JP2009291591A - 人工呼吸器用圧力調節装置およびこのような圧力調節装置を用いた人工呼吸器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸気ガス用入口部22と吸気ガス用出口部23との間のガス通路に臨んでいる調節弁31と、調節弁31を弁座部42に弾性的に付勢する弾性附勢手段32とを備えている。調整操作部材36は、その復動時には、空回りするとともに、引っ張り出されたときには、その回動操作によって調整作動部材34、35を作動させるので、弾性附勢手段32の弾性付勢力が調整される。
【選択図】図2
Description
まず、本発明の第1の実施例を、「1、Tピース蘇生装置全体の概略的構成」、「2、圧力調節装置の構成」、「3、圧力調節装置の動作」および「4、Tピース蘇生装置の使用方法」に項分けして、図1〜図7を参照しつつ説明する。
Tピース蘇生装置は、図6に示すように、蘇生装置本体1と、この蘇生装置本体1にガス供給チューブ2を介して吸気ガスを供給するガス源(図示せず)と、蘇生装置本体1からガス供給チューブ3を介して吸気ガスを供給される圧力調節装置4と、この圧力調節装置4に取り付けられるフェイスマスク5とを備えている。この場合、圧力調節装置4は、患者Tピースとも称されている。そして、フェイスマスク5のマスク本体5aの下面には、水泳用浮き輪を小さくしたような形状を有するリング状空気袋5bが取り付けられている。また、マスク本体5aの上面には、シリンジ(換言すれば、注射針が付いていない注射器−図示せず)などによってリング状空気袋5bに対して空気を注入したり空気を抜いたりするのに用いられる空気出し入れ用パイプ部5cが設けられている。さらに、マスク本体5aの上面のほぼ中央部には、圧力調節装置4に着脱可能に連結されるほぼ筒状の吸気ガス用入口部5dが設けられている。なお、フェイスマスク5は、気管カニューレ、鼻孔カニューレなどのカニューレであってもよい。そして、符号6は、上記ガス源の流量計であって、この流量計6は、ガス源からガス供給チューブ2を介して蘇生装置本体1に供給される吸気ガスの流量を調節するのに用いられる。また、図6においては、蘇生装置本体1およびその付近は、それ以外の部分に較べて縮小した状態で示されている。
圧力調節装置4は、図1〜図4に示すように、分岐管部21aを有するほぼT字形状の分岐管21を備えている。そして、分岐管部21aには、少なくともその先端部が円筒状などの筒状の管継手22が回転自在に取り付けられている。また、この管継手22には、図6に示すガス供給チューブ3が接続されているので、管継手22は、吸気ガス用の入口部としての吸気ガス供給口部を構成している。さらに、多岐管21の下端部には、少なくともその先端部が円筒状などの筒状の管継手23が回転自在に取り付けられている。また、この管継手23には、図6に示すフェイスマスク5の円筒状などの筒状の吸気ガス用入口部5dが着脱自在に取り付けられるので、管継手23は、吸気ガス用の出口部としての患者24に対するガス出入口部を構成している。この場合、雄型としての管継手23が雌型としての吸気ガス用入口部5dに嵌合されて取り付けられるように構成されている。したがって、管継手23の外周囲の形状(換言すれば、外径)は、吸気ガス用入口部5ddの内周囲の形状(換言すれば、内径)とほぼ一致している。また、多岐管21の中心線(換言すれば、軸心)L1が分岐管部21aおよび管継手22の中心線(換言すれば、軸心)L2と成す角度θ1は、図示の実施例においては、約62°である。したがって、吸気ガス用出口部としての管継手23の軸心L1が吸気ガス用入口部としての管継手22の軸心L2と成す角度θ2は、図示の実施例においては、約118°である。
(a)回動型調整作動部材35を図4に示すように外筒部材25に取り付ける。この取り付けに際しては、まず、回動型調整作動部材35の作動軸部35aを外筒部材25の内部空間37に挿入する。ついで、回動型調整作動部材35のほぼリング状の突条部35bを外筒部材25の上端部に設けられた複数個の係合爪部38のそれぞれに弾性的に係合させる。
(b)ついで、ばね圧調整ねじ34を外筒部材25の内部空間37に取り付ける。この取り付けに際しては、まず、作動軸部35aの先端部を図5に示すようにばね圧調整ねじ34の係合孔41に相対的に挿入して、両者を互いに係合させる。ついで、外筒部材25に対して回動型調整作動部材35を回転させることによって、ばね圧調整ねじ34の外周面に形成されている雄ねじ部34aを外筒部材25の内周面に形成されている雌ねじ部25aにねじ込ませて、ばね圧調整ねじ34を外筒部材25に対して例えば図4に示す状態を経て図3に示す状態まで上方に移動させる。
(c)ついで、PEEP調節弁31を、図3に示すように、多岐管21の上端部(換言すれば、弁座部)42上に載置する。なお、この調節弁31は、吸気ガス供給口部22と、患者に対するガス出入口部23との間のガス通路50に臨むように、多岐管21に配設される。
(d)ついで、ストッパ部材33を外筒部材25の内部空間37にこの内部空間37の下方から挿入して、図3に示すように外筒部材25に固定する。この固定に際しては、外筒部材25に互いに対向するように形成されている一対の小孔40を通して挿入した止めねじまたは止めピン(いずれも図示せず)をストッパ部材33にねじ込むことまたは圧入すること、もしくは、上記小孔40から接着剤を流し込むことなどによって、達成することができる。
