JP2009528653A - スイッチング・アークにより作り出されるクエンチング・ガスを保持するための加熱ボリュームを有する高電圧スイッチのためのスイッチング・チャンバ - Google Patents
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Abstract
このスイッチング・チャンバは、ガス絶縁式高電圧スイッチのために意図されたものであって、軸(5)に沿って互いに対して相対的に移動する二つのアーキング・コンタクト(3,4)を備えたコンタクト装置(2)、絶縁ノズル(6)、絶縁補助ノズル(11)、加熱ボリューム(7)、及び加熱チャネル(10)を含んでいる。加熱チャネル(10)は、絶縁ノズル(6)と絶縁補助ノズル(11)の間で、部分的に軸方向に経路が定められ、アーキング・ゾーン(9)を加熱ボリューム(7)に接続する。加熱チャネル(10)の、加熱ボリューム(7)の中に開口する部分(12)は、軸(5)に対して内側に傾斜している。短絡電流がアーキング・ゾーン(9)の中で切り離されるときに形成される高温ガス(13)は、それ故に、内側に方向付けられた速度成分を有した状態で、加熱ボリューム(7)の中へ流れ、軸に近い領域内で、加熱ボリューム(7)の中へ深く浸入することが可能である。加熱ボリューム(7)の中で、高温ガス(13)及び既に存在している低温ガス(16,18)から形成されたクエンチング・ガスの質が、このようにして改善されることが可能であり、このクエンチング・ガスは、切り離しの間にアーキング・ゾーン(9)の中で発生したスイッチング・アーク(8)を吹き消すために使用される(図1)。
Description
本発明は、特許請求項1の導入部に規定されているような、加熱ボリュームを有する高電圧スイッチのためのスイッチング・チャンバに係る。本発明はまた、このようなスイッチング・チャンバを有するスイッチにも係る。
冒頭に述べたタイプのスイッチング・チャンバは、数百キロボルトまでの電圧範囲で、50キロアンペアの範囲内のまたはそれ以上の短絡電流が切り離されることを可能にする。このスイッチング・チャンバは、軸に沿って互いに対して相対的に移動する二つのアーキング・コンタクトを備えた軸対称のコンタクト装置と;絶縁ノズルと;絶縁補助ノズルと;加熱ボリュームと;絶縁ノズルと絶縁補助ノズルの間で部分的に軸方向に経路が定められ且つアーキング・ゾーンを加熱ボリュームに接続する加熱チャネルと;を含んでいる。
アーキング・ゾーンは、短絡電流が切り離されたときに高電力のスイッチング・アークを保持するものであって、短絡電流を切り離すときに、二つのアーキング・コンタクトにより軸方向に、且つ絶縁ノズル及び絶縁補助ノズルにより径方向に、その境界が定められる。スイッチング・アークにより形成された高温ガスは、アーキング・ゾーンから、加熱チャネルを介して、スイッチング部材を同軸上で取り囲む加熱ボリュームの中へ送られる。加熱ボリュームの中に導入された高温ガスは、既に存在している低温ガスと混合され、そして、切り離されるべき電流がゼロ交差に近づいたときに、スイッチング・アークを吹き飛ばすために、クエンチング・ガスとしてアーキング・ゾーンの中に導入される。
スイッチング・チャンバを備えた高電圧スイッチの切り離しの定格は、スイッチング・チャンバの絶縁強度により支配され、クエンチング・ガスの密度、即ち、クエンチング・ガスの圧力及び温度に依存する。もし、高温及び低温ガスが、不完全にしか互いに混合されない場合には、短絡電流のゼロ交差の後に、高温ガスの泡がまだ加熱ボリュームの中に存在する場合があり、これらの泡が、クエンチング・ガスとともにアーキング・ゾーンの中に戻って、望ましくない再点弧をもたらす場合がある。
軸対称のコンタクト装置を備えた、冒頭に述べたタイプのスイッチング・チャンバが、DE 19 910 166 A1 の中に記載されている。このスイッチング・チャンバにおいて、切り離しの間に形成され且つ二つのアーキング・コンタクトにより境界が軸方向に定められるアーキング・ゾーンが、軸対称の加熱チャネルを介して、トーラス(torus:円環体)の形態の加熱ボリュームとつながっている。この加熱チャネルは、対称軸に対して外側に傾斜し且つ加熱ボリュームの中に開口する部分を有している。アーキング・ゾーンの中でスイッチング・アークにより形成された高温ガスは、それ故に、軸から外側に離れる方向の速度成分を有した状態で、加熱ボリュームの中に入る。
