析する。このシステムは、1つの源(すなわち、健常対象)からのタンパク質試料をある試薬で標識化し、もう1つの源(すなわち、アレルギー対象)からのタンパク質試料を、第1の試薬と化学的に同一であるが同位体組成であるために質量が異なる第2の試薬で標識化することに依拠している。第1および第2の試薬はビオチン分子も含むことが好ましい。続いて、等濃度の2つの試料を混合し、ペプチドをアビジンアフィニティークロマトグラフィーによって回収する。続いて試料を質量分析によって分析する。重いペプチドイオンと軽いペプチドイオンとの間のピークの高さの違いは、試料中のタンパク質存在量の違いと直接相関する。続いて、このようなタンパク質の実体を、当技術分野で周知の方法、例えばMALDI-TOFまたはESIなどを用いて決定する。
マイクロ流体技術をタンパク質の分析に用いることもできる(Figeys D, Gygi SP, McKinnon G, Aebersold R: An integrated microfluidics-tandem mass spectrometry system for automated protein analysis. Anal Chem 1998, 7O:3728-3734;Figeys D, Aebersold R: High sensitivity analysis of proteins and peptides by capillary electrophoresis-tandem mass spectrometry: recent developments in technology and applications. Electrophoresis 1998, 19:885-892)。例えば、マイクロ流体技術を、タンパク質またはペプチドの質量分析と結び付けることができる。すなわち、ペプチドを素水性膜に吸着させ、脱塩した上で、エレクトロスプレーイオン化質量分析手順によってピコモル量のペプチドの直接的な質量分析が可能となるように、マイクロ流体技術の使用を通じて制御された様式で溶出させることができる(Lion N, Gellon JO, Jensen H, Girault HH: On-chip protein sample desalting and preparation for direct coupling with electrospray ionization mass spectrometry.J Chromatogr A 2003, 1003:11-19)。コンビナトリアルペプチドミクス(Soloviev M, Barry R, Scrivener E, Terrett J: Combinatorial peptidomics: a generic approach for protein expression profiling. J Nanobiotechnology 2003, 1:4)を、集積型マイクロ流体システムとともに用いることもできる。
当業者には明らかであるように、本明細書に記載した診断用または予後判定用の検出システムは、多重化されたアッセイであってよい。本明細書で用いる場合、「多重(multiplex)」という用語は、単一の試料中の2つまたはそれ以上の診断用または予後判定用マーカーの同時の検出を意味するだけでなく、単一の試料中の2つまたはそれ以上の診断用または予後判定用マーカーの逐次検出、異なるが対応性のある複数の試料中の2つまたはそれ以上の診断または予後判定マーカーの同時検出、および、異なるが対応性のある複数の試料中の2つまたはそれ以上の診断または予後判定マーカーの逐次検出も含むものとする。本明細書で用いる場合、「対応性のある(matched)試料」という用語は、同じ最初の試料に由来する2つもしくはそれ以上の試料、または同じ時点で単離された2つもしくはそれ以上の試料を意味するものとする。
ひとたび本発明の遺伝子またはタンパク質の発現レベルの決定が達成されれば、数々の応用が得られるようになる。これらの応用には、例えば、哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測すること、哺乳動物におけるアレルギー性疾患を診断すること、哺乳動物をアレルギー性疾患に対する治療法の進展をモニターすること、疾患に罹患した哺乳動物のその疾患に対しての治療に対する潜在的な反応性を決定すること、疾患に罹患した哺乳動物がより重症および/または持続的な型のアレルギー性疾患に進行するリスクを予測すること、哺乳動物におけるアレルギー性疾患の免疫学的表現型を決定すること、ならびに特定の免疫療法に反応しうる哺乳動物を同定することが含まれる。
1つの局面において、哺乳動物における遺伝子の発現レベルは、哺乳動物におけるアレルギー性疾患を診断するために用いられる。これは、哺乳動物の細胞における遺伝子の発現レベルを、細胞を同じアレルゲンと接触させた、同じ種の非アレルギー性哺乳動物の遺伝子の発現レベルと比較することによって達成される。2つの遺伝子の発現レベルが異なるならば、このことは被験動物がアレルギー性疾患を有することを示す。
本明細書で用いる場合、「診断」または「診断すること」という用語は、1つのアレルギー性疾患を別のアレルギー性疾患と識別する、または「正常」もしくは「非アレルギー性」(非アトピー性)の状態と対比して、動物にアレルギー性疾患が存在する(アトピー性)か否かを決定する、および/またはアレルギー性疾患の性質を決定する、方法のことを指す。
もう1つの局面において、本発明は、哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測するための方法に関する。「発症を予測する」という用語は、アレルギー性疾患に言及して本明細書で用いられる場合、哺乳動物がアレルギー性疾患を有しない、またはアレルギー性疾患の臨床症状を有しないが、アレルギー性疾患を発症する性向があることを意味する。上記に定義したように、アレルギー性疾患を発症する「性向」、「素因」または「感受性」または任意の類似の語句は、アレルギーを発症する可能性のある動物が、「活性化」されることで動物が特定の疾患(例えば、喘息)を発症する発生率を予測させる、特定の「アレルギー関連遺伝子」を有することを意味する。健康な個々の動物と比較してアレルギー性疾患の素因を有する動物におけるこれらの「アレルギー関連遺伝子」の発現は、症状が発生する前または疾患が起こる前の動物においてさえ、アレルギー性疾患の発症を予測させる。
いくつかの態様において、「発症を予測すること」という用語はアレルギー性疾患を有する哺乳動物も含み、本明細書に開示する方法は、より正確に、疾患の重症度を判定するため、またはその進行を予測するために用いられる。
前述のように、本発明の方法は、アレルギー性疾患を発症する素因または感受性を有する対象を同定することができる。アレルギー性疾患を発症する素因または感受性のある哺乳動物対象がひとたび同定されれば、それらが前記アレルギーを発症することを治療および/または予防することができる。
「治療」、「治療すること」または「治療する」という用語は、アレルギー性疾患を有するかアレルギー性疾患に罹患するリスクのある対象に対する、アレルギー性疾患(またはアレルギー性疾患の少なくとも1つの症状)が治癒する、癒える、予防される、軽減される、緩和される、変化する、治る、回復する、改善される、または他の様式で好ましくは有益な様式で影響されるような、制御物質(control agent)(例えば、関心対象のタンパク質の相対量を変化させる、またはそれに影響を及ぼすことのできる作用物質)の投与を含む。
本明細書で用いる場合、「予防」とは、対象におけるアレルギー性疾患のあらゆる予防のことを意味し、これには疾患が、それを有するとまだ診断されていない動物で起こるのを予防することが含まれる。その効果は、疾患またはその徴候もしくは症状を完全もしくは部分的に予防するという点で予防的であってよい。
制御物質の「有効量」という言い回しは、特定のアレルギー性疾患を治療または予防するために、例えば、アレルギー性疾患のさまざまな形態的および身体的症状を予防するために必要または十分な量のことである。有効量は、対象のサイズおよび体重、病状の種類、または具体的な薬剤などの要因によって異なりうる。例えば、薬学的組成物の選択は「有効量」を構成するものに影響を与えうる。当業者は、過度の実験を行うことなしに、前記の因子を検討して、薬学的組成物の有効量に関する決定を下すことができると考えられる。
本発明の制御物質は任意の適した経路によって投与することができ、当業者はアレルギー性疾患を治療するために最も適した経路および用量を容易に決定しうると考えられる。投与量は主治医または獣医の裁量下にあり、それは治療しようとするアレルギー性疾患の性質および状態、治療しようとする対象の年齢および全般的健康状態、投与の経路、ならびに投与された可能性のある以前の治療に依存すると考えられる。
本発明において有用な制御物質は、標準的なアッセイによって突き止めることができる。そのようなアッセイを実施するためのプロトコールは当業者に周知であり、本明細書で詳述にする必要はない。本明細書で用いる「制御物質」または「薬物候補」または「モジュレーター」または「修飾物質(modifying agent)」という用語または文法的等価物は、関心対象の遺伝子、例えば核酸またはタンパク質配列の発現を直接的または間接的に制御する能力に関して検査しようとする任意の分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小型有機分子、多糖、ポリヌクレオチドなどを記述している。好ましい態様において、制御物質は、表1に示された核酸またはこれらの核酸によってコードされるタンパク質の発現プロファイルを改変または修飾する。いくつかの態様において、制御物質は特定のタンパク質の内因性量を増加させることができると考えられ、一方、他の態様において、制御物質はタンパク質の内因性量を単に補うのみであると考えられる。
