JP2009514510A - 加水分解酵素活性のモニタ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加水分解酵素の活性をモニタする方法及び生体高分子の加水分解消化をモニタする方法を提供すること。
【解決手段】上記課題は、ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光における経時変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化を表すステップと、を含んでなる加水分解剤の活性を測定する方法により解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、加水分解酵素の活性をモニタする方法及び生体高分子の加水分解消化をモニタする方法に関する。特に、本発明は、蛍光色素を使用してタンパク質及び/若しくはペプチド消化、又はプロテアーゼ活性をモニタする方法に関する。
ヒドロラーゼは、アポトーシス、細胞分化、骨再形成、血液凝固、病態、ガン浸潤、細胞情報伝達及び多くの病原生物の感染サイクル(ほんの一部の例を挙げた)等の多くの生体プロセスにとって不可欠である。さまざまな基質特異性を有する広範囲の既知ヒドロラーゼによって多くのアッセイが開発されてきた。これらのアッセイはそれぞれに異なる特殊な基質を必要とするので、お互いを容易には比較できない。
一般に、例えば、プロテアーゼ酵素に対して、これらのアッセイは、加水分解による結合切断後に生じる分光光度変化(吸収又は蛍光)を介して連続してモニタされるプロテアーゼ基質のペプチド類似体に依拠する(例えば、WO2003/089663及びその引用文献)。この方法は、一次配列特異性の探索、特定のヒドロラーゼの活性の測定及び推定インヒビタの分析に有用であるが、これを使用して異なるプロテアーゼの活性を比較することはできない。なぜなら、基質選択に制限があり、かつ利用可能な基質は、ほんのわずかなプロテアーゼだけに対して適切であるからである。あるいは、カゼイン又はBSA等の一般の基質タンパク質は、フルオロフォアを用いて濃密に標識することができ、かつ消光の低減をプロテアーゼ活性の尺度に使用できる(例えば、Jones、et al.Analytical Biochemistry(1997)251(2)、144−152)。しかし、基質は、不均一に標識され、かつその結果得られるペプチドの標識はばらつくので、その後にペプチド分析を行って配列特異性を探索することはできない。また、タンパク質を物理的に標識することは、プロテアーゼのタンパク質消化能力に影響を与える。
Spencer et al.(Anal.Biochem.(1975)64、556−566)によると、疎水ポケットを含む無傷のタンパク質基質(BSA、α−カゼイン、ウレアーゼ及びカタラーゼ等)に対するいくつかのプロテアーゼの加水分解活性を、これらのポケットからのフルオロフォア(1−アニリノ−8−ナフタレンスルホネート)の放出によって追跡する方法が報告されている。しかし、この方法は、汎用でない。すなわち、疎水ポケットを含むタンパク質だけにしか機能しない。
従来技術として、色素で標識されたプロテアーゼ基質を必要とする方法がある。しかし、これらの方法は、基質を混乱させる。なぜなら、標識は、必ず非タンパク質性であり、かつ非常に大きいことが多く、プロテアーゼの天然の基質に対する妥当なモデルとしての有用性に疑義が生じる。色素を使わない方法には、電気泳動、HPLC及び質量分析がある。しかし、これらの方法は、面倒であり、リアルタイム測定に適さず、かつ動態データを抽出することが困難である。
さらに、さまざまなプロテアーゼを用いたタンパク質分解消化は、プロテオミクスにおけるタンパク質同定のための手法における第一のかつ重要なステップとして一般に使用される。
DNAの加水分解は、Picoグリーン(Tolun、et al、Nucleic Acids Research(2003)31(18)、e111/1〜e111/6)又は臭化エチジウム(例えば、Ferrari et al.、Nucleic Acids Research (2002)30(20)、e112/1〜 e112/9)等のDNA結合色素の変位によって測定されてきた。これらの方法は、蛍光標識された基質に依拠しないが、DNAの一様な構造に依拠して、DNAマイナーグルーブ又はインターカレーション部位からの色素の変位によってヌクレアーゼ又はヘリカーゼ活性をリアルタイムでモニタすることを可能にする。このタイプのアッセイがプロテアーゼ、エステラーゼ、グリコシラーゼ、ホスファターゼ等の他のヒドロラーゼに対して開発できたならば、格別の効果が得られるであろう。
したがって、定量的であり、例えば、異なるプロテアーゼの比較が可能であり、かつ基質非依存性である、ヒドロラーゼ活性のための高速かつ容易なリアルタイムアッセイには大きな需要がある。生成されたフラグメントが質量分析又はHPLCによって分析されることを可能にするようにヒドロラーゼ活性を測定する必要のあるプロテオミクスでは、さらに要求が大きい。このように、タンパク質又はペプチド消化の進行をモニタする新規かつ汎用なアプローチ(ここでは、生成されたペプチド及び他のフラグメントがさらなる下流の分析に対して利用可能である)に対する需要も存在する。
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点のうちの少なくとも一つを克服又は改善すること、又は有用な代替を提供することである。
第1の態様によると、本発明は、加水分解剤の活性を測定する方法であって、ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光における経時変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化を表すステップと、を含む方法を提供する。
前記生体分子は、いずれの生体高分子であってもよい。しかし、前記生体高分子は、好ましくはタンパク質、ペプチド又はプロテオームである。前記変化は、蛍光の増加又は低減であってもよい。
第2の態様によると、本発明は、生体分子の加水分解剤による消化をモニタする方法であって、ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光における経時変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化を表す、ステップと、を含む方法を提供する。
第3の態様によると、本発明は、生体分子の加水分解剤による消化の終了点を決定する方法であって、ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光においてさらなる変化が存在しなくなることが前記生体分子の消化の終了点を表すステップと、を含む方法を提供する。
第4の態様によると、本発明は、生体分子の加水分解剤による消化をモニタする方法であって、ステップ1:生体分子を加水分解剤に接触させて反応混合物を形成するステップと、ステップ2:前記反応混合物の第1の試料を蛍光色素と接触させ、かつ第1の試料の蛍光を決定するステップと、ステップ3:ステップ1の前記反応混合物を、前記生体分子の前記加水分解剤による消化を可能にする条件下におくステップと、ステップ4:前記生体分子の消化中の所望の時点において、前記反応混合物の第2の試料を蛍光色素に接触させるステップと、ステップ5:前記第2の試料の蛍光を決定するステップであって、前記第1の試料と比較された場合の前記第2の試料の蛍光における変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化の度合いを表すステップと、を含む方法を提供する。
上記方法の一実施形態によると、前記反応混合物を消化中に規則的間隔でサンプリングするステップ、及び前記試料のそれぞれに蛍光色素を加えた後、蛍光の経時変化を蛍光のさらなる低減が観察されなくなるまで測定するステップが考えられる。前記方法のこの変形例を使用して、生体高分子の消化の終了点を決定することができる。蛍光は、経時的に測定され、反応速度係数を示すデータを提供するという利点がある。サブサンプリングされた反応混合物は、測定の前に適切に停止される。
第5の態様によると、本発明は、上記態様のいずれか1つの方法において使用される、蛍光色素又はその組成物を提供する。
第6の態様によると、本発明は、上記請求項のいずれかの1つの方法において使用されるキットであって、蛍光色素、1つ以上の加水分解剤、必要に応じて前記加水分解剤のための基準基質、及び前記キットを前記生体高分子の消化をモニタするためにどのように使用するかの使用説明書を含むキットを提供する。
好ましくは、前記キットは、基準タンパク質又はペプチド基質又は任意の他の生物学的基準を含む。
好ましくは、前記キットは、前記酵素に対して適切な基準バッファを含む。上記好適なバッファは、ビシン(bicine)、BES等のグッドバッファ(Good’s buffers)のうちの1つを含む。
任意の加水分解性生体分子を本発明において使用してもよい。
前記生体分子は、任意のサイズ/分子量を有してもよいが、好ましくは高分子である。最も好ましくは、前記高分子は、炭水化物、脂質、ペプチド/タンパク質、プロテオーム、リンタンパク質、糖タンパク質又はオリゴヌクレオチドである。
本発明の関連において、用語「生体分子」は、天然分子及び合成分子の両方を含み、ここで、合成分子は、天然分子において見られる部分と同様の部分、又は類似体、同族体、誘導体若しくはそれらの改変体(ここで、改変体は、生体によって/内で、又は合成手段によってのいずれかで作成されてもよい)を含んでもよいことがが当業者には明らかとなる。
典型的には、本発明の生体分子は、2つ以上のアミノ酸によって形成されるアミノ酸のオリゴマー/ポリマー、すなわち、任意のサイズのペプチド、ポリペプチド若しくはタンパク質、2つ以上の核酸によって形成されるオリゴマー/ポリマー(例えば、DNA(cDNA、gDNA及び任意の非コードDNAを含む)又はRNA(mRNA、tRNA、RNAi、siRNA又は任意の非コードRNA、等を含む))、又は脂質中に見られるオリゴマー/ポリマー若しくはその部分である。
本発明はまた、生体分子の混合物に関することが当業者には明らかとなり得る。
任意の加水分解性生体高分子を使用してもよい。しかし、前記生体高分子は、好ましくは炭水化物、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、脂質又はそれらの混合物である。前記生体分子は、ゲノム、プロテオーム又は細胞抽出物中に存在してもよい。
あるいは、好ましくは、前記生体高分子は、加水分解剤によって切断又は消化されることが可能なタンパク質、ペプチド又はプロテオームである。
好ましくは、前記基質は、強化された疎水性を有する。そのような強化された疎水性を提供する任意の手段が適切であり得る。しかし、好適な実施形態においては洗剤であるタンパク質変性剤を、変性させない量だけ使用して、タンパク質の疎水性を強化し、これにより、蛍光色素の結合が強化又は変更される。そのような洗剤は、SDS、LDS、トリトンX−100、CHAPS、ALS、CTAB、DDAO、DOC等を含むが、これらに限定されない。
好ましくは、前記加水分解剤は、前記生体分子の疎水性を変更する。
本明細書全体にわたり、「タンパク質」なる用語は、特に、組み換えタンパク質を含むと解釈されるべきである。前記タンパク質又はペプチドは、複雑なタンパク質/ペプチド混合物(例えば、全プロテオーム)中に存在してもよい。
好ましくは、前記加水分解剤は、酵素であり、さらにより好ましくは、それは、生体分子を少なくとも1つの位置で切断できるプロテアーゼ、エステラーゼ、グリコシラーゼ、ホスファターゼ又はヌクレアーゼ等のタンパク質分解剤である。本発明において使用できるヒドロラーゼの例としては、カルボン酸エステルヒドロラーゼ、チオールエステルヒドロラーゼ、リン酸モノエステルヒドロラーゼ、リン酸ジエステルヒドロラーゼ、トリリン酸モノエステルヒドロラーゼ、硫酸エステルヒドロラーゼ、ジリン酸モノエステルヒドロラーゼ、リン酸トリエステルヒドロラーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエキソデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエキソリボヌクレアーゼ、3’−ホスホモノエステルを生成するエキソリボヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエキソヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエキソヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエンドデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステル以外を生成するエンドデオキシリボヌクレアーゼ、変化した塩基に対して特異的な部位特異性エンドデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエンドリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステル以外を生成するエンドリボヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエンドリボヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエンドリボヌクレアーゼ、グリコシダーゼ類(すなわち、O−及びS−グリコシルを加水分解する酵素)、N−グリコシル化合物を加水分解する酵素、チオエーテル及びトリアルキルスルホニウムヒドロラーゼ、エーテルヒドロラーゼ、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ、ジペプチジル−ペプチダーゼ及びトリペプチジル−ペプチダーゼ、ペプチジル−ジペプチターゼ、セリン型カルボキシペプチダーゼ、金属カルボキシペプチダーゼ、システイン型カルボキシペプチダーゼ、オメガペプチダーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、システインエンドペプチダーゼ、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ、金属エンドペプチダーゼ、スレオニンエンドペプチダーゼがあるが、これらに限定されない。
