図1は、本発明と共に使用することのできる応用例を一般的に示す。AC電源102は、複数のモータ106に電源供給する可変速度駆動(VSD)104を供給する。モータ106は、冷凍または冷却器システムで使用することのできる対応する圧縮機を駆動するのに使用されることが好ましい。制御パネル110を使用してVSD104の動作を制御することができ、かつ制御パネル110は、モータ106および圧縮機の動作を監視および/または制御することができる。
AC電源102は、単相または多相(例えば3相)、固定電圧、かつ固定周波数のAC電力を、サイトに存在するACパワーグリッドまたは配電系統からVSD104に供給する。AC電源102は、対応するACパワーグリッドに応じて、線周波数50Hzまたは60HzのAC電圧または線電圧200V、230V、380V、460V、または600VをVSD104に供給することができることが好ましい。
VSD104は、AC電源102から特定の固定線電圧および固定線周波数を有するAC電力を受け、所望の電圧および所望の周波数で各モータ106にAC電力を供給し、所望の電圧と所望の周波数はどちらも、特定の要件を満たすために変更することができる。好ましくは、VSD104は、各モータ106の定格電圧および周波数よりも高い電圧および周波数ならびに低い電圧および周波数を有することのできるAC電力を各モータ106に供給することができる。別の実施形態では、VSD104はやはり、各モータ106の定格周波数よりも高い周波数および低い周波数を供給することができるが、定格電圧以下の電圧のみを供給することができる。
モータ106は、可変速度で動作することのできる誘導モータであることが好ましい。誘導モータは、2極、4極、または6極を含む任意の適切な極構成を有することができる。しかし、可変速度で動作することのできる任意の適切なモータを本発明と共に使用することができる。
図2は、VSD104の一実施形態での構成要素の一部の略図である。VSD104は、変換器または整流器ステージ202、DCリンクステージ204、および複数のインバータ206を有する出力ステージの3つのステージを有することができる。変換器202は、AC電源102からの固定線周波数、固定線電圧のAC電力をDC電力に変換する。変換器202は、シリコン制御整流器を使用するときにはゲーティング、またはダイオードを使用するときには順方向バイアスがかけられることのどちらかによってのみオンすることのできる電子スイッチから構成される整流器構成でよい。あるいは、変換器202は、オンとオフのどちらにもゲーティングすることのできる電子スイッチから構成される変換器構成でよく、制御DC電圧を生成し、望むなら、正弦波に見える入力電流信号を形成する。変換器202の変換器構成は、AC電力をDC電力に整流することができるだけでなく、DC電力レベルを特定の値に制御することもできる点で、整流器構成に勝る追加のレベルの柔軟性を有する。本発明の一実施形態では、ダイオードおよびシリコン制御整流器(SCR)が変換器202に高電流サージ能力および低故障率を提供することができる。別の実施形態では、変換器202は、VSD104の入力電圧よりも高いVSD104からの出力電圧を得るために、ブーストDC/DC変換器またはパルス幅変調ブースト整流器に結合されたダイオードまたはサイリスタ整流器を使用して、ブーストDC電圧をDCリンク204に供給することができる。
DCリンク204は、変換器202からのDC電力をフィルタし、エネルギー蓄積構成要素を提供する。DCリンク204は、高信頼性率および非常に低い故障率を示す受動デバイスであるコンデンサおよびインダクタから構成することができる。最後に、インバータ206がDCリンク204に対して並列に接続され、各インバータ206は、DCリンク204からのDC電力を、対応するモータ106のための可変周波数、可変電圧のAC電力に変換する。インバータ206は、ダイオードが並列に接続されたパワートランジスタまたは集積バイポーラ・パワー・トランジスタ(IGBT)電源スイッチを含むことのできるパワーモジュールである。さらに、VSD104のインバータ206がモータ106に適切な出力電圧および周波数を供給することができる限り、VSD104は、上記で論じ、図2に示したのとは異なる構成要素を組み込むことができることを理解されたい。
VSD104によって電力供給される各モータ106について、対応するインバータ206がVSD104の出力ステージに存在する。VSD104によって電力供給することのできるモータ106の数は、VSD104に組み込まれるインバータ206の数に依存する。好ましい実施形態では、DCリンク204に並列に接続され、対応するモータ106に電力供給するのに使用される、VSD104に組み込まれる2つまたは3つのインバータ206が存在することができる。VSD104が2つから3つのインバータ206を有することが好ましいが、DCリンク204が各インバータ206に適切なDC電圧を供給および維持することができる限りは、4つ以上のインバータ206を使用することができることを理解されたい。
好ましい実施形態では、以下でより詳細に論じるように、インバータ206は制御システムによって一緒に制御され、それによって各インバータ206は、インバータ206に供給される共通制御信号または制御命令に基づいて、対応するモータに同一の所望の電圧および周波数のAC電力を供給する。インバータ206の制御は、制御パネル110、または制御システムを組み込む他の適切な制御装置によって行うことができる。
VSD104は、モータ106の始動中に大きな突入電流がモータ106に達するのを防止することができる。さらに、VSD104のインバータ206は、力率約1を有する電力をAC電源102に供給することができる。最後に、モータ106が受ける入力電圧と入力周波数のどちらもVSD104が調節できることにより、異なる電源に対してモータ106を変更する必要なしに、VSD104を備えるシステムを様々な外国および国内のパワーグリッド上で動作させることが可能となる。
図3は、冷凍システムに組み込まれる本発明の一実施形態の全体を示す。図3に示すように、HVAC、冷凍または液体冷却器システム300は、対応する冷媒回路に組み込まれた2つの圧縮機を有するが、システム300は、所望のシステム負荷を実現するために1つの冷媒回路、または3つ以上の冷媒回路を有することができ、対応する冷媒回路に対して複数の圧縮機を有することができることを理解されたい。システム300は、第1の圧縮機302、第2の圧縮機303、コンデンサ構成308、膨張装置、水冷却器または蒸発器構成310、および制御パネル110を含む。制御パネル110は、冷凍システム300の動作を制御するために、アナログ−デジタル(A/D)変換器、マイクロプロセッサ、不揮発性メモリ、およびインターフェースボードを含むことができる。制御パネル110は、VSD104、モータ106、ならびに圧縮機302および303の動作を制御するのに使用することもできる。従来型HVAC、冷凍または液体冷却器システム300は、図3に図示されない他の多くの機能を含む。こうした機能は、例示を簡単にする目的で図面を単純化するために意図的に省略している。
