JP2009292896A - ナノ粒子複合体および熱輸送流体 - Google Patents

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Abstract

【課題】さらなる熱輸送能力の向上が可能なような、ナノ粒子とその保護膜を備えたナノ粒子複合体を含む熱輸送流体、並びにそのような熱輸送流体におけるナノ粒子複合体を提供する。
【解決手段】媒体、およびナノ粒子(15)とその保護膜(19)を備えたナノ粒子複合体(20)を含む熱輸送流体(10)であって、保護膜(19)が、ナノ粒子(15)の表面上に多数の直鎖状分子(16)が所定の方向に傾いた状態で立設して形成されており、ナノ粒子複合体(20)の周囲の媒体の分子の熱揺らぎによって、ナノ粒子複合体(20)が所定の方向とは逆方向に回転するものであることを特徴とする、熱輸送流体、並びにそのような熱輸送流体におけるナノ粒子複合体を提供する。
【選択図】図7

Description

本発明は、媒体、およびナノ粒子とその保護膜を備えたナノ粒子複合体を含む熱輸送流体に関するものである。さらに、本発明は、そのような熱輸送流体におけるナノ粒子複合体に関するものである。
これまで、車に搭載されるラジエータや電子機器等における熱交換のために用いられる熱交換器に、熱源からの熱を外部に伝達、輸送する熱輸送流体が用いられて来ている。そのような熱輸送流体において、熱交換のエネルギー効率を高めるために、高い冷却性能等のより高い熱輸送能力が求められている。かかる熱輸送流体における熱輸送能力を向上させるために、例えばその媒体中に金属等の高熱伝導率物質からなる固体粒子を分散させる技術が知られており、そこでは高熱伝導率物質の粒子を含むことにより、その粒子を含まない媒体に比べて熱輸送能力が高められるようになる。
こうした粒子を含有する熱輸送媒体の熱伝導率は、1881年に発表されたMaxwell(マックスウェル)の関係式により、
・ 球形粒子を含む媒体の熱伝導率は、同粒子の体積分率にしたがって増大する、
・ 球形粒子を含む媒体の熱伝導率は、粒子体積に対する表面積の比率にしたがって増大する、
といった関係に基づいて変化することが知られている。
また、熱輸送流体に含有させる粒子として、直径が数ナノメートルのナノ粒子を媒体に分散させたナノ流体に関する技術の開発が進められて来ている。例えば、図1に示されるような熱交換器における高温側壁面2から低温側壁面3への熱輸送における通常の水等の媒体の熱移動抵抗R(7)に対して、図4に示されるような、ナノ粒子(5)(直径φがd)にそのナノ粒子の直径と同等の厚みdを有する保護膜(9)を備えたナノ粒子複合体(直径φが3d)を含む、図2の如き熱交換器における高温側壁面2から低温側壁面3への熱輸送におけるナノ流体では、ナノ粒子複合体の存在している部分で熱移動抵抗Rナノ粒子複合体(8)が水等の媒体の熱移動抵抗R(7)に比して低減するので、ナノ粒子複合体の体積含有率の増大に伴って、熱伝導率が向上する。また、保護膜(9)を含めた体積がナノ粒子(5)の体積の27倍となるので、その熱輸送流体の熱伝導率が図3に示されるように向上することになる。
しかしながら、この状態では、上記の如き体積含有率以上の効果が得にくく、このような方法による媒体の熱輸送能力の向上には限界があった。
尚、保護膜を備えた微粒子に関して、具体的には、ナノ粒子が数10〜数100原子の集合からなり、その周囲に保護膜が存在する系についての開発が進められて来ている。例えば、非特許文献1に開示されるように、102個の金原子と44個のp−メルカプト安息香酸からなる、p−メルカプト安息香酸の保護膜で保護された金ナノ粒子が提案されている。
また、特許文献1に開示されるように、単一の溶媒からなる媒体が1つ以上の原子からなる微小粒子を含有して伝熱面から伝達される熱を輸送する熱輸送媒体として、微小粒子の表面にそれを保護する構造物が配列されてなり、a(溶媒分子の直径)≦b(その構造物の微小粒子に吸着する基からの長さ)なる関係が満たされるものが提案されている。そこでは、溶媒分子が微小粒子の周囲に吸着するかたちで構造化領域が形成され、またそれが解体されて、発熱反応および吸熱反応がそれぞれ生じ、結果として熱輸送能力の増大が図られるようになるとある。
