JP2009523776A - キナゾリン誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、特に癌などの増殖性疾患等の疾患の治療および増殖性疾患の治療に使用される薬剤の製造に使用される式(I)の化合物を提供する。本発明はまた、該化合物の製造方法および該化合物を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、特に癌などの増殖性疾患等の疾患の治療および増殖性疾患の治療に使用される薬剤の製造に使用されるキナゾリン誘導体に関する。本発明はまた、キナゾリン誘導体の製造方法およびキナゾリン誘導体を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
癌(およびその他の過剰増殖性疾患)は、細胞の無制御な増殖を特徴としている。正常な制御を喪失した細胞増殖は、多くの場合、細胞周期を介する成長を制御する細胞経路の遺伝子損傷により引き起こされる。
真核生物では、タンパク質リン酸化反応の順序付けられたカスケードが細胞周期を制御すると考えられている。現在、このカスケードにおいて重要な役割を担っているいくつかのプロテインキナーゼファミリーが同定されている。これらキナーゼの多くは、ヒト腫瘍においてその活性が正常組織に比較して上昇している。この上昇は、タンパク質の発現量の増加(例えば、遺伝子増幅の結果として)、またはコアクチベーターまたは阻害タンパク質の発現の変化により起こり得る。
これらの細胞周期の調節物質として、最初に同定され最も広く研究されているのがサイクリン依存性キナーゼ(またはCDKs)である。さらに、近年、CDKファミリーと構造的に異なる、細胞周期の制御に重要な役割を果たすと共に腫瘍形成に重要であると思われる、プロテインキナーゼが同定された。該プロテインキナーゼは、ショウジョウバエオーロラおよび酵母Ipl1タンパク質のヒトホモログを含んでいる。これらオーロラA,オーロラBおよびオーロラC(それぞれ、オーロラ2、オーロラ1およびオーロラ3としても知られている)遺伝子の3つのヒトホモログは、G2および有糸分裂を介して発現のピークおよびキナーゼ活性を示す細胞周期制御セリン・スレオニンプロテインキナーゼをコードしている(Adamsら、Trends in Cell Biology, 11(2), 49-54, 2001に要約されている)。また、ヒトオーロラタンパク質が癌にかかわっているといういくつかの所見もある。
オーロラA遺伝子は、乳房および大腸の腫瘍などのヒトの腫瘍において増幅されることが多い染色体20q13上に位置していることが知られている。ヒト原発性結腸直腸癌の50%以上において、オーロラAのDNAが増幅され、mRNAが過剰発現しているので、オーロラAはこのアンプリコンの主たる標的遺伝子である可能性がある。これらの腫瘍では、オーロラAタンパク質の量が隣接する正常組織に比較して非常に増加している。さらに、げっ歯類の線維芽細胞をヒトオーロラAでトランスフェクションすると形質転換が起こり、軟寒天中で成長できるようになり、ヌードマウスに腫瘍を形成する(Bischoffら, The EMBO Journal, 17(11), 3052-3065, 1998)。他の研究(Zhouら, Nature Genetics, 20(2), 189-93, 1998)は、オーロラAを人工的に過剰発現させると、癌の進行において起こることが知られている中心体数の増加および異数性の増加を引き起こすことを示している。
また、正常細胞に比較して、腫瘍細胞ではオーロラB(Adamsら, Chromsoma, 110(2), 65-74, 2001)およびオーロラC(Kimuraら, Journal of Biological Chemistry, 274(11), 7334-40, 1999)の発現が増加していることが報告されている。オーロラBはまた、癌細胞において過剰発現し、オーロラBの増加量は結腸直腸癌の病期の進行に相関することが示されている(Katayamaら, J Natl. Cancer Inst., 91, 1160, 1999)。さらに、他の報告では、オーロラBの過剰発現がヒストンH3のセリン10のリン酸化を高めて異数性を誘導すること、オーロラBを過剰発現している細胞は転移を起こす、より攻撃的な腫瘍を形成することを示唆している(Ota,T.ら, Cancer Res., 62, 5168-5177, 2002)。オーロラBは、少なくともサービビン(Survivin)、インセンプ(INCENP)およびボレアリン(Borealin)の3つの他のパッセンジャータンパク質と安定な複合体を作って存在する染色体パッセンジャータンパク質である(Carmena Mら, Nat. Rev. Mol. Cell Biol., 4, 842-854, 2003)。サービビンも癌では亢進されており、バキュロウィルスIAPリピート(Baculovirus Inhibitor of apoptosis protein (IAP) Repeat:BIR)ドメインを有しているので、アポトーシスおよび/または分裂期崩壊から腫瘍細胞を保護する役目を果たしていると思われる。
オーロラCに関しては、多くの癌株において過剰発現されていることが知られているが、精巣ではその発現が制限されていると考えられる(Katayama Hら, Cancer and Metastasis Reviews, 22, 451-464, 2003)。
重要なことには、ヒト腫瘍細胞株をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理してオーロラAの発現と機能を阻害すると(WO97/22702およびWO99/37788)、細胞周期が停止され、これらの腫瘍細胞株の増殖が抑制されることが示されている。さらに、siRNA処理によりオーロラBの発現のみを選択的に阻害した場合(Ditchfieldら, Journal of Cell Biology, 161(2), 267-280, 2003)のように、オーロラAおよびオーロラBの小分子阻害剤はヒト腫瘍株に対して増殖抑制効果を有することが示されている(Keenら, Poster #2455, American Association of Cancer research annual meeting, 2001)。これは、オーロラAおよび/またはオーロラBの機能を阻害することにより、ヒト腫瘍や他の過剰増殖性疾患の治療に有用であると思われる増殖抑制効果が得られることを示唆している。そのような疾患の治療方法として、1つまたは複数のオーロラキナーゼを阻害することは、細胞周期の上流のシグナル伝達経路(例えば、上皮細胞増殖因子レセプター(EGFR)やその他のレセプターなどの成長因子レセプターチロシンキナーゼにより活性化されるもの)を標的とする際に著しい利点を有していると考えられる。特定のシグナル伝達分子(例えば、EGFR)に向けられた方法は、それらのレセプターを発現する腫瘍細胞の一部にのみ有効であると考えられるが、細胞周期はさまざまなシグナル伝達のすべてにおいて最下流にあるので、1つまたは複数のオーロラキナーゼの阻害などの細胞周期に向けられた治療は、すべての増殖性腫瘍細胞に対して有効であると予想される。また、1つの要素を阻害しても他の要素により補償されることを意味する「クロストーク」が、シグナル伝達経路間では著しいとされている。
多数のキナゾリン誘導体を1つまたは複数のオーロラキナーゼの阻害に使用することが既に提案されている。WO04/94410には、ピラゾール環により置換されたキナゾリン誘導体が記載されている。これらの化合物は1つまたは複数のオーロラキナーゼを阻害し、ヒト腫瘍細胞株SW620の細胞の成長を阻害することができる。そのような化合物の例の一つが次の化合物である。
Figure 2009523776
上記のような活性を有するさらに有効な化合物が求められており、そのような化合物が化学療法剤に耐性を有する細胞、特に排出トランスポーターを過剰発現する細胞に対しても有効であるならば、有利である。排出トランスポーターとしては、例えば、p−糖タンパク質、多剤耐性関連タンパク質1、2、3、4および5、BCRP、BSEP、およびsPgpなどが挙げられる。
そのような化合物が、癌のような過剰増殖性疾患の治療により有効に使用できる有利な物理的特性を有していたならば、さらに有用である。
驚くべきことに、化合物の小規模選出群(大部分はWO04/94410に記載されている、オーロラキナーゼ酵素に対して優れた活性を有する化合物の選択されたサブグループである)が、細胞、特に耐性細胞に対して有効であることが見出された。該化合物はまた、さらに優れた物理的特性を有している可能性がある。
該化合物は特にオーロラAキナーゼおよび/またはオーロラBキナーゼの効果を阻害するため、癌のような過剰増殖性疾患の治療に有用である。特に、該化合物は充実性または血液性腫瘍の治療に使用され、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、膵癌などの癌またはそれらが併発している癌、白血病、またはリンパ腫の治療に使用することができる。
したがって、本発明の1つの側面は、式(I):
Figure 2009523776
[式中、Rは水素またはメチルであり、Rはメチルまたはエチルである]
の化合物またはその塩またはプロドラッグを提供する。
他の側面として、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。
本発明の化合物はコンピューターソフトウェア(ACD/Name version 8.0)を用いて命名した。
本発明において、本発明の化合物は互変異性現象を示すことがあるが、当然のことながら、本明細書内に示される式は可能な互変異性型の1つのみを表している。本発明は、オーロラキナーゼ阻害活性、特にオーロラAおよび/またはオーロラBキナーゼ阻害活性を有するあらゆる互変異性型を包含するものであり、当然のことながら、式に示される1つの互変異性型のみに限定されるものではない。
本発明の特定の化合物およびその塩は、非溶媒和物の形及び溶媒和の形、例えば水和物のような形、で存在できることが理解されよう。さらに、本発明はオーロラキナーゼ阻害活性、特にオーロラAおよび/またはオーロラBキナーゼ阻害活性を有するすべての溶媒和の形を包含する。
本発明は、本明細書において定義される式(I)の化合物およびその塩に関する。医薬組成物に使用される塩は医薬的に許容される塩であるが、他の塩も式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩の製造に有用である可能性がある。本発明の医薬的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩の形成に十分な塩基性を有する、本明細書において定義される式(I)の化合物の酸付加塩が挙げられる。そのような酸付加塩としては、これらに限定されないが、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、およびリン酸および硫酸により形成される塩が挙げられる。また、酸性が高い式(I)の化合物の場合には、塩は塩基性塩であり、例えば、これらに限定されないが、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンまたはリジンなどのアミノ酸、などの有機アミン塩を挙げることができる。
式(I)の化合物は、ヒトまたは動物の体内で式(I)の化合物に変化するプロドラッグの形で投与されてもよい。さまざまな形のプロドラッグが当技術分野で周知であり、プロドラッグ誘導体については、例えば、以下を参照されたい:
a) Design of Prodrugs, H. Bundgaard編, (Elsevier, 1985)およびMethods in Enzymology, Vol. 42, pp. 309-396, K. Widderら編 (Academic Press, 1985);
b) A Textbook of Drug Design and Development, Krogsgaard-Larsen, H. Bundgaard編, Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs”, H. Bundgaard, pp. 113-191 (1991);
c) H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
d) H. Bundgaardら, Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988);および
e) N. Kakeyaら, Chem. Pharm. Bull., 32, 692 (1984)。
本発明の1つの側面において、Rはメチルである。Rがメチルの場合、本発明は式(IA):
Figure 2009523776
[式中、Rは水素またはメチルである]
の化合物またはその塩またはプロドラッグを提供する。
