JP2009520780A - 癌の治療において有用なmek阻害剤である6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−n−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3h−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシアミドのトシル酸塩 - Google Patents

癌の治療において有用なmek阻害剤である6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−n−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3h−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシアミドのトシル酸塩 Download PDF

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Abstract

本発明は、化合物1のトシル酸塩ならびにその多形体に関し、特に化合物1のトシル酸塩の結晶質および非晶質の形態、ならびにその調製方法に関する。また、これらの塩を活性成分として含む医薬組成物、ヒトまたは動物の身体における癌等の増殖性疾病状態の治療および/または予防に用いる医薬の製造におけるそれらの使用、ならびにヒトまたは動物の身体における癌等の増殖性疾病状態の治療および/または予防のための方法におけるそれらの使用も記載される。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、新規な塩に関し、更に詳しくは、ヒトまたは動物の身体における癌等の増殖性疾病状態の治療および/または予防に有用なMEK阻害剤である6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド(以下「化合物1」と記載する)の新規な塩に関する。更に具体的には、本発明は、化合物1のトシル酸塩ならびに該塩の調製方法に関する。また、化合物1のトシル酸塩を含む医薬組成物、ならびにヒトまたは動物の身体における癌等の増殖性疾病状態の治療および/または予防のための医薬の製造における塩の使用、および治療上有効量の化合物1のトシル酸を投与することによって哺乳類における癌等の増殖性疾病状態を治療する方法が提供される。
成長因子受容体およびタンパク質キナーゼによる細胞シグナル伝達は、細胞成長、増殖および分化の重要な調節因子である。通常の細胞成長において、成長因子は、受容体活性化(すなわち、PDGFまたはEGF等)によってMAPキナーゼ経路を活性化する。正常および無制御な細胞成長に関与する最も重要でかつ最もよく理解されているMAPキナーゼ経路の内の1種がRas/Rafキナーゼ経路である。活性GTP結合型Rasは、Rafキナーゼの活性化および間接的なリン酸化をもたらす。次いで、Rafは、2個のセリン残基上のMEK1およびMEK2をリン酸化する(MEK1についてのS218およびS222ならびにMEK2についてのS222およびS226)(Ahnら、Methods in Enzymology, 2001, 332:417-431)。次いで、活性化されたMEKは、その唯一の既知の基質、即ちMAPキナーゼのERK1およびERK2をリン酸化する。MEKによるERKのリン酸化は、ERK1についてはY204およびT202ならびにERK2についてはYl85およびT183で起こる(Ahnら、Methods in Enzymology, 2001, 332:417-431)。リン酸化されたERKは二量体化し、次いで核に移動し、蓄積する(Khokhlatchevら、Cell, 1998, 93:605-615)。核内において、ERKは幾つかの重要な細胞機能に関与し、それには、核輸送、シグナル伝達、DNA修復、ヌクレオソームの集合および転座、ならびにmRNAのプロセッシングおよび翻訳(Ahnら、Molecular Cell, 2000, 6:1343-1354)が包含されるが、これらに限定されない。全体として、細胞に対する成長因子の投与は、ERK1およびERK2の活性化につながり、それは、増殖、場合によっては分化をもたらす(Lewisら、Adv. Cancer Res. 1998, 74:49-139)。
増殖性疾患において、ERKキナーゼ経路に関与する成長因子受容体または下流シグナル伝達タンパク質またはタンパク質キナーゼの遺伝子突然変異および/または過剰発現は、無制御の細胞増殖、そして最終的には腫瘍形成につながる。例えば、幾つかの癌には、成長因子の持続産生によってこの経路の連続活性化をもたらす突然変異が含まれる。他の突然変異は活性化GTP結合型Ras複合体の失活における欠陥につながり得、それによって再度MAPキナーゼ経路が活性化される。Rasの突然変異発癌性型は、50%の大腸癌および90%超の膵臓癌、ならびに多くの他の種類の癌に見られる(Kohlら、Science, 1993, 260:1834-1837)。近年では、60%超の悪性黒色腫にbRaf突然変異が同定されている(Davies, H.ら、Nature 2002, 417:949-954)。bRafにおけるこれらの突然変異は、構成的に活性なMAPキナーゼカスケードをもたらす。また、原発腫瘍の試料および細胞株の研究により、膵臓癌や大腸癌や肺癌や卵巣癌や腎臓癌におけるMAPキナーゼ経路の構成的活性化または過剰活性化も示されている(Hoshino, R.ら、Oncocancer gene 1999, 18:813-822)。従って、癌と、遺伝子突然変異に由来する過剰活性MAPキナーゼ経路との間に強い相関関係がある。
MAPキナーゼカスケードの構成的活性化または過剰活性化は細胞の増殖および分化において中心的な役割を担うため、この経路の阻害は高増殖性疾患に有益であると考えられる。MEKは、RasおよびRafの下流にあるため、この経路において主要な役割を果たすものである。更にこれは、MEKのリン酸化のための既知の基質がMAPキナーゼとERK1とERK2のみであるため、魅力的な治療標的である。幾つかの研究においては、MEKの阻害には治療的利益の可能性があることが示されている。例えば、低分子のMEK阻害剤は、ヌードマウスの異種移植片におけるヒト腫瘍の成長を阻害し(Sebolt-Leopoldら、Nature-Medicine 1999, 5(7):810-816;Trachetら、AACR April 6-10, 2002, Poster #5426;Tecle, H., IBC 2nd International Conference of Protein Kinases, September 9-10, 2002)、動物における静的な異痛症をブロックし(国際公開第01/05390号)、そして急性骨髄性白血病細胞の成長を阻害する(Milellaら、J. Clin. Invest. 2001, 108 (6):851-859)ことが示されている。
MEKの低分子阻害剤は開示されている。この数年で少なくとも13件の特許出願が発表されている:米国特許第5,525,625号;国際公開第98/43960号;同第99/01421号;同第99/01426号;同第00/41505号;同第00/42002号;同第00/42003号;同第00/41994号;同第00/42022号;同第00/42029号;同第00/68201号;同第01/68619号;および同第02/06213号。
MEKの阻害剤はまた、国際公開第03/077914号にも記載されている。6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシエトキシ)−アミドまたは「化合物1」は、国際公開第03/077914号に例示されおり、以下の構造式、
Figure 2009520780
を有する。
化合物1は、MEKに対して阻害活性を有し、故に癌等の高増殖性疾患の治療に有用であることが示されている。
