JP2009299509A - 燃料供給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】規範モデルにしたがったフィードバック制御と、システム同定された制御対象の逆フィルタを適用するフィードフォワード制御とによる2自由度制御系を利用して、安定性と応答性の両立を図る燃料供給制御装置を提供する。
【解決手段】燃料供給制御装置におけるフィードバック制御部110は、規範モデル部102に従って制御対象部101が出力する燃料圧力に応じてフィードバック制御を実施する。また、フィードフォワード制御部120は、インバースフィルタ121を適用したフィードフォワード制御を実施する。
【選択図】図2

Description

本発明は、コモンレールを用いた燃料供給制御装置に関する。
ディーゼルエンジンに適用される燃料供給制御装置においては、エンジンの燃焼室内に燃料を直接噴射するインジェクター(以下、燃料噴射弁ともいう)に蓄圧された燃料を供給するコモンレールシステムが多く利用されている。このようなコモンレールシステムでは、瞬時に規定量を噴射させることができるように、高圧ポンプによって加圧された燃料が供給されている。
また、インジェクターの応答性改善によりインジェクターから短い噴射時間で燃料を噴射することもできるようになっている。このような応答性のよいインジェクターと前述した高圧に蓄圧できるコモンレールを組み合わせることによって燃料を勢いよくエンジンの燃焼室内に噴射し、燃料を微粒化して、燃焼特性を改善することができるようになっている。このように燃焼特性を改善することによって、排出ガスのさらなるクリーン化を図ることが行われている。
また、ディーゼルエンジンでは、噴射される燃料の量によって出力特性が左右される。つまり、必要なときに必要な量の燃料をエンジンに供給するために、燃料供給制御装置では燃料の圧力を適切に管理することが必要とされている。
このようなディーゼルエンジンに適した燃料供給制御装置において、コモンレールの圧力制御に関するいくつかの技術が存在する(例えば、特許文献1〜特許文献3)。
特開2004−108216号公報 特開2005−301764号公報 特許第3944143号公報
ところで、ディーゼルエンジンでは、燃料の噴射量によって出力トルクが変化する。
また、ディーゼルエンジン特有の燃料の分割噴射によって、エンジン燃焼効率の向上や、振動・作動音を低減させる効果があることが知られている。しかし、燃料の分割噴射による噴射量の調節を適切に制御できないと、その効果が低減してしまう。
燃料の噴射量を適切に制御するには、インジェクターへの供給燃料の圧力制御、すなわちコモンレールに蓄圧される圧力の制御を適切に制御することが必要とされる。特に微小量の噴射においても適切な容量を噴射できるような圧力制御は、燃費の向上・応答性向上などエンジンの特性改善に必要なものとなっている。
しかし、これまでのコモンレールシステムにおいては、コモンレールの圧力測定はされていたものの、様々な要因によりコモンレールに蓄圧される圧力の変動が生じていたので、燃料噴射における圧力制御は十分に行えていなかった。
一方、燃料圧力を制御する際に利用されてきたフィードバック制御では、応答性を確保しようとしてフィードバック制御系のループゲインを高くすると、制御系は不安定となって出力にハンチングが生じたり、外乱入力に対しての耐力が低下して異常な出力値を出力し続けたりすることがある。
また、多くのフィードバック制御系では、制御対象が追従できる応答性を加味せずに過剰な操作量を制御対象に供給している場合がある。そのような制御系では、制御対象が追従できない分の過剰な操作量の入力が余計に入力されることになる。このことは、エンジンの燃料供給制御装置においては、実質的な燃料消費率を悪化させる要因となっている。
フィードバック制御のほかに応答性を改善させる方法として、例えば特許文献1〜3に示されるフィードフォワード制御が知られている。
特許文献1では、フィードフォワード項における逆モデルのパラメータを逐次同定する技術が開示されている。この技術によると、逐次同定することによりその時々の状態に適した同定とすることができるが、きめ細かい同定結果を得るには演算量が多くなり演算の都度行われる処理が複雑化したり、また、演算処理により演算遅延が発生するために制御対象に対しての操作量出力に遅れが生じたりする問題がある。
また、特許文献2では、フィードフォワード項で逆モデルを求めることなく逐次同定で実現する技術が開示されている。この技術によると、特許文献1に開示されている技術に比べ演算負荷を軽減することができるが、逐次同定となるため外乱入力に対しての安定度確保に問題が生じたり、規範モデルを用いていないことによりハンチングを生じたりする問題がある。
また、特許文献3では、フィードフォワード項にクランク角度ごとに補正を設定する技術が開示されている。この技術によると、クランク角度に依存するフィードフォワード制御となるので、動作状態に応じて生じうる変動に対しての適応性に問題が生じたり、規範モデルを用いていないためハンチングを生じたりする問題がある。
このように、前述したそれぞれの技術を利用しても、安定性と応答性を両立して制御できる形態を実現できていないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、規範モデルにしたがったフィードバック制御と、システム同定された制御対象の逆フィルタを適用するフィードフォワード制御とによる2自由度制御系を利用して、安定性と応答性の両立を図る燃料供給制御装置を提供することにある。