圧縮機302および303は、冷媒蒸気を圧縮し、それをコンデンサ308に送達する。好ましくは、圧縮機302および303は別々の冷凍回路に接続され、すなわち、圧縮機302および303による冷媒出力は混合されず、圧縮機302および303に再進入して別のサイクルを開始する前に、システム300を通じて別々の回路内を移動する。好ましくは、別々の冷凍回路は、対応する熱交換のために単一のコンデンサ筐体308および単一の蒸発器筐体310を使用する。コンデンサ筐体308および蒸発器筐体310は、対応する筐体内の仕切りまたは他の分割手段によって、または別々のコイル構成で別々の冷媒回路を維持する。本発明の別の実施形態では、圧縮機302および303による冷却出力を、圧縮機302および303に再進入するために分離される前にシステム300を通じて移動するように単一の冷媒回路に組み合わせることができる。
圧縮機302および303は、スクリュー圧縮機または遠心圧縮機であることが好ましいが、圧縮機は、往復圧縮機、スクロール圧縮機、回転圧縮機、または他のタイプの圧縮機を含む任意の適切なタイプの圧縮機でよい。圧縮機302および303の出力能力は、圧縮機302および303の動作速度に基づくことができ、その動作速度は、VSD104のインバータ206によって駆動されるモータ106の出力速度に依存する。コンデンサ308に送達される冷媒蒸気は、流体、例えば空気または水との熱交換関係に入り、流体との熱交換関係の結果として、冷媒液体への相変化を受ける。コンデンサ308からの凝縮液体冷媒は、対応する膨張装置を通じて蒸発器310に流れる。
蒸発器310は、冷却負荷の供給管および戻り管のための接続を含むことができる。好ましくは水であるが、任意の他の適切な第2液体、例えばエチレングリコール、塩化カルシウムブライン、または塩化ナトリウムブラインでよい第2液体は、戻り管を介して蒸発器310に移動し、供給管を介して蒸発器310を退出する。蒸発器310内の液体冷媒は第2液体との熱交換関係に入り、第2液体の温度を冷却する。蒸発器310内の冷媒液体は、第2液体との熱交換関係の結果として、冷媒蒸気への相変化を受ける。次いで、蒸発器310内の蒸気冷媒は圧縮機302および303に戻り、サイクルが完了する。コンデンサ304および蒸発器306で冷媒の適切な相変化が得られることを条件として、システム300ではコンデンサ308および蒸発器310の任意の適切な構成を使用することができることを理解されたい。
好ましくは、制御パネル、マイクロプロセッサ、またはコントローラ110は、制御信号をVSD104に供給することができ、VSD104の動作、具体的にはインバータ206の動作を制御し、VSD104についての最適な動作設定を実現する。以下により詳細に論ずるように、制御パネル110は、モータ106の所望の動作速度および圧縮機302および303の所望の能力を得るために、圧縮機302および303に対する負荷条件の増大または減少に応答して、VSD104のインバータ206の出力電圧および/または周波数を増大または減少させることができる。
制御パネル110は、制御アルゴリズムまたはソフトウェアを実行して、システム100の動作を制御し、VSD104のインバータ206に関する動作構成を決定および実装し、システム100に対する特定の出力能力要件に応答して圧縮機102および104の能力を制御する。一実施形態では、制御アルゴリズムは、制御パネル110の不揮発性メモリに格納されたコンピュータプログラムまたはソフトウェアでよく、制御パネル110のマイクロプロセッサによって実行可能な一連の命令を含むことができる。制御アルゴリズムがコンピュータプログラムで具体化され、マイクロプロセッサによって実行されることが好ましいが、デジタルおよび/またはアナログハードウェアを使用して制御アルゴリズムを当業者によって実装および実行できることを理解されたい。制御アルゴリズムを実行するのにハードウェアが使用される場合、制御パネル110の対応する構成を変更して、必要な構成要素を組み込み、もはや必要ではない可能性がある任意の構成要素を除去することができる。
図4は、本発明の基本的能力制御プロセスを示す。プロセスは、ステップ402で、圧縮機および対応する冷却器システムの現動作条件を監視することで開始する。1つまたは複数のセンサまたは他の適切な監視装置が冷却器システム内に配置され、冷却器システムの1つまたは複数の動作条件が監視される。センサは、測定されたシステムパラメータに対応する制御パネル110に信号を供給する。冷却器システムの測定されたシステムパラメータは、冷媒温度、冷媒圧力、冷媒流量、蒸発器からの排出冷媒液体温度、または任意の他の適切なパラメータなどの、測定することのできる任意の適切な冷却器システムパラメータに対応することができる。
ステップ402で得られた、監視されたシステム条件に基づいて、次いで制御プロセスは、ステップ404で、初期システム始動が必要であるか否かを決定する。初期システム始動は、システムを非活動状態またはシャットダウン状態から活動状態または動作状態に遷移させるための1つまたは複数の圧縮機の始動を含む。初期システム始動が必要であると決定された場合、制御は、図5に示し、以下でより詳細に説明する始動制御プロセスに渡される。初期システム始動が、通常は1つまたは複数の圧縮機が以前に始動しているために不要である場合、制御プロセスはステップ406に移り、システムローディングまたはシステム能力の向上が必要であるか否かを決定する。
ステップ402での監視されたシステム条件に基づく追加のシステム能力の必要に応答してシステムローディングが必要であると制御プロセスが決定した場合、制御プロセスは、図6に示し、以下でより詳細に説明するシステム・ローディング・プロセスに進み、システム能力を増大させるために圧縮機に対する負荷を増大させる。システムローディングが不要である場合、制御プロセスはステップ408に進み、システムアンローディングまたはシステム能力の低減が必要であるか否かを決定する。
ステップ402での監視されたシステム条件に基づくシステム能力の必要の減少に応答してシステムアンローディングが必要であると制御プロセスが決定した場合、制御プロセスは、図7に示し、以下でより詳細に説明するシステム・アンローディング・プロセスに進み、システム能力を低減するために圧縮機に対する負荷を低減する。システムアンローディングが不要である場合、制御プロセスはステップ402に戻り、プロセスを反復する。
図4の基本的制御プロセスはファジィ論理制御技法を使用することが好ましいが、冷却器システムの圧縮機をいつ始動するか、冷却器システムの能力をいつ増大させるか、および冷却器システムの能力をいつ低減するかを決定するための任意の適切な制御技法を使用することができる。好ましくは、図5、6、および7の制御プロセスは、上記の決定のうちの1つが図4の基本的制御プロセスで行われることに応答する冷却器システムに関する制御プロセスを対象とする。
図5は、本発明のための始動制御プロセスを示す。始動制御プロセスは、システムを非活動状態またはシャットダウン状態から活動状態または動作状態に遷移させるための1つまたは複数の圧縮機の始動を含む。プロセスは、ステップ502で、圧縮機のすべてがオフ、非活動、またはシャットダウンされているか否かを決定することによって開始する。ステップ502で圧縮機のうちの1つが活動または動作している場合、圧縮機のうちの1つまたは複数が動作しているために始動プロセスが不要であるので、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。次に、ステップ502ですべての圧縮機が非活動またはオフである、すなわち圧縮機が動作していないと決定した後、始動制御プロセスは、蒸発器からの排出冷媒液体温度(LCHLT)が設定値温度に所定のオフセットまたは制御範囲を加えたものよりも大きいか否かを決定する。所定のオフセットは、設定値温度、すなわち所望のLCHLTの周りの制御領域を与え、システム条件の非常にわずかな変化に応答する、冷却器システムに対する頻繁な調節を防止する。