がメチルでRが水素である式(I)の化合物は、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−メトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドである。RがメチルでRがメチルである式(I)の化合物は、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−メトキシ−5−[(2R)−1−メチルピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドである。
本発明の1つの側面において、Rはエチルである。Rがエチルの場合、本発明は式(IB):
Figure 2009523776
[式中、Rは水素またはメチルである]
の化合物またはその塩またはプロドラッグを提供する。
がエチルでRが水素である式(I)の化合物は、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドである。RがエチルでRがメチルである式(I)の化合物は、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−1−メチルピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドである。
さらに、本発明は、Rがメチルである式(I)の化合物の製造方法を提供する。該方法は、Rが水素である式(I)の化合物をギ酸中でホルムアルデヒドと50℃ないし100℃の高温で30分ないし2時間反応させ、その後必要に応じて、
i)保護基を除去し、および/または
ii)その塩またはプロドラッグを形成する、
ことを含む。
が水素である式(I)の化合物の製造方法は、式(II):
Figure 2009523776
[式中、PGはtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Z)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの適当な保護基であり、Lはクロロなどの適当な脱離基である]
の化合物を、2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドと反応させ、その後必要に応じて、
i)保護基を除去し、および/または
ii)その塩またはプロドラッグを形成する、
ことを含む。
この反応は、文献に記載されている条件範囲において行われてよく、例えば、式(II)の化合物を、イソプロパノールやジメチルアセトアミドなどの溶媒中で塩酸などの酸触媒の存在または非存在下に20ないし100℃で30分ないし24時間、2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドと反応させる。
さらに、本発明は、式(II)の化合物の製造方法を提供する。該方法は、式(III):
Figure 2009523776
[式中、PGはtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Z)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの適当な保護基である]
の化合物を、1,2−ジクロロエタンやアセトニトリルなどの適当な溶媒中でジイソプロピルエチルアミンなどの適当な塩基の存在下に0ないし80℃で2ないし24時間、オキシ塩化リンなどの適当な塩素化剤と反応させることを含む。
この方法は、PGがtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Z)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの適当な保護基である式(III)の化合物を製造する工程をさらに含んでいてもよい。該工程は、式(IV):
Figure 2009523776
の化合物と、PGが水素であるか、またはベンジルなどの適当な保護基である式(V):
Figure 2009523776
の化合物、との反応、続いて保護基の変換を含んでなる。
この反応は、文献に記載されている条件範囲において行われてよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−2−ピロリジノンなどの溶媒中で、水素化ナトリウムやカリウムtert−ブトキシドなどの塩基を用いて、20ないし100℃で2時間ないし24時間、行われてよい。
PGが水素またはベンジルなどの適当な保護基である式(V)の化合物は、当技術分野で公知のものであっても、当技術分野で公知の他の化合物から文献から明らかである従来の方法により得られるものであってもよい。
式(IV)の化合物は、式(VI):
Figure 2009523776
の化合物と触媒量の硫酸などの鉱酸の存在下、例えば、100℃で2ないし24時間、ギ酸と反応させることにより製造することができる。
式(VI)の化合物は、当技術分野で公知であるか、または、当技術分野で公知の他の化合物から文献から明らかである従来の方法により得ることができ、または、実施例に記載のように製造してもよい。
さらに、本発明は、2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドの製造方法を適用する。該方法は、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−{4−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−1H−ピラゾール−1−イル}アセトアミドを酢酸エチルなどの適当な溶媒中で塩酸などの濃酸性水溶液の存在下に加水分解することを含む。
N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−{4−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−1H−ピラゾール−1−イル}アセトアミドは、式(VII):
Figure 2009523776
(式中、Xはブロモ、ヨードなどのハロゲンである)の化合物とベンゾフェノンイミンとの反応を含む方法により製造することができる。この反応は、文献に記載の条件範囲、例えば、1,4−ジオキサンなどの溶媒中でナトリウムtert−ブトキシド、炭酸セシウム、炭酸カリウム、リン酸カリウムなどの適当な塩基性触媒、(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィン)、または1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどの適当なリガンド、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)または酢酸パラジウムなどの適当な触媒の存在下に、式(VII)の化合物をベンゾフェノンイミンと共に、例えば、90℃で30分ないし6時間加熱して行ってもよい。
この方法は、式(VII)の化合物の製造工程をさらに含んでもよい。該工程は、式(VIII):
Figure 2009523776
(式中、Xはブロモ、ヨードなどのハロゲンである)
の化合物と式(IX):
Figure 2009523776
(式中、Lはクロロまたはブロモなどの脱離基である)
の化合物との反応を含む。この反応は、文献に記載される条件範囲、例えば、炭酸カリウムなどの塩基の存在下にジメチルアセトアミドのような溶媒中で、例えば、20℃で14ないし48時間、式(VIII)の化合物を式(IX)の化合物と反応させることにより行なうことができる。
式(VIII)および(IX)の化合物は、当技術分野で公知であるか、または、当技術分野で公知の他の化合物から文献から明らかである従来の方法により得ることができる。
また、2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドは、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミドの還元により製造することができる。この反応は、文献に記載される条件範囲、例えば、気圧1ないし5バールの水素雰囲気下、エタノールおよび/または酢酸エチルなどの適当な溶媒中、酸化白金やパラジウム炭素などの適当な触媒の存在下に、適当な温度、例えば、20℃で0.5ないし5時間、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミドを還元することにより行なうことができる。
N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミドは、(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸と2,3−ジフルオロアニリンとの反応により製造することができる。この反応は、文献に記載される条件範囲、例えば、ジクロロメタンなどの溶媒中、0ないし20℃で2ないし3時間、(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸と2,3−ジフルオロアニリンをオキシ塩化リンおよびピリジンでカップリングさせることにより行なうことができる。
(4−ニトロ−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸と2,3−ジフルオロアニリンは当技術分野において公知である。
当然のこととして、本発明の化合物の種々の環置換基のあるものは、本発明の製造方法に関する側面に含まれるように、前述の工程の前あるいは直後に、芳香族置換基の標準的な反応により導入されてもよく、公知の官能基修飾により生成することができる。そのような反応および修飾としては、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化、および置換基の酸化が挙げられる。そのような方法の試薬および反応条件は、化学技術分野において周知である。芳香族置換反応の具体的な例としては、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、フリーデル・クラフツ条件下に、例えば、ハロゲン化アシルとルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を使用するアシル基の導入、フリーデル・クラフツ条件下にハロゲン化アルキルとルイス酸(例えば、三塩化アルミニウム)を使用するアルキル基の導入、およびハロゲン基の導入が挙げられる。修飾の具体的な例としては、ニッケル触媒による接触水素化や加熱しながら塩酸の存在下に鉄で処理するなどのニトロ基のアミノ基へ還元、アルキルチオのアルキルスルフィニルやアルキルスルホニルへの酸化が挙げられる。
当然のこととして、本明細書に記載されている反応の中には、化合物の反応性の高い基を保護することが必要または望ましいものがある。保護が必要または望ましい例と、それらの適切な保護の方法は当業者に周知である。従来の保護基を標準的な方法にしたがって使用することができる(例えば、T.W. Green, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, 1991)。したがって、反応物質がアミノ、カルボニルまたはヒドロキシなどの基を含んでいる場合には、本明細書に記載された反応の中には該基を保護することが望ましいものもある。
アミノ基またはアルキルアミノ基の適当な保護基としては、例えば、アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニルなどのアリールメトキシカルボニル基、またはベンゾイルなどのアロイル基などが挙げられる。上記の保護基を脱保護するための条件は、保護基によって必然的に変化する。例えば、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基またはアロイル基などのアシル基は、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの適当な塩基による加水分解により除去することができる。あるいは、tert−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、またはリン酸またはトリフルオロ酢酸などの適当な酸で処理して除去してもよい。ベンジルオキシカルボニル基などのアリールメトキシカルボニル基は、例えば、パラジウム炭素などの触媒により水素化して、またはトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素などのルイス酸により処理して除去してもよい。第1級アミノ基の適当な他の保護基としては、例えば、フタロイル基が挙げられ、その基は、例えば、ジメチルアミノプロピルアミンなどのアルキルアミンまたはヒドラジンで処理することにより除去することができる。
