JP2009517049A - 切断反応を使用した核酸を検出する組成物および方法 - Google Patents

切断反応を使用した核酸を検出する組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、サンプル中の標的核酸配列の存在を示すシグナルを発生する方法であって、その方法が、標的核酸配列を含有するサンプルを、核酸ポリメラーゼと共にインキュベートすること、および切断構造をヌクレアーゼで切断して、切断核酸フラグメントを発生することによって、切断構造を形成することを含む方法に関する。本発明は、標的核酸配列を検出または測定する方法であって、その方法は、標的核酸配列を、核酸ポリメラーゼと共にインキュベートすること、ヌクレアーゼで切断構造を切断すること、またはフラグメントの遊離を検出または測定することによって、切断構造を形成することを含む方法にも関する。
【選択図】図13

Description

関連出願に対する関連文献
本発明は、1999年10月29日に出願された米国出願番号第09/430,692号の一部継続出願であって、現在米国特許第6,528,254号である2000年8月30日に出願された米国出願番号第09/650,888号の一部継続出願であって、現在米国特許第6,548,250号である2000年11月30日に出願された米国出願番号第09/728,574号の一部継続出願である2005年10月11日に出願された米国出願番号第11/249,059号の一部継続出願であり、全ての全開示は、全体に参照してここに組み込まれる。
DNA複製、組換え、および修復の忠実度は、ゲノム安定性を維持するために必須であり、そしてこれらのプロセスの全ては、全ての臓器に存在する5’から3’エキソヌクレアーゼ酵素による。DNA修復については、これらの酵素は、損傷を受けたフラグメント切除および組換えミスマッチ補正のために要求される。複製については、これらのヌクレアーゼは、ラギング鎖DNA合成の間に岡崎フラグメントの有効なプロセシングに重要である。エッシェリキア・コリ(Escherichia coli)(大腸菌)では、この後者の活性は、DNAポリメラーゼI(PolI)によって提供される。PolI5’から3’エキソヌクレアーゼ・ドメイン中に不活性化突然変異を有するイー.コリ(E.coli)株は、岡崎フラグメントを処理する能力がないため生存可能でない。しかし、真性生物のDNAポリメラーゼは、内在性5’から3’エキソヌクレアーゼ・ドメインを欠き、そしてこの重要な活性は、多官能構造特異的メタロヌクレアーゼFEN−1(five’エキソヌクレアーゼ−1またはflapエンドヌクレアーゼ−1)によって提供され、そしてそれは、5’DNAフラップに関してエンドヌクレアーゼとしても作用する(Hosfieldら、1998a、Cell、95:135で概説される)。
酵素が標識核酸フラグメントを産生する核酸を検出および/または測定する方法は、当業界で知られている。
米国特許第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、5’標識標的DNAを、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taqポリメラーゼ)から単離されるDNAポリメラーゼ、および所望の切断点で配列にハイブリッド形成する能力のある部分的に相補性のオリゴヌクレオチドと共にインキュベートすることによって、標的DNA分子を切断する方法が開示される。そのオリゴヌクレオチドの非相補的領域が3’アームを供し、そして基質分子の未アニール化5’領域が5’アームを供する、切断の所望の部位に対峙する3’伸長を有する二本鎖を含有する基質構造の形成を通して、部分的に相補性のオリゴヌクレオチドは、Taqポリメラーゼを標的DNAに向ける。
部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、短いヘアピンを形成する能力のある3’ヌクレオチド伸長を含む。Taqポリメラーゼによる切断に続く標識フラグメントの遊離を検出する。
米国特許第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、突然変異体の発生、検出可能な合成活性をほとんど有しないか、またはない熱安定性DNAポリメラーゼ、および野生型熱安定性ヌクレアーゼ活性が開示されている。突然変異体ポリメラーゼは、5’から3’への合成活性を欠くので有用であり、したがって、合成活性は、検出アッセイでのDNA切断段階を組合せにおいて望ましくない副作用であるとされる。
米国特許第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、野生型Taqポリメラーゼ、またはヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの存在下で熱変性、続いて冷却によって形成される5’末端標識ヘアピン構造を切断することによって、合成活性を欠く突然変異体Taqポリメラーゼが標識フラグメントを遊離できることが開示されている。さらに、米国特許第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、合成活性を欠く突然変異体Taqポリメラーゼが、ヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの不在下でこのヘアピン構造を切断できることも教示されている。
米国特許第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、合成活性を欠く突然変異体Taqポリメラーゼによってヘアピン構造の3’アームに結合するプライマーの存在下でこのヘアピン構造の切断が、単一種の標識切断産物を生じる一方で、野生型Taq酵素の合成活性のレベルが高いことにより、野生型Taqポリメラーゼが、複数の切断産物を産生し、かつdNTPの存在下でヘアピン構造を二重鎖形態に変換することが開示されている。
核酸ポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性は、特定の核酸の増幅に損傷を与える可能性がある。核酸ポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性の不在下で核酸切断反応を使用したシグナルを発生する方法について当業界で必要性もある。
米国特許番号第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、5’末端標識核酸および相補的オリゴヌクレオチドを含む線状核酸基質を切断することによって、野生型Taqポリメラーゼではなく、合成活性が減少したことを示す突然変異体Taqポリメラーゼが、単一標識フラグメントを遊離でき、相補的オリゴヌクレオチドが、標的核酸の5’および3’領域がオリゴヌクレオチドにアニールされず、単鎖のままでいるように標的核酸の一部にハイブリッド形成することも開示されている。
核酸重合体の5’から3’までのエキソヌクレアーゼ活性の不在下で核酸切断反応を使用して、ヌクレアーゼ混入物から生じる可能性があるオリゴヌクレオチド・フラグメントと容易に区別できる別々のサイズのシグナルを発生する方法について当業界で必要性がある。
米国特許番号第5,843,669号、第5,719,028号、第5,837,450号、第5,846,717号および第5,888,780号では、二次構造の天然に生じる領域で標識核酸基質を切断する方法も開示されている。この方法にしたがって、ビオチン標識DNA基質をPCRにより作製し、野生型のTaqポリメラーゼまたはクリバーゼBN(減少した合成活性および野生型5’から3’へのヌクレアーゼ活性を示す突然変異体Taqポリメラーゼ)と混合し、95℃で5秒間インキュベートして、基質を変性させ、その後65℃まで急冷して、相補的塩基の間の鎖内水素結合の形成を可能にすることによって、DNAに、それの特有の二次構造を想定させる。反応混合物を、65℃でインキュベートさせて、切断を生じさせ、そしてビオチン化産物を検出する。
核酸ポリメラーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性の不在下で核酸切断反応を使用してシグナルを発生する方法で、切断構造が二次構造の領域を含有することを必要としない方法について当業界で必要性がある。
核酸を検出および/または測定する方法で、FEN−1酵素を、標識核酸フラグメントを発生するために使用する方法が、当業界で知られている。
米国特許番号第5,843,669号では、減少した合成活性を示す突然変異体Taqポリメラーゼの存在または不在下で、熱安定性FEN−1ヌクレアーゼを使用して切断フラグメント長多型分析によって多型を検出する方法が開示されている。この方法によって、PCR反応での5’末端標識プライマー(TMR蛍光染料で標識された)によって、二本鎖C型肝炎ウイルス(HCV)DNAフラグメントを標識する。95℃まで加熱し、55℃まで冷却して、切断構造を発生させることによって、TMRで標識されたPCR産物を変性させる。米国特許番号第5,843,669号では、切断構造が、二次構造を含む単鎖核酸基質の領域を含むことが開示されている。古細菌メタノコックス・ジャナスキ(Methanococcus jannaschii)から由来するクレバーゼ(Cleavase)BNヌクレアーゼ、FEN−1ヌクレアーゼまたは両方の酵素の存在下で切断を行う。ゲル電気泳動続いてフルオロ画像法によって、標識反応産物を可視化する。米国特許番号第5,843,669号には、クレバーゼBNヌクレアーゼおよびメタノコックス・ジャナスキFEN−1ヌクレアーゼが、互いに容易に区別される切断バターンを生じること、および両方の酵素を含む反応から得られる切断パターンが、各個別の酵素を用いた切断によって生じるパターンの要素を含むが、単に各個別の酵素によって生じる切断パターンの複合体であるわけではないことが開示されている。これは、1つの酵素によって切断されない(そして、その酵素のパターンでバンドとして見える)フラグメントのいくつかが、同じ反応混合物中で二次酵素によって切断できることを示す。
Lyamichevらは、標的DNAの領域に部分的に相補的であるオリゴヌクレオチドプローブの重複対を標的DNAと混合して5’フラップ領域を形成し、かつ熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ産物による標識下流プローブの切断が、標識切断産物を生じるものであるDNAを検出する方法を開示する。Lyamichevらは、切断シグナルを増幅し、そしてサブ−アトモル・レベルで標的DNAの定量的検出を可能にするために、温度サイクリングの不在下で単一標的配列について下流オリゴヌクレオチドプローブの複数コピーを切断できる反応条件も開示する(Lyamichevら、1999、Nat.Biotechnol.17:292)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、米国特許番号第4,683,202号、第4,683,195号および第4,800,159号で開示されている。その最も簡単な形態では、PCRは、標的DNA中で対峙鎖にハイブリッド形成し、そして目的の領域にぶら下る2つのオリゴヌクレオチド・プライマーを使用した特定のDNA技術の酵素的合成のインビトロ法である。テンプレート変性に関与する連続反復の反応段階、プライマーアニーリング、およびアニール化プライマーの伸長は、その末端がプライマーの5’末端によって定義される特定のフラグメントの指数関数的蓄積を生じる。PCRは、10のファクターによって特定のDNA配列の選択的豊富化を生じる能力があると報告されている。PCR法は、Saikiら、1985、Science、230:1350でも記述される。
PCR技術は、核酸配列を増幅する極端に強力な方法である一方で、増幅材料の検出は、別の操作、および標的DNAが存在するかどうかを決定するためにPCR産物の継続的取扱いを必要とする。増幅材料の検出のために最近要求される継続的取扱い段階の数を減少させることが望ましい。標的配列が増幅されるときに、シグナルが発生されるアッセイシステムは、増幅段階の間にシグナルを発生しないPCR法に比較したときに、増幅材料の検出のために少ない取扱い手段を必要とする。
米国特許第5,210,015号および第5,487,972号では、増幅されるべき核酸、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有するTaqポリメラーゼ、増幅領域に相補的な領域および別の非相補的5’尾部領域を含む5’、3’または5’および3’末端で標識されたプローブの存在下でPCR反応の増幅段階の間にシグナルを発生する、標識プローブを遊離するPCRを基本とするアッセイが開示されている。米国特許第5,210,015号および第5,487,972号では、さらに、上流プローブによって、Taqポリメラーゼが、重合依存性手段で、たとえばdNTPの不在下で、標識プローブ付近に配置される場合に、このPCRベースのアッセイが、ハイブリッド形成されたプローブの5’標識末端を遊離できることが開示される。
発明の概要
本発明は、核酸ポリメラーゼと共に、標的核酸配列を含むサンプルをインキュベートすることによって、切断構造を形成すること、およびFENヌクレアーゼを用いて切断構造を切断して、シグナルを発生することを含む方法であって、当該シグナルの発生は、サンプル中の標的核酸配列の存在を示す。
1つの態様では、本発明は、標的核酸の存在を検出する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位および第二のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にアニールする場合に3’領域が、第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、
c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離(release)すること、および
d)遊離された(released)非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すこと、
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、切断構造を形成し、および切断構造を切断する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位および第二のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および下流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含み、下流プローブを標的にアニールする場合に3’領域が、第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、および
c)ピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌクレアーゼ酵素で切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流伸長プライマー、
第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であるクランピング・オリゴヌクレオチドであって、クランピング・オリゴヌクレオチドがクランプで封鎖された3’末端および5’末端を含み、クランプが、核酸ポリメラーゼによってクランピング・オリゴヌクレオチドの置換を阻害するクランピング・オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流伸長プライマー、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールし、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブが切断構造を形成すること、
c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
d)上流伸長プライマーから、クランピング・オリゴヌクレオチドのクランプまで相補的鎖を伸長すること、
e)標的核酸からクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを解離して、核酸ポリメラーゼに、先にクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブによって変換された標的核酸を利用させること、
f)さらに、標的核酸に相補的な鎖を伸長すること、および
g)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流伸長プライマー、
第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であるクランピング・オリゴヌクレオチドであって、クランピング・オリゴヌクレオチドがクランプで封鎖された3’末端および5’末端を含み、クランプが、核酸ポリメラーゼによってクランピング・オリゴヌクレオチドの置換を阻害するクランピング・オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含み、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流伸長プライマー、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールし、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブが切断構造を形成すること、
c)ピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
d)上流伸長プライマーから、クランピング・オリゴヌクレオチドのクランプまで相補的鎖を伸長すること、
e)標的核酸からクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを解離して、核酸ポリメラーゼに、先にクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブによって変換された標的核酸を利用させること、
f)さらに、標的核酸に相補的な鎖を伸長すること、および
g)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチド伸長プライマー、
第二のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが、封鎖3’末端を含む上流オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、
c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
d)上流伸長プライマーを標的核酸にアニールすること、
e)上流オリゴヌクレオチド伸長プライマーを伸長して、標的核酸に相補的な鎖を合成すること、および
f)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチド伸長プライマー、
第二のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが、封鎖(blocked)末端を含む上流オリゴヌクレオチド、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
を供すること、
b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、
c)ピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌクレアーゼ酵素で切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、および
d)上流伸長プライマーを標的核酸にアニールすること、
e)上流伸長プライマーを伸長して、標的核酸に相補的な鎖を合成すること、および
f)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
a)領域A’を含む標的核酸、
非相補的5’タグ領域(X)および3’プライミング領域(A)を含む順方向伸長プライマーであって、5’タグ領域が増幅前に標的に相補的でなく、および3’プライミング領域(A)が標的核酸中の領域(A’)と相補的である順方向伸長プライマー、
領域Xの少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的のA’部分にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、領域Aの少なくとも一部を含み、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激(prime)する逆伸長プライマー
を供すること、
b)順方向伸長プライマーの領域Aを標的核酸にアニールすること、
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成し、相補的鎖が、領域Aおよび領域Xを含むこと、
d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
e)逆伸長プライマーを、領域Aの下流で相補的鎖の領域にアニールすること、
f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’および5’タグに相補的な領域(X’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生ずること、
g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
i)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
j)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
a)領域A’を含む標的核酸、
非相補的5’タグ領域(X)および3’プライミング領域(A)を含む順方向伸長プライマーであって、5’タグ領域が増幅前に標的に相補的でなく、および3’プライミング領域(A)が標的核酸中の領域(A)と相補的である順方向伸長プライマー、
領域Xの少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的のA’部分にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、領域Aの少なくとも一部を含み、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激する逆伸長プライマー
を供すること、
b)順方向伸長プライマーの領域Aを標的核酸にアニールすること、
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成し、相補的鎖が、領域Aおよび領域Xを含すること、
d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
e)逆伸長プライマーを、領域Aの下流で相補的鎖にアニールすること、
f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’および5’タグに相補的な領域(X’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生じること、
g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
i)ピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌレアーゼ酵素で切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
j)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
a)3’から5’へのA’領域およびT’領域を含む標的核酸であって、上記A’およびT’領域が非連続性である標的核酸、
2つの小領域(X1およびX2)を含む5’タグ領域を含む順方向伸長プライマーであって、X1がX2および3’予備刺激領域(A)の上流であり、および5’タグ領域が、増幅前に標的に相補的でなく、および3’予備刺激領域(A)は標的核酸の領域A’に相補的である順方向伸長プライマー、
領域X1の少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、3’領域が、領域X2、および領域X2の下流にある領域Tの少なくとも一部を含み、および標的核酸のT’に相補的であり、および下流プローブを標的のA’領域にアニールする場合に、5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激する逆伸長プライマー
を供すること、
b)順方向伸長プライマーの相補的領域Aを標的核酸のA’領域およびT’領域にアニールすること、
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成することであって、相補的鎖が、領域Aおよび領域X1およびX2を含むこと、
d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
e)逆伸長プライマーを、領域Tの下流で相補的鎖の領域にアニールすること、
f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’領域T’および5’タグに相補的な領域(X1’、X2’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生じること、
g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
i)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
j)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
a)3’から5’へのA’領域およびT’領域を含み、上記A’およびT’領域が非連続性である標的核酸、
2つの小領域(X1およびX2)を含む5’タグ領域を含む順方向伸長プライマーであって、X1がX2および3’予備刺激領域(A)の上流にあり、および5’タグ領域が、増幅前に標的に相補的でなく、および3’予備刺激領域(A)は標的核酸の領域(A’)に相補的である順方向伸長プライマー、
領域X1の少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、3’領域が、領域A、および領域X2の下流にある領域Tの少なくとも一部を含み、および標的核酸のT’に相補的であり、および下流プローブを標的のA’領域にアニールする場合に、5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激する逆伸長プライマー
を供すること、
b)順方向伸長プライマーの相補的領域Aを標的核酸のA’領域およびT’領域にアニールすること、
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成することであって、相補的鎖が、領域Aおよび領域X1およびX2を含むこと、
d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
e)逆伸長プライマーを、領域Tの下流で相補的鎖の領域にアニールすること、
f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’領域T’および5’タグに相補的な領域(X1’、X2’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生じること、
g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
i)ピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌレアーゼで切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
j)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
を含む方法を提供する。
ここで使用される「ヌクレアーゼ」または「切断剤(cleavage agent)」は、特異的である(すなわち本発明によって切断構造を切断する)酵素、特異的でない(すなわち標的核酸にハイブリット形成されないプローブまたはプライマーのいずれかを実質的に切断しない)酵素のいずれの意味にも用いる。用語「ヌクレアーゼ」は、5’エンドヌクレアーゼ活性を保持する酵素、たとえばDNAポリメラーゼ、たとえばイー.コリ(E.coli)から得られるDNAポリメラーゼI、およびサームス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)、サームス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)およびサームス・フラブス(Thermus flavus)(Tfl)から得られるDNAポリメラーゼを含む。本発明によるヌクレアーゼとしては、サッカロミセス・セルビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)RAD27、およびシゾサッカロミセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)RAD2、Pol I DNAポリメラーゼ結合5’から3’へのエキソヌクレアーゼ・ドメイン、(たとえば、イー.コリ、サームス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)、テーモ・フラブス(Tfl)、バシルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax)(Bca)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae))およびそれに限定されないがT5 5’から3’へのエキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼおよびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼを含めたFENのファージ機能相同性が挙げられる。好ましくは、Taq、TflおよびBcaFENヌクレアーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼドメンイを使用する。用語「ヌクレアーゼ」は、リボヌクレアーゼH(RNase H)を含まない。
ここで使用される場合、「FENヌクレアーゼ」は、本発明による切断構造を切断する酵素に該当する。用語「FENヌクレアーゼ」は、5’エキソヌクレアーゼ活性およびエンドヌクレアーゼ活性のいずれか一方又は両方から基本的に構成される酵素を包含する。ここで使用される場合、「から基本的に構成される」は、5’から3’への合成活性および3’単鎖フラップ切断活性(すなわち、3’エンドヌクレアーゼ活性および3’エキソヌクレアーゼの活性の一方または両方)の一方または両方が実質的に欠いているように、酵素の優勢な活性が、5’エキソヌクレアーゼ活性および5’エンドヌクレアーゼの活性の一方または両方である酵素に該当する。「実質的に欠く」は、FENヌクレアーゼが、野生型酵素の活性(たとえば、5’から3’への合成活性および3’エンドヌクレアーゼおよび(または)3’エキソヌクレアーゼの活性については、酵素は、これらの活性を有する野生型DNAポリメラーゼであってよい)の5%または10%未満、好ましくは0.1%、0.5%または1%未満を保有することを意味する。たとえばニック翻訳アッセイで、または合成の全体的方向が、5’から3’への方向にあるように、オリゴヌクレオチドプライマーの成長末端にある3’−水酸基と、流入デオキシヌクレオチドの5’−リン酸基との間でリン酸ジエステル架橋の形成に関与する酵素的配列決定反応で5’から3’への合成活性を測定できる。3’フラップ切断は、DNA二重鎖の(方式)3’末端が不対であるので、その二重鎖から切断されるDNA合成反応で測定できる。5’エキソヌクレアーゼおよび(または)エンドヌクレアーゼ活性「から構成される」FENヌクレアーゼは、5’から3’への合成活性および(または)3’単鎖フラップ切断活性を「欠く」酵素に該当する。「欠く」は、Fenヌクレアーゼが、検出可能な活性を示さないか、または「僅かの」活性しか有しない、すなわち、野生型酵素の活性の1.0%、0.5%または0.01%であることを意味する。ここで使用される場合、「FENヌクレアーゼ」は、5’フラップ特異的ヌクレアーゼを包含する。
用語「FENヌクレアーゼ」は、5’フラップ特異的ヌクレアーゼも含む。本発明によるヌクレアーゼまたは切断剤としては、それに限定されないが、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ヒト、マウスまたはキセノプス・ラエビス(Xenopus laevis)から由来するFENヌクレアーゼ酵素が挙げられる。
ここで使用される場合、「野生型」は、天然に生じる源から単離されるときに、遺伝子または遺伝子産物の特徴(すなわち、遺伝子については、そのまたはコードする配列を有するか、または酵素については、の配列または活性を保有するかのいずれかで)を示す遺伝子または遺伝子産物に該当する。
本発明による「5’フラップ特異的ヌクレアーゼ」(ここで「フラップ特異的ヌクレアーゼ」とも称される)は、5’単鎖として突出する単鎖フラップを除去できるエンドヌクレアーゼである。本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼは、偽Y構造をも切断できる。本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼの基質は、標的核酸、第二の核酸、標的核酸と特異的にハイブリッド形成するものの一部、および標的核酸配列と特異的にハイブリッド形成する第三の核酸から得られるプライマー伸長産物を含む。
ここで使用される場合、「切断構造」は、フラップ、ループ、単鎖バブル、D−ループ、ニック、またはギャップを含む単鎖領域を有する少なくとも二重鎖核酸を含むポリヌクレオチド構造(たとえば、図1で示されるとおりの)に該当する。このように得られる本発明による切断構造は、5’単鎖ポリヌクレオチドフラップが、その構造の二重鎖部分との接合部付近の位置から伸長する、分岐DNAのフラップ鎖を含むポリヌクレオチド構造を含む。いくつかの実施態様では、フラップは、検出可能な標識で標識される。本発明による切断構造のフラップは、好ましくは1−10,000ヌクレオチド、さらに好ましくは約5−25ヌクレオチド、最も好ましくは約10−20ヌクレオチドであり、そして好ましくは分岐構造の「肘」に配置されたリン酸で、またはフラップ鎖の肘から近位および(または)遠位に配置された1から10までのリン酸いずれか一つで配置される位置で切断される。ここで使用される場合、「肘」は、5’フラップの第一の単鎖ヌクレオチドおよび第一の二重鎖(たとえば、標的核酸にハイブリッド形成した)ヌクレオチドの間のリン酸結合に該当する。1つの実施態様では、切断構造のフラップは、標的核酸にハイブリッド形成できない。
本発明による切断構造は、好ましくは、標的核酸配列を含み、さらに標的核酸配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチド、およびハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドから伸長するフラップも含みうる。
たとえば、本発明による切断構造は、標的核酸配列(たとえば、図3でB)、標的核酸配列に相補的である上流オリゴヌクレオチド(たとえば、図3でA)、および標的配列に相補的である下流オリゴヌクレオチド(たとえば、図3でC)を含むことができる。このような構造では、下流オリゴヌクレオチドを、3’末端で封鎖して、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止しうる。このような切断構造では、上流オリゴヌクレオチドを封鎖しうる(たとえば、図13でX)。
本発明による切断構造は、下流オリゴヌクレオチドから伸長するフラップを含むオリゴヌクレオチド構造であって、核酸ポリメラーゼの合成活性による上流オリゴヌクレオチドの伸長、および下流オリゴヌクレオチドの5’末端の連続、部分的置換により、そのフラップを形成しうる構造である。さらに別の実施態様では、本発明による切断構造は、下流オリゴヌクレオチドから伸長する予め形成されたフラップであって、標的に非相補的である下流オリゴヌクレオチドの5’部分によって形成されるフラップを含む。
本発明による切断構造は、標的核酸配列をオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成させることによって形成でき、そのオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列にアニールする相補的領域、および標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的領域を含む。
本発明の別の実施態様では、標的核酸を、標的核酸に対するプローブの結合により変動する第二の構造を有する下流オリゴヌクレオチドブローブとインキュベートすること、およびさらに、結合部分および、標的核酸にアニールせず、5’フラップおよび標的核酸にアニールする相補的3’領域を形成する非相補的5’領域、および上流オリゴヌクレオチドを含むことによって、本発明による切断構造を製造できる。1つの実施態様では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の非重複領域にハイブリッド形成する。別の実施態様では、上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、標的核酸の隣接領域にハイブリッド形成する。
切断構造は、偽Y構造でもあり得て、フラップの上流にある鎖(ここで、フラップ隣接鎖、またはプライマー鎖と称される)を除去する場合に、偽Y構造を形成でき、二重鎖DNA基質が、ギャップまたはニックを含む。ここで使用される場合、「切断構造」は、3’単鎖フラップのみを有する二重鎖核酸構造を含まない。ここで使用される場合、「切断構造」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含み、したがってRNAまたはDNAでありうる。
本発明による切断構造は、標的核酸配列にハイブリッド形成する能力のある上流オリゴヌクレオチドの3’末端(たとえば、図3でA)が、標的核酸配列にアニールされる下流オリゴヌクレオチドの1塩基対(たとえば、図3でC)に相補的であり、そして重複が、単鎖フラップの伸長の点の直接下流である、重複フラップでありうる。
1)核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリッド形成させる条件下でa)上流伸長可能な3’末端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの5000ヌクレオチド未満下流に配置されるオリゴヌクレオチドプライマープローブ、およびc)標的配列が上流プライマーと下流プローブの両方に相補的である適切な標的核酸配列、およびd)適切な緩衝液を含むこと、および2)上流オリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3’末端が、下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端の(すなわち、その5−10ヌクレオチド)少なくとも一部に隣接になるか、および/または下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端の少なくとも一部を置換するように、ポリメラーゼの合成活性により上流オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端を伸長する段階によって、本発明による切断構造を形成する。本発明の方法によって、緩衝液および伸長温度は、特定の本発明による核酸ポリメラーゼによる鎖置換に都合がよい。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止するために、下流オリゴヌクレオチドを3’末端で封鎖される。本発明の別の実施態様では、標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的5’領域、および標的核酸配列にアニールする相補的3’領域を含むオリゴヌクレオチドプライマーと標的核酸配列をインキュベートすることによって、本発明による切断構造を作製できる。
本発明の好ましい実施態様では、切断構造を標識する。
