JP2009507915A - 抗菌剤としてのアミン−ボラン化合物の使用 - Google Patents

抗菌剤としてのアミン−ボラン化合物の使用 Download PDF

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Abstract

病原微生物、特に薬物抵抗性の微生物に関連する病状の治療における、アミン・シアノボランおよびアミノ・カルボキシボランのようなアミン−ボラン化合物の使用。種々の基質および製造物における微生物の量を低下させるためのアミン−ボラン化合物の使用がさらに開示される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、病原微生物によって引き起こされる疾患および感染症を治療する新規な方法、ならびに、様々な基質における微生物の量を低下させる新規な方法に関連する。
この数十年で、アミン−ボラン化合物は、需要性の高い合成標的であると見なされてきた。アミン−ボラン化合物は、主に、原子半径、および、炭素−炭素結合の特徴に類似するB−N結合の特徴のために、様々な有機化合物に対する大きな類似性を示す。従って、例えば、HB−NHの結合はHC=CHの二重結合に類似し、一方、HB←NHの結合はHC−CHの単結合に類似する。
従って、アミン−ボラン化合物(例えば、α−アミノボロン酸、アミン−カルボキシボラン類、アミン−シアノボラン類および関連化合物など)は、多くの生物学的に活性な化合物(例えば、アミノ酸、神経伝達物質、ヌクレオシドおよび核酸など)の等電子的かつ等構造的な類似体であり、従って、そのような化合物の体内での生物学的活性を模倣することができる。生物学的活性を模倣する場合、これらのホウ素化合物は、多くの生物学的系の阻害剤、アンタゴニスト、および、他の場合にはエフェクターとして作用することができ、従って、非常に可能性のある治療剤として広く認識されている。
例えば、α−アミノアルキルボロン酸は、アミノ酸およびペプチドの代謝に関与する酵素の阻害剤として作用し得るα−アミノ酸の類似体である。対応するアミノ酸のカルボキシル基がボロン酸官能基によって置換されるα−アミノアルキルボロン酸は、アミノ酸模倣体の特異なクラスを構成し、そこから数多くの強力な酵素阻害剤が合成された。そのような化合物の阻害活性は、主として、親電子的なボロン酸の四面体型付加物が、ペプチドの酵素による加水分解または形成において遭遇する推定される四面体型の遷移状態または中間体の良好な模倣体であるという事実から生じている。ペプチドの加水分解および形成では、四面体型の高エネルギー化学種が常に反応の経過において伴うので、このようなアミノ酸模倣体は、広範囲の様々なプロテアーゼおよびペプチドリガーゼの阻害剤のための一般的な重要な要素として役立つ。
さらなるアミン−ボラン類およびビスボラン類、ならびに、主として、これらのファミリーのシアノボラン誘導体およびカルボキシボラン誘導体が、例えば以下の文献に開示される:米国特許第4301129号、同第4312989号、同第4368194号、同第4550186号、同第4647555号、同第4658051号、同第4740504号、同第4774354号、同第4855493号、同第4977268号、同第5280119号、および同第5312816号、ならびにHall,I.H.et al,J.Pharm.Sci.1980,69(9),1025.;Sood,C.K.et al.,J.Pharm.Sci.1991,80(12),1133;Dembitsky,V.M.,et al,Tetrahedron 2003,59,579;E.Shalom et al,Organometallics.2004,23,4396−4399;Berdy,J.,Handbook of Antibiotic Compounds.Part IV,CRC,1980;Fink,K.et al.,Science,1948,108,358−9;Hunt,S.,Methods Enzymol.1984,107,413−438;Jimenez,E.C.et al,Biochemistry 1997,36,984−989;Takrouri et al,Organometallics,2004,23(11),2817−2820;およびGyoeri,B.et al,Inorganic Chemistry,1998,37(20),5131−5141。
薬理学的に有望な化合物として1980年代初期に傑出した最初のアミン−シアノボラン類およびアミン−カルボキシボラン類[1]は、第三級低級アルキルアンモニウム塩(典型的には、トリメチルアンモニウム塩化物)と、ナトリウムシアノボランとの付加物であった。この基本的形態のさらなる誘導体化により、芳香族置換基、複素環式置換基およびシリル置換基をアミンに有するアミン−ボラン類、低級アルキルおよび臭素によるホウ素の置換、ならびに、アミン−カルボキシボラン類のエステルがもたらされた[2]。
様々なモデル研究により、これらの化合物が、強力な抗ガン活性[3、4〜8]、抗高脂血症活性[9、10]、抗肥満活性[9]、抗骨粗鬆症活性[9、11]、抗炎症活性[9、1、12]、血中脂肪低下活性[5、13]、抗新生物活性[14、15]および他の有望な生物学的活性[16]を有することが示されていた。それにかかわらず、それらの正確な作用機構は依然として完全には理解されていない。
アミン−ボラン化合物(例えば、本明細書中上記で記載されるアミン−ボラン化合物など)は、様々な治療用途において好都合に活性があることが見出された一方で、病原微生物に関連する疾患および感染症の治療におけるそれらの使用はこれまで教示されていない。そのような疾患および感染症は近年、主要な世界的な健康上の脅威になっている。
ガン性細胞および真菌細胞は、宿主細胞とは異なる類似した代謝を有する原始的な真核生物の多くの形質(例えば、より高い成長速度、より多い増殖)を互いに有する。ガン細胞を抑制する宿主免疫系の一部もまた、真菌細胞の抑制に関与する。特定の環境のもとで、ガン細胞および真菌細胞はともに、宿主の生来的な神経/ホルモン制御機構に応答せず、その結果、規制されることなく、無限に成長する。
真菌感染症および真菌症の発生率が、主に、免疫低下患者(例えば、ガン患者、臓器移植を受けている患者、および、AIDS患者など)の数が増大していることにより、同様にまた、正常な細菌フローラを変化させる細胞毒性薬物および/または抗菌性薬物の頻繁な使用により、この20年間で著しく増大している。
真菌には、カビ、酵母および高等真菌が挙げられる。すべての真菌が真核生物であり、細胞膜内にステロールを有するが、ペプチドグリカンを有さない。真菌は、(有機栄養を要求する)化学合成従属栄養生物であり、ほとんどが好気性である。多くの真菌は、土壌中および水中の(死んだ有機体に頼って生きる)腐生植物でもあり、その栄養物を吸収によって獲得する。特徴的には、真菌はまた、有性胞子および無性胞子を産生する。100000種を超える種が認められており、そのうちの100種がヒトに感染する。
ヒトの真菌感染症は、一般的な健康な人では珍しく、そのため、カンジダ症(鵞口瘡)などの状態、および、足白癬などの皮膚糸状菌皮膚感染症に限定される。それにもかかわらず、酵母および他の真菌による感染症は、現在の医療に対して厄介な課題を依然としてもたらすヒトの病気の1つである。免疫が低下した宿主では、通常は穏やかな様々な真菌または非病原性の様々な真菌が、死に至るかもしれない感染症を引き起こし得る。そのうえ、今や、人は比較的自由に世界中を旅行することができるので、希な真菌感染症が各地に持ち込まれる。従って、野生株および抵抗性株の真菌は、主として入院者および免疫低下患者における最も差し迫った頻発する死因の1つであると見なされる。
抗菌剤に対する微生物の抵抗性は、微生物が任意の所定の薬剤(抗生物質)の抗菌効果に耐えることができることである。任意の所定の薬剤の抗菌作用は環境的圧力を標的(および同様に非標的)の微生物に加え続けている。生存することを可能にする変異を有する微生物が生き延びて、繁殖する。これらの新たに進化した株は、その後、この形質をその子孫に伝え、これにより、完全に抵抗性の世代がもたらされる。抵抗性は、自然界では、ランダムな変異による自然界の選択、および、より大きな割合のランダム変異を微生物の遺伝暗号において引き起こし得る低忠実度ポリメラーゼによって支配されるプログラム化された進化によって発達し得る。そのような遺伝子が一旦生じると、微生物はまた、その遺伝情報を、プラスミド交換により、水平様式で、すなわち、個体間で伝えることができ、従って、抵抗性は自然の選択による進化またはプログラム化された進化の結果である。
抗菌剤使用の習慣は、発達する耐性菌の数に大きな影響を及ぼすことが明らかにされている。例えば、特異性が低い広域抗生物質(例えば、第二世代および第三世代のセファロスポリン系薬剤など)および殺真菌剤(例えば、フルコナゾールなど)の過剰使用は、メチシリン抵抗性またはフルコナゾール抵抗性の発達を非常に加速させたし、また、本質的にメチシリンまたはフルコナゾールの選択圧に一度もさらされたことがない以前から存在する抵抗性株の選択を増大させている。抗菌剤に対する抵抗性の増大し続ける出現の一因となる他の要因には、不正確な診断、必要のない処方、患者による抗菌剤の不適切な使用、予防治療および抑制治療の増大する使用、ならびに、成長促進のための添加剤としての家畜餌における抗菌剤の使用が含まれる。
1990年代に、粘膜疾患または全身性疾患のために入院した患者における非カンジダ種による薬物抵抗性真菌感染症の罹患率が著しく増大した。フルコナゾールまたは関連したアゾール系抗真菌剤の広範囲に及ぶ適用が、コロニー形成を生来的により抵抗性の種(例えば、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)またはカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)など)に変化させることによって抵抗性集団の選択を促進させていると主張されている。
例えば、カンジダ膣炎は、カンジダ属の種の過剰な成長に起因すると考えられる一般的な問題である。全女性の75%が症状をその生涯で経験することが推定される。25歳までに、全女性のほぼ半数がカンジダ膣炎を少なくとも1回は発症している。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が世界中でのカンジダ膣炎の全症状発症の80%〜95%を占める。他の局所的なカンジダ感染症と同様に、カンジダ膣炎はアゾール型抗真菌薬により効果的に治療される。しかしながら、そのような治療は薬物抵抗性酵母の出現によって複雑になり得る。フルコナゾールに長期間にわたってさらされることにより、膣の優勢な酵母フローラが、免疫低下の女性について記載されているように、C.albicansから、本来的によりアゾール抵抗性の種に変化し得る。
現在、非常に少数の抗真菌剤が利用できるだけであり、従って、すべての薬剤には、1つ以上の欠点が伴う。最近まで、アンホテリシンBが多くの真菌感染症のための標準的な治療法であった。しかし、高頻度の腎臓毒性のために、その使用が制限されている。アゾール系化合物およびトリアゾール系化合物(例えば、フルコナゾールなど)の使用により、多くの真菌感染症を治療できることが増大している。しかしながら、これらの感染症に起因する死亡率は、抗真菌剤治療による場合でさえ、依然として受け入れらないほど高い。
抗真菌医療が遅々として進まないことにはいくつかの原因があり、それらは、大まかには、薬物抵抗性の病原性株の高まった出現、薬物の特異性の欠如、ならびに、薬物の活性スペクトルに関連する制限、および、他の一般的な薬物動態学的弱点から生じている。
上記原因(例えば、免疫抑制治療の使用、自己免疫疾患、および、抗菌剤の制約されていない使用など)から生じる、真菌感染者の数が増大し続けることのほかに、過去に襲われた株の中における抗真菌剤抵抗性の出現もまた認められており、これは、最初は真菌に対して向けられていなかった抗菌剤治療に起因することが多い。いくつかの欠点がこれらの薬剤の活性スペクトル(すなわち、有益な微生物に対して致死性があり、かつ/または、病原性真菌に対して効果がないこと)に関係づけられる。いくつかの欠点が、大きい毒性指数に関連し得る不良または効率的でない薬物動態学的プロフィルから生じている。現在利用可能な抗真菌剤に関連する他の問題が、組織分布、および、特に、CNS浸透に関連する。一部の場合には、脂質配合物により、組織分布の問題が解決されることがあるが、これらの治療は、アンホテリシンBの場合でのように、法外に費用がかかる。
現代の医療を依然として妨げる別の種類の病原微生物には、寄生生物および原生動物(例えば、マラリアおよびリーシュマニア症を引き起こす寄生生物および原生動物など)が含まれる。
これらの寄生生物および原生動物には、毎年、5億人を超える人々(ほとんどが熱帯地方および亜熱帯地方においてである)が苦しめられている。その結果として生じる疾患は、能力障害、外観を損なうこと、および、場合により死を引き起こしている。これらの単細胞生物に対するワクチンは、抗原性の変化により効果的でないようである。加えて、寄生生物および原生動物は薬物抵抗性を多数の経路により促進させる。これらの寄生生物を殺すために現在利用可な薬物はヒトそのものに対して毒性がある。
マラリアは、ジャングル熱、パルジズム(paludism)および沼沢熱とも呼ばれており、ヒトマラリア寄生虫についての感染した媒介因子(ハマダラカ属のメスのカ)の刺咬によって伝染するプラスモジウム属(アピコンプレクックス門(Apicomplexa)の1つ)の原生動物寄生虫による赤血球の寄生虫感染によって引き起こされる、悪寒、発熱および発汗を繰り返すことによって特徴づけられる感染性疾患である。4つのタイプのマラリアのうちで、最も命に関わるタイプが熱帯熱マラリアである。それ以外の3つのタイプのマラリア(三日熱マラリア、四日熱マラリアおよび卵形マラリア)は、一般にそれほど重篤ではなく、命に関わらない。
マラリアはおそらくは、まだ克服されていない致死的な感染性疾患であるが、これにより、約5億人の感染者および100万人〜200万人の死者が主に熱帯地方およびサハラ砂漠以南のアフリカにおいて子供の間で毎年生じている。その寄生虫である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)種が症例の80%および死亡の90%を占める。赤血球のこの病気はP.falciparumマラリアにおいて特に顕著であり、これが、マラリアの出血性合併症を生じさせる主要因である。
今日まで、マラリアに対する絶対的な治療法は全くない。マラリアの根絶は、現在利用可能な抗マラリア薬に対して抵抗性のマラリア原虫(特に、最も数が多く、かつ、最も危険な原因種であるP.falciparum)が発達することによって阻まれている。抗マラリアワクチンが今日まで利用できていないので、この致命的な疾患の抑制は、現在、薬理学的治療に頼っている。早期に診断されるならば、マラリアは緩和することができるが、防止は依然として、治療よりも効果的である。17世紀以降、キニンが、マラリアのために選ばれた予防薬である。20世紀におけるキナクリン、クロロキンおよびプリマキンの開発はキニンに対する依存を低下させている。これらの抗マラリア医薬品は予防的に服用することができ、そのため、そのような予防的服用が罹患地域への旅行者には一般に勧められる。
残念なことに、1960年代の初期に、マラリア寄生虫のいくつかの株がクロロキンに対する抵抗性を発達させた。抵抗性のこの発達は、殺虫剤に対するカの高まり続ける免疫性と併せて、マラリアを世界の主要な再興感染症の1つにしている。メフロキンが、この疾患がクロロキンに対して非常に抵抗性になっている領域では使用される場合があるが、一部の株は現在、この薬物および他の薬物に対してもまた抵抗性がある。アルテミシニン(クソニンジンから得られる)が、他の薬物との組合せで、現在、多くの場合、抵抗性株のための好ましい治療である。マラロン(アトバコンおよびプログアニル)もまた、抵抗性株に対して使用される。マラリアに対するワクチンは依然として実験的である。
リーシュマニア症は、中東および地中海沿岸部を含む世界の広範な地域で特有の疾患である。近年、リーシュマニア症がHIV患者における日和見疾患として広がっている。リーシュマニア症には大きく3つのタイプがある:皮膚リーシュマニア症(CL)、皮膚粘膜リーシュマニア症(MCL)および内臓リーシュマニア症(VL)。CLは、免疫抑制後において臨床的に危険である皮膚疾患であり、一方、それ以外のタイプは、治療されないならば、致死的である。世界保健機関は、リーシュマニア感染者の数を、400000人を超える新規患者が毎年発生していると推定する。MCLおよびVLは、毎年、75000人を超える人の死亡を引き起こしている。リーシュマニア症の現在の治療は、知られている抗真菌剤(例えば、アンホテリシンBなど)に、また、アンチモン、メグルミンのアンチモン酸塩(Glucantime)、および、スチボグルコン酸ナトリウム(Pentostam)の使用を含む治療法に基づいている。残念ながら、これらの治療は、効果的な非経口用薬物配合物の利用が限られること、および、上市されている薬物に対して抵抗性の新しい株の出現によって、効果的でないか、または、そうでない場合には不十分である。