上記問題を解決するために、請求項1に記載した発明は、制御対象(例えば、実施の形態における制御対象部101)となるコモンレール(例えば、実施の形態におけるコモンレール13)の圧力を検出する圧力検出手段(例えば、実施の形態における燃料圧力センサ37)と、前記圧力検出手段によって検出された圧力に応じて前記コモンレールの圧力を目標圧力に制御する圧力制御手段(例えば、実施の形態におけるECU2)とを備えた燃料供給制御装置(例えば、実施の形態における燃料供給制御装置10)において、前記圧力検出手段によって検出された圧力に応じて前記制御対象の規範モデル(例えば、実施の形態における規範モデル部102)に従ってフィードバック制御を実施するフィードバック制御部(例えば、実施の形態におけるフィードバック制御部110)と、逆フィルタ(例えば、実施の形態におけるインバースフィルタ121)を適用したフィードフォワード制御を実施するフィードフォワード制御部(例えば、実施の形態におけるフィードフォワード制御部120)とを備えることを特徴とする燃料供給制御装置である。
これにより、制御対象のシステム同定に基づく規範モデルにしたがってフィードバック制御することによって安定性を確保し、制御対象の逆フィルタを適用したフィードフォワード制御することによって応答性を確保する2自由度制御系を利用して、安定性と応答性の両立を図ることができる。
請求項2に記載した発明は、前記規範モデルは、1次遅れ以上の伝達関数で示される関係式により、システム同定されることを特徴とする。
これにより、規範モデルは1次遅れ系、2次遅れ系など必要な次数で表される伝達関数で示される規範モデルとして同定することができ、規範モデルの出力により示される出力の軌道によって安定動作とすることができる。
請求項3に記載した発明は、前記規範モデルは、2次遅れで表される伝達関数
Figure 2009299509
により、システム同定されることを特徴とする。
これにより、規範モデルは2次遅れ系によるモデルによって応答性を確保した制御量を出力することができる。
請求項4に記載した発明は、前記フィードフォワード制御による操作量(例えば、実施の形態におけるFF操作量)とフィードバック制御による操作量(例えば、実施の形態におけるFB操作量)とから、運転モードに応じて操作量への適応割合(例えば、実施の形態における補正係数(Gain))を制御されることを特徴とする。
これにより、運転モードによってフィードフォワード制御による操作量とフィードバック制御による操作量との適応割合を制御することができる。
請求項1に記載した発明によれば、制御対象のシステム同定に基づく動作でフィードバック制御することによって安定性を確保し、制御対象の動作特性を把握してフィードフォワード制御することによって応答性を確保することができる。
請求項2に記載した発明によれば、規範モデルは1次遅れ系以上の伝達関数で示される規範モデルとしてシステム同定することができ、規範モデルの出力によって示される出力の軌道にしたがう安定動作とすることができる。
請求項3に記載した発明によれば、規範モデルは2次遅れ系によるモデルよって応答性を改善した制御量を出力し、2次遅れ特性としてシステム同定される制御対象に対して適切な制御量を出力することができる。
請求項4に記載した発明によれば、運転モードによって区別することができる安定性と応答性のバランスをフィードフォワード制御による操作量とフィードバック制御による操作量との適応割合を制御することで、それぞれ両立できる適応制御を実現できる。
(第1実施形態)
図1を参照し本発明における実施形態の燃料供給制御装置10について説明する。燃料供給制御装置10は、図示されない車両に搭載されるディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)に適応され、エンジン1の燃焼室に供給される燃料の圧力を制御する。
燃料タンク11は、エンジン1に供給される燃料が収容される。その燃料タンク11内には、低圧ポンプP1が設けられている。
低圧ポンプP1には、ECU(Electronic Control Unit)2に接続されているモータP1−Mが設けられている。低圧ポンプP1は、ECU2によってモータP1−Mが制御され、エンジン1の運転中に常時作動する電動ポンプであり、燃料タンク11内の燃料を所定圧(例えば、5bar(バール))まで増圧して吐出する。
低圧ポンプP1の吸入側にはフィルタ17が設けられ、吐出側には燃料供給路12が接続される。接続される燃料供給路12には、ECU2からの制御によって燃料の温度制御を行うヒータを備えるフィルタ18と、同じくECU2からの制御によって低圧ポンプP1から供給される燃料の流量を制御する電磁流量制御弁21とが順次設けられている。
フィルタ18と電磁流量制御弁21の間の燃料供給路12には、燃料タンク11に燃料を戻す燃料戻し路16が分岐接続される。燃料戻し路16には、燃料供給路12の圧力制御を行う圧力制御弁22が介装されている。圧力制御弁22は、燃料供給路12の圧力が前述の所定圧を超えたときに開弁して燃料戻し路16を介して燃料を燃料タンク11内に戻す。