D.Yoshida、H.Ito、H.Kohyama、T.Sawada、K.Kamei and M.Hidaka による、“Evaluation of Current Interrupting Capability of SF6 Gas Blast Circuit Breakers”; Proceedings of the XIV International Conference on Gas Discharge and their Applications (Liverpool, September 2 - 6, 2002) とのタイトルのレポートに開示されているところによれば、スイッチング・チャンバの環状の加熱ボリューム(その中を高温ガスが軸方向に流れ且つ低温ガスを含んでいる)の良好な完全混合のために、この加熱ボリュームの軸方向の長さ“L”の、軸に対して垂直の断面積“A”の1/2乗に対する比が、約0.5であることが有利であるとされている。
更にまた、Georges Gaudart、Pierre Chevrier、Vicenzo Girlando and Antonio Lubello は、“New Circuit Breaker 245 kV 50 kA 50 Hz and 60 HZ with a very low operating energy”; 2nd European Conference on HV & MV Substation Equipment (Lyons, France, November 20 - 21, 2003) と言うレポートの中に、高電圧サーキット・ブレーカのためのスイッチング・チャンバが開示されている。このスイッチング・チャンバの中には、環状の加熱ボリュームが、ドライブの補助のために設けられ、その中に、加熱チャネルが軸方向に開口している。流れ込んでくる高温ガス及び既に存在している低温ガスの完全な混合を改善するために、高温ガスのためのガイド要素は、管状の形態で、加熱ボリュームの中で軸方向に経路が定められており、このガイド要素は、加熱ボリュームの口部に隣接して配置されている。
独国特許出願公開第 DE 19 910 166 A1 号明細書
D.Yoshida, et al., "Evaluation of Current Interrupting Capability of SF6 Gas Blast Circuit Breakers"; Proceedings of the XIV International Conference on Gas Discharge and their Applications (Liverpool, September 2 - 6, 2002)
Georges Gaudart, et al., "New Circuit Breaker 245 kV 50 kA 50 Hz and 60 HZ with a very low operating energy"; 2nd European Conference on HV & MV Substation Equipment (Lyons, France, November 20 - 21, 2003)
本発明は、特許請求項の中に規定されているような、冒頭に述べたタイプのスイッチング・チャンバを提供する目的に基づいている。このスイッチング・チャンバの中で、低温ガス及び切り離しの間に作り出された高温ガスが、高い質のクエンチング・ガスを形成するために、シンプルな手段を使用して効果的に完全に混合される。かくして、本発明は、このスイッチング・チャンバを備えたスイッチング・チャンバ及びスイッチが、良好な切り離しの定格を有することを確実にする。
本発明に基づくスイッチング・チャンバ及びスイッチにおいて、加熱チャネルの、加熱ボリュームの中に開口する部分は、軸に対して内側に傾斜している。
この方策は、一方では、加熱ボリュームの中に流れ込む高温ガスが、内側に方向付けられた速度成分を有しており、加熱ボリュームの軸方向に揃えられたインナー・ウォールに沿って、リア・ウォール(これは流れの方向で加熱ボリュームの境界を軸方向に定める)まで送られることを意味している。内側に方向付けられた速度成分は、高温ガスの流れが、インナー・ウォールから分離することを防止し、それ故に、高温ガスが、軸に近い領域内で、加熱ボリュームの中へ深く浸入することを可能にする。それと同時に、加熱ボリュームの中に存在する冷たいクエンチング・ガスは、流れ込んでくる高温ガスに対して、比較的低いレベルの流動抵抗しかもたらさず、それによって、流れ込んでくる高温ガスの速度が、大幅には減少されないようになる。