人類を依然として苦しめる他の病原性原生動物には、クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)およびランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)が含まれる。クリプトスポリジウム・パルブムは、下痢を引き起こす、都市の上水道に関連する原生動物寄生虫である。免疫系が正常な患者では、疾患が、水様性下痢、腹痛、悪心および食欲不振を伴って現れ、これらが10日〜15日続く。免疫低下患者(例えば、免疫抑制薬物を受けている患者、または、HIV−1に感染した患者など)では、症状がより重篤である。この疾患は長く続き、下痢が数ヶ月間(場合により数年間でさえ)続くことがあり得る。シクロスポラ・カイエタネンシスの感染は、特異的な症状を有しない疾患をもたらす。一般に、通常、1日の倦怠感、低い発熱および下痢がある。疲労、嘔吐および体重低下がある場合がある。この疾患は3日〜4日での自己限定的であるが、下痢の再発が4週間までの期間にわたって生じる場合がある。ヒトのランブル鞭毛虫症(「ビーバー熱」)は通常、原生動物のランブル鞭毛虫(これはまた、G.intestinalisとしても知られている)により汚染された飲料水から生じる。感染が、デイケアセンターにおいて、また、キャンパーの間で頻繁に見られる。急性の症例では、症状には、悪心、上部腸管痛および猛烈な下痢が含まれる場合がある。発熱および悪寒が認められる場合があり、実際、症状は消化性潰瘍または胆嚢疾患によく類似し得る。
従って、上記で示された微生物によって引き起こされる疾患および感染症は健康における大きな脅威になっている一方で、その現在利用可能な治療は有効性が次第に低下し続けている。
従って、上記の制限を有しない、病原微生物に関連する上記の疾患および他の疾患を治療するための新規な薬剤が必要であることが広く認識されており、また、そのような薬剤を有することは非常に好都合である。
本発明者らは、今回、驚くべきことに、アミン−ボラン化合物が抗菌剤として作用することができ、従って、微生物に関連する様々な病状の治療において、同様にまた、微生物に関連する医学以外の適用において使用できることを発見している。
従って、本発明の1つの態様によれば、病原微生物に関連する病状を治療する方法であって、その必要性のある対象に治療効果的な量のアミン−ボラン化合物を投与することを含む方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、病原微生物に関連する病状の治療におけるアミン−ボラン化合物の使用が提供される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、病原微生物に関連する病状を治療するための医薬品を調製するための、アミン−ボラン化合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、有効成分としてアミン−ボラン化合物を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む、病原微生物に関連する病状の治療における使用のために特定された医薬組成物が提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態のなおさらなる特徴によれば、組成物は包装材に包装され、かつ、病状の治療における使用のために、包装材の内部またはその表面において印刷により特定される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、病原微生物は、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および寄生生物からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、微生物は薬物抵抗性の病原微生物であり、好ましくは、薬物抵抗性の真菌である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は、本明細書中に記載されるように、それ自体で、または、医薬組成物の一部として、そのいずれかで投与される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、病状は、細菌感染症、真菌感染症、原生動物感染症、マラリアおよびリーシュマニア症からなる群から選択される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療する方法であって、その必要性のある対象に治療効果的な量の本明細書中に示されるアミン−ボラン化合物を投与することを含む方法が提供される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状の治療におけるアミン−ボラン化合物の使用が提供される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療するための医薬品を調製するための、アミン−ボラン化合物の使用が提供される。
本発明のなおさらに別の態様によれば、有効成分として本発明によるアミン−ボラン化合物を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状の治療における使用のために特定された医薬組成物が提供される。
記載された好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、病原性の薬物抵抗性微生物は、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および寄生生物からなる群から選択され、好ましくは、薬物抵抗性の真菌である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、病原性の薬物抵抗性微生物は少なくとも1つの従来の抗菌剤に対して抵抗性がある。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、従来の抗菌剤は、ポリエン系抗真菌剤、アンホテリシン、アンホテリシンB、ナイスタチン、ピマリシン、アンホテリシンBのリポソーム配合物(AmBisome、Abelcet、Amphocil)、アゾール系抗真菌剤、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾレアンボリコナゾール、ポサコナゾールクロトリマゾール、ミコナゾール、アリルアミン系抗真菌剤およびモルホリン系抗真菌剤、アリルアミン系化合物(ナフチフィン、テルビナフィン)、代謝拮抗剤系抗真菌剤、5−フルオロシトシン、真菌細胞壁阻害剤、カスポファンギン、ミカファンギン、アニズラファンギンからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は、それ自体で、または、医薬的に許容され得るキャリアをさらに含む医薬組成物の一部として、そのいずれかで投与される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、病状は、細菌感染症、真菌感染症、原生動物感染症、マラリアおよびリーシュマニア症からなる群から選択される。
本発明のさらなる態様によれば、基質に抗菌効果的な量のアミン−ボラン化合物を適用することを含む、基質における微生物の量を低下させる方法が提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、基質は、構築物、貯蔵容器、土壌、農作物、園芸作物、農産物、食品製造物、化粧品製造物、塗料、材木および建築用材料からなる群から選択される。
本発明のなおさらなる態様によれば、製造物と、抗菌効果的な量のアミン−ボラン化合物とを含む製造品が提供される。
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、製造物は、食品製造物、農産物、化粧品製造物、塗料、建築用材料および材木からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、本明細書中に記載されるアミン−ボラン化合物のそれぞれが、下記の一般式Iまたは一般式IIまたはその医薬的に許容され得る塩を有する:
Figure 2009507915
上記式において、Y、YおよびYはそれぞれが独立して、シアノ基(−C≡N)、−C(=O)Ra基、アミンおよびアルキルからなる群から選択され、ただし、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオールおよびアミンである;
〜Xはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ハロ、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
〜Rはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択されるか、あるいは、R〜Rのうちの2つ、RおよびR、および/または、RおよびRは炭素環式の環を形成する;および
Aは、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の飽和した炭化水素または不飽和の炭化水素である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は一般式Iを有する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Yは、シアノ基(−C≡N)および−C(=O)Ra基からなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Raは、水素およびアルコキシからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アルコキシは、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、XおよびXはそれぞれが独立して、水素およびハロからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、XおよびXの少なくとも1つがハロである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ハロは、フルオロおよびブロモからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、R〜Rのそれぞれがアルキルである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アルキルは、メチル、エチルおよびn−ブチルからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、R〜Rの少なくとも1つがC〜C20アルキルである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は、1−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−2−エノール・シアノボラン、(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ジメチル−アミン・シアノボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ブタ−3−エニル−ジメチル−アミン・シアノボラン、トリメチル−アミン・シアノジブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ペンチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノブロモボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノジブロモボラン、ジメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン・シアノボラン、ドデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−オクタン−2−オール・シアノボラン、ジメチル−ノニル−アミン・シアノボラン、ジメチル−トリデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ペンタデシル−アミン・シアノボラン、ヘプタデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−ドデカン−2−オール・シアノボラン、ヘキサ−5−エニル−ジメチル−アミン・シアノボランおよび1−ジメチルアミノ−ウンデカン−2−オール・シアノボランからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノフルオロボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・エチルエステル、エチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、ブチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・シアノジフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・エチルエステル、トリメチル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロブロモボラン・エチルエステル、トリエチル−アミン・カルボキシジフルオロボランジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロボランおよび(2−フルオロ−ノニル)−ジメチル−アミン・シアノボランからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は一般式IIを有する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、X、X、XおよびXのそれぞれが独立して、水素およびハロからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、X〜Xの少なくとも1つがハロである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、ハロは、フルオロおよびブロモからなる群から選択される。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、R〜Rのそれぞれがアルキルであり、好ましくはメチルである。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、Aは、飽和した非置換の炭化水素である。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、炭化水素は1〜20個の炭素原子を有する。
記載された好ましい実施形態におけるなおさらなる特徴によれば、アミン−ボラン化合物は、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・シアノボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノジブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−カルボキシボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−ドデカン−1,12−ジアミン・ビス−シアノボランおよびN,N,N’,N’−テトラメチル−テトラデカン−1,14−ジアミン・ビス−シアノボランからなる群から選択される。
本発明は、現在知られている薬剤よりも優れている新規な抗菌剤を提供することによって、現在知られている形態の欠点に対処することに成功している。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
用語「含む(comprising)」は、最終結果に影響しない他の工程および成分が加えられ得ることを意味する。この用語は、用語「からなる(consisting of)」および用語「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
表現「から本質的になる」は、さらなる成分および/または工程が、主張される組成物または方法の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物または方法がさらなる成分および/または工程を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(“a”、“an”および“the”)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲にある/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
図面の簡単な記述
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
図1は、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)株に対する用量応答アッセイによって求められたときの化合物K−Iの抗リーシュマニア効果を示すプロットを示す。
図2は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)株に対する用量応答アッセイによって求められたときの化合物K−Iの抗マラリア効果を示すプロットを示す。
本発明は、病原微生物に関連する種々の病状を治療する新規な方法の発明であって、これはアミン・シアノボラン類およびアミン・カルボキシボラン類のようなアミン−ボラン化合物を利用する。
本発明の原理および作用が、図面および付随する説明を参照してより十分に理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明において示される細部、または、実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実施または実行されることができる。また、本明細書中で用いられる表現法および用語法は記述のためであって、限定であると見なしてはならないことを理解しなければならない
