JP2009523419A - 迅速に細胞の生存テストを実行するための方法及び構成物 - Google Patents

迅速に細胞の生存テストを実行するための方法及び構成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、ストレス因子に対する細胞のストレス応答を迅速にモニタし、ストレス応答の大きさを決定する方法に関する。この方法は、細胞の存在或いは不存在を迅速に検知する方法である。この検知では、細胞が存在する場合には、細胞のストレス応答をモニタし、細胞が不存在或いは死滅している場合には、ストレス応答の不存在をモニタする。また、本発明は、選択濃度の生物活性物或いは環境的因子に対する細胞の感受性に対する予測結果並びに生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスの大きさに対する予測結果を判定する方法に関する。更に、本発明の実施形態にしたがう方法を実行するためのキットを開示する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、迅速に細胞の生存テストを実行するための方法及び構成物に関する。
尚、本出願は、2006年1月12日に出願した米国仮特許出願第60/758,362号の優先権の利益を主張するものである。
細菌汚染と細菌感染は、ヒト並びに動物の生存及び健康に対する大きな課題の1つである。そして、今も尚、大きな社会的資源を費やしている。病原体と戦う取り組みの必要不可欠な要素は、原核細胞と真核細胞の存在並びに生存を評価することである。細胞の生存を評価することができる市場にて入手できる手法の多くは、一定程度、この決定をなすために細胞増殖に依拠するものである。しかしながら、これらの従来の手法は、細胞倍加に依存するということ並びに適切な培養条件の実用的な利用可能性に依拠することに限界を有し、この限界は今も尚続いている。特に増殖の遅い細胞の場合には、観察可能な変化を検知するための細胞増殖に基づく方法は、非常に長い時間を要する。したがって、既存の方法は、時間の遅れが経済的なコストにつながり、極端な例では、ヒトの生命に影響を与える用途においてはあまり有効なものではない。既存の検知方法が十分である場合には、より迅速な検知は、一層効率を増大させ、コストの低減に寄与するものとなる。
抗生物質に耐性を有する病原体の増加は、全世界的な公共の健康問題に繋がる。一般的に、ヒト集団及び家畜に対する治療不可能な感染としてこの問題は明らかになる。この問題は複雑であるが、抗生物質の使用の増大が、多くのバクテリア種や感染性原生動物が耐性メカニズムを発達させる選択的進化圧力を生じさせ、病気の治療に最早効果がないにもかかわらずしばしば処方される抗生物質を生み出すこととなり、抗生物質に耐性のあるバクテリア株の蔓延をもたらしていることが知られている。
病原体の抗生物質感受性を決定するための既存の方法の多くは、増殖の検知に依存し、専ら、培養中の病原体の連続的な細胞分裂に起因するバイオマスの増殖に依存するものである。標準的な平板法は、薬剤感受性の結果を得るために、多くの日数或いは増殖の遅い病原体の場合には多くの週数を必要とする。光学的検知方法は、時間の浪費は少ないけれども、細胞が検知可能な水準にいたるまで増殖するのに十分な時間を必要とする。感受性テストの結果を得るときの時間遅延は、生命を脅かす感染の治療のための実験的に定める治療の臨床的な実用に影響を与えることとなる。即時に抗菌耐性細胞を見極めることが不可能ということは、結果として、不適切な治療を指示することになり、結果として、望ましくない患者予後となる。薬剤耐性株の発生は、有効でない薬剤の使用の増加を伴う生命を脅かす感染の治療を行なう可能性の虞がある。
抗生物質の見境のない使用並びに必要不可欠でない使用を低減することは、現在必要とされていることである。この低減により、患者予後の大幅な改善が得られるとともに抗生物質に対して耐性を有するバクテリアの蔓延も低減可能となる。本発明は、迅速に、抗菌物質に対して耐性を有する病原体を見極める手段を提供する。これにより、不必要に処方される抗生物質の数を低減可能となる。
数多くの医学的及び工業的製品を安全に使用するため、安全且つ効率的な医学的手順並びに工業プロセスの実施をするために、有害な細胞の存在を迅速且つ高い信頼性を以って検知する能力は重要である。
洪水及び地震などのような緊急事態の間の水質の迅速な決定、外傷患者の迅速な診断、食品工業における原材料/製造装置のスクリーニング、医薬品製造工程における品質のモニタリング及び生物学的プロセス並びに醗酵プロセスのモニタリングは、開示される発明のほんの数例の用途である。
現在存在している他の問題は、一ユニットの血小板、出血を抑えるために輸血される血液製品の有効な保存期間はたったの5日であるという事実に関連する。これらの血液製品の生理学的機能を保持するために、室温で保管される必要がある。このような条件は、保管されたユニット内で多くの汚染種のバクテリアが増殖するのに好適である。この増殖が検知されない場合、輸血後の感染症や感染反応に帰結することとなる。これら製品の滅菌をなすために現状用いられている方法は、検知可能な水準まで細胞が増殖するのに、増殖速度の速い細胞に対して48時間を必要とし、増殖の遅い細胞に対しては一層長い時間を要する。結果として、一ユニットの血小板の寿命は、たったの3日にまで低減する。血小板中の増殖の早い汚染バクテリア並びに増殖の遅い汚染バクテリアを見極める一層迅速な方法は、血小板の利用可能な寿命を増大させ、既に貴重となった在庫源に対する切迫性を低減させることとなる。
細菌性髄膜炎は、髄膜の炎症を引き起こす感染症である。細菌性の事例における初期治療の遅れは、生命を脅かすものであり、有効且つ迅速な診断は、細菌性の事例であることを認識するのに不可欠である。診断並びに細菌性髄膜炎の早期の治療の失敗は、深刻且つ長期の合併症を伴う病状となる。合併症として、脳の損傷、聴覚損失、学習能力の障害並びに死亡を挙げることができる。患者が感染の症状を現わすと、施術者は、何らかの試験を実行する前に、疑わしい細菌感染に対する抗生物質を処方する。「予め治療された」患者から得られた脳脊髄液中のバクテリアを現状で利用可能な方法では有効に培養できないという事実に、現状の臨床的な問題は関連する。したがって、増殖検知手法を利用して細菌診断を確認することは困難である。したがって、迅速且つ高い信頼性を以って病原体を検知すること及び特定の医薬剤に対して病原体の感受性を判定することは、最も重要なことである。
生物細胞の存在を迅速に検知するために開発されるとともに使用される一の方法は、生物学的サンプルのインピーダンス検知である。これにより、細胞の増殖並びにその後の集団増殖をモニタ可能である。歴史的に、インピーダンス検知は、細胞の増殖及びその後の集団増殖をモニタするためのペトリ皿の電子的アナログとして用いられてきた。この手法を利用する市販のシステムは、一般的に、導電率、キャパシタンス、或いは全インピーダンスベクトル(即ち、抵抗成分及び反応成分の両方)のいずれかを測定し、検知閾値を伴う形状を利用する。検知閾値は、バクテリアの場合、1ミリリットル当たり100億のコロニ形成ユニット(106CFU/ml)或いはそれ以上の増殖を必要とする。しかしながら、特に、バクテリアが遅い増殖をする種に属する場合には、このような高い滴定量を得ることは、十分な時間が必要となる。
したがって、生細胞を検知する新規で迅速且つ改善された方法並びに外部物質或いは環境的因子に対する生細胞の感受性を判断する新規で迅速且つ改善された方法に対する必要性が存在する。本発明は、このような要求を満たすものである。開示される発明の様々な実施形態が、従来の増殖或いはバイオマスの増加に依拠する従来の方法より有意に速くテスト結果を作り出すような方法及び診断ツールを提供するものである。
開示される事項に係る発明者は、細胞からのストレス応答をモニタする方法を発明した。この方法は、インピーダンス検知を用い、ストレス応答の情報を得る。ストレス因子に対する生物組織のストレス応答により引き起こされる細胞懸濁液からのインピーダンスの変化は、迅速であり、増殖に起因する細胞懸濁液のインピーダンスの変化よりも大きい。本明細書にて説明される方法は、異なるストレス因子によって生じたストレス応答の大きさの変化を直接的にモニタする。このモニタは、細胞懸濁液のインピーダンスの変化を検知することにより行なわれる。これらの変化から、生存細胞の存在或いは不存在を推測可能となる。また、異なるストレス因子に対する細胞の感受性を推測可能となる。とりわけ、本発明は、以下の事項を含むが、これらが単独で含まれても、組み合わされて含まれてもよい。
一の実施形態において、本発明は、ストレス因子に対する細胞のストレス応答を迅速に検知する方法に関する。この方法は、加えて、ストレス応答の大きさを決定する。この方法は、(a)電圧及び/又は電流をモニタするのに好適な条件下で、テストサンプルに電場を印加する段階を備える。テストサンプルは、細胞と培地からなる。この方法は、電圧及び/又は電流をモニタする段階を備える。この方法は更に、テストサンプルに対してストレス因子が影響を与えることを可能とする段階を備える。ストレス因子は、電場印加の前、電場印加と略同時、電場印加の後に与えられるストレス因子から選択される。この方法は、(d)テストサンプルの初期インピーダンス応答をモニタする段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンス応答は、遷移期間におけるテストサンプルのインピーダンス応答である。遷移期間は、電場印加と略同時に行なわれるテストサンプルの最初のインピーダンス測定からストレス応答或いは非増殖を指し示すテストサンプルの後に測定されたインピーダンスが得られるまでの期間である。この方法は、テストサンプルの初期インピーダンス応答の大きさを決定する段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンス応答の大きさは、細胞のストレス応答の大きさを指し示す。これにより、ストレス因子に対する細胞のストレス応答の大きさを決定できる。
本発明は、他の実施形態において、テストサンプル中の細胞の存在を迅速に検知する方法に関する。例えば、組織流体サンプル中の病原性微生物を検知する方法である。例えば、本明細書に開示される方法は、細胞が存在するならば、細胞のストレス応答をモニタし、細胞が存在しない或いは死滅しているならば、ストレス応答の不存在をモニタすることにより、細胞の存在或いは不存在を迅速に検知する。この方法は、(a)電圧及び/又は電流をモニタするのに好適な条件下でテストサンプルに電圧を印加する段階と、(b)電圧及び/又は電流をモニタする段階と、(c)ストレス因子がテストサンプルに影響を与えることを可能とする段階を備える。ストレス因子は、電場印加の前、電場印加と略同時、電場印加の後に与えられるストレス因子から選択される。この方法は更に、特定の時間点或いは連続する時間点にわたって、テストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンス応答は、遷移期間におけるテストサンプルのインピーダンス変化を意味する。遷移期間は、電場印加と略同時におけるテストサンプルの最初のインピーダンス測定から、ストレス応答或いは非増殖を示すテストサンプルのその後の測定されたインピーダンスを含むまでの期間である。この方法は、各時間点におけるテストサンプルの初期インピーダンス応答の大きさを評価する段階を備える。各時間点における初期インピーダンス応答の大きさは、細胞のストレス応答の大きさを指し示すものであり、これにより、細胞がテストサンプル中に存在している場合には、テストサンプル中のストレス因子に対する細胞のストレス応答をモニタし、細胞がテストサンプル中に存在していない或いは死滅している場合にはストレス応答の不存在をモニタすることが可能となる。これによって、テストサンプル中の細胞の存在或いは不存在を迅速に検知可能となる。
本発明の他の実施形態は、選択された濃度の生物活性物に対する細胞の感受性並びに生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスの大きさに対する予測結果を判定する方法に関する。細胞の感受性の大きさは、予め知られたものであってもよく、未知のものであってもよい。この方法は、(a)(i)特定の時間点或いは連続する時間点にわたって、テストサンプルの初期インピーダンスを測定する段階を備える。テストサンプルは、細胞、培地並びに選択された濃度の生物活性物を備える。この方法は、参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備える。参照サンプルは、培地と選択された濃度の生物活性物からなる。尚、参照サンプルは、細胞を含まない。(ii)この方法は、各時間点における第1のインピーダンス応答処理分布を決定する段階を備える。第1のインピーダンス応答処理分布は、各時間点における段階(a)(i)にて決定されたテストサンプルの初期のインピーダンス応答と段階(a)(i)において決定された参照サンプルのインピーダンス応答との数学的比較である。この方法は、(iii)必要に応じて、生物活性物の複数の選択濃度について、段階(a)(i)及び段階(a)(ii)を繰り返して、既知の生物活性物の各異なる選択濃度について対応する第1のインピーダンス応答処理分布を得る段階を備える。この方法は、(b)(i)特定の時間点又は連続する時間点にわたって、第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備える。尚、第2のテストサンプルは、細胞と培地からなり、生物活性物を含むものではない。更に、この方法は、参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備える。参照サンプルは、培地からなり、参照サンプルは、細胞を含まない。この方法は、第1のインピーダンス応答未処理分布を算出する段階を備える。第1のインピーダンス応答未処理分布は、各時間点における段階(b)(i)で決定された第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答と段階(b)(i)で決定される参照サンプルのインピーダンス応答の数学的比較である。この方法は、生物活性物の各選択濃度について、正規化インピーダンス応答値NIRを決定する段階を備える。NIRは、段階(a)(ii)及び/又は段階(a)(iii)で得られた第1のインピーダンス応答処理分布値を段階(b)(ii)で得られた第1のインピーダンス応答未処理分布値に関連付けるアルゴリズムによって決定される数値である。これにより、第1のインピーダンス応答未処理分布値はNIRに組み込まれる。決定されたNIR値は、生物活性物の選択された濃度における細胞のストレス応答の大きさの量的な測定値である。
