JP2009525314A - 肥満の処置のための15−リポキシゲナーゼ阻害剤の使用 - Google Patents

肥満の処置のための15−リポキシゲナーゼ阻害剤の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、肥満、特に腹部内臓肥満の処置に関する。より具体的には、本発明は、肥満または少なくとも腹部内臓肥満、および/またはその帰結の処置において有用な医薬の調製のための選択的15−LO阻害剤の使用に関する。

Description

本発明は、肥満、特に腹部内臓肥満の処置に関する。より詳細には、本発明は、肥満、または少なくとも腹部内臓肥満、およびその帰結の処置において有用な医薬の調製のための、選択的15−リポキシゲナーゼ(LO)阻害剤の使用に関する。
緒言
肥満は、工業化国における主要な公衆衛生問題になっている、漸増的に広まっている慢性疾患である。世界保健機構(WHO)は、歴史上最初の非感染性流行病として肥満を認識している。特に、体重過多がますます若い年齢で見られているので、肥満の管理は優先すべきものであると考えられている。
世界的に、肥満の発生率は警告レベルに到達している。WHOのデータによれば、全米国人の半分近くが過体重であり、そして1/4が臨床的に肥満であり、これはいくつかの集団においては70%ほど高くあり得る割合である。欧州では、成人の30%が過体重であり、そして西欧の成人の12%が肥満である。フランスでは1987年と1996年との間に肥満率の45%の上昇が見られており、そして概算で800万人が肥満である。肥満は若齢者も冒している:肥満児数は1980年代以来2倍になっており、そして6〜12歳の児童における肥満の有病率は10〜12%と概算されている。いくつかの研究は、この速度で肥満は2030年までに欧州人口の半分を冒すと予測している。
肥満は、脂肪質量の過剰を特徴とする状態である。身長(m)の2乗あたりの体重(kg)(kg/m)として定義されるボディマスインデックス(BMI)は、体重過多および肥満を測定するための国際標準である。BMIは肥満の程度の指標を与え、それで肥満関連の健康上の危険の評価を可能にする(下記参照)。30kg/m以上のBMIを有する人は肥満であるとみなされる。BMIに加えて、脂肪組織(AT)の身体分布を決定することも重要である。実際、肥満個体における増加した脂肪質量は、主に、体幹の腹腔内および内臓周囲領域において見出され、そして腹部内臓ATとして知られている。腹部皮下AT質量は肥満対象においてわずかにのみ増加する。この結果、腹部内臓ATと腹部皮下ATとの間の割合が増加する。肥満ではないが、インスリン耐性を発達させている個体でさえ、腹部皮下ATに対する腹部内臓ATのより高い割合を有する。従って、米国コレステロール教育プログラム−成人治療委員会III(National Cholesterol Education Program - Adult Treatment Panel III)(NCEP−ATP III)によれば、女性で88cm、男性で102cmより大きなウエスト周囲長(民族によって変動する)が、腹部内臓肥満の指標であり、そして他の健康上の問題を発達させるより高い危険と関連している。国際糖尿病連合(International Diabetes Federation)(IDF)は近年、臨海ウエスト周囲長閾値を女性で80cm、男性で94cmまで下げた(Alberti KG et al., 2005)。この腹部内臓ATの発達は、心血管系の危険の劇的な上昇と関連している(Larsson B et al., 1984)および(Lapidus L et al., 1984)。さらに、多数の疫学的研究および代謝研究によって、腹部領域におけるATの有意な蓄積が、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高血圧、胆嚢疾患、特定の癌(結腸直腸癌、乳癌、子宮内膜癌)、閉塞性睡眠時無呼吸および喘息等の呼吸器合併症、ならびに骨関節炎およびおそらくは運動の問題を発達させる主要な危険因子であることが確認されている。
腹部内臓ATの量を減少させることは、メタボリックシンドローム患者の管理における処置の優先目的に違いない。実際、腹部内蔵質量のかなりわずかな減少(5〜10%)でさえ、心血管系疾患および2型糖尿病についての危険因子の大部分に対して有利な効果を与え、脂質プロファイル、インスリン感受性指数、高血圧ならびに血栓症および炎症の増加した危険と関連した変数において改善が観察される。ATの低下または予防のための薬理学的アプローチは、中枢神経系に作用する食欲不振誘発剤、または熱産生を増加させることによってエネルギー消費を増加させるかもしくは腸管腔中で食事性脂肪を隔離する薬物のいずれかに依存する。しかし、現在の薬理学的アプローチには、多かれ少なかれ、許容できる副作用を生じる欠点がある。
肥満、特に腹部内臓肥満および/またはその帰結を処置するための有効な治療ストラテジーを見出すことの必要性はそれゆえ、世界的にこの上なく緊急である。
脂肪細胞の分化は、細胞が前脂肪細胞期から脂肪細胞に進行するプロセスである。前記分化は以下の3段階で生じる:前脂肪細胞(増殖する唯一の細胞)の増生、前脂肪細胞の脂肪細胞への分化、および最後に、肥大のプロセスの間の成熟脂肪細胞におけるトリグリセリドの蓄積。従って、成人における脂肪質量は、主として、脂肪細胞の肥大によって、よりまれには増生によって、増加する。一般則として、脂肪細胞の分化は通常、ホルモン、サイトカイン(またはアディポカイン)、増殖因子、ビタミン等のような、細胞培質中に存在する因子によって正および負両方の調節に供される。何名かの著者は、脂肪細胞の分化における、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼ経路において産生されるアラキドン酸代謝産物の役割を示唆している(Shillabeer G et al., 1998)。さらに、脂肪細胞の分化は、転写因子ネットワークによって協調的に調節される。脂肪細胞の分化は、細胞周期からの退出ならびにPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)核受容体の発現を誘導する因子であるC/EBPα、C/EBPδ(CCAAT/エンハンサー結合タンパク質)およびSREBP−1の活性化によって開始される(Fajas L et al., 1998)。
リポキシゲナーゼは、リポタンパク質中に見出されるものを含む多価不飽和脂肪酸のヒドロペルオキシ誘導体への酸化を触媒する、植物および動物中に見出される酵素である(Kuhn H and Borngraber S, 1999)。ヒトでは、リポキシゲナーゼをコードする以下の6個の遺伝子が存在する:e−LOX−3(表皮型リポキシゲナーゼ3)、5−LO(5−リポキシゲナーゼ)、12−LO(12−リポキシゲナーゼ)、12(R)−LOX(12(R)−リポキシゲナーゼ)、15−LO−1(網状赤血球型 − 15−リポキシゲナーゼ1)および15−LO−2(15−リポキシゲナーゼ2)。これらの様々なリポキシゲナーゼは、アラキドン酸上の酸化の位置の特異性に従って命名されている。12−LOおよび15−LOはそれぞれ、アラキドン酸を12(S)−ヒドロキシペルオキシ−5,8,10,14(Z,Z,E,Z)エイコサテトラエン酸(12(S)−HPETE)および15(S)−ヒドロキシペルオキシ−5,8,10,14(Z,Z,E,Z)エイコサテトラエン酸(15(S)−HPETE)に変換する。12(S)−HPETEおよび15(S)−HPETEの生化学的還元はそれぞれ、12(S)−HETE(12−(S)−ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸)および15(S)−HETE(15−(S)−ヒドロキシ−エイコサテトラエン酸)(リポキシンとして知られる化合物のクラスの前駆体である)の形成を導く(Kuhn H and Borngraber S, 1999)。アラキドン酸が15−LO−2の唯一の基質であるが(Brash AR et al., 1997)、15−LO−1は優先的にリノール酸を13(S)−ヒドロキシペルオキシ−9Z,11E−オクタデカジエン酸(13(S)−HODE)に代謝もする(Hsi LC et al., 2002)。いくつかのリポキシゲナーゼは、その相対的な割合が種に従って変動する生成物の混合物も生じさせ得る。例えば、ヒト15−LO−1は、15(S)−HETEに加えて、12(S)−HETEを少量生じさせる(最終生成物の5〜10%)。マウスにおいては、12/15−LOは、アラキドン酸を3:1の割合で12(S)−HETEおよび15(S)−HETEに変換する(Kuhn H and Borngraber S, 1999)。同じことは、ラット由来の12−LOについても当てはまる(Watanabe T et al., 1993)。マウス12/15−LOおよびラット12−LOの生化学的特性を考慮すると、これらの酵素は一般的に、ヒト15−LO−1の機能的等価物であると考えられる(以下、本文において、マウス12/15−LOおよびラット12−LOを、12/15−LOという)。
その基質特異性に加えて、ヒト15−LO−1および15−LO−2は、その組織分布に関しても異なっている。15−LO−1は、多くの細胞および組織型において構成的に発現されており、網状赤血球、好酸球、肺胞マクロファージおよび気道内上皮において発現が最も高い。15−LO−1は、多核白血球、炎症組織、ケラチノサイト、角膜上皮細胞、血管内皮細胞、子宮、胎盤および雄性生殖系の様々な細胞型においても検出されている(Kuhn H and Borngraber S, 1999)。15−LO−2は、組織分布がより限定されており、前立腺、肺、皮膚、角膜およびマクロファージにおいてのみ転写物が見出される(Brash AR, Boeglin WE and Chang MS, 1997)(Rydberg EK et al., 2004)。