一般的には、国際公開第03/077914号においては、前記化合物のある種の医薬的に許容し得る塩が開示される。具体的には、国際公開第03/077914号においては、十分にアルカリ性の部分を有するそこで開示される化合物の医薬的に許容し得る塩が、医薬的に許容し得るアニオンを含む酸付加塩を形成し得ることが示され、かかるアニオンの範囲が列挙されている。同様に、酸性部分を有する化合物の適切な塩は、塩基性化合物と特に無機塩基とによる化合物の処理によって形成されることになる。
医薬に用いられる医薬的に活性の化合物の形態は、妥当な取扱適性を提供する適切なものであって、その取扱適性によってその化合物の処理および製剤が可能になる。しかし、錠剤の溶解速度や活性成分の生物学的利用能等の最終製剤の生物学的性質が最適化されることを保証する必要もあり、これらすべての各種要件を満たす特定の形態を選択する際には、妥協が頻繁に行われる。しかし、場合によっては、塩の生成は容易および/または安定ではなく、それはおそらくpKa値が低いことに起因する。pKa値は、酸や塩基の強度、即ち酸がプロトンを失う傾向、または塩基がプロトンに付加する傾向を表すものである(Bronsted J.N., Rec. Trav. Chim. (1923) 47:718)。このことは、特に化合物1に当てはまる。
本発明は、化合物1のパラトルエンスルホン酸(トシル酸)塩およびその各種形態を提供するものであって、それらのすべては本発明の範囲内に含まれる。これらの形態としては、前記塩の多形体や種々の化学量論だけでなく、無水形態も挙げられる。更に、本発明は、化合物1のトシル酸塩の形態を提供するものであって、それは、医薬の使用に特に適した形態をもたらす固有の物理的特性および医薬的特性を示す。
更なる一側面において、本発明は、高増殖性疾患または高増殖性症状を治療する医薬として化合物1のトシル酸塩を使用する方法を提供するものである。
更なる本発明の一側面は、高増殖性疾患または高増殖性症状の治療または予防のための医薬の調製における化合物1のトシル酸塩の使用である。
本発明の更なる利点および新規な特徴は、以下の明細書に部分的に記載されており、そして以下の本明細書の考察の際に部分的に当業者に識別されるか、もしくは本発明の実施によって理解され得る。本発明の利点は、特に添付の特許請求の範囲で示される手段や組合せや組成物や方法によって認識および獲得され得る。
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の非限定的な態様を示すものであって、本明細書と共に本発明の原理を説明する役目をするものである。
ここで、本発明の特定の態様を詳細に参照する。その態様の例は、添付の構造および式で示される。列挙される態様と併せて本発明が記載されるが、それらの態様は本発明をそれらの態様に限定することを目的としたものではないことが理解されよう。逆に本発明は、すべての代替物、変更物および均等物をカバーすることを目的とするものであって、それらは請求項に記載の本発明の範囲内に包含され得る。本明細書に記載されるものと類似または同等の多くの方法および材料は、当業者に認識されるであろうし、本発明の実施に使用され得るであろう。本発明は、記載される方法および材料に限定されるものでは決してない。組み込まれた文献、特許および類似の材料の1つ以上が本出願と異なるかもしくは矛盾する場合、本出願には、定義された用語、用語の用法、記載された手法等が包含されるがこれらに限定されず、本出願が支配する。
本発明は、化合物1のパラトルエンスルホン酸(トシル酸)塩およびその各種形態を提供するものであって、それらのすべては本発明の範囲内に含まれる。これらの形態としては、前記塩の多形体や種々の化学量論だけでなく、無水形態も挙げられる。結晶化のための溶媒および条件次第で、前記化合物は、各種の異なる化学量論のp−トルエンスルホン酸により塩を生成し得る。一態様において、前記塩は、化学量論が1:1(薬物:対イオン)で無水形態となる。特定の一態様において、前記塩は、化学量論が1:1(薬物:対イオン)で無水形態となり、そして以下に定義される多形形態1または多形形態2として存在する。本明細書に記載される溶媒から晶出される際には、2:1(薬物:対イオン)の塩が形成され、これはこの塩の通常とは異なる特徴であると思われる。2:1の塩の形成は、対イオンの負荷が減少するため有益である。本明細書に記載されない他の溶媒もまた、2:1の塩を生成し得る。更に、本発明は、化合物1のトシル酸塩の形態を提供するものであって、それは、医薬の使用に特に適した形態をもたらす固有の物理的特性および医薬的特性を示す。
ある態様において、化合物1の塩は結晶質である。結晶質の塩は、製造上の観点、特にその静的性質や流動性の観点から見たその取扱適性の面で、遊離塩基より良好であることが判明している。工程不純物は分離することができ、そして塩は遊離塩基より単離が一般に容易であるため、塩類の形成によって精製の手段が提供され得る。
ある態様において、化合物1のトシル酸塩は結晶質の塩であって、それは、驚くべきことに化合物1の遊離塩基よりも医薬特性が向上していることが判明した。特に、この塩は、以下の実施例で示されるように、生物学的利用能だけでなく溶解速度も遊離塩基より高いことが判明している。
本発明が結晶質の塩である化合物1の塩に関することが示される場合、結晶化度は、都合よくは約60%超、より都合よくは約80%超、好ましくは約90%超、より好ましくは約95%超である。最も好ましくは、結晶化度は約98%超である。
化合物1の遊離塩基がBCSクラス4の化合物と分類されたことから、トシル酸塩によってもたらされる生物学的利用能の上昇の程度は、意外な程で、特に有用である。BCSクラス4の化合物は、溶解速度と浸透率が低いため、通常は生物学的利用能が低い。吸収における浸透率に限界があることは、かかる塩が吸収に対して実質的な影響を及ぼすとは通常は考えられないであろうということを意味する(例えば、Dressmanら、(2001) Pharm Tech. July:68参照)。
製剤における化合物1のトシル酸塩の性質には興味深いものがある。化合物1のトシル酸塩の形態2においては、緩衝媒体の懸濁液中における不均化が動力学的に起こりにくいと思われるのに対して、研究対象の他の塩では、同様の時間尺度における水溶性の環境中で遊離型に対する不均化が容易に起こる。トシル酸塩はまた、粉砕や微粉化の際に非晶形になりにくいという固有の性質を示し、その性質は他の塩には認められないものである。これらの性質はこの特定の塩に固有なものに思われ、そしてこれらの性質によって、以下で言及されて示される医薬作用の向上を説明することができる。
特に、前記塩の一態様は、化学量論が1:1の化合物1の無水トシル酸塩である。この無水塩の2種の多形体が同定されており(以下の実施例参照)、「形態1」および「形態2」と称される。一態様において、前記塩は、多形形態2の形態である。別の一態様において、前記塩は、多形形態1の形態である。多形形態2の形態の前記塩の方が多形形態1の形態の前記塩より安定していることが判明している。
塩の調製は、有機溶媒中の化合物1のスラリーを少なくとも理論量のパラトルエンスルホン酸と反応させることによって行うことができる。従って、更なる一側面において、本発明は、化合物1のトシル酸塩を調製する方法を提供するものであって、該方法は、
(i)有機液体中の化合物1のスラリーをトルエンスルホン酸と反応させること;及び
(ii)その結果生じる溶液から塩を沈殿させること、を含む。
1:1の化学量論の塩を製造するための化合物1:トルエンスルホン酸の量のモル比は、0.95:1から1.05:1までの範囲が適切であり、適切には1:1の理論量である。ある態様において、得られる塩は、化合物1:対イオンの化学量論が1:1であるが、ある状況の下では、以下で示されるように、薬物(化合物1):対イオンの化学量論が2:1である塩を得ることができる。化合物1はわずか1つのイオン化中心を有していると思われ、一塩基酸を有するヘミ塩(hemi-salt)の形成は極めて稀であるが、ある形態、特に2:1の塩が存在する理由は完全にはよく理解されていない。