本明細書には、本発明の方法の実施に役立つ或いは必要とされる材料と、一式の使用説明書を備えるキットが開示される。
本発明の様々な実施形態にしたがう方法及びキットは、生存細胞の迅速且つ信頼性のある検知、病原体の見極め並びに特定の薬剤に対する病原体の感受性の決定を容易にする。
本発明の前述の目的並びに他の目的、特徴及び利点は、下記において添付の図面とともに示される本発明の説明に用いられる実施形態に係るより特定的な説明から明らかになる。添付の図中において、同様の参照符号は、異なる図中においても同一の部分を意味するものである。尚、図は、必然的に等倍に記載されておらず、本発明の原理を説明するために強調されている。
本発明の好適な実施形態の説明が以下になされる。本発明の特定の実施形態は、単に説明を目的に挙げられるものであり、何ら本発明を限定するものではない。最初に本発明は広く説明され、全体的な説明がなされる。その後、いくつかの特徴について、より詳細な説明がなされる。本発明の構成及び方法の特徴並びに他の詳細は、請求の範囲にて更に記載されている。
本発明は、生存細胞の存在を迅速に検知し、細胞種を見極め、外部からの物に対する細胞の感受性を迅速に判定する方法及び診断キットに関する。本発明は、生存細胞及びこれら細胞の感受性を、現在用いられている方法(培養細胞の成長或いは培養細胞の欠乏に起因するバイオマスの検知に依存する方法)と比較して、有意に速い検知を可能とする。
広い意味で、本発明の一の特徴は、細胞からのストレス因子に対するストレス応答をモニタする方法である。この方法は、インピーダンス検知を用い、当該情報を得る。
他の特徴として、本発明は、生存細胞の存在或いは不存在を検知することに関する。この検知には、インピーダンス検知が用いられ、ストレス因子に対する細胞のストレス応答をモニタする。
更に他の特徴として、本発明は、選択された濃度の生物学的に活性を有する物からなるストレス因子に対する細胞の感受性及び生物学的に活性を有する物の選択された濃度における細胞のストレスレベルを判定する方法を提供する。この方法は、インピーダンス検知を用い、この判定を実行する。
(ストレス応答)
生存細胞集団の成長は、細胞集団を構成する1若しくはそれ以上の細胞の増殖により決定される。この成長の間、細胞は、利用可能な栄養素を用いて、ATPやNADPH及びホスホエノールピルビン酸塩(PEP)の形態で、多くのエネルギを蓄積し、また、生物学的巨大分子(例えば、DNA、 RNA、タンパク質、脂質及び糖質など)を合成する。例えば、バクテリアの場合、これら要素全てが引き続き利用され、二分裂として知られるプロセスによって、2つの新たな娘細胞を作り出す。培養条件が好適に維持されると、両方の新たな細胞がこのサイクルを繰り返す。このことは常に増殖の間生じ、対数増殖と呼ばれる。
しかしながら、細胞が望ましくない環境(例えば、不良環境)に曝されると、急激な代謝変調(metabolic deviation)を生じ、増殖プロセスを中断し、「ストレス応答」として知られるサバイバルモードに突入する。結果として、通常行なわれるタンパク質合成が急速に抑制され、新たなレギュロンが活性化され、ストレスファクタ(以下、ストレス因子と称する)に対する細胞の寛容性が向上する。
ストレス因子には、化学的ストレス因子、物理的ストレス因子及び生物学的ストレス因子が含まれる。化学的ストレス因子の非限定的な例であるが、洗剤処理、アルコール処理、抗生物質処理、酸性化或いはアルカリ化、酸化及び重金属との接触を挙げることができる。物理的ストレス因子の非限定的な例として、温度上昇、音波、圧力衝撃波、浸透圧変化、イオン放射、電気ショック及び電磁放射を挙げることができる。生物学的ストレス因子の非限定的な例として、培地状態の変化、増殖後の静止期、栄養素の欠如(例えば、炭素或いは窒素の欠乏や低酸素状態など)を挙げることができる。本明細書で用いる「ストレス」及び「ストレス因子」との用語は、様々な時点において与えられ、変化され及び/又は除去されるストレス因子の任意の組み合わせを意味する。印加される電圧及び/又は電流の特定の条件の下、インピーダンス自体の測定が、ストレス因子として考えられる。この測定は単独で用いられてもよく、或いは、他のストレスファクタと組み合わせて用いられてもよい。適切な刺激が与えられた後、数分で通常ストレス応答機構の活性化が生じ、種により異なるが、約10から30分でピークを迎える。この応答は、ストレスの大きさによるが、数時間或いはそれ以上続く。この期間は、例外的な細胞種によって、異なる実長となるが、初期応答期間と称される。
化学的ストレス因子、物理的ストレス因子、生物学的ストレス因子は、生物活性物である。本明細書で用いられる「生物活性物」との用語は、「生物学的に活性を有する物」と同一の意味を有し、生体内外の如何にかかわらず、活性を示す或いは活性を発揮する能力を備える薬剤や物質である。
化学的な生物活性物及び生物学的な生物活性物の非限定的な一例が、本発明の一実施形態で用いられているが、これらには、治療剤及び薬剤が含まれる。例えば、抗菌剤、抗生物質、トロンビン阻害剤、抗血栓薬、血栓溶解剤、線維素溶解薬、血管痙攣阻害剤、カルシウムチャンネル遮断薬、血管拡張剤、降圧薬、表面糖タンパク質レセプタの阻害剤、抗血小板薬、抗有糸分裂薬、微小管阻害剤、分泌型抗体剤、アクチン阻害剤、リモデリング阻害剤、アンチセンスヌクレオチド、抗代謝物、抗増殖剤(抗血管形成剤など)、抗癌用化学療法薬、抗炎症ステロイド或いは非ステロイド系の抗炎症薬、免疫抑制剤、ホルモン、成長ホルモン抑制因子、成長因子、ドーパミン作動薬、放射線治療薬、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外マトリックス成分、ACE阻害剤、フリーラジカル捕捉剤、キレート剤、酸化防止剤、抗ポリメラーゼ剤、抗ウィルス薬、光線力学療法薬及び遺伝子治療薬を挙げることができる。
本発明の一実施形態では、ストレス因子(例えば、生物活性物)は、細胞に供給される。供給の方法は、細胞と生物活性物とを接触させる形態である。特定の実施形態において、生物活性物は、薬学的に活性を有する物である(例えば、抗癌剤、生体毒素、ウィルス、ストレスを作り出すことが可能な他の物質並びにこれらの組み合わせである)。
ストレス因子は、ストレス、生物ストレスや物理的ストレスを作り出すことができる。本明細書において用いられる、「ストレス」及び「生物ストレス」との用語は、細胞集団の代謝作用、細胞集団の成長や細胞集団の生存への悪影響と同一の意味或いは同義を指し示すものである。この悪影響は、生命体や非生命或いは非生物学的な環境ストレス因子(例えば、温度変化など)により作り出される。
ストレス応答は、成長に関連する多くの代謝プロセスの有意な遅延及び/又は変化により特徴付けられる。これらには、ATP、NADPH及びPEPのレベルの低減、複製阻害及び超螺旋DNAの局所的変性を伴うDNA濃度の増加が含まれる。加えて、RNAの転写、タンパク質翻訳及び脂質と糖質の合成も、ダウンレギュレートされる。
この段階において、ストレスを受けた細胞は、細胞分裂阻害により特徴付けられる状態となる。結果として、全ての細胞は、細胞の「成長サイクル」の同一段階で同期することとなり、大半の細胞が、ストレス期間を成功裏に潜り抜けた後、略同様の時間で細胞分裂を開始する。例えば、成長の早いバクテリアである有機溶媒耐性細菌(Pseudomonas putida)は、ストレスの後の細胞分裂阻害が、4時間続く。
全体的に、ストレス応答タンパク質をコード化する遺伝子は、様々な種の中でも、非常に保護されている。異なる因子(例えば、熱衝撃、SOS及び酸化ストレスなど)に対するストレス応答のいくつかの詳細は、分子レベルで異なるが、多くの場合、熱衝撃タンパク質(hsp: heat shock protein)が、初期ストレスの間並びに後の細胞生存の重要な役割を担う。ストレス応答タンパク質、特に、hspは、実質的に原核生物(最も小さな自己複製細胞として知られるマイコプラズマ・ジェニタリウムや他の偏性細胞内寄生性バクテリア(クラミジアトラコマチス)など)と真核性生物(藻、植物、菌類、原虫、動物及びヒト細胞など)の両方の全ての単細胞生物及び多細胞生物に当てはまるものである。真核性生物の小器官(例えば、ミトコンドリアや葉緑体など)は、自己のhspをコード化する。
細胞の代謝の変調は、細胞懸濁液の誘電特性の変化により明らかとなる。細胞の代謝は、誘電性を変化させる。この変化は、代謝物からの帯電合成物の全体的な変化、細胞形態の変化、表面荷電効果、塩を伴う高荷電分子(例えば、DNAやRNA)、タンパク質、アミノ酸並びに培地に存在する他の抗生物質の合成を反映する。一の実施形態において、これらの細胞懸濁液の誘電特性に対する変化は、対応する懸濁液の電気的インピーダンスの変化を記録することにより測定される。
細胞懸濁液中のインピーダンス値の変化は、ストレス因子に対する生命体のストレス応答により引き起こされ、このインピーダンス値の変化は速く、且つ増殖に起因する細胞懸濁液のインピーダンス値の変化よりも強いものであることを見出した。本明細書にて説明される方法は、直接的に細胞のストレス応答の変化をモニタするものである。尚、細胞のストレス応答は、様々なストレス因子により引き起こされる。また、ストレス応答のモニタリングは、細胞懸濁液のインピーダンス変化を検出することによりなされる。これらの変化から、生存細胞の存在或いは不存在及び異なるストレス因子に対して細胞がどの程度影響を受けやすいかを推察可能となる。
細胞懸濁液からのインピーダンス応答は、細胞の代謝活動に起因するものであることは既知であるが、インピーダンス検知の能力全てが、今日まで、十分に活用されてきたわけではない。いくつかの従来技術においては、広く解釈して、代謝変調(代謝活動も意味する)との用語が、増殖を意味するものとして用いられてきたが、本明細書において、「代謝変調」との用語は、細胞内の生物学的プロセス全てを意味するものであり、単に、増殖並びに再生産を意味するだけではない。増殖というよりはむしろ、ストレス応答に関連する代謝変調を検知するインピーダンス測定手法を本明細書に開示する。ストレスを受けた細胞の初期代謝変調をモニタリングすることにより、インピーダンス検知のこれら能力の用途を説明し、様々な種類のバクテリアの存在を指し示す。
(細胞)
ストレス応答は一般的なものであり、任意の一細胞或いは微生物に特有のものではないことは重要である。したがって、本明細書に開示される手法は、全ての原核生物細胞又は真核性細胞に適用可能である。本明細書に開示される方法は特に、病原体の存在或いは不存在並びにある濃度の生物活性物(例えば、抗生物質)に対する病原体の感受性を判定するのに有用である。
本発明の様々な実施形態に係る方法は、例えば、ストレス因子に対する細胞のストレス応答を迅速にモニタするとともにストレス応答の大きさを判定する方法である。或いは、本発明は、細胞が存在する場合には、細胞のストレス応答をモニタすることにより、細胞の存在或いは不存在を迅速に検知し、細胞が不存在或いは死滅している場合には、ストレス応答の不存在を迅速に検知する方法である。本発明は、選択された濃度の生物活性物に対する細胞の感受性並びにこの生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスレベルの予測結果を決定する方法である。細胞の感受性のレベルは既知のものであってもよく、未知のものであってもよい。本明細書に開示される方法は、バクテリア(非バクテリア組織の病原体を含む)を試験するのに特に有用である。
本明細書で用いられる「検知する」との用語は、限定するものではないが、細胞の存在或いは不存在を判定することや、細胞数を定量化することを意味する。この用語は、したがって、定性的な判定並びに定量的な判定に用いられる本発明の材料、構成並びに方法の使用を意味するものである。
本発明の一実施形態に係る方法で、真核性細胞が好適に使用される。真核性細胞として、例えば、原生生物、原虫、菌類、非形質転換ヒト細胞、非形質転換動物細胞、形質転換ヒト細胞及び形質転換動物細胞を挙げることができる。但し、これら真核性細胞は、接着依存性である。テストサンプルの培地は追加的に、懸濁された培養マイクロビーズを備える。このマイクロビーズは、細胞外マトリックスのコーティングを備える。細胞外マトリックスは、真核性細胞を接着可能である。
テストサンプルの培地と参照サンプルの培地が追加的に懸濁されたビーズを備えることは、特定種の原核生物細胞と真核性細胞にとって必要或いは有用となる。懸濁されたビーズは、特定のレセプタコーティングを備える。特定のレセプタは、原核生物細胞或いは真核性細胞と接着可能である。レセプタは、生物学的に活性を有する成分を備えるものであってもよい。この生物学的に活性を有する成分は、免疫反応から生ずる成分、核酸から生ずる成分及び特定の細胞を見極めるために使用可能な他の化学物質或いは生物学的組成物から生ずる成分から選択される。