15−リポキシゲナーゼは、アテローム性動脈硬化症(Harats D et al., 2000)、喘息(Shannon VR et al., 1993)、癌(Shureiqi I et al., 2000, Shureiqi I et al., 2000)、糸球体腎炎(Montero A and Badr KF, 2000)および骨粗鬆症(WO03/066048)を含むいくつかの病態において以前に関係付けられている。15−LO阻害剤の使用は、多くの病態の処置について、例えば、アテローム性動脈硬化症、特定の癌または炎症性疾患の処置について、特許US2005070589、US2005070588およびUS2005065198に以前に記載されている。
本発明者らは、腹部皮下ATと比較しての腹部内臓ATにおける15−リポキシゲナーゼ1(15−LO−1)の非常に高レベルの転写を検出した。本発明者らによって実施された研究によって、肥満の発達、より特定すると、脂肪細胞の分化および腹部内臓肥満の発達における15−リポキシゲナーゼの潜在的な役割が明らかとなった。それゆえ、15−LOの阻害剤は、肥満および/またはその帰結の処置における有利な治療ツールを表す。
従って、本発明は、肥満、特に腹部内臓肥満、および/またはその帰結の処置に関する。より詳細には、本出願は、肥満および/またはその帰結の少なくとも1つの処置において有用な医薬の調製のための15−リポキシゲナーゼ(LO)阻害剤の使用に関する。
発明の概要
本発明の1つの目的は、肥満および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬物の使用に関する。
本発明の別の目的は、薬学的に許容される支持体中で、所望により1つ以上の治療活性成分および/または美容活性成分とともに、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤を含む医薬組成物に関する。
発明の詳細な説明
本出願において本発明者らは、肥満の発達、より特定すると脂肪細胞の分化および腹部内臓肥満の発達における15−LOの役割を実証した。
それゆえ、本発明の1つの目的は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤の使用に関する。
本発明の精神において、15−LOは、15−LO−1および/または15−LO−2を指し、好ましくは15−LO−1を指す。本発明の好ましい実施態様によれば、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する前記薬剤は、15−LO−1の発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤である。
本発明の関連で、肥満は、ウエスト周囲長が女性で80cm以上、男性で94cm以上、および/またはBMIが30kg/m以上であることを特徴とする。27kg/m以上のBMIは、それを上回ると心血管系の危険が急激に上昇する閾値である。
より具体的には、本発明は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満の処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤の使用を目的として有する。
本発明の精神において、「肥満の帰結」は、2型糖尿病および/または心血管系疾患、高血圧、胆嚢疾患、特定の癌(直腸結腸癌、乳癌、子宮内膜癌)、閉塞性睡眠時無呼吸および喘息等の呼吸器合併症、ならびに骨関節炎および運動の問題を意味するものとして理解される。
15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、異なる性質、構造および起源の化合物、特に生物学的化合物、核因子、抗体、補因子、合成または天然の化学的化合物等であり得る。それは、ライブラリー、特に、化学療法剤のライブラリーまたはタンパク質、ペプチドもしくは核酸のライブラリー等でもあり得る。
本発明の精神において、酵素活性の阻害は、15−LO活性を阻害する薬剤での処置の非存在下で測定されるコントロール活性と比較して低い測定された活性を指す。次に、発現の阻害は、15−LO活性を阻害する薬物での処置の非存在下で測定されるコントロール発現と比較して低い測定された発現を指す。
本発明において、15−LOの発現および/または活性の阻害は、部分的または全体的であり得る。阻害剤による15−LOの発現および/または活性の全体的な阻害は、阻害剤での処置の非存在下で測定される発現および/または活性と比較して少なくとも80%低い15−LOの発現および/または活性に相当する。阻害剤による部分的な阻害は、阻害剤による処置なしで測定される発現および/または活性と比較して80%未満の、15−LOの発現および/または活性の低下に相当する。
本発明の好ましい実施態様によれば、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害できる化合物である。
本発明は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害できる少なくとも1つの化合物の使用も目的として有する。さらにより好ましくは、本発明は、脂肪細胞の分化を阻害するための、15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害できる化合物の使用に関する。
「15−LOの活性を阻害できる化合物」および「15−LO阻害剤」なる用語は、好ましくは、1μM以下、好ましくは100nM以下のIC50で15−LOを阻害する化合物を指す。IC50は、観察される酵素活性の最大値を50%低下させる検討中の化合物の濃度である。IC50は、当業者に公知の標準的な方法によって測定できる。特に、比色アッセイは、前記測定を提供する:潜在的な15−LO阻害剤を15−LOとともに10分間プレインキュベートした後、リノール酸を基質として添加し、次いでさらに10分間インキュベートする。pH5で、ヘミンの存在下で、ヒドロペルオキシド化された脂質の還元を、N−ベンゾイル−ロイコメチレンブルーの酸化と共役させることによって、生成物13(S)−HPODEの形成を定量する。酸化メチレンブルーの吸光度は、15−LOによって形成される13(S)−HPODEの量に正比例する(Auerbach BJ et al., 1992)。当業者は、他のアッセイ、特に、共役ジエンの形成を測定することによる234nmでの分光光度法(Gan QF et al., 1996)、または弱酸性条件下でヒドロペルオキシド化脂質の還元と共役したFe2+の酸化が、560nmで強い吸光度を示すキシレノールオレンジによる発色団の形成によって検出される比色アッセイ(Jiang ZY et al., 1992)によって初期酵素反応が決定されるアッセイを想定できる。
好ましくは、本発明において使用される化合物は、選択的に15−LO活性を部分的にまたは全体的に阻害する化合物である。「選択的」なる用語は、他のリポキシゲナーゼおよびシクロオキシゲナーゼについて観察されるものよりも少なくとも5倍低い、好ましくは少なくとも10倍低い、より好ましくは少なくとも100培低いIC50で15−LO活性を阻害する化合物を指す。本発明の精神において、選択的15−LO阻害剤のIC50は、1μM以上であり得る。
好ましくは、15−LOの阻害剤は選択的であり、そして1μM以下のIC50を有する。
いくつかの公知の15−LO阻害剤が本発明において使用できる。特に上記阻害剤には、合成有機分子、植物抽出物および他の天然生成物ならびに15−LOに対する抗体またはアンチセンス分子が含まれる。
文献は、1μM以下のIC50を有する多くの15−LO阻害剤を記載している。例には、(Brathe A et al., 2005)に記載されるプリン、(Gundersen L et al., 2003)および(Teklu S et al., 2005)に記載されるインドリジン、ジャスパキノール(Jaspaquinol)を含む(Carroll J et al., 2001)に記載されるテルペノイド、(Cornicelli JA and Trivedi BK, 1999)および(Weinstein DS et al., 2005)に記載される阻害剤、(Gutierrez-Lugo MT et al., 2004)に記載されるアナダントフラボン(anadanthoflavone)、アスペノン、ルペノン、ルペオール、α−アミリンおよびアスピゲニン(aspigenine)、(Gleason MM et al., 1995)に記載されるカフェー酸アナログ、RG−6866およびエスクレチン、(Segraves EN et al., 2004)に記載される有機臭化物、(Malterud KE et al., 1999)に記載されるフタレン、(Malterud KE and Rydland KM, 2000)に記載されるポリメトキシル化フラボノイド、(Walther M et al., 1999)に記載されるエブセレン、エイコサテトラエン酸および4−ニトロカテコール、(Bezuglov VV et al., 1996)に記載されるアラキドン酸のセロトニンアミド、シネンセチン、テトラメチルスクテラレインおよびケルセチンを含む(Lyckander IM and Malterud KE, 1992)に記載されるフラボノイドまたは(Kuhn H and Borngraber S, 1999)に記載されるブチルヒドロキシアニソール、ニトロカテコール、サリチルヒドロキサム酸、ナフチルヒドロキサム酸、5,8,11,14−エイコサテトライノアート(ETYA)、8,11,14−エイコサトリノアートが含まれる。
特許文献もまた、EP1512407に開示される発酵Glycine max (L.)抽出物、特許文献WO01/96336に開示される15−LO阻害化合物、US2005070588、US2005070589およびU2005065198にそれぞれ記載されるイミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルおよびチアゾリル型の化合物、またはWO2004080999、特に実施例8、14、23および26に記載されるピラゾール型の化合物など、多くの15−LO阻害剤を記載している。