いくつかの態様において、制御物質は、特定のタンパク質の内因性量を減少させると考えられる。
「薬物候補」という用語は、数多くの化学物質群を含むが、それらは典型的には有機分子、好ましくは分子量が100ダルトンよりも大きく約2,500ダルトンよりも小さい有機分子である。好ましい低分子は、2000ダルトン未満、または1500ダルトン未満、または1000ダルトン未満、または500ダルトン未満である。候補制御物質は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合のために必要な官能基を含み、典型的にはアミン、カルボニル(barbonyl)、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を少なくとも1つ含み、好ましくはこのような化学官能基を少なくとも2つ含む。候補制御物質は多くの場合、上記の官能基の1つまたは複数に置換された、環式炭素もしくは複素環式構造体、および/または芳香族もしくは多環芳香族構造体を含む。候補制御物質はまた、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはそれらの組み合わせを含む、生体分子からも見いだされる。特に好ましいのはペプチドである。
タンパク質発現のモジュレーターは、以下に定義するような核酸でもありうる。タンパク質に関して一般的に上述したように、核酸を調整する薬剤は、天然の核酸、ランダム核酸または「偏りのある(biased)」ランダム核酸である。例えば、原核生物または真核生物ゲノムの消化物を、タンパク質に関して上記に概説したのと同じように用いる。
ある態様において、関心対象のタンパク質の活性は、アンチセンスポリヌクレオチド、すなわち、コード性mRNA核酸配列、例えばタンパク質、mRNAまたはそれらの部分配列に対して相補的であり、好ましくはそれらと特異的にハイブリダイズしうる核酸によってダウンレギュレートされるか、または完全に阻害される。アンチセンスポリヌクレオチドのmRNAとの結合は、mRNAの翻訳および/または安定性を低下させる。
本発明の文脈において、アンチセンス核酸は、天然のヌクレオチド、または天然のサブユニットもしくはそれらに近い相同体から形成される合成種を含みうる。アンチセンス核酸はまた、改変された糖部分または糖間結合を有してもよい。これらのうち例示的なものには、ホスホロチオエートおよび当技術分野で公知の他のイオウ含有種がある。類似体は、それらが関心対象の遺伝子から転写されたmRNAとハイブリダイズするように効果的に働く限り、本発明に内包される。例えば、Isis Pharmaceuticals, Carlsbad, Calif.;Sequitor, Inc., Natick, Massを参照。
そのようなアンチセンス核酸は、組換え手段を用いて容易に合成されうるか、またはインビトロで合成される。そのような合成のための装置は、Applied Biosystemsを含む、いくつかの製造供給元によって販売されている。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体といった他のオリゴヌクレオチドの調製も当業者に周知である。
本明細書で用いるアンチセンス分子には、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。センスオリゴヌクレオチドは例えば、アンチセンス鎖に対する結合によって転写を阻止するために用いることができる。アンチセンスおよびセンスオリゴヌクレオチドは、標的のmRNA(センス)またはDNA(アンチセンス)配列と結合しうる一本鎖核酸配列(RNAまたはDNAのいずれか)を含む。本発明によるアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、一般に少なくとも約14ヌクレオチド、好ましくは約14〜30ヌクレオチドの断片を含む。所定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを導き出す能力については、例えば、Stein & Cohen (Cancer Res. 48:2659 (1988 and van der Krol et al. 1988, Bio Techniques, 6:958)に記載されている。
アンチセンス核酸に加えて、リボザイムも、ヌクレオチド配列を標的としてその転写を阻害するために用いられる。リボザイムは、他のRNA分子を触媒的に切断するRNA分子である。第I群リボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、ヘアピン型リボザイム、RNアーゼPおよびアックスヘッド型リボザイムを含む、さまざまな種類のリボザイムが記載されている(5種類のリボザイムの特性の総説については、例えば、Castanotto et al., 1994, Adv. in Pharmacology, 25: 289-317を参照)。
リボザイムを調製する方法は当業者に周知である(例えば、WO94/26877号;Ojwang et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 90:6340-6344;Yamada et al., 1994, Human Gene Therapy, 1:39-45;Leavitt et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 92:699-703;Leavitt et al., 1994, Human Gene Therapy, 5:1151-120;およびYamada et al., 1994, Virology, 205: 121-126を参照)。
関心対象の遺伝子のポリヌクレオチドモジュレーターは、WO91/04753号に記載されたように、リガンド結合分子との抱合体の形成により、標的ヌクレオチド配列を含む細胞に導入される。適したリガンド結合分子には、細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または細胞表面受容体と結合する他のリガンドが非限定的に含まれる。好ましくは、リガンド結合分子の抱合は、リガンド結合分子がその対応する分子もしくは受容体と結合する能力と実質的に干渉せず、センスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその抱合型の細胞への進入を阻止することもない。または、ポリヌクレオチドモジュレーターは、WO90/10448号に記載されたように、例えば、ポリヌクレオチド-脂質複合体の形成により、標的核酸配列を含む細胞に導入される。
遺伝子発現のモニタリングは、候補モジュレーター(例えば、タンパク質、核酸または低分子)の試験のために都合良く用いられる。制御物質候補を添加し、細胞をある程度の期間にわたってインキュベートした後に、分析しようとする標的細胞を含む試料をバイオチップに添加する。必要であれば、標的配列を公知の手法を用いて調製する。例えば、公知の可溶化緩衝液、電気穿孔法などを用いて細胞を溶解するために試料を処理し、精製および/またはPCRなどの増幅を適宜行う。例えば、ヌクレオチドと都合良く結合する標識とともにインビトロ転写を行う。一般に、核酸はビオチン-FITCもしくはPEにより、またはcy3もしくはcy5によって標識される。
1つの好ましい態様において、標的配列は例えば、標的配列のプローブに対する特異的結合を検出するための手段を提供するために、蛍光、化学発光、化学性または放射性シグナルによって標識される。標識はまた、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素であることもあり、これらは適切な基質が提供されると検出される産物を生成する。または、標識は、酵素と結合するがそれによって触媒されることも改変されることもない、酵素阻害薬などの標識化合物または低分子である。標識はまた、エピトープタグ、またはストレプトアビジンと特異的に結合するビオチンのような部分または化合物でもある。ビオチンの例に関して、ストレプトアビジンは上記のように標識され、それにより、結合した標的配列に対して検出可能なシグナルを与える。結合しなかった標識ストレプトアビジンは典型的には分析の前に除去される。
当業者には理解されるであろうが、これらのアッセイは直接的なハイブリダイゼーションアッセイであるか、または「サンドイッチアッセイ」を含むことができ、それらは米国特許第5,681,702号、第5,597,909号、第5,545,730号、第5,594,117号、第5,591,584号、第5,571,670号、第5,580,731号、第5,571,670号、第5,591,584号、第5,624,802号、第5,635,352号、第5,594,118号、第5,359,100号、第5,124,246号および第5,681,697号に一般的に概説されているように、多数のプローブの使用を含み、これらはすべて、参照により本明細書に組み入れられる。この態様においては一般に、標的核酸を上記に概説したように調製し、続いて、多数の核酸プローブを含むバイオチップに対して、ハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件下で添加する。