(培地及びサンプル)
本発明の一実施形態に係る方法に用いられるのに好適な培地は、細胞の生存に関与しない培地及びストレス応答を測定するのに十分な期間細胞の生存を支える培地から選択される。培地の選択は、細胞種並びに実行しようとするテストの性質によって定められる。好適な培地の例として、市販されている培養培地、水性培養液、ゲル及び寒天を主体とする培地を挙げることができる。好適な実施形態において、培地は導電性を有する。
本明細書にて用いられる「サンプル」なる用語は、本明細書にて開示される方法にしたがって好適に使用される装置を用いて、単離され、操作され、測定され、定量化され、検知され、或いは、分析される任意の物を意味する。サンプルは生物学的サンプル(例えば、生物学的流体、生物学的組織或いは生物学的又は存在すると思われている生物学的物質を含有する環境サンプル若しくは工業サンプルとすることができる。生物学的流体の例として、培地中の細胞懸濁液(例えば、細胞培養培地、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、大便、痰、脳脊髄液、涙液、粘液、羊水或いはこれらに類するものを挙げることができる。
環境的或いは工業的なサンプルの例として、水サンプル、化粧品サンプル、食品サンプル、薬剤サンプル或いはこれらに類するものの細胞の懸濁液を挙げることができる。
(初期インピーダンス応答の測定)
細胞増殖をモニタするための電気的インピーダンスの測定の使用方法は、非常に確立されたものである。この手法に用いる市販のシステムは、一般的には、導電率、キャパシタンス或いは全インピーダンス(抵抗要素及び反応要素の両方)を測定する。またこのシステムは、検知するのに十分な増殖を必要とする形状を用いる。バクテリアの場合には、これらシステムを用いての検知に必要とされる一般的な増殖閾値は、100万(10)CFU/ml或いはそれ以上である。バクテリアが、特に、低増殖種であるならば、高い滴定量を得るために、十分に時間を割かなければならない。
本発明の実施形態は、インピーダンス検知を用いる。このインピーダンス検知は、ストレス応答に起因するインピーダンス変化を検知することにより、生存細胞の有意に迅速な検知を可能とする。細胞懸濁液からのインピーダンス応答は、懸濁液内での一体的な代謝活動に関連し、細胞操作及び関連する集団増殖の間のバイオマスの増殖のみを検知する他の非侵襲的な方法と比べて、非常に多くの情報をもたらす。更には、代謝変調は、細胞分裂を生じることなく発生する。このような代謝変化は、かくして、細胞操作及び関連する集団増殖に起因するバイオマスの増加に依存する他のシステムによっては検知されない。したがって、インピーダンス検知並びに分析に係る本明細書に開示の方法は、細胞懸濁液中の細胞ストレスの検知並びに分析を改善するものということができる。
一般的に、「インピーダンス」なる用語は、サンプルの大部分の電気特性並びに電流の流れを妨げる能力を説明するために用いられる。インピーダンスは、ある特定の周波数において、時間変動する電位或いは電流を用いて測定される。正弦波AC電圧が、サンプル体積物を横切って印加されると(周波数:ν)、電流は培地を流れる。同一の周波数で交番している間、電圧は、印加電圧と特定の位相関係をとることとなる。サンプルのインピーダンスは、電圧の大きさと電流の比及びこれらの間の相対的位相角により定められる。
インピーダンス測定の物理的解釈は、2つの要素(抵抗要素と反応要素)によって最もよく説明可能である。抵抗とリアクタンスは、システムのインピーダンスを見出すために組み合わされる必要がある特性である。しかしながら、「抵抗」並びに「リアクタンス」などは、しばしば、簡便に、「インピーダンス」或いは「インピーダンスの表現」として称される。
代わりに、一式の周波数要素を含む既知の時間変動信号が、サンプルに関連するインピーダンスパラメータを決定する目的で、サンプルに与えられてもよい。一般的に、この信号は電圧、電流或いは電圧と電流の特定の組み合わせとすることができる。信号は、多種の周波数要素を同時に含むものとすることができる。帯域制限された白色雑音の場合には、特定の帯域幅内に全ての周波数を含むことができる。これらの信号印加を用いて、電流、電圧、電圧並びに電流の対応する応答が測定される。任意の周波数において、サンプルのインピーダンスは、複素電流に対する複素電圧の比である。このインピーダンスは、大きさと位相或いは実部と虚部などの数の対により表現される。特定の条件の下、応答は、作動信号内に含まれない周波数成分を含む。したがって、サンプルに関する追加的な情報を応答が含むものとなる。
交番電流(AC:Alternating Current)は、臨界的な性質、キャパシタンスの容易な判定を可能とする。キャパシタンスは、本発明の様々な実施形態の方法に関連する。単純なキャパシタは、非導電体即ちインシュレータにより分離された金属板などの一対の導電体からなる。導電体間の単位電位当たりのキャパシタに格納或いは保持されることが可能な分離電荷量は、キャパシタンスと称される。2つの電極に取り囲まれる細胞懸濁液の測定値は、生物学的キャパシタとして考えることもできる。
本明細書で説明される実施例では、ストレス応答をモニタするためにキャパシタンスの測定を用いるが、他の適切な一次元或いは多次元の電気的測定(例えば、導電率、サスセプタンス、アドミタンス或いはインピーダンスベクトルの他の表現或いは変形様式など)も本明細書の開示の範囲内のものである。これらによっても、添付の請求の範囲により定められる本発明の技術的範囲から逸脱することなく、細胞のストレス応答を測定することが可能である。
定められた一定の実験或いは単純な調整以上のことを必要とせずに、当業者は、本発明の実施形態にしたがって、ストレス応答を測定するキャパシタンスだけでなく、電気的な測定値のすべての表現形式(例えば、インピーダンス)を利用することができる。更には、電場の印加は様々な手法(任意の電圧及び/又は電流の組み合わせを利用)を用いて実行することが可能である。誘電体は、完全に非理想的な特性表現を含むことを意味し、インピーダンスの反応要素を制限するものではない。
増殖とストレス応答との間の時間差は、非常に価値ある情報をもたらすが、インピーダンス応答には非常に多くの情報が含まれる。一式の関連する単純なインピーダンス測定値でさえも、サンプリング期間にわたって測定された個別のインピーダンス値それぞれが、2次元ベクトルを下回ることはなく、各サンプル値の対間での変化は、少なくとも2次元のベクトルとなる。したがって、単純な印加信号であっても、多くの変化ベクトル及びこれらの導関数が生ずることとなる。細胞の応答の性質に関するこの十分な量の情報に加えて、個別の一式のベクトルデータ点はが、全ての可能な作動信号に対して作り出される。作動信号は、単一周波数成分或いは実現可能な一式の周波数成分からなる。更に、システムは、単一のサンプルに対するテストの間、多種の作動信号間で切替操作を行うことができ、一層多くの情報を作り出すことができる。特定環境下において、出力周波数は、入力周波数とは異なるものとなる。したがって、インピーダンス応答分布内で、いっそう多くの情報を得ることが可能となる。インピーダンス応答に含まれる膨大な量の情報を考え或いは可視化することは困難である。したがって、単純な表現形式が用いられる。例えば、キャパシタンス、抵抗、リアクタンス或いは正方向・負方向の信号を参照すると、結果を表現並びに解釈することが容易となる。インピーダンス応答のこの広大な多次元空間を数学的に、一次元或いは多次元表現空間の無限数に変換することができる。もちろん、座標空間を整列させ、座標軸を対象となる特定の作用或いは特性に対応するように操作することも可能である。
したがって、例えば、特定の兆候或いは量を参照することにより、本発明が基礎とする原理に影響を与えることなく数学的な変換を容易に行なうことが可能である。本発明の一実施形態において、異なる方法が用いられ、精度の改善が図られる。ある実施形態において、結果として得られたインピーダンス分布を、数学的には同一の殺菌状態の一対のチャンバからの測定値の比較に反映させることができる。例えば、第1のチャンバはストレスを受けた細胞を含有する培地で満たされている。第2のチャンバは、参照として用いられ、第1のチャンバに近接して配されている。両チャンバの容積空間は、略同一温度とされ、略同一の数学的摂動状態に置かれる。これにより、コモンモード阻止の手段が提供されることとなる。小さな交番電流(AC)の電圧が、2つの電極を横切って印加されると、平行平板キャパシタが作り出される。
第1チャンバ内のストレスを受けた細胞は、ストレスに応じて細胞懸濁液の誘電特性を変化させる。誘電特性の特定の変化は、培地内の有機成分間の相互作用に派生して、第2チャンバでも観察できる。また、これは第1のチャンバと共通のものである。両チャンバ内のサンプルのインピーダンス分布の時間変化が比較される。両サンプル間で検知された差異は、組織のストレス応答によって専ら生じた細胞作用とすることができる。
本発明の一実施形態では、特定の一の時間点或いは、連続する時間点の組にわたって、ストレス因子付加の後の細胞懸濁液からなるテストサンプルの初期インピーダンス応答が測定される。本明細書で用いられるサンプル(テストサンプルなど)の「初期インピーダンス応答」との用語は、遷移期間(電場印加と略同時点におけるテストサンプルのインピーダンスの最初の測定からストレス応答或いは非増殖を指し示すテストサンプルの後のインピーダンス測定値が得られるまでの期間)におけるテストサンプルのインピーダンス変化を意味する。本発明の一実施形態において、テストサンプルの後のインピーダンス測定値は、非増殖状態が検知され始めた時点の測定値である。
上述の「初期インピーダンス応答」は、テストサンプルのインピーダンス測定値の遷移期間を意味する。他の場合には、「初期インピーダンス応答」は、略同一時点において得られた関連する測定値により加減されたサンプルのインピーダンス測定値の遷移期間を意味する。
更に、本発明の他の実施形態においては、テストサンプルのインピーダンス分布(IRP: Impedance Response Profile)が決定される。IRPは、テストサンプルの測定された初期インピーダンス応答の水準と標準値との間の数学的比較に基づくものである。他の手法として、IRPが、初期インピーダンス応答の数学的構造化を行う前のテストサンプルのインピーダンス測定値と標準値との比較に基づくものとすることができる。標準値は、ストレス因子を備える培地或いはストレス因子を備えない培地からなる第1の参照サンプルの測定された初期インピーダンス応答値或いは測定されたインピーダンスとすることができる。尚、第1の参照サンプルには細胞は含まれていない。他の場合には、標準値は、細胞と培地を備える第2の参照サンプルの測定された初期インピーダンス応答値或いは測定されたインピーダンスとすることができる。細胞は、テストサンプル内の細胞と同一濃度である。また、第2の参照サンプルにはストレス因子が含まれない。第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答は、遷移期間(電場印加と略同時点における第2の参照サンプルの最初のインピーダンス測定からストレス応答或いは非増殖を指し示すテストサンプルの後のインピーダンス測定値が得られるまでの期間)における第2の参照サンプルのインピーダンス変化である。
IRPは、細胞懸濁液中で生ずる代謝変調を反映する。ある実施形態において、IRPの値が、細胞集団の倍加時間を有意に超えた期間にわたって一定割合で増大しているならば、細胞増殖が生じているとすることができる。IRPの値が、細胞の倍加時間以下或いは略等しい時間の間減少する場合には、ストレスが生じているものとすることができる。したがって、ストレス下にある細胞の増殖(即ち、細胞分裂)が存在しないことは、第1の早期の測定にて記録された値よりも、2つの測定の統計的不確実性を超えた量だけ低いIRPの第2の値の測定値により定義可能である。IRPの値の減少が、ストレスを決定するのに十分である一方で、これは常に必要とされるものではない。ある場合において、ストレス或いは増殖の不存在の評価は、IRPの統計学的に有意に増加する値(後にこの値は減少する)或いはIRPの統計学的に有意に減少する値(後にこの値は増加する)の両方により認識することができる。この値の増加或いは減少は、細胞集団の倍加時間以下の期間或いは細胞集団の倍加時間に略等しい時間にわたって生ずる。ストレスを受けていない細胞からのIRPを下回るストレスを受けた細胞からのIRPによってもストレスが推察されてもよい。
ストレス期間が終了し、これに呼応して増殖が開始することは、影響点(インピーダンス分布の勾配が負の勾配から正の勾配に変化する点)での細胞増殖の倍加時間以上の時間でのインピーダンス応答分布によって判定することができる。
ストレス応答の測定値は、応答分布と以前に記録された時点からの一式のデータとを比較することにより、増殖と区別することができる。インピーダンスの変動を同様の実験からの既知の反応と照らし合わせることにより、所望の統計学的信頼区間となる特定の時間で判定がなされる。所望の統計学的信頼度が高い場合には、初期インピーダンス応答を備える時間長が延長される。測定される結果と格納された一式の期待値とを整合させる程度は、初期インピーダンス応答を延長し、統計学的信頼度を増大させることによりなされてもよい。以下の例においては、ストレス応答と増殖応答が区別され、これらのパラメータ化は、テストサンプル内の特定の細胞集団の倍加時間を用いて、調整される。
IRPの以下の判定に関して、IRPの分析は、例えば、細胞の検知、任意のストレス因子に対する細胞の応答に関する情報の決定及び任意の濃度の生物活性物に対する細胞の感受性の決定を可能とする。
