JP2009513681A - キナーゼおよびユビキネーションアッセイ法 - Google Patents

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Abstract

抗体、ポリペプチドおよび有機分子を含む組成物、キット、ならびに、例えば共鳴エネルギー移動(RET)を用いて、分子相互作用(例えば、脱ユビキネーション、ユビキネーションおよびキナーゼ活性)を探索する方法が提供される。

Description

本発明は、蛍光分子および発光金属錯体を用いるアッセイ、ならびに、競合結合または酵素活性(キナーゼ活性、脱ユビキチン化活性またはユビキチン化活性)等の分子相互作用をモニターし測定する方法に関する。
ユビキチン化は主にターゲッティングシグナルとして役立ち、最も一般的なタイプである、ポリユビキチン鎖を有するタンパク質は、細胞質ゾルのタンパク質分解の大部分に関与するユビキチン−プロテアソーム経路による分解の標的である(Ciechanoverら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95巻、2727−30ページ、1998年(非特許文献1))。ユビキチン(Ub)はイソペプチド結合によりタンパク質に結合し、UbのC末端カルボン酸およびリジン側鎖のc−NH2が当該結合に関与する(Ciechanoverら、Mol.Biol.Rep、26巻、59−64ぺージ、1999年(非特許文献2);Hodginsら、J.Biol.Chem.、271巻、30号、28766−28771ページ、1996年(非特許文献3))。ポリUbコンジュゲートおよびポリUb鎖形成に関係する酵素カスケードでは、Ub活性化酵素E1、Ub−コンジュゲート化酵素E2およびE3リガーゼを含んでなる、少なくとも3つの酵素による活性セットが関与する(HershkoおよびCiechanover、Annu.Rev.Biochem.、67巻、425−79ページ、1998年参照(非特許文献4))。
脱ユビキチン化酵素(DUBs)または脱コンジュゲート化酵素(DCEs)により、Ubは除去される。これらは、26Sプロテアソームによりタンパク質を分解してポリUb鎖を放出して、モノマーUbを再生し、Ub融合タンパク質前駆体からUbを開放し、調節的ユビキチン化を逆転させ、不適切にユビキチン化されたタンパク質を編集しうる巨大ファミリーである(Chungら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、266巻、633−40ページ、1999年(非特許文献5)参照)。DUBsは、Ub−C末端加水分解酵素(UCHs)およびUbに特異的なプロセシングプロテアーゼ(UBPs)に細分されうる。インビトロでは、UBPsは、Ubとフォールディングされたタンパク質ドメイン(Ub付加部分または標的タンパク質等)との間のイソペプチド結合を加水分解する。このように、UBPsは広い基質特異性を示す(Wilkinson、FASEBJ、11巻、1245−56ページ、1997年(非特許文献6))。UCHsは、一般に、Ubとフォールディングされないポリペプチドとの結合、若しくはUbと低分子置換基の間の結合を切断する(Pickartら、J.Biol.Chem.、260巻、7903−10ページ、1985年(非特許文献7);Wilkinsonら、FASEB J.、11巻、1245−56ページ、1997年(非特許文献6);Wilkinsonら、Biochemistry、25巻、6644−9ページ、1986年(非特許文献8))。酵母の遺伝子欠失株を用いた研究から、UCHsおよびUBPsの基質特異性の重複が示唆された(Amerikら、Biol.Chem.、381巻、981−92ページ、15号、2000年(非特許文献9);Bakerら、J.Biol.Chem.、267巻、23364−75ページ、1992年(非特許文献10))。UBPsおよびUCHsは共に26Sプロテアソームと会合することができ、Ub依存性タンパク質分解の調節に関与する(Vogesら、Annul.Rev.Biochem.、68ページ、1999年(非特許文献11))。
ユビキチン化および脱ユビキチン化は、タンパク質分解、タンパク質−タンパク質相互作用、DNA修復、および細胞情報伝達等を制御する調節機構として現れる。近年、USP2およびUCH37は腫瘍成長促進タンパク質を脱ユビキチン化することが示され。他のDUBsは癌細胞において過剰発現されることが示された。従って、DUBsの阻害は、癌治療等のための強力な治療ストラテジーとして注目されている。癌細胞の増殖をはじめとする細胞プロセスにユビキチン系が広範に関与することから、魅力ある薬剤標的候補のセットが提供される。大部分のアッセイフォーマットは、低スループットの方法またはカスタマイズされた試薬に大きく依存する。
低分子量のユビキチン関連修飾因子(SUMO)は、細胞中の他のタンパク質と共有結合、分離してその機能を加減する、小タンパク質である。SUMO化は、細胞核−細胞質ゾルの輸送、転写制御、アポトーシス、タンパク質安定化、ストレス応答、および細胞周期の進行等、種々の細胞プロセスに関与する翻訳後修飾である。SUMOタンパク質はユビキチンと類似している(Ulrich、Trends Cell Biol.、2005年10月、15巻、10号、525−32ページ(非特許文献12))。ユビキチンとは対照的に、SUMOは通常、タンパク質分解のためのタグとしては機能しない。典型的には、C末端の最後の4アミノ酸が切断されるまでは、このタンパク質は不活性である。
Ciechanoverら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95巻、2727−30ページ、1998年 Ciechanoverら、Mol.Biol.Rep、26巻、59−64ぺージ、1999年; Hodginsら、J.Biol.Chem.、271巻、30号、28766−28771ページ、1996年 HershkoおよびCiechanover、Annu.Rev.Biochem.、67巻、425−79ページ、1998年 Chungら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、266巻、633−40ページ、1999年 Wilkinson、FASEBJ、11巻、1245−56ページ、1997年 Pickartら、J.Biol.Chem.、260巻、7903−10ページ、1985年 Wilkinsonら、Biochemistry、25巻、6644−9ページ、1986年 Amerikら、Biol.Chem.、381巻、981−92ページ、15号、2000年 Bakerら、J.Biol.Chem.、267巻、23364−75ページ、1992年 Vogesら、Annul.Rev.Biochem.、68ページ、1999年 Ulrich、Trends Cell Biol.、2005年10月、15巻、10号、525−32ページ
大多数の非放射性のキナーゼアッセイは、約20残基以下の化学合成ペプチド基質のリン酸化に依存している。しかし、「生理的に同等の」より大きな天然型基質(例えば、全長タンパク質またはタンパク質ドメイン)を用いることが好適である(すなわち、それらは生物学的に同等の経路における、キナーゼの「天然型」基質でありうる)。キナーゼアッセイの熟練ユーザの多くにとっては、「天然型」基質を用いるのが好適である。例えば、リン酸化のためにリン酸化部位からはるかに離れた「ドッキング」部位を必要とするキナーゼが知られている。場合によっては、より小さなペプチド基質は基質として機能しない。
薬物の探索では、何千もの化学物質を含む多様な化学物質ライブラリの、系統的および/またはハイスループットのスクリーニングを行う必要がありうる。これらのライブラリの規模および複雑性が、費用およびFDAによる承認を受けたプロセスに要する期間と結びついた結果、分子相互作用を探査するための、単純、効率的および再現性の高いアッセイに対するニーズが生じるに至った。
発光に基づく技術(蛍光偏光(FP)、共鳴エネルギー移動(RET)およびルミネッセンス共鳴エネルギー移動法(LRET)を含む)は、典型的に用いられる、分子相互作用の探索のための非常に高感度で再現性の高い方法である。しかしながら、バックグラウンド発光(アッセイ成分からの蛍光または発光等)およびアッセイ成分からの非特異的相互作用により、発光に基づくアッセイの感度が損なわれ、特に、短寿命の発光原子団を用いるときには、薬物または化合物スクリーニングにおいて偽陽性または偽陰性の検出結果が生じるおそれがある。スクリーニング結果の確認のためには、個々に選抜された化合物のフォローアップスクリーニングまたは複数のスクリーニング方法の使用が必要となりうる。蛍光または化学発光アッセイの情報内容を増加させ、薬物スクリーニングにおける疑似結果の数を減少させることが可能なスクリーニングの方法論が有用であろう。
様々な局面において、本発明は、競合的結合イベントおよび酵素反応の結果として生じるそのイベントをはじめとする、分子相互作用のモニターに有用な、組成物、方法、装置およびキットを提供する。幾つかの局面として、本発明は、分子修飾(例えば翻訳後修飾)イベントの検出および/または同定、ならびに分子修飾活性の検出および/または同定のための組成物および方法の提供に関する。多くの場合、当該分子修飾イベントの結果は、光学特性の変化(例えば、(1)修飾された分子、または(2)これらの分子を含む組成物の光学特性の変化)により検出される。
一態様において、本発明は、ドナー部分(例えば、ルミネッセンス金属錯体(テルビウム等))およびアクセプター部分(例えば蛍光タンパク質またはポリペプチド(GFP等))を利用する。別の態様において、本発明は、ルミネッセンス金属錯体(例えば、テルビウムまたはユーロピウム)および蛍光原子団(例えば、フルオレセイン)を利用する。一態様において、本発明は、蛍光分子およびルミネッセンス金属錯体を利用し、酵素活性を測定する方法の提供に関する。一態様において、蛍光分子およびルミネッセンス金属錯体は、それぞれ、2つの結合パートナーとして存在する。一態様において、蛍光分子およびルミネッセンス金属錯体は、1分子上(酵素に対する基質等の上)に位置する。一態様において、当該酵素(例えば、ユビキチン化酵素)はその活性により少なくとも2分子を「連結」する。一態様において、当該2分子はそれぞれ共鳴エネルギー移動ペアの一方を構成する。一態様において、1分子は蛍光分子を含んでなり、他の分子はルミネッセンス金属錯体を含んでなる。一態様において、1分子はRETペアの両方を含んでなる(例えば、RETが可能な分子を生成する)。一態様において、この分子は蛍光分子およびルミネッセンス金属錯体を含んでなる。本発明には、関連組成物、例えばそれぞれが共鳴エネルギー移動ペアの一方を構成する2分子を含む組成物が包含される。当該組成物は、当該2分子を「連結」しうる酵素を適宜含むことができる。
本発明の一態様において、酵素はその活性により、RETが可能な分子またはRETが可能な錯体の形成を分裂させるかまたは阻害する。一態様において、酵素(例えば、脱ユビキチン化酵素またはプロテアーゼ)はその活性により、蛍光分子およびルミネッセンス金属錯体を含んでなる分子を切断する(例えば、FRETが可能な分子を分裂する)。一態様において、酵素はその活性により、蛍光分子またはルミネッセンス金属錯体を含んでなる分子をリン酸化または脱リン酸化する(例えば、リン酸化を調整する)。
一態様において、本発明は、第1の結合パートナーと第2の結合パートナーとの結合に対する、被験化合物の作用を測定する方法の提供に関する。一態様において、前記方法は、第1の結合パートナー、第2の結合パートナー、および被験化合物(例えば、キナーゼまたは低分子薬剤候補)を接触させて、被験試料を形成することを含んでなる。幾つかの態様において、第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、一方がルミネッセンス金属錯体を含んでなり、他方が蛍光アクセプター部分を含んでなる。第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、相互に結合して錯体を形成しうる。
1つの方法においては、被験試料を露光し、被験試料からの蛍光放出を測定する。一態様において、被験試料を100nmから2000nmの範囲の波長の光に曝露し、被験試料の蛍光放出を測定する。一態様において、被験試料の蛍光放出計測が対応する対照試料(例えば被験化合物を含まない試料)の蛍光放出計測と異なるときは、当該被験化合物は、第1の結合パートナーと第2の結合パートナーの結合に影響するものとして同定される。一態様において、放出(蛍光等)計測は比率計算を含んでなる。一態様において、当該比率計算は、対照試料に対する被験試料の蛍光放出の比率を含んでなる。他の態様において、当該比率計算は、RETペア(ランタニド金属錯体等)のドナー分子の蛍光放出に対するアクセプター分子(フルオレセインまたはGFP等)の蛍光放出の比率を含んでなる。他の態様において、当該比率測定は、対照試料の蛍光放出に対する被験試料の蛍光放出の比率、およびRETペア(ランタニド金属錯体等)のドナー分子の蛍光放出に対するアクセプター分子(フルオレセインまたはGFP等)の蛍光放出の比率を含んでなる。
第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーは、タンパク質またはポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、多糖類、ホルモンおよび低分子有機化合物からなる群から独立に選択されうる。幾つかの態様において、ポリペプチドは抗体または抗体フラグメントでありうる。蛍光アクセプター部分は、フルオレセイン、ローダミン、GFP、GFP誘導体、FITC、5−FAM、6−FAM、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキサミド、6−クロロ−7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキサミド、フルオレセイン−5−イソチオシアネート、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、テトラメチルローダミン−5−イソチオシアネート、テトラメチルローダミン−6−イソチオシアナート、5−カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル、6−カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、5−カルボキシテトラメチルローダミン、6−カルボキシメチルローダミンおよび7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸からなる群から選択しうるが、これらに限定されない。
ドナー部分の例としては、ランタニド金属錯体等のルミネッセンス金属錯体が挙げられる。ランタニド金属錯体は、有機アンテナ部分、金属連結部分およびランタニド金属イオンを含みうる。ランタニド金属イオンは、Sm(III) Ru(III) Eu(III) Gd(III) Tb(III)およびDy(III)からなる群から選ばれうる。一態様において、ランタニド金属イオンは、テルビウム(Tb)である。有機アンテナ部分は、ローダミン560、フルオレセイン575、フルオレセイン590、2−キノロン、4−キノロン、4−トリフロロメチルクマリン(TFC)、7−ジエチル−アミノ−クマリン−3−カルボヒドラジド、7−アミノ−4−メチル−2−クマリン(カルボスチリル124)、7−アミノ−4−メチル−2−クマリン(クマリン120)、7−アミノ−4−トリフロロメチル−2−クマリン(クマリン124、)およびアミノメチルトリメチルプソラレンからなる群から選ばれうる。金属連結部分は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGAおよびNOTAからなる群から選ばれる金属キレート部分でありうる。
幾つかの態様において、ランタニド金属錯体は、−L−A−S−C,または、−L−C−S−Aの構造を有し、式中、Aは有機アンテナ部分を表し、Lはリンカーを表し、Sはスペーサを表し。nは0または1であり、Cは金属キレート化部分を表し、MはCに配位されるランタニド金属イオンを表す。
別の局面においては、本発明は、酵素活性のモジュレータを同定する方法の提供に関する。一態様において、当該方法は、酵素(キナーゼ、プロテアーゼ、脱ユビキチン化酵素、ユビキチン化酵素等)の基質に当該酵素を接触させ、酵素生成物を測定することを含んでなる。一態様において、当該酵素反応は、酵素活性のモジュレータまたは潜在的モジュレータの存在下で実施される。一態様において、酵素、基質および潜在的モジュレータは、次いで、第1の結合パートナーおよびトレーサと接触して被験試料を形成する。第1の結合パートナーは、酵素活性の酵素生成物または基質に対する結合特異性を有する。一態様において、第1の結合パートナーはトレーサに結合しうる。
トレーサは、非標識であってもよく、またはルミネッセンス金属錯体若しくは「蛍光トレーサ」等の蛍光アクセプター部分を含みうる。例えば、当該方法の一態様において、第1の結合パートナーまたはトレーサの一方はルミネッセンス金属錯体(テルビウム等)を含んでなり、他方は蛍光アクセプター部分を含んでなる。他の態様において、第1の結合パートナーおよび基質はルミネッセンス金属錯体を含んでなり、他方は蛍光アクセプター部分(フルオレセインまたはGFP等)を含んでなる。
次いで被験試料を光に曝露し、被験試料からの蛍光放出を測定する。一態様において、被験試料は、1波長の光または一定の波長範囲(例えば、10nm、15nm、20nm、30nmまたは50nmの波長帯または波長範囲)の光に曝露する。一態様において、被験試料は100nmから2000nmまで範囲の少なくとも1つの波長を有する光(例えば250nm〜750nm、250nm〜300nm、250nm〜400nm、250nm〜500nm、250nm〜600nm、250nm〜700nm、350nm〜700nm、450nm〜700nm、500nm〜1000nm、1000nm〜2000nm、100nm〜400nm、他の範囲の光の波長)に曝露することも可能であり、被験試料からのそれによる蛍光放射が測定される。一態様において、潜在的モジュレータは、被験試料の蛍光放出の測定値が、対応する対照試料(当該潜在的モジュレータを欠いているかまたは含有量がより少ない)の蛍光放出測定値と異なるときに、酵素活性のモジュレータとして同定される。被験試料または対照試料の蛍光放出は、2以上の波長において測定しうる。一態様において、2波長における被験試料または対照試料の蛍光放出計測の比率が算出される。
酵素活性は、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルクロニダーゼ活性、プレニル化、グリコシレーション、メチル化、脱メチル反応、アシル化、アセチル化、ユビキチン化、脱ユビキチン化、硫酸化、タンパク質分解、ヌクレアーゼ活性、核酸ポリメラーゼ活性、核酸逆転写酵素活性、ヌクレオチジル転移酵素活性およびポリヌクレオチド翻訳活性からなる群から選択しうる。
本発明の幾つかの局面において、アッセイの構成成分は、精製、部分的精製および/または細胞溶解物等の種々の原料に由来しうる。各構成成分は、同一、異種または種々の原料の組み合わせに由来してもよい。一態様において、酵素(キナーゼ、ユビキチナーゼ(ユビキチン化酵素)、またはDUB、およびプロテアーゼ)は細胞溶解物に由来する。一態様において、酵素のための基質または潜在的基質は、細胞溶解物に由来する。
本発明の幾つかの態様のように、遺伝子コードしたアクセプター蛍光原子団を有するプロテアーゼ(DUB等)基質を調製することにより、単一のタンパク質中に部位特異的に2つの蛍光原子団をそれぞれ取り込ませる、困難な「交差」標識ストラテジーの必要がなくなる。全長のタンパク質キナーゼ基質の場合、典型的には、標識タンパク質は、表面アクセス可能なアミン基をランダム標識して調製される。本発明の一態様のように、蛍光タンパク質との融合タンパク質として酵素基質を調製することにより、ロットごとの基質の一貫性が改善され、これはハイスループットのスクリーニング応用のための試薬開発における考慮事項である。
本発明の幾つかの態様は、細胞系アッセイの提供に関する。当該アッセイでは例えば、細胞内で標識(アクセプター標識、ドナー標識またはGFP等の蛍光タンパク質)を含んでなる融合タンパク質、および翻訳後修飾(ユビキチン化のための基質または潜在的ユビキチン化基質等)のための基質が発現され、翻訳後修飾の状態および/または潜在的ユビキチン化基質の翻訳後修飾速度を解析の対象とする。幾つかの態様において、優先的に修飾または無修飾の融合タンパク質基質と結合する結合パートナー(抗体等)が利用される。
幾つかの態様は、化合物が翻訳後修飾のモジュレータであるかどうかを決定する方法の提供に関する。幾つかの態様は、細胞中において融合タンパク質を発現させ、当該細胞を可溶化し、細胞溶解物(例えば、粗製の、部分的に精製された、または精製された細胞溶解物)を、翻訳後修飾により結合が調節される結合パートナーと接触させること含んでなる、翻訳後修飾を計測、モニターまたは定量化するアッセイの提供に関する。例えば、当該結合パートナーは、翻訳後修飾されたタンパク質と比較して、無修飾のものに対してより高いアフィニティを有してもよく、またその逆であってもよい。幾つかの態様において、当該結合パートナーは、翻訳後修飾の一部として融合タンパク質基質に付加、結合または会合する化合物(ペプチドまたはポリペプチド等)に結合する。幾つかの態様において、当該結合パートナーは、翻訳後修飾の一部として融合タンパク質基質から除去または分離される化合物(ペプチドまたはポリペプチド等)に結合する。
幾つかの態様において、当該結合パートナーは標識される。幾つかの態様において、当該結合パートナーは、融合タンパク質上の標識とRETペアを形成しうる標識を含んでなる。幾つかの態様において、当該結合パートナー(抗体等)は標識されない。本発明の幾つかの局面において、当該結合パートナーを利用して、修飾または無修飾の基質/標識融合タンパク質を優先的に固定する。それにより、例えば融合タンパク質の標識を励起して検出することにより、当該結合を検出できる。
ユビキチン化アッセイの全てではないがほとんどは、インタクトな/生存する細胞を含まない系、若しくは可溶化した細胞を開始成分とする系で実施されるか、または半精製された系を用いてタンパク質のユビキチン化をアッセイするかのいずれかである。発明者は、本願明細書において生細胞(開始成分)を利用するアッセイを記載する。加えて、これらの細胞系アッセイは、とりわけ、化合物が生細胞に拡散するかまたは細胞表面で作用(受容体に結合および/またはブロックする)し、生細胞の内部におけるユビキチン化機構または経路の活性を阻害、強化/上方制御する能力を試験するために使用できる。これにより、例えば他の技術よりも「人工的」ではない条件において、ユビキチン関連の経路を解析するための手段がユーザに提供される。本発明の細胞アッセイは、ハイスループットへの応用が可能であり、幾つかの態様において、現状のTR−FRETアッセイのユーザーフレンドリーな特性を利用しうる。
本発明の幾つかの態様は、ユビキチン化および脱ユビキチン化のためのジェエネリックなTR−FRETユビキチン試薬セットを利用する。TR−FRETドナー(テルビウム等)およびアクセプター(フルオレセインまたは蛍光タンパク質等)をユビキチン上に選択的に組み込むことにより、速度論的測定またはエンドポイント測定のいずれにおいても高いZ’値(>0.7)を有する正確なHTSアッセイを可能にする、汎用性の高いハイスループットスクリーニングの試薬が得られた。加えて、テルビウムドナー由来のシグナルの時間分解により、化合物ライブラリに存在しうる減色剤および自己蛍光物質による干渉の程度が減少した。本発明の幾つかの態様において、本願明細書ではTR−FRETユビキチンのプラットフォームを、ユビキチンにコンジュゲートして脱ユビキチン化する酵素の特異的阻害剤を同定するための、化合物スクリーニングを高速化する単純でフレキシブルな試薬セットとして提供する。
本発明はまた、製品の提供に関する。キット等の製品には、パッケージ材;ならびに、第1の結合パートナーおよび/または第2の結合パートナーを含めることができ、当該第2の結合パートナーは当該第1の結合パートナーに結合することができる。一態様において、当該結合パートナーは、ルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分を含みうる。一態様において、当該製品は、蛍光ペプチドドメイン(GFP等)とユビキチンドメインを有する融合タンパク質を含んでなり、前記ユビキチンドメインはルミネッセンス金属錯体(テルビウム等)に連結されている。
別の局面においては、本発明は組成物の提供に関する。一態様において、当該組成物は、第1の結合パートナー、第2の結合パートナーまたはそれらの混合物でありうる。一態様において、当該結合パートナーは、蛍光アクセプター部分またはルミネッセンス金属キレートを含みうる。一態様において、当該組成物は蛍光ペプチドドメイン(GFP等)およびユビキチンドメインを含んでなる融合タンパク質を含んでなり、前記ユビキチンドメインはルミネッセンス金属錯体(テルビウム等)に連結される。
特に定義のない限り、本願明細書に用いる全ての科学技術用語は、本発明の属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験において、本願明細書の記載と同様または同等の方法および材料を使用できるが、以下に適切な方法および材料を記載する。加えて、材料、方法および実施例は例示のみを目的とし、限定するためのものではない。本願明細書に記載の全ての出版物、特許出願、特許および他の参照は、その全開示内容を援用する。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が優先する。
本発明の1つ以上の態様の詳細を、添付の図面および以下の詳細な説明を参照しながら説明する。本発明の他の特徴、目的および効果は、記載および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかである。
定義
一般的に、本願明細書に用いる命名法、および本願明細書に記載の蛍光、ルミネッセンス、コンピュータ、検出、化学および実験手順は、当技術分野において共通に用いられる。化学合成、蛍光またはルミネッセンスのモニタリングおよび検出、光学、分子生物学、ならびにコンピュータソフトウェアおよび統合において、標準的な技法が用いられる。化学反応、細胞アッセイおよび酵素反応は、通常は製造メーカーの取扱説明書に従い適切に実施される。一般的に、蛍光の技術については、J.R.Lakowicz、Topics in Fluorescence Spectroscopy(全3巻)、New York、Plenum Press、1991年、および、J.R.Lakowicz、Emerging applications of florescence spectroscopy to cellular imaging:lifetime imaging、 metal−ligand probes、 multi photon excitation and light quenching、Scanning Microsc.Suppl.10巻、1996年、213−24ページ;分子生物学の方法については、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;細胞生物学の方法については、Cells:A Laboratory Manual、第1版、1998年、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;ならびに、一般的な光学の方法については、Optics Guide、5 Melles Griot(登録商標) Irvine CA、およびOptical Waveguide Theory、Snyder&Love(Chapman&Hall出版)を参照。これらは全て参照により本願明細書に援用される。
ルミネッセンス材料における種々の蛍光またはルミネッセンスアッセイを実施するための一般的な方法は当業に公知であり、例えば、J.R.,Lakowicz、Topics in Fluorescence Spectroscopy、1〜3巻、New York、Plenum Press、1991年;B.,Herman、Resonance Energy Transfer Microscopy(Fluorescence Microscopy of Living Cells in Culture、 Part B、 Methods in Cell Biology、30巻掲載)、D.L.TaylorおよびY.−L.,Wang編集、San Diego、Academic Press、1989年、219−243ページ;N.J.,Turro、Modern Molecular Photochemistry、Menlo Park、Benjamin/Cummings Publishing Col, Inc.、1978年、296−361ページ;ならびに、Bernard Valeur、“Molecular Fluorescence:Principles and Applications”、Wiley、VCH、2002年に記載されている。特定の共鳴アクセプター部分を選択および使用における案内としては、例えば、I.B.,Berlman、Energy transfer parameters of aromatic compounds、Academic Press、New York and London、1973年に、共鳴エネルギー移動ペアの選択に対するスペクトルの重なり積分の表が含まれている。さらなる情報源としては、Molecular Probes Catalog(2003)およびウェブサイト;ならびに、Tsienら、1990年、Handbook of Biological Confocal Microscopy、169−178ページが含まれる。FPおよび/またはRETの実施に役立つ計測機器およびTR−RETアプリケーションは、Tecan Group Ltd.(スイス)(Ultra、Ultra 384、Ultra Evolution);Perkin−Elmer(Boston、米国マサチューセッツ州)(Fusion、EnVision、Victor V、およびViewLux)、Amersham Bioscience(Piscataway、米国ニュージャージー州)(LeadSeeker);およびMolecular Devices Corporation(Sunnyvale、米国カリフォルニア州)(Analyst AD、GT、HT)から入手可能である。
本開示書に厳密に定義していない、一般的に用いられる化学の略語は、The American Chemical Society Style Guide、第2版、American Chemical Society、Washington DC、1997年、“2001 Guidelines for Authors”、J.Org.Chem.、66巻1号、24A、2001年、ならびに、“A Short Guide to Abbreviations and Their Use in Peptide Science”、J.Peptide.Sci.、5巻、465−471ページ、1999年に見られる。
略語:
t−Boc、tert−ブチルオキシカルボニル;Bzl、ベンジル;PTK、タンパク質チロシンキナーゼ;Fmoc、フルオレニルメチルオキシカルボニル;ELISA、酵素結合免疫吸着アッセイ;FP、蛍光偏光;FITC、フルオレセインイソチオシアネート;RET、共鳴エネルギー移動;FRET、蛍光共鳴エネルギー移動またはフォースター共鳴エネルギー移動;TR、時間分解;FAM、カルボキシフルオレセイン。
本開示書全体に用いるように、下記用語は、特に明記しない限り次の意味に理解されたい。
用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体、単鎖Fv抗体フラグメント、FabフラグメントおよびF(ab)フラグメントが包含される。ポリクローナル抗体は、特定の抗原に対する特異性を有する抗体分子の不均一な集合であり、一方で、モノクローナル抗体は抗原に含まれる特定のエピトープに対する抗体の均一な集合である。キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体由来可変ドメインおよびヒト免疫グロブリン定常ドメインを有するもののように、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原上の抗原決定基を指す。エピトープは、通常、アミノ酸、糖側鎖または化学部分(例えば有機化合物由来)等の化学的に活性な表面群からなり、通常は、特異的な三次元構造の特徴、ならびに特定の電荷特性を有する。エピトープは、一連の隣接するアミノ酸(例えば5つの隣接アミノ酸)から成りうる。他の態様において、エピトープは不連続なエピトープである場合もあり、例えば、エピトープはタンパク質またはポリペプチドの2次構造、3次構造、および/または、4次構造的なフォールディングから生じる、特定の空間的なアミノ酸配置が挙げられる。さらに他の態様において、エピトープは、リン酸化チロシン、セリンまたはトレオニン等の、組み換えアミノ酸側鎖から成りうる。モノクローナル抗体は、特に本発明に有用である。
用語「RET」は共鳴エネルギー移動を意味し、ドナーおよびアクセプター種の間の共鳴相互作用により、原子間よりもかなり長距離にわたって、実質的に熱エネルギー変換を伴わずに、且つドナーおよびアクセプターの力学的衝突を伴わずに、分子内または分子系における吸収サイト(トナー)から利用サイト(アクセプター)へのエネルギー量子の無放射の透過を指す。ドナーは、最初にエネルギー(光学エネルギーまたは電子エネルギー等)を吸収する部分である。本願明細書に記載のように、ルミネッセンス金属錯体は2つのドナーを含みうる。1)光学エネルギー(例えば光量子からの)を吸収する有機アンテナ部分;および、2)電子エネルギー(例えば、有機アンテナ部分から移動する)を吸収するランタニド金属イオン。RETは、蛍光共鳴エネルギー移動またはフォースター共鳴エネルギー移動(両方の省略FRET)と呼ばれることもある。FRETは、蛍光分子間の近接度の検出に使用できる。ドナーの発光スペクトルがアクセプターの励起スペクトルと重複する場合(例えば、テルビウムキレートおよび蛍光タンパク質またはポリペプチドの場合)、分子が近接するとエネルギー移動が起こる。テルビウムキレートの蛍光寿命は長いため、エネルギー移動は、他の蛍光分子からの干渉後に、または散乱光の消失から検出しうる。
用語「アクセプター」は、共鳴エネルギー移動を介してエネルギーを受け取る、化学的または生物学的部分を指す。RETアプリケーションにおいて、アクセプターは、ドナー蛍光部分または蛍光としてのルミネッセンス部分から移動(RETまたはTR−RET等)したエネルギーを再放出してもよく、「蛍光アクセプター部分」ということである。本願明細書に用いるように、このようなドナー蛍光部分またはルミネッセンス部分、ならびにアクセプター蛍光部分を、「RETペア」と呼ぶ。アクセプターの例は、クマリンおよび関連蛍光原子団;フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体等のキサンテン;GFPおよびGFP誘導体等の蛍光タンパク質;ロドール、ローダミンおよびその誘導体;レゾルフィン;シアニン;ジフロロボラジアザインダセン;およびフタロシアニンを含んでなる。
用語「標識」「標識された」は、本願明細書に記載のように、第1の結合パートナー、第2の結合パートナー、トレーサ、被験化合物、潜在的モジュレータ、基質、または生成物におけるルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分を指す。標識導入の方法は、融合タンパク質としての発現、化学的連結による共有結合的付加、およびビオチン−アビジンまたはFKBPリガンドおよびFKBP、若しくは抗体標的への抗体を介する相互作用等のリガンド−タンパク質ドメインの相互作用等の非共有結合的付加を含んでなる。
用語「調節」は、活性またはプロセスの(速度または効率の減衰等)、部分的または完全な促進または阻害を指す。
用語「モジュレータ」は、生物学的巨大分子(ポリヌクレオチド、タンパク質またはポリペプチド、ホルモン、多糖類、脂質等)、有機分子(低分子有機分子等)、若しくは、細菌、植物、菌または動物(特に、ヒトを含む哺乳類)細胞または組織等の生体試料由来抽出物等の化合物(自然発生または非自然発生)を指す。モジュレータは、生物学的過程または複数の過程の阻害剤または促進剤(アゴニスト、部分的アンタゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、抗悪性腫瘍薬、細胞毒性剤、腫瘍転化または細胞増殖の阻害剤、等)としての潜在的な活性を評価(直接的または間接的に)してもよい。モジュレータの活性は公知でもよく、未知または部分的に公知でもよい。
用語「非自然発生」は、目標、化合物または化学物質が自然界に見られないことを指す。例えば、自然界の起源から単離可能で、実験室において人の手により意図的に改変されていない生体中(ウィルスを含む)に存在するポリペプチド、タンパク質またはポリヌクレオチドは自然発生であり、一方、人の手により意図的に改変されたそうしたポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、非自然発生である。
用語「有機分子」は、典型的には10000ダルトン未満の分子量を有し、1以上のC、N、H、O、SおよびP元素の共有結合性の構造を含んでなる分子骨格を有する化合物を指す。5000ダルトン未満の分子量を有する有機分子は、「低有機分子」と呼んでもよい。
用語「ポリペプチド」は、アミド結合で連結された2以上のアミノ酸ポリマーを指す。ポリペプチドは、タンパク質(自然起源または発現系から単離されたもの等)全体、タンパク質断片、タンパク質またはタンパク質断片の酵素的または化学的合成および/または組み換え版、若しくは新規設計(公知のタンパク質配列に基づかない)のアミノ酸配列でありうる。ポリペプチドは、長さが2−1000アミノ酸(例えば、長さが2−900、2−800、2−700、2−600、2−500、2−480、2−450、2−300、2−200、2−100、2−50、2−25、5−900、5−800、5−700、5−600、5−500、5−450、5−300、5−200、5−100、5−50、5−25、10−900、10−800、10−700、10−600、10−500、10−450、10−300、10−200、10−100、10−50、20−900、20−800、20−700、20−600、20−500、20−450、20−300、20−200、20−100または20−50のアミノ酸)でありうる。アミノ酸は、例えば、ベータアラニン、フェニルグリシン、およびホモアルギニンを含んでなる、天然のアミノ酸でもよく、非天然アミノ酸でもよい。総説としては、A.F.Spatola、in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids、 Peptides and Proteins、 B.Weinstein編集、Marcel Dekker、 New York、267ページ、1983年を参照されたい。本発明において使用するアミノ酸は、全てD−体またはL−体のいずれでもよい。特に、リン酸化(例えば、ホスホセリン(側鎖水酸基へのリン酸化)、ホスホチロシン(側鎖フェニル環OHへのリン酸化)、およびホスホトレオニン(側鎖水酸基へのリン酸化))、硫酸化、メチル化、またはプレニル化アミノ酸を含んでなる、化学的修飾または置換アミノ酸が有用である。