ヒドロキシ基の適当な保護基としては、例えばアシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基、ベンゾイルなどのアロイル基、またはベンジルなどのアリールメチル基などが挙げられる。上記の保護基を脱保護するための条件は、保護基によって必然的に変化する。例えば、アルカノイル基やアロイル基などのアシル基は、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの適当な塩基による加水分解により除去することができる。あるいは、ベンジル基などのアリールメチル基は、例えば、パラジウム炭素などの触媒による水素化により除去することができる。
カルボキシ基の適当な保護基としては、例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基による加水分解により除去することができるメチルまたはエチル基、またはトリフルオロ酢酸などの有機酸などの酸で処理することにより除去することができるtert−ブチル基、またはパラジウム炭素などの触媒による水素化により除去することができるベンジル基などのエステル化基が挙げられる。
保護基は、化学技術分野において周知である従来の方法を用いて、合成法のどの段階で除去されてもよい。
本発明のさらに別の側面は、本明細書において定義される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグと共に医薬的に許容される希釈剤または担体を含有する医薬組成物を提供する。
本発明の組成物は、経口使用(例えば、錠剤、トローチ剤、硬または軟カプセル、水性または油性懸濁液、乳液、懸濁可能な粉末または顆粒、シロップまたはエリキシル剤)、局所的使用(例えば、クリーム、軟膏、ジェル、水性または油性溶液または懸濁液)、吸入投与(例えば、微粉または液体エアロゾル)、注入投与(例えば、微粉)、または非経口投与(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、または筋肉内投薬用の滅菌水性または油性溶液、または直腸投薬用の坐薬)に適切な剤型であってよい。
本発明の組成物は、本技術分野で周知の医薬的賦形剤を使用する従来の方法により調製してよい。したがって、経口使用用の組成物は、例えば、着色剤、甘味料、香味剤および/または保存剤の1つ以上を含有してもよい。
錠剤に使用する医薬的に許容される適当な賦形剤としては、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤、コーンスターチやアルゲン酸などの造粒剤や崩壊剤、デンプンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなどの潤滑剤、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルなどの保存剤、アスコルビン酸などの抗酸化剤などが挙げられる。錠剤は、コーティングされなくてもあるいは胃腸管内での崩壊とその後の有効成分の吸収性を変更する、または安定性および/または外観を改良するためにコーティングされてもよく、どちらの場合も、当技術分野において周知のコーティング剤および方法を使用してよい。
経口使用の組成物は、有効成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンなどの不活性固体希釈剤と混合されている硬ゼラチンカプセルの形であってもよく、または有効成分が水またはピーナッツ油、流動パラフィン、大豆油、ココナッツ油、好ましくはオリーブ油などの油、または他の許容される賦形剤と混合されている軟ゼラチンカプセルの形であってもよい。
水性懸濁液は、通常、微粉状の有効成分と共に、1つあるいは複数の懸濁剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカント・ガム、アカシアガムなど)、分散剤または湿潤剤(レシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、酸化エチレンの脂肪酸とポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトールとから得られる部分エステルとの縮合物、酸化エチレンの長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸とポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトールとから得られる部分エステルとの縮合物、またはエチレンオキシドと脂肪酸とポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのヘキシトール無水物とから得られる部分エステルとの縮合物)を含有する。水性懸濁液はさらに、1つまたは複数の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピル)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)、着色剤、香味剤および/または甘味料(例えば、スクロース、サッカリン、またはアスパルテーム)を含有してもよい。
油性懸濁液は、有効成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)に懸濁させて製剤することができる。油性懸濁液は、蜜ロウ、固形パラフィン、セチルアルコールなどの増粘剤を含有してもよい。上述のような甘味料および香味剤を加えて、口当たりのよい製剤としてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤を添加して保存してもよい。
水の添加による水性懸濁液または溶液の調製に適した分散性のまたは凍結乾燥した粉末および顆粒は、通常、有効成分と共に分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つあるいは複数の保存剤を含有する。好ましい分散剤または湿潤剤および懸濁剤としては、上述したものを挙げることができる。その他の賦形剤、例えば、甘味料、香味剤、着色剤などを共存させてもよい。
本発明の医薬組成物は、水中油型の乳液の形であってもよい。油相は、オリーブ油、ラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、あるいはそれらの混合物であってよい。好ましい乳化剤としては、例えば、アカシアゴムやトラガカント・ガムなどの天然ゴム、大豆、レシチンなどの天然リン脂質、脂肪酸とヘキシトール無水物(例えば、ソルビタンモノオレエート)とから得られるエステルまたは部分エステルおよび該部分エステルのエチレンオキシドとの縮合物(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)が挙げられる。乳液はさらに、甘味料、香味剤および保存剤を含有してもよい。
シロップおよびエリキシル剤はグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテーム、スクロースなどの甘味料を用いて製剤してよく、さらに粘滑剤、保存剤、香味剤および/または着色剤を含有してもよい。
医薬組成物は、無菌注入用水性または油性懸濁液、溶液、乳液、あるいは他のシステムであってもよく、上述の分散剤または湿潤剤および懸濁剤の適切な1つまたは複数を使用して公知方法にしたがって製剤することができる。無菌の注入用製剤は、無毒な非経口的に許容される、例えば、ポリエチレングリコールなどの希釈剤または溶媒の溶液または懸濁液の無菌製剤であってもよい。
坐薬製剤は、有効成分を、常温では固体であるが直腸温度では液体であるため直腸で溶けて薬を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合して調製することができる。好ましい賦形剤としては、例えば、ココアバターやポリエチレングリコールが挙げられる。
クリーム、軟膏、ゲル、および水性または油性溶液または懸濁液などの局所製剤は、通常、有効成分を従来の局所適用可能な賦形剤または希釈剤と共に本技術分野で周知の方法により製剤することにより得ることができる。
注入による投与用の組成物は、例えば、30μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは5μmから1μmの平均粒径を有する粒子を含有する微粉の形であってよく、該微粉自体は、有効成分のみであっても、ラクトースなどの1つまたは複数の生理的に許容される担体で希釈された有効成分であってもよい。注入用の微粉はその後、公知薬剤であるクロモグリク酸ナトリウムの吸入に使用されているようなターボ吸入器の使用に便利なように、例えば、1から50mgの有効成分を含有するようにカプセル中に収められる。
吸入による投与用の組成物は、微粉を含有するエアゾールまたは液滴として有効成分を分注するように、従来の加圧エアゾールの形であってもよい。揮発性フッ素化炭化水素や炭化水素などの従来のエアゾール用噴射剤を使用してよく、エアゾール器は一定量の有効成分を分注するように設計されている。
製剤に関するさらに詳しい情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry, Volume 5 (Corwin Hansch; Chairman of Editorial Board), Pergamon Press, 1990の25.2章を参照されたい。
したがって、本発明の他の側面は、治療のために使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを提供する。さらに、薬剤として使用するための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを提供する。本発明のさらに別の側面は、癌、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、または膵癌またはそれらが併発している癌、白血病、リンパ腫などの過剰増殖性疾患を治療するための薬剤として使用するための、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを提供する。
さらに、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグは、ヒトなどの温血動物の治療を伴う処置のために提供される。本発明の他の側面は、癌などの過剰増殖性疾患、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、または膵癌またはそれらが併発している癌、白血病、リンパ腫などの治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを提供する。
本発明の他の側面では、1つまたは複数のオーロラキナーゼの阻害が有益である疾患の治療用薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグの使用を提供する。特に、オーロラAキナーゼおよび/またはオーロラBキナーゼの阻害が有益であると考えられる。好ましくは、オーロラBキナーゼの阻害が有益である。本発明の他の側面では、癌、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、または膵癌またはそれらが併発している癌、白血病、リンパ腫などの過剰増殖性疾患の治療用薬剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグの使用を提供する。
さらに他の側面では、1つまたは複数のオーロラキナーゼの阻害が有益である疾患を患っているヒトの治療法において使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。該治療方法は、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを治療が必要なヒトに投与する工程を含んでなる。特に、オーロラAキナーゼおよび/またはオーロラBキナーゼの阻害が有益であると考えられる。好ましくは、オーロラBキナーゼの阻害が有益である。さらに、癌、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、または膵癌またはそれらが併発している癌、白血病、リンパ腫などの過剰増殖性疾患を患っているヒトの治療法において使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを提供する。該治療方法は、治療に有効な量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを治療が必要なヒトに投与する工程を含んでなる。上述のヒトの治療法における式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグの使用もまた、本発明の側面である。
上記の治療的使用では、投与量は使用される化合物、投与方法、治療の目的、治療すべき障害および動物または患者の年齢、性別により異なる。したがって、投与量は周知の薬物療法の原則に従って算出される。