図を参照する。図1は本明細書に開示されるインピーダンス技術の概略を示す。このインピーダンス技術は、操作容易であり且つ低コストである。システムには、感度の高いテストチャンバのパネルを収容するカセットを用いて設計することができる。カセットは、廃棄可能な類のものである。本発明の一実施形態では、検知部品は、平板状の中規模の大きさのカセット内で一体化される。このカセットは、確立された量産技術にとって理想的なクレジットカードと同様の形状因子を備える。中規模の幾何学形状を使用することにより、実用可能な体積量でサンプルをテストすることが可能であり、追加的に細胞を濃縮する必要はない。また、感度測定のために高い信号ゲインを備える信号を作り出す必要もない。例えば、培地と処理済或いは未処理のテストサンプルによりひとたび満たされると、カセットは、読取装置に挿入される。この読取装置は、インピーダンスをモニタ氏、情報を分析、表示並びに記録する。多数のカセットを備える装置の概念的設計の例が図1に示される。この装置は、ノートブックサイズのインピーダンス・バイオセンサであり、本発明の一実施形態に用いられる。
図1は、カセット(20)の概略図である。図1は、全体として平板形状のカセット(26)を示している。各カセット(26)の内部は、図2に示す検知チャンバ(32)のパネルとなっている。各チャンバ(32)は、2つの電極(34)を備える。2つの電極(34)は、相対的に小さな寸法で互いに離間している。本明細書に用いる、「電極」との用語は、高い導電率を有する構造体を意味し、周囲を取り囲む物質の導電率よりもはるかに高い導電率を有するものを意味する。テストサンプルは、使用者により、充填ポート(22)に注入される。注入ポート(22)は、カセット(26)上に位置する。サンプルは、その後、検知チャンバ(32)に分配されることとなる。カセット(26)は、分析装置(28)内に挿入され、読出処理が施される。各チャンバの電気インピーダンスが記録され、細胞懸濁液の誘電特性の変化がそれぞれモニタされる。
2つの電極(34)がこれら実施形態で用いられるが、チャンバ(32)に対して2以上の電極(34)を用いるシステムも本発明は含む。各電極(34)が、サンプル内で電気化学効果を生み出す1若しくはそれ以上の材質或いは生み出さない1若しくはそれ以上の材質からなるものであってもよい。
ストレス因子がテストサンプルに影響を与えることを可能とすることにより、ストレスがテストサンプルに加えられる。ストレス因子は、電場を印加する前、電場を印加するのと略同時、電場を印加した後に与えられるストレス因子から選択されるものであってもよく、或いは、検知チャンバ(32)を充填する前、検知チャンバ(32)を充填するのと略同時、検知チャンバ(32)を充填した後に与えられるストレス因子から選択されるものであってもよい。
図2は、概略的ブロック図(30)を示し、このブロック図は、インピーダンスモニタリング検知システムを示す。基板は、カセット(26)を備える。カセット(26)は、多数の検知チャンバ(32)を備える。各チャンバ(32)は、2つの電極(34)を備える。基板は、分析器(28)を備える。分析器(28)は、図1に概略的に示されている。分析器(28)は、カセット(26)を収容し、リアルタイムで細胞懸濁液のストレス応答をモニタする。分析器(28)は、スウィッチリレー(36)、精度の高いLCRメータ(38)、GPIBインターフェース(40)、コンピュータ或いはPC(41)並びに熱電対DAQ(42)を備える。
本発明の実施形態に係るシステムの操作に関する全般的な説明が以下になされる。手動式で中型の調査用評価テストカセット(26)に充填が行なわれる。テストカセット(26)は、2つの独立した生物学的サンプルを個別の検知チャンバ(32)に備える。このカセット(26)は、断熱して配された固定装置に挿入され、固定装置は、測定の間カセット(26)を安定的に保持し、熱安定性を維持し、分析器(28)と電気的な接続を構築する。固定装置は、2つの熱制御されたプラテンを備える。このプラテン上に電気的保護部材が配され、浮遊容量からカセット(26)をシールドする。プラテンの温度は、埋設された熱電対を用いてモニタされ、データ獲得システム(DAQ)(42)を用いて記録される(尚、これらは、National Instruments社製の部品と同等のものである)。インピーダンスが、市販のメータAGILENT(登録商標)4184A高精度LCRメータ(38)(AGIENT(登録商標)Technologies, Inc社製、カリフォルニア州パロアルト)を用いて測定される。インピーダンスメータ(38)は、特定の一の時間における単一のチャネルのみをモニタする能力を備える。したがって、スウィッチリレーボックス(36)が作られ、2つの検知チャンバ(32)間で切替操作が行なわれる。AGILENT(登録商標)メータ(38)は、コンピュータ(41)に接続する。この接続には、標準的なGPIBボードインターフェース(40)が用いられる。コンピュータ(41)は、データを記録し、分析し、表示する。ソフトウェアプログラム(BioSense Technologies, Inc(マサチューセッツ州ウォバーン)から入手可能である)が作成され、使用容易なインターフェースが作られる。これにより、実験を行なうことと、基本的な分析が実行可能となる。
上記の実施形態では、システムは、測定に、交番電流(A.C.)を利用し、操作される。尚、この交番電流は、約1キロヘルツ(1kHz)である。しかしながら、一定の通常行われる実験の範囲を超えることなく、適宜調整を施すことが可能である。
生物学的懸濁液の誘電特性の変化をモニタしながら、2つの検知チャンバ(32)のインピーダンスが記録される。上述の如く、各誘電特性は、細胞の代謝に起因して変化する。なぜなら、代謝物からの帯電性構成物の全体が変化するためである。各誘電特性の変化は、細胞形状、表面電荷効果、DNA、RNA、他の高荷電分子(例えば、タンパク質及びアミノ酸など)により生ずる。
実施例1に対してIRPを決定するために用いられた比較手法は、細胞を含有するチャンバの各測定時間のインピーダンスの容量性成分と培地のみを備えるチャンバの容量性成分との比である。
本明細書に開示される方法は、ストレス因子に対する細胞のストレス応答を迅速にモニタし、ストレス応答の大きさを判定するものである。この方法は、(a)電圧及び/又は電流をモニタするのに好適な条件下で、電場をテストサンプルに印加する段階を備える。このテストサンプルは、細胞及び培地からなる。本発明の方法は、(b)電圧及び/又は電流をモニタする段階を備える。本発明の方法は、(c)ストレス因子がテストサンプルに影響を与えることを可能にする段階を備える。ストレス因子は、電場印加の前、電場印加と略同時、電場印加の後に与えられたストレス因子から選択される。本発明の方法は、(d)テストサンプルの初期インピーダンス応答をモニタする段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンス応答は、遷移期間におけるテストサンプルのインピーダンス変化である。遷移期間は、電場印加と略同時に行われるテストサンプルの最初のインピーダンス測定から、ストレス応答或いは非増殖状態を指し示すテストサンプルのインピーダンスその後測定されるまでの期間である。これにより、細胞のストレス因子に対するストレス応答がモニタされることとなる。本発明の方法は、(e)テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルを判定する段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルは、細胞のストレス応答の大きさを指し示すものである。したがって、ストレス因子に対する細胞のストレス応答の大きさが判定される。
本明細書に開示される方法は、細胞のストレス応答をモニタし、その大きさを判定するものである。この方法は更に、上記の段階(e)で決定されたテストサンプルの初期インピーダンス応答を以下の第1の標準値及び/又は第2の標準値と数学的に比較する段階を備える。
(i)第1の標準値
第1の標準値は、第1の参照サンプルのインピーダンス応答を示すものである。第1の参照サンプルは、ストレス因子を備える培地又はストレス因子を備えない培地である。尚、第1の参照サンプルには、細胞は含まれない。
(ii)第2の標準値
第2の標準値は、第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答を表すものである。尚、第2の参照サンプルは細胞と培地からなる。参照サンプル内の細胞は、テストサンプル内の細胞と同一種であり、且つ、同一濃度である。当該参照サンプルには、ストレス因子は含まれていない。上記段階(e)にて決定されたテストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルと、第1の標準値及び/又は第2の標準値に基づいて、第1のインピーダンス応答分布の値が求められる。
実施例1では、熱衝撃によるストレスを受けた大腸菌からの瞬時初期インピーダンス応答を説明する試験に関し、この試験において、ストレスを受けていない大腸菌との比較がなされている。
(実施例1:熱処理によるストレスを受けたバクテリアからの初期インピーダンス応答)
熱衝撃を受けた後のバクテリアの代謝が、熱衝撃を受けていないバクテリアの細胞のそれとは有意に異なるものであることは知られている。この実施例において、ストレスからの回復期間の間におけるストレスを受けたバクテリア細胞からの初期インピーダンス応答の測定の能力が示される。第1に熱衝撃を受けていない大腸菌からの初期インピーダンス応答が測定された。ルリア・ベルタニ寒天(LBA: Luria-Bertani Agar)(Becton Dickinson Microbiology System社製(メリーランド州スパークス))上で一晩かけて形成された単一のコロニが滅菌ループを用いて回収され、TSB内で再懸濁された。1ミリリットル当たり約1,000コロニ形成ユニット(103CFU/ml)まで適切に希釈した後、この希釈液が一のインピーダンスカセットチャンバに直接的に導入された。尚、隣接するチャンバは、TSBのみで充填されている。カセットが、熱制御下にある分析器(摂氏37度(37℃)に保持)に挿入された。その後、完全インピーダンスベクトルが記録された。ここで示すデータにおいて、初期インピーダンス信号のキャパシタンス成分が分析された。インピーダンスベクトルの他の表示を分析することによっても、同様の効果が観察できる。
ストレスを与えられたバクテリアの応答を測定するために、LBA上で一晩かけて培養された単一コロニを滅菌ループに採取し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で再懸濁された。その後、30分間、摂氏45度(45℃)で加熱された。衝撃処理が施された後、バクテリア懸濁液は、TSB中で希釈され、直接的に一のカセットチャンバに導入された。尚、隣接するチャンバは、TSBで充填されている。上記したものと同様に、カセットは、熱制御下にある分析器(摂氏37度(37℃)に保持)に挿入され、キャパシタンス信号が記録された。
「インピーダンス応答分布」は、ここでは、衝撃を受けた細胞を含むチャンバのそれぞれのキャパシタンスとTSBのみが充填されたチャンバのキャパシタンスとの比を意味する。図3は、インピーダンス応答分布を示す。
図3は、初期インピーダンス応答分布をグラフ表示したものであり、摂氏37度(37℃)におけるTSB中のストレスを与えられていない大腸菌(上側の曲線)と熱衝撃を受けた大腸菌(下側の曲線)に対するものである。
初期滴定量は、ストレスを与えられていない細胞に対して、5.6×103CFU/mlであり、熱ストレスをかけられた細胞に対して4.4×103CFU/mlであった。予測されたものと同様であるが、一般的な約1.5時間から2.0時間の遅延期遅れの後、ストレスを与えられていないバクテリアは増殖を開始し、対応してインピーダンス応答の値が増加している。一方で、熱衝撃を受けたバクテリアのインピーダンス応答は、反対の傾向を示す。特に、インピーダンス応答の瞬時且つ一定の減少が観察され、この減少は、データ取得開始から5時間続いた。したがって、第2のインピーダンス応答値の測定によって、ストレス下における、細胞の増殖(即ち、細胞分裂)の不存在を見出すことができる。尚、第2のインピーダンス応答値とは、2つの測定の統計学的不確実性を超えた量だけ第1の初期測定において記録された値より小さな応答値をいう。この実施例において、明確な初期応答値が30分以内に高い統計学的信頼度を以って認識可能である。このテストに要した経過時間は、この細胞種の集団倍加時間と同等の時間の範囲である。これら細胞が、ストレスによって引き起こされた細胞分裂停止状態にあるということを考慮に入れると、このことは、本発明の測定に必要とされる時間で、増殖の不存在を明らかにするという役割を担っていることを意味する。
したがって、ストレスを受けた生存細胞からのインピーダンス応答と、この応答の検知が、従来の成長(即ち、細胞増殖)の間観察されるインピーダンス応答よりも迅速且つ潜在的により有用であるということができる。
この減少が、バクテリアの死滅に起因するものでないことを確認するために、板上滴下により細菌計数法が実行された。ストレスを与えられていないサンプルと熱衝撃を受けたサンプルの中の生存細胞数に有意な差異がないことが判明し、測定時間において、細胞増殖或いは細胞死滅が生じていないことが明らかとなった。
(細胞の存在又は不存在の検知)