上記好適な蛍光色素は、タンパク質又はペプチドに疎水的に結合又は相互作用する蛍光色素である。一実施形態において、前記蛍光色素は、SYTOX グリーンである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、Hoechst 33342である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ヨウ化プロピジウムである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ANSである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、エピココノン(epicocconone)である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ナイルレッドである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、BODIPY FL Cセラミドである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、5−オクタデカノイルアミノフルオレセインである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、SYPROオレンジである。別の実施形態において、前記蛍光色素は、シアニン色素である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ラウルダン(laurdan)/プロダン(prodan)ファミリーの色素から選択される。別の実施形態において、前記蛍光色素は、dapoxyl誘導体である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ピレン色素である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ジフェニルヘキサトリエン誘導体である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、ローダミン誘導体である。別の実施形態において、前記蛍光色素は、クマリン誘導体である。しかし、疎水的に活性である任意の色素が本発明の方法において有用であることは、本明細書における教示から明らかとなる。有用な色素の例としては、シアニン色素、ラウルダン/プロダンファミリーの色素、dapoxyl誘導体、ピレン色素、ジフェニルヘキサトリエン誘導体、ANS及びその類似体、スチリル色素、ナイルレッド、両親媒性フルオレセイン、ローダミン及びクマリン又は環境の親油性に応じて蛍光の働きを実質的に変化させる任意の他のフルオロフォア(疎水的に活性)がある。さらに、タンパク質の疎水性を変化させるトランスフェラーゼ(例えば、メチルトランスフェラーゼ、ヒドロキシメチル−、ホルミル−及び関連のトランスフェラーゼ、カルボキシル−及びカルバモイルトランスフェラーゼ、アミジノトランスフェラーゼ、トランスケトラーゼ及びトランスアルドラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、ヘキソシルトランスフェラーゼ、ペントシルトランスフェラーゼ、他のグリコシル基を転移させる酵素、アルキル又はアリール基を転移させる酵素、トランスアミラーゼ(アミノトランスフェラーゼ)、オキシイミノトランスフェラーゼ、並びにタンパク質キナーゼ、硫黄トランスフェラーゼ、スルホトランスフェラーゼ、CoA−トランスフェラーゼ及びセレノトランスフェラーゼ等のリン含有基を転移させる酵素)等の生体分子を誘導体化する酵素が上記の色素と相互作用し、トランスフェラーゼ活性をリアルタイムでモニタすることを可能にし得ることが本明細書における教示から明らかである。
好ましくは、前記蛍光色素は、その環境の親油性に応じて蛍光の働きを実質的に変化させる。好ましくは、前記生体分子の加水分解は、前記蛍光色素によって実質的に影響されない。
本発明の関連において、用語「エピココノン及び関連の色素」は、WO2004/085546に詳細に記載されるように、エピココノン自身及び関連の蛍光色素を含むように意図される。WO2004/085546は、本明細書中において参考として援用される。
第7の態様によると、本発明は、加水分解消化反応の生成物を測定及び/又は検出する方法であって、ステップ1:生体分子に対して加水分解消化を行い、タンパク質又はペプチドフラグメントを得るステップと、ステップ2:前記タンパク質又はペプチドフラグメントを蛍光色素に接触させるステップと、ステップ3:前記色素の蛍光の変化を検出するステップであって、前記色素の蛍光の前記変化が前記タンパク質又はペプチドフラグメントの量に比例するステップと、を含む方法を提供する。先行する請求項のいずれか1つにかかる方法であって、前記生体分子が生体高分子である、方法。
好ましくは、前記加水分解は、グッドバッファ又はビシンバッファ(bicine buffer)等のバッファの存在下に行われる。
好ましくは、蛍光は、経時的に測定され、反応速度係数を示すデータを提供する。好ましくは、前記消化は、終了点が得られた際に停止され、かつ前記反応混合物の詳細な分析が消化の停止後に行われる。前記詳細な分析は、ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)、ペプチドマッピング及びHPLCからなる群から選択されてもよい。
他の実施形態において、塩基が前記蛍光色素に付加されてもよい。
さらなる実施形態において、前記生体分子は、生体試料又は食品試料由来である。前記生体分子は、タンパク質又はタンパク質の混合物であってもよい。好ましくは、前記生体分子は、炭水化物又は炭水化物の混合物である。好ましくは、前記生体分子は、糖タンパク質又はデンプンである。好ましくは、前記生体分子は、脂質である。好ましくは、前記生体分子は、植物油である。好ましくは、前記生体分子は、オリゴヌクレオチドである。好ましくは、前記生体分子は、DNAである。
前記キットはまた、BSA、アポ−トランスフェリン、α−カゼイン、β−カゼイン、炭酸脱水酵素、フェチュイン(fetuin)、サケ精子DNA、可溶性デンプン、及びオリーブ油からなる群から選択される基準タンパク質又はペプチド基質を含んでもよい。
本発明の好ましい態様を添付する図面を参照して、例示することにより示す。
図1:エピココノン(A;λex540+10nm,λem630±10nm)をレポータ色素として用いたPNGase Fによるフェチュインの脱グリコシル化のリアルタイム反応速度モニタリング及びSDS−PAGE(B)による消化の検証フルオロフォアを用いた糖タンパク質(白正方形)を二位相指数関数的会合/分離モデル(Y=Ymax*exp(1−k1X)+span*exp(−k2X)+plateau)にフィッティングし、決定したk1及びk2の値を酵素PNGase F(白丸)を用いたフェチュインの酵素加水分解のための三位相指数関数的会合/分離モデル(Y=spanl*exp(1−k1X)+ span2*exp(−k2X)+ span3*exp(l−k3X)+plateau)におけるk1及びk2の固定値として用いた。挿入図は誘導された速度定数と加水分解半減期を示す。図1Bは元の(レーン2)及び脱グリコシル化されたフェチュイン(レーン3)のSDS−PAGE検証を示す。レーン1はLMWマーカ(97,66,45,30,20.1及び14.4kDa)を、レーン4はPNGase F酵素のみ(48.4kDa)を示す。
図2:Hoechst 33342(λex355nm,λem460nm)(A)、SYTOX−グリーン(λex485nm,λem520nm(B)及びヨウ化プロピジウム(λex540+10nm,λem630+10nm)(C)をレポータ色素として用いたDNase 1によるサケの精子2重鎖DNAの加水分解のリアルタイム反応速度モニタリング色素とDNA(白正方形)及びDnaseと色素とDNA(白丸)について、進行曲線を蛍光データに対してフィッティングした。それぞれのケースにおいて、フルオロフォアを用いたDNAの進行曲線を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、決定したkの価をDNA+DNaseについての二位相指数関数的減衰(Y=spanl*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)における固定値k1として用いた。挿入図は擬一次速度定数と加水分解半減期とを示す。図2Dは、Hoechst 33342(レーン2及び3)、SYTOX−グリーン(レーン4及び5)及びヨウ化プロピジウム(レーン6及び7)を用いたDNA試料の加水分解のDNAゲル電気泳動に基づく検証を示す。レーン1及び8はSPPl DNA分子量マーカを示す。
図3:エピココノン(λex540+10nm,λem630+10nm)をレポータ色素として用いたα−アミラーゼによるデンプンの加水分解のリアルタイム反応速度モニタリング図3Aはエピココノンの蛍光の減少が起きたデンプンとアミラーゼであり、図3Bでは洗剤トリトンX−100(0.02%)を添加した。それぞれのケースにおいて、フルオロフォアを用いたタンパク質(白正方形)を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、kの値がデンプンとアミラーゼを用いる二位相指数関数的減衰(白丸)(Y=spanl*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)における固定値k1として用いられた。挿入図は擬一次速度定数と加水分解半減期とを示す。
図4:BODIPY(登録商標)FL C−セラミド(λex485nm,λem520nm)をレポータ色素として用いたアルカリ性ホスファターゼによるβ−カゼイン(β−CN)の脱リン酸化のリアルタイム反応速度モニタリングフルオロフォアを用いたリンタンパク質のみ(白正方形)を一次指数関数的増加(Y=span*exp(1−kX)+plateau)にフィッティングし、決定したkの値がホスファターゼを用いるリンタンパク質の酵素加水分解の二位相指数関数的増加(白丸)(Y=spanl*exp(1−k1X)+span2*exp(1−k2X)+plateau)における固定値k1として用いられた。挿入図は誘導された速度定数とアルカリ性ホスファターゼを用いたβ−カゼインの加水分解半減期とを示す。
図5:5−オクタデカノイルアミノフルオレセイン(λex485nm,λem520nm)をレポータ色素として用いたリパーゼ(0.01μL,Greasex(登録商標))によるオリーブオイルの加水分解のリアルタイム反応速度モニタリング正方形は酵素なしのオリーブオイルのリアルタイムデータであり、丸はリパーゼを添加したオリーブオイルである。フルオロフォアを用いたオリーブオイルのみ(白正方形)を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、決定したkの値がリパーゼを用いるオイルの酵素加水分解の二位相指数関数的減衰(白丸)(Y=spanl*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)における固定値k1として用いられた。挿入図は誘導された速度定数と加水分解半減期とを示す。
図6:フルオロフォアのエピココノン(λex540+10m,λem630+10nm)をレポータ色素として用いた非特異的プロテアーゼ(パパイン)による4種類の異なるタンパク質消化のリアルタイム反応速度モニタリングの例それぞれのケースにおいて、フルオロフォアを用いたタンパク質(白正方形)を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、kの値がタンパク質とパパインを用いる二位相指数関数的減衰(白三角形)(Y=spanl*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)における固定値k1として用いられた。BSA(A)、カゼイン(B)、アポ−トランスフェリン(C)及び炭酸脱水酵素(D)を例として示す。挿入図は擬一次速度定数と消化半減期とを示す。図6Eは、パパインを用いた異なるタンパク質の消化のSDS−PAGE検証を示す。レーン1:LMWマーカ(97,66,45,30,20.1及び14.4kDa);2:BSA;3:BSA/パパイン;4:α−カゼイン;5:カゼイン/パパイン;6:アポ−トランスフェリン;7,:アポ−トランスフェリン/パパイン;8:炭酸脱水酵素(ウシ);9:炭酸脱水酵素/パパイン;10:パパインのみ。
図7:この例は、種々のフルオロフォアのプロテアーゼによるBSA加水分解のモニタリングへの適用を示す。SYPROオレンジ(A)、ナイルレッド(B)及びエピココノン(C)を用いたトリプシンによる、並びにANS(D)を用いたパパインによるタンパク質分解のリアルタイムモニタリングそれぞれのケースにおいて、フルオロフォアを用いたタンパク質(白正方形)を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、決定したkの値がタンパク質とプロテアーゼを用いる二位相指数関数的減衰(白丸)(Y=spanl*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)における固定値k1として用いられた。各グラフ中の挿入図は誘導された速度定数と加水分解半減期とを示す。図7Eは、異なるフルオロフォア(連2及び3:SYPROオレンジ、レーン4及び5:ナイルレッド、レーン6及び7:エピココノン、レーン8及び9:ANS)を用いたトリプシン(レーン2〜7)及びパパイン(レーン8及び9)によるBSAタンパク質分解のSDS−PAGE検証を示す。レーン1はLMWマーカ(97,66,45,30,20.1及び14.4kDa、上部から下部方向)を示す。
図8:ウシ血清アルブミン(BSA:白丸)及び炭酸脱水酵素(CA:逆三角形)のトリプシン消化をレポータ色素を添加することなしで行った。各反応は、指定された時間でサンプルを採取し、レポータ色素(エピココノン)添加及び蛍光の測定の前に、トリプシン活性をロイペプチン(A)又は大豆トリプシンインヒビタ(B)のいずれかによってクエンチした。挿入図は、データを一次指数関数的減衰にフィッティングすることにより算出された見かけ上の消化の一次速度定数を示す。
図9:蛍光レポータ色素(エピココノン、λex540+10nm,λem630+10nm)を用いた加水分解酵素(トリプシン)による複雑なプロテオーム(酵母)のトリプシン消化のリアルタイム反応速度モニタリングフルオロフォアを用いた糖タンパク質のみ(白正方形)を二位相指数関数的会合/解離モデル(Y=Ymax*exp(1−k1X)+span*exp(−k2X)+plateau)にフィッティングし、決定したk1及びk2の値が酵素トリプシンFを用いる酵母プロテオームの酵素加水分解の三位相指数関数的会合/解離式(白丸)(Y=spanl*exp(1−k1X)+span2*exp(−k2X)+span3*exp(l−k3X)+plateau)における固定値k1及びk2として用いられた。挿入図は誘導された速度定数と加水分解半減期とを示す。良好なフィットは、プロテオーム及び色素(黒正方形)とプロテオーム、加水分解酵素及び色素(黒丸)との残差により示される。