ステップ(i)は、例えば20〜100℃の広範囲にわたる温度で適切に実施され、20〜40℃等の中温での更なる例、周囲温度の更なる例を利用してよい。他の一態様において、60〜100℃の高温や、都合よくは溶媒の還流温度を用いてよい。ステップ(i)を通じて、化合物1および対イオンは容易に溶液に溶解する。この反応の間に形成された塩は、容易に沈殿する。
適切な有機液体としては、化合物1およびその塩がやや難溶である有機溶媒が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「やや難溶」という表現は、溶質1グラム当たり100mL未満の溶媒、例えば溶質1グラム当たり30〜100mLの溶媒の溶解性を有することを意味する。これらの溶媒としては、(i)アルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノール等のC1−6アルコール)、(ii)アルキルケトン(例えば、2−ブタノン等のC1−6アルキルケトン)、および(iii)C1−6アルキルエステル、例えば酢酸エチル等のエステルが挙げられる。特定の一態様において、有機溶媒は、メタノールまたはイソプロパノール等のC1−6アルコールである。
一態様において、ステップ(i)において用いられる溶媒の量は、何らかの溶解、例えば化合物1の遊離塩基と発生する対イオンとの実質的に完全、もしくは完全な溶解を可能にするのに十分な量である。一般に、化合物1:有機液体の量は、1:5〜1:100w/vの範囲である。
得られる塩の特定の多型形態または塩の化学量論は、ステップ(i)および(ii)で用いられる正確な条件によって変化し得る。例えば、本明細書で定義される多型形態2は、上記のような中温、および相対的に少ない量の溶媒、例えば化合物1:有機液体が1:5〜1:10w/vの溶媒で得られうることが判明している。この場合の特定の有機液体は、メタノールであってよい。多型形態1は、ステップ(i)が上記記載の高温でかつ多量の溶媒(例えば、化合物1:有機液体が1:40〜1:60w/v、で、有機液体が例えば、イソプロパノールであってよい)で実施される際に得られている。化合物1のトシル酸が2:1の化学量論を有する条件の例が実施例3に示されている。
この段階において、必要な多型形態または化学量論に適切に化合物1の結晶のトシル酸塩を溶液に播種することは、ステップ(ii)の沈殿過程に役立つ。
適切には、ステップ(ii)の後、析出物は、濾過によって有機液体から分離される。回収された析出物は、例えばステップ(i)で使用されるものと同じ有機液体で、必要に応じて洗浄され、そして例えば40〜50℃等の30〜60℃の高温、減圧下で恒量となるまで乾燥させて所望の塩を生成する。
本発明の方法によって得られたトシル酸塩の物理的性質が調べられ、実施例に記載されている。
本発明には同位体標識された化合物が包含され、それらは、1個以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置換されるという事実を除けば、本発明において列挙される化合物と同一である。本発明の化合物に組み込まれ得る同位元素の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位元素、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。上述の同位元素および/または他の原子の他の同位元素を含有する化合物1のトシル酸塩およびその多形体は、本発明の範囲内である。本発明のある種の同位体標識された化合物、例えば、Hや14C等の放射性同位元素が組み込まれる化合物は、薬物分布アッセイおよび/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(即ちH)同位体および炭素14同位体(即ち14C)は、調製が容易で、かつ検出感度が高いので、特に広く用いられている。更に、重水素(即ちH)等の重い同位体での置換は、代謝安定性の向上によりある種の治療上の利点(例えばインビボにおける半減期の延長または必要投与量の減少)をもたらすことができるので、幾つかの特定の状況で用いられ得る。本発明の同位体標識された塩は、調製中に同位体標識されていない試薬の代わりに容易に得られる同位体標識された試薬を使用することによって、あるいは所望により塩の調製において同位体標識された硫酸を使用することによって、国際公開第03/077914号に開示される手法を実施することによって、一般に調製され得る。
本発明の更なる一側面は、医薬的に許容し得る賦形剤または担体といっしょに、本明細書で定義される化合物1のトシル酸塩を含む医薬組成物を提供するものである。前記組成物は、経口投与に適した形態(例えば、錠剤、口内錠、硬カプセルまたは軟カプセル、乳剤、分散性粉末または分散性顆粒、シロップ剤、エリキシル剤あるいは油性懸濁剤または即時調製水性懸濁剤)、吸入による投与に適した形態(例えば、微粉または液体エーロゾルとして)、吸入法による投与に適した形態(例えば微粉として)、注射剤に適した形態(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、血管内投与または点滴投与のための無菌液、懸濁液または乳剤として)、局所投与に適した形態(クリーム、軟膏、ゲル剤、油性溶液または懸濁剤または即時調製水性懸濁剤)または直腸投与に適した形態(例えば坐剤として)であってよい。特定の一態様において、化合物1のトシル酸塩は経口投与される。一般に、上記組成物は、従来の賦形剤を使用して従来の方法で調製され得る。
本発明の組成物は、単位剤形で有利に存在する。錠剤剤形は、特定の一態様である。従って、本発明の更なる一側面によれば、医薬的に許容し得る賦形剤または担体といっしょに、本明細書で定義される化合物1のトシル酸塩を含む錠剤が提供される。
投与される活性化合物の量は、治療される被験体、障害または症状の重症度、投与速度、化合物の体内動態、および処方する医師の判断に左右される。しかし、有効投与量は、単回投与または分割投与で、体重1kg当たり1日約0.01から約100mgの範囲、好ましくは約1から約35mg/kg/日である。70kgのヒトに対しては、これは約0.7から7000mg/日、好ましくは約70から約2500mg/日である。場合によっては、上述した範囲の下限を下回る投与量レベルで十分過ぎることがあり、一方で他の場合にはいかなる有害副作用を引き起こすことなく更に大きな用量を用い得るが、それは、かかる大きな用量が1日全体にわたる投与において何回かの小用量に最初に分割されるという条件で可能である。錠剤またはカプセル剤等の単位剤形は、通常例えば1〜1000mgの活性成分、好ましくは5〜420mgの活性成分を含有する。好ましくは、0.03〜6mg/kgの範囲の1日量が用いられる。
本発明の更なる側面は、療法によるヒトまたは動物の身体の治療または予防の方法に使用するための本明細書で定義される化合物1のトシル酸塩を提供するものである。本発明の更に別の側面は、医薬として使用するための本願明細書で定義される化合物1のトシル酸塩を提供するものである。更なる側面において、本発明は、MEKが介在する疾患状態、特に温血性哺乳類(例えばヒト)の増殖性障害または異常な細胞成長(例えば癌)の治療のための医薬として使用するための本明細書で定義される化合物1のトシル酸塩を提供するものである。
本発明の更に別の側面によれば、MEKが介在する疾患状態、特に温血性哺乳類(例えばヒト)の増殖性障害または異常な細胞成長(例えば癌)の治療に使用するための医薬の製造において本明細書で定義される化合物1のトシル酸塩の使用が提供される。
更なる本発明の特徴によれば、そのような治療を必要とする温血性哺乳類(例えばヒト)において、MEKが介在する疾患状態、特に増殖性障害または異常な細胞成長(例えば癌)の治療のための方法が提供され、その方法は、本明細書に前に定義された有効量の化合物1のトシル酸またはその医薬組成物を該哺乳類に投与することを含む。