治療または予防の目的で式(I)の化合物を使用する場合、その1日の投与量は通常、例えば、0.05ないし50mg/kg体重の範囲(特に、体重1kgあたり0.05ないし15mg)であり、必要に応じて分割して投与される。一般に、非経口経路での投与の場合には、その投与量は少なくなる。したがって、例えば、静脈内投与の場合には、その投与量は通常、例えば、0.05ないし25mg/kg体重の範囲(特に、体重1kgあたり0.05ないし15mg)である。同様に、吸入による投与の場合には、その投与量は、例えば、0.05ないし25mg/kg体重の範囲(特に、体重1kgあたり0.05ないし15mg)である。
本明細書で定義される抗癌治療は、単独療法として行われても、あるいは本発明の化合物投与に加えて従来の外科手術、放射線治療あるいは化学療法を併せて行ってもよい。化学療法は以下に示す抗腫瘍薬のカテゴリーの1つまたは複数を含んでよい。
(i)癌内科治療において使用されている、他の抗増殖/抗腫瘍薬およびそれらの組み合わせ、例えば、アルキル化剤(例えば、シス−プラチン、オキサリプラチン、カロボプラチン、シクロフォスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブチル、ブスルファン、テモゾラミド、およびニトロソウレア類)、代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、5−フルオロウラシルやテガフルのようなフルオロピリミジン類などの抗葉酸剤、ラルチトレクスド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア)、抗腫瘍性抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシンのようなアントラサイクリン類)、抗分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンのようなビンカアルカロイド類、タキソール、タキソテールのようなタキソイド類、およびポロキナーゼ阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシドのようなエピポドフィロトキシン類、アムサクリン、トポテカン、およびカンプトテシン);
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸シプロテロン)、LHRH拮抗剤またはLHRH作動剤(例えば、ゴセレリン、ロイプロレリン、ブセレリン)、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、エキセメスタン)、フィナステリドなどの5α−還元酵素の阻害剤;
(iii)抗浸潤剤(例えば、4−(6−クロロ−2,3−メチレンジオキシアニリノ)−7−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エトキシ]−5−テトラヒドロピラン−4−イルオキシキナゾリン(AZD0530:国際特許出願WO01/94341)およびN−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−{6−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]−2−メチルピリミジン−4−イルアミノ}チアゾール−5−カルボキサミド(ダサチニブ、BMS−354825:J. Med. Chem., 47, 6658-6661, 2004)のようなc−Srcキナーゼファミリー阻害剤、マリマスタットのようなメタロプロテナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター機能阻害剤、抗ヘパラナーゼ抗体);
(iv)成長因子機能阻害剤:例えば、成長因子抗体および成長因子レセプター抗体などの阻害剤(例えば、抗−erbB2抗体トラスツズマブ(ハーセプチンTM)、抗−EGFR抗体パニツムマブ、抗−erbB1抗体セツキシマブ(エルビタックス、C225)、およびSternら, Critical reviews in oncology/haematology, Vol. 54, pp. 11-29, 2005に記載の成長因子抗体または成長因子レセプター抗体)、チロシンキナーゼ阻害剤などの阻害剤、上皮細胞増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)、6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033)などのEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、ラパチニブなどのerbB2チロシンキナーゼ阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、イマチニブなどの血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、セリン・スレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシル転移酵素阻害剤などのRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えば、ソラフェニブ(BAY43−9006))、MEKおよび/またはAKTキナーゼを介する細胞シグナル伝達の阻害剤、肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、IGFレセプター(インスリン様成長因子)キナーゼ阻害剤、オーロラキナゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX−680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX−528、およびAX39459)、CDK2および/またはCDK4阻害剤などのシクリン依存キナーゼ阻害剤;
(v)血管内皮成長因子の効果を阻害するような血管新生阻害剤(例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体、ベバシズマブ(アバスチンTM)、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474:WO 01/32651の実施例2)、4−(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イルオキシ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171:WO 00/47212の実施例240)などのVEGFレセプターチロシンキナーゼ阻害剤、バタラニブ(PTK787:WO98/35985)、SU11248(スニチニブ:WO01/60814)、国際特許出願WO97/22596、WO97/30035、WO97/32856およびWO98/13354に記載されている化合物、および他の機構により機能する化合物(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、およびアンギオスタチン));
(vi)コンブレタスタチンA4などの血管損傷剤および国際特許出願WO99/02166、WO00/40529、WO00/41669、WO01/92224、WO02/04434およびWO02/08213に記載されている化合物;
(vii)アンチセンス療法、例えば、上述の目的物に対するISIS2503、抗−rasアンチセンスなど;
(viii)遺伝子療法アプローチ、例えば、異常p53または異常BRCA1またはBRCA2のような異常遺伝子を置換するアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロ還元酵素を使用するようなGDEPT(gene-directed enzyme pro-drug therapy:遺伝子標的酵素プロドラッグ療法)アプローチ、および多剤耐性遺伝子療法などの化学療法または放射線療法に対する患者の耐容性を増大するアプローチなど;および
(ix)免疫療法アプローチ、例えば、インターロイキン2、インターロイキン4、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子のようなサイトカインのトランスフェクションのような、患者の腫瘍細胞の免疫原性を増大する体外および体内アプローチ、T細胞アネルギーを低減するアプローチ、サイトカインによりトランスフェクトされた樹状細胞のようなトランスフェクト免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカインによりトランスフェクトされた腫瘍細胞系を用いるアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を用いるアプローチなど。
本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグは、1つまたは複数の細胞周期阻害剤、特にbub1、bubR1またはCDKを阻害する細胞周期阻害剤と組み合わせて使用してもよい。
このような併用治療は、個々の治療成分を、同時に、連続して、または別々に投与することによって達成してよい。そのような組合製品は、本明細書中で前述した用量範囲内の本発明の化合物と、認可されている用量範囲内のその他の医薬的に活性な薬剤とを使用する。
治療薬としての使用に加えて、式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩またはプロドラッグは、新しい治療薬の探索方法の一部として、ネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット、マウスなどの実験動物における細胞周期活性の阻害効果を評価する、生体外および生体内試験システムの開発および標準化の薬理学的道具としても有用である。
上記の他の医薬組成物、工程、方法、使用および薬剤製造の特徴は、本明細書中に記載の本発明の化合物の代替の好ましい態様にも適用される。
本発明の化合物はオーロラキナーゼのセリン・スレオニンキナーゼ活性を阻害し、特に、オーロラAキナーゼおよび/またはオーロラBキナーゼを阻害し、結果、細胞周期および細胞増殖を阻害する。オーロラBキナーゼを阻害する化合物は特に重要である。本発明の化合物はさらに、耐性細胞において活性を有し、有利な物理的性質を有している。これらの特性は、例えば、下記の手段の1つまたは複数を用いて評価できる。
(a)インビトロでのオーロラAキナーゼ阻害試験
本アッセイは、試験化合物のセリン・スレオニンキナーゼ活性を阻害する能力を測定する。オーロラAをコードするDNAは、全遺伝子を合成してもよいし、またはクローニングにより得てもよい。このDNAを適当な発現系により発現させて、セリン・スレオニンキナーゼ活性を有するポリペプチドを得ることができる。オーロラAの場合、コード配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりcDNAから単離し、バキュロウィルス発現ベクターpFastBac Htc(ギブコBRLライフテクノロジー社)のBamH1およびNot1制限エンドヌクレアーゼ部位にクローニングした。5’PCRプライマーは、オーロラAのコード配列の5’の制限エンドヌクレアーゼBamH1を認識する配列を含む。これにより、pFastBac Htcベクターによってコードされる6個のヒスチジン残基、スペーサー領域およびrTEVプロテアーゼ切断部位を有するフレームにオーロラA遺伝子が挿入される。3’PCRプライマーは、オーロラAの終止コドンを追加のコード配列で置き換え、ついで終止コドン、制限エンドヌクレアーゼNot1を認識する配列が続く。この追加コード配列(5’TACCCATACGATGTTCCAGATTACGCTTCTTAA3’)はポリペプチド配列YPYDVPDYASをコードしている。インフルエンザ凝集素タンパク質に由来するこの配列は、特異的モノクローナル抗体により認識されるタグエピトープ配列として頻繁に使用されている。組換えpFastBacベクターは、N−末端に6ヒスチジンタグを、C−末端にインフルエンザ凝集素エピトープタグを有するオーロラAタンパク質をコードしている。組換えDNA分子を組み立てる方法の詳細は、標準的なテキスト、例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning - A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory pressおよびAusubelら, 1999, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons Inc.に記載されている。