好ましくは、本発明の範囲において使用される15−LO阻害剤は、1μM以下のIC50を有する。特定の例は、Warner-Lambertによって開発され、そしてWO01/96299に記載されるインドールおよびベンズイミダゾール型の化合物、WO96/38144(特に、実施例23、24、27〜30、33および35)に記載されるようなイソチアゾロン型の化合物、化合物UK−399276(IC50=83nM)およびコード名CP−65005の化合物、UK−369997およびUK−370607などのWarner-Lambertによって開発された化合物PD148104のアナログ、WO99/32433に記載される3−アミノ−N−(3,4−ジクロロフェニル)−4−メトキシ−ベンズアミド(IC50=10nM)およびIC50≦1の280個の例示された化合物等のチオ尿素およびベンズアミド型の化合物、WO03/066048に記載される15−LO阻害剤化合物、特に6,11−ジヒドロ−5−チア−11−アザ−ベンゾ[a]フッ素(IC50=200nM − 化合物2)、3−アミノ−N−(3,4−ジクロロフェニル)−4−メトキシベンズアミド(IC50=10nM − 化合物3)、[[[5−(5,6−ジフルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メトキシフェニル]アミノ]スルホニル]カラバミン酸イソブチルエステル(IC50=14nM − 化合物6)、[[[5−(5,6−ジフルオロ−1H−インドール−2−イル)−2−メトキシフェニル]アミノ]スルホニル]カラバミン酸イソブチルエステル(IC50=14nM)を含むWarner-Lambertによって開発されそしてWO01/96298に記載される1,2,4−三置換ベンゼン型の化合物、WO97/12613に記載される四環式インドール型の化合物およびベンゾピラノインドール、WO97/12615に記載されるベンズイミダゾール型の化合物、特に実施例1〜3、5〜9、15、17、19〜21、27および37における化合物などのIC50≦1μMを有する化合物、DE4238233に記載されるN−スルホニル−アミノフェノールに由来する15−LO阻害剤化合物、特に実施例3の化合物(IC50=0.5μM)である。
好ましくは、本出願の範囲において使用される阻害剤は、15−LOに関して選択的である。従って、本発明は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、以下の選択的阻害剤の使用を目的として有する:
・Bocan TM et al., 1998、Sendobry SM et al., 1997、ならびに特許US3,388,133、WO97/123613およびUS5,972,980に記載されるParke-Davis(現Pfizer)製の化合物PD146176(6,11−ジヒドロ−5−チア−11−アザ−ベンゾ[a]−フルオレン)(IC50=0.5〜0.8μM)
Figure 2009525314

・Gleason MM, Rojas CJ, Learn KS, Perrone MH and Bilder GE, 1995に記載される化合物RP−27493、RP−64835、RP−64407、RP−65208
・Gutierrez-Lugo MT, Deschamps JD, Holman TR, Suarez E and Timmermann BN, 2004に記載されるアスピゲニン
・Segraves EN, Shah RR, Segraves NL, Johnson TA, Whitman S, Sui JK, Kenyon VA, Cichewicz RH, Crews P and Holman TR, 2004に記載されるジオキシン4aおよび4b
・Cichewicz RH et al., 2004に記載されるコマロール(chomarole)A〜D、ストロンギロホリン(strongylophorine)−2およびストロンギロホリン−3ならびにクロマン25番、26番および27番
・Lin BB and Lin yS, 2004、Lin BB et al., 2004に記載される1−エトキシ−4−シアノ−5−エトキシカルボニル−3H−アズレノ[1,2−c]ピラン−3−オン
・Weinstein DS, Liu W, Gu Z, Langevine C, Ngu K, Fadnis L, Combs DW, Sitkoff D, Ahmad S, Zhuang S, Chen X, Wang FL, Loughney DA, Atwal KS, Zahler R, Macor JE, Madsen CS and Murugesan N, 2005に記載される化合物26、37c、37f、37h、37l、40aおよび40h、特にN−((4−n−ペンチルベンゼン)スルホニル)−2−(ベンゾフラン−2−イル)トリプタミン(化合物37l)
・Lin BB and Lin yS, 1992に記載されるスクアレン
・Lin BB and Lin yS, 1993に記載されるtrans−フィトール
・Cornicelli JA and Trivedi BK, 1999に記載されるジクラニン(dieranine)。
さらにより好ましくは、本発明の範囲で使用される選択的阻害剤は、PD146176またはN−((4−n−ペンチルベンゼン)スルホニル)−2−(ベンゾフラン−2−イル)トリプタミンである。
15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害する前記薬剤には、15−LOに対する親和性を示す抗体または抗15−LO抗体も含まれる。好ましくは、上記抗体は、遮断効果を有し、そして15−LOの活性を全体的にまたは部分的に阻害する。
それゆえ、本発明は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの抗体の使用に関する。
抗体は、当業者に公知の任意の方法によって得られるモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。上記モノクローナル抗体は、リンパ球融合およびハイブリドーマ培養の古典的な方法によって、またはモノクローナル抗体調製の任意の他の公知の方法によって得られ得る。前記ポリクローナル抗体は、同定されたポリペプチド配列のいずれかまたはタンパク質全体の免疫原性を保存するそのフラグメントの1つで免疫化された動物、特に脊椎動物、好ましくは哺乳動物の血清から得られ得る。
本発明の別の局面によれば、15−LOの活性および/または発現を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、15−LOをコードする遺伝子の転写を部分的にまたは全体的に阻害することによって、15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害できる化合物である。従って、本発明は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つの処置用の医薬組成物の調製のための、15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害できる少なくとも1つの化合物の使用を目的として有する。
様々な遺伝子発現阻害方法が当業者に周知である。好ましくは、本発明において使用される15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、アンチセンス核酸である。アンチセンス療法は一般的に、その発現が阻害されるべきタンパク質をコードするmRNAのアンチセンス配列を有するウイルスベクター等のベクターを利用し、ベクターがゲノム中に組み込まれるので阻害は一般的に安定である。発現の一過性阻害を提供するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することも可能である。リボザイムまたは、メッセンジャーRNAを破壊することによって遺伝子が機能性タンパク質を産生するのを防止するRNA干渉(siRNA)技術を利用することも可能である。
従って、本発明の特定の目的は、肥満の処置用の医薬組成物の調製のための、選択的に15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤の使用に関する。
本発明の別の目的は、所望により1つ以上の他の治療活性成分および/または美容活性成分とともに、上記のような15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤を、薬学的に許容される支持体中で含む医薬組成物である。
有利には、上記組成物は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満、および/またはその帰結の少なくとも1つを処置するための医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、脂肪細胞の分化を阻害するためにも使用できる。
一例として(限定するものではない)、他の治療剤および/または美容剤(商品化されたまたは開発中)を、以下からなる群において選択できる:
− 抗糖尿病薬
− インスリン
− 高脂血症治療分子またはコレステロール低下分子
− 降圧薬および血圧降下薬
− 抗血小板薬
− 抗肥満薬
− 抗炎症薬
− 抗酸化剤
− 心不全の処置において使用される薬剤
− 冠動脈不全を処置するために使用される薬剤
− 癌薬
− 抗喘息薬
− 皮膚病の処置において使用される副腎皮質ステロイド
− 血管拡張薬および/または抗虚血薬。
当業者は、本発明の組成物の有利な特性が変化しないかまたは実質的に変化しないように、上記の可能な他の治療剤および/またはその量を確実に選択することが理解される。
本発明の医薬組成物は、有利には、当業者に周知の薬学的に許容される1つ以上の賦形剤またはビヒクルを含む。
