JP2009292054A - 繊維強化プラスチックのプレス成形法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性良好に大量生産可能で、かつ、強度的にも優れたFRP成形品を成形することができる新規なFRPのプレス成形法を提供すること。
【解決手段】雄雌型12、14からなる成形型(附形型)を用いて行う繊維強化プラスチック(FRP)のプレス成形法。当該プレス成形法は、1)複数枚積層された所定大きさの積層プリプレグ30を、予備加熱された成形型12、14の雄型14にセットする第一工程、2)前記成形型12、14を型閉完了前から型内を排気しながら型閉して、気泡を余剰樹脂とともに追い出し附形する第二工程、及び、3)成形型12、14を硬化温度まで昇温させて、所定時間保持して硬化完了後、離型する第三工程、からなる。
【選択図】図7

Description

本発明は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)の新規なプレス成形法及び該プレス成形で成形した成形品で構成される強化構造組体並びに前記プレス成形法に使用する成形型に関する。
特に、本発明は、橋梁、船舶、風車、水門等の海岸付近に設置される建造物の構造材として好適なFRP成形品のプレス成形法に係る。
ここでは、橋梁の構造材(型材)を例に採り説明する。他の構造材でも同様である。
従来、橋梁は、鋼材やPC(Pre-stressed Concrete)材を用いて建造したものが主流であった。
しかし、海岸付近では塩害により腐食が促進されるため塗装等のメインテナンス作業を頻繁に行う必要がある。
このため、主構造材として耐腐食性(耐塩害性)に優れているFRP成形品を使用することが考えられ、一部実用化されている。
例えば、沖縄県の左右に海岸線が接する伊計平良川線に架ける歩道橋として、日本で初めて、主構造材としてFRP構造材を用いたFRP橋が建設された(非特許文献1)。
FRP成形品の成形法は、真空成形法又は雌雄型を使用するプレス成形(圧縮成形)法が主流である。
真空成形法の代表的なものの一つとして真空バッグ法がある(非特許文献2、p34等)。同文献同頁における「表1.8真空バッグ法の概要」の原理の欄の図面を本願の図1として引用するとともに同欄の説明を下記に引用する。
「開放型を用いてハンドレイアップした後、積層体の周囲を掃除し、気密シールを設置する。これを真空ポンプに接続できるフィルムで被い、フィルム内を減圧する。減圧しながら、積層体内の気泡を余剰樹脂とともに追い出し成形する。硬化は常温で行う。強化材の形態はクロスあるいはニットである。」
しかし、上記真空バッグ法は、同文献同頁に記載されている如く、成形速度が遅く、高度の熟練を要するため、大量生産向きではなかった。
また、FRPのプレス成形法の代表的なものの一つとして、プリフォームマッチドダイ法がある(非特許文献2、p57)。同文献同頁における「表1.14プリフォームマッチドダイ法」の原理の欄の図面を本願の図2として引用するとともに同欄の説明を下記に引用する。
「精密な金型(マッチドメタルダイ)を用いる圧縮成形。加熱(90〜150℃)、加圧(0.5〜4MPa)、硬化(45〜300sec)。型にプリフォームをセットし、この上にコンパウンド(ポリエステル樹脂、着色剤、触媒、充てん剤、離型剤を混合したもの)を供給し、型締め。加圧はプレスで行う。」
しかし、上記マッチドダイ法は、成形時間は短いが、プリフォームに時間がかかるとともに、同文献同頁に記載されている如く、高強度のものを得難かった。
なお、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、本発明と同様な目的を有するFRPのプレス成形法として、特許文献1等を挙げることができる。該特許文献1は、特許庁電子図書館公報テキスト検索において「(繊維強化プラスチック OR FRP)AND(積層 OR ハンドレイアップ)AND(真空吸引 OR バキューム)and(プレス)」の論理式で検索した結果、ヒットしたもの(1件のみ)である。
更に、本発明の特許性に影響を与えるものではないが、非特許文献3には、ポリエステル含浸ガラスクロスを用いた、金型を使用してプレスによる成型法(成形法)が記載されている。その一部を引用する。なお、*括弧は、原文になく、理解を容易とするために付記したものである。