本発明では、上記に概説した、高、中および低ストリンジェンシー条件を含む、種々のハイブリダイゼーション条件が用いられる。アッセイは一般に、標的の存在下でのみ、標識プローブハイブリダイゼーション複合体の形成が可能になるストリンジェンシー条件下で実施される。ストリンジェンシーは、温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオトロピック塩濃度 pH、有機溶媒濃度などを非限定的に含む熱力学的変数である工程パラメーターを変えることによって制御される。これらのパラメーターは、米国特許第5,681,697号に一般的に概説されているように、核酸における非特異結合を制御するためにも用いることができる。このように、ある種の工程は、非特異的結合を減らすために、より高度のストリンジェンシー条件で実施するのが望ましい。
本明細書で概説した反応は、さまざまなやり方で達成される。反応の成分は同時に、またはさまざまな順序で逐次的に添加されるが、好ましい態様は以下に概説するものである。さらに、反応物は種々の他の試薬を含んでもよい。これらには、最適なハイブリダイゼーションおよび検出を促すため、ならびに/または非特異反応もしくはバックグラウンド相互作用を低下させるために用いられる、塩、緩衝剤、アルブミンなどの中性タンパク質、界面活性剤などが含まれる。試料調製方法および標的の純度に応じて、アッセイの効率を別の様式で向上させる試薬、例えば、プロテアーゼ阻害薬、ヌクレアーゼ阻害薬、抗菌薬等などを適宜用いることもできる。
アッセイデータを、個々の遺伝子の発現レベル、および状態間の発現レベルの変化を決定するために解析し、遺伝子発現プロファイルを作り上げる。
スクリーニングを、関心対象の遺伝子の表現型のモジュレーターを同定するために行う。1つの態様において、スクリーニングは、特定の発現プロファイルを誘導または抑制することができ、それ故に好ましくは、関連づけられた表現型を生じさせるモジュレーターを同定するために行われる。もう1つの態様においては、例えば診断用途のために、特定の状態において重要な、差異を伴って発現される遺伝子が同定されたならば、個々の遺伝子の発現を変化させるモジュレーターを同定するためのスクリーニングを行う。
加えて、スクリーニングは、候補薬剤に応じて誘導される遺伝子に対しても行われる。ある発現パターンを抑制して正常な発現パターンを導く能力、または正常組織からの遺伝子の発現を模倣するように単一の遺伝子発現プロファイルを調整する能力に基づいてモジュレーターを同定した後に、薬剤に応じて特異的に調整される遺伝子を同定するために上記のスクリーニングを行う。
したがって、1つの態様においては、被験化合物を、特定の遺伝子発現のパターンを発現することが判明している細胞の集団に投与する。本明細書において「投与」または「接触させること」という用語は、制御物質候補を、取り込みおよび細胞内作用によって、または細胞表面での作用によって、薬剤が細胞に対して作用しうるような様式で、細胞に添加することを意味する。いくつかの態様においては、タンパク質性の候補薬剤(すなわち、ペプチド)をコードする核酸を、アデノウイルス構築物またはレトロウイルス構築物などのウイルス構築物の中に入れた上で、ペプチド性薬剤の発現が達成されるように細胞に添加する。調節可能な遺伝子投与システムを用いることもできる。
ひとたび被験化合物を細胞に投与したところで、細胞を必要に応じて洗浄し、好ましくは生理的条件下で、ある期間にわたってインキュベートする。続いて細胞を収集して、上記に概説したように新たな遺伝子発現プロファイルを生成させる。
調整活性を有する化合物を同定するためのアッセイは、通常はインビトロで行われる。例えば、ポリペプチドをまず、モジュレーターの可能性のあるものと接触させて、適した期間、例えば0.5〜48時間にわたってインキュベートする。1つの態様においては、タンパク質またはmRNAのレベルを測定することによって、ポリペプチドレベルをインビトロで決定する。タンパク質のレベルは、ポリペプチドまたはその断片と選択的に結合する抗体を用いる、ウエスタンブロッティング、ELISAなどのイムノアッセイを用いて測定する。mRNAの測定のためには、増幅、例えばPCR、LCRなど、またはハイブリダイゼーションアッセイ、例えばノーザンハイブリダイゼーション、RNアーゼ保護、ドットブロット法などが好ましい。タンパク質またはmRNAのレベルは、本明細書に記載したように、直接的または間接的に標識された薬剤、例えば蛍光性または放射性に標識された核酸、および放射性または酵素的に標識された抗体などを用いて検出される。
あるいは、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、CATまたはβ-galなどのレポーター遺伝子と機能的に連結されたタンパク質プロモーターを用いて、レポーター遺伝子システムを考案することもできる。レポーター構築物は典型的には、細胞内にトランスフェクトされる。モジュレーターの可能性のあるもので処理した後に、レポーター遺伝子の転写、翻訳または活性の量を、当業者に公知の標準的な手法に従って測定する。
ひとたび最初の候補化合物または制御物質が同定されれば、構造活性の関係をさらによく評価するために、変異体をさらにスクリーニングする。1つの好ましい態様では、結合アッセイを行う。一般に、精製または単離された遺伝子産物が用いられる;すなわち、差異を伴って発現される1つまたは複数の核酸の遺伝子産物を作製する。例えば、タンパク質遺伝子産物に対して抗体を産生させて、存在するタンパク質の量を決定するために標準的なイムノアッセイを実施する。
したがって、1つの好ましい態様において、本方法は、関心対象のタンパク質と候補化合物を組み合わせる段階、および化合物のタンパク質との結合を決定する段階を含む。
一般に、本明細書における方法の1つの好ましい態様において、関心対象のタンパク質または制御物質候補は、分離した試料収容領域を有する不溶性支持体(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)と非拡散的に結合される。不溶性支持体は、組成物が結合し、可溶性材料から容易に分離され、スクリーニングの全般的方法と他の点で適合性のある、任意の組成物でできている。このような支持体の表面は中実性または多孔性であり、任意の都合の良い形状をしている。適した不溶性支持体の例には、マイクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズが含まれる。これらは典型的には、ガラス、合成樹脂(例えば、ポリスチレン)、多糖、ナイロンまたはニトロセルロース、テフロン(商標)などでできている。マイクロタイタープレートおよびアレイは、少量の試薬および試料を用いて多数のアッセイを同時に実施しうるため、特に好都合である。組成物の結合の具体的な様式は、それが本発明の試薬および全般的方法と適合性があり、組成物の活性を維持し、かつ非拡散性である限り、特に重要ではない。好ましい結合の方法には、抗体(タンパク質が支持体と結合した場合に、リガンド結合部位も活性化配列も立体的に遮断しないもの)の使用、「粘着性」またはイオン性支持体に対する直接結合、化学的架橋、表面上でのタンパク質または薬剤の合成などが含まれる。タンパク質または薬剤の結合の後に、余分な非結合性の材料を洗浄によって除去する。続いて、試料収容領域を、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害なタンパク質もしくは他の部分とのインキュベーションによってブロックする。
1つの好ましい態様では、関心対象のタンパク質を支持体と結合させて、被験化合物をアッセイ物に添加する。または、候補薬剤を支持体に結合させて、タンパク質を添加する。新規な結合物質には、特異抗体、化学物ライブラリーのスクリーニングで同定された非天然性の結合物質、ペプチド類似体などが含まれる。特に関心がもたれるのは、ヒト細胞に対する毒性の低い薬剤に関するスクリーニングアッセイである。多岐にわたるアッセイがこの目的に用いられ、これには、標識化インビトロタンパク質-タンパク質結合アッセイ、電気泳動度移動シフトアッセイ、タンパク質結合に関するイムノアッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイなど)などが含まれる。
被験調整化合物と関心対象のタンパク質との結合の決定は、さまざまなやり方で行われる。1つの好ましい態様においては、化合物を標識した上で、タンパク質の全体または一部分を固体支持体に結合させ、標識された候補薬剤(例えば、蛍光標識)を添加し、過剰な試薬を洗い流して、標識が固体支持体上に存在するか否かを決定することによって、結合を直接的に決定する。さまざまなブロッキングおよび洗浄の工程を適宜利用する。
いくつかの態様では、成分の1つのみを標識し、例えばタンパク質(またはタンパク質性の候補化合物)を標識する。または、複数の成分を異なる標識で標識する、例えば、タンパク質を125Iで、化合物を蛍光団で標識する。近接性試薬、例えば、クエンチング試薬またはエネルギー転移試薬も有用である。
1つの態様において、被験化合物の結合は競合結合アッセイによって決定される。競合物質は、標的分子(すなわち、関心対象のタンパク質)と結合することが判明している結合性部分、例えば抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンドなどである。ある特定の状況下では、化合物と結合性部分との間で競合的結合が起こり、結合性部分が化合物に取って代わる。1つの態様においては、被験化合物が標識されている。化合物または競合物質またはその両方をまずタンパク質に添加し、もし存在するならば、結合が起こるのに十分な時間をおく。インキュベーションは、最適な活性が促される温度で、典型的には4〜40Cの間で行う。インキュベーション期間は、典型的には、例えば、迅速なハイスループットスクリーニングを促すように最適化される。典型的には、0.1〜1時間で十分であると考えられる。余分な試薬は一般に除去される、または洗い流される。続いて第2の成分を添加し、結合を示すために標識成分の有無を追跡する。
