JP2009522314A - プロリンリッチペプチド、医薬組成物、1つ又は複数のペプチドの使用及び治療方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、多様な標的と結合して、動物細胞のアルギニノコハク酸シンターゼの活性を増強し、及び/又は動物細胞中の細胞内二価カルシウムイオンを増大させることにより、哺乳動物細胞中の一酸化窒素(NO)の生成の増大及び維持をもたらすことができる、配列番号1〜18で示すアミノ酸配列を含むアミノ酸配列を有するオリゴペプチドを提供する。本発明中に記載した1つ又は複数のペプチドの医薬組成物も開示する。本発明はさらに、これらのペプチドの使用に関する。
Description
本発明のペプチドは、多様な標的と結合して、哺乳動物細胞中の一酸化窒素(NO)の生成の増大及び維持を促進することができる。このように、本発明のペプチドは、アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)の活性を増強し、及び/又はカルシウムイオンの細胞内濃度[Ca2+]iを増大させることによって、細胞中での一酸化窒素の生成において相乗的に作用する。その活性をNOの生成の維持に集中させることができるので、これらのペプチドは、特に心臓血管疾患を含めたNOの欠乏が関与する病状の治療及び/又は予防に有用である。
近年の研究で、一酸化窒素(NO)濃度の低下が幾つかの病状、特に動脈性高血圧、冠動脈性疾患及びうっ血性心不全など心臓血管機能障害と関係があると示されている。
NOは、重要なパラクリンメディエーターであるので、中枢神経系及び末梢神経系、排出、胃腸及び免疫系、並びに全身、腎臓、及び冠血行動態などの心臓血管以外の他の必須系の制御にも重要である。したがって、NOの欠乏は、前に挙げた心臓血管疾患以外に、神経系、胃腸系、免疫系の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、さらに、勃起機能障害を含めた幾つかの病状と直接関係がある[Bredt D.S.「内因性の一酸化窒素合成:生物学的機能及び病態生理。(Endogenous nitric oxide synthesis:biological functions and pathophysiology.)」Free Radical Res.31:577〜596、1999]。
NOの欠乏は、NO不活性化率の増大、NO合成の低下、又は両方の組合せの結果である可能性がある。心臓血管疾患を治療及び/又は予防するため、及びNOの欠乏と関係がある他の病状を治療するための、利用可能及び/又は生成NOの量の増大を目的とする幾つかの薬剤及び治療剤が開発されている。内皮細胞によって生成されるNOは、例えば血管平滑筋細胞に急速に拡散し、血管拡張を助長する。中枢又は末梢神経組織もNOを生成することができる。神経系においてNOは神経伝達物質として機能し、例えば交感神経系活性の調節において重要な役割を果たし、したがって動脈血圧の調節の生理及び病理に関与する[Ramchandra R、Barrett CJ、Malpas SC.「血圧の調節における一酸化窒素及び交感神経系活性。(Nitric oxide and sympathetic nerve activity in the control of blood pressure.)」Clin Exp Pharmacol Physiol.32(5〜6):440〜446、2005.Review]。
NOはL−アルギニンから合成され、それは最初にニコチン−アデニン−ジヌクレオチド−リン酸−水素(NADPH)及び二価カルシウムイオン(Ca2+)の存在下で中間体NG−ヒドロキシ−L−アルギニンに変換される。その後NG−ヒドロキシ−L−アルギニンは、NADPH及び酸素(O2)、及び3個の一酸化窒素シンターゼアイソザイムの1個、ヘムタンパク質NOSの存在下でL−シトルリン及びNOに変換される。今日まで3個のアイソザイムが単離されてきており、そのうち2個は構成的に発現され(NOS−イソ型I及びIII)、且つ1個は誘導される(iNOS−イソ型II)[Bredt D.S.「内因性の一酸化窒素合成:生物学的機能及び病態生理。(Endogenous nitric oxide synthesis:biological functions and pathophysiology.)」Free Radical Res.31:577〜596、1999]。
NOの合成に必要な他の非常に重要な酵素はアルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)であり、これはアルギニン(NO合成の基質)への(NO合成中に生成される)シトルリンの循環における律速段階を触媒し、それによって内皮細胞中のNOの持続的生成を助長する[Pendletonら、J.Biol.Chem.、280:24252〜24260(2005)]。AsSと内皮NOS(eNOS)の同時局在は、カベオラ、内皮細胞の細胞質膜の区画に存在したことが実証された。刺激の不在下では、循環レベルはこれらの細胞中で最小である。しかしながら、例えばCa2+の細胞内濃度[Ca2+]iの増大によってNOSが刺激されると、生成されるシトルリンの80%より多くはシトルリン−NO経路によってアルギニンに循環され、それによってNOの持続的生成が活性化される。したがって、有効なカベオラ複合循環は、内皮NO生成の受容体介在性刺激を助長する[Solomonsonら、J.Exp.Biol.206:2083〜2087(2003);Shuttleworthら、Neurosci.、68:1295〜1304(1995)]。
内皮中では、NOは血管内皮保護物質として機能し、血管の平滑筋の収縮を遮断し、血小板の活性化を阻害し、白血球接着、及び好中球漏出を改変することによってインテグリンに作用する[Pollockら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:10480〜10484、1991;Furchgott、JAMA、276:1186〜1188(1996)]。
動脈血圧の調節に関して、血管内皮によって合成されたNOは、哺乳動物における血管の緊張を制御するのに非常に重要であることが示されている[Vallanceら、Cardiovasc.Res.、23:1053〜1057(1989)]。他方で、長く続く血管拡張は内皮細胞によるNO生成の持続的増大に依存し[(Huangら、Nature、377:239〜242(1995);Sheselyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:13176〜13181(1996)]、これはカベオラ中でのNO生成の唯一の基質であるアルギニンへのシトルリンの循環を必要とする。何故ならこれらの細胞は、他の細胞区画からのアルギニンを利用しないからである[Pendletonら、J.Biol.Chem.、280:24252〜24260(2005);Solomonsonら、J.Exp.Biol.、206:2083〜2087(2003)]。
したがって、酵素AsS及びNOSに関する経路は、内皮、全身、腎臓、及び冠血行動態機能、血小板接着及び凝集、心筋細胞肥大、及び血管平滑筋細胞の増殖、及び繊維症の制御において重要な役割を有する[Govers及びeRabelink、Am.J.Physiol.Renal Physiol.、280:F193〜F206(2001);Vallance及びChan、Heart、85:342〜350(2001);Huangら、Nature、377:239〜242(1995)]。
他の機構中で、高レベルのNOの維持は、MaxiKチャンネルの活性化による血管の弛緩を誘導し、膜過分極を引き起こすはずである。イオンチャンネルMaxiKと関係がある、この薬理機械的及び電気生理学的機構は、NOによって誘導される血管の弛緩における重要な因子である(Tanakaら、J.Smooth Muscle Res.、40:125〜153(2004)]。
細胞内Ca2+濃度[Ca2+]iは、MaxiKチャンネルによる血管の弛緩とも関係がある。何故なら、チャンネルがCa2+によって活性化されるK+チャンネルファミリーに属する場合、細胞内Ca2+の増大は細胞のMaxiKチャンネルの活性化をもたらす可能性があるからである[(Tanakaら、J.Smooth Muscle Res.、40:125〜153(2004)]。
例えばCa2+の細胞内恒常性の制御としての細胞内事象のシグナル伝達に、NOが影響を与えることはよく知られている。実際NOは、イノシトール三リン酸介在性Ca2+動員を刺激することによって、筋小胞体/小胞体のCa2+ATPaseの阻害によるサイトゾルCa2+の蓄積の増大によって、及びCa2+チャンネルによる細胞外のCa2+流入を刺激することによって、血管の[Ca2+]iを増大させる。言い換えると、NO生成の増大によって[Ca2+]iを介したCa2+シグナル伝達が増大し、血管の収縮及び緊張を制御する[Touyuz、Antioxid.Redox Signal.、7(9〜10):1302〜1314(2005)]。
他方で、例えばブラジキニンのような循環エフェクターは、管腔表面で内皮細胞受容体と結合し、[Ca2+]iの増大を引き起こし、次いでカルシウム−カルモジュリン複合体形成によって内皮細胞一酸化窒素シンターゼ(eNOS)を活性化する。
したがって、[Ca2+]iを介した、及びMaxiKチャンネルを介した、その直接的又は間接的影響によって、内皮NOは心臓血管の恒常性の制御に必要不可欠である。さらに、プロスタサイクリンと共に、NOは強い抗催奇性、及び血小板凝集及び細胞接着を妨げることによる抗血栓耐性特性も有する[Furchgott、JAMA、276:1186〜1188(1996);Zhou e Frohlich、Am.J.Nephrology、25:138〜152(2005)]。
利用可能なNOの量を増大させ、及び/又は生成するNOの量を増大させる幾つかの薬剤及び治療剤が、心臓血管疾患、及びNOの欠乏と関係がある他の疾患を治療又は予防するために開発されてきている。米国特許第6,447,768号は、NOSのコード配列を含むベクターを利用する遺伝子療法を使用して、酵素の利用性を高め、それによってNO合成を増大させることを記載している。有望ではあるが、遺伝子療法は依然としてあまりよく知られておらず、それは侵襲性であり、先天的なリスクが高い。他方で、通常併用療法に基づく記載した従来の療法は、幾つかの薬剤を同時に利用する。米国特許第6,635,273号は、L−アルギニンからL−シトルリンへの酸化によってNO合成を間接的に刺激する抗酸化剤、及びACE阻害剤、及び/又はβ遮断薬及び/又はカルシウムチャンネルのアンタゴニストを使用する、心臓血管疾患の併用療法を記載している。
この療法の欠点は、抗酸化剤はNO生成においてわずかな変化をもたらし、抗酸化剤それ自体では高血圧を有効に治療するのに充分でない可能性があり、したがって異なる標的に作用する他の抗高血圧剤を用いる併用療法を必要とする事実にある。
心臓血管疾患において内皮NOの生成を増大させる他の間接的な方法は、ACE阻害剤による方法である可能性がある。何故なら、これらの阻害剤の抗高血圧及び心臓保護効果は、内皮NOの生成の増大[Zhangら、X、J.Pharmacol.Exp.Ther.、288:742−751(1999)]、及び増大した内皮機能[Horningら、Circulation、95:1115〜1118(1997)]をもたらすブラジキニン分解の減少の結果として、少なくとも部分的には説明されているからである。しかしながら、このNOの生成の増大は間接的な効果であり、心臓血管疾患を適切に治療及び/又は予防するのに不充分である。さらに、ACEの阻害は副作用を引き起こす可能性がある。何故ならこの酵素は、他の生理的過程と関係があるからである[Zhangら、X、J.Pharmacol.Exp.Ther.、288:742〜751(1999)]。
さらに近年、Keefer及び共同研究者(米国特許第4,954,526号、米国特許第5,039,705号、米国特許第5,155,137号、米国特許第5,208,233号、米国特許第5,405,919号及び米国特許第6,949,530号)は、加水分解した後、又は酸の存在下で、又は分解した後、NOを放出する幾つかの化合物の使用を記載した。これらの化合物は外因的にNOを放出し、内因性NOの合成には作用しない。さらにこれらの化合物は、それらの崩壊及びNOの放出後に、発癌性ニトロソアミンの望ましくない放出という潜在的リスクを示す強烈な欠点を示す。