高温ガスと冷たいクエンチング・ガスとの混合を促進する渦の形成プロセスは、それ故に、加熱チャネルの口部から加熱ボリュームの中への比較的長い距離でのみ、生ずることになる。形成された渦は、高温ガスの低い粘度のために、数ミリ秒に亘る比較的長い期間、おおむね安定した状態でとどまり、それによって、冷たいガスが、この期間に亘って、加熱ボリュームの中への加熱チャネルの口部に残ることになる。
切り離されるべき電流がゼロ交差に近づき、クエンチング・ガスが加熱ボリュームからアーキング・ゾーンの中に流れ始めるとき、スイッチング・アークを吹き飛ばすための冷たいクエンチング・ガスが利用可能であり、たとえアーク・クエンチング・プロセスの開始の際であっても、利用可能である。このガス及び後続して流れ出る良好なクエンチングの特性を有するクエンチング・ガス(このガスは、口部とは反対方向を向いた加熱ボリュームの部分での長続きする渦の結果として、強い混合により形成される)は、異なる強度及び継続時間の短絡電流が、首尾良く遮断されることを可能にすることを確実にする。
更にまた、他方では、口部分の、内側に傾斜している形状は、加熱ボリュームの径方向の寸法を減少させることを可能にする。加熱チャネルの境界をその内側で定める絶縁補助ノズルは、加熱チャネルが加熱ボリュームの中に開口するポイントで、傾斜していることが可能であり、それによって、加熱ボリュームのインナー・ウォールが、スイッチング・チャンバのアーキング・コンタクトのコンタクト・マウント(これは小さな直径を備えている)により形成されることになる。加熱ボリュームの外側の直径は、かくして、減少されることが可能であり、それ故に、スイッチング・チャンバの製造コストを減少させる。
大きい傾斜角度は、経済的に有利な、加熱ボリュームの外側の直径の減少を、明らかに可能にする。しかし、この傾斜角度が増大するに従って、加熱ガスの流れがインナー・ウォールから時期尚早に分離する強い傾向を有している。傾斜角度が45°を超えると、この分離の傾向は、特定の流速で、既に相対的に強力に顕著である。加熱ボリュームの内側への、高温ガスの特に良好な軸方向に向けられたガイダンスは、10°と30°の間の傾斜角度で実現され、それと同時に、加熱ボリュームの外側の直径が小さく維持される。
口部分は、好ましくは、傾斜方向に次第に細くなる中空切頭円錐の形態にデザインされる。このような口部分は、下記の方策を実施することにより、実現されることが可能である:絶縁補助ノズルを傾斜させる;絶縁補助ノズルを上述のアーキング・コンタクトのコンタクト・マウントに固定する;絶縁ノズルの中に円錐表面(この表面は、外側で口部分の境界を定め、且つ中空切頭円錐のケーシング表面を形成する)を形成する;絶縁ノズルを固定する。
もし、このケーシング表面が、口部分から加熱ボリュームへの接続部で、リングの形態のシャープ・エッジにより境界が定められる場合には、このエッジは、高温ガスの流れがケーシング表面から分離することを容易にし、またそれと同時に、加熱ボリュームのリア・ウォール上での渦の形成を付加的に助ける。低電力のスイッチング・アークにより作り出される弱い高温ガスの流れの場合には、高温ガスと低温ガスの混合を促進する渦が、それ故に、エッジの下流で信頼性高く形成され、低電力のスイッチング・アークに対してさえも、良質のクエンチング・ガスをもたらす。高温ガスの流れの経路の更なる改善、そしてそれ故にまた、クエンチング・ガスの絶縁性能の更なる改善も、タブの形態で加熱ボリュームの中に突出するリングの上に、シャープ・エッジを配置することにより実現される。
もし、口部分が、傾斜方向に伸び且つ周方向に互いに対してオフセットされた状態で配置された少なくとも二つのチャネル要素を有している場合には、傾斜した加熱チャネルの有利な効果は、おおむね維持される。これは、特に、チャネル要素が、それぞれ、バナナの形態の断面形状を有している場合に、当てはまる。
もし、加熱チャネルが、その全長に亘っておおむね一定の断面積を有している場合、口部分の全体に亘って内側に方向付けられた速度成分を維持しながら、高温ガスの流速が一定に維持されることも可能である。流れの不均一性からもたらされる、加熱チャネルの中での望ましくない早過ぎる渦の形成の可能性が、このようにして、減少される。
もし、口部分が、傾斜方向に次第に細くなる中空切頭円錐の形態である場合には、口部分での一定の断面積は、中空切頭円錐の内側表面がそのケーシング表面と比べてより急峻に傾斜することにより実現される。このような加熱ボリュームのデザインは、口部の下流の加熱ボリュームの部分で、渦の形成及び安定化を促進する。
