JP2009295884A - 接合方法および接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの基材同士を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく接合することができ、さらに、かかる接合を一部の領域において部分的に接合し得る接合方法、および、2つの基材同士を、かかる接合方法により、一部の領域において部分的に接合された接合体を提供すること。
【解決手段】本発明の接合方法は、金属原子と有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜3を備える第1の被着体1と、第2の被着体4とを用意する工程と、接合膜3に対してオゾンを選択的に供給することにより、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与して、第2の部分320に選択的に接着性を発現させる工程と、第1の被着体1と第2の被着体4とを貼り合わせることにより第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の接合方法は、金属原子と有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜3を備える第1の被着体1と、第2の被着体4とを用意する工程と、接合膜3に対してオゾンを選択的に供給することにより、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与して、第2の部分320に選択的に接着性を発現させる工程と、第1の被着体1と第2の被着体4とを貼り合わせることにより第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、接合方法および接合体に関するものである。
2つの部材(基材)同士を接合(接着)する際には、従来、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤等の接着剤を用いて行う方法が多く用いられている。
接着剤は、一般的に、接合する部材の材質によらず、優れた接着性を示すものである。このため、種々の材料で構成された部材同士を、様々な組み合わせで接着することができる。
接着剤は、一般的に、接合する部材の材質によらず、優れた接着性を示すものである。このため、種々の材料で構成された部材同士を、様々な組み合わせで接着することができる。
例えば、インクジェットプリンタが備える液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)は、樹脂材料、金属材料およびシリコン系材料等の異種材料で構成された部品同士を、接着剤を用いて接着することにより組み立てられている。
このように接着剤を用いて部材同士を接着する際には、液状またはペースト状の接着剤を接着面に塗布し、塗布された接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により接着剤を硬化(固化)させることにより、部材同士を接着する。
このように接着剤を用いて部材同士を接着する際には、液状またはペースト状の接着剤を接着面に塗布し、塗布された接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により接着剤を硬化(固化)させることにより、部材同士を接着する。
ところが、このような接着剤を用いた接合では、以下のような問題がある。
・接着強度が低い
・寸法精度が低い
・硬化時間が長いため、接着に長時間を要する
また、多くの場合、接着強度を高めるためにプライマーを用いる必要があり、そのためのコストと手間が接着工程の高コスト化・複雑化を招いている。
さらに、かかる接着剤は、流動性を有するため、複雑な形状を有する領域に寸法精度よく供給するのが難しく、このような領域で部分的に接合する場合には適さない。
・接着強度が低い
・寸法精度が低い
・硬化時間が長いため、接着に長時間を要する
また、多くの場合、接着強度を高めるためにプライマーを用いる必要があり、そのためのコストと手間が接着工程の高コスト化・複雑化を招いている。
さらに、かかる接着剤は、流動性を有するため、複雑な形状を有する領域に寸法精度よく供給するのが難しく、このような領域で部分的に接合する場合には適さない。
一方、接着剤を用いない接合方法として、固体接合による方法がある。
固体接合は、接着剤等の中間層が介在することなく、部材同士を直接接合する方法である(例えば、特許文献1参照)。
このような固体接合によれば、接着剤のような中間層を用いないので、寸法精度の高い接合体を得ることができる。
固体接合は、接着剤等の中間層が介在することなく、部材同士を直接接合する方法である(例えば、特許文献1参照)。
このような固体接合によれば、接着剤のような中間層を用いないので、寸法精度の高い接合体を得ることができる。
しかしながら、固体接合には、以下のような問題がある。
・接合される部材の材質に制約がある
・接合プロセスにおいて高温(例えば、700〜800℃程度)での熱処理を伴う
・接合プロセスにおける雰囲気が減圧雰囲気に限られる
・一部の領域において、選択的に接合することができないので、接合界面に、部材間の熱膨張率差に伴う大きな応力が発生し、接合体の剥離等を招く
このような問題を受け、接合に供される部材の材質によらず、部材同士を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく接合する方法が求められ、かかる接合を一部の領域において部分的に接合し得る方法が求められている。
・接合される部材の材質に制約がある
・接合プロセスにおいて高温(例えば、700〜800℃程度)での熱処理を伴う
・接合プロセスにおける雰囲気が減圧雰囲気に限られる
・一部の領域において、選択的に接合することができないので、接合界面に、部材間の熱膨張率差に伴う大きな応力が発生し、接合体の剥離等を招く
このような問題を受け、接合に供される部材の材質によらず、部材同士を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく接合する方法が求められ、かかる接合を一部の領域において部分的に接合し得る方法が求められている。
本発明の目的は、2つの基材同士を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく接合することができ、さらに、かかる接合を一部の領域において部分的に接合し得る接合方法、および、2つの基材同士を、かかる接合方法により、一部の領域において部分的に接合された接合体を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合方法は、基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜を備える第1の被着体と、被着面を有する第2の被着体とを用意する工程と、
前記接合膜に対してオゾンを選択的に供給することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
本発明の接合方法は、基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜を備える第1の被着体と、被着面を有する第2の被着体とを用意する工程と、
前記接合膜に対してオゾンを選択的に供給することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
本発明の接合方法は、基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜を備える第1の被着体と、被着面を有する第2の被着体とを用意する工程と、
前記接合膜に対してオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
前記接合膜に対してオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
本発明の接合方法は、基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜をそれぞれ備える第1の被着体および第2の被着体を用意する工程と、
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の少なくとも前記第2の部分に対してそれぞれエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、各被着体の前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の少なくとも前記第2の部分に対してそれぞれエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、各被着体の前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
本発明の接合方法は、基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜をそれぞれ備える第1の被着体および第2の被着体を用意する工程と、
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
各被着体の前記接合膜に対してエネルギーを付与し、各前記接合膜の前記第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を当該接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
各被着体の前記接合膜に対してエネルギーを付与し、各前記接合膜の前記第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を当該接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体を、高い寸法精度で形成することができる。また、第2の部分における接合を、強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
本発明の接合方法では、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせた際に、一方の被着体が備える前記接合膜の前記第2の部分は、他方の被着体が備える前記接合膜の第2の部分を包含することが好ましい。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせた際に、これら被着体がそれぞれ備える接合膜の第2の部分同士が互いに重なる接触面において、特に高い接着強度が得られる。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせた際に、これら被着体がそれぞれ備える接合膜の第2の部分同士が互いに重なる接触面において、特に高い接着強度が得られる。
本発明の接合方法では、一方の被着体が備える前記接合膜の前記第2の部分は、他方の被着体が備える前記接合膜の第2の部分とほぼ一致するパターン形状をなしていることが好ましい。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせた際に、これら被着体がそれぞれ備える接合膜の第2の部分同士が互いに対応するように重なり合い、これらが重なる接触面において、特に高い接着強度が得られる。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを重ね合わせた際に、これら被着体がそれぞれ備える接合膜の第2の部分同士が互いに対応するように重なり合い、これらが重なる接触面において、特に高い接着強度が得られる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、有機金属材料を原材料として、有機金属化学気相成長法を用いて成膜されることが好ましい。
かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜を成膜することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、低還元性雰囲気下で成膜されることが好ましい。
これにより、基板上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜を形成することができる。
かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜を成膜することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、低還元性雰囲気下で成膜されることが好ましい。
これにより、基板上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜を形成することができる。
本発明の接合方法では、前記脱離基は、前記有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存したものであることが好ましい。
このように成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基として用いる構成とすることにより、形成された金属膜中に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜を成膜することができる。
このように成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基として用いる構成とすることにより、形成された金属膜中に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜を成膜することができる。
本発明の接合方法では、前記脱離基は、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団で構成されることが好ましい。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に脱離する脱離基が得られることとなり、接合膜付き基材の接着性をより高度化することができる。
本発明の接合方法では、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基で構成される脱離基は、化学的な安定性が高いため、脱離基としてアルキル基を備える接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に脱離する脱離基が得られることとなり、接合膜付き基材の接着性をより高度化することができる。
本発明の接合方法では、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基で構成される脱離基は、化学的な安定性が高いため、脱離基としてアルキル基を備える接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
本発明の接合方法では、前記有機金属材料は、金属錯体であることが好ましい。
金属錯体を用いて接合膜を成膜することにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、確実に接合膜を形成することができる。
本発明の接合方法では、前記金属原子は、銅、銀、アルミニウム、タングステンのうち少なくとも1種であることが好ましい。
接合膜を、これらの金属原子を含むものとすることにより、接合膜は、第1の部分において絶縁性を有し、第2の部分において優れた導電性を発揮するものとなる。このような接合膜を備える接合体を、接合膜の第2の部分において配線基板が備える配線や、その端子等に適用することができ、第1の部分において配線同士を絶縁する絶縁層として適用することができる。
金属錯体を用いて接合膜を成膜することにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、確実に接合膜を形成することができる。
本発明の接合方法では、前記金属原子は、銅、銀、アルミニウム、タングステンのうち少なくとも1種であることが好ましい。
接合膜を、これらの金属原子を含むものとすることにより、接合膜は、第1の部分において絶縁性を有し、第2の部分において優れた導電性を発揮するものとなる。このような接合膜を備える接合体を、接合膜の第2の部分において配線基板が備える配線や、その端子等に適用することができ、第1の部分において配線同士を絶縁する絶縁層として適用することができる。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、前記第2の部分において導電性を発揮し、前記第1の部分において絶縁性を発揮することが好ましい。
これにより、本発明により得られた接合体を、接合膜の第2の部分において配線基板が備える配線や、その端子等に適用することができ、第1の部分において配線同士を絶縁する絶縁層として適用することができる。
これにより、本発明により得られた接合体を、接合膜の第2の部分において配線基板が備える配線や、その端子等に適用することができ、第1の部分において配線同士を絶縁する絶縁層として適用することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の部分における金属原子と炭素原子との存在比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
第2の部分における金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜の安定性が高くなり、接合膜付き基材と対向基板とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜を優れた導電性を発揮するものとすることができる。
第2の部分における金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜の安定性が高くなり、接合膜付き基材と対向基板とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜を優れた導電性を発揮するものとすることができる。
本発明の接合方法では、前記オゾンは、酸素ガス供給下で紫外線を照射することにより前記第1の部分に付与されることが好ましい。
かかる方法であれば、大掛かりな装置を用いることなく、比較的容易かつ確実にオゾンを発生させ、このオゾンを接合膜の第1の部分を形成すべき領域に選択的に供給することができる。
かかる方法であれば、大掛かりな装置を用いることなく、比較的容易かつ確実にオゾンを発生させ、このオゾンを接合膜の第1の部分を形成すべき領域に選択的に供給することができる。
本発明の接合方法では、形成すべき前記第1の部分の形状に対応する開口部を有するマスクを介してオゾンを付与して、前記接合膜中の金属原子を選択的に酸化することにより、前記第1の部分を形成することが好ましい。
これにより、接合膜に、金属原子が酸化された第1の部分と、金属原子が酸化されていない第2の部分とが形成される。
これにより、接合膜に、金属原子が酸化された第1の部分と、金属原子が酸化されていない第2の部分とが形成される。
本発明の接合方法では、前記接合膜は、前記第2の部分において、その少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が、当該接合膜から脱離した後に、活性手が生じることが好ましい。
これにより、第2の被着体に対して、第2の領域において部分的に、化学的結合に基づいて強固に接合した接合体が得られる。
本発明の接合方法では、前記活性手は、未結合手または水酸基であることが好ましい。
これにより、第2の被着体に対して、第2の領域において部分的に、特に強固に接合した接合体が得られる。
本発明の接合方法では、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、得られる接合体の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
これにより、第2の被着体に対して、第2の領域において部分的に、化学的結合に基づいて強固に接合した接合体が得られる。
本発明の接合方法では、前記活性手は、未結合手または水酸基であることが好ましい。
これにより、第2の被着体に対して、第2の領域において部分的に、特に強固に接合した接合体が得られる。
本発明の接合方法では、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、得られる接合体の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
本発明の接合方法では、前記第2の部分に対する前記エネルギーの付与は、前記第2の部分にエネルギー線を照射する方法、前記第2の部分を加熱する方法、および前記第2の部分に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われることが好ましい。
これにより、接合膜の少なくとも第2の部分に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
これにより、接合膜の少なくとも第2の部分に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
本発明の接合方法では、前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線であることが好ましい。
これにより、接合膜に付与されるエネルギー量が最適化されるので、第2の部分において、接合膜中の脱離基を確実に脱離させることができる。その結果、接合膜の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させることができる。
これにより、接合膜に付与されるエネルギー量が最適化されるので、第2の部分において、接合膜中の脱離基を確実に脱離させることができる。その結果、接合膜の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させることができる。
本発明の接合方法では、前記加熱の温度は、25〜200℃であることが好ましい。
これにより、接合体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、第2の部分における接合強度を確実に高めることができる。
本発明の接合方法では、前記圧縮力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
これにより、圧力が高すぎて基板や被着体に損傷等が生じるのを防止しつつ、接合体の第2の部分における接合強度を確実に高めることができる。
本発明の接合方法では、前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われることが好ましい。
これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギーの付与をより簡単に行うことができる。
これにより、接合体が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、第2の部分における接合強度を確実に高めることができる。
本発明の接合方法では、前記圧縮力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
これにより、圧力が高すぎて基板や被着体に損傷等が生じるのを防止しつつ、接合体の第2の部分における接合強度を確実に高めることができる。
本発明の接合方法では、前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われることが好ましい。
これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギーの付与をより簡単に行うことができる。
本発明の接合体は、前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、本発明の接合方法により接合されてなることを特徴とする。
これにより、高い寸法精度で形成され、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体となる。
これにより、高い寸法精度で形成され、第2の被着体に対して第1の被着体が、前記第2の部分において部分的に接合された接合体となる。
以下、本発明の接合方法および接合体を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の接合方法は、2つの基材(第1の基材2および第2の基材4)同士を、接合膜3の一部の領域に位置する第2の部分320において、部分的に接合するものである。
接合膜3は、第1の基材2上に形成された、金属原子と、有機成分とで構成される脱離基を含む有機金属膜であり、第2の基材4に対して接合させる、所定パターンにパターニングされた第2の部分320と、この第2の部分320以外の第2の基材4に対して接合させない第1の部分310とで構成されている。
本発明の接合方法は、2つの基材(第1の基材2および第2の基材4)同士を、接合膜3の一部の領域に位置する第2の部分320において、部分的に接合するものである。
接合膜3は、第1の基材2上に形成された、金属原子と、有機成分とで構成される脱離基を含む有機金属膜であり、第2の基材4に対して接合させる、所定パターンにパターニングされた第2の部分320と、この第2の部分320以外の第2の基材4に対して接合させない第1の部分310とで構成されている。
この接合膜3は、この接合膜3の第1の部分310に対して選択的にオゾンを付与し、第1の部分310の有機成分を脱離させるとともに、この第1の部分310に酸素原子を導入することにより、第1の部分310の金属原子が酸化される。このような第1の部分310における金属原子の酸化により、接合膜3は、第1の部分310において、後述する第2の部分320に発現する接着性が全く発現しないか、発現したとしても極めて僅かであり、第2の基材4と接着するに足る接着性が発現しないものとなる。
また、接合膜3は、オゾンの付与が第1の部分310に対して選択的に行われているため、第2の部分320において、金属原子が酸化されておらず、有機成分で構成される脱離基を含んでいるため、エネルギーを付与することにより、接合膜3の表面35付近に存在する脱離基が接合膜3から脱離するものである。そして、この接合膜3は、エネルギーの付与により、脱離基が脱離した第2の部分320において、第2の被着体に対する接着性が選択的に発現するものである。
かかる構成の接合膜3が設けられた第1の基材2を第2の基材4に対して接触させると、第2の部分320において第2の基材4に対する接着性が選択的に発現していることから、かかる第2の部分320において、第1の基材と第2の基材4とを部分的に接合することができる。また、この第2の部分320における第1の基材と第2の基材4との部分的な接合を、高い寸法精度で強固に、かつ低温下で効率よく行うことができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第1実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)、図3は、本発明の接合方法において、エネルギー付与前の第2の部分における接合膜の状態を示す部分拡大図、図4は、本発明の接合方法において、エネルギー付与後の第2の部分における接合膜の状態を示す部分拡大図、図5は、接合膜を形成する際に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1〜5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第1実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明の接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)、図3は、本発明の接合方法において、エネルギー付与前の第2の部分における接合膜の状態を示す部分拡大図、図4は、本発明の接合方法において、エネルギー付与後の第2の部分における接合膜の状態を示す部分拡大図、図5は、接合膜を形成する際に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1〜5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態にかかる接合方法は、第1の基材2上に接合膜3を備える第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを用意する工程と、接合膜3に対してオゾンを選択的に付与し、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、この接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、接合膜3の少なくとも第2の部分に対してエネルギーを付与し、第2の部分320の表面付近に存在する脱離基をこの接合膜3から脱離させることにより、第1の部分310に接着性を発現させることなく第2の部分320に選択的に接着性を発現させる工程と、接合膜3と第2の基材4の被着面とを密着するように、第1の基材2と第2の基材4とを貼り合わせることにより、接合膜3が前記被着面に対して第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、第1の基材2上に接合膜3を備える第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを用意する。
[1−1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意する。
第1の基材2および第2の基材4の各構成材料は、それぞれ特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
[1]まず、第1の基材2上に接合膜3を備える第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを用意する。
[1−1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意する。
第1の基材2および第2の基材4の各構成材料は、それぞれ特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
また、第1の基材2および第2の基材4は、それぞれ、その表面に、Niめっきのようなめっき処理、クロメート処理のような不働態化処理、または窒化処理等を施したものであってもよい。
なお、第1の基材2の構成材料と第2の基材4の構成材料とは、それぞれ同じでも、異なっていてもよい。
なお、第1の基材2の構成材料と第2の基材4の構成材料とは、それぞれ同じでも、異なっていてもよい。
また、第1の基材2の熱膨張率と第2の基材4の熱膨張率は、ほぼ等しいのが好ましい。これらの熱膨張率がほぼ等しければ、第1の基材2と第2の基材4とを接合した際に、その接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し難くなる。その結果、最終的に得られる接合体5において、剥離を確実に防止することができる。
なお、後に詳述するが、第1の基材2の熱膨張率と第2の基材4の熱膨張率が互いに異なる場合でも、後述する工程において、第1の基材2と第2の基材4とを接合する際の条件を最適化することにより、これらを高い寸法精度で強固に接合することができる。
なお、後に詳述するが、第1の基材2の熱膨張率と第2の基材4の熱膨張率が互いに異なる場合でも、後述する工程において、第1の基材2と第2の基材4とを接合する際の条件を最適化することにより、これらを高い寸法精度で強固に接合することができる。
また、2つの基材2、4は、互いに剛性が異なるのが好ましい。これにより、2つの基材2、4をより強固に接合することができる。
また、2つの基材2、4のうち、少なくとも一方の構成材料は、樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料は、その柔軟性により、2つの基材2、4を接合した際に、その接合界面に発生する応力(例えば、熱膨張に伴う応力等)を緩和することができる。このため、接合界面が破壊し難くなり、結果的に、接合強度の高い接合体5を得ることができる。
なお、上記のような観点から、2つの基材2、4のうちの少なくとも一方は、可撓性を有しているのが好ましい。これにより、接合体5の接合強度のさらなる向上を図ることができる。さらに、2つの基材2、4の双方が可撓性を有している場合には、全体として可撓性を有し、機能性の高い接合体5が得られる。
また、2つの基材2、4のうち、少なくとも一方の構成材料は、樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料は、その柔軟性により、2つの基材2、4を接合した際に、その接合界面に発生する応力(例えば、熱膨張に伴う応力等)を緩和することができる。このため、接合界面が破壊し難くなり、結果的に、接合強度の高い接合体5を得ることができる。
なお、上記のような観点から、2つの基材2、4のうちの少なくとも一方は、可撓性を有しているのが好ましい。これにより、接合体5の接合強度のさらなる向上を図ることができる。さらに、2つの基材2、4の双方が可撓性を有している場合には、全体として可撓性を有し、機能性の高い接合体5が得られる。
また、各基材2、4の形状は、接合膜3を支持する面を有するような形状であればよく、板状のものに限定されない。すなわち、基材の形状は、例えば、塊状(ブロック状)や、棒状等であってもよい。
なお、本実施形態では、各基材2、4が板状をなしている。これにより、各基材2、4は撓み易くなり、2つの基材2、4を重ね合わせたときに、互いの形状に沿って十分に変形し得るものとなる。このため、2つの基材2、4を重ね合わせたときの密着性が高くなり、最終的に得られる接合体5における接合強度が高くなる。
また、各基材2、4が撓むことによって、接合界面に生じる応力を、ある程度緩和することができる。
この場合、各基材2、4の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜10mm程度であるのが好ましく、0.1〜3mm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態では、各基材2、4が板状をなしている。これにより、各基材2、4は撓み易くなり、2つの基材2、4を重ね合わせたときに、互いの形状に沿って十分に変形し得るものとなる。このため、2つの基材2、4を重ね合わせたときの密着性が高くなり、最終的に得られる接合体5における接合強度が高くなる。
また、各基材2、4が撓むことによって、接合界面に生じる応力を、ある程度緩和することができる。
この場合、各基材2、4の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜10mm程度であるのが好ましく、0.1〜3mm程度であるのがより好ましい。
次に、必要に応じて、第1の基材2の接合面(被着面)23に、形成される接合膜3との密着性を高める表面処理を施す。これにより、接合面23が清浄化および活性化され、接合面23に対して接合膜3が化学的に作用し易くなる。その結果、後述する工程において、接合面23上に接合膜3を形成したとき、接合面23と接合膜3との接合強度を高めることができる。
この表面処理としては、特に限定されないが、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。
なお、表面処理を施す第1の基材2が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、表面処理として、特にプラズマ処理または紫外線照射処理を行うことにより、接合面23を、より清浄化および活性化することができる。その結果、接合面23と接合膜3との接合強度を特に高めることができる。
なお、表面処理を施す第1の基材2が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、表面処理として、特にプラズマ処理または紫外線照射処理を行うことにより、接合面23を、より清浄化および活性化することができる。その結果、接合面23と接合膜3との接合強度を特に高めることができる。
また、第1の基材2の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3との接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第1の基材2の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された第1の基材2は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような酸化膜で覆われた第1の基材2を用いることにより、上記のような表面処理を施さなくても、第1の基材2の接合面23と接合膜3との接合強度を高めることができる。
なお、この場合、第1の基材2の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面23付近が上記のような材料で構成されていればよい。
このような材料で構成された第1の基材2は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような酸化膜で覆われた第1の基材2を用いることにより、上記のような表面処理を施さなくても、第1の基材2の接合面23と接合膜3との接合強度を高めることができる。
なお、この場合、第1の基材2の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面23付近が上記のような材料で構成されていればよい。
また、表面処理に代えて、第1の基材2の接合面23に、あらかじめ、中間層を形成しておいてもよい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層上に接合膜3を成膜することにより、最終的に、信頼性の高い接合体5を得ることができる。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層上に接合膜3を成膜することにより、最終的に、信頼性の高い接合体5を得ることができる。
かかる中間層の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンのような金属系材料、金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化物系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のような窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンのような炭素系材料、シランカップリング剤、チオール系化合物、金属アルコキシド、金属−ハロゲン化合物のような自己組織化膜材料、樹脂系接着剤、樹脂フィルム、樹脂コーティング材、各種ゴム材料、各種エラストマーのような樹脂系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、第1の基材2と接合膜3との間の接合強度を特に高めることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、第1の基材2と接合膜3との間の接合強度を特に高めることができる。
一方、第1の基材2と同様、第2の基材4の接合面24(後述する工程において、接合膜3と密着する面)にも、必要に応じて、あらかじめ接合膜3との密着性を高める表面処理を施してもよい。これにより、接合面(被着面)24を清浄化および活性化する。その結果、後述する工程において、接合面24と接合膜3とを密着させ、これらを接合したとき、接合面24と接合膜3との接合強度を高めることができる。
この表面処理としては、特に限定されないが、前述の第1の基材2の接合面23に対する表面処理と同様の処理を用いることができる。
また、第1の基材2の場合と同様に、第2の基材4の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3との密着性が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第2の基材4の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
また、第1の基材2の場合と同様に、第2の基材4の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3との密着性が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる第2の基材4の構成材料としては、例えば、前述したような各種金属系材料、各種シリコン系材料、各種ガラス系材料等を主材料とするものが挙げられる。
すなわち、このような材料で構成された第2の基材4は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような酸化膜で覆われた第2の基材4を用いることにより、上記のような表面処理を施さなくても、第2の基材4の接合面24と接合膜3との接合強度を高めることができる。
なお、この場合、第2の基材4の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面24付近が上記のような材料で構成されていればよい。
なお、この場合、第2の基材4の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合面24付近が上記のような材料で構成されていればよい。
また、第2の基材4の接合面24に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、第2の基材4の接合面24と接合膜3との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような各種官能基、各種ラジカル、開環分子または、2重結合、3重結合のような不飽和結合を有する脱離性中間体分子、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基や物質、または、これらの基が脱離してなる終端化されていない結合手(未結合手、ダングリングボンド)が挙げられる。
このうち、脱離性中間体分子は、開環分子または不飽和結合を有する炭化水素分子であるのが好ましい。このような炭化水素分子は、開環分子および不飽和結合の顕著な反応性に基づき、接合膜3に対して強固に作用する。したがって、このような炭化水素分子を有する接合面24は、接合膜3に対して特に強固に接合可能なものとなる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような各種官能基、各種ラジカル、開環分子または、2重結合、3重結合のような不飽和結合を有する脱離性中間体分子、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基や物質、または、これらの基が脱離してなる終端化されていない結合手(未結合手、ダングリングボンド)が挙げられる。
このうち、脱離性中間体分子は、開環分子または不飽和結合を有する炭化水素分子であるのが好ましい。このような炭化水素分子は、開環分子および不飽和結合の顕著な反応性に基づき、接合膜3に対して強固に作用する。したがって、このような炭化水素分子を有する接合面24は、接合膜3に対して特に強固に接合可能なものとなる。
また、接合面24が有する官能基は、特に水酸基が好ましい。これにより、接合面24は、接合膜3に対して特に容易かつ強固に接合可能なものとなる。特に接合膜3の表面に水酸基が露出している場合には、水酸基同士間に生じる水素結合に基づいて、接合面24と接合膜3との間を短時間で強固に接合することができる。
また、このような基や物質を有するように、接合面24に対して上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3に対して強固に接合可能な第2の基材4が得られる。
このうち、第2の基材4の接合面24には、水酸基が存在しているのが好ましい。このような接合面24には、水酸基が露出した接合膜3との間に、水素結合に基づく大きな引力が生じる。これにより、最終的に、第1の被着体1と第2の基材4とを特に強固に接合することができる。
また、このような基や物質を有するように、接合面24に対して上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3に対して強固に接合可能な第2の基材4が得られる。
このうち、第2の基材4の接合面24には、水酸基が存在しているのが好ましい。このような接合面24には、水酸基が露出した接合膜3との間に、水素結合に基づく大きな引力が生じる。これにより、最終的に、第1の被着体1と第2の基材4とを特に強固に接合することができる。
また、表面処理に代えて、第2の基材4の接合面24に、あらかじめ、中間層を形成しておいてもよい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、前記第1の基材2の場合と同様に、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して、第2の基材4と接合膜3とを接合することにより、最終的に、信頼性の高い接合体5を得ることができる。
かかる中間層の構成材料には、例えば、前記第1の基材2の接合面23に形成する中間層の構成材料と同様の材料を用いることができる。