ブラジル特許出願BR0400192は、Bothrops jararacaヘビの毒液から抽出したペプチドを含む医薬組成物を特許請求し、その組成物はアセチルコリン受容体のアゴニスト、部分的アゴニスト、アンタゴニスト又はアロステリック調節因子として作用し、その組成物はコリン作動性受容体の機能障害によって引き起こされる障害に作用する。さらに他のブラジル特許出願BR0205449は、Bothrops jararacaヘビの毒液から抽出したペプチドを含む医薬組成物を特許請求し、その組成物は血管ペプチダーゼを阻害することができ、エバシンと命名され、慢性退行性疾患を治療するための薬剤として使用される、医薬品クラスのアンギオテンシン変換酵素阻害剤に対する代替として示された。当業者により容易に立証されるように、いずれの特許出願も、本発明の化学的性質及び薬剤学的性質を示す、NOの持続的生成におけるこれらの天然に存在するペプチドの関与を特許請求していない。
米国特許第3,819,831号は、Bothrops jararacaの毒液の抽出分画から得たオクタペプチドアンギオテンシンIIへのデカペプチドアンギオテンシンIの変換を阻害する、アンギオテンシン変換酵素阻害剤に関する。米国特許第4,105,776号、米国特許第4,129,571号、及び米国特許第4,154,960号は、動脈性高血圧を治療するために使用される医薬品カプトプリル(D−3−メルカプト−2−メチル−l−オキソプロピル−L−プロリン)、よく知られている活性部位特異的ACE阻害剤を含むアミノ酸プロリンの合成誘導体、及び中でも特にその新たな誘導体エナラプリル及びリシノプリル(米国特許第4,374,829号)に関する。
これらのACE阻害剤は、高血圧の治療、アテローム性動脈硬化症を有する高リスク患者における臨床兆候の減少、左心室機能障害の改善、心筋梗塞後の臨床兆候の減少、並びにうっ血性心不全患者における罹患率及び死亡率の低下において有効である[Yusufら、N.Engl.J.Med.、342:145〜153(2000)]。
しかしながら、ACE阻害剤の文書化された臨床効果にもかかわらず、相当数の高血圧患者はACE阻害剤を使用する単剤療法によって適切に制御されず、利尿薬、β遮断薬、及び/又はカルシウムチャンネルのアンタゴニストを含む併用療法が必要とされる[Yusufら、N.Engl.J.Med.342:145〜53(2000)]。ここで記載した事実にもかかわらず、罹患率及び死亡率はこれらの患者において依然として高い状態である[急性不完全骨折におけるラミプリルの有効性(AIRE)(The Acute Infarction Ramipril Efficacy(AIRE))]Study Investigators、Lancet、342:821〜828(1993);Koberら、N.Engl.J.Med.、333:1670〜1676(1995)]。
さらに、ACE阻害剤の治療有効性に関して、必要とされる用量はin vivoでのアンギオテンシンIIへのアンギオテンシンIの変換を阻害することができ、ブラジキニンを不活性化することができる用量であることを言及することは重要である。したがって、抗高血圧効果を得るために、その用量は、例えば本発明で使用する抗高血圧用量より1000倍高い。ACEはキニン−アンギオテンシン系と関係があるだけでなく、他の生理的機能を有することは周知であるので[Cottonら、「ブラジキニンペプチドを増強することによるアンギオテンシンI変換酵素のC−ドメインの選択的阻害(Selective inhibition of the C−domain of angiotensin I converting enzyme by bradykinin potentiating peptides)」Biochemistry41:6065〜6071、2002]、これらの阻害剤は非常に多くの副作用及び有害反応を引き起こし、そのうちの幾つかは血管神経性浮腫、皮膚発疹、空咳、低血圧、血液細胞機能障害、及び勃起機能障害などの重症である可能性があることは理解される。
したがって現在の治療戦略は、幾つかの疾患の過程を有意に改変するその能力は限られる。何故なら、それらは個々の独立した標的に影響を与え、通常一時的且つ不完全な利点を患者に与えるからである。例えば、幾つかの心臓血管疾患は、最終的に持続的なNOの生合成の制御に影響を与える多因子疾患であり、したがって、NOの生合成を相乗的に上方制御する多数の標的に作用する薬剤は、治療戦略に対する来るべき有効な代替である可能性がある。
前記脱制御の1つは、例えば動脈性高血圧を引き起こす、NOの持続的生成に影響を与える脱制御である。したがって、NOの持続的生成は高血圧の治療及び予防、並びにNOの欠乏と関係がある他の疾患の治療及び予防に重要である。
現況技術において認めることができるように、現在まで、NOの欠乏と関係がある障害を治療するために開発された製品は、それらの化学的性質に関する不都合、それらの入手、有効性及び副作用の難点を与える。
本明細書に記載するオリゴペプチド又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含む、本発明中に記載した医薬組成物は、酵素AsSを活性化すること、又は内皮細胞中の[Ca2+]Iの増大を助長することなどによって、多数の機構により一酸化窒素の生合成を活性化することができる。したがって、本明細書に記載する方法によって治療することができる、NOの欠乏によって引き起こされる疾患には、心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、勃起機能障害、及び胚芽細胞の生成の調節がある。それらは人間医学及び獣医学において使用することができる。
開示を鑑みると、本発明は、多様な標的と結合することができ、アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)酵素を活性化し、及び/又は細胞内の二価カルシウムイオン(Ca2+)の濃度を増大させるなど、NO生合成を直接刺激することによって哺乳動物細胞中のNOの生成を相乗的に増大させることができるマルチリガンドオリゴペプチドを提供する目的を有する。
本発明の他の目的は、本発明中に記載したオリゴペプチドを利用する医薬組成物を提供することである。
本発明の第三の目的は、NOの欠乏が関与する疾患において使用する医薬品を製造するための、本発明中に記載したオリゴペプチドの使用である。
本発明の他の目的は、本発明中に記載したオリゴペプチドを利用する、NOの欠乏が関与する病状の治療方法及び/又は予防方法を提供することである。
本発明は、高血圧、糖尿病、血栓症、アンギナ、心臓病、及びアテローム性動脈硬化症などの一酸化窒素(NO)と関係がある機能障害及び状態を治療するためのプロリンリッチオリゴペプチドを提供する。本発明者らは、本発明中に記載した幾つかの合成プロリンリッチオリゴペプチド(Z−プロ)は、体重1kg当たり約0.01nmol〜900nmol、好ましくは体重1kg当たり0.1nmol〜200nmol、より好ましくは体重1kg当たり約0.5〜80nmolの一回用量として静脈内注射すると、正常血圧ラットの平均動脈血圧ではなく、高血圧自然発症ラット(SHR)の平均動脈血圧を低下させることを観察した。SHRにおいて実施したアッセイは、体重1kg当たり0.5〜80nmolの用量の本発明のプロリンリッチオリゴペプチドはこれらの動物の動脈血圧を30〜50mmHg低下させることができたこと、及びこの効果は6時間を超えて持続したことを示した。図11A〜E中に例示するように、この型の平均動脈血圧の低下は急には起こらないが、本発明のペプチドを注射してから約60分から120分後、好ましくは90分後に始まる。
本発明の他の実施形態では、正常血圧ラットにおける血圧降下効果の欠如を示すが、実施例14中に示すデータに限られない。したがって、SHRにおいて抗高血圧効果を示した用量より1000倍高い用量を与えたときでさえ、正常血圧ラットは平均動脈血圧の著しい変化を受けない。
本発明者らは、SHRにおいて本発明のペプチドの抗高血圧効果を生み出すことができる用量は、in vivoでアンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害するのに必要とされたペプチド濃度より少なくとも3桁低かったことも観察した。本発明のペプチドと対照的に、カプトプリル、ACEの部位特異的阻害剤は、約1000倍高いモル用量、即ちin vivoでACEの活性を阻害することができる用量でのみ抗高血圧活性を発揮することができた(例えば体重1kg当たり10μmol、図11E)。実施例12、図11A〜E中に例示したこれらの観察結果は、配列番号4及び配列番号8のペプチドを指すが、決してここに示した実施例に限られない。現況技術において広く見ることができるように、例えば動脈血圧を調節するために、大部分の薬剤によって用いられる代謝経路は、ACE阻害剤によるブラジキニンの分解の直接的阻害である。実際我々は、本明細書に記載する化合物は、ACEを阻害する薬剤に関して記載された機構と完全に異なる機構によって作用し、これらは現在利用されていることを示す。したがって、本発明は薬学的関心を呼び覚ますはずである。何故ならACE阻害剤はACE阻害の結果である血管性浮腫、腎機能障害、咳、及び低血圧などの多数の副作用を示し、これらは現況技術において広く記載されているからである[Leeb−Lundbergら、Pharmacological Rev.、57:27〜77、(2005)]。
本発明は、本明細書に記載するペプチドの影響と、腎臓による一酸化窒素(NO)の持続的生成の関連付けを可能にする方法も提供する。NOは多数の生物学的効果、特に生理的機能、及び病状の制御に影響を与える効果を示す。本発明者らは、本発明のペプチドは、マウスに注射すると腎臓中に選択的に濃縮することを観察した。実施例8に限られないが、実施例8は配列番号8のペプチド/125Iの生物学的利用能を例示する。このペプチドをマウスに腹膜内注射すると、放射能は腎臓中に急速に濃縮し、注射用量の濃度の約15%の等量が、3時間を超えてこの組織中に留まる。他のマウス組織と比較すると、腎臓は組織1グラム当たりで他の組織中において見られた濃縮より10倍高い濃縮を示す。ペプチドは主に腎臓組織中では、通常は血液及び組織のペプチダーゼにより非常に急速に分解されるので、この事実は驚きである。in vitroにおいてプロリンリッチペプチドは、タンパク質分解に耐性があることは知られている。分解に対するこの耐性は、本発明のペプチドを腹膜内注射したマウスの尿中に見られる完全ペプチドの分布で表される。実施例9に限られないが、実施例9中に例示したように、ただ1つのC末端プロリンを示す配列番号1のペプチド以外は、全てのペプチドは大部分がその完全形で分泌されることは明らかである(実施例9、表2)。
腎臓が動脈血圧の調節において中心的役割を果たすこと、NO生成におけるその高い有効性と一致する事実は知られている。したがって、本発明の他の態様では、体重1kg当たり約0.1〜5mg、好ましくは体重1kg当たり0.8〜2.5mg、さらにより好ましくは体重1kg当たり約1mgの配列番号8のペプチドは、マウス腎臓の一酸化窒素シンターゼ(NOS)活性を約60%活性化することができたことを、この分子に限らず一例として我々は示す(図9)。動物に体重1kg当たり0.2〜3.5mgの濃度でカプトプリルを注射したとき、有意な腎臓NOS活性は観察されなかった。ブラジキニンはこのプロセスに関与しないが、ブラジキニンは配列番号8によるNOSの活性化に介在する可能性があることが明らかとなった。したがって、ブラジキニンのB2受容体の特異的阻害剤(HOE140、10μg/kg、1時間)は、例えば配列番号8のペプチドによりNOS活性において引き起こされた増大を妨げることはできなかった。この結果によって確認されたように、0.01〜50μmol、好ましくは0.5〜2μmolの配列番号8のペプチドは、配列番号8のペプチドで処理したマウスの腎臓ホモジェネートにおいて(NOから生じる)亜硝酸塩の生成を5倍増大させたことを、我々は示すことができた(図10)。これらの結果は例として表し、決して使用したペプチドに制限されない。したがって本発明は、高血圧動物における動脈血圧の低下に有意に貢献するはずである、腎臓のNO生成の増大、NOSの活性化のための、本発明のペプチドの使用を提供する。
本発明の他の実施形態では、配列番号8のペプチドは、NOの持続的生成と関係があるマウス腎臓の粗製抽出物中に存在した酵素と、選択的に結合することができたことが分かった。アフィニティークロマトグラフィー及びリガンドとして配列番号7のペプチドを使用して、ウエスタンブロット及び質量分析により、アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)、細胞へのNOの連続的送達に必要不可欠な尿素サイクルの酵素に相当する約46kDaの標的タンパク質を同定することができた[Hussonら、「尿素サイクルからシトルリン−NOサイクルへのアルギニノコハク酸シンテターゼ(Argininosuccinate synthetase from the urea cycle to the citrulline−NO cycle.)」Eur.J.Biochem.270:1887〜1899(2003)]。