投与の方法および経路ならびに用量は、患者および処置されるべき障害に従って、当業者によって適応させられ得る。選択される投薬強度は、使用される特定の化合物の活性、投与方法、投与期間、使用される特定の化合物の排泄率、処置期間、15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する特定の薬剤と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/またはデバイス、患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康および病歴ならびに医学の専門家に周知の他の因子を含む種々の因子に依存する。当業者は、医薬組成物の必要な量を容易に決定しそして処方できる。例えば、医薬組成物中の15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤の開始用量は、所望の治療効果を得るために必要とされるものよりも低くあり得、そして投薬量は所望の効果が達成されるまで徐々に増加させることができる。
本発明は、対象、特にヒトに、上記で定義するような少なくとも1つの化合物または1つの医薬組成物の有効量を投与することを含む、肥満、好ましくは腹部内臓肥満を処置するための方法にも関する。本発明の精神において、「有効量」なる用語は、好ましくは非毒性の、所望の生物学的結果を生じるのに十分な化合物の量を指す。本発明の精神において、「対象」なる用語は、哺乳動物、より特定するとヒトを指す。
処置なる用語は、予防的、症候的または治癒的処置を指す。本発明において使用される15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、疾患の初期および/または後期を含む、示された疾患を罹患しているヒトにおいて使用できる。本発明において使用される15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、疾患を有する患者の治癒を必ずしも可能にしないが、進行を遅延もしくは減速させるかまたは疾患のさらなる進行を防止し、それにより患者の状態を改善することができる。本発明において使用される15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤は、病気ではないが、通常疾患を発達させ得るかまたは疾患を発達させる危険の高い個体に投与することもできる。処置は、年齢、家族歴、遺伝子もしくは染色体の異常、および/または組織もしくは液体中の公知の遺伝子変異などの疾患の1つ以上の生物学的マーカーのために疾患を発達させるかまたは疾患を発達させる危険にある個体において疾患の発達を遅延させることも含む。処置は、肥満、好ましくは腹部内臓肥満を発達させる素因があると考えられる個体に、本発明において使用される15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤を投与することも含む。
本発明の他の局面および利点は、以下の実施例および添付の図面において明らかとなる。それらは例示目的のために与えられれ、限定するものではない。
実施例
実施例1:DNAチップ技術およびRT−PCRによる10名の男性の群におけるヒト腹部皮下脂肪組織(AT)と比較してのヒト腹部内臓ATにおける15−LO−1遺伝子の特異的過剰発現の実証
組織収集
生物医学的研究参加者の保護に関するユリエ法(Huriet Law)に従い、署名されたインフォームドコンセントを各患者から得た後、組織を収集した。患者についての人口統計学的および臨床的データも得た。各患者について、腹部内臓AT(網)および腹部皮下ATを腹部手術の間に収集した。手術用鋏を用いて組織から皮膚および血管を直ちに除去し、そして得られたAT試料を小片に切断し、そして液体窒素中で直ちに凍結させた。
ATからの全RNAの抽出
改変チオシアン酸グアニジウム法によって、ATからRNAを抽出した。全RNAをDNAse 1で処理して、夾雑している微量のゲノムDNAを全て除去し、次いで供給元(Qiagen, Courtaboeuf, France)によって示されるように、Quiagen Rneasyカラムで精製した。
DNAチップ
10名の男性の群由来の腹部内臓ATにおけるRNA発現を、腹部皮下ATにおけるRNA発現と比較するために、DNAチップを調製する(患者の臨床的特徴に関しては表1参照)。
Figure 2009525314
Superscript(SS)II逆転写酵素、SS choice system buffer(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)およびoligo-T-7(dt)24プライマー(MWG Biotech)を使用して、10μgの全RNAから二本鎖相補的DNA(cDNA)を合成する。標識キット(RNA transcript labeling kit、Enzo, Farmingdale, NY)によりビオチン化相補的RNA(cRNA)を合成する。Affymetrix(登録商標)U133AおよびU133Bチップ上でDNAチップ実験を実施する:Affymetrix(登録商標)Technical Manual(P/N 700222 rev. 4)において指示されるように、ハイブリダイゼーション、洗浄、標識化および走査を実施する。信号を可視化し、そしてMicroarray Analysis suite v4ソフトウェアを用いて定量する。AIC(Akaike Information Criterion)予測統計分析モデルおよびBIC(Bayesian Information Criterion)予測統計分析は、15−LO−1発現と腹部内臓ATとの間の正の相関を示す。
RT(逆転写)
1.5mM DTT、187μM dNTPおよびRnase阻害剤30単位の存在下で、200ngのランダムヘキサヌクレオチドおよびMMLV酵素(Sigma)200単位とともに、37℃で1時間インキュベートすることによって、1μgのRNAを逆転写した。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)
次いで、20μlの最終容積中で、得られたRT混合物1μlを、特異的プライマー0.3mM(使用されるプライマーについては表2参照)、PLATINIUM Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen, 11708-039)2.5単位、MgSO 1mMおよび各dNTP 0.3mMとともに使用するPCRによって、15−LO−1 cDNAを増幅する。増幅サイクルは、94℃で30秒(変性)、各プライマー対について特異的なアニーリング温度で30秒、および伸長のために68℃で1分/kbである。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析して、正しい大きさの単一アンプリコンの存在を確認し、そして増幅された遺伝子との相同性を確認するために配列決定した。
Figure 2009525314
結果
表3に表されるAffymetrix(登録商標)チップ分析の結果は、10名の男性患者において、15−LO−1が、腹部皮下ATと比較して、Affymetrix(登録商標)データに対する統計分析によって決定したところ2.2の比および7.25 10−25のp値で腹部内臓ATにおいて優先的に発現されることを示す。
Figure 2009525314
図1に示されるRT−PCRデータは、研究された各患者に関して腹部皮下ATと比較しての腹部内臓ATにおける15−LO−1の優先的な発現を確認する:実際、41番の患者を除き、15−LO−1の発現は、腹部皮下ATにおいては古典的なRT−PCRによって実質的に検出不能であるのに対し、患者全員の腹部内臓ATにおいてはアンプリコンが見られた。
実施例2:83名の患者の群についての定量的PCRによるヒト腹部皮下ATに比較してのヒト腹部内臓ATにおける15−LO−1遺伝子の特異的発現、および他のリポキシゲナーゼに比較しての上記特異的発現の選択性の確認
組織収集およびRNA抽出
83名の患者の群由来の腹部内臓および皮下ATについて、DNAチップ技術によって得られた結果を確認した(患者の臨床データについては表4参照)。組織を収集し、そして実施例1におけるようにRNAを抽出した。
Figure 2009525314

Figure 2009525314

Figure 2009525314
BMIが、研究された83名の患者において広範に変動したことを特筆すべきである(17.9〜72)。本発明によれば、肥満は30kg/m以上のBMIを特徴とし、そして心血管系の危険の急激な増加が27kg/m以上のBMIについて観察される。
定量的PCR(QPCR)
QPCRは、IQ-Cycler(Biorad)で供給元の説明書(SyberMix Biorad, Marnes la Coquette, France)に従ってSybergreen取り込みによって実施する。各遺伝子について、RT試料の段階希釈物について得られた融解曲線および標準曲線を分析することによって、特異性および効率(>90%)についてプライマーの使用(表5参照)を最適化した。得られたRT−PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析して、正しいサイズの単一アンプリコンの存在を確認し、そして増幅された遺伝子との相同性を確認するために配列決定した。一旦最適化が完了すると、実施例1に記載されるように、1μlのRTに対してQPCRを実施する:5−LO、12−LOおよび15−LO−1の相対的発現を、内部コントロールとして使用されるシクロフィリン遺伝子の発現と比較する。
Figure 2009525314
AICおよびBIC分析
AIC予測モデルおよびBIC予測分析は、15−LO−1発現と腹部内臓ATとの間の正の相関を示す(表6)。
Figure 2009525314
結果
83名の患者における腹部内臓および皮下AT由来のRNAについて図2Aに示されたRT−QPCRデータによって、腹部内臓ATにおける優先的な発現が確認される。平均して、発現レベルは、腹部皮下ATにおけるよりも腹部内臓ATにおいて40倍高い。腹部皮下ATに対する腹部内臓ATの優先的な発現は、5−LOまたは12−LOについては見られない。さらに、図2BにおけるRT−QPCRデータ(腹部皮下ATにおける平均15−LO発現に対して標準化された相対的発現)は、15−LOが、患者のATにおいて発現される主要な形態であることを示す。例えば、5−LOは、腹部皮下ATにおいて15−LOの発現レベルの約12%および腹部内臓ATにおいて15−LOの発現レベルの0.4%で発現されるのに対して、12−LO発現は、無視できる(15−LO発現の<0.4%)。