「II実験
供用試料
樹脂 ポリライト8009 日本ライヒホールドKK製
ポリライト8150 日本ライヒホールドKK製
エスターX.1 東洋高圧工業KK製
エスターF.20 東洋高圧工業KK製
硝子繊維 ガラスクロスECO181シラン 日東紡績kk
ガラスクロスECO181ボラン 日東紡績kk
触媒 過酸化ベンゾイル(BPO50%ペースト)
DDM(M.E.K.P.O.60%) kk小西儀助商店
促進剤 ナフテン酸コバルト kk小西儀助商店
1.金型を使用してプレスに依る成型法*(成形法)
A.積層含浸工程にマングル*(圧搾ローラ)を使用したる法、
樹脂混合比、ポリライト8009 85部
ポリライト8150 15部
DDM(触媒) 1部
ナフテン酸コバルト(促進剤)0.25部
ガラスクロス ボラン処理 28枚
樹脂中に触媒、促進剤を混合溶解後減圧にして樹脂中の気泡を完全に脱泡して使用す。最初に別個の容器中に於いてガラスクロスに樹脂液を良く含浸せしめてあとマングルにて2枚毎均一に絞って、雌型上に置いてロールにて脱泡し乍ら積層し28枚積層後セロハン紙を被せ雄型を架せて成型プレス*(成形プレス)に入れる。然る後徐々に加圧して過剰の樹脂を押出し30kg/cm迄加圧して後徐々に昇温して40℃〜120℃迄40分間にて昇温し硬化する。120℃にて20分加熱後電源を切って後加圧の状態にて80℃迄冷却後型をプレスにより取り出し、室温にて60℃迄徐冷後更に常温迄水冷して金型より成型*(成形)された積層板を取りはずす。
B.積層含浸工程にマングルを使用しない法
樹脂配合及び調製法はA法に同じ。
バットの中に於いてガラスクロス一枚毎に良く含浸せしめて後金型*(雌型)に積層し乍らロールにて良く脱泡する。然る後雄型を乗せプレスにて成型する。
成型プレス(松田30噸プレス)
プレス圧30kg/cm、成型温度40℃〜120℃を40分間にて昇温以下A法に同じ。」
しかし、上記成形法も、含浸せしめたガラスクロス(2枚ずつ)のマングルによる絞り出し成形型に置くか、乃至、含浸せしめたガラスクロスを金型にロールで脱泡しながら置いた後、成形するもので、成形工数が全体として嵩んだ。特に、ガラスクロスの枚数が多いと、この成形工数の増大傾向は顕著となる。
特開2002−248620号公報(特許請求の範囲等)。 山本尚樹他3名「FRP製歩道橋の主桁継手部に関する解析的評価」石川島播磨技法、2001年橋梁特集号、p73−76。 後藤卒土民「わかりやすい実践FRP成形」株式会社工業調査会、1998年2月20日、p34、p57。 高橋直一他2名「FRPの厚板積層成型法について」名古屋市工業研究所研究報告No.20、1959年2月10日受理
本発明は、上記にかんがみて、生産性良好に大量生産可能で、かつ、強度的にも優れたFRP成形品を成形することができる新規なFRPのプレス成形法を提供することを課題(目的)とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意開発に努力をした結果、下記構成のFRPのプレス成形法に想到した。
雌雄型からなる成形型(附形型)を用い、下記工程を経て成形することを特徴とするFRP(繊維強化プラスチック)型材のFRPプレス成形法。
1)1枚の又は複数枚積層された所定大きさの積層プリプレグ(含浸積層平板)を、予備加熱された前記成形型の雄型又は雌型の一方にセットする。
2)前記成形型を型閉完了前から型内を排気しながら型閉して、気泡を余剰樹脂とともに追い出し附形する。
3)前記成形型を硬化温度まで昇温させて、所定時間保持して硬化完了後、離型する。
上記構成のプレス成形法によるFRPをプレス成形した場合、他の成形法に比して、非常に強度(特に曲げ強度)に優れた成形品を、熟練を要せず、かつ、短時間で得られることを知見した。その理由は、型締め完了前から真空状態とし、かつ、樹脂コンパウンドが流動化可能かつ硬化がほとんど進行しない予備加熱状態(通常、40〜60℃)でプレス附形するためと推定される。すなわち、樹脂コンパウンドの脱気・流動化が促進され、クロスに対してボイドなしで浸透するためである。