組換えウィルスは、ギブコBRLの製造者プロトコールに従って作製できる。簡単に説明すると、オーロラA遺伝子を含むpFastBac−1ベクターを、バキュロウィルスゲノム(bacmid DNA)を含有する大腸菌DH10Bac細胞に組み込み、細胞内での転移を介して、ゲンタマイシン耐性遺伝子とバキュロウィルスポリヘドリンプロモーターを含むオーロラA遺伝子を含むpFastBacベクターの領域が、直接bacmid DNA中に置き換えられる。ゲンタマイシン、カナマイシン、テトラサイクリンおよびX−galによる選択により得られた白色のコロニーは、オーロラAをコードする組換えbacmid DNAを含有するはずである。数個の白色のBH10Bacコロニーを小規模培養した後、bacmid DNAを抽出し、このbacmid DNAを、セルフェクチン(CellFECTIN)試薬(ギブコBRL)を製造者指示書に従って使用して、10%の血清を含有するTC100培地(ギブコBRL)中で成長したヨトウガSf21細胞にトランスフェクトした。このトランスフェクションの72時間後に、細胞培養培地を回収してウィルス粒子を採取した。0.5mLの培地を使用して100mLの1×10個/mLの細胞を含有するSf21sの浮遊培養液を感染させた。感染の48時間後に細胞培養培地を採取し、ウィルスの力価を標準プラーク分析法により測定した。組換えオーロラAタンパク質の発現を確認するために、保存ウィルスにより、重複感染度(MOI)3でSf9および“High5”細胞を感染させた。
オーロラ−Aキナーゼ活性の大規模発現のために、28℃で、TC100培地(10%ウシ胎児血清(Viralex)および0.2%F68プルロニック(Pluronic)(シグマ)添加)中で、3rpmのウィートン・ローラー・リグ(Wheaton roller rig)で、Sf21昆虫細胞を成長させた。細胞密度が1mL当たり1.2×10細胞に達したら、プラーク(純粋なオーロラA組換えウイルス)を重複感染度1で該細胞に感染させ、48時間後に回収した。それに続くすべての精製工程は、4℃で行った。凍結させた昆虫細胞ペレット(合計2.0×10細胞を含む)を融解させ、溶解緩衝液(25mMのHEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])、pH7.4、4℃、100mMのKCl、25mMのNaF、1mMのNaVO、1mMのPMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)、2mMの2−メルカプトエタノール、2mMのイミダゾール、1μg/mLのアプロチニン、1μg/mLのペプスタチン、1μg/mLのロイペプチン)を、3×10細胞あたり1.0mL用いて希釈した。ダウンス型ホモジナイザーを用いて溶解し、続いて、溶解産物を41000gで35分間遠心分離した。吸引した上清を、溶解緩衝液中で平衡化させた500μLのNiNTA(ニトリロ三酢酸)アガロース(キアゲン、製品番号30250)を充填した直径5mmのクロマトグラフィーカラムにポンプで送り出した。溶離液のUV吸光度が基準レベルに達するように、12mLの溶解緩衝液、続いて、7mLの洗浄緩衝液(25mMのHEPES、pH7.4、4℃、100mMのKCl、20mMのイミダゾール、2mMの2−メルカプトエタノール)でカラムを洗浄した。結合しているオーロラ−Aタンパク質を、溶出緩衝液(25mMのHEPES、pH7.4、4℃、100mMのKCl、400mMのイミダゾール、2mMの2−メルカプトエタノール)を用いてカラムから溶出した。UV吸光度のピークに対応する溶出フラクション(2.5mL)を回収した。活性オーロラ−Aキナーゼを含む該溶出フラクションを、透析緩衝液(25mMのHEPES、pH7.4、4℃、45%グリセロール(v/v)、100mMのKCl、0.25%ノニデット(Nonidet)P40(v/v)、1mMのジチオスレイトール)に対して十分に透析した。
このアッセイでは、それぞれの新しいオーロラA酵素のバッチを、酵素希釈剤(25mMのトリス−HCl、pH7.5、12.5mMのKCl、0.6mMのDTT)で希釈し滴定した。代表的なバッチ(アップステート社より入手)においては、保存酵素を酵素希釈剤で1μm/mLになるように希釈し、希釈酵素の20μLを各分析ウェルに用いる。試験化合物(10mMジメチルスルホキシド(DMSO)溶液)を水で希釈し、希釈化合物の10μLを、アッセイプレートのウェルに移した。「トータル」および「ブランク」コントロールウェルには、化合物の代わりに2.5%DMSOを加えた。20μLの新しく希釈した酵素を、「ブランク」ウェル以外のすべてのウェルに加えた。20μLの酵素希釈剤を、「ブランク」ウェルに加えた。次に、0.2μCi[γ33P]ATP(アマシャム・ファルマシア、比放射能≧2500Ci/mmol)を含む20μLの反応ミックス(25mMのトリス−HCl、78.4mMのKCl、2.5mMのNaF、0.6mMのジチオスレイトール、6.25mMのMnCl、25mMのATP、7.5μMのペプチド基質[ビオチン−LRRWSLGLRRWSLGLRRWSLGLRRWSLG])を、すべての試験ウェルに加え、反応を開始した。プレートを室温で60分間インキュベートした。この反応を停止させるために、100μLの20%(v/v)オルトリン酸を、すべてのウェルに加えた。ペプチド基質を、正電荷を帯びたニトロセルロースP30フィルターマット(ワットマン)上に、96−ウェルプレートハーベスター(TomTek)を用いて捕獲し、次に、ベータプレートカウンターを用いて33Pの取り込みを測定した。「ブランク」(酵素なし)および、「トータル」(化合物なし)のコントロール値を用いて、酵素活性の50%を阻害する試験化合物の希釈範囲(IC50値)を求めた。本発明の化合物は、通常、0.1nMないし5μMのIC50値を有する。
(b)インビトロでのオーロラBキナーゼ阻害試験
このアッセイは、試験化合物のセリン・スレオニンキナーゼ活性を阻害する能力を求める。オーロラBをコードするDNAは、全遺伝子を合成してもよいし、またはクローニングにより得てもよい。このDNAを適切な発現系により発現させて、セリン・スレオニンキナーゼ活性を有するポリペプチドを得る。オーロラBの場合、コード配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりcDNAから単離し、オーロラAに関して上述した方法と類似の方法でpFastBac系にクローニングした(すなわち、6−ヒスチジンタグを付されたオーロラBタンパク質を直接発現させる)。
オーロラBキナーゼ活性の大規模発現のために、28℃で、TC100培地(10%ウシ胎児血清(Viralex)、および、0.2%F68プルロニック(シグマ)添加)中で、3rpmのウィートン・ローラー・リグで、Sf21昆虫細胞を成長させた。細胞密度が1mL当たり1.2×10細胞に達したら、プラーク(純粋なオーロラB組換えウイルス)を重複感染度1で該細胞に感染させ、48時間後に回収した。それに続くすべての精製工程は、4℃で行った。凍結させた昆虫細胞ペレット(合計2.0×10細胞を含む)を融解させ、溶解緩衝液(50mMのHEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸])pH7.5、4℃、1mMのNaVO、1mMのPMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)、1mMのジチオスレイトール、1μg/mLのアプロチニン、1μg/mLのペプスタチン、1μg/mLのロイペプチン)を、2×10細胞あたり1.0mL用いて希釈した。超音波ホモジナイザーを用いて溶解し、続いて、溶解産物を41000gで35分間遠心分離した。吸引した上清を、溶解緩衝液中で平衡化させた1.0mLのCMセファロース・ファスト・フロー(アマシャム・ファルマシア・バイオテク)を充填した直径5mmのクロマトグラフィーカラムにポンプで送り出した。溶離液のUV吸光度が基準レベルに達するように、12mLの溶解緩衝液、続いて、7mLの洗浄緩衝液(50mMのHEPES、pH7.4、4℃、1mMのジチオスレイトール)でカラムを洗浄した。結合したオーロラBタンパク質を、溶出緩衝液(50mMのHEPES、pH7.4、4℃、0.6MのNaCl、1mMのジチオスレイトール)の濃度勾配(流速0.5mL/分で、15分間かけて、0%溶出緩衝液から100%溶出緩衝液へ変化させた)を用いてカラムから溶出させた。UV吸光度のピークに対応する溶出フラクション(1.0mL)を回収した。溶出フラクションを、透析緩衝液(25mMのHEPES、pH7.4、4℃、45%グリセロール(v/v)、100mMのKCl、0.05%(v/v)IGEPAL−CA630(シグマ・アルドリッチ)、1mMのジチオスレイトール)に対して十分に透析した。透析されたフラクションのオーロラBキナーゼ活性を測定した。
オーロラB−INCENP酵素(アップステート社より入手)は、オーロラB(5μM)を50mMのトリス−HCl(pH7.5)、0.1mMのEGTA、0.1%の2−メルカプトエタノール、0.1mMのバナジン酸ナトリウム、10mMの酢酸マグネシウム、0.1mMのATP中で0.1mg/mLのGST−INCEPT[826−919]を用いて30℃で30分間活性化することにより調製した。
このアッセイでは、それぞれの新しいオーロラB−INCENP酵素のバッチを、酵素希釈剤(25mMのトリス−HCl、pH7.5、12.5mMのKCl、0.6mMのDTT)で希釈することによって滴定した。代表的なバッチにおいては、保存酵素1に対して酵素希釈剤40を用いて希釈し、希釈酵素の20μLを各分析ウェルに用いる。試験化合物(10mMジメチルスルホキシド(DMSO)溶液)を水で希釈し、希釈化合物の10μLを、分析プレートのウェルに移した。「トータル」および「ブランク」コントロールウェルには、化合物の代わりに2.5%DMSOを加えた。20μLの新しく希釈した酵素を、「ブランク」ウェル以外のすべてのウェルに加えた。20μLの酵素希釈剤を、「ブランク」ウェルに加えた。次に、0.2μCi[γ33P]ATP(アマシャム・ファルマシア、比放射能≧2500Ci/mmol)を含む20μLの反応ミックス(25mMのトリス−HCl、12.7mMのKCl、2.5mMのNaF、0.6mMのジチオスレイトール、6.25mMのMnCl、15mMのATP、6.25μMのペプチド基質[ビオチン−LRRWSLGLRRWSLGLRRWSLGLRRWSLG])を、すべての試験ウェルに加え、反応を開始した。プレートを室温で60分間インキュベートした。この反応を停止させるために、100μLの20%(v/v)オルトリン酸を、すべてのウェルに加えた。ペプチド基質を、正電荷を帯びたニトロセルロースP30フィルターマット(ワットマン)上に、96−ウェルプレートハーベスター(TomTek)を用いて捕獲し、次に、ベータプレートカウンターを用いて33Pの取り込みを測定した。「ブランク」(酵素なし)および「トータル」(化合物なし)のコントロール値を用いて、酵素活性の50%を阻害する試験化合物の希釈範囲(IC50値)を求めた。本発明の化合物は、通常、0.05nMないし0.5μM、特に0.05nMないし2nMの範囲のIC50値を有する。特に、化合物1は1.4nMのIC50値を有し、化合物2は1.4nMのIC50値を有する。
(c)インビトロでの細胞表現型と基質リン酸化アッセイ
このアッセイでは、インビトロでのヒト大腸腫瘍細胞SW620に対する化合物の細胞効果を測定する。化合物は通常、リン酸化ヒストンH3量の阻害および細胞の核領域の増加をもたらす。
10個のSW620細胞を10%のFCSおよび1%のグルタミンを含有する100μLのDMEM培地(DMEMはダルベッコ改変イーグル培地(シグマD6546)を意味する)を含むコスター(costar)96ウェルプレートの各ウェルに入れ、37℃で5%CO中に一晩放置して、接着させた。該細胞に培地で希釈した化合物(化合物の濃度が0.00015ないし1μMとなるように各ウェルに培地50μLを加えた)を添加し、化合物での処理の24時間後に細胞を固定した。
細胞をまず光学顕微鏡で観察し、細胞に形態的変化があるかを記録した。次いで、100μLの3.7%ホルムアルデヒドを各ウェルに加え、プレートを室温で少なくとも30分間放置した。プレートをペーパータオル上に傾け、軽くたたいて固定剤を除去した。自動プレート洗浄器を用いてプレートをPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(シグマD8537))中で1回洗浄した。100μLのPBSと0.5%トライトンX−100を加え、プレートを5分間シェーカー上で振盪した。プレートを100μLのPBS中で洗浄し、溶液を傾けて除去した。50μLの一次抗体(抗−リン酸化ヒストンH3ウサギ抗体のPBS(1%のBSA(ウシ血清アルブミン)および0.5%のツイーン含有)液、1:500)を加えた。抗−リン酸化ヒストンH3ウサギポリクローナル抗体06−750はアップステート・バイオテクノロジー社から購入した。プレートを室温で1時間シェーカー上で振盪した。
翌日、抗体を傾けて除去し、プレートをPBSで2回洗浄した。照明のない場所で、50μLの二次抗体(1%のBSAおよび0.5%のツイーンを含有するPBS中の1:10000Hoechst及び1:200Alexa Fluor 488抗−ウサギIgGヤギ抗体(カタログ番号:11008分子プローブ))を加えた。プレートをスズ箔で包み、そして1時間室温で振盪した。抗体を傾けて除去し、プレートをPBSで2回洗浄した。200μLのPBSをそれぞれのウェルに加え、そしてプレートを10分間振盪し、PBSを除去した。100μLのPBSをそれぞれのウェルに加え、プレートを分析の準備のために密封した。分析は、リン酸化ヒストンH3の細胞レベルおよび核領域の変化をArrayscan Target Activationアルゴリズムにより測定して行った。結果は、リン酸化ヒストンH3量の50%阻害、および同様に細胞の核領域の50%の増加を与えるために必要な有効濃度(EC50値)として示した。本発明の化合物は、一般的に0.5nMないし1μMのリン酸化ヒストンH3量の阻害に対するEC50値を有する。