本明細書に開示される方法は、細胞の存在或いは不存在を迅速に検知する方法である。この検知は、細胞が存在する場合には、細胞のストレス応答をモニタし、細胞が不存在或いは死滅している場合には、ストレス応答の不存在をモニタするものである。この方法は、(a)電圧及び/又は電流を好適にモニタ可能な条件下で、電場をテストサンプルに印加する段階を備える。テストサンプルは、細胞と培地からなる。更にこの方法は、(b)電圧及び/又は電流をモニタする段階を備える。この方法は更に、(c)ストレス因子がテストサンプルに影響を与えることを可能とする段階を備える。ストレス因子は、電場印加の前、電場印加と略同時、電場印加の後に与えられるストレス因子から選択される。この方法は、(d)特定の時間点或いは連続する一式の時間点にわたって、テストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備える。テストサンプルの初期インピーダンスは、遷移期間におけるテストサンプルのインピーダンス変化である。尚、遷移期間は、電場印加をしたのと略同時点におけるテストサンプルの最初のインピーダンス測定から、ストレス応答或いは非増殖状態を指し示すテストサンプルのインピーダンスが後に測定されるまでの期間である。本発明の方法は、(e)各時間点におけるテストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルを評価する段階を備える。各時間点におけるテストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルは、細胞のストレス応答のレベルを指し示す。したがって、細胞が存在する場合には、ストレス因子に対する細胞のストレス応答をモニタすることが可能であり、細胞がテストサンプル中に存在しない場合や死滅している場合にはストレス応答の不存在がモニタされる。したがって、テストサンプル中の細胞の存在或いは不存在を迅速に検知可能である。この方法が、以下の説明のように、更に改良される。
本発明の検知方法は、テストサンプル中の細胞の存在或いは不存在を確認する段階を更に備える。この確認は、(i)ストレス因子を備える培地或いはストレス因子を備えない培地からなる第1の参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を実行することによりなされる。第1の参照サンプルには、細胞は含まれない。及び/又は、(ii)細胞と培地からなる第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を実行することにより、確認作業がなされる。この第2参照サンプルの細胞は、テストサンプル中の細胞と同一の濃度である。尚、第2参照サンプルには、ストレス因子は含まれていない。第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答は、遷移期間における第2の参照サンプルのインピーダンス変化である。遷移期間は、電場印加と略同時に行われる第2の参照サンプルの最初のインピーダンス測定から、ストレス応答或いは非増殖状態を指し示すテストサンプルのその後に測定されるインピーダンスに到達するまでの期間である。更に、上記段階(d)で得られたテストサンプルの初期インピーダンス応答は、第1の参照サンプルのインピーダンス応答及び/又は第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答と比較される。その後、上記段階(iii)での比較が評価される。これにより、テストサンプル中の細胞の存在又は不存在が確認されることとなる。非限定的な本発明の検知方法の例が以下に示される。
(実施例2:細胞の特定検知)
サンプル中の細胞の迅速且つ特定の検知を説明する。データは、リンゴジュース中の大腸菌を捕捉し、検知することを示している。一連の実験において、故意に汚染させたリンゴジュース中の大腸菌の検知結果を比較した。尚、大腸菌の増殖及びストレス応答は直接的にモニタされた。図4は、実験手順の概略図である。10 ml体積の滅菌リンゴジュースに、約103CFU/mlの大腸菌O157:H7が混ぜられた(図4参照)。磁気ビード(Dynal Biotech社製(ノルウェー オスロ)が、大腸菌上の株に特異的な抗体で予めコーティング処理を施され、添加された(図4B参照)。
細胞捕捉の手順は、厳密に、製造者推奨のものにしたがったものである。捕捉がなされると、細胞抗体複合体が、磁気ビードを用いて回収された。また、TSB中で洗浄され、再懸濁された(図4C参照)。結果として得られた懸濁液がカセットに充填された(図4D参照)隣接するチャンバ(対照)には、同様の培地が充填されたが、細胞を含んでいない。ストレス応答を調査するために、混入後のリンゴジュースから回収されたバクテリアは、45℃で30分間、熱処理された。これら懸濁液からのインピーダンス信号は、所定時間記録され、分析された。全ての懸濁液は、標準的な平板法を用いて、計数処理された。
結果について述べる。14時間の期間のインピーダンス応答が図5にプロットされている。このプロットは、熱衝撃を受けた大腸菌から得られたものであるが、ストレスを受けておらず、同様の手法で捕捉された大腸菌のデータも合せてプロットされている。ストレスを受けていない細胞(上側の曲線)からのインピーダンス応答値は、約60分で増加を開始し、180分の時点(図7参照)で、その増加は非常に明確に認識可能となる。約7時間目において、曲線はピークを示し、その後、約2時間にわたって減少し、再度増加を始める。この増加信号、ピーク並びにその後の減少は、酸素消費(低酸素ストレス)並びに増殖用培地の結果として生ずる減少に関連するものであり、条件的嫌気性生物に対する好気生育、その後の低酸素状態並びに嫌気的生育に関連するものである。
図5において、ストレスを受けていない細胞からの応答は、直接的に、熱衝撃によるストレスを受けた細胞(下側の曲線)からのインピーダンス応答と比較される。このストレスを受けた細胞は、非ストレス化細胞と同等の細胞密度(約1,000CFU/ml)を有し、細胞を備えない陰性対照(平坦な中間の曲線)とともに示されている。細胞のストレス応答の間のインピーダンス応答の値は、強度及び検知時間の両面において、ストレスを受けていない細胞からの応答値よりも特徴的である。
ストレスを受けた細胞とストレスを受けていない細胞との間の差異の対照化を更に図る。ストレスを受けた細胞からのインピーダンス応答の値は、最大7時間目に達するまで、すぐに減少する。これは、通常或いはストレスを受けていない細胞の同様の応答が現れる前の減少である。ここで明らかな如く、熱衝撃を受けた細胞が増殖状態に復活並びにその後再突入するのは、対応するインピーダンス応答によって測定された値から予測されるが、5時間後となる。加えて、応答の強度は、ストレスを受けていない細胞からのインピーダンス応答よりも大きく、且つ、その開始は、ストレスを受けていない細胞からのインピーダンスよりも早い。したがって、衝撃を受けた細胞からの初期インピーダンス応答は、ストレスを受けていない細胞に対するインピーダンス応答よりも強く且つ迅速ということができる。
図6と図7には、各増殖曲線からの初期の測定期間の間のインピーダンス応答が示されている。図6及び図7を左右に並べて比較する。図6に示す試験結果は、ストレスを受けた細胞の1.2×103CFU/mlからのインピーダンス応答値の明確な減少を示す。この減少は、初期インピーダンス応答を測定する本発明の新規な方法により、15分間で検知される。これは、ストレスを受けていないバクテリアの増殖をモニタして、高感度のインピーダンスを検知する場合と比べて、10倍程度迅速である。このことは、14時間以上かかっていた従来の検知方法と比較すべき事項である。
(実施例3:大腸菌増殖の初期8時間の間のインピーダンス応答)
大腸菌(120 CFU/mlの混入量)の初期8時間の間、インピーダンス応答は記録された。この大腸菌は、混入されたリンゴジュースから回収されたものである。図8はインピーダンス応答を示す。測定の初期120分は、拡大して、同図に挿入され、拡大、再プロットされている。負の勾配を示す応答が、最初の30分間観察される。これは、より明確な増加信号が発生する前である。この負の信号は、「新たな培地」によるストレスを受け、生存しているが分裂をしていない細胞の生物学的作用と解釈することができる。典型的な微生物学において、バクテリアのこの増殖期間は、遅滞期或いは、新たな培養環境にバクテリアが適用するのに要する時間と呼ばれる。微生物の遅滞期は、非常に複雑であり、未だ完全に当該現象の理解がなされているわけではない。以下に2つの事実を述べる。
(1)ストレスを受けた細胞からのインピーダンス応答は、遅滞期におけるストレスを受けていない細胞からのインピーダンス応答と同様であること。
(2)最適な増殖環境に戻されたストレスを受けた細胞は、一層長い遅滞期を見せること。
これら2つの観察に基づき、図8に示す遅滞期が、緩いストレス条件と代謝的に同等のものであると解釈する。したがって、たった120 CFU/mlの混入量より低い初期細胞密度の条件下で、環境変化からの緩いストレス応答だけでも、検知可能なインピーダンス応答値の低減を作り出すことができ、この応答値は、30分未満における生存細胞の存在を見極めるのに十分な強さである。これにより、本発明の方法の感度が高いことが説明される。
(実施例4:尿中の大腸菌の検知)
本発明の感度に関する追加的な実施例を示す。
尿とTSB培地懸濁液の1:1V/V混合物中の145 CFU/mlの大腸菌接種材料が、一のチャンバ中でモニタされた。これとともに他のチャンバで、培地と尿の混合物がモニタされた。インピーダンス分布は、インピーダンス信号のそれぞれ2つの容量成分の算出された比であり、この分布は、図9に示される。また、図9には陰性対照(尿/培地のみを両チャンバに入れたもの)が示されている。図9は、バクテリア懸濁液中の遅滞期並びにその後の増殖を特徴付ける。
「初期インピーダンス応答」は、測定の初期45分間で観察されたインピーダンス応答値の減少を含む。この初期インピーダンス応答は、それ以前に、好適に検知可能となっている。インピーダンス応答分布のよりよく定義された増加の発生は、増殖に対応する。45分の時点の影響点において、インピーダンス応答分布の勾配は、負の勾配から正の勾配に変化している。この影響点は、ストレス応答の終了点に対応するとともに集団中の増殖の開始点に対応する。初期インピーダンス応答は、新たな培地に入れられた後の環境的ストレス(新たな培地によるストレスと称される)に起因するバクテリア細胞の緩いストレス応答を反映する。これらデータは、4つのバクテリア細胞(統計学的推定値)のみの検知に対応する。尚、この4つのバクテリア細胞は、これらデータを作り出すために用いた28.3マイクロリットル(μl)内のものである。
(生物活性物に対する細胞の感受性に関する迅速なテスト)
他の実施形態において、本発明は、選択された濃度の生物活性物に対する細胞の感受性に対する予測結果並びに生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスの大きさを決定する方法を提供する。この方法は、(a)(i)特定の時間点或いは連続する一式の時間点にわたって、テストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備える。テストサンプルは、細胞、培地並びに選択された濃度の生物活性物を備える。この方法は、更に、参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備える。参照サンプルは、培地と選択された濃度の生物活性物からなり、参照サンプルは、細胞を含むものではない。本発明の方法は、(ii)各時間点での第1のインピーダンス応答処理分布を決定する段階を備える。第1のインピーダンス応答処理分布は、各時間点における、段階(a)(i)で決定されたテストサンプルの初期インピーダンス応答と参照サンプルのインピーダンス応答の数学的比較である。本発明の方法は、(iii)必要に応じて、複数の選択された濃度の生物活性物に対して、段階(a)(i)と(a)(ii)を繰り返し、既知の生物活性物の異なる選択濃度それぞれについて、対応する第1のインピーダンス応答処理分布を得る段階を備える。
本発明の方法は、(b)(i)特定の時間点或いは連続する一式の時間点にわたって、第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備える。第2のテストサンプルは、細胞と培地からなる。第2のテストサンプルには、生物活性物は含まれない。本発明の方法は、参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備える。この参照サンプルは培地からなるとともに細胞を含まない。本発明は、第1のインピーダンス応答未処理分布を算出する段階を備える。第1のインピーダンス応答未処理分布は、各時間点において、段階(b)(i)で決定された第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答と、段階(b)(i)で決定された第2の参照サンプルのインピーダンス応答の数学的比較である。
本発明の方法は、(c)生物活性物の各選択された濃度に対して、正規化インピーダンス応答値NIRを決定する段階を備える。NIRは、アルゴリズムにより決定される数値である。アルゴリズムは、段階(a)(ii)及び/又は段階(a)(iii)で得られた第1のインピーダンス応答処理分布値を段階(b)(ii)で得られた第1のインピーダンス応答未処理分布値を間連づける。これにより、第1のインピーダンス応答未処理分布値が、NIRに組み込まれる。決定されたNIR値は、生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスのレベルの定量化された測定値となる。