用語「翻訳後修飾」および「翻訳後タイプの修飾」は交換可能に用いられ、タンパク質またはポリペプチド中の1以上のアミノ酸残基の酵素的または非酵素的修飾を指す。定型的な修飾は、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、メチル化、硫酸化、ユビキチン化、アシル化、アセチル化、プレニル化およびADPリボシル化を含有する。好適な翻訳後タイプの修飾は、リン酸化および脱リン酸化を含んでなる。翻訳後修飾という用語は、ポリペプチド−ポリペプチド相互作用、若しくは、リガンド、アロステリックモジュレータ、他のモジュレータ、またはカルシウム、cAMP、またはリン酸イノシトール等の第2のメセンジャの結合等の、タンパク質またはポリペプチド活性、構造または機能に影響しうる非共有結合性の修飾を含んでなる。
用語「被験化合物」は、例えばキナーゼ活性等の酵素活性のモジュレータが推測される場合にこれを計測するための、本発明の1以上のスクリーニング法により試験される化合物を指す。被験化合物は、無機化合物、有機分子、タンパク質またはポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、多糖類、脂質、リン脂質またはこれらの組み合わせ等の、任意の化学物質でありうる。通常は、被験化合物の様々な予め定められた濃度(例えば様々な希釈度)が、ふるい分け(例えばマイクロモル濃度の0.01、マイクロモル濃度の1またはマイクロモル濃度の10)のために使われる。被験化合物に対する実験上の対照は、被験化合物なしに実行するアッセイに対してシグナルを測定するか、または、標的の活性を変調することが公知である化合物を用いて得られるシグナルと、被験化合物を有して得られるシグナルとを比較することを含んでなる。被験化合物は、実質的に、または、部分的に精製された細胞溶解物でありうる。
用語「ユビキネーション」および「ユビキチン化」は交換可能に用いられる。
キナーゼアッセイ
TR−FRETキナーゼアッセイは、しばしば蛍光原子団で標識されたペプチド基質を用いて実施される。チロシンキナーゼによってはこの種の基質をリン酸化するが、多くは(セリン/トレオニンキナーゼ等)この種の基質に対して弱い活性を示し、未変性タンパク質基質に対してより高い活性を示す。発明者らは、蛍光タンパク質(GFP等)融合として未変性タンパク質キナーゼ基質を発現することにより、受け入れないかまたは作用効率の低いペプチド系の基質に対しても強力なキナーゼアッセイを開発した。このようなアッセイは、「難しい」キナーゼのルーチン分析を可能にし、基質上で作用する(キナーゼそれ自体よりもむしろ「ドッキング」サイトに実質的に結合する等)化合物の同定に有用である。本発明の一実施例は、基質の蛍光ポリペプチド融合を用いてキナーゼ活性を検定する方法の提供に関する。一態様において、本発明は、GFP融合基質を用いるてキナーゼ活性を検定する方法の提供に関する。基質部分は、ポリペプチド配列、タンパク質またはタンパク質ドメインでありうる。一態様において、タンパク質またはタンパク質ドメインは、リン酸化のための部位を含んでなる。本発明の幾つかの態様において、20を超える残基のGFP融合タンパク質が、基質として使われる。このような基質は、細菌または昆虫細胞中に遺伝子組み換えで産出しうる。こうしたより大きな基質(全タンパク質またはタンパク質ドメイン)は、「生理学的に関連」しうる(例えば、それらは生物学的に関連した経路のキナーゼの「天然型」基質でありうる)。このように、本発明は低分子ペプチド基質に限定しないため、本発明は検定可能なキナーゼ数を増加し、キナーゼ活性研究の潜在な生物学的関連性を増加させうる。
図28に、本発明の蛍光タンパク質系TR−FRETキナーゼアッセイを示す。当該キナーゼのタンパク質基質(またはリン酸化部位を含むその断片)は、蛍光タンパク質(GFP等)の融合として産出する。基質がリン酸化される場合は、これはリン酸化基質に対する特異的抗体と結合しうる。一態様において、この抗体は、蛍光タンパク質/ペプチドを有するRETパートナーとして作用可能で、基質融合タンパク質の一部である、蛍光および/またはルミネッセンス標識で標識される。本発明の幾つかの局面において、抗体はランタニド金属で標識される。幾つかの態様において、ランタニド金属はテルビウムまたはユーロピウムである。本発明の幾つかの局面において、抗体は特異的に非リン酸化基質に結合する。この場合、より多くの基質がリン酸化されるに従いRETシグナルは減少する。リン酸化基質に対して抗体が特異性である場合は、より多くの基質がリン酸化されるに従いFRETシグナルは増加する。本発明の幾つかの局面において、TR−FRETシグナルを測定する。
蛍光標識は、例えば、Green Fluorescent Protein(GFP)またはGFP変異種と互換の蛍光タンパク質またはポリペプチドでありうる。基質タンパク質またはポリペプチドは、遺伝子組み換え的に発現してもよく、GFPタンパク質またはポリペプチドを有する融合として単離されてもよい。基質タンパク質またはポリペプチドは、細胞中で発現し、次いで細胞溶解物から未精製の形態で用いられてもよく、実質的に純粋な形態で用いられてもよい。一態様において、キナーゼによりリン酸化された基質は、ランタニド金属錯体(Tb含有等)で標識されたリン酸特異的標識抗体により認識される。この関連は、テルビウムおよび蛍光標識の間のRET増加により検出される。本発明は、酵素活性(キナーゼのもの等)評価に使用できる。キナーゼおよび/またはキナーゼのタンパク質基質は、精製されるか、または細胞溶解物等の複合体マトリクス中に存在しうる。さらに、本発明は、精製キナーゼまたは被験化合物を含んでなる細胞の処理後等、酵素活性に影響する化合物の能力の評価に使用できる。幾つかの態様において、アッセイは、細胞により発現したキナーゼ基質融合タンパク質を有する細胞系である。
非放射性キナーゼアッセイの大部分は、約20残基以下の化学合成ペプチド基質のリン酸化に依存する。このアッセイフォーマットは、例えば、基質として20残基を超えるGFP融合タンパク質を使用する。
本発明の一態様において、基質は細菌または昆虫細胞中に遺伝子組み換えで産出しうる。こうしたより大きな基質(全タンパク質またはタンパク質ドメイン)は、「生理学的に関連」しうる(例えば、それらは生物学的に関連した経路のキナーゼの「未変成」基質でありうる)。キナーゼアッセイの熟練ユーザの多くにとっての好適な特徴は、「未変成」基質を用いることである。例えば、リン酸化のためにリン酸化部位からはるかに離れた「ドッキング」部位を必要とするキナーゼが知られている。多くの場合、より低分子のペプチド基質は基質として機能しない場合がある。関連アッセイフォーマットおよび組成物の実施例としては、図9を参照されたい。幾つかの態様において、「未変成」基質またはその断片は、蛍光ポリペプチドを含んでなる融合として発現する。
本発明の一実施例は、a)化合物および融合タンパク質を接触させて被験試料を生成する段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる段階と;b)前記融合タンパク質をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質と特異的に結合する段階と;前記被験試料を光(例えば、250nmから750nmまで範囲の波長を有する)に曝露し、前記被験試料からの蛍光放射を測定する段階、を含んでなる、化合物のキナーゼ活性を測定する方法の提供に関する。
本発明の他の態様は、a)キナーゼおよび融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなり、前記接触は前記キナーゼ活性の潜在的モジュレータの存在下で実施される段階と;b)前記融合タンパク質をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質と特異的に結合する段階と;c)前記被験試料を光(例えば、250nmから750nmまで範囲の波長を有する)に曝露し、前記被験試料からの蛍光放射を測定する段階、を含んでなる、キナーゼ活性モジュレータを同定するための方法の提供に関する。
本発明の他の態様は、a)化合物および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる段階と;b)融合タンパク質をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質と特異的に結合する段階と;c)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;d)被験試料からの蛍光放出を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物のキナーゼ活性を測定する方法を提供する。
幾つかの態様において、キナーゼは細胞溶解物から測定される。細胞溶解物は粗製、部分的に精製されたまたは実質的に精製された細胞溶解物でありうる。実質的な精製は、約95%の純度を指す。幾つかの態様において、キナーゼ(または本発明の特定の態様による他の酵素、例えば脱ユビキチン化酵素またはユビキチン化酵素)は、約90、91、92、93、94、95、96、99、99.9または100%の純度であり、例えば90%〜99.9%、93%〜99.9%、95%〜99.9%または90%〜96%の純度である。幾つかの態様において、酵素は、細胞破片の除去のため遠心分離された細胞溶解物に由来する。幾つかの態様において、酵素は、例えば細胞溶解物中、または生成中の分解を減らすために、少なくとも1つのプロテアーゼインヒビターの存在下にある。
本発明の他の態様は、a)キナーゼおよび融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなり、接触はキナーゼ活性の少なくとも1つの潜在的モジュレータの存在下で実施される段階と;b)融合タンパク質をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質と特異的に結合する段階と;c)被験試料を少なくとも1波長の光に曝露する段階と;d)被験試料からの蛍光放出を測定する段階、を含んでなる、キナーゼ活性のモジュレータを同定するための方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる段階と;b)キナーゼ活性に適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階と;c)(b)の前で、期間中に、後で、被験試料をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質を含有する少なくとも1つの融合タンパク質と特異的に結合し、蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアである段階と;d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;e)被験試料からの蛍光放出を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物のキナーゼ活性を測定する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)少なくとも1つの化合物、少なくとも1つのキナーゼ、および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、融合タンパク質は蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる段階と;b)キナーゼ活性に適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階と;c)(b)の以前、期間中、以後に、被験試料をルミネッセンス金属錯体で標識された結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子は非リン酸化基質またはリン酸化基質を含有する少なくとも1つの融合タンパク質と特異的に結合し、蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアである段階と;d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;e)被験試料からの蛍光放出を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物がキナーゼ活性を調節するかどうかを計測する方法を提供する。
本発明の他の態様は、以下を含んでなる製品を提供する。a)パッケージ材料と;b)蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる、少なくとも1つの融合タンパク質と;c)ルミネッセンス金属錯体で標識された少なくとも1つの結合分子。本発明の他の態様は、以下を含んでなる融合タンパク質を提供する。i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)キナーゼ基質ポリペプチド。
本発明の他の態様は、以下を含んでなる製品を提供する。a)パッケージ材料と;b)蛍光タンパク質またはポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含んでなる、少なくとも1つの融合タンパク質と;c)錯体を含んでなる少なくとも1つの結合分子であって、ここに蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアである。
一態様において、蛍光タンパク質またはポリペプチドは、GFPである。幾つかの態様において、蛍光タンパク質またはポリペプチドは、本願明細書に記載のように、任意の蛍光ポリペプチド配列のアミノ酸配列である、蛍光ポリペプチドである。幾つかの態様において、蛍光タンパク質またはポリペプチドは、本願明細書に記載のように、任意の蛍光ポリペプチド配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の相同性のアミノ酸配列を有する蛍光ポリペプチドである。一態様において、ルミネッセンス金属錯体は、テルビウムを含んでなる。一態様において、結合分子は抗体または抗体フラグメントである。一態様において、結合分子は、融合タンパク質の非リン酸化形態に結合する。一態様において、結合分子は、融合タンパク質のリン酸化形態に結合する。一態様において、ルミネッセンス金属錯体は、有機アンテナ部分、金属連結部分およびテルビウム金属イオンを含んでなる。一態様において、ルミネッセンス金属錯体は、Tb(III)を含んでなる。一態様において、ルミネッセンス金属錯体は、有機アンテナ部分、金属連結部分およびテルビウム金属イオンを含んでなる。一態様において、ルミネッセンス金属錯体は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGAおよびNOTAからなる群から選ばれる金属キレート部分を含んでなる。一態様において、化合物は細胞溶解物中にある。一態様において、化合物は実質的に精製される。一態様において、潜在的モジュレータは細胞溶解物中にある。一態様において、潜在的モジュレータは、実質的に精製される。一態様において、化合物はキナーゼ酵素である。一態様において、キナーゼ酵素は細胞溶解物中にある。一態様において、キナーゼは精製される。一態様において、融合タンパク質は実質的に精製される。一態様において、融合タンパク質は細胞溶解物中にある。一態様において、被験試料からの蛍光放射測定は、時間分解蛍光測定を含んでなる。一態様において、方法はさらにキナーゼおよび融合タンパク質を接触させて対照試料を生成する段階を含んでなり、ここに、キナーゼ活性の潜在的モジュレータ濃縮は被験試料の濃度未満である。他の態様において、キナーゼ活性の潜在的モジュレータは、対照試料には無い。一態様において、蛍光放出測定は比率計測を含んでなる。
ルミネッセンス金属錯体を用いるほとんどの場合において、これは、アクセプター部分(フルオレセインまたはGFP)と共にRETペアを生成する任意のドナー部分に置き換えうるものと理解される。
Riddleら、Anal.Biochem.、2006年、356巻、1号、108−116ページも参照されたい。
脱ユビキネーションアッセイ
本発明の他の態様は、脱ユビキチン化酵素(DUB)活性の高感度検出を可能にする、タンパク質系基質を伴うTR−RETの使用を提供する。本発明の方法は、標準的なRET(共鳴エネルギー移動)時間分解共鳴エネルギー移動(TR−RET)の両者の利用を可能にする。例えば、TR−RETまたはRETを用いることにより、例えばモジュレータ、活性剤または阻害剤のスクリーニングにおける使用等、この種の酵素活性の高感度検出が可能になる。TR−RETを用いることは、アッセイシグナルが強力で被験化合物からの干渉に対して抵抗性であるため、ハイスループットスクリーニングにおいて特に便利である。ユビキチン等の全タンパク質(またはドメイン)を含むインタクトなタンパク質基質を用いることにより、通常のペプチド系基質では不可能な場合もあるDUB活性の高感度測定が可能になる。本発明は、脱ユビキチン化酵素により切断されるアミノ酸配列等の、脱ユビキチン化ドメイン(例えば、脱ユビキチン化タンパク質またはポリペプチド基質)を含んでなるタンパク質断片またはペプチドの使用も含んでなる。さらに、緑色蛍光タンパク質等の遺伝子コードされた蛍光原子団を用いることにより、標識基質の容易な生産が可能になる。本願明細書に記載の方法において用いる適切な組成物も、組成物の混合物を含み、記載する。
本発明の幾つかの態様は、多くのプロテアーゼは特異的なアミノ酸配列を切断するが、アミノ酸配列中の遠方の基質を認識し、これにより通常の短いペプチド基質よりもむしろフォールディングされたタンパク質基質を優先的に切断するという事実に基づく。プロテアーゼ認識部位は、ユビキチン、ユビキチン様タンパク質(例えばSUMO)、Nedd8、ISG15または他のものにありうる。
一態様において、DUB活性の測定および検出は、共有結合付加したドナーおよびアクセプター蛍光原子団の両者を有するタンパク質基質を用いて行われうる。一態様において、方法は、共有結合付加した1つのドナーまたはアクセプター蛍光原子団のいずれかを有するタンパク質基質、ならびにこれが結合パートナーに会合してもたらされる他のタンパク質基質を用いて行われうる。同様に、ドナーおよびアクセプター蛍光原子団は、結合パートナ上に存在しうる。例えば、図10および11を参照されたい。幾つかの態様において、ドナーおよびアクセプター蛍光原子団は、標準的な有機蛍光原子団、ルミネッセンス分子、ランタニドキレートまたは遺伝子コードされた蛍光タンパク質またはポリペプチドでありうる。結合パートナーは、抗体、ストレプトアビジン、蛍光原子団(トレーサ)に付加した低分子、または他の分子でありうるが、これらに限定しない。一態様において、蛍光原子団は、インタクトな基質でRETが起きるように選択される。しかしながら、ユビキチンに特有のタンパク質(例えばDUBまたはDCE)の切断後は、RETは乱される。本発明の幾つかの態様は、テルビウムキレートおよび適切なアクセプター蛍光原子団(GFP等)を使用する。本発明の幾つかの態様は、テルビウム標識がしたユビキチンを利用する。一態様において、テルビウムは、システイン残基または複数残基への付加を介して標識される。システイン残基は、ユビキチンに自然に見出されるシステイン残基でもよく、ユビキチンタンパク質に遺伝子工学されるシステイン残基でもよい。本発明の幾つかの態様は、テルビウムキレートで標識された遺伝子工学されたシステイン残基を含んでなる、短いC−末端延長を伴う、ユビキチンのN−末端融合を利用する。これらの態様において、インタクトな基質のFRET強度は高いが、DUB依存またはDCE依存の切断は、FRET強度を低下させる。種々の基質および本発明の方法の例は、図11を参照されたい。
一態様において、本発明は、a)化合物および融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに融合タンパク質はi)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなり、ここにii)はi)およびii)の間に位置する段階と;b)前記被験試料をある波長を有する光(例えば、250nmから750nmの範囲)に曝露し、前記被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、化合物の脱ユビキチン化活性を測定する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)脱ユビキチン化化合物および融合タンパク質を接触させて被験試料を生成する段階であって、前記接触は前記キナーゼ活性の存在下において実施され、ここに融合タンパク質は、i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質またはポリペプチドと;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなり、ここにii)はi)およびiii)の間に位置する段階と;c)前記被験試料をある波長を有する光(例えば、250nmから750nmの範囲)に曝露し、前記被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、脱ユビキチン化活性のモジュレータを同定する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)化合物および融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに融合タンパク質は、i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなり、脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質の切断により(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する段階と;c)前記被験試料を少なくとも1つの波長に曝露する段階と、d)被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物の脱ユビキチン化活性を測定する方法を提供する。一態様において、少なくとも1つの化合物は、脱ユビキチン化酵素である。
本発明の他の態様は、a)化合物および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに少なくとも1つの融合タンパク質は、i)蛍光ポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質;iii)標識を含んでなり、ここに蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアであり、脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質の切断により(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する段階と;b)前記被験試料を少なくとも1つの波長に曝露する段階と、c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物の脱ユビキチン化活性を測定する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)少なくとも1つの化合物、少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素、および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに融合タンパク質は、i)蛍光ポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質;iii)標識を含んでなり、ここに蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアであり、脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質の切断により(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する段階と;b)前記被験試料を少なくとも1つの波長に曝露する段階と、c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、少なくとも1つの化合物が脱ユビキチン化活性を調節するかどうかを計測する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素および少なくとも1つの融合タンパク質を、脱ユビキチン化酵素活性の潜在的モジュレータの存在下で接触させて被験試料を形成する段階であって、ここに融合タンパク質は、i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなり、少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素の切断により(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する段階と;c)被験試料を少なくとも1つの波長に曝露する段階と、d)被験試料からの蛍光発光を測定する段階、を含んでなる、少なくとも脱ユビキチン化活性のモジュレータを同定する方法を提供する。
本発明の他の態様は、a)パッケージ材料と;b)i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなる少なくとも1つの融合タンパク質であって、ここに、少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素の切断により(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少するもの、を含んでなる製品を提供する。本発明の他の態様は、a)パッケージ材料と;b)i)蛍光ポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)標識を含んでなる少なくとも1つの融合タンパク質であって、ここに、蛍光ポリペプチドおよび標識はRETペアであり、脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質の切断により、(i)と(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少するもの、を含んでなる製品を提供する。
一態様において、前記製品はさらに少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素を含んでなる。一態様において、前記脱ユビキチン化酵素は、POH1(別名Rpn11);UCHL3;ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼL1(UCHL1);SUMO1/セントリン特異的プロテアーゼ1(SENP1);ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼL1(UCHL1);ユビキチン特異プロテアーゼ1(USP1);ユビキチン特異プロテアーゼ10(USP10);ユビキチン特異プロテアーゼ12(USP12);ユビキチン特異プロテアーゼ14(USP14);ユビキチン特異プロテアーゼ15(USP15);ユビキチン特異プロテアーゼ16(USP16);ユビキチン特異プロテアーゼ18(USP18);ユビキチン特異プロテアーゼ2(USP2);ユビキチン特異プロテアーゼ28(USP28);ユビキチン特異プロテアーゼ3(USP3);ユビキチン特異プロテアーゼ30(USP30);ユビキチン特異プロテアーゼ33(USP33);ユビキチン特異プロテアーゼ4(USP4);ユビキチン特異プロテアーゼ44(USP44);ユビキチン特異プロテアーゼ45(USP45);ユビキチン特異プロテアーゼ46(USP46);およびユビキチン特異プロテアーゼ49(USP49);ならびに、ユビキチン特異プロテアーゼ5(イソペプチダーゼT)(USP5)。からなる群から選択される;
幾つかの態様において、DUBは、細胞溶解物から測定される。細胞溶解物は粗製、部分的に精製されたまたは実質的に精製された細胞溶解物でありうる。実質的な精製は、約95%の純度を指す。幾つかの態様において、DUBは、約90、91、92、93、94、95、96、99、99.9または100%の純度であり、例えば90%〜99.9%、93%〜99.9%、95%〜99.9%または90%〜96%の純度である。幾つかの態様において、酵素は、細胞破片の除去のため遠心分離された細胞溶解物に由来する。幾つかの態様において、酵素は、例えば細胞溶解物中、または生成中の分解を減らすために、少なくとも1つのプロテアーゼインヒビターの存在下にある。
本発明の他の態様は、i)蛍光タンパク質またはポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)ルミネッセンス金属錯体を含んでなる融合タンパク質を提供し、ここに、少なくとも1つの脱ユビキチン化酵素の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する。本発明の幾つかの態様は、テルビウムキレートで標識された遺伝子工学的システイン残基を含んでなる短いC末端延長を有する、ユビキチンN末端の蛍光タンパク質(GFP等)融合を含んでなる。幾つかの態様において、インタクトな基質はFRETを示すが、DUBに依存する切断によりFRETは減少する。本発明の他の態様は、i)蛍光ポリペプチドと;ii)脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質と;iii)標識を含んでなる融合タンパク質を提供し、ここに、前記蛍光ポリペプチドおよび前記標識はRETペアであり、前記脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動は減少する。
一態様において、化合物は、脱ユビキチン化酵素である。一態様において、脱ユビキチン化酵素ポリペプチド基質は、ユビキチンタンパク質またはポリペプチド、ユビキチン様ポリペプチド、タンパク質またはその断片である。一態様において、被験試料からの蛍光発光の測定は、比率測定の計測を含んでなる。一態様において、方法はさらに、脱ユビキチン化および融合タンパク質を接触させて対照試料を生成する段階を含んでなり、ここに、脱ユビキチン化活性の潜在的モジュレータの濃度は被験試料における濃度よりも低い。他の態様では、脱ユビキチン化活性の潜在的モジュレータは、対照試料には無い。一態様において、蛍光放出測定は、比率測定の計測を含んでなる。
ユビキチン化のための種々のアッセイおよび方法を本願明細書に記載する。これらのユビキチン化アッセイおよび方法は、本願明細書に記載の脱ユビキチン化アッセイと組み合わせてもよく、結合してもよい。例えば、細胞系(例えば生細胞)アッセイおよび方法は本願明細書に記載されている。一態様において、融合タンパク質は細胞中に発現し、ここに融合タンパク質は標識(GFP等)およびユビキチン化基質を含んでなる。この種のアッセイまたは方法は、本発明の脱ユビキチン化アッセイに結合しうる。一態様において、融合タンパク質はユビキチン化が生じる条件下において細胞中に発現し、次いで細胞は可溶化され、ユビキチン化融合タンパク質を脱ユビキチン化アッセイおよび本願明細書に記載の方法に使用できる。
他の態様では、融合タンパク質は、ユビキチン化が生じる条件下で、細胞中に発現しうる。次いで、細胞を、関心化合物および/または条件に曝露する。幾つかの態様において、次いで細胞を溶解し、本願明細書に記載のように、例えば、いくつかの細胞系ユビキチン化アッセイにおける記載のように、ユビキチン化/脱ユビキチン化を測定する。例えば、次いで細胞溶解物を、ユビキチン化される基質またはユビキチン化されない基質に優先的に結合する標識結合パートナーと接触させうる。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、融合タンパク質の標識(GFP等)と互換性のあるRETパートナー(例えば、テルビウムを含んでなる)で標識される。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質(例えば、抗ユビキチンまたは抗ポリユビキチン)に結合する。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、ポリユビキチン(例えば、抗ポリユビキチン)に結合する。幾つかの態様において、標識結合パートナーはユビキチン化されない基質に優先的に結合し、例えばユビキチン化によりRET測定値は減少する。
幾つかの態様における、本発明の脱ユビキチン化アッセイおよび方法、蛍光タンパク質およびユビキチン融合タンパク質等の、標識としての蛍光タンパク質。幾つかの態様において、蛍光タンパク質は、GFPである。幾つかの1態様において、蛍光タンパク質は、YFPである。幾つかの態様において、融合タンパク質は、以下のアミノ酸配列を含んでなる:
Figure 2009513681
幾つかの態様において、融合タンパク質は、アミノ酸配列「AC」がC末端に付加されるアミノ酸配列を以前に含んでなる。幾つかの態様においてて、融合タンパク質は、本願明細書に記載の蛍光ポリペプチドに対して、少なくとも70%、80%、90%、95%または98%の相同性を有するアミノ酸配列を含んでなる。幾つかの態様において、融合タンパク質は、ヒスチジンタグ等のタグを含まない。
本節では、一般的に、本発明の例示的な態様としての脱ユビキチン化を参照する。本発明は、基質にSUMOタンパク質を用いるプロテアーゼ等の、任意のプロテアーゼを利用する同様のアッセイおよび方法を提供する。換言すれば、本願明細書に記載の方法およびアッセイは、SUMO特異的プロテアーゼおよびSUMOタンパク質等、脱ユビキチン化アッセイ代替の別のタンパク質、およびユビキチン代替の別の基質タンパク質を用いても実施しうる。幾つかの態様において、SUMO特異的プロテアーゼは、Ulp(例えば、カタログ番号12588−018、Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州))である。SUMOタンパク質を含む融合タンパク質は、本発明のアッセイおよび方法に遺伝子組み換えとして提供されうる。例えば、SUMOタンパク質に対する融合として関心タンパク質を発現するために、Invitrogen社から入手可能なChampion(商標)pET SUMO発現ベクター(カタログ番号K300−01)を使用できる。幾つかの態様において、SUMO融合タンパク質は、ポリヒスチジンタグを含んでなる。
Hortonら、Analytical Chemistry、2006年8月10日(オンラインで入手可能)、doi:10.1016/j.ab.2006.06.031.も参照されたい。
ユビキネーションおよびユビキネーション様酵素
ユビキネーション酵素は、E1、E2およびE3酵素を含んでなるが、これらに限定しない。E1およびE2は構造的に相関し、十分に特性分析された酵素である。E2には様々な分子種があり、そのいくつかは特定のE3酵素と共に好適なペアの状態で作用し、種々のタンパク質に対する特異性を供与する。E3酵素は、2つの別々の作用、すなわち、ユビキチンを基質にコンジュゲートさせ、イソペプチド結合を介してポリユビキチン鎖を生成するユビキチンリガーゼ活性、および、リガーゼおよび基質を物理的に一体化するターゲッティング活性を含んでなる。種々のE3酵素の基質特異性は、ユビキチンに依存するタンパク質分解プロセスの選択性における主要な決定要因である。
特徴付けられるE3リガーゼは、HECT(E6−APカルボキシ末端に対して相同)タンパク質ドメインを含んでなり、腫瘍サプレッサp53のためのユビキチンリガーゼとして機能する、哺乳類のE6AP−E6複合体により表され、子宮頸癌においてはパピローマウィルスにより活性化される(Huangら、Science、286巻、1321−26ページ、1999年)。1つのよく特性分析されたE3リガーゼはAPC(分裂後期を促進する複合体)であり、これは分裂後期への進行ならびに有糸核分裂からの脱出への両方に関与するマルチサブユニット複合体である(概要は、Kingら、Science、274巻、1652−59ページ、1996年を参照)。APCにより分解されることが公知のタンパク質の大部分は、ユビキチン化とそれに続く分解の標的となる「破壊ボックス」として知られる、保存された9つのアミノ酸モチーフを含む。しかしながら、G1サイクリン、CDK阻害剤、転写因子およびシグナリング中間体を含んでなる、G1期間に分解されるタンパク質は、この保存されたアミノ酸モチーフを含まない。代わりに、ユビキチン化のためのE3リガーゼとの相互作用を標的にすることにおいては、基質リン酸化が重要な役割を果たすようである。(Hershkoら、Ann.Rev.Biochem.、67巻、429−75ページ、1998年を参照されたい。)
E3複合体は、ユビキチンに依存するタンパク質分解過程によるタンパク質分解の重要な決定要因であるため、E3リガーゼ活性のモジュレータは、細胞情報伝達に関与する特定の分子をアップレギュレートまたはダウンレギュレートするために使用できる。このような、特定の細胞の応答性を増強または抑制する情報トランスデューサをアップまたはダウン調節することにより、疾病プロセスを処置しうる。この原理は、気道疾患および血管機能不全に対するホスホジエステラーゼ阻害剤、悪性の形質転換に対するキナーゼ阻害剤、および関節炎等の炎症症状に対するプロテアソーム阻害剤を含んでなる、多くの治療設計に用いられてきた。
細胞調節におけるユビキチン化は重要であり、ユビキチンに依存するタンパク質分解に可能性のある様々な構成要素は広範であるため、E3リガーゼ活性を検定するための迅速で単純な手段への需要がある。さらに、このようなアッセイがあれば、E3リガーゼのモジュレータの識別に非常に役立つ。従って、ユビキチンリガーゼ活性を検定する方法を提供することは本発明の目的であり、この方法はさらにユビキチンリガーゼ活性のモジュレータの同定に用いてもよい。
ユビキチンおよびユビキチン化酵素は、本発明の例示的な態様において本願明細書に記載する。本発明は、ユビキチン様タンパク質およびユビキチン様酵素の使用も想定し、これらの多くは、ユビキチン化、SUMO化、NEDD化およびISG化に関連して本願明細書に記載する。本願明細書に記載のように、当業者であればユビキチン様タンパク質、酵素および経路に関連する同様のアッセイおよび方法を直ちに認識するであろう。
ユビキチンおよびユビキチン様タンパク質およびポリペプチド
ユビキチンおよびユビキチン様タンパク質は、まとめて「ユビキトン」として公知である。ユビキトンには、ユビキチンスーパーフォールドならびに低分子のコンジュゲート可能なタンパク質修飾物である、翻訳後修飾の中心構造要素を含んでなるものもあり、ユビキチンスーパーフォールドは一般的にはるかに大きなタンパク質の中に組み込まれるドメインでありうる。これらの構造上のフォールディングのそれぞれを包含する用語は「ユビキトン」である。ユビキトンは種々の官能基を有し、タンパク質分解と無関係のものもあり、ユビキチンとの相同性がほとんどないユビキトンもある。
多くのユビキチン様タンパク質があり、以下を含んでなるがこれらに限定しない。NEDD8;SUMO−1;UCHL3;SUMO−2;SUMO−3;SUMO4;ISG15a;ISG15b;FAT10a;FAT10b;FUB1;UBL5;URM1;ATG8;Rub1;Smt3;Hub1;Urm1;および、ATG12。本発明の態様は、これらのタンパク質またはその活性断片のいずれかの、蛍光タンパク質−融合(GFP等)を包含する。これらのユビキチン様ポリペプチド、タンパク質またはその断片は、全て本発明に包含する。一態様において、ユビキチン様ポリペプチド/タンパク質は、UCHL3である。