1つの好ましい態様では、競合物質をまず添加し、その後に候補薬剤を添加する。競合物質の置換解離は、被験化合物が関心対象のタンパク質と結合しそれ故に標的タンパク質と結合可能であって、そのタンパク質の活性も修飾する可能性があることの指標である。この態様では、いずれかの成分を標識する。すなわち、例えば、競合物質を標識する場合には、洗浄溶液中に標識が存在することにより、薬剤による置換解離が示される。または、被験化合物を標識する場合には、支持体上に標識が存在することによって置換解離が示される。
1つの代替的な態様では、被験化合物をまず添加してインキュベーションおよび洗浄を行い、その後に競合物質を添加する。競合物質による結合が存在しないことは、被験化合物が標的タンパク質とより高い親和性で結合していることを示すと思われる。このため、被験化合物を標識する場合には、支持体上に標識が存在し、さらに競合物質の結合が存在しないことにより、被験化合物が標的タンパク質と結合しうることが示されると思われる。
1つの好ましい態様において、本方法は、タンパク質の活性を調整しうる薬剤を同定するためのディファレンシャルスクリーニングを含む。この態様において、本方法は、関心対象のタンパク質と競合物質を第1の試料中に組み合わせる段階を含む。第2の試料は、被験化合物、関心対象のタンパク質および競合物質を含む。競合物質の結合を両方の試料に関して決定し、2つの試料の間に結合の変化または差異があることにより、関心対象のタンパク質との結合が可能であって、その活性も調整する可能性がある薬剤の存在が示される。すなわち、第2の試料における競合物質の結合が第1の試料と比べて異なるならば、その薬剤は関心対象のタンパク質と結合することができる。
あるいは、ディファレンシャルスクリーニングは、関心対象の天然のタンパク質とは結合するが、修飾されたタンパク質とは結合できない薬物候補を同定するために用いられる。タンパク質の構造をモデル化して、その部位と相互作用する薬剤を合成するための合理的薬物設計に用いる。関心対象のタンパク質の活性に影響を及ぼす薬物候補も、タンパク質の活性を増強または低下させる能力に関して薬物をスクリーニングすることによって同定される。
アッセイには陽性対照および陰性対照が用いられる。統計学的に有意な結果を得るために、対照試料および被験試料を少なくとも3通りずつ用いることが好ましい。すべての試料のインキュベーションは、薬剤とタンパク質との結合のために十分な時間にわたって行う。インキュベーションの後に、試料を洗浄して非特異的に結合した材料を除き、結合した、一般的には標識されている薬剤の量を決定する。例えば、放射性標識を用いている場合には、結合した化合物の量を決定するために試料をシンチレーションカウンターで計数する。
種々の他の試薬がスクリーニングアッセイ物に含められる。これらには、最適なタンパク質-タンパク質結合を促すため、および/または非特異的もしくはバックグラウンドの相互作用を低下させるために用いられる、塩、天然タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤などの試薬が含まれる。また、アッセイの効率を別の様式で向上させる試薬、例えばプロテアーゼ阻害薬、ヌクレアーゼ阻害薬、抗菌薬なども用いられる。成分の混合物は、必要な結合がもたらされる順序で添加する。
1つの好ましい態様において、本発明は、関心対象のタンパク質の活性を調整しうる化合物に関するスクリーニングのための方法を提供する。本方法は、上記に定義したような被験化合物を、被験タンパク質を含む細胞に添加する段階を含む。好ましい細胞種にはほとんどあらゆる細胞が含まれる。これらの細胞は、関心対象のタンパク質をコードする組換え核酸を含む。1つの好ましい態様においては、候補薬剤のライブラリーを多数の細胞に対して試験する。
本発明とともに用いるためのキットも提供されうる。そのようなキットは、好ましくは、関心対象の遺伝子またはそれらのコードされるタンパク質の公知の基準の少なくとも1つのセットおよびプローブの1つのセットを含み、それらはある種のキットでは、上記に考察したようなアレイの表面に存在してもよい。キットはまた、上記の方法を用いて核酸またはタンパク質を検出するためにキットを用いるための説明書も含む。
説明書は一般に、適した記録媒体上に記録される。例えば、説明書が紙または合成樹脂などの基質上に印刷されていてもよい。このため、説明書は、添付文書として、キットまたはその構成要素の容器(すなわち、パッケージまたはサブパッケージに伴うもの)のラベル中に存在してもよい。他の態様において、説明書は、プログラムが供給されるものと同じ媒体を含む、適したコンピュータ可読式保存媒体、例えば、CD-ROM、ディスケットなどに存在する電子保存データファイルとして存在する。
さらに他の態様においては、実際の説明書がキット中に存在せず、遠隔的な供給源から、例えばインターネットを介して説明書を得るための手段が提供される。この態様の一例は、説明書を閲覧すること、および/または説明書をダウンロードすることが可能なウェブアドレスを含むキットである。
さらに、キットは、説明書が、インターネットまたはワールドワイドウェブにおけるように、遠隔的な供給源からダウンロードして得られるようなものであってもよい。本発明を用いる資格のある者にアクセスを制限するために、ある種のアクセス保護または識別プロトコールを用いてもよい。説明書の場合と同じように、説明書および/またはプログラムを入手するための手段は一般に、適した記録媒体上に記録される。
適切な制御物質を、投与のために製剤化することもできる。例えば、投与が可能となるように、担体、希釈剤および他の添加剤を制御物質と混合することができる。担体、希釈剤または添加剤の種類は投与の経路に依存すると考えられ、この場合も当業者はそれぞれの個々のケースで最も適した製剤を容易に決定することができると考えられる。
薬学的組成物または制御物質の調製のための方法および薬学的担体は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th Edition, Williams & Wilkins, Pennsylvania, USAなどの教科書に記載されている通り、当技術分野で周知である。
本発明の態様に従った制御物質の製造において、本発明の制御物質は典型的には、とりわけ、薬学的に許容される担体と混合される。担体は当然ながら、薬学的組成物中の任意の他の成分と適合性があるという意味で許容性でなければならず、治療される哺乳動物に対して有害であるべきではない。担体は固体でも液体でもまたはその両方でもよく、好ましくは、本発明の分子とともに、分子の重量比で約0.01または0.5%から約95%または99%までを含みうる、単位用量製剤、例えば錠剤として製剤化される。薬学的組成物は、製薬学の周知の手法の任意のものを用いて調製することができ、これには任意で1つまたは複数の付随成分を含む、複数の成分を混合することが非限定的に含まれる。
経口投与のために適した薬学的組成物および/または制御物質は、それぞれが規定量の有効成分を含む、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの離散的な単位として;粉末または顆粒として;水相または非水相液体中にある溶液または懸濁液として;または水中油型液体エマルションもしくは油中水型エマルションとして提供することができる。このような製剤は、薬剤と適した担体(これは上記に述べたような1つまたは複数の付随成分を含んでもよい)を会合させる段階を含む、製薬学の任意の適した方法によって調製することができる。一般に、本発明の緒態様による薬学的組成物は、本発明の薬剤を液体担体または微細固体担体またはその両方と均質によく混合し、続いて必要であれば結果として生じた生成物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、薬剤と薬学的に許容される担体との混合物を、任意で1つまたは複数の付随成分とともに含む、粉末または顆粒を、圧縮または成形することによって調製される。圧縮錠は、粉末または顆粒などの流動状の活性成分を、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤および/または表面活性剤/分散剤と混合して、適した装置において圧縮することによって調製しうる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤によって湿らせた粉末化合物を適した機械において成形することによって作製しうる。
口腔内(舌下)投与のために適した薬学的組成物には、例えば、風味を付けた基剤中、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に有効化合物を含むロゼンジ剤;ならびに、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に化合物を含むトローチ剤が含まれる。