本発明の塩または組成物を使用して治療され得る増殖性障害の具体的な例としては、哺乳類の高増殖性疾患等が挙げられる。特定の癌としては、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮細胞癌、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、腎癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科癌または甲状腺癌がある。
しかし、本発明の化合物および組成物はまた、非癌性高増殖性疾患、例えば、皮膚の良性の肥厚化(例えば乾癬)、再狭窄の良性の肥厚化または前立腺の良性の肥厚化(例えば良性前立腺肥大症(BPH))の治療にも使用され得る。
本発明の化合物または組成物を使用して治療され得るMEK介在疾患の他の例としては、膵炎または腎臓疾患(増殖性糸球体腎炎や糖尿病性腎疾患等)、または哺乳類における疼痛の治療が挙げられる。
前記化合物および組成物はまた、哺乳類における未分化胚芽細胞着床の予防、あるいは哺乳類における血管形成または血管新生に関連した疾患の治療のために使用され得る。かかる疾患には、腫瘍の血管新生、慢性炎症性疾患(例えば関節リウマチ)、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患、皮膚病(例えば乾癬や湿疹や強皮症)、糖尿病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、加齢性黄斑変性、血管腫、神経膠腫、黒色腫、カポシ肉腫、卵巣癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、大腸癌および扁平上皮癌が包含され得る。
「異常な細胞成長」および「高増殖性疾患」という用語は、本出願において区別なく使用され、正常な調節機構とは無関係の細胞成長(例えば、接触阻害の消失)を指す。この用語には、例えば、(1)変異チロシンキナーゼの発現または受容体チロシンキナーゼの過剰発現により増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼの活性化が生じる他の増殖性疾患の良性および悪性の細胞;(3)受容体チロシンキナーゼにより増殖する任意の腫瘍;(4)異常なセリン/スレオニンキナーゼの活性化により増殖する任意の腫瘍;ならびに(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼの活性化が生じる他の増殖性疾患の良性および悪性の細胞、の異常成長が包含される。
本明細書で用いられる「治療する」という用語は、特に明記しない限り、かかる用語が適用される疾患または症状あるいはかかる疾患または症状の1つ以上の徴候の進行を逆転、緩和、阻害すること、もしくはそれらを予防することを意味する。本明細書で用いられる「治療」という用語は、特に明記しない限り、「治療する」が直前で定義されているように、治療することの行為を指す。
従って、本発明の化合物または組成物で治療され得る患者としては、例えば、乾癬、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、BPH、肺癌、非小細胞肺癌、骨癌、CMML、膵臓癌、結腸直腸癌、皮膚癌、頭頸部癌、黒色腫(特に皮膚黒色腫または眼球内黒色腫)、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、精巣癌、婦人科腫瘍(例えば、子宮肉腫、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚部癌、膣癌または外陰癌)、卵巣癌、多発性骨髄腫、肝細胞癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌(例えば、甲状腺癌、副甲状腺癌または副腎癌)、軟部組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性または急性白血病、特に小児期の急性骨髄性の白血病・固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓癌または尿管癌(例えば、腎細胞癌、腎盂癌)あるいは中枢神経系の腫瘍(例えば、原発CNSリンパ腫、脊髄の軸の腫瘍、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫)を有すると診断された患者が挙げられる。
化合物1のトシル酸塩は、単独療法として施し得るか、もしくは化合物1のトシル酸塩と共に1種以上の他の物質および/または治療を伴い得る。かかる併用治療は、その治療の個々の要素の同時的、逐次的または別々の投与により達成され得る。内科的腫瘍学の分野において、種々の形態の治療を併用して各癌患者を治療することは、標準的な手法である。内科的腫瘍学において、化合物1のトシル酸塩と共に、かかる併用治療の他の要素は、手術、放射線治療または化学療法であってよい。かかる化学療法は、例えば以下の治療剤のカテゴリーをカバーし得る。
(i)血管内皮成長因子の作用を阻害するもの等の血管新生阻害剤(例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体であるベバシズマブ[アバスチン(登録商標)]およびVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、4−(4−ブロモ−2−フルオロアニリノ)−6−メトキシ−7−(1−メチルピペリジン−4−イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474;国際公開第01/32651号中の実施例2)、4−(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イルオキシ)−6−メトキシ−7−(3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)キナゾリン(AZD2171;国際公開第00/47212号中の実施例240)、バタラニブ(vatalanib)(PTK787;国際公開第98/35985号)およびSU11248(スニチニブ(sunitinib);国際公開第01/60814号))、化合物(例えば、国際特許出願(国際公開第97/22596号、同第97/30035号、同第97/32856号および同第98/13354号)に開示されるものや、本明細書に定義されるものとは異なった機序によって作用するもの(例えば、リノマイド(linomide)、インテグリンαvβ3の機能の阻害剤、アンジオスタチン、ラゾキシン(razoxin)、サリドマイド、MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤およびCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤)、
(ii)血管標的剤、(例えば、国際公開第00/40529号、同第00/41669号、同第01/92224号、同第02/04434号および同第02/08213号で開示されるリン酸コンブレタスタチン(combretastatin phosphate)および化合物、ならびに国際特許出願(国際公開第99/02166号(例えば、N−アセチルコルヒノール(acetylcolchinol)−O−ホスフェート)に記載される血管傷害剤);
(iii)細胞成長抑止剤(例えば、抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えばフルベストラント(fulvestrant))、プロゲストーゲン(例えばメゲストロールアセテート)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)およびエクセメスタン)、抗プロゲストーゲン、抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば酢酸ゴセレリン、リュープリン(leuprorelin)およびブセレリン)、5αレダクターゼの阻害剤(例えばフィナステリド);