83名の患者についての個々のデータの分析を図2Cに示す(患者第17番由来の腹部皮下ATにおける平均発現に対して標準化された相対的発現)。結果は、腹部皮下ATまたは腹部内臓ATにおける基底15−LO−1発現は個体によって異なるが、腹部皮下ATに対して差次的な腹部内臓ATにおける発現が、患者の大部分について観察されることを示す。これらの知見は、10名の男性の試料について得られたデータを確認する。
大きな患者コホートに対するQPCRデータを、ステップワイズ分散分析(ANOVA)によって研究した。この方法は、発現データ(説明される変数)において見られるばらつきを説明する説明変数(臨床因子)の最良の組み合わせを同定することを目的としている。本発明者らの科学的主題と一致したより大きくより不均一な患者集団(BMIのより大きな範囲等)に対して、これらのさらなる検証研究を実施する。プロセスの過程の間、スコアを測定することによってモデルの質を評価し、そして変数の付加または欠失がもはやスコアを改善しない場合、プロセスを停止する。以下の2つのタイプのスコアを使用する:データに対して予測的なアプローチが与えられるより大きな最終モデルを生じるAIC(Akaike Information Criterion)スコア、およびデータに含有されるばらつきの説明アプローチによってより単純な最終モデルを提供するBIC(Bayesian Information Criterion)スコア。この高度な統計アプローチによって提唱される最終モデルにおいて非常に有意な変数(p<10−6)のみを考慮した。
予測AICモデルおよび予測BICモデルは、15−LO−1発現と腹部内臓ATとの間に正の相関を示す。
まとめると、これらのデータは、ATにおける主要な形態である15−LOのみが、腹部内臓ATにおいて差次的に発現されることを示し、このことは特に他のリポキシゲナーゼと比較しての、ヒトにおけるATの領域形成における15−LOの特異的な役割を示唆する。
実施例3:15−LO−1発現は、脂肪細胞および前脂肪細胞を含むヒトATの様々な画分中で検出され、そして血管間質画分中の主要な形態であるようである。
様々なヒトAT画分の単離
実施例1に記載されるようにATを収集する。皮膚および脈管構造を除去した後、組織分画において使用しようとするAT断片を37℃のペニシリン/ストレプトマイシン混合物(100U/100μg/ml)を補充したPBS溶液中直ちに洗浄し、次いでFalconチューブ中で、消化緩衝液(クレープスリンガー緩衝液9.5g/l;25mM Hepes;ウシ血清アルブミン20mg/ml;5mMグルコース(Sigma);1型コラゲナーゼ1.5mg/ml(Gibco))中でAT質量/消化緩衝液の比1g/10mlで、振盪しながら37℃で45分間インキュベートする。次いで、消化溶解液をナイロンフィルター(ポアサイズ200μm)で濾過して、残存する未消化の組織(=マトリックスまたはCM)を全て除去する。得られた細胞懸濁液を800gで15分間遠心分離して、浮遊脂肪細胞(fA)を分離し、これをペレット中に存在する血管間質(VS)画分の上清中に回収した。赤血球をVS画分から除去するために、赤血球溶解緩衝液(131nM NHCl(Carlo Erba);9mM NHCO(Prolabo Rectapur))5ml中にペレットを懸濁し、そしてこの溶液中で氷上で15分間インキュベートした。次いで、細胞懸濁液を800gで10分間遠心分離し、そしてペニシリン/ストレプトマイシン混合物(100U/100μg/ml)を補充したPBS溶液中にペレットを懸濁する。RNA(VS画分由来のRNA)を抽出するために、上記懸濁液のいくらかを回収し、懸濁液の別の部分をCD14磁気マイクロビーズ(CD14 MicroBeads、非ヒト霊長類:抗ヒトCD14 IgG2aモノクローナル抗体にコンジュゲートしたマイクロビーズ)とともに氷上で15〜30分間インキュベートする。次いで、細胞懸濁液をMACS(登録商標)カラムにかけて、MACS Separator磁気カラムを使用することによって、ATの単球/マクロファージ画分に相当するCD14+細胞を回収する。次いで、供給元のプロトコル(MACS, Miltenyi Biotec, Paris, France)に従って、カラムに磁気的に保持されたCD14+を溶出する。カラムに保持されない細胞画分は、CD14+細胞が枯渇しており、そして前脂肪細胞および他の細胞型が富化されており、そして前脂肪細胞(PA)富化画分と考えられた。
組織画分および細胞からの全RNAの抽出
供給元の説明書(Gibco BRL, Life Technologies)に従って、Trizol中での直接的均質化によって、様々な画分(CM、fA、VS、CD14+、PA)から全RNAを抽出し、次いでDNAse Iで処理し、そしてQuiagen Rneasyの手順によって、Quiagenカラム上で精製する。
RT−PCRおよびRT−QPCRによる15−LO−1発現の分析
実施例1および2に記載される方法によって、15−LO−1の相対的な発現を分析する。
結果
図3Aに示される1名の患者からの15−LO−1発現データの分析は、15−LO−1発現が、腹部内臓ATプール中に見出され、そして上記発現が全ての腹部内臓AT画分中で検出され、PAおよびCD4+細胞(マクロファージ)を含有する血管間質(VS)画分中で発現がより高く、そして成熟脂肪細胞(fA)中で発現がより低いことを示す。
3名の患者由来のAT画分に対するRT−QPCRにより15−LO−1発現を分析することによって、これらのデータが確認される(結果を図3Bに示す)。
実施例4:15−LO−1発現は、ヒト内臓PAの成熟脂肪細胞への分化の間に調節される。
ヒト腹部内臓PAの脂肪細胞への分化
PromocellまたはCambrex(ヒト白色前脂肪細胞(HWP)、Promocell(Heidelberg, Germany)、Cambrex(Paris, France))からヒト腹部内臓PAを得、そして供給元のプロトコールに従って培養する。
Promocell由来のHWPを、PA増殖培地(0.4%ECGS/H、5%FCS、10ng/ml EGF、1μg/mlヒドロコルチゾン、50ng/mlアンホテリシンB、50μg/mlゲンタマイシン)中でコンフルエントになるまで維持する。細胞がコンフルエンスに到達したときに、PA分化培地(8μg/ml d−ビオチン、0.5μg/ml組換えヒトインスリン、400ng/mlデキサメタゾン、44μg/ml IBMX、9ng/ml L−チロキシン、3μg/mlシグリタゾン、50ng/mlアンホテリシンB、50μg/mlゲンタマイシン)中で3日間分化させ、次いで脂肪細胞栄養培地(3%FCS、8μg/ml d−ビオチン、0.5μg/ml組換えヒトインスリン、400ng/mlデキサメタゾン、50ng/mlアンホテリシンB、50μg/mlゲンタマイシン)中で最終分化期まで培養する。
Cambrex由来のPAを、PA増殖培地(10%FCS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン)中でコンフルエントになるまで維持し、次いで分化プロセスを通して、培地を分化培地(10%FCS、10μg/ml組換えヒトインスリン、1μMデキサメタゾン、500μM IBMX、200μMインドメタシン、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン)に置換する。
RNAの抽出ならびにRT−PCRおよびRT−QPCRによる15−LO−1およびaP2の遺伝子発現の分析
実施例3に記載される方法に従って、分化の間の様々な時点で細胞から全RNAを抽出し、そして実施例1および2の方法に従ったRT−PCRおよびRT−QPCRによって15−LO−1発現を分析する。aP2遺伝子発現のキネティクスを、細胞分化のポジティブコントロールとして使用する(表7参照)。RT−QPCRについては、15−LO−1およびaP2の相対的発現を、コンフルエンスの日(D0)に関して報告し、そしてシクロフィリン発現に対して標準化する。
Figure 2009525314
予想どおり、aP2マーカー(脂肪細胞脂質結合タンパク質)の発現は、D0で非常に低く、D3でD7〜D14まで急激に増加し、次いでD21で減少する。
結果
Promocell由来のPA(PA培養物第1番、継代4;内臓PAを継代4まで増殖させ、次いで継代4から分化を開始した)の分化の間の15−LO−1の発現をRT−PCRによって分析する。図4Aにおける結果は、aP2マーカー(脂肪細胞脂質結合タンパク質)の発現が、D0で非常に低く、D3でD7〜D14まで急激に増加し、次いでD21で減少することを示す。D0での細胞の状態はATから単離されたPA画分と比較できないが、それにもかかわらず、15−LO−1発現はD0で検出される。15−LO−1の発現は、D3で増加し、次いでaP2遺伝子発現と同じキネティクスに従い、D14までの分化の間に増加し、次いでD21で減少する。脂肪細胞期(D21)で、15−LO−1はなお発現している。
同様に、図4Bは、ヒト腹部内臓PAの3つの異なる培養物の分化の間の15−LO−1発現を示す:脂肪細胞分化の間の15−LO−1発現の調節は、3名の異なる患者由来の3つの独立した培養物について観察される(PA培養物に依存して、継代7、2または4から内臓PAの分化を開始した)。3つの培養物全てについて、aP2マーカーの発現は、D7までの分化の間、高レベルまで徐々に増加し、次いでD14、D21で減少する。15−LO−1発現は、分化プロセスの間に増加するが、ずっと低い。D3での15−LO−1発現のピークが、2名の患者において見出される。興味深いことに、同じ発現プロファイルが、継代4(図4A)および継代7(図4B)での培養物第1番において見出される。脂肪細胞期で、15−LO−1はなお発現している。
実施例5:選択的15−LO阻害剤であるPD146176は、ヒト内臓PAの成熟脂肪細胞への分化を阻害する。
PD146176での細胞の処理