本発明のいくつかの態様による薬学的組成物は非経口的投与のために適しており、これには本発明の薬剤の水性および非水性の滅菌注射液が含まれ、それらの調製物は意図するレシピエントの血液と等張であることが好ましい。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含みうる。水性および非水性の滅菌懸濁液は懸濁化剤および増粘剤を含みうる。組成物を単位用量または多回用量の密封容器、例えばアンプルおよびバイアルに入れて提供してもよく、滅菌液体担体、例えば食塩水または注射用水を使用直前に加えるだけでよい冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存してもよい。即時調合用注射液および懸濁液を、前述した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することもできる。例えば、密封容器内の単位投薬式剤形にある、本発明の薬剤を含む注射可能な安定な滅菌組成物を提供することができる。単位投薬式剤形は、典型的には、約10mg〜約10グラムの本発明の薬剤を含む。薬剤が実質的に水不溶性である場合には、薬剤を水性担体中に乳化させるのに十分な量の、生理的に許容される乳化剤を用いるとよい。そのような有用な乳化剤の1つはホスファチジルコリンである。
直腸投与のために適した薬学的組成物は、単位投薬式坐剤として提供することが好ましい。これらは、本発明の薬剤を、1つまたは複数の従来の固体担体、例えばカカオ脂と混合した後に、その結果生じた混合物を成形することによって調製しうる。
皮膚への局所適用のために適した薬学的組成物は、軟膏、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル剤、噴霧薬、エアロゾルおよび油剤の形態をとることが好ましい。用いうる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよび経皮吸収促進剤(transdermal enhancer)が含まれる。
経皮投与のために適した薬学的組成物を、レシピエントの表皮と密に接触した状態を長期間にわたって保つように適合化された分離性のパッチ剤として提供することもできる。経皮投与に適した組成物をイオントフォレシスによって送達することもでき(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318 (1986)を参照)、これは典型的には、本発明の薬剤の任意の緩衝水溶液の形態をとる。適した製剤には、クエン酸またはビス/トリス緩衝液(pH 6)またはエタノール/水が含まれ、これらは0.1〜0.2Mの有効成分を含む。
上記に列記した成分の任意のものに加えて、組成物がさらに他の薬剤を含んでもよい。例えば、結合剤、甘味料、増粘剤、香味剤、崩壊剤、コーティング剤、保存料、潤滑剤および/または時間遅延剤などの薬剤。
上述したように、本発明の制御物質はアレルギー性疾患と関連があり、それ故に、本発明の薬剤、および本発明の制御物質を含む組成物は、アレルギー性疾患の治療または予防に用いることができる。
本発明の制御物質をアレルギー性疾患の治療または予防に用いるためには、薬剤を哺乳動物に投与しなければならない。
本発明の薬剤は、哺乳動物に対して任意の適した経路によって投与することができ、当業者は、治療しようとする病状に対して最も適した経路および用量を容易に決定しうると考えられる。投与量は主治医または獣医の裁量下にあり、それは投与の経路、治療しようとする病状の性質および状態、治療しようとする対象の年齢および全般的健康状態、ならびに投与された可能性のある以前の治療に依存すると考えられる。
本発明の薬剤は、哺乳動物に対して定期的または反復的に投与することができ、以下の経路のうち1つまたは複数によって投与することができる:経口、直腸、局所、吸入(例えば、エアロゾルを介して)、口腔内(例えば、舌下)、膣、非経口的(例えば、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸腔内、腹腔内、大脳内、動脈内または静脈内)、局所的(すなわち、気道表面を含む、皮膚および粘膜表面の両方)および経皮投与。個々の任意のケースに最も適した経路は、治療される病状の性質および重症度、ならびに用いる本発明の具体的な分子の性質に依存すると考えられる。
いくつかの態様において、アレルギー性疾患は、本発明の核酸分子の発現を調整しうる、または本発明のポリペプチドと特異的に結合しうる薬剤を投与することによって治療または予防されうる。
哺乳動物におけるアレルギー性疾患を治療または予防するもう1つの方法は、哺乳動物に対して、本発明の核酸分子によってコードされるポリペプチドと特異的に結合する薬剤を投与することである。
特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープと「特異的に結合する」またはそれらに「対して特異的である」抗体とは、他のいかなるポリペプチドまたはポリペプチドエピトープとも実質的に結合することなく、その特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープと結合するもののことである。
「抗体」という用語は最も広義に用いられ、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープと特異的に結合する抗体のフラグメントを含む。本明細書で用いる「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことを指し、すなわち、個々の集団を構成する抗体は、微量に存在する可能性のある天然の突然変異を例外として同一である。
「抗体フラグメント」は、完全な抗体の一部分、好ましくは完全な抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント;ダイアボディ(diabody);線状抗体(Zapata et al., Protein Eng., 8(10): 1057-1062 [1995]);一本鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合フラグメント、および、容易に結晶化する能力を反映した命名である、残りの「Fc」フラグメントを生成させる。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、抗原を依然として架橋することのできるF(ab')2フラグメントを生じさせる。
「Fv」は、完全な抗原認識・結合部位を含む、最小の抗体フラグメントである。この領域は、非共有性に密に会合した1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面に抗原結合部位の形を定めるのはこの配置においてである。この6つのCDRがまとまって、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含む、Fvの半分)であっても、結合部位全体よりも親和性は低いとはいえ、抗原を認識してそれと結合する能力を有する。
Fabフラグメントも、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fabフラグメントは、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステイン残基を含む少数の残基が付加されている点で、Fab'フラグメントとは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有する場合の、Fab'の本明細書における命名である。F(ab')2抗体フラグメントは本来、ヒンジ性システインを間に有するFab'フラグメントの対として作製された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも当技術分野で公知である。
あらゆる脊椎動物種に由来する抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κおよびλと呼ばれる2つの明確に異なる種類のうち一方に当てはめることができる。
免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、複数の異なる分類に当てはめることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2といったサブクラス(アイソタイプ)にさらに細分することができる。
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインおよびVLドメインで構成され、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖として存在する。Fvポリペプチドはさらに、VHドメインとVLドメインとの間に、sFvが抗原結合のために必要な所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーを含むことが好ましい。sFvの総説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小型の抗体フラグメントのことを指し、これらのフラグメントは重鎖可変ドメイン(VH)が軽鎖可変ドメイン(VL)と同じポリペプチド鎖(VH-VL)の中で連結したものを含む。同じ鎖の上での2つのドメイン間の対合を許容するには短すぎるリンカーを用いることにより、これらのドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合して2つの抗原結合部位を作り出すように強いられる。ダイアボディは、例えばEP 404,097号;WO 93/11161号:およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448(1993)により詳細に記載されている。