ユビキチンおよび/またはユビキチン様ポリペプチドをタンパク質基質からタンパク質分解性に除去するタンパク質は多数あり、以下を含んでなるがこれらに限定しない。POH1(別名Rpn11);UCHL3;ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼL1(UCHL1);SUMO1/sentrin特異的プロテアーゼ1(SENP1);ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼL1(UCHL1);ユビキチン特異プロテアーゼ1(USP1);ユビキチン特異プロテアーゼ10(USP10);ユビキチン特異プロテアーゼ12(USP12);ユビキチン特異プロテアーゼ14(USP14);ユビキチン特異プロテアーゼ15(USP15);ユビキチン特異プロテアーゼ16(USP16);ユビキチン特異プロテアーゼ18(USP18);ユビキチン特異プロテアーゼ2(USP2);ユビキチン特異プロテアーゼ28(USP28);ユビキチン特異プロテアーゼ3(USP3);ユビキチン特異プロテアーゼ30(USP30);ユビキチン特異プロテアーゼ33(USP33);ユビキチン特異プロテアーゼ4(USP4);ユビキチン特異プロテアーゼ44(USP44);ユビキチン特異プロテアーゼ45(USP45);ユビキチン特異プロテアーゼ46(USP46);そして、ユビキチン特異プロテアーゼ49(USP49);ユビキチン特異プロテアーゼ5(イソペプチダーゼT)(USP5)。当業者であれば、これらは広範にUCHs(ユビキチン−c末端部加水分解酵素)またはUSP(ユビキチン特異プロテアーゼ)ならびにPOH1をメンバーとするメタロプロテアーゼファミリーに定義されることを認識するであろう。ポリペプチド基質からユビキチンおよび/またはユビキチン様タンパク質をタンパク質分解性に除去するこれらのタンパク質は、全て本発明に包含する。これらは個々に用いてもよく任意の組み合わせで用いてもよい。
NEDD8/Rub1は、ユビキチン(Ub)様の翻訳後修飾因子である。NEDD8/Rub1は、ユビキチン化に類似の手法でカリン(Cul)ファミリータンパク質に共有結合すると考えられる。NEDD8は、SCF複合体(Skp1、Cul−1、ROC1およびF−ボックスタンパク質から成る)のユビキチン化活性を強化すると考えられる。Cul−1のNEDD8修飾は、SCF複合体へのUbコンジュゲート酵素Ubc4(E2)の補充を強め、NEDD8修飾された系はE2−E3複合体の生成を加速し、これによりタンパク質のポリユビキチン化が刺激される。NEDD8系は、おそらくE2−E3複合体形成を促進するCul−1のコンホメーション変化を通じて、SCF活性をポジティブに調節すると考えられる。NEDD8、NEDD化、または脱NEDD化の詳細は、例えば、Kawakamiら、EMBO J.、2001年8月1日、20巻、15号、4003−12ページ;Osakaら、Genes Dev.、12巻、15号、2263−2268ページ、1998年;Whitbyら、J.Biol.Chem.、273巻、52号、34983−34991ページ、1998年;Kitoら、J.Biol.Chem.、276巻、23号、20603−20609ページ、2001年を参照されたい。
ユビキチンのC末端グリシンはE1による活性化に利用され、通常はグリシン残基は、SUMO、NEDD8およびISG15等のユビキチン様タンパク質のC末端に見られる。このC末端残基は、最終的に標的タンパク質のリジルeアミノ基にコンジュゲートしてイソペプチド結合および後続のコンジュゲートを生成しうる。
複数のユビキチン化様酵素により、時には同一のリジン残基が修飾されうるタンパク質もあるため、種々のコンジュゲート経路の間には交差する調節がありうる。
幾つかの例においては、SUMO修飾はユビキチン化に拮抗的に作用する。幾つかの例においては、SUMO修飾は、タンパク質基質を安定化するのに役立つ。
ユビキチン様タンパク質の付加により基質コンフォメーションが変化し、リガンドまたは他の相互作用分子に対する親和性に影響し、基質位置を変化させ、タンパク質の安定性に影響する場合がある。
ユビキチン化タンパク質、酵素および経路、ならびにユビキチン化様タンパク質、酵素および経路に関連するアッセイ
本発明は、図22、26および27等に示すように、ユビキチン化の検出のための種々の方法、および、ユビキチン化反応のモジュレータを同定するための種々の方法を提供する。本発明の方法およびアッセイは、ハイスループットフォーマット、細胞系、インビトロ系、またはこれらの組み合わせでありうる。ユビキチン化酵素は、E1、E2およびE3酵素を含んでなるが、これらに限定しない。
ユビキチン化にはいくつかの異なるクラスがある。その1つは、通常はタンパク質に付加するユビキチン鎖またはユビキチン様分子に生じるポリユビキチン化である。モノユビキチン化は、1つのユビキチンまたはユビキチン様分子のみがタンパク質に付加する場合に生じる。多ユビキチン化は、ユビキチンまたはユビキチン様分子がタンパク質の異なる部位に付加する場合に生じる。N末端ユビキチン化は、ユビキチンまたはユビキチン様分子がタンパク質のN末端に付加する場合に生じる。
本発明の一態様は、タンパク質のポリユビキチン化速度または量の変化をモニタするための、高感度スクリーニングアッセイを提供する。一態様において、アッセイはHTSアッセイである。一態様において、アッセイは、ユビキチン介在のタンパク質分解が疾病過程に関与する障害(例えば、タンパク質のミスフォールディングに関連する疾病)を治療するための医薬品の同定および開発に用いる。
本発明に関し、ユビキチン化アッセイおよび関連方法を、翻訳後修飾アッセイの実施例として開示する。本発明は、SUMO化関連物等の、関連アッセイおよび方法も包含する。
SUMO化は、標的タンパク質の配列(例えばコンセンサス配列)内に見出されるリジン残基にコンジュゲートしたSUMOアイソフォームを含む。例えば、コンセンサス配列は、ΨΚXΕを含んでもよく、式中、Ψは大きな疎水性アミノ酸を、Xは任意のアミノ酸を表す。しかしながら、このコンセンサス配列に合致する付加部位は多くはない。SUMO化モチーフはSUMO−2および−3のK11周辺に見られるが、SUMO−1には無い。そのため、ユビキチンのように、SUMO−2および−3はポリSUMO鎖を生成しうる。SUMO−1はSUMO−2および−3にコンジュゲートしうるが、連鎖停止剤として機能する。
Nedd8コンジュゲートプロセスは、NEDD化と呼ばれ、ユビキチン化と類似する。NEDD化は、2つのサブユニットを含んでなるE1活性化酵素複合体、APP−BP1およびUBA3、ならびにE2コンジュゲート酵素、UBC12を利用しうる(例えば、Yehら、2000年)。公知のNEDD化基質は、Cullinファミリータンパク質、Cul1、Cul2、Cul3、Cul4A、Cul4BおよびCul5を含んでなるが、これらに限定しない(例えば、Osakaら、1998年;Horiら、1999年)。NEDD8および関連タンパク質は、Rub1、ISG15(UCRP)APG8、APG12、FAT10、URM1、Hub1、MGC104393、MGC125896およびMGC125897として公知でもある。Nedd−8遺伝子は、第14染色体、部位:14q12(MIM:603171 GeneID:4738)に見られる。
幾つかの態様において、本発明のアッセイおよび方法は、ユビキチン化、SUMO化およびNEDD化等の翻訳後修飾として、1つのタンパク質を別のものに付加する。幾つかの態様において、SUMOタンパク質からエピトープに結合する標識抗体を利用する。
ユビキトンに関連した詳細な情報は、Rebecca L.Welchman、Colin GordonおよびR.John Mayer、Nat.Rev.Mol.Cell Biol.、2005年8月、6巻、8号、599−609ページの概説を参照されたい。
本発明の一態様において、アッセイは、分子鎖内TR−FRETユビキチンアッセイである。一態様において、反応中ユビキチン(Ub)の一部分はRETドナーで標識され、別の部分はRETアクセプターで標識され、ここにドナーおよびアクセプターはRETに互換性がある。一態様において、反応中ユビキチン(Ub)の一部分はフルオレセインで標識され、別の部分はテルビウムキレートで標識される。一態様において、反応中ユビキチン(Ub)の一部分は蛍光タンパク質で標識され、そして、別の部分はテルビウムキレートで標識される。フルオレセインおよびテルビウムユビキチン部分は、ユビキチン化酵素(E1、E2およびE3)、ユビキチン化される標的タンパク質および反応を駆動するATP溶液と混ぜられる。一態様において、標的タンパク質は、ユビキチンタンパク質またはポリペプチドである。他の態様では、標的タンパク質はユビキチンでない。一態様において、ユビキチン化酵素は、フルオレセイン標識ユビキチンおよびテルビウム標識ユビキチンを標的タンパク質上のポリユビキチン鎖に組み込む。図22を参照されたい。関心タンパク質のユビキチン化後、RETドナーおよびアクセプターの両者はユビキチン鎖それ自体の上に存在しており、RETペア形成の完了のために第2の試薬を追加する必要なく、ユビキチン化のイベントを検出可能にする。フルオレセインおよび標的タンパク質上のテルビウムユビキチンの取り込みの割合は、反応の開始時に各ユビキチン類縁体の処方度によって部分的に制御してもよい。一態様において、ユビキチン化した標的タンパク質の割合は、反応混合物を340nmで励起し、495nmでの放射光に対する520nmでの放射光の強度を測定し、RET比率を測定することにより計測される。RET比率の顕著な増加は標的タンパク質のユビキチン化を表し、RET比率が顕著には増加しなければ標的タンパク質はユビキチン化されなかったことを示す。
一態様において、基質はポリユビキチン化されるが、ポリユビキチン鎖の生成にはよらない。例えば、多ユビキチン化のように、複数のユビキチン分子が基質上の少なくとも2つの部位に付加する。
HTSアッセイにおいて、標的タンパク質のユビキチン化を阻害または促進する化合物の有効性を測定するために、化合物(例えば薬物または候補薬物)を導入する。幾つかの態様において、化合物がユビキチン化反応を阻害する場合には、標的タンパク質のユビキチン化が減少するにつれてRET比率の減少が観測される(例えば、対象ウェルと比較して)。逆にいえば、化合物が標的タンパク質のユビキチン化を促進する場合、TR−FRET比率の増加が観測される。
RETドナーおよびアクセプターはユビキトン上に配置されるので、分子鎖内ユビキチン化アッセイは、コードするDNA配列が未知(従って、エピトープタグをコードできない)または、選択的に標的タンパク質を標識する抗体をもたない標的タンパク質と共に使用できる。アッセイは、リアルタイムで標的タンパク質のユビキチン化の動力学をモニタするためにも使用できる。幾つかの態様において、分子鎖内TR−FRETユビキチン化アッセイはTR−FRETパートナーの両者(例えば、フルオレセイン−ユビキチンおよびテルビウム−ユビキチン)をユビキチン鎖に取り入れ、分析のための第2の試薬追加を不要とする。
幾つかの態様において、例えば、野生型タンパク質N末端に4つのアミノ酸(メチオニン−システイン−グリシン−グリシン等)を付加することにより、ユビキチン付加ミュータントが合成される。一態様において、フルオレセインまたはテルビウムキレートのチオール反応性形態を有するユビキチンミュータントを部位特異的に標識しうるために、システインを導入する。細胞ホモジネートからのユビキチン精製後に、ユビキチン付加ミュータントはフルオレセインまたはテルビウムキレートチオール反応色素で標識され、対応するフルオレセイン−ユビキチンまたはテルビウム−ユビキチンを生成する。
標的タンパク質を認識する結合パートナー(抗体等)が利用できる場合は、1)ドナー標識(テルビウム等)されたユビキチンを有するアクセプター標識(フルオレセイン標識等)された結合パートナー(抗体等)、または、2)アクセプター標識(フルオレセイン標識等)されたユビキチンを有するドナー標識(テルビウム等)された結合パートナー(抗体等)を利用するユビキチン化アッセイを確立しうる。図27に、これらのアッセイフォーマットの基本的な概略を示す。一態様において、標識抗体は、ユビキチン化されるタンパク質の天然型のエピトープに結合する。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、GST等のタグのように、ユビキチン化されるタンパク質の非天然型のエピトープに結合する。
本願明細書に記載のような関連アッセイおよび方法に関し、当業者であればユビキチンおよび/またはユビキチン鎖に結合する適切な結合分子(抗体等)を認識し選択しうる。いくつかの方法において、ユビキチンに結合する抗体の全てが有用というわけではなく、最適であるわけではない。例えば、抗体によっては、例としては、1)ユビキトン化されたタンパク質の一部であるユビキトンと比較してフリーのユビキトンにより高い親和性を有し、2)ユビキトン化されたタンパク質の一部であるユビキトンと比較してフリーのユビキトンにより低い親和性を有し、または、3)ユビキトン化されたタンパク質の一部であるユビキトンと比較してフリーのユビキトンに比較的同一の親和性を有する場合がある。フリーのユビキトンに結合する抗体によっては、ユビキトンがユビキトン化されたタンパク質/基質の一部であるときに、利用できないかまたは変化しないエピトープと結合する場合もある本発明の幾つかの態様において、ユビキトン化されたタンパク質/基質の一部であるユビキトンまたはユビキトン鎖に結合する結合分子(抗体等)を利用する。幾つかの態様において、結合分子は抗体である。幾つかの態様において、抗体は、ユビキトン化されたタンパク質/基質を伴うユビキチンまたはユビキトンに優先的に結合する。幾つかの態様において、抗体は、例えばユビキトン化されたタンパク質/基質を伴わない、フリーのユビキチンまたはユビキトンに優先的に結合する。本発明の幾つかの態様において、抗体は、FK1またはFK2抗体であるか、若しくは同じエピトープに結合する。(Fujimuroら、Methods Enzymol.、399巻、75−86ページ、2005年)本発明の幾つかの態様において、抗体はFK−1(例えば、ポリユビキチン鎖を認識する)であり、例えば、BioMol社カタログ番号PW8805またはこの抗体のCDRsを含んでなる抗体である。本発明の幾つかの態様において、抗体はFK−2(例えば、ユビキチンを認識する)であり、例えば、BioMol社(Plymouth Meeting、米国ペンシルバニア州)カタログ番号PW8810またはこの抗体のCDRsを含んでなる抗体である。
本発明の一態様は、TR−FRETペアを完成するために、アクセプター標識(フルオレセイン等)されたユビキチンおよびドナー標識(テルビウム等)された抗エピトープ抗体を利用する、抗エピトープユビキチン化アッセイを提供する。本発明の一態様は、TR−FRETペアを完成するために、ドナー標識(テルビウム等)されたユビキチンおよびアクセプター標識(フルオレセイン等)された抗エピトープ抗体を利用する、抗エピトープユビキチン化アッセイを提供する。抗エピトープフォーマットは、標的タンパク質のモノおよびポリユビキチン化を検出しうる。抗エピトープユビキチン化アッセイは、対照と比較して許容しうるシグナル対バックグラウンドを有し、メチル化ユビキチンはGST−UbcH1への付加においてフルオレセイン−ユビキチンと競合する。
本発明の一態様は、ポリユビキチン鎖生成の検出を提供する。TR−FRETドナー(Tb−ユビキチン等)およびアクセプター(フルオレセイン−ユビキチン等)はポリユビキチン鎖に存在するため、分子鎖内アッセイにおいては現像段階は不要である。これにより、ユビキチン化におけるリアルタイム動力学の情報が必要なときに、分子鎖内アッセイは特に有用になる。エピトープ法と同様に、分子鎖内ユビキチン化アッセイは対照と比較して許容しうるシグナル対バックグラウンドを有し、メチル化ユビキチンはテルビウムおよびフルオレセイン−ユビキチンと競争して反応を阻害する。
他の態様では、ユビキチン化アッセイは、蛍光タンパク質またはポリペプチド(GFP等)と、ユビキチン化される標的タンパク質またはポリペプチドとの融合であるタンパク質を利用する(図26参照)。蛍光タンパク質またはポリペプチド(GFP等)は、分子鎖内ユビキチン化反応に代替物を供する標的タンパク質またはポリペプチドに融合する。図26に、p53およびテルビウム−ユビキチンを伴いGFP融合タンパク質またはポリペプチドを有するユビキチン化アッセイの実施例の概要を示す。この態様においては、モノユビキチン化およびポリユビキチン化タンパク質が検出および/または測定可能である。標的タンパク質のユビキチン化のリアルタイム動態分析も収集しうる。このアッセイは、ユビキチン化酵素の機能を調節(抑制、維持または強化等)しうる化合物、または、ユビキチン化酵素(Mdm2、ユビキチンリガーゼ酵素(E3)等)と標的タンパク質(Mdm2およびp53等)との相互作用を調節しうる化合物を同定するためのハイスループットスクリーニングフォーマットに使用できる。
幾つかの態様において、ユビキチン化酵素は、細胞溶解物から測定される。
細胞溶解物は粗製、部分的に精製されたまたは実質的に精製された細胞溶解物でありうる。実質的な精製は、約95%の純度を指す。幾つかの態様において、ユビキチン化酵素は、約90、91、92、93、94、95、96、99、99.9または100%の純度であり、例えば90%〜99.9%、93%〜99.9%、95%〜99.9%または90%〜96%の純度である。幾つかの態様において、酵素は、細胞破片の除去のため遠心分離された細胞溶解物に由来する。幾つかの態様において、酵素は、例えば細胞溶解物中、または生成中の分解を減らすために、少なくとも1つのプロテアーゼインヒビターの存在下にある。
本発明の幾つかの局面は、細胞系アッセイを提供する。本発明の態様は、融合タンパク質を発現する細胞を提供し、ここに融合タンパク質は酵素活性(ユビキチン化等)のための基質および標識(例えば、GFP等の蛍光タンパク質)を含む融合タンパク質を含んでなるする。幾つかの態様において、標識は、RETのためのドナーまたはアクセプター標識として作用しうる。幾つかの態様において、酵素活性はユビキチン化である。幾つかの態様において、ユビキチン化はポリユビキチン化である。幾つかの態様において、ユビキチン化はモノユビキチン化である。融合タンパク質は、真核生物または哺乳類細胞等の、任意の細胞中に発現しうる。
内部にGFP/ユビキチン化基質融合タンパク質を発現する能力を有する細胞は、その細胞自身のユビキチン機構により標的タンパク質の修飾が可能になる。これは、特に、APC等の複数のサブユニットから成り、アッセイ(インビトロアッセイ等)に対しての発現および精製が困難であろうユビキチン−タンパク質リガーゼ(E3等)について特に有用である。細胞系ユビキチン化アッセイに関する本発明の一態様は、例えば293細胞等、IκBαのGFP融合を内因性に発現する細胞を利用する。幾つかの態様において、TNFR受容体はTNFαに刺激され、GFP−IκBαのユビキチン化を誘導しうる。幾つかの態様において、ユビキチン化された融合タンパク質(GFP−IκBα等)を放出させるための細胞溶解後に、標識(テルビウム等)した抗ユビキチン抗体を導入して、例えばFRETペアを完成させることにより、ユビキチン化融合タンパク質を検出し、場合によってはアクセプター(GFP等)由来の発光を誘導し、および/またはドナー由来の発光を減少させる。
本発明の一態様、例えば本願明細書に記載の細胞系アッセイは、細胞環境における標的タンパク質のユビキチン化の状態をモニタするために使用できる。これによりユーザは、例えば、関連するユビキチン経路の機能をテストするためのハイスループットスクリーニングを実行しうる。幾つかの態様において、本発明は、例えば、細胞透過性のための化合物、ならびに細胞環境におけるユビキチン化を有効に抑制する化合物をスクリーニングする手段を提供する。
本発明の細胞系アッセイにより、ユビキチン化等の、酵素活性に関する種々の経路の局面を検討または計測することが可能になる。例えば、ユビキチン化のため基質である特定のポリペプチドのユビキチン化に影響する、化合物および/または条件(例えば、放射、温度変化、酸素濃度の変化、他)をスクリーニングしうる。化合物は、ユビキチン化酵素上で直接にその効果を及ぼしてもよく、ユビキチン化に関連する他の経路において別のタンパク質に影響することにより間接的にその効果を及ぼしてもよい。一態様において、化合物または条件が及ぼす効果は、少なくとも1つのタンパク質基質のユビキチン化速度を調節することである。幾つかの態様において、基質のユビキチン化速度を減少する。幾つかの態様において、基質のユビキチン化速度を上昇する。ユビキチン化に関連する任意の細胞経路は、本発明のアッセイに利用および検討しうる。
幾つかの態様において、細胞により融合タンパク質(例えば、ユビキチン化基質および標識(GFP等)を含んでなる)を発現する。本発明の幾つかの局面において、これらの細胞は本発明のアッセイに利用される。幾つかの態様において、条件および/または化合物に曝露された後に、細胞は溶解される。本願明細書に記載のように、細胞溶解物は適宜精製してもよく、例えば、標識ユビキチン化基質融合タンパク質に関して、部分的に精製してもよい。次いで、細胞溶解物は、ユビキチン化基質に結合する標識結合パートナーと接触しうる。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、融合タンパク質の標識(GFP等)と互換性のあるFRETパートナー(例えば、テルビウムを含んでなる)で標識される。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質(例えば抗ユビキチンまたは抗ポリユビキチン)に結合する。幾つかの態様において、標識結合パートナーは、ポリユビキチン(例えば抗ポリユビキチン)に結合する。幾つかの態様において、標識された結合パートナーは、ユビキチン化されない基質に優先的に結合し、例えば、ユビキチン化によりRET計測あたいは減少する。
幾つかの態様において、ユビキチン化されたGFP−IκBαの量は、TNFα(公知のTNFR活性剤)への用量応答として測定される。幾つかの態様において、Tb−抗ポリユビキチンおよび/またはTb−抗ユビキチンのいずれかが、FRETペアの完成等、細胞溶解物由来のユビキチン化された融合タンパク質(GFP−IκBα等)と結合するために用いられる。
幾つかの態様において、ユビキチン化に関連する経路はNF−κB経路である。例えば、TNF受容体(TNFR)への刺激は、TNFR関連因子(TRAF)およびその後のTGFb活性化キナーゼ1(TAK1)を活性化する。活性TAK1は、IκBαリン酸化に対して反応性であるIKKβのリン酸化を調節する。ユビキチン−リガーゼ複合体であるSCF−bTrCPは、リン酸化されたIκBαをポリユビキチン化し、このタンパク質を分解するための情報を伝達する。
本発明の一態様は、化合物が翻訳後修飾のモジュレータであるか否かを判定する方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。(a)化合物と少なくとも1つの融合タンパク質を発現する細胞とを接触させる段階、ここに、前記融合タンパク質は翻訳後修飾のための第1の標識および基質を含んで被験試料を生成し;(b)前記被験試料を、前記翻訳後修飾の有無に基づいて識別して結合を示す結合パートナーと接触させる段階、ここに前記結合パートナーは第2の標識を含んでなり、前記第1および第2の標識はRETペアであり;(c)前記被験試料からの蛍光発光を測定する段階。幾つかの態様において、方法はさらに、例えば化合物または融合タンパク質を欠乏する、対照試料を含んでなる。幾つかの態様において、被験試料の蛍光特性は、対照試料の蛍光特性と比較される。
本発明の一態様は、少なくとも1つの化合物のユビキチン化活性を測定する方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。a)少なくとも1つのタンパク質と標識されたユビキトンとを接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに、前記標識されたユビキトンは少なくとも2個を含んでなり、第1個はRETペアと互換性のあるアクセプターで標識され、第2個はRETペアと互換性のあるドナーで標識される段階と;b)前記被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
本発明の他の態様は、ユビキチン化活性の少なくとも1つのモジュレータを同定するための方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。a)ユビキチン化活性の少なくとも1つの潜在的モジュレータ、少なくとも1つのタンパク質、および標識されたユビキトンを接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに前記標識されたユビキトンは少なくとも2個を含んでなり、第1個はRETペアと互換性のあるアクセプターで標識され、第2個はRETペアと互換性のあるドナーで標識される段階と;b)前記被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。一態様において、方法はさらに、少なくとも1つのタンパク質と標識されたユビキチンとを接触させて対照試料を生成する段階を含んでなり、ここに、前記ユビキチン化活性の潜在的モジュレータの濃縮は前記被験試料の濃縮よりも低い。一態様において、ユビキチン化活性の潜在的モジュレータは、対照試料には無い。
本発明の他の態様は、a)パッケージ材料と;b)少なくとも2集団の標識されたユビキトンを含んでなる製品を提供し、ここに第1集団はRETペアと互換性のあるアクセプターで標識され、第2集団はRETペアと互換性のあるドナーで標識される。一態様において、前記製品は、さらに少なくとも1つのユビキチン化酵素を含んでなる。一態様において、前記製品は、さらに、E1、E2およびE3から選ばれる、少なくとも1つのユビキチン化酵素を含んでなる。一態様において、前記製品は、さらにユビキチン化酵素E1、E2およびE3を含んでなる。
本発明の他の態様は、少なくとも1つの化合物のユビキチン化活性を測定するための方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。a)i)少なくとも1つの化合物をii)ユビキチンおよびiii)タンパク質と接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに前記タンパク質はユビキチン化基質およびRETペアの第1の部分を含んでなる段階と;b)被験試料をユビキチン化に適切な症状下でインキュベートする段階と;c)(b)の前で、期間中に、後で、被験試料をユビキチンに結合する結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子はFRETペアの第2の部分で標識される段階と; d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;e)被験試料からの蛍光放出を測定する段階。
本発明の他の態様は、少なくとも1つの化合物がユビキチン化活性のモジュレータであるか否かを判定するための方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。i)少なくとも1つの化合物をii)ユビキチン、iii)タンパク質、およびiv)ユビキチン化酵素と接触させて被験試料を生成させる段階であって、ここに前記タンパク質はユビキチン化基質およびRETペアの第1の部分を含んでなる段階と;b)被験試料をユビキチン化に適切な症状下でインキュベートする段階と;c)(b)の前で、期間中に、後で、被験試料をユビキチンに結合する結合分子と接触させる段階であって、ここに、前記結合分子はFRETペアの第2の部分で標識される段階と;d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;e)被験試料からの蛍光放出を測定する段階と;および、f)対照試料からの蛍光と比較する段階。
本発明の他の態様は、テルビウム金属イオンで標識された、ユビキチン、若しくはユビキチン様タンパク質またはポリペプチドを提供する。一態様において、前記テルビウム金属イオンで標識された、ユビキチンまたはユビキチン様ポリペプチドは、下記実施例17の記載のようなものである。
一態様において、第2個の標識ユビキチンは、ランタニド金属錯体で標識される。一態様において、前記ランタニド金属錯体は、テルビウムを含んでなる。一態様において、前記ランタニド金属錯体は、有機のアンテナ部分、金属を連結する部分およびランタニド金属イオンを含んでなる。一態様において、前記ランタニド金属錯体は、Tb(III)を含んでなる。一態様において、前記ランタニド金属錯体は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGAおよびNOTAからなる群から選ばれる金属キレート部分を含んでなる。
一態様において、少なくとも1つの波長の光は、250nmから750nmの範囲である。一態様において、第1個の標識ユビキチンはフルオレセインまたは蛍光タンパク質またはポリペプチドで標識される。一態様において、蛍光タンパク質またはポリペプチドはGFPである。一態様において、少なくとも1つのタンパク質は、ユビキチンである。一態様において、少なくとも1つのタンパク質はユビキチンでない。一態様において、化合物について選ばれた群に由来する少なくとも1つのメンバー、少なくとも1つのタンパク質および標識ユビキチンは細胞溶解物である、一態様において、化合物について選ばれた群に由来する少なくとも1つのメンバー、少なくとも1つのタンパク質および標識ユビキチンは、実質的に精製される。一態様において、潜在的モジュレータについて選ばれた群に由来する少なくとも1つのメンバー、少なくとも1つのタンパク質および標識ユビキチンは、細胞溶解物中にある。一態様において、潜在的モジュレータについて選ばれた群に由来する少なくとも1つのメンバー、少なくとも1つのタンパク質および標識ユビキチンは、実質的に精製される。一態様において、被験試料からの蛍光発光を測定する段階は、比率測定を計測する段階を含んでなる。
本発明のアッセイの反応体積
本願明細書に記載のアッセイは、種々の体積で稼動しうる。幾つかの態様において、反応体積は著しく減量しうる。幾つかの態様において、反応体積は約1ナノリットルから約200μl;約10nl〜約200μl;約100nl〜約200μl;約1μl〜約200μl;約10μl〜約200μl;約10nl〜約100μl;約10nl〜約20μl;約100nl〜約20μl;約1μl〜約20μl;約1μl〜約10μl;約1μl〜約5μl;約5μl〜約10μl;または約10μl〜約20μlである。幾つかの態様において、反応体積は約4または20μlである。
幾つかの態様においてて、本発明のアッセイは、比較的少ない反応体積で稼動しうる。これにより、供給が限られる場合もある検定用試薬の量およびコストを減らせるという利点をもたらす。アッセイの小型化は、例えばハイスループットの効率を向上し、同時にスクリーニングする試料数を増やすことも可能にする。
本発明のアッセイにおける蛍光計測および計算
場合によっては、比率測定アッセイおよび生物活性を有する化合物を高信頼度で同定する能力を確認するときには、アッセイ値の最大および最小の間の「折り返し変化」を見る傾向がありうる(しかし読み誤りもある)。実際には、比率測定アッセイの安定性は、これらの値における相対的な差異からではなく、実際はこれらの値に伴う誤差の大きさに関連する絶対値の差異の強度で決定する。特にTR−FRETアッセイにおいては、こうした誤差の強度はTR−FRET値の最大最小の間と比較して極めて小さく、結果として、アッセイの安定性のためには大きな「ウィンドウ」は不要である。
競合平衡結合アッセイは、典型的には、トレーサおよび受容体の濃度を、トレーサの完全結合と完全競合の間の80%のシグナルが生じる濃度として実施する。これは、シグナル強度の変化と、分析物濃度の変化をアッセイがレポートしうる能力との間の均衡を提供し、競合のない状態における複合体の濃度が上昇するとこの強度は減少する。例えば、TR−FRETキナーゼアッセイは、EC80またはこの付近のキナーゼ濃度で(基質およびATP濃度は所与のセットの下で)稼動し、その結果、存在する活性キナーゼ量が少し変化するとTR−FRET値のかなりの変化を生じる一方、活性および不活性キナーゼの間には適切な分離が維持される。
結合パートナー
本発明の一実施例は、2つの結合パートナーの間の分子相互作用(例えば、複合体生成または破壊)をモニターおよび/または測定することに基づく。「結合パートナー」は、化合物(例えば、第1の結合パートナー)であり、別の化合物(例えば、第2の結合パートナー)(またはこの逆)に対する親和性を有することで、2つの結合パートナーが結合すると複合体を生成しうる。2つの結合パートナは、特異的結合ペアのメンバーでありうる。例えば、第1の結合パートナーはモノクローナル抗体であり、第2の結合パートナーはそのモノクローナル抗体によって認識されるエピトープを有する組成物でありうる。
キナーゼまたはホスファターゼ活性に関する一実施例は、ランタニド金属錯体(例えば、Tbキレートを含んでなる)で標識された抗ホスホ特異的抗体の後に、標準手順(例えば、市販のキレート試薬が供給される)を利用する。あるいは、ホスホ特異的抗体は、抗ホスホ特異的抗体に結合する分子種特異的抗体(例えば、Tb標識された抗IgG)との会合を介し、「現場で」標識される。一態様において、これらの試薬は、GFP−またはフルオレセイン標識されたタンパク質またはポリペプチド基質が用いられるキナーゼ反応に加えられる。GFP融合は、標準的な分子生物学、組換えタンパク質発現およびタンパク質精製技術を用い、大腸菌で生産してもよい。手短にインキュベートした後、例えば「LanthaScreen(商標)ユーザーズガイド」(Invitrogen、米国カリフォルニア州)に記載のように、アッセイを標準的な「LanthaScreen(商標)」を用いて読み取ってもよい。
従って、一局面においては、本発明は結合パートナーを含んでなる組成物を提供する。結合パートナーは、ルミネッセンス金属錯体(Tbまたはユーロピウム等)で標識されうる。あるいは、結合パートナーは、蛍光アクセプター部分で標識されうる。ルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分で標識された結合パートナの例を、下記実施例に記載する。本発明は結合パートナの混合物も提供する。例えば、組成物は、第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーを含みうる。第1の結合パートナーはルミネッセンス金属錯体を含みうる一方、第2の結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含みうる。あるいは、第1の結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含みうる一方、第2の結合パートナーはルミネッセンス金属錯体を含みうる。
通常は、第2の結合パートナーに対する第1の結合パートナーの親和性(見かけのKd)は約1mM以下であり、例えば約10μM以下、約1μM以下、または約0.1μM以下、若しくは10nM以下、または1nM以下、または0.1nM以下である。当業者であれば認識するように、条件および対費用効果の所望の組み合わせを得るため、第1の結合パートナーの第2の結合パートナーに対するKに依存して、アッセイ構成成分の濃度、反応時間、温度およびバッファ等の実験上のパラメータは系統的に調整しうる。
第2の結合パートナーは、第1の結合パートナーに対する最適の結合パートナーである必要はない。用語は、本発明の方法を用いて探索しうる結合相互作用を有する全ての結合パートナを包含する。第2の結合パートナーは、本願明細書においてしばしば「トレーサ」と呼び、これはルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分を含む場合には、「蛍光トレーサ」と呼ぶ。
結合パートナーはタンパク質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、多糖類または有機分子でありうる。特定のタンパク質のまたはポリペプチドに結合するパートナーの例は、抗体、タンパク質、酵素学的または化学的に合成されたまたは修飾されたポリペプチド配列(例えば、タンパク質由来、タンパク質から修飾された、または新規に遺伝子光学的に設計され合成されたポリペプチド配列)を含んでなる。タンパク質またはポリペプチドに結合するパートナーは直鎖でも環状でもよい。有機分子に結合するパートナーは、低分子有機分子でありうる。
複合体を生成する第1および第2の結合パートナの定型的な例は、抗体および当該抗体により認識されるエピトープまたはエピトープ模倣物を有する組成物;ポリペプチドおよびリガンド(例えば受容体−リガンド相互作用);ポリペプチドおよび別のポリペプチド(例えばタンパク質−タンパク質相互作用);ポリペプチドおよびポリヌクレオチド(例えばタンパク質−DNAまたはタンパク質−RNA相互作用);ポリヌクレオチドおよび別のポリヌクレオチド(例えばDNA−DNA、DNA−RNAまたはRNA−RNA相互作用);ポリペプチドおよび有機の分子(例えばタンパク質−薬物相互作用);ポリペプチドおよび脂質(例えばタンパク質−リン脂質相互作用);ポリヌクレオチドおよび有機分子;ならびに、有機分子および別の有機分子、を含んでなる。
結合パートナーは、ルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分を含みうる。本願明細書に記載の方法の幾つかの態様において、一方の結合パートナーはルミネッセンス金属錯体を含んでなり、他方は蛍光アクセプター部分を含みうる。例えば、第1の結合パートナーはルミネッセンス金属錯体を含み、第2の結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含んでなる。結合パートナーペア上のルミネッセンス金属錯体および蛍光アクセプター部分を含むことにより、第1および第2の結合パートナの相互作用は1以上の蛍光技術(TR−RETまたは多重モード等)によりモニタしうる。例えば、第1の結合パートナーおよび第2の結合パートナーが互いに結合すると、通常、この複合体は特徴的なTR−RETシグナルを呈する。第1の結合パートナーと第2の結合パートナーとの分子相互作用が破壊されると(例えば、第2のパートナーに結合する競合物の追加により)、TR−RETシグナルが変化するので、いずれかのTR−RETモードにおける分子相互作用をモニターしうる。
一態様において、抗体はルミネッセンス金属キレートで標識され、抗体に対するタンパク質またはポリペプチド結合パートナーは蛍光アクセプター部分で標識されうる。抗体およびポリペプチドが互いに結合すると、通常はこの試料はルミネッセンス金属キレートおよびアクセプター部分との間に、RETに特有の蛍光発光が測定される。抗体に対して適切なKを有する競合物を適切な濃度で添加することにより第2の結合パートナーの入れ替えが生じ、抗体上のルミネッセンス金属キレートとタンパク質またはポリペプチド上の蛍光アクセプター部分とのRETが失われる結果、蛍光発光測定が変化する。
結合パートナは、当業者に公知の多くの方法によって調製および精製されうる。例えば、抗体は、モノクローナル抗体および抗体フラグメントを含んでなり、当業者に公知の数多くの方法により調製されうるか、またはSerotec(Raleigh、米国ノースカロライナ州)、Abcam(Cambridge、米国マサチューセッツ州)、R&D Systems、 Cambridge Antibody Technologies、ならびに、Covance Research Products(Denver、米国コロラド州)を含んでなる様々な市販品ベンダーから購入可能である。