(iv)抗浸潤剤(例えば、マリマスタト(marimastat)等のメタロプロテイナーゼ阻害剤、およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤またはヘパラネーゼ(Heparanese)に対する抗体;
(v)成長因子機能の阻害剤(かかる成長因子としては、例えば血小板由来成長因子や肝細胞成長因子が挙げられる)であって、かかる阻害剤には、成長因子抗体、成長因子レセプター抗体(例えば、抗erbb2抗体であるトラスツズマブ[ハーセプチン(登録商標)]、抗EGFR抗体であるパニツムマブ(panitumumab)、抗erbB1抗体であるセツキシマブ[C225])ならびにSternら、Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, pp11-29に開示される任意の成長因子または成長因子レセプター抗体が含まれ;かかる阻害剤にはまた、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、上皮細胞成長因子ファミリーの阻害剤(例えば、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)−キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)やN−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)や6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033)等のEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤ならびにerbB2チロシンキナーゼ阻害剤(例えばラパチニブ(lapatinib))、肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤、血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤(例えばイマチニブ)、セリン/トレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤等のRas/Rafシグナル伝達阻害剤、例えばソラフェニブ(BAY43−9006))、MEKおよび/またはAKTキナーゼによる細胞シグナル伝達の阻害剤、c−kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様増殖因子)キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX−680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX−528およびAX39459)ならびにサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えばCDK2および/またはCDK4阻害剤)が含まれる;
vi)内科的腫瘍学で用いられる抗増殖薬/抗腫瘍薬およびそれらの組合せ(例えば代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート等の抗葉酸剤、5−フルオロウラシルやテガフールやプリンやアデノシン類似体等のフルオロピリミジン、ならびにシトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、または、例えば、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ−2−テノイル)−L−グルタミン酸等の欧州特許第239362号において具体的には開示される代謝拮抗物質の内の1種);抗腫瘍抗菌薬(例えば、アンスラサイクリン(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシン)、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);プラチナ誘導体(例えばシスプラチンおよびカルボプラチン);アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロランブシル、ブーサルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素およびチオテパ);有糸分裂阻害剤(例えばビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)ならびにタキソールやタキソテール等のタキソイド(taxoid));トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン(例えばエトポシドおよびテニポシド)、アムサクリン、トポテカン、カンプトセシンおよびイリノテカン);酵素(例えばアスパラギナーゼ);ならびにチミジル酸シンターゼ阻害剤(例えばラルチトレキセド(raltitrexed));
ならびに、化学療法剤の更なる種類としては以下が挙げられる:
(vii)生体応答調節剤(例えばインターフェロン);
(viii)抗体(例えばエドレコロマブ(edrecolomab));
(ix)アンチセンス療法(例えば、ISIS2503(抗rasアンチセンス薬)等の上記の標的に向けられるもの);
(x)遺伝子治療アプローチ(例えば、異常なp53あるいは異常なBRCA1またはBRCA2等の異常な遺伝子を置換するアプローチ、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロレダクターゼ酵素を使用するもの等のGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)アプローチ、ならびに多剤耐性遺伝子治療等の化学療法または放射線治療に対する患者の忍容性を向上させるアプローチ等);および
(xi)免疫療法アプローチ(例えば、インターロイキン2、インターロイキン4または顆粒状マクロファージ・コロニー刺激因子等のサイトカインによるトランスフェクション等の患者の腫瘍細胞の免疫原性を増加させるエクスビボおよびインビボアプローチ、T細胞アネルギーを低減させるアプローチ、サイトカインをトランスフェクションした樹状細胞等のトランスフェクション免疫細胞を使用するアプローチ、サイトカインをトランスフェクションした腫瘍細胞株を使用するアプローチ、および抗イディオタイプ抗体を使用するアプローチ等)。
例えば、化合物1のトシル酸塩は、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤および抗増殖剤から選択される1種以上の有効量の物質と共に使用され得る。特定の一態様において、MMP−2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害剤やMMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害剤やCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤等の抗血管新生剤は、本発明の化合物1のトシル酸と、及び本明細書に記載の医薬組成物と共に使用され得る。有用なCOX−II阻害剤の例としては、CELEBREX(登録商標;アレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号、同第96/27583号、同第98/07697号、同第98/03516号、同第98/34918号、同第98/34915号、同第98/33768号、同第98/30566号、同第90/05719号、同第99/52910号、同第99/52889号、同第99/29667号、米国特許第5,863,949号および同第5,861,510号に記載され、それらのすべては参照により本明細書に完全に組み込まれる。適切なMMP−2阻害剤およびMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性がまずないものである。特に、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(即ち、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12およびMMP−13)と比較して選択的にMMP−2および/またはMMP−9を阻害するものが使用される。本発明において有用なMMP阻害剤の特定の例は、AG−3340、RO32−3555およびRS13−0830である。