数名のドナーからのヒト腹部内臓PAを実施例4に記載されるように分化させる。PAがコンフルエンスに到達したときに(D0)、DMSO中で希釈したPD146176を添加し、そしてPAの脂肪細胞への分化の間に培地中で維持する。0.1%の終濃度のDMSOをネガティブコントロールとして培地に添加する。
RNAの抽出およびaP2遺伝子発現の分析
aP2(脂肪細胞脂質結合タンパク質)は、アディポネクチンと同様に、脂肪細胞分化のマーカーである。実施例3に記載されるように分化の間の様々な時点(D3、D7)で全RNAを細胞から抽出し、そして実施例1および2に記載されるようにRT−PCRまたはRT−QPCRによってaP2マーカーの発現を分析する。相対的発現を、コンフルエンスの日(D0)に関して報告し、そしてシクロフィリン発現に対して標準化する。
結果
図5Aは、PA培養物(PA培養物第1番、継代7)の分化のD3でのaP2発現のRT−PCR分析を表す。D0で、aP2発現は、DMSOコントロールに対して非常に低く、次いでD3で急激に増加する。分化の開始時(D0)でのPD146176の添加は、用量依存的にaP2マーカーの発現を低下させる。
図5Bは、2つのPA培養物(PA培養物第2番、継代5およびPA培養物第3番、継代4)の分化のD7でのaP2発現のRT−QPCR分析を表す。分化のD7でのaP2の発現を、DMSOコントロールを受容する細胞(培養物第2番)または処理を受容しない細胞(培養物第3番)について1に設定する:D0から3μMのPD146176とのインキュベーションを開始した細胞において、aP2発現は、DMSO処理された細胞または未処理の細胞と比較して強く阻害される。例えば、PD146176は、培養物第2番中ではほぼ完全に、そして培養物第3番中では90%、15−LO−1発現を阻害する。
図5Aおよび5BにおけるRT−PCRおよびRT−QPCRのデータは、PA培養物の分化の間のaP2マーカーの発現が、PD146176の添加後に用量依存的に低下することを示す。
実施例6:選択的15−LO阻害剤であるPD146176は、ヒト内臓PAの分化の間にアディポネクチン分泌を低下させる。
PD146176でのPAの処理
数名のドナーからのヒト腹部内臓PAを実施例4に記載されるように分化させる。実施例5に記載されるようにコンフルエンスに到達したPA(D0)をPD146176とともにインキュベートする。
アディポネクチン分泌の分析
アディポネクチンは、脂肪細胞によって分泌される因子であり、そしてaP2と同様に、本発明者らの培養物中での脂肪細胞分化のマーカーとして機能する。供給元の説明書(R&D, Minneapolis, MN, USA)に従って、Quantikine human adiponectin/ACRP30キットを使用して、分化の間の様々な時点で培養上清中のアディポネクチンの濃度を決定する。
結果
図6Aは、培養上清中のアディポネクチン分泌が、ヒト腹部内臓PAの分化の間に増加し、D7で分泌がピークになることを示す。
D0からPD146176での処理を開始した細胞において、アディポネクチン分泌は、図6Bに示されるように、D7で急激に低下する。この知見は、分化のD7でaP2遺伝子発現を測定することによって観察される分化の阻害を確認する(図5)。
実施例7:齧歯類における15−LO−1の機能的等価物である12/15−LOは、ラットおよびマウスのATにおいて主に発現し、腹部皮下ATよりも腸間膜、精巣上体および腎周囲のATにおいて発現が高い。
齧歯類の組織の摘出
C57BI6マウスおよびスプラーグドーリーラット(Charles River Laboratories)を標準的な昼/夜周期で維持し、そして齧歯類用食餌を自由摂取させる。ペントバルビタール注射によってスプラーグドーリーラットを屠殺し、そしてイソフルラン麻酔後の頸椎脱離によってマウスを屠殺した。
ATの抽出
様々なAT沈着物を収集し(腹部皮下AT、背側皮下AT、網AT、腸間膜AT、腎周囲AT、精巣上体ATおよび莢膜間AT)、小片に切断し、そして液体窒素中に直接移す。
RNA抽出ならびにRT−PCRおよびRT−QPCRによる12/15−LO発現の分析
実施例3に記載されるように非AT組織由来の全RNAを抽出する。実施例1に記載されるようにAT由来の全RNAを抽出した。実施例1におけるように逆転写を実施し、そして実施例1および2に記載されるようにRT−PCRまたはRT−QPCRによって齧歯類12/15−LO発現(表8参照)を分析する。
Figure 2009525314
結果
ラットおよびマウスにおける12/15−LO組織発現のRT−PCR分析を図7Aに示す。12/15−LOの組織分布は、ラットおよびマウスにおいてかなり限定されていることが理解され得る:肺、脾臓(ラットにおいて)、筋肉(ラットおよびマウス)およびATにおいて発現が検出される。
図7Bに示されるように、ラットにおける様々なAT沈着物における12/15−Lox発現の分析は、遺伝子が様々なAT沈着物中で発現することを確認する。背側腹部皮下ATにおいて発現を任意に1に設定する。ヒトにおけるように、網AT、腸間膜AT、精巣上体ATおよび腎周囲AT等の深部AT沈着物と比較して、腹部皮下AT(腹部および背側)において、発現はより低い。他の沈着物と比較して低い発現が褐色脂肪(莢膜間AT)において見られるので、12/15−LO発現は、ATにおいて優先的に生じる。
実施例8:15−LO阻害剤であるPD146176は、3T3−L1細胞において脂肪細胞分化を阻害する。
3T3−L1細胞の培養および脂肪細胞への分化
10%FCS、L−グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシン混合物を補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル最少必須培地)中で、マウスPA 3T3−L1細胞株(ATCC)を維持する。コンフルエンス(D0)で、デキサメタゾン(0.1μM)、イソブチルメチルキサンチン(0.25mM)およびインスリン(0.4μM)の混合物での2日間の処理によって、3T3−L1細胞を分化させる。次いで、分化が完了するまでさらに14日間、インスリン上で細胞を維持する。分化プロセスを視覚的に追跡するために、コンフルエンス後の様々な時点で写真を撮影する。
PD146176での細胞の処理
3T3−L1細胞がコンフルエンスに到達するときに(D0)、PD146176を3T3−L1細胞に添加し、そしてインスリンと同時に1日おきに置換しながら、分化プロセスを通して維持する。
AdipoRedを用いる分化の定量
細胞内液滴の徐々の蓄積も脂肪細胞への分化の機能的マーカーとして使用する。この蓄積を定量するために、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて3T3−L1細胞を分化させる。室温に再平衡化させるために、アッセイ当日にインキュベーターからプレートを取り出す。培地を除去し、200μlのPBSで細胞を注意深くすすぎ、次いで200μlのPBS、続いて5μlのAdipoRed試薬(Cambrex, Paris, France)を各ウェルに添加する。プレートを混合した後、励起波長485nmおよび発光波長535nmで、蛍光光度計で蛍光を測定する。
トリグリセリドのアッセイ
細胞内トリグリセリドをアッセイするために、24ウェルマイクロタイタープレートにおいて、3T3−L1細胞を分化させる。細胞をPBSで3回洗浄し、次いで均質化緩衝液(150mM NaCl、トリスHCl pH8、0.1%Triton X−100)500μlを各ウェルに添加する。細胞をチューブ中に掻き取り、そして40Wで10秒間超音波処理することによって溶解する。次いで、溶解液を0.2μMミリポアフィルターで濾過する。得られた溶解液125μlに対してTriglyceride L-type kit(Wako)を使用して、アッセイを実施する。溶解液のタンパク質含有量についてアッセイを標準化する。
RNA抽出ならびにRT−QPCRによるLPLおよびaP2の発現の分析
実施例3に記載されるように分化の間の様々な時点で全RNAを抽出し、そして実施例2に記載される方法に従ったRT−QPCRによって、aP2およびLPL(リポタンパク質リパーゼ)遺伝子の発現を分析する(表9参照)。
Figure 2009525314
結果
脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞形態の変化を図8Aに示す。分化のD7から細胞は脂肪細胞の形態を獲得し始め、脂質負荷液滴が現れることが理解され得る。D0でのPD146176の添加は、細胞における脂質蓄積の用量依存的阻害を誘導し、液滴は、より数が少なく、そして大きさがより小さい。
図8Bは、AdipoRed染色が、分化の間にD14で5000RLUまで徐々に増加することを示し、これは3T3−L1細胞の脂質負荷に対応する。D0でのPD146176の添加は、AdipoRed染色を分化のD3から用量依存的に急激に低下させる。阻害は、D7でなお観察され、そして分化の14日後により顕著であり、ここで10μM PD146176で処理した細胞は、D0で見られるものと同様のAdipoRed染色のレベルを有する。
図8Cは、脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞におけるトリグリセリド蓄積を示す:分化プロセスの間にトリグリセリドが徐々に細胞に負荷される。この増加は実際、AdipoRed染色と正確に同じキネティクスに従う(図8B)。D0でのPD146176の添加によって、トリグリセリド蓄積の用量依存的な低下が導かれた。最高濃度(10μM)について、コントロールに比較して80%の低下がD10で観察された。
最後に、図8Dは、aP2およびLPMマーカーの発現が、3T3−L1細胞の分化の間に徐々に増加し、そしてD0でのPD146176の添加によって、分化のD3から開始するこれら2つのマーカーの発現の用量依存的な低下が導かれることを示す。
まとめると、これらのデータは、15−LOの阻害剤であるPD146176が、3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化を阻害することを示す。これらの結果はそれゆえ、15−LOが、脂肪生成促進因子(pro-adipogenic factor)であり、そしてその活性の阻害によって脂肪細胞分化の阻害が導かれることを示す。