なお、上記のような表面処理および中間層の形成は、必要に応じて行えばよく、特に高い接合強度を必要としない場合には、省略することができる。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、前記第1の基材2の場合と同様に、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して、第2の基材4と接合膜3とを接合することにより、最終的に、信頼性の高い接合体5を得ることができる。
かかる中間層の構成材料には、例えば、前記第1の基材2の接合面23に形成する中間層の構成材料と同様の材料を用いることができる。
なお、上記のような表面処理および中間層の形成は、必要に応じて行えばよく、特に高い接合強度を必要としない場合には、省略することができる。
[1−2]次に、第1の基材2上に接合膜3を形成し、これにより第1の被着体1を得る。
接合膜3は、第1の基材2と第2の基材4との間に位置し、これらの基材2、4の接合を担うものである。
接合膜3は、前述したように、第1の基材2上に形成された、金属原子と、有機成分とで構成される脱離基303を含む有機金属膜である(図3参照。)。そして、この接合膜3は、第2の基材4に対して接合させる、所定パターンにパターニングされた第2の部分320と、この第2の部分320以外の第2の基材4に対して接合させない第1の部分310とで構成される。
接合膜3は、第1の基材2と第2の基材4との間に位置し、これらの基材2、4の接合を担うものである。
接合膜3は、前述したように、第1の基材2上に形成された、金属原子と、有機成分とで構成される脱離基303を含む有機金属膜である(図3参照。)。そして、この接合膜3は、第2の基材4に対して接合させる、所定パターンにパターニングされた第2の部分320と、この第2の部分320以外の第2の基材4に対して接合させない第1の部分310とで構成される。
この接合膜3は、次工程[2]において、第1の部分310に対してオゾンを付与し、第1の部分310の有機成分を脱離させるとともに、この第1の部分310に酸素原子を導入することにより、第1の部分310の金属原子が酸化される。このような第1の部分310における金属原子の酸化により、接合膜3は、後工程[3]において、第1の部分310では、第2の部分320に発現する接着性が全く発現しないか、発現したとしても極めて僅かであり、第2の基材4と接着するに足る接着性が発現しないものとなる。
また、接合膜3は、図3および図4に示すように、第2の部分320には、脱離基303を含んでおり、後工程[3]において、エネルギーを付与することにより、接合膜3の表面35付近に存在する脱離基303が接合膜3から脱離し、接合膜3の少なくとも表面35付近に、活性手304が生じるものである。そして、この接合膜3は、この第2の部分320において、第2の被着体に対する接着性が選択的に発現する。
このような接合膜3は、いかなる方法で成膜してもよいが、例えば、I:金属原子で構成される金属膜に、脱離基(有機成分)303を含む有機物を、金属膜のほぼ全体に付与して接合膜3を形成する方法、II:金属原子で構成される金属膜に、脱離基(有機成分)303を含む有機物を、金属膜の表面付近に選択的に付与(化学修飾)して接合膜3を形成する方法、III:金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、IIIの方法により接合膜3を成膜するのが好ましい。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜3を形成することができる。
以下、IIIの方法、すなわち金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法により、接合膜3を得る場合を代表に説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図5に示す成膜装置200は、有機金属化学気相成長法(以下、「MOCVD法」と省略することもある。)による接合膜3の形成をチャンバー211内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、第1の基材2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に、気化または霧化した有機金属材料を供給する有機金属材料供給手段260と、チャンバー211内を低還元性雰囲気下とするためのガスを供給するガス供給手段270と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230と、基板ホルダー212を加熱する加熱手段(図示せず)とを有している。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、第1の基材2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に、気化または霧化した有機金属材料を供給する有機金属材料供給手段260と、チャンバー211内を低還元性雰囲気下とするためのガスを供給するガス供給手段270と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230と、基板ホルダー212を加熱する加熱手段(図示せず)とを有している。
基板ホルダー212は、本実施形態では、チャンバー211の底部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、モータの作動により回動可能となっている。これにより、第1の基材2上に接合膜を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
また、基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター221が配設されている。このシャッター221は、第1の基材2および接合膜3が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
また、基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター221が配設されている。このシャッター221は、第1の基材2および接合膜3が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
有機金属材料供給手段260は、チャンバー211に接続されている。この有機金属材料供給手段260は、固形状の有機金属材料を貯留する貯留槽262と、気化または霧化した有機金属材料をチャンバー211内に送気するキャリアガスを貯留するガスボンベ265と、キャリアガスと気化または霧化した有機金属材料をチャンバー211内に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ264およびバルブ263とで構成されている。かかる構成の有機金属材料供給手段260では、貯留槽262は、加熱手段を有しており、この加熱手段の作動により固形状の有機金属材料を加熱して気化し得るようになっている。そのため、バルブ263を開放した状態で、ポンプ264を作動させて、キャリアガスをガスボンベ265から貯留槽262に供給すると、このキャリアガスとともに気化または霧化した有機金属材料が、供給ライン261内を通過してチャンバー211内に供給されるようになっている。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
また、本実施形態では、ガス供給手段270がチャンバー211に接続されている。ガス供給手段270は、チャンバー211内を低還元性雰囲気下とするためのガスを貯留するガスボンベ275と、前記低還元性雰囲気下とするためのガスをチャンバー211内に導くガス供給ライン271と、ガス供給ライン271の途中に設けられたポンプ274およびバルブ273とで構成されている。かかる構成のガス供給手段270では、バルブ273を開放した状態で、ポンプ274を作動させると、前記低還元性雰囲気下とするためのガスが、ガスボンベ275から、供給ライン271を介して、チャンバー211内に供給されるようになっている。ガス供給手段270をかかる構成とすることにより、チャンバー211内を有機金属材料に対して確実に低還元な雰囲気とすることができる。その結果、有機金属材料を原材料としてMOCVD法を用いて接合膜3を成膜する際に、有機金属材料に含まれる有機成分の少なくとも一部を脱離基303として残存させた状態で接合膜3が成膜される。
チャンバー211内を低還元性雰囲気下とするためのガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素ガスおよびヘリウム、アルゴン、キセノンのような希ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
チャンバー211内を低還元性雰囲気下とするためのガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素ガスおよびヘリウム、アルゴン、キセノンのような希ガス等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、有機金属材料として、後述する2,4−ペンタジオネート−銅(II)や[Cu(hfac)(VTMS)]等のように分子構造中に酸素原子を含有するものを用いる場合には、低還元性雰囲気下とするためのガスに、水素ガスを添加するのが好ましい。これにより、酸素原子に対する還元性を向上させることができ、接合膜3に過度の酸素原子が残存することなく、接合膜3を成膜することができる。その結果、この接合膜3は、膜中における金属酸化物の存在率が低いものとなり、優れた導電性を発揮することとなる。
また、キャリアガスとして前述した窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスのうちの少なくとも1種を用いる場合には、このキャリアガスに低還元性雰囲気下とするためのガスとしての機能をも発揮させることができる。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いてMOCVD法により、以下のようにして第1の基材2上に接合膜3が形成される。
[1−2A] まず、第1の基材2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
[1−2A] まず、第1の基材2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
[1−2B] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、ガス供給手段270を動作させ、すなわちポンプ274を作動させた状態でバルブ273を開くことにより、チャンバー211内に、低還元性雰囲気下とするためのガスを供給して、チャンバー211内を低還元性雰囲気下とする。ガス供給手段270による前記ガスの流量は、特に限定されないが、0.1〜10sccm程度であるのが好ましく、0.5〜5sccm程度であるのがより好ましい。
また、ガス供給手段270を動作させ、すなわちポンプ274を作動させた状態でバルブ273を開くことにより、チャンバー211内に、低還元性雰囲気下とするためのガスを供給して、チャンバー211内を低還元性雰囲気下とする。ガス供給手段270による前記ガスの流量は、特に限定されないが、0.1〜10sccm程度であるのが好ましく、0.5〜5sccm程度であるのがより好ましい。
さらに、このとき、加熱手段を動作させ、基板ホルダー212を加熱する。基板ホルダー212の温度は、形成する接合膜3の種類、すなわち、接合膜3を形成する際に用いる原材料の種類によっても若干異なるが、80〜300℃程度で有るのが好ましく、100〜275℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述する有機金属材料を用いて、優れた接着性を有する接合膜3を成膜することができる。
[1−2C] 次に、シャッター221を開いた状態にする。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽262が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ264を動作させるとともに、バルブ263を開くことにより、気化または霧化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽262が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ264を動作させるとともに、バルブ263を開くことにより、気化または霧化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
このように、前記工程[1−2B]で基板ホルダー212が加熱された状態で、チャンバー211内に、気化または霧化した有機金属材料を供給すると、第1の基材2上で有機金属材料が加熱されることにより、有機金属材料中に含まれる有機物の一部が残存した状態で、第1の基材2上に接合膜3を形成することができる。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜3を第1の基材2上に形成することができる。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜3を第1の基材2上に形成することができる。
このようなMOCVD法に用いられる、有機金属材料としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ペンタジオネート−銅(II)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq3)、(8−ヒドロキシキノリン)亜鉛(Znq2)、銅フタロシアニン、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(hfac)(VTMS)]、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(hfac)(MHY)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(pfac)(VTMS)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(pfac)(MHY)]のような金属錯体、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛のようなアルキル金属や、その誘導体等が挙げられる。これらの中でも、有機金属材料としては、金属錯体であるのが好ましい。金属錯体を用いることにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、接合膜3を確実に形成することができる。
また、本実施形態では、ガス供給手段270を動作させることにより、チャンバー211内を低還元性雰囲気下となっているが、このような雰囲気下とすることにより、第1の基材2上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜3を形成することができる。
気化または霧化した有機金属材料の流量は、0.1〜100sccm程度であるのが好ましく、0.5〜60sccm程度であるのがより好ましい。これにより、均一な膜厚で、かつ、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で、接合膜3を成膜することができる。
気化または霧化した有機金属材料の流量は、0.1〜100sccm程度であるのが好ましく、0.5〜60sccm程度であるのがより好ましい。これにより、均一な膜厚で、かつ、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で、接合膜3を成膜することができる。
以上のように、接合膜3を成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基303として用いる構成とすることにより、形成した金属膜等に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜3を成膜することができる。
なお、有機金属材料を用いて形成された接合膜3に残存する前記有機物の一部は、その全てが脱離基303として機能するものであってもよいし、その一部が脱離基303として機能するものであってもよい。
なお、有機金属材料を用いて形成された接合膜3に残存する前記有機物の一部は、その全てが脱離基303として機能するものであってもよいし、その一部が脱離基303として機能するものであってもよい。
以上のようにして、接合膜3が第1の基材2上に成膜される。
かかる接合膜3は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303とを含むもの、すなわち有機金属膜であることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合体5においても、寸法精度が高いものが得られる。
かかる接合膜3は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303とを含むもの、すなわち有機金属膜であることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合体5においても、寸法精度が高いものが得られる。
また、接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、第1の基材2と第2の基材4とが接合膜3を介して接合された接合体5の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
このような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子および脱離基303が選択される。
具体的には、金属原子としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、各種ランタノイド元素、各種アクチノイド元素のような遷移金属元素、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Rb、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Tl、Pd、Bi、Poのような典型金属元素等が挙げられる。
具体的には、金属原子としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、各種ランタノイド元素、各種アクチノイド元素のような遷移金属元素、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Rb、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Tl、Pd、Bi、Poのような典型金属元素等が挙げられる。
ここで、遷移金属元素は、各遷移金属元素間で、最外殻電子の数が異なることのみの差異であるため、物性が類似している。そして、遷移金属は、一般に、硬度や融点が高い。このため、金属原子として遷移金属元素を用いた場合、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。また、それとともに、接合膜3の強度をより高めることができる。
また、金属原子として、Cu、Al、ZnおよびFeのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いた場合、接合膜3を前述した有機金属化学気相成長法を用いて成膜する場合には、これらの金属を含む金属錯体等を原材料として用いて、比較的容易かつ均一な膜厚の接合膜3を成膜することができる。
また、金属原子として、Cu、Al、ZnおよびFeのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いた場合、接合膜3を前述した有機金属化学気相成長法を用いて成膜する場合には、これらの金属を含む金属錯体等を原材料として用いて、比較的容易かつ均一な膜厚の接合膜3を成膜することができる。
また、本発明では、接合膜3は、第2の部分320では導電性を有し、第1の部分310では実質的に導電性を有してない(絶縁化されている)のが好ましい。これにより、後述する接合体5において、接合膜3の第2の部分320を、配線基板が備える配線や、その端子等に適用することができ、第1の部分310を、絶縁層として適用することができる。このような機能を有する接合膜3は、接合膜3に含まれる金属原子として、特定のものを選択することによって得ることができる。
具体的には、金属原子として、Cu、Ag、Al、Wのうち少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることにより、接合膜3は、このような機能を有するもの、すなわち、金属原子が酸化されていない領域において優れた導電性を発揮し、金属原子が酸化された領域が絶縁性を有するものとすることができる。
具体的には、金属原子として、Cu、Ag、Al、Wのうち少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることにより、接合膜3は、このような機能を有するもの、すなわち、金属原子が酸化されていない領域において優れた導電性を発揮し、金属原子が酸化された領域が絶縁性を有するものとすることができる。
金属原子としてかかる種類のものを選択すれば、接合膜3に対して、配線パターンと反対パターンの開口部を有するマスクを介して接合膜3にオゾンを付与することにより、第2の部分320において導電性を、第1の部分310において絶縁性を容易に発揮させることができる。このため、例えば、全面的に形成された金属膜を、マスクを介してエッチングすることによって形成される配線に比べて、配線基板の製造工程を簡易化することができる。
また、脱離基303は、前述したように、接合膜3の第2の部分320から脱離することにより、第2の部分320に活性手304を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜3の第2の部分320に確実に結合しているものが好適に選択される。
具体的には、脱離基303としては、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団が好適に選択される。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、第1の被着体1の接着性をより高度なものとすることができる。
より具体的には、原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基の他、前記アルキル基の末端がイソシアネート基、アミノ基およびスルホン酸基等で終端しているもの等が挙げられる。