本発明の他の態様では、AsSは配列番号8のペプチドにより活性化されたことが示され、最大の活性化はおよそ0.05〜100μMの濃度、好ましくは1〜5μMの配列番号8のペプチドの濃度で起こった。70〜80%に達する可能性があるこの活性化は特異的である。何故なら、それは特異的AsS阻害剤α−メチル−DL−アスパラギン酸(MDLA)によって完全に阻害されるからである。実施例4は例示として示し、この特性を配列番号8のオリゴペプチドに限定するわけではない。
したがって本発明は、本明細書に記載するプロリンリッチペプチドと、それ自体が代替的治療剤として示されるAsSの相互作用を利用する方法を提供し、これらの方法は、持続的NO生成を増大させるための内因性経路として未だに治療目的で利用されていない、標的タンパク質(AsS)の活性を使用する。本発明のこの態様は、NOの欠乏によって引き起こされる機能障害を治療するための前例のない代替となる。
プロリンリッチオリゴペプチドは、Ca2+の細胞内濃度[Ca2+]iを増大させるために、本発明の範囲内でさらに有用である可能性がある。NOの不充分な生成と関係がある病状及び機能障害は、[Ca2+]Iを制御するプロセスにおける障害から生じる可能性もある。何故ならこの二価イオンは、カルモジュリン、内皮(eNOS)及び神経NOS(nNOS)の活性化を含む幾つかの細胞プロセスの「重要な制御物質」を活性化するからである。このプロセスの脱制御は、心臓血管、神経、内分泌及び免疫系の病状を悪化させる可能性がある。したがって、本発明の他の実施形態は、本発明のペプチドによる内皮及び神経細胞中でのCa2+放出の活性化に関する。実施例5、図5は、決して試験したペプチド又は細胞に対する実施例に限定されないが、どのようにして配列番号1及び配列番号7のペプチドは神経細胞(SK−N−AS、ヒト神経芽腫細胞)中で[Ca2+]Iを刺激するかを例示するものである。配列番号1及び配列番号7のペプチドは、0.1〜100μMの濃度で、好ましくは1〜10μMの濃度で、SK−N−AS細胞中において[Ca2+]iを増大することができたが、一方カプトプリル(1μM)は[Ca2+]iの如何なる変化も引き起こさなかった。[Ca2+]iの増大は瞬間的且つ一時的であった、即ちペプチドを加えた直後に、それぞれ配列番号1及び配列番号7のペプチドによる刺激に関して約350及び250nMで応答のピークに達し、急速に低下し、ピーク後20秒で停滞期に達した。
本発明の他の実施形態では、0.01〜500μMの濃度で、又は好ましくは0.1〜100μMの濃度で、配列番号8のペプチドは、HUVEC及びSK−N−AS細胞においてNO生成をほぼ100%増大させることができた(実施例6、図6A及び6B)。亜硝酸塩生成に対する前記活性効果は、0.1〜100μMの濃度、又は好ましくは1〜10μMの濃度の本明細書に記載するプロリンリッチペプチドを使用してグリア細胞(グリオーマ細胞C6)において得ることもできる。配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号14、及び配列番号15に限らないが、例として、活性化は約20%と130%の間で変化し、配列番号8のペプチドが最も有効であった(実施例8、図7)。
したがって本発明中に記載したプロリンリッチペプチドは、腎臓中に選択的に濃縮し、NO生成用にアルギニンの送達を増大させる腎臓のAsSの活性を増強させ、腎臓のNOSを活性化し、及び腎組織中のNO生成を増大させ、神経(SK−N−AS)、内皮(HUVEC)、グリア(グリオーマC6)細胞中の[Ca2+]I及びNO生成を増大させることができる。このように、本発明のペプチドはそれらの活動を集中させて、NOの持続的生成に相乗的に作用する。カプトプリルの濃度より1000倍まで低い濃度で実施される前記活動は、例えば、高血圧自然発症ラット(SHR)において観察された長時間続く抗高血圧効果を説明できるはずである。したがって前記ペプチドは、特に心臓血管疾患を含めた、哺乳動物におけるNOの欠乏と関係がある病状の治療及び/又は予防に有用である。さらに本発明は、前記ペプチドは、動脈性高血圧などの病状に対する安全性及び選択性を動物に与える高用量で投与した場合でさえ、正常血圧動物には作用しないことを実証する。
他の実施形態は、異なる大きさのオリゴペプチドで、又は表1中に表される一覧中に示される配列番号1〜18中に含まれる配列などの、異なるアミノ酸配列を示す前記オリゴペプチドで治療すると、量的及び質的差異が前記動物において示されるので、SHRにおける本発明のオリゴペプチドの抗高血圧効果に関する。1つのペプチドに関する、例えば配列番号8に関する用量効果の関係は実施例12、図12中に例示するが、それは本発明の前記ペプチドに限られない。前記ペプチドの抗高血圧活性の最適状態は体重1kg当たりおよそ71nmolの用量で生じ、より高用量、及びより低用量では、この効果は低下する。本発明の他の態様は、SHRにおける体重1kg当たり71nmolの用量での、本発明のペプチドのアミノ酸配列と抗高血圧効果の関係に関するものである。実施例12、図13だけに限らないが、これらは、SHRに対する本発明の4個のペプチドの抗高血圧作用は、ペプチドの大きさ、分子当たりのプロリンの数のいずれとも関係がないことを単に例示するものである。
他方で、ペントバルビトンは、SHRに対する本発明の幾つかのペプチドの抗高血圧作用を阻害する可能性があり、一方で本発明の他のペプチド、及びカプトプリルの抗高血圧作用はペントバルビトンによって阻害されない。前記効果は少なくとも24時間持続し得る。実施例13の図14A及び14Bは、この影響を例示するが、決して示したペプチドに制限しない。この違いは、例えば配列番号8のペプチドの哺乳動物における使用において重要である。何故ならそれは、他の医薬品と共に投与すると抗高血圧効果をおそらく示さずペントバルビトンの作用を受けやすい、前記抗高血圧性化合物の使用を制限するからである。
総合すると本発明は、本明細書に記載するプロリンリッチペプチドは、動脈血圧の恒常性の制御機構に相乗的に作用することを実証する証拠を提供し、それはこの病状の治療において用いられる如何なる薬効分類によっても依然として調べられていない。
心臓血管疾患に罹患している患者は、1つの分子標的に作用するように開発された薬剤を利用している。しかしながら現在の薬理学的手法は、疾患の過程を有意に改変するそれらの能力が限られており、適時の不完全な利点を患者に与える。本発明中に記載した革新は新たな治療戦略を表し、多数の心臓血管系及び生化学的標的に作用し、心臓血管系機能障害、又はNO生成などの一般的な変換機構に依存する他の病状の改善をもたらすペプチドを含む。これらの多機能性化合物は高い有効性を与え、心臓保護物質としてのその機能における薬剤の少ない副作用及び優れた使用、したがって疾患の予後の改変をもたらす可能性がある。
さらに、本発明の化合物によって示される相乗機構は、in vivoでの分解に総じて耐性があり、今日使用されている抗高血圧性化合物よりはるかに低い濃度で作用する点で、及び組織中で数時間、特に腎臓中で活性ペプチドの実質濃度を維持するために有利である。特に、本発明の化合物の性質は、高血圧動物の動脈血圧の低下、動脈性高血圧の治療に関する非常に重要な要因を長期の時間維持するのに貢献する。
したがって、本発明のペプチドを使用して、ヒトにおける心臓血管の病状、特に動脈性高血圧を治療することができる。Z−プロの抗高血圧効果は、ACE阻害剤の有効性に必要とされる用量よりはるかに低い用量で得られるので(実施例11)、本発明中に記載したペプチドは、咳、血管性浮腫、血液細胞生成における障害、患者の健康状態及び生命の危険因子である体外循環、血管新生促進的影響などに曝される患者に関するアクシデントなどの、ブラジキニン濃度の増大によって引き起こされる副作用を生み出さないことは予想される。ACEを阻害するこれら及び他の影響は、カプトプリル、並びにエナラプリル及びリシノプリルのようなその誘導体を摂取する患者について記載されてきている[Leeb−Lundbergら、Pharmacological Rev.、57:27〜77、(2005)]。
本発明によれば、本明細書に記載するオリゴペプチドは5個と13個の間のアミノ酸残基を表し、約600Daと1.500Daの間の分子量を示し、表1中の配列1〜18を同定することによって記載する。
本発明のオリゴペプチドは、そのアミノ末端部分、又はそのカルボキシ末端部分、又はオリゴペプチドの両端に化学修飾を示す可能性があり、前記修飾は前記オリゴペプチドの合成プロセス中に導入される。前記修飾は、オリゴペプチドに高い安定性を与えるため、又はバイオマーカーにおいて前記オリゴペプチドを変換するためのいずれかで実施する。前記修飾は任意の種類であってよく、当業者に知られている任意の標識基を、アセチル化、ビオチン化、ヒドロキシプロリンなどの合成アミノ酸、及びフルオロフォア基を用いた標識などに利用することができる。
本発明のプロリンリッチペプチドは合成であり、当業者に知られている様々な方法によって調製することができる。本発明の場合、全てのペプチドは固相合成によって得た。前記技法はStewart及びYoung[「固相ペプチド合成(Solid−phase peptide synthesis)」、Freeman & Co.、Ca、USA(1969)]に記載されており、米国特許第4,105,603号中に例示されている。ペプチド合成用のフラグメント縮合法は、米国特許第3,972,859号中に例示されている。ここで使用した技法は、保護物質としてフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)を利用するために記載した。他の利用可能な合成手順は、米国特許第3,842,067号及び米国特許第3,862,925号中に例示されている。
ペプチドのアミノ末端基と結合させるために選択した化学基(基Z)は、活性化試薬を使用して導入した。活性化試薬の条件を満たす例は、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド及びN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどのカルボジイミドである。他の活性化試薬及びペプチドカップリングにおけるそれらの使用は、Schoder及びLubke[「ペプチド(Peptides)」中、1:72〜75、Academic Press、NY、USA(1965)]及びKapoor[J.Pharm.Sci.、59:1〜27(1970)]によって記載されている。
最後に、基Zと結合しているか又は結合していないペプチドは、特に高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を含めた従来の方法によって精製する。前記ペプチドの純度及び同一性は、特にアミノ酸組成分析、質量分析、分析HPLCによって確認する。
合成ペプチドは、当技術分野において記載されている幾つかの方法によって精製することができる。最終的な脱保護ペプチドは優先的に、例えば二溶媒系:(A)トリフルオロ酢酸(TFA)/H2O及び(B)TFA/アセトニトリル(ACN)/H2Oを異なる割合で使用して、逆相カラム、C−18においてHPLCによって精製することができる。UV−VIS検出器又は蛍光検出器と結合した、二成分勾配で溶媒系によって移動する逆相カラムにおける分析HPLC系によって、ペプチドの純度を確認する。精製ペプチドの質量は、ペプチドの質量分析及び/又はエドマン分解シークエンシングによって測定することができる。溶液中のその濃度は、酸加水分解、次に蛍光マーカーによる誘導体化後の、アミノ酸分析によって測定することができる。誘導体化アミノ酸の分析は、例えば蛍光測定によってモニタリングすることができる。表1中に表す精製した合成産物の化学的特性によって、本発明中で使用したペプチドの均質性を確認する。
本発明の他の実施形態は、哺乳動物の細胞中のNO合成を活性化することができ、並びに細胞内環境中の二価カルシウムイオン(Ca2+)の増大を促進することができる、プロリンリッチオリゴペプチド、又はプロリンリッチオリゴペプチドの混合物、及び薬剤として許容されるその塩、さらには賦形剤、希釈剤又は溶媒和物などのアジュバント物質を含む医薬組成物に関する。本発明の前記医薬組成物は、哺乳動物において、NO生成における欠乏によって引き起こされる疾患、心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、胚芽細胞の生成の調節、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、及び勃起機能障害などを治療又は予防するための医薬品の製造において使用されるはずである。
本発明中に記載したペプチドは、望ましい治療効果を改善又は補足するための他の医薬品とも関係がある可能性がある。