所定の設定値温度および所定のオフセットは、ユーザによってプログラム可能または設定することができることが好ましいが、所定の設定値温度および所定のオフセットをシステムに事前プログラムすることもできることを理解されたい。所定の設定値温度は、蒸発器内で冷却すべき特定の液体に応じて、約10°F(約−12.2℃)から約60°F(約15.6℃)の間で変化することができる。所定の設定値温度は、水を冷却すべきであるときは約40°F(約4.4℃)から約55°F(約12.8℃)の間であることが好ましく、グリコール混合物を冷却すべきであるときは、約15°F(約−9.4℃)から約55°F(約12.8℃)の間であることが好ましい。所定のオフセットは、約±1°F(約±0.56℃)から約±5°F(±2.78℃)の間で変化することができ、好ましくは約±1.5°F(約±0.83℃)から約±2.5°F(約±1.39℃)の間である。
ステップ504で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高い場合、ステップ506で、始動すべき圧縮機の数が求められる。始動する圧縮機の数を任意の適切な技法によって求めることができ、通常は、LCHLTやLCHLTの変化率などの特定のシステム特徴またはパラメータに応答して求められる。ステップ504で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高くない場合、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。始動する圧縮機の数が求められた後、ステップ508で、圧縮機が試験され、圧縮機を始動または動作させることができるか否かが決定される。ステップ508では、制御パネル110は、圧縮機の始動を防止する内部圧縮機制御または信号に基づいて(例えば、「no run permissive」信号が存在する、圧縮機に障害が生じた、または圧縮機がロックアウトされている)、またはシステム内の問題または制限に関する他のシステム制御または信号に基づいて(例えば、システムスイッチがオフにされた、システムに障害が生じた、システムがロックアウトされた、またはシステム・アンチリサイクル・タイマがアクティブである)、圧縮機が始動または動作することができないか否か、あるいは動作不能であるか否かを決定できることが好ましい。ステップ508ですべての圧縮機を始動することができない場合、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。始動すべきすべての圧縮機が始動および動作することができると決定されると、ステップ510で圧縮機が始動され、VSDによって出力される最小周波数に対応する周波数で動作する。圧縮機動作のためにVSDによって出力される最小周波数は、15Hzから75Hzまで変化することができ、好ましくは40Hzである。VSDは、圧縮機動作のために必要な最小周波数出力未満の最小周波数出力を供給できることを理解されたい。ステップ510で圧縮機が始動した後、プロセスは図4のステップ402に戻り、再びプロセスを開始してシステム条件を監視する。
図6は、本発明のためのシステムローディング制御プロセスを示す。システムローディング制御プロセスは、システムに対する負荷または要求の増大に応答して圧縮機の出力能力を増大させるために、システムに対する負荷または要求の増大、または圧縮機に電力供給するVSDからの出力周波数の上昇に応答して、1つまたは複数の圧縮機を活動化または始動することを含む。プロセスは、ステップ602で、負荷タイマまたはカウンタがそのカウントを完了したか否かを決定することによって開始する。本発明の一実施形態では、負荷タイマが2秒に設定されることが好ましい。しかし、負荷タイマに対して任意の適切な時間間隔を使用することができる。負荷タイマがそのカウントを完了していない場合、システムは、圧縮機のいずれもロードせず、図4のステップ402に戻り、負荷タイマが終了し、またはシステム条件が変化するまで、システム条件をさらに監視する。負荷タイマは、新しい圧縮機を始動した前の制御命令、または圧縮機およびそのそれぞれのモータに電力供給するVSDの出力周波数を上昇させた前の制御命令に応答するための十分な時間をシステムに与えるために使用される。
負荷タイマがそのカウントを完了した後、次いでシステムローディング制御プロセスは、ステップ604で、現在動作していない、動作することのできる圧縮機が存在するか否かを決定する。現在動作していない圧縮機が存在する場合、ステップ606で、VSDの出力周波数、すなわち圧縮機の動作周波数が、停止周波数に所定のオフセット周波数を加えたものと比較される。停止周波数は、上記で論じたVSD最小周波数出力に、動作中の圧縮機の数に1を加えたものを動作中の圧縮機の数で割った比を掛けたものとして計算されることが好ましい。所定のオフセット周波数は、約0Hzから約50Hzの間で変化することができ、好ましくは約5Hzから約10Hzの間である。VSD出力周波数と、停止周波数にオフセット周波数を加えたものとの比較は、別の圧縮機を始動させることが適切であるか否かを決定するのに使用される。停止周波数へのオフセット周波数の追加は、圧縮機を始動させる条件、すなわち停止周波数であることを単に満たすことだけによって圧縮機を始動し、次いで、圧縮機が最小周波数で動作中であるために、システムに対する負荷または要求の減少、すなわちアンロードする呼出しに応答して圧縮機をシャットオフしなければならなくなることを防止するのに使用される。停止周波数に対するオフセットの追加は、追加の圧縮機が始動した後に、圧縮機を最小周波数より高い周波数で動作させるために使用され、したがって圧縮機のシャットダウンが必要となる前にVSDの出力周波数を低減することにより、圧縮機をアンロードするための余裕がある。
ステップ606で、VSD出力周波数が停止周波数にオフセットを加えたものよりも高いと決定した後に、ステップ608で、別の圧縮機が始動し、開始周波数で動作中の圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。開始周波数は、圧縮機を始動する前のVSD出力周波数に、動作中の圧縮機の数(始動すべきものを含む)から1を引いたものを動作中の圧縮機の数(始動すべきものを含む)で割った比を掛けたものとして計算されることが好ましい。圧縮機が始動し、開始周波数まで加速された後は、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。
ステップ604に戻ると、すべての圧縮機が現在動作中である場合、ステップ610で、圧縮機に電力供給するVSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満であるか否かが決定される。VSD最大出力周波数は、120Hzから300Hzの間で変化することができ、好ましくは200Hzである。しかし、VSDは任意の適切な最大出力周波数を有することができることを理解されたい。VSD出力周波数が最大VSD出力周波数に等しい場合、システムで追加の能力を生成することができないので、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。しかし、VSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満である場合、ステップ612で、圧縮機およびその対応する冷媒回路がチェックまたは評価され、アンロード限界に近づいているか否かが決定される。アンロード限界は、ある所定のパラメータまたは条件が存在するときに、圧縮機をアンローディングすることによって圧縮機および対応する冷媒回路への損傷を防止するのに使用される。