以上のような原子団の中でも、脱離基303は、特に、アルキル基であるのが好ましい。アルキル基で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303としてアルキル基を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
以上のような原子団の中でも、脱離基303は、特に、アルキル基であるのが好ましい。アルキル基で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303としてアルキル基を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
また、かかる構成の接合膜3では、第2の部分320における金属原子と炭素原子の存在比が、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、第2の部分320において、接合膜3の安定性が高くなり、第1の被着体1と第2の基材4とを、第2の部分320において、より強固に接合することができるようになる。また、接合膜3の第2の部分320を、優れた導電性を発揮するものとすることができる。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、第1の被着体1と第2の基材4とを接合した接合体5の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合体5の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合体5の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、第1の基材2の接合面23に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせた際に、接合膜3の第2の基材4に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、前記範囲内において、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、前記範囲内において、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
[2]次に、接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する。
具体的には、図1(b)に示すように、接合膜3の上面の上方に、形成すべき第1の部分310の形状に対応する開口部61を有するマスク6を配置する。そして、この状態で、マスク6の上方からオゾンを供給することにより、接合膜3の第1の部分310を形成すべき領域に対して、選択的にオゾンを付与する。
具体的には、図1(b)に示すように、接合膜3の上面の上方に、形成すべき第1の部分310の形状に対応する開口部61を有するマスク6を配置する。そして、この状態で、マスク6の上方からオゾンを供給することにより、接合膜3の第1の部分310を形成すべき領域に対して、選択的にオゾンを付与する。
これにより、接合膜3の第1の部分310とすべき領域に含まれる有機成分が脱離されるとともに、この領域に酸素原子が導入されるため、この領域に存在する金属原子が選択的に酸化される。その結果、図1(c)に示すように、第1の被着体1が備える接合膜3に、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成することができる。
接合膜3にかかる第1の部分310と第2の部分320とを形成する構成とすれば、次工程[3]において、接合膜3の少なくとも第2の部分320にエネルギーを付与したとき、接合膜3は、第1の部分310では、接着性の発現が確実に抑えられ、第2の部分320において、選択性よく接着性が発現するものとなる。そのため、第1の被着体1と第2の基材4とを、第1の部分(不要な部分)310で接着させず、第2の部分320において、部分的に接着させることができるようになる。さらに、接合膜3が、金属原子として、例えばCu、Ag、Al、Wのうち少なくとも1種を含むものである場合には、接合膜3の第1の部分310を、確実に絶縁化することができる。
接合膜3にオゾンを付与する方法としては、特に限定されないが、酸素プラズマにより発生させたオゾンを供給する方法や、酸素ガス供給下で紫外線を照射する方法等が挙げられ、これら各種方法を組み合わせて用いることができるが、後者の方法を用いるのが好ましい。かかる方法であれば、大掛かりな装置を用いることなく、比較的容易かつ確実にオゾンを発生させ、このオゾンを接合膜3の第1の部分310を形成すべき領域に選択的に供給することができる。
酸素ガス供給下で紫外線を照射する方法は、具体的には、前記工程[1]で説明した、チャンバー211内に第1の被着体1を収納しておき、チャンバー211内に酸素ガスを供給した状態で紫外線を照射することにより行うことができる。
この場合、チャンバー211内に供給する酸素ガスの流量は、1〜100sccm程度であるのが好ましく、10〜60sccm程度であるのがより好ましい。これにより、チャンバー211内にオゾンを確実に発生させることができる。
この場合、チャンバー211内に供給する酸素ガスの流量は、1〜100sccm程度であるのが好ましく、10〜60sccm程度であるのがより好ましい。これにより、チャンバー211内にオゾンを確実に発生させることができる。
また、紫外線の波長は、好ましくは波長126〜300nm程度とされ、より好ましくは126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、第1の部分310の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、第1の部分310の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、金属原子を酸化させ得る程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜3の構成材料等に応じて若干異なるものの、1秒〜30分程度であるのが好ましく、1秒〜10分程度であるのがより好ましい。
なお、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
なお、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜150℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、接合膜3に含まれる金属原子をより確実に酸化させることができる。
以上のような条件で第1の部分310にオゾンを供給すれば、第1の部分310に含まれる金属原子が十分に酸化されるため、次工程[3]において、接合膜3にエネルギーを付与したときに、第1の部分310おいて、接着性が発現してしまうのをより確実に抑制または防止することができる。
以上のような条件で第1の部分310にオゾンを供給すれば、第1の部分310に含まれる金属原子が十分に酸化されるため、次工程[3]において、接合膜3にエネルギーを付与したときに、第1の部分310おいて、接着性が発現してしまうのをより確実に抑制または防止することができる。
[3]次に、第1の被着体1の接合膜3の少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与する。
ここで、少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与すると、第2の部分320において、前述したように、脱離基303(図3では、メチル基)の結合手が切れて接合膜3の表面35付近から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、第2の部分320において、接合膜の活性手が表面35付近に生じ、活性化される。これにより、接合膜3の第2の部分320において、第2の基材4に対する接着性が発現する。
ここで、少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与すると、第2の部分320において、前述したように、脱離基303(図3では、メチル基)の結合手が切れて接合膜3の表面35付近から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、第2の部分320において、接合膜の活性手が表面35付近に生じ、活性化される。これにより、接合膜3の第2の部分320において、第2の基材4に対する接着性が発現する。
これに対して、第1の部分310では、エネルギーが付与されても、金属原子が酸化されているため、第2の部分320におけるような反応が生じず、第1の部分310において接着性は全く発現しないか、発現したとしても極めて僅かである。そのため、第2の基材4と接着するに足る接着性が発現しない。すなわち、この接合膜3では、エネルギー付与により、第2の部分320において選択的に接着性が発現する。その結果、第1の被着体1は、第2の部分320において部分的に、第2の基材4と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
なお、本明細書中において、接合膜3の第2の部分320が「活性化された」状態とは、上述のように、第2の部分320において、接合膜3の表面35および内部の脱離基303が脱離して、接合膜3の構成原子において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態の他、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、さらに、これらの状態が混在した状態を含めて、接合膜3の第2の部分320が「活性化された」状態と言うこととする。
したがって、活性手304とは、図4に示すように、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。第2の部分320に、このような活性手304が存在するようにすれば、第2の基材4に対して、第2の部分320において部分的に、特に強固な接合が可能となる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成されることとなる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成されることとなる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法を用いて付与されるものであってもよいが、例えば、接合膜3にエネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、接合膜3をプラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、接合膜3をオゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。中でも、本実施形態では、接合膜3にエネルギーを付与する方法として、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法を用いるのが好ましい。かかる方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザ光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長126〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図1(d)参照)。かかる範囲内の紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、第2の部分320において、接合膜3中の脱離基303を確実に脱離させることができる。これにより、接合膜3の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜3の第2の部分320に接着性を確実に発現させることができる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長126〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図1(d)参照)。かかる範囲内の紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、第2の部分320において、接合膜3中の脱離基303を確実に脱離させることができる。これにより、接合膜3の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜3の第2の部分320に接着性を確実に発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基303の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、1〜10mm程度とするのが好ましく、1〜5mm程度とするのがより好ましい。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、126〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、1〜10mm程度とするのが好ましく、1〜5mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜3の第2の部分320において、その表面35付近の脱離基303を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜3に必要以上に紫外線が照射されない程度の時間とするのが好ましい。これにより、接合膜3が変質・劣化するのを効果的に防止することができる。具体的には、紫外線の光量、接合膜3の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザ光としては、例えば、エキシマレーザのようなパルス発振レーザ(パルスレーザ)、炭酸ガスレーザ、半導体レーザのような連続発振レーザ等が挙げられる。中でも、パルスレーザが好ましく用いられる。パルスレーザでは、接合膜3のレーザ光が照射された部分に経時的に熱が蓄積され難いので、蓄積された熱による接合膜3の変質・劣化を確実に防止することができる。すなわち、パルスレーザによれば、接合膜3の内部にまで蓄積された熱の影響がおよぶのを、防止することができる。
また、パルスレーザのパルス幅は、熱の影響を考慮した場合、できるだけ短い方が好ましい。具体的には、パルス幅が1ps(ピコ秒)以下であるのが好ましく、500fs(フェムト秒)以下であるのがより好ましい。パルス幅を前記範囲内にすれば、レーザ光照射に伴って接合膜3に生じる熱の影響を、的確に抑制することができる。なお、パルス幅が前記範囲内程度に小さいパルスレーザは、「フェムト秒レーザ」と呼ばれる。
また、レーザ光の波長は、特に限定されないが、例えば、200〜1200nm程度であるのが好ましく、400〜1000nm程度であるのがより好ましい。
また、レーザ光の波長は、特に限定されないが、例えば、200〜1200nm程度であるのが好ましく、400〜1000nm程度であるのがより好ましい。
また、レーザ光のピーク出力は、パルスレーザの場合、パルス幅によって異なるが、0.1〜10W程度であるのが好ましく、1〜5W程度であるのがより好ましい。
さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は、0.1〜100kHz程度であるのが好ましく、1〜10kHz程度であるのがより好ましい。パルスレーザの周波数を前記範囲内に設定することにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、第2の部分320において、接合膜3に含まれる有機成分の一部が残存した状態で、脱離基303を接合膜3の表面35付近から確実に切断することができる。
さらに、パルスレーザの繰り返し周波数は、0.1〜100kHz程度であるのが好ましく、1〜10kHz程度であるのがより好ましい。パルスレーザの周波数を前記範囲内に設定することにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、第2の部分320において、接合膜3に含まれる有機成分の一部が残存した状態で、脱離基303を接合膜3の表面35付近から確実に切断することができる。
なお、このようなレーザ光の各種条件は、レーザ光を照射された部分の温度が、好ましくは常温(室温)〜600℃程度、より好ましくは200〜600℃程度、さらに好ましくは300〜400℃程度になるように適宜調整されるのが好ましい。これにより、レーザ光を照射した部分の温度が著しく上昇して、第2の部分320おいて、接合膜3に含まれる有機成分の一部が残存した状態で、脱離基303を接合膜3から確実に切断することができる。
また、接合膜3に照射するレーザ光は、その焦点を、接合膜3の表面35に合わせた状態で、この表面35に沿って走査されるようにするのが好ましい。これにより、レーザ光の照射によって発生した熱が、表面35付近に局所的に蓄積されることとなる。その結果、第2の部分320において、接合膜3の表面35に存在する脱離基303を選択的に脱離させることができる。
また、接合膜3に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、中でも、特に、大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜3の表面35付近に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による第1の基材2および接合膜3の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、第2の部分320において、接合膜3から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、第1の被着体1と第2の基材4との間の接合強度を容易に調整することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、第2の部分320において、接合膜3から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、第1の被着体1と第2の基材4との間の接合強度を容易に調整することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、第2の部分320において、接合膜3の表面35付近に、より多くの活性手が生じるため、第2の部分320に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、第2の部分320において、接合膜3の表面35付近に生じる活性手を少なくし、第2の部分320に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
また、本実施形態では、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせる前に、あらかじめ、第1の被着体1の接合膜3に対してエネルギーを付与する場合について説明しているが、かかるエネルギーの付与は、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせる(重ね合わせる)際、または貼り合わせた(重ね合わせた)後に行うようにしてもよい。なお、このような場合については、後述する第2実施形態において説明する。
[4]次に、図1(e)に示すように、第2の部分320において選択的に活性化された接合膜3と、第2の基材4とが密着するように、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせる。ここで、接合膜3は、前記工程[3]を経ることにより、第2の部分320に、第2の基材4に対する接着性が選択的に発現しており、第1の部分310には第2の基材4に対する接着性が発現していない。そのため、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせると、接合膜3は、第2の部分320において第2の基材4と化学的に結合するが、第1の部分310において第2の基材4と結合しないため、図1(f)に示すような第2の部分320において部分的に接合されてなる接合体5が形成される。
このため、接着性が不要な領域を第1の部分310として設定することにより、前記工程[3]において、第2の部分320ばかりでなく、接合膜3の全面にエネルギーを付与したとしても、接着性が不要な第1の部分310には接着性を発現させず、第2の部分320だけに選択的に接着性を発現させることができる。すなわち、エネルギーの付与を選択的に行わなくても、接着性が不要な部分を除いた領域(第2の部分320)に選択的に接着性を発現させることができる。
したがって、接着性が必要な領域が接合膜の一部である場合でも、エネルギーを付与する領域を特に設定する必要がなく、接合膜3へのエネルギーの付与を簡易化することができる。また、接合膜3を加熱する方法や、接合膜3に圧縮力を付与する方法のように、一部の領域に選択的にエネルギーを付与することが難しい方法も用いることができる。これにより、エネルギー付与方法の選択の幅の拡大を図ることができる。
このようにして得られた接合体5では、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、第1の被着体1と第2の基材4とが第2の部分320において部分的に接合されている。このため、接合体5は短時間で形成することができ、かつ、極めて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。
また、このような第1の被着体1を用いて得られた接合体5を得る方法によれば、従来の固体接合のように、高温(例えば、700℃以上)での熱処理を必要としないことから、耐熱性の低い材料で構成された第1の基材2および第2の基材4をも、接合に供することができる。
また、接合膜3を介して第1の基材2と第2の基材4とを接合しているため、第1の基材2や第2の基材4の構成材料に制約がないという利点もある。
また、接合膜3を介して第1の基材2と第2の基材4とを接合しているため、第1の基材2や第2の基材4の構成材料に制約がないという利点もある。
以上のことから、本発明の接合方法によれば、第1の基材2および第2の基材4の各構成材料の選択の幅をそれぞれ広げることができる。
また、固体接合では、接合膜を介していないため、第1の基材2と第2の基材4との間の熱膨張率に大きな差がある場合、その差に基づく応力が接合界面に集中し易く、剥離等が生じるおそれがあったが、接合体(本発明の接合体)5では、接合膜3によって応力の集中が緩和され、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。