(d)インビトロでの薬剤耐性細胞の表現型及び基質のリン酸化アッセイ
このアッセイは、インビトロでの薬剤耐性MCF7−ADRヒト乳房腫瘍細胞に対する化合物の影響を決定するために使用される。
MCF7細胞を、アドリアマイシン(Dr. Hickinson, Molecular Oncology lab, ICRF, University of Oxford Institute of Molecular Medicine, Headington, Oxford)の多数回投与で前処理し、細胞による薬剤耐性タンパク質の過剰発現を誘導した。化合物は、一般的には、処理された細胞のリン酸化ヒストンH3量の阻害及び核領域の増加を起こすが、化合物が過剰発現した排出タンパク質の基質である場合には、このアッセイではこれらの活性は、先のSW620アッセイより低くなる。
ウェル当り0.8×10個のMCF7−ADR細胞を、100μLのDMEM培地(10%のFCS(ウシ胎児血清)及び1%のグルタミンを含有)を含むコスター96ウェルプレートの中に入れ、そして一晩37℃で、5%CO中に放置して、付着させた。
その他はすべて、SW620細胞を使用する上記のアッセイと同一に行った。
本発明の化合物は、一般的に、0.05nMないし0.1μM、特に0.5nMないし1μM、さらには0.5nMないし0.5μMのリン酸化ヒストンH3量の阻害に対するEC50値を有する。特に、化合物1は1nMより小さいEC50値を有し、化合物2は20nMのEC50値を有している。従来技術の化合物(I)は、120nMのEC50値を有することが知られている。
本発明を以下の実施例により説明するが、当業者に周知の標準的技術および該実施例中に記載されるものと類似の技術を適宜使用してよく、実施例は他に記載しない限り以下のように行われた。
(i)蒸発は、回転蒸発器によって真空中で行われ、後処理は、乾燥剤のような残留固体を濾過により除去した後に行った;
(ii)操作は、周囲温度で、典型的には18〜25℃の範囲で、特に明記しない限り、または当業者が他の方法としてアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で操作するものである場合を除き、空気中で行った;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ法による)および中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)は、メルク社製キーゼルゲル(Kieselgel)シリカ(Art.9385)で行った;
(iv)収率は、例示のためにのみ与えられ、必ずしも達成された最大値ではない;
(v)式(I)の最終生成物の構造は、通常、核(一般的にプロトン)磁気共鳴(NMR)および質量スペクトル法によって確認された;プロトン磁気共鳴の化学シフト値は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSOd)中で、(他に明記しない限り)デルタ値(ppm、内部標準:テトラメチルシラン)として、以下の4つの装置の一つを使用して測定した:
−300MHzの磁場強度で操作されるVarian Gemini 2000分光計
−300MHzの磁場強度で操作されるBruker DPX300分光計
−400MHzの磁場強度で操作されるJEOL EX400分光計
−500MHzの磁場強度で操作されるBruker Avance 500分光計
ピークの多重度は、次のように示す:s、一重線;d、二重線;dd、二重の二重線;t、三重線;q、四重線;qu、五重線;m、多重線;brs、幅広な一重線;
(vi)ロボット合成は、Zymate XPロボットを用いて、ザイメイト・マスター・ラボラトリー・ステーション(Zymate Master Laboratory Station)による溶液添加、Stem RS5000 Reacto−Stationによる25℃での撹拌により行われた;
(vii)ロボット合成からの反応混合物の後処理及び精製は、次のように行った:蒸発は、真空中でGenevac HT4を使用して行った;カラムクロマトグラフィーは、メルクシリカ(60μm、25g)が充填された27mm直径のカラムを使用してAnachem Sympur MPLC装置を使用して行った;最終生成物の構造は、ウォーターズ2890/ZMD micromass systemのLCMS(液体クロマトグラフィー質量分光法)によって、以下を使用して確認し、分での保持時間(RT)として示される:
カラム:ウォーターズ・シンメトリーC18、3.5μm、4.6×50mm
溶媒A:H
溶媒B:CHCN
溶媒C:MeOH+5%HCOOH
流量:2.5mL/分
操作時間:Cの0〜100%の勾配の4.5分を含む5分
波長:254nm、10nmのバンド幅
質量検出器:ZMD micromass
注入体積:0.005mL
(viii)ロボット合成によらずに調製された化合物のLCMS分析は、ウォーターズ・アライアンスHT装置によって、以下を使用して確認し、分での保持時間(RT)として示される:
カラム:2.0mm×5cm、フェノメネック・マックス−RP 80A
溶媒A:水
溶媒B:アセトニトリル
溶媒C:メタノール/1%ギ酸または水/1%ギ酸
流量:1.1mL/分
操作時間:Bの0〜95%の勾配の4.5分+5%の溶媒Cの一定を含む5分
波長:254nm、10nmのバンド幅
注入体積:0.005mL
質量検出器:Micromass ZMD
(ix)分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、
ウォーターズ分取用LCMS装置により、分で測定される保持時間(RT)で:
カラム:β−塩基性ハイパーシル(Hypercil)(21×100mm)5μm
溶媒A:水/0.1%炭酸アンモニウム
溶媒B:アセトニトリル
流量:25mL/分
操作時間:Bの0〜100%の勾配の7.5分を含む10分
波長:254nm、10nmのバンド幅
注入体積:1〜1.5mL
質量検出器:Micromass ZMD
または、ギルソン分取用HPLC装置により、分で測定される保持時間(RT)で:
カラム:21mm×15cm、フェノメネックス・ルナ2 C18
溶媒A:水+0.1%トリフルオロ酢酸
溶媒B:アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸
流量:21mL/分
操作時間:変化するBの5〜100%の勾配の10分を含む20分
波長:254nm、10nmのバンド幅
注入体積:0.1〜4.0mL
により行われた。
(x)中間体は、通常、完全には分析せず、純度は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、HPLC、赤外(IR)、MSまたはNMR分析によって評価した。
Figure 2009523776
実施例1
表1の化合物1:N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドの調製
トリフルオロ酢酸(2.5mL)を、(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−エトキシキナゾリン−5−イル}オキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの塩酸塩(400mg、0.59mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に加え、反応混合物を室温で30分間攪拌した。得られた溶液を濃縮し、残留物を5%炭酸ナトリウム水溶液(40mL)と混合した後、10%メタノール含有ジクロロメタン(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残留物を、0〜2%の7Nメタノール性アンモニアを含有する5%メタノール含有ジクロロメタンを溶出液とするシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル}アセトアミド(288mg、収率:91%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 10.2 (br s, 1H), 9.85 (br s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.71 - 7.66 (m, 1H), 7.19 - 7.11 (m, 2H), 6.74 (d, 1H), 6.64 (d, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.29 - 4.11 (m, 4H), 3.15 - 3.09 (m, 1H), 3.08 - 3.02 (m, 1H), 2.72 - 2.66 (m, 1H), 1.86 - 1.80 (m, 1H), 1.71 - 1.65 (m, 1H), 1.60 - 1.54 (m, 1H), 1.52 - 1.29 (m, 6H).
MS (+ve ESI): 538 (M+H)+
出発物質として使用された、(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−エトキシキナゾリン−5−イル}オキシ}メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルは以下のように調製した。
a)硫酸ジエチル(13.1mL、0.10mol)を、氷水浴中で冷やした3,5−ジフルオロフェノール(13.0g、0.10mol)および炭酸カリウム(20.9g、0.15mol)のジメチルホルムアミド(200mL)溶液に加え、得られた混合物を80℃に1.5時間加熱した。さらに、硫酸ジエチル(3.3mL、25mmol)および炭酸カリウム(5.2g、37.5mmol)を加え、混合物をさらに2時間加熱した。得られた溶液を室温にまで冷却した後、水に注ぎ、ジエチルエーテルで2回抽出した。ジエチルエーテルの抽出液を併せ、水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、1−エトキシ−3,5−ジフルオロベンゼンを黄色油(13.59g、収率:86%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 6.77-6.65 (m, 3H), 4.06 (q, 2H), 1.32 (t, 3H).
MS (+ve EI) : 158 (M+)
b)n−ブチルリチウム(1.6Mのヘキサン溶液として13.5mL、21.6mmol)を1−エトキシ−3,5−ジフルオロベンゼン(3.42g、21.6mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に攪拌しながら窒素雰囲気下−78℃で滴下した。混合物を−78℃で2時間攪拌した後、過剰の固体二酸化炭素ペレットを加えた。反応混合物を室温に戻し、得られた溶液を水に注いだ。混合物に水酸化ナトリウムの水溶液を添加して塩基性にした後、混合物をジエチルエーテルで抽出した。混合物を分離し、水相に希塩酸を添加して酸性にした。混合物をジエチルエーテルで2回抽出した。ジエチルエーテル抽出液を併せ、水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、4−エトキシ−2,6−ジフルオロ安息香酸を無色固体(3.87g、収率:89%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 13.36 (br. s, 1H), 6.82-6.76 (m, 2H), 4.11 (q, 2H), 1.33 (t, 3H).
MS (+ve CI) : 203 (M+H)+
c)塩化オキサリル(3.17mL、36.4mmol)を4−エトキシ−2,6−ジフルオロ安息香酸(3.5g、17.3mmol)およびジメチルホルムアミド(5滴)のジクロロメタン(50mL)懸濁液に攪拌しながら滴下した。得られた溶液を室温で4時間攪拌した後、濃縮した。残留物をテトラヒドロフランに溶解した後、35%アンモニア水(60mL)に激しく攪拌しながら滴下した。混合物をろ過し、残留物を氷冷した水で洗浄した後、減圧乾燥して4−エトキシ−2,6−ジフルオロベンズアミドを無色固体(3.23g、収率:93%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 7.91 (br. s, 1H), 7.65 (br. s, 1H), 6.78-6.71 (m, 2H), 4.08 (q, 2H), 1.32 (t, 3H).