圧縮機または対応する冷媒回路のいずれもアンロード限界に近づいていない場合、ステップ616で、現出力周波数に所定の増分量を加えたものに等しい上昇後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。所定の増分量は約0.1Hzから約25Hzの間でよく、好ましくは約1.5Hzから約1Hzの間である。所定の増分量は、ファジィ論理コントローラまたは制御技法によって計算することができることが好ましいが、任意の適切なコントローラまたは制御技法、例えばPID制御を使用することができる。上昇後VSD出力周波数を最大VSD出力周波数まで上昇させることができる。圧縮機が上昇後VSD出力周波数まで加速された後は、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。ステップ612に戻ると、1つまたは複数の圧縮機および対応する冷媒回路がアンロード限界に近づいていると決定される場合、ステップ614で、負荷限定制御テーブル中の情報に基づく限定された負荷値が、そうした圧縮機および対応する冷媒回路について計算される。次に、上記で詳細に説明したように、ステップ616で、プロセスは、圧縮機のVSD出力周波数を調節し、ステップ614の何らかの負荷限界を施し、図4のステップ402に戻ってシステム条件をさらに監視する。
図7は、本発明のためのシステムアンローディング制御プロセスを示す。システムアンローディング制御プロセスは、システム上での負荷または要求の減少に応答して圧縮機の出力能力を低減させるために、システムに対する負荷または要求の減少、あるいは圧縮機に電力供給するVSDからの出力周波数の低下に応答して、1つまたは複数の圧縮機を非活動化またはシャットダウンすることを含む。プロセスは、ステップ702で、アンロードタイマまたはカウンタがそのカウントを完了したか否かを決定することによって開始する。本発明の一実施形態では、アンロードタイマが2秒に設定されることが好ましい。しかし、アンロードタイマに対して任意の適切な時間間隔を使用することができる。アンロードタイマがそのカウントを完了していない場合、システムは、圧縮機のいずれもアンロードせず、図4のステップ402に戻り、アンロードタイマが終了し、またはシステム条件が変化するまで、システム条件をさらに監視する。
アンロードタイマは、動作中の圧縮機を停止した前の制御命令、または圧縮機およびそのそれぞれのモータに電力供給するVSDの出力周波数を低下させた前の制御命令に応答するための十分な時間をシステムに与えるために使用される。アンロードタイマがそのカウントを完了した後、次いで圧縮機アンローディング制御プロセスは、ステップ704で、単一の圧縮機またはリード圧縮機のみが現在動作中であるか否かを決定する。単一の圧縮機またはリード圧縮機のみが動作中である場合、ステップ706で、VSDの出力周波数が最小VSD周波数と比較され、VSDの出力周波数が最小VSD周波数よりも高いか否かがが決定される。VSDの出力周波数が最小VSD周波数よりも高くない場合、ステップ708で、LCHLTが評価され、それが設定値温度から所定のオフセットを引いたものよりも低いか否かが決定される。ステップ708で、LCHLTが設定値温度から所定のオフセットを引いたものよりも低い場合、プロセスは、ステップ710で、圧縮機および対応する冷凍システムについてのシャットダウンプロセスを開始し、プロセスは終了する。LCHLTが設定値温度から所定のオフセットを引いたものよりも小さい場合、システムがその動作目標を完了した、すなわち設定値温度に達したので、圧縮機がシャットダウンされ、冷却器内の液体の凝固点に応じて、LCHLTを過度に低くすることによる圧縮機または対応する冷凍回路の損傷が恐らくは回避される。ステップ708で、LCHLTが設定値温度から所定のオフセットを引いたものより低くない場合、圧縮機は最小速度で動作を続行し、プロセスはステップ402に戻ってさらに監視する。
ステップ706で、VSDの出力周波数が最小VSD周波数よりも高い場合、ステップ712で、現出力周波数から所定の減分量を引いたものに等しい低下後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。所定の減分量は、約0.1Hzから約25Hzの間でよく、好ましくは約0.1Hzから約1Hzの間である。所定の減分量をファジィ論理制御によって計算できることが好ましいが、任意の適切な制御、例えばPID制御を使用することができる。低下後VSD出力周波数を最小VSD出力周波数まで低減することができる。圧縮機が低下後VSD出力周波数に調節された後は、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。
ステップ704に戻ると、リード圧縮機以外の圧縮機のいずれかが動作中である場合、ステップ714で、圧縮機に電力供給するVSD出力周波数が最小VSD出力周波数に等しいか否かが決定される。VSD出力周波数が最小VSD出力周波数に等しい場合、ステップ716で、ラグ圧縮機が停止またはシャットダウンされ、残りの動作中の圧縮機に停止周波数で電力供給するようにVSDが制御される。上記で論じたように、停止周波数は、VSD最小周波数出力に、動作中の圧縮機の数に1を加えたものを動作中の圧縮機の数で割った比を掛けたものとして計算されることが好ましい。残りの圧縮機が始動し、停止周波数まで加速した後は、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。
ステップ714で、VSD出力周波数が最小VSD出力周波数と等しくない場合、上記でより詳細に説明したように、ステップ712で、現出力周波数から所定の減分量を引いたものに等しい低下後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。圧縮機が低下後VSD出力周波数に調節された後は、プロセスは図4のステップ402に戻り、システム条件をさらに監視する。
上記の制御プロセスは、モータに供給されるVSDの出力周波数を調節することによるシステム能力の制御を論じたが、VSDの出力電圧を調節してシステム能力を制御することもできることを理解されたい。上記の制御プロセスでは、VSDが、一定のボルト/Hzまたは一定のトルク動作モードを維持するように制御されることが好ましい。スクリュー圧縮機などのほぼ一定のトルクプロファイルを有する負荷に対して使用される、一定のフラックスまたは一定のボルト/Hzのモータ動作モードは、モータに供給される周波数の上昇または低下を、モータに供給される対応する電圧の上昇または低下によって整合することを必要とする。例えば、4極誘導モータは、その定格電圧の2倍かつその定格周波数の2倍で動作するとき、その定格出力馬力および速度の2倍を発揮することができる。一定のフラックスまたは一定のボルト/Hzモードにあるとき、モータに対する電圧の上昇の結果として、モータの出力馬力の同等の増大が生じる。同様に、モータに対する周波数の上昇の結果として、モータの出力速度の同等の増加が生じる。