上記記載の方法の一実施形態は更に、以下の事項により特徴付けられる。各時間点において、段階(a)(i)で決定されるテストサンプルの初期インピーダンス応答と、段階(a)(i)で決定される参照サンプルのインピーダンス応答との数学的比較(段階(a)(ii))が、各時間点における段階(a)(i)で決定されるテストサンプルのインピーダンス応答と段階(a)(i)で決定される参照サンプルのインピーダンス応答との比並びに各時間点における段階(a)(i)で決定されるテストサンプルのインピーダンス応答と、段階(a)(i)で決定される参照サンプルのインピーダンス応答との差分から選択される。
更に、上記発明の一実施形態では、NIRの決定に用いられるアルゴリズムが、第1のインピーダンス応答処理分布値と第1のインピーダンス応答未処理分布値との間の数学的比率或いは絶対差分値から選択される。
生物活性物に対する感受性を決定する方法の他の実施形態において、細胞の生物活性物に対する感受性が予め知られたものである。この方法は、上記段階(a)(b)及び(c)を第2の細胞を用いて繰り返す段階を備える。第2の細胞の生物活性物に対する感受性は未知である。第2の細胞は、生物活性物に対する感受性が既知の細胞と同種のものである。これにより、生物活性物に対する感受性が未知である細胞の正規化インピーダンス応答値NIRUNKを決定する。本発明は、生物活性物に対する感受性が未知の細胞の選択された濃度におけるNIRUNK値を生物活性物に対する感受性が予め既知の株を有する細胞の選択された濃度でのNIRを比較する段階を備える。選択された濃度でのNIRUNK値が、生物活性物に対する感受性が既知の細胞に対する選択された濃度におけるNIR値よりも大きい場合には、生物活性物に対しての感受性が既知の細胞と比較して、生物活性物に対する感受性が未知の細胞が、選択された濃度において、生物活性物に対して、より影響をうけにくいと予測する。
生物活性物に対する感受性を決定する方法の他の実施形態において、細胞は、生物活性物に対する感受性が既知の又は判定された株を有する細胞である。この方法は更に、特定の時間点或いは、連続する一式の時間点にわたって、時間の関数として、それぞれ異なる生物活性物選択濃度に対して第1のインピーダンス応答処理分布と第2のテストサンプルの第1のインピーダンス応答未処理分布をプロットする段階を備える。第2のテストサンプルは細胞と培地からなる。尚、第2のテストサンプルは、生物活性物を含まない。これにより、生物活性物の選択された濃度及び未処理細胞に対する曲線群を得ることができる。この方法は、選択された時間において、各曲線の平均勾配を算出する段階を備える。その後、各第1のインピーダンス応答処理分布の正規化勾配値を得る。この正規化勾配値は、選択された時間点での各曲線の平均勾配値を第1のインピーダンス応答未処理分布曲線の勾配値で除算することにより得られる。又は、この正規化勾配値は、第1のインピーダンス応答未処理分布曲線の勾配値により、各時間点における各曲線の平均勾配値を加減することにより得られる。更に、この方法は、生物活性物の対応する濃度の関数として、各第1のインピーダンス応答処理分布の正規化勾配をプロットする段階を備える。これにより、変化曲線の正規化率を得ることとなる。変化曲線の正規化率は、細胞に対する生物活性物の有効濃度を予測するのに利用可能である。更にこの方法は、未知の細胞株に関する正規化勾配値を決定する段階を備える。もし、未知の細胞株に対する正規化勾配値が生物活性物に対する感受性が既知の細胞株の変化曲線正規化率を超えるならば、未知の細胞株が、他の方法で決定されるように、生物活性物に対して耐性を有すると決定する。
迅速な薬剤感受性テストの非限定的な例を以下に説明する。
(実施例4:迅速な薬剤感受性テストの測定方法)
上述の如く、感染したサンプルの培養に現在多くの時間を費やしている。なぜなら、生物学的構成要素の観察可能な増殖を発生させることには時間がかかるからである。このことは、迅速な薬剤抵抗性のテストにとって主要な障害である。増殖に依存する代わりに、上記されたインピーダンスを主体とする方法は当該障害を克服し、培養可能且つ製造可能であって、迅速には培養することができない生組織の薬剤への感受性を決定することができる。この方法は、抗菌性化合物への暴露時間の間与えられるストレスに対応する微小組織の初期インピーダンス応答をモニタすることにより行なわれる。遅い増殖性を有するバクテリア(ウシ結核菌BCG(M.bovis))をイソニアジド(INH)(Sigma-Aldrich社製 ミズーリ州セントルイス)に暴露し、感受性及び抵抗性株のインピーダンスデータをとり、この結果を本発明の説明に用いる。
薬剤感受性の結果は、標準的な平板法を用いた場合多くの週を費やすものであるが、本発明では、4時間程度で得ることが可能であることをこれらの結果は示している。これらの実験において、M.bovis細胞が7H9T培養液(Becton Dickinson Microbiology Systems社製 メリーランド州スパークス)に懸濁され、5×106CFU/mlの接種材料が作成された。この接種材料は、所定の濃度のINHと混合され、カセットの一のチャンバに注入された。隣接するチャンバには、同一の培養液と適切な濃度の混合液が注入されるとともに使用された。尚、隣接するチャンバには、細胞は含まれない。この隣接するチャンバの混合液は参照として用いられた。
5つのINH薬剤濃度(0から12.5μg/ml)に対するターゲットと参照のキャパシタンス信号からのインピーダンス応答分布が得られ、図10にプロットされている。各分布は、感度の高いM.bovisからのストレス応答を示し、器官のストレス応答が、薬剤濃度により変化し、薬剤に対する感受性を反映していることを示す。
全ての応答は、開始から等倍で示されている。曲線群は、化合物の薬品濃度の関数として表され、細胞のストレス応答の変化の差異を明確に示している。
(実施例4の分析)
これら曲線の各点は、異なる測定時間において細胞、培地、薬剤の懸濁液のキャパシタンス信号を培地と薬剤の混合物のキャパシタンス信号で除算した値である。これらデータが比として構成されているので、対照(コントロール)測定は、自動的に組み込まれるものとなり、実験背景からの影響は最小限化される。全体として、インピーダンス応答分布の勾配は、薬剤濃度が増加するにつれて低減する。増殖を比較すると、一層有意なストレス応答並びに対応する細胞生存率の低下が分かる。この傾向は、対応する平板法による計数によっても確認された。尚、この平板法は、各実験の終わりに実行された。
薬剤抵抗性の測定について説明する。INHに耐性を有するM.bovisの自然発生突然変異体が単離され、特徴付けられた。7H10薬剤平板から突然変異体のコロニを単離することにより、自然発生突然変異体の単離が実行された。この薬剤平板は、0から63μg INH/mlの濃度勾配を有する(これは、0から10倍の感受性株の最小抑制濃度(MIC)に相当する)。単離の後、引き続き、第2の新鮮な7H10寒天薬剤平板上での再培養が行われた。この寒天薬剤プレートは、25μg/ml(4倍のMIC)のINH濃度を有する。この突然変異体の薬剤感受性は、標準的なマイクロ培養液希釈方法とINH−4に対する対応するMICを用いて定量化された。インピーダンス測定のために選択された突然変異体株は、約50μg/mlの値(感受性株の8倍のMIC)を有し、その耐性の確認が行なわれた。
対照(細胞を含まない培地)に対して、薬剤(12.5μg/mlのINH(2倍のMIC))の存在或いは不存在の条件下で耐性を有する突然変異体種からのインピーダンス応答が得られた。これら測定されたインピーダンス応答は互いに同等であり、図10に示す薬剤を有さない感度の高い株のインピーダンス応答と同等であった。加えて、曲線は、細胞を含まない陰性対照の平坦な応答からは質的に区別可能である。
薬剤濃度とインピーダンス応答の関係について説明する。図10には、異なるインピーダンス応答がプロットされ、簡便な形式で表示され、容易に解釈可能なものとなっている。薬剤濃度とインピーダンス応答との関係は、単一の固定時間における相対的な変化率を計算し、対応する濃度の関数の結果としてプロットされることにより明確化されている。これらのデータに対して、各曲線のインピーダンス応答の値は、たったの4時間で得られたものであり、この種の細胞の集団倍加時間の数分の一の時間で得られ、バクテリア増殖の開始前に十分なデータが得られている。平均勾配は、勾配の値と一般的な開始時間値(即ち、インピーダンス応答=1.000倍の任意単位である)から算出された。
続いて、これら勾配の各値が増殖データからの値により除算処理され、「正規化」値を得た。図11には、薬剤濃度に対する最終値がプロットされている。これらの「正規化された」データ点は、軌跡の点(曲線によって示される)の一部であり、この点は、薬剤に対する微生物のストレス応答を定量化する。これらの「正規化された」データは、感受性を示すものである。特に、図11にプロットされる点の軌跡は、薬剤INHに対する感度の高いM.bovisの株(従来の方法を用いて推測的に決定される)のストレス応答を示し、抗菌性化合物に対する細胞の感受性を決定するための予測的測定値となる。任意の薬剤濃度に対して、異なるM.bovisの株は、測定された正規化値を有し、この正規化値は、影響を受けやすい細胞からのストレス応答を表示する点の軌跡上の対応する点よりも上方に存する。この株は、薬剤への抵抗性を示し、もし標準値より下に点がある場合には、感受性が増大したことを示す。
例えば、INHの存在下及び不存在下での耐性を有する突然変異体に対して測定されたインピーダンス応答が同一である場合には、12.5μg/mlのINHへの暴露が耐性を有する突然変異体の生存率に何ら影響を与えないことを示す。このことは、8倍のMICの測定された感受性の閾値と一致している。耐性を有する株INH−4に対する正規化勾配値(図11の正方形領域の右上)の正規化勾配値が、感度の高い株に対する傾向から大きく外れて示されている。このことは、INHへの高い耐性を示している。
ストレスと感受性について説明する。
薬剤に対する感受性は、単一点の増殖の多数の試験或いは拡散勾配を介しての多数の薬剤希釈測定から、薬剤に対する感受性に関する情報が得られる。本明細書に説明される方法は、時間にわたって多数の測定からこの同一の情報を抽出するが、単一の薬剤濃度を用いる。図11にプロットされるデータは、薬剤濃度とインピーダンスから生ずるパラメータとの間の一対一の関係を示す。使用された実際の薬剤濃度に対してプロットされた測定された時系列データから生じたこのパラメータを計算することにより、薬剤に対する細胞の感受性を示す対応するストレスレベルを表すことができる。このことは、異なる細胞及び薬剤に対するアルゴリズム及びデータベース編集により達成される。
まとめると、測定される異なる微生物/薬剤濃度の組み合わせに対するそれぞれのインピーダンス応答は、一群の曲線(図10)としてともにプロットされる。これにより、一群の曲線は、処理された有機体の対応するストレス応答を完全にマップ化することができる。効率的な分析のパラメータ化は、これらの投与量−生存率曲線(図11)を作り出すために生成されるとともに用いられる。使用されるパラメータ化は、未処理細胞の増殖(同時に得られた)に関連し、全ての測定が内的に制御されていることを保証するものとなる。
(複合サンプル中の微生物の検知)
(実施例5:血中の微生物の検知)
複合試料マトリックス中で、効果的な方法を説明するために、ヒト濃縮血小板(PC)が異なる種のバクテリアに混ぜられ、BioSense社製のインピーダンス基板を用いて検知処理が行われた。複合試料を用いての作業には、追加的な考慮が必要とされる。例えば、血液の場合、血小板、残存する白血球細胞(WBC)及び赤血球細胞(RBC)が代謝活動をし、酸素及び/又はグルコースを消費する。これらは、バクテリアのストレス応答のインピーダンス測定に影響を与えることとなる。したがって、これらの細胞の存在は、最小限化される必要があり、これにより、感度の高い測定を保証可能となる。加えて、血液及び/又は他の細胞に埋設された細胞或いは、これら細胞の表面に付着したバクテリアは、遊離される必要がある。これにより、全てのバクテリアが検知され、誤った芳しくない結果を生じないことを保証できる。
以下の例において、任意の汚染バクテリアと比較して、血小板と他のヒト血液細胞の脆弱性は、有利に働くものとなる。インピーダンス検知の前に、薄い洗剤が、PCサンプルに添加される。PCサンプルは、全ての血液細胞を溶解し、同時に、任意の汚染バクテリア中の代謝ストレスを生じさせる。望ましくない信号に寄与する代謝活動可能なヒト細胞からの潜在的な干渉を薄い洗剤が取り除く。PCサンプルは、測定可能なインピーダンス応答をもたらす。このインピーダンス応答は、サンプルの特異的な応答によって、サンプル中で生存するバクテリアの存在を特定する。ひとたび溶解が完了すると、懸濁液はフィルタに通される。フィルタは、ターゲットとなるサンプル及び対照となるサンプルそれぞれに対して通過並びにバクテリアを遮るように設計される。
このプロトコルは、実用的なアッセイに対して必要不可欠な全ての考慮に対応するものである。溶解後S.epidermidis(表皮ブドウ球菌)を通過させ、効率的に濾過することは、本プロトコルを用いた場合、略100パーセントとなることが測定される。対照的に、オルトランド他(Ortolando et al)は、同様の濾過処理の後、表皮ブドウ球菌の通過を測定したが、溶解されていない白血球が低減した血小板の濃縮が、たったの約50パーセントであった。このことは、本発明に係る手法の効果並びに優位性を示すものである。
混合されたPCに対する試験について説明する。PCの新鮮なサンプル(ユニット)は、ストレスを与えられるとともに濾過されたモデルバクテリアに混合された。その後、対応するインピーダンス応答が測定された。PCの新鮮なユニットが得られ、2mlのサンプルが、PBSを用いた溶解処理を受けた。PBSは、バクテリアとの混合の代わりに行なわれたものである。溶解物はBHIを用いてその後希釈され(1:1 V/V)、5μmのシリンジフィルタに通された。これにより、バクテリア以外の大きな塊と潜在的に存する血小板集団が取り分けられる。この濾過液の一部は、0.2μmのシリンジフィルタに通され、全てのバクテリア細胞が取り除かれた。2つのカセットからなる検知チャンバが、それぞれのサンプルで満たされ、キャパシタンス信号が記録された。バクテリアを含まないPC溶解物からの平坦な基準インピーダンス応答は、図12中にプロットされている(「陰性対照」と付された赤い曲線)。最初の5分間、小さなインピーダンス応答の増加が観察される。この増加は、2つのチャンバの熱差に起因するものである。