1)核酸配列にプライマーにハイブリッド形成させる条件下で、a)上流伸長可能な3’末端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーの好ましくは5000未満、さらに好ましくは500未満のヌクレオチド下流に配置された標識プローブ、およびc)標的配列がプライマーと標識プローブとの両方に相補的である適切な標的核酸配列、およびd)適切な緩衝液をインキュベートする段階、および2)上流プライマーの新たに合成された3’末端が、下流プローブの5’末端を部分的に置換するように、ポリメラーゼの合成活性により上流プライマーの3’末端を伸長する段階によって、本発明による標識切断構造を形成する。本発明の方法によって、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定の核酸ポリメラーゼによる鎖置換に都合がよい。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止するために、下流オリゴヌクレオチドを、3’末端で封鎖する。別の実施態様では、標的核酸配列を、標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的な標識5’領域、および標的核酸配列にアニールする相補的3’領域を含むプローブとインキュベートすることによって、本発明による切断構造を作製できる。
別の実施態様では、図13で示され、そして実施例7で記述されるとおり切断構造を形成する。切断構造は、「3B」として示される「封鎖3’末端」を有する上流オリゴヌクレオチド(X)、標的核酸および5’フラップを有する下流プローブ(A)を含む。いくつかの実施形態では、上流オリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドは、下流オリゴヌクレオチドの5’末端のハイブリッド形成ヌクレオチドから得られる0−20塩基の間である。他の実施形態では、上流オリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドは、下流オリゴヌクレオチドの5’末端のハイブリッド形成ヌクレオチドから得られる0−10塩基の間である。さらに他の実施形態では、上流オリゴヌクレオチドの3’ヌクレオチドは、下流オリゴヌクレオチドの5’末端のハイブリッド形成ヌクレオチドから得られる0−5塩基の間である。別の実施形態では、ニックは、上流および下流オリゴヌクレオチドを分離する。
他の実施形態では、上流オリゴヌクレオチドの封鎖3’末端は、下流オリゴヌクレオチドの5’末端のハイブリッド形成ヌクレオチドの上流、そのヌクレオチドに、またはそのヌクレオチドの下流にかのいずれかにあってよい。
ここで使用される場合、「標識」または「シグナルを供給できる標識部分」は、検出可能な(好ましくは定量可能な)シグナルを供給するために使用でき、および核酸に操作的に連結できるいずれかの原子または分子に該当する。標的は、蛍光、放射活性、比色分析、重力法、X線回折または吸収、磁性、酵素的活性、質量分析、結合親和性、ハイブリダイゼーション高周波などによって検出可能なシグナルを供給できる。
ここで使用される場合、「シグナルを発生する」は、サンプル中の標的核酸配列の存在の指標として遊離核酸フラグメントを検出および、または測定することに該当する。
ここに示される場合、「サンプル」は、目的の核酸(標的核酸配列)または目的の標的核酸配列を含有するか、含有することが推測されるそれ自身核酸であるものを含有するか、または含有することが推測されるいずれかの物質に該当する。このため用語「サンプル」は、核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA)、細胞、生物、組織、流動体、または物質のサンプルを含に、そしてそれに限定されないが、たとえば血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便;皮膚、呼吸器、大腸および尿生殖管の外部分泌物;唾液、血液細胞、腫瘍、臓器、組織、インビトロ細胞培養構成要素のサンプル、天然の分離物(飲料水、海水、固形材料のような)、微生物試験片、および核酸追跡分子で「標識」された目的物または試験片を含む。
ここで使用する場合、「標的核酸配列」または「鋳型核酸配列」は、複製、増幅、および/または検出されるべきである核酸の領域に該当する。1つの実施形態では、「核酸配列」または「鋳型核酸配列」は、増幅のために使用される2つのプライマー配列の間にある。
ここで使用される場合、「核酸ポリメラーゼ」は、三リン酸ヌクレオチドの重合を触媒する酵素に該当する。一般に、酵素は、標的配列にアニールされたプライマーの3’末端で合成を開始し、そして鋳型に沿って5’方向で処理し、5’から3’までのヌクレアーゼ活性を保持する場合に、合成が終結するまで、加水分解は、標識または未標識プローブフラグメントの両方を遊離するアニール化プローブを介在する。既知DNAポリメラーゼとしては、たとえばイー.コリDNAポリメラーゼI、T7DNAポリメラーゼ、サームス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ、バシルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼ、サームス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ、およびピロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼが挙げられる。
ここで使用される場合、「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性」または「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性」は、鋳型特異的核酸ポリメラーゼの活性、たとえば5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性が、ある種のDNAポリメラーゼにもともと関連しており、それによりモノヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを、連続手段でポリヌクレオチドの5’末端から除去すること(すなわち、イー.コリDNAポリメラーゼIは、この活性を有するのに対して、クレノー(Klenowら、1970、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、65:168)フラグメントは有しない(Klenowら、1971、Eur.J.Biochem.、22:371))か、または5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性で本質的に存在する可能性のあるエンドヌレアーゼの活性により5’からポリヌクレオチドを除去するという意味を含む。
ここで使用される場合、語句「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く」または「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く」は、野生型酵素の活性の10%、5%、1%、0.5%または0.1%未満を示すことを意味する。語句「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠く」または「5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠く」は、検出可能でない5’から3’までのエキソヌクレアーゼ活性を有するか、野生型の酵素の5’から3’までのエキソヌクレアーゼの約1%、0.5%または0.1%未満を有することを意味する。30分間、60℃で適切な緩衝液(たとえば10mMトリス−HCl(pH8.0)、10mM MgClおよび50μg/ml仔牛血清アルブミン)の存在下でニックの入った基質を切断する段階、10mM EDTAおよび1mg/mlブロモフェノールブルーを含有する95%ホルムアミドの添加により切断反応を終止する段階、およびニックの入ったまたはニックなしの産物を検出する段階を含むエキソヌクレアーゼ活性により5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を測定できる。
本発明により有用な核酸ポリメラーゼとしては、それに限定されないが、Pfu、エキソ−Pfu(3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuの突然変異形態)、Taqのストフェル・フラグメント、N−切断Bst、N−切断Bac、ゲンタ(Genta)、JdF3エキソ−、ベント(Vent)、ベント・エキソ−(3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くディープ・ベントの突然変異形態)、U1Tmaおよびシーケナーゼが挙げられる。本発明による有用な別の核酸ポリメラーゼは、「核酸ポリメラーゼ」と題される区分で下で含まれる。
ここで使用される場合、「切断」は、切断構造を特徴的(すなわち、リン酸ジエステル結合によって他のフラグメントまたは核酸に物理的に連結されない)フラグメントまたはヌクレオチドに、および切断構造から遊離されるフラグメントに酵素的に分離する意味を含む。たとえば、標識切断構造を切断することは、本発明により、かつ下で定義される標識切断構造を、標的核酸配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドから由来するフラグメントを含めた特徴的なフラグメントに分離することか、または特徴的なフラグメントの内の1つが、標識フラグメント上に存在する標識部分を検出するのに適している当業界で周知であり、およびここに記述される方法によって検出および/または測定できる標的核酸配列から由来する、および(または)標的核酸配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドから由来する標識核酸フラグメントであることに該当する。
ここで使用される場合、「エンドヌクレアーゼ」は、核酸分子内の結合、好ましくはリン酸ジエステル結合を切断する酵素に該当する。本発明によるエンドヌクレアーゼは、単鎖または二重鎖DNAまたはRNAに特異的でありうる。
ここで使用される場合、「エキソヌクレアーゼ」は、ポリヌクレオチドの末端から一度に1つ、ヌクレオチドの間の結合、好ましくはリン酸ジエステル結合を切断する酵素に該当する。本発明によるエキソヌクレアーゼは、DNAまたはRNA分子の5’または3’末端に特異的でありえて、ここで5’エキソヌクレアーゼまたは3’エキソヌクレアーゼと称される。
ここで使用される場合、「フラップ」は、二重鎖核酸分子から伸長する単鎖DNAの領域を意味する。本発明によるフラップは、好ましくは約1−500ヌクレオチド、さらに好ましくは約5−25ヌクレオチドの間、最も好ましくは約10−20ヌクレオチドの間である。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
好ましい実施形態では、切断構造は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
本発明は、標的核酸配列を含むサンプルを、核酸ポリメラーゼとインキュベートすること、FENヌクレアーゼで切断構造を切断して、核酸フラグメントを遊離すること、およびサンプル中の標的配列の存在の指標としてフラグメントの遊離を検出および/または測定することによって、切断構造を形成することを含む標的核酸配列を検出または測定する方法も提供する。
ここで使用される場合、「標的核酸配列を検出すること」または「標的核酸配列を測定すること」は、サンプル中の特定の標的核酸配列の存在を測定すること、またはサンプル中の標的核酸配列の存在の指標としてサンプル中の特定の標的核酸配列の量を測定することを含む。測定または検出できる標的核酸配列の量は、好ましくは約1分子から1020個の分子、さらに好ましくは約100分子から1017個の分子まで、最も好ましくは約1000から1014個の分子までである。本発明によって、検出核酸は、本発明による切断構造の上流プローブ(たとえば、図3のA)の3’伸長により標的核酸配列から置換される本発明による切断構造(たとえば、図3でC)の下流プローブの標識5’末端から誘導される。
本発明によって、標識を、本発明による切断構造を含む下流プローブ(たとえば、図3でC)の5’末端に付着させる。代わりに、標識を、下流プローブの3’末端に付着させ、クエンチャーを、下流プローブの5’フラップに付着させる。本発明によって、標識を、本発明による切断構造を含む下流プローブ(たとえば、図3でC)の3’末端に付着させる。
本発明によって、下流プローブ(たとえば、図3でC)を、内部で標識できる。好ましくは実施形態では、標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的な標識5’領域、および標的核酸配列にアニールする相補的3’領域を含むプローブで標的核酸配列をインキュベートすることによって、本発明による切断構造を作製できる。本発明の本実施態様によって、検出核酸は、プローブの標識5’フラップ領域から誘導される。好ましくは、標的核酸配列と切断された検出核酸によって発生されるシグナルとの量の間の直接的相互関係がある。
ここで使用される場合、「標識フラグメントの遊離を検出すること」または「標識フラグメントの遊離を測定すること」は、サンプル中の標識フラグメントの存在を測定することか、またはサンプル中の標識フラグメントの量を測定することに該当する。当業界で周知で、ここに記述される方法を、標識フラグメントの遊離を検出または測定するために使用できる。標識フラグメントの遊離を検出または測定する方法は、標識フラグメントに存在する標識部分を測定または検出するのに適している。測定または検出できる遊離された標識フラグメントの量は、標識プローブの総出発量の好ましくは約25%、さらに好ましくは約50%、最も好ましくは約95%である。
ここで使用される場合、「標識フラグメント」は、切断されたモノヌクレオチドまたは小型オリゴヌクレオチド、または本発明による標識された切断構造から由来するオリゴヌクレオチドであって、切断オリゴヌクレオチドは、好ましくは約2−1000の間のヌクレオチド、さらに好ましくは約5−50の間のヌクレオチド、最も好ましくは約16―18の間のヌクレオチドであり、FENヌクレアーゼにより切断構造から切断され、当業界で周知であり、ここに記述される方法によって検出できるヌクレオチドに該当する。
ここで使用される場合、「遊離された非相補的5’フラップを検出すること」または「標識非相補的5’フラップを測定すること」は、サンプル中の切断5’フラップの存在を測定すること、またはサンプル中の切断5’フラップの量を測定することを意味する。
当業界で周知であり、ここに記述される方法を、核酸フラグメントの遊離を検出または測定するために使用できる。切断5’フラップを直接的に、たとえばFRET対から得られる蛍光シグナル、または間接的に、たとえば二次切断または増幅反応で検出できる。(他の関連特許を参照、その開示は、直接検出について(2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,942号;1999年10月29日に出願された米国特許第6,528,254号B1;2000年8月30日に出願された米国特許第6,548,250号)および間接的検出について(2000年11月21日に出願された米国特許第6,893,819号;2005年10月11日に出願された米国特許出願第60/725,916号)参照してここに組み込む。)
ここで使用される場合、「遊離5’フラップ」は、切断された小型オリゴヌクレオチドまたは本発明による切断構造から由来するオリゴヌクレオチドであって、切断オリゴヌクレオチドは、好ましくは約2−1000の間のヌクレオチド、さらに好ましくは約5−50の間のヌクレオチド、最も好ましくは約16−18の間のヌクレオチドに該当し、そしてそれは、ヌクレアーゼによって切断構造から切断され、当業界で周知で、ここに記述される方法によって検出できる。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。
ここで使用される場合、「熱安定性」は、たとえば類似の活性を有する酵素の非熱安定性形態の酵素と比較した場合、加熱するために、好ましくは約90−100℃の間、さらに好ましくは約70−98℃の間と同じ程度に大きい温度で安定で、かつ活性である酵素に該当する。たとえば、ピー.フリオスス(P.furiosis)、エム.ジャナスキ(M.jannaschii)、エイ.フルギドゥス(A.fulgidus)またはピー.フリオスス(P.furiosus)のような好熱性生物から由来する熱安定性核酸ポリメラーゼまたはFENヌクレアーゼは、イー.コリまたは哺乳類FEN酵素から得られる核酸ポリメラーゼと比較した場合に、高温でより安定で活性である。サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)から単離される代表的熱安定性核酸ポリメラーゼは、米国特許番号第4,889,818号に記述される。従来のPCRでそれを使用するための方法は、Saikiら、1988、Science239:487に記述される。ピー.フリオスス(P.furiosis)(Pfu)から単離される別の代表的熱安定性核酸ポリメラーゼは、Lundbergら、1991、Gene、108:1−6で記述される。
別の代表的温度安定性ポリメラーゼとしては、たとえば好熱性細菌サームス・フラブス(Thermus flavus)、サームス・ルバー(Thermus ruber)、サームス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、バシルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)(列挙された他のものよりある程度低い温度最適を示す)、サームス・ラクテウス(Thermus lacteus)、サームス・ルベンス(Thermus rubens)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)から、または好熱性古細菌サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、およびメタノセルムス・フェルビヅス(Methanothermus fervidus)から抽出されるポリメラーゼが挙げられる。
温度安定性ポリメラーゼおよびFENヌクレアーゼは、PCRサイクルの間に高温(約95℃)にされされることによって二重鎖核酸が変性される熱サイクルプロセスで好ましい。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、フラップ特異的ヌクレアーゼである。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、熱安定性である。
別の好ましい実施形態では、シグナルを供給する能力のある少なくとも1つの標識部分を含む切断構造を形成する。
別の好ましい実施形態では、検出可能なシグナルの発生を消すのに有効に配置された相互作用性シグナル発生標識部分の対を含む切断構造を形成し、FENヌクレアーゼ切断に影響を受けやすい部位によって、標識部分を分離し、それによりFENヌクレアーゼに影響を受けやすい部位で切断することによって、FEN分子のヌクレアーゼ活性に、第二の相互作用性シグナル発生標識部分から第一の相互作用性シグナル発生標識部分を分離さて、それにより検出可能なシグナルを発生させる。
さらに別の好ましい実施形態では、二次構造を有するヘアピン形成オリゴヌクレオチドプローブを含む切断構造を形成する。
ここで使用される場合、「二次構造」は、同じ分子中に第一の単鎖配列の塩基、続いて第二の相補的配列を含む配列が、それ自身に折畳み戻して、逆平行の二重鎖構造を発生し、単鎖配列および相補的配列が、水素結合の形成によりアニールするものである核酸分子の高次構造(たとえば、ヘアピン、ステプループ構造、内部ループ、バルジループ、分岐構造、または偽結び目構造)に該当する。「二次構造」は、親和性対が分子間に存在する引力の結果として逆に結合する、親和性対を含む核酸分子の高次構造にも該当する。ここで使用される場合、「二次構造」は、プローブが捕捉要素に結合するのを防止する核酸高次構造に該当する。切断反応における二次構造を利用するプローブは、2000年11月30日に出願された関連の米国特許出願番号09/728,574号に記述され、そしてその全体に参照してここに組み込まれる。
ここで使用される場合、「ヘアピン構造」または「ステム」は、DNAのRNA(RNA of DNA)の単鎖中の隣接の逆方向相補的配列の間の塩基対によって形成される二重鎖領域に該当する。
ここで使用される場合、「ステムループ」構造は、ヘアピン構造に該当し、さらに一方の末端で未対塩基のループを含む。
別の好ましい実施形態では、相互作用性シグナル発生部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の好ましい実施形態では、切断構造は、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む。
本発明は、切断構造を供すること、1組のオリゴヌクレオチドプライマーを供することであって、第一のプライマーは、標的核酸配列の一方の鎖で領域に相補的な配列を含み、相補的DNA鎖の合成を予備刺激し、第二のプライマーは、標的核酸配列の第二の鎖で領域に相補的な配列を含み、相補的DNA鎖の合成を予備刺激し、および
(i)標的配列内に含まれる鋳型核酸配列に対する増幅のために必要とされるプライマーのアニーリング、および標的核酸配列に、切断構造の形成のために必要とされるプライマーをアニールする段階、(ii)プライマーを伸長する段階であって、核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成し、および(iii)切断構造から標的フラグメントの遊離のための切断剤としてFENヌクレアーゼを用いて切断構造を切断し、それにより切断可能な標識フラグメントを作製する段階、および(d)サンプル中の標的核酸配列の存在の指標として標識フラグメントの遊離を検出および/または測定する段階のPCRサイクリング段階として許容性のある条件下で、鋳型依存性重合剤として核酸ポリメラーゼを使用して標的核酸配列を増幅することを含む。
本発明は、標的核酸配列の増幅および検出が、同時に起こる(すなわち、リアルタイム検出)ポリメラーゼ連鎖反応プロセスを提供する。本発明は、標的核酸配列の増幅が、標的核酸配列の検出の前に起こる(すなわち、終点検出)ポリメラーゼ連鎖反応プロセスも提供する。
ここで使用される場合、「オリゴヌクレオチドプライマー」または「伸長プライマー」は、核酸鋳型にハイブリッド形成し、第二の核酸鎖の酵素的合成を予備刺激できる単鎖DNAまたはRNA分子に該当する。本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーは、長さ約10から100までの間のヌクレオチドであり、好ましくは長さ約17−50ヌクレオチド、さらに好ましくは長さ約17−45ヌクレオチドである。
ここで使用される場合、「プローブ」は、標的核酸に相補的である1領域または複数領域(標的核酸結合配列)を含む単鎖核酸に該当する。本発明による「プローブ」は、標的核酸を結合して、ヌクレアーゼによって切断できる切断構造を形成し、そして切断温度で切断を行う。本発明によるプローブを切断して、ここで定義されるとおり、標的核酸に対する結合の前に、「ヌクレアーゼ」によるシグナルを発生できない。いくつかの実施形態では、本発明による「プローブ」は、標的核酸に対するプローブの結合により変動し、さらに、結合部分を含む可能性がある二次構造を有する。本発明の1つの実施形態では、プローブは、標的核酸に結合できないか、または相補的でない領域を含む可能性がある。いくつかの実施形態では、プローブは、ポリメラーゼによる伸長を防止する封鎖3’末端を有する。
本発明による切断構造の形成のために有用なオリゴヌクレオチドプローブは、長さ約17−40ヌクレオチドの間であり、好ましくは長さ約17−30ヌクレオチドであり、さらに好ましくは長さ約17−25ヌクレオチドである。
本発明に使用される場合、オリゴヌクレオチドは、二次構造を含むオリゴヌクレオチドを含み、それに限定されないが、分子ビーコン、安全ピン(図10)、サソリ(図11)、およびサンライズ/アンプリフラー(amplifluor)プローブ(図12)が挙げられ、その詳細および構造は、下で、および対応の図面で示される。
ここで使用される場合、「鋳型依存性重合剤」は、適切な塩、金属陽イオン、適切な安定化剤、およびpH緩衝システムを含む反応培地中で適量の4つの三リン酸デオキシリボヌクレオシド(dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP)またはここに記述される類似物の存在下でオリゴヌクレオチドプライマーを伸長する酵素に該当する。鋳型依存性重合剤は、プライマー−および鋳型−依存性DNA合成を触媒することが知られる酵素であり、5’から3’へのヌクレアーゼ活性を保有する。好ましくは、本発明による鋳型依存性重合剤は、5’から3’へのヌクレアーゼ活性を欠く。
ここで使用される場合、「増幅」は、ポリメラーゼ連鎖反応の方法を含めた核酸配列の別のコピーを生じることに該当する。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
好ましい実施形態では、上に記述されるポリメラーゼ連鎖反応プロセスの段階bのオリゴヌクレオチドプライマーは、順方向プライマーを本発明による切断構造の上流に配置し、逆方向プライマーを本発明による切断構造の下流に配置するように向けられる。逆方向プライマーは、切断構造の鎖に相補的である順方向プライマーの対峙する鎖に相補的である。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、DNAポリメラーゼである。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。
別の好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、TaqポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼから構成される群から選択される。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、熱安定性である。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、フラップ特異的ヌクレアーゼである。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ヒト、マウスまたはキセノプス・ラエビス(Xenopus laevis)から由来するFENヌクレアーゼ酵素から構成される群から選択される。本発明によるヌクレアーゼは、サッカロミセス・セルビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)RAD27、およびシゾサッカロミセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)RAD2、Pol I DNAポリメラーゼ結合5’から3’へのエキソヌクレアーゼ・ドメイン、(たとえば、イー.コリ、サームス・アクアチクス(Thermus aquaticus)(Taq)、サームス・フラブス(Tfl)、バシルス・カルドテナックス(Bacillus caldotenax)(Bca)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneumoniae))およびそれに限定されないがT4 RNaseH、T5 5’から3’へのエキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼおよびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼを含めたFENのファージ機能相同体が挙げられる。
好ましくは、Taq、TflおよびBacFENヌクレアーゼの5’から3’へのエキソヌクレアーゼドメインのみを使用する。
別の好ましい実施形態では、シグナルを供給できる少なくとも1つの標識部分によって標識切断構造を形成する。
本発明は、(a)標的核酸配列の1つの鎖にある領域に相補的である上流オリゴヌクレオチドプライマー、および標的核酸配列の同じ鎖にある領域に相補的な下流標識プローブを供することであって、上流プライマーは、標的核酸配列の1つの鎖中の領域に相補的な配列を含み、相補的DNA鎖の合成を予備刺激し、下流プローブは、標的核酸配列の第二の鎖中の領域に相補的な配列を含み、相補的DNA鎖の合成を予備刺激し、および
(b)標的核酸配列の増幅、およびその切断を含む反応で産生される核酸を検出することであって、核酸ポリメラーゼは、(i)標的核酸配列に対するプライマーのアニーリング段階、(ii)段階(a)のプライマーを伸長する段階のPCRサイクリクング段階として許容性のある条件下で鋳型依存性重合剤であり、核酸ポリメラーゼ合成が、伸長産物を合成し、および段階(a)のプライマーのプライマー伸長産物は、段階(a)の下流プローブを部分的に交換して、切断構造を形成すること、および(iii)切断構造から標的フラグメントの遊離のための切断剤としてFENヌクレアーゼを使用して切断構造を切断し、それにより検出可能な標識フラグメントを作製することを含む、切断構造を同時に形成し、サンプル中の標的核酸配列を増幅し、切断構造を切断するポリメラーゼ連鎖反応プロセスも提供する。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
本発明は、(a)標的核酸配列を供する段階、(b)上記核酸配列に相補的な上流プライマーを供する段階、(c)上記標的核酸配列に相補的な下流プローブを供する段階、(d)上流プライマーの3’末端を、核酸ポリメラーゼで伸長する段階、および(e)下流プローブの5’末端を置換する段階を含む、切断構造を形成する方法も提供する。
好ましくは、下流プローブは、上流プライマーの500ヌクレオチド未満下流に配置される。
伸長段階の間に、上流プライマーの新たに合成された3’末端が、下流プローブの5’末端を部分的に置換する。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
本発明の別の実施形態では、標的核酸配列を、標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的5’領域、および標的核酸配列にアニールする相補的3’領域を含むプローブと共にインキュベートすることによって、本発明による切断構造を作製できる。
本発明は、標識切断構造を形成する方法であって、(a)標的核酸配列を供する段階、(b)上記標的核酸配列に相補的な上流プライマーを供する段階、(c)上記標的核酸配列に相補的な下流末端標識プローブを供する段階、(d)核酸ポリメラーゼで上流プライマーの3’末端を伸長する段階、および(e)下流プローブの5’末端を置換する段階を含む方法を提供する。
好ましくは、下流末端標識プローブは、上流プライマーの500ヌクレオチド未満下流に配置される。好ましくは、下流オリゴヌクレオチドは、3’末端で封鎖して、下流オリゴヌクレオチドの3’末端の伸長を防止する。このような封鎖は、オリゴヌクレオチドの3’末端ヒドロキシルでホスフェート、十分に除去されない他の部分を入れることによって達成される。
伸長段階の間に、上流オリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3’末端が、下流オリゴヌクレオチドプローブの5’末端を部分的に置換するように、ポリメラーゼの合成活性により上流プライマーの3’末端を伸長する。本発明の方法によって、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定の核酸ポリメラーゼによる鎖置換に都合がよい。
本発明の1つの実施形態では、標的核酸配列を、標的核酸配列にアニールせず、5’フラップを形成する非相補的に標識された5’領域、および標的核酸配列にアニールする相補的3’領域を含むプローブと共にインキュベートすることによって、本発明による切断構造を作製できる。
本発明は、核酸ポリメラーゼ、FENヌクレアーゼおよび適切な緩衝液を含むサンプル中の標的核酸配列の存在を示すシグナルを発生するキットも提供する。好ましい実施形態では、本発明は、1つまたはそれ以上の核酸ポリメラーゼ、FENヌクレアーゼおよび適切な緩衝液を含むサンプル中の標的核酸配列の存在を示すシグナルを発生するキットも提供する。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。
別の好ましい実施形態では、FENヌクレアーゼは、熱安定性である。
別の好ましい実施形態では、キットは、さらに、標的核酸配列に相補的な標識核酸を含む。
本発明は、核酸ポリメラーゼおよびFENヌクレアーゼを含む組成物も提供する。
好ましい実施形態では、核酸ポリメラーゼは、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。
好ましい実施形態では、本発明は、1つまたはそれ以上の核酸ポリメラーゼおよびFENヌクレアーゼを含む組成物を提供する。
本発明のされなる特徴および利点は、以下のとおりである。請求された発明は、標的核酸を検出および/または測定するシグナルを発生する方法であって、シグナルの発生は、サンプル中の標的核酸の存在の指標である方法を提供する。請求の発明の方法は、多段階を必要としない。請求された発明は、標的核酸を検出および/または測定するPCR基本の方法であって、標的核酸の存在の指標としてシグナルを発生する方法も提供する。請求の発明は、同時増幅および検出および/または標的核酸配列の測定に対処する。請求の発明は、標的核酸を検出および/または測定するPCR基本の方法であって、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を示す核酸ポリメラーゼの不在下でシグナルを発生する方法も提供する。
本発明のさらなる特徴および利点は、実施形態およびその図面、および請求項から以下の説明でさらに十分に明らかになる。
FENヌクレアーゼ切断構造を示す。 FENヌクレアーゼ活性を検出するために使用できる3つの鋳型(標識1、2、および3)を示す。 本発明によるシグナルを発生する合成および切断反応を示す図である。 CBPタグ付PfuFEN−1タンパク質を示すシプロオレンジで染色されたポリアクリルアミドゲルである。 FEN−1ヌクレアーゼアッセイのオートラジオグラフである。 FEN−1の存在下で蛍光で標識したβ−アクチンプローブ、および5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性に欠損のあるTaqポリメラーゼを使用したゲノムDNA中でβ−アクチン配列の検出を表す図である。 FEN−1の存在下で蛍光で標識したβ−アクチンプローブ、および3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性に欠損のあるTaqポリメラーゼを使用したゲノムDNA中でβ−アクチン配列の検出を表す図である。 サイクル増幅を回転させるための開環ブローブの表示である。 サイクル増幅を回転させるための開環ブローブの表示である。 サイクル増幅を回転させるための表示である。 サイクル増幅を回転させるための表示である。 安全性ピンプローブの表示である。 サソリ・プローブの表示である。 サンライズ/アンプリファープローブの表示である。 封鎖上流オリゴヌクレオチドおよび封鎖下流プローブを用いた標的核酸の検出のための本発明の実施形態を表す模式図である。 クランプを有する3’封鎖上流オリゴヌクレオチドを用いた標的の同時検出および標的核酸に相補的な鎖の発生についての本発明の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドを用いた標的の同時検出および標的核酸に相補的な鎖の発生についての本発明の別の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドを用いた標的核酸の同時検出およびその増幅についての本発明の別の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドを用いた標的核酸の同時検出およびその増幅についての本発明の別の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドおよび標的の非連続領域に相補的な3’封鎖下流プローブを用いた標的核酸の同時検出およびその増幅についての本発明のさらに別の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドおよび標的の非連続領域に相補的な3’封鎖下流プローブを用いた標的核酸の同時検出およびその増幅についての本発明の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖上流オリゴヌクレオチドおよび標的の非連続領域に相補的な3’封鎖下流プローブを用いた標的核酸の同時検出およびその増幅についての本発明の実施形態を表す模式図である。 3’封鎖プローブを利用するフルベロシティー反応での蛍光vサイクルを表す図である。 3’封鎖プローブを利用するFEN反応での蛍光vサイクルを表す図である。 標的の存在を示すシグナルを発生するそれらの能力についての種々の鍵プローブを試験するために使用された典型的標的アンプリコンを示す。 対照鍵プローブ(A)および試験鍵プローブ(B)の例を示す。 鍵プローブの例を示す。 下流鍵プローブの相補的領域の5’末端との重複の0および3の間の残基を有する上流3’封鎖プローブの例を示す。
発明の詳細な開示
本願発明は、試料内に検出対象の構造を持つ核酸が存在することを示すシグナルを発生させる方法を提供するものであり、同発明になる方法にあっては核酸が核酸ポリメラーゼとFENヌクレアーゼの両方により作用を受ける。同発明は、上記に加えて、試料中に存在する核酸であってその標的シークエンス(配列)部位の増殖、切断ならびに検出の工程を同時進行させ得るものを検出対象の核酸として検出あるいは測定する処方を提供するものともいえる。
本願発明の実施にあっては特にその旨の記載がない限り、分子生物学、マイクロバイオロジーならびに組換えDNA技術のいずれかに関わる分野に特有の専門的既知手法が利用される。これら既知の手法については既存文献、例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Second Edition; Oligonucleotide Synthesis (MJ. Gait, ed., 1984); Nucleic Acid Hybridization (B. D. Harnes & S. J. Higgins, eds., 1984); A Practical Guide to Molecular Cloning (B. Perbal, 1984); および一連のシリーズとして出版されたMethods in Enzymology (Academic Press, Inc.) に記載がある。本文書中において既に前段であるいは今後後段で特定する特許文献、特許出願文献、出版文書は本願開示の一部分をなす参照文献とする。
本願発明は、調査対象試料内に検出対象の構造を持つ核酸の存在を示すシグナルを発生させる方法を提供するものであり、同方法は検出対象の構造を有する核酸を含有する当該試料を何らかのプローブと共に培養し被切断構造部位を生成し、すなわち、検出対象である構造でなる核酸配列を含んでいる当該試料を核酸ポリメラーゼと共に培養し、次にヌクレアーゼで前記被切断構造部位を切断することにより核酸断片として遊離し、その結果、シグナルを発生させるに至る工程でなる。このシグナルの発生は当該試料中に検出対象の構造を持つ核酸が存在することを示すものであり、この分子断片の量を直接的に検出ないし測定することにより、あるいは同分子断片の量を間接的に検出ないし測定することにより同シグナルを検出あるいは測定できる。
本願発明は、調査対象試料内に検出対象の構造を持つ核酸が存在する場合にそれを示すシグナルを発生させる方法を提供するものであり、同方法は、
a) 3’位置から5’位置の方向順に位置する第一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位を有する構造を持つ検出対象である核酸と、
前記第一ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有すると共に保護された3’端末を有し前方部分に配置するオリゴヌクレオチドと、
自身の3’端末領域が前記第二ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有する一方、自身の5’端末領域は標的とのアニーリング操作下にあっていずれの部位とも非相補的な5’フラップを形成するような分子構造でなると共に後方部分に配置するプローブの存在を前提とし、
b) 前方部分に配置する前記オリゴヌクレオチドと後方部分に配置する前記プローブをアニーリング操作により検出対象である核酸に再結合させ被切断構造部位を形成し、
c) ヌクリアーゼを用いることで当該被切断構造部位を切断しいずれの部位とも非相補的な前記5’フラップを遊離させ、次いで
d) 遊離されたものであり、検出対象の構造を有する核酸が当該試料中に存在することを示すものであるいずれの部位とも非相補的な5’フラップを検出することからなる。
一実施例にあっては、後方部分に配置するプローブのものであるいずれの部位とも非相補的な5’フラップがn個(nは1ないし25の整数)のヌクレオチド鎖でなり、前記第
一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位がm個(mはnよりも大きい整数)のヌクレオチド鎖で隔てられている。
上記とは異なる実施例にあっては、被切断構造部位の少なくとも一ヶ所がシグナルを発生する機能を有する置換基でラベルされている。