また、特許文献2に開示されるように、溶媒と1つ以上の原子からなる微小粒子とを含有し伝熱面から伝達される熱を輸送する熱輸送媒体として、微小粒子の表面に、微小粒子に吸着する基を有して微小粒子を保護する構造物が配列されてなり、溶媒を構成する溶媒分子の直径A、微小粒子に吸着する基から伸長する構造物の長さB、分散されている微小粒子間の平均隙間距離Cが「A≦B、かつB≦C/2」なる関係が満たされるものが提案されている。そこでは、溶媒分子が微小粒子の周囲に吸着するかたちで構造化領域を形成することができるようになる。
また、特許文献3に開示されるように、溶媒と、その溶媒中に分散した微小粒子と、その微小粒子の表面に付着するコーティング剤と、有機物成分とを備える熱輸送流体が提案されている。そこでは、例えば−30〜150℃の使用温度域で、所定の第1温度以下で微小粒子の表面上で有機物成分が配列し、溶媒分子も微小粒子の表面上で配列する構造化状態が形成され、第1温度以上の所定の第2温度以上で有機物成分が配列せず非構造化状態」なり、構造化状態と非構造化状態との間の変化が一種の相変化であり、結果として熱輸送能力の増大が図られるようになるとある。
また、特許文献4に開示されるように、溶媒と1つ以上の原子からなる微小粒子とを含有し伝熱面から伝達される熱を輸送する熱輸送媒体として、微小粒子がその表面に微小粒子に吸着する基を有して微小粒子を保護する第1構造物が配列され、溶媒中に微小粒子に吸着し得る基を有する第2構造物が微小粒子に吸着しない状態で浮遊されてなる構造としたものが提案されている。そこでは、微小粒子の周囲で構造変化を積極的に起こして媒体の比熱を向上させることができるので、熱輸送媒体の熱伝達率を向上させることができるとある。
尚、特許文献5に開示されるように、無機ナノ粒子が特定の有機被覆分子によって被覆された有機被覆無機ナノ粒子であって、有機被覆分子が一分子中に2〜5個の無機ナノ粒子に吸着可能な官能基をもち、この官能基が無機ナノ粒子表面に吸着した際の有機被覆分子の占有面積が炭化水素鎖の最大断面積の1.5倍以上となる有機分子であるような有機被覆無機ナノ粒子が提案されている。そこでは、有機被覆無機ナノ粒子が、種々の液状又は固体媒体に対して高い分散性や良好な凝集性を示すため、たとえば、光素子や超微細配線の作成材料、電子電導材料、電導性塗料、導電性接着材料、放熱材料、高熱伝導性材料等として優れた特性を有するとある。
「Structure of a Thiol Monolayer-Protected Gold Nanoparticle at 1.1A Resolution」 SCIENCE 19 OCTOBER 2007 VOL 318 p430-433 特開2007−238862号公報 特開2008−50416号公報 特開2008−63411号公報 特開2008−88240号公報 特開2007−69270号公報
本発明は、かかるこれまでの微粒子、およびそれを用いた熱輸送流体のさらなる改良を目的としておこなわれたものである。即ち、本発明は、ナノ粒子(15)の表面上に形成される保護膜を構成する分子の配向を改良することによって、さらなる熱輸送能力の向上が可能なような、媒体、およびナノ粒子とその保護膜を備えたナノ粒子複合体を含む熱輸送流体、並びにそのような熱輸送流体におけるナノ粒子複合体を提供しようとするものである。
発明者らは、上記の課題に対し、ナノ粒子(15)の表面上に形成される保護膜を構成する分子の配向として所定の向きに傾けられた形状を採用して、ナノ粒子複合体の回転を促進することによって、熱伝導率を向上させるという上記目的が達成されることを見出した。
本発明の第1の態様である熱輸送流体は、請求項1に記載のように、媒体、およびナノ粒子(15)とその保護膜(19)を備えたナノ粒子複合体(20)を含む熱輸送流体(10)であって、
前記保護膜(19)が、ナノ粒子(15)の表面上に多数の直鎖状分子(16)が所定の方向に傾いた状態で立設して形成されており、
前記ナノ粒子複合体(20)の周囲の前記媒体の分子の熱揺らぎによって、前記ナノ粒子複合体(20)が前記所定の方向とは逆方向に回転するものである
ことを特徴とする、熱輸送流体である。尚、後述するように、図5、図6(b)において、かかる第1の態様である熱輸送流体の具体例が模式的に示される。