図10:エピココノンをレポータ色素として用いた変性させない量の洗剤(SDS)の存在下及び非存在下における炭酸脱水酵素(CA)のトリプシン消化のリアルタイム反応速度モニタリングCA及びSDSを含みトリプシンを含まない(白正方形)と、蛍光のゆっくりした低下がみられ、トリプシンが存在すると(白丸)蛍光の位相指数関数的減衰がみられた。SDSが存在しないと、CA周囲の疎水性の低下のため信号は一層低い(逆三角形)。
図11:ビシンバッファ(青)、トリプシン(黄)、ウシ血清アルブミン(マゼンタ)及びトリプシン消化BSA(シアン)の蛍光の変化を示す生データ
図12:0−128分に逐次採取し、85℃でゲルローディングバッファ中でクエンチした(A)BSAトリプシン消化(エピココノン含有)ゲル電気泳動トリプシン以外の成分を全て含む対照(コントロール)ゲル(B)は128分経っても変化を生じない。ゲルを「Deep Purple Total Protein Stain」により染色した。第1レーンはLMWマーカを示し、最後のレーンは一晩インキュベートしたものを示す。
図13:図12に示すサンプルのゲート領域から測定した総蛍光強度
図14:図11からの生データの反応速度分析図14Aは、染色の展開及び引き続き分解を示すビシンバッファ(pH8.4)中のエピココノンの反応の分析である。見かけ上の一次定数が示唆される。分解速度はトリプシン消化(B)の一次反応定数を算出する際に用いられる。図13のタンパク質ゲル(C)からのデータの分析からも同様の結果が得られた。
図15:SDS−PAGEにおけるトリプシン消化の可視化レーン1:マーカ、レーン2:トリプシンのみ(T=0)、レーン3:T=0(トリプシンなし)、レーン4:T=0(トリプシン添加直後)、レーン5:T=0.25時間、レーン6:T=0.5時間、レーン7:T=1時間、レーン8:T=6時間、レーン9:T=18時間、レーン10:トリプシンのみ(T=18時間)
図16:引き続きエピココノン処理が行われるBSAの消化におけるキモトリプシン動態のリアルタイムモニタリング
図17:引き続きエピココノン処理が行われるBSAの消化におけるトリプシン動態のリアルタイムモニタリング
図18:引き続きSYPROオレンジ処理が行われるBSAの消化におけるトリプシン動態のリアルタイムモニタリング上側のグラフは時間の経過に対するSYPROオレンジのBSAへの応答(r=0.9995)を示し、下側のグラフはトリプシンを添加したほかは同じ条件での応答を示す。トリプシン加水分解速度は0.1466分−1(r=0.9739)と決定された。
図19:FluoroProfileアッセイ第1及び第2行は37℃で18時間インキュベートした(トリプシンなしの)未消化BSA試料の複製試料である。第3及び第4行は37℃で18時間インキュベートした(トリプシありの)消化BSA試料の複製試料である。かかる試料は最終的に1024分の1になるように連続的に四倍希釈した(注釈参照)。第5及び第6行はそれぞれ、250μgmL−1から61ngmL−1に連続希釈されたBSA標準及びアプロチニン標準である。第1列は対照として50mMのビシンバッファを含む。
図20:4倍希釈系に対し蛍光をプロットした。
図21:蛍光対既知BSA濃度(グラフは表A2からプロットした。)
図22A:BSA標準曲線図22B:アプロチニン標準曲線
図23:ナイルレッド、疎水環境下で蛍光を増すその他の色素を用いた後続トリプシン消化上側のグラフは時間の経過に対するナイルレッドのBSAへの応答(r=0.9969)を示し、下側のグラフはトリプシンを添加したほかは同じ条件での応答を示す。トリプシン加水分解速度は0.1302分−1(r=0.0.9894)と決定された。
本発明は、蛍光色素の疎水性環境に対する応答を使用して非侵襲的に加水分解酵素の活性を追跡できるという発見に基づく。色素は、永久的な共有結合で基質を修飾するわけではないので、色素の酵素の活性に対する影響は大きくない。理論に束縛されることを望まないが、加水分解の最終生成物の親水性が増加すると、環境に対して感受性のあるフルオロフォアによる蛍光がそれに伴って低減する。
より具体的には、本発明は、蛍光色素であるエピココノンの蛍光が、タンパク質及び加水分解酵素(例えば、パパイン等)を含む加水分解反応において使用される場合に、タンパク質消化が完了まで進行するにつれ、低減するという驚くべき発見に基づく。
エピココノン、その誘導体及び使用は、国際特許出願No.PCT/AU2004/000370(PCT公開No.WO2004/085546)に記載されている。この文献は、本明細書中において参考として援用される。エピココノン及び関連の色素は、特にタンパク質及び他の生体高分子の検出及び定量に対して首尾よく使用されてきた。これらの方法は、エピココノン等の色素の蛍光がタンパク質の濃度が増加するにつれて強化されることに基づく。本明細書中において記載される研究について、消化されたタンパク質試料の蛍光強度は、タンパク質消化の結果としてのリジン残基の暴露の増加に比例して経時的に増加すると仮定した。しかし、予想に反して、BSA(ウシ血清アルブミン)のパパイン消化においてエピココノンを含めたところ、蛍光が急速に低減することが示された。この蛍光の低減は、消化プロセスを有効に追従し、かつタンパク質消化の完了時には最低レベルに達した。このことは、SDSーPAGEによって確認された。
理論又はいずれの特定の作用メカニズムにも束縛されることを望まないが、より小さなペプチドフラグメントを生じるタンパク質又はペプチドの加水分解消化によってタンパク質の電荷密度又は疎水性が変更され、したがって、タンパク質と疎水的に活性な蛍光色素との相互作用が影響を受け、その結果、色素の蛍光が低減するようである。さらに、変性させない量の界面活性剤(例えば、SDS、トリトンX−100又はCTAB)を加えると、加水分解されたタンパク質と加水分解されないタンパク質との間の蛍光の差が劇的に増加した。この原理は、開始材料よりも極性の大きい又は小さい生成物を放出するすべての加水分解酵素又は他の加水分解剤、及び環境の疎水性に応じて量子収率が増加又は低減するすべてのフルオロフォアに対して一般に適用できる。
上記のように、エピココノン等の疎水的に活性な色素の蛍光がプロテアーゼによるタンパク質消化中に低減することが観察されることはまた、他の疎水的に活性な蛍光色素に当てはまり得ることが明らかであり得る。例えば、シアニン色素、ラウルダン/プロダンファミリーの色素、dapoxyl誘導体、ピレン色素、ジフェニルヘキサトリエン誘導体、ANS及びその類似体、スチリル色素、ナイルレッド、両親媒性フルオレセイン、ローダミン並びにクマリン又は環境の親油性に応じて蛍光の働きを実質的に変化させる任意の他のフルオロフォア等の色素ファミリー。同様の性質を有する他の色素が当業者に公知であり得る。
さらに、上記の原理、及び蛍光色素を用いて観察される効果は、タンパク質の切断若しくは消化、又はタンパク質若しくは生体分子(例えば、トランスフェラーゼ、キナーゼ)への基の転移のための任意の方法に当てはまるはずである。
上記原理に基づいて、一実施形態において、本発明は、加水分解酵素を適切な基質(例えば、タンパク質又はペプチド)及び基質と相互作用可能な蛍光色素と組み合わせることによってプロテアーゼ等の加水分解酵素の活性を測定し、かつ加水分解酵素の活性を示す蛍光の経時的な低減又は増加(変化)を測定又は観察する方法に関する。そのような用途に対して、基準タンパク質基質(例えば、BSA又は同様のもの)を使用することができる。
別の実施形態において、本発明は、リン酸塩、硫酸塩又は炭水化物等の極性基がタンパク質から除去されるにつれ、蛍光が経時的に増加することをモニタする方法に関する。
別の実施形態において、本発明は、上記と同様の反応におけるタンパク質等の生体分子の加水分解消化を、リアルタイムで又は連続サンプリングによってのいずれかで、モニタし、かつやはり、加水分解消化の進行を示すものとして蛍光の経時的低減又は増加を検出又は観察する方法に関する。
上記方法は、本明細書中において、自動化又は連続フロー手法に容易に適用される。
ここで、非限定的な例を参照して本発明をより詳細に説明する。本明細書中で提供されるプロテアーゼの例としては、トリプシン及びパパインがあり、蛍光色素の例としては、エピココノン、ANS、ナイルレッド及びSYPROオレンジがあるが、これらは、単に本発明の原理及び働きを明示するための便宜上のシステムである。本明細書において提供される加水分解酵素の他の例としては、エステラーゼ(ホスファターゼ、リパーゼ、DNase)及びグリコシラーゼ(アミラーゼ、PNGase)があるが、やはり、これらは、単に本発明の有用性を明示するための便宜上のものである。提供される適切なフルオロフォアのさらなる例としては、SYTOXグリーン、Hoechst 33342、ヨウ化プロピジウム、エピココノン、BODIPY FL Cセラミド又は5−オクタデカノイルアミノフルオレセインがあるが、やはり、これらは、単に本発明の広い有用性を明示するための便宜上のものである。
準備例
例A:エピココノンを使用したトリプシン消化のリアルタイムモニタリングこの研究の目的は、エピココノン等の蛍光色素がトリプシンタンパク質消化をリアルタイムでモニタするために使用可能かどうかを確認することであった。
A.1 材料
ビシン(50mM、pH8.4、Sigma−Aldrich B3876)BSA(50mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich A3059)トリプシン(20μg/20μL 1mM HCl、Sigma−Aldrich T6567)ヨードアセタミド(100mMビシン中1M、Sigma−Aldrich 16125)DTT(100mMビシン中200mM、Bio−rad 161−0611)96穴透明底プレート(Greiner bio−one、655096)エピココノン(DMSO中24mM、FLUOROtechnics)Deep Purple全タンパク質ゲル染色(GE Healthcare)NuPAGE Novex12%ビス−トリスゲル(Invitrogen、NP0341)LMWマーカ(Amersham Biosciences、17−0446−01)
A.2 装置
Typhoon 9200 (Amersham Biosciences)FluoStar (BMG)電気泳動システム(XCeIl SureLock、Invitrogen)
A.3 方法
A.3.1 消化のためのBSAの調製
1 トリプシン消化をビシンバッファ中で行った(ph8.4)。
2 BSAを50mMビシンバッファ中10mg/mLとなるように調製した。
3 100μlのBSA試料をトリプシン消化のための使用した。
A.3.2 還元及びアルキル化
1 100μLのBSA試料に5μLのDTTストックを80℃で10分間加えて還元した。
2 試料に4μLのヨードアセタミドストックを室温で45分〜1時間加えてアルキル化した。
3 試料に残ったヨードアセタミドに20μLのDTTを室温で45分〜1時間加えて中和した。
A.3.3 エピココノンを使用したトリプシン消化のリアルタイムモニタリング(FluoStarアッセイ)
1 上記3.2からの還元及び変性化BSA試料を50mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。BSAのモル濃度は、約4μMであると計算された。
2 100μLの試料(ステップ1)の複製を調製し、マイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、ビシンを基にした消化バッファ、トリプシン試料のみ、及び未消化BSA試料(トリプシンなし)を含んだ。
3 エピココノンストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈した。100μLの希釈エピココノン溶液を各対応の穴に加えた。最終濃度は、12μMであった。この時点で、適切なFluoStar設定条件を得るために約10分かかった。
4 1mM HCl中で再調製されたトリプシン(Sigma−Aldrich T6567)を1:40の比で加えた。
5 FluoStar(Ex/Em=540/630±12)を使用して、蛍光発色を2分ごとに6時間までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、1サイクル当たり10回のフラッシュを180サイクル。
6 データをExcelのグラフにプロットした(図11)。
A.3.4 トリプシン消化のSDS−PAGEにおける可視化
1 上記3.2からの還元及び変性化BSA試料を50mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。BSAのモル濃度は、約4μMであると計算された。
2 100μLの試料(ステップ1)を1.5mLマイクロチューブに加えた。コントロールは、ビシンを基にした消化バッファ、及び未消化BSA試料(トリプシンなし)を含んだ。
3 エピココノンストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈した。100μLの希釈エピココノン溶液を各対応の穴に加えた。最終濃度は、12μMであった。この時点(時間0)で、15μLの試料を取り出し、15μLのタンパク質ゲルローディングバッファ(2×)と混合し、そして85℃で5分間変性させた。
4 1mM HCl中で再調製されたトリプシンを1:40の比で加えた。次いで、試料チューブを37℃でインキュベートした。
5 副次試料を2、4、8、16、32、64、128分、及び一晩(18時間)後に採取した。各サンプリング時点で、15μLの試料を取り出し、直ちに15μLのタンパク質ゲルローディングバッファ(2×)と混合し、85℃で5分間変性し、そして−80℃で保存した。
6 上記のように採取した副次試料をSDS−PAGE(Nupage、12%BTゲル)に流し、そしてゲルをDeep Purpleで染色して可視化した。
7 Deep Purple染色ゲルをTyphoonスキャナ(Ex:Em=532:560 LP、440PMT)で画像化した。
8 消化されたタンパク質試料(図12A)及び未消化タンパク質試料(図12B)を示すすべてのゲルレーンを等しくゲートでコントロールし(gated)、そして蛍光強度をImageQuant(v5.2)ソフトウェアによって測定した。
A.4 データ分析及び結果
これらの研究の結果を図11〜14にまとめた。
BSA及びBSA+トリプシンのエピココノンとの反応から得られた生データを記載のように測定し、そしてPrism(バージョン4.0.3、GraphPad Software、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国)を使用して単純第一次動態モデルにフィットさせた。
ビシンバッファにおけるBSAのエピココノンとの反応について、少なくとも2つの反応があり、1つは、エピココノンのBSAとの時間依存性の会合、及び次いでよりゆっくりとした分解、及び/又はこの蛍光複合体の光退色であることが明らかである。このプロセスを単純な会合/解離モデルを用いてモデル化した。