更に別なる実施例にあっては、前記したヌクレアーゼとしてFENヌクレアーゼが採用される。このFENヌクレアーゼはフラップを識別できるような構造のヌクレアーゼか耐熱性に優れたヌクレアーゼであること、あるいはこれら双方の特徴を有するヌクレアーゼであることが望ましく、Archaeglobus fulgidus, Methanococcus jannaschiiおよびPyrococcus furiosusに由来する種々のFENヌクレアーゼ酵素のいずれかであることがより望ましい。またTaq, TflおよびBcaのいずれかに由来するヌクレアーゼが採用されることもある。
形成される被切断構造部位は同部位にラベルされたものであって相互作用を及ぼし合う一対のシグナル発生型置換基を含んで構成され、該置換基の一対は検知可能なシグナルの発生を同相互作用により抑制するに好適な間隔だけ互いに離れて位置し、かつ当該置換基の間にはFENヌクレアーゼによる鎖の切断を受ける部位が配置されており、FENヌクレアーゼが有するヌクレアーゼ活性により同部位での切断が起こると相互作用を及ぼし合う一対の内の第一のシグナル発生型置換基が同第二のシグナル発生型置換基から切り離され、その結果、検知可能なシグナルの発生が起るように構成されるのが望ましい。ここでいう相互作用を及ぼし合うシグナル発生型の置換基対は抑制置換基と蛍光発生型置換基との一対であることがより望ましい。
更に異なる実施例にあっては相互作用を及ぼし合うシグナル発生型のものでありラベルされる置換基対が蛍光発色団と抑制置換基の一対で構成される。すなわち、この抑制置換基は後方部分に配置するプローブのいずれの部位とも非相補的な5’フラップ上に位置し、もう一方の蛍光発色団が同後方部分に配置するプローブの相補的な3’領域内に位置するものであって良い。あるいは、もっと具体的に例示するならば、ここでいう後方部分に配置するプローブの相補的な3’領域の5’端末から二つ目のヌクレオチド残基に蛍光発色団を結合させても良い。
上記したいずれとも異なる実施例にあっては、本願発明になる方法が既に述べた工程ステップに加えて遊離されるいずれの部位とも非相補的な5’フラップを定量するステップを含んで構成される。
更に別なる実施例にあっては、後方部分に配置されるプローブの3’エクステンションを防止する目的で後方部分に配置する同プローブの3’端末が保護基で封鎖されている。
更に別なる実施例にあっては、後方部分に配置するプローブの3’部分が検出対象の核酸に存在する第三ハイブリダイゼーション部位とも相補的な構造を有し、同第三ハイブリダイゼーション部位の第二ハイブリダイゼーション部位に近い側は5’となっており、これら第二ハイブリダイゼーション部位と第三ハイブリダイゼーション部位とは当該検出対象の核酸の領域分離鎖により隔てられている。後方部分に配置するプローブのこの3’部分は第二と第三のいずれのハイブリダイゼーション部位にもハイブリダイズするほか、検出対象の核酸の前記した領域分離鎖が非相補的な領域であることが望ましい。ここで後方部分に配置するプローブのこの3’部分は1ないし25個のヌクレオチドを擁するものであり、領域分離鎖は1ないし20個のヌクレオチドを擁するものであることが好ましい。
好適な一実施例にあっては、保護基により封鎖された3’端末の一方または双方は、検出対象の核酸とは非相補的な塩基とされているか、あるいは核酸の合成ないし核酸鎖の伸長反応(エクステンション)が進行しかねない環境下にあってもヌクレオチド・トリホスフェートが同位置に付加しないように変成されている。ここで、封鎖された3’端末の一方または双方は、
a) ジデオキシヌクレオチドか
b) 3’位の水酸基がリン酸基に変更されたヌクレオチドか、あるいは
c) 3’位の炭素または3’位の酸素にリポーター基が結合された形のヌクレオチド
であるのが好適である。
本願発明は、
a) 3’位置から5’位置の方向順に位置する第一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位を有する構造を持つ検出対象である核酸と、
前記第一ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有すると共に保護された3’端末を有し前方部分に配置するオリゴヌクレオチドと、
自身の3’端末領域が前記第二ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有する一方、自身の5’端末領域は標的とのアニーリング操作下にあっていずれの部位とも非相補的な5’フラップを形成するような分子構造でなり、後方部分に配置するプローブの存在を前提とし、
b) 前方部分に配置する前記オリゴヌクレオチドと後方部分に配置する前記プローブをアニーリング操作により検出対象である核酸に再結合させ被切断構造部位を形成し、
c) ピロコックス・フリオスス由来のFENヌクリアーゼ酵素を用いることで当該被切断構造部位を切断しいずれの部位とも非相補的な前記5’フラップを遊離させる
ことでなる、被切断構造部位を形成し、形成された被切断構造部位を切り離すための方法を提供するものでもある。
一実施例にあっては、後方部分に配置するプローブのものであるいずれの部位とも非相補的な5’フラップがn個(nは1ないし25の整数)のヌクレオチド鎖でなり、前記第一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位がm個(mはnよりも大きい整数)のヌクレオチド鎖で隔てられている。
上記とは異なる実施例にあっては、被切断構造部位の少なくとも一ヶ所がシグナルを発生する機能を有する置換基でラベルされている。
更に別なる実施例にあっては、形成される被切断構造部位は同部位にラベルされたものであって相互作用を及ぼし合う一対のシグナル発生型置換基を含んで構成され、該置換基の一対は検知可能なシグナルの発生を同相互作用により抑制するに好適な間隔だけ互いに離れて位置し、かつ当該置換基の間にはFENヌクレアーゼによる鎖の切断を受ける部位が配置されており、FENヌクレアーゼが有するヌクレアーゼ活性により同部位での切断が起こると相互作用を及ぼし合う一対の内の第一のシグナル発生型置換基が同第二のシグナル発生型置換基から切り離され、その結果、検知可能なシグナルの発生が起こるように構成される。ここでいう相互作用を及ぼし合うシグナル発生型の置換基対は抑制置換基と蛍光発生型置換基との一対であることが望ましい。
更に別なる実施例にあっては、本願発明になる方法が既に述べた工程ステップに加えて遊離される非相補的5’フラップを定量するステップを含んで構成される。
更に別なる実施例にあっては、後方部分に配置されるプローブの3’エクステンションを防止する目的で後方部分に配置する同プローブの3’端末が保護基で封鎖されている。
更に別なる実施例にあっては、後方部分に配置するプローブの3’部分が検出対象の核酸の第二ハイブリダイゼーション部位の5’端側に存在する第三ハイブリダイゼーション部位とも相補的な構造を有し、これら第二ハイブリダイゼーション部位と第三ハイブリダイゼーション部位とは当該検出対象の核酸の領域分離鎖により隔てられている。後方部分に配置するプローブのこの3’部分は第二と第三のいずれのハイブリダイゼーション部位にもハイブリダイズするほか、検出対象の核酸の前記した領域分離鎖が非相補的な領域であることが望ましい。ここで後方部分に配置するプローブのこの3’部分は1ないし25個のヌクレオチドを擁するものであり、領域分離鎖は1ないし20個のヌクレオチドを擁するものであることが好ましい。
本願発明の別なる特徴として、保護基により封鎖された3’端末の一方または双方は、検出対象の核酸とは非相補的な塩基とされているか、あるいは核酸の合成ないし核酸鎖の伸長反応(エクステンション)が進行しかねない環境下にあってもヌクレオチド・トリホスフェートが同位置に付加しないように変成されている。ここで、封鎖された3’端末の一方または双方は、
a) ジデオキシヌクレオチドか
b) 3’位の水酸基がリン酸基に変更されたヌクレオチドか、あるいは
c) 3’位の炭素または3’位の酸素にリポーター基が結合された形のヌクレオチド
であるのが好適である。
本願発明は被切断構造部位を試料中に形成し、形成した被切断構造部位を切り離し、検出対象の核酸と相補的な核酸を転写・形成するものであり、以下のごとき工程で構成される方法を提供するものでもある。すなわち、本方法は
a) 3’位置から5’位置の方向順に位置する第一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位と第三ハイブリダイゼーション部位を有する構造を持つ検出対象である核酸と、
前記第一ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有し前方部分に配置するエクステンション・プライマーと、
前記第二ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有し、保護基で封止された3’端末と核酸ポリメラーゼによる位置移動作用を妨害するためのクランプが結合している5’端末の双方を有する構造のクランピング・オリゴヌクレオチドと、
検出対象の核酸との再結合操作下にあって、第三ハイブリダイゼーション部位と相補的な3’領域ならびにいずれの部位とも非相補的な5’フラップを形成する5’領域を擁してなる後方部分に配置するプローブの存在を前提とし、
b) 前方部分に配置する前記エクステンション・プライマーならびに、クランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置するプローブの両方により被切断構造部位が形成させるものであるが、これらクランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置する前記プローブとをアニーリング操作により検出対象である核酸に再結合させ、
c) ヌクリアーゼを用いることで当該被切断構造部位を切断しいずれの部位とも非相補的な前記5’フラップを遊離させ、
d) 前方部分に配置する前記エクステンション・プライマーから前記クランピング・オリゴヌクレオチドに至るまで相補的なストランドを伸長せしめ、
e) 検出対象の核酸に核酸ポリメラーゼが接近できるようにするために検出対象の核酸から同核酸に結合している前記クランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置するプローブの双方を分離・遊離せしめ、
f) 検出対象である核酸に相補的なストランドを更に伸長し、次いで
g) 当該試料中に検出対象である核酸が存在することを示すものでありいずれの部位とも非相補的なものである遊離された5’フラップを検出する
ことからなる複数の工程により構成される。
一実施例にあっては、本願発明の方法は上記に加えて逆方向エクステンション・プライマーの存在をも前提とする。この逆方向エクステンション・プライマーは検出対象の核酸の少なくとも一部分をその構造中に含み、第二ストランドの伸長反応を開始させるものである。
別の実施例にあっては、PCRの反応が進行する環境において本願発明の方法が実行される。
更に別なる実施例にあって本願発明の方法は上記した各工程に加えて、
h) 検出対象の核酸の少なくとも一部分をその構造中に有するオリゴヌクレオチドであって、第二のストランドの伸長反応を開始させる逆方向エクステンション・プライマーの存在をも前提とし、
i) 第一、第二、第三のハイブリダイゼーション部位に対応した、相補的なストランド上の部位から後方の位置に逆方向エクステンション・プライマーを再結合させ、
j) 同逆方向エクステンション・プライマーからストランドを伸長させて、検出対象の核酸の少なくとも一部分、および第一、第二、第三のハイブリダイゼーション部位を含んだ構造を有する第二ストランドを形成し、
k) 形成された第二ストランドから相補的ストランドを変性・分離し、
l) これら変性工程、伸長反応(エクステンション)工程、切断工程でなる工程サイクルをPCRのサイクル反応工程を進行させ得る環境・条件下で何度も繰り返し実施し標的配列を増殖し、被切断構造部位を形成し、形成された被切断構造部位を切り離す
各工程を含んで構成される。
更に別の実施例にあっては、後方部分に配置するプローブの5’フラップがn(nは1ないし25の整数)個のヌクレオチドで構成されており、第二と第三のハイブリダイゼーション部位の間はm(mはnより大きい整数)個のヌクレオチド鎖で隔てられている。
好適な一実施例にあっては、前方部分に配置するエクステンション・プライマーを標的配列と再結合させるには、クランピング・オリゴヌクレオチドや後方部分に配置するプローブの再結合を進行させる場合よりもより限定された条件が設定される。すなわち、
a) 再結合を進行させる工程b)は前方部分のエクステンション・プライマーとクランピング・オリゴヌクレオチド、ならびに後方部分に配置するプローブ各々のアニーリング温度(再結合が進行する最高温度)のいずれよりも低い温度において実施され、
b) 分離を進行させる工程f)は前方部分のエクステンション・プライマーのアニーリング温度よりは低いもののクランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置するプローブ各々のアニーリング温度よりは高い温度において実施されることが
より一層好適である。
前方部分に配置するエクステンション・プライマーの検出対象である核酸への再結合がクランピング・オリゴヌクレオチドの場合よりもより限定的な条件下で進行し、クランピング・オリゴヌクレオチドの検出対象である核酸への再結合が後方部分に配置するプローブの場合よりもより限定的な条件下で進行するように構成するのがより一層好適である。
すなわち、
a) 再結合を進行させる工程b)は前方部分のエクステンション・プライマーとクランピング・オリゴヌクレオチド、ならびに後方部分に配置するプローブ各々のアニーリング温度のいずれよりも低い温度において実施され、
b) 分離を進行させる工程f)が前記に加えて
i) 後方部分に配置するプローブの検出対象の核酸からの分離は進行するものの前方部分に配置するエクステンション・プライマーならびにクランピング・オリゴヌクレオチドは結合した状態に留まるような温度に昇温し、
ii) 次にクランピング・オリゴヌクレオチド検出対象の核酸から分離するものの前方部分に配置するエクステンション・プライマーは結合した状態に留まるような温度にまで昇温することが
より一層好適である。
更に別なる実施例にあっては、前述のクランプ機構が核酸ポリメラーゼによってもそれが配置する部分から移動させられることにならないよう十分に強い親和性をもってクランピング・プライマーを検出対象の核酸に結合させるような塩基配列ないしは分子修飾により実現されている。すなわち、このクランプ機構がGCリッチな塩基配列であったり、小さい溝を有する結合であったり、インターカレート剤であったり、LNAであったりするのが望ましい。
更に別なる実施例にあっては、後方部分に配置するオリゴヌクレオチドが保護基で封止された3’端末を有する。3’端末の一方は双方が検出対象の核酸とは非相補的な塩基となっているか核酸の合成や核酸鎖の伸長反応が進行しかねない環境条件下にあってもヌクレオチド・トリホスフェートの付加反応の進行を防止できるような端末基になっていることが望ましい。すなわち、3’端末の一方は双方が
a) ジデオキシヌクレオチドであるか、
b) 3’位の水酸基がリン酸基に変更されたヌクレオチドであるか、
c) 3’位の炭素または3’位の酸素にレポーター機能を有する官能基が結合したヌクレオチドである
ことが望ましい。
更に別なる実施例にあっては、前記した分離が進行する工程f)において、後方部分に配置するプローブは、クランピング・オリゴヌクレオチドを検出対象である核酸から分離するより早い時点で検出対象の当該核酸から分離される。
使用する核酸ポリメラーゼは5’から3’方向のエクソヌクリアーゼ(5’→3’エクソヌクリアーゼ)活性を実質的に保持しないことが望ましい。この核酸ポリメラーゼはDNAポリメラーゼであることが望ましい。またこの核酸ポリメラーゼは耐熱性のものであることが望ましい。この核酸ポリメラーゼは5’→3’エクソヌクリアーゼ欠損型TaqポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼでなるポリメラーゼ・グループから選ばれることがより一層好ましい。
一実施例にあっては、シグナルを発生する機能を有する置換基が少なくとも一つラベルされた構成の被切断構造部位が形成される。
好適な一実施例にあっては、ヌクリアーゼとしてFENヌクリアーゼが採用される。ここでこのFENヌクリアーゼはフラップ特異性を有するか、加えて/または耐熱性を有するタイプのヌクリアーゼとされる。このようなFENヌクリアーゼは、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)のいずれかに由来するFENヌクリアーゼ酵素でなるグループから選ばれるものとすることがより一層好適である。ここで採用するヌクリアーゼはTaq、TflおよびBcaから獲得されるものであっても良い。
好適な一実施例にあっては、形成される被切断構造部位は同部位にラベルされたものであって相互作用を及ぼし合う一対のシグナル発生型置換基を含んで構成され、該置換基の一対は検知可能なシグナルの発生を同相互作用により抑制するに好適な間隔だけ互いに相手から離れて位置し、かつ当該置換基の間にはFENヌクレアーゼによる鎖の切断を受ける部位が配置されており、FENヌクレアーゼが有するヌクレアーゼ活性により同部位での切断が起こると相互作用を及ぼし合う一対の内の第一のシグナル発生型置換基が同第二のシグナル発生型置換基から切り離され、その結果、検知可能なシグナルの発生が起るように構成されるのが望ましい。ここでいう相互作用を及ぼし合うシグナル発生型の置換基対は抑制置換基と蛍光発生型置換基との一対であることがより望ましい。
一実施例にあっては、本願発明の方法は上記の工程に加えて遊離されたいずれの部位とも非相補的な5’フラップの量を測定する工程を含む。
本願発明は試料中に被切断構造部位を形成し、形成された被切断構造部位を切断し、検出対象である核酸と相補的な核酸を転写・形成する方法を提供するものでもある。すなわち、本方法は
a) 3’位置から5’位置の方向順に位置する第一ハイブリダイゼーション部位と第二ハイブリダイゼーション部位と第三ハイブリダイゼーション部位を有する構造を持つ検出対象である核酸と、
前記第一ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有し前方部分に配置するエクステンション・プライマーと、
前記第二ハイブリダイゼーション部位と相補的な特性を有し、保護基で封止された3’端末と核酸ポリメラーゼによる位置移動作用を妨害するためのクランプが結合している5’端末の双方を有する構造のクランピング・オリゴヌクレオチドと、
検出対象の核酸との再結合操作下にあって、第三ハイブリダイゼーション部位と相補的な3’領域ならびにいずれの部位とも非相補的な5’フラップを形成する5’領域を擁してなる後方部分に配置するプローブの存在を前提とし、
b) 前方部分に配置する前記エクステンション・プライマーならびに、クランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置するプローブの両方により被切断構造部位が形成させるものであるが、これらクランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置する前記プローブとをアニーリング操作により検出対象である核酸に再結合させ、
c) ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクリアーゼ酵素を用いることで当該被切断構造部位を切断しいずれの部位とも非相補的な前記5’フラップを遊離させ、
d) 前方部分に配置する前記エクステンション・プライマーから前記クランピング・オリゴヌクレオチドに至るまで相補的なストランドを伸長せしめ、
e) 検出対象の核酸に核酸ポリメラーゼが接近できるようにするために検出対象の核酸から同核酸に結合している前記クランピング・オリゴヌクレオチドと後方部分に配置するプローブの双方を分離・遊離せしめ、
f) 検出対象である核酸に相補的なストランドを更に伸長し、次いで
g) 当該試料中に検出対象である核酸が存在することを示すものでありいずれの部位にも非相補的なものである遊離された5’フラップを検出する
ことからなる複数の工程により構成される。
一実施例にあっては、本願発明の方法は上記に加えて逆方向エクステンション・プライマーの存在をも前提とする。この逆方向エクステンション・プライマーは検出対象の核酸の少なくとも一部分をその構造中に含み、第二ストランドの伸長反応を開始させるものである。
別の実施形態において、本方法は、PCRにとって許容される条件下で行われる。
さらに別の実施形態において、本方法は、さらに:
h)標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始するオリゴヌクレオチド逆方向伸長プライマーを提供する工程;
i)第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位に対応する相補鎖に、上記部位から下流の逆方向伸長プライマーをアニーリングする工程;
j)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸の少なくとも一部ならびに第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位を含む第2の鎖を生成する工程;
k)第2の鎖から相補鎖を変性する工程;および
1)PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程
を含む。
なおも別の実施形態において、下流プローブの非相補的な5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、第1のハイブリダイゼーション部位および第2のハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
なおも別の実施形態において、シグナルを提供することができる少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が、形成される。好ましくは、形成された切断構造は、検出可能なシグナルの生成をクエンチするために効果的な位置にある、相互作用シグナル生成標識部分の対を含み、ここで、その標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって分断されており、そのFENヌクレアーゼに感受性である部位で切断することによって、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を、第1の相互作用シグナル生成標識部分と第2の相互作用シグナル生成標識部分とで分断することが可能となり、検出可能なシグナルが生成される。より好ましくは、相互作用シグナル生成部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の実施形態において、本方法は、遊離された非相補的な5’フラップを定量化する工程をさらに含む。
なおも別の実施形態において、下流プローブの3’末端は、下流プローブの3’伸長を防ぐために保護されている。好ましくは,保護された3’末端の一方または両方が、標的核酸に非相補的な塩基、または、核酸の合成もしくは伸長を可能にする条件下でのヌクレオチド三リン酸の付加を阻害する修飾を含む。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方は:
a)ジデオキシヌクレオチド;
b)3’ヒドロキシルがリン酸基で置換されているヌクレオチド;または
c)3’炭素または3’酸素に結合しているレポーター部分を有するヌクレオチド
を含む。
本発明はまた、サンプル中で切断構造を形成し、切断を切断し、そして標的核酸に相補的な核酸を転写するための方法も提供し、ここで、その方法は:
a)
3’から5’の順で、第1のハイブリダイゼーション部位、第2のハイブリダイゼーション部位および第3のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第1のハイブリダイゼーション部位に相補的な上流オリゴヌクレオチド伸長プライマー、
第2のハイブリダイゼーション部位に相補的な上流オリゴヌクレオチド(ここで、上流オリゴヌクレオチドは、保護された3’末端を含む)、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、第3のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、5’領域は、下流プローブが標的にアニーリングしているとき、非相補的な5’フラップを形成する)
を提供する工程;
b)標的核酸に上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブをアニーリングして、切断構造を形成する工程;
c)ヌクレアーゼを用いて切断構造を切断して、非相補的な5’フラップを遊離する工程;
d)上流伸長プライマーを標的核酸にアニーリングする工程;
e)上流オリゴヌクレオチド伸長プライマーを伸長して、標的核酸に相補的な鎖を合成する工程;および
f)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
1つの実施形態において、本方法は、標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始するオリゴヌクレオチド逆方向伸長プライマーを提供する工程をさらに含む。
別の実施形態において、前記方法は、PCRにとって許容される条件下で行われる。
さらに別の実施形態において、本方法は、さらに:
g)標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始するオリゴヌクレオチド逆方向伸長プライマーを提供する工程;
h)第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位に対応する相補鎖に、上記部位から下流の逆方向伸長プライマーをアニーリングする工程;
i)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸の少なくとも一部ならびに第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位を含む第2の鎖を生成する工程;
j)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;および
k)PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程
を含む。
別の実施形態において、下流プローブの5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、第2のハイブリダイゼーション部位および第3のハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
別の実施形態において、上流シグナルオリゴヌクレオチドおよび下流プローブは、上流伸長プライマーよりストリンジェントな条件下で標的配列にアニーリングする。
さらに別の実施形態において、ヌクレアーゼは、FENヌクレアーゼを含む。より好ましくは、ヌクレアーゼは、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼ酵素からなる群から選択される。ヌクレアーゼは、Taq、TflおよびBcaから得られうる。
本発明はまた、サンプル中で切断構造を形成し、その切断構造を切断し、そして標的核酸に相補的な核酸を転写するための方法も提供し、ここで、その方法は:
a)
3’から5’の順で、第1のハイブリダイゼーション部位、第2のハイブリダイゼーション部位および第3のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
第1のハイブリダイゼーション部位に相補的な上流オリゴヌクレオチド伸長プライマー、
第2のハイブリダイゼーション部位に相補的な上流オリゴヌクレオチド(ここで、上流オリゴヌクレオチドは、保護された3’末端を含む)、および
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、第3のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、5’領域は、下流プローブが標的にアニーリングしているとき、非相補的な5’フラップを形成する)
を提供する工程;
b)標的核酸に上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブをアニーリングして、切断構造を形成する工程;
c)ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼ酵素を用いて切断構造を切断して、非相補的な5’フラップを遊離する工程;および
d)上流伸長プライマーを標的核酸にアニーリングする工程;
e)上流伸長プライマーを伸長して、標的核酸に相補的な鎖を合成する工程;および
f)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
別の実施形態において、本方法は、標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始するオリゴヌクレオチド逆方向伸長プライマーを提供する工程をさらに含む。
さらに別の実施形態において、本方法は、PCRにとって許容される条件下で行われる。
なおも別の実施形態において、本方法は、さらに:
g)標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始するオリゴヌクレオチド逆方向伸長プライマーを提供する工程;
h)第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位に対応する相補鎖に、上記部位から下流の逆方向伸長プライマーをアニーリングする工程;
i)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸の少なくとも一部ならびに第1、第2および第3のハイブリダイゼーション部位を含む第2の鎖を生成する工程;
j)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;および
k)PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程
を含む。
さらに別の実施形態において、下流プローブの非相補的な5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、第1のハイブリダイゼーション部位および第2のハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
なおも別の実施形態において、シグナルを提供することができる少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が形成される。好ましくは、形成された切断構造は、検出可能なシグナルの生成をクエンチするために効果的な位置にある、相互作用シグナル生成標識部分の対を含み、ここで、その標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって分断されており、そのFENヌクレアーゼに感受性である部位で切断することによって、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を、第1の相互作用シグナル生成標識部分と第2の相互作用シグナル生成標識部分とで分断することが可能となり、検出可能なシグナルが生成される。より好ましくは、相互作用シグナル生成部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の実施形態において、本方法は、遊離された非相補的な5’フラップを定量化する工程をさらに含む。
さらに別の実施形態において、下流プローブの3’末端は、下流プローブの3’伸長を防ぐために保護されている。
なおも別の実施形態において、保護された3’末端の一方または両方が、標的核酸に非相補的な塩基、または、核酸の合成もしくは伸長を可能にする条件下でのヌクレオチド三リン酸の付加を阻害する修飾を含む。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方は:
a)ジデオキシヌクレオチド;
b)3’ヒドロキシルがリン酸基で置換されているヌクレオチド;または
c)3’炭素または3’酸素に結合しているレポーター部分を有するヌクレオチド
を含む。
本発明はまた、サンプル中で切断構造を形成し、切断を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、そして標的核酸を増幅するための方法も提供し、ここで、その方法は:
a)
領域A’を含む標的核酸、
非相補的な5’タグ領域(X)および3’プライミング領域(A)を含む順方向伸長プライマー(ここで、5’タグ領域は、増幅の前に標的に相補的でなく、3’プライミング領域(A)は、標的核酸内の領域(A’)に相補的である)、
領域Xの少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチド(ここで、上流オリゴヌクレオチドは、保護された3’末端を有する)、
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、領域Aの少なくとも一部を含み、5’領域は、下流プローブが標的核酸のA’部にアニーリングしているとき、非相補的な5’フラップを形成する)、および
標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始する逆方向伸長プライマー
を提供する工程;
b)標的核酸に順方向伸長プライマーの領域Aをアニーリングする工程;
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補鎖(領域Aおよび領域Xを含む)を生成する工程;
d)標的核酸および相補鎖を変性する工程;
e)領域Aの下流の相補鎖の領域に逆方向伸長プライマーをアニーリングする工程;
f)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列の少なくとも一部、領域A’および5’タグに相補的な領域(X’)を含む第2の鎖を生成する工程;
g)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第2の鎖にアニーリングして、切断構造を形成する工程;
i)ヌクレアーゼを用いて切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的な5’フラップを遊離する工程;および
j)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
1つの実施形態において、本方法は、PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程をさらに含む。
1つの実施形態において:
a)Xは、5〜25ヌクレオチドであり;
b)Aは、5〜25ヌクレオチドであり;そして
c)逆方向プライマーは、5〜25ヌクレオチドである。
別の実施形態において、核酸ポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。
さらに別の実施形態において、下流プローブの5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、上流シグナルオリゴヌクレオチドおよび下流プローブのハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
なおも別の実施形態において、ヌクレアーゼは、FENヌクレアーゼを含む。好ましくは、FENヌクレアーゼは、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼ酵素からなる群から選択される。ヌクレアーゼは、Taq、TflおよびBcaから得られうる。
さらに別の実施形態において、シグナルを提供することができる少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が、形成される。好ましくは、形成された切断構造は、検出可能なシグナルの生成をクエンチするために効果的な位置にある、相互作用シグナル生成標識部分の対を含み、ここで、その標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって分断されており、そのFENヌクレアーゼに感受性である部位で切断することによって、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を、第1の相互作用シグナル生成標識部分と第2の相互作用シグナル生成標識部分とで分断することが可能となり、検出可能なシグナルが生成される。より好ましくは、相互作用シグナル生成部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の実施形態において、本方法は、遊離された非相補的な5’フラップを定量化する工程をさらに含む。
さらに別の実施形態において、下流プローブの3’末端は、下流プローブの3’伸長を防ぐために保護されている。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方が、標的核酸に非相補的な塩基、または、核酸の合成もしくは伸長を可能にする条件下でのヌクレオチド三リン酸の付加を阻害する修飾を含む。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方は:
a)ジデオキシヌクレオチド;
b)3’ヒドロキシルがリン酸基で置換されているヌクレオチド;または
c)3’炭素または3’酸素に結合しているレポーター部分を有するヌクレオチド
を含む。
本発明はまた、サンプル中で切断構造を形成し、その切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、そして標的核酸を増幅するための方法も提供し、ここで、その方法は:
a)
領域A’を含む標的核酸、
非相補的な5’タグ領域(X)および3’プライミング領域(A)を含む順方向伸長プライマー(ここで、5’タグ領域は、増幅の前に標的に相補的でなく、3’プライミング領域(A)は、標的核酸内の領域(A’)に相補的である)、
領域Xの少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチド(ここで、上流オリゴヌクレオチドは、保護された3’末端を有する)、
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、領域Aの少なくとも一部を含み、5’領域は、下流プローブが標的核酸のA’部にアニーリングしているとき、非相補的な5’フラップを形成する)、および
標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始する逆方向伸長プライマー
を提供する工程;
b)標的核酸に順方向伸長プライマーの領域Aをアニーリングする工程;
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補鎖(領域Aおよび領域Xを含む)を生成する工程;
d)標的核酸および相補鎖を変性する工程;
e)領域Aの下流の相補鎖の領域に逆方向伸長プライマーをアニーリングする工程;
f)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列の少なくとも一部、領域A’および5’タグに相補的な領域(X’)を含む第2の鎖を生成する工程;
g)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第2の鎖にアニーリングして、切断構造を形成する工程;
i)ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼ酵素を用いて切断構造を切断して、下流のオリゴヌクレオチドの非相補的な5’フラップを遊離する工程;および
j)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
1つの実施形態において、本方法は、PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程をさらに含む。
本発明はまた、サンプル中で切断構造を形成し、その切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、そして標的核酸を増幅するための方法も提供し、ここで、その方法は:
a)
A’領域およびT’領域を3’から5’に含む標的核酸(ここで、A’領域およびT’領域は、隣接していない)、
2つの小領域(X1およびX2)を含む5’タグ領域を含む順方向伸長プライマー(ここで、X1は、X2および3’プライミング領域(A)の上流であり、5’タグ領域は、増幅の前に標的に相補的でなく、そして3’プライミング領域(A)は、標的核酸の領域A’に相補的である)、
領域X1の少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチド(保護された3’末端を有する)、
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、領域X2の少なくとも一部、および、領域X2の下流であり、標的核酸のT’に相補的である領域Tを含み、そして、下流プローブが標的核酸のA’領域にアニーリングしているとき、5’領域は、非相補的な5’フラップを形成する)および
標的核酸の少なくとも一部を含む第2の鎖を開始する逆方向伸長プライマー
を提供する工程;
b)標的核酸のA’領域およびT’領域に順方向伸長プライマーの相補的な領域Aをアニーリングする工程