実施例9:カフェー酸は、ラット初代PAの成熟脂肪細胞への分化を阻害する。
ラットPAの分化
VS画分由来の細胞(実施例3に記載されるものと同じ方法によって単離)を、10%FCSおよびペニシリン/ストレプトマイシン混合物を補充した培地199(Gibco)中で、80,000細胞/cmの密度で6ウェルプレート中に播種する。16時間インキュベートして細胞を接着させた後、ウェルをPBSで穏やかにすすいで、全ての非接着物質を除去する。細胞をコンフルエンス(D0)まで増殖させ、その時点で培地199を除去し、そして血清添加なしのITT培地(DME/Ham’s F12、15mM NaHCO、15mM Hepes、33μMビオチン、17μMパントテン酸、0.5μMヒトインスリン、0.2nMトリヨードチロニンおよび抗生物質)に置換する。この培地中で細胞を維持して分化を可能にし;分化プロセスの間2〜3日毎に培地を交換する。
カフェー酸での細胞の処理
ラットPAがコンフルエンスに到達するときに(D0)、カフェー酸(2.2μM)を添加し、そして脂肪細胞分化プロセスの間維持する。2.2μMの濃度で、カフェー酸は、15−LOの選択的阻害剤として考えられている(Shureiqi I, Chen D, Lee JJ, Yang P, Newman RA, Brenner DE, Lotan R, Fischer SM and Lippman SM, 2000)。培地にネガティブコントロールとしてDMSOを0.1%の終濃度に添加する。
RNA抽出およびaP2遺伝子発現の分析
実施例3に記載される方法に従って分化の間の様々な時点で全RNAを抽出し、そして実施例2に記載されるように定量的RT−PCRによってaP2およびLPLの遺伝子発現を分析する(表10参照)。
Figure 2009525314
結果
図9Aは、脂肪細胞分化の間のラットPAの形態に対するカフェー酸の効果を示す:3T3−L1細胞に見られるように、ラットPAの形態は、脂肪細胞分化プロセスの間に徐々に変化し、細胞は、D5で現れ始める脂質液滴の豊富な脂肪細胞の形態を獲得する。D0での2.2μMのカフェー酸の添加によって、細胞中での脂質蓄積の阻害が導かれる(液滴は、より数が少なく、そして大きさはより小さい)。
図9Bは、脂肪細胞分化の間のラットPAにおけるaP2発現に対するカフェー酸の効果を示す:ヒトPAまたは3T3−L1細胞について見られるように、aP2発現は、D3で開始するラットPAの分化の間に増加する(コントロール点D0およびD3を比較)。D0での2.2μMのカフェー酸の添加は、D3でaP2発現を低下させ、これは、顕微鏡による知見と相関する(図9A)。
実施例10:3T3−L1細胞におけるヒト15−LOの過剰発現は、脂肪細胞分化を刺激する。
3T3−L1細胞の一過性トランスフェクション
実施例8に記載されるように3T3−L1細胞を培養する。線維芽細胞期に、供給元の説明書(Polyplus transfection)に従った「jetPEI(商標)」キットによって、aP2プロモーターの制御下でヒト15−LOをコードするプラスミド(プラスミドap2−15−LO)またはネガティブコントロールとしてのpBlueScript SKII+プラスミド2μgで、3.10細胞/mlの懸濁液を一過性にトランスフェクトする。RNA抽出のために、トランスフェクトされた細胞1mlを12ウェルマイクロタイタープレート中に移し、そして細胞内トリグリセリドのアッセイのために、100μlを96ウェルマイクロタイタープレート中に移す。トランスフェクションの2日後に、実施例8に記載されるように細胞を成熟脂肪細胞へと分化させる。
トリグリセリドアッセイ
「TG PAP 10003」キット(bioMerieux SA, France)を使用する改良プロトコールによって、トランスフェクトされた3T3−L1細胞の脂肪細胞分化の間の様々な時点での細胞内トリグリセリド蓄積を決定する。簡潔には、細胞を20μlのイソプロパノールとともに、室温で30分間インキュベートする。次いで、トリグリセリド試薬(100μl)を各ウェルに添加し、そしてプレートを37℃で30分間インキュベートする。吸光度を分光光度計で492nmで測定する。
RNA抽出ならびにRT−QPCRによるaP2、c/EBPαおよびアディポネクチンの発現の分析
実施例3に記載される方法に従って分化の間の様々な時点で全RNAを抽出し、そして実施例2に記載される方法に従って脂肪細胞分化マーカーであるaP2、C/EBPαおよびアディポネクチンの発現をRT−QPCRによって分析する(表11参照)。
Figure 2009525314
アディポネクチン分泌
実施例6に記載されるヒト初代脂肪細胞の場合のように、アディポネクチンは、細胞培養における脂肪細胞分化のマーカーである。供給元の説明書(R&D, Minneapolis, MN, USA)に従ってDuoSet(登録商標)ELISA mouse adiponectin/ACRP30キットによって、分化の間の様々な時点での培養上清中のアディポネクチンの濃度を決定する。
結果
脂肪細胞分化の間のトランスフェクトされた3T3−L1細胞中のトリグリセリドの蓄積を図10Aに示す。分化プロセスの間、トランスフェクトされた細胞には、トリグリセリドが徐々に負荷される。分化のD7から、15−LOを過剰発現する細胞は、コントロールのpBlueScript SKII+プラスミドでトランスフェクトされた細胞よりも有意に2倍高いレベルのトリグリセリドを示す。
図10Bは、3T3−L1細胞中の15−LOの過剰発現が、コントロールプラスミドでトランスフェクトされた細胞中でのこれらの遺伝子の発現レベルと比較して、試験した脂肪細胞分化マーカー(aP2、C/EBPαおよびアディポネクチン)の全ての発現の非常に有意な増加を誘導することを示す。この有意な増加は、aP2およびC/EBPαの発現に関して分化のD3で現れる。最後に、図10Cは、アディポネクチンの発現の増加が、コントロールプラスミドでトランスフェクトされた細胞と比較しての15−LOを過剰発現する細胞におけるその増加した分泌と相関することを示す。
まとめると、これらのデータは、15−LOの過剰発現が、3T3−L1細胞の成熟脂肪細胞への分化を刺激することを示す。それゆえ、これらの結果は、実施例5、6、8および9に記載される15−LOの活性の阻害についての薬理学的データと一緒に、15−LOの脂肪生成促進性の役割を確認する。
実施例11:12/15−LOノックアウトマウスは、高脂肪食餌誘発性肥満に耐性である。
動物の処置
C57BI/6jの遺伝的背景の12/15−LOノックアウトマウスをJackson Laboratory(Bar Harbor, Maine, US)から得た。以後、12/15−LO遺伝子欠損マウスをLOKOマウスという。コントロールとして使用したC57BI/6jマウスは、Charles River Laboratories(L’Arbresle, France)由来であった。動物を12時間の昼/夜周期で維持する。高脂肪食餌誘発性肥満プロトコールのために、雄性マウスのみを使用する。
離乳から7週齢まで、7%の脂肪を含有する齧歯類食餌(ref. R0310;供給元:UAR, Villemoisson, France)をマウスに自由摂取させた。7週齢で、標準低脂肪食餌(10.5kcal%、ref.: D12329;供給元:Research Diets)または飽和脂肪酸の豊富な食餌(58kcal%;ref.: D1233;供給元:Research Diets)のいずれかをマウス(1群あたりn=6〜7)に自由摂取させる。これらの食餌を11〜12週間マウスに給餌し、そして1週間に1回秤量する。
脂肪質量の決定
食餌での12週間の後、異なるエネルギーの2つのX線ビームが、脂肪質量(脂質)、除脂肪質量(タンパク質および水)および骨質量の測定を可能にするPiximus(Lunar Corp., Madison, WI, US)によるデンシトメトリーによって、各群2匹のマウスの脂肪質量を決定する。これらの測定値を取るために、ケタミン/キシラジン混合物でマウスを麻酔する。麻酔誘発後、マウスを秤量および測定し、そして腹側を下にしてX線ビーム下に配置する。頭部は測定する様々なパラメーターに含まれていない。測定が完了すると、これらのマウスおよび残りのマウス(n=2〜3)を頸椎脱臼によって屠殺し、そして精巣上体および腎周囲のATを収集し秤量する。
脂肪細胞の大きさの決定
食餌での11週間の後、各群2匹の動物をイソフルラン麻酔後の頸椎脱臼によって屠殺する。精巣上体ATの試料を各マウスから取り、そして4%パラホルムアルデヒド(pH7.4)中で固定し、次いでTissue-Tek(登録商標)OCT中に包埋する。次いで、ATを7μm切片に切断し、これをヘマトキシリンで染色する。脂肪細胞の大きさ(n=1000)をQuips Image Analysisシステム(Leica Mikroskopic und System GmbH, Wetzlar, Germany)で決定する。
結果
図11Aにおける結果は、12週間高脂肪食餌のLOKOマウスが、コントロールのC57BI/6jマウスよりも有意に少ない体重増加をすることを示す。標準食餌を用いてさえ、LOKOマウスとコントロールマウスとの間で体重増加は異なるが、この差異は、ずっと小さく、そして統計的有意性には到達しなかった。体重増加の差異は、高脂肪食餌のLOKOマウスと標準食餌のLOKOマウスとの間では観察されない。
図11Bに示されるように、体組成のデンシトメーター分析は、食餌に関係なく、LOKOマウスにおける脂肪質量が、C57BI/6jマウスにおけるよりもずっと低いことを示す。さらに、高脂肪食餌はC57BI/6jマウスにおける脂肪質量の増加を誘導するが、この同じ食餌のLOKOマウスは標準食餌のLOKOマウスより多くの脂肪質量を発達させない。図11Cは、標準食餌または高脂肪食餌のC57BI/6jマウスおよびLOKOマウスにおける精巣上皮および腎周囲のATの重量を示す。これらの重量は、デンシトメーターデータと完全に相関していることが理解されれ得る(図11B)。LOKOマウスにおける精巣上皮および腎周囲のATの重量は、食餌に関係なくC57BI/6jマウスにおけるよりも低く、そして高脂肪食餌は、C57BI/6jコントロールにおいてのみ、精巣上皮および腎周囲のAT重量の有意な増加を誘導する。これらの結果は、LOKOマウスとC57BI/6jマウスとの間の体重の差異および体重増加の差異が、主として、脂肪組織の発達の低下に起因することを示す。