本明細書中上記で議論されたように、微生物によって引き起こされる疾患および感染症は主要な健康上のリスクをもたらしている。現在知られている医薬品に対する抵抗性の発達、および、免疫低下宿主の増大し続ける数は、新規な抗菌剤についての大規模な探索を促進させている。
本発明を着想しているとき、本発明者らは、アミン−ボラン化合物が、効率的な抗菌剤として役立ち得ることを想定している。
本明細書中で使用される表現「アミン−ボラン化合物」(これはまた、本明細書中では交換可能に「アミノボラン化合物」として示される)は、本明細書中下記において定義されるように、1つ以上のアミン基によって置換される少なくとも1つのホウ素原子を含む任意の化合物を表す。
上記で述べられたように、アミン−ボラン化合物は、多くの生物学的に活性な化合物(例えば、アミノ酸、神経伝達物質、ヌクレオシドおよび核酸など)の等電子的および等構造的な類似体であること、従って、そのような生物学的に活性な化合物の体内での生物学的活性を模倣することができることによって医薬化合物として相当の関心を引いている。
本発明を実施に移しているとき、下記の実施例の節において明らかにされるように、様々な構造的に多様なアミノボラン化合物が、ほとんどにおいて用量依存的な様式で、並外れた選択的な抗菌活性を呈することが実際に示された。これらの化合物がその活性な濃度において無毒であることがさらに示された。
従って、本発明の1つの態様によれば、病原微生物に関連する病状、好ましくは、抗菌剤に対して抵抗性がある病原微生物に関連する病状を治療する方法が提供される。本発明のこの態様によるこの方法は、その必要性のある対象に治療効果的な量のアミン−ボラン化合物を投与することによって行われる。
本発明のさらなる態様によれば、病原微生物に関連する病状、好ましくは、抗菌剤に対して抵抗性がある病原微生物に関連する病状を治療するためのアミノボラン化合物の使用、および、そのような病状を治療するための医薬品を調製するためのアミノボラン化合物の使用が提供される。
本明細書中で使用される用語「治療(処置)する」および用語「治療(処置)」は、状態の進行を抑止するか、または、実質的に阻害するか、または、遅くするか、または、逆戻りさせるか、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状を実質的に改善するか、あるいは、状態の臨床的症状または審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
本明細書中で使用される表現「治療効果的な量」は、治療されている状態の症状の1つ以上をある程度和らげる、投与されている化合物の量を表す。
本明細書中を通して、表現「病原性微生物」は、疾患または感染症を高等生物(例えば、商業目的またはレクリエーション目的のために飼育される任意の動物、魚類、家禽、昆虫(例えば、ミツバチ)および哺乳動物など)において引き起こし得る任意の微生物を表すために使用される。具体的には、病原性微生物は、疾患および有害な影響をヒトにおいて引き起こす微生物であり得る。
病原微生物は生物の任意の科に属することができる(例えば、限定されないが、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および他の寄生生物など)。
下記の実施例の節において明らかにされるように、アミン−ボラン化合物は、広範囲の微生物に対して非常に効率的であることが見出された。
アミン−ボラン化合物によって治療可能である病原微生物の限定されない例には、熱帯熱マラリア原虫およびマラリアを引き起こす関連した原生動物寄生虫、アカントアメーバ属(Acanthamoeba)および他の自由生活アメーバ、エアロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、アニサキス属(Anisakis)および関連した蠕虫、回虫(Ascaris lumbricoides)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、裂頭条虫属(Diphyllobothrium)、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)、オイストロンギルス属(Eustrongylides)、ランブル鞭毛虫、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、ナノフィエツス(Nanophyetus)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、サルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ヒト鞭虫(Trichuris trichiura)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・ブルニフィクス(Vibrio vulnificus)および他のビブリオ属細菌、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)が挙げられる。
アミン−ボラン化合物が本発明の実施形態に従って効果的に使用され得る病原性真菌の代表的な例には、限定されないが、アブシジア(Absidia)属の真菌:アブシジア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera);アジェロミセス(Ajellomyces)属の真菌:アジェロミセス・カプスラツス(Ajellomyces capsulatus)、アジェロミセス・デルマチチジス(Ajellomyces dermatitidis);アルスロデルマ(Arthroderma)属の真菌:アルスロデルマ・ベンハミアエ(Arthroderma benhamiae)、アルスロデルマ・フルブム(Arthroderma fulvum)、アルスロデルマ・ギプセウム(Arthroderma gypseum)、アルスロデルマ・インクルバツム(Arthroderma incurvatum)、アルスロデルマ・オタエ(Arthroderma otae)、アルスロデルマ・バンブロイセグヘミイ(Arthroderma vanbreuseghemii);アスペルギルス(Aspergillus)属の真菌:アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger);ブラスミセス(Blastomyces)属の真菌:ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis);カンジダ(Candida)属の真菌:カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・グイリエルモンジイ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ペリクロサ(Candida pelliculosa);クラドフィアロホラ(Cladophialophora)属の真菌:クラドフィアロホラ・カリオニイ(Cladophialophora carrionii);コクシジオイデス(Coccidioides)属の真菌:コクシジオイデス・イムミチス(Coccidioides immitis);クリプトコッカス(Cryptococcus)属の真菌:クリプトコッカス・ネオホルマンス(Cryptococcus neoformans);カニングハメラ(Cunninghamella)属の真菌:カニングハメラ・エスピー(Cunninghamella sp.);エピデルモフィトン(Epidermophyton)属の真菌:エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum);エクソフィアラ(Exophiala)属の真菌:エクソフィアラ・デルマチチジス(Exophiala dermatitidis);フィロバシジエラ(Filobasidiella)属の真菌:フィロバシジエラ・ネオホルマンス(Filobasidiella neoformans);ホンセカエア(Fonsecaea)属の真菌:ホンセカエア・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi);フザリウム(Fusarium)属の真菌:フザリウム・ソラニ(Fusarium solani);ゲオトリクム(Geotrichum)属の真菌:ゲオトリクム・カンジダム(Geotrichum candidum);ヒストプラスマ(Histoplasma)属の真菌:ヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma capsulatum);ホルタエア(Hortaea)属の真菌:ホルタエア・ウエルネキイ(Hortaea werneckii);イッサチェンキア(Issatschenkia)属の真菌:イッサチェンキア・オリエンタリス(Issatschenkia orientalis);マズレラ(Madurella)属の真菌:マズレラ・グリサエ(Madurella grisae);マラセジア属(Malassezia)の真菌:マラセジア・フルフル(Malassezia furfur)、マラセジア・グロボサ(Malassezia globosa)、マラセジア・オブツサ(Malassezia obtusa)、マラセジア・パチデルマチス(Malassezia pachydermatis)、マラセジア・レストリクタ(Malassezia restricta)、マラセジア・スローフィアエ(Malassezia slooffiae)、マラセジア・シンポジアリス(Malassezia sympodialis);小胞子菌属(Microsporum)の真菌:ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、ミクロスポルム・フルブム(Microsporum fulvum)、ミクロスポルム・ギプセウム(Microsporum gypseum);ケカビ属(Mucor)の真菌:ムコール・シルシネロイデス(Mucor circinelloides);ネクトリア(Nectria)属の真菌:ネクトリア・ヘマトコッカ(Nectria haematococca);ペシロミセス(Paecilomyces)属の真菌:ペシロミセス・バリオチイ(Paecilomyces variotii);パラコクシジオイデス(Paracoccidioides)属の真菌:パラコクシジオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis);ペニシリウム(Penicillium)属の真菌:ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei);ピキア属(Pichia)の真菌、ピキア・アノマラ(Pichia anomala)、ピキア・グイリエルモンジイ(Pichia guilliermondii);ニューモシスチス(Pneumocystis)属の真菌:ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii);シュードアレシェリア(Pseudallescheria)属の真菌:シュードアレシェリア・ボイジイ(Pseudallescheria boydii);クモノスカビ属(Rhizopus)の真菌:リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae);ロドトルラ(Rhodotorula)属の真菌:ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra);セドスポリウム(Scedosporium)属の真菌:セドスポリウム・アピオスペルムム(Scedosporium apiospermum);シゾフィルム(Schizophyllum)属の真菌:シゾフィルム・コムネ(Schizophyllum commune);スポロトリクス(Sporothrix)属の真菌:スポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenckii);トリコフィトン(Trichophyton)属の真菌:トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、トリコフィトン・ベルルコスム(Trichophyton verrucosum)、トリコフィトン・ビオラセウム(Trichophyton violaceum);およびトリコスポロン属(Trichosporon)の真菌:トリコスポロン・アサヒイ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、トリコスポロン・インキン(Trichosporon inkin)、トリコスポロン・ムコイデス(Trichosporon mucoides)が挙げられる。
本明細書中上記で議論されたように、抗菌剤に対する微生物の抵抗性は、微生物が任意の所定の薬剤(抗生物質)の抗菌効果に耐えることができることである。任意の所定の薬剤の抗菌作用は環境的圧力を標的(および同様に、非標的)微生物にかけ続けている。生存を可能にする変異を有する微生物が生き延びて、繁殖する。これらの新たに進化した株は、その後、この形質をその子孫に伝え、これにより、完全に抵抗性の世代となる。
下記の実施例の節において明らかにされるように、本明細書中に示されるアミン−ボラン化合物は、従来の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンBおよびフルコナゾールなど)に対する抵抗性を発達させた真菌株に対して、または、従来の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンBおよびフルコナゾールなど)に対して本来的に抵抗性があることが見出された真菌株に対して特に効果的であることが示された。これらの株はまた、重篤な病状にも関連するので、このような化合物の使用は、これらの病原体と闘い、それらに関連する病状を改善または治療するための数少ない手段の1つであり得る。
従って、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療する方法;病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療するためのアミノボラン化合物の使用;病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療するための医薬品を調製するためのアミノボラン化合物の使用;および、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状の治療のために特定された医薬組成物が提供される。
病原性の薬物抵抗性微生物は、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および他の寄生生物からなる群から選択される微生物のいずれかが可能である。
薬物抵抗性微生物は、1つ以上の従来から使用されている薬物または他の抗菌剤に対して抵抗性があり得る。本明細書中で使用される表現「従来の抗菌剤」は、本発明の開示よりも前に一般に使用される典型的に使用されている薬物および抗菌剤、あるいは、本明細書中に示されるようなアミン−ボラン化合物に基づかない薬物および抗菌剤を示す。
従来の抗菌剤の限定されない例には、ポリエン系抗真菌剤(例えば、アンホテリシン、アンホテリシンB、ナイスタチンおよびピマリシンなど)、アンホテリシンBのリポソーム配合物(AmBisome、Abelcet、Amphocil)、アゾール系抗真菌剤(例えば、フルコナゾール、イトラコナゾールおよびケトコナゾールなど)、アリルアミン系またはモルホリン系の抗真菌剤(例えば、アリルアミン化合物(ナフチフィン、テルビナフィン)など)、および、代謝拮抗剤系抗真菌剤(例えば、5−フルオロシトシンなど)、ならびに、真菌細胞壁阻害剤(例えば、カスポファンギン、ミカファンギンおよびアニズラファンギンのようなエキノカンジン類など)が含まれる。
下記の実施例の節においてさらに明らかにされるように、アミン−ボラン化合物は、命を脅かす2つの原生動物寄生虫、すなわち、リーシュマニア・エスピーピー(Leishmania spp)および熱帯熱マラリア原虫に対して効果的であることが見出された。アミン−ボラン化合物が本発明の実施形態に従って使用され得る病原性の寄生虫および原生動物の他の代表的な例には、限定されないが、様々なタイプのアメーバ、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病を引き起こす)、トリパノソーマ・ブセイ(Trypanosoma bucei)(「睡眠病」を引き起こす)、プラスモジウム・ビバクス(Plasomodium vivax)(マラリアを引き起こす)、クリプトスポリジウム・パルブム(クリプトスポリジウム症を引き起こす)、シクロスポラ・カイエタネンシスおよびランブル鞭毛虫(ランブル鞭毛虫症を引き起こす)などが挙げられる。
本明細書中で使用される用語「関連する」は、本発明の関連では、病状の少なくとも1つの有害な症状発現が病原微生物によって引き起こされることを意味する。従って、表現「病原微生物に関連する病状」は、微生物が病状の主原因であり得るか、または、主たる病状の二次的影響であり得る病状を包含する。
病原微生物に関連する病状には、病原微生物(例えば、本明細書中に記載される病原微生物など)によるか、または、病原微生物(例えば、本明細書中に記載される病原微生物など)の感染症、侵入、混入および伝染が含まれる。一般に、疾患の原因となる感染は、病原微生物による植物または動物の組織への侵入である。寄生性蠕虫および他の高等病原性生物(例えば、ノミなど)による身体組織への侵入は多くの場合、侵入と呼ばれる。