前記医薬組成物は、0.05μg〜10mgの本明細書に記載のオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含むはずであり、好ましくは前記医薬組成物は、0.5μg〜0.005mgのオリゴペプチド、又はプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含むはずであり、及びさらにより好ましくは、前記医薬組成物は、0.1μg〜0.01mgのオリゴペプチド、又はプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含むはずである。
本発明の他の実施形態は、哺乳動物におけるNOの欠乏によって引き起こされる障害の治療において一酸化窒素(NO)の生合成を活性化することができる、プロリンリッチペプチドの使用に関する。本発明のプロリンリッチオリゴペプチドは、酵素アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)を活性化することによって、又は二価カルシウムイオン(Ca2+)の細胞内濃度を増大させることによってなどの、多数の機構によってNOの生合成を促進することができるので、前記ペプチドは生物におけるNOの欠乏によって引き起こされる障害、例えば哺乳動物における勃起機能障害、心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、胚芽細胞の生成の調節、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害を治療するのに有用である。
本発明の最後の実施形態は、一酸化窒素の生合成を活性化することができるオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含む医薬組成物を動物に投与することに基づく、前記動物におけるNOの欠乏によって引き起こされる疾患の治療方法に関する。
人間医学及び獣医学において使用することができる本明細書に記載する方法によって治療することができる、動物におけるNOの欠乏によって引き起こされる疾患には、心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、胚芽細胞の生成の調節、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、及び勃起機能障害がある。
本発明のZ−プロペプチドを用いて実施したアッセイにおいて得た結果を記載した以下の実施例は、例示的な目的のみで示し、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
本明細書中に挙げた全ての特許及び参照文献は、それらの全容が参照として本明細書に組み込まれる。
(実施例1)
合成Z−プロペプチドの調製
簡潔に言うと、自動合成装置PSSM8(島津製作所、日本)においてペプチドを合成し、その中では、塩基不安定性の基フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)でN−αにおいて保護したアミノ酸残基を、不溶性ポリマー支持体(プロリン−2−クロロトリチル樹脂)に連続的に加えた。Fmoc保護基を除去した後、次の保護アミノ酸を、カップリング試薬又は予め活性化させたアミノ酸誘導体のいずれかを使用して加える。生成したペプチドは、そのC末端アミノ酸を介してリンカーによって樹脂と結合し、及びその後切断して酸性ペプチドが生成する。保護N−αFmoc基の切断はピペリジンを用いて実施した。その後トリフルオロ酢酸(TFA)を、ペプチジル樹脂の最終的な切断、及びFmoc基によって保護された側鎖の脱保護に使用する。ペプチドは逆相液体クロマトグラフィーによって精製し、ペプチドの同一性及び純度は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、質量分析によって確認した。
合成Z−プロペプチドの調製
簡潔に言うと、自動合成装置PSSM8(島津製作所、日本)においてペプチドを合成し、その中では、塩基不安定性の基フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)でN−αにおいて保護したアミノ酸残基を、不溶性ポリマー支持体(プロリン−2−クロロトリチル樹脂)に連続的に加えた。Fmoc保護基を除去した後、次の保護アミノ酸を、カップリング試薬又は予め活性化させたアミノ酸誘導体のいずれかを使用して加える。生成したペプチドは、そのC末端アミノ酸を介してリンカーによって樹脂と結合し、及びその後切断して酸性ペプチドが生成する。保護N−αFmoc基の切断はピペリジンを用いて実施した。その後トリフルオロ酢酸(TFA)を、ペプチジル樹脂の最終的な切断、及びFmoc基によって保護された側鎖の脱保護に使用する。ペプチドは逆相液体クロマトグラフィーによって精製し、ペプチドの同一性及び純度は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析し、質量分析によって確認した。
(実施例2)
ペプチドの精製及び特徴付け
本発明の合成ペプチドは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製した。最終的な脱保護ペプチドは、Econosil C−18カラム(10μ、22.5×250mm)及び二溶媒系:(A)トリフルオロ酢酸(TFA)/H2O(1:1000)、及び(B)TFA/アセトニトリル(ACN)/H2O(1:900:100)において精製した。カラムは5ml/分の流速で、10(又は30)〜50(又は60)%の勾配の溶媒Bで30又は45分間溶出した。精度の確認に使用した分析HPLC系は、SPD−10AV Shimadzu UV−VIS検出器、又はShimadzu RF−535蛍光検出器と結合したUltrasphere C−18カラム(5μ、4.6×150mm)を有するShimadzuからの二成分系であった。溶出は前に記載した溶媒A及びBを用いて、1ml/分の流速及び10〜80%の勾配で20分間実施した。溶出液は220nmでの吸光度によって、及び/又はλex320nmでの励起後の、λem420nm励起でのそれらの蛍光によってモニタリングした。精製ペプチドの質量はMALDI−TOF分光分析(Ettan MALDI−TOF/Pro、Amersham Biosciences、スウェーデン)、及び/又はペプチドのシークエンシング(PPSQ−23、島津製作所、東京、日本)によって測定した。酸加水分解後、450nmでの発光、及び350nm励起での蛍光によってOPA−誘導体化をモニタリングした後に、ペプチドの濃度をShimadzuによるHPLC系において実施したアミノ酸分析によって測定した。
ペプチドの精製及び特徴付け
本発明の合成ペプチドは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製した。最終的な脱保護ペプチドは、Econosil C−18カラム(10μ、22.5×250mm)及び二溶媒系:(A)トリフルオロ酢酸(TFA)/H2O(1:1000)、及び(B)TFA/アセトニトリル(ACN)/H2O(1:900:100)において精製した。カラムは5ml/分の流速で、10(又は30)〜50(又は60)%の勾配の溶媒Bで30又は45分間溶出した。精度の確認に使用した分析HPLC系は、SPD−10AV Shimadzu UV−VIS検出器、又はShimadzu RF−535蛍光検出器と結合したUltrasphere C−18カラム(5μ、4.6×150mm)を有するShimadzuからの二成分系であった。溶出は前に記載した溶媒A及びBを用いて、1ml/分の流速及び10〜80%の勾配で20分間実施した。溶出液は220nmでの吸光度によって、及び/又はλex320nmでの励起後の、λem420nm励起でのそれらの蛍光によってモニタリングした。精製ペプチドの質量はMALDI−TOF分光分析(Ettan MALDI−TOF/Pro、Amersham Biosciences、スウェーデン)、及び/又はペプチドのシークエンシング(PPSQ−23、島津製作所、東京、日本)によって測定した。酸加水分解後、450nmでの発光、及び350nm励起での蛍光によってOPA−誘導体化をモニタリングした後に、ペプチドの濃度をShimadzuによるHPLC系において実施したアミノ酸分析によって測定した。
本発明の合成ペプチドの特徴付けデータは、以下の表1中に与える。
(実施例3)
分子標的アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)の同定
出発物質は、バッファー10mMのトリス−HCl pH7.5、25mMのサッカロース、1mMのEDTA、及び1mMのPMSF(サイトゾル分画)、又は1%のTriton X−100(原形質膜分画)中で均質化したマウス腎細胞のサイトゾル及び原形質膜の粗製抽出物であった。上清を0.2MのNaHCO3、0.5MのNaCl、pH8.3中で透析し、アフィニティークロマトグラフィーカラムHitrap NHS−活性化(GE Healthcare)に別々に施し、5mgの配列番号7のペプチドと結合させた。
分子標的アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)の同定
出発物質は、バッファー10mMのトリス−HCl pH7.5、25mMのサッカロース、1mMのEDTA、及び1mMのPMSF(サイトゾル分画)、又は1%のTriton X−100(原形質膜分画)中で均質化したマウス腎細胞のサイトゾル及び原形質膜の粗製抽出物であった。上清を0.2MのNaHCO3、0.5MのNaCl、pH8.3中で透析し、アフィニティークロマトグラフィーカラムHitrap NHS−活性化(GE Healthcare)に別々に施し、5mgの配列番号7のペプチドと結合させた。
アフィニティーカラムの調製。配列番号7の均質な調製物(1mlの0.2MのNaHCO3、0.5MのNaCl、pH8.3中に5mg)を施す前に、2mlの1mMHClでカラムを3回洗浄した。室温で30分のインキュベーション後、ペプチドが結合し、カラムはバッファーA(0.5Mのエタノールアミン、0.5MのNaCl、pH8.3)で不活性化し、0.2MのNaHCO3、0.5MのNaCl、pH8.3で洗浄し、50mMのNa2HPO4、0.1%、NaN3、pH7.0中に4℃で保存した。これらのカラムはHiTrap−配列番号7と呼んだ。対照カラム(ペプチド含まず)は、HiTrap NHS−活性化HP及びバッファーA(Hi Trap−対照)をインキュベートすることによって調製した。
腎臓抽出物の調製。約30gの重量であるBalb−cマウスに50μlの10%ケタミン及び2%キシラジン(1:1)で麻酔をかけ、20mlの生理食塩水(0.9%のNaCl)及び0.01%のヘパリンナトリウムを用いて4ml/分の流量で、心臓内灌流(左心室を介した注入及び右心房を介した流出)を施した。腎臓はすぐに除去し重量を量り、各1gの組織に、1mlのバッファー(10mMのトリス−HCl、25mMのサッカロース、1mMのEDTA、及び1mMのPMSF、pH7.5)を加えた。腎臓は組織ホモジェナイザー(Polytron PT MR 3000、Kinematic AG、Littau)で細かく切り刻み、4℃において35分間29,000rpmで遠心分離にかけた。サイトゾルタンパク質を含む上清を保存し、一方ペレットは、0.1%のTriton X−100を含む前に記載したのと同じバッファーに再度懸濁させた。ホモジェネートは前と同じ条件で遠心分離にかけた。上清は膜タンパク質を含んでいた。
アフィニティークロマトグラフィー及びSDS−PAGEによる保持されたタンパク質の分析。HiTrap−配列番号7カラムは、2体積の20mMのトリス−HClバッファー、pH8.0を用いて平衡状態にした。腎臓抽出物(100mg/mlの合計タンパク質)のサイトゾル及び膜分画を別のカラムに施し(1ml/分の流速)、10体積の20mMのトリス−HCl、pH8.0で洗浄した。配列番号7のペプチドとアフィニティーを有するタンパク質は、100mMのグリシン、0.5MのNaClバッファー、pH3.0を用いて、又は代替的に10mMのトリス−HCl、25mMのサッカロース、1mMのEDTA、1mMのPMSF、pH7.5中での5mg/mlの配列番号8のペプチドとの競合によって溶出させた。溶出液は10mMのNH4HCO3、pH8.0中で4℃において12時間透析した。タンパク質濃度(mg/ml)は、Bradfordの方法(Bradford、M.M.「タンパク質−色素結合の原理を使用する、マイクログラム量のタンパク質を定量化するための迅速で感度の良い方法。(A rapid and sensitive method for the quantitation of microgram quantities of protein utilizing the principle of protein−dye binding.)」Anal.Biochem.72:248〜254、1976)及びBioRadからのタンパク質アッセイ試薬によって測定した。ウシアルブミンを標準として使用し、測定は分光光度計で595nmにおいて実施した。溶出液は真空遠心分離によって100μl体積に濃縮し、5μlの等分試料は、Laemmli(Laemmli U.K.「バクテリオファージT4の頭部の構築中の構造タンパク質の切断。(Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of bacteriophageT4.)」Nature227:680〜685、1970)によって記載されたようにSDS−ポリアクリルアミドゲル中での電気泳動に施した。結果は図1中に表す。