ステップ608および716で説明したような、冷却器システムの能力を調節するために圧縮機を始動または停止するとき、VSDは以下の手順をたどることが好ましい。まず、VSDが、制御されたストップでゼロ速度まで減速される。次に、追加または除去すべき圧縮機が、それに対応して動作可能または動作不能にされる。次いで、圧縮機を追加するときには開始周波数、圧縮機を除去するときには停止周波数で、動作中の圧縮機に出力電力を与えるようにVSDが制御される。VSDが、対応する周波数に対して適切な電圧を供給するようにも制御されることを理解されたい。最後に、VSDが適切な周波数および電圧まで加速され、動作中の圧縮機に電力供給される。
図4〜7に関して上記で説明した能力制御プロセスに加えて、本発明は、95°F(35℃)超などの高周囲気温条件のための能力制御プロセスも実装することができる。高周囲温度能力制御プロセスを、上述の能力制御プロセスとは別々の制御プロセスとして、または上述の能力制御プロセスの統合構成要素として実装することができる。屋外周囲温度が所定の屋外周囲温度より高いときに、高周囲温度能力制御プロセスを開始することができる。所定の屋外周囲温度は約95°F(約35℃)以上でよく、好ましくは約105°F(約40.6℃)である。屋外周囲温度が所定の屋外周囲温度よりも所定のオフセット量だけ低くなるまで、高周囲温度能力制御プロセスは続行することができる。屋外周囲温度が所定の屋外周囲温度よりも所定のオフセット量だけ低くなった後は、通常の能力制御プロセスが動作を再開する。所定のオフセット量は、約1°F(約0.56℃)から約10°F(約5.6℃)の間でよく、好ましくは約5°F(約2.8℃)である。
図8は、本発明の基本的高周囲温度(HAT)能力制御プロセスを示す。プロセスは、ステップ802で、圧縮機および対応する冷却器システムの現動作条件を監視することで開始する。1つまたは複数のセンサまたは他の適切な監視装置が冷却器システム内に配置され、冷却器システムの1つまたは複数の動作条件が監視される。センサは、測定されたシステムパラメータに対応する制御パネル110に信号を供給する。冷却器システムの測定されたシステムパラメータは、冷媒温度、冷媒圧力、冷媒流量、蒸発器からの排出冷媒液体温度、または任意の他の適切なパラメータなどの、測定することのできる任意の適切な冷却器システムパラメータに対応することができる。
ステップ802で得られた、監視されたシステム条件に基づいて、次いでHAT制御プロセスは、ステップ804で、初期システム始動、または再始動が必要であるか否かを決定する。初期システム始動は、システムを非活動状態またはシャットダウン状態から活動状態または動作状態に遷移させるための1つまたは複数の圧縮機の始動を含む。初期システム始動が必要であると決定された場合、制御は、以下でより詳細に説明する始動制御プロセス(図9および10を参照)のいくつかの実施形態のうちの1つに渡される。初期システム始動が、通常は1つまたは複数の圧縮機が以前に始動しているために不要である場合、HAT制御プロセスはステップ806に移り、システムローディングまたはシステム能力の向上が必要であるか否かを決定する。
ステップ802での監視されたシステム条件に基づく追加のシステム能力の必要に応答してシステムローディングが必要であるとHAT制御プロセスが決定した場合、HAT制御プロセスは、以下でより詳細に説明するシステム・ローディング・プロセス(図11および12を参照)のいくつかの実施形態のうちの1つに進み、システム能力を増大させるために圧縮機に対する負荷を増大させる。システムローディングが不要である場合、HAT制御プロセスはステップ808に進み、システムアンローディングまたはシステム能力の低減が必要であるか否かを決定する。
ステップ802での監視されたシステム条件に基づくシステム能力の必要の減少に応答してシステムアンローディングが必要であるとHAT制御プロセスが決定した場合、HAT制御プロセスは、図13に示し、以下でより詳細に説明するシステム・アンローディング・プロセスに進み、システム能力を低減するために圧縮機に対する負荷を低減する。システムアンローディングが不要である場合、HAT制御プロセスはステップ802に戻り、プロセスを反復する。
図8の基本的HAT制御プロセスは、ファジィ論理制御技法を使用することが好ましいが、冷却器システムの圧縮機をいつ始動または再始動するか、冷却器システムの能力をいつ増大させるか、および冷却器システムの能力をいつ低減するかを決定するための任意の適切な制御技法を使用することができる。さらに、基本的HAT制御プロセスが図8に示されるが、特定のHAT制御プロセスをいくつかの異なる実施形態として実装することができる。一実施形態が図9、11、および13に示されており、別のより好ましい実施形態が図10、12、および13に示されている。好ましくは、図9、11、および13ならびに図10、12、および13の特定の制御プロセスは、上記の決定のうちの1つが図8の基本的HAT制御プロセスによってなされたことに応答する、冷却器システムについての制御プロセスを対象とする。
図9は、本発明のHAT制御プロセスのための始動制御プロセスの一実施形態を示す。始動制御プロセスは、システムを非活動状態またはシャットダウン状態から活動状態または動作状態に遷移させるための1つまたは複数の圧縮機の始動を含む。プロセスは、ステップ902で、圧縮機のすべて(および対応するモータおよびインバータ)がオフ、非活動、またはシャットダウンされているか否かを決定することによって開始する。ステップ902で圧縮機のうちの1つが活動または動作している場合、圧縮機のうちの1つまたは複数が動作しているために始動プロセスが不要であるので、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。次に、ステップ902ですべての圧縮機が非活動またはオフである、すなわち圧縮機が動作していないと決定した後、始動制御プロセスは、ステップ904で、蒸発器からの排出冷媒液体温度(LCHLT)が設定値温度に所定のオフセットまたは制御範囲を加えたものよりも大きいか否かを決定する。所定のオフセットは、設定値温度、すなわち所望のLCHLTの周りの制御領域を与え、システム条件の非常にわずかな変化に応答する、冷却器システムに対する頻繁な調節を防止する。
所定の設定値温度および所定のオフセットは、ユーザによってプログラム可能または設定することができることが好ましいが、所定の設定値温度および所定のオフセットをシステムに事前プログラムすることもできることを理解されたい。所定の設定値温度は、蒸発器内で冷却すべき特定の液体に応じて、約10°F(約−12.2℃)から約60°F(約15.6℃)の間で変化することができる。所定の設定値温度は、水を冷却すべきであるときは約40°F(約4.4℃)から約55°F(約12.8℃)の間であることが好ましく、グリコール混合物を冷却すべきであるときは、約15°F(約−9.4℃)から約55°F(約12.8℃)の間であることが好ましい。所定のオフセットは、約±1°F(約±0.56℃)から約±5°F(約±2.78℃)の間で変化することができ、好ましくは約±1.5°F(約±0.83℃)から約±2.5°F(約±1.39℃)の間である。