侵入中の生物(例えば、細菌など)は、典型的には、宿主の組織を損傷し、正常な代謝を妨害する毒素を産生する。いくつかの毒素は、実際には、宿主の組織を破壊する酵素である。他の細菌物質は、宿主の食細胞を破壊することによってその損傷を与えることができ、これにより、身体は他の病原微生物による感染をより受けやすくなることがある。多くの侵入中の生物によって産生される物質は宿主においてアレルギー反応を引き起こす。感染は、呼吸飛沫、直接的な接触、汚染食物または媒介因子(例えば、昆虫など)によって拡大し得る。感染はまた、性交渉によって伝染することがあり、また、母から胎児に伝染することがある。
本発明の実施形態によるアミン−ボラン化合物によって治療可能である、細菌感染によって引き起こされる病状および疾患の例には、限定されないが、アクチノミセス症、炭疽病、アスペルギルス症、菌血症、細菌皮膚疾患、バルトネラ感染症、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、ブルクホルデリア感染症、カンピロバクター感染症、カンジダ症、ネコ引っ掻き病、クラミジア感染症、コレラ、クロストリジウム感染症、コクシジオイデス症、クリプトコックス症、皮膚真菌症、ジフテリア、エールリヒア症、流行性シラミ発疹チフス、大腸菌感染症、フゾバクテリウム感染症、壊疽、全身性感染症、全身性真菌症、淋病、グラム陰性細菌感染症、グラム陽性細菌感染症、ヒストプラスマ症、膿痂症、クレブシエラ感染症、レジオネラ症、らい病、レプトスピラ症、リステリア感染症、ライム病、マラリア、マズラ菌症、類鼻疽、ミコバクテリウム感染症、マイコプラズマ感染症、壊死性筋膜炎、ノカルジア感染症、爪甲真菌症、鳥類病、肺炎球菌感染症、肺炎、シュードモナス感染症、Q熱、鼡咬症、回帰熱、リウマチ熱、リケッチア感染症、ロッキー山紅斑熱、サルモネラ感染症、猩紅熱、ツツガムシ病、敗血症、性行為伝染細菌疾患、ブドウ球菌感染症、連鎖球菌感染症、手術部位感染、破傷風、ダニ媒介疾患、結核、ツラレミア、腸チフス、尿路感染症、ビブリオ感染症、フランベジア、エルシニア感染症、ペスト菌班、人畜共通感染症および接合菌症が含まれる。
本発明の実施形態によるアミン−ボラン化合物によって治療可能である、真菌に関連する病状には、主に、本明細書中下記において詳述されるように、真菌感染症または真菌症が含まれる。
真菌感染症または真菌症は、組織関与および宿主内への進入様式に依存して分類される。主なクラスは、表在性の感染症、皮下の感染症、全身性の感染症および日和見的な感染症である。
表在性の真菌症感染は、皮膚、毛髪および爪に局在化される。一例が「輪癬」または「白癬」であり、これは皮膚糸状菌による皮膚の感染症である。輪癬は、皮膚の皮膚糸状菌感染において多くの場合に生じる特徴的な中央の透明化を示す。トリコフィトン属、ミクロスポルム属およびエピデルモフィトン属の皮膚糸状菌メンバーがこの疾患の原因である。白癬は身体の様々な部位に感染することができ、これらには、頭皮(頭部白癬)、あごひげ(須毛白癬)、足(足白癬:「水虫」)および鼠径部(股部白癬)が含まれる。
カンジダ・アルビカンスは、カンジダ症または「鵞口瘡」をヒトにおいて引き起こす酵母である。表在性の真菌症として、カンジダ症は典型的には口腔または膣に感染する。C.albicansは膣および胃腸管の正常なフローラの一部であり、従って、「片利共生」であると見なされる。
皮下の真菌症は、真皮、皮下組織または隣接構造体に限定される感染症である。感染が、皮膚が傷つき、植物性物質の導入の後に生じ得る。これらの真菌症は希であり、主に熱帯地方に限定され、発症が遅く、しかし、継続期間が長期化する傾向がある。一例が、スポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)によって引き起こされるスポロトリクス症である。この真菌は二形性であり、富栄養な研究室培地または身体感染では37℃で酵母形態に変換することができるカビである。この疾患は、南北アメリカ、南アフリカおよびオーストラリアで最も流行するが、スポロトリクス症はヨーロッパおよび世界の他の地域でもまた見られる。感染は、通常、昆虫の咬創、棘の刺し傷、または、魚のとげによるひっかきの後である。ある種の職業群は、感染の増大した危険性を有するようである。これらには、草花栽培者、農場作業者、および、干し草およびコケを取り扱う作業者が含まれる。最も一般的な症状が、リンパ管炎に発達し得る潰瘍性病変である。
全身性の真菌症は原発性および日和見性に分かれる。これらは、生物が、肺への進入路、胃腸管への進入路、または、静脈ラインを介した進入路を獲得する内部器官の侵襲性感染症である。これらの感染症は原発性の病原性真菌によって引き起こされ得るか、または、わずかな病原性があるが、免疫低下宿主には感染することができる日和見性真菌によって引き起こされ得る。
原発性の病原性真菌の感染が、生来健康な人に起こり、呼吸経路から生じる。例には、ヒストプラスマ症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症およびパラコクシジオイデス症が含まれる。これらの真菌は世界中に存在する。
ヒストプラスマ症は、(酵母形態に変換することができるカビである)二形性であるヒストプラスマ・カプスラツムによって引き起こされる。この真菌は土壌に見出され、成長が、鳥およびコウモリの排泄物の存在によって高められる。そのような物質を含有する環境が、ヒト感染源として関わることが多い。肺が主な感染部位であるが、肝臓、心臓および中枢神経系への伝搬が生じ得る。肺感染は、結核において見られる症状に類似し得る。
日和見性の真菌は、通常の場合には任意の重大な重篤な免疫欠陥もしくは代謝的欠陥を有するか、または、手術を受けている患者を攻撃し得る。疾患には、アスペルギルス症、全身性カンジダ症およびクリプトコッカス症が含まれる。めったにないことに、通常の場合には病原性がない他の真菌(例えば、トリコスポロン属、フザリウム属またはペニシリウム属)が全身性の感染症を引き起こすことがある。
アスペルギルス症の用語は、アスペルギルス属のカビによって引き起こされるいくつかの異なる疾患をまとめて示す。アスペルギルス属のカビは非常に多くの胞子を産生し、世界中に存在する。この生物は、肺、内耳、洞、および、希ではあるが、生来健康な人の目に感染し得る。免疫低下した宿主では、アスペルギルスは全身に伝搬し得る。
カンジダ症、例えば、ヒトの正常なフローラ(本明細書中上記を参照のこと)の一部であるC.albicansによって引き起こされるカンジダ症は、重度の免疫低下患者(例えば、化学療法を受けている患者)においては全身中で増殖および伝搬し得る。
クリプトコッカス症は、酵母クリプトコッカス・ネオホルマンスによって引き起こされる全身性の感染症である。最も一般的な症状発現は、この生物の吸入から生じる亜急性形態または慢性形態の髄膜炎である。肺感染もまた生じ得る。この疾患は健康者および免疫低下者の両方を冒し、世界中で発生する。C.neoformansが環境におけるハトのフンから非常に多く単離され得る。だが、そのような鳥類は、この酵母のすみかとなっていないようである。
他の真菌関連疾患が、呼吸アレルギーをもたらす大気中の真菌の胞子に絶えずさらされることの結果として生じることがある。様々な一般的な胞子形成真菌に対する上昇した抗体が職業性疾患(例えば、加湿器熱、麦芽労働者肺および小麦脱穀者病など)において明らかにされている。
多くのカビが、ヒトに対して非常に毒性がある二次代謝産物(カビ毒)を産生する。麦角中毒が、真菌の麦角菌(Claviceps purpurea)が感染したライ麦から調製されたパンを食べることによって引き起こされる。歴史的には、地域住民における精神錯乱の数回の大規模な発生が麦角中毒のためであると考えられている。
ニューモシスチス症は、ニューモシスチス・カリニによって引き起こされる肺の感染症である。この生物はAIDS患者における致命的肺炎の一般的な原因である。これは、細胞内寄生生物で、栄養体およびシストの生活環を有し、以前には原生動物であると見なされていた。しかしながら、DNA配列およびRNA配列の比較により、これはウストミセス科(ustomycetous)の赤色酵母真菌の群の1つであることが明らかにされている。シストは、肺吸引物の塗沫標本において認められ得る8個の核を含有する。P.cariniiは多くの野生動物および家畜動物の片利共生体であり、証拠から、ヒト感染が一般にはイヌに由来することが示唆される。
本発明の実施形態に従ってアミン−ボラン化合物によって治療可能である、病原性の寄生生物および原生動物に関連する病状には、限定されないが、下記のものが含まれる:アカントアメーバ感染、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、多包条虫症、アメーバ症(赤痢アメーバ感染)、アメリカトリパノソーマ症(シャーガス病)、アンシロストーマ感染(鉤虫感染、皮膚幼虫移行症、CLM)、アンギオストロンギルス感染(住血線虫症)、住血線虫症(アンギオストロンギルス感染)、アニサキス感染(アニサキス症)、アニサキス症(アニサキス感染)、回虫症(腸管内回虫)、バベシア感染(バベシア症)、バベシア症(バベシア感染)、バランチジウム症(バランチジウム感染)、バランチジウム感染(バランチジウム症)、バイリスアスカリス感染(アライグマ回虫)、ビルハルチア病(住血吸虫症)、ブラストシスチス・ホミニス(blastocystis hominis)感染、ヒトジラミおよびケジラミの侵入(「ケジラミ」)、カピラリア感染(毛頭虫症)、毛頭虫症(カピラリア感染)、セルカリア皮膚炎(沼地皮膚症)、メニール鞭毛虫感染、クロノルキス感染(肝吸虫症)、肝吸虫症(クロノルキス感染)、クリプトスポリジウム症(クリプトスポリジウム感染)、皮膚幼虫移行症(CKM、鉤虫感染、アンシロストーマ感染)、シクロスポラ感染(シクロスポラ症)、嚢尾虫症(神経嚢尾虫症)、妄想性寄生虫症、二核アメーバ(dientamoeba fragilis)感染、裂頭条虫感染(裂頭条虫症)、ウリザネ条虫感染(イヌまたはネコのサナダムシ感染)、メジナ虫症(ギニア虫病)、イヌサナダムシ(ウリザネ条虫)、E.histolytica感染(アメーバ症)、エキノコックス症(多包虫症)、象皮病(フィラリア症、リンパ管フィラリア症)、エンドリマックス・ナナ(endolimax nana)感染、エントアメーバ・コリ(Entamoeba coli)感染、エントアメーバ・ジスパル(Entamoeba dispar)感染、エントアメーバ・ハルトマンニ(Entamoeba hartmanni)感染、赤痢アメーバ感染(アメーバ症)、エントアメーバ・ポレキ(Entamoeba polecki)感染、蟯虫症(蟯虫感染)、ファスキオラ感染(肝蛭症)、肝蛭症(ファスキオラ感染)、肥大吸虫症(ファスキオロプシス感染)、ファスキオロプシス感染(肥大吸虫症)、フィラリア症(リンパ管フィラリア症、象皮病)、食品媒介疾患、ランブル鞭毛虫症(ジアルジア感染、「ビーバー熱」)、顎口虫感染(顎口虫症)、顎口虫症(顎口虫感染)、ギニア虫病(メジナ虫症)、異形吸虫感染(異形吸虫症)、膜様条虫感染(膜様条虫症)、鉤虫感染(アンシロストーマ感染、皮膚幼虫移行症)、腸管内回虫(回虫症)、ヨードアメーバ感染、イソスポラ感染(イソスポラ症)、リーシュマニア症(カラアザール、リーシュマニア感染)、ロア糸状虫感染(ロア糸状虫症)、リンパ管フィラリア症(フィラリア症、象皮病)、マラリア、微胞子虫感染(微胞子虫症)、ネグレリア感染、神経嚢尾虫症(嚢尾虫症)、非病原性腸管アメーバ感染、オンコセルカ症(河川盲目症)、オピストルキス感染(オピストルキス症)、肺吸虫感染(肺吸虫症)、シラミ寄生症(頭部のシラミ侵入)、蟯虫感染(蟯虫症)、カリニ肺炎(PCP)、アライグマ回虫感染(バイリスアスカリス感染)、河川盲目症(オンコセルカ症)、疥癬(ダニ侵入)、住血吸虫症(ビルハルチア病)、ストロンギロイデス感染(糞線虫症)、沼地皮膚症(セルカリア皮膚炎)、条虫感染(サナダムシ感染)、サナダムシ感染(条虫感染)、トキソカラ感染(トキソカラ症、眼球幼虫移行症、内臓幼虫移行症)、トキソカラ症(トキソカラ感染、眼球幼虫移行症、内臓幼虫移行症)、トキソプラズマ症(トキソプラズマ感染)、トリチネロシス(旋毛虫症)、旋毛虫症(トリチネロシス)、トリコモナス感染(トリコモナス症)、トリコモナス症(トリコモナス感染)、鞭虫症(鞭虫感染、トリクリス感染)、旅行者の下痢、水媒介疾患および人畜共通感疾患(動物から人に広がる疾患)。
本発明の実施形態によるアミン−ボラン化合物によって治療可能である特に好ましい病状には、マラリアおよびリーシュマニア症が含まれる。本明細書中上記で議論されたように、これらの致命的状態に対する治療はこれまで何一つ見出されていない。本明細書中上記で述べられたように、また、下記の実施例の節において明らかにされるように、アミン−ボラン化合物が、例示的なマラリア株およびリーシュマニア株に対して非常に活性があることが見出された。
本明細書中に記載される様々な態様のそれぞれにおいて、アミン−ボラン化合物は、具体的に述べられた病状を治療することができる1つ以上の他の治療活性な薬剤との組合せで使用することができる。従って、アミン−ボラン化合物は、他の抗真菌剤、抗マラリア剤、抗細菌剤、抗リーシュマニア剤および他の抗菌剤と一緒に使用することができる。
本発明の上記態様のいずれにおいても、本発明のアミン−ボラン化合物はそれ自体で利用することができ、または、好ましくは、医薬的に許容され得るキャリアをさらに含む医薬組成物の一部として利用することができる。
従って、本発明のさらなる態様によれば、上記で列挙された病状のいずれかを治療することにおける使用のために特定され、かつ、1つ以上のアミン−ボラン化合物と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
本明細書中で使用される用語「医薬組成物」は、アミン−ボラン化合物と、他の化学的成分(例えば、医薬的に許容され得かつ好適なキャリアおよび賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する化合物の投与を容易にすることである。
以降、用語「医薬的に許容され得るキャリア」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、投与された化合物の生物学的な活性および性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。キャリアの非限定的な例には、プロピレングリコール、生理食塩水、エマルジョン、および有機溶媒と水の混合物ならびに固形(例えば、粉末)キャリアおよびガス状キャリアがある。
本明細書中において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用され得る調製物へのアミン−ボラン化合物の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の医薬的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合することできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選ぶことができる(Fingl,et al,(1975年)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照)。
医薬組成物は、局所処置であるか全身処置であるか、または選択された投与、および処置される領域に依存する1つまたは複数の経路のいずれかにおける投与のために配合されることができる。投与経路は、局所的(眼内投与、膣内投与、直腸投与、鼻内投与を含む)、経口的、吸入によって、または非経口的に(例えば、点滴静注、または腹膜内注射、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射によって)行われることができる。
局所投与用の処方物としては、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、座剤、ドロップ、液体、スプレー、および粉末を挙げることができるが、これらに限定されない。従来の医薬的キャリア、水溶液、粉末、または油性基剤、および増粘剤などが必要である場合があり、またそれらが望ましい場合もある。
経口投与用の組成物としては、粉末、顆粒、懸濁液、または水溶液または非水性媒体の溶液、サシェ、カプセル、または錠剤が挙げられる。増粘剤、希釈剤、香料、分散助剤、乳化剤、または結合剤が望ましい場合もある。
非経口投与用の処方物としては、滅菌溶液を挙げることができるが、これらに限定されない。これには、緩衝液、希釈剤、および他の適切な添加物を含めることもできる。徐放組成物は、治療のために予想される。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、処置されている患者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存する。
本発明の組成物は、所望されるならば、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態物を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供され得る。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、限定されないが、ブリスターパックまたは加圧容器(吸入用)など)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随し得る。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。適合し得る医薬用キャリアに配合された本発明のアミン−ボラン化合物を含む組成物もまた、上でさらに詳述されたように、適応される状態を処置するために調製され、適切な容器に入れられ、かつ標識され得る。