Figure 2009514510
ここで、第1項は、信号の指数関数的な増加を意味し、及び第2項は、指数関数的な低減を意味する。図11からの値を背景の蛍光(ビシン+トリプシン)から引き、そして実験の実際の開始時間(第1の読み取りから10分と推定)について調節した。このモデルについて、0.9992のr値を得た(図14)。
時間とともに信号が低下するのは、エピココノンのタンパク質(及びおそらくはペプチド)との相互作用の特性であるので、kについての値をトリプシン動態の分析に使用した。二位相指数関数的減衰
Figure 2009514510
を使用した。ここで、kは、BSA単独で見られた値に設定した。このように、実験条件下のトリプシンについて推定された見かけの一次速度定数は、0.109分−1(r=0.9871)であることが分かった。明らかに、実際の動態は、より複雑であるが、これは、多くの場合に加水分解活性のモニタリングに対して非常に有用となり得るよい近似である。
サブサンプリングされた反応からの結果を同様に分析するが、信号の経時的な低下に関連する項は、ゲルとは関係がないので使用しない。このように、見かけの一次速度定数が0.3136分−1(r=0.9757)であることが分かった。しかし、非常に少ないポイントではあるが、大きな95%の信頼区間が見られた(0.1976〜0.4296分−1)。測定が比較的不正確なモードであること(例えば、より高い見かけの速度定数を生じるサブサンプリング手順中にもトリプシン消化が継続する)を合わせると、エピココノンを用いたトリプシン消化のインサイチュのモニタリングは、サブサンプリングの面倒なプロセスと同程度であり、かつ酵素動態は、色素の存在によって著しくは影響されないことが示唆される。
上記の実験はまた、炭酸バッファ(NHHCO、100mM又は50mM、pH8.2)において行い、そして結果をビシンバッファを使用して得たデータと比較した。比較結果を図15に示す。
SigmaーAldrichプロテオミクスグレードのトリプシン(T6567)は、両方の消化バッファにおいて十分に機能した。消化は、0.5〜1時間内に完了に達したように見えた。
提示するデータは、還元及びアルキル化BSAが急速にトリプシンによって消化され、かつこのプロセスを環境に感受性のある蛍光色素を用いてそのまま(in situ)追跡できることを示す。
例B−エピココノンを使用したBSA−消化におけるキモトリプシンの動態
B.1 材料
ビシン(50mM、pH7.8、B3876)BSA(50mMビシン中10mg/mL、A3059)キモトリプシン(C4129、1mg/mLの1mM HCl)CaCl(RO水中1M)ヨードアセタミド(100mMビシン中1M、16125)DTT(100mMビシン中200mM、Bio−rad 161−0611)エピココノン(DMSO中24mM、Fluorotechnics)FluoStar(BMG)96穴透明底プレート(Greiner bio−one、655096)
B.2. 方法
B.2.1 消化のためのBSの調製
1. キモトリプシン消化をビシンバッファ中で行った。
2. BSAを50mMビシンバッファ中で10mg/mLとなるように調製した。
3. 100μLのBSA試料をキモトリプシン消化のために使用した。
B.2.2 還元、アルキル化及び中和
1. BSA試料(100μL)に5μLのDTTストックを加え、そして(80℃)で10分加熱して還元した。
2. 試料にヨードアセタミド(4μL)ストックを加えて室温で45分〜1時間アルキル化した。
3. 試料に残ったヨードアセタミドにDTT(20μL)を加え、そして室温で45分〜1時間インキュベートして中和した。
B.2.3 エピココノンを使用したキモトリプシン消化のリアルタイムモニタリング(FluoStarアッセイ)
1. 上記2.2からの還元及び変性化BSA試料を50mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。BSAモル濃度は、約6μMであると計算された。
2. 100μLの試料(ステップ1)の複製を調製し、マイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、ビシンを基にした消化バッファ、キモトリプシン試料のみ、及び未消化BSA試料(キモトリプシンなし)を含んだ。
3. エピココノンストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈し、そして100μLを各穴に加えた。エピココノンの最終濃度は、12μMであった。この時点で、適切なFluoStar設定条件を得るために約10分かかった。
4. 2μLのCaClを加えた。
5. 1mM HCl中で再調製されたキモトリプシン(C4129)を1:30の比で加えた。
6. FluoStar(Ex/Em=540/630−12)を使用して、蛍光発色を2分ごとに6時間までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度30℃、1サイクル当たり10回のフラッシュを180サイクル。
7. データをExcelのグラフにプロットした(図11)。
B.3. 結果及び考察
図16に、BSA消化におけるキモトリプシン動態のリアルタイムモニタリングを示す。図16にまた、トリプシン(図17)と同様の動態パターンであって、蛍光が未消化BSAにおいて指数関数的に増加し、かつ消化されたBSAにおいて指数関数的に減衰するパターンを表示する。これらの条件下においてキモトリプシンについて得られた見かけの一次速度定数は、0.0447分−1であった。
例C−SYPROオレンジの付加によって追跡したBSAのトリプシン消化
C.1 材料
上記の例2の通り。SYPROオレンジ(DMSO中24mM、Molecular Probes)を50mMビシン中で100倍に希釈。
C.2 方法
例2の通り。ただし、Fluorostarのプレートリーダを480nm励起及び600(±10nm)帯域通過発光フィルタに設定した点が異なる。
C.3 結果
結果によると、SYPROオレンジ(疎水性環境において蛍光を増加する別の色素)は、タンパク質消化のリアルタイム分析においてエピココノンと同様の性能であることが示された(図18)。特に、蛍光の経時的な降下を追跡することによってトリプシン消化についての見かけの一次速度定数を抽出することが可能であった。この色素を使用して同様の値(k=0.1466分−1)を得た。エピココノンとSYPROオレンジとの顕著な違いは、エピココノンを用いて観察された蛍光の増強がSYPROオレンジでははっきりとは見られなかったこと、及び蛍光の光退色/低下がエピココノンを用いた場合よりも速いことである。
例D−トリプシン消化後に生成されたペプチドを定量するためのFluoroProfileの使用(18時間)
D.1 材料及び装置
ビシン(50mM、pH8.4、B3876)BSA(50mMビシン中10mg/mL、A3059)トリプシン(20μg/20μL 1mM HCl、T6567)ヨードアセタミド(100mMビシン中1M、16125)DTT(100mMビシン中200mM、Bio−rad 161−0611)96穴透明底プレート(Greiner bio−one、655096)BSA基準(A3059BSA基準(Sigma−Aldrich、A3059)アプロチニン基準(Sigma−Aldrich、A1153)FluoroProfile(Sigma−Aldrich)9200 Typhoonスキャナ(Amersham Biosciences)
D.2 方法
1. これまでに記載したようにトリプシン消化ためにBSAを変性、還元、アルキル化、そして中和した。下記に簡単にまとめる。100μLのBSA試料(10mg/mL)5μLの200mM DTT(Biocine製):70℃で10分間4μLの1M IDA(Biocine製):室温で45分20μLの200mM DTT(Biocine製):室温で45分
2. 還元、アルキル化、そして中和した後、上記BSA試料を50mMビシンバッファ中で10倍に希釈し(50μLの試料+450μLの50mMビシンバッファ)、トリプシン消化のための試料を得た。すなわち、それぞれT=0時間及びT=ON(一晩)でサブサンプリングされた、未消化BSAに対する複製試料、及び消化されたBSAに対する複製試料(2.5μLの1mM HClを加えた)、及びそれぞれT=0時間及びT=ONでサブサンプリングされた、消化されたBSAに対する複製試料(2.5μgのトリプシンを含む2.5μLを加えた)。
3. トリプシン消化の終了時に、1μLの10%TFAを加え、そして−80℃で保存した。消化に対するBSAの量は、749μg/mLであると計算された。
D.2.1 試料の調製
未消化BSA(複製)及び消化されたBSA(複製)について、試料を50mMビシン中で4倍ずつ連続希釈し、最後には1024倍希釈を得た。BSAを新たにビシンバッファ中に調製し、そして連続希釈して、61ng/mL〜1mg/mLの範囲の希釈系列を得た。アプロチニンを新たにビシンバッファ中に調製し、そして連続希釈して、61ng/mL〜1mg/mLの範囲の希釈系列を得た。
D.2.2 FluoroProfileアッセイ
8部の50mMビシン、1部のパートA、及び1部のパートBから作業用FluoroProfileキットミックスを調製した。試料(50μL)を96穴プレートに置き、そしてFluoroProfile作業用溶液(50μL)を各穴に加えた。試料を30分間室温でインキュベートした。蛍光をTyphoonスキャナを使用して532/610(Ex/Em)で読み取った。
D.3 結果
D.3.1 未消化及び消化されたBSAの蛍光レベルのFluoroProfile分析
図19に、試料をFluoroProfileによってアッセイしたプレートのTyphoon−スキャンイメージを示す。表A1及び図20に示すように、消化されたBSA試料についての蛍光は、未消化試料よりも著しく高い。
表A1 連続希釈された未消化(3番目のカラム)及び消化されたBSA試料(7番目のカラム)の蛍光試料は、FluoroProfileによってアッセイし、そしてTyphoonスキャナで蛍光を読み取った。
Figure 2009514510
未消化及び消化された試料(連続希釈したもの)の蛍光をトリプシン消化のために使用したBSA濃度に対してプロットした(表A2及び図21)。トリプシン消化のための使用したBSA(変性させたもの)の濃度は、749μg/mLであると計算された(表2を参照)。
表A2 トリプシン消化のために使用したBSA(749μg/mL)の希釈並びに対応する未消化BSA及び消化されたBSAの蛍光
Figure 2009514510
D.3.2 FluoroProfileを使用した、消化されたBSAの定量
未消化BSA(変性化、18時間インキュベート)において濃度704μg/mLを生BSA基準曲線(図22A)に対して補間することによって決定した(表A3)。消化されたBSAは、1057μg/mLであると推定された。
表A3 生BSA基準を使用した、消化されたBSA(BSA+トリプシン)の定量
Figure 2009514510
未消化BSA(変性化、18時間インキュベート)における濃度560μg/mLをアプロチニン基準曲線(図22B)に対して補間することによって決定した(表A4)。消化されたBSAは、938μg/mLであると推定された。
表A4 アプロチニン基準を使用した、消化されたBSA(BSA+トリプシン)の定量
Figure 2009514510
消化されたBSAにおける蛍光の増加をFluoroProfileアッセイにおいて観察した。ここで、18時間のトリプシン消化の後に採取された副次試料に対してパートA及びBを使用した。生のBSA基準(図22A)及びアプロチニン基準(図22B)を使用し、消化されたBSAの蛍光の増加は、未消化BSA(表A3及び表A4)よりも約50%及び67%高いことが観察された。
例E−ナイルレッドの付加によって追跡したBSAのトリプシン消化
E.1 材料
上記例2の通り。ナイルレッド(エタノール中20mM、Sigma−Aldrich、73189)を50mMビシン中で100倍に希釈。
E.2 方法
例2の通り。ただし、Fluorostarのプレートリーダを520nm励起及び630(±10nm)帯域通過発光フィルタに設定した点は異なる。
E.3 結果
結果によると、ナイルレッドも、タンパク質消化のリアルタイム分析においてエピココノン及びSYPROオレンジと同様の性能であることが示された(図23)。特に、蛍光の経時的な降下を追跡することによってトリプシン消化についての見かけの一次速度定数を抽出することが可能であった。この色素を使用して同様の値(k=0.1302分−1)を得た。エピココノンとナイルレッドとの顕著な違いは、エピココノンを用いて観察された蛍光の増強がナイルレッドでははっきりとは見られなかったこと、及び蛍光の光退色/低下がエピココノンを用いた場合よりも速く、かつSYPROオレンジを用いた場合よりも速いことである。
例1〜3及び5において、BSAトリプシン消化に対する見かけの一次動態定数がすべての示した例について同じ(誤差内)であることに留意されたい。
例1:フルオロフォアを使用したグリコシラーゼ活性のリアルタイムモニタリング
1.1 材料
ビシン(100mM、pH8、Sigma−Aldrich B3876)フェチュイン(RO水中20mg/mL、Sigma−Aldrich F3004)ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNaseF)(Sigma−Aldrich P7367)エピココノン(DMSO中24mM、FLUOROtechnics)SDS(BDH 442444H)2−メルカプトエタノール(Sigma−Aldrich M7154)黒色96穴プレート(Greiner bio−one、655209)Deep Purple全タンパク質ゲル染色(GE Healthcare)NuPAGE Novex 12% ビス−トリスゲル(Invitrogen、NP0341)NuPAGE LDS試料バッファ(4×、Invitrogen、NP0007)LMWマーカ(Amersham Biosciences、17−0446−01)
1.2 装置
Typhoon 9200(Amersham Biosciences)FluoStar (BMG)電気泳動システム(XCell SureLock、Invitrogen)
1.3 方法
1.3.1 洗剤の存在下のエピココノンを使用した脱グリコシル化のリアルタイムモニタリング
1. フェチュインタンパク質をビシンバッファ中で1:20に希釈した。
2. タンパク質(90μg/90μL)を10μLの洗剤(100mMの2−メルカプトエタノールを用いた0.2%SDS)を使用して100℃で10分間変性させた。