結果的にプレス成形(圧縮成形)前の脱泡処理(マングルやロール圧搾)が実質的に不要となり、成形工数の大幅削減が可能となる。
以下、本発明の望ましいFRPの成形法の実施形態について、説明する。なお、配合単位を示す「部」や「%」は、特に断らない限り、質量単位とする。
ここでは、C型材(溝型材)を成形する場合を例に採り説明するが、他の型材(例えば、帯型材、L型型材、T型材)を成形する場合も同様である。
図3〜4にC型材10を成形する場合に使用する雌雄型からなるFRPの成形型(マッチドダイ)の一例を示す。以下、プレス成形法における成形型寸法・運転仕様は、特に断らない限り、C型材(FRP成形品)10の寸法仕様が、全幅:500〜3000mm、全長:3000〜5000mm、立辺高さ(深さ):200〜600mmで、一般部肉厚が10〜15mmの場合を基準としてある。このため、成形品の寸法仕様が上記範囲から外れる場合は、それらの範囲は、適宜、変動させることがあり、寸法仕様・運転仕様は上記数値範囲に限定されない。
ここでは、雌型を可動型(上型)12とし、雄型を固定型(下型)14としたが、雌雄型の関係を上下逆としてもよい。なお、雌型12及び雄型14の附形面近傍には、図示しないが、加熱ヒータ(誘導加熱(IH)、抵抗加熱)又は熱媒体流路(水蒸気、温水等)が埋設されている。
基本的には、雌雄型12、14の周囲型閉じ部(対合わせランド部)12a、14aに吸引機構を形成する。吸引機構の構成は、型閉完了前から型内を排気しながら型閉(圧縮成形:プレス成形)できるものであれば特に限定されない。例えば、図3〜4に示す下記のような構成とする。
雌型12及び雄型14の周囲型閉じ部(対合わせランド部)12a、14aの内側には、それぞれ、ピンチオフ(喰い切り)凸部16及び樹脂溜り部18が全周にわたって形成されている。なお、C型材を成形する場合は、縁喰い切り凸部16及び樹脂溜り部18は前後面には必然的ではない。なお、樹脂溜り部18には、通常、レジントラップと接続した樹脂排出孔を設ける。
ここで、ピンチオフ凸部16の内側面に形成されるピンチオフの態様は、通常、ピンチオフ長さh1(型締め方向)10〜70mm(望ましくは15〜50mm)で、クリアランス0.02〜0.07mm(望ましくは0.03〜0.05mm)とする。ピンチオフ長さが短すぎても長すぎても、クリアランスが大きすぎても小さすぎてもピンチオフ性が低下する。さらに、クリアランスが小さすぎると金型製作コストが嵩む。
そして、樹脂溜り18の外側部位とピンチオフ凸部16の外周面との間に下記構成の吸引機構が形成されている。
雄型14の対合せランド部14aの直下に、補助ブロック20が配され、該補助ブロック20を貫通して吸引孔群22・・・が所定ピッチで全周に形成されている。該吸引孔群22・・・は、マニホールド的に集合されて、真空吸引装置(コンプレッサー:図示せず。)に接続されている。なお、補助ブロック20は、雄型14と一体でも良く、更には、ブロックでなくても、シール構造を形成可能で有れば、板材(ブラケット)であってもよい。
そして、補助ブロック20には、環状の立設シール部材24がアングル材26を介して保持されている。
そして、該立設シール部材24の内側面(圧接シール面)24aが、前記ピンチオフ凸部16の外周面(受けシール面)16aに圧接して、型閉じ完了前から図3に示す如く、型内をシールして減圧とすることが可能となっている。
ここで、ピンチオフ凸部16の外周面の下端側は、円滑にシールされるように、傾斜面とされている。なお、傾斜面16aの傾斜程度は、シール対向面との間にカジリが発生しないものとする。そして、立設シール部材24の高さは、前記寸法仕様のC型材10の場合、シール開始から型締め完了までのスパン(移動量)を10〜70mm確保できるもの、通常、25〜60mmとする。型内が減圧となるため、シール部材はピンチオフ凸部16の外周面に圧接方向に作用する。このため、シール部材24の厚みは、シール部材の高さによるが、一般的な形態保持性を有すればよく、1〜15mm(望ましくは2〜5mm)の範囲で適宜選定する。
また、シール部材24の形成材料は、耐熱性とゴム状弾性を有するものなら特に限定されない。例えば、シリコーンゴムの硬度50〜80(JIS K 653:タイプAデュロメータ)のものを好適に使用できる。