「含む(comprising)」とは、「含む」という言葉の後に続くものを非限定的に含むことを意味する。したがって、「含む」という用語の使用は、列挙した要素が必要または必須であるが、他の要素は選択的であり、存在してもしなくてもよいことを意味する。「からなる(consisting of)」とは、「からなる」という語句の後に続くものを限定的に含むことを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙した要素が必要または必須であり、他の要素は存在しないと考えられることを示す。「本質的に……からなる(consisting essentially of)」とは、語句の後に列挙した要素を含むほかは、列挙した要素の開示において特定される活性または作用に干渉または寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「本質的には……からなる」という語句は、列挙した要素が必要または必須であるが、他の要素は選択的であって、それらが列挙した要素の活性または作用に影響を及ぼすか否かに応じて存在しても存在しなくてもよいことを示す。
例示的な手法および実験結果を記載している以下の実施例は、本発明の例示のみを目的として提供されており、限定的なものとみなされるべきではない。
実施例1 アレルギー性および非アレルギーの対象におけるアレルゲンに応じたmRNAの特異的発現を決定するためのマイクロアレイの使用
イエダニ(HDM)に対する皮膚プリックテストの反応性が陽性であることに基づいて選択されたアレルギー性個体からの血液試料を、血清中のHDM特異的IgEの存在に関して検査され、いずれも陰性であった非アレルギー対照からの試料とともに入手した。HDMに対するIgEの存在はRAST(CAP)システム(Pharmacia, Australia)によって規定し、本試験におけるアレルギー性志願者はRAST(CAP)スコア2以上を示した。
新たに単離した末梢血単核細胞(PBMC)を1×106個/mlとして再懸濁させ、1mlの細胞懸濁液を、4×10-5の2-メルカプトエタノールを加えた無血清培地AIM-V4(Life Technologies, Mulgrave, Australia)を入れた丸底チューブまたはマルチウェルプレート内で、10μg/mlのHDM(ヤケヒョウヒダニ、CSL Limited, Parkville, Australia)全抽出物の添加下または非添加下で、37℃、5% CO2の下で、6、12、24または48時間にわたり培養した。
各時点で、同サイズの細胞アリコートを遠心し、細胞ペレットを直ちに全RNA抽出のために用いた。または、Dynabeads(商標)を用いてCD8 T細胞を、その後にCD4 T細胞を陽性選択し、続いてRNAを抽出した。RNAの抽出は標準的な方法によって行った。全RNAはTRIZOL(Invitrogen)を用い、続いてRNAeasyミニキット(QIAGEN)を用いることによって抽出した。
各群の個体(アレルギー性および非アレルギー性)から抽出したRNAをプールした上で標識し、Affymetrix(商標)U133aまたはU133plus2アレイに対して、標準的なAffymetrix(商標)プロトコール(http://www.affymetrix.com/index.affx)を用いてハイブリダイズさせた。プールの中の個々のRNAの試料は、その後の定量的RT-PCRバリデーション試験のために別々に保った(以下の実施例2を参照)。
これらのマイクロアレイ実験からのデータは、表2〜8に蛍光マイクロアレイ単位(刺激した培養物と非刺激培養物との比較)として示されている。
表2は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で24時間培養した末梢血単核細胞から精製した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)のCD4 T細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表3は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で24時間培養した末梢血単核細胞から精製した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)のCD8 T細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表4は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で24時間培養した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)のT細胞除去末梢血単核細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表5は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で6時間培養した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)の末梢血単核細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表6は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で12時間培養した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)の末梢血単核細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表7は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で24時間培養した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)の末梢血単核細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
表8は、イエダニアレルゲン(HDM)の非存在下(C)または存在下で48時間培養した、HDM感受性でアトピー性(+)およびHDM非感受性でアトピー性(-)の末梢血単核細胞における遺伝子発現レベルの一覧を示している。遺伝子発現レベルは蛍光マイクロアレイ単位で表されている。太字イタリック体の値は、アトピー性および非アトピー性の遺伝子の発現パターンに違いが観察された箇所を示している。
データは、統計学用パッケージR(Irizarry R.A. et al. 2003, Biostatistics 4(2):249-64)を用いてrmaアルゴリズムにより解析した。遺伝子は、変化倍数値がカットオフ値(バックグラウンドノイズ)よりも大きい場合に、(刺激した培養物と非刺激培養物との間で)差異を伴って発現されると判断した。カットオフ値は各実験毎にノイズの標準偏差に基づいて決定した。続いて、アレルギー性個体と非アレルギー性個体との間での変化倍数値が大きい遺伝子を同定した。
これらのデータの解釈は以下の通りである:アレルギー性疾患を示す遺伝子の発現は、アトピー性(アレルギー罹患者)に関する数値が非アレルギー性個体(非アトピー性個体)に関する数値よりも高いものである。例えば、表7に示されているように、MELKは、イエダニ(HDM)アレルゲンに48時間曝露されたアレルギー性対象において、非アトピー性対象におけるレベルと比較してより高いレベルで発現される。
Figure 2009528826
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実施例2 実施例1における結果のqRT-PCRによるバリデーション
実施例1における動態学的実験のためのプールを作製するために用いた個々の試料の細胞ペレットからのRNA抽出物における、指標遺伝子IL-4の発現レベルを測定するために、リアルタイム定量的PCRをABI Prism 7900HT配列検出システムを用いて行った。その根拠は、すべてのTh2細胞に必須な増殖因子である、その遺伝子の陽性発現に関する基準を用いて、各試料の「Th2状態」を確認する必要性があったためである。
QuantiTect SYBRGreen PCR Master Mix(QIAGEN)を用いて、2.5 mM MgCl2(最終濃度)を含む標準的なPCRプレミックスを調製した。SYBR(登録商標)Greenはすべての二本鎖DNAと結合するため、プローブは不要であった。プライマーは施設内で設計し(配列は以下に列記されている)、最終濃度0.3μMで用いた。または、QuantiTect Primer Assay(QIAGENカタログ番号第QT00026201号(CAMK2D)、第QT00047593号(NSMCE1)、第QT00038892号(TSPAN13)および第QT00062755号(STYL3))を用いた。HotStar Taqポリメラーゼの活性化のために10分ではなく15分を用いた点を除き、標準的な条件を用いた。さらに、単一産物の増幅を確認するために、解離段階を含め、融解曲線解析を行った。増幅産物は、関心対象の標的の特異的な増幅を確認するために、配列決定が行なわれたか、行われる予定である。
PCRのために用いた施設内プライマーは以下であった。
IL-4順方向プライマー:
Figure 2009528826
IL-4逆方向プライマー:
Figure 2009528826
データはEEF1A1ハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。IL-4の発現は図1および2に示されている。これらの結果は、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として示されている。