電磁流量制御弁21の下流側には、高圧ポンプP2が接続され、高圧ポンプP2の吐出側には高圧配管13aを介してコモンレール13が接続されている。高圧ポンプP2は、低圧ポンプP1から供給され燃料をさらに増圧してコモンレール13に供給する。高圧ポンプP2によって吐出される燃料は、電磁流量制御弁21において流量制御されることにより、その圧力が制御されることとなる。
高圧ポンプP2に取り付けられた燃料温度センサ35は、高圧ポンプP2によって加圧された燃料の温度を検出し、検出された温度を示す検出信号をECU2に出力する。
コモンレール13の戻し路側には、高圧配管13cが接続され、この高圧配管13cには、燃料戻し路16が接続されている。高圧配管13cには、電磁圧力制御弁23が設けられ、電磁圧力制御弁23から燃料戻し路16までは、燃料戻し路14で接続されている。
この電磁圧力制御弁23は、機械的に動作する機能と、接続されるECU2からの制御によって電気的に動作する機能を有している。機械的な動作では、高圧ポンプP2の運転により燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_max(例えば、2000bar(バール))を超えたときに、開弁する。これにより、コモンレール13内の燃料が燃料タンク11内に戻され、燃料圧力Prailが所定の設定圧Prail_maxまで低減される。また、電気的動作では、必要に応じて出力されるECU2からの減圧指示にしたがって弁が開放されることによりコモンレール13内に蓄圧された燃料を放出し減圧することができる。
また、コモンレール13は、高圧ポンプP2によって加圧され供給される燃料の量と、電磁圧力制御弁23などで放出され減圧される量とをバランスさせることによって、その内部空間を高圧の状態(例えば、2000bar(バール))で蓄える燃料室となる。コモンレール13には燃料圧力センサ37が取り付けられ、この燃料圧力センサ37は、コモンレール13内の燃料圧力である燃料圧力Prailを検出し、検出された圧力を示す検出信号をECU2に出力する。
このコモンレール13には、エンジン1に燃料を噴射する4つの燃料噴射弁6−1〜6−4(以下、まとめて示すときには「燃料噴射弁6」という。)に燃料を供給する高圧配管13b−1〜13b−4が接続されている。
燃料噴射弁6は、ECU2からの信号により開弁してコモンレール13から供給される燃料をエンジン1の燃焼室内に噴射する。
燃料戻し路15は、それぞれの燃料噴射弁6からの燃料の戻り路を示し、並列に接続されるチェック弁24と圧力制御バルブ25を介して低圧ポンプP1とフィルタ18との間の燃料供給路12に接続されている。
この燃料戻し路15の途中に設けられるチェック弁24と圧力制御バルブ25は、燃料噴射弁6からの排出油の圧力を一定に調整する。圧力制御バルブ25は、エンジン1の運転開始時には、燃料供給路12から燃料噴射弁6に至る燃料戻し路15を燃料供給路12に接続される低圧ポンプP1によって加圧させる働きも有する。
ECU2は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)インターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成される。
ECU2は、エンジン1に設けられたクランク角センサ33によって検出されるエンジン1のクランク角度情報から、燃料噴射弁6での燃料噴射タイミングを制御する。また、ECU2は、前述した燃料温度センサ35、燃料圧力センサ37などの検出信号に応じてエンジン1の運転状態を判断し、電磁流量制御弁21、電磁圧力制御弁23、低圧ポンプP1を制御することによりコモンレール13の圧力を制御するとともに、燃料噴射弁6を開閉動作させることにより燃料噴射制御を実行する。
以上に示した構成により、この燃料供給制御装置10では、電磁流量制御弁21により流量制御される高圧ポンプP2の運転状態、電磁圧力制御弁23の開閉状態、および燃料噴射弁6の開閉状態により、コモンレール13の燃料圧力Prailが所定の設定値Prail_maxを上限とする範囲内で制御される。
なお、図1で示される実線での接続は、燃料系の配管を示し、一点鎖線での接続は、電気信号による制御線での接続を示すものとする。また、燃料タンク11内に低圧ポンプP1が設けられていることとしたが、低圧ポンプP1を燃料タンク11の外に配置したものでも良い。
続いて、本発明の燃料供給制御装置10における燃料供給制御系統について説明する。
図2は、燃料供給制御装置10のECU2を用いて実現される燃料供給制御系統100を示すブロック図である。
燃料供給制御系統100は、フィードバック制御部110とフィードフォワード制御部120を備える。
燃料供給制御系統100において、フィードバック制御部110は、制御対象部101、規範モデル部102、加算器103、FB(Feed Back)制御器104、ゲイン制御器105、加算器106を備える。
フィードバック制御部110において、制御対象部101は、入力された操作量で動作するアクチュエータと、その動作によって変化するコモンレール13の燃料圧力の変化を検出する燃料圧力センサ37までの構成とする。コモンレール13に蓄圧される燃料圧力を制御するアクチュエータは、電磁流量制御弁21、電磁圧力制御弁23、燃料噴射弁6を有し、それぞれECU2からの信号によって制御される。ここで、制御対象部101の特性をG(s)として、システム同定された特性をG(s)として示すことにする。