ステップ904で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高い場合、ステップ906で、圧縮機のすべてが始動のために指定される。システムが始動し、動作可能となった後にシステム内の圧縮機を停止し、次いで動作させることをどちらも含む圧縮機サイクリングおよび圧縮機始動手順を削減するために、高周囲気温条件の間、圧縮機のすべてが始動のために指定される。さらに、高周囲温度条件で、冷却器システムは冷却能力が低減され、それによって、低い周囲温度条件で生じる可能性のある過剰な能力を生み出すことなく、より多くの数の圧縮機を始動することが可能となる。ステップ904で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高くない場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。圧縮機のすべてが始動のために指定された後、ステップ908で、圧縮機が試験され、圧縮機を始動または動作させることができるか否かが決定される。ステップ908では、制御パネル110は、圧縮機の始動を防止する内部圧縮機制御または信号に基づいて(例えば、「no run permissive」信号が存在する、圧縮機に障害が生じた、または圧縮機がロックアウトされている)、またはシステム内の問題または制限に関する他のシステム制御または信号に基づいて(例えば、システムスイッチがオフにされた、システムに障害が生じた、システムがロックアウトされた、またはシステム・アンチリサイクル・タイマがアクティブである)、圧縮機が始動または動作することができないか否か、あるいは動作不能であるか否かを決定できることが好ましい。ステップ908ですべての圧縮機を始動することができない場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
圧縮機のうちの1つまたは複数が始動および動作することができると決定されると、ステップ910でそうした圧縮機が始動され、VSDによって出力される最小周波数出力に対応する周波数で動作する。VSDによって出力される最小周波数は屋外周囲温度に依存する。VSDは、第1の周囲温度設定値以下のすべての周囲温度に対する第1の(低)最小周波数を有することが好ましい。第1の周囲温度設定値は、約105°F(約40.6℃)から約115°F(約46.1℃)の間であることが好ましい。次いで、周囲温度が第1周囲温度設定値より上に上昇するにつれて、VSDに対する最小周波数は、第2周囲温度設定値での第2(高)最小周波数まで上昇する。第2周囲温度設定値は約120°F(約48.9℃)から約130°F(約54.4℃)の間であることが好ましい。圧縮機動作のためにVSDによって出力される最小周波数は、約15Hzから約120Hzまで変化することができ、好ましくは第1最小周波数に対して約50Hzであり、好ましくは第2最小周波数に対して約95Hzである。VSDは、圧縮機動作のために必要な最小周波数出力未満の最小周波数出力を供給できることを理解されたい。さらに、ステップ910では、所定の始動時間に対して負荷タイマおよびアンロードタイマがどちらも設定される。所定の始動時間は、約10秒から約60秒まで変化することができ、好ましくは約30秒である。負荷タイマおよびアンロードタイマの動作の追加の議論が、図11〜13に関して以下で与えられる。圧縮機がステップ910で始動された後、プロセスは図8のステップ802に戻り、再びプロセスを開始してシステム条件を監視する。
図10は、本発明のHAT制御プロセスのための好ましい始動制御プロセスを示す。始動制御プロセスは、システムを非活動状態またはシャットダウン状態から活動状態または動作状態に遷移させるための1つまたは複数の圧縮機の始動または再始動を含む。プロセスは、ステップ902で、圧縮機のすべてがオフ、非活動、またはシャットダウンされているか否かを決定することによって開始する。ステップ902で圧縮機のうちの1つが活動または動作している場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。次に、ステップ902ですべての圧縮機が非活動またはオフである、すなわち圧縮機が動作していないと決定した後、始動制御プロセスは、ステップ904で、蒸発器からの排出冷媒液体温度(LCHLT)が設定値温度に所定のオフセットまたは制御範囲を加えたものよりも大きいか否かを決定する。
ステップ904で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高くない場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。しかし、ステップ904で、LCHLTが設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高い場合、ステップ906で、圧縮機のすべてが始動のために指定される。圧縮機のすべてが始動のために指定された後、ステップ908で、圧縮機が試験され、圧縮機を始動または動作させることができるか否かが決定される。ステップ908で、すべての圧縮機を始動することができない場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
圧縮機のうちの1つまたは複数が始動および動作することができると決定されると、制御はステップ1010に進み、圧縮機が高周囲再始動モードで始動すべきか、または通常始動モードで始動すべきかを決定する。高周囲再始動モードのより詳細な議論は、図12に関して以下に与えられる。圧縮機を高周囲再始動モードで始動すべきでない、すなわち圧縮機を通常始動モードで始動すべきである場合、制御はステップ910に進み、VSDによって出力される、屋外周囲温度に基づく最小周波数に対応する周波数で圧縮機が始動および操作される。しかし、圧縮機を高周囲再始動モードで再始動すべき場合、制御はステップ1014に進み、高周囲開始周波数に対応する周波数で圧縮機が始動および操作される。高周囲開始周波数は、「現」VSD周波数、すなわち高周囲再始動が開始した直前のVSD周波数に、以前の動作可能にされた圧縮機の数、すなわち高周囲再始動が開始した直前に動作している圧縮機の数を掛け、動作可能または始動されている圧縮機の数で割ったものとして計算される。高周囲開始周波数の計算は、高周囲再始動の結果としてシステム内の追加のいくつかの圧縮機を操作しながら、高周囲再始動モードを開始する前に存在したVSDの同じ「合計Hz」出力を与えるために使用される。さらに、ステップ910または1014のどちらでも、所定の始動時間に対して負荷タイマおよびアンロードタイマがどちらも設定される。圧縮機がステップ910または1014で始動した後、プロセスは図8のステップ802に戻り、プロセスを再び開始し、システム条件を監視する。
図11は、本発明のHAT制御プロセスのためのシステムローディング制御プロセスの一実施形態を示す。システムローディング制御プロセスは、システムに対する負荷または要求の増大に応答して圧縮機の出力能力を増大させるために、システムに対する負荷または要求の増大、または圧縮機に電力供給するVSDからの出力周波数の上昇に応答して、1つまたは複数の圧縮機を活動化または始動することを含む。プロセスは、ステップ1102で、負荷タイマまたはカウンタがそのカウントを完了したか否かを決定することによって開始する。負荷タイマがそのカウントを完了していない場合、システムは、圧縮機のいずれもロードせず、図8のステップ802に戻り、負荷タイマが終了し、またはシステム条件が変化するまで、システム条件をさらに監視する。負荷タイマは、圧縮機を始動または停止した前の制御命令、あるいは圧縮機およびそのそれぞれのモータに電力供給するVSDの出力周波数を上昇または低下させた前の制御命令に応答するための十分な時間をシステムに与えるために使用される。