保持されたタンパク質の特徴付け
質量分析。ゲルの主なバンドを切断し、断片化し、75mMのNH4HCO3の40%エタノール溶液に移した。室温での数回にわたる1時間のインキュベーションが、ゲルを脱色するために必要であった。ゲル中に含まれていたタンパク質は、60℃において30分間25mMのNH4HCO3中で5mMのDTT(ジチオスレイトール)によって還元し、次に暗所中で室温において30分間25mMのNH4HCO3中で55mMのヨードアセトアミドでアルキル化した。25mMのNH4HCO3を用いた一回の洗浄、及びアセトニトリルを用いた他の洗浄を実施した。ゲル断片の脱水は、アセトニトリルを用いた3回の10分間の洗浄、次に10分間の真空中での乾燥によって実施した。ゲルは40μg/mlのトリプシン(Trypsin Sequence Grade、Sigma)を含む溶液中、氷上で45分間50mMのNH4HCO3中で再水和し、30℃において16時間インキュベートした。タンパク質断片は、50μlの50mMNH4HCO3の添加及び10分間の超音波浴、次に50μlのアセトニトリルの添加によってゲルから抽出した。この手順は3回繰り返した。溶出液(抽出したペプチド)は真空中で乾燥させ、MALDI−TOF(Ettan MALDI−TOF、GE Healthcare)による質量分析のためにアセトニトリル中に再度懸濁させた。タンパク質バンドは、酵素アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)であるとして同定した。
質量分析。ゲルの主なバンドを切断し、断片化し、75mMのNH4HCO3の40%エタノール溶液に移した。室温での数回にわたる1時間のインキュベーションが、ゲルを脱色するために必要であった。ゲル中に含まれていたタンパク質は、60℃において30分間25mMのNH4HCO3中で5mMのDTT(ジチオスレイトール)によって還元し、次に暗所中で室温において30分間25mMのNH4HCO3中で55mMのヨードアセトアミドでアルキル化した。25mMのNH4HCO3を用いた一回の洗浄、及びアセトニトリルを用いた他の洗浄を実施した。ゲル断片の脱水は、アセトニトリルを用いた3回の10分間の洗浄、次に10分間の真空中での乾燥によって実施した。ゲルは40μg/mlのトリプシン(Trypsin Sequence Grade、Sigma)を含む溶液中、氷上で45分間50mMのNH4HCO3中で再水和し、30℃において16時間インキュベートした。タンパク質断片は、50μlの50mMNH4HCO3の添加及び10分間の超音波浴、次に50μlのアセトニトリルの添加によってゲルから抽出した。この手順は3回繰り返した。溶出液(抽出したペプチド)は真空中で乾燥させ、MALDI−TOF(Ettan MALDI−TOF、GE Healthcare)による質量分析のためにアセトニトリル中に再度懸濁させた。タンパク質バンドは、酵素アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)であるとして同定した。
ウエスタンブロット。電気泳動後、タンパク質は12時間約30Vの一定電圧下で、トランスファーバッファー(380mMのトリス−HCl、180mMのグリシン、20%メタノール)を使用して、ニトロセルロース膜に電気によって移動させた。移動手順の後、膜は5分間Ponceau溶液で染色し、バンドを目に見える状態にして、それらのおよその分子質量を測定した。過剰なPonceau溶液は蒸留水を用いた洗浄によって除去し、膜は5%BSA(ウシ血清アルブミン)の溶液中、0.05%のTBS−Tween(TBS−T)及び0.02%のアジド中で室温において1時間インキュベートした。BSA溶液を廃棄し、TBS−Tバッファーに希釈した(供給者により推奨されたように1:500)一次モノクローナル抗AsS抗体(BD Transduction Laboratories)を加え、次いで室温において1時間インキュベートした。抗体溶液を除去し、膜は室温において10分間TBS−Tで3回洗浄した。二次抗体、TBS−Tバッファーに1:7500で希釈したアルカリホスファターゼと結合した抗マウスIgG(Promega)を加えた。室温における1時間のインキュベーション後、膜を10分間TBS−Tバッファーで3回洗浄し、現像溶液(溶液AP[5MのNaCl、1Mのトリス−HCl、pH9.5、1MのMgCl2]及びBCIP(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸)及びNBT(ニトロブルーテトラゾリウム)を加え、これによって当該のバンドを目に見える状態にすることができた。結果は図2中に表す。
(実施例4)
アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)活性の増強
配列番号8のペプチドによる実施例3のAsS酵素の活性化を、Haoら[Hao G.、Xie L.、Gross S.S.「アルギニノコハク酸シンテターゼはin vitro及びin vivoでS−ニトロシル化によって可逆的に不活性化される。(Argininosuccinate synthetase is reversibly inactivated by S−nitrosylation in vitro and in vivo.)」J.Biol.Chem.、279:36192〜36200(2004)]に従いin vitroで定量化した。この方法は、ピロホスファターゼを反応培地に加えたときの、ATPから生じるリン酸塩の量の測定に基づく。ピロホスファターゼの活性はAsSの酵素活性と直接関係があるので、生成したピロリン酸塩の量はAsS活性の直接的な測定値である。
アルギニノコハク酸シンターゼ(AsS)活性の増強
配列番号8のペプチドによる実施例3のAsS酵素の活性化を、Haoら[Hao G.、Xie L.、Gross S.S.「アルギニノコハク酸シンテターゼはin vitro及びin vivoでS−ニトロシル化によって可逆的に不活性化される。(Argininosuccinate synthetase is reversibly inactivated by S−nitrosylation in vitro and in vivo.)」J.Biol.Chem.、279:36192〜36200(2004)]に従いin vitroで定量化した。この方法は、ピロホスファターゼを反応培地に加えたときの、ATPから生じるリン酸塩の量の測定に基づく。ピロホスファターゼの活性はAsSの酵素活性と直接関係があるので、生成したピロリン酸塩の量はAsS活性の直接的な測定値である。
AsS酵素(1μg)を、96ウエルマイクロプレート中の最終体積200μL中の、20mMのトリス−HCl、pH7.8、2mMのATP、2mMのシトルリン、2mMのアスパラギン酸、6mMのMgCl2、20mMのKCl、及び0.2単位のピロホスファターゼを含む反応混合物に加えた。増加量の配列番号8のペプチド(0.5、1〜8μM)を加え、サンプルは37℃において60分間インキュベートした。反応は200μLのモリブデン酸アンモニウムバッファー(10mMのアスコルビン酸、2.5mMのモリブデン酸アンモニウム、2%の硫酸)を加えることによって中断させた。生成したリン酸は、無機リン酸を用いて得た標準曲線を使用して、分光光度法によって(吸光度650nmで)サンプル中において測定した。結果は図3中に表す。
酵素活性の特異性をアッセイ中で実証し、その中でAsS酵素を、2μMの配列番号8のペプチドを含む前に記載した反応培地に増加濃度(1〜8μg)で加えた。リン酸の生成率(AsSの酵素活性)は、2μMの配列番号8のペプチドを加えることによって約2.5倍まで活性化した。この活性は特異的AsS阻害剤MDLA(α−メチル−DL−アスパラギン酸)によって完全に阻害された[Shen L.J.、Beloussow K.、及びShen W.C.「細胞内シトルリン−アルギニン再生経路への内皮及び誘導性一酸化窒素シンターゼのアクセス性。(Accessibility of endothelial and inducible nitric oxide synthase to the intracellular citrulline−arginine regeneration pathway.)」Biochem.Pharmacol.69:97〜104、2005]。これらの結果は図4中に表す。
(実施例5)
遊離状態の細胞内のCa2+濃度の増大
これらの実験では、遊離状態の細胞内カルシウムの濃度[Ca2+]iの変化を、配列番号1又は配列番号8のペプチド1μmol、又は1μmolのカプトプリルを加えた後にSK−N−AS細胞(ヒト神経芽腫細胞、ATCC No.CRL−2137)において測定した。5%のCO2雰囲気において、37℃、及び95%の相対湿度で、10%のウシ胎児血清(FBS)及び1%の非必須アミノ酸を補充したDMEM(ダルベッコ改変培地)中に細胞を保った。細胞はトリプシンで処理し、適切な細胞濃度で複製させた。
遊離状態の細胞内のCa2+濃度の増大
これらの実験では、遊離状態の細胞内カルシウムの濃度[Ca2+]iの変化を、配列番号1又は配列番号8のペプチド1μmol、又は1μmolのカプトプリルを加えた後にSK−N−AS細胞(ヒト神経芽腫細胞、ATCC No.CRL−2137)において測定した。5%のCO2雰囲気において、37℃、及び95%の相対湿度で、10%のウシ胎児血清(FBS)及び1%の非必須アミノ酸を補充したDMEM(ダルベッコ改変培地)中に細胞を保った。細胞はトリプシンで処理し、適切な細胞濃度で複製させた。
遊離状態の濃度[Ca2+]iの変化の測定は、Martinsら(Martinsら、「P19胚性癌腫細胞の神経分化は、キニンB2受容体遺伝子の発現及び機能を制御する。(Neuronal differentiation of P19 embryonal carcinoma cells modulates kinin B2 receptor gene expression and function.)」J.Biol.Chem.280:19576〜19586、2005)によって記載されたのと同様に、共焦点顕微鏡LSM510(Zeiss、Jena、ドイツ)を用いて実施した。約5×104個のSK−N−AS細胞を、測定前に24時間60mmプレートに平板培養し、次いで4μMのフルオ−3AM(Invitrogen Corporation)0.5%DMSO中及び0.1%非イオン性界面活性剤プルロン酸F−127で、37℃において30分間処理した。細胞は10%FBSを含むDMEMで洗浄し、規定培地(5μg/mlのインシュリン、30μg/mlのトランスフェリン、20μMのエタノールアミン、30nMの亜セレン酸ナトリウム、1μMのピルビン酸ナトリウム、1%の非必須アミノ酸、1mMのグルタミン、100μg/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、10mMのHEPES pH7.4DMEM中)に移した。蛍光フルオ−3AMは488nmで励起させ、蛍光は526nmで測定した。
[Ca2+]iの変化を、無刺激細胞中、及び配列番号1又は配列番号8のペプチド1μmol、又はカプトプリル(Sigma Aldrich)で刺激した細胞中で測定した。蛍光の増大を2分間モニタリングし、毎秒256×256ピクセルで画像を得た。それぞれの実験の最後に、Grynkiewiczら、(1985)によって記載されたのと同様に、5μMのイオノフォア(4−Br−A23187)、次に10mMのEGTA、又は20μMのジギトニンを加えて、それぞれ最大及び最小の蛍光、Fmax及びFminを測定した。
配列番号1又は配列番号8のペプチド1μmolを加えた後に得た蛍光(F)値と関連付けた、細胞内カルシウムの濃度[Ca2+]iを、フルオ−3AMに関してKd=450nMと仮定して、等式:[Ca2+]=Kd(F−Fmin)/(Fmax−F)を用いて計算した(Hallettら、1990)。結果は図5中に表す。
(実施例6)
ヒト内皮及び神経芽腫細胞におけるNO生成の活性化