規範モデル部102は、制御対象部101の動作特性に基づいてモデル化された演算処理部であり、入力される制御目標である目標燃料圧力に対して演算を行い、制御対象部101における燃料圧力として期待する燃料圧力の遷移を示す信号を規範燃圧信号として出力する。ここで、規範モデル部102が有する特性を、G(s)で示すことにする。
加算器103は、規範モデル部102が出力する規範圧力信号の値から制御対象部101で検出された燃料圧力信号で示される値を減算し、その減算結果をフィードバック制御における偏差(以下、FB(Feed Back)偏差量という)として出力する。
FB制御器104は、規範モデル部102が出力する規範とする制御対象部101が備えるべき規範圧力信号の値に対して、制御対象部101で検出された燃料圧力信号で示される値の差によるFB偏差量に対し必要とされる操作量を出力する演算要素であり、入力されるFB偏差量に基づいてフィードバック制御における操作量(以下、FB(Feed Back)操作量という)を出力する。ここで、FB制御器104が有する伝達特性を、KFB(s)で示し、その関係を式(1)で示す。
Figure 2009299509
式(1)において、Kpが比例演算要素の係数を示し、Kiが積分演算要素の係数を示し、Kdが微分演算要素の係数を示す。
ゲイン制御器105は、FB制御器104から出力されるFB操作量を入力し、また、制御信号として入力されるゲイン制御信号Gainによって示される減衰率Gainで、入力されたFB操作量を減衰したFB(Feed Back)操作量Vを出力する。FB操作量Vの関係を、式(2)に示す。
Figure 2009299509
式(2)において、Gainはゲイン制御器105に設定されるゲインの値を示す。
加算器106は、FB制御器104が出力するFB操作量が減衰比率Gainで減衰されたFB操作量Vと、後述のフィードフォワード制御部120から出力されるFF操作量Vと、を加算して制御対象部101に対する操作量を出力する。
続いて、フィードフォワード制御部120は、インバースフィルタ121、ゲイン制御器122を備える。
フィードフォワード制御部120におけるインバースフィルタ121は、制御対象部101が備える応答特性の逆特性と規範モデル部102の特性との乗算によって求められる応答特性を有するフィルタであり、入力される制御目標値に対して、上記による演算を行った結果をフィードフォワード操作量(以下、FF(Feed Flowered)操作量という)として出力する。インバースフィルタ121が有する特性は、制御対象部101の逆特性と規範モデル部102の特性に基づくものであり、(G−1(s)G(s))で示すことができる。
ゲイン制御器122は、インバースフィルタ121から出力されるFF操作量を入力し、また、制御信号として入力されるゲイン制御信号Gainに応じた減衰率(1−Gain)で、入力されたFF操作量を減衰したFF(Feed Flowered)操作量Vを出力する。FF操作量Vの関係を、式(3)に示す。
Figure 2009299509
式(3)において、Gainはゲイン制御器112に設定されるゲインの値を示す。
ゲイン制御器122は、インバースフィルタ121が出力するFF操作量を減衰比率(1−Gain)で減衰されたFF操作量Vをフィードフォワード制御部120の出力として出力し、前述の加算器106に入力する。
次に、燃料供給制御系統100の動作について説明する。
ここで、規範モデル部102は、目標燃圧r(s)が入力されると規範燃圧y(s)を出力する。ここで、規範燃圧y(s)は、式(4)として示すことができる。
Figure 2009299509
また、説明を簡略化するためインバースフィルタ121の特性をF(s)として式(5)に示す。
Figure 2009299509
また、規範モデル部102の特性をF(s)として式(6)に示す。
Figure 2009299509
ここで、式(5)、式(6)に示される関係ならびにFB操作量とFF操作量との比率を対等とすることとして、ゲイン制御器105、122のそれぞれのゲインを1として、目標燃圧r(s)が、燃料供給制御系統100に入力されたときの実際燃圧y(s)は、次式(7)で示すことができる。
Figure 2009299509
ここで、制御対象部101の実際の特性G(s)と同定結果G(s)との特性が近く、またKFB(s)が十分に作用できる特性を有するものであれば、式(8)に示す関係となる。
Figure 2009299509
式(8)は、規範モデルの出力y(s)と実際燃圧y(s)が等しく、規範モデル部102が出力する規範出力y(s)に対して、実際燃圧y(s)が追従していることがわかる。
燃料供給制御系統100における制御対象部101において、入力される操作量に対しコモンレール13の燃料圧力が制御され、実際燃圧を出力するシステムとしてシステム同定を行う。
コモンレール13の燃料圧力変化は、2次遅れ系によって表される伝達関数で示される制御要素と、制御対象部101に入力された操作入力から出力変化が起こるまでの時間遅れによるむだ時間要素とを組み合わせて示される応答特性を有するシステムとしてシステム同定することにする。ここで、システム同定された特性式を周波数領域で表される伝達関数として式(9)に示す。
Figure 2009299509