かかる本発明の第1の態様である熱輸送流体では、高温側壁面12から低温側壁面13への熱輸送に関する図5においてその具体例が模式的に示されるように、周囲の媒体の分子(「媒体分子」ともいう)の熱揺らぎ、即ち熱運動の揺らぎによって、その媒体分子(11)が、ナノ粒子複合体(20)における所定の方向に傾いた状態の直鎖状分子(16)に、ナノ粒子複合体(20)がその所定の方向とは逆方向に回転するように作用して、その結果、ナノ粒子複合体(20)が回転する。そして、高温側壁面12から低温側壁面13への熱輸送に関する図7において具体例が模式的に示されるように、そのナノ粒子複合体(20)の回転によって、ナノ粒子複合体(20)の周囲に局所的な対流が引き起こされることになり、その局所的な対流によって、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子がより衝突しやすくなり、その結果、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子の熱の交換が促進されることになる。このように、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子の熱の交換が促進されることによって、図8において模式的に例示されるように、結果的に、上記の図3において示された体積含有率以上の、局所的な対流による熱輸送流体の熱伝導向上の効果が得られる。
本発明の第2の態様であるナノ粒子複合体は、請求項6に記載のように、媒体分子群中に添加される、ナノ粒子(15)とその保護膜(19)を備えたナノ粒子複合体(20)であって、
前記保護膜(19)が、ナノ粒子(15)の表面上に多数の直鎖状分子(16)が所定の方向に傾いた状態で立設して形成されており、
前記ナノ粒子複合体(20)の周囲の前記媒体分子の熱揺らぎによって、前記ナノ粒子複合体(20)が前記所定の方向とは逆方向に回転するものである
ことを特徴とする、ナノ粒子複合体である。尚、後述するように、図6(b)において、かかる第2の態様であるナノ粒子複合体そのものの具体例が模式的に示される。
かかる本発明の第2の態様であるナノ粒子複合体は、媒体中に添加されて熱輸送流体として使用された場合には、上記の第1の態様である熱輸送流体と同様にして、周囲の媒体分子の熱揺らぎによってナノ粒子複合体(20)が回転し、そのナノ粒子複合体(20)の回転によってナノ粒子複合体(20)の周囲に局所的な対流が引き起こされ、その局所的な対流によって低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子がより衝突しやすくなり、その結果、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子の熱の交換が促進されることによって、熱輸送流体全体としての熱伝導率が向上する。
尚、上記第1の態様である熱輸送流体および第2の態様であるナノ粒子複合体において各々の構成要素に付した括弧内の符号は、後述する実施形態等に記載する具体的態様との関係を示す一例である。
本発明における第1の態様である熱輸送流体の好ましい形態例として、ナノ粒子複合体(20)における多数の直鎖状分子(16)が、ナノ粒子(15)の複数の平行な緯線に沿って、各緯線の接線方向に対して所定の角度を有して傾いた状態で立設されたものである、熱輸送流体が挙げられる。尚、かかる好ましい形態例は、本発明における第2の態様であるナノ粒子複合体においても同様に採用され得るものである。
かかる好ましい形態例の熱輸送流体におけるナノ粒子複合体(20)は、図6(b)において、その一つの緯線に沿った断面における形態の具体例が模式的に示されるように、金属原子(14)から構成されるナノ粒子(15)の表面上に形成された多数の直鎖状分子(16)が、図6(a)で示されるような緯線に対して実質上直角を成すのではなくて、緯線の接線方向に対して所定の角度を有して傾いた状態で立設されて形成された保護膜(19)を有するものである。
かかる各緯線の接線方向に対する所定の角度としては、周囲の媒体分子の熱揺らぎによってナノ粒子複合体(20)が回転しやすくする上で、0〜80度の範囲にあることが好ましく、さらに30〜70度の範囲にあることがより好ましい。また、ナノ粒子(15)の複数の平行な緯線の本数としては、周囲の媒体分子の熱揺らぎによってナノ粒子複合体(20)が回転しやすくする上で、3〜10本の範囲が好ましく、さらに3〜7本の範囲がより好ましい。