もし、加熱ボリュームが、トーラス(torus:円環体)の形態であって、且つ周方向にほぼ矩形の断面を有している場合には、高温ガスの渦の形成及び安定化のために、そしてそれ故に、高温ガスと低温ガスを混合することにより実現されるクエンチング・ガスの質のためにも、軸方向のトーラスの長さの、径方向のトーラスの高さに対する比が、1と3の間であることが有利である。
本発明の例示的な実施形態が、以下のテキストにおいて、図面を参照しながら、更に詳細に説明される。
同じ参照符号は、全ての図において、同じ効果を有する部分に関係している。高電圧サーキット・ブレーカのスイッチング・チャンバは、図1及び2に示されているように、ハウジング1及びコンタクト装置2を含んでいる。ハウジング1は、おおむね軸対称であり、加圧された絶縁ガスで満たされている。この絶縁ガスは、例えば、六弗化硫黄、窒素、酸素、または二酸化炭素、またはこれらのガスの相互の混合物(例えば空気)に基づいている。コンタクト装置2は、スイッチング・チャンバのハウジング1により保持され、且つ同様に、おおむね軸対称である。
コンタクト装置2の二つのアーキング・コンタクト3,4が、切り離しのプロセスの間の状態で、描かれている。その中で、アーキング・コンタクト3は、軸5に沿って移動することが可能であるように配置され、そして、アーキング・コンタクト4は、ハウジング1の中に固定されて保持されている。アーキング・コンタクト4は、必ずしも固定されている必要が無く、移動可能であっても良い。二つのアーキング・コンタクト3,4は、クエンチング・ガスを貯えるために、絶縁ノズル6及び加熱ボリューム7により同軸上で取り囲まれている。加熱ボリューム7は、周方向に矩形の断面を備えたトーラス(torus:円環体)の形態である。200から300kVの典型的な定格電圧及び50から70kAの典型的な定格短絡切り離し電流のために意図されたスイッチの場合には、加熱ボリューム7は、一般的に、約1から2リットルの加圧されたクエンチング・ガスを保持することも可能である。
チャンバが接続された位置(図示せず)にあるとき、アーキング・コンタクト4の左側の端部が、管状のアーキング・コンタクト3の右側の端部の中に押し込まれ、それにより、電流を運ぶ。切り離しの間に、二つのアーキング・コンタクト3,4が、互いから切り離され、そしてその過程において、アーキング・コンタクトの二つの端部から伸びるアーク8を形成する。このアークは、図1から分かるように、アーキング・ゾーン9の中で燃える。アーキング・ゾーン9は、二つのアーキング・コンタクト3,4により軸方向に境界が定められ、且つ、絶縁ノズル6及び絶縁補助ノズル11により径方向に境界が定められる。アーキング・ゾーン9は、加熱チャネル10と連絡している。
加熱チャネル10は、絶縁ノズル6と絶縁補助ノズル11の間で部分的に軸方向に経路が定められ、断面12で加熱ボリューム7の中に開口する。この断面は、軸5に対して内側に傾斜している。傾斜角度は、αである。絶縁補助ノズル11は、自由端を有しており、この自由端は、周方向に、アーキング・コンタクト3のコンタクト・フィンガーにより形成されている。
切り離されるべき電流の半サイクルの間、アーキング・ゾーン9の中の圧力は、一般的に、加熱ボリューム7の中と比べて高い。加熱チャネル10は、そのとき、加熱ボリューム7の中に、アーク8により形成された高温ガスを運ぶ。電流のゼロ交差に近付いて、もし、アーク8の加熱効果が減少した場合には、これに続いて、流れの反転が起こる。加熱ボリューム7の中に貯えられたガスは、加熱チャネル10を介して、アーキング・ゾーン9の中へ、クエンチング・ガスとして流れ、そこで、アーク8を吹き消す。それは、アークが、電流のゼロ交差でクエンチされるまで、少なくとも続く。
アークを吹き飛ばすための、加熱ボリューム7の中に貯えられたクエンチング・ガスの質、そしてそれ故にまた、スイッチング・チャンバの切り離しの定格は、ガスの密度に依存する。このガスの密度は、クエンチング・ガスの圧力及び温度により支配される。これらの圧力及び温度は、主として、スイッチング・アークの電流レベル及び継続時間により支配される。しかしながら、それらはまた、なかんずく、加熱ボリューム7の形状及び容積によっても支配される。加熱ボリューム7のサイズは、圧力の形成のみに影響を与えるのに対して、加熱ボリュームの形状は、ガスの完全な混合に影響を与え、かくして、クエンチング・ガスの温度に影響を与える。しかしながら、クエンチング・ガスの質もまた、アーキング・ゾーン9から加熱ボリューム7の中への経路上での、高温ガスの流れの状態に大きく依存する。