式(9)において、sはラプラス演算子、kは定数、ζは減衰係数、ωは角振動数、Tはむだ時間による遅延時間を示す。また各振動数ωは、式(10)に示される関係がある。fは、周波数を示す。
Figure 2009299509
図3(a)、(b)は、式(9)で示される伝達特性に基づいて、定数k、減衰係数ζ、むだ時間Tを特定し次式(11)で示される値でシステム同定された結果に基づく周波数応答特性を示すグラフ3a1と位相特性を示すグラフ3b1である。
それぞれのグラフの横軸は周波数を示し、単位はHz(ヘルツ)である。グラフ3a1の縦軸はゲインを示し、単位はdB(デシベル)であり、グラフ3b1の縦軸は位相を示し、単位は度である。
Figure 2009299509
グラフ3a1は、周波数0.201Hz(ヘルツ)において、ピークゲイン9.44dB(デシベル)を示し、その周波数以上の特性は緩やかに高域周波数が遮断される特性を示している。
グラフ3b1は、位相余裕28度、遅れ余裕0.274度、そのときの周波数は0.284Hz(ヘルツ)となる高域周波数での遅れ特性を示している。
グラフ3a2は、周波数0.49Hz(ヘルツ)において、ピークゲイン13.1dB(デシベル)を示し、その周波数以上の特性は緩やかに高域周波数が遮断される特性を示している。
グラフ3b2は、位相余裕18.1度、遅れ余裕0.0728度、そのときの周波数は0.692Hz(ヘルツ)となる高域周波数での遅れ特性を示している。
なお、グラフ3a2およびグラフ3b2は、制御対象部101を構成する要素部品を変えたときに得られたシステム同定結果であり、要素部品の性能により先に示したグラフ3a1およびグラフ3b1とは異なる特性となるが、似た傾向を示していることから要素部品の変更においてもこのシステム同定結果は対応させることが可能であることが示されている。
次に、式(9)における定数k、減衰係数ζの値について、式(11)で示される値でシステム同定したときの結果に基づいて、実際の制御対象を用いて比較を行った結果を示す。ここで、システム同定結果との比較における操作量uには、信号間の相関が低く、周波数帯域が広い白色雑音として扱えるランダム信号としてM系列信号を選択した。
図4(a)〜図4(e)は、制御対象部101への操作量uとして与えられたM系列信号の変化を示すグラフ4aと、与えられた操作量uに応じて制御対象部101から出力される圧力の値の変化を示すグラフ4b、4c、4d,4eを示したものである。
また、図4(d)と図4(e)は、図4(b)と図4(c)で示した制御対象部101からの出力、すなわち燃料圧力の値の変化を示すグラフを示す時間範囲を広げて示したものである。図4(a)、(b)、(c),(d),(e)に示した横軸の値が等しい範囲は、同じ時間における状態を示している。
それぞれのグラフの横軸は時間の経過を示し、その単位は秒で示される。また、縦軸は圧力を示し、その単位はbar(バール)である。
ここで、入力されるM系列の信号の振幅は、700bar(バール)から1200bar(バール)までの振幅である。
同図で示されるグラフ4bと4dは、操作量uが入力されたときの制御対象部101における出力応答の観測値を示したグラフである。また、グラフ4cと4eは、システム同定結果に基づいて操作量uに対する出力の推定値を示したグラフである。観測結果に基づくグラフ4bとグラフ4dは、操作量uとしてのM系列信号の成分が重畳されているので振幅方向に変化するグラフとなっている。グラフ4bとグラフ4dで示される結果に対して、同定結果に基づいたグラフ4cとグラフ4eが追従できていることが示されている。
この比較により、同定結果に基づく制御出力の推定値が実際の制御対象部101の動作による制御出力の観測値との乖離が少なく、同定結果が有効であることが示されている。乖離がある部分は、変化の急峻な部分であり、先に示されたシステム同定の範囲を超える周波数領域において生じているので、このグラフで示されている差異が問題となることはない。
図5〜図6を参照し、上記の同定結果を基にして、図2に示した規範モデルを用いて目標圧力にステップ波形を入力信号としたときのフィードバック制御系のステップ応答に関するシミュレーション結果について説明する。それぞれのグラフの横軸は、時間の経過を示し、その単位は秒である。また、縦軸は、目標圧力、操作量、制御量を示し圧力を示し、その単位は規格化された値で示されている。
最初に示す図5(a)は、目標圧力のステップ波形の入力信号と、入力された目標圧力に対して規範モデルによって制定される圧力変化特性における出力応答の関係を示すグラフである。
グラフ5a2は、グラフ5a1で示される上記の目標圧力のステップ波形の入力信号が入力されたときに、入力された目標圧力に応じて規範モデルによって制定される燃料圧力変化の参照軌道を示す出力応答波形である。
制御対象部101はこの参照軌道として示されるグラフ5a2の波形にしたがって、制御対象部101の出力となる燃料圧力を変化させるモデルとしてフィードバック制御されることになる。
次に、図5(b)は、目標圧力のステップ波形の入力信号と、入力された目標圧力に対してインバースフィルタ121によって出力されるFF操作量の出力応答の関係を示すグラフである。
グラフ5b2は、グラフ5b1で示される上記の目標圧力のステップ波形の入力信号が入力されたときに、入力された目標圧力に応じてインバースフィルタ121によって出力されるFF操作量の出力応答波形であり、ステップ応答入力時点でピークを有する波形となっている。