従って、本発明の実施形態によると、選択されたアミン−ボラン化合物およびさらなる有効成分の存在に依存して、本発明の医薬組成物は包装材料中に包装され、印刷物で、または包装材料上で、上で定義されるような病原性微生物と関連する医学的状態の処置における使用のために同定される。
真菌、細菌および原生動物などの微生物は、人間の生活にしっかりと、また、直接的に関わっている。一部の真菌が寄生性であり、壊滅的な植物感染症を引き起こす;だが、約50種のみが、動物に危害を加えることが知られているにすぎない。重大な農業害虫、寄生性真菌(例えば、「サビ病菌」および「黒穂病菌」など)が作物全体を枯らし得る(特に、穀物(小麦およびトウモロコシなど)を冒す)。真菌および細菌などの微生物生命体は、好気的または嫌気的のいずれであっても任意の有機物を栄養源として使用するので、任意の有機物で繁殖し得る。かなりの場合において、この成長は有害であり、かつ、望ましくなく、または、少なくとも管理下にあることが要求される(例えば、糖、乳などの発酵)。
従って、様々な病状を治療するための治療剤としてのアミン−ボラン化合物の上記の使用に加えて、本明細書中に記載されるアミン−ボラン化合物の抗菌活性は、抗菌剤の適用が有益である多くの産業分野および農業分野において利用することができる。例えば、これらには、例えば、植物および樹木の様々な部分(果実、葉、根、種子)に対する適用;工業的製造物、例えば、食品製造物、化粧品および塗料などに対する適用;家畜、漁業、孵化場、卵および家禽、ミツバチなどに対する適用、ならびに、抗菌剤および抗真菌剤によって日常的に治療される様々な容器、表面および構築物を処理するための適用が含まれる。
従って、本発明のさらなる態様によれば、抗菌効果的な量のアミン−ボラン化合物を基質に適用することを含む、病原性の微生物、または、そうでない場合には、望ましくない微生物、もしくは、許容される微生物の量を基質において低下させる方法が提供される。
用語「量を低下させる(reducing the load)」は、治療されていない基質と比較した場合、基質における1つ以上の微生物の数における減少、あるいは、基質におけるその成長速度における低下、あるいは、それらの両方を示す。
本明細書中で使用される用語「基質」は、微生物の成長を支えることができるか、または、微生物の成長のための場を与えることができるか、または、微生物の成長を促進させることができる任意の表面、構造体、製造物または材料を示す。限定されない例には、抗菌剤(好ましくは、抗真菌剤)により日常的に治療される貯蔵容器の内壁、土壌および/または土壌強化補助物、任意の農産物または作物(例えば、生きている植物または動物のような有機体起源から製造されるワタ、繊維、果実、野菜、花、抽出物、園芸作物、および、任意の他の加工または未加工の農産物または作物など)、化粧品製造物、建築物、倉庫、区画、コンテナまたは輸送車輌、微生物、カビおよび真菌の攻撃からのその表面の保護を必要とするもの(例えば、建設材など)のために使用される色素または塗料ならびに任意の他の材料および産業用化合物が含まれる。
この態様に関連して使用される表現「抗菌効果的な量」は、微生物にすみかを与える基質における微生物の集団をある程度低下させる化合物の量を表す。
土壌、製造物、材料および構造物に感染する微生物の例には、任意の土壌媒介の植物病原性真菌、植物病原性細菌、木材腐朽真菌および植物病原性線虫が含まれる。土壌媒介の病原性真菌には、Cylindrocarpom spp.、Fusarium spp.、Phoma spp.、Phytophtora spp.、Pythium spp.、Rhizoctonia spp.、Sclerotinia spp.、Verticillium spp.およびMacrophomina spp.が含まれるが、これらに限定されない。土壌媒介の植物病原性細菌には、Pseudomonas spp.、Xanthomonas spp.、Agrobacterium tumefaciense、Corynobacterium spp.およびStreptomycess spp.が含まれるが、これらに限定されない。植物病原性線虫には、Meloidogyne spp.、Xiphinema spp.、Pratylenchus spp.、Longidorus spp.、Paratylenchus spp.、Rotylenchulus spp.、Helicotylenchus spp.、Hoplolaimus spp.、Paratrichodorus spp.、Tylenchorhynchus spp.、Radopholus spp.、Anguina spp.、Aphelenchoides spp.、Bursapehlenchus spp.、Ditylenchus spp.、Trichchodorus spp.、Globodera spp.、Hemicycliophora spp.、Heterodera spp.、Dolichodorus spp.、Criconemoides spp.、Belonolaimus spp.およびミカンネセンチュウ(Tylenchulus semipenetrans)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書中上記で議論されたように、本明細書中に示されるアミン・ボラン化合物はまた、基質における抵抗性微生物の量を低下させるために使用することができる。薬物抵抗性と同様に、抵抗性はまた、非薬物抗菌剤(例えば、殺虫剤など)に関しても現れ得る。抵抗性微生物は、従来から使用されている抗菌剤に対して感受性がない微生物である。従って、好ましくは、病原微生物、あるいは、そうでない場合には、望ましくない微生物または許容される微生物は抵抗性微生物である。
本発明はさらに、基質または製造物と、抗菌剤としてのアミノ−ボラン化合物とを含む広範囲の様々な製造物および材料に関連する。
従って、本発明のさらなる態様によれば、製造物と、抗菌効果的な量の本明細書中に記載されるようなアミン−ボラン化合物とを含む製造品が提供される。
そのような製造物には、例えば、食品製造物、農産物および化粧品製造物などが含まれる。微生物の量を低下させることにおけるその効果のために、アミン−ボラン化合物はそのような製造物における保存剤として利用することができる。
下記の実施例の節において明らかにされるように、様々な構造的に多様なアミン−ボラン化合物が試験され、広範囲の様々な微生物株に対して非常に活性があることが見出された。これらには、例えば、様々なアルキル鎖(例えば、短い、長い、飽和および不飽和)を有するアルキルアミノ・シアノボラン化合物、ハロゲン化されたアミノボラン化合物、および、アミノ・ビス−ボラン化合物などが含まれる。
従って、本発明の上記側面のいずれかにおいて有益に利用されることができる好ましいアミン−ボラン化合物は、以下の一般式Iまたは一般式IIによって集合的に表される:
Figure 2009507915
上記式において、Y、YおよびYはそれぞれが独立して、シアノ基(−C≡N)、−C(=O)Ra基、アミンおよびアルキルからなる群から選択され、ただし、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、およびアミンである;X〜Xはそれそれが独立して、水素、アルキル、ハロ、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;R〜Rはそれそれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択されるか、あるいは、R〜Rのうちの2つ、RおよびR、および/または、RおよびRは炭素環式の環(例えば、シクロアルキルまたはアリール)を形成する;およびAは、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の飽和した炭化水素または不飽和の炭化水素である。
本明細書中で使用される用語「ヒドロキシ」は−OH基を記載する。
本明細書中で使用される用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを記載する。
用語「アルコキシ」は−OR基を記載し、ここでRはアルキル、シクロアルキル、アリールであり、これらの用語は本明細書中で定義される。
用語「チオヒドロキシ」および/または「チオール」は−SH基を示す。
用語「チオアルコキシ」は−SR基を記載し、ここでRは本明細書中で定義される通りである。
用語「アリールオキシ」は、本明細書中に定義される−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を記載する。
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中に定義される−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を記載する。
本明細書中で使用される用語「アミン」は−NR’R’’基を記載し、ここでR’およびR’’のそれぞれは独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中で定義される。
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個〜20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個〜20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。アルキル基は置換または非置換であり得る。アルキル基はさらに飽和または不飽和であり得る。
不飽和アルキルはまた、本明細書中でアルケニルまたはアルキニルと呼ばれ、これらの用語は本明細書中に定義される。
用語「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和アルキルを記載する。
用語「アルキニル」は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和アルキルを記載する。
用語「シクロアルキル」は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有さない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。
用語「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の様々な態様において利用されるアミン・ボラン化合物はアミン・シアノボラン化合物および/またはアミン・カルボキシボラン化合物である。
従って、好ましくは、上記の式Iおよび式IIにおけるY、YおよびYのそれぞれが、独立して、シアノ基(−C≡N)およびカルボキシ(−C(=O)Ra)基からなる群から選択され、ただし、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオールおよびアミンからなる群から選択される。従って、カルボキシ基は、カルボン酸(この場合、Raはヒドロキシである)、あるいは、その誘導体、例えば、アルデヒド(この場合、Raは水素である)、アシルハリド(この場合、Raはハロである)、エステル(この場合、Raはアルコキシまたはアリールオキシである)、チオエステル(この場合、Raはチオアルコキシまたはチオアリールオキシである)またはアミド(この場合、Raはアミンである)などであり得る。
本発明の実施形態による好ましいアミノ・カルボキシボラン化合物には、上記の式におけるRaがアルコキシであるエステル誘導体が含まれる。より好ましくは、アルコキシはメトキシまたはエトキシである。
本発明の実施形態によるさらなる好ましい化合物には、上記の式Iおよび式IIにおけるR〜Rの1つ以上がアルキルであるような、アルキル化されたアミノボラン化合物が含まれる。
本発明の1つの実施形態において、アルキルは、1〜10個の炭素原子(好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子)を有する短い飽和したアルキルである。代表的な例には、メチル、エチルおよびn−ブチルが含まれる。
さらに別の実施形態において、上記の式Iおよび式IIにおけるR〜Rの1つ以上が、アルケニルまたはアルキニルのような不飽和な成分である。下記の実施例の節においてさらに明らかにされるように、そのような不飽和な成分を取り込むことにより、化合物の抗菌活性の著しい増大がもたらされる。
米国仮特許出願第60/716082号(2005年9月13日出願)、および、発明の名称が「新規なアミン−ボラン化合物およびその使用」であり、本出願と同じ日に同時出願される本出願人によるPCT国際特許出願(代理人整理番号:32587)(これらはともに、全体が本明細書中に示されるかのように参考として組み込まれる)には、長いアルキル置換基を有する新規なアミン−ボラン化合物が開示される。これらの化合物は、本明細書中下記において明らかにされるように、大きい抗菌活性を示すことが見出された。
従って、別の実施形態において、R〜Rの1つ以上が、10個を超える炭素原子(好ましくは11〜17個の炭素原子、より好ましくは11〜15個の炭素原子)を有する長い(高級)アルキルである。下記の実施例の節においてさらに明らかにされるように、C15アルキル置換基を有するアミノボラン化合物は、より長いアルキル置換基またはより短いアルキル置換基を有する構造的に類似する化合物と比較した場合、優れた抗菌活性を発揮することが見出された。
さらなる実施形態において、長いアルキルは不飽和であり、従って、長いアルケニルまたはアルキニルである。
本発明の関連での使用のために特に好適である、一般式Iおよび高級(長い)アルキル置換基を有するアミン−ボラン化合物の代表的な例には、限定されないが、ペンチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノブロモボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノジブロモボラン、ドデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−オクタン−2−オール・シアノボラン、ジメチル−ノニル−アミン・シアノボラン、ジメチル−トリデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ペンタデシル−アミン・シアノボラン、ヘプタデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−ドデカン−2−オール・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロボランおよび1−ジメチルアミノ−ウンデカン−2−オール・シアノボランが含まれる。
さらに別の実施形態において、X〜Xのそれぞれが独立して、水素またはハロである。1つの実施形態において、式IにおけるXおよびXの少なくとも1つ、および/または、式IIにおけるX〜Xの少なくとも1つがハロである。
ハロ置換基は、例えば、ブロモが可能である。下記の実施例の節においてさらに明らかにされるように、ブロモ置換基の取り込みはアミノ・ボラン化合物の活性に影響を及ぼさなかった。2つのブロモ置換基の取り込みは、低下した活性をもたらしたが、それにもかかわらず、これらの化合物は妥当な活性を示した。
上記の米国仮特許出願第60/716082号、および、本出願人によるPCT国際特許出願(代理人整理番号:32587)には、X〜Xの1つ以上がフルオロである新規なフッ素化アミノボラン化合物もまた開示される。下記の実施例の節において明らかにされるように、これらの化合物は、様々な微生物株に対して非常に活性があることが見出され、また、それらの臭素化類似体に対する匹敵し得る活性を示した。
従って、好ましくは、ハロ置換基はフルオロである。本発明の関連での使用のために特に好適であるそのようなフッ素化アミノボラン化合物の代表的な例には、限定されないが、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノフルオロボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・エチルエステル、エチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、ブチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・シアノジフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・エチルエステル、トリメチル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロブロモボラン・エチルエステル、トリエチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロボランおよび(2−フルオロ−ノニル)−ジメチル−アミン・シアノボランが含まれる。
本発明の関連での使用のために好適であるアミン−ボラン化合物のさらなる代表的な例には、限定されないが、上記の一般式Iを有するアミン−ボラン化合物、例えば、1−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−2−エノール・シアノボラン、(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ジメチル−アミン・シアノボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ブタ−3−エニル−ジメチル−アミン・シアノボラン、トリメチル−アミン・シアノジブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノボランおよびジメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン・シアノボランが含まれる。