MS (+ve EI) : 201 (M+)
d)塩化トリクロロアセチル(1.94mL、17.4mmol)を、4−エトキシ−2,6−ジフルオロベンズアミド(3.18g、15.8mmol)およびトリエチルアミン(4.44mL、31.6mmol)のジクロロメタン(25mL)懸濁液に攪拌しながら0〜5℃で添加した。混合物を0〜5℃で5分間攪拌した。得られた溶液を続けて水、希塩酸、希水酸化ナトリウム溶液、希塩酸、そして最後に水で洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し4−エトキシ−2,6−ジフルオロベンゾニトリルを淡黄色固体(2.56g、収率:89%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 7.06-7.03 (m, 2H), 4.17 (q, 2H), 1.34 (t, 3H).
MS (+ve CI) : 184 (M+H)+
e)4−エトキシ−2,6−ジフルオロベンゾニトリル(8.0g、44mmol)とアンモニアの飽和エタノール(270mL)溶液の混合物をオートクレーブ中で16時間、150℃に加熱した。得られた溶液を濃縮して、残留物をジクロロメタンに溶解した後、水で洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した後、ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、2−アミノ−4−エトキシ−6−フルオロベンゾニトリルを無色固体(6.07g、収率:77%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 6.32 (s, 2H), 6.14-6.10 (m, 2H), 3.99 (q, 2H), 1.30 (t, 3H).
MS (+ve EI) : 180 (M+)
f)2−アミノ−4−エトキシ−6−フルオロベンゾニトリル(2.5g、13.9mmol)を、100℃に加熱されたギ酸(20mL)と濃硫酸(5滴)の混合液に、20分かけて少量ずつ添加した。得られた混合液を100℃で5時間加熱した後、室温に冷却した。混合液を氷水(80mL)に注ぎ、得られた沈殿物をろ過により回収し、水、次いででジエチルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥し、7−エトキシ−5−フルオロキナゾリン−4(3H)−オンを無色固体(2.02g、収率:70%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 12.06 (br s. 1H), 8.01 (s, 1H), 6.91-6.85 (m, 2H), 4.17 (q, 2H), 1.36 (t, 3H).
MS (+ve ESI) : 209 (M+H)+
g)水素化ナトリウム(264mg、6.60mmol、60重量%鉱油分散物)のジメチルホルムアミド(5mL)懸濁液に、[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メタノール(678mg、3.30mmol)含有ジメチルホルムアミド(5mL)を滴下し、得られた反応混合物を室温で30分攪拌した。7−エトキシ−5−フルオロキナゾリン−4(3H)−オン(600mg、2.9mmol)を加え、反応混合物を60℃に加熱した。1時間後に、さらに水素化ナトリウム(264mg、6.60mmol)を添加し、さらに2.5時間加熱した。得られた溶液を20%塩化アンモニウム水溶液(40mL)に注ぎ、得られた沈殿物をろ過により回収し、水で洗浄した後、減圧乾燥し、5−{[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メトキシ}−7−エトキシキナゾリン−4(3H)−オン(1.05g、収率:97%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 7.83 (s, 1H), 7.34 - 7.16 (m, 5H), 6.63 (d, 1H), 6.50 (d, 1H), 4.32 - 4.29 (m, 1H), 4.17 - 4.02 (m, 4H), 3.55 (d, 1H), 2.81 - 2.75 (m, 1H), 2.27 - 2.21 (m, 1H), 1.95 - 1.89 (m, 1H), 1.72 - 1.59 (m, 2H), 1.56 - 1.34 (m, 7H).
MS (+ve ESI): 394 (M+H)+
出発物質として使用された、[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メタノールは以下のように調製した。
ボラン−メチルスルフィド錯体(7.31mL、76.0mmol)を(2R)−1−[(ベンジルオキシ)カルボニル]ピペリジン−2−カルボン酸(10.0g、38.0mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に室温でゆっくりと添加した。得られた溶液を加熱して4時間還流した後、室温に冷却し、メタノール(8mL)でクエンチした。2Nの水性HCl(80mL)を添加し、得られた混合液を酢酸エチルで抽出した。有機抽出液を併せ、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、濃縮して無色の油を得た。この粗生成物を5%メタノール含有ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。生成物を含有するフラクションを濃縮し、残留物を50℃で減圧乾燥し、(2R)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(8.87g、収率:94%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 7.40 - 7.29 (m, 5H), 5.08 (s, 2H), 4.72 - 4.67 (m, 1H), 4.18 - 4.11 (m, 1H), 3.93 - 3.87 (m, 1H), 3.56 - 3.43 (m, 2H), 2.87 - 2.81 (m, 1H), 1.79 - 1.76 (m, 1H), 1.61 - 1.24 (m, 5H).
MS (+ve ESI): 250 (M+H)+
パラジウム炭素(500mg、10%含有)を(2R)−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−カルボン酸ベンジル(5.00g、20.06mmol)の酢酸エチル(70mL)溶液に添加し、得られた反応混合物を室温で水素雰囲気下に4時間攪拌した。混合物をろ過し、ろ液に新たに触媒(300mg)を加えた後、得られた混合物を水素雰囲気下にさらに3時間攪拌した。混合物をろ過し、ろ液を濃縮して茶色の油を得た。この粗生成物をクーゲルロール蒸留により精製し、(2R)−ピペリジン−2−イルメタノール(1.51g、収率:65%)を得た。
1H NMR (CDCl3): 3.53 - 3.48 (m, 1H), 3.36 - 3.31 (m, 1H), 3.02 (d, 1H), 2.61 - 2.53 (m, 2H), 2.35 (s, 2H), 1.75 - 1.73 (m, 1H), 1.56 - 1.47 (m, 2H), 1.40 - 1.25 (m, 2H), 1.14 - 1.03 (m, 1H).
臭化ベンジル(2.34mL、19.53mmol)および炭酸カリウム(8.1g、58.6mmol)を(2R)−ピペリジン−2−イルメタノール(2.25g、19.53mmol)を含むエタノール(40mL)および水(6mL)の溶液に添加した。得られた溶液を攪拌しながら80℃で6.5時間加熱した後、室温に冷却した。反応混合物を濃縮し、残留物を水(50mL)に懸濁した後、ジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を併せ、硫酸マグネシウムで乾燥した後濃縮した。残留物を0〜2%のメタノール性アンモニアを含有する5%メタノール含有ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メタノール(2.86g、収率:71%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 7.32 - 7.27 (m, 4H), 7.24 - 7.18 (m, 1H), 4.41 (t, 1H), 4.08 (d, 1H), 3.67 - 3.62 (m, 1H), 3.47 - 3.42 (m, 1H), 3.24 (d, 1H), 2.66 - 2.62 (m, 1H), 2.32 - 2.26 (m, 1H), 2.01 - 1.95 (m, 1H), 1.71 - 1.60 (m, 2H), 1.48 - 1.41 (m, 1H), 1.39 - 1.21 (m, 3H).
MS (+ve ESI): 207 (M+H)+
h)Pd/C(100mg)を5−{[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メトキシ}−7−エトキシキナゾリン−4(3H)−オン(1.00g、2.54mmol)および二炭酸ジ−tert−ブチル(610mg、2.80mmol)を含有するジメチルホルムアミド(15mL)溶液に添加し、得られた反応混合物を室温で水素雰囲気下に4時間攪拌した。二炭酸ジ−tert−ブチル(305mg、1.40mmol)をさらに加え、さらに1時間攪拌を続けた。混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮した。残留物を0〜5%のメタノールを含有するジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製した。目的とするフラクションを併せ、濃縮して(2R)−2−{[(7−エトキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(515mg、収率:50%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 7.83 (s, 1H), 6.65 (d, 1H), 6.59 (d, 1H), 4.46 - 4.41 (m, 1H), 4.24 - 4.06 (m, 4H), 3.90 - 3.84 (m, 1H), 3.07 - 2.99 (m, 1H), 2.08 - 2.02 (m, 1H), 1.73 - 1.49 (m, 5H), 1.40 - 1.35 (m, 12H).
MS (+ve ESI): 404 (M+H)+
i)オキシ塩化リン(0.37mL、3.97mmol)を(2R)−2−{[(7−エトキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(500mg、1.24mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.73mL、4.21mmol)を含有する1,2−ジクロロエタン(15mL)溶液に添加した。反応混合物を85℃に1.5時間加熱した後、室温に冷却した。得られた溶液を濃縮し、残留物をジクロロメタン(50mL)に溶解した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後濃縮した。残留物を酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、(2R)−2−{[(4−クロロ−7−エトキシキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(375mg、収率:72%)を得た。
MS (+ve ESI): 422 (M+H)+
j)2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミド(222mg、0.88mmol)を(2R)−2−{[(4−クロロ−7−エトキシキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(370mg、0.88mmol)のプロパン−2−オール溶液に添加し、混合物を70℃で15分間加熱した後、室温に冷却し、高粘度の沈殿物を得た。混合物をジエチルエーテルで希釈し、沈殿物をろ過により回収し、ジエチルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−エトキシキナゾリン−5−イル}オキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの塩酸塩(423mg、収率:71%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 8.67 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.69 - 7.64 (m, 1H), 7.15 - 7.05 (m, 2H), 7.01 (d, 1H), 6.85 (d, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.81 - 4.79 (m, 2H), 4.35 (q, 1H), 4.25 (q, 2H), 3.92 - 3.86 (m, 1H), 3.10 - 3.02 (m, 1H), 1.82 - 1.75 (m, 1H), 1.72 - 1.57 (m, 4H), 1.42 - 1.36 (m, 4H), 1.21 (s, 9H).