本発明における第1の態様である熱輸送流体のもう1つの好ましい形態例として、ナノ粒子複合体(20)の相当直径が10nm以下である、熱輸送流体が挙げられる。尚、図5、図6(b)において、かかる形態の熱輸送流体の具体例が模式的に示される。ここで、ナノ粒子複合体(20)の相当直径とは、その複合体(20)が球状でない場合に同じ体積の球としたときのその球の直径を意味する。また、ナノ粒子複合体(20)の表面は多数の直鎖状分子(16)で構成される層の外郭面である。尚、かかる好ましい形態例は、本発明における第2の態様であるナノ粒子複合体においても同様に採用され得るものである。
かかるナノ粒子複合体(20)の相当直径が10nmを超える場合には、粒子をナノ化した効果が弱まるため、好ましくない。また、そのナノ粒子複合体(20)の相当直径としては、熱輸送流体の熱輸送能力を高める上で、8nm以下が更に好ましく、特に7nm程度が好ましい。
本発明における第1の態様である熱輸送流体のもう1つの好ましい形態例として、保護膜(19)における直鎖状分子(16)が有機物の分子である、熱輸送流体が挙げられる。有機物の直鎖状分子(16)で保護膜(19)を形成することが、保護膜(19)の形成が容易であり、そして熱輸送流体全体としての熱伝導率を向上するのに有利である。尚、かかる好ましい形態例は、本発明における第2の態様であるナノ粒子複合体においても同様に採用され得るものである。
その有機物の直鎖状分子(16)としては、その形態におけるナノ粒子の保護膜を構成し得るものであればいかなるものであっても良く、例えばアルカンチオールのような直鎖状の分子を用いることで、所定の方向に傾いた状態で立設して形成しやすくなる。更に具体的には、後述のようにナノ粒子(15)を構成する原子等との組合せに応じて、適宜選択することも可能である。
かかる有機物の直鎖状分子(16)で構成されている保護膜(19)の厚さとしては、通常0.6nm〜4nmの範囲が好ましく,1nm〜3nmの範囲がさらに好ましく、1.2nm〜2.8nmの範囲が特に好ましい。
本発明における第1の態様である熱輸送流体のもう1つの好ましい形態例として、ナノ粒子(15)が金属原子(14)で構成されている、熱輸送流体が挙げられる。尚、かかる好ましい形態例は、本発明における第2の態様であるナノ粒子複合体においても同様に採用され得るものである。
ナノ粒子(15)を構成する金属原子としては、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、中でも金、銅、鉄が熱輸送流体の熱輸送能力を高める上で特に好ましい。尚、ナノ粒子を構成する他の好ましいものとして、シリコン(Si)、フッ素(F)等の無機物からなる粒子、アルミナ(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化銅(CuO)、三酸化二鉄(Fe)、酸化チタン(TiO)等の酸化物からなる粒子、あるいは樹脂等からなるポリマー粒子を用いたものも挙げられる。
かかるナノ粒子複合体(20)におけるナノ粒子(15)の大きさとしては、熱輸送流体の熱輸送能力を高める上で、通常1nm〜50nmの範囲が好ましく、1nm〜20nmの範囲がさらに好ましく、1nm〜5nmの範囲が特に好ましい。
ナノ粒子複合体(20)における保護膜(19)の具体例としては、例えばナノ粒子(15)に金を用いる場合には、そのナノ粒子(15)の表面に吸着し得る官能基として例えばチオール基(SH基)を他の官能基と組み合せたものが挙げられる。例えば、媒体分子として水を用いる場合には、かかるチオール基(SH基)を、直鎖状の有機基を有するカルボキシル基(COOH基)、アミノ基(NH基)、水酸基(OH基)およびスルホ基(SOH)等の親水基と組み合せて用いることができる。また、他の具体例として、チオール基を、メルカプトコハク酸(CS)と組み合せたものが挙げられる。
また、ナノ粒子複合体(20)における保護膜(19)を構成する直鎖状分子(16)の好ましい形態例として、0.5〜3nm、好ましくは1.2〜2.8nmの長さを有するものが挙げられる。