そして、C型材の断面形状は、C型材10の底辺が中心線に向かって内側へ突出するように傾斜させた断面で附形しておき、離型直後に前記傾斜を戻して抜き勾配を補完して前記C型材の底辺とその両側の立辺とが直角となるようなものとしてある。
すなわち、離型のために、通常、C型材10の両側立辺10a、10aは、抜き勾配が3°以上(通常、3〜5°)とされ、これに対応して底辺10bが両側で両側辺10a、10aと90°の交差角度をなすように、中心部に向かって、傾斜させる。なお、底辺10bと両側辺10a、10aとの稜線部のRは、成形品の肉厚により異なるが、成形品の肉厚を10mmに設定した場合、外側30R前後、内側20R前後に設定する。
このようにプレス成形したC型材10は、成形直後に、冷却治具(両側辺スパンを成形型と同一長さとし、かつ、厚みも同一としたもの。)、冷却水等を用いて底辺を直線状に戻すことにより、底辺強度が増大する。底辺が幅方向で圧縮荷重を受けながら冷却固化(後収縮)するためである。
さらに、前記C型材10は、その立辺(両側辺)10aの端部が抜き勾配以上に外側へ傾斜して附形された端末傾斜部10cを有する断面形状とすることが望ましい。該傾斜部10cの長さ(高さ)は、立辺高さの1/10前後、例えば30〜60mmとする。そして、端末傾斜部10cは、抜き勾配プラス(+)2〜5°とする。
このように形成した端末傾斜部10cは、該C型材10を強化構造組体(図8〜10参照)の一要素として他の要素の型材に機械的結合をさせたとき、強化構造組体の強度の増大が期待できる。すなわち、該端末傾斜部10cが機械結合(ボルトナット又はリベット)により組み付けられるとき、前記端末傾斜部10cが反転して該C型材10の両側立辺10a、10aが前記他の要素の面状部に圧接するためである。
次に、上記成形型を使用して、C型材10を成形する場合を例に採り説明する。
先ず、工場内で、プリプレグ(通常、積層体)30を減圧下で調製するためのプリプレグ調製装置32(図5・6)と、調製したプリプレグ30を減圧下で型成形可能な成形プレス装置34(図7)とを準備する。そして、通常、プリプレグ調製装置32と、プレス成形を行う成形プレス装置34との間に、両者間を搬送する搬送手段35が配されている。
そして、プリプレグ調製装置32は、加熱減圧炉33と、該加熱減圧炉33内に配される、ガラスクロスGのクロス供給ロール36と、樹脂流下ドラム38と、対向して積層されたガラスクロスGを支持する分割支持板40、40とを備えている。なお、プリプレグ調製装置32は、プリプレグ調製を加熱減圧炉33内で全自動により行えるようになっている。このため、クロス原反をセットしたり、樹脂を投入したり、積層プリプレグを搬出したりするロボット(図示せず)を備えている。さらに、プリプレグ調製を全自動で行う際の監視のために、強化ガラスで形成された密閉扉33a、33aを備えている。
ここで、クロス供給ロール36は、長手方向に往復移動可能とされている。そして、供給ロール36の移動スパンSの両端(死点)内側に一対の裁断刃42、42が配されている。
また、樹脂流下ドラム38は、下端に開閉可能な流下ノズル(スリット状の)38aを備えるとともに、供給ロール36と同様、長手方向に往復移動可能とされている。
これらの供給ロール36及び樹脂流下ドラム38の往復移動は、汎用の搬送手段(例えば、レールやチェーン)により行う。
また、成形プレス装置34は、プレス盤44下側の金型設置室46が減圧且つ加熱可能なように減圧密閉室とされている。
該金型設置室46は、前記プリプレグ調製装置32で調製した積層プリプレグ30を、該金型設置室46へ分割支持板40、40により搬送し、分割支持板40、40を水平幅方向で開閉できるように、両側に密閉扉46a、46aを備えている。
次に、上記プリプレグ調製装置32を使用しての、積層プリプレグ30の調製方法を説明する。
先ず、クロス供給ロール36にクロス(原反)Gをセットするとともに、樹脂流下ドラム38に含浸樹脂を投入する。
クロスは、通常、ガラ積層したロービングクロスの両面に朱子織りクロスを積層する態様とする。ガラス繊維(GF)又は炭素繊維(CF)のクロスとするが、他の、無機繊維製、合成繊維製のクロスであってもよい。また、それらの積層組合わせは、強度が要求される場合は、中心側をCFクロスとし外側をGFクロスとすることが望ましい。