ステップ応答入力時点でピークを有する波形は、ステップ波形の入力のあった時点で不足する操作量を、制御対象部101が有する特性のインバースフィルタ処理を用いるフィードフォワード制御によって補償する効果がある。
次に、図5(c)は、入力された目標圧力に対して、規範モデル102によって制定される圧力変化特性に基づく出力信号と、インバースフィルタ121によって出力される出力信号とを同じ比率で加算して、振幅を1として規格化した信号の波形を示すグラフである。
ここではそれぞれ加算するときの重み付けを対等としたのでゲイン制御器106、122におけるそれぞれのゲインの値を0.5とした結果に相当する。すなわち、Gain=Gain=0.5としたときの操作量について、式(12)に示す。
Figure 2009299509
このグラフ5cでは、ステップ波形の入力直後のインバースフィルタ121からの急峻な変化を示す過程と、規範モデル102の出力波形によって示される安定に目標入力に収斂する変化の過程が示され、制御対象部101への操作量に相当する波形が現されている。
次に、図6(a)は、目標圧力のステップ波形の入力と、入力された目標圧力に対しての規範モデルを用いてフィードフォワード制御による補償を合わせた操作量を制御対象部101に入力したときの制御対象部101からの出力応答の関係を示すグラフである。
グラフ6a2は、グラフ6a1で示される上記の目標圧力のステップ波形の入力信号が入力されたときに、入力された目標圧力に応じて規範モデル102を用いてインバースフィルタ121によるフィードフォワード制御による補償を合わせて実施したときの制御対象部101からの出力応答波形である。
また、比較のために参考に示されるグラフ6a3は、入力された目標圧力に対して規範モデルを用いずに、フィードフォワード制御による補償処理もすることなく制御対象部101にステップ波形の入力信号が入力されたときの出力応答波形である。制御されないときのグラフ6a3における出力信号の挙動には、大きく振動する変化が示され、このグラフ6a3で示される制御対象部101の状態は不安定な状態といえる。それに対し、規範モデル102を用いてインバースフィルタ121によるフィードフォワード制御による補償を合わせて実施したグラフ6a2の出力信号の挙動は、振動することもなく安定に目標値に収斂していることが示されている。また、収斂時間も大幅に短縮され応答性も改善されている。
次に、図6(b)は、規範モデル部102が出力する規範圧力信号の値から制御対象部101の制御出力である燃料圧力信号で示される値を減算した減算結果であるFB偏差量の変化を示すグラフである。
グラフ6bが示すFB偏差量の状況から、微小な範囲内に収まる偏差量となっておりフィードバック動作が良好に機能していることが示されている。
ここで、これまでの一般的なPID制御方式における制御性能を比較のために示す。
図7は、前述の図6(a)と対比されるものであり、グラフ6a1に相当するグラフ71として示される目標圧力のステップ波形の入力信号と、入力された目標圧力に対して一般的なPID制御方式によって制御対象部101を制御したときの過度応答についてシミュレーションした結果を示すグラフ72が示されるグラフである。また、比較のために参考に示されるグラフ6a3は、図6(a)で示したものと同じものである。
制御されない条件でのグラフ6a3における出力信号の挙動に比べ、PID制御方式としたグラフ72の出力信号の挙動の方が、オーバーシュート量は小さくなっているが依然としてオーバーシュートが生じてしまう。また、収斂時間を短縮しているものの、出力信号は振動をともなって収斂しているので収斂するのに時間がかかっている。
それに対して、本実施形態による図6(a)で示されたグラフ6a2の結果とグラフ72とを比べると、グラフ6a2は、オーバーシュートを生じることもなく安定に収斂し、その収斂時間は、PID制御方式と比べても半分以下とすることができ応答性も改善できることが示された。
以上に示されたシミュレーション結果および、実際の制御対象部101を用いた動作検証により、本実施形態で示される燃料供給制御系統100において、安定性と応答性を両立できることが示される。
(第2実施形態)
第2実施形態では、FB操作量とFF操作量から求められる操作量について、エンジン1の運転状態に応じて重み付けすることにより比率を変えて操作量を生成する実施形態について説明する。
第2実施形態における構成は、同じく図2を参照することとして燃料供給制御系統100における別の制御方法について説明する。図に示される構成は、第1実施形態と同じであり、第1実施形態を参照することとする。
ここで示す制御方法では、FB操作量とFF操作量のそれぞれの操作量の比率を変える方法として、加算器106に入力される信号において比率を変更する方法を、次式(13)による関係式で示す。
Figure 2009299509
式(13)において、比率を変えて加算するための設定値Gainの値は運転状況に応じて設定される値であり、入力された設定値Gainの値にしたがってゲイン制御器105、122において演算が行われる。ここで、ゲイン制御器105、122におけるそれぞれの補正係数(Gain)と補正係数(Gain)は、次式(14)で示される関係を有することにする。
Figure 2009299509
運転状態において、Gainの値を変更することが有効となる状態について例示する。