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補鎖(領域Aならびに領域X1およびX2を含む)を生成する工程;
d)標的核酸および相補鎖を変性する工程;
e)逆方向伸長プライマーを領域Tの下流の相補鎖の領域にアニーリングする工程;
f)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列の少なくとも一部、領域A’、領域T’および5’タグに相補的な領域(X1’、X2’)を含む第2の鎖を生成する工程;
g)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第2の鎖にアニーリングして、切断構造を形成する工程;
i)ヌクレアーゼを用いて切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的な5’フラップを遊離する工程;および
j)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
1つの実施形態において、本方法は、PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程をさらに含む。
別の実施形態において:
a)X1は、5〜25ヌクレオチドであり;
b)X2およびTは、各々独立して1〜25ヌクレオチドであり、X2およびTは、あわせて5〜30ヌクレオチドであり;
c)Aは、5〜25ヌクレオチドであり;そして
d)逆方向プライマーは、5〜25ヌクレオチドである。
さらに別の実施形態において、核酸ポリメラーゼは、実質的に5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。
なおも別の実施形態において、
a.下流プローブの5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、上流シグナルオリゴヌクレオチドおよび下流プローブのハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
なおも別の実施形態において、ヌクレアーゼは、FENヌクレアーゼを含む。好ましくは、FENヌクレアーゼは、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼ酵素からなる群から選択される。ヌクレアーゼは、Taq、TflおよびBcaから得られうる。
別の実施形態において、シグナルを提供することができる少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が、形成される。好ましくは、形成された切断構造は、検出可能なシグナルの生成をクエンチするために効果的な位置にある、相互作用シグナル生成標識部分の対を含み、ここで、その標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって分断されており、そのFENヌクレアーゼに感受性である部位で切断することによって、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を、第1の相互作用シグナル生成標識部分と第2の相互作用シグナル生成標識部分とで分断することが可能となり、検出可能なシグナルが生成される。より好ましくは、相互作用シグナル生成部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の実施形態において、本方法は、遊離された非相補的な5’フラップを定量化する工程をさらに含む。
さらに別の実施形態において、下流プローブの3’末端は、下流プローブの3’伸長を防ぐために保護されている。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方が、標的核酸に非相補的な塩基、または、核酸の合成もしくは伸長を可能にする条件下でのヌクレオチド三リン酸の付加を阻害する修飾を含む。好ましくは,保護された3’末端の一方または両方は:
a)ジデオキシヌクレオチド;
b)3’ヒドロキシルがリン酸基で置換されているヌクレオチド;または
c)3’炭素または3’酸素に結合しているレポーター部分を有するヌクレオチド
を含む。
本発明は、サンプル中で切断構造を形成し、その切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、そして標的核酸を増幅するための方法を提供し、ここで、その方法は:
a)
A’領域およびT’領域を3’から5’に含む標的核酸(ここで、前記A’領域およびT’領域は、隣接していない)、
2つの小領域(X1およびX2)を含む5’タグ領域を含む順方向伸長プライマー(ここで、X1は、X2および3’プライミング領域(A)の上流であり、5’タグ領域は、増幅の前に標的に相補的でなく、そして3’プライミング領域(A)は、標的核酸の領域(A’)に相補的である)、
領域X1の少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチド(保護された3’末端を有する)、
5’領域および3’領域を含む下流プローブ(ここで、3’領域は、領域X2の少なくとも一部、および、領域X2の下流であり、標的核酸のT’に相補的である領域Tを含み、そして、下流プローブが標的核酸のA’領域にアニーリングしているとき、5’領域は、非相補的な5’フラップを形成する)および
標的核酸の少なくとも一部を含む、第2の鎖を開始する逆方向伸長プライマー
を提供する工程;
b)標的核酸のA’領域およびT’領域に順方向伸長プライマーの相補的な領域Aをアニーリングする工程
c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補鎖(領域Aならびに領域X1およびX2を含む)を生成する工程;
d)標的核酸および相補鎖を変性する工程;
e)逆方向伸長プライマーを領域Tの下流の相補鎖の領域にアニーリングする工程;
f)逆方向伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列の少なくとも一部、領域A’、 領域T’および5’タグに相補的な領域(X1’、X2’)を含む第2の鎖を生成する工程;
g)相補鎖を第2の鎖から変性する工程;
h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第2の鎖にアニーリングして、切断構造を形成する工程
i)ピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)由来のFENヌクレアーゼを用いて切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的な5’フラップを遊離する工程;および
j)遊離された非相補的な5’フラップを検出し、遊離された非相補的な5’フラップが、サンプル中に標的核酸が存在することを示唆する工程
を含む。
1つの実施形態において、本方法は、PCRサイクル工程に許容的な条件下で、変性、伸長および切断のサイクルを繰り返して、標的配列を増幅し、切断構造を形成し、そして切断構造を切断する工程をさらに含む。
別の実施形態において、下流プローブの非相補的な5’フラップは、n個のヌクレオチドからなり、第1のハイブリダイゼーション部位および第2のハイブリダイゼーション部位は、m個のヌクレオチドによって分断されており、ここで、nは、1〜25の整数であり、かつ、mは、nより大きい整数である。
さらに別の実施形態において、シグナルを提供することができる少なくとも1つの標識部分を含む切断構造が、形成される。好ましくは、形成された切断構造は、検出可能なシグナルの生成をクエンチするために効果的な位置にある、相互作用シグナル生成標識部分の対を含み、ここで、その標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に感受性である部位によって分断されており、そのFENヌクレアーゼに感受性である部位で切断することによって、FENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性を、第1の相互作用シグナル生成標識部分と第2の相互作用シグナル生成標識部分とで分断することが可能となり、検出可能なシグナルが生成される。より好ましくは、相互作用シグナル生成部分の対は、クエンチャー部分および蛍光部分を含む。
別の実施形態において、本方法は、遊離された非相補的な5’フラップを定量化する工程をさらに含む。
さらに別の実施形態において、下流プローブの3’末端は、下流プローブの3’伸長を防ぐために保護されている。
好ましくは、保護された3’末端の一方または両方が、標的核酸に非相補的な塩基、または、核酸の合成もしくは伸長を可能にする条件下でのヌクレオチド三リン酸の付加を阻害する修飾を含む。好ましくは、保護された3’末端の一方または両方は:
a)ジデオキシヌクレオチド;
b)3’ヒドロキシルがリン酸基で置換されているヌクレオチド;または
c)3’炭素または3’酸素に結合しているレポーター部分を有するヌクレオチド
を含む。
I.ヌクレアーゼ
本発明の有用なヌクレアーゼとしては、5’ヌクレオチド内部結合分解(endonucleolytic)活性を有する任意の酵素、例えば、DNAポリメラーゼ、例えば、E.coli由来のDNAポリメラーゼIならびにThermus aquaticus由来のDNAポリメラーゼ(Taq)、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ(Tth)およびThermus flavus由来のDNAポリメラーゼ(Tfl)が挙げられる。本発明の有用なヌクレアーゼとしては、5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ(Thermus種由来の酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(caldophilus)、Tbr(brockianus))、Bacillus種由来の酵素(Bst、Bca、Magenta(完全長ポリメラーゼ、N切断型バージョンではない))、Thermotoga種由来の酵素(Tma(maritima、Tne(neopolitana))ならびにE.coli DNAポリメラーゼIを含む真正細菌のDNAポリメラーゼIが挙げられるがこれらに限定されない)も挙げられる。用語ヌクレアーゼはまた、FENヌクレアーゼを具体的に表現したものである。本発明の有用なヌクレアーゼは、標的核酸にハイブリダイズしていないプローブもしくはプライマー、または、プローブもしくはプライマーにハイブリダイズしていない標的核酸のいずれかを切断することができない。
FEN−1は、5’一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、このアームの切断部位を見つけ出す、約40kDaの二価金属イオン依存性エキソおよびエンドヌクレアーゼであり、その切断部位は、二重鎖DNAの2本の鎖が一本鎖アームと隣接する接合部に位置する。ヌクレオチド内部結合分解活性とヌクレオチド末端(exonucleolytic)結合分解活性の両方が、フラップまたはニックにおける最5’位の塩基に対してほとんど感受性を示さない。FEN−1ヌクレオチド内部結合および末端結合分解基質の結合および切断は、上流オリゴヌクレオチド(フラップ隣接鎖またはプライマー)によって刺激される。これは、E.coli pol Iに対する場合でもある。この酵素のエンドヌクレアーゼ活性は、5’フラップ長とは無関係であり、1ヌクレオチドと同程度に小さい5’フラップを切断する。エンドヌクレアーゼ活性およびエキソヌクレアーゼ活性は、基質の化学的性質に非感受性であり、DNAとRNAの両方を切断する。
ヌクレオチド内部結合分解活性とヌクレオチド末端結合分解活性の両方が、生理学的範囲内の塩濃度によって阻害される。0mM NaClと比較して50mM NaClではエキソヌクレアーゼ活性は50倍阻害される。
エンドヌクレアーゼ活性は、50mM NaClにおいて7倍だけ阻害される(Lieber 1997,前出で概説)。
5’−OH末端は、5’フラップ基質に付着するFEN−1に対する良好な基質であるが、別の二本鎖DNA構造内にニックの一部が入っているとき、5’−OH末端は、非常に不良な基質として作用する。末端のリン酸による静電反発は、基質を偽フラップ構造(FEN−1に対して活性型の基質をもたらす)にすることを助ける可能性がある。そのような説明から、フラップの5’ssDNA末端またはニックの偽フラップ構造に、FEN−1を付着させる単一の活性部位および単一のメカニズムが示唆されうる。ニックでの至適活性には、塩基対形成を不安定化する非常に低いMg+2濃度および一価の塩濃度が必要であり、また、その至適活性によって、ニックがフラップになることが助けられうる、という知見は、上記モデルと一致する。Mg+2濃度および一価の塩濃度が高いと、ニックからフラップにならないことがあり、そしてフラップに変換するために必要な、ニック構造またはギャップ構造の切断が阻害されうる。安定なフラップ構造の切断は、中程度のMg+2レベルにおいて最適であり、Mg+2濃度が上がってもその切断は低下しない。これは、フラップ基質が、その構造を完成するために塩基対を融解する必要がないためであり;ゆえに、フラップ基質は、完全にMg+2に非感受性である。ヌクレオチド内部結合分解活性が、一価の塩とともに低下するにもかかわらず、その低下は、ヌクレオチド末端結合分解活性について見られるものほど激しくない。さらに、1ヌクレオチドフラップが、有効な基質であることが以前に示されている。FEN−1がエキソヌクレアーゼとして機能すると解釈されるとき、これらの知見のすべてが、分解産物のサイズが1〜数ヌクレオチド長と多様であるという事実と一致する。ニックが様々な長さのフラップになることは、G/C含有量に依存して局所的配列によって変動すると予想される。要約すれば、ニックが一過性のフラップを形成することは、FEN−1のヌクレオチド末端結合分解活性が、ヌクレオチド内部結合分解活性と同じであることを意味する(Lieber,1997、前出で概説)。
FEN−1のエンドヌクレアーゼ活性およびエキソヌクレアーゼ活性は、アクセサリータンパク質を必要とすることなく、DNAとRNAの両方を切断する。しかしながら、複製フォークでは、FEN−1は、DNAヘリカーゼおよび増殖細胞核抗原(PCNA)(DNAポリメラーゼに対する進化性因子)を含む他のタンパク質と相互作用する。PCNAは、FEN−1のヌクレオチド内部結合分解およびヌクレオチド末端結合分解活性を有意に刺激する。
FEN−1酵素は、いくつかのより小さなバクテリオファージ5’3’エキソヌクレアーゼ(例えば、T5 5’エキソヌクレアーゼおよびT4 RNアーゼH)ならびにより大きな真核生物ヌクレオチド除去修復酵素(例えば、XPG)(酸化性塩基損傷の転写共役修復においても作用する)に機能的に関連する。
Escherichia coliおよびThermus aquaticusなどの真正細菌において、岡崎プロセシングは、PolI5’3’エキソヌクレアーゼドメインによってもたらされる。これらの細菌およびファージの酵素は、FEN−1と限られた配列相同性を有する2つの領域を共有し、それらの領域は、N(N末端)領域およびI(中間)領域と呼ばれ、残基類似性は、約7個の保存的酸性残基に集中している。T4 RNase HおよびT5エキソヌクレアーゼの結晶構造ならびに突然変異誘発データに基づいて、これらの残基が、DNA加水分解への影響に必要な2つのMg+2イオンに結合すると提案されている;しかしながら、各金属が触媒サイクルにおいて果たす役割は、各酵素に対してわずかに異なり、十分に解明されていない(Hosfieldら、1998b,前出で概説)。
本発明において有用なFEN−1酵素をコードするFen−1遺伝子としては、マウスのfen−1、ヒトのfen−1、ラットのfen−1、Xenopus laevisのfen−1ならびに4つの古細菌、Archaeglobus fulgidus、Methanococcus jannaschii、Pyrococcus furiosusおよびPyrococcus horikoshii由来のfen−1遺伝子が挙げられる。FEN−1酵素をコードするcDNAクローンは、ヒト(GenBankアクセッション番号:NM004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号:L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号:AA819793)、Xenopus laevis(GenBankアクセッション番号:U68141およびU64563)およびP.furiosus(GenBankアクセッション番号:AF013497)から単離されている。P.horikoshiiのフラップエンドヌクレアーゼに対する完全なヌクレオチド配列もまた、決定されている(GenBankアクセッション番号:AB005215)。FEN−1ファミリーには、Saccharomyces cerevisiaeのRAD27遺伝子(GenBankアクセッション番号:Z28113 Y13137)およびSaccharomyces pombeのRAD2遺伝子(GenBankアクセッション番号:X77041)も含まれる。Methanobacterium thermautotrophiculumの古細菌ゲノムもまた配列決定されている。FEN−1と原核生物およびウイルスの5’3’エキソヌクレアーゼとの配列類似性は、低いが、真核生物界のFEN−1は、アミノ酸レベルで非常に保存されており、ヒトとS.cerevisiaeのタンパク質では、60%同一であり、78%類似である。3つの古細菌のFEN−1タンパク質もまた、真核生物のFEN−1酵素と非常に相同である(Matsuiら、1999.,J.Biol.Chem.,274:18297,Hosfieldら、1998b,J.Biol.Chem.,273:27154およびLieber,1997,BioEssays,19:233に概説)。
ヒトと他のFEN−1ファミリーメンバーとの、2つの保存されたヌクレアーゼドメイン(N末端またはNドメインおよび中間またはIドメイン)の配列類似性は、92%(マウス)、79%(S.cerevisiae)、77%(S.pombe)、72%(A.fulgidus)、76%(M.jannaschii)および74%(P.furiosus)である。
FEN−1は、5’一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、このフラップアームを、二重鎖DNAおよび一本鎖アームの2本の鎖の間の接合部に位置する切断部位に移動させる。フラップの上流の鎖(時折、フラップ隣接鎖またはプライマー鎖と呼ばれる)が、除去される場合、生じる構造は、偽Yと呼ばれる(図1を参照のこと)。この構造は、FEN−1によって切断されるが、効率は、20〜100倍低い。FEN−1は、3’一本鎖フラップを切断しない。しかしながら、エキソヌクレアーゼとして作用するFEN−1は、ギャップまたはニックを含むdsDNA基質を加水分解する(Hosfieldら、1998a,前出、Hosfieldら、1999b,前出およびLieber 1997,前出に概説)。ヌクレオチド末端結合分解的には、FEN−1は、ニックにおいて作用し、低効率ではあるが、dsDNA上のギャップまたは陥凹5’末端において作用する。ギャップ構造において、FEN−1の結合および切断の効率は、ギャップサイズが約5ヌクレオチドまで大きくなるにつれて低下し、そしてdsDNA内の陥凹5’末端に対する活性と等価の切断のレベルで安定化する。平滑末端dsDNA、陥凹3’末端およびssDNAは、切断されない(Lieber 1997,前出で概説)。
本発明の有用なFENヌクレアーゼは、種々の生物から単離されており、その生物としては、ヒト(GenBankアクセッション番号:NM004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号:L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号:AA819793)、酵母(GenBankアクセッション番号:Z28113 Y13137およびGenBankアクセッション番号:X77041)およびxenopus laevis(GenBankアクセッション番号:U68141およびU64563)が挙げられる。当該分野で周知の従来技術を用いて、そのような酵素をクローニングおよび過剰発現することができる。
本発明のFENヌクレアーゼは、好ましくは熱安定性である。熱安定性FENヌクレアーゼは、4つの古細菌(archeaebacteria)を含む種々の熱安定性生物から単離および特徴付けされている。P.furiosusのフラップエンドヌクレアーゼに対するcDNA配列(GenBankアクセッション番号:AF013497)およびアミノ酸配列(Hosfieldら、1998a,前出およびHosfieldら、1998b)が決定されている。P.horikoshiiのフラップエンドヌクレアーゼに対する完全ヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号:AB005215)およびアミノ酸配列(Matsuiら、前出)もまた決定されている。M.jannaschiiのフラップエンドヌクレアーゼに対するアミノ酸配列(Hosfieldら、1998bおよびMatsuiら、1999 前出)およびA.fulgidusのフラップエンドヌクレアーゼに対するアミノ酸配列(Hosfieldら、1998b)もまた決定されている。
当該分野で周知の技術ならびにHosfieldら、1998a,前出、Hosfieldら、1998b,Kaiserら、1999,J.Biol.Chem.,274:21387およびMatusiら、前出ならびに「Pfu FEN−1のクローニング」と題されている本明細書中の実施例2に記載されている技術を用いて、熱安定性FEN−1酵素をクローニングおよび過剰発現することができる。
FEN酵素のエンドヌクレアーゼ活性は、以下の方法を含む種々の方法によって測定されうる。
A.FENエンドヌクレアーゼ活性アッセイ
1.鋳型(例えば、図2に示されている)を用いて、本発明のFENヌクレアーゼの活性を評価する。
鋳型1は、以下の配列を有する5’33P標識オリゴヌクレオチド(Heltest4)である:5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号:1)。Heltest4の下線部は、M13mp18+に相補的な領域を示す。切断産物は、配列AAAATAAATAAAAAAAAT(配列番号:2)を有する18ヌクレオチドのフラグメントである。
Heltest4は、M13に結合して、相補的な二本鎖ドメインならびに非相補的な5’オーバーハングを生成する。この二重鎖は、ヘリカーゼアッセイでも使用される鋳型2(図2)を形成する。鋳型3(図2)は、M13に結合しており、Heltest4にすぐ隣接しているさらなるプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は:5’CCATTCGCCATTCAGGCTGCGCA3’(配列番号:3)である。鋳型3の存在下で、FENは、Heltest4の遊離5’末端と結合し、接合部に移動し、そしてHeltest4を切断することにより、18ヌクレオチドのフラグメントを生成する。鋳型1および2は、コントロールとして作用するが、鋳型2は、鋳型としても作用しうる。
鋳型は、以下に記載するように調製される:
鋳型1 鋳型2 鋳型3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 ** 14μl 14μl
FENAS ** ** 14μl
O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl 4.6μl
10×Pfu緩衝液は、Stratagene(カタログ#200536)から入手可能である。本発明の方法によれば、10×Pfu緩衝液は、反応が1×緩衝液の存在下で行われるように希釈される。
M13は、200ng/μLの濃度のM13mp18+鎖であり、33P標識Heltest4は、約0.7ng/μlの濃度であり、FENASは、4.3ng/μlの濃度である。これらの濃度に基づいて、Heltest4およびM13は、ほぼ等モル量(5×10−14)であり、FENASは、モル濃度が約10倍過剰(6×10−13)で存在する。
鋳型混合物を95℃で5分間加熱し、45分間室温に冷却し、4℃で一晩保存する。
2μlのFEN−1またはコントロールとしてのHOを、以下のとおりに3つの鋳型と混合する:
3 μlの鋳型
0.7 μlの10×クローン化Pfu緩衝液
0.56 μlの100mM MgCl
2.00 μlの酵素またはH
0.74 μlのH
7.00 μlの総容積
反応を50℃で30分間進め、そして2μlのホルムアミド「シークエンシング停止」溶液を各サンプルに加えることによって反応を停止する。サンプルを95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミド、7M尿素CastAway(Stratagene)ゲルにロードする。
あるいは、1時間のインキュベーション時間を利用して、以下の緩衝液中でFEN活性を解析することができる。
10×FEN緩衝液
500mM Tris−HCl pH8.0
100mM MgCl
以下の反応混合物を、2μlのFENまたはコントロールとしての2μlのHOと混合する。
3 μlの鋳型
0.7 μlの10×FEN緩衝液
2.00 μlの酵素またはH
1.3 μlのH
7.00 μlの総容積
Robocyler96ホットトップサーマルサイクラーにおいて、サンプルを50℃で1時間インキュベートする。2μlのシークエンシング停止染色溶液を加えた後、サンプルを99℃で5分間加熱する。サンプルを11インチ長の、手で分注した20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7M尿素ゲルにロードする。ブロモフェノールブルーが総距離の約2/3に移動するまで、ゲルを20ワットで泳動する。ゲルをガラスプレートから取り出し、固定液(15%メタノール、5%酢酸)中に10分間浸漬し、次いで、10分間、水に浸漬する。
ゲルをWhatmannの3mm紙の上に置き、プラスチックラップで覆い、そして加熱吸引ゲルドライヤーで2時間乾燥させる。ゲルを一晩、X線フィルムに感光させる。
2.FENエンドヌクレアーゼ活性は、Kaiserら、前出)の方法に従っても測定することができる。簡潔には、10mM MOPS,pH7.5、0.05%Tween 20、0.05%Nonidet P−40、101g/mlのtRNAおよびTaqPolおよびTthPolに対しては200mM KClまたは他のすべての酵素に対しては50mM KClを含む1011容積において反応を行う。解析される切断構造に応じて、反応条件を変更することができる。基質(21M)および様々な量の酵素を、記載した(上の)反応緩衝液と混合し、Chill−out(MJ Research)液体ワックスを重層する。基質を90℃で20秒間加熱変性し、50℃に冷却し、次いで、MgClまたはMnClを加えることによって反応を開始し、50℃で特定の時間インキュベートする。10mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレット(Sigma)を含む95%ホルムアミドの1011を加えることによって、反応を停止する。サンプルを1分間、90℃に加熱した直後に、7M尿素を含む20%変性アクリルアミドゲル(19:1架橋)および45mM Trisホウ酸,pH8.3、1.4mM EDTAの緩衝液において、電気泳動を行う。別途記載されない限り、各停止反応物の1×1を1レーンごとにロードする。505nmフィルターを使用して、FMBIO−100蛍光ゲルスキャナー(Hitachi)においてゲルをスキャンする。FMBIO解析ソフトウェア(バージョン6.0,Hitachi)を用いて、非切断基質および切断基質に対応するバンドの強度から切断産物の画分を決定する。測定値を最初の切断速度に確実に近づけるために、切断産物の画分は、20%を超えるべきではない。切断速度は、酵素濃度および反応時間(分)で割った切断産物濃度と定義される。各酵素について、3つのデータポイントを使用して、速度および実験誤差を決定する。
3.FENエンドヌクレアーゼ活性は、Hosfieldら、1998a,前出の方法に従っても測定することができる。簡潔には、最終容積13μlにおいて、様々な量のFENおよび1.54pmolの標識された切断基質を、様々な温度で30分間インキュベートした後、反応を、等容積の停止溶液(10mM EDTA、95%脱イオンホルムアミドならびに0.008%ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノール)でクエンチする。サンプルを変性15%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、MacBAS画像解析ソフトウェアを備えたIPLabGelシステム(Stratagene)を用いて、出発物質および産物の相対量を定量化する。ほとんどの反応は、標準的なアッセイ緩衝液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM MgClおよび50μg/mlのウシ血清アルブミン)中で行うが;しかしながら、一連の実験において、様々な二価金属レベルおよびpHレベルの影響を、標準的な緩衝液を変化させることによって調べる。
二価金属について、MgClは除き、様々な金属イオンを最終濃度10mMで使用する。pHの影響を調べるために、様々な量のTris−HCl、グリシンおよび酢酸ナトリウムを含む緩衝液を最終濃度10mMで使用して、25℃で広範なpHレベルを得る。
4.FENエンドヌクレアーゼ活性は、Matusiら、1999,前出の方法に従っても測定することができる。簡潔には、50mM Tris−HCl(pH7.4)、1.5mM MgCl、0.5mM β−メルカプトエタノール、1001g/mlのウシ血清アルブミンおよび0.6pmolの標識切断構造を含む15μlの反応混合物中で酵素をインキュベートする。600Cでの30分間のインキュベーションの後、10mM EDTAおよび1mg/mlのブロムフェノールブルーを含む95%ホルムアミド15μlを加えることによって、反応を停止する。サンプルを95℃で10分間加熱し、7M尿素および10×TBE(89mM Tris−HCl、89mMホウ酸、2mM EDTA(pH8.0))を含む15%ポリアクリルアミドゲル(35cm×42.5cm)にロードし、次いで、2000Vで2時間電気泳動する。反応産物を可視化し、PhosphorImager(Bio−Rad)を用いて定量化する。サイズマーカーであるオリゴヌクレオチドは、[α−32P]ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて5’末端標識されている。
至適pHを決定するために、1.5mM MgCl、0.5mM β−メルカプトエタノール、100μg/mlのウシ血清アルブミンおよび0.6pmolの5’末端標識切断構造(以下の緩衝液のうちの1つの50mMにおいて)を含むアッセイ混合物(15μl)において、反応を600Cで30分間、行う。3つの異なる50mM緩衝液を使用して、以下のとおり、広範なpH範囲を得る:酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0〜5.5)、リン酸緩衝液(pH5.5〜8.0)およびホウ酸緩衝液(pH8.0〜9.4)。
B.FENエキソヌクレアーゼ活性アッセイ
本発明のFENヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、Matsuiら、1999,前出に記載され、そして上で要約された、FEN−1エンドヌクレアーゼ活性を測定する方法によって測定することができる。
あるいは、FEN酵素のエキソヌクレアーゼ活性は、Hosfieldら、1998b,前出に記載されている方法によって解析することができる。簡潔には、エンドヌクレアーゼアッセイ(上記)について記載された条件と同一の条件下で、ニックの入ったFENの基質を用いて、エキソヌクレアーゼ活性をアッセイする。
エキソヌクレアーゼ実験とエンドヌクレアーゼ実験の両方におけるDNA切断の正確な位置は、Klenowフラグメントの3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を用いて、5’32P標識鋳型鎖の部分的な消化によって得ることができる。
本発明の切断構造は、標的核酸配列にアニーリングしたオリゴヌクレオチドの部分的に置換された5’末端を含む。本発明の別の切断構造は、標的核酸配列(例えば、図3中のB)、標的配列に相補的な上流オリゴヌクレオチド(例えば、図3中のA)および標的配列に相補的な下流オリゴヌクレオチド(例えば、図3中のC)を含む。本発明の切断構造は、上流オリゴヌクレオチドと下流プローブとの重複または核酸ポリメラーゼの合成活性による上流オリゴヌクレオチドの伸長およびその後の下流オリゴヌクレオチドの5’末端の部分的な置換によって形成されうる。このタイプの切断構造は、「切断構造」と題された項に記載されている方法に従って形成される。
あるいは、本発明の切断構造は、標的核酸配列をオリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって形成され、ここで、そのオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列にアニーリングする相補的領域および標的核酸配列にアニーリングせず、5’フラップを形成する非相補的領域を含む。この実施形態によれば、切断構造は、オリゴヌクレオチドの非相補的領域によって形成される5’フラップを含む。
本発明の切断構造はまた、重複フラップも含み、ここで、標的核酸配列にアニーリングすることができる上流オリゴヌクレオチド(例えば、図3中のA)の3’末端は、標的核酸配列にアニーリングする下流オリゴヌクレオチド(例えば、図3中のC)の1つ(またはそれ以上)の塩基対に相補的であり、その1つ(またはそれ以上)の塩基対の重複は、一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流であり、「切断構造」と題された項に記載されている方法に従って形成される。
II.核酸ポリメラーゼ
本発明は、核酸ポリメラーゼを提供する。好ましくは、本発明の核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。
公知のDNAポリメラーゼとしては、例えば、E.coliのDNAポリメラーゼI、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilusのDNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralisのDNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼおよびPyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼが挙げられる。
本発明の有用な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いている核酸ポリメラーゼとしては、KlenowおよびKlenowエキソ−ならびにT7DNAポリメラーゼ(Sequenase)が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の有用な5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いている熱安定性核酸ポリメラーゼとしては、Pfu、エキソ−Pfu(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いているPfuの変異型)、TaqのStoffelフラグメント、N切断型Bst、N切断型Bca、Genta、JdF3エキソ−、Vent、Ventエキソ−(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いているVentの変異型)、Deep Vent、Deep Ventエキソ−(3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠いているDeep Ventの変異型)、U1TmaおよびThermoSequenaseが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の有用な核酸ポリメラーゼには、天然のポリメラーゼと5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠いているポリメラーゼ変異体との両方が含まれる。本発明の有用な核酸ポリメラーゼは、様々な程度の熱安定性を有しうる。好ましくは、本発明の核酸ポリメラーゼは、それが核酸プライマーを伸長することができる温度で鎖置換活性を示す。本発明の好ましい実施形態において、核酸ポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性と3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の両方を欠いている。
様々な程度の熱安定性を有し、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いている、本発明の有用なさらなる核酸ポリメラーゼを以下に列挙する。
A.バクテリオファージのDNAポリメラーゼ(37℃アッセイに有用):
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が、別個のポリペプチドによってコードされているので、バクテリオファージDNAポリメラーゼは、この5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠いている。適当なDNAポリメラーゼの例は、T4、T7およびφ29DNAポリメラーゼである。市販の酵素は:T4(多くの供給業者、例えば、Epicentreから入手可能)およびT7(多くの供給業者、例えば、非修飾のものについてはEpicentreおよび3’→5’エキソT7「Sequenase」DNAポリメラーゼについてはUSBから入手可能)である。
B.古細菌のDNAポリメラーゼ:
古細菌では、2つの異なるクラスのDNAポリメラーゼが同定されている:1.ファミリーB/pol αタイプ(Pyrococcus furiosus由来のPfuのホモログ)および2.pol IIタイプ(P.furiosus DP1/DP2 2−サブユニットポリメラーゼのホモログ)。両方のクラスのDNAポリメラーゼが、関連する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然には欠いていること、および、3’→5’エキソヌクレアーゼ(校正)活性を有していることが示されている。
適当なDNAポリメラーゼ(pol αまたはpol II)を、所望のアッセイ温度と類似である至適成長温度を有する古細菌から得ることができる。適当な古細菌の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
1.熱不安定性菌(37℃アッセイに有用)−例えば、Methanococcus voltae
2.熱安定性菌(非PCRアッセイに有用)−例えば、Sulfolobus solfataricus、Sulfolobus acidocaldarium、Methanococcus jannaschi、Thermoplasma acidophilum。適当な古細菌は、80〜85℃以下の最高成長温度または70〜80℃以下の至適成長温度を示すと推定されている。
3.熱安定性菌(PCRアッセイに有用)−例えば、Pyrococcus種(furiosus、GB−D種、KOD1株、woesii株、abysii株、horikoshii株)、Thermococcus種(litoralis、90North−7種、JDF−S種、gorgonarius種)、Pyrodictium occultumおよびArchaeoglobus fulgidus。適当な古細菌は、80〜85℃以上の最高成長温度または70〜80℃以上の至適成長温度を示しうると推定されている。古細菌のpol αDNAポリメラーゼ群の適切なPCR酵素は、市販されており、それらとしては、KOD(Toyobo)、Pfx(Life Technologies,Inc.)、Vent(New England BioLabs)、Deep Vent(New England BioLabs)およびPwo(Boehringer−Mannheim)が挙げられる。
上で列挙されたものに関連するさらなる古細菌は、以下の参考文献に記載されている:Archaea:A Laboratory Manual(Robb,F.T.and Place,A.R.,eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1995およびThermophilic Bacteria(Kristjansson,J.K.,ed.)CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida,1992。
C.真正細菌のDNAポリメラーゼ:
真正細菌のDNAポリメラーゼには3つのクラス、pol I、IIおよびIIIが存在する。Pol I DNAポリメラーゼファミリーの酵素は、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、あるメンバーは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性も示す。Pol II DNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を天然には欠いているが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性は示す。Pol III DNAポリメラーゼは、細胞の主要な複製用DNAポリメラーゼであり、複数のサブユニットから構成される。pol III触媒サブユニットは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠いているが、いくつかの場合おいて、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が同じポリペプチドに存在する。
種々の市販のPol I DNAポリメラーゼが存在し、そのうちのいくつかは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を低下するためまたは消滅するために修飾されている。
pol I DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を排除するために使用される方法としては:
−突然変異誘発(Xuら、1997,J.Mol.Biol.,268:284およびKimら、1997,Mol.Cells;7:468に記載されているとおり)
−タンパク分解性消化によるN切断(Klenowら、1971,Eur.J.Biochem.,22:371に記載されているとおり)または
−クローニングおよびC末端のフラグメントとして発現することによるN切断(Lawyerら、1993,PCR Methods Appl.,2:275に記載されているとおり)
が挙げられる。
古細菌の起源に関して、アッセイ温度として求められる温度によって、どの真正細菌を、本発明の有用なDNAポリメラーゼの起源(例えば、中温菌、好熱菌、超好熱菌)として使用するべきであるかが決定される。
1.中温菌/不耐熱性菌(37℃アッセイに有用)
i.天然には5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ:中温性の真正細菌(例えば、Escherichia coli、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenza、Mycobacterium種(tuberculosis、leprae))由来のpol IIまたはpol IIIの触媒サブユニット
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ変異体:N切断または突然変異誘発のためのPol I DNAポリメラーゼを、上に列挙された中温性の真正細菌から単離することができる(Ci)。市販の真正細菌のDNAポリメラーゼpol Iフラグメントは、Klenowフラグメント(N切断型E.coli pol I;Stratagene)である。
2.熱安定性菌(非PCRアッセイに有用)
i.天然には5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ:好熱性の真正細菌(例えば、Bacillus種(例えば、stearothermophilus、caldotenax、caldovelox))由来のPol IIまたはpol IIIの触媒サブユニット
ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ変異体:N切断または突然変異誘発に適したpol I DNAポリメラーゼを、上に列挙されたBacillus種などの好熱性の真正細菌から単離することができる。B.stearothermophilus DNAポリメラーゼpol Iの熱安定性N切断型フラグメントは、市販されており、商標名Bst DNAポリメラーゼIラージフラグメント(Bio−RadおよびIsotherm DNAポリメラーゼ(Epicentre))として販売されている。Bacillus caldotenax pol IのC末端フラグメントは、Panveraから入手可能である(商標名Laddermanとして販売されている)。
3.熱安定性菌(PCRアッセイに有用)
i.天然には5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ:Thermus種(aquaticus、thermophilus、flavus、ruber、caldophilus、filiformis、brokianus)またはThermotoga maritima由来のPol IIまたはpol IIIの触媒サブユニット。Thermus thermophilusおよびThermus aquaticus由来の触媒性pol IIIサブユニットは、Yi−Pingら、1999,J.Mol.Evol.,48:756およびMcHenryら、1997,J.Mol.Biol.,272:178に記載されている。ii.5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠いているDNAポリメラーゼ変異体:N切断または突然変異誘発に適したpol I DNAポリメラーゼを、Thermus種およびThermotoga maritima(上を参照のこと)を含む種々の好熱性真正細菌から単離することができる。Thermus aquaticusのDNAポリメラーゼpol I(Taq)の熱安定性フラグメントは、市販されており、商標名KlenTaq1(Ab Peptide)、Stoffelフラグメント(Perkin−Elmer)およびThermoSequenase(Amersham)として販売されている。C末端フラグメントに加えて、5’→3’エキソヌクレアーゼTaq変異体もまた市販されている(TaqFS(Hoffman−LaRoche)など)。Taqの5’−3’エキソヌクレアーゼバージョンに加えて、Thermotoga maritimaのDNAポリメラーゼIのN切断型バージョンもまた市販されている(商標名UlTma,Perkin−Elmer)。
上に列挙したものと関連するさらなる真正細菌は、Thermophilic Bacteria(Kristjansson,J.K.,ed.)CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida,1992に記載されている。
D.真核生物の5’→3’エキソヌクレアーゼDNAポリメラーゼ(37℃アッセイに有用)
いくつかのDNAポリメラーゼが、真核生物において同定されており、それらとしては、DNA pol α(複製/修復)、δ(複製)、ε(複製)、β(修復)およびγ(ミトコンドリアの複製)が挙げられる。5’→3’エキソヌクレアーゼ活性が、別個のポリペプチド(例えば、哺乳動物のFEN−1または酵母のRAD2)によってコードされているので、真核生物のDNAポリメラーゼは、この5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠いている。適当な熱不安定性DNAポリメラーゼは、種々の真核生物(酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞、Drosophilaが挙げられるがこれらに限定されない)および真核生物ウイルス(例えば、EBV、アデノウイルス)から単離されうる。
5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠いていることに加えて3’−5’エキソヌクレアーゼ(校正)活性を欠いているDNAポリメラーゼ変異体が、FENベースの検出ストラテジーにおいて改善された性能を示すことがありうる。例えば、固有の3’→5’エキソヌクレアーゼ活性の低下または消滅は、標識プローブの非特異的なヌクレオチド末端結合分解を低減することによってバックグラウンドシグナルを低下させうる。3つの3’→5’エキソヌクレアーゼモチーフが同定されており、これらの領域内の変異は、Klenow、φ29、T4、T7およびVent DNAポリメラーゼ、酵母のPol α、Pol βおよびPol γならびにBacillus subtilis Pol IIIにおいて3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を消滅させることが示されている(Derbeyshireら、1995,Methods.Enzymol.262:363で概説)。
3’→5’エキソヌクレアーゼ活性が低下しているか、または消滅している、さらなるDNAポリメラーゼ変異体を調製するための方法は、当該分野で周知である。
5’→3’と3’→5’の両方のエキソヌクレアーゼ活性を欠いている市販の酵素としては、Sequenase(エキソT7;USB)、Pfuエキソ(Stratagene)、エキソVent(New England BioLabs)、エキソDeep Vent(New England BioLabs)、エキソKlenowフラグメント(Stratagene)、Bst(Bio−Rad)、Isotherm(Epicentre)、Ladderman(Panvera)、KlenTaq1(Ab Peptide)、Stoffelフラグメント(Perkin−Elmer)、ThermoSequenase(USB)およびTaqFS(Hoffman−LaRoche)が挙げられる。
Pfu以外のポリメラーゼを使用する場合、緩衝液および伸長温度は、本発明の有用な特定のポリメラーゼによって至適活性が得られるように選択される。本発明のポリメラーゼに有用な緩衝液および伸長温度は、当該分野で公知であり、製造供給元の仕様書から決定することもできる。
III.核酸
A.本発明に有用な核酸配列
本発明は、標的核酸配列を検出および測定する方法を提供する;同時に本発明による切断構造物を形成するためのオリゴヌクレオチド、プライマー、およびプローブ、ならびに鋳型核酸配列を増幅するためのプライマーも利用する。本明細書で用いる用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」は、プライマー、プローブ、および検出対象となるオリゴマーフラグメントを指し、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−でオキシ−D−リボースを含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む)、およびプリンもしくはピリミジン塩基、または修飾されたプリンもしくはピリミジン塩基(脱塩基部位を含む)のN−グリコシドである他タイプの任意のポリヌクレオチドを包括するものとする。用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」については、長さを区別する意図はなく、これらの用語は互換的に使用されるだろう。これらの用語は、分子の一次構造のみを指す。かくしてこれら用語は、二本鎖および単鎖DNA、ならびに二本鎖および単鎖RNAを含む。
本明細書で用いられる核酸配列の相補体とは、核酸配列を、一方の配列の5’端を他方の配列の3’と対合するようにアラインメント取りした時に、「逆平行会合」するオリゴヌクレオチドを指す。
オリゴヌクレオチドは、必ずしも既存または天然の配列に物理的に由来せず、化学合成、DNA複製、逆転写、またはそれらの組み合わせを含む任意の方法で生成してよい。用語「オリゴヌクレオチド」または「核酸」は、ゲノムDNAまたはRNA、cDNA、半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味し、その合成起源または操作によっては:(1)自然界においてそれが会合しているポリヌクレオチドの全てもしくは一部と会合せず;および/または(2)自然界においてそれが連結しているもの以外のポリヌクレオチドと連結する。
本発明によれば、オリゴヌクレオチドはプローブとして機能する核酸配列を追加して含み、かつヘアピンおよびステム−ループのような二次構造を有してよい。このようなオリゴヌクレオチドプローブとしては、本明細書に記載する分子ビーコン、セーフティーピン、スコルピオン、およびサンライズ/アンプリフルオロプローブが挙げられるが、これらに限定されない。
モノヌクレオチドは、あるモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩が、それに隣接するモノヌクレオチドペントース環の3’酸素にリン酸ジエステル結合により一方向に結合するように反応してオリゴヌクレオチドを作ることから、オリゴヌクレオチドの端部は、その5’リン酸塩がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素と連結していない場合には「5’端」と呼ばれ、その3’酸素が続くモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩に連結していない場合には「3’端」と呼ばれる。本明細書で用いる場合、核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部の場合でも、5’および3’端を有すると言うことができる。
2種類の、重複しないオリゴヌクレオチドが、同一の、直線状の相補的核酸配列の異なる領域にアニーリングした時に一方のオリゴヌクレオチドの3’端が、もう一方のオリゴヌクレオチドの5’端方向を指す場合、前者を「上流」オリゴヌクレオチド、後者を「下流」オリゴヌクレオチドと呼ぶことがある。
天然の核酸には通常存在しないある種の塩基を本発明の核酸に含めることができ、そのような核酸としては、例えばイノシンおよび7−デアザグアニンが挙げられる。相補性の要求は絶対的でない;安定した二重鎖は、ミスマッチ塩基対または非適合塩基を含んでよい。核酸技術分野の当業者は、二重鎖の安定性を、例えばオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度、ならびにミスマッチ塩基対の頻度を考慮にいれて経験的に決定することができる。
核酸二重鎖の安定性は、融解温度または「Tm」によって測定される。固有条件下でのある種核酸二重鎖のTmは、塩基対の半分が解離する温度である。
B.本発明の有用なプライマーおよびプローブ
本発明は、核酸の検出または測定、鋳型核酸配列の増幅、および本発明による切断構造物の形成に有用なオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを提供する。
用語「プライマー」は、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が触媒される条件に置かれた時に、相補鎖に沿って合成の開始点となることができる、精製された制限酵素消化物のようにして自然に生ずるか、または合成により作られた、二種類以上のプライマーを指してもよく、一種類のオリゴヌクレオチドを指す。このような条件には、四種類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸およびDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素のような重合誘導剤が、好適緩衝液(「緩衝液」は、補助因子であるか、またはpH、イオン強度等に影響する置換基を含む)中、および好適温度で存在することを含む。プライマーは、増幅効率が最大の単鎖のものが好ましい。
本発明の有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型の核酸配列にハイブリダイゼーションでき、第二核酸鎖の酵素合成をプライミングできる単鎖DNAまたはRNA分子である。プライマーは核酸分子集合体中に存在する標的分子の一部に相補的である。本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは、化学的または酵素的どちらの合成的方法によって調製されることが熟考される。あるいは、このような分子またはそのフラグメントは天然に生じ、その天然供給源から単離されるか、または商業的供給元から購入する。オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは5〜100ヌクレオチド長であり、理想的には17〜40ヌクレオチド長であるが、プライマーとプローブは長さの異なるものが用いられる。増幅用プライマーは、約17〜25ヌクレオチドが好ましい。本発明の切断構造物の生成用プライマーは、17〜45ヌクレオチドが好ましい。本発明の有用なプライマーは、融解温度予測法によって特定の融解温度を持つように設計される。Oligo(商標)、Primer Designを含む商業プログラム、ならびにPrimer3およびOligo Calculatorを含むインターネット上で利用可能なプログラムを用いて、本発明の有用な核酸配列のTmを計算することができる。好ましくは、本発明の有用な増幅プライマーのTmは、例えばOligo Calculatorによって計算した場合、約45〜65度の間であることが好ましく、約50〜60度の間であることがより好ましい。
好ましくは、本発明の有用なプローブのTmは、対応する増幅プライマーのTmより7℃高い。
本明細書の用いる場合、「プローブ」は、本発明の切断構造物の調製に有用であるプライマーとなることができる標識化オリゴヌクレオチドを指す。単鎖DNAプライマーのペアは、標的核酸配列内の配列にアニーリングできるか、またはこれを用いて標的核酸配列のDNA合成の増幅をプライミングできる。
典型的には、2つの核酸配列が実質的に相補的であれば(少なくとも14〜25ヌクレオチドのストレッチについて少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%相補的)ハイブリダイゼーションが起こる。参照によってここに組み入れられるKanehisa, M., 1984. 12: 203を参照。結果として、プライミング部位についてある程度のミスマッチが許容されることが期待される。このようなミスマッチは、モノ−、ジ−、またはトリ−ヌクレオチドのような小さなものであろう。あるいはミスマッチ領域はループを含むこともあり、このループはミスマッチが4またはそれ以上連続するヌクレオチドとして存在する領域として定義される。
多くの要因が、プライマーの第二核酸分子へのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響する。プライマー長、ヌクレオチドの配列および/または組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝液組成、プライマーがハイブリダイゼーションするのに必要とする領域内の立体障害の潜在性を含むこれらの要因は、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを設計する際に考慮される。プライマー長と、プライマーが標的配列にアニーリングする際の効率及び正確性の両方との間には正の相関性がある。具体的には、長井配列は短い配列より高い融解温度(Tm)を有し、特定の標的配列内で繰り返しが起こりにくいとされることから、無差別的なハイブリダイゼーションは少なくなる。GC含有量が高いか、パリンドローム配列を含むプライマー配列は、溶液中においては、一般的に二分子間より単分子間での動的ハイブリダイゼーションが起こりやすいために、目的とする標的部位と同様に自己へのハイブリダイゼーションも起こしやすい。しかしながらG−Cのペアはそれぞれ、AとTの塩基対が標的配列に結合する際に見られる二重の水素結合ではなく三重水素結合で結合していること、その結果より強固な結合を形成することから、十分な数のG−Cヌクレオチド対を含むようにプライマーを設計することも重要である。ハイブリダイゼーション温度が高い程プライマーアニーリング効率は下がり、またプライミング反応液またはハイブリダイゼーション混合液中に含めることがある有機溶媒、例えばホルムアミドの濃度も同じように働くが、塩濃度の上昇は結合を促す。
ストリンジェントなアニーリング条件では、長いハイブリダイゼーションプローブまたは合成プライマーは、短いものよりもハイブリダイゼーション効率が高く、より寛大な条件でも十分に機能する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、典型的には約1M未満、より一般的には約500mM、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリダイゼーション温度は、O℃程度から22℃まで、約30℃以上まで、(多くの場合)約37℃以上までの範囲である。長いフラグメントほど特異的ハイブリダイゼーションには高いハイブリダイゼーション温度を必要とするだろう。ハイブリダイゼーションの厳密さには複数の要因が影響することから、単独の要因の絶対値よりもパラメータの組み合わせが重要である。
オリゴヌクレオチドプライマーは、これらについて配慮しながら設計し、以下の方法に従って合成することができる。
1.オリゴヌクレオチドプライマーの設計戦略
本発明の切断構造物をシーケンシング、PCRするための、または調製するための具体的オリゴヌクレオチドプライマーの設計には、標的配列は認識できるが予想二次構造は最小である配列を選択することが含まれる。オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸配列中の単一部位にだけ結合する。更には、オリゴヌクレオチドのTmは、オリゴヌクレオチドの長さおよびGC含有量の分析によって最適化される。さらには、ゲノムDNAの増幅に有用なPCRプライマーを設計する際には、選択されたプライマー配列はGenBankデータベース(またはその他利用可能なデータベース)の配列と有意な一致を示さない。
プライマーの設計は、上記した複数のパラメータの評価およびプライマー配列の最適化を支援するために開発された、直ちに利用可能なコンピュータプログラムを用いることによって容易になる。このようなプログラムの例は、DNAStar(商標)ソフトウエアパッケージ(DNAStar,Inc.;Madison, WI)の「PrimerSelect」、OLIGO 4.0(National Biosciences, Inc.)、PRIMER、Oligonucleotide Selection Program、PGEN and Amplify(Ausubel et al., Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Edition, John Wiley & Sonsに記載されている)がある。一つの態様では、プライマーは、更なる増幅(例えばPCR産物をシーケンシングするため)の標的として働く、その端部に既知配列を有するPCR産物を生成するための別のプライマーを標的とする配列を用いて設計される。多くの異なる標的核酸配列を、共通「テイル配列」を共有する特異的プライマーを用いて増幅した場合は、これら異なる遺伝子からのPCR産物はその後単一セットのプライマーを用いてシーケンシングできる。
あるいはプライマーを、続く増幅した配列のクローニングを容易にするために、それらの5’端に制限酵素部位配列が追加されるように設計する。このようにプライマーの全てのヌクレオチドは、制限酵素部位を形成するのに必要な少数のヌクレオチドを除いて、標的核酸配列または標的核酸配列に隣接する配列に由来する。このような核酸配列のゲノム配列および標的核酸配列のオープンリーディングフレームの配列が既知であれば、具体的なプライマーの設計は当技術分野の技術水準内である。
オリゴヌクレオチドが特定の化学物質および/または捕獲成分を用いて合成でき、それらは固体支持物に結合できることは当業者に周知である。好適な捕獲成分としては、ビオチン、ハプテン、タンパク質、ヌクレオチド配列、または化学活性成分が挙げられるが、これらに限定されない。このようなオリゴヌクレオチドは、最初溶液で用いてから固体支持物に捕獲させても、または最初固体支持物に付着させてから検出反応液で用いてもよい。後者の例は、下流プローブ分子を、下流プローブの5’端が蛍光クエンチャーを含む様に固体支持物に結合させる方法である。同一の下流プローブ分子は更に、FENヌクレアーゼが物理的蛍光団からクエンチャーを分離するような場所に蛍光団を含むだろう。例えば、標的核酸は、固相の下流プローブオリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションでき、かつ液相の上流プライマーも標的分子とハイブリダイゼーションできれば、FEN切断反応は固体支持物上で起こり、複合体から5’クエンチャー成分が遊離する。こうなると固体支持物に結合した蛍光団は検出することができ、こうして好適に標識または識別された固体支持物の上で切断が起こったことが明示される。各種下流プローブ分子は、列を成す異なる場所に結合させることができる。列中の場所からプローブ分子は識別され、その場所はプローブ分子がハイブリダイゼーションできる鋳型の存在を示す。
2.合成
プライマーそれ自体は、同様に当技術分野で周知である技術を用いて合成される。特異配列のオリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野で知られており、例えば適当な配列のクローニングおよび制限酵素消化分析、ならびに直接化学合成が挙げられる。オリゴヌクレオチドは、一度設計が終われば好適な化学合成方法、例えばNarangeら、1979、Methods in Enzymology, 68:90が記載したホスホトリエステル法、Brownら、1979, Methods in Enzymology, 68:109が開示したホスホジエステル法、Beaucange et al., 1981, Tetrahedron Letters, 22:18959に開示されているジエチルホスホアミダート法、および米国特許第4,458,066号に開示されている固体支持体法を含む好適な化学合成法、あるいは市販の自動化オリゴヌクレオチド合成装置(市販されている)またはVLSIPS(商標)技術のいずれかを用いた他の化学的方法によって調製される。
C.プローブ
本発明は、本明細書に規定される標識化切断構造物の形成に有用なプローブを提供する。本発明の標識化切断構造物を調製する方法は、下記「切断構造物」の項に記載されている。
本明細書で使用する場合、用語「プローブ」は、プローブ中の少なくとも一つの配列と標的領域内の配列の相補性によって、標的核酸内の配列と二重鎖を形成する標識化されたオリゴヌクレオチドを指す。本発明で有用なプローブの長さは、好ましくは10〜50ヌクレオチドであり、より好ましくは16〜25ヌクレオチドである。プローブは、プライマーエクステンション中に用いられている配列と相補的な配列を含まないことが好ましい。一般的には、プローブの3’端は、プライマー伸長産物へプライマーの組み込みを阻止するために「ブロッキング」される。「ブロッキング」は、非相補的な塩基を用いるか、またはビオチンもしくはリン酸基のような化学成分を最後のヌクレオチドの3’ヒドロキシルに付加することによって達成できるが、それらは選択した成分によっては、標識物は、標識物が付いた核酸のその後の検出または捕獲するためのものとしても機能して、二重の役割を果たすこともある。ブロッキングは、3’−OHを除去すること、またはジデオキシヌクレオチドのような3’−OHを欠くヌクレオチドを用いることによっても達成できる。
これに加えて、本発明によれば、プローブはヘアピンまたはステムループのような二次構造を持つオリゴヌクレオチドでもよく、分子ビーコン、セーフティーピン、スコルピオン、およびサンライズ/アンプリフルオロプローブを含むが、これらに限定されない。
分子ビーコンプローブは、検出可能なシグナルの生成を抑制するように効果的に配置された、インタラクティブシグナルを生成する標識化成分のペア(例えば蛍光団とクエンチャー)を有するヘアピンまたはステムループ構造を含む。ループは、標的核酸に相補的である領域を含む。ループには、核酸標的配列に相補的なプローブの領域が標的核酸と結合していない時には、相補的な核酸配列によって互いが可逆的に相互作用する5’および3’領域がフランキングされている。
あるいは、ループには、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない時には、導入された親和性を持つ一組の部材によって互いが可逆的に相互作用して二次構造を形成する5’および3’領域(「アーム」)がフランキングされる。本明細書で使用する場合、「アーム」は、核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない時、相補的な核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域、あるいは核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない時に導入された親和性を持つ一組の部材によって互いが可逆的に相互作用して二次構造を形成するプローブの領域を指す。分子ビーコンプローブが標的とハイブリダイゼーションしていない時は、アームは互いにハイブリダイゼーションしてステムハイブリッドを形成するが、これは「ステムデュープレックス(stem duplex)」と呼ばれることがある。これは閉じられた立体構造である。分子ビーコンプローブがその標的にハイブリダイゼーションすると、プローブの「アーム」は離れる。これは開放された立体構造である。開放立体構造では、アームもまた標的にハイブリダイゼーションする。このようなプローブは溶液内で遊離した状態でも、固体表面に係留されていてもよい。アームがハイブリダイゼーションすると(例えばステムを形成すると)、クエンチャーは蛍光団に非常に接近して、その蛍光を効率的に消去または抑制し、プローブを暗くする。このようなプローブは、米国特許第5,925,517号および第6,037,130号に記載されている。
本明細書で使用する場合、「対立遺伝子識別」プローブである分子ビーコンプローブは、標的核酸相補配列と比較した時、内部に位置する1またはそれ以上のヌクレオチドミスマッチを含む標的類似核酸配列と十分にはハイブリダイゼーションせず、かくして標的類似核酸配列が存在する場合、対立遺伝子識別プローブが標的核酸配列へハイブリダイゼーションできる条件であっても開放立体構造に立体構造変換しない。別の態様では、分子ビーコンプローブは、標的核酸相補配列と比較した時、内部に位置する1またはそれ以上のヌクレオチドミスマッチを含む標的類似核酸配列と十分にハイブリダイゼーションし、標的類似核酸配列が存在する場合、対立遺伝子識別プローブが標的核酸配列へハイブリダイゼーションできる条件では開放立体構造に立体構造変換する。分子ビーコンプローブは、一方のアームに蛍光団を付けており、もう一方のアームにクエンチャーを付けている。蛍光団とクエンチャー、例えばテトラヒドロローダミンとDABCYLは、FRETのペアである必要はない。
本発明で有用なステムループプローブでは、標的と相補的であるプローブ配列の長さ、核酸標的配列と相補的な領域が標的核酸に結合していない時に相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域(例えばステムハイブリッド)の長さ、および両者の関係は、プローブが用いられるアッセイ条件に従って設計される。特定のアッセイ条件に関する標的相補配列およびステムハイブリッド配列の長さは、当技術分野で知られている事柄に従って推定できる。核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない時に相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域は、それぞれ6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチド、最も好ましくは8〜25ヌクレオチドの範囲である。標的に相補的なプローブ配列の長さは、好ましくは17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、最も好ましくは17〜25ヌクレオチド長である。相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域間の相互作用安定性は、通常の実験によって決定され、適切に機能させることができる。
本発明に従って修飾された分子ビーコンプローブのオリゴヌクレオチド配列は、DNA、RNA、cDNA、またはそれらの組み合わせでよい。修飾ヌクレオチド、例えばニトロピロールを基本とするヌクレオチド、または2’−O−メチルリボヌクレオチドを含めることもできる。本発明の波長シフトプライマーには修飾連結基も組み入れることもできる。
セーフティーピンプローブは、本発明で利用する場合には、ヘアピン構造を有し、そのヘアピンの5’アームには蛍光団(FAM)を、また3’アームにはクエンチャー(Dabcyl)がある「ユニバーサル」ヘアピンプローブ1(図10、b171)、および2つのドメインを含むステムループを備えたプローブ(図10、SP170a)を必要とする:プローブ2の5’側の2/3は、ヘアピンプローブ1に相補的な(ユニバーサル)配列、およびDNAポリメラーゼを停止させるヌクレオチドを有しており、且つプローブ2の3’側の1/3は標的特異的プライマーとして働く。リバースプライマー(即ちプローブ2の3’側の1/3)からプライミングしたポリメラーゼがトップ鎖を合成すると、プローブ2の5’端は置き換わられ、「停止ヌクレオチド」に到達するまで5’エクソヌクレアーゼ活性によって分解される。この時点で、プローブ2の残りの部分は開放または巻き戻されてヘアピンプローブ1の標的として機能するようになり、それによってクエンチャーから蛍光団を分離する(図10)。
スコルピオンプローブは、本発明で使用する場合は蛍光団/クエンチャーのペアを持つヘアピン構造を含む、5’側に伸長プローブテールを持つ3’プライマーを含む。プローブテールは、ポリメラーゼによるプローブの複製を阻止するヘキセチレングリコール(HEG)を含むことによって、5’から3’方向への複製から「保護」されている。最初の増幅ラウンド中、3’標的特異的プライマーは標的にアニーリングし、新たに合成された鎖の中にスコルピオンが組み入れられるようにして伸長し、これは5’プローブ向けに新たに合成された標的領域を有している。次の変性およびアニーリングのラウンドの最中、スコルピオンヘアピンループのプローブ領域は標的とハイブリダイゼーションし、それにより蛍光団とクエンチャーは分離され、測定可能なシグナルが創られる。このようなプローブは、Whitcombe et al., Nature Biotechnology 17:804〜807(1999)および図11に記載されている。
本発明において有用な更なるオリゴヌクレオチドプローブは、サンライズ/アンプリフルオロプローブである。サンライズ/アンプリフルオロプローブは、ヘアピンプローブ領域の5’から3’への複製を阻止するためのHEGモノマーを欠くこと以外はスコルピオンプローブに類似の構造体である。即ち、増幅の第一ラウンドでは、サンライズ/アンプリフルオロプローブの3’標的特異的プライマーは標的にアニーリングして伸長し、そうすることでアピンプローブを新規合成された鎖(サンライズ鎖)内に組み入れる。増幅の第二ラウンドでは、第二未標識プライマーがサンライズ鎖の3’端にアニーリングする(図12のサイクル2)。しかしながら、ポリメラーゼがヘアピンの5’端に到達すると、HEG停止配列を欠くためポリメラーゼはヘアピンを置き換えて複製し、そうして蛍光団とクエンチャーは分離し、直線化されたヘアピンプローブは新規鎖内に組み入れられる。このタイプのプローブは、Nazarneko et al., Nucleic Acid Res. 25:2516〜2521(1997)および図12に更に記載されている。
本発明で有用なプローブでは、標的と相補的であるプローブ配列の長さ、核酸標的配列に相補的な領域が標的核酸と結合していない時に、相補的核酸配列によって互いに可逆的相互作用するプローブの長さ、および両者の関係は、プローブを使用するアッセイ条件に従って設計される。特定のアッセイ条件に関する標的相補性配列およびステムハイブリッド配列の長さは、当技術分野で知られている事柄に従って推定できる。
核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない時に相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域は、それぞれ6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチド、最も好ましくは8〜25ヌクレオチドの範囲である。標的に相補的なプローブ配列の長さは、好ましくは17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、最も好ましくは17〜25ヌクレオチド長である。相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域間の相互作用安定性は、通常の実験によって決定され、適切に機能させることができる。長さ、相互作用の安定に加えて、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブ領域は、G−C含有量を変更すること、および脱安定化ミスマッチを挿入することによって調節できる。相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブ領域の一つは、標的と部分的または完全に相補的になるように設計できる。3’アームが標的と相補的であるならば、プローブはDNAポリメラーゼのプライマーとして働くことができる。また波長シフト分子ビーコンプローブは、係留等によって固体表面に固定化しても、自由に浮遊させることもできる。
本発明のプローブおよびプライマーには、広範囲の蛍光団を用いることができる。利用可能な蛍光団としては、クマリン、テトラクロロフルオロセイン、ヘキサクロロフルオロセイン、ルシファーイエロー、ローダミン、BDIPY、テトラメチルローダミ、Cy3、Cy5、Cy7、エオシン、テキサスレッド、およびROXが挙げられる。例えばLee et al.,(1997), Nucleic Acids Research 25:2818に記載されているフルオロセイン−ローダミンダイマーのような蛍光団の組み合わせも好適である。蛍光団は可視スペクトル、または紫外域または赤外域のような可視スペクトル外で吸収および放射するように選ぶことができる。
クエンチャーは、励起された蛍光団に非常に近接して置かれた時、蛍光が殆ど存在しないか、または全くなくなるようにする成分である。当技術分野で記載されている好適クエンチャーとしては、特にはDABCYLおよびDABSYLのようなその変種、DABMI、ならびにメチルレッドが挙げられる。蛍光団は、クエンチャーとしても用いることができるが、それは、それらが特定の他蛍光団と接触した時に蛍光を消去する蛍光にあるからである。好ましいクエンチャーは、DABCYLまたはマラカイトグリーンのような蛍光団か、プローブが開放立体構造を取る時に検出域の蛍光を発しない蛍光団である。
本発明のプローブを標識する方法および好適な標識体は、下記「切断構造物」と題する項に記載されている。
D.核酸の製造
本発明は、標的核酸配列の増幅および切断構造物形成のために、検出または測定される核酸を提供する。
本発明は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成形状、および混合重合体を含む核酸を利用する。本発明は、核酸のセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を含む。本発明によれば、核酸は化学的または生化学的に修飾でき、あるいは非天然または誘導化ヌクレオチド塩基を含んでよい。このような修飾としては、例えば標識体、メチル化、一つまたは複数の天然ヌクレオチドの類似体による置換、非荷電連結基(例えばメチルホスホナート、ホスホロジチオエート等)のようなヌクレオチド間修飾、ペンダント成分(例えばポリペプチド)、インタカレーター(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレーター、アルキレーター、および修飾連結基(例えばアルファアノマー核酸等)。水素結合および他化学的相互作用を介して、指定配列へのその結合能力についてポリヌクレオチドを模擬する合成分子も含まれる。このような分子は、当技術分野で知られており、例えば分子主鎖中のリン酸連結基に関するペプチド連結置換基が挙げられる。
1.DNAを含む核酸
a.クローニング
DNAを含む核酸は、cDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーから、当業者に周知のクローニング法によって単離できる。簡単に説明すると、特定の核酸配列を含むDNAクローンの単離では、組換え体DNAまたはcDNAライブラリーをスクリーニングすること、および所望配列を含むクローンを特定することを含む。クローニングは次の段階を含むだろう。特定ライブラリーのクローンをプレート上に広げられて、スクリーニングに相応しい基質に移され、変性されて、特定核酸の存在について探索される。ハイブリダイゼーション条件の既述、および標識化プローブの製造方法は以下に記載されている。
所望クローンは、核酸プローブへのハイブリダイゼーションによって、または抗体で検出できるタンパク質を発現させることによって同定するのが好ましい。あるいは、所望クローンは、以下に記載の方法従って、特定のプライマーセットによって規定される配列のポリメラーゼチェイン増幅により同定される。
適切なライブラリーの選択には、所望配列が豊富な供給源である組織または細胞株を同定することも含まれる。更には、関心対象の核酸が制御配列またはイントロン配列を含む場合には、ゲノムライブラリーをスクリーニングする(Ausubel et al.、上記)。
b.ゲノムDNA
発明の核酸配列は、ゲノムDNAから増幅される。ゲノムDNAは、以下の方法に従って組織または細胞から単離される。