また、固体接合では、接合膜を介していないため、第1の基材2と第2の基材4との間の熱膨張率に大きな差がある場合、その差に基づく応力が接合界面に集中し易く、剥離等が生じるおそれがあったが、接合体(本発明の接合体)5では、接合膜3によって応力の集中が緩和され、剥離の発生を的確に抑制または防止することができる。
さらに、このようにして得られた接合体5は、第1の基材2と第2の基材4の対向面全体を接合するのではなく、一部の領域(第2の部分320)のみを部分的に接合してなるものである。そして、この接合される領域は、接合膜3に対して酸化処理を施す領域(第1の部分310)を適宜設定することのみで簡単に選択することができる。したがって、例えば、接合膜3の酸化処理を施す領域(第1の部分310)の面積を適宜設定することにより、接合体5の接合強度を容易に調整することができる。その結果、例えば、接合した箇所を容易に分離することができる接合体5が得られる。
また、図1(f)に示す第1の被着体1と第2の基材4との接合部(第2の部分320)の面積や形状を適宜制御することにより、接合部に生じる応力の局所集中を緩和することができる。これにより、例えば、第1の基材2と第2の基材4との間で熱膨張率の差が大きい場合でも、第1の被着体1と第2の基材4とを確実に接合することができる。
さらに、本実施形態にかかる接合方法によれば、図1(f)に示すように、接合される第2の部分320以外の領域(第1の部分310)にも接合膜3が存在し、第1の基材2と第2の基材4との隙間全体が接合膜3によって埋まっているので、第1の基材2と第2の基材4との間隔が確実に一定に保たれ、強度に優れた接合体5を得ることができる。
さらに、本実施形態にかかる接合方法によれば、図1(f)に示すように、接合される第2の部分320以外の領域(第1の部分310)にも接合膜3が存在し、第1の基材2と第2の基材4との隙間全体が接合膜3によって埋まっているので、第1の基材2と第2の基材4との間隔が確実に一定に保たれ、強度に優れた接合体5を得ることができる。
なお、前述したように、第1の被着体1と第2の基材4との接合部(第2の部分320)の面積を制御することにより、接合体5の接合強度を調整可能であると同時に、接合体5を分離する際の強度(割裂強度)を調整可能である。
かかる観点から、容易に分離可能な接合体5を作製する場合には、接合体5の接合強度は、人の手で容易に分離可能な程度の大きさであるのが好ましい。これにより、接合体5を分離する際、装置等を用いることなく、簡単に行うことができる。
かかる観点から、容易に分離可能な接合体5を作製する場合には、接合体5の接合強度は、人の手で容易に分離可能な程度の大きさであるのが好ましい。これにより、接合体5を分離する際、装置等を用いることなく、簡単に行うことができる。
また、本実施形態では、接合に供される第1の基材2および第2の基材4のうち、一方のみ(本実施形態では、第1の基材2)に接合膜3が設けられている。そのため、第1の基材2上に接合膜3を形成する際に、接合膜3の形成方法によっては、第1の基材2が比較的長時間にわたって高温下に曝されることになるが、本実施形態では、第2の基材4は、高温下に曝されることはない。
したがって、例えば、第2の基材4として、熱耐久性が著しく低いものを選択した場合であっても、本実施形態にかかる方法によれば、熱変性を確実に防止しつつ、第1の被着体1と第2の基材4とを強固に接合することができる。したがって、第2の基材4を構成する材料は、熱久性をあまり考慮することなく、幅広い材料から選択することが可能になるという利点もある。
また、第1の基材2および第2の基材4の各熱膨張率が互いに異なる場合には、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせる際の条件を以下のように最適化するのが好ましい。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とを高い寸法精度で強固に接合することができる。
すなわち、第1の基材2と第2の基材4の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
すなわち、第1の基材2と第2の基材4の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
具体的には、第1の基材2と第2の基材4との熱膨張率の差にもよるが、第1の基材2および第2の基材4の温度が25〜50℃程度である状態下で、第1の被着体1と第2の基材4とを貼り合わせるのが好ましく、25〜40℃程度である状態下で貼り合わせるのがより好ましい。このような温度範囲であれば、第1の基材2と第2の基材4との熱膨張率の差がある程度大きくても、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、接合体5における反りや剥離等の発生を確実に抑制または防止することができる。
また、この場合、具体的な第1の基材2と第2の基材4との間の熱膨張係数の差が、5×10−5/K以上あるような場合には、上記のようにして、できるだけ低温下で接合を行うことが特に推奨される。
さらに、第1の基材2と第2の基材4は、互いに剛性が異なっているのが好ましい。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とをより強固に接合することができる。
さらに、第1の基材2と第2の基材4は、互いに剛性が異なっているのが好ましい。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とをより強固に接合することができる。
また、第1の基材2と第2の基材4のうち、少なくとも一方の基板は、その構成材料が樹脂材料で構成されているのが好ましい。樹脂材料は、その柔軟性により、第1の被着体1と第2の基材4とを接合した際に、その接合界面に発生する応力(例えば、熱膨張に伴う応力等)を緩和することができる。このため、接合界面が破壊し難くなり、結果的に、接合強度の高い接合体5を得ることができる。
ここで、本工程において、第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを接合するメカニズムについて説明する。
例えば、第2の基材4の第1の被着体1との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、第1の被着体1の接合膜3と第2の基材4とが接触するように、これらを貼り合わせたとき、接合膜3の第2の部分320に存在する水酸基と、第2の基材4の第2の部分320に対応する領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において部分的に接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、第1の被着体1と第2の基材4との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において、より強固に接合されると推察される。
例えば、第2の基材4の第1の被着体1との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、第1の被着体1の接合膜3と第2の基材4とが接触するように、これらを貼り合わせたとき、接合膜3の第2の部分320に存在する水酸基と、第2の基材4の第2の部分320に対応する領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において部分的に接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、第1の被着体1と第2の基材4との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において、より強固に接合されると推察される。
なお、前記工程[3]で活性化された接合膜3の第2の部分320は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[3]の終了後、できるだけ早く本工程[4]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[3]の終了後、60分以内に本工程[4]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜3の第2の部分320が十分な活性状態を維持しているので、本工程で第1の被着体1(接合膜3)と第2の基材4とを貼り合わせたとき、接合膜3の第2の部分320と、第2の基材4との間に、十分な接合強度を得ることができる。
換言すれば、活性化させる前の接合膜3の第2の部分320は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含む接合膜であるため、化学的に比較的安定であり、耐候性に優れている。また、第1の部分310は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含む接合膜3に酸化処理を施したものであるため、化学的により安定であり、耐候性により優れている。このため、活性化させる前の接合膜3は、長期にわたる保存に適したものとなる。したがって、そのような接合膜3を備えた第1の基材2を多量に製造または購入して保存しておき、本工程の貼り合わせを行う直前に、必要な個数のみに前記工程[2]および前記工程[3]を施すようにすれば、接合体5の製造効率の観点から有効である。
以上のようにして、図1(f)に示す接合体(本発明の接合体)5を得ることができる。
なお、図1(f)では、第1の被着体1の接合膜3の全面を覆うように第2の基材4を重ね合わせているが、これらの相対的な位置は、互いにずれていてもよい。すなわち、接合膜3から第2の基材4がはみ出るように、第1の被着体1と第2の基材4とが重ね合わされていてもよい。
なお、図1(f)では、第1の被着体1の接合膜3の全面を覆うように第2の基材4を重ね合わせているが、これらの相対的な位置は、互いにずれていてもよい。すなわち、接合膜3から第2の基材4がはみ出るように、第1の被着体1と第2の基材4とが重ね合わされていてもよい。
このようにして得られた接合体5は、第1の基材2と第2の基材4との間の接合強度が5MPa(50kgf/cm2)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm2)以上であるのがより好ましい。このような接合強度を有する接合体5は、その剥離を十分に防止し得るものとなる。そして、後述のように、接合体5を用いて、例えば液滴吐出ヘッドを構成した場合、耐久性に優れた液滴吐出ヘッドが得られる。また、本発明の接合方法によれば、第1の基材2と第2の基材4とが、第2の部分320において上記のような大きな接合強度で接合された接合体5を効率よく作製することができる。
なお、従来のシリコン基板同士を直接接合するような固体接合では、接合に供される基板の表面を活性化させても、その活性状態は、大気中で数秒〜数十秒程度の極めて短時間しか維持することができなかった。このため、表面の活性化を行った後、接合する2つの基板を貼り合わせる等の作業に要する時間を、十分に確保することができないという問題があった。
これに対し、本発明によれば、接合膜3の第2の部分320の活性状態を、比較的長時間に亘って維持することができる。このため、貼り合わせ作業に要する時間を十分に確保することができ、接合作業の効率化を高めることができる。なお、比較的長時間に亘って活性状態を維持し得ることは、有機成分で構成される脱離基303が脱離した活性化状態が安定化していることに起因しているものと推察される。
なお、接合体5を得る際、または、接合体5を得た後に、この接合体5(第1の被着体1と第2の基材4の積層体)に対して、必要に応じ、以下の3つの工程([4A]、[4B]および[4C])のうちの少なくとも1つの工程(接合体5の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、接合体5の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
[4A] 図2(a)に示すように、得られた接合体5を、第1の基材2と第2の基材4とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、第1の基材2の表面および第2の基材4の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、接合体5における接合強度をより高めることができる。
また、接合体5を加圧することにより、接合体5中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体5における接合強度をさらに高めることができる。
このとき、接合体5を加圧する際の圧力は、接合体5が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体5における接合強度を高めることができる。
これにより、第1の基材2の表面および第2の基材4の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、接合体5における接合強度をより高めることができる。
また、接合体5を加圧することにより、接合体5中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体5における接合強度をさらに高めることができる。
このとき、接合体5を加圧する際の圧力は、接合体5が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体5における接合強度を高めることができる。
なお、この圧力は、第1の基材2および第2の基材4の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、第1の基材2および第2の基材4の各構成材料や各厚さ等に応じて若干異なるものの、0.2〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPa程度であるのがより好ましい。これにより、接合体5の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、第1の基材2および第2の基材4の各構成材料によっては、第1の基材2および第2の基材4に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体5を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体5を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[4B] 図2(a)に示すように、得られた接合体5を加熱する。
これにより、接合体5における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体5を加熱する際の温度は、室温より高く、接合体5の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜200℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体5が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
これにより、接合体5における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体5を加熱する際の温度は、室温より高く、接合体5の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜200℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体5が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図2(a)に示すように、接合体5を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体5の接合強度を特に高めることができる。
また、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図2(a)に示すように、接合体5を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体5の接合強度を特に高めることができる。
[4C] 図2(b)に示すように、得られた接合体5に紫外線を照射する。
これにより、接合膜3と第1の基材2、および、接合膜3の第2の部分320と第2の基材4との間に形成される化学結合を増加させ、第1の基材2および第2の基材4と接合膜3との間の接合強度をそれぞれ高めることができる。その結果、接合体5の接合強度を特に高めることができる。
このとき照射される紫外線の条件は、前記工程[2]に示した紫外線の条件と同等にすればよい。
これにより、接合膜3と第1の基材2、および、接合膜3の第2の部分320と第2の基材4との間に形成される化学結合を増加させ、第1の基材2および第2の基材4と接合膜3との間の接合強度をそれぞれ高めることができる。その結果、接合体5の接合強度を特に高めることができる。
このとき照射される紫外線の条件は、前記工程[2]に示した紫外線の条件と同等にすればよい。
また、本工程[4C]を行う場合、第1の基材2および第2の基材4のうち、いずれか一方が透光性を有していることが必要である。そして、透光性を有する基板側から、紫外線を照射することにより、接合膜3に対して確実に紫外線を照射することができる。
以上のような工程を行うことにより、接合体5における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
以上のような工程を行うことにより、接合体5における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、金属原子が酸化された第1の部分310と金属原子が酸化されていない第2の部分320とが形成された第1の被着体1と、第2の基材(第2の被着体)4とを重ね合わせた後に、接合膜3にエネルギーを付与するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜3が第1の基材2上に形成された第1の被着体1と、被着面を有する第2の基材(第2の被着体)4とを用意する工程と、接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、この接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、第1の被着体1が備える接合膜3と第2の基材4の被着面とが密着するように、これらを重ね合わせて積層体(仮接合体)を得る工程と、得られた積層体中の接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3の第2の部分320を活性化させ、これにより、第1の被着体1と第2の基材4とを、第2の部分320において部分的に接合してなる接合体5を得る工程とを有する。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜3が第1の基材2上に形成された第1の被着体1と、被着面を有する第2の基材(第2の被着体)4とを用意する工程と、接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、この接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、第1の被着体1が備える接合膜3と第2の基材4の被着面とが密着するように、これらを重ね合わせて積層体(仮接合体)を得る工程と、得られた積層体中の接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3の第2の部分320を活性化させ、これにより、第1の被着体1と第2の基材4とを、第2の部分320において部分的に接合してなる接合体5を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、前記第1実施形態の工程[1]と同様にして、第1の基材2上に接合膜3を備える第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを用意する。
[2]次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様にして、接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、図6(a)に示すように、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する。
[1]まず、前記第1実施形態の工程[1]と同様にして、第1の基材2上に接合膜3を備える第1の被着体1と第2の基材(第2の被着体)4とを用意する。
[2]次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様にして、接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、図6(a)に示すように、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、接合膜3に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する。
[3]次に、図6(b)に示すように、接合膜3の表面35と第2の基材4とが密着するように、第1の被着体1に対して第2の基材4を重ね合わせ積層体(仮接合体)を得る。なお、この積層体の状態では、第1の被着体1と第2の基材4との間は接合されていないので、第1の被着体1の第2の基材4に対する相対位置を調整することができる。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とを重ね合わせた後、これらの位置を容易に微調整することができる。その結果、接合膜3の表面35方向における位置精度を高めることができる。
[4]次に、図6(c)に示すように、積層体中が備える接合膜3の少なくとも第2の部分320に対してエネルギーを付与する。接合膜3の少なくとも第2の部分320にエネルギーが付与されると、接合膜3の第2の部分320に、第2の基材4との接着性が選択的に発現する。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において部分的に接合され、図6(d)に示すように、接合体5が得られる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
また、本実施形態では、接合膜3にエネルギーを付与する方法としては、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、および接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法を用いるのが好ましい。これらの方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