一般に、抗体が要求される抗原は、例えば、リコンビナント的に、化学合成により、または、未変性タンパク質の精製により調製され、次いで動物の免疫に用いられる。例えば、特定のアミノ酸配列および/または翻訳後修飾(例えばリン酸化)を含んでなるポリペプチドまたはタンパク質は、配列および/または翻訳後修飾に対する抗体の特異的を増すために、固相化学合成により調製しうる。例えば、ウサギ、鶏、マウス、モルモット、ヤギおよびラットを含んでなる種々の宿主動物は、関心抗原を注射して免疫化されうる。宿主生物種によっては、免疫学的応答を増すためにアジュバントが用いられ、これは、Freund’sアジュバント(完全および/または不完全)、水酸化アルミニウム等のミネラルゲル、リゾレシチン等の界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシニアンおよびジニトロフェノールを含んでなる。ポリクローナル抗体は、免疫動物の血清に含まれる。モノクローナル抗体は、標準ハイブリドーマ技術を使用して調製されうる。特に、モノクローナル抗体は、培地内の連続セルラインにより抗体分子の産出を提供する任意の手法で得られ、例えば、Kohlerら、1975年、Nature、256巻、495−497ページ;Kosborら、the human B−cell hybridoma technique、1983年、Immunology Today、4巻、72ページ、ならびに、Coteら、1983年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80巻、2026−2030ページ、およびColeら、the EBV−hybridoma technique、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc.、77−96ページ、1983年等に記載がある。この種の抗体は、IgM、IgG、IgE、IgA、IgDおよびこれらの任意のサブクラスを含んでなる、任意の免疫グロブリンクラスでありうる。本発明のモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマは、インビトロでもインビボでも培養しうる。キメラ抗体は、標準技術によって生成しうる。
抗原に対する特異的結合アフィニティを有する抗体フラグメントは、周知の技術により発生しうる。この種の抗体フラグメントは、抗体分子のペプシン消化により生じうるF(ab’)断片、およびF(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより生じるFabフラグメントを含んでなるが限定しない。あるいは、Fab発現ライブラリを構築しうる。例えば、Huseら、1989、Science、246巻、1275−1281ページを参照されたい。単鎖Fv抗体フラグメントは、アミノ酸架橋(例えば、15〜18アミノ酸)を介してFv領域の重鎖および軽鎖フラグメントを連結することにより生成され、1本鎖ポリペプチドを生じる。単鎖Fv抗体フラグメントは、米国特許第4946778号等に開示の標準的技術により生成可能である。
生成後、これらの抗体または断片は、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはジオイムノアッセイ(RIA)等を含んでなる標準的なイムノアッセイ法により、第2の結合パートナーの認識(およびアフィニティ)を試験しうる。Short Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編集、Green Publishing Associates and John Wiley & Sons、1992年を参照されたい。通常、適切な抗体は、第2の結合パートナーに対するKd値が約1mM以下であり、例えば、約10μM以下、または約1μM以下、または約0.1μM以下、または約10nM以下、または約1nM以下、または約0.1nM以下である。例えば、翻訳後に修正されたタンパク質が、特定の翻訳後修飾に対して特異的な抗体を生成する動物を免疫するために用いられる場合、第2の結合パートナーは同じ翻訳後修飾を含んでなるタンパク質またはポリペプチドでありうる。他の態様において、第2の結合パートナーは、免疫に用いられる抗原と同じ化学構造を有する。
抗体に加え、第1または第2の結合パートナとして有効であり、同様に標準的な方法により調製、分析しうる、他のポリペプチドがある。例えば、ポリペプチドまたはタンパク質は、自然由来の抽出物(例えば、単離した細胞、組織または体液)により、タンパク質またはポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、または化学合成により得られが、これらに限らない。例えば、ポリペプチドまたはタンパク質は、タンパク質またはポリペプチドをコード化している発現ベクターを用い、標準的な組換え技術により生成しうる。次いで、生じたポリペプチドを精製しうる。小スケールまたは大スケールのポリペプチド生成に使用できる発現系は、例えば組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミッドDNA発現ベクターにより形質転換したバクテリア(例えばE.coliおよびB.subtilis)等の微生物;組換え酵母発現ベクターにより形質転換した酵母菌(例えばS.cerevisiae);組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウィルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えばタバコモザイクウイルス)に感染した、または組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)により形質転換した植物細胞系;または、哺乳動物細胞ゲノム由来(例えば、メタロチオネインプロモータ)、または哺乳類ウイルス由来(例えば、アデノウイルス後期プロモータ、およびサイトメガロウイルスプロモータ)のプロモータを含んでなる組換え発現コンストラクトを収容している哺乳類細胞系(1次細胞、または、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、293ヒト胚腎臓細胞および3T3 L1細胞等の固定セルライン)を含んでなるが、これらに限らない。
ポリペプチドまたはタンパク質を精製する本発明の適切な方法は、例えば、アフィニティークロマトグラフィ、免疫沈降、サイズ排除クロマトグラフィおよびイオン交換クロマトグラフィを含んでなる。例えば、Floheら、1970年、Biochim.Biophys.Acta.、220巻、469−476ページ、または、Tilgmannら、1990年、FEBS、264巻、95−99ページを参照されたい。精製の程度は、カラムクロマトグラフィ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法または高性能液体クロマトグラフィを含んでなる任意の適切な方法で測定されうるが、これらに限定しない。
第1または第2の結合パートナとしてのポリペプチドおよびタンパク質は、固相合成方法を用いて調製しうる。WO 03/01115および6410255を参照されたい。合成の容易さおよびコストへの考慮のため、化学合成ポリペプチドは3〜50アミノ酸を有するのが好適である(例えば、3〜30、3〜20、3〜15、5〜30、5〜20、5〜15、8〜20、8〜15、10〜10、10〜15または10〜12のアミノ酸長)。本発明のポリペプチドおよびタンパク質には、豊富な種類のアミノ酸を使用できる。好適なアミノ酸は、天然、非天然、および、修飾(例えば、リン酸化)アミノ酸が含まれる。ペプチド固相合成への即時使用に適する多種の保護基を有するアミノ酸は、市販入手可能である。
結合パートナーに使用できるポリヌクレオチドは、共通分子クローニングおよび化学核酸合成技術を含んでなる標準技術によって生成しうるが、これらに限らない。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)技術を使用できる。PCRとは、目標核酸が酵素学的に増幅される手順または技法を指す。通常は、関心ドメインまたは反対側の端からの配列情報を用い、増幅するテンプレートの逆のストランドと配列が同一であるポリヌクレオチドプライマを設計する。PCRは、全ゲノムDNAまたは全細胞RNAを含んでなる、DNAならびにRNA由来の特定の配列を増幅するために用いられる。プライマは、通常は14〜40ヌクレオチド長であるが、10ヌクレオチド長から数百ヌクレオチド長にわたりうる。一般的なPCR技術は、PCR Primer:A Laboratory Manual、DieffenbachおよびDveksler編集、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1995年;テンプレート源としてRNAを用いるときには、相補DNA(cDNA)ストランド合成のために逆転写酵素を使用できる。単離した核酸を得るためには、リガーゼ連鎖反応、ストランド置換増幅、自続的配列複製(self−sustained sequence replication)、または核酸配列に基礎をおいた増幅法(nucleic acid sequence−based amplification)を使用できる。例えば、Lewis、Genetic Engineering News、12巻、9号、1ページ、1992年;Guatelliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻、1874−1878ページ、1990年、および、Weiss、Science、254巻、1292ページ、1991年、を参照されたい。
本発明のポリヌクレオチドは、1本鎖核酸分子(例えば、ホスホラミダイトを用いる3’から5’方向への自動DNA合成を用いて)として、あるいはより低分子のポリヌクレオチドとして、化学的にも合成されうる。例えば、所望の配列を有し、ポリヌクレオチドペアをアニールすると2重鎖が生成するように各ペアが相補的な短いセグメント(例えば約15ヌクレオチド)を伴う、1以上の長い(100超のヌクレオチド等)ポリヌクレオチドのペアを合成しうる。DNAポリメラーゼはポリヌクレオチドを延長するために用いられ、1本鎖、2本鎖ポリヌクレオチドを生じる。
本発明のポリヌクレオチドは突然変異誘発によっても得られうる。例えば、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド特異的変異導入法および部位特異的変異導入法を含んでなる標準的な技法を用いて変異しうる。Short Protocols in Molecular Biology、第8章、Green Publishing Associates and John Wiley & Sons、Ausubelら編集、1992年を参照されたい。
本発明の幾つかの態様において、結合パートナは、酵素学的反応を伴う関心基質を標識するために用いられる。
実施例としては、図9、11b−fおよび27を参照されたい。
ルミネッセンス金属錯体
結合パートナーは、ルミネッセンス金属錯体を含みうる。ルミネッセンス金属錯体は、RETまたはTR−RETアッセイのドナー蛍光原子団として作用しうる。ルミネッセンス金属錯体は、典型的には励起状態の寿命が、ナノ秒よりもむしろミリ秒オーダーまたは数百マイクロ秒オーダーであり、励起状態の寿命が長いことにより、光散乱由来のバックグラウンド蛍光の低下および/または光散乱に由来する干渉の後で、結合パートナとの分子相互作用の検出をモニターしうるため、本発明の方法において有用である。
種々の結合パートナにルミネッセンス金属錯体を共有結合して連結するための方法は、当業者に公知であり、例えば、WO96/23526;WO01/09188、WO01/08712およびWO03/011115;米国特許第5639615号;5656433;5622821;5571897;5534622;5220012;5162508;および4927923を参照されたい。
ルミネッセンス金属錯体は、金属を連結する部分、1以上のランタニド金属イオン、ならびに、適宜リンカー、スペーサ、および有機アンテナ部分を含んでなる。
金属連結部分
金属を連結する部分は、1以上のランタニド金属イオンを配位して金属錯体を生成する。典型的には、金属連結部分は1以上の金属配位する部分Xを含んでなり、ここにXは金属カチオンを配位しうるヘテロ原子電子供与基であり、例えばO、OH、NH、OPO 2−、NHR、またはOR等であり、ここにRは脂肪族基である。
金属連結部分は、キレート部分またはクリプタンド部分でありうる。ランタニド金属イオンがキレート部分に配位する場合、この錯体は「金属キレート」と呼ばれる。ランタニド金属イオンがクリプタンド部分に配位する場合、この錯体は「金属クリプタンド」と呼ばれる。
金属キレートは、安定してランタニドイオンを交換しなければならない。金属キレートはの生成定数(K)は、好適には1010−1より大きい。種々の有用なキレート部分が当業者に公知である。キレート部分の定型的な実施例は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGAおよびNOTAを含んでなる。
幾つかの態様において、ルミネッセンス金属キレートは、次の構造を有し、
−L−A−S−C
または、
−L−C−S−A、
式中、Aは、有機アンテナ部分;
Lはリンカーを表し;
Sはスペーサを表し;
nは0または1であり;
Cは金属キレート部分を表し;
Mは、Cに配位するランタニド金属イオンを表す。
ルミネッセンス金属キレートの実施例は、図2および3を参照されたい。図3に、結合パートナ上のアミン部分(一番上の構造)またはチオール部分(一番下の構造)へのコンジュゲートに有用なルミネッセンス金属キレートを示す。
クリプテートは、3次元的な有機キャビティ中へのランタニドカチオンの包接により生成し、非常に安定な錯体を生成する。種々の有用なクリプタンド部分が当業者に公知である。本発明の方法に有用なクリプタンド部分の実施例は、トリスビピリジン(TBP、例えば、TBPペンタカルボン酸塩)、およびピリジンビピリジン(例えば、ピリジンビピリジンテトラカルボン酸塩)を含んでなる。
キレートおよびクリプタンド部分は、当業者に公知の種々の方法により合成されるか、または市販購入可能である。米国特許第5639615号;第5656433号;第5622821号;第5571897号;第5534622号;第5220012号;第5162508号;第4927923号;WO96/23526およびWO03/011115を参照されたい。
ランタニド金属イオン
金属連結部分は、1以上のランタニド金属イオンを配位して金属錯体を生成する。ランタニド金属イオンは、その特別な電子配置が光学活性な電子を保護し、特徴的な線状の発光を生じるので、有用である。金属イオンの電子遷移は量子力学の禁制であるため、通常、これらのイオンの発光寿命は長い(μsからミリ秒まで)。
有用なランタニド金属イオンは、Sm(III)、Ru(III)、Eu(III)、Gd(III)、Tb(III)およびDy(III)を含んでなる。キレートまたはクリプタンド部分に金属イオンで錯体形成する方法は、当業者に公知であり、WO96/23526およびWO03/011115を参照されたい。
有機アンテナ部分
ルミネッセンス金属錯体は、有機アンテナ部分を適宜含んでなる。有機アンテナ部分は、通常は光を吸収することができるように共役電子構造を有する。吸収光は、アンテナ部分の一重項から三重項励起状態への分子内の非放射過程により移動され、次いで三重項状態からランタニドイオンの発光レベルへ移動し、これは次いで特徴的な長寿命のルミネッセンスを発光する。図2および4を参照されたい。金属連結部分によっては、有機アンテナ部分を包接せずに光吸収しうるものがある点に留意する必要がある。例えば、三ビピリジンペンタカルボン酸塩等の、共役有機部分を含んでなる特定のクリプタンド部分は、別個の有機アンテナ部分の包接を必要としない。
幾つかの態様において、有機アンテナ部分は、多核ヘテロ環状芳香族化合物でありうる。多核ヘテロ環状芳香族化合物は、2以上の縮合環構造を有しうる。有用な有機アンテナ部分の例としては、ローダミン560、フルオレセイン575、フルオレセイン590、2−キノロン、4−キノロン、4−トリフルオロメチルクマリン(TFC)7−ジエチル−アミノ−クマリン−3−カルボヒドラジド、7−アミノ−4−メチル−2−クマリン(カルボスチリル124、CS124)7−アミノ−4−メチル−2−クマリン(クマリン120)7−アミノ−4−トリフルオロメチル−2−クマリン(クマリン124)およびアミノメチルトリメチルプソラレンが挙げられる。図2および3を参照されたい。
有機アンテナ部分として有効な化合物は、当業者に公知の方法により合成されるか、または市販購入可能である。米国特許第5639615号;第5656433号;第5622821号;第5571897号;第5534622号;第5220012号;第5162508号;第4927923を参照されたい。
リンカー、スペーサ
リンカーおよびスペーサは、ルミネッセンス金属錯体に適宜含まれうる。Linker(L)は、第1または第2の結合パートナーにルミネッセンス金属錯体を連結するように機能する。幾つかの態様において、Lは、第1または第2の結合パートナーに対する金属連結部分のアセテート、アミン、アミド、カルボン酸,またはメチレン官能基に連結する。
当業者であれば、アミン、アセテート、チオール、アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびカルボン酸塩を含んでなる数多くの官能基と結合パートナーを反応させるためにLsを設計しうるが、これらに限定するものではない。結合パートナーがタンパク質またはポリペプチドである態様において、Lは、N末端、C末端、またはN−およびC−末端の両方を、アミド部分としてキャップしうる。Lのキャプ部分の他例は、スルホンアミド、尿素、チオ尿素およびカルバメートを含んでなる。Lsは、直鎖、分枝、若しくは環状のアルカン、アルケンまたはアルキン、ならびにリン酸ジエステル部分を含みうる。Lは、ケトン、エステル、アミド、エーテル、カルボン酸塩、スルホンアミドまたはカルバメート官能基を含んでなる、1以上の官能基で置換されてもよい。包含する特定のLsとしては、NH−−CO−NH−;−CO−(CH−NH−、式中n=1〜10;−NH−Ph−;−NH−(CH−、式中n=1〜10;−CO−NH−;−(CH−NH−、式中n=1〜10;−CO−(CH−NH−、式中n=1〜10;ならびに、−CS−NH−も含んでなる。さらなるLsの実施例およびこれらを金属錯体、特にポリペプチドまたはタンパク質に連結される金属錯体に組み込むための合成方法は、WO01/09188、WO01/08712およびWO03/011115に記載されている。
スペーサ(S)は、有機アンテナ部分を金属連結部分に接続しうる。幾つかの態様において、Sは、有機アンテナ部分に金属連結部分上のアセテート、アミンまたはメチレン官能基を連結しうる。当業者であれば、アミン、アセテート、チオール、アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびカルボン酸塩を含んでなる数多くの官能基と有機アンテナ部分を反応させるためにSsを設計しうるが、これらに限定するものではない。Ssは、直鎖、分枝、若しくは環状のアルカン、アルケンまたはアルキン、ならびにリン酸ジエステル部分を含みうる。Sは、ケトン、エステル、アミド、エーテル、カルボン酸塩、スルホンアミドまたはカルバメート官能基を含んでなる、1以上の官能基で置換されてもよい。包含する特定のSsとしては、NH−−CO−NH−;−CO−(CH−NH−、式中n=1〜10;−NH−Ph−;−NH−(CH−、式中n=1〜10;−CO−NH−;−(CH−NH−、式中n=1〜10;−CO−(CH−NH−、式中n=1〜10;ならびに、−CS−NH−も含んでなる。
蛍光アクセプター部分
結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含みうる。蛍光アクセプター部分は、RETまたはTR−RET系アッセイのアクセプターとして作用しうる。
一般に、最適な蛍光アクセプター部分は、良好な量子収率および大きな吸光係数を示す必要があり;衝突減衰や退色に耐える必要があり;当業者に公知の方法により、種々の第1および第2の結合パートナに容易に共役する必要がある。適切な蛍光原子団は、非限定的に、フルオレセイン、ローダミン、FITC(例えば、フルオレセイン−5−イソチオシネート)5−FAM、6−FAM、5,6−FAM、7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキサミド、6−クロロ−7−ヒドロキシクマリン−3−カルボキサミド、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、テトラメチルローダミン−5−イソチオシネート、テトラメチルローダミン−6−イソチオシネート、5−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシフルオレセインのスクシンイミジルエステル、5−カルボキシテトラメチルローダミン、6−カルボキシメチルローダミン、および7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸を含んでなる。他の適切な蛍光原子団は、蛍光原子団のCyファミリー(Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5;Amersham Biosciences、Piscataway、米国ニュージャージー州から入手可能);Alexa Fluorファミリー(Molecular Probes、Eugene、米国オレゴン州から入手可能);BODIPYファミリー(Molecular Probes、Eugene、米国オレゴン州から入手可能);カルボピロニン;スクアリン;シアニン/インドシアニン;ベンゾピリリウムヘテロ環;およびアミド架橋ベンゾピリリウムを含んでなる。
蛍光アクセプター部分として、蛍光ポリペプチド、タンパク質およびミュータントも使用できる。実施例は、ホタル、細菌、カブトムシルシフェラーゼ、エクオリンおよび他の発光タンパク質を含んでなる。(例えば、1989年6月22日付けThompsonらの米国特許第5221623号、1997年11月4日付けCampbellの米国特許第5683888号;1997年9月7日付けDeLucaらの米国特許第5674713号;1997年7月22日付けWoodらの米国特許第5650289号;および1998年12月1日付けTatsumiらの米国特許第5843746号に記載されている。)GFPおよびGFPミュータントは、Tb(III)を含む金属錯体を用いるアプリケーションに特に有用である。オワンクラゲ(Aequorea victoria)由来GFPの種々のミュータントは、天然型のGFPと比較して、異なるスペクトル特性、輝度の改良、発現の強化、および哺乳類細胞中で折り畳むものが創り出された。(例えば、米国特許第6410255号の表7、同様に、Green Fluorescent Proteins、第2章、19−47ページ、SullivanおよびKay編集、Academic Press;1997年4月29日付けTsienらの米国特許第5625048号;1998年7月7日付けTsienらの米国特許第5777079号;1998年9月8日付けCormackらの米国特許第5804387号を参照されたい。)
蛍光タンパク質およびその呈色変異種は、細胞生物学の良好なツールであり、生化学HTS(ハイスループットスクリーニング)アッセイ開発のための重要なツールである。本発明の幾つかの態様において、蛍光タンパク質は、例えばランタニド金属錯体により、FRETパートナーとして利用される。本発明のこれらの態様は、対応するものと共に利用するときにランタニド金属錯体がFRETペアとして協働しうる、任意の蛍光タンパク質を利用しうる。例えば、ドナーの発光スペクトルがアクセプターの励起スペクトルと重複する場合(例えば、テルビウムキレートおよび蛍光タンパク質の場合)、分子が近接するとエネルギー移動が起こる。テルビウムキレートの蛍光寿命は長いため、他の蛍光分子または散乱光からの干渉の消失後に、エネルギー移動を検出しうる。本発明のいくつかの態様は、通常、蛍光タンパク質の実施例としてのGFPに関して記載する。GFPは実施例のみのものであり、上記の基準を満たす任意の他の蛍光タンパク質を利用しうる。(例えば、対応するランタニド金属錯体とFRET可能なもの)。本発明の幾つかの態様において、avGFP融合タンパク質またはポリペプチドは、テルビウムキレートと組み合わせ、キナーゼおよびユビキチン関連の経路に対する時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)アッセイのための一般的ストラテジを作成するために利用する。ユウロピウムとは異なり、テルビウムは、遺伝子工学的にコードされたアクセプター蛍光原子団を用いるTR−FRETアッセイを可能にし、GFPとペアになりうる。本発明の幾つかの態様において、一般的なストラテジは、GFPと関心タンパク質またはポリペプチドとの間に融合を作製することを含んでなる。融合タンパク質の精製後、テルビウム標識抗体またはテルビウム標識融合タンパク質は、TR−FRETシグナルを出力する。最終的に、本アッセイは、GFPアクセプターを有するテルビウムドナーの破壊または会合により機能する。GFPは、例えば、1)容易にタンパク質精製するための可溶蛍光標識、2)全標識基質、3)TR−FRETのための適合性の高いアクセプター蛍光原子団を提供することにより、生化学アッセイ開発を可能にする。幾つかの態様において、Topaz GFPを利用する。GFP融合としての標識キナーゼ基質は、アクセス可能なアミノ基を通じて基質タンパク質がランダム標識される場合と比較してバッチごとの整合性を改善し、アクセプター標識抗体を用いる場合と比較して低コストである等の利点を有する。
多重化アッセイに用いられる蛍光アクセプター部分は、RET/TR−RETアプリケーションに有用な特徴を示す必要がある。TR−RETアプリケーションのために、蛍光原子団の吸光スペクトル範囲はルミネッセンス金属キレートの発光範囲と重複する必要があり、一方、蛍光原子団の発光スペクトルは、好適にはルミネッセンス金属キレートの発光スペクトルと実質的に重複する。
Tb(III)含有ルミネッセンス金属錯体を用いるTR−RETアッセイにおける適切なアクセプター蛍光原子団の実施例は、フルオレセイン(および誘導体);ローダミン(および誘導体);Alexa Fluors 488、500、514、532、546、555、568(Molecular Probes社から入手可能);BODIPYs FL、R6GおよびTMR(Molecular Probes社から入手可能);Cy3、Cy3B(Amersham Biosciences社から入手可能)、およびIC3(Dojindo Molecular Technologies、Gaithersburg、米国ミズリー州から入手可能)を含んでなるが、これらに限定しない。Eu(III)含有ルミネッセンス金属錯体を用いるTR−RETアッセイにおける適切なアクセプター蛍光原子団の実施例は:Alexa Fluors 594、610、633、647、および660(Molecular Probes社から入手可能);BODIPYs TR、630/650および650/665(Molecular Probes社から入手可能);Cy5(Amersham Biosciences社から入手可能)およびIC5(Dojindo Molecular Technologies社から入手可能)を含んでなるが、これらに限定しない。
本発明に用いる適切な蛍光原子団は、例えば、Molecular Probes(Eugene、米国オレゴン州)、Attotec(ドイツ)、AmershamおよびBiosearch Technologies(Novato、米国カリフォルニア州)から市販されている。蛍光原子団を種々の結合パートナに取り込む無方法は、当業者に公知であり、米国特許第6410255号を参照されたい。
RETおよびTR−RET
本発明の方法は、ドナー部分(例えば、ルミネッセンス金属キレート)とアクセプター部分(例えば、蛍光アクセプター部分)との間の共鳴エネルギー移動(RET)も利用する。一態様において、ドナールミネッセンス金属キレートは、適切な波長および輝度の光により(例えば、ドナーアンテナ部分の励起スペクトル範囲内)、アクセプター蛍光原子団の直接励起が最小化される好適な条件下において、励起される。次いで、ドナールミネッセンスキレートは、吸収エネルギーを非放射手段によりアクセプター蛍光部分へ移動し、続いて、1以上の特性波長の蛍光発光として吸収エネルギーを再放出する。TR−RETアプリケーションにおいて、再放出された放射は、例えば、マイクロタイタープレートに用いるプラスチックにより生じるバックグラウンド蛍光、光散乱または他のルミネッセンスが減衰しうる25、50、75、100、150、200、または300マイクロ秒等の、適切な遅延時間の後に初めて測定される。
いくつかのRETアプリケーションにおいて、第1の結合パートナーはルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分の一方を含み、第2の結合パートナーは他方を含みうる。例えば、抗体の第1の結合パートナーはTb(III)−キレート−有機アンテナ部分(ルミネッセンス金属キレート)で標識され、一方、当該抗体が特異性を有するタンパク質またはポリペプチドはフルオレセイン(蛍光アクセプター部分)で標識されうる。この場合、抗体とタンパク質またはポリペプチドとで生成される複合体の破壊は(例えば、2者間の結合に影響する化合物により)、第1および第2の結合パートナの結合のモニタおよび測定に使用できる、抗体上のルミネッセンス金属キレートとポリペプチド上の蛍光アクセプター部分との間のエネルギー移動に、変化を生じる。第2の結合パートナー(またはトレーサ)の第1の結合パートナーへの結合に影響する化合物は、例えば、被験化合物、酵素製品(例えば、第1の結合パートナーが特異性を有するもの)または酵素基質(例えば、第1の結合パートナーが特異性を有するもの)でありうる。
他のRET態様において、第2の結合パートナー(またはトレーサ)の第1の結合パートナーへの結合に影響する化合物は、ルミネッセンス金属キレートまたは蛍光アクセプター部分の一方を含み、第1の結合パートナーは他方を含みうる。これらの実施例では、結合に影響する標識化合物により、第1の結合パートナーと第2の結合パートナーが生成する複合体が破壊される結果、RETの増加が生じうる。
RETは、ドナールミネッセンス金属錯体か由来のルミネッセンスシグナルの輝度の減少および/またはアクセプター蛍光部分からの蛍光発光の増加として、顕在化しうる。例えば、ドナールミネッセンス金属錯体を有する抗体とアクセプター蛍光部分を有するタンパク質またはポリペプチドとの複合体が、例えば、無標識のタンパク質またはポリペプチド等、タンパク質またはポリペプチドに対する競合物により破壊されると、ドナールミネッセンス金属錯体およびアクセプター蛍光部分は物理的に分離し、RETは減少または消失する。これらの状況下では、ドナールミネッセンス金属錯体からのルミネッセンス発光は増加し、アクセプター蛍光部分からの蛍光発光は減少する。従って、アクセプター蛍光部分に対するドナールミネッセンス金属錯体に特有の(例えば、発光最大)波長の発光振幅の比率は、RET条件下(例えば、ドナールミネッセンス金属錯体の発光がアクセプターによりクエンチされる)の同じ比率と比較して、増加しなければならない。
RETの効率は、離間距離およびドナールミネッセンス金属錯体とアクセプター蛍光部分の配向、ドナー金属イオンのルミネッセンス量子収率、アクセプター蛍光部分とのスペクトルの重なり、ならびにドナーの発光スペクトルと重複する波長におけるアクセプター蛍光原子団の吸光係数に依存する。Forsterは次式の関係を導いた。
E=(F°−F)/F°=Rο/(R+Ro
式中、EはRETの効率、FおよびF°はそれぞれアクセプターの存在および不在におけるドナー蛍光強度であり、Rはドナーとアクセプターとの距離である。Roは、エネルギー移動効率が最大の50%となる距離(オングストローム)であり次式で与えられる。
Ro=9.79×10(KQJn−41/6
式中、Kはフリーの可動ドナーおよびアクセプターについての0.67近傍の平均値を有する配向因子であり、Qはクエンチされていない蛍光ドナーの量子収率であり、nは介在する培地の屈折率であり、Jは重なり積分であり、これはスペクトル重複の度合いを定量的に表現する。RETが50%効率となる特性距離Roは、ドナーの量子収率、アクセプターの吸光係数、ドナーの発光スペクトルとアクセプターの励起スペクトルとの共通部分、および2つの蛍光原子団間の配向因子に依存する。
RETの程度の変化は、「比演算(ratioing)」と呼ばれる過程である、ドナーおよびアクセプター部分由来の蛍光量の比率の変化の関数として計測しうる。比率を計算することにより、アッセイは、例えばウェルごとの基質濃度、光退色および励起強度の変動に左右されにくくなり、アッセイはより安定となる。これは、生成データの品質が後続の解析および解釈において重要である、自動スクリーニングアプリケーションで特に重要である。米国特許第6410255号;第4822733号;第5527684号;第6352672号を参照されたい。
幾つかの態様において、ドナー部分からの発光を測定する。幾つかの態様において、アクセプター部分からの発光を測定する。幾つかの態様において、RETの増加は、ドナー部分からの発光の減少により測定される。
例えば、本方法の一態様において、比率計測解析を実施し、ここに2つの異なる波長のルミネッセンス発光の比率を、被験試料および対照試料との間で比較する。典型的なTR−RET系アッセイにおいて、2つの波長はルミネッセンス金属錯体および蛍光アクセプター部分の発光最大に対応しうる。幾つかの態様において、対照試料の発光比率は、被験試料の発光比率よりも、約1.5、2、3、4、5、7、10、15、20、25、30、40、50、または100倍大きいか小さい。
RETおよび関連する方法の更なる説明は、米国特許出願US20050064485号、US20050170442号、US20050054573号、および米国仮出願60/731310号、60/735812号、60/759545号、60/774236号および60/832114号を参照されたい。
結合パートナー間への結合に関する被験化合物の効果の測定法
本発明の方法は、第1の結合パートナーと第2の結合パートナーとの間の結合に関する、被験化合物の効果を測定するために使用できる。例えば、本発明の方法は、第1または第2の結合パートナーに対して競合する結合パートナーを同定するために用いてもよく、第1または第2の結合パートナーに物理的に(例えば、アロステリックに)または化学的に影響し、その結果、当該パートナーの結合に影響する化合物を同定するために用いてもよい。従って、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−リガンド相互作用、タンパク質−DNA相互作用およびポリヌクレオチドハイブリダイゼーションのような結合パートナー相互作用に関して被験化合物の効果を同定するアッセイは、本発明の方法を用いて設計しうる。
一方法において、第1の結合パートナー、第2の結合パートナーおよび被験化合物は接触して被験試料を生成させる。幾つかの態様において、結合パートナの一方はルミネッセンス金属錯体を含んでなり、他方は蛍光アクセプター部分を含んでなる。図1を参照されたい。上記のように、第1および第2の結合パートナーは、結合して複合体を生成しうる。幾つかの態様において、被験試料は、通常は250nm〜750nmの波長範囲の光に曝露され(例えば、ルミネッセンス金属錯体、またはアンテナ部分の吸光バンドの波長で)、被験試料由来の蛍光発光を測定する。実施例において、上記のように、蛍光発光は適切な遅延時間の後に測定され、時間分解蛍光発光測定が得られる。
他の態様において、前述のように、被験化合物はルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分の一方を含み、第1の結合パートナーは他方を含みうる。例えば、第1の結合パートナー受容体はルミネッセンス金属キレートで標識され、第1の結合パートナー受容体に対する被験リガンドは蛍光アクセプター部分で標識されうる。標識した被験リガンドにより、第1の結合パートナー受容体と無標識の第2の結合パートナー(例えば、受容体のリガンド)とで生成した複合体が破壊されると、RETが増大しうる。
被験化合物は、被験試料の蛍光発光測定が、被験試料を欠く対照試料の蛍光発光計測とは異なるときに、第1および第2の結合パートナーの間の結合に影響するものとして同定される。一般的に、対照試料と比較して、測定には統計的有意差がなければならない。当業者であれば、差異が統計的有意差であるか否かは、測定の種類および実験条件に依存することを認識するであろう。測定を比較するときに、統計的有意差により被験化合物が更なる研究を正当化する場合があることは理解されよう。通常は、χ2乗検定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定、またはF−検定等の、適切なパラメータまたはノンパラメトリックな統計により、p<0.05における差異は統計的有意差と見なされる。幾つかの態様において、p<0.01、p<0.005またはp<0.001において、差異は統計的有意である。
酵素活性のモジュレータの同定法
本発明の方法は、酵素活性のモジュレータを同定するために使用できる。幾つかの態様において、第1の結合パートナーは、基質または酵素活性産物に対する特異性に基づいて選択される。例えば、無修飾チロシンと比較して、リン酸化チロシンに対する特異性を有する抗体は、チロシンキナーゼ活性産物に対する特異性を有する第1の結合パートナーでありうる。一態様において、次いで、基質または酵素活性産物に対する第1の結合パートナーの特異性に部分的に基づき、トレーサが選択される。例えば、トレーサは、抗体の第1の結合パートナーにより認識される目的エピトープ、若しくは、タンパク質またはポリペプチドの第1の結合パートナーにより認識される部位または化学構造を含みうる。他の態様において、トレーサは、動物を免疫して第1の結合パートナー抗体を生成するために用いる抗原と同一の化学構造を有しうる。通常は、第1の結合パートナーは、特異性を有する酵素生成物または基質に対するのと類似のKで、例えば、生成物または基質に対する第1の結合パートナーのKの、約0.001から1000倍、または0.01から100倍、または0.1から10倍のKで、トレーサと結合する。
トレーサは標識してもよく(例えば、本願明細書において「ルミネッセンストレーサ」と呼ばれ、ルミネッセンス金属錯体または蛍光アクセプター部分を含んでなる)、またはトレーサは無標識でもよい。例えば、第1の結合パートナーがチロシンキナーゼ活性産物であるリン酸化チロシンに対する特異性を有する抗体である場合、ルミネッセンストレーサは、抗体(この場合、リン酸化チロシン)により認識されて抗体がルミネッセンストレーサと結合する、エピトープ(またはエピトープ模倣物)を含んでなるものから選択されうる。トレーサ上に蛍光アクセプター部分またはルミネッセンス金属錯体を包含することにより、トレーサに対する第1の結合パートナーのKに実質的な影響を及ぼしてはならない。
本アッセイは、酵素活性産物または基質に対して特異性を有する第1の結合パートナーの選択に基づくので、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルクロニダーゼ活性、プレニル化、グリコシレーション、メチル化、脱メチル反応、アシル化、アセチル化、ユビキチン化、脱ユビキチン化、硫酸化、タンパク質分解、ヌクレアーゼ活性、核酸ポリメラーゼ活性、核酸逆転写酵素活性、ヌクレオチジル転移酵素活性、ポリヌクレオチド転写活性およびポリヌクレオチド翻訳活性を含んでなる、酵素活性の広範な種類が探索されうるが、これらに限定しない。