HUVEC細胞(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を臍帯静脈から得た。これはthe University Hospital of the University of Sao Pauloからの進物であった。96%エタノールを用いて外部で血管を洗浄し、血管の末端で斜め切りした後、カテーテルを静脈血管に導入し、三方向バルブと結合させた。静脈は20mlの滅菌生理食塩水で洗浄し、血管の他端は結んだ。1ミリリットルのコラゲナーゼIV型溶液を導入した(0.2mg/ml/臍帯静脈1cm)。血管をペトリ皿(10cm2)に移し、37℃において15分間インキュベートした。帯中に含まれていた細胞はマッサージによって除去し、滅菌チューブに移した。ウシ胎児血清を10%の最終濃度まで加え、懸濁液は4℃において3,000gで10分間遠心分離にかけ、細胞ペレットは2mlの完全培地(40%培地199、40%のDMEM、18%のウシ胎児血清、1%のL−グルタミン、1%のペニシリン/ストレプトマイシン)中に再度懸濁させた。細胞懸濁液は、(4℃において30分間)1%ゼラチン溶液で予め処理した容器に移し、5mLの完全培地を加えた。容器は5%のCO2雰囲気において37℃でインキュベートした。培地は12時間後に交換し、さらにその後3日毎に交換した。
ヒト内皮及び神経芽腫細胞におけるNO生成の活性化
HUVEC細胞(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を臍帯静脈から得た。これはthe University Hospital of the University of Sao Pauloからの進物であった。96%エタノールを用いて外部で血管を洗浄し、血管の末端で斜め切りした後、カテーテルを静脈血管に導入し、三方向バルブと結合させた。静脈は20mlの滅菌生理食塩水で洗浄し、血管の他端は結んだ。1ミリリットルのコラゲナーゼIV型溶液を導入した(0.2mg/ml/臍帯静脈1cm)。血管をペトリ皿(10cm2)に移し、37℃において15分間インキュベートした。帯中に含まれていた細胞はマッサージによって除去し、滅菌チューブに移した。ウシ胎児血清を10%の最終濃度まで加え、懸濁液は4℃において3,000gで10分間遠心分離にかけ、細胞ペレットは2mlの完全培地(40%培地199、40%のDMEM、18%のウシ胎児血清、1%のL−グルタミン、1%のペニシリン/ストレプトマイシン)中に再度懸濁させた。細胞懸濁液は、(4℃において30分間)1%ゼラチン溶液で予め処理した容器に移し、5mLの完全培地を加えた。容器は5%のCO2雰囲気において37℃でインキュベートした。培地は12時間後に交換し、さらにその後3日毎に交換した。
ヒト神経芽腫細胞(SK−N−AS、ATCC no.CRL−2137)は、5%のCO2雰囲気において、37℃、及び95%の相対湿度で、10%のFBS(ウシ胎児血清)及び1%の非必須アミノ酸を補充したDMEM中に細胞を保った。細胞はトリプシンで処理し、適切な細胞濃度に達したとき複製した。培地は12時間後に交換し、さらにその後3日毎に交換した。
Feelischらの方法(Feelischら、「生物組織及び流体における同時S−、N−、及びヘム−ニトロシル化:in vivoにおけるNOの運命の意義。(Concomitant S−、N−、and heme−nitros(yl)ation in biological tissues and fluids:implications for the fate of NO in vivo.)」FASEB J 16:1775〜1785、2000)を利用して、前に記載した内皮細胞及び神経細胞においてNO生成を分析した。
細胞はペトリ皿中で80%の融合状態まで増殖させた。配列番号8のペプチドはHUVEC細胞には0〜8μMの濃度範囲、及びSK−N−AS細胞には0〜100μMの濃度範囲で加え、24時間インキュベーションを続けた。その後、1mlの培地を取り出し(細胞外培地)、1mlの10mMのN−エチルマレイミドと交換した。細胞はPBSで洗浄し、RIPAバッファー(50mMのトリスpH7.5、150mMのNaCl、1%のNonidet p−40(NP−40)及び0.5%のデソキシコール酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのDTPA、及び10mMのN−エチルマレイミド)に溶かした。溶解物を回収し、20分間氷上でインキュベートし、遠心分離にかけた。上清は−80℃に保った(細胞内培地)。NO由来の亜硝酸の濃度を、細胞内及び細胞外培地において測定した。結果は図6(A及びB)中に表す。
(実施例7)
C6グリア細胞(ラットグリオーマ)におけるNO生成
細胞生物学実験用の全ての試薬はInvitrogenから購入した。ラットグリオーマ由来のC6細胞は、10%のウシ胎児血清、硫酸ストレプトマイシン(100μg/ml)、及びペニシリンG(100μg/ml)を補充したDMEM中で培養した。培養物は5%のCO2雰囲気中に37℃で保った。ペプチドを加える24時間前に、血清を含まないDMEM培地を含む24ウエルプレート(1.5×105個の細胞/ml/ウエル)に細胞を移した。ペプチドは1μMの最終濃度まで培養物に加え、5%のCO2雰囲気において37℃で24時間インキュベートした。培地は回収し−80℃で保存した。
C6グリア細胞(ラットグリオーマ)におけるNO生成
細胞生物学実験用の全ての試薬はInvitrogenから購入した。ラットグリオーマ由来のC6細胞は、10%のウシ胎児血清、硫酸ストレプトマイシン(100μg/ml)、及びペニシリンG(100μg/ml)を補充したDMEM中で培養した。培養物は5%のCO2雰囲気中に37℃で保った。ペプチドを加える24時間前に、血清を含まないDMEM培地を含む24ウエルプレート(1.5×105個の細胞/ml/ウエル)に細胞を移した。ペプチドは1μMの最終濃度まで培養物に加え、5%のCO2雰囲気において37℃で24時間インキュベートした。培地は回収し−80℃で保存した。
24時間10mMの最終濃度でN−エチルマレイミドと共にインキュベートした1mlの培養培地において、NO濃度を測定した。1,000rpmでの遠心分離にかけた上清を、NO定量化用にNOA機器(一酸化窒素分析計−Sievers)に注入した。結果は図7中に表す。
(実施例8)
マウス中での配列番号8のペプチドの生物学的利用能
125Iを用いた配列番号8の標識及びその精製
配列番号8のペプチドは、幾つかの改変[Biscayart PL、Paladini AC、Vita N、Roguin LP。「長期の安定性を備える良質の結合性の125I標識したヒト成長ホルモンの調製。(Preparation of 125I−labeled human growth hormone of high quality binding properties endowed with long−term stability.)」J.Immunoassay、10、37〜56、1989;Ribelaら、Protein Exp.Purif.、18(2):115〜200、2000]で、Greenwood及びHunter(Greenwood FC及びHunter WM。「高比放射能の125I標識したヒト成長ホルモンの調製。(The preparation of 125I−labelled human growth hormone of high specific radioactivity.)」J.Biochem.、89:114〜123、1963)に従い125Iを用いて標識した。一定攪拌下で、PBSに溶かした5μgの合成配列番号8ペプチドを、1mCiの125I、及び0.8μgのクロラミンTと混合させた。5分後、1μgのメタ重亜硫酸及び200μgのヨードカリウムを加えて標識反応を終了させた。標識産物の精製は、Christopheら[Christopheら、「合成ペプチドtrp−lys−tyr−met−val−met−NH2はFPRL1/リポキシンA4受容体によって好中球を特異的に活性化し、オーファン単球発現走化性因子受容体FPRL2のアゴニストである。(The synthetic peptide trp−lys−tyr−met−val−met−NH2 specifically activates neutrophils through FPRL1/lipoxin A4 receptors and is an agonist for the orphan monocyte−expressed chemoattractant receptor FPRL2.)」J.Biol.Chem.276:21585〜21593、2001]によって記載されたのと同様に、使い捨てマイクロカラム(Sep−Pak C18、Waters)において逆相クロマトグラフィーによって実施した。反応産物は3倍体積の蒸留水に希釈し、蒸留水で予め処理したカラムに施した。ヨードカリウム(5mM、20mL)を加え、カラムは20mLの蒸留水で二回洗浄した。標識ペプチドは2mLの100%メタノールで溶出し、5μlの等分試料はNuclear Chicago社のγ線測定器において分析した。
マウス中での配列番号8のペプチドの生物学的利用能
125Iを用いた配列番号8の標識及びその精製
配列番号8のペプチドは、幾つかの改変[Biscayart PL、Paladini AC、Vita N、Roguin LP。「長期の安定性を備える良質の結合性の125I標識したヒト成長ホルモンの調製。(Preparation of 125I−labeled human growth hormone of high quality binding properties endowed with long−term stability.)」J.Immunoassay、10、37〜56、1989;Ribelaら、Protein Exp.Purif.、18(2):115〜200、2000]で、Greenwood及びHunter(Greenwood FC及びHunter WM。「高比放射能の125I標識したヒト成長ホルモンの調製。(The preparation of 125I−labelled human growth hormone of high specific radioactivity.)」J.Biochem.、89:114〜123、1963)に従い125Iを用いて標識した。一定攪拌下で、PBSに溶かした5μgの合成配列番号8ペプチドを、1mCiの125I、及び0.8μgのクロラミンTと混合させた。5分後、1μgのメタ重亜硫酸及び200μgのヨードカリウムを加えて標識反応を終了させた。標識産物の精製は、Christopheら[Christopheら、「合成ペプチドtrp−lys−tyr−met−val−met−NH2はFPRL1/リポキシンA4受容体によって好中球を特異的に活性化し、オーファン単球発現走化性因子受容体FPRL2のアゴニストである。(The synthetic peptide trp−lys−tyr−met−val−met−NH2 specifically activates neutrophils through FPRL1/lipoxin A4 receptors and is an agonist for the orphan monocyte−expressed chemoattractant receptor FPRL2.)」J.Biol.Chem.276:21585〜21593、2001]によって記載されたのと同様に、使い捨てマイクロカラム(Sep−Pak C18、Waters)において逆相クロマトグラフィーによって実施した。反応産物は3倍体積の蒸留水に希釈し、蒸留水で予め処理したカラムに施した。ヨードカリウム(5mM、20mL)を加え、カラムは20mLの蒸留水で二回洗浄した。標識ペプチドは2mLの100%メタノールで溶出し、5μlの等分試料はNuclear Chicago社のγ線測定器において分析した。
マウス中での配列番号8のペプチドの生物学的利用能
合成配列番号8のペプチドの分布速度論の分析を、Nascimentoら(Nascimentoら、「ヘビ毒に対するγ線の影響。(Effects of gamma radiation on sanke venoms.)」Radiat.Phys.Chem.52:665〜669、1998)及びCardiら(Cardi BA、Nascimento N、Andrade Jr HF、「durissus terrificusのクロトキシンへの60Coγ線の照射は、スカベンジャー受容体を介したマクロファージによるその取り込みを誘導する。(Irradiation of Crotalus durissus terrificus crotoxin with 60Co gamma−rays induces its uptake by macrophage through scavenger receptors.)」Int.J.Radiat.Biol.73、557〜564、1998)に従い実施した。それぞれの実験に関して、10匹の動物群に分けた約20〜25gの重量の80匹のオスのアルビノスイスマウスに、平均1×106cpmの配列番号8/125Iペプチド、及び冷配列番号8ペプチドを含む50μLの生理食塩水を尾部静脈に接種し(静脈内注射)、体重1kg当たり0.91mgのペプチドに達した。