また樹脂流下ドラム38に供給する含浸樹脂は、通常、熱硬化型のポリエステル、フェノール、エポキシ樹脂等とする。
例えば、ポリエステル樹脂を加熱プレス成形する場合、不飽和ポリエステルに、触媒(有機過酸化物)、を適宜添加して、硬化速度を調節したものを使用できる。配合処方としては、本発明の目的を達成できるものなら、特に限定されず、例えば、前述の非特許文献3に記載のものを使用できる。
そして、加熱減圧炉33の炉内温度を、成形型の予備加熱温度近くの温度に調節するとともに、軽く減圧とする。通常、炉内温度:30〜40℃とし、減圧度は、80〜90kPa(絶対圧)とする。温度が高すぎると、樹脂硬化が進むおそれがあり、逆に、温度が低すぎると、樹脂硬化がBステージまで進み難く、積層プリプレグ30を得難い。
また、減圧度が弱いとガラスクロスGに対する樹脂含浸量を確保し難く、減圧度が強いと、加熱減圧炉33のシール構造を厳格なものにする必要がありコスト高になる。
そして、供給ロール36を往復移動の各死点間を往復移動させ、各死点位置で裁断刃42を作動させる。
すると、ガラスクロスGが裁断されて所定長の裁断クロスG1が分割支持板40の上に落下して、順次積層されていく。なお、積層枚数は、通常、10〜30枚とする。
そして、裁断クロスG1を複数枚(例えば、ロービングクロス3〜20枚)積層する毎に、樹脂流下ドラム38を、樹脂流下量を調節しながら、各死点間を片道移動又は往復移動させる。すると、積層されたガラスクロス上に流下した樹脂は積層クロスの下側まで浸透した後、Bステージまで硬化が進行して、順次、積層接着されていく。適宜、2〜3枚ずつ積層後、ローラ(マングル)で余分な樹脂を絞り出しておくことが望ましい。
このときの樹脂含浸量は、例えば、ガラスクロスの場合、ガラスクロス100部に対して40〜100部、望ましくは50〜60部とする。
こうして調製された積層プリプレグ30は、加熱減圧炉33の密閉扉33aを開くとともに、金型設置室46の密閉扉46a、46aを開く。この状態で、分割支持板40、40を適当な搬送手段により、金型設置室46のプレス装置34の雌雄型12、14の間(雄型14の上方)へ搬送する。
続いて、分割支持板40、40を左右に開く。すると、積層プリプレグ30は、雄型(下型)14上に落下する。
分割支持板40、40を閉じ、プリプレグ調製装置32へ搬送手段を介して戻す。
続いて、密閉扉46a、46aを閉じて、金型設置室を、プリプレグ調製装置32の加熱減圧炉と同様、軽い減圧状態(例えば、80〜90KPa)とするとともに微温雰囲気(30〜40℃)に保持する。
この状態で金型に付設されている減圧装置を作動させながら、型締めを行う。このときの金型温度は、クロス繊維の種類及び/又は樹脂の種類によるが、60〜100℃に誘導加熱で調節する。また、金型内の真空度(減圧度:絶対圧)は、1〜70kPa、望ましくは20〜60kPaとする。
また、圧縮量は、型材の大きさ及び/又は要求強度により異なる。例えば、厚み10mmの型材を成形する場合、積層厚さ15mmとする。
すると、積層プリプレグ30は加熱されて軟化しながら雌雄型12、14間で附形圧縮(プレス成形)される。すると、プリプレグは附形圧縮と同時に、型閉完了前から真空吸引されることにより、プリプレグ内のボイドが全面から円滑に排出されるとともに、余剰樹脂も円滑に排出される。
このとき、使用する成形プレスは、型締め圧約5〜6MPa(50〜60kgf/cm)を確保できるものとする。例えば、全幅500〜3000mm、全長3000〜5000mmの型材を成形しようとする場合、例えば、3000tプレスを使用する。
したがって、表面が滑らかで且つ寸法精度とともに、強度的にも優れたFRP型材(C型材)を、生産性良好に得ることができる。
FRP型材のプレス成形は、原則的に全自動で行うようにしておけば、作業環境の見地からも望ましい。ガラス繊維等の浮遊環境下に作業員が晒される機会が可及的に少なくなるためである。
こうして調製したFRP型材は、例えば、下記のようなFRPの強化構造組体とすることができる(図8〜13参照)。
基本的には、FRPのプレス成形法で成形したC型材10、10を、底辺10b側で背中合わせとして機械結合(通常、ボルトナット又はリベット)により組み付けて形成する。こうして、H型材52を形成することが可能である。