本発明のいくつかの方法において、酵素は、基質から生成物を生成する酵素活性に効果的な条件下において、酵素のための基質と接触する。当業者が認識するように、酵素活性に効果的な条件は、選択される酵素、酵素活性および基質により変化する。キナーゼ反応に対し、通常、ATPを含有させる。接触段階のためのインキュベーション条件は、例えば、酵素濃度、基質濃度、温度および時間において変化しうる。一態様において、インキュベーション温度条件は通常は約15から約40°Cであり;幾つかの態様において、前記温度は約20−25°C等の室温付近でもよい。
接触段階は、酵素活性の潜在的モジュレータの存在下で実行される。幾つかの態様において、酵素、基質および潜在的モジュレータの混合物は、次いで、上記のように第1の結合パートナーおよびルミネッセンストレーサと接触して被験試料を生成させる。前述のように、これらの態様において、第1の結合パートナーまたはルミネッセンストレーサのいずれか一方はルミネッセンス金属錯体を含み、他方は蛍光アクセプター部分を含んでなる。
一態様において、酵素、基質および潜在的モジュレータの混合物は、第1の結合パートナーおよび適宜トレーサと接触して被験試料を生成させる。これらの実施例では、第1の結合パートナーまたは基質のいずれか一方はルミネッセンス金属錯体を含有み、他方は蛍光アクセプター部分を含んでなる。このような場合、酵素活性により、標識基質の標識生成物への転換が発生しうる。基質上に蛍光アクセプター部分またはルミネッセンス金属錯体を包含することにより、標識基質から生成物を生成する酵素の能力に実質的な影響を及ぼしてはならない。加えて、基質(または生成物)上に蛍光アクセプター部分またはルミネッセンス金属錯体を包含することにより、特異性を有する基質(または生成物)に対する第1の結合パートナーのKに実質的な影響を及ぼしてはならない。
幾つかの態様において、被験試料は、典型的には250nmから750nmの波長範囲の、少なくとも1つの波長の光(例えば、ルミネッセンス金属錯体の吸光バンドの波長)にも曝露され、被験試料からの蛍光発光が測定される。蛍光発光は、上記のように適切な知恵時間の後に測定され、時間分解蛍光発光測定の結果が得られる。
幾つかの態様において、例えば、第1の結合パートナーがルミネッセンス金属錯体で標識され、基質が蛍光アクセプター部分で標識される態様のように、トレーサは無標識でもよい。無標識トレーサと第1の結合パートナーとの結合に影響する適切な標識化合物(例えば、標識基質、標識生成物、標識被験化合物)により、無標識トレーサと標識された第1の結合パートナーとで生成した複合体が破壊されると、RETの増大または低下が生じうる。
潜在的モジュレータは、被験試料の蛍光発光計測が、潜在的モジュレータの無い対照試料の蛍光発光計測と異なるときに、酵素活性のモジュレータであると同定される。上記のように、対照試料と比較して統計的有意差がなければならない。当業者であれば、差異が統計的有意差であるか否かは、測定の種類および実験条件に依存することを認識するであろう。計測を比較するときに、統計的有意差は潜在的モジュレータが更なる研究を正当化しうることを示すと理解されよう。通常は、χ2乗検定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定、またはF−検定等の、適切なパラメータまたはノンパラメトリックな統計により、p<0.05における差異は統計的有意差と見なされる。幾つかの態様において、p<0.01、p<0.005またはp<0.001において、差異は統計的有意である。
本発明の方法は、いずれもハイスループットまたはウルトラハイスループットの手法における実施に変更しうる。例えば、酵素のモジュレータを同定する方法は、複数の基質のそれぞれを特定の酵素および潜在的モジュレータと接触させ、複数の酵素混合物を生成するように変更しうる。次いで、各酵素混合物は、適切な第1の結合パートナーおよびルミネッセンストレーサと接触して被験試料を生成し、前述のように励起および測定段階に供する。当業者であれば、この種のハイスループットの方法は、特にマルチウェルプレートまたは二次元配列パネルフォーマットに受け入れ可能であることを認識するであろう。マルチウェルプレートをインキュベートし、モニタする装置は、当業に公知である。
本発明の方法のダイナミックレンジ、品質および安定性は、統計学的に評価しうる。例えば、Z′−Factorは、アッセイシグナルのダイナミックレンジおよびシグナル計測に伴う変動を反映するように設計された統計である。シグナル対ノイズ(S/N)またはシグナル対バックグラウンド(S/B)比は、試料およびバックグラウンド計測の可変性ならびにダイナミックレンジを考慮していないため、単独ではこの点に関しては満足できない。Z′−Factorはこれらの因子を考慮しており、無次元であるため類似のアッセイを比較するために使用できる。通常は、本発明のアッセイでは0.5以上のZ’因子が得られる。Z’因子の測定法は、当業者に公知である。Z’因子は、方法のダイナミックレンジを評価することにより決定してもよい。
製品および装置
本発明は、キットおよび記載した本発明の実施に有用な装置等の、製品も提供する。通常は、キットは、容器等のパッケージ材、および第1のおよび/または第2の結合パートナとして有用な1以上の組成物を含んでなる。幾つかの態様において、キットは、以下の1つ以上を含みうる:マルチウェルプレート、1以上の酵素、バッファおよびキット使用のための取扱説明。
本発明のキットは、本発明の1以上の方法を実施するよう設計してもよい。さらに、これらのキットは、本願明細書に記載の1以上の組成物を含んでもよい。付録Aに、例えば、本発明のキットに含まれうる手順を収載する。
装置は、通常、試料室および試料室を少なくとも1つの波長の光(例えば、250nm〜750nmの範囲)で照光する手段を含んでなる。加えて、装置は、試料室から放出される光(例えば蛍光)を検出する手段を含んでなる。
製品およびサービス提供方法
本発明は、さらに、本発明の種々の局面を他者(例えば顧客)に提供するための方法を提供する。これらの方法は、通常は次の段階の少なくとも1つを含んでなる:(a)製品またはサービスを広告する段階、(b)前記製品またはサービスの1以上の注文を受け付ける段階、(c)適宜有形の材料またはサービスから生じるデータを送達する段階を伴い、前記製品を供給する段階またはサービスを実施する段階、(d)前記注文を発した団体に請求書を供給する段階、(e)前記請求書の支払いが発生することを確認する段階、ならびに(f)前記支払いを処理する段階(例えば、払い出しの現金化、銀行預金の借方記入、他)。
特定の局面において、本方法は、本願明細書に提供の製品またはサービスを購入するための購入機能を、顧客に対して供給することにより、収入を生成する方法である。例えば、前記購入機能は、電話注文システム、直接販売代理人、または本願明細書に開示の製品またはサービスを購入するためのリンクの視覚的表示をモニタ上に呈するコンピュータシステム利用を提供することを含んでなる本方法は、さらに、視覚的表示が選択されるときに起動する、コンピュータ発注機能を提供することをさらに含みうる。
特定の態様において、本発明は、サービス由来のデータを団体に提供し、サービスへの支払いを回収する、団体向けサービスの実施を部分的に指向する。こうしたサービスは、例えば本願明細書に記載の方法およびアッセイの利用のように、分子修飾の検出および/または同定に関連するアッセイに指向する場合がしばしばある。
タンパク質アレイを用いる方法
ユビキチン化酵素、またはユビキチン化酵素を基質上に固定されたポリペプチドに接触することによりユビキトンをポリペプチドにコンジュゲートする他の酵素のための基質を検出する方法を、本願明細書にて提供する。また、ユビキチン化様酵素を基質上に固定されたポリペプチドに接触ことによりユビキチン化様酵素(または、ユビキチン様タンパク質をポリペプチドにコンジュゲートする他の酵素)のための基質を検出する方法も、本願明細書にて提供する。当該方法は、基質上に固定された複数のポリペプチドを含んでなる位置アドレス指定可能なアレイを、検出可能部分を有するユビキチン(または検出可能部分を有するユビキチン様タンパク質)およびユビキチン化酵素と接触させる段階、および前記検出可能部分を検出する段階を含みうる。通常、前記検出する段階は、例えば、検出可能部分が検出されるアレイ上の位置を同定することにより、ユビキチン、SUMOまたはNEDD8等のユビキトンを伴う複数のポリペプチドのポリペプチドを同定する段階を含んでなる。ユビキチン化反応のための反応条件は本願明細書にて提供され、ユビキトンを基質へ追加する他の方法のためのものを含んでなる。図示の局面において、ユビキチン化酵素は、E1、E2およびE3を含有んでなる。
本発明の特定の局面は、基質が脱ユビキチン化酵素であることを同定する方法を提供する。従って、本方法は、さらに、位置的にアドレス指定可能なアレイを脱ユビキチン化酵素でインキュベートする段階、前記検出可能部分で標識されたポリペプチドを、前記脱ユビキチン化との接触の前後で比較することにより前記検出可能部分を検出して、前記脱ユビキチン化酵素のための基質を同定する段階を含みうる。通常は、前記接触させる段階は、酵素が基質からユビキチンを除去しうる有効な期間の間インキュベートする段階を含んでなる。明確に言えば、これらの方法は、ユビキチン様タンパク質を利用し、ユビキチン様タンパク質の除去を測定/検出して実施することもできる。本発明の方法は、例えば、脱ユビキチン化、脱SUMO化、脱NEDD化および脱ISG化の測定に使用できる。
別の態様において、基質に固定された複数のポリペプチドを含んでなる位置的にアドレス指定可能なアレイを、検出可能部分およびサンプル(例えば細胞溶解物)を伴うユビキトンと接触させ、前記検出可能部分を検出することにより、試料(例えば、細胞溶解物)のユビキチン化活性を同定および/または測定する方法を、本願明細書にて提供する。幾つかの態様において、本方法は、例えば、ユビキチン化、SUMO化、NEDD化およびISG化の活性を同定および/または測定するためのものである。
他の態様において、本願明細書にて、基質に固定された複数のポリペプチドを含んでなる位置的にアドレス指定可能なアレイを、検出可能部分を伴うユビキトンおよびユビキチン化酵素と接触させ、(検出可能部分を伴うポリペプチドを適宜検出し)、前記アレイを試料(例えば細胞溶解物)と接触させ、検出可能部分を検出し、例えば、細胞溶解物との接触の前後において検出可能部分を伴うポリペプチドを比較し、対照アレイと比較することにより、脱ユビキチン化基質を同定し、試料(例えば細胞溶解物)の脱ユビキチン化活性を同定する方法を、提供する。別の態様において、本願明細書にて、ポリペプチドがユビキトン(例えば、検出可能部分を伴う)を含む、基質に固定された複数のポリペプチドを含んでなる位置的にアドレス指定可能なアレイを、試料(例えば細胞溶解物)と接触させ、(検出可能部分を伴うポリペプチドを適宜検出し)、例えば、細胞溶解物との接触の前後において検出可能部分を伴うポリペプチドを比較して脱ユビキチン化基質を同定することにより、試料(例えば細胞溶解物)の脱ユビキチン化活性を同定する方法を提供する。幾つかの態様において、複数のポリペプチドのポリペプチドは、検出可能部分(例えば蛍光タンパク質)を伴う(例えば、融合タンパク質の一部として融合した)ユビキチンを含んでなる。
本発明は、例えば、バイオマーカの同定等、異なる試料(例えば、さらに細胞の分子的差異を特性分析するための、異なる集団の細胞溶解物)を比較するために使用できる試料(例えば細胞溶解物)の、ユビキチン化または脱ユビキチン化しない活性を同定する方法を提供する。一態様において、前記異なる試料は、(例えば、細胞溶解物である)異なる細胞集団に由来する。異なる細胞集合は、異なる生物体、異なる発生状態、癌対良性対通常等の異なる疾病状態、異なる症状への曝露、異なる化合物への曝露、異なる器官由来の細胞、および/またはこれらの組み合わせを含みうる。
検出可能部分は、非限定的な実施例として、ビオチン、アビジン、エピトープまたは蛍光部分を含みうる。検出可能部分は、ユビキチンを共有結合的に、または非共有結合的に伴いうる。幾つかの態様において、検出可能な標識は、例えばユビキチンまたはユビキチン様タンパク質に結合する標識抗体等、検出可能部分で標識される抗体により提供される。
本願明細書にて提供のポリペプチドアレイを含んである方法は、いずれも、ユビキチン化または脱ユビキチン化酵素との接触の期間中、酵素および/またはポリペプチドを被験化合物と接触させる段階を含んでなる。
本発明のタンパク質アレイの局面のためのポリペプチドは、各タンパク質が固定担体の異なる位置にあり、複数のポリペプチドを含んでなり、基質上に固定されて位置的にアドレス指定可能なアレイを生成しうる。ポリペプチドは、平方センチメートルあたり、例えば、少なくとも100、200、250、300、400、500、1000、2500、5000、または10,000ポリペプチドの密度でアレイに固定されうる。ポリペプチドは、少なくとも100、200、250、500、1000、2500、5000、7500、10000または単一生物種の全ての発現したポリペプチドを含みうる。ポリペプチドは、構造的に関連する、および/または、同じタンパク質ファミリーのメンバーでありうる。ポリペプチドは、第2の修飾を含みうる。特定の態様において、ポリペプチドの長さは少なくとも20、25、50、100、250、500、または1000アミノ酸でありうる。アレイは、当業に公知の方法により形成されうる。
本発明のプロトアレイは、検出手段としてRETを利用しうる。例えば、RET(FRETまたはTR−FRET等)可能な2つの部分を使用できる。幾つかの態様において、複数のポリペプチドは、例えばドナーまたはアクセプター部分等、RETペアのメンバーを伴う。幾つかの態様において、複数のポリペプチドは、融合タンパク質として発現することにより、例えば蛍光タンパク質(GFP等)を伴う。幾つかの態様において、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質は、例えばドナーまたはアクセプター部分等、RETペアのメンバーを伴う。幾つかの態様において、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質は、ランタニド金属錯体で標識される。幾つかの態様において、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質は、RETペアのメンバーで標識される抗体を利用し、間接的に標識される。
幾つかの態様において、本方法またはアッセイは、ユビキチンの2つの集団、ユビキチン様タンパク質の2つの集団またはユビキチンの集団およびユビキチン様タンパク質の集団を取り込み、ここに、1つの集団はドナー部分を伴い、第2の集団はアクセプター部分を伴う。関連する態様において、アレイのポリペプチドは、ユビキチンまたはユビキチン様タンパク質の2つの集団が付加することによりRETを生じる、充分な密度を有する。従って、本願明細書に記載の種々の方法およびアッセイは、このフォーマットを利用しうる。
RETを利用するアッセイおよび方法は、ドナー部分由来の発光のRETの増強、低下、または変化のないこと、アクセプター部分由来の発光の増強、低下、または変化のないこと、またはこれらの組み合わせおよび/または比率を検出する段階を取り込んでもよい。
本発明の態様は、少なくとも1つのユビキチン化またはユビキチン化様酵素のための少なくとも1つの基質を検出するための方法を提供し、当該方法は、a)i)少なくとも1つのユビキチン化またはユビキチン化様酵素を、ii)基質上に固定したポリペプチドおよびiii)検出可能部分を含んでなる少なくとも1つのユビキチン化またはユビキチン化様酵素と接触させる段階、b)(a)をユビキチン化またはユビキチン化様酵素が活性化しうる条件下でインキュベートする段階、c)基質上の任意のポリペプチドを伴う前記検出可能部分を検出する段階、を含んでなる。本発明の態様は、試料の脱ユビキチン化活性を同定または測定する方法を提供し、当該方法は、a)i)試料をii)基体上に固定した少なくとも1つまたは複数のポリペプチドと接触させる段階、ここに前記少なくとも1つまたは複数のポリペプチドは、検出可能部分を含むユビキチン化またはユビキチン化様酵素を含んでなり、前記脱ユビキチン化活性は基体からの検出可能部分の解離を生じ、b)(a)を脱ユビキチン化の活性に適切な条件下でインキュベートする段階、c)基体上の任意のポリペプチドを伴う前記検出可能部分を検出する段階、を含んでなる。
ホスホジエステラーゼ活性の検出
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、製薬ターゲットとして重要な関心酵素の種類である。ホスホジエステラーゼは、ホスホジエステル結合を切断してリン酸および水酸基を生成する。cAMP等の環状ヌクレオチドモノリン酸基質の場合、水酸基およびリン酸は同一分子内にあり、リン酸ジエステルの切断により、図42Aに示すようにヌクレオチドモノホスリン酸(AMP等)が生成する。
リン酸ジエステル合成は、科学文献に記載されている(例えば、Friedmanら、J.Am.Chem.Soc.、72巻、1号、624−625ページ、1950年)。一般に、塩化ホスホリルは、水酸基を含む化合物とピリジン/ベンゼン混合物中で反応してジクロロホスホリルエステルを生成し、これは水酸基を含む同一または異なる化合物の第2の当量と反応して、モノ−クロロリン酸ジエステルを生成し、次いで加水分解により対応するホスホジエステルを与える。図42Bに、この実施例を模式的に示す。
ホスホジエステラーゼのための比色アッセイは、酵素的切断により、パラニトロフェノールおよびパラニトロフェノールリン酸塩を生成する基質として、ビス−(4−ニトロフェニル)リン酸塩の使用を含んでなる。(Kellyら、Biochemistry、14巻、22号、4983−8ページ、1975年)次いで、パラニトロフェノールは410nmの吸光度により検出される。BerkesselおよびRiedl(Angew.Chem.,Int.Ed.Eng.、36巻、1481−1483ページ、1997年)は、ナフタレン残基が蛍光原子団として作用し、アゾベンゼン部分が消光原子団として作用する、消光性蛍光基質の使用を記載している。ナフタレンおよびアゾベンゼンは、消光原子団を蛍光原子団から切り離すホスホジエステラーゼによって切断されるホスホジエステル結合を介して連結される。Takakusaおよび共同研究者らは、リン酸ジエステル部分で連結したFRETペアを含む基質を用いるホスホジエステラーゼのための、FRET系アッセイを記載した。(Takakusaら、J Am Chem Soc.、124巻、8号、1653−7ページ、2002年).彼らが報告した基質CPF4(クマリン−リン酸−フルオレセイン)は、クマリンとフルオレセインの間でインタクトな状態でFRETが可能であり、蛇毒ホスホジエステラーゼIによる切断によりFRETは低下した。
本発明は、ホスホジエステラーゼ活性を検出する方法を提供する。幾つかの態様において、これらの方法は、抗体によるリン酸部分(リン酸モノエステル)の特異的認識に基づく。幾つかの態様において、本方法は、環状モノエステル/リン酸の特異的認識に基づく。幾つかの態様において、抗体は、リン酸化生成物に対するアフィニティに対し、未切断リン酸ジエステルへの低い結合アフィニティを示す。
ネオエピトープ系アッセイ
「ネオエピトープ」は、抗体により認識されるために、カバーを外されるか、マスクを外されるか、または他の方法で出現するエピトープを指す。幾つかの態様において、エピトープが抗体により結合されうイベントに先立ち、減少または検出不可能な結合が存在する。例えば、抗体は、反応生成物に対するアフィニティを示すが、出発化合物に対するアフィニティはより低いか全くない。幾つかの態様において、生成物はRETペアのメンバーを含み、抗体はRETペアの第2のメンバーを含み、抗体は生成物に対する結合特異性を有する。
本発明の態様は、ホスホジエステラーゼを介する切断により発生するリン酸が、抗体に対するエピトープとして作用するストラテジを利用する。本発明の態様は、例えば、図42Dおよび図42Eに示すように、RETペアの第1のメンバー(例えば蛍光原子団)にフリーのリン酸を結合することにより、およびRETペアの第2のメンバー(例えばテルビウムキレート)を有する抗体を標識することにより、ホスホジエステラーゼを測定/検出する方法を提供する。幾つかの態様において、蛍光性を改変したcAMPを基質として用いる。幾つかの態様において、cAMPに類似しない、またはこれではない蛍光標識リン酸ジエステルを基質として用いる。
2、6、8または2’位置(図42C)に付加したアミノアルキルリンカーを含んでなるサイクリックAMP(cAMP)類縁体は、Biolog社(Bremen、ドイツ)から市販入手可能である。本発明の態様は、ホスホジエステラーゼ基質として、cAMPのフルオレセイン標識バージョンを利用する。理想的には、ホスホジエステラーゼのための基質として利用しうる能力、または抗AMP抗体等の、RETアッセイにおける性能を比較するために、多くの類縁体を調製してもよい。図42Dに、実施例も示す。
一態様において、標識(例えばフルオレセイン)ホスホジエステラーゼ基質を、標識(例えばテルビウム)抗AMP抗体の存在下で、ホスホジエステラーゼと共にインキュベートする。幾つかの態様において、リン酸ジエステルが切断されると、AMPは抗体により認識され、抗体の標識(Tb)およびフルオレセインは近接してFRETまたはTR−FRETが発生する。抗体は、反応の前、期間中、または後に加えうる。抗体が反応の期間中に存在する場合には、反応はリアルタイムで、または動力学モードで読み取られうる。このようにして、反応の進行および/または速度を測定しうる。
Hohmanら(PNAS、77巻、12号、7410−7414ページ、1980年)は、AMP特異的な抗体を記載している。
ホスホチロシンのアンマスキング
本発明の態様は、公知で直ちに利用しうる抗体を用いるホスホジエステラーゼ活性において発生するエピトープとしての、ホスホチロシンの使用に基づく。
一態様において、基質は、ホスホジエステル結合を介して他の官能基に結合するRETペア(例えばフルオレセイン)の第1のメンバーで標識されるホスホチロシンを含んでなる。「別の」官能基の正確な同定は重要ではないが、異なる官能基が基質として性能の差を導きうるか、または基質溶解度等を増加しうることも期待できる。図42Eに、このタイプのアッセイの実施例を示す。酵素の特異性により、4以下の生成物をエステル加水分解の部位に応じて生成しうる。チロシン部分に付加しないホスホエステル部位で切断が発生するときは、このアッセイは生成物を検出し、これにより、フルオレセイン標識が付いたホスホチロシンは酵素活性の後にインタクトのままとなる。次いで、この分子は、RETペア(例えばテルビウム)の第2のメンバーで標識された抗ホスホチロシン抗体(例えば、PY20等)により検出される。標識抗体がフルオレセイン標識ホスホチロシンに結合すると、RETが可能となる。
フルオレセイン標識ホスホチロシンは、テルビウム標識PY20に高いアフィニティを有して認識され、この相互作用において高TR−FRETシグナルが発生する(データ呈示なし)。フルオレセイン標識ホスホチロシン基質のための幾つかの態様において酵素的切断部位がチロシンに付加した酸素である場合は、生成したフルオレセイン標識分子は抗体により認識されず、従って、RET(例えばTR−FRET)シグナルは発生しない。
本発明の幾つかの態様において、図42Fに示すように、ホスホチロシンのアンマスキングによってホスホジエステラーゼ(PDE)活性を検出するために、基質を使用できる。この基質、すなわち、ビス−(フルオレセイン−チロシン)リン酸は、2つの生成物を生じ、その1つは抗体により認識される。本実施例において、生成物の両者は蛍光を有し、従って、余剰フルオレセインが存在するために蛍光バックグラウンドが増加する場合がある。幾つかの態様において、2つの抗体を使用できる。一方はホスホチロシンに向かい、他方はチロシンに向かう。
2、6、8またはcAMPの2’位置を修飾する蛍光標識cAMP類縁体は、市販入手可能な出発材料型直ちに合成可能であるか、または、市販入手可能な製品である(Alexa Fluor(登録商標)488、8−(6−アミノヘキシル)アミノアデノシン3’,5’−サイクリックモノフォスファート、bis(トリメチルアンモニウム)塩(Alexa Fluor(登録商標)488 cAMP)、パーツ番号A35775、Molecular Probes社から入手可能)。
テルビウムキレート標識抗体は、標準的な抗体標識技術および市販のアミン反応性テルビウムキレートを用いて直ちに調製される(例えばInvitrogen社LanthaScreen(商標)Amine Reactive Tb Chelate、パーツ番号PV3581)。
本発明の関連した態様は、適切なシグナル変化の発生に必要な酵素量に関し、より高感度なアッセイを提供する。
本発明のいくつかの態様は、次式の構造の基質を含んでなる。
Figure 2009513681
式中、AまたはDのいずれか(または両方)は蛍光部分であり、加水分解酵素により切断されると、RETアッセイにおいて蛍光部分AまたはDと共にパートナーとして作用しうるルミネッセンスプローブが付加した抗体によって認識される生成物を生じる。
本節「ホスホジエステラーゼ活性の検出」に記載のアッセイおよび方法は、これらの反応を調節する化合物/試料を同定するためにも使用できる。例えば、化合物を反応に加え、例えば、化合物が反応を調節するかどうかを計測するために、その反応を対照と比較する。調節には、反応の阻害または活性化を含んでなる。
本節「ホスホジエステラーゼ活性の検出」に記載のアッセイおよび方法は、本願明細書に適切であると記載した、他のアッセイおよび方法に類似したフォーマットにおいて稼動しうる。また、本願明細書に記載のアッセイまたは方法が抗体を用いる場合、本発明は基本的に、この抗体と置き換えてまたは追加して使用できる、同じ特性を有する任意の結合分子を含んでなることを理解されたい。
本発明は、ホスホジエステラーゼ基質がRETペアの第1のメンバーで標識されるホスホジエステラーゼアッセイを提供し、ここにホスホジエステラーゼによる切断により、抗体が結合するエピトープが曝露/作製される。RETペアの第2のメンバーで標識される抗体は反応生成物と接触し、ここに抗体はエピトープおよびRETペアの第1のメンバーを含んでなる生成物と結合する。このようにして、適切な波長の光に曝露すること等により、RETペア部分の間にRETが可能になる。幾つかの態様において、ホスホジエステラーゼによる切断が抗体のためのエピトープを除去/破壊することを除いては、同様のフォーマットに従う。
本発明のいくつかの態様は、ホスホジエステラーゼ活性を検出する方法を提供し、当該方法は以下を含んでなる。a)i)試料を、ii)基質がRETペアの第1のメンバーを含むホスホジエステラーゼのための基質と接触させて被験試料を生成させる段階と、b)ホスホジエステラーゼ活性に適する条件下で(a)をインキュベートする段階と;c)被験試料を(b)の前、期間中、後で、ホスホジエステラーゼの切断生成物について特異性を有する結合分子と接触させる段階であって、ここに前記結合分子はRETペアの第2のメンバーを含んでなり、前記切断生成物はRETペアの第1のメンバーを含んでなる段階と;d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階と;および、e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。幾つかの態様において、被験試料からの蛍光発光は、対照試料/反応物のものと比較される。
実施例
以下、下記実施例を参照して本発明を説明する。下記実施例は説明を意図するものであり、本発明を限定するものではない。これらの実施例は説明を目的としてのみ提供され、本発明がこれらの実施例に限定されるとは決して解釈すべきでなく、むしろ、本明細書で提供された教示の結果、明らかになる任意のおよび全ての変更を包含すると解釈すべきである。
実施例1:発光金属キレートによる抗体標識
12〜14000MWCOの透析膜を用いて100mMの重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中、リン酸化チロシン(例えば、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)によりリン酸化された配列)を含有するアミノ酸配列を優先的に結合する抗体である、精製PY72(抗ホスフォチロシン)IgG抗体1mgを1.5時間透析した。(PY72ハイブリドーマ細胞はソーク研究所から入手したが;免疫原はKLHにコンジュゲートしたホスフォチロシンだった。腹水は、インディアナ州インディアナポリスのハーランバイオプロダクツフォーサイエンスによって製造された。プロテインGカラム(ピアース)によって腹水を精製した。精製抗体はまた、カリフォルニア州バークレーのコバンスからも入手可能である(品番MMS414P))。次いで抗体を透析膜から取り出し、セントリコンYM50(ミリポア)濃縮器を用いて48.8μM(7.3mg/mL)に濃縮した。この抗体溶液100μLを、100mM重炭酸ナトリウム(pH9.5)中の10mMのリン酸フェニルおよび660μMのカルボスチリル124−ジエチレントリアミンペンタ酢酸−フェニルアラニン−イソチオシアネート(CS124−DTPA−Phe−NCSTb、図3を参照)(最終濃度)から成る標識反応物で5mg/ml(33.4μM)に希釈した。30分ごとに軽く撹拌しながら、室温にて反応物を4時間インキュベートし、次いで、それぞれトリス緩衝生理食塩水(TBS)で1.5時間、2回透析し、未反応および/または加水分解キレートを除いた。343nmにおけるCS124部分の吸収(E340=11,440M−1cm−1)により、抗体に結合したキレートの量を定量し、280nmにおける吸収(E280=210,000M−1cm−1)により抗体量を定量し、280nMでのCS124の吸収を補正した(343nMでの吸収の1.1倍)。これらの測定から、反応により抗体当たり平均5.8のキレートで標識された抗体を生成することが判明した。
リン酸化セリンに特異性を有するモノクローナル抗体(抗−pSer;リン酸化セリンは、セリン/スレオニンキナーゼ活性の産物である)も調製し、上述のように発光金属キレートで標識した。
実施例2:タンパク質チロシンキナーゼ産物トレーサ(PTKトレーサ)と抗PTK産物(PY72)抗体の結合曲線実験
FP希釈緩衝液(品番P2839、Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州)中、連続希釈した標識抗体(10nM〜9.8pMの2倍希釈)を1nMの蛍光アクセプター標識トレーサ(PTK標識トレーサ;配列F−ADE(pY)LIPQQSでFはフルオレセイン、pYはリン酸化チロシン、SEQ ID NO:1)と共にインキュベートし、直接結合曲線(蛍光アクセプター標識トレーサに結合する発光金属キレートで標識したPY72抗体を示す)を作成した。(トレーサはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)の基質のリン酸化されたチロシン誘導体であることに留意されたい)30分間インキュベートした後、485nm励起フィルタ(20nmバンドパス)および535nm発光フィルタ(25nmバンドパス)を用い、Tecan Ultraプレートリーダで、プレートにおける各組成の蛍光偏光を読み取った。ウェル当たり10回の閃光および40μsの積算時間を用いてデータを集めた。抗体は、1nMよりやや高いEC50値でトレーサに結合することが分かった。
発光金属キレートで標識した抗pSer抗体と蛍光アクセプター標識トレーサ(STK標識トレーサ、配列、F−GRPRTS(pS)FAEGでFはフルオレセイン、pSは、リン酸化セリンであり、SEQ ID NO:2)によって同様の結合曲線を作製した。(トレーサは、S/Tキナーゼ(STK)の基質のリン酸化セリン誘導体であることに留意されたい)
実施例3:標識キナーゼ産物トレーサと非標識キナーゼ産物との間の競合曲線
上述のような10nMTb−キレート標識PY72抗体および1nM標識PTK標識トレーサの存在下、連続希釈した(10μM〜19.5nMの2倍希釈)ペプチド競合物(ADE(pY)LIPQQS、pYはリン酸化チロシン、SEQ ID NO:3)を含有する非標識ホスフォチロシンをインキュベートし、抗体−トレーサ相互作用の崩壊が、同一試料からの蛍光偏光および時間分解RETの双方によってモニターできたことを示す競合曲線を作製した。30分間インキュベートした後、Tecan Ultraプレートリーダでプレートを読み取った。485nm励起フィルタ(20nmバンドパス)および535nm発光フィルタ(25nmバンドパス)を用いて蛍光偏光を測定した。340nm励起フィルタ(35nmバンドパス)および495nm(10nmバンドパス)と520nm(25nmバンドパス)のフィルタを用い、ウェル当たり10回の閃光で100μsの閃光後遅延の後、200μsの積算窓を用いて、時間分解RETを測定した。520nmのシグナルを495nmのシグナルで割ることにより、時間分解RET値(比)を算出した。TR−RETまたはFPにより生成した曲線の形状はほとんど重なって見え、これはFPまたはTR−RETまたは双方を用いてホスフォペプチド(例えば、キナーゼ反応によって生成するもの)の存在が検出できたことを示している。
実施例4:マルチモードFPおよびTR−RET測定を用いたキナーゼ活性のモジュレータとしての試験化合物のスクリーニング
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)酵素のSRCファミリーの一員であるLynBキナーゼの阻害剤を同定するための化学物質ライブラリーのスクリーニングを行った。10μMPrestwickライブラリー化合物(試験化合物;ワシントンDCのPrestwick Chemical, Inc.社から入手可能なPrestwickライブラリー)の存在下で、20mM HEPES(pH7.5)、5mM MgCl、150nM ポリ(Gly:Tyr、4:1)タンパク質チロシンキナーゼ基質、および10μM ATP中にて、反応当たり1ng LynBキナーゼを用いてキナーゼ反応を行った。キナーゼ反応を室温で1時間進行させ、次いで総量40μlにて最終濃度5mMになるように100mMのEDTAを加えて反応を停止させた。ホスフォペプチド産物の存在を検出するため、20nMのTb−キレート標識PY72抗体および10nMのPTK標識トレーサを含有する溶液10μlを各ウェルに加え、さらに30分間インキュベートした。次いで、蛍光偏光および時間分解RET双方の測定モードでのTecan Ultraプレートリーダでプレートを読み取った。485nm励起フィルタ(20nmバンドパス)および535nm発光フィルタ(25nmバンドパス)を用いて蛍光偏光を測定した。340nm励起フィルタ(35nmバンドパス)および495nm(10nmバンドパス)と520nm(25nmバンドパス)のフィルタを用いて、ウェル当たり10回の閃光で100μsの閃光後遅延の後、200μsの積算窓を用いて、時間分解RETを測定した。520nmのシグナルを495nmのシグナルで割ることにより時間分解RET値(比)を算出した。キナーゼ阻害剤は、高い偏光または520:495のTR−RET比を示すウェルにより同定した。約750の化合物のスクリーニング結果を示す。
実施例5:多重化FP/TR−RETアッセイへのFPアッセイの変換
テルビウム−キレートはTR−RETアッセイにおいてフルオレセインまたはローダミン(およびその誘導体)のような蛍光色素分子に対してドナーとして役立つことができるので、又、フルオレセインおよびローダミンはFPアッセイでの使用に優れた特性を有するので、例えば、受容体タンパク質または抗体のような結合パートナーを蛍光テルビウムキレートで標識することによって二重モードのFP/TR−RET様式で読み取ることができるようにFPアッセイを改変することは簡単なことである。多重化モード(例えば、FPおよびTR−RETの双方)の使用によって、データの検証ができ、偽陽性または偽陰性の結果を除くことができる。さらに、FPモードまたはTR−RETモードのいずれかで問題のあるアッセイは、他のモードを用いて確実なアッセイに変換してもよい。
CREBキナーゼ(セリンキナーゼ)によるサイクリック−AMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)上のSer133のリン酸化を検出するFPアッセイを設計した。アッセイは、リン酸化されたセリンを含有するフルオレセイン標識されたキナーゼ産物トレーサの同定を必要とした。さらに、アッセイは、トレーサを結合することが可能である抗CREBpSer133抗体(米国マサチューセッツ州Beverly、Cell Signaling Technologies社から入手可能)を必要とした。以下に示すような4つの候補トレーサペプチドを調製し、抗pSer133抗体への結合について調べた。トレーサは、その長さおよびペプチド上での蛍光色素分子の位置が異なった。
トレーサ1:フルオレセイン−LRREILSRRP(pS)YRK(SEQ ID NO:4);
トレーサ2:フルオレセイン−REILSRRP(pS)YRK(SEQ ID NO:5);
トレーサ3:フルオレセイン−ILSRRP(pS)YRK(SEQ ID NO:6);および
トレーサ4:LRREILSRRP(pS)YRK−フルオレセイン(SEQ ID NO:7)。
FPモードにて抗体への直接結合で調べると、2つのトレーサは、およそnM Kdの親和性で結合することが分かったが、遊離状態と結合状態の間で100mPを超える偏光ではどちらも変化を示さなかった。FPアッセイの安定度は、部分的には偏光におけるこの差異の大きさの関数である。30mPより大きいまたは50mPより大きいまたは100mPより大きい偏光変化が一般に好まれるので、アッセイをTR−RETアッセイに変換する試みを行った。
CS124−DTPA−Phe−NCSTb(上記実施例1を参照)で抗pSer133抗体を標識し、抗体当たり平均6.2のキレート分子を有する抗体を得た。4つの候補トレーサペプチドをこの標識抗体に対して別々に滴定した場合、SEQ ID NO:7は、およそnMの親和性で、且つ遊離形態と結合形態の間でTR−RETの値に32倍の変化をもって結合することが分かった。
実施例6:TR−RETアッセイのZ’−因子を明らかにするPKA酵素の滴定
384穴プレートの24ウェルにわたってPKA(セリンキナーゼ)を連続希釈し、10mM MgCl、50μMのNaVOおよび5μMのATPを含有する50mMトリス(pH7.5)中にて1μMのペプチドPKA基質(LRREILSRRPSYRK、SEQ ID NO:8)と反応させた。最終反応容量は、ウェル当たり10μLだった。室温にて90分間反応を進行させ、その後、10μLの反応停止/検出溶液(上記実施例5で同定された標識トレーサ、Tb−キレート標識の抗pSer133抗体およびEDTAを含有する)を加えた。プレートに蓋をして、室温で2時間インキュベートした。次いで、340/35nm励起フィルタおよび520/25、495/10nm発光フィルタ(クロマテクノロジー社)を用いたTECAN Ultra384蛍光プレートリーダでプレートを読み取った。100μsの遅延および200μsの積算窓によりウェル当たり10回の閃光を用いてデータを集めた。
アッセイの安定度を評価するため、2.5μM非標識トレーサの存在下(24ウェル;「低シグナル」対照)または非存在下(24ウェル、「高シグナル」対照)にてTb−キレートで標識した抗pSer133抗体および標識トレーサ(上記を参照)を含有する48の20μLのウェルからZ’値を決定した。プレートに蓋をして室温で2時間インキュベートした。次いで、上述のパラメータを用いてTECAN Ultra384蛍光プレートリーダでプレートを読み取った。Z’値は0.92だった。
実施例7:多重化FP/TR−RETアッセイへの核受容体FPアッセイの変換