このうち、接合膜3にエネルギー線を照射する方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
なお、この場合、エネルギー線は、第1の基材2または第2の基材4を透過して接合膜3に照射されることとなる。したがって、第1の基材2または第2の基材4のうちエネルギー線を照射する側の基板は、透光性を有するもので構成される。
なお、この場合、エネルギー線は、第1の基材2または第2の基材4を透過して接合膜3に照射されることとなる。したがって、第1の基材2または第2の基材4のうちエネルギー線を照射する側の基板は、透光性を有するもので構成される。
一方、接合膜3を加熱することにより、接合膜3に対してエネルギーを付与する場合には、加熱温度を25〜200℃程度に設定するのが好ましく、50〜100℃程度に設定するのがより好ましい。かかる範囲の温度で加熱すれば、第1の基材2および第2の基材4が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜3の第2の部分320を確実に活性化させることができる。
また、加熱時間は、接合膜3の第2の部分320の脱離基303を脱離し得る程度の時間とすればよく、具体的には、加熱温度が前記範囲内であれば、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、接合膜3は、いかなる方法で加熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる方法、赤外線を照射する方法、火炎に接触させる方法等の各種方法で加熱することができる。
なお、赤外線を照射する方法を用いる場合には、第1の基材2または第2の基材4は、光吸収性を有する材料で構成されているのが好ましい。これにより、赤外線を照射された第1の基材2または第2の基材4は、効率よく発熱する。その結果、接合膜3を効率よく加熱することができる。
また、接合膜3は、いかなる方法で加熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる方法、赤外線を照射する方法、火炎に接触させる方法等の各種方法で加熱することができる。
なお、赤外線を照射する方法を用いる場合には、第1の基材2または第2の基材4は、光吸収性を有する材料で構成されているのが好ましい。これにより、赤外線を照射された第1の基材2または第2の基材4は、効率よく発熱する。その結果、接合膜3を効率よく加熱することができる。
また、ヒータを用いる方法または火炎に接触させる方法を用いる場合には、第1の基材2または第2の基材4のうちヒータまたは火炎を接触させる側の基板は、熱伝導性に優れた材料で構成されているのが好ましい。これにより、第1の基材2または第2の基材4を介して、接合膜3に対して効率よく熱を伝えることができ、接合膜3を効率よく加熱することができる。
また、接合膜3に圧縮力を付与することにより、接合膜3に対してエネルギーを付与する場合には、第1の被着体1と第2の基材4とが互いに近づく方向に、0.2〜10MPa程度の圧力で圧縮するのが好ましく、1〜5MPa程度の圧力で圧縮するのがより好ましい。これにより、積層体を単に圧縮するのみで、接合膜3に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができ、接合膜3の第2の部分320に、第2の基材4との十分な接着性が発現する。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、第1の基材2と第2の基材4の各構成材料によっては、第1の基材2および第2の基材4に損傷等が生じるおそれがある。
また、圧縮力を付与する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、圧縮力を付与する時間は、圧縮力の大きさに応じて適宜変更すればよい。具体的には、圧縮力の大きさが大きいほど、圧縮力を付与する時間を短くすることができる。
以上のようにして接合体5を得ることができる。
以上のようにして接合体5を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第3実施形態について説明する。
図7および図8は、本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第3実施形態について説明する。
図7および図8は、本発明の接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、第1の基材2ばかりではなく第2の基材4にも接合膜3を形成するようにしたこと以外、換言すれば、共に接合膜3を備える第1の被着体1および第2の被着体7を用意し、これら同士を接合するようにしたこと以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜3が第1の基材2上に形成された第1の被着体1、および、接合膜3が第2の基材4上に形成された第2の被着体7をそれぞれ用意する工程と、各被着体1、7の接合膜3に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、各接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、各接合膜に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、各被着体1、7の接合膜3における少なくとも第2の部分320に対してそれぞれエネルギーを付与し、この第2の部分320の表面付近に存在する脱離基を接合膜3から脱離基を接合膜3から脱離させることにより、各被着体1、7の接合膜3の第1の部分310に接着性を発現させることなく、第2の部分320に選択的に接着性を発現させる工程と、各被着体1、7の接合膜3同士が密着するように、第1の被着体1と第2の被着体7とを貼り合わせることにより、各被着体1、7の接合膜3同士が第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る工程とを有する。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜3が第1の基材2上に形成された第1の被着体1、および、接合膜3が第2の基材4上に形成された第2の被着体7をそれぞれ用意する工程と、各被着体1、7の接合膜3に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、各接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、各接合膜に酸素原子を導入して、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、各被着体1、7の接合膜3における少なくとも第2の部分320に対してそれぞれエネルギーを付与し、この第2の部分320の表面付近に存在する脱離基を接合膜3から脱離基を接合膜3から脱離させることにより、各被着体1、7の接合膜3の第1の部分310に接着性を発現させることなく、第2の部分320に選択的に接着性を発現させる工程と、各被着体1、7の接合膜3同士が密着するように、第1の被着体1と第2の被着体7とを貼り合わせることにより、各被着体1、7の接合膜3同士が第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意し、前記第1実施形態の工程[1]で第1の基材2に接合膜3を形成したのと同様にして、第1の基材2および第2の基材4の双方に接合膜3を形成することにより、第1の被着体1および第2の被着体7を得る。
[1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意し、前記第1実施形態の工程[1]で第1の基材2に接合膜3を形成したのと同様にして、第1の基材2および第2の基材4の双方に接合膜3を形成することにより、第1の被着体1および第2の被着体7を得る。
[2]次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様にして、各被着体1、7の接合膜3に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、接合膜3に酸素原子を導入して、図7(a)に示すように、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する。
なお、本実施形態では、各被着体1、7が備える接合膜3には、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とが形成されている。
なお、本実施形態では、各被着体1、7が備える接合膜3には、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とが形成されている。
また、このように各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とを各被着体1、7が備える接合膜3に形成するには、例えば、第1の被着体1が備える接合膜3に第1の部分310および第2の部分320を形成し、そして、これらの部分310、320を形成するために用いたマスクを裏返して、第1の被着体1が備える接合膜3に施したのと同様の処理を第2の被着体7が備える接合膜3に施すようにすればよい。したがって、各被着体1、7が備える接合膜3に、第1の部分310と第2の部分320とを形成する際に用いるマスクが1枚で済むので、製造コストの削減を図ることができる。
[3]次に、図7(b)に示すように、各被着体1、7がそれぞれ備える接合膜3の少なくとも第220に対して、それぞれエネルギーを付与する。各被着体1、7がそれぞれ備える接合膜3にエネルギーが付与されると、各接合膜3では、第2の部分320において、図3に示す脱離基303が接合膜3から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、図4に示すように、第2の部分320の表面35付近に活性手304が生じ、第2の部分320が活性化される。これにより、各被着体1、7が備える接合膜3の第2の部分320にそれぞれ接着性が発現する。
このような状態の2枚の第1の被着体1および第2の被着体7は、それぞれ、第2の部分320において、互いに接着可能なものとなる。
なお、エネルギー付与方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
このような状態の2枚の第1の被着体1および第2の被着体7は、それぞれ、第2の部分320において、互いに接着可能なものとなる。
なお、エネルギー付与方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
ここで、各被着体1、7が備える接合膜3の第2の部分320が「活性化された」状態とは、前記第1実施形態で説明したように、第2の部分320において、接合膜3の表面35および内部の脱離基303が脱離して、接合膜3の構成原子が終端化していない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態の他、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、さらに、これらの状態が混在した状態を含めて、接合膜3の第2の部分320が「活性化された」状態と言うこととする。
したがって、本明細書中では、活性手304とは、図4に示すように、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
したがって、本明細書中では、活性手304とは、図4に示すように、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
[4]次に、図7(c)に示すように、第2の部分320に接着性が発現した、各被着体1、7が備える接合膜3同士が密着するように、被着体1、7同士を貼り合わせることにより、図7(d)に示すように、各被着体1、7の接合膜3同士が第2の部分320において部分的に接合した接合体5を得る。
ここで、本工程において、各被着体1、7が備える接合膜3同士が第2の部分320において接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方に基づくものであると推察される。
ここで、本工程において、各被着体1、7が備える接合膜3同士が第2の部分320において接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方に基づくものであると推察される。
(i) 例えば、各接合膜3の第2の部分320に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、各被着体1、7の接合膜3同士が密着するように、第1の被着体1と第2の被着体7とを貼り合わせたとき、各接合膜3の第2の部分320に存在する水酸基同士が、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、第1の被着体1と第2の被着体7とが、接合膜3の第2の部分320において部分的に接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、2つの接合膜3の第2の部分320同士の間では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、第1の被着体1と第2の被着体7とが、接合膜3の第2の部分320において部分的に、より強固に接合されると推察される。
(ii) また、第1の被着体1と第2の被着体7とを貼り合わせると、第2の部分320において、各被着体1、7の接合膜3の表面35付近に生じた終端化されていない結合手(未結合手)同士が再結合する。この再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。これにより、各接合膜3を構成する構成原子同士が互いに直接接合することにより、各接合膜3同士が第2の部分320において一体化する。
以上のような(i)または(ii)のメカニズムにより、図7(d)に示すような接合体5が得られる。
以上のような(i)または(ii)のメカニズムにより、図7(d)に示すような接合体5が得られる。
なお、接合体5を得た後、この接合体5に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
例えば、図8(a)に示すように、接合体5を加圧しつつ、加熱することにより、接合体5の各基材2、4同士がより近接する。これにより、第2の部分320において、各被着体1、7が備える接合膜3の界面における水酸基の脱水縮合や未結合手同士の再結合が促進される。そして、各被着体1が備える接合膜3同士の第2の部分320における一体化がより進行する。その結果、図8(b)に示すように、各接合膜3が第2の部分320において、ほぼ完全に一体化された接合体5が得られる。
例えば、図8(a)に示すように、接合体5を加圧しつつ、加熱することにより、接合体5の各基材2、4同士がより近接する。これにより、第2の部分320において、各被着体1、7が備える接合膜3の界面における水酸基の脱水縮合や未結合手同士の再結合が促進される。そして、各被着体1が備える接合膜3同士の第2の部分320における一体化がより進行する。その結果、図8(b)に示すように、各接合膜3が第2の部分320において、ほぼ完全に一体化された接合体5が得られる。
<第4実施形態>
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第4実施形態について説明する。
図9は、本発明の接合方法の第4実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第4実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態〜前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
次に、本発明の接合方法および本発明の接合体の各第4実施形態について説明する。
図9は、本発明の接合方法の第4実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第4実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態〜前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、第1の基材2ばかりではなく第2の基材4にも接合膜3を形成して、共に接合膜3を備える第1の被着体1および第2の被着体7を用意し、さらに、各被着体1、7が備える接合膜3に対して選択的にオゾンを付与することにより、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成し、これら接合膜3同士が互いに接触するように各被着体1、7同士を重ね合わせた後に、接合膜3にエネルギーを付与するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、前記第2実施形態と前記第3実施形態とを組み合わせたものであり、接合膜3が第1の基材2上に形成された第1の被着体1、および、接合膜3が第2の基材4上に形成された第2の被着体7を用意する工程と、各被着体1、7がそれぞれ備える接合膜3に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する工程と、各被着体1、7が備える接合膜3同士が密着するように、これら被着体1、7を重ね合わせて積層体(仮接合体)を得る工程と、得られた積層体中の各接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3の第2の部分320を活性化させ、これにより、第1の被着体1と第2の基材4とを、第2の部分320において部分的に接合してなる接合体5を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意し、前記第1実施形態の工程[1]で第1の基材2に接合膜3を形成したのと同様にして、第1の基材2および第2の基材4の双方に接合膜3を形成することにより、第1の被着体1および第2の被着体7を得る。
[1]まず、第1の基材2と第2の基材4とを用意し、前記第1実施形態の工程[1]で第1の基材2に接合膜3を形成したのと同様にして、第1の基材2および第2の基材4の双方に接合膜3を形成することにより、第1の被着体1および第2の被着体7を得る。
[2]次に、前記第1実施形態の工程[2]と同様にして、各被着体1、7の接合膜3に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、接合膜3の有機成分を脱離させるとともに、接合膜3に酸素原子を導入して、図7(a)に示すように、金属原子が酸化された第1の部分310と、金属原子が酸化されていない第2の部分320とを形成する。
なお、本実施形態では、各被着体1、7が備える接合膜3には、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とが形成されている。
なお、本実施形態では、各被着体1、7が備える接合膜3には、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とが形成されている。
[3]次に、図9(b)に示すように、各被着体1、7の接合膜3の表面35同士が密着するように、第1の被着体1に対して第2の被着体7を重ね合わせ積層体(仮接合体)を得る。なお、この積層体の状態では、第1の被着体1と第2の被着体7との間は接合されていないので、第1の被着体1の第2の被着体7に対する相対位置を調整することができる。これにより、第1の被着体1と第2の被着体7とを重ね合わせた後、これらの位置を容易に微調整することができる。その結果、接合膜3の表面35方向における位置精度を高めることができる。
[4]次に、図9(c)に示すように、積層体中の接合膜3に対してエネルギーを付与する。接合膜3にエネルギーが付与されると、接合膜3の第2の部分320に、互いに接触する接合膜3に対する接着性が選択的に発現する。これにより、第1の被着体1と第2の基材4とが、第2の部分320において部分的に接合され、図9(d)に示すように、接合体5が得られる。
また、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第2実施形態で挙げたような方法で付与される。
また、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第2実施形態で挙げたような方法で付与される。
なお、前記第3実施形態および本実施形態では、各被着体1、7が備える接合膜3には、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、共にほぼ一致するパターン形状をなす、第1の部分310と第2の部分320とが形成されていることとしたが、このような場合に限定されず、各接合膜3の第2の部分320は、各被着体1、7同士を重ね合わせた際に、互いに接触する部分が存在しないように形成されていてもよいし、一方の被着体が備える接合膜3の第2の部分320が、他方の被着体が備える接合膜3の第2の部分320を包含するように形成されていてもよい。ただし、前記第3実施形態および本実施形態で説明した構成とすることにより、一方の第2の部分320に対応して他方の第2の部分320が形成されているので、これらが互いに重なる接触面において、特に高い接着強度が得られる。
以上のような前記各実施形態にかかる接合方法は、種々の複数の部材同士を接合するのに用いることができる。
このような接合に供される部材としては、例えば、トランジスタ、ダイオード、メモリのような半導体素子、水晶発振子のような圧電素子、反射鏡、光学レンズ、回折格子、光学フィルターのような光学素子、太陽電池のような光電変換素子、半導体基板とそれに搭載される半導体素子、絶縁性基板と配線または電極、インクジェット式記録ヘッド、マイクロリアクタ、マイクロミラーのようなMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品、圧力センサ、加速度センサのようなセンサ部品、半導体素子や電子部品のパッケージ部品、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体のような記録媒体、液晶表示素子、有機EL素子、電気泳動表示素子のような表示素子用部品、燃料電池用部品等が挙げられる。