3. 100μlの試料(ステップ2)をマイクロタイタープレート穴に加えた。コントロールは、ビシンを基にした消化バッファ、PNGaseF試料だけ、及び脱グリコシル化フェチュイン試料(PNGaseFなし)を含んだ。
4. エピココノンストック溶液を100mMビシン中で100倍に希釈した。100μlの希釈エピココノン溶液を各穴に加えた。
5. 試料を37℃で20分間放置して平衡化した(プレインキュベート)。FluoStarは、適切なゲイン設定を得るために約1分かかった。
6. 逆浸透(RO)水中で再調製した1単位のPNGaseFを各フェチュインタンパク質試料及びコントロール(例えば、ビシンバッファ+PNGaseF)に加えた。
7. FluoStar(Ex/Em=540±10/630±10nm)を使用して、蛍光発色を3分ごとに69分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
8. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をフェチュイン/色素だけを含む試料から引き、及びPNGase+バッファ/色素をフェチュイン/PNGase/色素試料から引いた。
9. Prism(GraphPad v.4)を使用して、正規化データをプロット及びフィッティングした(図1を参照)。フェチュイン試料を二位相会合/解離指数関数(Y=Ymax*(1−exp(−k*X))+SPAN*(exp(−k*X))−bottom)にフィッティングした。ここで、Yは、蛍光データであり、及びXは、時間である(単位:分)。k及びkに対する値を使用して三位相会合/解離指数関数(Y=SPAN1*(1−exp(−k*X))+SPAN2*(exp(−k*X))+SPAN3*(1−exp(−k*X))−bottom)をフィッティングした。ここで、kは、PNGaseによるフェチュインの脱グリコシル化についての擬一次速度定数である。
1.3.2 SDS−PAGEにおける脱グリコシル化試料の可視化
1. アッセイの終了時に副次試料を採取した。両方の消化からの副次試料(6.5μL)を採取し、3.5μLの試料ローディングバッファ(2.5μLのNuPAGE試料バッファ及び1μLの500mM DTT)中で混合し、そして80℃で10分間インキュベートした。
2. 次いで、各試料を12%ポリアクリルアミドゲル(NuPAGEビス−トリス、Invitrogen)上に装填し、そして青色ローディングバッファ色素がゲルをちょうど流れ切るまで50分間流した(200V一定)。
3. Deep Purple染色ゲルをTyphoonスキャナで画像化した(Ex:Em=532:560 LP、440PMT).
1.4 データ分析及び結果
糖は、比較的極性が強いので、タンパク質を脱グリコシル化すると、疎水性が増加する。低濃度の洗剤(SDS等)の存在下では、糖が切断されるにつれ、より多くの洗剤がタンパク質と会合するはずである。このように、環境に感受性のある蛍光分子は、疎水性の変化に応答して、酵素活動(例えば、フェチュインの脱グリコシル化があるが、これに限定されない)のための痕跡を残さない、リアルタイムアッセイを容易にするはずである。
フェチュイン(48.4kDa)は、74%のポリペプチド、8.3%のヘキソース糖、5.5%のヘキソサミン及び8.7%のシアル酸から構成され、かつ一般の糖タンパク質基準である。
フルオロフォアであるエピココノンの存在下でのフェチュインのPNGaseFとの反応から得られた、正規化された(上記ステップ8)、リアルタイムの蛍光データを測定し、そしてPrism(バージョン4.0.3、GraphPad Software、サンディエゴ、米国)を使用して三成分指数関数的会合−解離動態モデルにフィッティングした。天然フェチュイン試料は、わずかに蛍光が増加し、そして次いで光退色/分解により低減する。これは、一位相指数関数的会合及びそれに続くゆっくりとした指数関数的解離を使用してモデル化できる。対照的に、酵素を用いた試料は、蛍光が増加し、及び三位相指数関数にフィッティングして脱グリコシル化についての擬一次速度定数を得た。分析結果を図1に示す。
図1Aは、37℃で1時間の脱グリコシル化中に疎水性が増加したために試料(フェチュイン+PNGaseF)中の蛍光が増加したことを明示する。リアルタイムデータをフィッティングすることによって、実際の基質における酵素活性の分析、並びに加水分解の動態定数及び半減期の決定が可能になる。半減期の10倍が完全な加水分解の尺度として使用できる(この場合、59分)。図1Bは、リアルタイムアッセイの独立したSDS−PAGE検証であり、脱グリコシル化時の天然フェチュイン(レーン2)及びPNGaseF処理されたフェチュイン(レーン3)間の分子シフトを示す。
例2:3つの異なるフルオロフォアを使用したオリゴヌクレオチド加水分解のリアルタイムモニタリング
2.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。ビシン(500mM、pH7.5、Sigma−Aldrich B3876)MgCl(1M、Sigma−Aldrich M−8266)CaCl(1M、BDH 010070−0500)0.1Mビシン、0.4M MgCl及び0.02M CaClを含むDNase1バッファ(×20)サケ精子DNA(1RO水中1.25mg/mL、Sigma−Aldrich F3004)DNase1(0.15M NaCl中5mg/mL、Sigma−Aldrich DN25)Hoechst 33342(DMSO中10mM、Invitrogen H1399)ヨウ化プロピジウム(RO水中1.5mM、Sigma−Aldrich P4170)SYTOX−グリーン(DMSO中5mM、Invitrogen S7020)SPP1/EcoRI DNA分子量マーカ(Breastec Ltd. DMW−S1)DNAグレードアガロース(1.5%w/v、Progen 200−0011)核酸試料ローディングバッファ(5×、Bio−rad 161−0767)トリス−ホウ酸−EDTA DNAランニングバッファ(10×、Fermentas B52)臭化エチジウム(10mg/mL RO水、Sigma−Aldrich E7637)Mini−Sub(登録商標)細胞GT(Bio−rad)ChemiImager(商標)4400(Alpha Innotech)
2.2 方法
2.2.1 DNase酵素を用いたds−DNA加水分解のHoechst 33342、SYTOX グリーン及びヨウ化プロピジウムを使用したリアルタイムモニタリング
1. DNA試料を1×DNase1バッファ中で5倍に希釈し、250μg/mLにした。
2. 100μlの試料(ステップ1)をマイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、1×DNase1バッファ、DNase1試料だけ、及び未消化DNA試料(DNase1なし)を含んだ。
3. 各フルオロフォアストック溶液を1×DNase1バッファ中で100倍に希釈した。100μlの希釈フルオロフォア溶液を各穴に加えた。試料を37℃で50分間平衡化した。FluoStarは、適切なゲイン設定を得るために約1分かかった。
4. 0.15M NaCl中で再調製した1単位のDNase1を消化すべき各DNA試料、及び1つのコントロール(例えば、1×DNase1バッファ+DNase1)に加えた。
5. FluoStar(Hoechst 33342に対してはEx/Em=355/460nm、ヨウ化プロピジウムに対しては540±10/630±10、SYTOX−グリーンに対しては485/520nm)を使用して、蛍光発色を3分ごとに120分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
6. 進行曲線を、コントロール(対照)を引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。DNaseバッファをDNAだけを含む試料から引き、及びDNase+バッファをDNA/DNAse試料から引いた。
7. Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロットした(図2を参照)。フルオロフォアを用いたDNAの進行曲線をまず単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、そして得られたkについての値を、DNA+DNase酵素についての二位相指数関数的減衰(Y=span1*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)におけるk1についての固定値として使用し、k2を導出した。
2.2.2 エキソヌクレアーゼ活性のアガロース電気泳動による可視化
1. アッセイの終了時に、副次試料を採取した。両方の消化からの副次試料(8μL)を採取し、2μLの核酸試料−ローディングバッファと混合した。
2. 次いで、各試料を5μgの臭化エチジウムを含む2%アガロースゲル上に装填し、そして青色ローディングバッファ色素がゲルをちょうど流れ切るまで1時間流した(150V一定)。
3. 臭化エチジウム染色ゲルをChemiImager(商標)4400によって画像化した。
2.3 データ分析及び結果
実験を行って、環境に感受性のあるフルオロフォアを使用してオリゴヌクレオチド試料(例えば、酵素DNase1を用いた二重鎖サケ精子DNAがあるが、これに限定されない)の加水分解を痕跡を残さずに追跡できることを明示した。
図2は、3つの異なるフルオロフォアを使用したDNase駆動加水分解のリアルタイムモニタリングを示す。DNase1を加えた場合に、蛍光における指数関数的減衰がすべてのケースで観察され、かつ加水分解についての擬一次速度定数(K2)が非線形回帰分析によって得られた。典型的には、酵素進行曲線を有さないバッファにおけるオリゴヌクレオチドを一位相指数関数的減衰にフィッティングさせて、フルオロフォアの光退色及び/又は分解による蛍光の経時的に観察されるゆっくりとした低減にフィッティングさせる。酵素触媒加水分解を、一次速度定数をDNAだけの試料から速度定数の1つとして取りながら、二位相指数関数的減衰にフィッティングさせた。このとき、第2の速度定数(図2のK2)は、DNAの加水分解についての擬一次速度定数の妥当な近似である。3つの異なる色素を使用した速度は、非常によく一致し、11〜0.15分−1で変動する。各場合において、DNA加水分解の半減期を測定でき、及びこの値の10倍がDNAの完全な加水分解(この場合、46〜64分)に対応し得る。
図2Dは、リアルタイムアッセイの独立したDNAゲル電気泳動に基づく検証であり、DNA試料がDNase1によって完全に加水分解され(レーン3、5及び7)、他方DNaseを加えていないDNA試料がDNAの複雑な混合物の存在によって強いしみ(smear)を見せること(レーン2、4及び6)を示す。この例は、オリゴヌクレオチド(ゲノム)の複雑な混合物に対する酵素の加水分解活性を追跡する際のいくつかの色素の有用性を明示する。
例3:変性させない量の洗剤及びフルオロフォアの存在下における多糖類加水分解のリアルタイムモニタリング
3.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。ビシン(50mM、pH7、Sigma−Aldrich B3876)デンプン(ビシンバッファ中1%、Sigma−Aldrich S2630)α−アミラーゼ(1.8単位/mg 固体、Sigma−Aldrich A2771)トリトンX−100 (BDH 30632)
3.2 方法
3.2.1 エピココノンを用いてモニタされるデンプンのα−アミラーゼ駆動加水分解のリアルタイムモニタリング
1. デンプン溶液を、試料を15分間煮沸することによって、50mMビシンバッファ中1%の濃度(pH7)となるように調製した。
2. トリトンX−100を最終濃度が0.02%となるようにデンプン溶液に加えた。
3. 100μlの試料(ステップ1)をマイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、α−アミラーゼ試料だけ、及び天然のデンプン試料(アミラーゼなし)を含んだ。
4. エピココノンストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈した。100μlの希釈エピココノン溶液を各穴に加えた。試料を37℃で50分間インキュベートした。FluoStarは、適切な設定条件を得るために約1分かかった。
5. ビシンバッファ中で再調製された2μL(0.036単位)のα−アミラーゼをデンプン試料、及び1つのコントロール(例えば、ビシンバッファ+α−アミラーゼ)に加えた。
6. FluoStar(Ex/Em=540+10/630±10nm)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに3分ごとに約200分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
7. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファをデンプンだけを含む試料から引き、及びアミラーゼ+バッファをデンプン/アミラーゼ試料から引いた。
8. Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロットした(図3を参照)。
3.3 データ分析及び結果
実験を行って、環境に感受性のあるフルオロフォア(エピココノン等)を使用して、炭水化物試料(例えば、ジャガイモデンプンがあるが、これに限定されない)のアミラーゼによる加水分解を、基質の周辺の局所疎水性を測定することによってモニタできることを明示した。
図3に、エピココノンを使用したアミラーゼ駆動加水分解のリアルタイムモニタリングを示す。洗剤トリトンX−100の存在下において、加水分解の開始時の蛍光信号は、洗剤がない場合よりも約20%高かった。このことは、洗剤がデンプンに結合し、デンプンの周辺により高い疎水性の環境を生成することを示す。デンプンは、加水分解によって破壊されると、蛍光が指数関数的に低減する。この予想外の現象を使用して、酵素反応の進行を痕跡を残さずに追跡できる。アミラーゼによるデンプンの加水分解についての擬一次速度定数は、単一位相指数関数的減衰をデンプン/バッファ/エピココノンコントロールにフィッティングし、そして次いでこの値(k1)を使用して、二位相指数関数的減衰をデンプン/アミラーゼ/エピココノン試料にフィッティングすることによって得た。ここで、第1の指数は、コントロールについて決定されたk1値に固定した。このとき、k2値は、α−アミラーゼによるデンプンの加水分解についての擬一次速度定数である。この場合、その値は、トリトンX−100の存在下で、0.55分−1及び0.65分−1である。完全な消化は、半減期の10倍として決定できる。この場合、それぞれ、127及び107分である。
例4:疎水的に活性なフルオロフォアを使用したタンパク質脱リン酸化のリアルタイムモニタリング