テルビウムキレートを用いてFPアッセイをFP/TR−RETアッセイに変換しうる汎用性を示す。エストロゲン受容体β(ER−β)をアミン反応性テルビウムキレート(上記実施例1を参照)で直接標識することによりER FP競合アッセイを変換した。FPアッセイでは、競合物によりフルオレセイン標識のトレーサが置き換わると、偏光観測は高いほうから低いほうへの変化を生じる。TR−RETアッセイでは、受容体上のテルビウムキレートとトレーサ上のフルオレセインの間のRETにより、受容体に結合した標識トレーサ量を測定する。競合物の非存在下ではRETシグナルは高く、競合物がトレーサを置き換えるにつれてこのシグナルは低下する。12.5nMの非標識またはTb−キレート標識ER−βタンパク質を1nMの標識トレーサ(Fluormone ES2、品番P2613、Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州)と共にインキュベートし、連続希釈した非標識エストラジオール、既知ER−βリガンドにより滴定した。FPアッセイおよびTR−RETアッセイは双方共、競合曲線について似たようなEC50値を示した。さらに、TR−RETアッセイは、限られた濃度の受容体と過剰濃度のトレーサを用いて、類似の結果が期待できる再フォーマットが可能であるという利点を提供する。
実施例8:EGFRキナーゼのFPアッセイの多重化FP/TR−RETアッセイへの変換
実施例7で同定された一般的な方法を用いて、LOPAC(Sigma、#LO1280)化合物ライブラリーを用いて上皮増殖因子アクセプター(EGFR)キナーゼ(タンパク質チロシンキナーゼ)阻害剤をスクリーニングした。双方の読み取りモードで同定されたヒットは全て真のヒットであることが分かったが、読み取りモード間で矛盾を示すヒットは偽りであることが分かった。これらの結果は、読み取りモードをアッセイの範囲内で多重化することによって判定された結果の整合性を有意に改善できることを示している。
100mM重炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中にて抗p−Tyr抗体(Zymed社から入手可能な抗−pY20)を5mg/mLに濃縮した。抗体に対して5〜40倍のモル過剰量にてCS124−DTPA−Phe−NCSTb(Tb−キレート)を加え、30分ごとに軽く撹拌しながら、室温にて反応物を4時間インキュベートした。4時間後、PBSで2回抗体を透析し、未反応および/または加水分解キレートを除いた。343nmにおけるCS124部分の吸収(E340=11,440M−1cm−1)により、抗体に結合したキレート量を定量し、280nmにおける吸収(E280=210,000M−1cm−1)により抗体量を定量し、280nMでのCS124の吸収を補正した(343nM吸収の1.1倍)。
抗体標識がフルオレセイン標識のホスフォペプチドトレーサ(実施例2を参照)への親和性に影響するかどうかを判定するため、以前記載したように結合曲線を作製した。抗体当たり9未満のキレート標識比では、トレーサへの親和性は2倍未満しか変化しないことが分かった。
Corning社製低容量384穴プレート(品番3676)中、反応容量10μL(検出容量20μL)において、LOPAC1280(商標)(Sigma、#LO1280)ライブラリー(1280の化合物を含有する)に対する活性に対し、上皮増殖因子アクセプター(EGFR)チロシンキナーゼ(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州、#P2628)をスクリーニングした。以下の反応条件下で、ライブラリー化合物10μM存在下にてキナーゼ反応を行った。反応当たりキナーゼ0.1ユニットを用い、20mM HEPES(pH7.5)、5mM MgCl、2mM MnCl、0.05mM NaVO、1mM DTT、150nM ポリ(Gly/Tyr)4:1、ポリ−GTチロシンキナーゼ基質および10μMのATP。30℃で90分間反応を進行させ、その後、TR−RET希釈緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州、品番PV3152)中、20mM EDTA、8nM Tb−標識抗pTyr(抗pY72抗体;実施例1および2を参照)および4nM PTK標識トレーサ(上記実施例2を参照)の溶液10μLを加えた。次いで、クエンチした反応物を室温で1時間インキュベートした後、Tecan Ultraプレートリーダで読み取った。485nm励起フィルタ(20nmバンドパス)および535nm発光フィルタ(25nmバンドパス)を用いて蛍光偏光を測定した。340nm励起フィルタ(35nmバンドパス)および2つの発光フィルタ(10nmバンドパス495nm参照ピーク用、25nmバンドパス520nmシグナル変化測定用)を用い、100μsの閃光後遅延に続いて200μsの積算窓を用いて時間分解RETを測定した。TR−RETフィルタはChroma Technology社製である。TR−RET値(比)は、520nmの試料強度を495nmの試料強度で割ることにより決定した。
FPおよびTR−RET読み取りデータを正規化し、直交軸上にプロットした。FPおよびTR−RETにより決定した阻害比率において、差異を決定した。この平均から3標準偏差を超える4つの化合物(CB1954、GW2974、エルゴクリスチン、ピロカテコール)をさらなる分析のために同定した。さらに、検出モードと強い阻害の間で強い相関を示す2つの化合物(チロホスチンAG1478、GW2974)も追跡プロファイリングのために選択した。
ライブラリーのスクリーニングで記載した条件下で、EGFRキナーゼに対し、2つの同定された阻害剤(EGFRキナーゼの既知の阻害剤であるチロホスチンAG1478およびGW2974)を3倍連続希釈にて、相関の低い4つの化合物を2倍連続希釈にてアッセイした。追跡スクリーニングにより、AG1478で見られたものよりも約10倍低いEC50を有する、さらに強力な阻害剤としてGW2974が同定された。
干渉するバックグランド蛍光の存在下においてもTR−RET検出モードが真のヒットを同定しうることを実証するために(本質的に蛍光であるいずれかのヒットを同定する場合、またはライブラリーにプールされた化合物のスクリーニングにおいて蛍光化合物の存在がヒットの存在を隠す可能性がある場合に有用な判定基準)、10nMのフルオレセインの存在下、連続希釈した阻害剤、チロホスチンAG1478に対してアッセイを行った。TR−RETデータはバックグランド蛍光シグナルに影響されないことが分かったが、FPのデータは大幅に損なわれた。
FP検出モードとTR−RET検出モードの間で低い相関を示した2つの化合物、GW5074およびエルゴクリスチンは沈殿することが分かり、FP検出モードにおける見せかけのシグナルが光散乱の人為的な結果である可能性があることを示唆している。散乱によるシグナルは寿命が短いので、TR−RETの読み取りモードに影響することはない。
低い相関を示した他の2つの化合物、CB−1954およびピロカテコールは、アッセイし直し、いずれも阻害剤ではないことが分かった。スクリーニング検査により、これらの化合物がアッセイプレートの隣接するウェルにあることが示され、見せかけの結果を招く系統的誤差を示唆している。
シグナルに検出可能な変化を与えるのに必要とされるリン酸化キナーゼ産物の濃度を評価するため、TR−RET希釈緩衝液(上記を参照)にて4nMのTb−キレート標識された抗pTyr抗体および2nMのフルオレセイン標識されたPTKトレーサと共に連続希釈した非標識のリン酸化PTKトレーサ(トレーサに対する競合物産物)をインキュベートした。次いで以前記載したように、FPおよびTR−RET双方のモードでプレートを読み取った。最大半量のシグナル変化に必要とされる競合物量はアッセイモード間でほぼ同一であることが分かり、双方のアッセイは類似する感度を有したことを示している。
アッセイの安定度を評価するため、4nM Tb−キレート標識抗pTyr抗体と2nMフルオレセイン標識トレーサ(「高い値」の対照)を含有する60ウェル、ならびに1μM競合ペプチド(「低い値」の対照)に加えて同じ成分を含有する60ウェルを、以前記載されたようにFPおよびTR−RET双方の検出モードで読み取った。Z’値は、Zhangら、“A Simple Statistical Parameter for Use in Evaluation and Validation of High Throughput Screening Assays”、Journal of Biomolecular Screening、第4巻、2号、67−73ページ、1999年、に従って計算した。Z’因子は、各アッセイモードについて>0.8であることが分かった。
実施例9:Eu(III)−キレート標識結合パートナーを用いる多重化FP/TR−RETアッセイ
Eu−キレート標識結合パートナーも本発明の方法で使用することができる。
ユーロピウム(III)−キレート標識PY72(抗ホスフォチロシン)抗体(実施例1を参照)は、以下のように調製した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、PY72抗体28.4μM溶液50μLに、DMSO中21.25mM SPDP(N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、Pierce Chemical Company)1μLを加えた。室温にて1時間反応した後、100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中50mMジチオスレイトール(DTT)50μLを加え、反応物を室温にてさらに30分間インキュベートした。次いで、それぞれ脱気したPBS緩衝液1Lに対して2時間、2回、反応物を透析した。透析後、1Mトリス(pH8.0)中4.2mM TTHA−AMCA−(2−アミノエチル)マレイミドおよび10mM EuC1を含有する溶液8μLを抗体溶液に加え、室温にて2時間インキュベートした。次いで標識された抗体を2回(最初は2時間、次いで一晩)透析し、過剰および未反応キレートを除いた。
Figure 2009513681
SPDPおよびTTHA−AMCA−(2−アミノエチル)マレイミドを用いるPY72抗体標識
FP希釈緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州、品番P2839)中、5nM Eu−キレート標識PY72抗体および1nM発光トレーサの存在下で、ペプチド競合物(2μM〜1nMの2倍希釈)を含有する連続希釈の非標識ホスフォチロシンをインキュベートすることにより、非標識ホスフォペプチド(例えば、タンパク質キナーゼの酵素反応の産物)によりEu−キレート標識抗体で標識したトレーサの相互作用の破壊が、同一試料の蛍光偏光および/または時間分解RETによって測定しうることを示す競合曲線を作製した。発光標識トレーサは、Alexa Fluor633−CADE(pY)LIPQQS(SEQ ID NO:10)であり、Alexa Fluor633(オレゴン州ユージーンのモレキュラープローブズ、品番A20342)C5マレイミド誘導体が常法(Alexa Fluor染料を含むプロトコルに続いて)を用いてペプチドの末端システインに結合され、常法によってHPLCで精製されたペプチドである。ペプチド(CADE(pY)LIPQQS;SEQ ID NO:9)は、AnaSpec社、San Jose、米国カリフォルニア州に注文した。Alexa Fluor633は、水溶液中にて最大励起波長622nmを有し、およそ640nmの最大発光波長を有する。30分インキュベートした後、FPおよびTR−RET双方の形式でのTecan Ultraプレートリーダでプレートを読み取った。590nm励起フィルタ(20nmバンドパス)および650nm発光フィルタ(40nmバンドパス)を用いて蛍光偏光を測定した。340nm励起フィルタ(35nmバンドパス)および615nm(10nmバンドパス)と665nm(10nmバンドパス)の発光フィルタを用いて、ウェル当たり10回の閃光で100μsの閃光後遅延の後、200μsの積算窓を用いて、時間分解RETを測定した。時間分解RETの値(比)は、665nmのシグナルを615nmのシグナルで割ることにより算出した。TR−RETまたはFPにより生成した曲線の形状はほぼ重なることが分かり、競合物ホスフォペプチド(例えば、キナーゼ反応によって生成するもの)の存在がFPまたはTR−RETのモードのいずれかを用いて検出、定量しうることを示している。
実施例10:多重化モードを用いるヒスチジンタグタンパク質検出
Hisタグタンパク質またはペプチドの検出のための多重システムを開発した。ヒスチジンをタグにした検体タンパク質と、テルビウム−キレート標識抗His−タグ抗体のためのヘキサヒスチジンペプチドに連結したフルオレセインから成るトレーサとの間の競合に基づいてアッセイした。検体タンパク質またはペプチドの非存在下では、抗Hisタグ抗体に会合したフルオレセイン標識ヘキサヒスチジンペプチドおよびこの相互作用はTR−RETまたはFPによって検出しうる。多量の検体タンパク質の存在下では、このトレーサと抗体の相互作用は破壊され、トレーサのTR−RETシグナルまたは蛍光偏光は低下する。フルオレセイン−His6ペプチド(フルオレセイン−HHHHHH、「発光トレーサ」、SEQ ID NO:11)は、供給業者(ResGen、Huntsville、米国アラバマ州)によって合成および供給されたとおりに用いた。ヘキサヒスチジンタグに特異的な市販モノクローナル抗体(Serotec、Raleigh、米国ノースカロライナ州、品番MCA1396)を購入し、追加精製せず供給されたとおりに使用した。抗体0.25mgを100mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)中にて最終容量50μL(抗体の最終濃度、5mg/mL)まで濃縮した。抗体を標識するため、CS124−DTPA−Phe−NCS−Tb(抗体に対して20倍モル過剰)30μgを加え、30分ごとに軽く撹拌しながら室温にて反応を4時間進行させた。4時間後、PBSに対して抗体を2回透析して未反応および/または加水分解キレートを除いた。343nmにおけるCS124部分の吸収(E340=11,440M−1cm−1)により、抗体に結合したキレート量を定量し、280nmにおける吸収(E280=210,000M−1cm−1)により抗体量を定量し、280nMでのCS124の吸収を補正した(343nM吸収の1.1倍)。これらの測定から、抗体当たり平均7.7のキレートが割り出された。標識抗体は、性能に顕著な損失を生じることなく少なくとも6箇月間安定であることが分かった。
20nMの抗体と2nMのトレーサで競合結合アッセイを実施し、Hisタグペプチド(配列:ビオチン−KGGHHHHHH、供給源:ResGen、SEQ ID NO:12)の増加量を2倍希釈で3μM〜1.5nMの範囲内で滴定した。FP希釈緩衝液(上記を参照)中にてアッセイ成分を混合し、30分間インキュベートした後、340nm励起フィルタ(35nmバンドパス)および520nm発光フィルタ(25nmバンドパス)を用いたTecan Ultraプレートリーダで読み取った。100μsの遅延の後200μsの積算窓を用いてウェル当たり10回の閃光によってデータを集めた。
実施例11:ユビキチン融合タンパク質
pRSET(B)ベクター(Invitrogen、カタログ番号V351−20)を用い、2つの脱ユビキチン化(DUB)基質のための大腸菌発現プラスミドを構築し、コードされる融合タンパク質が(N末端からC末端へ)His−タグ、エメラルドグリーン蛍光タンパク質(EmGFP)、ユビキチン、可変配列のリンカーおよびC末端のシステイン残基を含んでなるようにした。構築した2つの当該基質アミノ酸配列は、
Figure 2009513681
である。これらのコンストラクトは、基質、EmGFP−Ub−AC−TbおよびEmGFP−Ub−FFG−X−Tbのそれぞれの作製に用いた。
BL21 Star(商標)(DE3)pLysS細胞(Invitrogen、カタログ番号C6020−03)をDUB基質用の発現プラスミドで形質転換し、アンピシリンおよびクロラムフェニコールと共にLB寒天上に播いた。単一コロニーを選抜し、アンピシリン(100mg/L)およびクロラムフェニコール(34mg/L)と共に37℃および225rpmにて50mLのLB(ルリアブロス)中で一晩増殖させた。各一晩培養物5mLをTurbo Prime(商標)ブロス(Athena Enzyme Systems、0110)500mLに植菌し、37℃、225rpmにてOD595がおよそ0.3に達するまで増殖させた。次いで、培養物を25℃に移し、1時間増殖させた後、0.5mMのIPTGによって誘導した。4時間の追加増殖後、遠心分離により細胞を回収し、−80℃で保存した。500mL培地由来の細胞ペレットを200mL溶解緩衝液(25mMトリス、pH7.5、100mM NaCl)にサスペンドした。サスペンドを10〜15,000ポンド/平方インチ(PSI)で冷却高圧ホモゲナイザー(アベスチンEmulsifFlex C50)に2回通して細胞粉砕し、氷上で回収した。次いで、4℃にて28,000×gで30分間遠心分離することにより細胞溶解物を透明に化した。上清を2mLのNiNTAアガロース(Invitrogen)に4℃にて1時間、バッチ結合させた。次いで、153×gにて5分間遠心分離して樹脂を回収した。上清を捨て、約5mL溶解緩衝液に樹脂をサスペンドし、使い捨てのカラムに移した。カラムの水を抜き、次いで20mL溶解緩衝液でカラムを洗浄し、その後、50mMイミダゾール入りの溶解緩衝液10mLを重力で落とした。次いで、12.5mMトリス、50mM NaClおよび500mMイミダゾール(pH7.0)4mLでカラムを溶出し、例えば、明るい緑色の単一分画を回収した。溶出したタンパク質にジチオスレイトール(DTT)を加え、最終濃度を10mMとして室温にて2時間インキュベートした。次いで、NAP−5カラム(GEヘルスケア17−0853−01)を用いてHBS(137mM NaCl、2.7mM KClおよび10mM Hepes,pH7.5)でタンパク質500μL部分を脱塩し、タンパク質試料当たり、単一の1mL分画に回収した。次いでチオール反応性テルビウムキレート(Invitrogen、PV3580)を水に1mg/mLで溶解し、60〜80μMの脱塩したタンパク質に2倍のモル過剰で加えた。室温にて3時間、標識反応を進行させ、NAP−5カラムにて生成物をHSBで脱塩した。480nmで40,000M−1cm−1のGFPに対して経験的に決定された減衰係数を用い、これらの精製DUB基質を定量し、−80℃で保存した。12,570M−1cm−1でのテルビウムキレートの減衰係数に基づき標識効率を算出した。
プロテアーゼ反応
384穴低容量プレート(Corning 3676)にて、50mMトリス(pH7.5)、5mM DTT、0.1mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、0.5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)中、DUB基質、EmGFP−Ub−AC−TbまたはEmGFP−Ub−FFG−X−Tbを用い、プロテアーゼ反応を実施した。200nM DUB基質10μLを、種々の濃度のUCH−L3(Boston Biochem、E−325)10μLに加えて反応を開始した。室温にて1時間インキュベートした後、Tecan Ultraプレートリーダで蛍光測定を取り込んだ。340nm(バンド幅30nm)で励起し、520nm(バンド幅20nm)および495nm(バンド幅10nm)で強度を測定した。プロテアーゼ活性は、520nmでの発光強度の減少に相関した。図10、11および12を参照されたい。
実施例12:DUB基質を用いるプロテアーゼ反応
YFP−ユビキチン−AC−テルビウムの調製
C末端にアラニン−システイン(AC)付加を有するhisタグYFP(「Topaz」(Cubittら、Cell Biol.、58巻、19−30ページ、1999年)変異体)ユビキチン融合体(YFP−Ub−AC)をコードする発現プラスミドを発現させ、常法を用いて大腸菌から精製した。コード配列は、
Figure 2009513681
だった。
YFP−Ub−ACの発現:
YFP−Ub−ACの発現プラスミドは、YFP(Topaz)−ユビキチンC末端へのアラニン−システイン(AC)付加変異体をコードする。業者供給の方法を用い、化学的に形質転換受容性のBL21 Star(DE3) pLysS細胞に発現プラスミドを移し、次いで、0.1mg/mLアンピシリンおよび0.05mg/mLのクロラムフェニコールを含有するLB寒天上に播いた。コロニーを選抜し、0.1mg/mLアンピシリンおよび0.05mg/mLクロラムフェニコールを含有するLBブロス50mLに植菌し、37℃にて一晩増殖させた。一晩の培養物から5mLを用い0.1mg/mLアンピシリンおよび0.05mg/mLクロラムフェニコールを含有するLBブロス500mLに植菌し、600nmでの最適密度が0.2となるまで37℃で増殖させた。インキュベータの温度を25℃に下げ、600nmでの最適密度の0.6となるまで培養物を増殖させ続けた。この時点で、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を1mM濃度で加え、発現プラスミドでT7プロモータを誘導し、YFP−Ub−ACの産生を刺激した。25℃にて4時間、細胞を誘導した。4℃にて4200rpm(JS−4.2ロータにて)で20分間遠心分離して細胞を回収した。上清を捨て、細胞ペーストを−80℃で保存した。
YFP−Ub−ACの抽出および精製:
手持ち式のポリトロンバイオホモゲナイザーによりYFP−Ub−ACの細胞ペーストを、100mM NaClと30mMのイミダゾール入りの25mMトリス−HCl(pH7.5)に再サスペンドした。4℃、10,000〜15,000ポンド/平方インチ(psi)で、アベスチンEmulsifFlex C50に通すことにより、再サスペンドした細胞を溶解した。JA−14ロータにて4℃、13,500rpm(約28,000×g)で30分間ホモジネートした細胞を遠心分離した。上清を回収し、穏やかに撹拌しながら、4℃にて1時間、Ni−NTAアガロースにバッチ結合した。Ni−NTAアガロースを使い捨てのカラムに移し、5カラム容量の溶解緩衝液で洗浄して混入しているタンパク質を除いた。100mM NaCl、400mMイミダゾールを有する25mMトリス−HCl(pH7.5)によりNi−NTAカラムからYFP−Ub−ACを溶出した。YFP−Ub−ACを保存緩衝液(100mM NaClと5%(v/v)のグリセロール入りの25mMトリス−HCl、pH7.5)で5mg/mLに希釈し、(280nm吸収、ε280=33,350M−1cm−1に基づいて)、最終濃度10mMでDTTを加えた。中間体は、標識を必要とするまで−80℃で保存した。
YFP−Ub−ACの標識:
1mL YFP−Ub−AC中間体(5mg/mL)を解凍し、Nap(商標)10脱塩カラムに負荷してDTTを除いた。溶出タンパク質を直ちに200μgチオール反応性Tb−キレート(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州社)と混ぜ合わせ、室温にて2時間反応させた。反応混合物をSlide−A−Lyzer(10,000 MWCO)に負荷し、Hepes緩衝生理食塩水(HBS)に対して透析して未反応のTbキレートを除いた。透析したYFP−Ub−ACをHBSにより最終濃度20μMに希釈し(280nmでの吸収に基づいて)、−80℃で保存した。
プロテアーゼアッセイのプロトコル
プロテアーゼ(UCH−L1、UCH−L3、USP−5およびUSP−14)ならびにユビキチンアルデヒドはBoston Biochem社(Cambridge、米国マサチューセッツ州)から購入した。YFP−ユビキチン−Tb基質に対する各DUBの相対的活性を測定するため、黒色384穴低容量プレート(Corning、No.3676)にて、アッセイ緩衝液(20mMトリス、pH7.4、0.01%ノニデット−P40、10mM DTT)10μL中で酵素の連続稀釈を調製した。次いで、同一緩衝液中のYFP−ユビキチン−Tb基質の20nM溶液10μLを各ウェルに加えた。50分後、LanthaScreenフィルタモジュールを用いたBMG Labtech Pherastarプレートリーダでプレートを読み取った。100μsの遅延に続いて200μsのシグナル積算窓を用いて測定した場合、生のドナー強度で割った生のアクセプター強度として発光比を算出した。バックグランド減算またはクロストーク補正は不要だった。90分間を通しての反応の読み取りと共に、種々の濃度のUCH−L3に対して同様に動態の読み取りを行った。阻害剤としてのユビキチンアルデヒドまたはユビキチンの連続稀釈に対する1時間の反応において、15pM UCH−L3および10nM YFP−ユビキチン−Tbを用い、阻害剤の滴定を行った。異なる濃度のUCH−L3を用い、基質の種々の比率の変換で、Z’値を決定した。これらの実験では、24個の陽性対照ウェルおよび24個の陰性対照ウェルを測定し、方程式(Zhangら、J.Biomol.Screen.、4巻、67−73ページ、1999年)に従ってZ’を算出した。Z’=1−[3σc++3σc−)/|μc+−μc−|]式中、σc+およびσc−はそれぞれ、アッセイプレートの陽性および陰性の対照ウェルの標準偏差であり、μc+およびμc−は、はそれぞれ、アッセイプレートの陽性および陰性の対照ウェルの平均値である。陰性対照ウェルは、UCH−L3を阻害するために50nMのユビキチン−アルデヒドを含有した。最大および最小のFRETシグナルを含有するウェルに対して正規化した発光比を算出し、次いで100を掛けた。
インタクトおよび切断YFP−Ub−AC−Tbの時間分解スペクトルおよび発光シグナルの減衰
Tecan Safire2プレートリーダを用いて、過剰のUCH−L3の存在下または非存在下でインキュベートした10nMのYFP−ユビキチン−Tbの時間分解スペクトルを測定した。試料は、20μLであり、白色の384ウェル低容量プレート(Corning)にて読み取った。励起を332nm(バンド幅20nm)に設定し、100μsの遅延に続く200μsのシグナル積算窓を用いて475〜680nmまで1nmの増分から発光の測定を回収し、平均して波長当たり100回の測定(閃光)を超えた。BMG Labtech Pherastarプレートリーダを用いて発光シグナルの減衰を測定した。
UCH−L3に対するYFP−ユビキチン−Tb DUB基質の滴定
アッセイ緩衝液(10mM DTT入りのTR−FRET稀釈緩衝液(PV3574))中のUCH−L3(Bostonbiochem;カタログ#E−325)400nM溶液を調製した。Corning黒色384低容量プレート(#3676)の第1の列に20μLの酵素溶液を加え、アッセイ緩衝液(10μL)でプレートを横切って連続稀釈を行った。アッセイ緩衝液によってYFP−ユビキチン−Tb基質の20nM溶液を調製し、この溶液10μLを各ウェルに加えた。第1のウェルにおけるUCH−L3の最終濃度は200nMである。アッセイにおけるYFP−ユビキチン−Tb基質の最終濃度は、10nMである。室温にて40〜50分間、プレートを平衡化させ、次いで、LanthaScreen(商標)用に適当に設定したBMG LABTECH PHEARstarで読み取った。回収したデータをグラフ化し、S字状(変動する傾き)の用量反応に適合させてEC50値を得た(図41C)。
結果
UCH−L3、USP−2、USP−15、UCHL1、USP−5およびUSP−14に対する基質(10nMで)としてYFP−ユビキチン−Tbを調べた。USP−14は、26Sプロテアソームの成分との会合の非存在下では活性を示さないことが予想される。USP−2とUSP−15は本質的に区別がつかない(図41A)。
図41Cは、S字状(変動する傾き)の用量反応を示してYFP−ユビキチン−Tb基質の滴定についてEC50値が得られる。相当するベストフィット値は、最低=0.1659;最高=5.595;LogEC50=−1.765;傾き=−1.117;およびEC50=0.01717、であった。
実施例13:MEK1コンジュゲートの調製
MEK1(不活性)(Invitrogen、カタログ番号P3093)からフルオレセイン−MEK1コンジュゲートを調製した。先ず、HBS(137mM NaCl、2.7mM KClおよび10mM Hepes、pH7.5)に対してMEK1試料を透析する。次に、5−IAF(5−ヨードアセトアミノフルオレセイン)または5−FAM、SE(5−カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル)を10倍または50倍のモル過剰のいずれかで10μMのMEK1に加え、室温にて1時間40分間、反応を進行させた。NAP−5カラムを用いてMEK1試料をHBSで脱塩することによって反応性色素を除いた。標識したMEK1調製物を80℃で凍結して保存した。
この試験は、MEKが表面でアクセス可能な幾つかのチオール基を含有し、ヨードアセトアミド官能化フルオレセイン誘導体を介してアクセプター蛍光色素分子が結合しうるという事実を利用しているが、アミノ反応性イソチオシアネートまたは好適な蛍光色素分子の活性化エステル誘導体は同様に適切である。さらに、この試験ではフルオレセインを使用したが、同様のスペクトルを有する他の蛍光色素分子(例えば、BODIPY−FL、オレゴングリーンまたはアレクサフラウア488)も同様に好適であり、代替のフィルタセットを採用することによって赤色に移動した蛍光色素分子を使用してもよい。
実施例14:キナーゼ基質のGFP融合体の構築および調製
コードした融合タンパク質が(N末端からC末端へ)His−タグ、EmGFPおよびキナーゼの基質で構成されるように、pRSET(B)ベクター(Invitrogen、V351−20)を用いて、キナーゼ基質のGFP融合体のための大腸菌発現プラスミドを構築したる。そのような2つの基質は、EmGFP−ATF2(19−96)およびEmGFP−c−Jun(1−79)である。EmGFP−c−Junのアミノ酸配列は、
Figure 2009513681
である。
EmGFP−ATF2のアミノ酸配列は、
Figure 2009513681
である。
GFPのタグを付けたキナーゼ基質用の発現プラスミドでBL21 Star(商標)(DE3)pLysS細胞(Invitrogen、C6020−03)を形質転換し、アンピシリンとクロラムフェニコールの入ったLB寒天上に播いた。単一コロニーを選抜し、LB(ルリアブロス)またはTurbo Prime(商標)ブロス(アテナエンザイムシステムズ0110)のいずれか500mL中で増殖させ、誘導に先立ってOD595がおよそ0.3〜1.0に達するまで、37℃、225rpmにて増殖させた。IPTG(0.05〜0.5mM)で培養物を誘導し、さらに4〜16時間培養した後、遠心分離によって細胞を回収し、−80℃で保存した。500mLの培養物から得た細胞ペレットを、破壊緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、0.1%のトリトンX−100、20μMのリューペプチンおよび0.5mMのPMSF)200mLに浮遊させた。浮遊液をおよそ10,000PSIで冷却高圧ホモゲナイザー(アベスチンEmulsifFlex C50)に2回通して細胞を粉砕し、氷上で回収した。次いで、4℃にて28,000×gで30分間遠心分離することによって細胞溶解物を透明化した。上清を2mLのNiNTAアガロース(Invitrogen)に4℃にて1時間、バッチ結合しる。次いで、500×gにて5分間の遠心分離によって樹脂を回収した。上清を捨て、次いで約5mLの溶解緩衝液に樹脂を浮遊させ、使い捨てのカラムに移した。カラムの水を抜き、次いで25mLの破壊緩衝液でカラムを洗浄し、その後、25mMのイミダゾール入りの破壊緩衝液10mLを重力で落とした。次いで、250mMのイミダゾール入りの破壊緩衝液5mLでカラムを溶出し、明るい緑色での単一分画を回収した。GFPについて経験的に決定された減衰係数、480nmにて40,000M−1cm−1を用いて、これらの精製されたGFPタグの付いた基質を定量し、−80℃で保存した。
製造元推奨条件に従い、BSAを含まないリン酸緩衝生理食塩水における抗体調製物を用いて、リン酸化認識抗体、c−Jun [pS73](Biosource 44−292)およびATF2 [pT71](Biosource 44−294)をアミン反応性のテルビウムキレート(Invitrogen)で標識することによってテルビウム標識された抗体を作製する。
実施例15:キナーゼ反応およびアッセイ
384穴の低容量プレート(Corning 3676)にてキナーゼ緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、0.01% BRIJ−35、10mM MgCl2および1mM EGTA;Invitrogen)中でキナーゼ反応を行う。200〜225nMの基質、種々の濃度のキナーゼおよび100μMのATPと共に5〜15μLの容量で反応を行う。JNK1(Invitrogen、PV3319)、JNK2(Invitrogen、PV3620)、p38α(Invitrogen、PV3304)およびp38β(Invitrogen、PV3679)の基質として、EmGFP−ATF2を使用した。JNK1およびJNK2の基質としてEmGFP−c−Junを使用した。cRaf(Invitrogen、PV3805)、BRAF触媒ドメイン(Invitrogen、PV3849)およびBRAF(Invitrogen、PV3848の基質としてフルオレセイン−MEK1を使用した。常温にて1時間、キナーゼ反応物をインキュベートし、その後、GFP融合体基質のために最終濃度2.5または5nMで適当なテルビウム標識のリン酸化認識抗体を加えた。フルオレセイン−MEK1については、非標識のリン酸化認識抗体、ホスホ−MEK1/2(Ser217/221)(セルシグナリングテクノロジー9123S)の1:10稀釈を5μLのキナーゼ反応物に等量加え、次いで20nMのTb−抗ウサギ二次抗体(Invitrogen、PV3773)10μLを加えた。抗体は全て、キナーゼ反応物に添加するのに先立ってTR−FRET稀釈緩衝液(20mMのTris、pH7.5および0.01%NP−40;Invitrogen)で稀釈した。室温で1時間インキュベートした後、Tecan Ultraプレートリーダで蛍光測定を取り込んだ。340nm(30nmのバンド幅)の励起にて520nm(20nmのバンド幅)および495nm(10nmのバンド幅)で強度を測定した。キナーゼ活性は、520nmでの発光強度の増加、通常、495nmでの発光強度の低下に相関した。図9、13、14、15、16、17、18および19を参照されたい。
Junキナーゼ(JNK)は、適当な刺激に応答してc−Junを含む転写因子の宿主をリン酸化する。リン酸化されたc−Junは次いでc−Fosと相互作用して転写アクチベータAP1を形成する。JNK活性の活性は、本発明に従って天然の基質のGFP融合体を用いて、例えば、リン酸化されたc−Junに特異的なテルビウム標識された抗体と組み合わせたc−Junを利用して容易に測定される。図20を参照されたい。
c−Jun N末端キナーゼ(JNK)は、UV照射または他のストレス刺激に続いてSer−63およびSer−73でc−Junを特異的にリン酸化するMAPキナーゼファミリーの一員である。このリン酸化は、例えば、c−Jun基質の30〜60残基およびJNKの活性部位近傍の異なったドメイン内の残基が介在する「ドッキング」現象に依存する。
実施例16:キナーゼ反応モジュレータ用アッセイ
SB202190は、強力で且つ選択性のp38マップキナーゼ阻害剤である。この化合物は、p38αおよびp38βのアイソフォームを阻害するが、p38γまたはp38δ、ERK2、MAPキナーゼファミリーのほかのメンバーまたはそれらの上流のアクチベータを阻害しない。この選択性によってSB202190はシグナル伝達経路におけるp38の役割を分析する有用なツールとなっている。SB202190は、p38αおよびp38βに対して30nMのIC50を有すると報告されている。
阻害剤SB202190(カリフォルニア州、カマリロのバイオソース)に対してp38MAPキナーゼ、p38α、p38β、p38γおよびp38δ(Invitrogen、Madison、WI)を評価した。酵素濃度は、調べた酵素についてのATPのEC50に相当する10μMのATPの存在下でのEC80−値に基づく。酵素濃度は、4.5μg/mL(p38α)、1.2μg/mL(p38β)、0.3μg/mL(p38γ)および1.3μg/mL(p38δ)である。キナーゼ緩衝液A(Invitrogen、米国カリフォルニア州)にて30μMのSB202190で開始して3pMまでの1/2対数稀釈で阻害曲線を作製した。MAPキナーゼの基質として400nMのATF2−GFP融合タンパク質を用いて阻害データを生成した。10μL容量にて22℃で1時間、反応を進行させた。20mMのEDTAおよび5nMのテルビウム標識の抗リン酸化認識ATF2抗体の10μLの添加によって反応を停止した。60分後、TR−FRETモードのTecan Ultra384プレートリーダで結果を読み取った。使用する励起波長は340nmであり、495nMおよび520nmで発光をモニターしたる。Prism(カリフォルニア州、サンディエゴのグラフパッドソフトウェア)を用いて阻害剤濃度に対して520:495の比をプロットしてIC50を決定した。図21を参照されたい。
実施例17:MCGG−ユビキチンの発現、抽出、標識および精製
発現プラスミド(pEXP14−Ub−MCGG)は、ユビキチンのN末端へのメチオニン−システイン−グリシン−グリシン(MCGG)付加変異体をコードする。エントリーベクターpDonr221(Invitrogen、カタログ番号12536−017)に適合する組換え部位によってUbタンパク質を増幅するPCRによってpEXP14−Ub−MCGGベクターを作製した。PCR産物をpDonr221に組み換えた。目的ベクターpDEST14(Invitrogen、カタログ番号11801−016)と共にGateway(登録商標)反応にpDonr221を用いた。当業者に明らかになるであろうように、ユビキチンのN末端へのメチオニン−システイン−グリシン−グリシン(MCGG)付加変異体を発現するのに対して本質的に適合可能ないかなるベクターもこの目的に好適である。
業者供給の方法を用いて発現ベクターを化学的に形質転換受容性のDH5α細胞に移し;その後、0.1mg/mLアンピシリンを含有するLB寒天プレートに播いた。コロニーを選抜して0.1mg/mLアンピシリンを含有するLBブロス50mLに植菌し、それを37℃にて一晩増殖させた。一晩の培養物から5mLを使用して0.1mg/mLアンピシリン含有LBブロス500mLに植菌し、600nmでの光学密度>0.6を達成するまで37℃で増殖させた。この時点で、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を1mMの濃度で加えて、発現プラスミドでT7プロモータを誘導し、MCGG−ユビキチン変異体タンパク質の産生を刺激した。37℃にて4時間細胞を誘導した。4℃にて4200rpm(JS−4.2ロータ)で20分間の遠心分離によってDH5a細胞を回収した。上清を捨て、細胞ペーストを−80℃で保存した。
手持ち式ポリトロンバイオホモゲナイザーにより、1mM EDTAと10mM DTTを含有するHepes緩衝生理食塩水にMCGG−ユビキチンの細胞ペーストを再サスペンドした。10,000〜15,000psiでアベスチンEmulsifFlex C50に通すことにより、再サスペンドした細胞を溶解した。JA−14ロータにて4℃にて8,900rpm(約12,000×g)で20分間、ホモジネートした細胞を遠心分離した。上清を回収し、氷上で過塩素酸を3.5%(v/v)に加え、混入しているタンパク質を沈殿させた。JA−14ロータにて4℃にて8,900rpm(約12,000×g)で20分間、遠心分離することによって沈殿物を除いた。3500 MWCO Spectra/Por3透析膜にて50mMの酢酸アンモニア緩衝液(pH4.5)に対して上清を透析した。50mMの酢酸アンモニア緩衝液(pH4.5)で事前に緩衝化されたHiTrap SP HPカラムに透析した試料を負荷した。280nmでモニターする0〜0.5Mの塩化ナトリウムの塩勾配を持つカラムからMCGG−ユビキチンを溶出した(典型的な溶出:0.14〜0.22Mの塩の間)。所望のタンパク質を含有する分画を一緒にプールし、3500 MWCO Spectra/Por3透析膜にてHepes緩衝生理食塩水(pH7.5)に対して一晩透析した。透析した分画は、標識を必要とするまで−80℃で保存した。