合成配列番号8のペプチドの分布速度論の分析を、Nascimentoら(Nascimentoら、「ヘビ毒に対するγ線の影響。(Effects of gamma radiation on sanke venoms.)」Radiat.Phys.Chem.52:665〜669、1998)及びCardiら(Cardi BA、Nascimento N、Andrade Jr HF、「durissus terrificusのクロトキシンへの60Coγ線の照射は、スカベンジャー受容体を介したマクロファージによるその取り込みを誘導する。(Irradiation of Crotalus durissus terrificus crotoxin with 60Co gamma−rays induces its uptake by macrophage through scavenger receptors.)」Int.J.Radiat.Biol.73、557〜564、1998)に従い実施した。それぞれの実験に関して、10匹の動物群に分けた約20〜25gの重量の80匹のオスのアルビノスイスマウスに、平均1×106cpmの配列番号8/125Iペプチド、及び冷配列番号8ペプチドを含む50μLの生理食塩水を尾部静脈に接種し(静脈内注射)、体重1kg当たり0.91mgのペプチドに達した。
注射後1、5、15、30、45、60、120及び180分後に動物に麻酔をかけ、頸椎脱臼によって殺傷し、臓器(心臓、脾臓、肝臓、腎臓、腸、胃、甲状腺、精巣、及び脳)を除去し、0.9%生理食塩水で血液を洗浄し、重量を量った。各臓器の放射能をγ線測定器において測定した。尾部を回収し、線量修正に使用するために放射能測定に施した。
各臓器中に存在した線量百分率は、投与した標準線量を使用して測定した。線量百分率/組織1mgで得た放射能値を記録した。結果は図8中に表す。
(実施例9)
マウス尿中のZ−プロ代謝産物の測定
配列番号1、配列番号4、配列番号5、配列番号8、及び配列番号15のペプチドのin vivo加水分解を、食料及び水を自由に与え12時間周期の明−暗サイクルの下に保った、約22〜25gの重量のオスのスイスマウスにおいて調べた。
マウス尿中のZ−プロ代謝産物の測定
配列番号1、配列番号4、配列番号5、配列番号8、及び配列番号15のペプチドのin vivo加水分解を、食料及び水を自由に与え12時間周期の明−暗サイクルの下に保った、約22〜25gの重量のオスのスイスマウスにおいて調べた。
10匹のマウス群を、200μlの生理食塩水に希釈した動物当たり0.91mg/kgの各プロリンリッチオリゴペプチドで腹膜内治療した。治療及び(治療しなかった)対照動物をメタボリックケージ中に保ち、それらの尿を24時間後に回収した。溶媒A(H2O/0.1%TFA)で予め平衡状態にした逆相Sep−Pak C18マイクロカラム(Waters)において尿は予め精製した。サンプルは60%溶媒B(90%アセトニトリル/10%溶媒A)を用いて溶出し、凍結乾燥させ、1mlの脱イオン水に再度懸濁して14,000rpmで5分間遠心分離にかけた。上清(500μl)は分析HPLC系において分画した。勾配は1ml/分の流速を使用して30分間5〜65%溶媒Bであり、214nmでモニタリングした。分画は凍結乾燥させ、0.2%ギ酸を含むアセトニトリル/H2O(1:1)に再度懸濁し、質量分析(Q−TOF−Pro)によって分析した。対照動物と治療動物からの尿分画を比較して、試験したペプチド由来の代謝産物の存在を測定した。結果は表2中に表す。
(実施例10)
本発明のペプチドによる腎臓のNOSの活性化
22〜25gの重量のオスのアルビノスイスマウスに、(1)50μlの0.9%NaCl(基礎レベル対照)、又はLPS(2mg/kg)を補充した0.9%NaCl(陽性対照)、(2)配列番号8(0.21、0.91、及び3.47mg/kg)、(3)配列番号8(0.91mg/kg)、L−NAME(3mg/kg、1時間)を用いて腹膜内経由で予め治療した動物に注射した、(4)配列番号8(0.91mg/kg)、HOE140(10μg/kg、1時間)を用いて腹膜内経由で予め治療した動物に注射した、(5)カプトプリル(0.21、0.91、及び3.47mg/kg)を腹膜内注射した。5、15、30、60、120、及び180分後、動物を殺傷し、それらの腎臓を除去し−70℃で保存した。グループ3及び4の動物を、オリゴペプチドの投与後30分で殺傷した。
本発明のペプチドによる腎臓のNOSの活性化
22〜25gの重量のオスのアルビノスイスマウスに、(1)50μlの0.9%NaCl(基礎レベル対照)、又はLPS(2mg/kg)を補充した0.9%NaCl(陽性対照)、(2)配列番号8(0.21、0.91、及び3.47mg/kg)、(3)配列番号8(0.91mg/kg)、L−NAME(3mg/kg、1時間)を用いて腹膜内経由で予め治療した動物に注射した、(4)配列番号8(0.91mg/kg)、HOE140(10μg/kg、1時間)を用いて腹膜内経由で予め治療した動物に注射した、(5)カプトプリル(0.21、0.91、及び3.47mg/kg)を腹膜内注射した。5、15、30、60、120、及び180分後、動物を殺傷し、それらの腎臓を除去し−70℃で保存した。グループ3及び4の動物を、オリゴペプチドの投与後30分で殺傷した。
NOSの活性はBredt及びSnyder[Bredt DS及びSnyder SH。「一酸化窒素シンテターゼ、カルモジュリン要求酵素の単離。(Isolation of nitric oxide synthetase、a calmodulin−requiring enzyme.)」Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87、682〜685、1990]に従い測定した、これは変換の参照として3H−アルギニンを使用するL−シトルリンへのL−アルギニンの変換の酵素活性の推定に基づく。
NOS活性のアッセイ
腎臓はホモジェネートバッファー、pH7.4(20mMのHEPES、0.32Mのサッカロース、1mMのDTT、0.1mMのEDTA、1mMのPMSF)中で粉砕し、超音波処理した。タンパク質用量測定をBradford(1976)に従い実施し、次に300μLのDowex 50WX8−400カラムにおいてクロマトグラフィーステップを実施した。
腎臓はホモジェネートバッファー、pH7.4(20mMのHEPES、0.32Mのサッカロース、1mMのDTT、0.1mMのEDTA、1mMのPMSF)中で粉砕し、超音波処理した。タンパク質用量測定をBradford(1976)に従い実施し、次に300μLのDowex 50WX8−400カラムにおいてクロマトグラフィーステップを実施した。
酵素アッセイ用に、各サンプルからの80μgの合計タンパク質を、200μLのバッファー(30mMのHEPES、1mMのEDTA、1.25mMのCaCl2、1mMのNADPH、10μg/mLのカルモジュリン、4μMのFAD、4μMのFMN、25μMのBH4、120nMのアルギニン、0.5μCiの3H−アルギニン)中で37℃において60分間インキュベートした。1mlの20mMのHEPESを加えることによって反応を停止させ、氷浴中でインキュベートした。3H−シトルリンは、300μLのDowex 50WX8−400カラムにおいてイオン交換クロマトグラフィーによって3H−アルギニンから分離した。溶出液の放射能はβ線測定器において測定した。cpm(1分当たりのカウント数)をdpm(1分当りたの壊変)に変換した後、一酸化窒素シンターゼ(NOS)の比放射能を以下の等式を使用して計算した:
上式で3H−アルギニンは、冷アルギニンと3H−アルギニン(1:1)の混合物の数に相当する。腎臓組織の粗製抽出物を加えたこと以外は、同じ手順を反応の陰性対照(ブランク)に使用した。結果は図9中に表す。
(実施例11)
本発明のペプチドによって活性化される、全腎臓タンパク質抽出物におけるNO生成
Wu及びYen(Wu CC及びYen MH。「高血圧自然発症ラットにおける高レベルの血漿中一酸化窒素。(Higher level of plasma nitric oxide in spontaneously hypertensive rats.)」Am.J.Hypertension12:476〜482、1999)によって記載されたのと同様に、NOの放出を、30〜35gの重量のオスのスイスマウスの全腎臓タンパク質抽出物における硝酸及び亜硝酸の蓄積によって評価した。動物はヘパリンを含む0.9%生理食塩水溶液(1:1000)を用いた灌流に施した。腎臓を回収し、冷50mMのトリス−HCl、0.1mMのEDTA、0.1mMのEGTA、12mMのβ−メルカプトエタノール、及び1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、pH7.4バッファー中、ホモジェナイザー(Polytron PT MR 3000、Kinematic AG、Littau)中で均質化した。ホモジェネートは、1時間500μlの最終体積で10nM、1μM、又は10μMの配列番号8のペプチドと共にインキュベートした。トリクロロ酢酸(1%)を4℃で加え、20分後、混合物を4℃において13.000gで7分間遠心分離にかけた。90℃で1MのHClに溶かした塩化バナジウム(VCl3)の飽和溶液を上清に加え、NO分析計(NOATM280;Sievers Inc.)においてNOとオゾンの反応による気体の化学発光によってNOの濃度を測定した。硝酸塩の濃度は、NaNO3の標準曲線及びBagソフトウェア2.2(Sievers Instruments Inc.)を使用して測定した。結果は図10中に表す。
本発明のペプチドによって活性化される、全腎臓タンパク質抽出物におけるNO生成
Wu及びYen(Wu CC及びYen MH。「高血圧自然発症ラットにおける高レベルの血漿中一酸化窒素。(Higher level of plasma nitric oxide in spontaneously hypertensive rats.)」Am.J.Hypertension12:476〜482、1999)によって記載されたのと同様に、NOの放出を、30〜35gの重量のオスのスイスマウスの全腎臓タンパク質抽出物における硝酸及び亜硝酸の蓄積によって評価した。動物はヘパリンを含む0.9%生理食塩水溶液(1:1000)を用いた灌流に施した。腎臓を回収し、冷50mMのトリス−HCl、0.1mMのEDTA、0.1mMのEGTA、12mMのβ−メルカプトエタノール、及び1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、pH7.4バッファー中、ホモジェナイザー(Polytron PT MR 3000、Kinematic AG、Littau)中で均質化した。ホモジェネートは、1時間500μlの最終体積で10nM、1μM、又は10μMの配列番号8のペプチドと共にインキュベートした。トリクロロ酢酸(1%)を4℃で加え、20分後、混合物を4℃において13.000gで7分間遠心分離にかけた。90℃で1MのHClに溶かした塩化バナジウム(VCl3)の飽和溶液を上清に加え、NO分析計(NOATM280;Sievers Inc.)においてNOとオゾンの反応による気体の化学発光によってNOの濃度を測定した。硝酸塩の濃度は、NaNO3の標準曲線及びBagソフトウェア2.2(Sievers Instruments Inc.)を使用して測定した。結果は図10中に表す。
(実施例12)
高血圧自然発症ラット(SHR)に対する本発明中に記載したペプチドの抗高血圧効果
本発明のペプチドの影響に対するin vivo試験を、250〜350gの重量の成体のオスの高血圧自然発症ラット、及び正常血圧ウイスターラット(Rattus novergicus)に対して実施した。動物には食料(Nuvilab)及び水を自由に与え、それぞれ12時間の明−暗サイクルに施した。動物及びそれらのケアに関する手順は、Giles[Giles A.R.「生物医学研究における動物の使用に関するガイドライン。(Guidelines for the use of animals in biomedical research.)」Thromb.Haemost.58:1078〜1084、1987]に従い実施した。
高血圧自然発症ラット(SHR)に対する本発明中に記載したペプチドの抗高血圧効果
本発明のペプチドの影響に対するin vivo試験を、250〜350gの重量の成体のオスの高血圧自然発症ラット、及び正常血圧ウイスターラット(Rattus novergicus)に対して実施した。動物には食料(Nuvilab)及び水を自由に与え、それぞれ12時間の明−暗サイクルに施した。動物及びそれらのケアに関する手順は、Giles[Giles A.R.「生物医学研究における動物の使用に関するガイドライン。(Guidelines for the use of animals in biomedical research.)」Thromb.Haemost.58:1078〜1084、1987]に従い実施した。