PCの残りは、モデルバクテリアと混合するために用いられる。各場合において、103CFU/ml単位の混合物が得られた。混合の直後、上記した溶解/濾過プロトコルが行なわれ、カセットの検知チャンバが充填された。カセットは、温度制御された分析器に挿入された。2つのチャンバのキャパシタンスが記録され、インピーダンス応答が算出された。標準的な平板法を用いて、最初から最後までバクテリア細胞の数が計測された。CFUは、滴定量或いは生存率に対して統計学的に有意な損失はなく、首尾一貫したものであった。グラム陰性の大腸菌(4×103CFU/ml)、グラム陽性の表皮ブドウ球菌(3.2×103CFU/ml)と低増殖性のグラム陽性の嫌気性プロピオニバクテリウムアクネス(2.8×103CFU/ml)が同一の陰性対照とともに図12A、図12B及び図12Cにそれぞれプロットされている。ストレス因子に曝された3つのバクテリア全てからのインピーダンス応答の測定値は、明らかに、陰性対照のデータに示す平坦なインピーダンス応答とは異なり、15分間内で容易に検知可能な明らかな傾向を構成する値の連続的な減少を示している。
減少開始前の表皮ブドウ球菌並びにプロピオニバクテリウムアクネスの応答の短期間の増加も、平衡化前の温度差に起因するものである。なぜなら、高いストレスを受けた大腸菌からの応答と比較して陰性対照からの応答の大きさと信号の大きさが量的に近似するものだからである。大腸菌が、高い感受性を有し、血漿中で低い生存率を有することから、異なる血小板内で3回のサイクルを連続して得られた培養物が単離され、使用され、PC中でのこのバクテリアの適合した生存率を保証することは重要である。
3つの生組織からの比較データから以下の観察結果が導き出される。
3つのバクテリア種全てに対するインピーダンス応答が定質的に類似し、値の低下が観察され、陰性対照の平坦な応答(非混合のPC上澄液)とは非常に異なるものとなっている。
複合サンプル内のストレスを受けた微生物からのインピーダンス応答は、従来の培地内のストレスを受けた微生物からのインピーダンス応答に質的に類似する。
嫌気性バクテリア(プロピオニバクテリウムアクネス)の検知は、好気性種(表皮ブドウ球菌)或いは通性嫌気性種(大腸菌)の検知と同様に好適に実行可能である。
全ての応答は、すぐに得られ、10分から30分の間で、本発明に係る検知方法が、真に迅速であることを指し示す明確な結果をもたらす。
3つの異なるバクテリアからのインピーダンス応答は量的に異なる。これらの結果の差異は、以下の事項に起因するものと考察する。
(i)異なる種からの異なる代謝応答
(ii)バクテリア細胞数の変動
(iii)本研究で用いられたストレス因子に対する異なる感受性(影響の受けやすさ)
(iv)異なる信号ゲインを生ずるカセット間の機械的ばらつき
様々な実施形態にしたがう手順の実行を容易にするための様々なキットが本明細書に開示される。開示されるキットの一実施形態は、開示される方法にしたがう迅速な検知に利用可能であり、テストサンプルの培地中の細胞の存在或いは不存在を検知可能である。キットは、少なくとも1つのストレス因子を備える。このストレス因子は、細胞がテストサンプル中に存在する場合、細胞にストレス応答を生じさせることが予め知られている。キットは、請求項6に記載の方法を利用して、テストサンプル中の細胞の存在或いは不存在を検知するためのキットの部品を用いるための一式の説明書を備える
テストサンプル中の生存細胞の存在或いは不存在を決定するための他のキットが開示されるとともに説明される。キットは、(a)試験用に用意されたテストサンプルとストレス因子の懸濁液からなる培地と、(b)請求項14に記載の方法にしたがうキットの部品を使用するための一式の説明書を備える。これにより、テストサンプルとストレス因子の初期インピーダンス応答のレベル、細胞の生存に対する予測結果及び生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスレベルを判定可能となる。
開示される他のキットは、選択された濃度の生物活性物に対する細胞の感受性並びに生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスの大きさを判定することを容易にする。この感受性を判定するキットは、試験用に用意されたテストサンプルの細胞の懸濁液と、各濃度の生物活性物の懸濁液からなる培地と、(b)開示された方法にしたがってキットの部品を使用するための一式の説明書を備える。これにより、生物活性物の選択された濃度における細胞のストレスの大きさを決定可能となる。
(均等物)
本発明は、特に好適な実施形態を参照して示され且つ説明されてきたが、当業者が、添付の請求の範囲で定められる本発明の技術的範囲から逸脱することなしに、形式や詳細部分の様々な変更を施すことは可能である。
本発明のカセットを用いる概念の概略図であり、平板形状に基づくカセットを示す。 インピーダンスモニタリング検知システムを示す概略図である。 37℃のトリプティックソイブロス(TSB)培地中の衝撃を受けていない大腸菌(E.coli)(上側の曲線)からのインピーダンス応答と衝撃を受けた大腸菌(下側の曲線)からの初期インピーダンス応答を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る実験手順を概略的に説明する図である。 リンゴジュースから採取されたストレス、即ち、熱衝撃を与えた大腸菌からの14時間にわたるインピーダンス応答とストレスを与えていない大腸菌を比較する図である。 熱衝撃を与えた大腸菌からの初期インピーダンス応答を示すグラフである。 ストレスを受けていない大腸菌からの初期インピーダンス応答を示すグラフである。 8時間にわたる120CFU/mlの大腸菌の増殖からのインピーダンス応答を示すグラフと陰性対照のインピーダンスのグラフが示されるとともに、培養の最初の30分間における大腸菌からのインピーダンス応答を示すグラフの部分拡大図が挿入されている。挿入された図は、本実施例における初期インピーダンス応答である。 尿とトリプティックソイブロス(TSB)培地からなる1:1混合液中で増殖した145 CFU/mlの大腸菌からのインピーダンス応答を示すグラフである。 様々な濃度のイソニアジド(INH)に曝された後の約5×106 CFU/mlのウシ結核菌(M.bovis)の代謝変調を生じている間のインピーダンス応答を示すグラフであり、全ての応答は開始時から1.000倍の倍率で表示されている。 M.bovisの感受性を表示するグラフであり、4時間の増殖の後、対応する生存曲線(図10)の勾配が判定されるとともに未処理のM.bovisの増殖に対して正規化され、対応する薬剤濃度に対してプロットがなされた。耐性を有する突然変異体のINH−4に対する同様の正規化された勾配が、上側右隅の四角形としてプロットされている。 図12A、図12B及び図12Cは、大腸菌(4.0×103 CFU/ml)と混合された血小板濃縮液(PC)、表皮ブドウ球菌(3.2×103 CFU/ml)と混合された血小板濃縮液(PC)及びプロピオニバクテリウムアクネス(2.8×103CFU/ml)と混合された血小板濃縮液(PC)それぞれと陰性対照グラフをともに示す。

Claims (25)

  1. ストレス因子に対する細胞のストレス応答を迅速にモニタし、ストレス応答の大きさを判定する方法であって、
    (a)電圧及び/又は電流をモニタするのに好適な条件の下、細胞及び培地からなるテストサンプルに電場を与える段階と、
    (b)前記電圧及び/又は前記電流をモニタする段階と、
    (c)前記ストレス因子が前記テストサンプルに衝撃を与えることを可能とする段階を備え、前記ストレス因子は、電場を与える前に供給されるストレス因子、電場を与えるのと略同時に供給されるストレス因子及び電場を与えた後に供給されるストレス因子から選択され、
    (d)前記方法は更に、前記テストサンプルの初期インピーダンス応答をモニタする段階を備え、前記テストサンプルの初期インピーダンス応答は、電場印加と略同時点の第1のインピーダンス測定からこの後測定される前記測定サンプルのインピーダンスがストレス応答或いは非成長を示す時点までの遷移期間における前記テストサンプルのインピーダンス変化であり、これにより、前記細胞の前記ストレス因子に対するストレス応答がモニタされ、
    (e)前記方法は更に、前記テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルを判定する段階を備え、
    前記テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルが、前記細胞のストレス応答の大きさを指し示し、これにより、前記ストレス因子に対する前記細胞の前記ストレス応答の大きさが判定されることを特徴とする方法。
  2. 前記段階(e)において判定される前記テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルを、
    (i)ストレス因子を含む培地或いはストレス因子を含まない培地からなる第1の参照サンプルのインピーダンス応答を表す第1の標準値、
    (ii)細胞と培地からなる第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答を表す第2の標準値
    と数学的に比較する段階を更に備え、
    前記第1の参照サンプルは、前記細胞を含まず、
    前記第2の参照サンプル内の細胞は、前記テストサンプル内の細胞と同一種且つ同濃度であり、
    前記第2の参照サンプルは、前記ストレス因子を含まず、
    前記方法は更に、前記テストサンプルの第1のインピーダンス応答分布に対する値を決定する段階を備え、
    該第1のインピーダンス応答分布に対する値が、前記段階(e)で判定される前記テストサンプルの初期インピーダンス応答と前記第1の標準値及び/又は第2の標準値との数学的比較に基づくことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記細胞が、原核生物細胞と真核性細胞から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記細胞に供給される前記ストレス因子が、既知の生物学的活性物への前記細胞の接触であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記既知の生物学的活性物が、薬学的に活性を有する物質、抗癌剤、生体毒素、ウィルス、ストレスを作り出すことが可能な他の物質並びにこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 細胞が存在している場合のストレス応答或いは細胞が不存在或いは死滅している場合のストレス応答の不存在をモニタすることにより、前記細胞の存在或いは不存在を迅速に検知する方法であって、
    (a)電圧及び/又は電流をモニタするのに好適な条件の下、細胞及び培地からなるテストサンプルに電場を与える段階と、
    (b)前記電圧及び/又は前記電流をモニタする段階と、
    (c)前記ストレス因子が前記テストサンプルに衝撃を与えることを可能とする段階を備え、前記ストレス因子は、電場を与える前に供給されるストレス因子、電場を与えるのと略同時に供給されるストレス因子及び電場を与えた後に供給されるストレス因子から選択され、
    (d)前記方法は更に、一の特定の時間点又は連続する時間点の組にわたって前記テストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備え、前記テストサンプルの初期インピーダンス応答は、電場印加と略同時点の第1のインピーダンス測定からこの後測定される前記測定サンプルのインピーダンスがストレス応答或いは非増殖を示す時点までの遷移期間における前記テストサンプルのインピーダンス変化であり、
    (e)前記方法は更に、各時間点における前記テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルを評価する段階を備え、各時間点における前記テストサンプルの初期インピーダンスのレベルが、前記細胞のストレス応答のレベルを指し示し、これにより、前記テストサンプル中に前記細胞が存在するならば、前記ストレス因子に対する前記細胞のストレス応答をモニタし、或いは、前記細胞が前記テストサンプルに存在しない或いは死滅しているならば、前記ストレス応答の不存在をモニタし、前記テストサンプル中の前記細胞の存在或いは不存在を迅速に検知することを特徴とする方法。
  7. 前記テストサンプル中に前記細胞が存在するか否かを確認する段階を更に備え、該確認する段階が、
    (i)前記ストレス因子を備える培地或いは前記ストレス因子を備えない培地からなる第1の参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備え、前記第1の参照サンプルは、細胞を含まず、及び/又は、
