JP2009508545A - 人工股関節のブレード状ステム - Google Patents

Abstract

大腿骨に固定するための人工股関節のブレード状ステム（１０）であって、プロテーゼネック（１８）からなる部分（１９）と、末端（２０）に向かってテーパする大腿骨固定部（２１）とを有し、大腿骨固定部（２１）の外側幅狭面（２２）は末端側直線状部分（２３）と基端側円弧状部分（１１）とを有し、直線状部分（２３）はステム（１０）の全長（Ｌ_G）の６０％〜７５％の長さ（Ｌ_D）にわたって延びることを特徴とするブレード状ステム。
【選択図】図１

Description

本発明は、大腿骨に固定するための人工股関節のブレード状ステムであって、プロテーゼネックからなる部分と、末端に向かってテーパする大腿骨固定部とを有するブレード状ステムに関する。

こうしたブレード状のステムは一般に知られたものである。一例として欧州特許第０２４０８１５Ｂ１号明細書を参照されたい。当該公報には図６に示されるようなステムについて記述されている。それによると、ステム１は、プロテーゼネック７からなる部分と、末端３に向かってテーパする大腿骨固定部２とを有する。大腿骨固定部は末端３からステムの長手方向軸４に沿って円錐状に全周が拡大している。内側幅狭面５が前記円錐から、プロテーゼネック軸６に直交するとともにプロテーゼネック７のステムブレード側すなわち大腿骨固定部２側の終端を形成する平面にて終端する連続的に湾曲した円弧へとつながる。プロテーゼネック７の終端部は、球状の関節ヘッド（図示せず）を装着可能な外側に円錐状にテーパしたピンとして形成されている。

外側幅狭面８が円錐状拡大部より延出し、ステムブレードすなわち固定部の肩部を介して前述のプロテーゼネック終端面へとつながる手前で転子翼状部９を形成する。

ここで記載されるステムは大腿骨にセメントレス固定されるものであるが、本発明は原則的にはセメント固定型のステムにも関連するものである。

いずれの場合においても、予め大腿骨にステム受容空間、すなわち対応する空洞を設ける必要があるが、これは、ステムの形状に一致した形成用器具、特にラスプによって行うことが可能である。こうした形成用器具すなわちラスプは、ステムの形状に正確に一致しているか、または圧入を行うための所定量小さめの空洞を形成したり、セメントマントル用の空間として所定量大きめの空洞を形成する目的でステム形状と一定の相違を有するものである。

股関節を切開により露出させ、近位大腿骨の大腿骨頚部を切除した後、固定用ステムを受容するための骨ベアリングを形成する。ステムの形状に基づき、適当な形成用器具、特にラスプを用い、これをステム軸に沿って下方に動かすことによって固定用骨ベッドを形成する。海綿状骨及び軟部組織が詰まった骨髄腔内にラスプを進入させるには、ハンマーとして作用する荷重を加えるか、他の適当な器具を用いてラスプを推し進める。ステムの軸が湾曲している場合には、形成用器具すなわちラスプを湾曲した経路に沿って円弧を描くように下方に動かすが、ステムの軸が直線である場合には、近位側の骨髄腔の軸にほぼ一致する直線に沿ってラスプを推し進める。

股関節ステムのセメントレス固定には、固定部を直線状のステムとして構成することが臨床的に特に好適であることが判明している。この発想は、確実な移植法であること、初期安定性が高いこと、及び組織の内部成長が良好であること、といった点によって特徴付けられる。こうしたステムを移植するための外科的手法では、骨髄腔を大腿骨頚部の切除面を含む平面においてのみではなく、大転子の周辺部にまで更に外側に拡げる必要がある。この点に関しては図４を参照されたい。この図は、当該周辺部において更に膝蓋腱付着部の一部を切除する必要があることを示したものである。切除の程度は近位大腿骨の個々の形状と直線状ステムの形状に依存する。

より最近では、低侵襲性の外科的手法を用いて行われる関節エンドプロテーゼの移植が増加している。この方法の目的は、患者の痛みを軽減し、入院期間を短縮することによって患者のリハビリテーションを促すことにある。低侵襲性の外科的手法によって手術による外傷、特に機能的に重要な構造における外傷を極めて低レベルに抑えることができる。股関節の機能にとって重要な構造は、筋肉及び腱である。低侵襲性移植法の主たる目的は、大転子の周辺部における腱及び筋肉の付着部の切離及び剥離を回避することである。従来の直線状ステムでは低侵襲法を行ううえでは難点がある。

大転子の腱付着部の周辺部における切離を回避するには、直線状ステムの場合には、転子周辺部の外側領域の角を削り取ることが可能である。そこで平坦な肩部を有する直線状ステムが知られている。これについては例えば、「Technique d'implantation de protheses totales de Muller par voie laterale transgluteale」（Encyclopedie Medico-Chirurgicale (Paris) 44666, 1991）に記載される所謂、ミュラー型直線状ステムを参照されたい。