図11Dは、12週間標準食餌または高脂肪食餌のC57BI/6jマウスおよびLOKOマウス由来の精巣上皮ATについての組織学的知見を表す。高脂肪食餌のLOKOマウス由来の脂肪細胞は、C57BI/6jコントロール由来の脂肪細胞よりも顕著に小さい。脂肪細胞の大きさを定量的に測定するために、脂肪組織切片の形態計測分析を実施した。図11Eにおける結果は、LOKOマウス由来の脂肪細胞の平均的な大きさが、高脂肪食餌によって影響を受けないのに対し、C57BI/6jコントロール由来の精巣上皮ATにおいて、脂肪細胞の平均的な大きさが標準食餌について見られた効果と比較して有意に増加することを示す。
まとめると、これらの知見は、12/15−LO発現の非存在、より具体的には15−LO活性の非存在が、インビボでの脂肪細胞中のトリグリセリドの貯蔵および腹部内臓ATの発達に影響し、そして高脂肪食餌によって誘発される肥満の発達を防止することを示す。
Figure 2009525314

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Figure 2009525314

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10名の男性の群における腹部皮下および内臓脂肪組織(AT)におけるRT−PCRによって決定された15−LO−1発現を示すゲルの写真である。SC:腹部皮下AT;V:腹部内臓AT。 83名の患者の群における腹部皮下および内臓ATにおける5−LO、12−LOおよび15−LO−1発現のグラフである:平均RT−QPCRデータ。SC:腹部皮下AT;V:腹部内臓AT。 83名の患者の群における腹部皮下および内臓ATにおける5−LO、12−LOおよび15−LO−1の相対的発現を比較するグラフである:平均RT−QPCRデータ。白線:腹部皮下AT;黒線:腹部内臓AT。 83名の患者の群における腹部皮下および内臓ATにおける15−LO−1発現のグラフである:個々のRT−QPCRデータ。 患者の腹部内臓ATの画分におけるRT−PCRによって決定された15−LO−1発現を示すゲルの写真である。PA:前脂肪細胞;fA:成熟脂肪細胞;VS:血管間質;CM:細胞マトリックス。 患者のAT画分におけるRT−QPCRによって決定された15−LO−1発現を示すゲルのグラフである。 RT−PCRによって測定されたPromocell由来ヒト内蔵前脂肪細胞(PA)(PA培養物第1番、継代4)の分化の間の15−LO−1発現を示すゲルの写真である。D0:コンフルエンス;D0〜D3:分化培地での細胞のインキュベーション;D3〜D21:脂肪細胞栄養培地での細胞のインキュベーション。 RT−QPCRによって決定されたPromocell由来(PA培養物第1番、継代7)およびCambrex由来(PA培養物第2番、継代2、およびPA培養物第3番、継代4)の3つの異なるヒト内臓PA培養物の分化の間の15−LO−1発現を示すグラフを表す。 選択的15−LO阻害剤PD146176の漸増濃度の非存在下または存在下でヒト内臓PA培養物(PA培養物第1番、継代7)の分化の3日目に、RT−PCRによって決定されたaP2マーカーの発現を示すゲルの写真である。 選択的15−LO阻害剤PD146176の漸増濃度の非存在下または存在下で、2つのヒト内臓PA培養物(PA培養物第2番、継代5およびPA培養物第3番、継代4)の分化の7日目に、RT−QPCRによって決定されたaP2マーカーの発現を示すグラフを表す。 腹部内臓PAの分化の間のアディポネクチン分泌を示すグラフである(PA培養物第3番、継代4)。 PD146176の存在下での分化の7日目のアディポネクチンの分泌を示すグラフである(PA培養物第3番、継代4)。 RT−PCRによって決定されたラットおよびマウスにおけるヒト15−LO−1の齧歯類の機能的等価物である12/15−LOの組織発現を示すゲルの写真である。1:腎周囲AT;2:精巣上体AT;3:肝臓;4:心臓;5:筋肉;6:腎臓;7:皮質;8:小脳;9:脾臓;10:精巣;11:十二指腸;12:空腸;13:回腸;14:肺。 RT−QPCRによって決定されたラットにおける様々なAT沈着物中の12/15−LO発現を示すグラフである。1:背側皮下AT;2:腹部皮下AT;3:網AT;4:腸間膜AT;5:精巣上体AT;6:腎周囲AT;7:肩甲骨間AT。 脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞の形態に対するPD146176の効果を示す写真を表す。 脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞中の脂質蓄積に対するPD146176の効果を示すグラフである:AdipoRedアッセイ。 脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞中のトリグリセリド蓄積に対するPD146176の効果を示すグラフである。 脂肪細胞分化の間の3T3−L1細胞によるaP2およびLPL(リポタンパク質リパーゼ)の発現に対するPD146176の効果を示すグラフを表す。 脂肪細胞分化の間のラットPA形態に対するカフェー酸の効果を表す写真を示す。 脂肪細胞分化の間のラットPAによるaP2発現に対するカフェー酸の効果を示すゲルの写真である。 3T3−L1細胞の脂肪細胞分化の間の細胞内トリグリセリド蓄積に対するヒト15−LO−1の過剰発現の効果を示すグラフである。白線:pBlueScript SKII+プラスミドでトランスフェクトされた細胞;黒線:プラスミドaP2−15−LOでトランスフェクトされた細胞;***p<0.001。 3T3−L1細胞の脂肪細胞分化の間のaP2、c/EBPαおよびアディポネクチンの発現に対するヒト15−LOの過剰発現の効果を示すグラフを表す。白線:pBlueScript SKII+プラスミドでトランスフェクトされた細胞;黒線:プラスミドaP2−15−LOでトランスフェクトされた細胞;**p<0.01;***p<0.001。 3T3−L1細胞の脂肪細胞分化の間のアディポネクチン分泌に対するヒト15−LOの過剰発現の効果を示すグラフである。白線:pBlueScript SKII+プラスミドでトランスフェクトされた細胞;黒線:プラスミドaP2−15−LOでトランスフェクトされた細胞;***p<0.001。 標準食餌またはDIO(食餌誘発性肥満)とも呼ばれる高脂肪肥満誘発食餌での12/15−LO遺伝子欠損マウス(以下LOKOマウスと称する)およびC57BI/6jマウスにおける体重変化を示すグラフである。 標準食餌または高脂肪食餌を給餌されたLOKOマウスおよびC57BI/6jマウスにおける脂肪質量の割合を示す。 標準食餌または高脂肪食餌を給餌されたLOKOマウスおよびC57BI/6jマウスにおける精巣上体および腎周囲の脂肪組織質量を示す。<0.05;**p<0.01;***p<0.001。 標準食餌または高脂肪食餌を給餌されたLOKOマウスおよびC57BI/6jマウス由来の精巣上体脂肪組織の組織学切片の写真を示す。 標準食餌または高脂肪食餌を給餌されたLOKOマウスおよびC57BI/6jマウス由来の精巣上体組織中の平均脂肪細胞サイズを示す。

Claims (10)

  1. 肥満の処置用の医薬組成物の調製のための、選択的に15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する少なくとも1つの薬剤の使用。
  2. 肥満が、腹部内臓肥満に相当することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
  3. 15−LOが、15−LO−1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
  4. 15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害できる化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 15−LOの発現および/または活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害できる化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  6. 15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、1μM以下のIC50を有することを特徴とする、請求項4に記載の使用。
  7. 15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、化合物PD146176であることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
  8. 15−LOの活性を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、抗15−LO抗体であることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
  9. 15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、アンチセンス核酸であることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
  10. 15−LOの発現を部分的にまたは全体的に阻害する薬剤が、干渉RNAであることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
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