特定組織から変異形態の遺伝子を検出し易くするために、組織は周囲の正常組織を含まないように単離される。哺乳動物組織からゲノムDNAを単離するためには、組織は細断され、液体窒素中で凍結される。凍結組織は、冷やしておいたモーターと乳棒を用いて微粉末に挽かれ、消化緩衝液(100mM NaCl、10mM Tris−HCl、pH8.0、25mM EDTA、pH8.0、0.5%(w/v)SDS、0.1mg/mlプロテイナーゼK)中に、組織100mg当たり1.2mlの消化酵素の割合になるよう懸濁される。哺乳動物の組織培養細胞からゲノムDNAを単離するには、細胞を5分間、500xgで遠心分離して沈殿させ、1〜10mlの氷冷PBS中に懸濁し、更に5分間、500xgで沈殿させてから、1容積量の消化緩衝液中に懸濁する。
消化緩衝液中のサンプルは50℃で12〜18時間インキュベーション(震盪しながら)してから、次に等容積のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出した。遠心分離段階(1700xgで10分間)後に相分離が起こらない場合は、更に等容積の消化緩衝液(プロテイナーゼKを含まない)を加えて、遠心分離段階を繰り返す。二つの相の界面に粘調の白色の物質が出現した時は、有機抽出段階を繰り返す。抽出後、上側の水相を新しいチューブに移し、これに1/2容積の7.5M酢酸アンモニウムと2容積量の100%エタノールを加える。1700xgで2分間遠心分離して核酸を沈殿させ、これを70%エタノールで洗浄し、風乾させてからTE緩衝液(10mM Tris−HCl、pH8.0、1mM EDTA、pH8.0)中に1mg/mlで再懸濁した。残存するRNAは、0.1%SDSおよび1μg/mlのDNaseフリーRNase存在下で1時間、サンプルを370Cでインキュベーションし、前記の抽出およびエタノール沈殿段階を繰り返すことで除去した。この方法によるゲノムDNAの収量は、約2mg DNA/1g細胞または組織と予想されている(Ausubel et al., 上記)。この方法に従って単離されたゲノムDNAは、本発明に従って、PCR分析に用いることができる。
c.制限酵素消化(cDNAまたはゲノムDNAの)
特定の標的核酸配列を含む所望のcDNAまたはゲノムクローンが同定できたら、本発明の核酸は、制限酵素を用いた消化によってこれらクローンから単離できる。
制限酵素消化の技術は当業者に周知である(Ausubel et al.、上記)。制限酵素消化に有用な試薬は、Stratageneを含む商業的供給元だけでなく他の供給元からも容易に入手できる。
d.PCR
本発明の核酸は、ゲノムDNAまたはその他天然供給源から、ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)により増幅できる。PCR法は当業者に周知である。
PCRは、熱安定なDNA依存性DNAポリメラーゼが触媒する複数サイクルのDNA複製を用いて特定のDNA配列を容易に増幅し、関心対象の標的配列を増幅するための方法を提供する。PCRは、増幅対象となる標的核酸配列の存在、増幅対象配列をフランキングする二つ単鎖オリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、緩衝液、および塩を必要とする。
PCRは、参照によりここに組み入れられるMullis and Faloona, 1987、Methods Enzymol., 155:335に記載されている通りに実施される。
ポリメラーゼチェインリアクション(PCR)技術は、米国特許第4,683,202号、第4,683,195号、および第4,800,159号に開示されている。その最も単純な形態では、PCRは、反対側の鎖にハイブリダイゼーションし、且つ標的DNA中の関心対象領域をフランキングする二つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、特異的DNA配列を酵素的に合成するin vitro法である。鋳型の変性、プライマーのアニーリング、およびアニーリングしたプライマーのDNAポリメラーゼによる伸長を含む反応段階シリーズを反復すると、その末端がプライマーの5’端によって規定されている特異的フラグメントが対数的に蓄積する。PCRは、特異的DNA配列を10倍にできると報告されている。PCR法は、Saiki et al., 1985, Science 230:1350にも記載されている。
PCRは、鋳型DNA(少なくとも1fg; 1〜100ngが有効)および少なくとも25pmolのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて実施される。
典型的な反応液は次のものを含む:DNA、2μl、オリゴヌクレオチドプライマー25pmol、好適な緩衝液2.5μl、1.25μM dNTP、0.4μl、Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)2.5単位、および合計容積25μlとなる量の脱イオン水。ミネラルオイルを重層し、PCRはプログラム可能なサーマルサイクラーを用いて実施される。
PCRサイクルの各段階の長さと温度、ならびにサイクル数は、実際の厳密性条件に従って調節される。アニーリングの温度とタイミングは、プライマーと鋳型の予想アニーリング効率および許容されるミスマッチの程度の両方によって決まる。プライマーアニーリング条件の厳密性を最適化する能力は、十分当業者の通常知識の範囲内である。30℃〜72℃の間のアニーリング温度が用いられる。鋳型分子の最初の変性は、通常は92〜99℃で4分間行われ、続いて変性(94〜99℃、15秒〜1分)、アニーリング(上記に従い決定された温度;1〜2分)、および伸長(72℃、1分)から成るサイクルが20〜40回続く。最後の伸長段階は、一般的には72℃で4分間実施され、それに4℃、無期限(0〜24時間)の段階を続けても良い。
標準的なPCR技術で一般的に用いられる検出方法は、ハイブリダイゼーションアッセイでは、増幅したDNAと一緒に標識プローブを用いる。好ましくは、プローブはハイブリダイゼーションを検出できるようにする、例えば32P、ビオチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)等で標識されている。
他の検出手段としては、断片長多形の利用(PCR FLP)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブへのハイブリダイゼーション(Saiki et al., 1986, Nature 324:163)、またはジデオキシ法によるダイレクトシーケンシング(クローン化DNAではなく増幅DNAを使用する)が挙げられる。標準のPCR技術は、二つのプライマーの間に位置するDNA配列を複製することによって(原則的に)機能し、反応の主要産物として、それぞれの鎖の5’端がプライマーで終止する、個別長のDNA配列を提供する。従って、プライマー間の挿入および欠失は、長さが異なる配列を産生することとなり、これはPCR−FLPでは産物のサイズを決定することによって検出できる。ASOハイブリダイゼーションの例では、増幅されたDNAはナイロンフィルター(例えばUV照射によって)に「ドットブロット」の列として固定され、HRPで標識されたオリゴヌクレオチドプローブと厳密条件の下でハイブリダイゼーションできるようになる。洗浄後、テラメチルベンジジン(terramethylbenzidine)(TMB)および過酸化水素を加えた:HRPは過酸化水素を酸化し、次にこれがTMBを青色の沈殿物に酸化してハイブリダイゼーションしたプローブを表す。
本発明による核酸アッセイを検出または測定するためのPCRアッセイは、「使用方法」と題した項に記載されている。
2.RNAを含む核酸
本発明は、RNAを含む核酸も提供する。
RNAを含む核酸は、当技術分野で周知である方法(Ausubel et al.、上記)に従って精製できる。全RNAは、当技術分野で周知である方法(Ausubel et al.、上記)および以下に記載する方法に従って細胞および組織から単離できる。
RNAは、以下の方法に従って哺乳動物組織から精製される。関心対象の組織を取り出した後、組織を≦2gの組織片に細断し、液体窒素中で急速凍結してRNAの分解を防ぐ。項適量のグアニジン溶液を添加し(例えば組織2g当たりグアニジン溶液20ml)、組織サンプルを組織処理装置(tissuemizer)内で、2または3回、10秒破裂させて粉にする。組織グアニジン溶液(1L)を調製するには、グアニジンイソチアオシアナート590.8gを約400mlnDEPC−処理HOに溶解する。2MのTris−HCl、pH7.5(最終濃度0.05M)25mlおよびNaEDTA(最終濃度0.01M)20mlを加え、溶液を一晩攪拌し、容積を950mlに調整し、2−MEを50ml加えた。
ホモジェナイゼーションした組織サンプルを12℃、12,000xg、10分間の遠心分離かかける。生じた上清は、0.1容積の20%Sarkosyl存在下で2分間、65℃でインキュベーションし、5.7MのCsCl溶液9mlの上に重層し、22℃、113,000xgの遠心分離に一晩かけて分離した。上清を注意しながら取り除いた後、チューブを逆さまにして水気を切る。チューブの底(RNA沈殿物を含んでいる)を50mlのプラスチック製チューブの中に入れて、組織再懸濁緩衝液(5mM EDTA、0,5%(v/v)Sarkosyl、5%(v/v)2−ME)3ml存在下に4℃で一晩(またはそれ以上)インキュベーションし、RNA沈殿物を完全に再懸濁させる。生じたRNA溶液を、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール25:24:1、クロロホルム/イソアミルアルコール24:1で連続して抽出し、3Mの酢酸ナトリウム、pH5.2および2.5倍容積の100%エタノールを加えて沈殿させ、DEPC水に再懸濁する(Chirgwin et al., 1979, Biochemistry, 18:5294)。
あるいは、RNAは哺乳動物組織から、以下の一段階プロトコールに従って単離される。関心対象組織を、ガラステフロン製ホモジェナイザー中、組織100mg当たり1mlの変性溶液(4Mグアニジンチオスルファート、25mMクエン酸ナトリウム、pH7.0、0.1M 2−ME、0.5%(v/v)N−ラウリルサルコシン)とホモジェナイゼーションして調製する。ホモジェネートを5mlのポリプロピレン製チューブに移した後、0.1ml の2M酢酸ナトリウム、pH4、1mlの水飽和フェノール、0.2mlのクロロホルム/イソアミルアルコール49:1を連続して加える。
各成分を加える毎にサンプルを混合し、全ての成分を添加し終わった後0〜4℃で15分間インキュベーションする。サンプルを10,000xg、4℃で20分間遠心分離して分離し、100%イソプロパノールを1ml加えて沈殿させ、−20℃で30分間インキュベーションし、10,000xg、4℃で10分間遠心分離して沈査を得た。得られたRNA沈査を0.3mlの変性溶液に溶解し、マイクロフュージチューブに移し、100%イソプロパノールを0.3ml加え−20℃で30分間置き、10,000xg、4℃で10分間遠心分離し沈殿させる。RNA沈査を70%エタノールで洗浄し、乾燥させ、100〜200μlのDEPC処理水またはDEPC処理0.5%SDS中に再懸濁する(Chomczynski and Sacchi, 1987, Anal. Biochem., 162:156)。
RNAを含む核酸は、in vitro転写法にしたがって産生できる。
in vitro転写法は当業者に周知である。簡単に説明すると、関心対象遺伝子はSP6、T3、またはT7プロモータを含むベクターに挿入される。ベクターは、ベクターをコーディング配列の下流に位置する単一部位で消化する適切な制限酵素を用いて直線化される。フェノール/クロロホルム抽出後、DNAはエタノール沈殿、70%エタノール洗浄、乾燥されて、無菌水に再懸濁される。in vitro転写反応は、直線化されたDNAを転写緩衝液(200mM Tris−HCl、pH8.0、40mM MgCl、10mMスペルミジン、250 NaCl[T7もしくはT3]、または200mM Tris−HCl、pH7.5、30mM MgCl、10mMスペルミジン[SP6])、ジチオスレイトール、RNase阻害剤、四種類のリボヌクレオシド三リン酸それぞれ、およびSP6、T7、またはT3 RNAポリメラーゼと共に30分間、37℃でインキュベーションして行う。RNAを含む放射性標識ポリヌクレオチドを調製するには、未標識のUTPを抜きとり、35S−UTPを反応混合液中に加える。次にDNaseIとインキュベーションしてDNA鋳型を除去する。エタノール沈殿後、放射性標識RNAの一部をシンチレーショカウンターで測定してcpm/μlを決定する(Ausubel et al.、上記)。
あるいは、RNAを含む核酸は、固相ホスホルアミダイトのような化学合成技術によって調製される(上記)。
3.オリゴヌクレオチドを含む核酸
オリゴヌクレオチドを含む核酸は、市販されているオリゴヌクレオチド合成装置を用いて作ることができる(上記)。
IV.切断構造物
発明は、FENヌクレアーゼにより切断できる切断構造物を提供し、それ故に切断構造物を調製する方法を教示する。発明はまた、標識化切断構造物および標識か切断構造物を調製する方法も提供する。
A.切断構造物の調製
一つの態様では、発明の切断構造物は:a)上流側、好ましくは伸長可能な3’端の、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)前記上流プライマーより下流側に5,000ヌクレオチドを越えないで位置するオリゴヌクレオチドプローブ、およびc)その中にある標的配列が前記両プライマーに相補的である適切な標的核酸配列、ならびにd)好適な緩衝液(例えばStratageneより入手できるSentinel Molecular Beacon PCRコア緩衝液(カタログ番号600500)または10X Pfu緩衝液(カタログ番号#200536)を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイゼーションできる条件(例えば95℃、2〜5分間に続いて約50〜60℃に冷却する)の下でインキュベーションすることによって形成される。
最適温度は、具体的なプローブ、プライマー、およびポリメラーゼに強く依存するだろう。発明の好ましい態様では切断構造物は重複するフラップを含むが、この場合標的核酸配列にハイブリダイゼーションできる上流オリゴヌクレオチドの3’端(例えば図3)は標的核酸配列とアニーリングする下流オリゴヌクレオチドの一つまたは複数の塩基対と相補的であり、且つ重複する一塩基対は単鎖フラップの伸長点の直ぐ下流にある。
上流オリゴヌクレオチドプライマーの3’端は、本発明によれば、ポリメラーゼの合成活性によって、上流オリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3’端が下流オリゴヌクレオチドプローブの5’を置き換えるように伸長される。伸長は、1X Sentinel Molecularビーコンコア緩衝液または1X Pfu緩衝液存在下で、72℃で15秒間実施されるのが好ましい。本発明の一つの態様では、本発明の切断構造物は、標的核酸配列を部分的相補性オリゴヌクレオチドプライマーとインキュベーションし、3’相補領域を標的核酸配列にアニーリングし、標的核酸配列とアニーリングしない非相補的な5’領域は5’フラップを形成させることで調製できる。アニーリングは、好適緩衝液存在下(例えば1X Sentinel Molecularビーコンコア緩衝液または1X Pfu緩衝液)で、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーへハイブリダイゼーションできるようにする条件(例えば95℃、2〜5分、続いて約50〜60℃に冷却する))にて実施するのが好ましい。
別の態様では、本発明の切断構造物は、標的核酸、3’側をブロックした上流オリゴヌクレオチド、および5’フラップを有する下流プローブをインキュベーションすることによって形成される。この態様は、本明細書全体を通して、特に実施例7〜13およびそれらに対応する図面に記載されている。
さらなる態様では、3’ブロック端部を有する上流プライマーは標的に対し、ブロックされたプライマーの3’端とプローブの5’端間の距離が0ヌクレオチドか、または「切れ目(nick)」が入る形で相補的である。
別の態様では、ブロックされたプライマーの3’端とプローブ5’端間の距離は1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、5、10、または15ヌクレオチド以上である。
本発明のこの局面によれば、ポリメラーゼにより伸長が不可能な(3’リン酸塩ブロックオリゴヌクレオチドのような3’側がブロックされたオリゴヌクレオチド)、重複のない上流オリゴヌクレオチドは、例えばFENのようなヌクレアーゼによって、5’フラップを容易に切断できる。
B.標識切断構造物を調製する方法
本発明では、標識物は切断構造物を含むオリゴヌクレオチドプライマーに取り付けられ、それによってプローブを形成する。このようにしてフラップ特異的ヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性によって切断された切断モノヌクレオチドまたは小ヌクレオチドを検出することができる。
本発明の標識化切断構造物は、a)上流に伸長可能な3’端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、b)上流プライマーより下流側に500ヌクレオチドを越えないで配置された標識化プローブ、およびc)その中の標的配列が前記両オリゴヌクレオチドに相補的である適切な標的核酸配列、ならびにd)好適な緩衝液(例えばSentinel Molecularビーコンコアコア緩衝液または10X Pfu緩衝液)を、核酸配列がオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイゼーションできる条件(例えば95℃、2〜5分間に続いて約50〜60℃に冷却する)の下でインキュベーションすることによって形成される。本発明の切断構造物は重複するフラップも含むが、この場合標的核酸配列にハイブリダイゼーションできる上流オリゴヌクレオチドの3’端(例えば図3のA)は、標的核酸配列とアニーリングする下流オリゴヌクレオチド(例えば図3のC)の一塩基対に相補的であり、且つ重複する一塩基対は単鎖フラップの伸長点の直ぐ下流にある。上流プライマーの3’端は、ポリメラーゼの合成活性によって、上流オリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3’端が下流プローブの標識化5’端を部分的に置換するように伸長する。伸長は、1X Sentinel Molecularビーコンコア緩衝液または1X Pfu緩衝液存在下で、72℃で15秒間実施されるのが好ましい。本発明の切断構造物は、標的核酸配列を、標的核酸配列とアニーリングせずに5’フラップを形成する非相補的な標識化5’領域および標的核酸配列にアニーリングする相補的な3’領域とを含むプローブとインキュベーションすることによって調製できる。
アニーリングは、好適緩衝液存在下(例えば1X Sentinel Molecularビーコンコア緩衝液または1X Pfu緩衝液)で、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーへハイブリダイゼーションできるようにする条件(例えば95℃、2〜5分、続いて約50〜60℃に冷却する))にて実施するのが好ましい。
引き続き複数あるストラテジーから任意のものを用いて、切断されていない標識化核酸をその切断フラグメントと識別する。このようにして本発明は、標的核酸配列を含むサンプルを識別する。
オリゴヌクレオチドプローブは、以下記載する様に、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、酵素学的、または化学的手段によって標識化される。標識物をオリゴヌクレオチドプローブに連結または共役させる方法は、当然使用する標識物のタイプおよびプローブ上の標識物の位置に依存する。好ましくは、プローブは5’端が標識化されるが、本発明の特定の態様では、3’端が標識化されたか、またはプローブの全長にわたって標識化されたプローブも有用である。
本発明での使用に適する各種標識物、ならびにそれらをプローブ内に組み込む方法は当技術分野で知られており、互いに相互作用してシグナルを高める、変化させる、または減衰させる酵素(例えばアルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼ)と酵素基質、放射活性原子、蛍光色素、発色団、化学発光標識物、Origen(商標)(Igen)のような電気化学発光標識物が挙げられるが、これらに限定されない。もちろん標識化分子をサーマルサイクラー装置を用いて実施するPCRベースのアッセイに用いるのであれば、標識物はこの自動化工程に必要な温度サイクルに耐えられるものでなければならない。
放射活性原子の中では33Pまたは32Pが好ましい。33Pまたは32Pを核酸内に導入するための方法は当技術分野で知られており、例えばキナーゼによる5’標識化、またはニックトランスレーションによる無秩序な挿入が挙げられる。「特異的結合パートナー」は、例えば抗原とそれに対し特異的なモノクローナル抗体の例のような、高い特異性でリガンド分子を結合できるタンパク質を指す。他の特異的結合パートナーとしては、ビオチンとアビジンもしくはストレプトアビジン、IgGとプロテインA、および当技術分野で知られている数多くの受容体−リガンドの組み合わせが挙げられる。上記は、各種標識物を明瞭な分類にカテゴリー化することを意味しておらず、同一の標識物は様々な様態で利用できる。例えば、125Iは、放射活性標識物としても、または高電子密度作用物質として役立てることができる。HRPは、酵素として、またはモノクローナル抗体の抗原として役立てることができる。更には、様々な標識物を所望する効果に合わせて組み合わせることもできる。
例えば、プローブをビオチンで標識し、プローブの存在を125Iで標識したアビジン、またはHRPで標識した抗−ビオチンモノクローナル抗体で検出することができるだろう。他の組み合わせおよび可能性は、当業者には容易に明らかになるものであり、本発明の範囲内の均等物と考えられる。
本発明の標識化プローブの構築において標識物として用いられる蛍光団としては、ローダミンとその誘導体(テキサスレッドのような)、フルオロセインとその誘導体(5−ブロモメチルフルオロセイン)、ルシファーイエロー、IAEDANS、7−MeN−クマリン−4−アセタート、7−OH−4−CH−クマリン−3−アセタート、7−NH−4−CH−クマリン−3−アセタート(AMCA)、モノブロモビマン、カスケードブルーのようなピレントリスルフォナート、およびモノブロモリメチル−アンモニオビマンが挙げられる。一般的には、モノクロモメーターよりはフィルターの付いた蛍光測定器を使用可能にして、検出の効率を上げるために、広いストロークシフトを持つ蛍光団が好ましい。
蛍光団で標識されたプローブは、本発明の標識化プローブを含む切断構造物のFENを介した切断に容易に使用できる。標識物がプローブの5’単に在る場合は、FENが生成する標識化フラグメントは、当技術分野で周知な手順によって無傷のハイブリダイゼーションしたプローブと分離される。次に遊離された標識物の蛍光を標的に結合したままの標識物の蛍光と比較する。プローブが、通常5’端に蛍光団を付け、通常色素より約20ヌクレオチド下流にクエンチャーを付けて合成されている場合には、FEN存在下で切断した後にFEN生成フラグメントと標的に結合したままのプローブを分離する必要はない。このような二重標識プローブは、無傷時には、クエンチャーによって色素からの放射光が消去されているため蛍光を発しない。かくして無傷のプローブから放射された蛍光は、バックグランド蛍光と見なされる。標識化プローブがFENヌクレアーゼで切断されると、色素とクエンチャーは分離して、遊離されたフラグメントは蛍光を発する様になる。蛍光の量は、サンプル中に存在する核酸標的配列の量に比例する。
いくつかの状況では、オリゴヌクレオチド上の標識物間の間隔が適切に維持されるよう配慮しながら、二つの相互作用する標識物を単一のオリゴヌクレオチド上に用いて、オリゴヌクレオチドが加水分解される間に標識物が分離するようにできる。発明の有用な好ましい相互作用標識物としては、ローダミンとその誘導体、フルオロセイン(FAM)とその誘導体、テキサスレッド、クマリンとその誘導体、クリスタルバイオレットが挙げられるが、これらに限定されず、ならびにDABCYL、TAMRA、およびNTB(ニトロチアゾールブルー)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の別の態様では、加水分化された標識化プローブは、例えば分子振動に基づいて巨大分子と小分子を区別する技術である蛍光偏向を用いて検出できる。巨大分子(即ち無傷の標識化プローブ)は、溶液中では小分子よりもはるかにゆっくり振動している。関心対象分子へ蛍光成分を連結させると(例えば標識化プローブの5’端)、この蛍光成分を分子振動に基づいて測定(および区別)でき、それによって無傷のプローブと消化されたプローブを区別できる。
更に別の態様では、二重鎖の標的配列の各鎖の別々の領域に対してそれぞれが相補的であり、且つお互いは相補的でない二つの標識化核酸を用いて、標識化された核酸を各プライマーの下流にアニーリングさせる。例えば、二つのプローブの存在は、単一の標識物が生成するシグナルの強度を倍加できる可能性があり、さらにはPCR増幅時にしばしば起こる、産生された鎖が再アニーリングするのを減らすこともできる。プローブは、プライマーが結合する位置の近く(下流)の位置にプローブが結合するように選択する。
本発明では複数のプローブを用いて他の便益を達成することもできる。例えば、所望数のプローブを反応混合液にただ加えることによって、サンプル中の任意数の病原体につい試験することができる;プローブは、それぞれが検出を容易にする、異なる標識物を含んでいる。
また、本発明に複数のプローブを使用することによって、例えば異なるTmを有するプローブを用い、ある一種類のプローブ/対立遺伝子二重鎖に特異的な温度でアニーリング/切断反応を実施することによって、対立遺伝子特異的または種特異的に識別することもできる。また、単一プローブのみを用い、生成された切断生成物のタイプを検査することによって、対立遺伝子特異的な識別を行うこともできる。発明のこの態様では、プローブは、少なくとも5’末端領域については、一つの対立遺伝子に完全に相補的になり、もう一方の対立遺伝子には相補的でないように設計される。目的以外の対立遺伝子については、プローブはその5’末端領域にミスマッチを有することとなり、プローブが完全に相補的な対立遺伝子にハイブリダイゼーションした時に生成される切断産物とは異なる切断産物が生成される。
プローブ配列は、重要な便益を達成できるように選択できるが、プローブ標識物の選択によっても重要な便益を実現できる。標識物は、様々な技術によってオリゴヌクレオチドに直接または間接的に取り付けることができる。使用する標識物の正確なタイプに依存して、標識物はプローブの5’または3’端に配置すること、プローブの内部に配置すること、または各種サイズおよび組成のスペーサーアームに取付けてシグナル相互作用を促進することができる。
市販されているホスホルアミダイト試薬を用いて、適切に保護されたホスホルアミダイト試薬を介して5−または3−末端のいずれかに保護官能基(例えばチオールまたは一次アミン)を含むオリゴマーを産生することができ、またそれらを、例えばPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Innis et al., eds. Academic Press, Ind., 1990に記載されているプロトコールを用いて標識できる。
オリゴヌクレオチド官能化試薬を導入して、オリゴヌクレオチドプローブ配列内、典型的には5’末端に、一つまたは複数のスルフヒドリル、アミノ、またはヒドロキシ成分を導入するための方法は、米国特許第4,914,210号に記載されている。5’リン酸基は、ポリヌクレオチドキナーゼおよびガンマ−32P−ATPまたはガンマ−33P−ATPを用いて放射性同位元素として導入し、レポーター基を提供することができる。ビオチンは、合成時に導入したアミノチミジン残基、または6−アミノヘキシル残基をビオチンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることによって5’端に付加することができる。3’末端の標識物は、ポリヌクレオチドターミナルトランスフェラーゼを用いて、例えばコルジセピン35S−dATP、およびビオチン化dUTPのような所望成分を付加できる。オリゴヌクレオチド誘導体も利用可能な標識物である。例えば、エテノ−dAおよびエテノ−Aは、核酸プローブに組み入れることができる既知の蛍光アデニンヌクレオチドである。同様に、エテノ−dCまたは2−アミノプリンデオキシリボシドは、プローブ合成に用いることができる他の類似体である。このようなヌクレオチド誘導体を含んだプローブは、加水分解されると、フラップ特異的ヌクレアーゼ活性によって遙かに強力な蛍光モノヌクレオチドを遊離する。
蛍光団/クエンチャーのペアの配置
上記した様に、本発明の一つの態様では、蛍光団/クエンチャーのペアで二重標識されている下流プローブの使用を熟考する。標識化プローブがFENヌクレアーゼ(または本書記載の他のヌクレアーゼ)によって切断されると、蛍光団とクエンチャーは分離し、残ったフラグメントが蛍光を発する様になる。下流プローブ上の蛍光団とクエンチャーの位置は、5’フラップの侵襲的および非侵襲的な切断を識別するように特に選択できることが熟考される。当業者は、レポーター分子の配置に関する以下の開示が、蛍光団/クエンチャーのペアに関して記載されているものの、これがこの特定のレポーターシステムに限定されないことを認識するだろう。以下に記載するレポーター分子の配置は、他のレポーターシステム、例えばインターカレート色素にも応用でき、この場合は、特定位置でのプローブの切断によって色素シグナルの消去が起こるだろう。
以下に記載する配置の概略は、相互作用するレポーター分子を含む任意のレポーターシステムにも使用でき、この時分子の相互作用は下流プローブの非相補的部分の切断によって中断される。
Pfu FENは上流オリゴヌクレオチドの3’端に対し、下流(「プローブ」)オリゴヌクレオチドを単一位置で優先的に切断する。例えば、標的にハイブリダイゼーションしている下流プローブのヌクレオチドが、ヌクレオチド+1〜+Xで定義されたとすると、+1がプローブのハイブリダイゼーション領域の5’部分の端部であり、+Xがプローブのハイブリダイゼーション領域の3’端となる(Xは下流プローブのハイブリダイゼーションしている残基の数に等しい)。上流オリゴヌクレオチドが下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域と当重複しないが、下流オリゴヌクレオチドと境を接しており、この二つのオリゴヌクレオチドの間には一つの切れ目だけが存在している場合、FENは下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域の位置+1と+2の間を切断する。もし上流オリゴヌクレオチドが、プローブのハイブリダイゼーション領域の5’端と重複する3’塩基を一つ有しており、この3’塩基位置で標的とハイブリダイゼーションするとすれば、プローブの切断は下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域の位置+2と+3の間で起こる。かくして、もし上流オリゴヌクレオチドの3’端がプローブのハイブリダイゼーション領域とヌクレオチドN個分重複しており、上流オリゴヌクレオチドの3’端の重複領域が標的とこの領域でハイブリダイゼーションするのであれば、切断はプローブのハイブリダイゼーション領域の位置+(N+1)と*(N+2)の間で起こる。
かくして、下流プローブが予備形成された、ハイブリダイゼーションしていない5’端(「5’フラップ」)を有している場合、切断はプローブのハイブリダイゼーション領域の位置+(N+1)と+(N+2)の間で起こり、プローブのハイブリダイゼーション領域からは5’フラップが遊離されるが、上流オリゴヌクレオチドが下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域と境を接している場合には、二つのオリゴヌクレオチド間には切れ目だけが残り、切断は下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域の位置+1と+2の間で起こり、プローブの5’フラップが遊離されるだろう;5’フラップは、その3’端にプローブのハイブリダイゼーション領域の5’端に由来するヌクレオチドを一つ持つだろう。上流オリゴヌクレオチドがその3’端に一つの塩基を含み、それが下流オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション領域と重複している場合は、切断はプローブの+2と+3の間で起こり、5’フラップが遊離されて、その3’端にある二つの塩基は、プローブの先頭二つのハイブリダイゼーション塩基に由来するだろう。
従って、蛍光団のようなレポーター基をプローブのハイブリダイゼーション領域の塩基+2に取り付け、クエンチャーを5’フラップ内の塩基に取り付けると、位置+2の下流の切断によってクエンチャーが遊離されるが、レポーター基は同じ核酸分子に結合したままである。しかしながら、切断がプローブの位置+2の上流でおこったとすると(即ち+1と+2の間)、+2の塩基に在ったレポーターはフラップ上に配置されたクエンチャーから分離する。位置+2の上流で切断が起こった場合にも同じことが起こるが、上流プローブには下流プローブのハイブリダイゼーション領域と重複する部分がなくなる。かくして、上流オリゴヌクレオチドが標的と相補的であり且つ下流オリゴヌクレオチドの粗補的部分と重複する3’部分を持つ侵襲的切断構造物では、位置+2の下流で切断が起こり、位置+2に配置されたレポーター基と5’フラップ中に配置されたクエンチャーが物理的に分離することはない。侵襲的切断構造物から生ずる切断事象については検出されないが、非侵襲的接眼構造体から生じた切断事象は検出可能である。かくして、下流プローブのハイブリダイゼーション/相補的部分の位置+2でのレポーター分子の置換によって、侵襲的切断と非侵襲的切断とを区別することができる。このように本発明の一つの態様では、下流プライマーの相補的部分の位置+2に於けるレポーター分子(例えば蛍光団)の置換を熟考する。蛍光団/クエンチャーのペアの配置を逆転させ、蛍光団を5’フラップに、クエンチャーを下流プローブの相補的部分の位置+2に配置することも熟考される。
本発明はまた、一部は、プローブの位置+3または+9でのレポーター分子(例えばFAM(フルオロセイン)のような蛍光団であるが、これに限定されない)の置換が、それぞれプローブの位置+3と+4、または位置+9と+10の間での切断を起こさなくするという発見にも基づいている。従って、位置+2に蛍光団(例えばFAM)を有するプローブは、位置+2と+3の間で切断できず、その結果3’重複塩基を一つだけ持つ上流オリゴヌクレオチドは位置+2と+3の間でプローブの切断を起こすことが出来なくなり、一方重複領域を持たず、切れ目だけを持つ上流オリゴヌクレオチドは+1と+2の間で切断でき、これによって5’フラップ上に在るクエンチャーからレポーター基が分離する。
かくしてプローブのハイブリダイゼーション領域の塩基+2に取り付けられたFAMによるプローブの切断によって生み出されるシグナルは、非侵襲性切断構造物からのみ生じ、侵襲性切断構造物からは生じない。更には、相補領域の+2位置に蛍光団(例えばFAM)が取り付けられているプローブからの5’フラップの切断は、フラップの3’端に取り付けられた相補領域の5’端からの3’塩基を一つ、または三つの3’塩基を持つ切断フラップを生じる。このようなフラップは、5’フラップに付いたままの二つの3’塩基を生ずる切断構造物は、プローブの+2塩基上に在る蛍光団によってFENが封鎖されるために切断されないことから、その3’端に取り付けられた塩基をきっかり二つ持つことはできない。
従って、発明は塩基+2に蛍光団を有し、位置+1の上流にクエンチャーを有し、非侵襲性切断構造物からのみシグナルを発生させ、侵襲性切断構造物からは発生させない下流プローブの使用を熟慮する。
C.切断構造物の切断およびシグナルの発生
本発明の切断構造物は、「FENヌクレアーゼ」と題した上記の項に記載した方法によって切断できる。
D.遊離(release)された標識化フラグメントの検出
標識化フラグメントの検出または検証は、当技術分野で周知の様々な方法によって達成でき、それは標識化切断構造物を含む一つまたは複数の標識化成分の特徴に依存するだろう。
本発明の一つの態様では、反応産物は、遊離された標識化フラグメントを含め、サイズ分析に供される。標識化フラグメントのサイズを決定する方法は、当技術分野で知られており、例えばゲル電気泳動、勾配沈殿、ゲル排除クロマトグラフィー、質量分析分析装置、およびホモクロマトグラフィーが挙げられる。
増幅中または増幅後、遊離(release)された標識化フラグメントを、例えばPCR混合物から分離することは、例えばPCRを固相抽出物(SPE)と接触させることによって達成できる。例えば、サイズ、電荷、または核酸塩基との相互作用に基づく核酸結合能力を持つ物質はPCR混合液に、標識化された、未設団の核酸は結合するが、短い、標識化フラグメントは結合しない条件の下で加えることができる。このようなSPE材料としては、市販の結合微粒子Nensorb(DuPont Chemical Co.)、Nucleogen(The Nest Group)、PEI、BakerBond(商標)PEI、Amicon PAE 1,000、Selectacel(商標)PEI、3’リボースプローブ付きBoronate SPE、プローブの3’端に相補的な配列を含有するSPE、およびヒドロキシアパタイトのようなイオン交換樹脂またはビーズが挙げられる。特定の態様では、ヌクレアーゼ感受性切断部位によって5’標識物から分離した3’ビオチン標識物を含む二重標識化オリゴヌクレオチドをシグナル手段に用いる場合は、反応混合液、例えばPCR増幅混合液をアビジンもしくはストレプトアビジン、またはビオチンに対する抗体もしくはモノクローナル抗体と接触させることができる。このような物質としては、特異的結合パートナーでコーティングされたビーズまたは微粒子が挙げられ、また磁性微粒子も挙げることができる。
反応混合液、例えばPCR混合液をSPEと接触させる段階の後、SPE物質は濾過、沈殿、または磁気引力によって取り除いて、切断されていない標識化オリゴヌクレオチドを含まない標識化フラグメントを得て、検出に利用することができる。
IV.使用方法
本発明は、標的核酸配列を核酸ポリメラーゼとインキュベーションすることによって標識化切断構造物を形成する段階、および切断構造物をヌクレアーセで切断する段階を含む、サンプル中の標的核酸配列の存在を指示するシグナルを生成する方法を提供する。本発明の方法は、以下記載のPCRを基本とするアッセイに用いることができる。
上流オリゴヌクレオチドプライマー(例えばA、図3)、5’端標識化下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えば図3のC)、および標的核酸配列(例えば図3のB)を含む標識化切断構造物は、「切断構造物」と題する上項に記載したように形成される。
簡単に説明すれば、切断構造物は、PCR反応液中に標的核酸配列、上流プライマー(例えばA、図3)、標識化下流プローブ(例えばC、図3)、標的核酸配列に特異的な増幅プライマー、5’から3’方向のエクソヌクレアーゼ活性を欠失した核酸ポリメラーゼ、FENヌクレアーゼ、および適切な緩衝液(例えば10X Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)存在させ、以下のサーモサイクルパラメータによって形成および切断される:95℃2分間、ならびに95℃15秒間(変性段階)、60℃60秒間(アニーリング段階)および72℃15秒間(伸長段階)のサイクル40回。この反応の間、上流オリゴヌクレオチド(例えばA、図3)は、各オリゴヌクレオチドAは、標的核酸配列にアニーリングする下流オリゴヌクレオチド(例えばオリゴヌクレオチドC、図3)の5’標識化端を一部置換するようにして伸長し、生じた標識化構造物は本発明に従ってFENヌクレアーゼで切断される。
本発明の方法は、標的核酸配列を検出するPCRを基本としない応用にも用いることができる。幾つかの態様では、固体支持物上に固定できる。核酸配列を固体支持物に固定化する方法は当技術分野で知られており、Ausubel FM et al. Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc.ならびにメーカーが提供するプロトコール、例えば膜については:Pall Corporation、Schleicher & Schuell、例えば磁性ビーズについては:Dynal、例えば培養プレートについては:Costar、Nalgenunc、および本発明に有用な他の支持物については、CPG, Inc.が提供するプロトコールに記載されている。本発明に有用な固体支持物としては、シリカを基礎とするマトリックス、膜を基礎とするマトリックス、およびスチレン、ラテックス、もしくはシリカを基本とする材料、および他のポリマーを含むが、これに限定されない表面を具備するビーズが挙げられるが、これらに限定されない。磁性ビーズも本発明に有用である。固体支持物は上記製造元、および他の既知製造元から得ることができる。