故に、本発明の更なる一側面は、本明細書において上記(i)〜(xi)で示された抗腫瘍剤の内のいずれか1種と併用する、化合物1のトシル酸塩を提供するものである。本発明の更なる一側面は、本明細書において上記(i)〜(xi)で示された抗腫瘍剤の内の1種以上と併用する、化合物1のトシル酸塩を提供するものである。本発明の更なる一側面は、本明細書において上記(i)〜(xi)で示された抗腫瘍剤のクラスの内のいずれか1種と併用する、化合物1のトシル酸塩を提供するものである。
本明細書において、「併用」という用語が用いられる場合、同時、別々または逐次的な投与であるということを理解すべきである。本発明の一側面において、「併用」は、同時の投与を指す。本発明の別の側面において、「併用」は、別々の投与を指す。本発明の更なる側面において、「併用」は、逐次的な投与を指す。投与が逐次的または別々である場合は、併用の有益効果を喪失するような第2成分の投与の遅延があってはならない。
本発明の更なる一側面によれば、本明細書において上記(i)〜(xi)で示されるものから選択される抗腫瘍剤と併用する化合物1のトシル酸塩を含むキットが提供される。
本発明の更なる一側面によれば、
a)第1の単位剤形の化合物1のトシル酸塩;
b)第2の単位剤形で;本明細書において上記(i)〜(xi)で示されるものから選択される抗腫瘍剤;および
c)該第1および第2の剤形を含むための容器手段、を含むキットが提供される。
以下のアッセイにおいて、化合物1が活性を有することが判明した。N末端6Hisタグ付きの構成的に活性なMEK1(2−393)は、大腸菌において発現し、そしてタンパク質が従来方法によって精製される(Ahnら、Science 1994, 265, 966-970)。MEK1の活性は、MEK1の存在下で、大腸菌において発現されて従来方法によって精製されるN末端Hisタグ付きERK2上へのγ−33P−ATPからのγ−33P−ホスフェートの組込みを測定することによって評価される。アッセイは、96ウェルのポリプロピレンプレートで実施される。インキュベーション混合物(100μL)は、25mMのHepes、pH7.4で10mMのMgCl、5mMのβ−リン酸グリセロール、100μMのオルトバナジウム酸ナトリウム、5mMのDTT、5nMのMEK1および1μMのERK2を含有する。阻害剤はDMSO中で懸濁され、そしてすべての反応を対照も含めてDMSOの終濃度が1%で実施する。10μMのATP(0.5μCiγ−33P−ATP/ウェルを有する)を添加することによって反応が開始され、そして周囲温度で45分間インキュベートされる。等容量の25%TCAを添加して反応を停止させ、そしてタンパク質を沈殿させる。沈殿タンパク質をガラス繊維Bフィルタープレート上にトラップし、そしてTomtec社MACH IIIハーベスターを使用して余分な標識ATPを洗い落とす。プレートを空気乾燥させ、その後30μL/ウェルのPackard社Microscint 20を添加し、そしてPackard社TopCountを使用してプレートを計数する。このアッセイにおいて、本発明の化合物は、50マイクロモル濃度未満のIC50を示した。
実施例
本発明を説明するために、以下の実施例が含まれる。しかし、これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を実施する方法を示唆することが意図されるだけであるということを理解すべきである。実施された実施例について収率を示したが、更なる進歩によってそれを増大させることは可能であろう。
実施例1
化合物1(形態2)のトシル酸塩の調製
Figure 2009520780
6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド(15.20g、33.21mmol)(本明細書に参照により組み込まれる国際公開第03/077914号の実施例10で説明されるように入手可能)のメタノール(92mL)撹拌懸濁液に、周囲温度で、パラトルエンスルホン酸1水和物(6.71g、34.92mmol)のメタノール(61mL)溶液を添加した。スラリーが溶解して茶色の溶液が得られ、それは速やかに沈殿した。その結果生じるスラリーを周囲温度で2.5時間撹拌した。スラリーを濾過し、メタノール(15.2mL)で洗浄し、そして40℃、減圧下で恒量となるまで乾燥し、1:1の化学量論の多形形態2としての黄色の結晶質固体である6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミドp−トルエンスルホナート(19.71g、29.60モル、収率89%)を得た。
H−NMR(400MHz、DDMSO;参照用に添加されたテトラメチルシラン(TMS)による)δ2.29(3H、s、CH)、3.57(2H、t、CHOH)、3.89(2H、t、CHON)、3.98(3H、s、CH)、6.09(2H、br、OH、NH)、6.47(1H、dd、ArH)、7.11(2H、d、ArH)、7.28(1H、dd、ArH)、7.48(2H、d、ArH)、7.63(1H、d、ArH)、7.91(1H、s、ArH)、8.10(1H、br、ArNH)、8.96(1H、s、NNCH)、11.86(1H、br、ONH)。13C−NMR(100MHz、DDMSO)δ20.8(CH)、32.1(CH)、58.5(CHOH)、77.3(CHON)、108.3(CH)、108.3(CC=O)、109.7(CBr)、115.8(CH)、115.8(CH)、120.6(CCl)、122.1(C)、125.1(C)、125.4(2×CH)、128.1(2×CH)、130.5(C)、131.1(CH)、132.2(C)、137.8(CF)、140.6(C)、144.5(C=O)、145.3(C)、146.4(CH)。
実施例2
実施例1で得られた塩の形態1の多形体の調製
化合物1のイソプロパノール(5mL、10倍量)中のスラリー(0.5g)に、p−トルエンスルホン酸1水和物(0.21g、1.00モル)を添加し、次いで混合物を加熱還流した。ほぼ完全な溶液を得た。更に2.5mLのイソプロパノールを添加したが、更なる可溶化は起こらなかった。2、3分以内に、別の固形物が溶液から沈殿したことが認められた。更なる加熱の際には、固形物は再溶解しなかった。スラリーを20℃に冷却し、そして固形物を濾過し、次に50℃の真空オーブン中で一晩乾燥した。
実施例3
2:1の化学量論のトシル酸塩の調製(化合物1:対イオン)
調製A
NMP(2mL)およびイソプロパノール(5mL)中の化合物1(0.5g)のスラリーに、p−トルエンスルホン酸1水和物(0.21g、1.00モル)を添加し、次いで混合物を75℃まで加熱した。この時点で、完全な溶液を得た。その溶液を20℃に冷却して濾過し、そして固形物を50℃の真空オーブン中で一晩乾燥した。
調製B
メタノール(15mL、30倍量)中の化合物1(0.5g)のスラリーに、p−トルエンスルホン酸1水和物(0.21g、1.00モル)を添加した。20℃で完全な溶液を得た。この溶液を15分間撹拌したところ、沈澱物が認められた。その結果生じるスラリーを60℃まで加熱したが、溶解しなかった。スラリーを20℃に冷却し、次に濾過し、次に固形物を50℃の真空オーブン中で乾燥した。
実施例4
トシル酸塩の物理的性質についての検討
実施例1〜3の生成物を以下の試験に供してそれらの物理的性質を測定した。
粉末X線回折(PXRD)