例えば、次に示される状態でエンジン1が運転されるときに、より安定に燃料圧力制御を行うことができる。
容器に密閉された液体の圧力変化は、その容器に出入りする液体の容量に依存する関係を式(15)で示されることが知られている。
Figure 2009299509
式(15)において、dP/dtが容器内圧力変化量を示し、Kが体積弾性係数を示し、Vが容器の容積を示し、QinとQoutが容器に対しての流入量と排出量とをそれぞれ示している。
燃料がコモンレール13に対し出入りする量によってコモンレール13に生じる燃料の収支バランスが崩れることにより式(15)にしたがって圧力変動が生じることになる。
また、エンジン1の運転状態で燃料圧力が低い時には、コモンレール13に供給される燃料が燃料噴射弁6における噴射量に対して過剰となり、過剰となった燃料が燃料戻し路14に排出されて循環流が生じる。その循環流が生じている場合には、見かけ上の燃料の体積弾性係数Kは小さくなる。このように、コモンレール13における燃料に循環流が生じることにより体積弾性係数Vが見かけ上小さくなる場合には、式(15)で得られる圧力変化量の計算値が密閉時における計算値よりも小さくなる。
よって、下記に示されるように、コモンレール13の圧力絶対値、変化幅により、制御対象部101に対する操作量を補正することによって、体積弾性係数Kの見かけ上の変化(ばらつき)を吸収でき、燃料圧力レンジに依存せずに安定的に燃料圧力の制御が可能になる。
ここで、見かけ上の燃料の体積弾性係数Kを変化させる燃料の循環流が生じる状態であるかの判定を、燃料圧力値に基づいて判定することとし、その判定によって制御対象部101に対する操作量を補正する処理方法について示す。
図8(a)と(b)は、燃料圧力に対するFB操作量についての補正係数(Gain)と、燃料圧力に対するFF操作量についての補正係数(Gain)を示すグラフである。その横軸は、燃料圧力を示し、縦軸は、補正係数(Gain)と補正係数(Gain)の値をそれぞれ示している。
ここで、燃料圧力センサ37で検出されるコモンレール13における燃料圧力の値が高くなるほど、FB操作量を増加させ、FF操作量を減少させることが必要となることが示される。燃料圧力が高いと燃料の循環流が少なくなり、体積弾性係数Kは見かけ上大きくなる。このような状態では、流量変化に対する圧力変化が小さくなるので、規範モデル102の出力と実際の圧力とから生じる偏差に対するFB操作量を多くする補正を行うこととする。燃料圧力センサ37で検出された圧力情報をECU2が検出し、ECU2は、図8で示されるマップを参照して補正係数(Gain)を選定する。ECU2は、燃料供給制御装置10におけるゲイン制御器105、122に補正係数(Gain)を入力し、それぞれの補正係数(Gain)と補正係数(Gain)の値を変更する。
次に、見かけ上の燃料の体積弾性係数Kを変化させる燃料の循環流が生じる状態であるかの判定を、目標燃料圧力の変化量に基づいて判定することとし、その判定によって制御対象部101に対する操作量を補正する処理方法について示す。
図9(a)と(b)は、目標燃料圧力の変化量に対するFB操作量についての補正係数(Gain)と、燃料圧力に対するFF操作量についての補正係数(Gain)を示すグラフである。その横軸は、目標燃料圧力の変化量を示し、縦軸は、補正係数(Gain)と補正係数(Gain)の値をそれぞれ示している。
同図に示されるように、目標燃料圧力の変化量が大きくなるほど、FB操作量を増加させ、FF操作量を減少させることが必要となることが示される。
目標燃料圧力の変化量が大きいと燃料の循環流が少なくなり、体積弾性係数Kは見かけ上大きくなる。このような状態では、流量変化に対する圧力変化が小さくなるので、規範モデル102の出力と実際の圧力とから生じる偏差に対するFB操作量を多くする補正を行うこととする。
目標燃料圧力の変化量をECU2が検出し、ECU2は、図9で示されるマップを参照して補正係数(Gain)を選定する。ECU2は、燃料供給制御装置10におけるゲイン制御器105、122に補正係数(Gain)を入力し、それぞれの補正係数(Gain)と補正係数(Gain)の値を変更する。
以上に示した第2実施形態のように、FB操作量とFF操作量から求められる操作量について、式(12)で示されたように対等に加算するのではなく、エンジン1の運転状態に応じて重み付けすることにより比率を変えて操作量を生成することができ、運転状態に応じて適切な燃料圧力制御を行うことが可能となる。
なお、制御対象部101においてむだ時間Tdを用いた伝達関数でシステム同定を行う形態を示した。このむだ時間Tdの値は、個々の制御系に依存しそれぞれ異なる遅延時間によって規定される値であり、上記の説明の中で値を0としている条件(式(11))があるが、それぞれの制御対象が有する遅延時間と、制御装置の特性とを考慮して適した大きさに設定する必要がある定数であって、システムごとに異なる値が設定される。
本実施形態では、フィードバック制御とフィードフォワード制御を行う2自由度制御を実現している。またフィードバック制御では、規範モデルを用いた制御を行うこととした。
そのため、フィードバック制御において、応答性を確保するためにループゲインを高くしても、燃料供給制御系統は不安定となり難く、規範モデル部102によって動作がモデル化されているので外乱入力に対しての耐性が高く異常な出力値を早期に収斂させることができる。