本明細書中上記で記載されたように、本発明の関連での使用のために好適であるさらなるアミン−ボラン化合物はアミノ・ビス−ボラン化合物であり、例えば、一般式IIを有するそのような化合物などである。
上記の式IIに示されるように、そのようなアミノ・ビス−ボラン化合物は、(式IIにおいてAとして示される)炭化水素成分によってその間が連結される2つのアミノボラン成分を有する。そのような炭化水素成分は、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状、置換または非置換が可能であり、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する。
本発明の好ましい実施形態において、そのような炭化水素は、5〜20個の炭素原子を有する飽和した非置換の炭化水素である。好ましくは、そのような炭化水素は10〜20個の炭素原子を有し、より好ましくは10〜14個の炭素原子を有する。そのような炭化水素を有するアミノ・ビス−ボラン化合物もまた、上記の米国仮特許出願第60/716082号において、また、本出願人によるPCT国際特許出願(代理人整理番号:32587)において開示される。
従って、本発明の関連での使用のために好適である、一般式IIを有するアミン・ビス−ボラン化合物の代表的な例には、限定されないが、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・シアノボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノジブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−カルボキシボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−ドデカン−1,12−ジアミン・ビス−シアノボランおよびN,N,N’,N’−テトラメチル−テトラデカン−1,14−ジアミン・ビス−シアノボランが含まれる。
本発明を実施に移し、また、本明細書中に示される化合物を抗菌活性について調べているとき、下記の実施例の節において示されるように、これらの化合物の効力が、一般式Iおよび一般式IIを有する化合物のR〜RまたはR〜Rの1つ以上におけるN−アルキル鎖の長さに強く関係づけられることが一般に認められた。化合物K−Rについて明らかにされるように、アルキル鎖が長くなるほど、化合物はより大きい生物活性の活性を示した(下記の表1を参照のこと)。従って、本発明によれば、一般式Iおよび一般式IIを有する化合物のR〜RまたはR〜Rの1つ以上についての好ましい鎖長、特に、式IにおけるR〜Rの1つ以上に対する好ましい鎖長は、11〜15個の炭素の長さの鎖であり、より好ましくは、15個の長さ(C15)の鎖である。
より長いN−アルキル−N鎖を有する化合物がより大きい生物活性の活性を示したことがさらに見出された。従って、一般式IIにおけるA(N−アルキル−N鎖)の好ましい長さは、本発明によれば、14個の炭素の長さの鎖(C14)である。
一般式Iおよび一般式IIを有する化合物のR〜RまたはR〜Rの1つ以上のいずれかのアルキル基の末端結合における不飽和なC=C結合の存在、特に、式IにおけるR〜Rの1つ以上における不飽和なC=C結合の存在は、化合物K−Dおよび化合物K−Vについて下記の実施例の節において明らかにされるように、その生物学的活性を劇的に高めたことがさらに見出された。
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
材料および方法
下記のアミン−ボラン化合物を、発表された手順に従って調製した:(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−B)[15]、エチル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−C)[17]、ブタ−3−エニル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−D)[17]、トリメチル−アミン・シアノジブロモボラン(K−E)[Takrouri他、J.Organometallic Chem.y、2005、690、4150;Gyori他、Inorg.Chim.Acta、1994、218、21]、トリメチル−アミン・シアノボラン(K−F)[Wisian−Neilson他、Inorg.Chem.、1978、17、2327]、ブチル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−G)[17]、ペンチル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−H)[17]およびジメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン・シアノボラン(K−K)[17]。
下記のアミン−ボラン化合物を、米国仮特許出願第60/716082号、および、本出願と同じ日に同時出願される本出願人によるPCT国際特許出願(代理人整理番号:32587)に記載される手順に従って調製した:1−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−2−エノール・シアノボラン(K−A)、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノボラン(K−I)、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノブロモボラン(K−I)、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノジブロモボラン(K−I)、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロブロモボラン(K−I)、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロボラン(K−I)、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・シアノボラン(K−J)、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノブロモボラン(K−J)、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノジブロモボラン(K−J)、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−カルボキシボラン(K−J)、ドデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−L)、N,N,N’,N’−テトラメチル−ドデカン−1,12−ジアミン・ビス−シアノボラン(K−M)、N,N,N’,N’−テトラメチル−テトラデカン−1,14−ジアミン・ビス−シアノボラン(K−N)、1−ジメチルアミノ−2−メチル−オクタン−2−オール・シアノボラン(K−O)、ジメチル−ノニル−アミン・シアノボラン(K−P)、ジメチル−トリデシル−アミン・シアノボラン(K−Q)、ジメチル−ペンタデシル−アミン・シアノボラン(K−R)、ヘプタデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−S)、1−ジメチルアミノ−ドデカン−2−オール・シアノボラン(K−T)、ヘキサ−5−エニル−ジメチル−アミン・シアノボラン(K−V)、1−ジメチルアミノ−ウンデカン−2−オール・シアノボラン(K−U)、トリメチル−アミン・シアノフルオロボラン(化合物1)、エチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン(化合物2)、ブチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン(化合物3)、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル(化合物4)、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・エチルエステル(化合物5)、エチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル(化合物6)、ブチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル(化合物7)、トリメチル−アミン・シアノジフルオロボラン(化合物8)、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・メチルエステル(化合物9)、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・エチルエステル(化合物10)、トリメチル−アミン・シアノフルオロブロモボラン(化合物11)、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロブロモボラン・エチルエステル(化合物12)およびトリエチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン(化合物13)。
(実施例1)
抗真菌活性アッセイ
アミン・ボラン化合物の抗真菌活性を、下記に詳しく記載されるように、ミクロブロス(microbroth)希釈法によるインビトロ感受性試験を使用して求めた。
数種の酵母株を感受性試験のために使用した:すなわち、Candida albicans CBS562(ヒトにおける酵母感染症の主要な共通原因の基準タイプ株;Centraalbureau voor Schimmelcultures、Utrecht、オランダ)および2つの臨床単離体(607および615);Candida glabrata4210;Candida glabrata4475、アゾール系薬剤に対して抵抗性があることが既知である酵母株;Candida glabrata566、同572、同578、同646および同648、ならびに、Candida krusei603および同638;Candida glabrata4681;Candida glabrata4787;Saprolegnia parasitica T1(熱帯魚における重篤な疾患(ミズカビ病)および甚だしい経済的損害を引き起こす、今日まで効果的な治療がないミズカビ)、ならびに、カビAspergillus fumigatus ATCC64026(基準株;The American Type Culture Collection、Manassas、VA)(免疫低下宿主におけるカビ感染症の主原因であり、また、ニワトリにおける菌類感染症の主原因でもあるカビ)。加えて、すべての単離体がHadassah−Hebrew University Medical Centerからの播種性カンジダ血症患者から得られた(単離体番号は施設でのインデックスを示す)
試験された化合物のそれぞれに対する試験株のインビトロ感受性を、酵母についてのNational Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS/CLSI)の酵母についての推奨法(M27−A241)[10]および糸状菌についての推奨法(M−38A42)[27]に従ってブロス微量希釈法によって求めた。簡単に記載すると、ストック溶液からの薬物の2倍連続希釈物を、0.165Mのモルホリンプロパンスルホン酸(MOPS;Sigma)および1MのNaOHにより7.0の最終pHに緩衝化され、ろ過により滅菌されたRPMI−1640ブロス培地(Sigma、St.Louis、MO.)において調製し、1mlあたり10個の細胞を接種した。10mg/mlのストック溶液を、様々なアミン・シアノボラン化合物について、また、コントロールとして使用された2つの従来の抗真菌剤のアンホテリシンB(これは本明細書中ではCAF1として示される)およびフルコナゾール(これは本明細書中ではCAF2として示される)についてジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma)において調製した。試験における最終的な薬物濃度は0.1mlの最終体積において1024mg/L〜4mg/Lの範囲であった。
最小殺真菌剤濃度(MFC)を、35℃での72時間のインキュベーションの後におけるそれぞれの透明なウエルの20μlを薬物非含有SDA平板に置床した後で陰性の培養物をもたらす薬物の最も低い濃度として確立した。
具体的には、真菌の接種物を、SDA平板(Difco、Detroit、MI)での24時間(Candida sp.について)または72時間(A.fumigatusについて)の培養物から調製した。接種物を、単一コロニーの酵母を無菌の生理的食塩水のチューブに集めることによって集めた。カビ培養物を、0.05%(v/v)Tween−20(Difco)の懸濁物を含有する無菌の生理的食塩水により平板において懸濁し、ピペットで無菌のチューブに入れ、破片を沈降させるために30分間静置した。その後、上清を新しいチューブに移した。酵母およびカビの両方をRPMI−1640ブロス培地に希釈して、最初の懸濁物を血球計算器により計数することによって測定されたとき、Candidaについては1mlあたり2X10個の酵母、および、Aspergillusについては1mlあたり2X10個の胞子の最終的な接種物濃度を作製した。連続希釈された薬物の0.1mlを含有する微量希釈物ウエルに、得られた懸濁物の0.1mlを接種した。薬物懸濁物による希釈の後での最終的な接種物濃度は10細胞/ml〜10細胞/mlであった。薬物非含有培地および接種物を含有する2つのウエルをコントロールとして使用した。接種された平板を35℃で24時間(Candidaについて)または72時間(A.fumigatusについて)インキュベーションした。その後、それぞれのウエルにおける成長を目視により推定した。MICを目視により求め、成長が完全に認められなかった最も低い薬物濃度(MIC−0)として定義した。
アミン−ボラン化合物の抗真菌活性の結果が下記の表1に示される。表1には、様々な真菌に対する様々な化合物のMIC値がμmol/リットルまたはmg/リットルで示される。
表1のA欄は、Candida albicans CBS562に対する抗真菌活性を示す。
表1のB欄は、Candida albicans607に対する抗真菌活性を示す。
表1のC欄は、Candida albicans615に対する抗真菌活性を示す。
表1のD欄は、Candida glabrata4210に対する抗真菌活性を示す。
表1のE欄は、Candida glabrata4475(アゾール系薬剤に対して抵抗性である)に対する抗真菌活性を示す。
表1のF欄は、Candida glabrata4681に対する抗真菌活性を示す。
表1のG欄は、Candida glabrata4787に対する抗真菌活性を示す。
表1のH欄は、Saprolegnia parasitica T1に対する抗真菌活性を示す。
表1のI欄は、Aspergillus fumigatus64026に対する抗真菌活性を示す。
表1において認められ得るように、多様な構造を有するアミン・シアノボラン類はかなりの抗真菌活性を示した。特に著しい活性が、例えば、化合物K−I、化合物K−Iおよび化合物K−Nなどのアミン・シアノボラン化合物に関して明らかにされた(下記の表2における項目9、項目11および項目20をそれぞれ参照のこと)。
構造活性相関(SAR)研究:
多くの関係が、本発明によるアミン・シアノボラン類およびアミン・カルボキシボラン類およびそれらの誘導体の構造の、それらの抗真菌活性に関して認められた。
アルキルジメチルアミン・シアノボラン類におけるN−アルキル鎖の長さの影響(上記の式IIIにおけるR〜R10を参照のこと):
化合物K−F、化合物K−C、化合物K−G、化合物K−H、化合物K−P、化合物K−L、化合物K−Qおよび化合物K−R(表2における対応する項目6、項目5、項目7、項目8、項目22、項目18、項目23および項目24を参照のこと)はRNMe−BHC≡Nの一般構造を有し、R=(CH基におけるN−アルキル鎖の長さ(n)が異なる。
表2において認められ得るように、より長いN−アルキル鎖を有する化合物は、より大きい抗真菌活性を示した。最適化された鎖長は化合物K−Rについてであった(N−アルキル基においてC15)。鎖長は、C17をN−アルキル基に有する化合物K−Sでのように、より長い鎖長を使用する試みは溶解性の問題をもたらしたので、この長さに制限された。
ジアミン・シアノボラン類についてジアミン・ビス−シアノボラン化合物におけるN−アルキル−N鎖の長さの影響(上記の式IIを参照のこと):
化合物K−J、化合物K−Mおよび化合物K−N(表2における対応する項目13、項目19および項目20を参照のこと)はN≡CBHMeN−(CH−NMe−BHC≡Nの一般構造を有し、N−アルキル−N鎖の長さ(n)が異なる。
表2において認められ得るように、より長いN−アルキル−N鎖を有する化合物は、不溶性の限界に到達するまで、より大きい抗真菌活性を示した。より長い鎖長を有する化合物(C16以上、データは示されず)を形成する試みは溶解性の問題をもたらしたので、最適化された鎖長が化合物K−Nにおいて示される(N−アルキル基においてC14)。