また、熱輸送流体(10)における媒体を構成する分子(11)の具体例としては、例えば、車に搭載されるラジエータや電子機器等における熱交換器で通常使用される液状の熱輸送流体が挙げられる。更に具体的には、水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、オイル、有機溶媒(トルエン、ヘキサンなど)、並びにそれらを組み合せたもの等が挙げられる。尚、それ以外に、ナノ粒子複合体(20)の熱輸送流体(10)における熱輸送能力の向上を阻害しない範囲で、熱交換器で熱輸送流体に通常添加される添加剤も、熱輸送流体(10)に添加され得る。また、液状の熱輸送流体の他に、空気等の気体状の熱輸送流体も挙げられる。
熱輸送流体(10)におけるナノ粒子複合体(20)の濃度としては、熱輸送流体(10)における熱輸送能力の向上を図る上で、例えば5%以下が好ましく、更に3%以下が好ましく、特に1%以下が好ましい。
ナノ粒子複合体(20)の製造方法としては、例えば、塩化金酸水溶液に保護膜剤と還元剤を加え十分撹拌する、2相還元法が挙げられる。
以下に本発明についての実施形態を挙げて、更に具体的に本発明を説明するが、それらの実施例によって本発明が何ら限定されるものではない。
実施形態1
本発明の熱輸送流体およびナノ粒子複合体に関する実施形態1について、図9〜図11を参照して以下に説明する。
この実施形態1における熱輸送流体は、例えば、車載用のエンジンやミッション等の冷却に用いられるものであって、熱源からの熱を外部に伝達および輸送する。この熱輸送流体は、液状の媒体である溶媒として、例えば水等の単一の成分を含むとともに、ナノ粒子複合体も含有している。
実施形態1の熱輸送流体(10)においては、高温側壁面12から低温側壁面13への熱輸送に関する図9および図10において模式的に示されるように、ナノ粒子複合体(20)が熱輸送流体(10)の媒体分子(11)群中に浮遊している。そのナノ粒子複合体(20)には、金等の金属原子(14)から構成されるナノ粒子(15)の表面上における3本の平行な緯線に沿って、各緯線の接線方向に対して30〜70度の所定の角度を有して傾いた状態で立設された多数の有機の直鎖状分子(16)が保護膜として形成されている。尚、図9に記載されるナノ粒子(15)と直鎖状分子(16)からなるナノ粒子複合体(20)は、図10に記載されるナノ粒子複合体(20)を、図11(a)において示されるように、3本の平行な緯線のうちの中央の緯線に沿った平面21におけるナノ粒子複合体(20)の断面の形状として、図11(b)において示されるように、模式的に示したものである。
図9に示されるように、その媒体分子(11)が、ナノ粒子複合体(20)における所定の方向に傾いた状態の直鎖状分子(16)に、ナノ粒子複合体(20)がその所定の方向とは逆方向に回転するように作用して、その結果、ナノ粒子複合体(20)が回転する。そして、そのナノ粒子複合体(20)の回転によって、ナノ粒子複合体(20)の周囲に局所的な対流が引き起こされることになる。その局所的な対流によって、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子がより衝突しやすくなり、その結果、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子の熱の交換が促進されることになる。このように、低温領域の媒体分子と高温領域の媒体分子の熱の交換が促進されることによって、図8において模式的に例示されるように、結果的に、上記の図3において示された体積含有率以上の、局所的な対流による熱輸送流体の熱伝導向上の効果が得られる。
ナノ粒子複合体(20)は、例えば金、銅、鉄等の金属原子(14)等からなるナノ粒子(15)が、例えばアルカンチオール、メルカプトコハク酸等の有機の直鎖状分子(16)で構成されている保護膜で覆われている。かかるナノ粒子(15)は、例えば20〜400個、より好ましくは100〜200個の金属原子(12)等からなり、通常球状であって、その相当直径は10nm以下であって、1〜8nmが更に好ましく、特に1〜2nmが好ましい。また、保護膜としては、その厚みが0.6〜4nmであるものが好ましく、特に1.2〜2.8nmであるものが好ましい。