すべての試料をBruker D5000回折計で測定した。結晶塩の試料をSiemensのケイ素単結晶(SSC)ウェーハマウント上に載置し、次いで顕微鏡スライドを用いて試料を薄層に広げることによって、粉末X線回折法スペクトルを測定した。試料を毎分30回転数で回転させ(計数統計の改善のため)、1.5406オングストロームの波長で、40kVおよび40mAで稼働させた銅微小焦点X線管によって発生させたX線を照射した。平行X線源は、V20に設定された自動可変発散スリットを通過させ、反射した放射線を2mmの散乱スリット(antiscatter slit)および0.2mmの検出器スリットに向けて通過させた。試料を、θ−θモードで2度〜40度の2θ範囲にわたり、0.02度の2θ増分あたり1秒間曝露させた(連続スキャンモード)。稼働時間は、31分41秒とした。この機器は、検出器としてシンチレーションカウンターを備えていた。制御とデータ収集は、Diffract+ソフトウェアによるDell Optiplex 686 NT 4.0 Workstationで行った。データは、2〜40°の2θ範囲にわたり、1増分につき4秒で、2θ0.02°づつ収集した。結果を図1〜3に示す。トシル酸塩(1:1の化学量論)の形態1(図1)におけるPXRDピークの帰属を表1にまとめる。
Figure 2009520780
トシル酸塩(1:1の化学量論)の形態2(図2)におけるPXRDピークの帰属を表2にまとめる。
Figure 2009520780
ピークは、18.43°で特に強い。
化合物1:トシル酸の化学量論が2:1のトシル酸塩(図3)におけるPXRDピークの帰属を表3にまとめる。
Figure 2009520780
X線粉末回折における当業者は、ピークの相対強度が、例えば、試料の分析に影響を及ぼし得る、サイズおよび単位のないアスペクト比が30ミクロン超の粒子にに影響を受け得るということを理解するであろう。また、当業者は、反射の位置が、回折計において試料が位置する正確な高さおよび回折計のゼロ校正の影響を受け得るということを理解するであろう。試料の表面の平坦性もまた、少し影響を及ぼし得る。それ故、示される回折パターンデータは、絶対値として得られたものではない(更に詳細については、Jenkins, R. & Snyder, R.L., "Introduction to X-Ray Powder Diffractometry", John Wiley & Sons, 1996を参照のこと)。
示差走査熱量測定
Mettler DSC820eを使用して、化合物1のトシル酸塩(1:1)に関して示差走査熱量測定(DSC)分析を行った。穴の開いた蓋付の40μLアルミニウム製パンに含まれる典型的には5mg未満の材料の試料を、毎分10℃の一定の加熱速度で25℃から325℃の温度範囲で加熱した。窒素を使用したパージガスを毎分100mLの流量で使用した。
その結果により、多形形態1が213℃のピーク融解温度の大きく、急激な吸熱を示すのに対して、多形形態2が融解のため218℃のピーク融解温度の大きく、急激な吸熱を示す(図5)ことが示される。融解による多形形態1から形態2への少量の変換があり、そのため、図4において、形態1の融解の後に第2の現象が認められる。DSCの開始温度値および/またはピーク温度値は、装置、方法、試料によって若干変化し得、それ故に提示される値は絶対的なものとして解釈されないということは、理解されよう。
実施例5
微粉化の検討
微粉化の手順中に材料が非晶形となる可能性を検討するために、乳棒と乳鉢とで材料を10分間粉砕するか、もしくは従来の微粒化装置、この場合は、Gravesend engineering製の2インチSpiralジェットミルを使用して微粒状にするかのいずれかによって、幾つかのバッチの材料を粉砕した。その生成物を上記実施例4に記載のPXRDに供した。図6に示される結果によって、トシル酸塩がこれらのプロセス中に非晶質に非常になり難いものであることが示され、この性質は、これらの手法を用いてテストした他の塩によっては認められないものである。
実施例6
溶解性および溶解
放出速度に対する塩の影響を検討するために、固有溶解(pH6.5)を実施した。トシル酸塩は、粉末溶解速度が遊離塩基の溶解速度より60倍高く、固有溶解速度は遊離塩基と同等であった。
溶液中に塩の形態として残留するトシル酸塩の観察のため、更なる検討を行い各種の媒体中の塩の溶解性を精査した。過剰量の固形体の化合物1の遊離塩基または化合物1のトシル酸塩のいずれかを、10分間および60分間撹拌した後、各種媒体に溶解した量(mg/mL)を表4に示す(SIF=人工腸液(Simulated intestinal fluid));FaSIF=空腹時人工腸液(Fasted Simulated Intestinal Fluid))。
Figure 2009520780
化合物1の遊離塩基ならびに化合物1のトシル酸塩の溶解について、錠剤形態と粉末形態との両方において1時間の時点で検討した。1時間後における溶解度をパーセントで表5に示す。トシル酸塩の溶解速度は、遊離塩基よりも概して非常に高かった。
Figure 2009520780
実施例7
不均化の研究
生理学的条件をシミュレートしたpH6.5の緩衝液を含む様々な溶媒に材料をスラリー化することによって、液体中における塩の特性を調べた。
化合物1のトシル酸塩を、2mL中に100mgの濃度で、室温で、pH6.5の緩衝液中でスラリー化させた。120分まで15分間隔で試料を採集した。その結果、スラリー化15分後に少量の遊離塩基が生成するが、塩はスラリー中に75分間まで存在することが分かった。
化合物1のトシル酸塩のpH6.5のスラリーを調製するために、100mLの三角フラスコに90.8mgのリン酸二水素カリウムを添加して第1溶液(溶液A)を生成することによって、緩衝液を最初に調製した。すべての固形物が溶解したことが明らかになるまで脱イオン水を添加した。100mLの三角フラスコに118.8mgのリン酸水素二ナトリウムを添加することによって第2溶液(溶液B)を調製し、次いですべての固形物が溶解したことが明らかになるまで脱イオン水を添加した。次いで、64mLの溶液Aを32mLの溶液Bと混合してpH6.5の緩衝液を形成した。
10mLのバイアルに100mgの化合物1のトシル酸を添加することによってスラリーを調製し、次いでこれにpH6.5の2mLの緩衝液(上記で調製)を添加して、磁気攪拌棒を加えてバイアルを磁気攪拌器上に置いた。懸濁液の小さなアリコートを15分後、30分後、45分後、60分後および120分後に取り出し、D8 Diffractometer上の金属板上に各試料を置き、直ちにXRPDパターンを測定した。0、15および60分後の結果をそれぞれ図7、8および9に示す。図10は遊離塩基についてのXRPDパターンを示すものであって、参照のために示される。これらの結果は、この条件では塩から遊離塩基への不均化がほとんど起こらないことを示している。更に、固体状態の化合物1のトシル酸塩の不均化は、40℃、5%の相対湿度での3ヵ月の保存後には認められなかった。
実施例8
インビボにおける検討:錠剤製剤中の遊離塩基に対する塩の研究
イヌの研究を実施し、遊離塩基およびトシル酸塩の錠剤(1:1の化学量論的塩の形態2)における50mgの遊離塩基等価物(fbe)の投与量、ならびにトシル酸塩の3×50mgの錠剤としての150mgのfbeの経口投与の後で、空腹のイヌにおける化合物1の血漿中濃度を測定した。
標準的な直接的圧縮プロセスを用いて化合物1の錠剤を製造した。活性医薬成分(API)として化合物1の遊離塩基または化合物1のトシル酸を含む3つのバッチを作製した。一般の製剤は、API(12.5%w/w)、Fast Floラクトース(72.0%w/w)、Avicel PH102(10.0%w/w)、AcDiSol(4.0%w/w)、ラウリル硫酸ナトリウム(0.5%w/w)およびステアリン酸マグネシウム(1.0%w/w)を含有した。ステアリン酸マグネシウム以外の各製剤成分の所要量を計量し、攪拌槽に投入した。次いで、タンブル混合機を使用してその粉末を30分間混合した。次いで、その粉末混合物を425μmの篩にかけ、その後タンブル混合機を使用して更に15分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを粉末混合物に添加し、その後手動で20秒間混合した。各錠剤用の粉末混合物の所要量を個別に計量し、そして型に投入し、その後ハンドプレスを使用して手動で圧縮した。10mm、円形、平坦、標準的凹状工具を使用して約0.1トンの与圧力(約10.8MPaの圧縮圧力)で化合物1の遊離塩基の錠剤を圧縮した。12.5mm、円形、平坦、標準的凹状工具を使用して約0.5トンの与圧力(約34.7MPaの圧縮圧力)で化合物1のトシル酸の錠剤を圧縮した。化合物1の遊離塩基についてはより低い圧縮圧力を用いたが、これは、その製剤が、溶解時間の長期化につながる高圧力で容易に固化することが認められたからであった。一方で、化合物1のトシル酸の製剤は、より高い圧縮圧力で、許容し得る溶解プロフィルを有する、より丈夫な錠剤を作製することが認められ、それ故圧縮圧力による薬物放出の変化に影響を受けにくかった。