このような接合に供される部材としては、例えば、トランジスタ、ダイオード、メモリのような半導体素子、水晶発振子のような圧電素子、反射鏡、光学レンズ、回折格子、光学フィルターのような光学素子、太陽電池のような光電変換素子、半導体基板とそれに搭載される半導体素子、絶縁性基板と配線または電極、インクジェット式記録ヘッド、マイクロリアクタ、マイクロミラーのようなMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品、圧力センサ、加速度センサのようなセンサ部品、半導体素子や電子部品のパッケージ部品、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体のような記録媒体、液晶表示素子、有機EL素子、電気泳動表示素子のような表示素子用部品、燃料電池用部品等が挙げられる。
<液滴吐出ヘッド>
ここでは、本発明の接合体をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の接合体を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図11は、図10に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図12は、図10に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図10は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図10に示すインクジェット式記録ヘッド10は、図12に示すようなインクジェットプリンタ9に搭載されている。
ここでは、本発明の接合体をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の接合体を適用して得られたインクジェット式記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)を示す分解斜視図、図11は、図10に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図12は、図10に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図10は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図10に示すインクジェット式記録ヘッド10は、図12に示すようなインクジェットプリンタ9に搭載されている。
図12に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体92を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体92の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体92の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
制御部96の制御により、給紙装置95は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッドユニット93の駆動源となるキャリッジモータ941と、キャリッジモータ941の回転を受けて、ヘッドユニット93を往復動させる往復動機構942とを備えている。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、ヘッド10にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に「ヘッド10」と言う。)と、ヘッド10にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド10およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と、キャリッジガイド軸943と平行に延在するタイミングベルト944とを有している。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト944の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト944を正逆走行させると、キャリッジガイド軸943に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト944の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト944を正逆走行させると、キャリッジガイド軸943に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド10から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置95は、その駆動源となる給紙モータ951と、給紙モータ951の作動により回転する給紙ローラ952とを有している。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置94や給紙装置95等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以下、ヘッド10について、図10および図11を参照しつつ詳述する。
ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、このヘッド本体17を収納する基体16とを有している。なお、このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ヘッド10は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備えるヘッド本体17と、このヘッド本体17を収納する基体16とを有している。なお、このヘッド10は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ノズル板11は、例えば、SiO2、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物系材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料等で構成されている。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
各インク室121は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル孔111に対応して配設されている。各インク室121は、後述する振動板13の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種樹脂基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド10の製造コストを低減することができる。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種樹脂基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド10の製造コストを低減することができる。
一方、インク室基板12のノズル板11と反対側には、振動板13が接合され、さらに振動板13のインク室基板12と反対側には、複数の圧電素子14が設けられている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と上部電極141との間に圧電体層143を介挿してなり、各インク室121のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体16にノズル板11が固定、支持されている。すなわち、基体16が備える凹部161に、ヘッド本体17を収納した状態で、凹部161の外周部に形成された段差162によりノズル板11の縁部を支持する。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体16にノズル板11が固定、支持されている。すなわち、基体16が備える凹部161に、ヘッド本体17を収納した状態で、凹部161の外周部に形成された段差162によりノズル板11の縁部を支持する。
以上のような、ノズル板11とインク室基板12との接合、インク室基板12と振動板13との接合、およびノズル板11と基体16とを接合する際に、少なくとも1箇所において本発明の接合方法が適用されている。
換言すれば、ノズル板11とインク室基板12との接合体、インク室基板12と振動板13との接合体、およびノズル板11と基体16との接合体のうち、少なくとも1箇所に本発明の接合体が適用されている。
換言すれば、ノズル板11とインク室基板12との接合体、インク室基板12と振動板13との接合体、およびノズル板11と基体16との接合体のうち、少なくとも1箇所に本発明の接合体が適用されている。
このようなヘッド10は、接合部の接合界面の接合強度および耐薬品性が高くなっており、これにより、各インク室121に貯留されたインクに対する耐久性および液密性が高くなっている。その結果、ヘッド10は、信頼性の高いものとなる。
また、非常に低温で信頼性の高い接合ができるため、線膨張係数の異なる材料でも大面積のヘッドができる点でも有利である。
また、非常に低温で信頼性の高い接合ができるため、線膨張係数の異なる材料でも大面積のヘッドができる点でも有利である。
このようなヘッド10は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体層143に変形が生じる。これにより、振動板13が大きくたわみ、インク室121の容積変化が生じる。このとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル孔111からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク室121の容積が増大する。なお、このとき、インクには、インクカートリッジ931からノズル孔111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔111からインク室121へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供給される。
このようにして、ヘッド10において、印刷させたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電気熱変換素子を有していてもよい。つまり、ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してインクを吐出する構成(いわゆる、「バブルジェット方式」(「バブルジェット」は登録商標))のものであってもよい。
なお、ヘッド10は、圧電素子14の代わりに電気熱変換素子を有していてもよい。つまり、ヘッド10は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用してインクを吐出する構成(いわゆる、「バブルジェット方式」(「バブルジェット」は登録商標))のものであってもよい。
かかる構成のヘッド10において、ノズル板11には、撥液性を付与することを目的に形成された被膜114が設けられている。これにより、ノズル孔111からインク滴が吐出される際に、このノズル孔111の周辺にインク滴が残存するのを確実に防止することができる。その結果、ノズル孔111から吐出されたインク滴を目的とする領域に確実に着弾させることができる。
<配線基板>
さらに、本発明の接合体を配線基板に適用した場合の実施形態について説明する。
図13は、本発明の接合体を適用して得られた配線基板を示す斜視図(模式図)、図14は、図13に示す配線基板を示す分解斜視図(模式図)である。
図13、14に示す配線基板410は、対向して設けられた第1絶縁基板411および第2絶縁基板412と、第1絶縁基板411の第2絶縁基板412との対向面、および、第2絶縁基板411の第1絶縁基板412との対向面に、それぞれ形成された第1接合膜33および第2接合膜34とを有する。
さらに、本発明の接合体を配線基板に適用した場合の実施形態について説明する。
図13は、本発明の接合体を適用して得られた配線基板を示す斜視図(模式図)、図14は、図13に示す配線基板を示す分解斜視図(模式図)である。
図13、14に示す配線基板410は、対向して設けられた第1絶縁基板411および第2絶縁基板412と、第1絶縁基板411の第2絶縁基板412との対向面、および、第2絶縁基板411の第1絶縁基板412との対向面に、それぞれ形成された第1接合膜33および第2接合膜34とを有する。
第1接合膜33および第2接合膜34には、それぞれ、配線パターンの形状に対応する第2の部分332、342と、第2の部分332、341以外の第1の部分331、341とが形成されている。
また、この配線基板410では、第1接合膜33および第2接合膜34における第2の部分332、342および第1の部分331、341は、互いにほぼ同一の形状をなし、第2の部分332と第2の部分342、第1の部分331と第1の部分341とがそれぞれ重ね合わされている。
また、第1接合膜33および第2接合膜34では、金属原子は、前述したようなCu、Ag、Al、Wのうち少なくとも1種または2種以上を組み合わせたもので構成されている。そのため、第1接合膜33および第2接合膜34は、この金属原子を酸化しない部分では導電性を発揮し、金属原子を酸化した部分では絶縁性を発揮するようになっている。
また、この配線基板410では、第1接合膜33および第2接合膜34における第2の部分332、342および第1の部分331、341は、互いにほぼ同一の形状をなし、第2の部分332と第2の部分342、第1の部分331と第1の部分341とがそれぞれ重ね合わされている。
また、第1接合膜33および第2接合膜34では、金属原子は、前述したようなCu、Ag、Al、Wのうち少なくとも1種または2種以上を組み合わせたもので構成されている。そのため、第1接合膜33および第2接合膜34は、この金属原子を酸化しない部分では導電性を発揮し、金属原子を酸化した部分では絶縁性を発揮するようになっている。
かかる構成の配線基板410において、各接合膜33、34の第1の部分331、341では、金属原子が酸化されており、その結果、第1の部分331、341が絶縁化され、さらに、これら互いに接触する接触面において接着性が発現していない。これに対して、各接合膜33、34の第2の部分332、342では、金属原子が酸化されておらず、その結果、第2の部分332、342が導電性を有し、また、この第2の部分332、342に対するエネルギー付与により発現した接着性によって他方の第1の部分331、341と接着している。
以上のことから、配線基板410では、導電性および接着性を有する各第2の部分332、342が、配線パターンとして機能するとともに、第1絶縁基板411および第2絶縁基板412を接合する接合部として機能する。また、各第1の部分331、341は、配線同士を絶縁する絶縁層として機能する。このような配線基板410は、第1絶縁基板411と第2絶縁基板412とが、接合膜33、34によって、第2の部分332、342において部分的に、強固に接合されることになり、各絶縁基板411、412間の剥離等が確実に防止されるとともに、信頼性の高いものとなる。
また、第2の部分332、342および第1の部分331、341は、接合膜33、34に、配線パターンと反対パターンの開口部を有するマスクを介して、オゾンを付与することにより、容易に得ることができる。このため、配線基板410のように、接合膜の第2の部分を配線パターンとして用いる構成とすることにより、例えば、基材のほぼ全面に形成された金属膜を、マスクを介してエッチングすることにより、配線パターンを形成する場合と比較して、配線基板の製造工程の簡易化を図ることができる。
以上、本発明の接合方法および接合体を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の接合方法は、前記各実施形態のうち、任意の1つまたは2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の接合方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、前記各実施形態では、第1の基材と第2の基材の2枚の基材を接合する方法について説明しているが、3枚以上の基材を接合する場合に、本発明の接合方法を用いるようにしてもよい。
例えば、本発明の接合方法は、前記各実施形態のうち、任意の1つまたは2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の接合方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、前記各実施形態では、第1の基材と第2の基材の2枚の基材を接合する方法について説明しているが、3枚以上の基材を接合する場合に、本発明の接合方法を用いるようにしてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.接合体の製造
(実施例1)
まず、第1の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの単結晶シリコン基板を用意し、第2の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのガラス基板を用意した。
次いで、単結晶シリコン基板を図5に示す成膜装置200のチャンバー211内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
1.接合体の製造
(実施例1)
まず、第1の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの単結晶シリコン基板を用意し、第2の基材として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmのガラス基板を用意した。
次いで、単結晶シリコン基板を図5に示す成膜装置200のチャンバー211内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、表面処理を行った面に、原材料を2,4−ペンタジオネート−銅(II)とし、MOCVD法を用いて、平均厚さ100nmの接合膜を成膜した。なお、成膜条件は以下に示す通りである。
<成膜条件>
・チャンバー内の雰囲気 :窒素ガス + 水素ガス
・有機金属材料(原材料) :2,4−ペンタジオネート−銅(II)
・霧化した有機金属材料の流量 :42sccm
・キャリアガス :窒素ガス
・キャリアガスの流量 :500sccm
・水素ガスの流量 :0.2sccm
・チャンバーの到達真空度 :2×10−6Torr
・成膜時のチャンバー内の圧力 :1×10−3Torr
・基板ホルダーの温度 :275℃
・処理時間 :10分
以上のようにして成膜された接合膜は、金属原子として銅原子を含み、脱離基として、2,4−ペンタジオネート−銅(II)に含まれる有機物の一部が残存しているものである。
<成膜条件>
・チャンバー内の雰囲気 :窒素ガス + 水素ガス
・有機金属材料(原材料) :2,4−ペンタジオネート−銅(II)
・霧化した有機金属材料の流量 :42sccm
・キャリアガス :窒素ガス
・キャリアガスの流量 :500sccm
・水素ガスの流量 :0.2sccm
・チャンバーの到達真空度 :2×10−6Torr
・成膜時のチャンバー内の圧力 :1×10−3Torr
・基板ホルダーの温度 :275℃
・処理時間 :10分
以上のようにして成膜された接合膜は、金属原子として銅原子を含み、脱離基として、2,4−ペンタジオネート−銅(II)に含まれる有機物の一部が残存しているものである。
次に、得られた接合膜に、第1の部分の形状に対応する開口部を有するマスクを介して、酸素ガス供給下で紫外線を照射することにより、第1の部分とすべき領域に対してオゾンを選択的に付与することにより第1の部分を形成した。
なお、第1の部分を、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の表面のうち、周縁部の幅3mmの枠状の領域とし、それ以外の部分を第2の部分とした。
なお、第1の部分を、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の表面のうち、周縁部の幅3mmの枠状の領域とし、それ以外の部分を第2の部分とした。
また、オゾンを付与する際の各種条件は、以下に示す通りである。
<オゾン付与の条件>
・酸素ガスの流量 :50sccm
・紫外線の波長 :172nm
・成膜時のチャンバー内の圧力:大気圧(100kPa)
・基板ホルダーの温度 :150℃
・処理時間 :5分
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜に含まれる金属原子を選択的に酸化させての第1の部分を形成した。
<オゾン付与の条件>
・酸素ガスの流量 :50sccm
・紫外線の波長 :172nm
・成膜時のチャンバー内の圧力:大気圧(100kPa)
・基板ホルダーの温度 :150℃
・処理時間 :5分
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜に含まれる金属原子を選択的に酸化させての第1の部分を形成した。
次に、第1の部分と第2の部分とが形成された接合膜に対して、以下に示す条件で紫外線を照射した。
<紫外線照射条件>
・雰囲気ガスの組成 :窒素ガス
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させた。
一方、ガラス基板(第2の基材)の片面に対して、酸素プラズマによる表面処理を行った。
<紫外線照射条件>
・雰囲気ガスの組成 :窒素ガス
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させた。
一方、ガラス基板(第2の基材)の片面に対して、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜に紫外線を照射してから1分後に、接合膜の紫外線を照射した面と、ガラス基板の表面処理を施した面とが接触するように、単結晶シリコン基板とガラス基板とを重ね合わせた。これにより、接合膜とガラス基板とが第2の部分において部分的に接合してなる接合体を得た。
次に、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、120℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
次に、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、120℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
(実施例2)