4.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。β−カゼイン(Sigma−Aldrich C6905)ビシンバッファ中に溶解されたアルカリ性ホスファターゼ(10〜30DEA単位/mg 固体、Sigma−Aldrich P7640)。濃度は、2mg/mL。BODIPY FL C−セラミド(DMSO中10mM、Invitrogen D3521)
4.2 方法
4.2.1 BODIPY FL C−セラミドを使用したホスファターゼ活性のリアルタイムモニタリング
1. β−カゼイン(β−CN)を50mMビシンバッファ中1mg/mLの濃度となるように調製した(pH7.5)。
2. 100μlの試料(ステップ1)をマイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、アルカリ性ホスファターゼ試料だけ、及び天然のβ−CN試料(ホスファターゼなし)を含んだ。
3. BODIPY FL C−セラミドストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈した。100μlの希釈フルオロフォア溶液を各穴に加えた。試料を30℃で50分間インキュベートした。FluoStarは、適切な設定条件を得るために約1分かかった。
4. ビシンバッファ中で再調製された2μLのホスファターゼを1つのβ−CN試料、及び1つのコントロール(例えば、ビシンバッファ+ホスファターゼ)に加えた。
5. FluoStar(Ex/Em=485/520nm)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに3分ごとに約30分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度30℃、10フラッシュ/サイクル。
6. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をβ−CN/色素だけを含む試料から引き、及びホスファターゼ+バッファ/色素をβ−CN/ホスファターゼ/色素試料から引いた。
7. Prism(GraphPad v.4)を使用してデータをプロットした(図4を参照)。
4.3 データ分析及び結果
この限定されない例において、どのようにフルオロフォアBODIPY FL C−セラミドを使用してβ−カゼイン(β−CN)のアルカリ性ホスファターゼ駆動加水分解をモニタできるかを示す。図4に、極性リン酸基の除去に関連して疎水性が増加することによるリンタンパク質の脱リン酸化のリアルタイムモニタリングを示す。BODIPY FL C−セラミドとカゼインとの会合から得られる正規化データを測定し、Prism(バージョン4.0.3、GraphPad Software、サンディエゴ、米国)を使用して単純一次指数関数的会合モデルにフィッティングした。得られた速度定数(k1)を、アルカリ性ホスファターゼを用いたカゼインの二位相指数関数的増加における定数として使用して、脱リン酸化反応についての擬一次速度定数を得た。蛍光の増加は、リン酸基が除去されたことによる疎水性の増加の結果である(図4)。この場合、完全な加水分解は、42分(10×t1/2)として計算できる。
例5:フルオロフォアを使用したエステラーゼ活性のリアルタイムモニタリング
5.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。オリーブ油(ブランド名なし、Woolworths、オーストラリア)リパーゼ(50KLU/g、Novozymes Greasex(登録商標)リパーゼ5−オクタデカノイルアミノフルオレセイン(DMSO中10mM、Sigma−Aldrich 74735)
5.2 方法
5.2.1 オリーブ油のリパーゼ触媒加水分解のリアルタイムモニタリング
1. オリーブ油を100mMビシンバッファ中に5%の濃度となるように調製した。水/油懸濁液をBranson digital Sonifier(60%パワーで2×15秒)を使用して乳化した。
2. 100μlの試料(ステップ1)をマイクロタイタープレートに加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、リパーゼ試料だけ、及び天然のオリーブ油試料(リパーゼなし)を含んだ。
3. 5−オクタデカノイルアミノフルオレセインストック溶液を100mMビシン中で100倍に希釈した。100μlの希釈フルオロフォア溶液を各穴に加えた。
4. 試料を室温で50分間インキュベートした。FluoStarは、適切な設定条件を得るために約30秒かかった。
5. テストした種々の量のGreasex(登録商標)(リパーゼ)(0.01、0.1、1及び10μL)を油試料に加えた。
6. FluoStar(Ex/Em=485/520nm)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに3分ごとに約200分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
7. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をオリーブ油/色素だけを含む試料から引き、及びGreasex+バッファ/色素をオリーブ油/Greasex/色素試料から引いた。
8. Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロットした(図5を参照)。
5.3 データ分析及び結果
この限定されない例において、どのように5−オクタデカノイルアミノフルオレセイン等の環境に感受性のあるフルオロフォアを使用して脂質等のエステルのリアルタイム加水分解を痕跡なしに追跡できるかを示す。この場合、市販のリパーゼによるオリーブ油の加水分解を示すが、当業者は、同じ又は同様のアッセイを使用して他のエステラーゼを用いた他のエステルの加水分解を追跡できることを理解し得る。図5に、5−オクタデカノイルアミノフルオレセインをレポータとして使用した、1穴当たり0.01μLのリパーゼGreasex(登録商標)によるオリーブ油の加水分解のリアルタイムモニタリングを示す。プログラムであるPrismは、進行曲線を単一位相(オリーブ油+バッファ+色素)又は二位相(オリーブ油+バッファ+リパーゼ+色素)指数関数的減衰のいずれかにフィッティング可能であり、かつ加水分解についての擬一次速度定数を決定可能であった(図5、挿入図)。
観察された蛍光における指数関数的低減は、オリーブ油試料が元のエステルよりも極性の高い脂肪酸及びアルコールに加水分解される際の疎水性の喪失として合理的に説明できる。この例において、完全な加水分解は、半減期の10倍(32分)として推定でき、この発明の食品産業への有用性が明示される。
例6.変性させない量の洗剤の存在下におけるエピココノンを使用したタンパク質分解のリアルタイムモニタリング
実験を行って、エピココノンを使用した非特異的プロテアーゼ(例えば、パパイン)によるタンパク質消化のリアルタイムモニタリングを研究した。
6.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。タンパク質試料:BSA(100mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich A3059)、アポ−トランスフェリン(100mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich T2036)、α−カゼイン(100mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich C6780)、及び炭酸脱水酵素(100mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich C7025)。SDS(BDH 442444H)パパイン(RO水中2mg/mL Sigma−Aldrich P4762)ヨウ化アセタミド(100mMビシン中1M、Sigma−Aldrich 16125)DTT(100mMビシン中200mM、BioRad 161−0611)
6.2 方法
6.2.1 エピココノンを使用したパパインを用いた異なるタンパク質の加水分解
6.2.1.1 消化のためのBSAの調製
1 パパイン消化をビシンバッファ中で行った(pH7.0)。
2 タンパク質試料を100mMビシンバッファ中10mg/mLとなるように調製した。
3 100μLのタンパク質試料をパパイン消化のために使用した。
6.2.1.2 還元及びアルキル化
1 100μLのタンパク質試料に1μLの10%SDS及び5μLのDTTストックを80℃で10分間加えて還元した。
2 試料に4μLのヨードアセタミドストックを室温で45分〜1時間加えてアルキル化した。
3 試料に残存したヨードアセタミドに20μLのDTTを室温で45分〜1時間加えて中和した。
6.2.2 洗剤の存在下においてフルオロフォアを用いたパパイン消化のリアルタイムモニタリング
1. 還元及び変性化タンパク質試料を100mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。
2. 100μLのBSA試料(ステップ1)を96穴マイクロタイタープレートの1つの穴に加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、パパイン試料だけ、及び未消化試料(パパインなし)含んだ。アッセイは、エピココノンを使用したBSAタンパク質分解の4穴試料セットからなる。3セットの試料を残りのタンパク質試料(例えば、アポ−トランスフェリン、α−カゼイン及び炭酸脱水酵素)について同じやり方で調製した。
3. エピココノンを100mMビシン中で100倍に希釈した(pH7.0)。
4. 100μLの作業用フルオロフォア溶液を各対応の穴に加えた。適切なFluoStar設定条件を得るために約90秒かかった。
5. 次いで、試料を50分間37℃でプレインキュベートした。
6. タンパク質試料をアッセイにおいて4μLのパパイン(=0.248単位/μL)を用いて消化した。
7. FluoStar(Ex/Em=540±10/630±10)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに2分ごとに400分までモニタした。
8. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をタンパク質/色素だけを含む試料から引き、及びパパイン+バッファ/色素をタンパク質/パパイン/色素試料から引いた。
9. Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロット及びフィッティングした(図6を参照)。
6.3 データ分析及び結果
この限定されない例において、エピココノンを使用して非特異的プロテアーゼ(パパイン)を用いたタンパク質分解を測定できることを示す。パパインは、システインプロテアーゼであるが、この方法はまた、セリンプロテアーゼ、カルボキシプロテアーゼ及びメタロプロテアーゼに適用可能である。パパインは、ほとんどのタンパク質試料を完全に消化するという広い特異性を有する(トリプシン又はキモトリプシンと異なる)。ここで、異なる性質を有するタンパク質の例としてBSA、カゼイン、アポ−トランスフェリン及び炭酸脱水酵素の加水分解を示す。それらの加水分解は、本発明によって追跡できる。図6Eは、パパインを用いて処理されたタンパク質の試料は、120分後には完全に消化されるが、他方パパインを用いて処理されなかったタンパク質は、それぞれのタンパク質の分子量に対応するバンドを示すことを示す。いくつかの場合、消化後に残存するいくつかのより大きなペプチドフラグメントも存在し、それらはさらなる加水分解に抵抗する。
図6A〜Dは、タンパク質消化を痕跡を残さずにかつリアルタイムに追跡するための、フルオロフォアであるエピココノンを使用し本発明を用いて生成された進行曲線を示す。各場合に、フルオロフォア(正方形)を用いたタンパク質を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、及びkについての値をタンパク質+パパイン(三角形)についての二位相指数関数的減衰(Y=span1*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)におけるk1に対する固定値として使用した。動態データから、完全な消化に必要な時間(例えば、異なるタンパク質についての半減期の10倍)を予測することが可能であり得る(各タンパク質に対する半減期についての挿入図を参照)。観察された蛍光における指数関数的低減は、タンパク質試料が元のタンパク質よりもはるかに疎水性の低いペプチドフラグメントに加水分解される際の疎水性の喪失として合理的に説明できる。
例7.変性させない量の洗剤の存在下において異なるフルオロフォアを使用したタンパク質分解のリアルタイムモニタリング
7.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。BSA(100mMビシン中10mg/mL、Sigma−Aldrich A3059)トリプシン(20μg/20μL 1mM HCl、Sigma−Aldrich T6567)パパイン(RO水中2mg/mL Sigma−Aldrich P4762)SDS(BDH 442444H)ヨウ化アセタミド(100mMビシン中1M、Sigma−Aldrich 16125)DTT(100mMビシン中200mM、BioRad 161−0611)96穴透明底プレート(Greiner bio−one、655096)SYPROオレンジ(×5000濃縮、Invitrogen S−6650)ナイルレッド(エタノール中1mg/mL、Sigma−Aldrich N−3013)ANS(DMSO中10mM、Sigma−Aldrich A1028)
7.2 方法
7.2.1 エピココノン、SYPROオレンジ、ナイルレッド及びアニリノナフタレンスルホン酸(ANS)を使用したトリプシン及びパパインを用いたタンパク質の加水分解
7.2.1.1 消化のためのBSAの調製
1 トリプシン及びパパイン消化をビシンバッファ中でそれぞれpH8.4及びpH7.0で行った。
2 BSAを100mMビシンバッファ中で10mg/mLとなるように調製した。
3 100μLのBSA試料をトリプシン及びパパイン消化のために使用した。
7.2.1.2 還元及びアルキル化
BSA試料をこれまでに記載したように還元及びアルキル化した(セクション6.2.1.2)。
7.2.2 洗剤の存在下においてフルオロフォアを用いたトリプシン消化のリアルタイムモニタリング
1. 還元及び変性化BSA試料を100mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。