口部分12が、内側に傾斜している加熱チャンバ7の中に延びているので、高温ガス(ダブルの頭の矢印13により識別されている)には、内側に方向付けられた速度成分が付与され、そして、その高温ガスは、アーキング・コンタクト3の管状のコンタクト・マウント14に沿って、流れの方向で加熱ボリュームの境界を軸方向に定めるリア・ウォール15まで送られる。内側に方向付けられた速度成分は、コンタクト・マウント14からの高温ガスの流れ13の分離を防止する。このコンタクト・マウントは、加熱ボリューム7の軸方向に揃えられたインナー・ウォールを構成している。それ故に、高温ガスの流れ13が、軸に近い領域内で加熱ボリュームの中へ深く浸入することを可能にする。
渦形成のプロセスは、低温ガス16との間の高温ガス13の混合を促進し、それ故に、加熱ボリューム7の中へ加熱チャネル10の開口部から十分に離れた位置でのみ、発生する。渦形成のプロセスの間に形成された高温ガスの渦17は、高温ガスの低い粘度のために、数ミリ秒の比較的長い期間に亘っておおむね安定してとどまり、それによって、低温ガス18が、この期間の間、加熱ボリュームの中への加熱チャネルの口部にとどまることになる。
切り離されるべき電流がゼロ交差に近づいて、クエンチング・ガスが加熱ボリューム7からアーキング・ゾーン9の中に流れ始めるとき、たとえアーク・クエンチング・プロセスの開始の際であっても、低温ガス18が、スイッチング・アークを吹き飛ばすための特に高い質のクエンチング・ガスとして、利用可能である。後で作用を与え、且つ加熱ボリューム7の裏側の部分の中での低温ガス16との間の高温ガスの渦17の強い混合により形成されるクエンチング・ガスの組成は、高い質を有しており、それ故に、異なる強度及び継続時間の短絡電流が、首尾良く妨げられることが可能になることを実現する。
図1から分かるように、口部分12の形状は、内側に傾斜していて、径方向の加熱ボリューム7の寸法を減少させる。分かるように、絶縁補助ノズル11は、口部分12において傾斜している。加熱ボリュームのインナー・ウォール7は、それ故に、アーキング・コンタクト3のコンタクト・マウント14により形成され、このコンタクト・マウントは、絶縁補助ノズル11と比べて小さい直径を有していて、それによって、このボリュームの加熱ボリューム7の容積を支配する外側の直径が、減少されることが可能である。
傾斜角度αは、45°までであっても良い。それより大きな角度では、高温ガスの流れが、コンタクト・マウント14から時期尚早に分離する傾向がある。高温ガス13の、加熱ボリュームの内側7への、良好にデザインされた軸方向の経路は、それと同時に加熱ボリュームが小さく維持される外側の直径を有した状態で、10°と30°の間の傾斜角度αで実現される。
本発明に基づくスイッチング・チャンバの実施形態において、図1及び2に示されているように、口部分12は、傾斜方向に次第に細くなる中空切頭円錐の形態である。中空切頭円錐は、下記の工程により実現されることが可能である:絶縁補助ノズル11を円錐状に傾斜させる;中空切頭円錐の内側表面19として働く円錐表面を形成する;絶縁ノズル11の中に円錐表面(これは切頭円錐のケーシング表面20として働く)を形成する;次いで、絶縁補助ノズル11をコンタクト・マウント14に固定する;そして絶縁ノズル6を加熱ボリューム7のアウター・ウォール(これには参照符号21が付けられている)に固定する。
加熱チャネル10は、その全長に亘っておおむね一定の断面積を有している。高温ガスの流速は、それ故に、加熱チャネルの全体に亘っておおむね一定であり、特に、口部分12においても一定である。流れの不均一性に起因する、加熱チャネル10の中での望ましくない早過ぎる渦の形成の可能性は、それ故に、低く維持される。口部分12における一定の断面積は、表面19が表面20と比べてより急峻に傾斜することにより実現される。
図1から分かるように、ケーシング表面20は、口部分12から加熱ボリューム7への接続部で、リングの形態のシャープ・エッジ22により境界が定められる。このエッジは、高温ガスの流れ13がケーシング表面20から分離することを容易にし、それ故に、加熱ボリュームのリア・ウォール15上でのみの渦17の形成を助ける。エッジ22の半径は、典型的には、0.1から1mmである。
図5に示されたスイッチング・チャンバの実施形態において、エッジ22は、タブの形態で加熱ボリュームの中に突出するリング23の上に配置されている。このリング23は、高温ガスの流れ13が口部の領域においてより良くガイドされることを確保する。