MCGG−ユビキチンを解凍し、ユビキチンのモル吸光係数1280M−1cm−1に基づいて280nmでの吸収により濃度を計測した(MCGG−ユビキチンの分子量:8912Da)。10当量トリ(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)をMCGG−ユビキチンに加えて全てのジスルフィドを還元し、次いで5当量フルオレセイン−5−マレイミド、LanthaScreen(商標)チオール反応性テルビウムキレートまたはN−(ビオチニル)−N’−(ヨードアセチル)エチレンジアミンのいずれかを加え、それぞれ、フルオレセイン−ユビキチン、テルビウム−ユビキチンおよびビオチン−ユビキチンを作製した。標識ユビキチンを、3500 MWCO Spectra/Por3透析膜にてHepes緩衝生理食塩水(pH7.5)に対して一晩透析して未反応の色素を除いた。標識したタンパク質をHiLoad 26/60スーパーデックス75調製用カラムで精製した。標識したタンパク質は通常、0.6〜0.7カラム容量の間で溶出した。所望の標識タンパク質を含有する分画を一緒にプールし、ミリポア3000NMWL膜を付けたアミコン限外ろ過セルにより、フルオレセイン−ユビキチンについては492nm(492nmでのモル吸光係数は83,000M−1cm−1)、テルビウム−ユビキチンについては343nm(343nmでのモル吸光係数は12,570M−1cm−1)、およびビオチン−ユビキチンについては280nm(280nmでのモル吸光係数は1280M−1cm−1)での吸収に基づいて、0.5〜1mg/mLの濃度に濃縮した。フルオレセイン−ユビキチンの分子量:9341Da;テルビウム−ユビキチン:9912Daおよびビオチン−ユビキチン:9238Da。タンパク質を−20℃で保存した。
実施例18:分子鎖内TR−FRETユビキチン化反応
分子鎖内TR−FRETユビキチン化反応のために黒色Corning384穴低容量プレート(品番3676)で以下の溶液を混ぜ合わせた。
Figure 2009513681
ATP再生溶液は、T.Yao、R.E.Cohen、J.Biol.Chem.、2000年、275巻、36862−36868ページから適用した。
ホイルでプレートを密封して蒸発を防ぎ、37℃で6〜8時間置いた。インキュベートに続いて、TR−FRET稀釈緩衝液(20mMのTris、pH7.5および0.01% NP−40)10μLを各ウェルに加え、LanthaScreen(商標)推奨フィルタセットを用い、Tecan UltraまたはBMG PheraStarのいずれかでプレートを読み取った。図22に、分子鎖内TR−FRETユビキチン化アッセイを図示する。
実施例19:異種ユビキチン様タンパク質(Ub1)を用いる脱コンジュゲートアッセイ
Ub1融合タンパク質
SUMO1/2/3またはNedd8基質用の発現プラスミドでBL21 Star(商標)(DE3) pLysS細胞(Invitrogen、カタログ番号C6020−03)を形質転換し、アンピシリンとクロラムフェニコール入りのLB寒天に播いた。単一コロニーを選抜し、アンピシリン(100mg/L)およびクロラムフェニコール(34mg/L)の入ったLB(ルリアブロス)培地50mLにて37℃、225rpmで一晩増殖させた。各一晩培養物5mLを500mL LB培地に植菌し、OD600がおよそ0.6に達するまで37℃、225rpmで増殖させた。次いで、培養物を25℃に移し、1時間増殖させた後、1mM IPTGによって誘導した。4時間の追加の増殖の後、遠心分離によって細胞を回収し、−80℃で保存した。500mL培養物からの細胞ペレットを200mLの溶解緩衝液(25mMトリス、pH7.5、100mM NaCl)にサスペンドした。サスペンジョンを10〜15,000ポンド/平方インチ(PSI)での冷却高圧ホモゲナイザー(アベスチンEmulsifFlex C50)に2回通すことによって細胞を粉砕し、氷上で回収する。次いで、4℃にて28,000×gで20分間遠心分離することによって細胞溶解物を透明にする。上清を2mLのNiNTAアガロース(Invitrogen)に4℃にて1時間、バッチ結合した。次いで、153×gにて5分間の遠心分離によって樹脂を回収した。上清を捨て、次いで約5mLの溶解緩衝液に樹脂をサスペンドし、使い捨てカラムに移した。カラムの水を抜き、次いで20mLの溶解緩衝液でカラムを洗浄し、その後、30mMのイミダゾール入りの溶解緩衝液10mLを重力で落とした。次いで、25mMトリス、50mM NaClおよび300mMのイミダゾール(pH7.5)の4mLでカラムを溶出し、例えば、明るい緑色である単一分画を回収した。溶出したタンパク質にジチオスレイトール(DTT)を最終濃度10mMにして加えた。
次いで、NAP−5カラム(GEヘルスケア17−0853−01)を用いてHBS(137mM NaCl、2.7mM KClおよび10mM Hepes,pH7.5)で約0.5〜1mgのタンパク質を脱塩し、タンパク質の試料当たり、単一の1mL分画に回収した。次いでチオール反応性テルビウムキレート(Invitrogen、PV3580)を水に1mg/mLで溶解し、脱塩したタンパク質に2倍のモル過剰で加えた。室温にて3時間、標識反応を進行させ、NAP−5カラムにて生成物を脱塩し、HBSで一晩透析した。
一次配列情報
Figure 2009513681
Figure 2009513681
ユビキチン様タンパク質(Ub1)の脱コンジュゲートアッセイ
2mM DTTを有するTR−FRET稀釈緩衝液の反応緩衝液をこれらのアッセイで使用した。各ウェル10μLの最終容量で、プレート全体にわたり、SENP1、SENP2またはNEDP1酵素(Boston Biochem E−700、E−710またはE−800)の滴定を行った。SUMO1、SUMO2、SUMO3またはNedd8脱コンジュゲート基質の25nM溶液10μLを各酵素に加えた。室温にて1時間のインキュベートの後、BMG Labtech Pherastarプレートリーダで蛍光測定を取り込んだ。340nm(30nmのバンド幅)の励起にて520nm(20nmのバンド幅)および495nm(10nmのバンド幅)で強度を測定した。図39Aに、それぞれSENP1およびNEDP1によるSUMO1脱コンジュゲート基質(Topaz−SUMO1−Tb)およびNedd8脱コンジュゲート基質(Topaz−Nedd8−Tb)の切断を示す。図39Bに、SENP2によるSUMO2(Topaz−SUMO2−Tb)およびSUMO3(Topaz−SUMO3−Tb)脱コンジュゲート基質の切断を示す。
実施例20:JNK1およびJNK2調節アッセイ
阻害剤SP600125(JNK阻害剤1とも呼ばれる)は、強力で選択的なATP競合性のJNK阻害剤である。
キナーゼアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、0.01% BRIJ−35、10mM MgCl2および1mM EGTA;Invitrogen)を用いた10μLの反応物中、2μM ATPと10μM〜56.5pmまでの範囲の3倍連続稀釈のSP600125(カルビオケム)の存在下で、200nM GFP−ATF2に対してJnk1またはJnk2(それぞれ300ng/mLおよび650ng/mL)を1時間アッセイした。反応に続いて、TR−FRET稀釈緩衝液(20mMトリス、pH7.5および0.01% NP−40;Invitrogen)に、EDTAおよびTbで標識した抗ATF2(pT71)を最終容量20μLで、最終濃度それぞれ10mMおよび2nMで加えた。1時間後、前記のようにプレートを読み取った。各反応を3つ組で行い、データを表にした。
これらの条件でのアッセイでは、SP600125のEC50は、JNK1については160nMであり、JNK2については120nMだった。表1も参照されたい。
Figure 2009513681
実施例21:アッセイの最小化/容量および耐干渉性
3つ組の10μLのアッセイ反応で、100μM ATPの存在下で400nM GFP−cJun(1〜179)に対して連続稀釈したJNK1キナーゼをアッセイした。1時間後、2nMの抗体および10mMのEDTAの最終濃度で、各ウェルにテルビウム標識した抗リン酸化cJun(pSer73)およびEDTAの溶液10μLを加えた。1時間インキュベートした後、プレートを読み取り、TR−FRETの値を算出した。アッセイの安定度(Z’)および干渉化合物実験について、非リン酸化産物と完全にリン酸化された産物との間でTR−FRETの値に80%の変化を達成するのに必要とされるキナーゼの濃度を決定するため、先ず、連続稀釈したJNK1をアッセイした。キナーゼのこの濃度をZ’の実験および干渉化合物実験に用い、キナーゼのこの濃度の5倍を含有する対照ウェルを測定して実験がキナーゼのEC80付近で行われることを検証した。Z’の実験については、48の陽性ウェルおよび48の陰性ウェル(ATPなし)を測定し、Z’を算出した。さらに少ないアッセイ容量でZ’値を概算するため、4μL等量を対照ウェルから取り出して空のウェルに入れ、機器のZ軸の焦点高さを再調整したのに続いて読み取った。続いてキナーゼアッセイに加えられる干渉剤の存在下で6つの陽性対照ウェルおよび6つの陰性対照ウェルを測定し、干渉化合物実験を行った。NADPH、タルトラジンおよびアルラレッドを最終濃度5μMで、クマリンおよびフルオレセインを最終濃度100nMで、非乳性クリームを最終濃度0.5mg/mLで加えた。
基質としてGFP−cJun(1〜179)を用い、JNK1のEC80の濃度を用いて、JNK1活性のアッセイについてZ’値を決定した。低容量384穴プレートにて48の陽性対照ウェルおよび48の陰性対照ウェルを用いて、20μLの最終アッセイ容量では、0.93のZ’が決定された。(当該アッセイを実施する容量限度に対処する液体の非存在下において)アッセイの条件を模倣するため、各対照ウェルの4μLを空のウェルに移し、Z’は0.88であると決定された。これらの結果に基づいて、容量限度に対処する適当な液体を考えると、少なくとも10μLの反応最終アッセイ容量より少なくアッセイを容易に最少化することができる。
Z’値に加えて、HTSスクリーニングに存在する高濃度のライブラリ化合物からの光学的干渉に耐性である蛍光に基づくHTSアッセイを有することが好ましい。干渉の3つの一般的な供給源は、「色消光剤」(励起光または発光光のいずれかを吸収することによる内部フィルタ効果を生じる化合物)、自家蛍光化合物および沈殿した化合物からの散乱光である。テルビウムに基づいたTR−FRETアッセイのこれら一般的な干渉への耐性を実証するため、読み取りに先立って陽性対照ウェルおよび陰性対照ウェルを干渉化合物と混ぜた。色消光剤(NADPH、タルトラジンおよびアルラレッド)は5μMの濃度で存在してキナーゼアッセイで10μMの濃度を模倣した。タルトラジンおよびアルラレッドは、食用色素における主な発色団、それぞれ、FD&C黄色#5およびFD&C赤色#40である。NADPHはテルビウムキレートが励起される(λmax=340nm)UVドメインで強く吸収し、タルトラジンはテルビウムの励起と発光の間のドメイン(λmax=425nm)で強く吸収し、アルラレッドは蛍光の発光ドメイン(λmax=524nm)で強く吸収する。蛍光の強い化合物、クマリンおよびフルオレセインは100nMで存在し、200nMのアッセイ濃度を表した。フルオレセインのこの濃度は、フルオレセインフィルタセットで読み取る場合、LOPAC1280ライブラリ(Sigma)における任意の化合物の10μMでの最高蛍光強度の10倍を表す。最終的に、非乳性のコーヒークリーマーは、光散乱剤として0.5mg/mLで使用した。この濃度で溶液は視覚的に濁っている。これらの場合全てにおいて、比例関係を保ったアッセイの読み取りで無視できる影響が見られた。ドナーとアクセプターの強度に関する生データで(示さず)、アルラレッドを含有するウェルのみ干渉化合物の顕著な(約30%の低下)影響を示したが、この影響の大きさは、双方のデータで類似しており、データを「比で示す」ことによって補正された。蛍光化合物または光散乱化合物からの干渉は、どんな干渉も測定が行われるずっと前にバックグランドのレベルまで崩壊したという読み取りの時間分解の性質によって回避された。
実施例22:細胞溶解物からのキナーゼのアッセイ
血清を除いてRAW264.7細胞(マウスのマクロファージ細胞株)を一晩培養し、溶解物を調製するのに先立って10μg/mlのアニソマイシンで15分間刺激した(またはしなかった)。例えば、キナーゼ活性アッセイキットプロトコル(カリフォルニア州のバイオソース、Rev. A1 12/9/05、カタログ番号KNZ0031)に記載されたような標準的なプロトコルに従って溶解物を調製した。プロトコルを以下に概略する。
細胞からのタンパク質抽出手順
Omnia(商標)溶解物アッセイを用いて細胞溶解物のMAPKAP−K2活性を測定する場合、試料の調製に以下の手順を用いてもよい。このプロトコルは、ヒトやマウスに由来する幾つかの細胞株に上手く適用されている。1.氷上でOmnia細胞抽出緩衝液(Biosource、California)を解凍する。
2.所望のように細胞を設定し、刺激する。
3.遠心分離(非付着性細胞について)または培養プレートからのこすり取り(付着性細胞について)によって冷却PBS中に細胞を回収する。
4.4℃にて1,500rpmで5分間、細胞を遠心分離する。
5.PBSを吸引する。
6.細胞ペレットをOmnia細胞抽出緩衝液に再浮遊し、溶解物を1.5mLの微量遠心管に移す。Omnia細胞抽出緩衝液の容量は、細胞数およびMAPKAP−K2の発現レベルに依存する。溶解物の最適なタンパク質濃度は、5〜10mg/mLの範囲内である。使用前に、適当量のプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤(通常、100倍のストック溶液として提供される)を加える。これらの条件下で、0.005mL(25〜50μg)の澄んだ細胞抽出物の使用は、MAPKAP−K2活性の測定に十分である。
7.回転装置上で4℃にて30分間、細胞を溶解する。次いで所望であれば、全細胞抽出物を手短に超音波処理するか、または針付き注射器に通すことができる。
8.4℃にて13,000rpmで20〜30分間遠心分離する。
9.澄んだ細胞抽出物を清浄な微量遠心管に移す。
10.分析の準備ができるまで、澄んだ細胞抽出物を−80℃で保存する。凍結−融解サイクルの反復は避けること。アッセイを行うための調製においては、試料を氷上で融解しうる。分析に先立ってよく混合する。
溶解物を緩衝液中で連続稀釈し、100μM ATPを含有するアッセイ緩衝液中にて400nM GFP−cJunに対して5μL等量をアッセイした。EDTAおよび最終濃度2nMリン酸化cJun認識抗体の添加によりアッセイを停止した。1時間のインキュベートの後、プレートを読み取り、データを回収した。表2を参照されたい。試料は2つ組で作製した。
溶解物のウエスタンブロット分析も刺激の際のJNKのリン酸化を示した(データは示さず)。
Figure 2009513681
実施例23:細胞性(生細胞)のユビキチン化アッセイ
本発明の態様の1つの実施例として、この実施例は、2つの技術、ドナーの標識を提供するLanthaScreen TR−FRET試薬(テルビウムで標識したユビキチン特異的モノクローナル抗体)および生細胞で発現されるユビキチン化標的(例えば、IκBα)に融合される組換え緑色蛍光タンパク質(アクセプター標識)を利用する。
ゲートウエイクローニング技術(Invitrogen)によってpcDNA−EmGFP−IkBa発現クローン(CMVプロモータ、TKポリA)を生成した。pcDNA6.2−N−EmGFP−DEST(図32A)およびUltimate ORFクローンIOH4138基質を用いてLR組換え反応を行った。EmGFP−IkBaのコーディング配列を図32Bに示す。リポフェクトアミン2000形質移入試薬(Invitrogen)を用いてGripTite293細胞にこのDNA構築物で形質移入した。ブラストサイジンに安定して耐性(およびGFPの安定した発現)の細胞がいったん樹立されると、FACSによって細胞を仕分けし、さらなるアッセイの開発のためにクローンを保存した。
本実施例は、GFP−IκBα融合タンパク質を発現しているHEK293細胞株(FACSによってクローンとして単離された)を記載する。この細胞株は、NFκB経路を介したTNFα刺激の炎症性の効果に応答性である。IκBαはTNFα処理に応答してユビキチン化されるようになるので(例えば、ポリユビキチン化)、NFκBを遊離させて核に転位させ、標的遺伝子の転写を刺激すると考えられている。
ユビキチン鎖またはポリユビキチン鎖に特異的に結合するモノクローナル抗体をITC−テルビウムキレートで標識した(大まかに7〜10の標識/Ab)。製造元のプロトコルを用いて、アミン反応性のITC−Tbキレート(Invitrogen)をモノクローナル抗体にコンジュゲートさせた。簡単に言えば、500μg抗体(Hepes緩衝生理食塩水、pH7.5で透析)を50μg ITC−Tbキレート(1Mの重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.5に再懸濁)の1:10容積と反応させた。室温にて一晩、コンジュゲートを進行させ、翌日、Hepes緩衝生理食塩水で透析した。吸収法を用いてTb標識効率を決定した。
第1日目に、96穴の透明底プレート(Costar)のウェル当たり、8×10個のHEK293/GFP−IκBα細胞を加えた。100μL/ウェルの容量におけるDMEM+10%dFBS+pen/strep+25mMのHBS+非必須アミノ酸の中に細胞を入れた。2日目に、20ng/mL TNF(最終濃度)で始まる用量反応性のTNFα(バイオソース、カタログ番号PHC3015)10μLで細胞を1時間刺激し、最終データ点としての「ゼロ」TNF対照を含む連続稀釈液(1:5)を細胞に加えた。TNFの連続稀釈は、完全増殖培地で行った。次いで、培地を除いた。phospho−elisa溶解緩衝液(プロテアーゼ阻害剤を加えた20mMトリス/1% NP40系)50μLによって氷上で30分間、細胞を溶解し、卓上プレートミキサーで手短に撹拌した(phospho−ELISA溶解緩衝液の組成(1×)。20mM Tris−HCl、pH7.4、1% NP40、5mM EDTA、5mM NaPP、150mM NaCl、2mM VO4、1:200稀釈のプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma、P8340))。20μLの細胞溶解物を384穴プレートに移し、50nMの抗体−Tb溶液5μLを加えた(抗体の最終濃度は大まかに10nMである)。BioMol(Plymouth Meeting、米国ペンシルベニア州)から購入した以下のモノクローナル抗体をこれらの実験で使用した。FK−1(ポリユビキチン鎖を認識する、カタログ番号PW8805)およびFK−2(ユビキチンを認識する、カタログ番号PW8810)複合体を形成させ、室温にて30分間平衡化させ、Tecan Ultra蛍光プレートリーダを用いて(340での励起、495と520での発光、100μsの遅延時間、200μsの積算時間)、TR−FRETを測定した。520での発光値を340でのこれらで割り、抗体濃度におけるウェルからウェルへの変異を正規化した。各試料について「バックグランドを差し引いた」値を得るために、520でのAbの蛍光値を試料の520の値から差し引いた。図30に、GFP−IκBαのユビキチン化のTNFαによる刺激に関する用量依存性曲線の例を示す。図30Aに、Tb−抗ユビキチン抗体(FK2)を利用した。図30Bに、Tb−抗ポリユビキチン抗体(FK1)を利用しているデータを示す。
要約すれば、用量反応性の様式でTNFαによってGFP−IκBα/HEK293細胞を処理し、トリス/1%NP−40に基づく溶解緩衝液で溶解した。TR−FRETの読み取り(340での励起、495と520での発光、100μsの遅延時間、200μsの積算時間)を用いて、GFP−IκBα−Ub複合体に結合するその能力についてTb−抗体を調べた。このアッセイによってユーザーは炎症の経路を(特異的に)アッセイしうるが、このアプローチは他の疾患経路(例えば、p53、カスパーゼ等のユビキチン化)からの種々の標的に対する有用な基盤になりうる。
実施例24:ProtoArray(登録商標)タンパク質マイクロアレイにおけるタンパク質のユビキチン化
以下の実施例において、ユビキチン化様タンパク質(例えば、SUMO化、NEDD化およびISG化)関連物を含むタンパク質のユビキチン化アッセイはタンパク質アレイを用いて行いうることを示す。
材料および方法
タンパク質アレイ
p53(BioMol)およびc−Jun(BioMol)をプリンティング緩衝液で稀釈し、アレイヤー(OmniGrid、ゲノム溶液)を用いて、ニトロセルロースを被覆したスライド(PATH、Gentel)上でアレイ化し、−20℃で保存した。
ProtoArray(登録商標)タンパク質マイクロアレイ上でのユビキチン化アッセイ
4℃にて1時間、緩衝液(50mMのTris、pH7.5、5mMのMgSO4、0.1%のTween20)中でタンパク質アレイをブロックした。BioMolのユビキチンコンジュゲートキットを用いてユビキチン化コンジュゲートミックスを調製した。手短に言えば、120μLの反応用に以下のミックスを調製した。(10μlのエネルギー、40μlの分画A、30μlのビオチン−ユビキチン(Invitrogen)または蛍光−ユビキチン(Invitrogen)のいずれかを伴う40μlの分画B。)Hybrislip(商標)のもとでタンパク質アレイにユビキチンコンジュゲート反応を加え、25℃で90分間インキュベートした。続いて、緩衝液(50mMのTris、pH7.5、5mMのMgSO4、0.1%のTween20)で3回スライドを洗浄した。蛍光−ユビキチンで処理したスライドについて、スライドを乾燥し、走査した。ビオチン−ユビキチンで処理したスライドについては、ストレプトアビジン−AF647(0.75μg/ml)と共に4℃にて45分間、アレイをインキュベートした。次いで、緩衝液(50mM Tris、pH7.5、5mM MgSO4、0.1% Tween20)で3回スライドを洗浄し、乾燥して、走査した。GenePix Pro(モレキュラーデバイス)によってタンパク質からのデータを取得し、マイクロソフトエクセルでデータを処理した。
結果
高含量タンパク質アレイ(ProtoArray(登録商標)タンパク質マイクロアレイ、Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州社)は、ユビキチン−タンパク質リガーゼ(E3)の新規の基質を迅速に同定する機会を提示する。発明者らは、タンパク質アレイ上でタンパク質のユビキチン化を検出する実験を行った。この実験のために、生体内でユビキチン化されることが公知のタンパク質(p53とc−Jun)を含有するタンパク質アレイを、タンパク質ユビキチン化のための機構を含有する酵素混合物(S.Y.Fuchsら、J.Biol.Chem、272巻、32163−8ページ、1997年、およびAugerら、Methods Enzymol.、399巻、701−17ページ、2005年)で処理した。発明者らは、修飾したガラススライド上に固相化されたc−Junおよびp53双方のユビキチン化を認めた。基質のユビキチン化の検出は、ストレプトアビジン−AlexaFluor647(SA647)に結合したビオチン−ユビキチンおよび蛍光−ユビキチンの双方で認められた(図31A)。アレイ上でスポット化されたタンパク質の量の関数として、タンパク質のユビキチン化のデータを定量した。シグナル(マイクロアレイ上のスポットの蛍光強度)の低下は、スポット化されたタンパク質の量の相当する低下と共に認められる(図31B)。
本実施例は、タンパク質アレイ上でのタンパク質のユビキチン化を示す。高含量のタンパク質アレイは、例えば、分解を促進する、タンパク質機能における変化を促進するまたは細胞内におけるタンパク質の局在を変えるためにタンパク質をユビキチン化、SUMO化、またはNEDD化する細胞機構(T.R.Prayら、Drug Resist Updat、5巻、249−58ページ、2002年)の基質を同定するのに有用なツールである可能性がある。
実施例25:THP1細胞溶解物におけるLPS誘導GFP−ATF2のリン酸化
種々の量のLPS(カルビオケム、品番437628)を細胞に30分間加えることによってTHP1細胞(ATTC、品番TIB−202)を刺激した。細胞を洗浄し、実施例22のように溶解し、溶解物5μLを400nMのGFP−ATF2および200μMのATPの5μLに加えた。60分後、Tb−抗pATF2抗体(Invitrogen、品番PV445)およびEDTAを加えてキナーゼ反応を停止することによってリン酸化産物を検出した。Tecan Ultra384プレートリーダ(スイス、テキャングループ社)を用いてデータを回収した。図37Aに、結果を示す。
実施例26:THP1細胞溶解物で測定されるSP600125によるJNK活性化の阻害
JNK活性の強力な阻害剤であるが、JNKを活性化するキナーゼの弱い阻害剤であるSP600125の存在下でLPS(60ng/mL)によってTHP1細胞を刺激した。アッセイは、実施例25に記載のように行った。認められたIC50値が公表された研究に一致するということは、SP600125は(その上流ではなく)JNK活性で作用することを示唆している。図37Bに、結果を示す。
実施例27:HEK293 GFP−IκBα細胞におけるTNFαが誘導するGFP−IκBαのリン酸化
Invitrogen社Gateway(登録商標)法を用い、IκBα断片をpCDNA(商標)6.2/N−EmGFP DestにサブクローニングすることによってHEK293−GFP−IκBα細胞株の安定発現のための哺乳類の発現ベクターを生成した。配列決定によって得られたベクターpCDNA(商標)6.2−GFP−IκBαを検証した。
リポフェクトアミン(商標)LTXを用いて製造元のプロトコルに従って、発現ベクターでHEC293細胞株に形質移入した。ブラストサイジンS HCl(5.2μg/ml)によって14日間、形質移入した細胞を選抜し、GFPを発現する細胞についてフローサイトメトリーによって選別した。単一細胞の選別により個々のクローンを生成し、その後全ての実験のために最良に機能するクローンを選択した。
種々の量のTNFαでHEK293−GFP−IκBα細胞を30分間刺激し、その後、細胞を洗浄し、溶解した(20mMトリス、pH7.4;1% NP−40;5mM EDTA;5mMピロリン酸ナトリウム;5mM NaF;150mM NaCl;2mM VO4;1:100ホスファターゼ阻害剤ミックス1(SIGMA、P−2850);1:100プロテアーゼ阻害剤ミックス(SIGMA、P8340))。GFP−IκBαのリン酸化を測定するため、20μlの溶解物を384穴プレートに移し、次いでTb−抗pS32−IκBα抗体(Invitrogen、品番PV3662)を加えた。室温での20分間のインキュベートの後、Tecan Ultra384プレートリーダを用いて試料を分析した。図38Aに、結果を示す。
実施例28:TNFα誘導GFP−IκBαのリン酸化阻害
この実験は、1000pg/mL PSを用いてTNFαによる刺激に先行して阻害剤と共に60分間の追加インキュベートを行い、実施例27に記載のように実施した。使用した阻害剤は、IKK−阻害剤IV、BMS−345541およびウィタフェリンだった。図38Bに、結果を示す。
実施例29:異なったユビキチン様タンパク質(Ub1)を用いたコンジュゲートアッセイ
Ub1のCGG付加変異体の発現/標識:
SUMO1/2/3またはNedd8のN末端へのシステイン−グリシン−グリシン(CGG)挿入をコードするように発現プラスミド(pEXP17−CGG−Ubl)を構築した。エントリーベクターpDonr221(Invitrogen、カタログ番号12536−017)に適合する組換え部位によってUbタンパク質を増幅するPCRによってpEXP17−CGG−UBlベクターを作製した。PCR産物をpDonr221に組み換えた。目的ベクターpDEST17(Invitrogen、カタログ番号11803)と共にゲートウエイ(登録商標)反応にpDonr221を用いた。当業者に明らかになるであろうように、SUMO1/2/3またはNedd8のN末端へのシステイン−グリシン−グリシン(CGG)挿入を発現するのに対して本質的に適合可能ないかなるベクターもこの目的に好適である。
業者供給の方法を用いて化学的に形質転換受容性のBL21 Star(商標)(D3)細胞に発現プラスミドで形質移入し、次いで、0.1mg/mLアンピシリン含有LB寒天プレートに播いた。コロニーを選抜して0.1mg/mLアンピシリンを含有するLBブロス50mLに植菌し、それを37℃にて一晩増殖させる。一晩の培養物から5mLを使用して0.1mg/mLアンピシリンを含有するLBブロス500mLに植菌し、600nmでの光学密度が>0.6となるまで37℃で増殖させた。この時点で、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を1mMの濃度に加えて、発現プラスミドでT7プロモータを誘導し、CGG Ub1付加変異体タンパク質の産生を刺激した。25℃にて4時間細胞を誘導した。4℃にて4200rpm(JS−4.2ロータ)で20分間遠心分離して細胞を回収した。上清を捨て、細胞ペーストを−80℃で保存した。
手持ち式ポリトロンバイオホモゲナイザーを用いて、1mMのEDTAと10mM DTTを含有するHepes緩衝生理食塩水にCGG−Ub1の細胞ペーストを再サスペンドした。10,000〜15,000psiでのアベスチンEmulsiflex C50に通すことによって再サスペンドした細胞を溶解した。JA−14ロータにて4℃にて13,500rpm(約28,000×g)で20分間、ホモジネートした細胞を遠心分離した。回収した上清を2mLのNi−NTAアガロース(Invitrogen)に4℃で1時間、バッチ結合した。次いで、153×gにて5分間遠心分離して樹脂を回収した。上清を捨て、約5mLの溶解緩衝液に樹脂を浮遊させ、使い捨てのカラムに移した。カラムの水を抜き、次いで20mLの溶解緩衝液でカラムを洗浄し、その後、30mMのイミダゾール入りの溶解緩衝液10mLを重力で落とした。次いで300mMのイミダゾール入りのHBS4mL(pH7.5)でカラムを溶出した。最終濃度10mMでジチオスレイトール(DTT)を溶出したタンパク質に加えた。
次いで、タンパク質をHighTrap Q HP(SUMO1/2/3)(GEヘルスケア17−1153−01)カラムまたはHighTrap SP HP(Nedd8)(GEヘルスケア17−1151−01)カラムに負荷した。AKTA純化装置により30カラム容量を超える0〜400mM NaClの線形グラジエントを実施した。所望のタンパク質は150〜300mM NaClで溶出した。所望のタンパク質(SDS−PAGEによって決定される)を含有する分画をプールし、最終濃度10mMでDTTを加えた。
標識するため、NAP−5カラム(GEヘルスケア17−0853−01)を用いてHBS(137mM NaCl、2.7mM KClおよび10mM Hepes,pH7.5)でタンパク質約2mgを脱塩し、タンパク質の試料当たり、単一の1mL分画に回収する。タンパク質のテルビウム標識については、チオール反応性のテルビウムキレート(Invitrogen、PV3580)を水に溶解し、脱塩したタンパク質に2倍のモル過剰で加えた。タンパク質のフルオレセイン標識については、フルオレセイン(Invitrogen、F−150)をDMSOに5mg/mLで溶解し、脱塩したタンパク質に5倍過剰で加えた。室温にて4時間、標識反応を進行させ、生成物をNAP−5カラムで脱塩するか、またはHBSで一晩透析した。
一次配列情報
Figure 2009513681
抗−エピトープTR−FRET「SUMO化」アッセイ:
抗−エピトープTR−FRET SUMO化反応のために以下の溶液を黒色Corning384穴低容量プレート(品番3676)で混合した。
Figure 2009513681
以下の試薬は、以下のSKU #:E1(UW9330);Ubc9(UW9320);GST−RanBP2(UW9455);およびGST−SP100(UW9825)と共にBioMol社製を用いた。
ホイルでプレートを密封して蒸発を防ぎ、37℃で1〜3時間置いた。インキュベートに続いて、40nMのTb−抗−GST(Invitrogen、PV4216)を含有するTR−FRET稀釈緩衝液(20mMトリス、pH7.5および0.01% NP−40)10μLを各ウェルに加え、室温にて30分間プレートを平衡化した。LanthaScreen(商標)用の推奨フィルタセットを有するTecan Ultra384またはBMG Labtech PheraStarのいずれかでアッセイプレートを読み取った。図40に、フルオレセイン−SUMO1/2/3およびTb−抗−GST抗体によるGST−SP100の抗エピトープTR−FRET SUMO化アッセイの代表的なデータを示す。
実施例30:GFP−ユビキチン融合タンパク質を用いる脱ユビキチン化アッセイ
2mM DTTの入ったTR−FRET稀釈緩衝液の反応緩衝液をこれらのアッセイに用いた。各ウェル10μLの最終容量でプレートを横切って、酵素、SENP1、SENP2またはNEDP1(Boston BiochemのE−700、E−710またはE−800)の滴定を実施した。各酵素に、SUMO1、SUMO2、SUMO3またはNedd8の脱コンジュゲート基質の25nM溶液10μLを加えた。室温にて1時間のインキュベートの後、BMG Labtech PheraStarプレートリーダで蛍光測定を取り込んだ。340nm(30nmのバンド幅)の励起にて520nm(20nmのバンド幅)および495nm(10nmのバンド幅)で強度を測定した。
GFP−Ub−Tbは、UCH−L3(■)、USP−2(●)、USP−15(▲)、UCH−L1(▼)、USP−5(◆)およびUSP−14(○)に対する基質(10nMで)として調べられた(UCH−L3(BioMol;UW9745);USP−2(BioMol;UW9850);USP−15(BioMol;UW9845);UCH−L1(BostonBiochem;E−340);USP−5(BostonBiochem;E−322);USP−14(BostonBiochem;E−342))USP−14は、26sプロテアソームの成分との会合の非存在下では、活性を示すとは考えられなかった。USP−2およびUSP−15は区別が付かなかった(図41a)。
0.1nM UCH−L3および10nM GFP−Ub−Tbに対し、強結合DUB阻害剤であるユビキチンアルデヒドを滴定し、0.2nMのIC50で反応を阻害することが示された(図41B)。
低回転率において優れたZ’値
増加する量のDUBを含有する24の陰性ウェルおよび24の陽性ウェルからZ’値を決定した。生成物に対する基質の20%回転率に対して>0.5のZ’が認められ、生成物に対する基質の38%回転率に対して>0.75のZ’が認められ、生成物に対する基質の54%回転率に対して>0.8のZ’が認められた。
実施例31:本発明の例示プロトコルおよび文献
本実施例は、本発明の組成物および方法に関連する例示文献を提供し、本発明の非限定の方法および組成物の実施例を提供することを意味する。Lanthascreen(商標)ユビキチンアッセイ試薬に関するユーザーガイドを例示する。付属物Aで記載された方法および組成物は、本明細書に記載されるように本発明の例示となる方法および組成物である。
第1.0節と第2.0節は、とりわけ、本発明の方法で使用することが可能である試薬の例、およびこれらの試薬が包装されうる可能性のある量(例えば、重量)の例を提供する。
第3.0節は、とりわけ、FRET、TR−FRETおよびTR−FRETを含むFRETで使用される一般的なランタニド類を記載する序論である。
第4.0節は、とりわけ、本発明に関する機器設定の非限定例および一般的な原理を記載する。
第5.0節は、ユビキチン化を検出することおよび/または測定することに関するアッセイ形式の種々の非限定例を記載する。第5.0節は、試料のアッセイ条件を包含する。当業者であれば、これらの条件が例示的であり、本発明が、この場合、ユビキチン化反応が生じることができ、本明細書で記載されるようなユビキチン化の検出が可能である他の条件を包含することを認識するであろう。抗エピトープユビキチン化アッセイについての条件は、例示および/または最適条件としての提供である。例えば、同様のユビキチン化アッセイを行うことができ、その際、抗体はタンパク質を結合し(例えば、天然のタンパク質配列を結合し)、タンパク質またはポリペプチドに組み入れられたエピトープタグを必ずしも結合するわけではない。
第6.0節は、GFP融合タンパク質を含む本発明のユビキチン化アッセイの例を記載する。本発明は、蛍光タンパク質または蛍光ポリペプチドとしてのGFPの使用に限定されない。本明細書で議論されるように、本発明は、適合可能な蛍光タンパク質または蛍光ポリペプチドの使用を包含する。GFPは、テルビウムドナーと適合可能である蛍光タンパク質または蛍光ポリペプチドの例として示される。
第7.0節は、とりわけ、比例関係を保った測定を用いる本発明の例示となる方法に関する安定度/データの質を明らかにする。
LanthaScreen(商標)ユビキチンアッセイ試薬−ユーザーガイド
目次
1.0 利用可能な試薬
2.0 序論
3.0 機器設定
4.0 Tr−Fret試薬によるユビキチン化の高速処理スクリーニング
5.0 Gfp融合タンパク質による代替のユビキチン化アッセイ
6.0 比例関係を保った測定におけるデータの質の評価
7.0 関連する製品
8.0 購入者への注意
1.0 利用可能な試薬
Figure 2009513681
2.0 序論
化合物のライブラリをスクリーニングするため、時間分解FRET(TR−FRET)は、化合物の自家蛍光または沈殿した化合物からの光散乱からの干渉を克服する認識された方法である。TR−FRETの根拠は、標準的なFRETと同じであり、好適な一対の蛍光色素分子が互いに密接な近傍範囲内にもたらされると、第1の蛍光色素分子(ドナー)の励起は、第2の蛍光色素分子(アクセプター)へのエネルギー移動を生じる。このエネルギー移動を、アクセプターの蛍光発光の上昇およびドナーの蛍光発光の低下によって検出する。HTSアッセイでは、FRETは、アクセプター蛍光色素分子とドナー蛍光色素分子の強度の比として表されることが多い。そのような値の比例関係を保った性質によって、ウェル間のアッセイ値の差異が補正され、着色化合物による消光効果が補正される。
標準的なFRETとは対照的に、TR−FRETアッセイは、ドナー種として寿命の長いランタニドキレートを使用する。ランタニドキレートは、その励起された状態の寿命(分子が光子を受け取った後励起された状態で費やす平均時間)をミリ秒以上の桁にすることができるという点で独特である。このことは、通常、ナノ秒範囲である、標準的なFRETアッセイで使用される一般的な蛍光色素分子の寿命と鋭く対照的である。自家蛍光化合物または散乱光からの干渉はナノ秒の時間尺度なので、これらの因子は標準的なFRETアッセイに否定的な影響を与える。これらの干渉を克服するため、マイクロタイタープレートリーダにおいて、閃光灯による励起光源によって励起された後、好適な遅延、通常、50〜100ミリ秒後にFRETを測定することによってTR−FRETアッセイを行う。この遅延によって、バックグランドの蛍光または散乱光からの干渉が克服されるだけでなく、閃光灯による励起光源の瞬時ではない性質による直接励起からの干渉も回避される。