表2において認められ得るように、本発明の化合物の臭素化は一般に抗真菌活性を高める。ジブロモ誘導体の化合物K−Eを与えるための化合物K−Fの臭素化は、C.albicans CBS562に対する活性を5100μmol/Lから1970μmol/Lに高めた。同様に、モノブロモ誘導体の化合物K−Jおよびジブロモ誘導体の化合物K−Jへの化合物K−Jの臭素化は、C.albicans CBS562に対する活性を、化合物K−Jについての408μmol/Lから、化合物K−Jおよび化合物K−Jについて140μmol/Lおよび104μmol/Lにそれぞれ高め、これに対して、化合物K−I、化合物K−Iおよび化合物K−Iを与えるための化合物K−Iの臭素化またはフッ素化はそのような影響を有していなかった。臭素化はフッ素化に比べて抗真菌活性を大幅に高めることが見出された。
表2においてさらに認められ得るように、アルキル基における不飽和なC=C二重結合の存在は、化合物K−Gおよび化合物K−Dにおいて見られるように活性を劇的に高めた。この場合、C.albicans CBS562に対するMIC値が、C=C二重結合がアルキル基の末端に存在するとき、3570μmol/Lから470μmol/Lに低下した。化合物K−Hおよび化合物K−Vについては、増大したN−アルキル鎖長による活性に対する影響は、メチレン(CH)ユニットの違いを考慮に入れた場合、一層大きくなっていた。
表2においてさらに認められ得るように、アミン・シアノボラン化合物の他の構造的修飾、例えば、化合物K−O、化合物K−U、化合物K−T、化合物K−Aおよび化合物K−Rでのような一般式IIIでのR〜R10の1つにおけるヒドロキシル基の付加、化合物K−BでのR〜R10の1つにおける芳香族基の付加、化合物K−Aでのような不飽和な環状基の付加、ならびに、化合物K−Kでのようなシリル基の付加などは、これらの化合物の抗真菌活性における著しい増強をもたらさなかった。
アミン・カルボキシボラン誘導体へのアミン・シアノボラン類の変換の影響:
下記の表2において認められ得るように、C.albicans CBS562に対する抗真菌活性が、化合物K−J(表2における項目13を参照のこと)についての408μmol/Lから、そのカルボキシボラン誘導体の化合物K−J(表2における項目16を参照のこと)についての188μmol/Lに高まった。
表2においてさらに認められ得るように、アミン・シアノボラン化合物およびその誘導体は、Candida glabrata4475(これはアゾール系薬剤に対して抵抗性があることが既知である)に対する活性を有する(下記の表2における項目6を参照のこと)。
下記の表2から結論され得るように、現在最も有望な化合物はジメチル−ウンデシル−アミン・シアノボラン(化合物K−I)であり、これはまた、カビ、典型的には、抗真菌剤に対してより抵抗性であるカビに対して試験され、SaprolegniaおよびAspergillusの両方に対する劇的な活性を示した。そのうえ、化合物K−I、化合物K−Iおよび化合物K−IはRhizopus oryzaeに対する活性をほとんど有さず、MICが63μg/mlであった。
抵抗性株に対する従来の抗真菌剤の抗真菌活性に対する抗真菌活性の比較:
下記の表1においてさらに認められるように、試験された真菌株に対して本明細書中に記載される新規なアミン−ボラン類について得られたMIC値を、従来の抗真菌薬物であるアンホテリシンBおよびフルコナゾールについて得られたMIC値と比較した。これらの真菌株はこれらの薬物に対して抵抗性がないので、本明細書中上記で記載されたプロトコルを使用して、フルコナゾールに対して抵抗性があることが既知である真菌株の感受性を試験した。
下記の表2は、μmol/Lまたはμg/mlで与えられ、また、2つの従来からの抗真菌剤のアンホテリシンB(CAF1)およびフルコナゾール(CAF2)に対して比較される、現時点で優れているアミン・シアノボラン化合物の化合物K−Iおよび化合物K−Iについて行われた抗真菌アッセイの結果をまとめたものであり、これらの結果は、様々な真菌株、具体的には、フルコナゾールに対して抵抗性である真菌株に対する化合物K−Iおよび化合物K−IのMIC値によって反映される。
表2において認められ得るように、化合物K−Iは、すべての真菌に対して非常に活性である。表2においてさらに認められ得るように、かなり大きいフルコナゾールMICをもたらすCandida globrataの単離体、および、フルコナゾールに対して本来的に抵抗性があるとして既知であるC.kruseiの単離体は、リード化合物の化合物K−Iおよびそのジブロモ誘導体の化合物K−Iに対して非常に感受性であり、これらの化合物は、フルコナゾールにより得られたMIC値よりもはるかに低いMIC値を示した。これらの結果は、従来の薬物が強力な抗真菌剤でない場合には特に、これらの化合物が強力な抗真菌剤になり得ることを強く示唆している。
Figure 2009507915
(実施例2)
抗リーシュマニア活性アッセイ
本明細書中に示される化合物をさらに、(リーシュマニア(疾患を動物およびヒトにおいて引き起こす本明細書中上記で議論される寄生性の有鞭毛原生動物)に対する)抗リーシュマニア活性について調べた。この目的のために、リーシュマニアの様々な株を、20%ウシ胎児血清を含有するSchneiders培地またはRPMI1640培地(Bet−Haemek、イスラエル)のいずれかで、最適な条件のもとで成長させた。いくつかの株を、L.tropica感染者、L.major感染者およびL.infantum感染者から単離した。いくつかの株(L.donovaniを含む)を、Hebrew University of JerusalemにおけるKuvin Centreにある世界保健機関のLeishmania Strain Bankから受け取った。これらの株はCLリーシュマニア症およびVLリーシュマニア症を表す。プロマスティゴートおよび純粋培養のアマスチゴートを発表の通りに成長させた[20]。
本発明の例示的アミン・ボラン化合物である化合物K−Iのインビトロ抗リーシュマニア効果をプロマスティゴート(リーシュマニア属寄生虫の有鞭毛段階)に対して求めた。3日または4日の成長の後、寄生虫を洗浄し、ウシ胎児血清を含有する新鮮な培地で200μlにおいて15x10個のプロマスティゴートの濃度に再懸濁し、平底ウエルに分配した。プレートを、5%CO、5%Oおよび90%Nの雰囲気で、加湿チャンバーにおいて28℃でインキュベーションした。24時間後、0.5μCiの[H]チミジンをそれぞれのウエルに加え、寄生虫をさらに24時間インキュベーションし、その後、ガラス製マイクロファイバーフィルター上に集めた。放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。それぞれの治療を三連で行った。結果をパーセント成長阻害[(100−薬物含有ウエルのcpm)/非処理ウエルのcpm]x100(cpmは1分あたりのカウント数を表す)として表し、MIC値をμg/mlで表す[Golenser,J.他、1999、Antimicrob.Agents Chemother.、43:2209〜2214]。
化合物K−Iのインビトロ抗リーシュマニア効果をアマスチゴート(リーシュマニア属寄生虫の、細胞質内の非鞭毛形態)に対してさらに調べた。腹腔マクロファージを、3%チオグリコラートにより4日間〜5日間にわたって事前に刺激された10週齢〜12週齢の異系交配マウスから得た。マクロファージを、8ウエルのスライドに、ウエルあたり300μlにおいて2.5x10個の細胞に分配し、細胞接着を可能にするために、37℃および5%COで3時間インキュベーションした。上清を捨て、プロマスティゴート(ウエルあたり8x10個〜10x10個)を加えた。一晩のインキュベーションの後、化合物K−Iを含有する新鮮な培地をさらに24時間〜48時間加えた。この期間が終了したとき、ウエルを洗浄し、メタノールにより固定処理し、ギムザ(CAS No:51811−82−6)により染色した。それぞれの治療を二連のウエルで行った;それぞれのウエルにおける100個のマクロファージ、および、マクロファージが含有するアマスチゴートの数を計数し、MIC値をμg/mlで表した。
化合物K−Iで得られた結果を、下記の表3において、さらに図1において示した。表3は、試験された用量(μM/mlで示される)の各々について寄生虫サンプルについて記録された1分あたりのカウント数(cpm)で示される放射能を示す。図1において認められ得るように、生存する寄生虫を示す測定された放射能が、アミン−ボラン化合物の用量が増大するにつれ、急速に低下しており、このことは強くかつ用量依存的な抗リーシュマニア効果を示している。
Figure 2009507915
(実施例3)
抗マラリア活性アッセイ
本明細書中に示される化合物を、(P falciparum(マラリアを引き起こす本明細書中上記で議論される寄生性の原生動物)に対する)抗マラリア活性についてさらに調べた。この目的のために、P falciparumの培養物を低酸素雰囲気下で標準的な方法によってヒト赤血球において成長させた。培養培地は、40mMのHEPES、25mg/リットルの硫酸ゲンタマイシン、10mMのD−グルコース、2mMのグルタミンおよび8%の熱不活化血漿が補充されたRPMI1640であった。
P falciparumの成長を、Desjardins,R.E.、1979、Antimicrob.Agents Chemother.、16:710〜718に記載される方法に従って、放射能標識された核酸前駆体の[H]ヒポキサンチンの取り込みを測定することによって評価した。
化合物K−I(本発明の例示的なアミン−ボラン化合物)の抗マラリア効果を上記の記載のように求めた。化合物K−IをDMSOに溶解し、0.5μg/mlから100μg/ml(最終濃度)に及ぶ濃度の11個のサンプルを96ウエル培養プレートにおいて二連で分配し、層流フードにおいて乾燥した。寄生虫のインビトロ応答を、Desjardins他によって開発された同位体マイクロテストによって求めた。感染している赤血球を、10%ウシ胎児血清を含む完全RPMI1640培地に1.0%〜2.5%のヘマトクリット媒体で懸濁した。懸濁物(200μl)をそれぞれのウエルに分配した。初期の寄生虫血が1%以上であったならば、寄生虫血を、新鮮な非感染の赤血球を加えることによって0.6%に調節した。寄生虫の成長を、H−ヒポキサンチンを加えることによって、37℃での24時間のインキュベーションの後で評価した。細胞をさらに15時間インキュベーションし、その後、ガラス繊維フィルターでのろ過によって集め、放射能を計数した。[G−H]ヒポキサンチンの寄生虫コントロール取り込みおよび寄生虫非処理の赤血球コントロール取り込みについての平均値を1分あたりの崩壊数から計算した。IC50を、Sigmaplotコンピュータープログラムを使用してデータの非線形回帰近似によって求めた。
化合物K−Iの抗マラリア効果について得られた結果を、下記の表4において、さらに図2において示した。表4は、試験された用量(μM/mlで示される)の各々について寄生虫サンプルについて記録された1分あたりのカウント数(cpm)で示される放射能を示す。明確な用量依存性の効果が見られる。図2において認められ得るように、1分あたりのカウント数(cpm)で示される、生存する寄生虫を示す測定された放射能が、アミン−ボランの用量が増大するにつれ、急速に低下しており、このことは強くかつ用量依存性の抗マラリア効果を示している。
Figure 2009507915
(実施例4)
毒性研究
魚類における毒性研究:
化合物K−I(本発明の例示的なアミン−ボラン化合物)を下記のように魚類におけるその毒性について調べた:連鎖球菌属に対してワクチン接種された、寄生虫を有しない雑種テラピア(スズキ目(Periformes)カワスズメ科(Cichlidae))(50グラム)を21℃の一定温度で飼育した(10匹/100リットル)。
化合物K−IのDMSOにおけるストック溶液(10mg/リットル)を、下記の最終的な濃度を達成するように水槽に加え、水中に均一に広げた:3mg/リットル(マクロ希釈法によって求められたとき、S.parasitica T−1に対するKIのMIC値に等しい)、10mg/リットルおよび30mg/リットル(MIC値の10倍)。DMSO単独(30mg/リットル)が水槽に加えられ、コントロールとして役立った。
魚の死亡を、“魚類について毒性試験手順”、Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater(第16版、1985、American Public Health Association;Washington,DC、USA、Franson,AH.(編)、810頁〜819頁)に記載されるように、化合物を加えた後の24時間および48時間で記録した。
水のパラメーターを添加後の24時間および48時間で測定した。下記の結果が得られた:NH、約0mg/リットル;NO、約0.5mg/リットル;pH8.00;Cl、385mg/リットル。これらの結果は、実験期間中を通して水の品質における変化が全くないことを示している。
テラピアに対する化合物K−Iの毒性アッセイの結果が下記の表5に示される。結果は、化合物の3つの試験された濃度における10匹の魚(アッセイあたり10匹の魚)のパーセント死亡率として示される。
Figure 2009507915
表5から認められ得るように、化合物K−Iは、3mg/リットルおよび10mg/リットルの濃度において魚に対して非毒性であることが見出された。わずかな毒性がそれよりも高い濃度において認められた。魚類において重篤な疾患を引き起こす寄生生物のミズカビ(Saprolegnia parasitica)に対する化合物K−IのMICは1リットルあたり1mg〜3mgである(表1の項目10および項目9を参照のこと)が、これらの結果は、これらの活性な濃度およびより高い濃度において、この化合物が魚類における使用について安全であることを明瞭に示している。
ラットでの急性毒性研究:
本明細書中に記載される新規な化合物の急性毒性を、Falk他によって記載される方法[27]に従って求めた。簡単に記載すると、体重が約30グラムであるオスのICRマウスに、本明細書中に示されるような例示的なアミン−ボラン化合物の様々な用量、および、コントロールとしてのFungizone(アンホテリシンBデオキシコラートのミセル配合物、Bristol−Myers−Squibb、Dublin、アイルランド)を尾静脈により注射した。それぞれの投薬形態物(Fungizone、0.1mg/ml;および例示的なアミン−ボラン化合物、生理的食塩において1mg/ml〜2mg/ml)を、死亡が認められるまで、3匹のマウスから成る群に10分毎に同じ用量の単回ボーラス注射(0.12ml)として静脈内投与した。最大耐量(MTD)が与えられたマウスの生存を8日間にわたってモニターした。
本発明の化合物の安全性を調べるために、ICRマウスを8日の実験期間内に死亡させないMTDを、Fungizoneをコントロールとして使用して、2つの例示的な化合物について、すなわち、化合物K−Iおよび化合物K−Iについて求めた。両方の化合物についての平均の計算MTD値はそれぞれ、121.9μmol/kgおよび73.1μmol/kgであった。FungizoneについてのMTDは2.6μmol/kgであった。これらの投薬量を受けたマウスの臨床的徴候、体重、および、(8日目での)全体的な検死における変化は何ら認められなかった。これらのMTD値は、化合物K−Iにより得られたインビトロMIC値のMTD値を十分に上回っていた(表1を参照のこと)。また、MTD値と、MIC値との比率は、アンホテリシンBにより得られた比率に匹敵しており、このことは、低下した毒性、および、潜在的な治療的可能性を示している。
多回用量毒性(慢性毒性):
本明細書中に記載される化合物を慢性毒性について試験する。本発明のそれぞれの化合物の5回の連続した毎日の治療的用量の0.2mlでの静脈内注射の安全性を、10匹のマウスからなる群を用いて調べる。生存を30日間までモニターする。
(実施例5)
組織病理学的評価
記載された化合物の組織病理学的プロフィルを調べる。試験化合物を、それぞれが20グラム〜25グラムである10匹のオスのアルビノBALB/c免疫適格非感染マウスからなる群に5日間連続して0.2mlの単回ボーラス注射によって静脈内投与する。用量は、本明細書中上記で記載されるようなMTDに従って決定される。最初の注射を行った7日後、マウスをCO窒息によって屠殺し、内部の器官/組織を取り出し、重量測定し、下記のように処理する。
器官/組織を10%中性緩衝化ホルマリンで固定処理する。組織を処理し、パラフィンに包埋し、5μm〜6μmの切片で切断し、治療群の内容が知らされていない有資格の毒性学病理学者によって行われる顕微鏡検査のためにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)により染色し、毒性学組織病理学についての最良実施指針[22]に従って組織病理学的変化についてスコア化する。
(実施例6)
動物モデルにおける治療効力研究
本明細書中に記載される化合物の効力を全身性カンジダ症のマウスモデル[21]および侵入性アスペルギルス症のマウスモデル[23]において調べる。実験のすべてで、酵母または胞子を0.1mlの懸濁物の単回ボラーラス注入によってオスのアルビノBalb/cマウス(それぞれが20±3グラム)の尾静脈に注入する。接種量は、30℃でインキュベーションされたサブロー・デキストロース寒天培地での24時間の培養(カンジダ)または5日〜7日の培養(アスペルギルス)からの、動物あたり約10個の細胞である。酵母および胞子の濃度は血球計数器での計数によって求められる。生菌数が、30℃での2日間〜5日間のインキュベーションの後でのサブロー・デキストロース寒天培地におけるコロニー形成ユニット(CFU)として測定される。