負荷タイマがそのカウントを完了した後、次いでシステムローディング制御プロセスは、ステップ1104で、圧縮機に電力供給するVSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満であるか否かを決定する。VSD最大出力周波数は、120Hzから300Hzの間で変化することができ、好ましくは200Hzである。しかし、VSDは任意の適切な最大出力周波数を有することができることを理解されたい。VSD出力周波数が最大VSD出力周波数に等しい場合、制御プロセスは、動作可能にされた以前の圧縮機の数を、ステップ1106で動作可能にされた現在の圧縮機の数と等しくなるように割り当てる。次にステップ1108で、現在動作していなかった任意の圧縮機が動作可能にされ、圧縮機のすべてが、高周囲始動周波数で動作するように設定される。次いで、制御は図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。本発明の代替実施形態では、現在動作していない、動作することのできる圧縮機が存在するか否かを決定するために追加のステップを追加することができ、そのステップは、図12のステップ1204と同様となる。上記で論じたように、高周囲始動周波数は、「現」VSD周波数、すなわち残りの圧縮機が始動した直前のVSD周波数に、以前の動作可能にされた圧縮機の数、すなわち残りの圧縮機が始動した直前に動作している圧縮機の数を掛け、動作可能または始動されている圧縮機の数で割ったものとして計算される。
ステップ1104でVSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満である場合、ステップ1110で、圧縮機およびその対応する冷媒回路がチェックまたは評価され、いずれかが負荷限界モードで動作しているか否かが決定される。負荷限界モードは、ある所定のパラメータまたは条件が存在するときに、圧縮機をアンローディングすることによって圧縮機および対応する冷媒回路への損傷を防止するのに使用される。圧縮機または対応する冷媒回路が負荷限界モードで動作していない場合、ステップ1114で、現出力周波数に所定の増分量を加えたものに等しい上昇後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。所定の増分量は約0.1Hzから約25Hzの間でよく、好ましくは約0.1Hzから約1Hzの間である。所定の増分量は、ファジィ論理コントローラまたは制御技法によって計算することができることが好ましいが、任意の適切なコントローラまたは制御技法、例えばPID制御を使用することができる。上昇後VSD出力周波数を最大VSD出力周波数まで上昇させることができる。さらに、ステップ1114では、所定の調節時間に対して負荷タイマおよびアンロードタイマがどちらも設定される。所定の調節時間は、約1秒から約10秒まで変化することができ、好ましくは約2秒である。圧縮機がその新しい動作VSD周波数に調節された後は、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
ステップ1110に戻ると、1つまたは複数の圧縮機および対応する冷媒回路が負荷限界モードで動作していると制御プロセスが決定した場合、ステップ1112で、LCHLTが評価され、LCHLTが、所定の負荷限界時間枠より長くにわたって、設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高いか否かが決定される。所定の負荷限界時間枠は、約1分から約10分まで変化することができ、好ましくは約5分である。ステップ1112で、LCHLTが、所定の負荷限界時間枠にわたって、設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高い場合、動作中の圧縮機は負荷を満たすことができず、延長された期間にわたって負荷限界モードで動作することによってその出力が制限されるので、プロセスはステップ1108に進み、動作していない任意の圧縮機を始動する。ステップ1112で、LCHLTが、所定の負荷限界時間枠にわたって、設定値温度に所定のオフセットを加えたものよりも高くない場合、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視し、負荷限界モードで動作する圧縮機に、何らかの問題を正し、通常動作を再開するための機会を与える。
図12は、本発明のHAT制御プロセスのためのシステムローディング制御プロセスの好ましい実施形態を示す。システムローディング制御プロセスは、システムに対する負荷または要求の増大に応答して圧縮機の出力能力を増大させるために、システムに対する負荷または要求の増大、または圧縮機に電力供給するVSDからの出力周波数の上昇に応答して、1つまたは複数の圧縮機を活動化または始動することを含む。プロセスは、ステップ1102で、負荷タイマまたはカウンタがそのカウントを完了したか否かを決定することによって開始する。負荷タイマがそのカウントを完了していない場合、システムは、圧縮機のいずれもロードせず、図8のステップ802に戻り、負荷タイマが終了し、またはシステム条件が変化するまで、システム条件をさらに監視する。
負荷タイマがそのカウントを完了した後、次いでシステムローディング制御プロセスは、ステップ1204で、現在動作していない、動作することのできる圧縮機が存在するか否かを決定する。現在動作していない圧縮機が存在する場合、ステップ1106で、制御プロセスは、動作可能にされた以前の圧縮機の数を、ステップ1106で動作可能にされた現在の圧縮機の数と等しくなるように割り当てる。次にステップ1206で、周囲気温および圧縮機の吐出圧力(DP)が評価され、周囲気温が所定の温度より高いか否か、DPが任意の圧縮機に対する所定のDPしきい値よりも高いか否かが決定される。DPしきい値は、「現」VSD周波数に9を掛けて25で割り、1450を加えたものとして計算される。VSD周波数とDPしきい値はどちらもx10フォーマットである。所定の温度は、約90°F(約32.2℃)から約120°F(約48.9℃)まで変化することができ、好ましくは約105°F(約40.6℃)である。
ステップ1206で、周囲気温が所定の温度よりも高く、かつDPが任意の圧縮機に対するDPしきい値よりも高い場合、プロセスはステップ1208に進み、高周囲温度再始動プロセスを開始する。高周囲温度再始動プロセスは、すべての動作中の圧縮機をランプダウンし、次いで非活動化する。さらに、圧縮機がシャットダウン中に、VSD内のDCリンクバスは依然として帯電中または活動中である。DCリンクバスの充電は、圧縮機の再始動の際の応答時間を高速にすることを可能にする。最後にフラグまたは他の適切な通知技法が使用されて、図10の始動プロセスのステップ1010で高温度再始動が必要であることが示される。次いで、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視し、高周囲温度モードでの圧縮機の再始動を開始する。ステップ1206で、周囲気温が所定の温度未満であり、および/またはDPが任意の圧縮機に対するDPしきい値未満である場合、プロセスはステップ1108に進む。ステップ1108では、現在動作していなかった任意の圧縮機が動作可能にされ、圧縮機が、高周囲始動周波数で動作するように設定され、制御は図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