なお、機械的結合するための、ボルト孔やリベット孔は、ウォータドリルで予め又は現場で開ける。また、C型材以外の各型材もC型材と同様に、上記プレス成形法で成形をしておく。
ここで、前記背中合わせに配されたC型材10の両側立辺10a、10a相互を帯状型材54で覆って組み付けることが、さらには、C型材10、10の背中合わせの間には、同様にプレス成形した帯状芯材56を介在させ、さらに、各型材の当接面相互間に、適宜、接着剤層76を介在させることが、強度的見地から望ましい。ここで、接着剤層76は、エポキシ等の汎用接着剤を使用してもよいが、プリプレグ(クロス含浸積層体)を使用することが、構造材の強度をさらに増大でき望ましい。
このとき、プリプレグのクロスは、前述の平織、朱子織、ロービングクロスを問わず、それらを適宜組み合わせることができる。朱子織とロービングクロスを組み合わせる場合、例えば、相対的に厚いロービングクロス(約0.6mmt)5〜6枚を中間に薄い朱子織(約0.2〜0.6mmt)を両面に配して、7mmt前後とする。
クロス形成繊維も、前述のガラス繊維を通常用いるが、大きな強度が要求される場合は、ガラス繊維の一部又は全部を炭素繊維に置換してもよい。特に、中間部クロスを炭素繊維とすることが望ましい。
そして、帯型材54は、必然的ではないが、両側縁に補強リブ54a、54aを備えている。該補強リブ54aの高さは、C型材の肉厚と略同一とする。
更に、H型構造材52を連結する場合は、図8に示す如く、L形当て板58を前後に当てて挟持させながら、ボルト/ナット(スプリングワッシャ付き)で締め付けながら結合させていく。
また、H型材相互を45°交差させて組み付ける場合は、ウォータカッターで接合部52aを切り欠いて、組み付け後、L形当て板60を前後・左右から当てて、同様に、ボルト/ナット(スプリングワッシャ付き)で締め付け固定する。
こうして順次組み付けていけば、橋梁等の(強化)構造組体を形成することができる。
なお、構造材として長尺のもので、且つ、連結強度が要求される場合は、運搬が困難乃至不可能であるため、各型材の組み付けを5m立方の加熱炉をトラックに載せておいて現地まで運び、各型材を、前述の帯状芯材56をずらして連結部56aを形成しながら、現場組み立て・結合して製造することが望ましい。含浸樹脂は、前述と同様、例えば、ポリエステルとする。
以下に、その連結態様を、図10〜12に基づいて説明する。なお、図10は、アーチ状の連結構造材を製造する場合の、始端構造材(第一構造材)52Aに第二構造材52Bを接続し終えた状態の正面図である。このとき、各構造材52A、52Bの長さは、例えば、3〜7mとする。
各型材を現場に持ち込み、現場施工する。その際、帯状芯材は、始端構造材用の長帯状芯材56Aを用意する(図10参照)。なお、終端構造材用の短帯状芯材も必要であるが、中間帯状芯材を切断して用意すればよい。
このとき、長帯状芯材と中間帯状芯材との長さの差Lは、要求される接続強度にもよるが、通常、500〜1500mmの範囲から適宜設定する。
なお、始端構造材(第一構造材)52Aは、予め、工場で型成形しておく。
図11に構造材連結兼成形用のプレス型の一例を示す。このプレス型は、連結方向に伸びる四方プレス型62である。なお、前後方向も別の前・後型として、図12・13に示すように合せ面で真空引きできるようにしておくことが望ましい。
該四方プレス型62は、上下型64、64Aと左右型66、66Aとからなり、型締めは油圧ジャッキ(図示せず)により行うことができる。
そして、型プレス成形が容易なように、上下型64、64Aと左右型の各接合部には、長手方向に伸びる4個の真空室68が形成されている。なお、69は、各真空室を、型閉時、気密を保持するための真空室用の耐熱パッキンである。
そして、各型の連結方向の導入側には、図12に示す如く、成形後の構造材(第一構造材)52Aを保持可能な構造保持隙間70を備え、該保持隙間70の構造材導入側にはH型構造材の断面全周に亘り、導入側用耐熱パッキン72が4個配されて、気密可能とされている(図11の二点鎖線)。他方の導出側には、図13に示す如く、帯状芯材56の突出部(接続部)56aを保持可能な芯材保持隙間74を備え、該芯材保持隙間74の芯材導出側には導出側用耐熱パッキン72、72が配されている。