本発明はまた、溶液中の標的核酸配列を検出するための、PCRを基本としないアッセイも提供する。本発明の方法は、細胞、組織、単細胞生物、細菌、またはウイルスから単離および精製されたRNAおよびDNAを含むが、これらに限定されない溶液中に在る天然由来の標的核酸配列を検出するのに用いることができる。本発明の方法は、RNAまたはDNAオリゴヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)を含むがこれに限定されない、溶液中の合成標的を検出するのにも用いることができる。非PCRアッセイとしては、3’−5’合成活性によって合成される核酸の量が直線的または対数的に増加する、等温での直線的または対数的増幅が関係し、FENヌクレアーゼを用いて合成中に置換鎖が切断される検出アッセイが挙げられるが、これに限定されない。
このような例の一つは、ローリングサイクル増幅を利用する。
固定化されているか、または溶液中に存在している核酸標的配列は、固定化された核酸標的配列または溶液中に在る標的核酸配列を、標的核酸配列に相補的な上流オリゴヌクレオチドプライマー(例えばA、図3)および標的核酸配列に相補的な下流オリゴヌクレオチドプローブ(例えばC、図3)、FENヌクレアーゼ、ならびに5’から3’方向のエクソヌクレアーゼ活性を欠失した核酸ポリメラーゼとインキュベーションすることに検出できる。下流プローブは、5’端または3’端のいずれかを標識するか、またはその内部を標識化する。遊離された標識化フラグメントの検出には、プローブ内に組み入れられている特異的標識物に在った放射性同位元素、酵素、または発色による方法を用いる。本発明に有用な標識物および本発明に有用な標識物を検出する方法は、「切断構造物」と題した項に記載されている。あるいは、下流プローブは、プローブが無傷の時には検出可能なシグナルの発生が消去されるように配置された、相互作用してシグナルを発生させる標識化成分のペア(例えば色素とクエンチャー)を含み、この場合相互作用してシグナルを発生させる成分のペアはFENヌクレアーゼ切断部位で分離する。FENヌクレアーゼによって切断されると、二つのシグナル発生成分はそれぞれ分離し、検出可能なシグナルが作られる。本発明の方法による、固定化された核酸標的配列または溶液中の核酸標的配列の検出に有用な核酸ポリメラーゼとしては、5’から3’へのエクソヌクレアーゼ活性を欠失した中温性、好熱性、または超高熱性DNAポリメラーゼ(「核酸ポリメラーゼ」と題した項に記載されている)があげられる。
このPCRを基本としない方法では、検出可能な標的核酸配列の量は、好ましくは約1pg〜1μg、より好ましくは約1pgから10ng、最も好ましくは約1pgから10pgである。あるいは、このPCRを基本としない方法は、好ましくは約1分子〜1020分子、より好ましくは約100分子から1017分子、および最も好ましくは約100分子から1014分子を測定または検出できる。
発明はまた、3’がブロッキングされた上流オリゴヌクレオチドを用いて標的核酸を検出する方法も提供する。このような態様は、本明細書の全体を通して、特に実施例7〜13に記載されている。
更なる態様では、本発明は、5’フラップ付きプローブ(例えば、同時係属中の特許出願USSN60/688,798に記載されているような重要プローブ)が標的配列に相補的である領域と重複しない、3’がブロッキングされた上流オリゴヌクレオチド存在下での、Fenヌクレアーゼによる5’非相補的フラップの切断を熟慮する。
図20のデータは、プローブの3’端がブロッキングされている場合、5’フラップの効率的切断がこのような重複が無い状態で起こることを証明している。
3’ブロッキング端を有する上流プライマーが標的に対し、ブロッキングプライマーの3’端とプローブの5’端間の距離が0ヌクレオチドであるか、「切れ目」が入る形で相補的であることが好ましい。別の態様では、ブロッキングされたプライマーの3’端とプローブの5’端間の距離は、1ヌクレオチド、2ヌクレオチド、5、10、または15ヌクレオチド以上である。
本発明のこの局面によれば、ポリメラーゼによる伸長が不可能である(3’リン酸塩ブロックオリゴヌクレオチドのような3’側がブロックされたオリゴヌクレオチド)重複のない上流オリゴヌクレオチドは、例えばFENのようなヌクレアーゼによって、5’フラップを容易に切断できる。
一つの態様では、切断反応は、PCRプライマーをアニーリングする前のPCR反応冷却期中に5’−フラップ付きプローブの切断が起こるような、PCRプライマーの融解温度より高い温度で実施されるのが好ましい。即ち、PCR反応液を摂氏95度から冷却する時、5’フラップ付きプローブおよびブロッキングオリゴヌクレオチドの標的へのアニーリングは、PCRプライマーが標的にアニーリングする温度より高い温度で起こるのが好ましい。これにより切断酵素(FEN)は、ポリメラーゼによるPCRプライマーの伸長が起こる前にプローブを切断できる。切断後、反応液を更に冷却することができ、そうしてPCRプライマーをアニーリングさせ、ポリメラーゼによって伸長させることができる。
本発明は、切断構造物を「切断構造物」と題する項の記載に従い形成し、標的核酸配列を、例えばローリングサイクル、Self−sustained Sequence Replication Amplification(3SR)、Transcription based amplification system(TAS)、およびStrand Displacement Amplification(SDA)のような等温法、ならびに例えばLigation chain reaction(LCR)を含むが、これらに限定されないPCRを基本としない方法で増幅する、サンプル中の標的核酸配列を検出する方法も提供する。非PCR増幅法に有用なFENヌクレアーゼは、用いる具体的な増幅方法にとって適切な温度範囲内で活性であろう。
以下に記載する増幅プロトコールでは、標的を定量化するために必要なサンプルとしては:サンプル、鋳型以外のコントロール、および標準曲線調製用の反応物(一定量の標的を含む溶液の、6桁の範囲の希釈液を含む)が挙げられる。
Strand Displacement Amplifiation(SDA)は、未修飾鎖にヘミホスホロチオエート型のその認識部位に切れ目を入れる制限酵素の能力に基づく。適切なDNAポリメラーゼは、この切れ目で複製を開始し、下流の鋳型以外の鎖をちかんする(Walker, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:392およびPCR Methods and Applications 3:1−6, 1993)。SDA法に従い用いられるポリメラーゼ(BcaおよびBst)は、本発明によるFEN利用の切断にも用いることができる。本発明の方法によれば、分子ビーコンは、420CでFENヌクレアーゼ活性によって、本発明の切断構造物を含む切断可能なプローブによって置き換えられる。 分子ビーコン(Mb)は、溶液中でステムループ構造を形成する蛍光性プローブである。典型例:5’−蛍光色素(例えばFAM)、5’ステム領域に取付け、ループ領域(標的に相補的、20〜30nt)、3’−ステム領域(5’ステム領域に相補的)、およびクエンチャー(例えばDABCYL)。標的が存在しない場合には、MBは色素とクエンチャーを近接させたステムを形成し、その結果蛍光は発せられない。MBがその標的に結合すると、ステムは開き、色素はクエンチャーから空間的に分離し、その結果プローブは蛍光を発する(Tyagi S and Kramer FR, Nature Biotechnology 14:303−308 (1996)および米国特許第5,925,517号)。Strand Displacement Amplifiation(SDA)は基本的には、Spargo et al., Molecular and Cellular Probes 10:247−256(1996)が記載するようにして実施される。使用する酵素としては、エンドヌクレアーゼBsoBI(New England Biolabs)、DNAポリメラーゼ5’エクソ−Bca(Pan Vera Corporation)が挙げられる。標的はMycobacterium tubeculosis(Mtb)ゲノムに見出された挿入類似エレメント(IS6110)である。使用するプライマーはB1:cgatcgagcaagcca(配列番号4)、B2:cgagccgctcgctg(配列番号5)、S1:accgcatcgaatgcatgtctcgggtaaggcgtactcgacc(配列番号7)である。Mycobacterium tubeculosisのゲノムDNAをヒト胎盤DNA中に連続希釈する。SDAは0〜1000Mtbゲノム当量、500ngのヒト胎盤DNA、160単位のBsoB1、8単位の5’エクソ−Bca、dCTPアルファS、TTP、dGTP、dATPを各1.4mM、35mM KPO pH7.6、0.1mg/mlのアセチル化ウシ血清アルブミン(BSA)、3mM Tris−HCl、10mM MgCl、11mM NaCl、0.3mM DIT、4mM KCl、4%グリセロール、0.008mM EDTA、500nMプライマーS1およびS2、ならびに50nM プライマーB1およびB2(KCl、グリセロール、およびEDTAはBsoB1保存溶液から得られる)を含有するサンプル50ulで実施する。
サンプル(35μl)は沸騰水槽中で3分間加熱してから、BsoB1および5’エクソBca(15μlのNew England Biolabs緩衝液2(20mM Tris−HCl pH7.9、10mM MgCl2、50mM NaCl、1mM DTT)中に存在する10.7単位/μl BsoB1および0.53単位/μl5’エクソBca)を加えた。インキュベーションは、60℃で15分間、続いて沸騰水槽中で5分間行う。
各サンプル5μlを検出用として二回に取り出す。各反応液は、1X Cloned Pfu緩衝液、3.0mM MgCl2、各dNTPを200uM、5単位のエクソPfu、Pfu FEN−1を23ng、PEFを1ng、上流プライマー:aaggcgtactcgacctgaaa(配列番号8)と蛍光プローブ(例えばFAM−DABCYL):accatacggataggggatctc(配列番号9)をそれぞれ300nM含有している。反応液は、サーマルサイクラーで:95℃2分間、55℃1分間、72℃1分間のサイクルに1回かけられる。次にStratagene社製FluorTrackerまたはプレート読み取りモードにしたPE Biosystems社製7700 Sequence Detection Systemのような蛍光プレート読み取り機を用いて蛍光を測定する。
核酸配列ベースの増幅法(NASBA)によれば、分子ビーコンはNASBA RNAアンプリコンを定量化するリアルタイム分析に用いられる(Leone, et al/. 1998, Nucleic Acids Res. 26:2150)。本発明の方法によると、NASBAは分子ビーコンプローブを本発明の切断構造物を含むFENヌクレアーゼ切断可能なプローブで置換えて実施でき、FENヌクレアーゼは41℃で活性である。
NASBA増幅は、本質的にはLeone G, et al., Nucleic Acid Res. 26:2150−2155(1998)が記載したように実施される。ジャガイモ葉巻病ウイルス(PLRV)由来のゲノムRNAは、PD415またはPD416(アンチセンス)プライマーとPD417(センス)プライマーを用いて増幅されるが、これらはLeone G et al., J. Virol. Methods 66:19−27 (1997)に詳細が記載されている。各NASBA反応溶液は、無菌水6μl、5X NASBA緩衝液(5X NASBA緩衝液は、200mM Tris−HCl、pH8.5、60mM MgCl、350mM KCl、2.5mM DTT、各dNTPを5mM、ATP、UTP、およびCptを各10mMとGTPを7.5mM、ならびにITPを2.5mMを含む)4μl、5Xプライマーミックス(75%DMSOおよびアンチセンスプライマーとセンスプライマーを各1μM)のプレミックスを含有する。前記プレミックスを14μlずつ小分けし、これにPLPBを1μl加える。5分間、65℃でインキュベーションし41℃まで5分間かけて冷却した後、酵素混合液5μlを加える(一反応当たり375mMのソルビトール、BSA2.1μg、RNaseH0.08単位(Pharmacia)、32単位のT7 RNAポリメラーゼ(Pharmacia)および6.4単位のAMV−RT(Seigakaku))。
増幅は41℃で90分間である。
各サンプルを5μlずつ2回検出用に取り出す。各反応液は、1XのCloned Pfu緩衝液、3.0mMのMgCl、350mM KCl、各dNTPを200uM、エクソ−Pfuを5単位、Pfu FEN−1を23ng、PEFを1ng、上流プライマーPD415またはPD416を各300nM、および蛍光プローブ(例えばFAM−DABCYL):gcaaagtatcatccctccag(配列番号10)を含有する。反応液はサーマルサイクラーで:95℃2分間、55℃1分間、72℃1分間のサイクルに1回かけられる。次にStratagene社製FluorTrackerまたはプレート読み取りモードにしたPE Biosystems社製7700 Sequence Detection Systemのような蛍光プレート読み取り機を用いて蛍光を測定する。
一般的には、増幅がPCRを基本としない方法で行われるこれらの方法によれば、増幅はFENヌクレアーゼ存在下に実施され、増幅およびFENヌクレアーゼによる切断は同時に起こる。遊離された標識フラグメントの検出は、「切断構造物」と題した項に記載されているように行われ、増幅および切断の工程が完了すると同時(リアルタイム)または完了後(エンドポイント)に行うことができる。
エンドポイントアッセイは、増幅段階がFENヌクレアーゼ存在下に実施される(上記)PCRを基本としない方法により産生された増幅された標的の定量化に用いることができる。
エンドポイントアッセイとしては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない。
A. Landegren, et al., 1988, science, 241:1077およびBarany、PCR Methods and Applications 1:5−16 (1991)に記載されているLigation chain reaction(LCR)。本発明に有用なLCR産物は、上流プライマーと標識化された下流プローブが8ヌクレオチドより長いギャップで隔てられており、FENヌクレアーゼによって効率的に切断できる十分な長さを有する。
B.Self−sustained sequence replication amplification(3SR) Fahy, et al. PCR Methods and Applications 1:25−33(1991)。Self−Sustained Sequence Replication Amplification(3SR)は、NASBAに似た技術である。Ehricht R, et al., Nucleic Acids Res. 25:4697−4699(1997)は、3SR法をcooperatively coupled in vitro amplificationシステム(CATCH)に発展させた。これによりCATCHでは、分子ビーコンプローブはRNAアンプリコンのリアルタイム分析に用いられる。増幅された合成標的は、次の配列を有する:cctctgcagactactattacataatacgactcactatagggatcTgcacgtattagcctatagtgagtcgtattaataggaaacaccaaagatgatatttcgtcacagcaagaattcagg(配列番号11)。
3SR反応液は、40mM Tris−HCl pH8.0、5mM KCl、30mM MgCl、各dNTPを1mM、二本鎖標的1nM、P1:cctctgcagactactattac(配列番号12)およびP2:cctgaattcttgctgtgacg(配列番号13)を2μM、3単位/ulのT7−RNAポリメラーゼ、ならびに0.16単位/ulのEscherichia coliのRNaseHを含有する。反応液100μlを30分間、42℃でインキュベーションする。
各サンプルは5μlずつ2回検出用に取り出される。各反応液は、1XのCloned Pfu緩衝液、3.0mMのMgCl、各dNTPを200uM、エクソ−Pfuを5単位、Pfu FEN−1を23ng、PEFを1ng、上流プライマーP1300nMおよび蛍光プローブ(例えばFAM−DABCYL):taggaaacaccaaagatgatattt(配列番号14)を含有する。反応液はサーマルサイクラーで:95℃2分間、55℃1分間、72℃1分間のサイクルに1回かけられる。次にStratagene社製FluorTrackerまたはプレート読み取りモードにしたPE Biosystems社製7700 Sequence Detection Systemのような蛍光プレート読み取り機を用いて蛍光を測定する。
C.ローリングサイクル増幅は米国特許第5,854,033号に記載されており、かつRamification−Extension Amplification Method(RAM)(米国特許第5,942,391号)に関係する。本発明に適合するローリングサイクル増幅は、下記実施例3に記載されている。
リアルタイムアッセイも、増幅段階をFENヌクレアーゼ存在下に実施する(上記)PCRを基本としない方法で産生した増幅された標的の定量化に用いることができる。ローリングサイクル増幅法(米国特許第5,854,033号)は、FENヌクレアーゼおよび本発明の切断構造物を含む切断可能プローブを共に、増幅および検出用の二次プライマーを含むのに適しており、50〜60℃の温度で実施される。
FENヌクレアーゼの切断パターンは、プライマーの5’端から1〜15ヌクレオチド間の任意の場所に配置された単一ミスマッチ塩基の存在によって変えることができ、それが存在しない場合前記DNAプライマーは完全にアニーリングする。典型的には、完全アニーリングした基質上で、FENヌクレアーゼは最も5’側にあるヌクレオチドをエクソヌクレアーゼ活性的に切断する。これは、ミスマッチが、そのミスマッチの除去をもたらすヌクレアーゼの作用を促進する5’プルーフリーディング工程を構成する。かくして、FENヌクレアーゼ切断のメカニズムは、単一ミスマッチ塩基対が存在することだけによって主要エクソヌクレアーゼ活性切断から主要エンドヌクレアーゼ活性切断にシフトする。
これはミスマッチが短いフラップの形成を可能にすることにより生ずると予想されている(Rumbaugh et al., 1999, J. Biol. Chem., 274:14602)。
本発明の方法は、標的核酸配列内の配列変異の存在を指示するシグナルの発生に用いることができ、この場合完全アニーリングDNAプライマーを含む標識化切断構造物は、標的核酸配列を核酸ポリメラーゼと一緒にインキュベーションし(「切断構造物」と題した項に記載されているように)、FENヌクレアーゼで標識化切断構造物を切断することによって形成され、エンドヌクレアーゼ活性切断産物を含む標識化フラグメントの遊離が配列変異の存在を示す。遊離された標識化フラグメントは、「切断構造物」と題した項に記載されているようにして検出される。
V.サンプル
本発明は、本明細書に画定されるような、サンプル中の標的核酸配列を検出または測定する方法を提供する。本明細書に使用する「サンプル」とは、関心対象の核酸(標的核酸配列)を含有するか、含有すると推測される任意の物質、またはそれ自体が標的核酸配列であって、関心対象の標的核酸配列を含有するか、または含有すると推測されるものを指す。それ故に用語「サンプル」としては、核酸トレーサー分子で「マーク」された、例えば、血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便、皮膚の外分泌物、呼吸器、腸、および生殖器、唾液腺、血球、腫瘍、器官、組織、in vitro細胞培養構成物のサンプル、天然物(飲料水、海水、土壌物質のような)から単離された微生物、ならびに対象物または検体を含むがこれらに限定されない標的核酸配列(ゲノムDNA、cDNA、またはRNA)、細胞、生物、組織、体液、または物質が挙げられる。
本発明は、以下の材料および方法を使用する以下の制限なしの実施例によって示される。以降に引用される文献の各々の全開示は、ここに参照して組み込まれる。
実施例1
以下の方法によって、標的核酸配列を検出および/または測定できる。(a)標的核酸配列(図3でB)を含有するサンプルを(b)標的核酸配列に特異的にハイブリッド形成する上流オリゴヌクレオチド(図3でA)、および(c)オリゴヌクレオチドAのハイブリッド形成領域の下流にある標的核酸配列の領域に特異的にハイブリッド形成する下流の5’末端標識オリゴヌクレオチド(図3でC)と共に95℃で5分間加熱し、その後およそ50−60℃まで冷却することによって、FENヌクレアーゼの添加の前に、標的された切断構造を形成する。
a)Yaqエキソ−(Taqポリメラーゼ(TaborおよびRichardson、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1074)を修飾するストラタジーン(Stratagene)のクイックチェンジ部位特異的突然変異誘発キット(カタログ番号200518))を使用した突然変異誘発によって作製される)、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼの突然変異形態、b)Pfu、または(c)3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くPfuポリメラーゼの突然変異形態(エキソPfu)のような5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’から5’へのDNA合成活性を保有するポリメラーゼを添加し、オリゴヌクレオチドの5’末端を部分的に置換するようなポリメラーゼにオリゴヌクレオチドAを伸長させる条件下で、たとえば5分から1時間までの間1×Pfu緩衝液(ストラタジーン)中で72℃でインキュベートする。オリゴヌクレオチドCの置換領域は、FENヌクレアーゼの添加により切断される5’フラップを形成する。
5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠くが、3’から5’へのDNA合成活性を保有するTaqポリメラーゼの突然変異形態は、以下の突然変異を含む:D144Sが、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を排除し、F667Yは、ddNTP組込みを改善するD144/F667Y Taq。
PolIポリメラーゼのエキソ−突然変異体を、Xuら、1997、J.Mol.Biol.、268:284の方法によって作製できる。
本発明による標識切断構造を、PfuFEN−1の標品(すなわち、実施例2で下に記述されるとおり作製されるクローン化ピロコックス・フリオススFEN−1)で切断する。以下のものを含有する7μl反応混合物に2μlのPfuFEN−1を添加することによって、切断を行う:
3μl 切断構造(10ng−10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は、500mMトリス−HCl(pH8.0)、100mM MgClを含有する)
2.00 μl PfuFEN−1酵素またはH
1.3 μl H
7.00 μl 総量
サンプルを、1時間、50℃で、ロボサイラー96ホットトップ熱サイクラー中でインキュベートする。2μlのシーケンシング停止染料溶液(ストラタジーンのサイクリストDNAシーケンシングキット、カタログ番号200326に含まれ、実施例3で記述される)の添加に続いて、サンプルを、99℃で5分間加熱する。サンプルを、11インチ長の手引きの20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7Mウレアゲルに入れる。フロモフェノールブルーが、総距離のおよそ2/3移動するまで、ゲルを、20ワットで稼動させる。ゲルを、ガラスプレートから取り出し、10分間、固定溶液(15%メタノール、5%酢酸)で振とうさせ、その後水で10分間浸透させつ。ゲルをワットマン3mm紙に乗せ、プラスチック製覆いで覆い、加熱真空ゲル乾燥装置(〜800℃)で2時間乾燥させる。ゲルを、X線フィルムに一夜さらして、標的核酸配列の存在を示すシグナルの存在を検出する。
実施例2
PfuFEN−1のクローニング
以下の方法により、本発明による有用な熱安定性FENヌクレアーゼ酵素を作製できる。
熱安定性FENヌクレアーゼ遺伝子を、当業界で周知のPCRクローニングの方法によってピー.フリオスス(ATCC番号43587)から由来するゲノムDNAから単離できる。クローン化PfuFEN−1を、当業界で周知で、下に記述される方法により、細菌細胞中で過剰発現できる。
以下のpCALクローニング・オリゴヌクレオチドを合成および精製した:
a)
5’GACGACGACAAGATGGGTGTCCCAATTGGTGAGATTATACCAAGAAAAG 3’(配列番号:15)および
b)
5’GGAACAAGACCCGTTTATCTCTTGAACCAACTTTCAAGGGTTGATTGTTTTCCACT3’(配列番号:16)。
スタラタジーンからアフィニティー(登録商標)タンパク質発現および精製システムを得、製造業者のプロトコールにしたがって使用した。
増幅
pCAL−n−EKベクター単鎖尾部に相補的である5’末端で12および13ヌクレオチド配列を含み、したがって方向性クローニングに対処する遺伝子特異的プライマー(オリゴヌクレオチドaおよびb、上に記述される)を用いたPCR増幅によって、挿入DNAを精製した。
50μl 10×Pfu緩衝液(ストラタジーン)
7.5μl PfuゲノムDNA(およそ100ng/μl)
7.5μl Pfuターボ(2.5u/μl)(ストラタジーン、カタログ番号600250)
15μl 混合プライマー対(100ng/μl各)(オリゴヌクレオチドaおよびb、上に記述される)
4μl 100mM dNTP
416 1H
500μl総量
を含有する増幅反応液(5つの独立の100μl反応液)を作製し、
ストラタジーンのロボサイクラー96ホットトップ熱サイクラー:
ウインドウ1 95℃1分、1サイクル
ウインドウ2 95℃1分
50℃1分、30サイクル
72℃3分
を用いた以下の条件下で増幅を行うことによって、FEN−1配列を、ピー.フリオススから由来したゲノムDNAから増幅した。
5回の反応の各々から得られるPCR産物を、1つの管に合せ、ストラタプレプPCRを使用して精製し、50μlの1mMトリス−HCl(pH8.6)中で溶出した。FEN−1PCR産物をゲル上で分析し、およそ1000bpであると決定した。
ライゲーション独立性クローニング末端(LIC)を作製し、fen−1遺伝子を含むPCR産物を、pCALnEK LICベクター(ストラタジーン)にアニールし、細胞を、以下の方法によるアニール混合液で形質転換させることによって、fen−1遺伝子を含むPCR産物を、pCALnEK LICベクター(スタラタジーン)にクローン化した。簡潔には、PCR増幅に続いて、PCR産物を精製し、dATP(アフィニティー(登録商標)タンパク質発現および精製システム(ストラタジーン、カタログ番号200326)で含まれる取扱い説明書によって)の存在下でPfuDNAポリメラーゼで処理する。dTTP、dGTPおよびdCTPの不在下で、PfuDNAポリメラーゼの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性は、PCR産物の個別の3’末端で少なくとも12および13ヌクレオチドを除去する。第一のアデニンが遭遇するまでこの活性は持続して、pCAL−n−EKベクターの単鎖尾部に相補的である5’伸長された単鎖尾部を有するDNAフラグメントを生じる。
LIC末端を作製
以下の混合物を製造することによって、LIC末端を作製した。
45μl精製PCR産物(〜0.5μg/μl)
2.5μl 10mM dATP
5μl 10×cPfu緩衝液
1μl cPfu(2.5u/μl)
0.5μl H
cPfuおよびcPfu緩衝液を、ストラタジーン(cPfu、ストラタジーンカタログ番号600153、およびcPfu緩衝液、ストラタジーンカタログ番号200532)から得ることができる。
72℃で20分間、サンプルをインキュベートし、産物を室温に冷却した。各サンプルに40ngの作製したpCALnEK LICベクター(作製ベクターは、アフィニティーLICクローニングおよびタンパク質精製キット(214405)でストラタジーンから市販で入手可能である)を添加した。ベクターおよび挿入DNAを合せ、室温でアニールさせ、非常にコンピテントな細菌宿主細胞(Wyborskiら、1997、Strategies、10:1)に形質転換する。
FENの産生のための細胞を作製する
2リットルのLB−AMPを、20mlのFEN−1クローン(クローン3)の一夜培養物とインキュベートした。成長させて、およそ11時間進行させ、その時点で、細胞は、OD600=0.974に達した。細胞を、1mM IPTGで一夜(約12時間)誘発させた。遠心により細胞を収集し、得られた細胞ペーストを−20℃で保存した。
タグ付FEN−1の精製
細胞を20mlのカルシウム結合緩衝液に再懸濁させた。
CaCl 結合緩衝液
50mMトリス−HCl(pH8.0)
150mM NaCl
1.0mM MgOAc
2mM CaCl
マイクロチップを使用して、ブランソンのソニケーターでサンプルを超音波処理した。出力設定は5であり、負荷サイクルは90%であった。サンプルを、三回超音波処理し、間隔をおいて氷上に静止させた。26,890×gで音波処理物を遠心分離した。除去された上清を、50ml円錐管中で1mlの洗浄(CaCl結合緩衝液中で)カルモジリンアガロース(CAMアガロース)と混合し、5分間冷却室(4℃)でゆっくりと回転する車輪上でインキュベートした。軽い遠心分離(机上遠心機で5000rpm)によって、CAMアガロースを収集した。
上清の除去に続いて、CAMアガロースを、50mlCaCl結合緩衝液で洗浄し、使い捨て用点滴カラムに移した。最初の容器およびピペットを、十分に洗浄して、残留アガロースを除去した。カラムを、およそ200mlのCaCl結合緩衝液で洗浄した。
10mlの50mM NaCl溶出緩衝液(50mM NaCl、50mMトリス−HCl(pH8)、0.2mM EGTA)で溶出を行った。0.5mL分画を収集した。0.5ml分画を収集して、1M NaCl溶出緩衝液で第二の溶出段階を行った。
精製タグ付FEN−1の評価
1M NaCl中で溶出されたCBPタグ付PfuFEN−1を含有する分画を、SDSで煮沸し、シプロオレンジで染色した4−20%ゲル上でSDS−PAGEによって分析した(図4)。
未切断FEN−1のタンパク質濃度を、およそ150ng/マイクロリットル(下)と測定した。
精製FEN−1のエンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断
分画3−9を、50mM NaCl、50mMトリス−HCl(pH8.0)および2mM CaCl中で4℃で一夜透析した。
不透明な非常に微細な沈殿物が、透析FEN−1に現れた。サンプルを、1/20に希釈したときに、沈殿物を除去した。サンプルを、1/3に希釈したときに、不溶性材料はなお検出可能であった。1/3希釈材料を、37℃で2時間加熱し、ツイーン20と混合して、0.1%の最終濃度になった。ツイーン20の添加により、溶液中に「線」のほとんど即時の形成、およびより粗い固形物があったが、これは、溶液を1M NaClに調節した後でさえ逆行できなかった。
基質として1/20に希釈されたサンプルを使用して、並びに、1×EK緩衝液で透析バッグを洗浄することによって作製された希釈サンプルを用いて、EK切断を行った。室温で一夜(約16時間)、1μlEK(1u/μl)の添加により、EK切断を行った。
100μlのCAMアガロースと合わせた100μlのSTIアガロースを、10mlの1×STI緩衝液(50mMトリス−HCl(pH8.0)、200mM NaCl、2mM CaCl、0.1%ツイーン20)で二回洗浄した。NaClを2つのEKサンプルに添加して、最終濃度が200mM NaClになった。2つのサンプルを合せ、洗浄アガロースに添加した。サンプルを、4℃で3時間、車輪でゆっくりと回転させ、机上遠心分離機(記述されるとおり)で軽く遠心分離した。上清を取り出し、洗浄物を、500μl 1×STIで2回洗浄した。2回の洗浄物を合わせ、当初の上清から別個に保存した。4−20%ゲル上でSDS−PAGEによってサンプルを、分析した。
およそ50ng/mlの濃度でPfu鎖に比較することによって、消化産物の濃度は、およそ23ng/μlであった。
実施例3
FENヌクレアーゼ活性
実施例2で示されるとおりに作製したFENヌクレアーゼのエンドヌレアーゼ活性およびFENヌクレアーゼの切断構造要件は、「FEN分子」と題される区分で、または以下のいずれかで示される方法によって決定された。
簡潔には、3つの鋳型(図2)を、本発明によるFENヌクレアーゼの活性を評価するために使用する。鋳型1は、以下の配列を有する5’32P標識オリゴヌクレオチド(Heltest4)である:
5’AAAATAAATAAAAAAAATACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCG3’(配列番号:1)。
Heltest4の下線付区部は、M13mp18+に相補的な領域を表す。切断産物は、配列AAAATAAATAAAAAAAAT (配列番号:2)を有する18ヌクレオチドフラグメントである。Heltest4は、M13に結合して、相補的二重鎖ドメイン、並びに非相補的5’オーバハングを生じる。この二重鎖は、鋳型2(図2)を形成する。鋳型3(図2)は、Heltest4に直接隣接するM13に結合した別のプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は、
5’CCATTCGCCATTCAGGCTGCGCA 3’(配列番号:3)である。鋳型3の存在下で、FENヌクレアーゼは、Heltest4の遊離5’末端を結合し、結合に移動し、Heltest4を切断して、18ヌクレオチドフラグメントを生じる。生じた切断産物を、6%アクリルアミド、7Mウレア配列決定ゲルで分離する。
以下に示されるとおりに、鋳型を作製する。
鋳型1 鋳型2 鋳型3
Heltest4 14μl 14μl 14μl
M13 **14μl 14μl
FENAS **** 14μl
O 28μl 14μl **
10×Pfu緩衝液 4.6μl 4.6μl4.6μl
Pfu緩衝液は、ストラタジーン(カタログ番号200536)から得ることができる。
鋳型混合物を、95℃に5分間加熱し、45分間室温に冷却し、4℃で一夜保存する。
酵素サンプルは、以下のとおりである。
A.HO(対照)
B.2μl未希釈未切断FEN−1(〜445ng/μl)
C.2μlの1/10希釈の未切断FEN−1(〜445ng/μl)
D.2μlのエンテロキナーゼプロレアーゼ(EK)切断FEN−1(〜23ng/μl)
4つの反応混合液を以下のとおり3つの鋳型と混合する。
3 μl 鋳型1、鋳型2または鋳型3
0.7 μl 10×クローン化Pfu緩衝液
0.6 μl 100mM MgCl
2.00 μl FEN−1またはH
0.7 μl H
7.00 μl総量
反応を、30分間、50℃で進行させ、各サンプルに2μlホルムアミド「配列決定停止」溶液を添加して停止させる。サンプルを、95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミド7Mウレアにかけた。
キャストアウェイゲル(ストラタジーン)
代わりに、1時間インキュベート時間を利用した以下の緩衝液中でFENヌクレアーゼ活性を分析できる。
10×FENヌクレアーゼ緩衝液
500mM トリス−HCl(pH8.0)
100mM MgCl
反応混合液は、以下のとおりである。
3 μl鋳型1、鋳型2または鋳型3
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液
2.00 μl FEN−1またはH
1.3 μl H
7.00 μl総量
サンプルを、ロボサイクラー96ホットプレート熱サイクラー中で1時間50℃でインキュベートする。2μlの配列決定停止(95%ホルムアルデヒド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノール、ストラタジーンから入手可能)染料溶液の添加に続いて、サンプルを、99℃で5分間加熱する。サンプルを、11インチ長の手引きの20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7Mウレアゲルにかける。ブロモフェノールブルーがほぼ2/3総距離移動するまで、ゲルを、20ワットで稼動させる。ゲルをガラス板から取り出し、固定溶液(15%メタノール、5%酢酸)中で10分間浸漬し、その後水中で10分間浸漬する。ゲルを、ワットマン3mm紙に乗せ、プラスチック製覆いで覆い、加熱真空ゲル乾燥装置(〜800℃)で2時間乾燥させる。ゲルをX線フィルムに一夜さらす。
A. H
B. 2μlのCBPタグ付PfuFEN−1
C. 2μlのCBPタグ付PfuFEN−1(希釈された1:10)
D. 2μlのEK切断PfuFEN−1
の添加によって、鋳型1、2および3(上に示されるとおりに作製した)を切断したFEN−1ヌクレアーゼアッセイのオートラジオグラフは、図5に示される。
レーンは以下のとおりである。レーン1A、1B、1Cおよび1Dは、それぞれ、HO、未希釈CBP−タグ付PfuFEN−1、1:10希釈のCBPタグ付PfuFEN−1およびEK切断PfuFEN−1で切断された鋳型1を表す。レーン2A、2B、2Cおよび2Dは、それぞれ、HO、未希釈CBP−タグ付PfuFEN−1、1:10希釈のCBPタグ付PfuFEN−1およびEK切断PfuFEN−1で切断された鋳型2を表す。レーン3A、3B、3Cおよび3Dは、それぞれ、HO、未希釈CBP−タグ付PfuFEN−1、1:10希釈のCBPタグ付PfuFEN−1およびEK切断PfuFEN−1で切断された鋳型3を表す。
タグ付PfuFEN−1は、N末端CBP親和性精製タグを含む。タグ付対タグなしFEN−1の量は等価でないので、FEN−1のタグ付およびタグなし版の間の活性におけるいすれかの差は、タンパク質濃度における差(酵素サンプルの濃度は上で提供される)による。タグ付およびタグなしPfuFEN−1の両方が、切断活性を示す。
図5は、FEN−1(レーン1A、2Aおよび3A)の不在下での切断のバックグランドレベルを示す。さらに、この図は、タグ付PfuFEN−1が、鋳型1と比較した場合、より多くの鋳型2を切断する。特に、多量の鋳型2を、未希釈タグ付PfuFEN−1(レーン2B)の存在下で切断する。鋳型3の分析は、未希釈タグ付PfuFEN−1によって最高量の鋳型3を切断すること、および希釈タグ付FEN−1によって最小量の鋳型3を切断することを示す。標識プローブは、40−43ヌクレオチドバンドとして移動する。FEN−1は、鋳型2と比較した場合、鋳型3(上流プライマーを含む)を優先的に切断する。切断産物バンドは、16−20ヌクレオチドで移動する主要バンドである。標識切断産物での異質性は、標識基質での異質性の結果であり、使用前にゲル精製されなかった。
実施例4
FEN−1ヌクレアーゼおよび5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性が欠損しているTaqポリメラーゼの存在下でのβ−アクチンのPCR増幅および検出
標的核酸配列を検出するためにPCRアッセイを使用する。このアッセイの方法によって、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性の欠損しているTaqポリメラーゼ(たとえばYaqエキソ−)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(たとえば、PfuFEN−1、実施例2で示されるとおりに作製される)の存在下でPCR反応を行う。蛍光で標識されたフラグメントの遊離の検出は、標的核酸配列の存在を示す。
1Xセンチメル分子ビーコンコア緩衝液、3.5mM MgCl、200μMの各dNTP、5’から3’までのエキソヌクレアーゼ活性(〜1.45U)を欠損しているTaqポリメラーゼ、PfuFEN−1(〜23ng)、PEバイオシステムズβ−アクチンプライマー(300nM各々)(カタログ番号600500)およびβ−アクチン特異的蛍光発生プローブ(200nM;5’FAM−3’TAMRA+PEバイオシステムズ・カタログ番号P/N401846)を含有する複製PCR反応物を作製する。10ngのヒトゲノムDNA(プロメガ(Promega))を、各反応での標的核酸配列として使用した。この反応を、50μl体積で行った。PfuFEN−1のみ、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているTaqポリメラーゼのみのいずれかを含む負の対照反応物、またはヒトゲノムDNA鋳型を除き全成分を含有する反応混合物を作製した。2.5単位のTaq2000を含む正の対照反応物も作製した。分光蛍光分析サーモサイクラー(ABI7700)で反応物をアッセイした。熱サイクリングのパラメーターは、95℃で2分間、15秒間95℃、60秒間60℃、および15秒間72℃の40サイクルであった。サンプルをアニーリング段階の間に調べた。
図6で示されるとおり、PfuFEN−1のみまたは5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているTaqポリメラーゼのみのいずれかの存在下では、シグナルは発生しなかった。5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているTaqポリメラーゼと、PfuFEN−1の両方の存在下で、26の閾値サイクル(Ct)、および12,000の最終蛍光強度(FI)を示すシグナルを発生した。Taq2000(5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼ)(タックマン(Taqman))の存在下で、23のCtおよび17,000単位のFIを示すシグナルを発生した。