HTS用のTR−FRETアッセイで最も一般的に使用されるランタニドは、テルビウムおよびユーロピウムである。テルビウムは、TR−FRETアッセイでドナー種として使用されるとユーロピウムよりも独特の利点を提供する。アクセプターとしてAPCを用いるユーロピウム系の方式とは対照的に、テルビウム系のTR−FRETアッセイはアクセプターとして、例えば、フルオレセインのような一般的な蛍光色素分子を使用することができる。テルビウム系のTR−FRETアッセイでは、ユーロピウム系アッセイで一般的に行われるストレプトアビジンが介在するAPCの動員を介して間接的に標識されなければならないビオチン化分子ではなく、蛍光標識した試薬を使用してもよい。テルビウム系のTR−FRETアッセイにおける直接標識された分子の使用のよって、コストが軽減され、動態が改善され、大きなAPCコンジュゲートが関与する立体的相互作用による問題が回避され、直接標識方式には最適化を必要とする独立変数がほとんどないのでアッセイの開発が簡略化される。
3.0 機器設定
図6下方に、テルビウムおよびフルオレセインの励起および発光のスペクトルを示す。他のTR−FRETシステムと同様に、30nmのバンド幅と共に340nm励起フィルタを用いてテルビウムドナーを励起した。しかしながら、励起フィルタの正確な仕様は重要ではなく、類似の仕様を持つフィルタも上手く機能する。一般に、ユーロピウム系のTR−FRET方式で上手く機能する励起フィルタは、LanthaScreen(商標)テルビウムキレートで上手く機能する。
図6に示すように、テルビウムの発光スペクトルは、4つの鋭い発光ピークと各ピーク間のサイレントドメインを特徴とする。テルビウムの最初の発光ピーク(およそ485nmと505nmの間に中心がある)は、フルオレセインの最大励起ピークと重なる。次いで、テルビウムの最初の2つの発光ピークの間のサイレントドメインでフルオレセインへのエネルギー移動を測定した。テルビウムからの干渉を受けずにフルオレセインへのエネルギー移動を測定することが重要なので、この目的には、25nmのバンド幅を持ち、520nmに中心があるフィルタを用いた。このフィルタの仕様は、励起フィルタより重要である。一般に、標準的な「フルオレセイン」のフィルタは、テルビウムのスペクトルに関連する光も同様に通すので使用してはならない。テルビウムの最初のピークを単離するフィルタを用いて、このピークの発光に対してFRETによるフルオレセインの発光を参照する(または「比として表す」)。通常、これは、10nmのバンド幅を持ち、490nmまたは495nmに中心があるフィルターによって達成される。一般に、機器の2色性ミラーの選択(例えば、Tecan Ultra機器におけるもの)が495nmのフィルタの仕様を必要としてもよいが、490nmのフィルタは、この測定に「流れ出る」フルオレセインの発光量を低減する。いずれかの場合、得られる測定の質に対する影響は最小である。LanthaScreen(商標)アッセイに好適なフィルタは、フィルタセットPV001としてChroma(Rockingham、米国バーモント州)から、または他の業者から入手可能である。BMG LABTECH PHERAstar用のLanthaScreen(商標)フィルタモジュールは、BMG LABTECH(Durham、米国ノースカロライナ州)から入手可能である。
フィルタの選択とは別に、機器の設定は、ユーロピウム系の技術で使用される設定に対して独特である。一般に、機器の製造元によって提供される指針を最適化の出発点として使用することができる。遅延時間100μs、その後の積算時間200μsは、LanthaScreen(商標)アッセイに独特である。ウェル当たりの閃光または測定の数は機器に高度に依存し、機器製造元推奨のように設定した。一般に、LanthaScreen(商標)アッセイは、例えば、Tecan Ultra、 BMG LABTECH PHERAStar、モレキュラーデバイスアナリスト、またはパーキンエルマーエンビジョンのような時間分解FRETが可能である任意のフィルター系機器で行うことができる。LanthaScreen(商標)アッセイはまた、Tecan Safire単色光分光器系機器およびモレキュラーデバイスM5機器でも上手く実施されている。機器に固有の設定の指針については、Invitrogen技術サービスに連絡されたい。
4.0 TR−FRET試薬によるユビキチン化の高速処理スクリーニング
LanthaScreen(商標)ユビキチン化製品は、タンパク質のモノユビキチン化およびポリユビキチン化の形成率または量の変化をモニターするための高感度HTS試薬を提供する。TR−FRETのドナー(すなわち、テルビウム)およびアクセプター(すなわち、フルオレセイン)を組み入れることによって、ユビキチンをコンジュゲートする酵素のためのスクリーニングアッセイを迅速に展開するのに使用することができる普遍的なアッセイ試薬を創出した。選択的な標識工程のために、ユビキチン内のリジンは全て未修飾であり、標識されたユビキチン試薬は迅速に、ユビキチン−タンパク質のコンジュゲートおよびポリユビキチン鎖に組み入れられる。
HTSユビキチン化アッセイの形式
典型的なHTS TR−FRETユビキチン化アッセイについては、ユビキチンをコンジュゲートする酵素(E1、E2およびE3)、ユビキチン化される標的タンパク質およびATPと共に、フルオレセイン、テルビウム−またはビオチン−ユビキチンをインキュベートする。酵素は、標識されたユビキチンを標的タンパク質にコンジュゲートさせて、モノユビキチン化またはポリユビキチン化を生じる。具体的なアッセイによって、検出試薬(すなわち、Tb−抗エピトープタグ抗体またはLanthaScreen(商標)Tb−ストレプトアビジン)をユビキチン化反応に加え、TR−FRETの対形成を完了してもよい。例として図10、22、26、27および29を参照されたい。
標的タンパク質のユビキチン化の程度はTR−FRETのシグナルに直接関係する。一般に、TR−FRETシグナルの上昇は、標的タンパク質のユビキチン化を意味するが、TR−FRETシグナルに上昇がないことは標的タンパク質がユビキチン化されないことを示唆する。HTSの適用では、薬剤を導入して標的タンパク質のユビキチン化を阻害するまたは促進する化合物の有効性を測定する。薬剤がユビキチン化反応を阻害するのであれば、標的タンパク質のユビキチン化の低下のためにTR−FRETシグナルの低下(対照に比べて)が認められるであろう。逆に、薬剤がユビキチン化反応を促進するのであれば、TR−FRETシグナルの上昇が認められるであろう。
LanthaScreen(商標)ツールボックスからのTb標識した抗−種抗体の利用性は、標的タンパク質に対する特異的な一次抗体が利用可能である場合、ユビキチン化を検出する追加のアッセイ形式を提供する。LanthaScreen(商標)ユビキチン化試薬の汎用性によってTR−FRET HTSの利点を最少の展開時間と一体化するカスタムアッセイを容易に構築することができる。
アッセイ条件の例
LanthaScreen TR−FRETユビキチン化アッセイのためのアッセイ条件の例を以下に概略する。アッセイのパラメータは、ユビキチンをコンジュゲートする酵素UbcH1(E2−25k)に基づいて実験的に決定され、最適化の出発点として提供する。ジチオスレイトール(DTT)の添加は適宜であり、一部のユビキチンをコンジュゲートする酵素を活性化するのに必要な場合もある。ユビキチン化反応を停止するには、反応の範囲内でMg2+の濃度と等しい濃度のEDTAを加えることで、ATPの加水分解を妨げうる。
Figure 2009513681
ATP再生溶液(1×):4mMのATP、5mM MgCl、5mMリン酸クレアチン(Sigma、P7936)および0.03mg/mLクレアチンホスフォキナーゼ(Sigma、C3755)および0.3単位/mL無機ピロホスファターゼ(Sigma、I1643)。T.Yao、R.E.Cohen、J.Biol.Chem.、2000年、275巻、36862−36868ページから適用した。「ATP再生酵素」は機能的ユビキチン化アッセイには必要としない。ATPおよびMgClのみの溶液もユビキチン化アッセイにとって適当なエネルギー源である。
抗エピトープユビキチン化アッセイ
標的タンパク質がエピトープタグを含有する場合、抗エピトープユビキチン化アッセイを使用しうる。TR−FRETドナー(Tb)は導入された抗体上に位置するので、TR−FRETの対形成を完了するのにユビキチン鎖の形成が必要とされないから、モノユビキチン化またはポリユビキチン化を検出するのにこのアッセイを使用しうる(図27(フルオレセイン抗エピトープ/テルビウムUb))。
Figure 2009513681
Corning低容量384穴プレート(#3676)中で溶液を混ぜ合わせ、アルミニウム密封テープで覆って蒸発を防ぎ、37℃にて8時間置いた。他のユビキチンコンジュゲート酵素による実験は、90分等の短いインキュベート時間でTR−FRETシグナルの発生を示した。理想的なインキュベート時間は、最適な性能について実験的に決定される。
インキュベートに続いて、Tb抗GST(最終濃度:1nM)を含有するTR−FRET稀釈緩衝液(PV3574、Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州)10μLを各ウェルに加えた。室温にて20分間、プレートを平衡化し、LanthaScreen(商標)用の推奨されたフィルタセットを持つBMG LABTECH PHERAstarで読み取った。図34に、GST−UbcH1による抗−エピトープユビキチン化アッセイの代表的なデータを示す。
分子鎖内ユビキチン化アッセイ:
標的タンパク質のポリユビキチン化を検出するのに分子鎖内ユビキチン化アッセイを使用した。TR−FRETのドナーおよびアクセプター双方ともユビキチン自体に位置するので、展開工程または試薬添加工程を必要としない。(図22)これによって、鎖内ユビキチン化反応をリアルタイムユビキチン化読み取り(若しくはユビキチン化動態)に使用でき、または終点アッセイとして使用しうる。以下に概略する条件は終点アッセイの読み取り用である。
Figure 2009513681
Corning低容量384穴プレート(#3676)にて溶液を混ぜ合わせ、アルミニウム密封テープで覆って蒸発を防ぎ、37℃にて8時間置いた。インキュベートに続いて、10μLのTR−FRET稀釈緩衝液(PV3574)を各ウェルに加え、LanthaScreen(商標)用の推奨されたフィルタセットを持つBMG LABTECH PHERAstarでプレートを読み取った。図23、25および35に、UbcH1による終点鎖内ユビキチン化アッセイの代表的なデータを示す。
リアルタイムの鎖内ユビキチンアッセイでは、展開工程や試薬添加工程を実施しない。展開工程の除くことに合わせるために、アッセイ容量を20μLに減らし、フルオレセイン−ユビキチンおよびLanthaScreen(商標)Tb−ユビキチンの濃度をそれぞれ150nMおよび12.5nMに低下させて、拡散した高いFRETの観察を防ぐべきである。タンパク質のプレートへの吸着を防ぐために、少量の界面活性剤(約0.01%ノニデットP−40)の反応物への添加も推奨する。
ビオチン/ストレプトアビジン ユビキチン化アッセイ:
標的タンパク質のポリユビキチン化を検出するのにビオチン/ストレプトアビジン ユビキチン化アッセイを使用することもできる。このアッセイでは、展開工程の間のLanthaScreen(商標)Tb−ストレプトアビジンの添加と共にTR−FRETドナー(Tb)を導入する(図33)。
Figure 2009513681
Corning低容量384穴プレート(#3676)にて溶液を混ぜ合わせ、アルミニウム密封テープで覆って蒸発を防ぎ、37℃にて8時間置いた。インキュベートに続いて、LanthaScreen(商標)Tb−ストレプトアビジン(最終濃度:2nM)を含有するTR−FRET稀釈緩衝液(PV3574)10μLを各ウェルに加えた。室温にて20分間プレートを平衡化し、LanthaScreen(商標)用の推奨されたフィルタセットを持つBMG LABTECH PHERAstarで読み取った。図36に、UbcH1によるビオチン/ストレプトアビジンユビキチン化アッセイの代表的なデータを示す。
プレートに添加するための溶液の予備混合
単一溶液添加工程のためのユビキチン化アッセイ溶液の予備混合は、TR−FRETのシグナルに軽微な変動を生じた。予備混合が行われるのであれば、第2の工程としてATP溶液が添加されてユビキチン化反応を開始する際、さらに高いZ’値を達成した。予備混合の条件を評価して最適なアッセイ条件を同定すべきである。
アッセイの安定性および読み取り窓
所与のアッセイ方式については、シグナルの安定性および読み取り窓が評価されるべきである。一般に、アッセイは、展開工程に続いて12時間安定なシグナルを示した。UbcH1以外のユビキチンコンジュゲート酵素による実験は、90分のような短いインキュベート時間でTR−FRETシグナルの発生を示している。具体的なアッセイの構成およびアッセイの要求によって、これらの時間は異なってもよく、所与のアッセイ方式について実験的に決定されるべきである。
プレートの選択
発明者らは、black Corning(登録商標)384穴の低容量、丸底(非結合表面)のアッセイプレート(ニューヨーク州、Corning、#3676)を推奨する。他の黒色壁の低結合のアッセイプレートは、試さなかったが好適であってもよい。
5.0 GFP融合タンパク質による代替のユビキチン化アッセイ
緑色蛍光タンパク質(GFP)は、LanthaScreen(商標)テルビウムドナーの優れたFRETアクセプターである。従って、LanthaScreen(商標)Tb−ユビキチンまたはTb−ストレプトアビジン/ビオチン−ユビキチンによるユビキチン化アッセイでGFP融合タンパク質を使用しうる。図26を参照されたい。これら特定のアッセイ形式では、GFPはTR−FRETアクセプターとしてフルオレセインを置き換え、標準のLanthaScreen(商標)のフィルタセットによって読み取りうる。
6.0 比例関係を保った測定におけるデータの質の評価
TR−FRETの値は、根底にあるドナーおよびアクセプターシグナルの単位のない比である。根底にあるドナーおよびアクセプターシグナルは、機器設定(例えば、機器の増幅率)に依存するので、TR−FRETの比、シグナル対ノイズ(S/N)、シグナル対バックグランド(S/B)およびアッセイ窓の得られる「最高」と「最低」は同様にこれらの設定に依存し、機器ごとに異なるであろう。アッセイの安定度を決定することにおいて重要なものは、最大値と最小値の差異に関するデータにおける誤差の大きさと同じ程度に窓の大きさではない。Zhangとその共同研究者(J.Biomol.Screen.、1999年、4巻、2号、67−73ページ)によって提案された、これらの因子を考慮に入れる「Zプライム」(Z’)値が、TR−FRETアッセイにおいてデータの質を評価するための正しい方法であるというのがこの理由である。以下に示すのは、同一のユビキチン化アッセイ試料で、しかし、2つの異なった機器で行われた2つの「Zプライム」の計算である。各機器は、異なったTR−FRETのシグナルを示すにもかかわらず、アッセイ窓およびZ’値は類似している。通常、我々のユビキチン化アッセイは0.7より大きいZ’値を有する。破線は±3標準偏差を表す。
7.0 関連製品
Figure 2009513681
完全な、最新の製品リストについては、Invitrogen社(Carlsbad、米国カリフォルニア州)に連絡されたい。
説明目的のために、本発明の特定の実施例を上述してきたが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明から逸脱することなく、詳細には多数の変更が行われてもよいことは、当業者によって十分に理解されるであろう。
本明細書で言及された出版物、特許および特許出願は、あたかも各個々の出版物、特許および特許出願が参照によって本明細書に組み入れられるように具体的に且つ個々に指示されたかのように、同じ程度にその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
本発明を例示するため、本発明における特定の態様を図面に表す。しかしながら、本発明は、図面に表す態様の正確な配置および装備に限定されない。
TR−RETアッセイの一態様を示す模式図である。 有機アンテナ部分および有機アンテナ部分からランタニド金属イオンへのエネルギー移動を含んでなる、ランタニド金属キレートの構造を示す図である。 有機アンテナ部分を含んでなる2つのルミネッセンス金属キレートの化学構造を示す図である。 有機アンテナ部分(CS124)を含んでなるテルビウムキレートの、正規化した励起/発光スペクトルを示す。 フルオレセインおよびローダミン励起バンドと重複するテルビウム発光バンド、ならびにテルビウム発光が極小となるドメインにおけるフルオレセインおよびローダミン発光の位置を示す、テルビウムキレート発光スペクトルである。 テルビウムキレートおよびフルオレセインスペクトルの重複を示す図である。 テルビウムキレートおよびローダミンスペクトルの重複を示す図である。 キレートおよびキレート−抗体コンジュゲートの吸光特性を示す図である。 キナーゼ活性の測定法に関する本発明の態様を表す図である。 脱ユビキチン化活性の測定法に関する本発明の一実施例を表す図である。 本発明において利用可能なユビキチン基質の非限定的な実施例を表す図である。図11Eおよび図11Fは、テルビウム標識抗体を利用する。当業者であれば、ランタニド金属錯体および蛍光アクセプター(GFPポリペプチドまたはタンパク質等)に付加/結合する、他の類似の変更および組み合わせを認識するであろうが、本発明はそれらの全てを包含する。GFPは、標識の実施例およびアクセプター標識の実施例として示す。テルビウム(Tb)は、標識の実施例およびドナー標識の実施例として示す。本発明は、GFPにもTbにも限定することを意味せず、任意の互換性のあるRET用ドナーまたはアクセプターを含んでなる任意の基本的な標識の使用を包含する。加えて、図中に用語ユビキチンを用いる場合は、常にモノユビキチンまたはポリユビキチンのいずれをも指しうる。略語:SA(ストレプトアビジン)、B(ビオチン) 脱ユビキチン化活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 脱ユビキチン化活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 キナーゼ活性を測定するアッセイの結果を示す図である。 c−Jun−GFP融合基質を用いるJNK1およびJNK2アッセイの結果を示す図である。 基質にATF2−GFPを用いてp38アイソフォームを選択的に阻害するアッセイを示す図である。 分子鎖内TR−FRETユビキチン化アッセイを提示する図である。 LanthaScreen(商標)分子鎖内ユビキチン化反応および対応する対照で検証されたTR−FRETシグナルの代表的な棒グラフを示す図である。 分子鎖内ユビキチン化反応のための代表的なZ’データを示す図である。ネガティブ対照(−)は、ATP溶液のない反応混合物である。点線は2つの標準偏差を表す。 メチル化ユビキチンを有する分子鎖内TR−FRETユビキチン化アッセイの阻害曲線を示す図である。メチル化ユビキチンは、タンパク質内のリジン残基がメチル化されることにより、ポリユビキチン鎖の形成能がないか減少し、これにより分子鎖内TR−FRETペア形成を妨害または阻害する。 図26Aは、GFP/P53融合タンパク質およびテルビウム−ユビキチン(テルビウム標識ユビキチン)を有するユビキチン化アッセイの実施例を示す図である。標的タンパク質(この場合はp53)のDNA配列が既知である場合、蛍光タンパク質またはポリペプチド(GFP等)を有する融合生成物を形成しうる。例えば、p53のユビキチン化をモニタするためのテルビウム−ユビキチンを有するユビキチン化アッセイにおいて、p53−GFP融合タンパク質を使用できる。図26Bは、Tb−ストレプトアビジン/ビオチン−ユビキチンフォーマットを示す図である。標的タンパク質のGFP融合を利用可能なときには、LanthaScreen(商標)Tb−ユビキチンまたはTb−ストレプトアビジン/ビオチン−ユビキチンを用いるユビキチン化アッセイが可能である。GFPはTR−FRETアクセプターとして作用し、LanthaScreen(商標)標準フィルタセット(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア州)標準フィルタセットにより読み取りうる。 フルオレセイン標識抗体を利用する種々のユビキチン化アッセイフォーマットの実施例を示す図である。抗体をテルビウムで標識し、ユビキチンをフルオレセインで標識する、同様のフォーマットを利用してもよい。抗体をRETペアのアクセプター部分で標識し、ユビキチンをRETペアのドナー部分で標識する、同様のフォーマットを利用してもよい。例えば、「タグ」への結合または1次抗体で間接的に結合する替わりに、標識抗体がユビキチン化されるタンパク質に直接に結合する、別の同様のフォーマットを利用してもよい。 蛍光タンパク質系TR−FRETキナーゼアッセイの一般原理を示す図である。 ユビキチン化基質(IκBα等)およびアクセプター標識(GFP等)を含んでなる融合タンパク質のユビキチン化を検出することを表す図である。幾つかの態様において、融合タンパク質は細胞中に発現する。細胞は、適宜、基質のユビキチン化(例えば、その速度)を調整するかどうかを計測するための条件および/または化合物と接触する。細胞は次いで溶解され、ユビキチン(ポリユビキチン等)と結合し、融合タンパク質のアクセプター標識とFRETペアを形成するドナー標識で結合パートナーが標識される、結合パートナーと接触する。ユビキチン化は、アクセプターおよび/またはドナーの発光における変化等のFRETにより検出される。 下記実施例23等において本願明細書に記載の、細胞ユビキチン化アッセイ由来のデータを示す図である。表Aに、抗ユビキチン標識された抗体を用いるデータを示す。表Bに、抗ポリユビキチン標識された抗体を用いるデータを示す。 タンパク質アレイ上でのタンパク質のユビキチン化を表す図である。p53およびc−Junタンパク質を含むタンパク質アレイを、フルオレセインユビキチンまたはビオチン−ユビキチン存在下において、タンパク質ユビキチン化のための酵素と共にインキュベートした。ビオチン−ユビキチン処理したアレイに対してユビキチン化を検出するため、アレイはストレプトアビジン−AF647(SA647)でも処理した。SA647のみで処理したアレイにおいても、ネガティブ対照を実施した。 Aのデータを定量化し、アレイ上にスポットしたタンパク質の相対量(x軸)に対するシグナル強度(y軸)の関数としてプロットした。 pcDNA6.2−N−EmGFP−DESTのマップを表す図である。 EmGFP−IkBaのためのコード配列(SEQ ID NO:27)を示す図である。 ユビキチン化(ポリユビキチン化等)のためのビオチン/ストレプトアビジンフォーマットを表す図である。これは、フォーマットの一実施例の図示である。幾つかの態様において、ストレプトアビジンはUbに付加し、標識ビオチン(Tb標識等)はストレプトアビジン−Ubと結合する。幾つかの態様において、ストレプトアビジン/ビオチン複合体は、Ub上のFRETペアの他のメンバーと共に、標的タンパク質上にありうる。幾つかの態様において、ストレプトアビジン/ビオチン複合体は、標的タンパク質上のFRETペアの他のメンバーと共に、Ub上にありうる。幾つかの態様において、ストレプトアビジン複合体は、FRETペアのドナーメンバーを含んでなる。幾つかの態様において、ストレプトアビジン複合体は、FRETペアのアクセプターメンバーを含んでなる。 GST−UbcH1を有する抗エピトープユビキチン化アッセイ由来の代表的なデータを示す図である。抗エピトープユビキチン化アッセイは、対照(A)と比較して良好なシグナル対バックグラウンドを有し、メチル化ユビキチンはGST−UbcH1(B)への付加においてフルオレセイン−ユビキチンと競合する。 23個のポジティブ対照ウェル(標準ユビキチン化反応条件)および23個のネガティブ対照ウェル(ATP無しの標準ユビキチン化反応)の結果から、抗エピトープユビキチン化アッセイにおけるZ’値は0.88であった。 UbcH1を有する終端分子鎖内ユビキチン化アッセイ由来の代表的なデータを示す図である。24個のポジティブ対照ウェル(標準ユビキチン化反応条件)および24個のネガティブ対照ウェル(ATPナシの標準ユビキチン化反応)の結果から、分子鎖内ユビキチン化アッセイにおけるZ’値は0.92であった。点線は±3の標準偏差を表す。 UbcH1を有するビオチン/ストレプトアビジンユビキチン化アッセイ由来の代表的なデータを示す図である。ビオチン/ストレプトアビジンユビキチン化アッセイは、対照(A)と比較して良好なシグナル対バックグラウンドを有し、メチル化ユビキチンはポリユビキチン鎖(B)形成においてフルオレセイン−ユビキチンの能力と競合する。21個のポジティブ対照ウェル(標準ユビキチン化反応条件)および21個のネガティブ対照ウェル(ATP無しの標準ユビキチン化反応)の結果から、ビオチン/ストレプトアビジンユビキチン化アッセイ(C)におけるZ’値は0.8であった。点線は±3の標準偏差を表す。 図37Aは、THP1細胞溶解物におけるGFP−ATF2のLPS誘発リン酸化アッセイの結果を示す図である。図37Bは、THP1細胞溶解物において測定した、SP600125によるJNK活性阻害の結果を示す図である。 図38Aは、HEK295 GFP−IκB−α細胞中でのGFP−Iκβ−αのTNF−α誘発リン酸化を示す図である。図38Bは、GFP−IκBαのTNF−α誘発リン酸化の阻害を示す図である。 図39Aは、SENP1およびNEDP1により、基質(Topaz−SUMO1−Tb)を脱コンジュゲートするSUMO1、および基質(Topaz−Nedd8−Tb)を脱コンジュゲートするNedd8の切断を示す図である。図39Bは、SENP2により基質を脱コンジュゲートする、SUMO2(Topaz SUMO2−Tb)およびSUMO3(Topaz SUMO3−Tb)を示す図である。 フルオレセイン−SUMO1/2/3およびTb−抗GST抗体を有するGST−SP100の抗エピトープTR−FRET SUMO化アッセイの代表的なデータを示す図である。 図41Aは、GFP−Ub−Tbを、UCH−L3(■)USP−2(●)USP−15(▲)UCH−L1(▼)USP−5(◆)およびUSP−14(○)に対する基質(10nMにおいて)として試験した結果を示す図である。USP−14は、26Sプロテアソーム構成成分との結合なしに活性を示すとは考えられない。USP−2およびUSP−15は区別できなかった。図41Bは、強結合DUB阻害剤であるユビキチンアルデヒドを0.1nM UCH−L3および10nM GFP−Ub−Tbに対して滴定し、0.2nMのIC50において反応を阻害する結果を示す図である。図41Cは、実施例12に記載のように、YFP−ユビキチン−Tb基質の滴定においてシグモイド的な用量反応(可変傾斜)がEC50値をとることを示す図である。 図42Aは、ホスホジエステラーゼによりcAMPが分解してAMPを生成することを示す図である。図42Bは、リン酸ジエステル合成のための一般的なストラテジを示す図である。図42Cは、cAMPを表し、種々の位置に付加するリンカーと共に利用可能なアナログを示す図である。図42Dは、Tb−抗AMP抗体を用いるフルオレセイン標識AMPの検出を表す図である。図42Eは、認識配列としてホスホチロシンを用いるPDE活性検出の方法を例示する図である。図42Fは、基質としてビス−(フルオレセイン−チロシン)リン酸塩を用いるPDE活性検出の方法を例示する図である。

Claims (16)

  1. 以下の段階を含む、化合物が翻訳後修飾のモジュレータであるか否かを判定する方法:
    a)化合物と少なくとも1つの融合タンパク質を発現している細胞とを接触させて被験試料を生成させる段階であって、融合タンパク質が第1の標識および翻訳後修飾のための基質を含む段階;
    b)翻訳後修飾のための適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後に、翻訳後修飾の有無に基づいて、被験試料を少なくとも1つの融合タンパク質への弁別結合を示す結合パートナーと接触させる段階であって、結合パートナーが第2の標識を含み、第1および第2の標識が共鳴エネルギー移動(RET)ペアである段階;および
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  2. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物のキナーゼ活性を測定する方法:
    a)少なくとも1つの化合物と少なくとも1つの融合タンパク質とを接触させて被験試料を生成させる段階であって、融合タンパク質が蛍光ポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含む段階;
    b)キナーゼ活性のための適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後に、被験試料を標識を含む結合分子と接触させる段階であって、結合分子が非リン酸化基質またはリン酸化基質のいずれかを含有する少なくとも1つの融合タンパク質に特異的に結合し、かつ蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアである段階;
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  3. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物の脱ユビキネーション活性を測定する方法:
    a)化合物と少なくとも1つの融合タンパク質とを接触させて被験試料を生成させる段階であって、
    少なくとも1つの融合タンパク質が以下を含み:
    i)蛍光ポリペプチド;
    ii)脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質;および
    iii)標識、
    蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアであり、脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動が減少する段階;
    b)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  4. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物がキナーゼ活性を調節するか否かを判定する方法:
    a)少なくとも1つの化合物、少なくとも1つのキナーゼ、および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、融合タンパク質が蛍光ポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含む段階;
    b)キナーゼ活性に適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後に、被験試料を標識を含む結合分子と接触させる段階であって、結合分子が非リン酸化基質またはリン酸化基質のいずれかを含有する少なくとも1つの融合タンパク質と特異的に結合し、かつ蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアである段階;
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  5. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物が脱ユビキネーション活性を調節するか否かを判定する方法:
    a)少なくとも1つの化合物、少なくとも1つの脱ユビキネーション酵素および少なくとも1つの融合タンパク質を接触させて被験試料を生成させる段階であって、
    融合タンパク質が、以下を含み:
    i)蛍光ポリペプチド;
    ii)脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質;および
    iii)標識、
    蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアであり、脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動が減少する段階;
    b)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  6. a)パッケージ材料;
    b)蛍光ポリペプチドおよびキナーゼ基質ポリペプチドを含む少なくとも1つの融合タンパク質;ならびに
    c)標識を含む少なくとも1つの結合分子
    を含む、製品であって、
    蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアである、製品。
  7. a)パッケージ材料;ならびに
    b)i)蛍光ポリペプチド;
    ii)脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質;および
    iii)標識を含む少なくとも1つの融合タンパク質
    を含む、製品であって、
    蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアであり、脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動が減少する、製品。
  8. i)蛍光ポリペプチド;
    ii)脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質;および
    iii)標識
    を含む、融合タンパク質であって、
    蛍光ポリペプチドおよび標識がRETペアであり、脱ユビキネーション酵素ポリペプチド基質の切断により(i)および(iii)の間の共鳴エネルギー移動が減少する融合タンパク質。
  9. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物のユビキチン化活性を測定する方法:
    a)少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つのタンパク質および少なくとも2集団のユビキトンを接触させて被験試料を生成させる段階であって、1集団のユビキトンがRETペアのためのアクセプター部分を含み、もう1つの集団がRETペアのためのドナー部分で標識されている段階;
    b)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;および
    c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  10. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物がユビキチン化活性を調節するか否かを判定する方法:
    a)少なくとも1つの化合物、少なくとも1つのタンパク質および少なくとも2集団のユビキトンを接触させて被験試料を生成させる段階であって、1集団のユビキトンがRETペアのためのアクセプター部分を含み、もう1つの集団がRETペアのためのドナー部分で標識されている段階;
    b)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    c)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  11. a)パッケージ材料;および
    b)少なくとも2集団のユビキチン
    を含む、製品であって、
    1集団のユビキチンがRETペアのためのアクセプター部分を含み、もう1つの集団がRETペアのためのドナー部分で標識されている、製品。
  12. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物のユビキチン化活性を測定する方法:
    a)i)少なくとも1つの化合物を、
    ii)ユビキチン、および
    iii)タンパク質
    と接触させて被験試料を生成させる段階であって、タンパク質がユビキチン化基質とRETペアの第1の部分とを含む段階;
    b)ユビキチン化のための適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後のいずれかに、被験試料をユビキチンと結合する結合分子と接触させる段階であって、結合分子がFRETペアの第2の部分で標識されている段階;
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
  13. 以下の段階を含む、少なくとも1つの化合物がユビキネーション活性のモジュレータであるか否かを判定する方法:
    a)i)少なくとも1つの化合物を、
    ii)ユビキチン、
    iii)タンパク質、および
    iv)ユビキチン化酵素
    と接触させて被験試料を生成させる段階であって、タンパク質がユビキチン化基質とRETペアの第1の部分とを含む段階;
    b)ユビキチン化のための適切な条件下で被験試料をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後のいずれかに、被験試料をユビキチンと結合する結合分子と接触させる段階であって、結合分子がFRETペアの第2の部分で標識されている段階;
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階、ならびに
    f)蛍光発光を対照試料と比較する段階。
  14. 以下の段階を含む、少なくとも1つのユビキチン化酵素またはユビキチン化様の酵素のための少なくとも1つの基質を検出する方法:
    a)i)少なくとも1つのユビキチン化酵素またはユビキチン化様の酵素を、
    ii)基体上に固定されたポリペプチド、および
    iii)検出可能部分を含む、少なくとも1つのユビキチンまたはユビキチン様のタンパク質
    と接触させる段階;
    b)ユビキチン活性またはユビキチン化様の活性を可能にする条件下で(a)をインキュベートする段階;
    c)基体上の任意のポリペプチドに結合する検出可能部分を検出する段階。
  15. 以下の段階を含む、試料の脱ユビキチン化活性を同定する方法:
    a)i)試料を、ii)基体上に固定された少なくとも1つまたは複数のポリペプチドと接触させる段階であって、少なくとも1つまたは複数のポリペプチドが検出可能部分に結合したユビキチンまたはユビキチン様のタンパク質を含み、脱ユビキチン化活性が基体からの検出可能部分の解離を生じさせる、段階;
    b)脱ユビキチン化活性に適切な条件下で(a)をインキュベートする段階;
    c)基体上の任意のポリペプチドに結合する検出可能部分を検出する段階。
  16. 以下の段階を含む、ホスホジエステラーゼ活性を検出する方法:
    a)i)試料を、
    ii)ホスホジエステラーゼの基質
    と接触させて被験試料を生成させる段階であって、基質がRETペアの第1のメンバーを含む段階;
    b)ホスホジエステラーゼ活性に適切な条件下で(a)をインキュベートする段階;
    c)(b)の前、間、または後のいずれかに、被験試料を、ホスホジエステラーゼの切断生成物の特異性を有する結合分子と接触させる段階であって、結合分子がRETペアの第2のメンバーを含み、切断生成物がRETペアの第1のメンバーを含む段階;
    d)被験試料を少なくとも1つの波長の光に曝露する段階;ならびに
    e)被験試料からの蛍光発光を測定する段階。
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