中空切頭円錐の代わりに、口部分12が、異なる形状に作られていても良い。図3及び4から分かるように、口部分が、周方向に、互いに対してオフセットされた状態で配置されたチャネル要素12’(図3)及び12''(図4)を有していても良い。そのチャネル要素は、図3に示されているように、ほぼ円形の断面を有していても良く、または、図4に示されているように、バナナの形態であるの断面形状を有していても良い。
高温ガスと低温ガスを混合することにより実現されるクエンチング・ガスの質のために、加熱ボリューム7の中のトーラスの軸方向の長さの、トーラスの径方向の高さに対する比が、1と3の間であることが有利である。
1…ハウジング、2…コンタクト装置、3,4…コンタクト・ピース、5…軸、6…絶縁ノズル、7…加熱ボリューム、8…アーク、9…アーキング・ゾーン、10…加熱チャネル、11…絶縁補助ノズル、12…口部分、12’,12''…チャネル要素、13…高温ガス(の流れ)、14…コンタクト・マウント、15…リア・ウォール、16,18…低温ガス、17…(高温ガス)渦、19…内側表面、20…ケーシング表面、21…アウター・ウォール、22…エッジ、23…リング。
Claims (12)
- コンタクト装置(2)を有するガス絶縁式高電圧スイッチためのスイッチング・チャンバであって、
軸(5)に沿って互いに対して相対的に移動する二つのアーキング・コンタクト(3,4)と、絶縁ノズル(6)と、絶縁補助ノズル(11)と、加熱ボリューム(7)と、加熱チャネル(10)と、を含み、
この加熱チャネルは、絶縁ノズル(6)と絶縁補助ノズル(11)の間で部分的に軸方向に経路が定められ、且つアーキング・ゾーン(9)を加熱ボリューム(7)に接続する、
スイッチング・チャンバにおいて、
前記加熱チャネル(10)の、前記加熱ボリューム(7)の中に開口する口部分(12)が、前記軸(5)に対して内側に傾斜していることを特徴とするスイッチング・チャンバ。 - 下記特徴を有する請求項1に記載のスイッチング・チャンバ:
前記傾斜角度(α)は、最大で45°である。 - 下記特徴を有する請求項2に記載のスイッチング・チャンバ:
前記傾斜角度(α)は、0°と30°の間である。 - 下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチング・チャンバ:
前記口部分(12)は、傾斜方向に次第に細くなる中空切頭円錐の形態である。 - 下記特徴を有する請求項4に記載のスイッチング・チャンバ:
前記中空切頭円錐のケーシング表面(20)は、前記口部分(12)の境界を外側で径方向に定めるものであって、前記口部分(12)から前記加熱ボリューム(7)への接続部で、リングの形態のシャープ・エッジ(22)により境界が定められる。 - 下記特徴を有する請求項5に記載のスイッチング・チャンバ:
前記シャープ・エッジ(22)は、タブの形態で前記加熱ボリューム(7)の中に突出するリング(23)の上に配置されている。 - 下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチング・チャンバ:
前記口部分(12)は、傾斜方向に伸び且つ周方向に互いに対してオフセットされた状態で配置された少なくとも二つのチャネル要素(12’,12'')を有している。 - 下記特徴を有する請求項7に記載のスイッチング・チャンバ:
前記チャネル要素(12'')は、それぞれ、バナナの形態の断面形状を有している。 - 下記特徴を有する請求項1から8のいずれか1項に記載のスイッチング・チャンバ:
前記加熱チャネル(10)は、その全長に亘っておおむね一定の断面積を有している。 - 下記特徴を有する請求項9に記載のスイッチング・チャンバ:
もし、前記口部分(12)が、傾斜方向に次第に細くなる中空切頭円錐の形態である場合には、その内側表面(19)は、そのケーシング表面(20)と比べて、より急峻に傾斜している。 - 下記特徴を有する請求項1から10のいずれか1項に記載のスイッチング・チャンバ:
前記加熱ボリューム(7)は、トーラスの形態であって、周方向にほぼ矩形の断面を有しており、前記トーラスの軸方向の長さの、前記トーラスの径方向の高さに対する比は、1と3の間である。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載のスイッチング・チャンバを有する高電圧スイッチ。
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