MS (+ve ESI): 638
出発物質として使用された2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドは以下のように調製した。
a)2,3−ジフルオロアニリン(12.9g、100mmol)を含有するジエチルエーテル(100mL)溶液を1Mの水性水酸化ナトリウム(98mL、98mmol)で処理し、塩化クロロアセチル(13.3g、117mmol)のジエチルエーテル(100mL)溶液を5℃で20分かけて滴下する間、激しく攪拌した。混合物を1時間かけて20℃に温めた後、酢酸エチル(100mL)を加えた。有機相を分離し、20%水性炭酸水素カリウムで洗浄し、乾燥した後、濃縮して白い固体を得た。該固体を沸騰テトラヒドロフラン(20mL)に溶解した後、シクロヘキサン(300mL)およびイソヘキサン(100mL)で希釈した。混合液を濃縮しておよそ250mLとし、冷却後ろ過し、2−クロロ−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドを白い結晶(18.48g、収率:90%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 10.26 (br s, 1H), 7.67 (m, 1H), 7.19 (m, 2H), 4.36 (s, 2H).
MS (+ve ESI): 206, 204 (M+H)+
b)2−クロロ−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミド(10.28g、50mmol)および4−ブロモピラゾール(7.35g、50mmol)のジメチルアセタミド(20mL)溶液を炭酸カリウム(8.29g、60mmol)で処理し、窒素下20℃で18時間攪拌した。混合物を水(300mL)に注ぎ、ろ過し、固体を水(500mL)で洗浄し、風乾した。固体を沸騰テトラヒドロフラン(80mL)に溶解し、ろ過、シクロヘキサン(100mL)で希釈後、約100mLに濃縮した。得られたスラリーをイソヘキサン(100mL)で希釈し、冷却、ろ過して2−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドを白色固体(13.09g、収率:83%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 10.32 (br s, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.70 (m, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.19 (m, 2H), 5.14 (s, 2H).
MS (+ve ESI): 316, 318 (M+H)+
c)2−(4−ブロモ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミド(9.48g、30mmol)および(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス(ジフェニルホスフィン)(1.74g、3mmol)の無水1,4−ジオキサン(50mL)溶液をトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.37g、1.5mmol)で処理し、混合物を窒素下で5分間攪拌した。ベンゾフェノンイミン(5.7g、31.5mmol)を一度に加え、次いで、ナトリウムtert−ブトキシド(8.64g、90mmol)を加えた。混合物を窒素で脱気した後、窒素下で90℃に4時間加熱した。混合物を冷却し、ジエチルエーテル(100mL)で希釈後、飽和水性塩化アンモニウム(100mL)に注いだ。混合物をセライトでろ過し、層分離を行った。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して得た油を沸騰シクロヘキサン(200mL、100mL)で2回抽出した。シクロヘキサン溶液を濃縮して得た粘性物質を、イソヘキサン:ジエチルエーテル(1:1)から結晶化し、N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−{4−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−1H−ピラゾール−1−イル}アセトアミドを淡黄色固体(5.50g、収率:44%)として得た。
1H-NMR (DMSO d6): 10.21 (br s, 1H), 7.66 (m, 3H), 7.56 (m, 3H), 7.44 (m, 3H), 7.35 (s, 1H), 7.24 (m, 2H), 7.18 (m, 2H), 6.48 (s, 1H), 4.98 (s, 2H).
MS (+ve ESI): 417 (M+H)+
d)N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−{4−[(ジフェニルメチレン)アミノ]−1H−ピラゾール−1−イル}アセトアミド(2.08g、5mmol)の酢酸エチル(25mL)溶液を十分に攪拌し、37%塩酸水溶液(0.496mL、6mmol)を室温で1分かけて滴下処理した。混合物を1時間攪拌した後、ろ過した。残留物を酢酸エチルおよびジエチルエーテルで洗浄した後、風乾して2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミド塩酸塩を白色粉体(1.35g、収率:93%)として得た。
1H NMR (DMSO d6): 10.48 (s, 1H); 10.22 (br s, 3H); 8.03 (s, 1H); 7.68 (m, 1H); 7.60 (s, 1H); 7.19 (m, 2H); 5.20 (s, 2H).
MS (+ve ESI): 253 (M+H)+
e)2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミド塩酸塩(1.685g、5.84mmol)を酢酸エチル(70mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(35mL)の混合物に懸濁させた後、1時間攪拌した。透明な層を分離し、水相を酢酸エチル(4×30mL)で洗浄した。有機溶液を併せて、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮して得た固体をジエチルエーテルで洗浄して2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドをピンク色の固体(1.377g、収率:94%)として得た。
1H NMR (DMSO d6): 10.06 (br s, 1H); 7.70 (m, 1H); 7.17 (m, 2H); 7.08 (s, 1H); 6.98 (s, 1H): 4.90 (s, 2H); 3.84 (br s, 2H).
MS (+ve ESI): 253 (M+H)+
実施例2
表1の化合物2:N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−メトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミドの調製
出発物質として、(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−メトキシキナゾリン−5−イル}オキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの塩酸塩(325mg、0.49mmol)を使用して、実施例1に記載の反応と同様の反応により、表1の化合物2(210mg、収率:81%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 10.40 (s, 1H), 10.28 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.72 (m, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.24 - 7.16 (m, 2H), 6.76 (d, 1H), 6.68 (d, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.27 (m, 1H), 4.10 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.13 (m, 1H), 2.99 (m, 1H), 2.67 (t, 1H), 1.86 - 1.77 (m, 1H), 1.68 - 1.52 (m, 2H), 1.51 - 1.24 (m, 3H).
MS (+ve ESI): 524 (M+H)+.
出発物質として使用された、(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−メトキシキナゾリン−5−イル}オキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルは以下のように調製した。
a)2−アミノ−6−フルオロ−4−メトキシベンゾニトリル(1.3g、7.83mmol)を出発物質として使用し、実施例1fと同様の反応により、5−フルオロ−7−メトキシキナゾリン−4(3H)−オン(1.15g、収率:76%)を得た。
1H NMR (DMSO d6): 12.08 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 6.94 (m, 1H), 6.90 (d, 1H), 3.89 (s, 3H).
MS (+ve ESI): 195 (M+H)+.
2−アミノ−6−フルオロ−4−メトキシベンゾニトリルは、WO03/076427に記載されており、その製造方法は参照により本明細書に組み込まれる。
b)5−フルオロ−7−メトキシキナゾリン−4(3H)−オン(500mg、2.58mmol)を出発物質として使用し、実施例1gと同様の反応により、5−{[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メトキシ}−7−メトキシキナゾリン−4(3H)−オン(828mg、収率:85%)を得た。
MS (+ve ESI): 380 (M+H)+.
c)5−{[(2R)−1−ベンジルピペリジン−2−イル]メトキシ}−7−メトキシキナゾリン−4(3H)−オン(828mg、2.18mmol)を出発物質として使用し、実施例1hと同様の反応により、(2R)−2−{[(7−メトキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(606mg、収率:71%)を得た。
MS (+ve ESI): 390 (M+H)+.
d)(2R)−2−{[(7−メトキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(606mg、1.56mmol)を出発物質として使用し、実施例1iと同様の反応により、(2R)−2−{[(4−クロロ−7−メトキシキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(506mg、収率:80%)を得た。
e)(2R)−2−{[(4−クロロ−7−メトキシキナゾリン−5−イル)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(253mg、0.62mmol)を出発物質として使用し、実施例1jと同様の反応により、(2R)−2−[({4−[(1−{2−[(2,3−ジフルオロフェニル)アミノ]−2−オキソエチル}−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ]−7−メトキシキナゾリン−5−イル}オキシ)メチル]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの塩酸塩(325mg、収率:79%)を得た。
MS (+ve ESI): 624 (M+H)+.

Claims (15)

  1. 式(I):
    Figure 2009523776
    [式中、Rは水素またはメチルであり、Rはメチルまたはエチルである]
    の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  2. がメチルである、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  3. がエチルである、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  4. が水素である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  5. がメチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  6. N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−メトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミド、およびN−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−メトキシ−5−[(2R)−1−メチルピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミド、から選択される請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  7. N−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−ピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミド、およびN−(2,3−ジフルオロフェニル)−2−[4−({7−エトキシ−5−[(2R)−1−メチルピペリジン−2−イルメトキシ]キナゾリン−4−イル}アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル]アセトアミド、から選択される請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  8. 請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を医薬的に許容される希釈剤または担体と共に含んでなる医薬組成物。
  9. 薬剤として使用するための、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
  10. 過剰増殖性疾患の治療用薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用。
  11. 過剰増殖性疾患が結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、膵癌などの癌、白血病、またはリンパ腫である、請求項10に記載の使用。
  12. 一種以上のオーロラキナーゼの阻害が有益な疾患を患うヒトを治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要なヒトに投与する工程を含む、該治療方法。
  13. 癌、特に結腸直腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌、腎癌、または膵癌またはそれらが併発している癌、白血病、リンパ腫などの過剰増殖性疾患を患うヒトを治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩を治療が必要なヒトに投与する工程を含む、該治療方法。
  14. がメチルである請求項1に記載の化合物の製造方法であって、Rが水素である式(I)の化合物をギ酸中でホルムアルデヒドと50℃ないし100℃の高温で30分ないし2時間反応させ、その後必要に応じて、
    i)保護基を除去し、および/または
    ii)その医薬的に許容される塩を形成する、
    ことを含む、該方法。
  15. が水素である請求項1に記載の化合物の製造方法であって、式(II):
    Figure 2009523776
    [式中、PGはtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Z)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの適当な保護基であり、Lはクロロなどの適当な脱離基である]の化合物を2−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)−N−(2,3−ジフルオロフェニル)アセトアミドと反応させ、その後必要に応じて、
    i)保護基を除去し、および/または
    ii)その医薬的に許容される塩を形成する、
    ことを含む、該方法。
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