この平坦な肩部の目的は、転子の突起部の周辺部における大きな損傷を防止することである。この平坦部を形成するには、ステムの外側領域の所定の割合（この割合は当該サイズシステムで一定である）を、ステムの軸に対して傾斜した直線形、または所定半径を有するように概ね構成する。このインプラントに対応するラスプはインプラントとほぼ同じ形状を有する。技術的な観点から、図５に示されるようにこのラスプを使用して大転子の周辺部にアンダーカットを形成する。

股関節ステムの移植においては、次第に径が大きくなる複数のラスプを使用して最も適合する径にまで骨ベッドを成形する。各ラスプはその前に使用された径のラスプによって形成されたベッドの形状と一致するものである。直線状ステムの末端部は直線軸に沿った下方への移動によって設置されることから、前述の傾斜または湾曲した肩部を正確に適合させることは困難である。しかしながら、これは外科医のラスプ操作技術及び個々の骨の質によって影響される。

上記の従来技術を鑑み、本発明の目的は、低侵襲性の外科的手法に特に適した、先に述べたようなタイプのブレード状ステムを提供することにある。この目的を達成するには、従来の直線状ステムの利点は残しつつ筋肉及び腱付着部をできるだけ保護する必要がある。

この課題は本発明によれば以下の構成によって解決される。すなわち、ステムの外側幅狭面が、末端側の直線状部分と基端側の円弧状部分とからなり、該直線状部分がステムの全長の６０％〜７５％にわたって延びるというものである。

凸形の基端側円弧状部分の形状は特に重要であり、特に好ましい一形態では、前記円弧状部分は、ステムの外側末端側かつ基端側内側の外郭と対応する空洞の境界との接触が維持された状態でステムの外側幅狭面（または対応するラスプ）の基端が、大腿骨に形成された、形状が一致した空洞内に導入される際に描く「トラクトリックス」の形態をとる。したがって基端側外側の肩部の最適形状は図２に示されるような骨ベッド内へのステムの案内のされ方に基づいて導き出される。ステム１０の外側基端側ステム曲率１１は、外側末端側ステム外郭１３及び基端側内側ステム外郭１４と対応する空洞の境界（図示せず）との接触が維持された状態で、大腿骨に形成された、形状の一致した空洞内へステム１０の外側幅狭面の基端が導入される際に描く曲線１２に一致する。本発明に基づくステム１０を、図６または欧州特許第０２４０８１５Ｂ１号明細書に基づく従来のブレード状ステムと対比して側面図（腹側または背側）にて示した。図１には、従来技術と比較して改良された点が非常にわかりやすく示されている。外側基端側円弧状部分１１を設けた結果、図６の転子翼状部９の外側部分が省略されたことで転子の突起部との干渉が低減し、特に、筋肉及び腱付着部が移植時またはステム１０用の空洞の形成時に受ける影響が小さくなる。所謂シェントン線の周辺（図２の領域１４）及び外側末端（図２の領域１３）における接触領域は外側肩部に沿った円弧を描く。この円弧は所定の多項式によって表される（次数ｘの曲線）。この曲線はステムの外側末端側の形状から連続しているが、好ましくは外側末端側の形状と交点を形成する。いずれの場合も、外側基端側円弧状部分は、肩部が末端側の直線状ステム部分の導入経路全体にわたって転子周辺の骨構造と丁度接触するか、または一定の間隔をおくように構成される。これによりセメントレスまたはセメントを用いた移植のいずれが行われるかに応じて間隙を残さないか、またはセメント用の所定の間隙を残して骨ベッドに対して最適かつ正確に適合する肩部が得られる。

また、図７に示すように、外側末端側直線状部分を基端側領域において連続的に構成することも可能である。しかしながらこの実施形態は図１に示す本発明の実施形態と比較して筋肉及び腱に対する保護効果が格段に低い。このことは図３に非常にわかりやすく示されている。図３には、図６、図７、及び図１に示す実施形態について、ステムの外側幅狭面の基端の導入経路がそれぞれ示されている。導入経路１５は図６に示す構成（従来技術）のものである。導入経路１６は図７に示す構成のものであり、導入経路１７は図１に示す本発明の構成のものである。図に示されるように、本発明の実施形態の場合に転子との干渉が最も小さくなる。

更に図１を参照すると、図１は、本発明に基づく大腿骨に固定するための人工股関節のブレード状ステム１０を示したものである。ステムはプロテーゼネック１８からなる部分１９と、末端２０に向かってテーパする大腿骨固定部２１とを有する。大腿骨固定部２１の外側幅狭面２２は末端側直線状部分２３と基端側円弧状部分１１とからなり、直線状部分２３はステム１０の全長Ｌ_Gの６０％〜７５％の長さＬ_Dにわたって延びている。図の実施形態では、外側直線状部分２３は外側円弧状部分１１に連続的につながっており、接線となっている。しかしながら前述したようにこの移行部が不連続、すなわち鈍角をなしていてもまったく構わない。