体重が11〜15kgで、それぞれの投薬日に少なくとも9月齢の空腹のAlderley Parkのビーグル犬6体に対して、1回量が50mgまたは150mgの遊離塩基の等価物の錠剤を経口投与した。投与量は、治療に適した量が選択された。錠剤製剤を経口投与し、その後20mLの水で洗浄して錠剤の通過を補助した。
イヌには、毎日約400gのHarlan Teklad 2021を与え、そして自由に水を与えた。投薬直前ならびに0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、18、24、36および48時間後に、頸静脈から全血(2mL)をEDTAチューブ内に採集した。3000rpmで血液を15分間遠心分離し、そして普通の血液チューブ内に血漿を取り出し、そしてその血漿を分析まで−20℃で保存した。化合物1の濃度について、血漿(50mcL)を分析した。
経口投与後に認められる化合物1についての平均血漿濃度プロファイルを図11に示す。ここで、×で表す線は、50mgの遊離塩基等価物の投与量レベルの化合物1のトシル酸塩を含んだ製剤を表し、■で表される線は、150mgの遊離塩基等価物の投与量レベルの化合物1のトシル酸塩を含んだ製剤を表し、▲で表される線は、遊離塩基として存在する50mgの化合物1を含む類似の製剤の結果を示す。化合物1がトシル酸塩として投与された際には、実質的な曝露量の増加が生じたと思われる。
上記明細書は、本発明の原理のみを説明するものと考えられる。更に、数多くの変更と改変が当業者にとって容易に明らかであろうから、本発明を上記に示される構造やプロセスに厳密に限定することは望ましくない。従って、すべての適切な変更および同等物は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内に包含され得る。
「含む(comprise, comprising)」および「含む(include, including, includes)」は、本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、所定の特徴、整数、成分またはステップの存在を特定することを目的としたものであるが、それらは、1つ以上の他の特徴、整数、成分、ステップまたはそれらの群の存在または付加を排除するものではない。
図1は、化合物1の多形体の形態1の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図2は、化合物1の多形体の形態2の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図3は、化合物1の2:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図4は、化合物1の多形体の形態1の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のDSCを示す。 図5は、化合物1の多形体の形態2の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のDSCを示す。 図6は、微粉化後の化合物1の多形体の形態2の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図7は、pH6.5の緩衝液中の不均化の分析における、0分での化合物1の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図8は、pH6.5の緩衝液中の不均化の分析における、15分での化合物1の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図9は、pH6.5の緩衝液中の不均化の分析における、60分での化合物1の1:1の化学量論(化合物1:対イオン)のトシル酸塩のXRPDを示す。 図10は、化合物1の遊離塩基のXRPDを示す。 図11は、イヌの経口投与後に見られる化合物1についての平均血漿濃度プロファイルを示すグラフである。

Claims (19)

  1. 化合物1のトシル酸塩。
  2. 無水形態の請求項1に記載の化合物1のトシル酸塩。
  3. 存在するトシル酸イオンに対する化合物1の比率が1:1である、請求項1または請求項2に記載のトシル酸塩。
  4. 存在するトシル酸イオンに対する化合物1の比率が2:1である、請求項1または請求項2に記載のトシル酸塩。
  5. 請求項3に記載の化合物1のトシル酸塩の多形体。
  6. 結晶質である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩。
  7. 化合物1のトシル酸塩の結晶形態1。
  8. 化合物1のトシル酸塩の結晶形態2。
  9. 約18.43°に少なくとも1つの特異的ピークを有する粉末X線回折パターンを有する、化合物1のトシル酸塩。
  10. 18.43°、23.85°、17.86°、25.91°、11.08°、27.78°および22.30°に等しい約2θに特異的ピークを有する粉末X線回折パターンを有する、請求項9に記載の化合物1のトシル酸塩。
  11. 図2に示される粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、請求項1に記載の化合物1のトシル酸塩。
  12. 図1または図3に示される粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する化合物1のトシル酸塩。
  13. (i)有機液体中の化合物1のスラリーをトルエンスルホン酸と反応させること、及び
    (ii)その結果生じる溶液から塩を沈殿させること、
    を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩を調製する方法。
  14. 化合物1:トルエンスルホン酸の量のモル比が0.95:1から1.05:1までの範囲である、請求項13に記載の方法。
  15. 有機液体がC1−6アルコールである、請求項13または請求項14に記載の方法。
  16. 医薬的に許容し得る賦形剤または担体と共に請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩を含有する医薬組成物。
  17. MEKが介在する疾患状態の治療に用いられる医薬の製造における請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩。
  18. MEKが介在する疾患状態の治療に用いられる医薬の製造における請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩の使用。
  19. MEKが介在する疾患状態の治療を必要とする温血性哺乳類においてMEKが介在する疾患状態をする方法であって、有効量の請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物1のトシル酸塩または請求項16に記載の医薬組成物を該哺乳類に投与することを含む方法。
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