また、規範モデルによって目標入力値を制御対象部101の動作特性に応じて操作量を適正化することができる。制御目標値に急峻な変化があっても、制御対象部101の動作に適正な値を操作量とする制御を行うことにより、制御対象部101が応答しきれない過大な操作量を制御対象部101に与えることを防ぐことができる。
すなわち、コモンレール13への燃料の過大な注入を防ぎ、燃料圧力を加圧しすぎることを防ぎ、燃料の循環量を低減できる。これにより、エンジン1における高圧ポンプP2の負荷を低減でき、燃費の向上に貢献できる。
また、規範モデル部102およびインバースフィルタ121の特性は予め定めることができ、燃料供給制御系統100の動作時に逐次演算することなく実現できるので、演算量を低減でき演算出力時間を短縮することができる。
すなわち、規範モデル部102の出力およびインバースフィルタ121の出力の目標入力への追従性を上げることができ、操作量の適切な制御の応答性を確保することができる。
また、規範モデル部102およびインバースフィルタ121の特性は予め定めることができるので、予め定められるMAPを参照し、逐次行う演算量を低減することができる。
制御対象部101の燃料圧力の変化を、規範モデル部102によってモデル化することで燃料圧力のハンチングを防止でき、異常値を生じることになる外乱があっても早くに収斂させることができる。
また、規範モデル101の特性は、必要とされる目標制御入力あるいは運転状態により予め用意された複数の規範とするモデルを切り替えることで変更することができる。
例えば、応答性より安定性が必要となる領域でエンジン1を運転する際には、より安定なモデルである1次遅れ系によってモデル化されたモデルとし、応答性が必要となる領域でエンジン1を運転する際には、応答性を確保できる2次遅れ系によってモデル化とする。これにより、制御対象部101への操作量を適正化でき効率のよいエンジン1の運転を可能とすることができる。
なお、本実施形態では、燃料噴射弁6の数を4個、コモンレール13の数を1個として説明しているが、それぞれ4個と1個に制限されるものではなく、エンジン1の構成によってその数量は任意に設定することができる。
なお、エンジン1はディーゼルエンジンであることとして説明したが、この燃料供給制御装置10はガソリンエンジンに対する適応も可能である。
また、本発明は、船外機のような船舶推進機用の内燃機関を含む、様々な産業用の内燃機関に適用することが可能である。
本発明の第1実施形態における燃料供給制御装置を示すブロック図である。 第1実施形態における燃料供給制御系統を示すブロック図である。 第1実施形態における制御対象部のシステム同定結果による周波数応答特性と位相特性を示すグラフである。 第1実施形態における制御対象部のシステム同定結果による応答特性を示すグラフである。 第1実施形態における燃料供給制御系統の過度応答についてのシミュレーション結果を示すグラフ(その1)である。 第1実施形態における燃料供給制御系統の過度応答についてのシミュレーション結果を示すグラフ(その2)である。 PID制御方式による燃料供給制御系統過度応答についてのシミュレーション結果を示すグラフである。 第2実施形態における燃料供給制御系統の特性切り替え条件を示すグラフ(その1)である。 第2実施形態における燃料供給制御系統特性切り替え条件を示すグラフ(その2)である。
符号の説明
2 ECU(圧力制御手段)
10 燃料供給制御装置
13 コモンレール
37 燃料圧力センサ(圧力検出手段)
100 燃料供給制御系統
101 制御対象部(制御対象)
102 規範モデル部(規範モデル)
103 加算器
104 FB制御器
105 ゲイン制御器
106 加算器
110 フィードバック制御部
120 フィードフォワード制御部
121 インバースフィルタ(逆フィルタ)
122 ゲイン制御器

Claims (4)

  1. 制御対象となるコモンレールの圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段によって検出された圧力に応じて前記コモンレールの圧力を目標圧力に制御する圧力制御手段とを備えた燃料供給制御装置において、
    前記圧力検出手段によって検出された圧力に応じて前記制御対象の規範モデルに従ってフィードバック制御を実施するフィードバック制御部と、
    逆フィルタを適用したフィードフォワード制御を実施するフィードフォワード制御部と
    を備えることを特徴とする燃料供給制御装置。
  2. 前記規範モデルは、
    1次遅れ以上の伝達関数で示される関係式により、システム同定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給制御装置。
  3. 前記規範モデルは、
    2次遅れで表される伝達関数
    Figure 2009299509
    により、システム同定されることを特徴とする請求項2に記載の燃料供給制御装置。
  4. 前記フィードフォワード制御による操作量とフィードバック制御による操作量とは、運転モードに応じて適応割合を制御される操作量である
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給制御装置。
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