なお、各真空室68には、所定ピッチで吸引ノズル78が上下型64、64Aにそれぞれ複数個配されている。
上記四方プレス型を用いて順次、開き状態の四方プレス型62の導入側に成形後構造材56の端部をセットすると共に、各型材及びその間にプリプレグ(積層接着剤)76をセットし、型閉じして、吸引しながら順次加温プレス成形して接続していく。
このとき、四方プレス型は空洞型とし、該空洞型の附形壁面の裏面には多数本の部分的にオンオフ制御可能なシーズドヒータを伝熱セメント等により配設して、温調可能とする。また、型締めは、機械式、油圧式又はそれらの併用等任意である。各四方プレス型における上型ないし左右型はガイドポストを介しての昇降可能ないし左右動可能としておく。
真空吸引しながら加温プレス成形することにより、前述と同様、金型温度を余り上げなくても、直線状接続は勿論、アーチ状接続も可能となり、全長10〜50m、場合によっては100m近くまでの連続構造体を製造可能となる。
なお、このときの減圧度及び型締め圧は、それぞれ、前述の型材の場合の減圧度・型締め圧は必要ではない。例えば、減圧度はコンプレッサーで得られる真空度でよく、通常、50〜200mmHg(6.65〜22.66kPa)の範囲から適宜設定する。また、型締め圧は0.1〜1kgf/cm(9.8〜98kPa)とする。
また、型締めは、油圧ジャッキや爪ジャッキを適宜組み合わせて行う。
より具体的には、必然的ではないが、下記の如く行う。
夏季晴天時には外で、それ以外のときは30〜40℃に保持した準備室で各型材にクロスを積層して樹脂を含浸させローラ(マングル)で絞り出して、各型材の片面又は型材が芯材の場合は両面に接着剤層となる積層プリプレグを調製する。なお、この積層プリプレグの型材への形成は、工場内で行っておいてもよい。
その後、前記四方プレス型にセットし、金型温度70〜110℃に型内を真空吸引して前記真空度に維持して所定時間保持(10〜30min)した後、離型して、治具で所定直線又はアーチ形状に保持する。そして、冷水(例えば、5℃以下)又は冷風で形状セット(固定)されるまで冷却し、さらに、110℃前後で、3〜12h程度、後硬化(アフターキュア)させる。
そして、図10に示す如く、帯状芯材56の突出部位56aでボルト/ナット82により締結して、構造材相互の連結を完了する。
以下、本発明の効果を確認するために型成形した実施例について述べる。
使用材料は、それぞれ、下記の仕様のものとした。
<含浸樹脂>
不飽和ポリエステル樹脂 100部
(「サンドーマ XO-PS-08-1」DHマテリアル(株)社商品名)
触媒(B.P.O.50%) 2.5部
炭酸カルシウム 20部
<ガラスクロス>
ガラス繊維製のロービングクロス(目付580g/m2、シリカ処理):130×270mmに裁断したもの11枚と、両面に同朱子織(目付181g/m2、シリカ処理):130×270mmに裁断したもの2枚。
<成型プレス>
30tプレスを減圧加熱炉内に置き、立設シール部材(3mmt×30mmh)を型開き量15mmでシール開始するように組み付けた成形型にセットしたもの。
まず、35℃の減圧雰囲気下(10kPa)で、前記クロスを4枚ずつ積層した状態で樹脂を流下塗布する工程を5回繰り返して、積層枚数20枚のプリプレグを調製した。そのときの、樹脂含浸量は、クロス100部に対して55部とした。
こうして、調製したプリプレグを、下記型閉圧:6MPa(60kgf/cm)、型温度:110℃×30min、到達減圧度:40kPa×30minの条件で成形を行った。
こうして成形した成形品(130×270×10mm)について、曲げ強度試験(JIS K 7017)(材料クラスII)を行った。その結果は、18.13MPa(185kgf/mm)であり、十分な強度を有することが確認できた。