前述したように、ステムの外側末端側かつ基端側内側の外郭と対応する空洞の境界との接触が維持された状態で、ステム１０の外側幅狭面の基端が、大腿骨に形成された、形状が一致した空洞内に導入される際に描く「トラクトリックス」状の形態を外側円弧状部分１１がとることは特に有利である。この点については図２を参照されたい。

ステムのサイズと周囲の条件に応じ、基端側円弧状部分１１は２００ｍｍ〜５００ｍｍの一定の、しかし特には連続的または非連続的に変化する半径を有するような構成とすることが好ましい。

更に基端側円弧状部分１１は、末端側から基端側へと連続的または非連続的に小さくなる半径を有するように構成すると実用的である。

特に円弧状部分１１は、末端に向かって、その点における接線とステムの軸２４との角度が、円錐状直線状部分２３の円錐角と等角度〜１／２の角度となるような所定の点において当該部分が円錐状直線状部分２３につながるように、双曲線、放物線、または楕円形状の部分として形成される。

ステム自体に関しては、固定部が、末端２０から長手方向軸２４に沿って外側末端側直線状部分２３の全長にわたって全周または外側−内側方向にのみ、円錐状に拡大している点は重要である。

ステム１０の断面形状は好ましくは長方形であるが、台形または菱形であってもよい。

上述の固定部２１の全周が円錐状に拡大する部分は、特に腹側及び／または背側に約０．５°〜６°、特に約１°〜３°の円錐角を有する。

本出願明細書に記載のすべての特徴を、それらが個々に、または組み合わせとして従来技術との比較において新規であるならば、発明の重要な特徴として請求するものである。

符号の説明

従来技術
１ ステム
２ 大腿骨固定部
３ 末端
４ 長手方向軸
５ 内側幅狭面
６ プロテーゼネック軸
７ プロテーゼネック
８ 外側幅狭面
９ 転子翼状部
本発明
１０ ステム
１１ 基端側外側ステム曲率（外側基端側円弧状部分）
１２ 曲線
１３ 外側末端側ステム外郭
１４ 基端側内側ステム外郭
１５ 図６のステムの導入曲線
１６ 図７のステムの導入曲線
１７ 図１のステムの導入曲線
１８ プロテーゼネック
１９ 部分
２０ 末端
２１ 大腿骨固定部
２２ 外側幅狭面
２３ 末端側外側直線状部分
２４ ステム軸

Claims (8)

1. 大腿骨に固定するための人工股関節のブレード状ステム（１０）であって、プロテーゼネック（１８）からなる部分（１９）と、末端（２０）に向かってテーパする大腿骨固定部（２１）とを有し、大腿骨固定部（２１）の外側幅狭面（２２）は末端側直線状部分（２３）と基端側円弧状部分（１１）とを有し、直線状部分（２３）はステム（１０）の全長（Ｌ_G）の６０％〜７５％の長さ（Ｌ_D）にわたって延びることを特徴とするブレード状ステム。
2. 前記外側直線状部分（２３）は、連続的すなわち接線としてまたは非連続的すなわち角度のずれがあるように前記外側円弧状部分（１１）につながることを特徴とする請求項１に記載のステム。
3. 前記外側円弧状部分（１１）は、ステムの外側末端側（１３）かつ基端側内側（１４）の外郭と対応する空洞の境界との接触が維持された状態でステム（１０）の外側幅狭面（または対応するラスプ）の基端が大腿骨に形成された、形状が一致した空洞内に導入される際に描く曲線に一致する「トラクトリックス」の形態にあることを特徴とする請求項１または２に記載のステム。
4. 前記基端側円弧状部分（１１）は２００ｍｍ〜５００ｍｍ間の一定の半径を有し、特にこの範囲内で連続的または非連続的に変化する半径を有するように構成されることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のステム。
5. 前記基端側円弧状部分（１１）は、末端側から基端側へと連続的または非連続的に大きくなる半径を有するように構成されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のステム。
6. 前記固定部が、末端（２０）から長手方向軸（２４）に沿って外側末端側直線状部分（２３）の全長にわたって、全周または外側−内側方向にのみ、円錐状に拡大していることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のステム。
7. 断面形状が、長方形、台形または菱形であることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のステム。
8. 全周が円錐状に拡大する固定部（２１）の場合、該円錐角は、特に腹側及び／または背側に約０．５°〜６°、特に約１°〜３°であることを特徴とする請求項６または７に記載のステム。

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