死亡率に加えて、ホモジネート化された器官のCFUによって測定されるような標的器官(カンジダ症での腎臓およびアスペルギルス症での肺)における増殖をモニターする。マウスのアスペルギルス症モデルでは、一時的な免疫抑制が、感染を達成するために必要となり、これは感染48時間前での200mg/kgのシクロホスファミド(Sigma)の静脈内注射によってもたらされる。
上記で記載されるように感染させたマウスを、様々な用量で、本明細書中に記載される化合物により治療する。10匹の感染マウスがそれぞれの治療のために使用される。それぞれの群が別個のケージで飼育される。治療をそれぞれの化合物の単回ボーラス量(0.2ml)の注射による注射の後24時間で始め、5日間連続する。生理的食塩水のみにより治療される10匹の感染マウスからなるコントロール群がコントロールのために含められる。それぞれの群における生存動物の数を30日の期間わたって毎日記録する。生存データの結果を、コルモゴロフ・スミルノフの適合度手法を使用して分析する。
(実施例7)
細胞毒性学アッセイ
本明細書中に記載される化合物の細胞毒性をMTTアッセイによって求める。MTT細胞増殖アッセイは、黄色のテトラゾリウム塩MTTが代謝活性な細胞によって紫色のホルマザン結晶に切断されることに基づく[24〜25]。細胞によるこの還元には、ピリジンヌクレオチド補因子のNADHおよびNADPHが関与する[26]。形成されたホルマザン結晶が可溶化され、得られた有色溶液が、走査型マルチウエル分光光度計(ELISAリーダー)を使用して定量される。細胞数の増大または減少は、形成されたホルマザンの量における変化を同時にもたらし、その変化により、試験化合物によって引き起こされる細胞毒性の程度が示される。
Figure 2009507915
Figure 2009507915
Figure 2009507915
Figure 2009507915
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許および特許願はすべて、個々の刊行物、特許および特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
Figure 2009507915
Figure 2009507915
ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)株に対する用量応答アッセイによって求められたときの化合物K−Iの抗リーシュマニア効果を示すプロットを示す。 熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)株に対する用量応答アッセイによって求められたときの化合物K−Iの抗マラリア効果を示すプロットを示す。

Claims (49)

  1. 病原微生物に関連する病状を治療する方法であって、その必要性のある対象に治療効果的な量のアミン−ボラン化合物を投与することを含む方法。
  2. 病原微生物に関連する病状の治療におけるアミン−ボラン化合物の使用。
  3. 病原微生物に関連する病状を治療するための医薬品を調製するための、アミン−ボラン化合物の使用。
  4. 有効成分としてアミン−ボラン化合物を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む、病原微生物に関連する病状の治療における使用のために特定された医薬組成物。
  5. 包装材に包装され、かつ、前記病状の治療における使用のために、前記包装材の内部またはその表面において印刷により特定される、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記病原微生物は薬物抵抗性の微生物である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法、使用、または組成物。
  7. 前記病原微生物は、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および寄生生物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法、使用、または組成物。
  8. 前記アミン−ボラン化合物は、それ自体で、または、医薬的に許容され得るキャリアをさらに含む医薬組成物の一部として、投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記病状は、細菌感染症、真菌感染症、原生動物感染症、マラリアおよびリーシュマニア症からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法、使用、または組成物。
  10. 病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療する方法であって、その必要性のある対象に治療効果的な量のアミン−ボラン化合物を投与することを含む方法。
  11. 病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状の治療におけるアミン−ボラン化合物の使用。
  12. 病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状を治療するための医薬品を調製するための、アミン−ボラン化合物の使用。
  13. 有効成分としてアミン−ボラン化合物を含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む、病原性の薬物抵抗性微生物に関連する病状の治療における使用のために特定された医薬組成物。
  14. 包装材に包装され、かつ、前記病状の治療における使用のために、前記包装材の内部またはその表面において印刷により特定される、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 前記病原性の薬物抵抗性微生物は、原核生物、ユーバクテリア、古細菌、真核生物、酵母、真菌、藻類、原生動物および寄生生物からなる群から選択される、請求項10〜14のいずれかに記載の方法、使用、または組成物。
  16. 前記病原性の薬物抵抗性微生物は少なくとも1つの従来の抗菌剤に対して抵抗性がある、請求項15に記載の方法、使用、または組成物。
  17. 前記従来の抗菌剤は、ポリエン系抗真菌剤、アンホテリシンB、ナイスタチン、ピマリシン、アンホテリシンBのリポソーム配合物(AmBisome、Abelcet、Amphocil)、アゾール系抗真菌剤、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾレアンボリコナゾール、ポサコナゾールクロトリマゾール、ミコナゾール、アリルアミン系抗真菌剤およびモルホリン系抗真菌剤、アリルアミン系化合物(ナフチフィン、テルビナフィン)、代謝拮抗剤系抗真菌剤、5−フルオロシトシン、真菌細胞壁阻害剤、カスポファンギン、ミカファンギン、アニズラファンギンからなる群から選択される、請求項16に記載の方法、使用、または組成物。
  18. 前記アミン−ボラン化合物は、それ自体で、または、医薬的に許容され得るキャリアをさらに含む医薬組成物の一部として、投与される、請求項10に記載の方法。
  19. 前記病状は、細菌感染症、真菌感染症、原生動物感染症、マラリアおよびリーシュマニア症からなる群から選択される、請求項10〜18のいずれかに記載の方法、使用、または組成物。
  20. 基質に抗菌効果的な量のアミン−ボラン化合物を適用することを含む、基質における微生物の量を低下させる方法。
  21. 前記微生物は薬物抵抗性の微生物である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記基質は、構築物、貯蔵容器、土壌、農作物、園芸作物、農産物、食品製造物、化粧品製造物、塗料、材木および建築用材料からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  23. 製造物と、抗菌効果的な量のアミン−ボラン化合物とを含む製造品。
  24. 前記製造物は、食品製造物、農産物、化粧品製造物、塗料、建築用材料および材木からなる群から選択される、請求項23に記載の製造品。
  25. 前記アミン−ボラン化合物が、下記の一般式Iまたは一般式IIまたはその医薬的に許容され得る塩を有する、請求項1〜24のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品:
    Figure 2009507915
    上記式において、Y、YおよびYはそれぞれが独立して、シアノ基(−C≡N)、−C(=O)Ra基、アミンおよびアルキルからなる群から選択され、ただし、Raは、水素、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、チオールおよびアミンからなる群から選択される;
    〜Xはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ハロ、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択される;
    〜Rはそれぞれが独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびアリールからなる群から選択されるか、あるいは、R〜Rのうちの2つ、RおよびR、および/または、RおよびRは炭素環式の環を形成する;および
    Aは、1〜20個の炭素原子を有する置換または非置換の飽和した炭化水素または不飽和の炭化水素である。
  26. 前記アミン−ボラン化合物は一般式Iを有する、請求項25に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  27. は、シアノ基(−C≡N)および−C(=O)Ra基からなる群から選択される、請求項26に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  28. Raは、水素およびアルコキシからなる群から選択される、請求項27に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  29. 前記アルコキシは、メトキシおよびエトキシからなる群から選択される、請求項28に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  30. およびXはそれぞれが独立して、水素およびハロからなる群から選択される、請求項26〜29のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  31. およびXの少なくとも1つがハロである、請求項30に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  32. 前記ハロは、フルオロおよびブロモからなる群から選択される、請求項31に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  33. 〜Rのそれぞれがアルキルである、請求項26〜30のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  34. 前記アルキルは、メチル、エチルおよびn−ブチルからなる群から選択される、請求項33に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  35. 前記R〜Rの少なくとも1つがC〜C20アルキルである、請求項26〜33のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  36. 前記アミン−ボラン化合物は、1−ジメチルアミノメチル−シクロペンタ−2−エノール・シアノボラン、(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−ジメチル−アミン・シアノボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ブタ−3−エニル−ジメチル−アミン・シアノボラン、トリメチル−アミン・シアノジブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ペンチル−ジメチル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノブロモボラン、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノジブロモボラン、ジメチル−トリメチルシラニルメチル−アミン・シアノボラン、ドデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−オクタン−2−オール・シアノボラン、ジメチル−ノニル−アミン・シアノボラン、ジメチル−トリデシル−アミン・シアノボラン、ジメチル−ペンタデシル−アミン・シアノボラン、ヘプタデシル−ジメチル−アミン・シアノボラン、1−ジメチルアミノ−ドデカン−2−オール・シアノボランおよび1−ジメチルアミノ−ウンデカン−2−オール・シアノボランからなる群から選択される、請求項26に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  37. 前記アミン−ボラン化合物は、ジメチル−ウンデシル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・シアノフルオロボラン、エチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、ブチル−ジメチル−アミン・シアノフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・エチルエステル、エチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、ブチル−ジメチル−アミン・カルボキシフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・シアノジフルオロボラン、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・メチルエステル、トリメチル−アミン・カルボキシジフルオロボラン・エチルエステル、トリメチル−アミン・シアノフルオロブロモボラン、トリメチル−アミン・カルボキシフルオロブロモボラン・エチルエステル、トリエチル−アミン・カルボキシジフルオロボランおよび(2−フルオロ−ノニル)−ジメチル−アミン・シアノボランからなる群から選択される、請求項26に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  38. 前記アミン−ボラン化合物は一般式IIを有する、請求項25に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  39. およびYのそれぞれが、シアノ基(−C≡N)である、請求項38に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  40. およびYのそれぞれが、−C(=O)Ra基である、請求項38に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  41. Raは、水素およびアルキルからなる群から選択される、請求項40に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  42. 、X、XおよびXのそれぞれが独立して、水素およびハロからなる群から選択される、請求項38〜41のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  43. 〜Xの少なくとも1つがハロである、請求項42に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  44. 前記ハロは、フルオロおよびブロモからなる群から選択される、請求項43に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  45. 前記R〜Rのそれぞれがアルキルである、請求項38〜42のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  46. 前記アルキルはメチルである、請求項45に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  47. Aは、飽和した非置換の炭化水素である、請求項38〜46のいずれかに記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  48. 炭化水素は1〜20個の炭素原子を有する、請求項47に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
  49. 前記アミン−ボラン化合物は、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・シアノボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−シアノジブロモボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−デカン−1,10−ジアミン・ビス−カルボキシボラン、N,N,N’,N’−テトラメチル−ドデカン−1,12−ジアミン・ビス−シアノボランおよびN,N,N’,N’−テトラメチル−テトラデカン−1,14−ジアミン・ビス−シアノボランからなる群から選択される、請求項38に記載の方法、使用、組成物、または製造品。
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