非特許文献2における真空バッグ法の概要を説明した表1.8に記載された原理図である。 同じくプリフォームマッチドダイの概要を説明した表1.14に記載された原理図である。 本発明のFRPのプレス成形法に使用する金型の一例を示す概略断面図である。 図3の4−4線断面図である。 本発明のFRPのプレス成形法に使用するのに好適なプリプレグ調製装置の概略モデル断面図である。 図5の6−6線断面図である。 本発明のプレス成形法における成形プレス装置の雌雄型間へのプリプレグ供給態様を示す概略モデル断面図である。 本発明のFRPのプレス成形法で得たFRP型材を使用しての強化構造組体の一例を示す部分斜視図である。 図8の9−9線断面図である。 本発明の連結構造材の途中段階を示す正面図である。 本発明の連結構造材の製造に使用する四方プレス型の断面図である。 同じく成形後構造材導入側の部分断面図である。 同じく芯材導出側の部分断面図である。
符号の説明
12 雌型(上型:可動型)
14 雄型(下型:固定型)
30 プリプレグ

Claims (11)

  1. 雌雄型からなる成形型(附形型)を用い、下記工程を経てFRP(繊維強化プラスチック)型材を成形することを特徴とするFRPプレス成形法。
    1)1枚の又は複数枚積層された所定大きさの積層プリプレグ(含浸積層平板)を、予備加熱された前記成形型の雄型又は雌型の一方にセットする。
    2)前記成形型を型閉完了前から型内を排気しながら型閉して、気泡を余剰樹脂とともに追い出し附形する。
    3)前記成形型を硬化温度まで昇温させて、所定時間保持して硬化完了後、離型する。
  2. 前記積層プリプレグの調製を、多数枚を複数組毎に分けて組み供給した後、樹脂を減圧下で含浸させて多段で行うことを特徴とする請求項1記載のFRPプレス成形法。
  3. 前記成形型の予備加熱及び前記成形型の硬化温度までの昇温を誘導加熱により行うことを特徴とする請求項1記載のFRPプレス成形法。
  4. 前記FRP型材が溝型材(C型材)である場合において、該溝型材の底辺が中心線に向かって内側へ突出するように傾斜させた断面で附形しておき、離型直後に前記傾斜を戻して抜き勾配を補完して前記溝型材の底辺とその両側の立辺とが直角となるような断面形状を前記溝型材が有するようにしたことを特徴とする請求項1記載のFRPプレス成形法。
  5. 前記溝型材の立辺の端部が抜き勾配以上に外側へ傾斜して附形される端末傾斜部が形成され、該溝型材がFRP構造材の一要素として他の要素の面状部に該端末傾斜部が機械結合により組み付けられるとき、前記端末傾斜部が反転して該C型材の立辺部が前記他の要素の面状部に圧接するようにしたことを特徴とする請求項4記載のFRPプレス成形法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のFRPプレス成形法に使用するFRP用の雌雄型からなるFRP成形型であって、
    前記雌雄型の周囲型閉じ部に1個の吸引孔又は複数個の吸引孔群を備え、該型閉じ部の内側に型閉じ完了前からシール可能な環状の立設シール部材を備え、更に、附形キャビティの外周に余剰樹脂溜り部を備えていることを特徴とするFRP成形型。
  7. 前記請求項4又は5記載のFRPのプレス成形法で成形したFRP溝型材を底辺側で背中合わせとし、背中合わせに配されたFRP溝型材の両側立辺相互を両側縁にリブを備えた帯状のFRPカバー材で覆って組み付けられ、それらの部材相互間が接着一体化されていることを特徴とするFRP構造材。
  8. 更に、前記背中合わせに配された溝型材の対面間に帯状のFRP芯材が配されて接着一体化されていることを特徴とする請求項7記載のFRP構造材。
  9. 前記FRP溝型材、前記FRPカバー材及び前記FRP芯材相互間に、プリプレグで形成された接着剤層が介在していることを特徴とする請求項8記載のFRP構造材。
  10. 請求項9記載のFRP構造材を連結して連結FRP構造材を製造する方法であって、前記FRP芯材を長手方向に所定量ずつずらし、且つ、該FRP芯材を介して前記FRP構造材を相互に連結する工程を経て製造することを特徴とする連結FRP構造材の製造方法。
  11. 請求項10記載の連結FRP構造材の製造方法であって、FRP芯材が突出した成型後FRP構造材の連結側を、型開状態の四方プレス型にセットし、更に、FRP構造材の各構成要素をセットし、型閉じして、成型・接着を行うことを特徴とする連結FRP構造材の製造方法。
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