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度120℃から25℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例3〜14)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度120℃から25℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例3〜14)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例15)
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板の表面処理を行った面に、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、この接合膜に対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板の表面処理を行った面に、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、この接合膜に対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
次に、シリコン基板に設けられた接合膜と、ガラス基板の表面処理を行った面とが接触するように、接合膜が設けられたシリコン基板とガラス基板とを重ね合わせた。
そして、重ね合わせた各基板に対して、ガラス基板側から、前記実施例1と同様の条件で紫外線を照射した。
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させて、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
そして、重ね合わせた各基板に対して、ガラス基板側から、前記実施例1と同様の条件で紫外線を照射した。
これにより、単結晶シリコン基板上に形成された接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させて、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
(実施例16)
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度80℃から25℃に変更した以外は、前記実施例15と同様にして接合体を得た。
(実施例17〜19)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例15と同様にして接合体を得た。
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度80℃から25℃に変更した以外は、前記実施例15と同様にして接合体を得た。
(実施例17〜19)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例15と同様にして接合体を得た。
(実施例20)
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板およびガラス基板の表面処理を行った面に、それぞれ、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、これら接合膜対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板およびガラス基板の表面処理を行った面に、それぞれ、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、これら接合膜対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
次に、各基板に設けられた接合膜に対して、それぞれ、前記実施例1と同様の条件で紫外線を照射することにより、各接合膜の第2の部分に選択的に接着性を発現させた。
次に、各基板に設けられた接合膜同士が接触するように、各基板を重ね合わせることにより、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、120℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
次に、各基板に設けられた接合膜同士が接触するように、各基板を重ね合わせることにより、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、120℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
(実施例21)
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度120℃から25℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例22〜24)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度120℃から25℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例22〜24)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例25)
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板およびガラス基板の表面処理を行った面に、それぞれ、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、これら接合膜に対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
まず、前記実施例1と同様にして、単結晶シリコン基板とガラス基板(第1の基材および第2の基材)を用意し、それぞれに酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、シリコン基板およびガラス基板の表面処理を行った面に、それぞれ、前記実施例1と同様にして、接合膜を成膜した後、これら接合膜に対して選択的にオゾンを付与することにより、第1の部分と第2の部分とを形成した。
次に、各基板に設けられた接合膜同士が接触するように、接合膜が設けられたシリコン基板およびガラス基板を重ね合わせた。
そして、重ね合わせた各基板に対して、ガラス基板側から、前記実施例1と同様の条件で紫外線を照射した。
これにより、各基板上に形成された接合膜の第2の部分に、それぞれ、選択的に接着性を発現させて、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
そして、重ね合わせた各基板に対して、ガラス基板側から、前記実施例1と同様の条件で紫外線を照射した。
これにより、各基板上に形成された接合膜の第2の部分に、それぞれ、選択的に接着性を発現させて、この第2の部分において各基板同士が部分的に接合されてなる接合体を得た。
続いて、得られた接合体を10MPaで加圧しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、接合体の接合強度の向上を図った。
(実施例26)
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度80℃から25℃に変更した以外は、前記実施例25と同様にして接合体を得た。
(実施例27〜29)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例25と同様にして接合体を得た。
接合体を加圧しつつ加熱する際の加熱温度80℃から25℃に変更した以外は、前記実施例25と同様にして接合体を得た。
(実施例27〜29)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料に変更した以外は、前記実施例25と同様にして接合体を得た。
(比較例1〜3)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料とし、各基材間を、周縁部の幅3mmの枠状の領域において、エポキシ系接着剤で部分的に接着した以外は、前記実施例1と同様にして、接合体を得た。
(比較例4〜6)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料とし、各基材間を、周縁部の幅3mmの枠状の領域において、Agペーストで部分的に接着した以外は、前記実施例1と同様にして、接合体を得た。
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料とし、各基材間を、周縁部の幅3mmの枠状の領域において、エポキシ系接着剤で部分的に接着した以外は、前記実施例1と同様にして、接合体を得た。
(比較例4〜6)
第1の基材の構成材料および第2の基材の構成材料を、それぞれ表1に示す材料とし、各基材間を、周縁部の幅3mmの枠状の領域において、Agペーストで部分的に接着した以外は、前記実施例1と同様にして、接合体を得た。
2.接合体の評価
2.1 接合強度(割裂強度)の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ接合強度を測定した。
接合強度の測定は、各基材を引き剥がしたとき、剥がれる直前の強度を測定することにより行った。そして、接合強度を以下の基準にしたがって評価した。
2.1 接合強度(割裂強度)の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ接合強度を測定した。
接合強度の測定は、各基材を引き剥がしたとき、剥がれる直前の強度を測定することにより行った。そして、接合強度を以下の基準にしたがって評価した。
<接合強度の評価基準>
◎:10MPa(100kgf/cm2)以上
○: 5MPa( 50kgf/cm2)以上、10MPa(100kgf/cm2)未満
△: 1MPa( 10kgf/cm2)以上、 5MPa( 50kgf/cm2)未満
×: 1MPa( 10kgf/cm2)未満
◎:10MPa(100kgf/cm2)以上
○: 5MPa( 50kgf/cm2)以上、10MPa(100kgf/cm2)未満
△: 1MPa( 10kgf/cm2)以上、 5MPa( 50kgf/cm2)未満
×: 1MPa( 10kgf/cm2)未満
2.2 寸法精度の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ厚さ方向の寸法精度を測定した。
寸法精度の測定は、正方形の接合体の各角部の厚さを測定し、4箇所の厚さの最大値と最小値の差を算出することにより行った。そして、この差を以下の基準にしたがって評価した。
<寸法精度の評価基準>
○:10μm未満
×:10μm以上
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ厚さ方向の寸法精度を測定した。
寸法精度の測定は、正方形の接合体の各角部の厚さを測定し、4箇所の厚さの最大値と最小値の差を算出することにより行った。そして、この差を以下の基準にしたがって評価した。
<寸法精度の評価基準>
○:10μm未満
×:10μm以上
2.3 耐薬品性の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体を、80℃に維持したインクジェットプリンタ用インク(エプソン社製、「HQ4」)に、以下の条件で3週間浸漬した。その後、各基材を引き剥がし、接合界面にインクが浸入していないかを確認した。そして、その結果を以下の基準にしたがって評価した。
各実施例および各比較例で得られた接合体を、80℃に維持したインクジェットプリンタ用インク(エプソン社製、「HQ4」)に、以下の条件で3週間浸漬した。その後、各基材を引き剥がし、接合界面にインクが浸入していないかを確認した。そして、その結果を以下の基準にしたがって評価した。
<耐薬品性の評価基準>
◎:全く浸入していない
○:角部にわずかに浸入している
△:縁部に沿って浸入している
×:内側に浸入している
◎:全く浸入していない
○:角部にわずかに浸入している
△:縁部に沿って浸入している
×:内側に浸入している
2.4 抵抗率の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、対向する角部で露出する接合膜に、それぞれ、電極を設け、これら電極同士間の抵抗率を測定することにより、接合体(接合膜)の第2の部分における抵抗率を求めた。そして、測定した抵抗率を以下の基準にしたがって評価した。
各実施例および各比較例で得られた接合体について、対向する角部で露出する接合膜に、それぞれ、電極を設け、これら電極同士間の抵抗率を測定することにより、接合体(接合膜)の第2の部分における抵抗率を求めた。そして、測定した抵抗率を以下の基準にしたがって評価した。
<抵抗率の評価基準>
◎: 1×10−4Ω・cm未満
○: 1×10−4Ω・cm以上、 1×10−3Ω・cm未満
△: 1×10−3Ω・cm以上、 1×10−1Ω・cm未満
×: 1×10−1Ω・cm以上
以上、2.1〜2.4の各評価結果を表1に示す。
◎: 1×10−4Ω・cm未満
○: 1×10−4Ω・cm以上、 1×10−3Ω・cm未満
△: 1×10−3Ω・cm以上、 1×10−1Ω・cm未満
×: 1×10−1Ω・cm以上
以上、2.1〜2.4の各評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例で得られた接合体は、接合強度、寸法精度、耐薬品性および抵抗率のいずれの項目においても優れた特性を示した。
また、各実施例で得られた接合体は、各比較例で得られた接合体よりも反り量の変化が小さかった。
一方、各比較例で得られた接合体は、耐薬品性が十分ではなかった。また、寸法精度は、特に低いことが認められた。さらに、抵抗率は、高いものであった。
また、各実施例の接合体について、各基材を引き剥がし、接合膜の第1の部分の抵抗率を測定したところ、いずれも1×106Ω・cm以上であり、絶縁性を示した。これにより、接合膜は、第1の部分において、絶縁性を示し、上記の抵抗率の結果から、第2の部分において、優れた導電性を示すことが明らかとなった。
また、各実施例で得られた接合体は、各比較例で得られた接合体よりも反り量の変化が小さかった。
一方、各比較例で得られた接合体は、耐薬品性が十分ではなかった。また、寸法精度は、特に低いことが認められた。さらに、抵抗率は、高いものであった。
また、各実施例の接合体について、各基材を引き剥がし、接合膜の第1の部分の抵抗率を測定したところ、いずれも1×106Ω・cm以上であり、絶縁性を示した。これにより、接合膜は、第1の部分において、絶縁性を示し、上記の抵抗率の結果から、第2の部分において、優れた導電性を示すことが明らかとなった。
1……第1の被着体 2……基材 23、24……接合面 3、33、34……接合膜 310、331、341……第1の部分 320、332、342……第2の部分 303……脱離基 304……活性手 35……表面 4……第2の基材 5……接合体 6……マスク 61……開口部 7……第2の被着体 200……成膜装置 211……チャンバー 212……基板ホルダー 221……シャッター 230……排気手段 231……排気ライン 232……ポンプ 233……バルブ 260……有機金属材料供給手段 261……ガス供給ライン 262……貯留槽 263……バルブ 264……ポンプ 265……ガスボンベ 270……ガス供給手段 271……ガス供給ライン 273……バルブ 274……ポンプ 275……ガスボンベ 10……インクジェット式記録ヘッド 11……ノズル板 111……ノズル孔 114……被膜 12……インク室基板 121……インク室 122……側壁 123……リザーバ室 124……供給口 13……振動板 131……連通孔 14……圧電素子 141……上部電極 142……下部電極 143……圧電体層 16……基体 161……凹部 162……段差 17……ヘッド本体 9……インクジェットプリンタ 92……装置本体 921……トレイ 922……排紙口 93……ヘッドユニット 931……インクカートリッジ 932……キャリッジ 94……印刷装置 941……キャリッジモータ 942……往復動機構 943……キャリッジガイド軸 944……タイミングベルト 95……給紙装置 951……給紙モータ 952……給紙ローラ 952a……従動ローラ 952b……駆動ローラ 96……制御部 97……操作パネル P……記録用紙 410……配線基板 411……第1絶縁基板 412……第2絶縁基板
Claims (26)
- 基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜を備える第1の被着体と、被着面を有する第2の被着体とを用意する工程と、
前記接合膜に対してオゾンを選択的に供給することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜を備える第1の被着体と、被着面を有する第2の被着体とを用意する工程と、
前記接合膜に対してオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
前記接合膜と前記被着面とを密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
少なくとも前記第2の部分に対してエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜が前記被着面に対して前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜をそれぞれ備える第1の被着体および第2の被着体を用意する工程と、
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の少なくとも前記第2の部分に対してそれぞれエネルギーを付与し、当該第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を前記接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させる工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを貼り合わせることにより、各被着体の前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 基材上に、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含む接合膜をそれぞれ備える第1の被着体および第2の被着体を用意する工程と、
各被着体の前記接合膜に対してそれぞれオゾンを選択的に付与することにより、前記接合膜の前記有機成分を脱離させるとともに、前記接合膜に酸素原子を導入して、前記金属原子が酸化された第1の部分と、前記金属原子が酸化されていない第2の部分とを形成する工程と、
各被着体の前記接合膜同士が密着するように、前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
各被着体の前記接合膜に対してエネルギーを付与し、各前記接合膜の前記第2の部分の表面付近に存在する前記脱離基を当該接合膜から脱離させることにより、前記第1の部分に接着性を発現させることなく前記第2の部分に選択的に接着性を発現させ、前記接合膜同士が前記第2の部分において部分的に接合した接合体を得る工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 前記第1の被着体と前記第2の被着体とを重ね合わせた際に、一方の被着体が備える前記接合膜の前記第2の部分は、他方の被着体が備える前記接合膜の第2の部分を包含する請求項3または4に記載の接合方法。
- 一方の被着体が備える前記接合膜の前記第2の部分は、他方の被着体が備える前記接合膜の第2の部分とほぼ一致するパターン形状をなしている請求項5に記載の接合方法。
- 前記接合膜は、有機金属材料を原材料として、有機金属化学気相成長法を用いて成膜される請求項1ないし6のいずれかに記載の接合方法。
- 前記接合膜は、低還元性雰囲気下で成膜される請求項7に記載の接合方法。
- 前記脱離基は、前記有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存したものである請求項7または8に記載の接合方法。
- 前記脱離基は、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団で構成される請求項7ないし9のいずれかに記載の接合方法。
- 前記脱離基は、アルキル基である請求項10に記載の接合方法。
- 前記有機金属材料は、金属錯体である請求項7ないし11のいずれかに記載の接合方法。
- 前記金属原子は、銅、銀、アルミニウム、タングステンのうち少なくとも1種である請求項1ないし12のいずれかに記載の接合方法。
- 前記接合膜は、前記第2の部分において導電性を発揮し、前記第1の部分において絶縁性を発揮する請求項13に記載の接合方法。
- 前記第2の部分における金属原子と炭素原子との存在比は、3:7〜7:3である請求項1ないし14のいずれかに記載の接合方法。
- 前記オゾンは、酸素ガス供給下で紫外線を照射することにより前記第1の部分に付与される請求項1ないし15のいずれかに記載の接合方法。
- 形成すべき前記第1の部分の形状に対応する開口部を有するマスクを介してオゾンを付与して、前記接合膜中の金属原子を選択的に酸化することにより、前記第1の部分を形成する請求項1ないし16のいずれかに記載の接合方法。
- 前記接合膜は、前記第2の部分において、その少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が、当該接合膜から脱離した後に、活性手が生じる請求項1ないし17のいずれかに記載の接合方法。
- 前記活性手は、未結合手または水酸基である請求項18に記載の接合方法。
- 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし19のいずれかに記載の接合方法。
- 前記第2の部分に対する前記エネルギーの付与は、前記第2の部分にエネルギー線を照射する方法、前記第2の部分を加熱する方法、および前記第2の部分に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項1ないし20のいずれかに記載の接合方法。
- 前記エネルギー線は、波長126〜300nmの紫外線である請求項21に記載の接合方法。
- 前記加熱の温度は、25〜200℃である請求項21または22に記載の接合方法。
- 前記圧縮力は、0.2〜10MPaである請求項21ないし23のいずれかに記載の接合方法。
- 前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われる請求項21ないし24のいずれかに記載の接合方法。
- 前記第1の被着体と前記第2の被着体とが、請求項1ないし25のいずれかに記載の接合方法により接合されてなることを特徴とする接合体。
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