2. 100μLの試料(ステップ1)を96穴マイクロタイタープレートの1つの穴に加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、トリプシン試料又はパパインだけ、及び未消化BSA試料(トリプシンなし又はパパインなし)を含んだ。アッセイは、1つのフルオロフォア(例えば、SYPROオレンジ)に対して4穴試料セットからなる。3セットの試料を残りのフルオロフォア(例えば、ナイルレッド、エピココノン及びSYPROオレンジ)について同じやり方で調製した。
3. SYPROオレンジストック溶液をビシンバッファ中で5000倍に希釈した(pH8.4)。ナイルレッド及びエピココノンのストック溶液を100mMビシン中で100倍に希釈した(pH8.5)。ANSをビシンバッファ中で100倍に希釈した(pH7.0)。
4. 100μLの作業用フルオロフォア溶液(例えば、SYPROオレンジ、ナイルレッド、エピココノン及びANS)を各対応の穴に加えた。適切なFluoStar設定条件を得るために、ナイルレッドについて約30秒、SYPROオレンジ及びANSについては90秒かかった。
5. 次いで、試料を50分間37℃でプレインキュベートした。a)1mM HCl中で再調製されたトリプシン(Sigma−Aldrich T6567)を消化されるべき試料に1:40の比で加えた。同じ量の酵素をバッファ成分だけを含むコントロールに加えた。b)4μLのパパイン(2mg/mL)を消化されるべき試料に加えた。同じ量の酵素をバッファ成分だけを含むコントロールに加えた。
6. SYPROオレンジについてFluoStar(Ex/Em=485/600±10)、エピココノン及びナイルレッドについて540±10/630±10、及びANSについて355/460を使用し、蛍光発色をリアルタイムに2分ごとに400分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
7. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をタンパク質/色素だけを含む試料から引き、及び酵素+バッファ/色素をタンパク質/酵素/色素試料から引いた。Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロット及びフィッティングした(図7を参照)。
7.3 データ分析及び結果
図7に、4つの異なるフルオロフォアを使用したタンパク質分解(例えば、BSA/トリプシン及びBSA/パパイン)のリアルタイムモニタリングを示す。本例におけるフルオロフォアをタンパク質における疎水性の元の状態(加水分解前)及びタンパク質における疎水性の後の状態(加水分解時)を測定する能力についてテストした。
速度定数を得るためのPrism分析のために正規化データを使用した。各場合に、フルオロフォアを用いたタンパク質(白正方形)を単一位相指数関数的減衰(Y=span*exp(−kX)+plateau)にフィッティングし、及びkについての値をタンパク質+パパイン(白三角形)についての二位相指数関数的減衰(Y=span1*exp(−k1X)+span2*exp(−k2X)+plateau)におけるk1に対する固定値として使用した。この方法を介して、加水分解についての速度定数を測定し、そして完全な加水分解の時点を予測することが可能であった。図7Eは、実際のリアルタイム試料のSDS−PAGEを使用した消化の独立した検証であり、異なるフルオロフォアの存在下にトリプシン又はパパインを用いたBSAの完全な消化を示す。この図から明らかなように、タンパク質に対応づけられたバンドが120分後に消失し、かつ残留するパパイン又はトリプシンに対するかすかなバンドだけが見られた。いくつかの場合に、消化後に残存するいくつかのより大きなペプチドフラグメントも存在し、それらはさらなる加水分解に抵抗する。
本発明を特定の例を参照して記載したが、本発明が多くの他の形態で実施されてもよいことが当業者には理解される。
例8.環境に感受性のあるフルオロフォアを使用し、サブサンプリングによって加水分解活性をモニタする別の方法
8.1 材料及び装置
これまでの例の通りであるが、以下の追加及び/又は置き換えを伴う。エピココノン(1mg/mL 20%ACN/80%DMSO、Fluorotechnics)タンパク質試料、ウシ血清アルブミン(A−3059、Lot 083K1291)及び炭酸脱水酵素(C−7025、Lot 093K9310)SDS(BDH 442444H)トリプシン(20μg/20μL 1mM HCl、T6567、Sigma−Aldrich)ロイペプチン(L2884、Lot 064K86283、Sigma−Aldrich)トリプシンインヒビタ(Type H−S、T9128、Lot 025K7014)
8.2 方法
1. トリプシンインヒビタ、ロイペプチン及びトリプシン−インヒビタ(大豆)をそれぞれRO水中1mM及びRO水中0.48mg/mLの濃度となるように調製した。
2. タンパク質試料を例6に上記したように調製した。還元及びアルキル化タンパク質試料を100mMビシンバッファ中で1:10に希釈した(pH8.4〜5)。
3. トリプシン(4.62μg)を各タンパク質試料(231μg/300μL)に1:50の比で加え、そして試料を37℃でインキュベートした。
4. ロイペプチン又はトリプシンインヒビタ(大豆)のいずれかによるトリプシン活性の阻害について副次試料を採取した。
a.45μlのトリプシン消化を0、10、20、30、60、60、90、及び120分にサブサンプリングし、そして直ちに5μLの1mMロイペプチンを含む1.5mLチューブに加えた。ロイペプチンインヒビタを用いて処理した副次試料を蛍光が読み取れるまで室温で放置した。
b.45μLのトリプシン消化を0、10、20、30、60、60、90、及び120分にサブサンプリングし、そして直ちに5μLの大豆トリプシンインヒビタを含む1.5mLチューブに加えた。大豆トリプシンインヒビタを用いて処理した副次試料を蛍光が読み取れるまで室温で放置した。
5. ロイペプチンインヒビタに対するコントロールは、ビシンバッファだけ、及びトリプシン又はトリプシン+ロイペプチンを含むビシンバッファを含んだ。また、トリプシンインヒビタ(大豆)に対するコントロールは、ビシンバッファだけ、トリプシン又はトリプシン+大豆トリプシンインヒビタを含んだビシンバッファを含んだ。
6. エピココノン溶液を100mMビシン中に1:100に希釈することによって調製した(pH8.4〜8.5)。
7. 上記のように調製した副次試料(40μL)を96穴プレートに加えた。等しい体積のエピココノン溶液をその96穴プレートに加えた。プレートをFluoStarに挿入し、そして50分間37℃でインキュベートした。
8. 副次試料の蛍光をEx/Em=540−10/630−10nmで10回のフラッシュを行って読み取った。
9. 蛍光値を対応するコントロールの基礎蛍光を副次試料の生蛍光から引いて正規化した。
10. 正規化データをプロットした(図8を参照)。
8.3 データ分析及び結果
図8は、種々の時点でサブサンプリングされたBSA及びCAのトリプシン消化の蛍光減衰を示す。各副次試料において、トリプシン活性は、ロイペプチン(A)又は大豆トリプシンインヒビタ(B)のいずれかによって阻害された。この別の方法をウシ血清アルブミン(BSA)又は炭酸脱水酵素(CA)のトリプシン消化のモニタリングに対する適用可能性についてテストしたところ、リアルタイムアッセイ(例えば、例6)から生成される結果と比較して同様の蛍光減衰結果が生成された。
本方法におけるBSA及びCA両方の消化速度は、リアルタイムアッセイの消化速度よりも若干速いように見えた。これは、インヒビタによるトリプシンの完全な阻害が有効となるのに要する時間によるものか、又はトリプシン消化がフルオロフォアの存在しない場合に若干速く進むことによる可能性があり得る。
本発明の別の実施形態は、色素を存在させずに加水分解消化を実行することである。この例において、2つのタンパク質のトリプシン消化は、プロテアーゼインヒビタを用いた消化をサブサンプリングし、停止し、次いで色素を加え、そして蛍光を測定することによって追跡できる。トリプシンの阻害が時間依存性であり、かつ完全でないこともあることを考慮すると、BSAの消化について測定された擬一次速度定数(0.3分−1)は、例7の方法によって見られた擬一次速度定数(0.1〜0.2分−1)と同様であった。
例9:蛍光レポータ色素を使用した複雑なプロテオームにおける加水分解活性のリアルタイムモニタリング
9.1 材料及び装置
例7の通り。圧搾パン酵母(Microbiogen Pty Ltd、オーストラリア)NaOH(1M、Sigma−Aldrich 480878)FluoroProfile(Sigma−Aldrich FP0010)
9.2 方法
9.2.1 酵母の調製
1 小さなペレットの圧搾パン酵母(100mg)をトリプシン消化のために使用した。
2 ペレットを2mLの1M NaOH中に懸濁した。次いで、試料を2100×gで10分間遠心分離した。
3 1アリコートの上清をRO水中で5倍に希釈し、NaOH濃度を200mMに低減した。
4 FluorProfiLeキットを使用することによって、タンパク質含有量は、1.3mg/mLであると測定された。
5 少量アリコートのタンパク質抽出物(15μL)を85μLのビシンバッファ(50mM、pH8.5)と混合した。
6 100μlの最終酵母試料をトリプシン消化のために使用した。
9.2.2 エピココノンを使用した酵母プロテオームのトリプシン消化のリアルタイムモニタリング
1 100μlの最終酵母試料をマイクロタイタープレート穴に加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、トリプシン試料だけ、及び未消化酵母試料(トリプシンなし).含んだ。
3 エピココノンストック溶液を50mMビシン中で100倍に希釈した。100μlの希釈エピココノン溶液を各穴に加え、4−穴アッセイを作成した。FluoStarは、適切な設定条件を得るために約30秒かかった。
4 1mM HCl中で再調製されたトリプシン(Sigma−Aldrich T6567)を1:20の比で加えた。
5 FluoStar(Ex/Em=540±10/630±10nm)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに2分ごとに400分までモニタした。FluoStarの設定は、以下のとおりであった。温度37℃、10フラッシュ/サイクル。
6 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。ビシンバッファをタンパク質だけを含む試料から引き、及びトリプシン+バッファをタンパク質/トリプシン試料から引いた。
7 Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロットした(図13を参照)。エピココノンを用いた酵母プロテオームについての進行曲線を二位相指数関数的会合/解離(Y=Ymax*(1−exp(−k1*X))+span*(exp(−k2*X))−bottom)にフィッティングして、k1(会合定数)及びk2(解離定数)についての値を導出した。これらの値を使用して、酵母プロテオームのトリプシン消化を三位相指数関数にフィッティングして、k3についての値を導出した。ここで、k1及びk2は、等式Y=span1*(1−exp(−k1*X))+span2*(exp(−k2*X))+span3exp(−k3*X)−bottom)において、上記に見出された値に固定された。
9.3 データ分析及び結果
この例は、複雑なタンパク質混合物(例えば、酵母プロテオームがあるが、これに限定されない)における加水分解活性をモニタするための方法の有用性を示す。図9は、疎水的に活性な色素のエピココノン及び洗剤のSDSを使用して、タンパク質が加水分解される際の蛍光の低減を介して消化を追跡した、酵母プロテオームのトリプシン消化のリアルタイムモニタリングを示す。対照的に、エピココノを用いたがトリプシンを用いない酵母プロテオームの試料の結果は、まずエピココノンとタンパク質との時間依存性会合による蛍光の増加、そして次いでフルオロフォア及び/又はフルオロフォア−タンパク質付加物の光退色及び/又は分解によるゆっくりとした指数関数的低減であった。これは、二位相指数関数的会合/解離にモデル化して、これらのプロセスについて擬一次速度定数を得ることができる。次いで、これらの値を使用し、非線形回帰によって複雑な混合物の加水分解についての擬一次速度定数を決定できる。二位相指数関数的会合/解離(黒正方形)の非線形フィッティングからの残差は、レポータ色素とプロテオームとの会合についての実験データと理論とが良好にフィットすることを示す。同様に、三位相指数関数の残差は、複雑なプロテオームの加水分解について決定された擬一次速度定数(k3)が正確に決定されることを示す、等しく良好なフィット(黒丸)を示す。
例10.洗剤有及び無のフルオロフォアを使用したタンパク質分解のリアルタイムモニタリングこの例は、加水分解のリアルタイムモニタリングの関連において、疎水的に活性な色素の蛍光出力に対する洗剤の効果に関する。
10.1 材料及び装置
例6の通り。
10.2 方法
10.2.1 SDS有及び無のエピココノンを使用した炭酸脱水酵素(CA)の加水分解
10.2.1.1 消化のためのBSAの調製
1 トリプシン消化をビシンバッファ中で行った(pH8.4)。
2 タンパク質試料を100mMビシンバッファ中10mg/mLで調製した。
3 100μLのタンパク質試料をトリプシン消化のために使用した。
10.2.1.2 還元及びアルキル化
4. 100μLのタンパク質試料に1μLの10%SDS及び5μLのDTTストックを80℃で10分間加えて還元した。
5. 別の試料を5μLのDTTストックだけを80℃で10分間用いて還元した(SDSなし)。
3 試料に4μLのヨードアセタミドストックを室温で45分〜1時間加えてアルキル化した。
4 試料に残存するヨードアセタミドに20μLのDTTを室温で45分〜1時間加えて中和した。
10.2.2 洗剤の存在下及び非存在下におけるフルオロフォアを用いたトリプシン消化のリアルタイムモニタリング
10. 還元及び変性化タンパク質試料を100mMビシンバッファ中で10倍に希釈した(25μL+225μLのビシンバッファ)。
11. 100μLのCA試料(ステップ1)を96穴マイクロタイタープレートの1つの穴に加えた。コントロールは、ビシンに基づく消化バッファ、パパイン試料だけ、及び未消化試料(パパインなし)含んだ。アッセイは、エピココノンを使用したCAタンパク質分解についての4穴試料セットからなる。
12. エピココノンを100mMビシン中で100倍に希釈した(pH8.4)。
13. 100μLの作業用フルオロフォア溶液を各対応の穴に加えた。適切なFluoStar設定条件を得るために約90秒かかった。
14. タンパク質試料をアッセイにおいて4μLのトリプシン溶液を用いて消化した。