バリデーション実験を、CAMK2D、NSMCE1、TSPAN13およびSYTL3に関して、定量的RT-PCRによって行った。精製CD4またはCD8 T細胞における24時間時点でのマイクロアレイ分析用のプールを作製するために用いた個々の試料からのRNAをcDNAに変換させ、続いて定量的RT-PCRをSYBR(登録商標)GreenおよびQuantiTect Primer Assay(QIAGEN)を用いて行った。データはEEF1A1ハウスキーピング遺伝子に対して標準化した。図3〜21に示された結果は、CAMK2D、NSMCE1、TSPAN13およびSYTL3は、HDMに反応して、非アレルギー性対象と比較してアレルギー性対象において有意にアップレギュレートされれ、一方、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lは、アレルギー性対象と比較して非アレルギー性対象においてより大きな度合いでアップレギュレートされたことを実証している。
実施例3 代替的な統計学的方法を用いた全体的TH2ネットワークにおける役割遺伝子の確認
細胞プロセスは、相互作用性のタンパク質(遺伝子に由来する)の複雑なネットワークによって組織化されており、タンパク質の異なる組み合わせが、モジュールと呼ばれるサブネットワークにおいてともにネットワークを形成する(または相互連結される)ことで特定の作業を遂行している。Th2遺伝子ネットワークは、典型的な例としてアレルギー性疾患の原因となっている。遺伝子ネットワーク理論(Barabasi and Oltvai (2004) Nat Rev Genet. 5: 101-13)および統計学的方法(Zhang and Horvath (2005) Stat Appl Genet Mol Biol. 4)の最近の進展を、現在ではマイクロアレイデータに適用することができ、マイクロアレイ実験のネットワークレベルでの解釈が可能となっている。本発明者らは、本特許の範囲に含まれる新規「Th2関連遺伝子」をさらにバリデートするために、これらの進展を利用した。それを行うことで、本発明者らは、同様の患者群に対して行った追加的なマイクロアレイ実験から得られたアトピー例および非アトピー例におけるイエダニ反応を記述する、より大規模なデータセットを作成した。
このデータセット中のアレルゲンに対するT細胞反応における機能モジュールを同定するために、イエダニアレルゲンによる末梢血T細胞の刺激に反応して有意に調整された(多重検定に関する偽発見率の補正後のベイズT検定によるp値が0.05未満)遺伝子(合計1239個の遺伝子;Smyth GK. (2004), Stat Appl Genet Mol Biol. 3)を、重み付け遺伝子共発現ネットワーク解析法(Zhang and Horvath (2005) Stat Appl Genet Mol Biol. 4)を用いてさらに解析した。手短に述べると、1239個の遺伝子のそれぞれの対の間で絶対ピアソン相関値を算出し、その結果得られたデータマトリックスを遺伝子-遺伝子の対の連結強度の指標に変換した(図では「連結性」として示されている)。続いて、平均連鎖階層クラスター化を用いて、高い相互連結性を有する遺伝子のモジュールを同定したところ、その結果得られた1239個の遺伝子からなる重み付け遺伝子共発現ネットワークは、クラスター化アルゴリズム(Carlson et al. (2006) BMC Genomics. 7: 40)によって16の別々の機能モジュールに分割された。
16の機能モジュールを含むこの共発現ネットワークは、図22Aにその全体が図示されており、ここでは樹状のデンドログラムが高度の相互連結性(相関性のある発現レベル)を有する遺伝子同士を結び付けており、高度な結び付きのある遺伝子またはネットワークモジュールの分離した分枝状構造を見せている。縦軸の値が小さいほどより高度の連結性を示すことに留意されたい。
この共発現ネットワークをより詳細に調べたところ、Th2作動性のアレルギー炎症を媒介する主要な遺伝子(IL-4、IL-4R、IL-5、IL-9、IL-13)が、104種の他の遺伝子とともに「Th2エフェクター」モジュール(図22Aにおけるモジュール14)を形成することが明らかになり、ネットワークのこのサブセットは図22Bに拡大されている。本特許の主題である遺伝子は、図22B中で「*」の印が付されており、これには以下が含まれる:CAMK2D、CDH1、DLC1、NFKBIZ、NSMCE1、SLC37A3。
16時間の培養後のCD4+細胞におけるIL-4 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるIL-4 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるCAMK2D mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD8+細胞におけるCAMK2D mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるCAMK2D mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD8+細胞におけるCAMK2D mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるNSMCE1 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるNSMCE1 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD8+細胞におけるNSMCE1 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるTSPAN13 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるSTYL3 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD4+細胞におけるSTYL3 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 24時間の培養後のCD8+細胞におけるSTYL3 mRNA発現レベルを示している。発現レベルは、非アレルギー性(N)およびアレルギー性(A)の個体に関するΔ値(非刺激培養物とHDMで刺激した培養物との間の差)として表わされている。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のCAMK2D mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の別の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のCAMK2D mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のNSMCE1 mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の別の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のNSMCE1 mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のSYTL3 mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の別の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のSYTL3 mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のSLC37A3 mRNA発現レベルの比較を示している。 定量的リアルタイムPCRによって評価した、アトピー性(n=10)および非アトピー性(n=10)の個体の独立コホートでの、精製CD4 T細胞におけるHDM刺激から24時間後のNFKBIZ mRNA発現レベルの比較を示している。 16個の機能モジュールを含む共発現ネットワークを示しており、ここでは樹状のデンドログラムが高度の相互連結性(相関性のある発現レベル)を有する遺伝子同士を結び付けており、高度な結び付きのある遺伝子またはネットワークモジュールの分離した分枝状構造を見せている。 図22Aに示されたネットワークのサブセットを拡張した形で示している。共発現ネットワークをより詳細に調べたところ、Th2作動性のアレルギー炎症を媒介する主要な遺伝子(IL-4、IL-4R、IL-5、IL-9、IL-13)が、104種の他の遺伝子とともに「Th2エフェクター」モジュールを形成することが明らかになった。

Claims (17)

  1. 哺乳動物におけるアレルギー性疾患の発症を予測するための方法であって、以下の段階を含む方法:(a)哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、段階(a)における哺乳動物がアレルギーを発症するか否かが予測される段階。
  2. 哺乳動物におけるアレルギー性疾患を診断するための方法であって、以下の段階を含む方法:(a)哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;(b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;(c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;(d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに(e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、段階(a)における哺乳動物がアレルギーであることが診断される段階。