ステップ1204に戻ると、すべての圧縮機が現在動作中である場合、ステップ1114で、圧縮機に電力供給するVSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満であるか否かが決定される。VSD出力周波数が最大VSD出力周波数に等しい場合、システムで追加の能力を生成することができないので、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。しかし、VSD出力周波数が最大VSD出力周波数未満である場合、ステップ1110で、圧縮機およびその対応する冷媒回路がチェックまたは評価され、何らかの圧縮機が負荷限界モードで動作中であるか否かが決定される。圧縮機または対応する冷媒回路が負荷限界モードで動作していない場合、ステップ1114で、現出力周波数に所定の増分量を加えたものに等しい上昇後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。所定の増分量は約0.1Hzから約25Hzの間でよく、好ましくは約0.1Hzから約1Hzの間である。所定の増分量は、ファジィ論理コントローラまたは制御技法によって計算することができることが好ましいが、任意の適切なコントローラまたは制御技法、例えばPID制御を使用することができる。上昇後VSD出力周波数を最大VSD出力周波数まで上昇させることができる。さらに、ステップ1114では、所定の調節時間に対して負荷タイマとアンロードタイマがどちらも設定される。圧縮機がその新しい動作VSD周波数に調節された後は、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。ステップ1110に戻ると、1つまたは複数の圧縮機および対応する冷媒回路が負荷限界モードで動作中であると制御プロセスが決定した場合、所定の調節時間に対して負荷タイマおよびアンロードタイマがどちらも設定され、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
図13は、本発明のHAT制御プロセスのいずれかの実施形態のためのシステムアンローディング制御プロセスを示す。システムアンローディング制御プロセスは、システムに対する負荷または要求の減少に応答して圧縮機の出力能力を低減させるために、システムに対する負荷または要求の減少、または圧縮機に電力供給するVSDからの出力周波数の低下に応答して、1つまたは複数の圧縮機を非活動化またはシャットダウンすることを含む。プロセスは、ステップ1302で、アンロードタイマまたはカウンタがそのカウントを完了したか否かを決定することによって開始する。アンロードタイマがそのカウントを完了していない場合、システムは、圧縮機のいずれもアンロードせず、図8のステップ802に戻り、アンロードタイマが終了し、またはシステム条件が変化するまで、システム条件をさらに監視する。
アンロードタイマは、圧縮機を始動または停止した前の制御命令、あるいは圧縮機およびそのそれぞれのモータに電力供給するVSDの出力周波数を上昇または低下させた前の制御命令に応答するための十分な時間をシステムに与えるために使用される。アンロードタイマがそのカウントを完了した後、次いで圧縮機アンローディング制御プロセスは、ステップ1304で、VSDの出力周波数が屋外周囲温度に依存する最小VSD周波数よりも高いか否かを決定する。VSDの出力周波数が最小VSD周波数よりも高くない場合、ステップ1306で、LCHLTが評価され、LCHLTが、所定の時間枠より長くにわたって、設定値温度から所定のオフセットを引いたものよりも低いか否かが決定される。所定の時間枠は、約10秒から約60秒まで変化することができ、好ましくは約30秒である。ステップ1306で、LCHLTが、所定の時間枠にわたって、設定値温度から所定のオフセットを引いたものよりも低い場合、ステップ1310で、プロセスはすべての動作中の圧縮機および対応する冷凍システムに対するシャットダウンプロセスを開始し、プロセスは終了する。ステップ1306での所定の時間枠の使用は、システムの短いサイクリングを防止し、システム全体がシャットダウンされることを正当化するのに十分なだけ負荷が低いことを確認するために使用される。LCHLTが所定の時間枠にわたって設定値温度から所定のオフセットを引いたものより低い場合、システムがその動作目標を完了した、すなわち設定値温度に達したので、圧縮機はシャットダウンされ、冷却器内の液体の凝固点に応じて、LCHLTを過度に低くすることによる圧縮機または対応する冷凍回路の損傷が恐らくは回避される。ステップ1306で、LCHLTが所定の時間枠にわたって設定値温度から所定のオフセットを引いたものより低くない場合、プロセスはステップ802に戻ってさらに監視する。
ステップ1304で、VSDの出力周波数が最小VSD周波数よりも高い場合、ステップ1312で、現出力周波数から所定の減分量を引いたものに等しい低下後VSD出力周波数で圧縮機に電力供給するようにVSDが制御される。所定の減分量は、約0.1Hzから約25Hzの間でよく、好ましくは約0.1Hzから約1Hzの間である。所定の減分量をファジィ論理制御によって計算できることが好ましいが、任意の適切な制御、例えばPID制御を使用することができる。低下後VSD出力周波数を最小VSD出力周波数まで低減することができる。さらに、ステップ1312では、所定の調節時間に対して負荷タイマおよびアンロードタイマがどちらも設定される。所定の調節時間は、約1秒から約10秒まで変化することができ、好ましくは約2秒である。圧縮機がその新しい動作VSD周波数に調節された後は、プロセスは図8のステップ802に戻り、システム条件をさらに監視する。
上記の制御プロセスは、モータに供給されるVSDの出力周波数を調節することによる高周囲温度下のシステム能力の制御を論じたが、VSDの出力電圧を調節してシステム能力を制御することもできることを理解されたい。上記の制御プロセスでは、VSDが、一定のボルト/Hzまたは一定のトルク動作モードを維持するように制御されることが好ましい。スクリュー圧縮機などのほぼ一定のトルクプロファイルを有する負荷に対して使用される、一定のフラックスまたは一定のボルト/Hzのモータ動作モードは、モータに供給される周波数の上昇または低下を、モータに供給される対応する電圧の上昇または低下によって整合することを必要とする。例えば、4極誘導モータは、その定格電圧の2倍かつその定格周波数の2倍で動作するとき、その定格出力馬力および速度の2倍を発揮することができる。一定のフラックスまたは一定のボルト/Hzモードにあるとき、モータに対する電圧の上昇の結果として、モータの出力馬力の同等の増大が生じる。同様に、モータに対する周波数の上昇の結果として、モータの出力速度の同等の増加が生じる。
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、本発明の要素の代わりに均等物を使用できることを当業者は理解されよう。さらに、本発明の不可欠な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料に適合するように本発明の教示に対して多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されるすべての実施形態を含むものとする。