    (ii)前記確認する段階が、前記細胞と前記培地からなる第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備え、前記第2の参照サンプルの前記細胞が、前記テストサンプル中の細胞と同濃度であり、前記第2の参照サンプルはストレス因子を含まず、前記第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答は、電場印加と略同時点の前記第2の参照サンプルに対する第1のインピーダンス測定からこの後測定される前記測定サンプルのインピーダンスがストレス応答或いは非増殖を示す時点までの遷移期間における前記第2の参照サンプルのインピーダンス変化であり、
    (iii)前記確認する段階が、前記段階(d)にて得られた前記テストサンプルの前記初期インピーダンス応答を前記第1の参照サンプルのインピーダンス応答及び/又は前記第2の参照サンプルの初期インピーダンス応答と比較する段階と、
    (iv)前記段階(iii)の比較を評価し、これにより、前記テストサンプル中の前記細胞の存在或いは不存在を確認することを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記細胞が、原核生物細胞と真核性細胞から選択されることを特徴とする請求項6記載の方法。
  9. 前記細胞が真核性細胞であり、
    該真核性細胞は、原生生物、菌類、非形質転換ヒト細胞、非形質転換動物細胞、形質転換ヒト細胞及び形質転換動物細胞から選択され、
    前記真核性細胞は、接着依存性であるとともに前記テストサンプルの培地が更に、懸濁された培養マイクロビーズを備え、該マイクロビーズは、細胞外マトリックスのコーティングを備え、該細胞外マトリックスが、前記真核性細胞を接着可能であることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 前記細胞が、原核生物細胞又は真核性細胞であり、
    前記テストサンプルの培地及び前記参照サンプルの培地が更に、懸濁されたビーズを備え、
    該ビーズは、特定のレセプタのコーティングを備え、
    前記特定のレセプタが、前記原核生物細胞又は真核性細胞を接着可能であることを特徴とする請求項8記載の方法。
  11. 前記レセプタが、生物学的に活性な成分を備え、
    該活性成分が、免疫反応から生ずる成分、核酸から生ずる成分及び特定の細胞を見極めるために使用可能な他の化合物から生ずる成分から選択されることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記細胞に供給される前記ストレス因子が、既知の生物学的活性物への前記細胞の接触であることを特徴とする請求項6記載の方法。
  13. 前記既知の生物学的活性物が、薬学的に活性を有する物、抗癌剤、生体毒素、ウィルス、ストレスを作り出すことが可能な他の物質並びにこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 生物学的に活性を有する物及び前記生物学的に活性を有する物の選択された濃度における細胞のストレスレベルに対する細胞の感受性の予測結果を決定する方法であり、
    前記細胞の感受性のレベルは予め既知であり、又は、前以って知られていないものであり、前記方法は、
    (a)(i)一の特定の時間点又は連続する時間点の組にわたってテストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備え、前記テストサンプルは、細胞、培地及び選択された濃度の前記生物学的に活性を有する物からなり、前記方法は更に、培地と前記選択された濃度の生物学的に活性を有する物からなる参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備え、前記参照サンプルは、前記細胞を含まず、
    (ii)前記方法は、前記各時間点において、第1のインピーダンス応答処理分布を決定する段階を備え、該第1のインピーダンス応答処理分布は、前記段階(a)(i)にて決定されるテストサンプルの初期インピーダンス応答と、前記段階(a)(i)の各時間点で決定される参照サンプルのインピーダンス応答の数学的比較であり、
    (iii)前記方法は、必要に応じて、前記生物学的に活性を有する物の選択された濃度について、前記段階(a)(i)と前記段階(a)(ii)を繰り返し、前記既知の生物学的に活性を有する物の異なる選択濃度それぞれに対する前記第1のインピーダンス応答処理分布を求め、
    (b)(i)前記方法は更に、前記特定の時間点或いは連続する時間点の組にわたって第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答を測定する段階を備え、前記第2のテストサンプルは前記細胞と前記培地からなり、前記第2のテストサンプルは前記生物学的に活性を有する物を含まず、前記方法は更に、培地からなる参照サンプルのインピーダンス応答を測定する段階を備え、前記参照サンプルは細胞を含まず、
    (ii)前記方法は、第1のインピーダンス応答未処理分布を算出する段階を備え、該第1のインピーダンス応答未処理分布は、前記段階(b)(i)にて決定される第2のテストサンプルの初期インピーダンス応答と各時間点において前記段階(b)(i)にて決定される参照サンプルのインピーダンス応答の数学的比較であり、
    (c)前記生物学的に活性を有する物の各選択濃度に対して、正規化インピーダンス応答値NIRを決定し、該NIRが、前記段階(a)(ii)及び/又は段階(a)(iii)で得られる第1のインピーダンス応答処理分布値を前記段階(b)(ii)で得られる前記第1のインピーダンス応答未処理分布値に関連付けるアルゴリズムにより決定される数値であり、前記第1のインピーダンス応答未処理分布値が前記NIRに組み込まれ、前記決定されたNIR値が、前記生物学的に活性を有する物の選択された濃度における前記細胞のストレスのレベルの定量測度であることを特徴とする方法。
  15. 前記段階(a)(i)で決定されるテストサンプルの初期インピーダンスと各時間点において前記段階(a)(i)にて決定される前記参照サンプルのインピーダンス応答の前記段階(a)(ii)にて行われる数学的比較が、
    前記段階(a)(i)にて決定される前記テストサンプルのインピーダンス応答と各時間点において前記段階(a)(i)にて決定される参照サンプルのインピーダンス応答の比と、
    前記段階(a)(i)にて決定される前記テストサンプルのインピーダンス応答と各時間点において前記段階(a)(i)にて決定される前記参照サンプルのインピーダンス応答との間の差異から選択されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  16. 前記NIRを決定されるために用いられるアルゴリズムが、前記第1のインピーダンス応答処理分布値と前記第1のインピーダンス応答未処理分布値間の数学的比率或いは差の絶対値から選択されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  17. 前記細胞が、前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が前以って知られたものであり、
    第2の細胞を用いて、前記段階(a)、(b)及び(c)を繰り返す段階を更に備え、
    前記第2の細胞は、前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が未知のものであるとともに前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が前以って知られた前記細胞と同一種であり、これにより、前記生物学的に活性を有する物に対して未知の感受性を有する細胞の正規化インピーダンス応答値NIRUNKが決定され、
    前記方法は、前記選択された濃度における前記生物学的に活性を有する物に対する未知の感受性を有する細胞のNIRUNK値と前記生物学的に活性を有する物に対しての前以って知られた株を有する細胞の選択された濃度におけるNIR値を比較する段階を備え、
    前記選択された濃度におけるNIRUNK値が前記生物学的に活性を有する物に対しての感受性が前以って知られた細胞の選択された濃度におけるNIR値よりも大きい場合には、前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が未知の細胞が、選択された濃度において、前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が前以って知られた細胞よりも影響を受けにくいと予測されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  18. 前記細胞が既知の株を有する細胞或いは前記生物学的に活性を有する物に対して感受性を有すると判明した細胞であり、
    前記方法は、前記特定の時間点或いは前記連続する時間点の組に対して、時間の関数として、前記生物学的に活性を有する物の異なる選択濃度それぞれに対する前記第1のインピーダンス応答処理分布と前記細胞と前記培地からなる第2のテストサンプルの第1のインピーダンス応答未処理分布をプロットする段階を備え、前記第2のテストサンプルは前記生物学的に活性を有する物を含まず、これにより、選択濃度並びに未処理細胞に対する曲線群が得られ、
    前記方法は、選択された時間点における各曲線の平均勾配を算出する段階と、
    前記選択された時間点での各曲線の平均勾配の値を前記第1のインピーダンス応答未処理分布の曲線勾配の値で除算する或いは前記選択された時間点における各曲線の前記平均勾配の前記値を前記第1のインピーダンス応答未処理分布曲線の勾配の値で修正することにより各第1のインピーダンス応答処理分布に対する正規化された勾配値を得る段階と、
    前記生物学的に活性を有する物の対応する濃度の関数として、各第1のインピーダンス応答処理分布の正規化された勾配をプロットし、細胞に対する生物学的に活性を有する物の有効濃度を予測するために用いる変化曲線の正規化率を得る段階と、
    未知の細胞株に対する正規化された勾配値を決定する段階を備え、
    前記未知の細胞株に対する前記正規化された勾配値が、前記生物学的に活性を有する物に対する感受性が知られている細胞株の変化曲線の正規化率より上であるならば、他の方法により決定されるように、前記未知の細胞株が、前記生物学的に活性を有する物に対して、耐性を有すると判断することを特徴とする請求項14記載の方法。
  19. 前記細胞が、原核生物細胞と真核性細胞から選択されることを特徴とする請求項14記載の方法。
  20. 前記細胞が真核性細胞であり、
    該真核性細胞は、原生生物、菌類、非形質転換ヒト細胞、非形質転換動物細胞、形質転換ヒト細胞及び形質転換動物細胞から選択され、
    前記真核性細胞は、接着依存性であるとともに前記テストサンプルの培地が更に、懸濁された培養マイクロビーズを備え、該マイクロビーズは、細胞外マトリックスのコーティングを備え、該細胞外マトリックスが、前記真核性細胞を接着可能であることを特徴とする請求項19記載の方法。
  21. 前記細胞が、原核生物細胞又は真核性細胞であり、
    前記テストサンプルの培地及び前記参照サンプルの培地が更に、懸濁されたビーズを備え、
    該ビーズは、特定のレセプタのコーティングを備え、
    前記特定のレセプタが、前記原核生物細胞又は真核性細胞を接着可能であることを特徴とする請求項19記載の方法。
  22. 前記レセプタが、生物学的に活性な成分を備え、
    該活性成分が、免疫反応から生ずる成分、核酸から生ずる成分及び特定の細胞を見極めるために使用可能な他の化合物から生ずる成分から選択されることを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 請求項6に記載の方法にしたがって、培地のテストサンプル内に細胞が存在するか否かを迅速に検知するキットであって、
    前記テストサンプル内に前記細胞が存在するならば、ストレス応答を前記細胞に生じさせることが前以って知られている少なくとも1つのストレス因子と、
    請求項6に記載の方法にしたがって、前記テストサンプル内に前記細胞が存在するか否かを検知するために前記キットの部品を使用するための一式の説明書を備えることを特徴とするキット。
  24. 請求項14に記載の方法にしたがってテストサンプル内の生存細胞の有無を判定するキットであって、
    (a)テストサンプルとストレス因子の懸濁液をテスト用に準備するための培地と、
    (b)請求項14の方法にしたがって、前記テストサンプルの初期インピーダンス応答のレベルと、細胞の生存に対する予測結果と前記生物学的に活性を有する物の前記選択された濃度における前記細胞のストレスレベルを判定するために前記キットの部品を使用するための一式の説明書を備えることを特徴とするキット。
  25. 生物学的に活性を有する物の選択された濃度における細胞の感受性と前記生物学的に活性を有する物の選択された濃度における前記細胞のストレスレベルに対する予測結果を請求項14に記載の方法にしたがって判定するためのキットであって、
    (a)前記細胞のテストサンプルの懸濁液と前記生物学的に活性を有する物の各濃度の懸濁液をテスト用に準備するための培地と、
    (b)請求項14に記載の方法にしたがって、各濃度の前記生物学的に活性を有する物に対する前記細胞の前記テストサンプルの前記初期インピーダンス応答のレベル、選択された濃度の前記生物学的に活性を有する物に対する前記細胞の感受性に対する予測結果及び前記生物学的に活性を有する物の前記選択された濃度における前記細胞のストレスレベルを決定するために前記キットの部品を使用するための一式の説明書を備えることを特徴とするキット。
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