  3. 特定の配列の一団が、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LまたはLIX1Lの1つまたは複数をさらに含む、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 細胞が末梢血単核細胞(PBMC)である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. 哺乳動物におけるアレルギー性疾患を予防または治療するための方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)哺乳動物の臓器、組織または細胞から単離された核酸分子のプールを入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (b)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(a)に記載した核酸分子のプールの中の、特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含み、該一団がCAMK2DおよびCDH1を含む段階;
    (c)事前に判明している発現レベルと比較した場合に異なる、特定の配列の一団の1つまたは複数に関する遺伝子発現パターンを同定する段階;ならびに
    (d)遺伝子発現パターンを事前に判明している発現レベルに至らせることのできる薬剤を投与する段階。
  6. アレルギー性疾患を有する哺乳動物の治療のための薬剤を選択する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)アレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが同程度であるならば、被験薬剤がアレルギーを有する哺乳動物の治療において有用とされる段階。
  7. アレルギー性疾患を予防しようとする哺乳動物に対する予防薬を選択する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)疑いのあるアレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンがその特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが同程度であるならば、被験薬剤が哺乳動物におけるアレルギーの予防において予防薬として有用とされる段階。
  8. アレルギー性疾患と関連のある遺伝子の発現を調整しうる制御物質(control agent):
    (a)アレルギー性哺乳動物の細胞を被験薬剤と接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じ被験薬剤と接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、前記一団の発現レベルが被験薬剤の存在下で異なるならば、このことが、その薬剤がCAMK2DおよびCDH1の発現を調整しうることを示す段階。
  9. アレルギー性疾患に対する治療中の哺乳動物をモニターする方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)治療前の哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
    (b)治療下にある哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
    (c)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
    (d)段階(a)、(b)および(c)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (e)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(d)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (f)段階(e)における発現パターンを比較して、発現レベルが治療中に変化したか否かを判定する段階であって、治療中の発現レベルの変化が治療法の進展の指標となる段階。
  10. アレルギー性疾患に罹患した動物の、アレルギー性疾患に対しての治療に対する潜在的な反応性を決定する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルの違いによって、治療法に対する動物の潜在的な反応性が示される段階。
  11. アレルギー性疾患に罹患した動物がより重症および/または持続的な型のアレルギー性疾患に進行するリスクを予測する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、アレルギー性哺乳動物と非アレルギー性哺乳動物との間の発現レベルの任意の違いによって、アレルギー性哺乳動物がより重症および/または持続的な型のアレルギー性疾患を発症するリスクが予測される段階。
  12. 動物におけるアレルギー性疾患の免疫学的表現型を決定する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)アレルギー性哺乳動物の細胞をアレルゲンと接触させる段階;
    (b)非アレルギー性哺乳動物の細胞を、段階(a)で用いたのと同じアレルゲンと接触させる段階;
    (c)段階(a)および(b)における細胞から単離された核酸の試料を入手する段階であって、該核酸がRNAまたはRNAのcDNAコピーである段階;
    (d)アレルギーに応じて増大または減少することが事前に判明している、(c)に記載した各核酸プールの中の、CAMK2DおよびCDH1を含む特定の配列の一団の遺伝子発現パターンを決定する段階であって、該遺伝子発現パターンが特定の配列の一団に関するmRNAまたはcDNA存在量の相対レベルを含む段階;ならびに
    (e)段階(d)における発現パターンを比較する段階であって、発現レベルによって、動物の免疫学的表現型が示される段階。
  13. アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための、以下のものの1つまたは複数を含む、単離された分子:
    (a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される核酸の配列、もしくはその生物活性断片;
    (b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
    (c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;ならびに/または
    (d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
  14. 薬学的に許容される担体とともに、以下のものの1つまたは複数を含む、治療薬または予防薬:
    (a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される核酸の配列を有する、単離された核酸分子、またはその生物活性断片;
    (b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
    (c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;ならびに/または
    (d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
  15. アレルギー性疾患の治療または予防に用いるための、請求項15記載の薬剤。
  16. アレルギー性疾患を治療または予防する方法であって、哺乳動物に対して、以下のものの1つまたは複数を投与する段階を含む方法:
    (a)CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される遺伝子の配列を有する単離された核酸分子、もしくはその生物活性断片;
    (b)(a)の配列の相補物である、単離された核酸分子;
    (c)(a)もしくは(b)の核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸分子;
    (d)(a)、(b)もしくは(c)の核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド;ならびに/または
    (e)(a)、(b)および/もしくは(c)の分子の発現を調整しうる、もしくは(d)のポリペプチドと特異的に結合する薬剤。
  17. 薬剤が、CAMK2D、CDH1、SLC37A3、PALM2-AKAP2、NSMCE1、TSPAN13、SYTL3、SFRS8、FIP1L1、MAML3、TRIM4、SIAH1、ITPR1、ITSN2、CLCF1、CRLF1、CLIC5、IGJ、NFKBIZ、DLC1、GBP5、PEG10、HOMER2、ZBTB8、MOBKL2C、EDG3、MELK、PHC3、TTC3、KLK1、KCNV2、IL1F9、GBP1、SEL1、IL1R2、IFI44LおよびLIX1Lからなる群より選択される遺伝子の核酸配列に対してアンチセンスであるか、またはその生物活性断片である、請求項17記載の方法。
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