ポリエチレンカテーテル(PE−50と結合したPE−10)を、左大腿動脈を介して腹部動脈中に導入して心臓血管系パラメータを測定し、動物にトリブロモエタノール麻酔をかけた後に(体重1kg当たり250mg)静脈内注射用に右大腿静脈に導入した。カテーテル挿入後、動物は個々の実験用ケージ中に、手術後の回復期に24時間中食料及び水を自由に与えながら保った。
心臓血管系パラメータ(動脈パルス圧(PAP)、平均動脈血圧(MAP)、及び心拍数(HR))は、データ収集システム(MP100;BIOPAC Systems、Inc、Santa Barbara、Ca、USA)によってコンピュータと結びつけた固体ひずみゲージ式変換器によってモニタリングした。PAP、MAP及びHRは異なるモニターチャンネルに絶えず示され、後の分析用にコンピュータのハードディスクに記録した。
薬剤の投与前に、ラットの心臓血管系パラメータを40分間モニタリングした。AngI(100ng)の静脈内(I.V.)注射は、0.1mLの合計体積で多量に実施した。記録の開始後60分で、体重1kg当たり71nmolの配列番号8のペプチド又は配列番号4又はカプトプリルを、0.9%NaCl溶液0.5mLの合計体積で静脈内投与した。AngIの注射は、実験の最初に行ったのと同様に、配列番号8のペプチド又は配列番号4、又はカプトプリルの投与後3〜10分間繰り返した。対照として、配列番号8のペプチド又は配列番号4、又はカプトプリルの代わりに生理食塩水を注射した。動脈血圧及び心拍数を360分間絶えずモニタリングした。
結果はMAPの平均値±標準偏差として表した。実験の統計分析用に、一元配置ANOVAソフトウェアを使用した。次にBonferroni検定はGraphPad Prism4.0(GraphPad Software、Inc.)を用いて実施した。結果は図11A〜E、12、及び13中に表す。
(実施例13)
ペントバルビトンで麻酔をかけたSHRに対する、配列番号8のペプチド、配列番号1のペプチド、配列番号4のペプチド及びカプトプリルの抗高血圧作用
250〜350gの重量の成体のオスのSHRを使用した。以下に記載したもの以外は、実施例12中に記載した物質及び方法を使用した。
ペントバルビトンで麻酔をかけたSHRに対する、配列番号8のペプチド、配列番号1のペプチド、配列番号4のペプチド及びカプトプリルの抗高血圧作用
250〜350gの重量の成体のオスのSHRを使用した。以下に記載したもの以外は、実施例12中に記載した物質及び方法を使用した。
2つの異なる実験セットを実施した:
1)群当たり5匹のSHRに、体重1kg当たり60mgのペントバルビトンナトリウムを用いて腹膜内に麻酔をかけた。平均動脈血圧及び心拍数を、動脈血圧パルス(PAP)から絶えず計算した。心臓血管系パラメータは、配列番号1、又は配列番号4、又は配列番号8のペプチド(体重1kg当たり71nmol)、又はカプトプリル(体重1kg当たり10pmol)を、0.9%NaCl溶液0.5mLの合計体積で静脈内投与する前の30分間の間モニタリングした。対照は賦形剤(0.9%NaCl)であった。PAM及び心拍数を、抗高血圧化合物の投与後180分まで絶えずモニタリングした。結果は図14A中に表す。
2)測定の前日に、SHRに大腿動脈及び静脈へのカテーテル挿入のための手術を施した。体重1kg当たり60mgのペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔を実施した。カテーテル挿入後、動物は個々の実験用ケージ中に、手術後の回復期に24時間中食料及び水を自由に与えながら保った。ラットの心臓血管系パラメータは、配列番号1、又は配列番号4、又は配列番号8のペプチド(体重1kg当たり71nmol)、又はカプトプリル(体重1kg当たり10pmol)を、0.9%NaCl溶液0.5mLの合計体積で静脈内投与する前の60分間の間モニタリングした。対照は賦形剤(0.9%NaCl)であった。MAP及び心拍数を、ペプチドの投与後360分まで絶えずモニタリングした。
1)群当たり5匹のSHRに、体重1kg当たり60mgのペントバルビトンナトリウムを用いて腹膜内に麻酔をかけた。平均動脈血圧及び心拍数を、動脈血圧パルス(PAP)から絶えず計算した。心臓血管系パラメータは、配列番号1、又は配列番号4、又は配列番号8のペプチド(体重1kg当たり71nmol)、又はカプトプリル(体重1kg当たり10pmol)を、0.9%NaCl溶液0.5mLの合計体積で静脈内投与する前の30分間の間モニタリングした。対照は賦形剤(0.9%NaCl)であった。PAM及び心拍数を、抗高血圧化合物の投与後180分まで絶えずモニタリングした。結果は図14A中に表す。
2)測定の前日に、SHRに大腿動脈及び静脈へのカテーテル挿入のための手術を施した。体重1kg当たり60mgのペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔を実施した。カテーテル挿入後、動物は個々の実験用ケージ中に、手術後の回復期に24時間中食料及び水を自由に与えながら保った。ラットの心臓血管系パラメータは、配列番号1、又は配列番号4、又は配列番号8のペプチド(体重1kg当たり71nmol)、又はカプトプリル(体重1kg当たり10pmol)を、0.9%NaCl溶液0.5mLの合計体積で静脈内投与する前の60分間の間モニタリングした。対照は賦形剤(0.9%NaCl)であった。MAP及び心拍数を、ペプチドの投与後360分まで絶えずモニタリングした。
図14B中に表す結果は平均±SEMとして表す。比較は適時にStudentの不対t検定又は一元配置ANOVA及びDunnettの事後検定によって行った(GraphPad Prism4.0、GraphPad Software、Incorporation)。
(実施例14)
正常血圧ラットに対する高用量の本発明のペプチドの影響
250〜350gの重量の成体のオスのウイスター正常血圧ラットを、実施例12中に記載したのと同様に配列番号8の血圧低下作用の実験評価において使用した。体重1kg当たり10μmolの静脈内用量の配列番号8のペプチドを注射し、動脈血圧を6時間モニタリングした(結果示さず)。
正常血圧ラットに対する高用量の本発明のペプチドの影響
250〜350gの重量の成体のオスのウイスター正常血圧ラットを、実施例12中に記載したのと同様に配列番号8の血圧低下作用の実験評価において使用した。体重1kg当たり10μmolの静脈内用量の配列番号8のペプチドを注射し、動脈血圧を6時間モニタリングした(結果示さず)。
結果は、配列番号8のペプチドは体重1kg当たり10μmolの用量において、これらの動物の動脈血圧を測定した6時間中、有意な血圧低下作用がなかったことを示した(結果示さず)。
Claims (25)
- 配列番号1〜18で示すアミノ酸配列を含む群から選択される1つ又は複数のペプチドからなるプロリンリッチオリゴペプチドであって、動物細胞中の一酸化窒素の生成を実質的に増大及び維持し、及び/又は動物細胞のアルギニノコハク酸シンテターゼの活性を増強し、及び/又は動物細胞中の二価カルシウムイオンの細胞内濃度を増大させることができることを特徴とする、プロリンリッチオリゴペプチド。
- 内皮細胞及び神経細胞のアルギニノコハク酸シンテターゼの活性を増強することができることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 内皮細胞及び神経細胞中の二価カルシウムイオンの細胞内濃度を増大させることができることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 腎細胞中の一酸化窒素シンテターゼの活性を増強することを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 腎細胞中の一酸化窒素の生成を活性化及び維持することを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 腎組織中で3時間より長い時間をかけて濃縮する、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- アミノ末端、又はカルボキシ末端、又は両末端に化学修飾を含む、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 配列番号1〜18で示すアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のオリゴペプチド。
- 動物細胞のアルギニノコハク酸シンターゼと結合することができることを特徴とする、配列番号1〜18で示すアミノ酸配列を含むオリゴペプチド。
- 動物細胞のアルギニノコハク酸シンテターゼと結合し、その活性を増強することができることを特徴とする、請求項1及び9に記載のオリゴペプチド。
- 一酸化窒素の生成を活性化及び維持し、及び/又はアルギニノコハク酸シンターゼの活性を増強し、及び/又はカルシウム二価イオンの細胞内濃度を増大させることができる、配列番号1〜18で示すアミノ酸配列を含む、0.05μg〜10mgの請求項1に記載のオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物、又は薬剤として許容されるその塩と、薬剤として許容されるその賦形剤、希釈剤又は溶媒和物などのアジュバント物質とを含む医薬組成物。
- 0.5μg〜5mgのオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含むことを特徴とする、請求項11に記載の医薬組成物。
- 0.1μg〜0.01mgのオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含むことを特徴とする、請求項12に記載の医薬組成物。
- 哺乳動物における、一酸化窒素生成の欠乏によって引き起こされる疾患、心臓血管疾患と同様に、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、勃起機能障害、並びに胚芽細胞の生成の調節を治療又は予防するための医薬品の製造において用いられることを特徴とする、請求項11から13までに記載の医薬組成物。
- 高血圧哺乳動物の動脈血圧を3時間を超えて低下させることができることを特徴とする、請求項11から14までに記載の医薬組成物。
- ヒトにおいて使用するための医薬品の生成において用いられることを特徴とする、請求項11から15までに記載の医薬組成物。
- 家畜において使用するための医薬品の生成において用いられることを特徴とする、請求項11から15までに記載の医薬組成物。
- 一酸化窒素の生合成を活性化し、及び/又はアルギニノコハク酸シンターゼの活性を増強し、及び/又は二価カルシウムイオンの細胞内濃度を増大させることができる、配列番号1〜18で示すアミノ酸配列を含むオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物の使用方法であって、動物における一酸化窒素の欠乏によって引き起こされる障害を治療するために使用されることを特徴とする使用方法。
- 哺乳動物における、心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、及び勃起機能障害などの障害、並びに胚芽細胞の生成の調節の治療において用いられることを特徴とする、請求項18に記載の使用方法。
- その治療効果を改善することができる1つ又は複数の医薬品と共に用いられることを特徴とする、請求項19に記載の使用方法。
- 人間医学及び獣医学において用いられることを特徴とする、請求項18、19及び20に記載の使用方法。
- 哺乳動物細胞中の一酸化窒素の生合成を活性化し、及び/又は哺乳動物細胞中のアルギニノコハク酸シンターゼの活性を増強し、及び/又は哺乳動物細胞中の二価カルシウムイオンの細胞内濃度を増大させることができるオリゴペプチド、又は異なるプロリンリッチオリゴペプチドの混合物を含む、請求項11から16までに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする、哺乳動物における一酸化窒素の欠乏によって引き起こされる障害の治療方法。
- 治療が心臓血管疾患、神経系の障害、胃腸系の障害、免疫系の障害、全身、腎臓、及び冠血行動態の障害、神経変性病状、子癇前症、免疫応答及び/又は腫瘍増殖中のリンパ球機能障害、及び勃起機能障害、並びに胚芽細胞の生成の調節を対象とする、請求項22に記載の障害の治療方法。
- 治療がヒトを対象とする、請求項23に記載の障害の治療方法。
- 治療が獣医学を対象とする、請求項23に記載の疾患の治療方法。
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