図9に示されるようなナノ粒子複合体(20)は、例えば塩化金酸水溶液に保護膜剤と還元剤を加え十分撹拌する、2相還元法により製造される。具体的には、例えば、金なる金属原子(14)を用いて高分子と還元剤によってナノ粒子(15)を形成し、アルカンチオールなる有機の直鎖状分子(16)と混ぜ、撹拌することによってそのナノ粒子(15)の表面上に、3本の平行な緯線に沿ってその緯線に対して30〜70度の角度を有した状態で付着させることによって保護膜を形成することができる。そして、そのようにして形成されたナノ粒子複合体(20)の群を、水等の媒体分子(11)に添加することによって、熱輸送流体(10)が形成される。
例えば、水を媒体とし、上記のナノ粒子複合体(20)をその媒体に11重量%で添加した熱輸送流体を、一般的な熱交換器に充填した場合に、そのナノ粒子複合体(20)を添加しない場合に比較して、熱輸送流体全体としての熱伝導率が大幅に向上することになる。
従来技術における微小粒子の添加されない熱輸送流体を模式的に示した説明図である。 従来技術における微小粒子の添加された熱輸送流体を模式的に示した説明図である。 従来技術での微小粒子の添加された熱輸送流体における粒子添加効果を模式的に示した説明図である。 従来技術における微小粒子を模式的に例示した説明図である。 本発明における熱輸送流体中のナノ粒子複合体の動きを模式的に例示した説明図である。 (a)は、従来技術におけるナノ粒子複合体を模式的に例示した説明図であり、(b)は、本発明におけるナノ粒子複合体を模式的に例示した説明図である。 本発明における熱輸送流体中のナノ粒子複合体の動きによる媒体中の局所的な対流を模式的に例示した説明図である。 本発明におけるナノ粒子複合体の添加された熱輸送流体におけるナノ粒子複合体の添加効果を模式的に例示した説明図である。 本発明の実施形態における熱輸送流体中のナノ粒子複合体の動きによる媒体中の局所的な対流を模式的に例示した説明図である。 本発明におけるナノ粒子複合体を模式的に例示した説明図である。 (a)は、本発明におけるナノ粒子複合体を模式的に例示した説明図であり、(b)は、本発明におけるナノ粒子複合体の1緯線に沿った断面における形態を模式的に例示した説明図である。
符号の説明
10 熱輸送流体
11 媒体の分子
15 ナノ粒子
19 保護膜
20 ナノ粒子複合体

Claims (6)

  1. 媒体、およびナノ粒子(15)とその保護膜(19)を備えたナノ粒子複合体(20)を含む熱輸送流体(10)であって、
    前記保護膜(19)が、ナノ粒子(15)の表面上に多数の直鎖状分子(16)が所定の方向に傾いた状態で立設して形成されており、
    前記ナノ粒子複合体(20)の周囲の前記媒体の分子の熱揺らぎによって、前記ナノ粒子複合体(20)が前記所定の方向とは逆方向に回転するものである
    ことを特徴とする、熱輸送流体。
  2. 前記ナノ粒子複合体(20)における前記多数の直鎖状分子(16)が、ナノ粒子(15)の複数の平行な緯線に沿って、前記各緯線の接線方向に対して所定の角度を有して傾いた状態で立設されたものである、請求項1に記載の熱輸送流体。
  3. 前記ナノ粒子複合体(20)の相当直径が10nm以下である、請求項1または2に記載の熱輸送流体。
  4. 前記ナノ粒子複合体(20)における前記直鎖状分子(16)が有機物の分子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱輸送流体。
  5. 前記ナノ粒子複合体(20)における前記ナノ粒子(15)が金属原子(14)で構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱輸送流体。
  6. 媒体分子群中に添加される、ナノ粒子(15)とその保護膜(19)を備えたナノ粒子複合体(20)であって、
    前記保護膜(19)が、ナノ粒子(15)の表面上に多数の直鎖状分子(16)が所定の方向に傾いた状態で立設して形成されており、
    前記ナノ粒子複合体(20)の周囲の前記媒体分子の熱揺らぎによって、前記ナノ粒子複合体(20)が前記所定の方向とは逆方向に回転するものである
    ことを特徴とする、ナノ粒子複合体。
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