これらの結果は、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているTaqポリメラーゼおよび熱安定性FEN−1ヌクレアーゼの存在下で、シグナルが発生されるPCRアッセイによって、β−アクチンDNA配列を検出できることを示す。さらに、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているTaqポリメラーゼで不在である5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を、PfuFEN−1の添加によって、トランスで保存できる。
実施例5
FEN−1ヌクレアーゼおよび5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼの存在下でβ−アクチンのPCR増幅および検出
PCRアッセイを使用して、標的核酸配列を検出する。このアッセイの方法によって、Pfuポリメラーゼ(天然に5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損している)または、さらに同様に、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼ(たとえば、エキソ−Pfu)、および熱安定性FEN−1ヌクレアーゼ(PfuFEN−1)の存在下で、PCR反応を行う。蛍光で標識されたフラグメントの遊離の検出は、標的核酸配列の存在を示す。
1×クローン化Pfu緩衝液(ストラタジーンから入手可能、カタログ番号200532)、3.0mM MgCl、200μMの各dNTP、5単位の5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼ、タグ付またはタグなしPfuFEN−1(〜23ng)、PEF(1ng)(国際公開公報WO98/42860号で示される)、PEバイオシステムズβ−アクチンプライマー(各300nM)(カタログ番号600500)、および蛍光発生プローブ(200nM;5’FAM−3’TAMRA+PEバイオシステムズ、カタログ番号P/N401846)を含む複製PCR反応物を作製した。10ngのヒトゲノムDNA(プロメガ)を、各反応で標的核酸配列として使用した。50μl体積で反応を行った。5’から3’へ、および3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を両方欠損しているPfuポリメラーゼのみを含有するか、またはヒトゲノムDNA鋳型を除いた全ての成分を含む負の対照反応液も作製した。2.5単位のTaq2000を含有する反応混合物を作製し、正の対照として使用した。分光蛍光分析サーモサイクラー(ABI7700)で反応物を分析した。熱サイクリングのパラメーターは、95℃で2分間、および15秒間95℃、60秒間60℃、および15秒間72℃の40サイクルであった。
図7で示されるとおり、天然に5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼのみの存在下で、シグナルを発生しないかった。5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼ、およびタグ付PfuFEN−1の両方の存在下で、23の閾値サイクル(Ct)および20,000単位の最終蛍光強度(FI)を示すシグナルを発生した。5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼおよびタグなしPfuFEN−1の存在下で、21のCtおよび20,000単位の最終FIを示すシグナルを発生した。Taq2000の存在下で、21のCtおよび19,000単位の最終FIを示すシグナルを発生した(タックマン)。
この結果は、β−アクチン標的の存在が、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠損しているPfuポリメラーゼおよび熱安定性FEN−1ヌクレアーゼの存在下で、シグナルを発生するPCRアッセイによって検出できることを示す。このシグナルは、FEN−1の不在下でTaq2000の存在下で発生されるシグナルに適合性がある。さらに、Pfuポリメラーゼの不在下で5’から3’までのエキソヌクレアーゼ活性は、PfuFEN−1の添加によってトランスで保存できる。
実施例6
標的としてヒト・オルニチントランスカルバミレラーゼ遺伝子を使用して、回転環増幅に関与する本発明によるアッセイを行い、そして鎖手段によりバフィーコートから抽出されるヒトDNAで検出される。標的(400ng)を、4分間97℃で加熱変性させ、2つの5’−リン酸化オリゴヌクレオチド、開環プローブおよび1つのギャップオリゴヌクレオチドの存在下でライゲーション条件下でインキュベートする。開環プローブは、配列:
gaggagaataaaagtttctca
Taagactcgtcatgtctcagcagcttctaacggtcactaatacgactcactataggttctgcctctgggaacac(配列番号:17)を有し、野生型配列についてのプヌクレオチドは、tagtgatcである。図8および9は、回転環プローブおよび回転環増幅を示す。反応緩衝液(40μl)は、5単位/*lのT4DNAリガーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボズ(New England Biolabs))、10mMトリス−HCl(pH7.5)、0.2M NaCl、10mM MgCl、4mM ATP、80nM開環プローブおよび100nMギャップオリゴヌクレオチドを含有する。25分間、37℃でのインキュベートの後、25ulを取り出し、50mM トリス−HCl(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM DTT、400μMdTTP,dATP、dGTP、dCTPの各々、0.2*M回転環複製プライマー:gctgagacatgacgagtc(配列番号:18)、phi29DNAポリメラーゼ(160ng/50ul)を含有する25ulの溶液に添加する。サンプルを、30℃で30分間インキュベートする。
試薬の以下の濃度を達成するために希釈される補償緩衝液(保存溶液または濃厚液)の添加によって、開環プローブ中に存在するT7プロモーターから、RNAを産生した:35mM トリス−HCl(pH8.2)、2mMスペルミジン、18mmMgCl、5mM GMP、1mMのATP、CTP、GTP、333uM UTP,667uMビオチン−16−UTP、0.03%ツイーン20、ul当たり2単位のT7RNAポリメラーゼ。米国特許第5,858,033号で示されるとおり、RNA生成を行う。インキュベーションは、37℃で90分間進行させる。
5μlの各サンプル(実際の試験サンプル、(−)リガーゼ対照サンプル、(−)phi29DNAポリメラーゼ対照、および(−)T7RNAポリメラーゼ対照)を二重に、検出のために取り出す。逆転写プロセスは、本発明によって、A)開環をライゲートすること、B)回転環単鎖DNAを合成すること、C)RNAを作製すること(開環プローブ中に存在するT7プロモーターから)、D)RNAを逆転写して、cDNAを作製すること、およびE)FEN切断構造の検出の発生のためにプライマーおよびプローブを使用してcDNAのPCR増幅を行うことを含む段階を含む。逆転写については、当量のYaqDNAポリメラーゼを製造業者により推奨されるTaq2000DNAポリメラーゼに置換することを除いて、ストラタジーン・センチネル・シングルで供給される試薬およびプロトコール、チューブTR−PCRコア試薬キット(カタログ番号600505)を使用する。各反応液が、1×センチネル分子ビーコンRT−PCRコア緩衝液、3.5mMMgCl、200μMの各dNTP、5単位エキソ−Pfu、23ng PfuFEN−1、1ngPEF、500nM上流プライマーの各々:aagtttctcataagactcgtcat(配列番号:19)、逆プライマー:aggcagaacctatagtgagtcgt(配列番号:20)、および蛍光発生プローブ(たとえば、FAM−DABCYL):agcttctaacggtcactaatacg(配列番号:21)を含有する。反応液を、45℃で30分間、95℃で3分間、続いて熱サイクラーで1サイクル:95℃で2分、50℃で1分、72℃で1分のインキュベーションにかける。その後、ストラタジーンのフルオロトラッカー、またはプレート−読取モードでのPEバイオシステムズの770配列決定システムのような蛍光プレート読取装置で蛍光を測定した。
回転環増幅RNA産物でのビオチン−16−UTPの組込みのため、検出の効率についての交差確認が可能である。固定捕捉プローブを使用して、アリコート量の反応液を、ガラススライド(または代わりにマイクロウエルプレート)で捕捉する。捕捉RNAアンプリコンの検出は、米国特許第5,854,033号で詳細に記述され、ここに参照して組み込まれる。
実施例7
図13は、「下流」オリゴヌクレオチド(Aと記される)、および上流オリゴヌクレオチド(Xと記される)から伸長する5’単鎖フラップがある構造を示し、両方を、標的核酸にハイブリッド形成する。5’単鎖フラップは、1ヌクレオチドまたはそれより大きい可能性がある。いくつかの実施形態では、5’フラップは、存在しない。
図13で示される実施形態は、それを使用してもよいが、ポリメラーゼの使用を必要としない。図13は、「3’B」として示される「封鎖3’末端」を有する上流オリゴヌクレオチドを示す。封鎖3’末端は、正常な酵素的条件下に酵素が三リン酸ヌクレオチドを添加する能力のない3’末端である。水素のみを含む3’水酸基の修飾(ジデオキシヌクレオチド)、3’水酸基の水素をリン酸基に置換すること、3’炭素への、または3’水素へのビオチンまたは蛍光基のようなレポーター部分の付着、および3’末端に三リン酸ヌクレオチドの添加を防止する3’末端に対する他の変動を含めた多くの方法で3’末端を封鎖することによって、伸長を阻害できる。
いくつかの実施形態では、上流オリゴヌクレオチドの3’末端での塩基または複数塩基は、標的と正常なワトソン−クリック塩基対を形成できないかもしれない。たとえば、上流オリゴヌクレオチドの3’末端でミスマッチな塩基がある可能性がある。ミスマッチな塩基または複数塩基は、3’末端が正常な3’水酸を有する場合でさえ、ポリメラーゼのような酵素による3’末端の伸長を阻害するのに十分でありうる。3’末端でのミスマッチは、上流オリゴヌクレオチドが適切な温度で標的にハイブリッド形成する限り、1つまたはそれより多くのミスマッチを含む。
上流オリゴヌクレオチドの封鎖3’末端は、下流オリゴヌクレオチドの5’末端でハイブリッド形成されたヌクレオチドから0から10塩基まで、好ましくは0−5塩基でありうる。いくつかの実施形態では、ニックは、上流と下流のおよびを分離する。
5’フラップヌクレオチドは、図13で示されるもののような構造の5’伸長を切断できる。上流オリゴヌクレオチドの封鎖3’末端は、下流オリゴヌクレオチドの5’末端でハイブリッド形成されたヌクレオチドの上流、その点、または下流のいずれかでありうる。
切断フラップを直接的に、たとえばFRET対からの蛍光シグナルで、または間接的に、たとえば二次切断または増幅反応で検出できる。他の関連特許を参照、それらの開示は、直接検出(2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,842号;1999年10月29日に出願された米国特許第6,528,254号B1;2000年8月30日に出願された米国特許第6,548,250号)、および間接検出(2000年11月21日に出願された米国特許第6,893,819号;2005年10月11日に出願された米国特許出願第60/725,916号)について参照してここに組み込まれる。
実施例8
プローブの説明:
図14は、核酸増幅を用いた切断反応での図13の上流および下流プローブを示す。実施例7の要件に加えて、その方法は、上流オリゴヌクレオチドに5’でハイブリッド形成する少なくとも1つの伸長プライマーも使用する。伸長プライマーは、約10−25ヌクレオチド(nt)長でありうる。プライマー伸長産物が、上流オリゴヌクレオチドまたは下流オリゴヌクレオチドプローブのいずれとも切断構造を形成しないことが重要である。これは、ポリメラーゼによる置換を阻止する上流オリゴヌクレオチドの5’末端でクランプによって制御される。クランプは、伸長ポリメラーゼによるそれの置換を防止するために、上流クランピングオリゴヌクレオチドに、このような高親和性を有する標的と結合させるあらゆる修飾でありうる。このような修飾は、当業界で知られており、そして小溝結合剤、挿入剤、GC豊富領域、LNAが挙げられる。
上流プランピングオリゴヌクレオチドおよび下流プローブを、所定の温度(切断構造で、伸長産物で形成されたものがない限り)で溶融できるが、しかし上流クランピングオリゴヌクレオチドは、高温で溶融するのが好ましい。
方法の説明:
アニール/伸長:1つの実施形態では、3つのオリゴヌクレオチド全てを、約55−65℃で標的にアニールする。いったんアニールされると、ポリメラーゼは、クランプまでプライマーを伸長する。ポリメラーゼは、クランプ付の上流プランピングオリゴヌクレオチドを置換できず、その後停止する。上流および下流オリゴヌクレオチドプローブによって形成される切断構造を切断する(図13に関しての実施例7での説明を参照)。
反応の温度を、その後、好ましくは65−75℃まで増大させて、下流オリゴヌクレオチドプローブ(切断温度より5−10℃多く)およびその後上流クランピングオリゴヌクレオチド(切断温度よりさらに5℃大きい)を解離させる。クランプ付上流オリゴヌクレオチドを解離させて、ポリメラーゼは、標的を通して伸長産物をさらに伸長できる。
実施例9
プローブの説明:
図15は、核酸増幅に関与する切断反応での図13の上流および下流プローブを示す。図13の要件に加えて、その方法は、上流オリゴヌクレオチドに5’をハイブリッド形成する少なくとも1つのプライマーも使用する。プライマーは、約55−65℃で標的にハイブリッド形成する。上流および下流オリゴヌクレオチドは、プライマーより約10℃上で(または高緊縮条件(DMSO、pH、塩濃度下で)標的にアニールするように設計されている。
方法の説明:
アニール/切断:1つの実施形態では、上流および下流のオリゴヌクレオチドが、標的にアニールする(65−75℃)。上流および下流のオリゴヌクレオチドが、標的にアニールされると、FEN(図13に関して実施例7で説明されるとおり)により下流オリゴヌクレオチドプローブを切断する。
アニール/伸長:反応温度を減少させて、プライマーを標的にアニールさせる。その後、上流および下流のオリゴヌクレオチドの置換で引起されるプライマーを伸長する。
実施例10
プローブの説明:
図16は、核酸増幅を伴う切断反応での図13の上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを示す。増幅反応は、プライマー核酸を組み込み、そしてそれは、上流オリゴヌクレオチドと共有される。増幅前には、この核酸配列は標的中に存在しない。
伸長プライマー(XA)は、3’A領域を介して標的にアニールする。X領域がアンプリコンに組み込まれるまで、プライマーの5’X領域は、標的中に存在しない。上流オリゴヌクレオチドと伸長プライマーとの両方のX領域は、長さ約20ntである。同様に、下流オリゴヌクレオチドと伸長プライマーとのA領域は、長さ約20ntである。下流プローブは、さらに、標的に相補的であるAの下流に領域を含むことができる。この領域は、標的についての下流プローブの特異性を増強する。たとえば、この領域は、長さ5−15ヌクレオチドでありうる。下流プローブのA配列は、Aの対応のヌクレオチドが付加された下流の数に基づいて短縮できる。方法は、逆プライマーも使用してよい。
方法の説明
アニール/伸長:1つの実施形態では、伸長プライマーは、プライマーのA領域を介して標的にアニールする。ポリメラーゼによって、プライマーを伸長して、アンプリコンにX領域を組み込む。プライマーアニーリングおよび伸長は、正常なアニーリング/伸長条件下で起こる。その後、核酸を変性する。
アニール/伸長:連続回の増幅の間に、逆プライマーは、合成鎖にアニールし、そして相補的鎖の合成を予備刺激する。逆プライマー伸長反応は、プライマーのX領域(および上流オリゴヌクレオチドのX領域)に相補的な領域を合成する。したがって、相補的核酸鎖は、上流および下流のオリゴヌクレオチドの両方についての結合領域(X’、A’)を有する。反応液を加熱して、オリゴヌクレオチドを変性させる。
アニール/伸長/切断:次のアニーリング/伸長反応では、上流および下流のオリゴヌクレオチドが、標的にアニールして、図13に関して実施例7で示される切断構造を作製する。切断反応は、実施例7で示されるとおりに進行する。
実施例11
プローブの説明:
図17は、下流プローブが、標的の2つの非近接領域(X2’T’)にハイブリッド形成するものである切断反応における図13の上流および下流プローブの変種を示す。したがって、標的に非相補的である標的の一部(A’)は、下流プローブにハイブリッド形成形成しない。いくつかの実施形態では、領域Tは、長さ1−25ntの間である。いくつかの実施形態では、A’は、約20ntまたはそれ未満である。一般に、A’は、プライマーが標的に結合するのを防止するように十分に長い領域である。このような方法は、標的結合についての下流オリゴヌクレオチドプローブとPCRプライマーとの間の競合を減じる(図18も参照)。
実施例12
プローブの説明:
図18は、核酸増幅を含む切断反応における図13、図16および図17の上流および下流プローブの変種を示す。その方法は、上流シグナルオリゴヌクレオチド(X1)、下流オリゴヌクレオチドプローブ(X2、T)、伸長プライマー(X1、X2、A)および逆プライマーを使用する。プライマーの3’A領域は、標的のA’領域と相補的であり、アニールする。プライマーがアンプリコンに組み込まれるまで、X1およびX2配列は、標的中に存在しない。オリゴヌクレオチドのT領域は、A’の下流にある標的の一部に相補的である。X1領域は、長さ約20ntでありうる。いくつかの実施形態では、X2およびT領域は、長さ1−25nt、好ましくは10−15でありうるが、一緒になって、約20ntまたは適切な温度で標的にアニールするのに十分な長さであるべきである。
方法の説明
アニール/伸長:プライマーのA領域は、標的のA’領域にアニールし、ポリメラーゼは、X2X2Aの3’を伸長して、それによりX1およびX2領域をアンプリコンに取り込む。反応液は、正常な変性条件下で変性される。
アニール/伸長:別の回のアニーリングおよび伸長を行う。このアニーリング/慎重反応では、逆プライマーは、標的にアニールし、伸長し、したがって組込まれたプライマーのX1およびX2部分に相補的であるX1’X2’で相補的核酸を合成する。反応液を加熱し、オリゴヌクレオチドを変性する。
アニール/伸長:次の回のアニーリングおよび伸長の間に、上流および下流のオリゴヌクレオチドのX1X2T部分は、増幅産物にアニールする。X1およびX2およびT部分のアニーリングは、標的の介在するA部分(プライマー結合部分)をループから外す。アニールされた上流および下流オリゴヌクレオチドは、図13に関して実施例7で示されるもののような切断構造を形成する。
実施例13
以下の方法によって、標的核酸を検出および/または測定できる。
150nMの3’PO封鎖上流オリゴヌクレオチド
150nMの5’フラップを有する下流オリゴヌクレオチドプローブ
150nMのPCR鋳型、および
1×フルベロシティー(商標)QPCRマスターミックス(ストラタジーンのカタロ番号600561;200ngのFenおよび2.5UのPfuV93R、エキソ−、DNAポリメラーゼ)または
200ng1×酵素なしのフルベロシティー(商標)QPCRマスター中のFenのいずれか
を有する反応混合物を作製する。
以下のサイクリングパラメーター95℃で2分間、95℃で10秒間、急速冷却曲線を伴う40サイクルについて30秒間6℃を用いたM×3000pリアルタイムPCR装置(ストラタジーン)で実験を行った。
上流オリゴヌクレオチドが、下流オリゴヌクレオチドプローブの直ぐ下流のPCR鋳型にハイブリッド形成した。したがって、5’フラップ付プローブの上流オリゴヌクレオチドおよび相補的部分は、重複しなかった。対照研究は、上流オリゴヌクレオチドが、完全に封鎖され、プライマー伸長をさせないことを確認した。
結果は、図19および20で示され、そしてそれは、FENが、5’フラップ付プローブが標的に相補的である領域で重複しない3’封鎖された上流オリゴヌクレオチドの存在下で5’非相補的フラップを切断できないことを示す。
FENおよびポリメラーゼを含む反応、およびFENのみを含む反応についての解離曲線実験も行った。上で記述されるとおりに解離曲線実験を行ったが、しかし急速冷却で95℃から25℃までで蛍光を測定した。結果は、蛍光が、鋳型なし、およびプローブ対照なしと比較したときに3’封鎖プライマーについての温度範囲を考慮して上昇したことを示す。
実施例14
この実施例は、フルオロファー/クエンチャー対の最適な配置を決定して、特異的浸潤性切断を伴って最高のシグナルを達成するために使用できる下流プローブの変種を示す。図21−24は、下流プローブの相補的領域の5’末端の+2位置で、特定の型の下流プローブ(「鍵プローブ」)を、フルオロファー(たとえばMAF)の特定の配置と合わせる本発明の方法の例を示す。鍵プローブは、ヘアピンプローブの一種であり、プローブは、標的配列に少なくとも部分的に相補的である第一の配列、および第一の配列と少なくとも部分的に相補的である第二の配列を含む。そのプローブは、さらに、第一の配列(たとえば、フルオロファー)に操作可能に結合した第一の部分、および第二の配列(たとえば、クエンチャー)に操作可能に結合した第二の部分を含む。第一の配列および第二の配列は、プローブが標的配列にハイブリッド形成しない場合に互いにハイブリッド形成でき、標的配列に対するプローブのハイブリッド形成が、第一または第二の部分のいずれかに、検出可能なシグナルを発生させる。鍵プローブは、2005年6月9日に出願された米国仮出願番号第60/688,798号で詳細に示され、その内容は、全体にここで組み込まれる。
図21は、標的アンプリコン配列の例を示す。下流プローブに相補的な標的配列の部分は、太字で示され、そして上流3’封鎖プローブに相補的である標的配列の部分は、イタリック体で示される。図22および23は、本発明によって使用できる鍵プローブの種々の実施形態を示す。図22Aは、対照プローブ、すなわち、フルオロファーおよびクエンチャー部分を、それぞれ3’および5’末端に配置されること、および切断されるべき非相補的部分の能力は、フルオロファー(上で示される実施形態と違い、フルオロファーは、位置+2で特異的に配置される)の配置に依存すべきでないことを示す。図22は、FAM分子が、下流プローブの相補的領域の5’末端の位置+2に配置される鍵プローブの例を示す。このプローブは、−8位置(すなわち、8は、相補的領域の5’末端の5’を残す)にクエンチャーBHO2の配置も示す。
この実施例では、クエンチャーは、−7位置をチミジン(T)に変えることなく、−7に配置できず、標準鍵プローブ構造は、このような変換によって有害に影響される可能性があることが予想される。図23AおよびBは、それぞれ、位置+2にFAM部分を、位置−3および−1に配置されるBHQ2クエンチャーを有する鍵プローブを示す。位置+2でフルオロファーに類似するクエンチャー部分の特定の配置は、プローブの非相補的領域の切断を伴う消光および/または蛍光の効率および性能における影響を示しうることが予測される。
図24は、鍵プローブの相補的領域の5’末端と3’末端で重複する0−3ヌクレオチドを有する上流3’封鎖オリゴヌクレオチドプローブの例を示す。+2位置でFAMを有する鍵プローブが、切断して、封鎖オリゴヌクレオチドプローブと下流鍵プローブの5’末端に重複がない蛍光シグナルを発生するのみであることが予測される。
他の実施形態
他の実施形態は、当業者に明らかであろう。前述の詳細な説明は、明確さのみのために提供され、ただ典型例であるのみであると理解すべきである。本発明の概念および範囲は、上記実施例に限定されるのでなく、請求項によって包含されるべきである。

Claims (34)

  1. 標的核酸の存在を検出する方法であって、
    その方法が、
    a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位および第二のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
    第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、および
    5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にアニールする場合に3’領域が、第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
    を供すること、
    b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、
    c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、および
    d)遊離された非相補的5’フラップを検出することであって、遊離された非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すこと、
    を含む方法。
  2. 下流プローブの非相補的5’フラップが、n個のヌクレオチド、および第一のハイブリダイゼーション部位から構成され、第二のハイブリダイゼーション部位が、m−ヌクレオチドによって分離され、nは、1から25までの整数であり、mは、nより大きな整数である請求項1に記載の方法。
  3. シグナルを供給する能力のある少なくとも1つの標識部分を含む切断構造を形成する請求項1に記載の方法。
  4. ヌクレアーゼが、FENヌクレアーゼを含む請求項1に記載の方法。
  5. FENヌクレアーゼが、フラップ特異的ヌクレアーゼである請求項4に記載の方法。
  6. FENヌクレアーゼが、熱安定性である請求項4に記載の方法。
  7. FENヌクレアーゼが、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌクレアーゼ酵素から構成される群から選択される請求項4に記載の方法。
  8. 形成された切断構造が、検出可能なシグナルの発生を消すのに有効に配置された相互作用性シグナル発生標識部分の対を含み、FENヌクレアーゼ切断に影響を受けやすい部位によって標識部分を分離し、それによりFENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性に、FENヌクレアーゼに影響を受けやすい部位で切断し、それにより検出可能なシグナルを発生することによって、第二の相互作用性シグナルを発生する標識部分から第一の相互作用性シグナルを発生する標識部分を分離させる請求項4に記載の方法。
  9. 相互作用性シグナル発生部分の対が、クエンチャー部分および蛍光部分を含む請求項8に記載の方法。
  10. さらに、遊離非相補的5’フラップを定量する段階を含む請求項1に記載の方法。
  11. 下流プローブの3’末端を封鎖して、下流プローブの3’伸長を防止する請求項1に記載の方法。
  12. 下流プローブの3’位置が、標的核酸のさらに第三のハイブリダイゼーションに相補的であり、第三のハイブリダイゼーションが、第二のハイブリダイゼーション部位に対して5’であり、標的核酸の介在領域により、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を分離する請求項1に記載の方法。
  13. 下流プローブの3’位置が、第二および第三のハイブリダイゼーション部位にハイブリッド形成し、標的核酸の介在領域が、非相補的領域を含む請求項12に記載の方法。
  14. 下流プローブの3’位置が、1−25ヌクレアーゼであり、介在領域が、1−20ヌクレアーゼである請求項12に記載の方法。
  15. 封鎖3’末端の一方または両方が、核酸合成または伸長を可能にする条件下で、標的核酸に非相補的である塩基、またはヌクレオチド三リン酸の添加を阻害する修飾物を含む請求項11に記載の方法。
  16. 封鎖3’末端の一方または両方が、
    a)ジデオキシヌクレオチド、
    b)3’ヒドロキシルが、リン酸基で置換されたヌクレオチド、または
    c)3’炭素に、または3’酸素に付着したレポーター部分を有するヌクレオチドを含む請求項15に記載の方法。
  17. サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
    a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
    第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流伸長プライマー、
    第二のハイブリダイゼーション部位に相補的であるクランピング・オリゴヌクレオチドであって、クランピング・オリゴヌクレオチドがクランプで封鎖された3’末端および5’末端を含み、クランプが、核酸ポリメラーゼによってクランピング・オリゴヌクレオチドの置換を阻害するクランピング・オリゴヌクレオチド、および
    5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
    を供すること、
    b)上流伸長プライマー、プランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールし、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブが切断構造を形成すること、
    c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
    d)上流伸長プライマーから、クランピング・オリゴヌクレオチドのクランプまで相補的鎖を伸長すること、
    e)標的核酸からクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを解離して、核酸ポリメラーゼに、先にクランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブによって変換された標的核酸を利用させること、
    f)さらに、標的核酸に相補的な鎖を伸長すること、および
    g)遊離非相補的5’フラップを検出することであった、遊離非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
    を含む方法。
  18. 上流プライマーが、クランピング・オリゴヌクレオチドよりいっそう緊縮な条件下核酸にアニールし、クランピング。オリゴヌクレオチドが、下流標識プローブよりいっそう緊縮な条件下で標的核酸にアニールする請求項17に記載の方法。
  19. a)アニーリング段階b)が、上流伸長プライマー、クランピング・オリゴヌクレオチドおよび下流プローブのアニーリング温度より下の温度で起こり、および
    b)解離段階f)が、さらに、
    i)下流プローブを標的核酸から解離する一方で、上流伸長プライマーおよびクランピング・オリゴヌクレオチドはアニール化されたままであるように温度を増大させること、および
    ii)さらに、クランピング・オリゴヌクレオチドを、標的核酸から解離する一方で、上流伸長プライマーはアニール化されたままであるように温度を増大させること、
    を含む請求項18に記載の方法。
  20. サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、および標的核酸に相補的な核酸を転写する方法であって、その方法が、
    a)3’から5’への順で、第一のハイブリダイゼーション部位、第二のハイブリダイゼーション部位および第三のハイブリダイゼーション部位を含む標的核酸、
    第一のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチド伸長プライマー、
    第二のハイブリダイゼーション部位に相補的である上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが、封鎖3’末端を含む上流オリゴヌクレオチド、および
    5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、第三のハイブリダイゼーション部位に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ
    を供すること、
    b)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを標的核酸にアニールして、切断構造を形成すること、
    c)ヌクレアーゼで切断構造を切断して、非相補的5’フラップを遊離すること、
    d)上流伸長プライマーを標的核酸にアニールすること、
    e)上流オリゴヌクレオチド伸長プライマーを伸長して、標的核酸に相補的な鎖を合成すること、および
    e)遊離非相補的5’フラップを検出することであって、遊離非相補的5’フラップがサンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
    を含む方法。
  21. サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
    a)領域A’を含む標的核酸、
    非相補的5’タグ領域(X)および3’プライミング領域(A)を含む順方向伸長プライマーであって、5’タグ領域が増幅前に標的に相補的でなく、および3’プライミング領域(A)が標的核酸中の領域(A’)と相補的である順方向伸長プライマー、
    領域Xの少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
    5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的のA’部分にハイブリッド形成する場合に、3’領域が、領域Aの少なくとも一部を含み、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
    標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激する逆伸長プライマー
    を供すること、
    b)順方向伸長プライマーの領域Aを標的核酸にアニールすること、
    c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成し、相補的鎖が、領域Aおよび領域Xを含むこと、
    d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
    e)逆伸長プライマーを、領域Aの下流で相補的鎖の領域にアニールすること、
    f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’および5’タグに相補的な領域(X’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生ずること、
    g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
    h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
    i)ヌレアーゼで切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
    j)遊離非相補的5’フラップを検出することであって、遊離非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
    を含む方法。
  22. さらに、標的配列を増幅するために変性、伸長および切断サイクルを反復することを含むことが、PCRサイクリング段階に許容性がある条件下で、切断形態を形成し、切断構造を切断する請求項21に記載の方法。
  23. 核酸ポリメラーゼが、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く請求項21に記載の方法。
  24. 下流プローブの非相補的5’フラップが、n個のヌクレオチド、および上流シグナルオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション部位から構成され、下流プローブが、m−ヌクレオチドによって分離され、nは、1から25までの整数であり、mは、nより大きな整数である請求項21に記載の方法。
  25. ヌクレアーゼが、FENヌクレアーゼを含む請求項21に記載の方法。
  26. FENヌクレアーゼが、アルカエグロブス・フルギドゥス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコックス・ジャナシ(Methanococcus jannaschii)、およびピロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)から由来するFENヌクレアーゼ酵素から構成される群から選択される請求項25に記載の方法。
  27. 切断構造がを形成し、シグナルを供する能力のある少なくとも1つの標識部分を含む請求項21に記載の方法。
  28. 形成された切断構造が、検出可能なシグナルの発生を消すのに有効に配置された相互作用性シグナル発生標識部分の対を含み、FENヌクレアーゼ切断に影響を受けやすい部位によって標識部分を分離し、それによりFENヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性に、FENヌクレアーゼに影響を受けやすい部位で切断し、それにより検出可能なシグナルを発生することによって、第二の相互作用性シグナルを発生する標識部分から第一の相互作用性シグナルを発生する標識部分を分離させる請求項21に記載の方法。
  29. 相互作用性シグナル発生部分の対が、クエンチャー部分および蛍光部分を含む請求項28に記載の方法。
  30. さらに、遊離非相補的5’フラップを定量する段階を含む請求項21に記載の方法。
  31. 下流プローブの3’末端を封鎖して、下流プローブの3’伸長を防止する請求項21に記載の方法。
  32. 封鎖3’末端の一方または両方が、核酸合成または伸長を可能にする条件下で、標的核酸に非相補的である塩基、またはヌクレオチド三リン酸の添加を阻害する修飾物を含む請求項31に記載の方法。
  33. 封鎖3’末端の一方または両方が、
    a)ジデオキシヌクレオチド、
    b)3’ヒドロキシルが、リン酸基で置換されたヌクレオチド、または
    c)3’炭素に、または3’酸素に付着したレポーター部分を有するヌクレオチドを含む請求項32に記載の方法。
  34. サンプル中に切断構造を形成し、切断構造を切断し、標的核酸に相補的な核酸を転写し、および標的核酸を増幅する方法であって、その方法が、
    a)3’から5’へのA’領域およびT’領域を含む標的核酸であって、該A’およびT’領域が非連続性である標的核酸、
    2つの小領域(X1およびX2)を含む5’タグ領域を含む順方向伸長プライマーであって、X1がX2および3’予備刺激領域(A)の上流であり、および5’タグ領域が、増幅前に標的に相補的でなく、および3’予備刺激領域(A)は標的核酸の領域A’に相補的である順方向伸長プライマー、
    領域X1の少なくとも一部を含む上流オリゴヌクレオチドであって、上流オリゴヌクレオチドが封鎖3’末端を有する上流オリゴヌクレオチド、
    5’領域および3’領域を含む下流プローブであって、下流プローブを標的のA’領域にアニールする場合に、3’領域が、領域X2、および領域X2の下流にある領域Tの少なくとも一部を含み、および標的核酸のT’に相補的であり、および5’領域が、非相補的5’フラップを形成する下流プローブ、および
    標的核酸の少なくとも一部を含む第二の鎖を予備刺激する逆伸長プライマー
    を供すること、
    b)順方向伸長プライマーの相補的領域Aを標的核酸のA’領域およびT’領域にアニールすること、
    c)順方向伸長プライマーを伸長して、標的核酸の相補的鎖を生成することであって、相補的鎖が、領域Aおよび領域X1およびX2を含むこと、
    d)標的核酸および相補的鎖を変性すること、
    e)逆伸長プライマーを、領域Tの下流で相補的鎖の領域にアニールすること、
    f)逆伸長プライマーから鎖を伸長して、標的核酸配列、領域A’領域T’および5’タグに相補的な領域(X1’、X2’)の少なくとも一部を含む第二鎖を生じること、
    g)第二鎖から相補的鎖を変性させること、
    h)上流オリゴヌクレオチドおよび下流プローブを第二鎖にアニールして、切断構造を形成すること、
    i)ヌレアーゼで切断構造を切断して、下流オリゴヌクレオチドの非相補的5’フラップを遊離すること、および
    j)遊離非相補的5’フラップを検出することであって、遊離非相補的5’フラップが、サンプル中の標的核酸の存在を示すものであること、
    を含む方法。
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CN113637670A (zh) * 2021-04-27 2021-11-12 中国药科大学 一种用于任意基因表达调控的组合物及方法

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