15. FluoStar(Ex/Em=540±10/630±10)を使用して、蛍光発色をリアルタイムに2分ごとに400分までモニタした。
16. 進行曲線を、コントロールを引くことによってマイクロソフトのExcelにおいて操作した。バッファ/色素をタンパク質/色素だけを含む試料から引き、及びパパイン+バッファ/色素をタンパク質/パパイン/色素試料から引いた。
17. Prism(GraphPad v.4)を使用して正規化データをプロット及びフィッティングした(図6を参照)。
10.3 データ分析及び結果
進行曲線を例6の通りにフィッティングした(図10)。変性させない量の洗剤の存在下に(白正方形)、炭酸脱水酵素(CA)は、より疎水性が高くなり、かつ環境に感受性のあるフルオロフォア(エピココノン等)にさらされた場合に蛍光が増加する。トリプシンを加えた際に、蛍光が例6の通りに降下するが、SDSなし(逆三角形)の試料において、蛍光の変化は、SDSが存在する場合(白丸)に比べて50%より大きく低減される。両方の場合において、観察された速度定数は、同様であるが(0.025分−1)、SDSなしの試料についての95%信頼区間は、はるかにより高くなる。なぜなら、信号がはるかにより低いためである。この例は、疎水的に活性なフルオロフォアによる加水分解活性のリアルタイムモニタリングにおいて少量の洗剤が重要であることが明示する。
本発明による消化の検証を示す図である。 本発明による加水分解反応速度を示す図である。 本発明による加水分解反応速度を示す図である。 本発明による脱リン酸化反応速度を示す図である。 本発明による加水分解反応速度を示す図である。 本発明によるタンパク質消化反応速度を示す図である。 本発明によるBSA加水分解反応速度を示す図である。 本発明によるトリプシン消化反応速度を示す図である。 本発明によるトリプシン消化反応速度を示す図である。 本発明によるトリプシン消化反応速度を示す図である。 本発明によるトリプシン消化を示す図である。 本発明によるトリプシン消化ゲル電気泳動を示す図である。 図12に示すサンプルのゲート領域から測定した総蛍光強度を示す図である。 図11からの生データの反応速度分析を示す図である。 SDS−PAGEにおけるトリプシン消化ゲル電気泳動を示す図である。 キモトリプシン動態を示す図である。 トリプシン動態を示す図である。 トリプシン動態を示す図である。 FluoroProfileアッセイを示す図である。 4倍希釈系に対する蛍光を示す図である。 蛍光対既知BSA濃度を示す図である。 BSA標準曲線(A)及びアプロチニン標準曲線(B)を示す図である。 ナイルレッド、疎水環境下で蛍光を増すその他の色素を用いた後続トリプシン消化を示す図である。

Claims (47)

  1. 以下の各ステップ、
    ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、
    ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光における経時変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化を表すステップと、を含んでなる加水分解剤の活性を測定する方法。
  2. 以下の各ステップ、
    ステップ1:蛍光色素の存在下で生体分子を加水分解剤に接触させるステップであって、前記生体分子が前記加水分解剤によって消化されることを可能にする条件下に行われるステップと、
    ステップ2:前記色素の蛍光を経時的にモニタするステップであって、蛍光においてさらなる変化が存在しなくなることが前記生体分子の消化の終了点を表すステップと、を含んでなる生体分子の加水分解剤による消化の終了点を決定する方法。
  3. 以下の各ステップ、
    ステップ1:生体分子を加水分解剤に接触させて反応混合物を形成するステップと、
    ステップ2:前記反応混合物の第1の試料を蛍光色素と接触させ、かつ第1の試料の蛍光を決定するステップと、
    ステップ3:ステップ1の前記反応混合物を、前記生体分子の前記加水分解剤による消化を可能にする条件下におくステップと、
    ステップ4:前記生体分子の消化中の所望の時点において、前記反応混合物の第2の試料を蛍光色素に接触させるステップと、
    ステップ5:前記第2の試料の蛍光を決定するステップであって、前記第1の試料と比較された場合の前記第2の試料の蛍光における変化が前記生体分子の前記加水分解剤による消化の度合いを表すステップと、を含んでなる生体分子の加水分解剤による消化をモニタする方法。
  4. 必要に応じ、消化中に規則的間隔で追加のサンプリングを行う工程及び追加のサンプルのそれぞれに蛍光色素を加えた後、前記追加のサンプルの蛍光を決定する工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記混合物のサンプリングを繰り返し、前記色素の添加と蛍光の決定を前記蛍光の変化が観察されなくなるまで行うことを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記サンプルがクエンチされる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 以下の各ステップ、
    ステップ1:生体分子に対して加水分解消化を行い、タンパク質又はペプチドフラグメントを得るステップと、
    ステップ2:前記タンパク質又はペプチドフラグメントを蛍光色素に接触させるステップと、
    ステップ3:前記色素の蛍光の変化を検出するステップであって、前記色素の蛍光の前記変化が前記タンパク質又はペプチドフラグメントの量に比例するステップと、を含んでなる加水分解消化反応の生成物を測定及び/又は検出する方法。
  8. 前記生体分子が生体高分子である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記生体分子が加水分解可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記生体分子が炭水化物、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、脂質及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記生体分子がゲノム、プロテオーム又は細胞抽出物中に存在する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記加水分解剤が前記生体分子の疎水性を変更する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 変性させない量の洗剤が添加される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記洗剤がSDS、LDS、トリトンX−100、CHAPS、ALS、CTAB、DDAO及びDOCからなる群から選ばれる、請求項13に記載の方法。
  15. 前記洗剤が前記生体分子の疎水性を変更し、これにより前記蛍光色素の前記生体分子への結合に影響を与える、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 前記加水分解剤が酵素である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記加水分解剤が、生体分子を少なくとも1つの位置で切断できるプロテアーゼ、エステラーゼ、グリコシラーゼ、ホスファターゼ又はヌクレアーゼである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記プロテアーゼが、アミノペプチターゼ、ジペプチターゼ、ジペプチジル−ペプチダーゼ及びトリペプチジル−ペプチダーゼ、ペプチジル−ジペプチターゼ、セリン型カルボキシペプチダーゼ、金属カルボキシペプチダーゼ、システイン型カルボキシペプチダーゼ、オメガペプチダーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、システインエンドペプチダーゼ、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ、金属エンドペプチダーゼ及びスレオニンエンドペプチダーゼからなる族から選ばれる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記エステラーゼが、カルボン酸エステルヒドロラーゼ、チオールエステルヒドロラーゼ、リン酸モノエステルヒドロラーゼ、リン酸ジエステルヒドロラーゼ、トリリン酸モノエステルヒドロラーゼ、硫酸エステルヒドロラーゼ、ジリン酸モノエステルヒドロラーゼ、リン酸トリエステルヒドロラーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエキソデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエキソリボヌクレアーゼ、3’−ホスホモノエステルを生成するエキソリボヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエキソヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエキソヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエンドデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステル以外を生成するエンドデオキシリボヌクレアーゼ、変化した塩基に対して特異的な部位特異性エンドデオキシリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステルを生成するエンドリボヌクレアーゼ、5’−ホスホモノエステル以外を生成するエンドリボヌクレアーゼ、リボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエンドリボヌクレアーゼ及びリボ−又はデオキシリボ核酸のいずれかに対して活性なエンドリボヌクレアーゼからなる族から選ばれる、請求項17に記載の方法。
  20. 前記グリコシラーゼが、グリコシダーゼ類(N−、O−及びS−グリコシル基を加水分解する酵素)からなる族から選ばれる、請求項17に記載の方法。
  21. 前記蛍光色素が前記生体分子と疎水的に結合又は相互作用する、請求項7〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記蛍光色素が環境の親油性に応じて蛍光の働きを実質的に変化させる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記蛍光色素が、エピココノン、シアニン色素、ラウルダン/プロダンファミリーの色素、dapoxyl誘導体、ピレン色素、ジフェニルヘキサトリエン誘導体、ANS及びその類似体、スチリル色素、両親媒性フルオレセイン、ローダミン並びにクマリンからなる群から選ばれる、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記蛍光色素が、エピココノン、SYTOXグリーン、Hoechst 33342、ヨウ化プロピジウム、エピココノン、BODIPY FL Cセラミド、5−オクタデカノイルアミノフルオレセイン、SYPROオレンジ及びナイルレッドからなる群から選ばれる、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記加水分解は、バッファの存在下に行われる、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記バッファがグッドバッファである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記バッファがビシンバッファである、請求項25に記載の方法。
  28. 前記生体分子の加水分解は、前記蛍光色素によって実質的に影響されない、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 蛍光は、経時的に測定され反応速度係数を示すデータを提供する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 消化は、終了点が得られた際に停止させられる、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記反応混合物の詳細な分析が消化の停止後に行われる、請求項30に記載の方法。
  32. 前記詳細な分析は、ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)、ペプチドマッピング及びHPLCからなる群から選ばれる、請求項31に記載の方法。
  33. 更に塩基が前記蛍光色素に付加される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記生体分子は、生体試料又は食品試料由来である、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記生体分子は、タンパク質又はタンパク質の混合物である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記生体分子は、炭水化物又は炭水化物の混合物である、請求項34に記載の方法。
  37. 前記生体分子は、糖タンパク質又はデンプンである、請求項34に記載の方法。
  38. 前記生体分子は脂質である、請求項34に記載の方法。
  39. 前記生体分子は植物油である、請求項34に記載の方法。
  40. 前記生体分子はオリゴヌクレオチドである、請求項34に記載の方法。
  41. 前記生体分子はDNAである、請求項34に記載の方法。
  42. 蛍光色素、1つ以上の加水分解剤、必要に応じて前記加水分解剤のための基準基質、及び前記生体分子の消化をモニタするための使用方法の使用説明書を含んでなる、請求項1〜41のいずれか1項に記載の方法において使用するためのキット。
  43. 基準タンパク質又はペプチド基質を含む、請求項42に記載のキット。
  44. 前記基質が、BSA、アポ−トランスフェリン、α−カゼイン、β−カゼイン、炭酸脱水酵素、フェチュイン、サケ精子DNA、可溶性デンプン及びオリーブ油からなる群から選ばれる、請求項43に記載のキット。
  45. 更にバッファを含む、請求項42〜44のいずれか1項に記載のキット。
  46. 前記バッファがグッドバッファである、請求項45に記載のキット。
  47. 前記バッファがビシンバッファである、請求項45に記載のキット。
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