(e)ついで、コイルばね32の両端部が、図3に示すように、ばね圧調整ねじ34の下面側に設けられたばね受け用凹部(換言すれば、ばね受け用下面部)43と、PEEP調整弁31の上面側に設けられたばね受け用凹部(換言すれば、ばね受け用上面部)44とにそれぞれ保持された状態にしてから、前述のようにして、外筒部材25を多岐管21に嵌合させる。
(f)ついで、調整操作キャップ36を、図3に示すように、回動型調整作動部材35の頭部35cに被せる。このように被せる際には、まず、頭部35cは、図4および図5に示す途中まで調整操作キャップ36に相対的に挿入される。この状態においては、頭部35cの径大部45が、調整操作キャップ36の頂面部36aと、多角形状(図示の実施例においては、八角形)などの内周係合部36bとの間に位置保持されることによって、回動型調整作動部材35からの調整操作キャップ36の抜け止めが施される。また、内周係合部36bには、この内周係合部36bとほぼ同形である回動型調整作動部材35の多角形状(図示の実施例においては、八角形)などの外周係合部35dが係合しているので、両者が一体となって回動する。ついで、頭部35cは、図3に示す最上昇位置まで調整操作キャップ36に相対的に挿入される。この状態においては、回動型調整作動部材35の頭部35cは、調整操作キャップ36の頂面部36aの内側面に当接している。また、調整操作キャップ36の内周係合部36bは、図3に示すように、回動型調整作動部材35の外周係合部35dとの係合を解消して、この外周係合部35dの下方に位置している。したがって、調整操作キャップ36は、回動型調整作動部材35に対して空回りする状態になっている。さらに、回動型調整作動部材35の中央開孔46は、調整操作キャップ36の頂面部36aに形成されている中央開孔47と隣接した状態でもって、この中央開孔47に連通している。なお、これら2種類の中央開孔46、47によって、圧力調節装置4の第3の通気口部としての呼気排気口部48が形成されている。そして、この呼気排気口部48の終端部は、調整操作キャップ36の頂面部36aにおいて、開口53を形成している。
前記ガス源からのガスが、図6にそれぞれ示すガス供給チューブ2、蘇生装置本体1およびガス供給チューブ3を経由して、図3に示す管継手(換言すれば、吸気ガス供給口部)22から多岐管21内に導入される。この場合、医師などの操作者51が調整操作キャップ36の開口53を指52などで閉塞していれば、このガスは、PEEP調整弁31が一時的に開くことがあっても指52などで閉塞されている開口53から外部に流出することはできないので、管継手(換言すれば、患者24に対するガス出入口部)23からフェイスマスク5を経由して患者24に供給される。また、操作者51が開口53から指52を離すと、上述のように多岐管21内に導入される上記ガス源からのガスが、PEEP調整弁31の下面を押圧するとともに、患者24からの呼気も、ガス出入口部23および多岐管21の内部(換言すれば、ガス通路50)を経由して、PEEP調整弁31の下面を押圧しているために、上記ガスおよび上記呼気が、PEEP調節弁31と弁座部42との間隙および呼気排気口部48を経由して開口53から外部に流出する可能性が生じる。
図1〜図7に示すTピース蘇生装置の使用方法の一例を説明すると、つぎの(a)項〜(i)項に記載のとおりである。
(a)まず、患者24へのガス出入口部を構成している管継手23にテスト肺(図示せず)を取り付ける。このテスト肺は、膨らむことができる風船であってよい。
(b)ついで、図6に示すガス供給チューブ2を蘇生装置本体1に接続する。
(c)ついで、どれぐらいのガスが上記ガス源からTピース蘇生装置に流入するのかを調整するために、図6に示す流量計6を調整する。
(d)ついで、調整操作キャップ(換言すれば、PEEP調整キャップ)36の頂面に開口している呼気排気口部48の上端開口53を図6に示すように医師などの操作者51の指(図示の実施例においては、親指)52で閉塞(すなわち、閉鎖)した状態において、最大開放圧調節摘み12を選択した値に合わせることによって、最大回路圧を設定する。
(e)ついで、調整操作キャップ36の開口53を指52で閉鎖した状態において、吸気圧調節摘み13を最大吸気圧に合わせることによって、最大吸気圧(換言すれば、PIP)を設定する。
(f)ついで、調整操作キャップ36の開口53から指52を離してから、まず、図3に示す状態にある調整操作キャップ36を外筒部材25(ひいては、回動型調整作動部材35)に対して上方に持ち上げて、調整操作キャップ36の内周係合部36bを回動型調整作動部材35の外周係合部35dに係合させる。この場合、調整操作キャップ36の内周係合部36bが回動型調整作動部材35の頭部35cに引っ掛かって調整操作キャップ36が持ち上げられなくなるまで、調整操作キャップ36を上方に持ち上げればよい。ついで、調整操作キャップ36を必要に応じて時計方向または反時計方向に指52で回動させて、回動型調整作動部材35を必要に応じて時計方向または反時計方向に回動させることによって、PEEP(すなわち、呼気終末陽圧)を望ましい値に設定する。
(g)ついで、患者24に対するガス出入口部(換言すれば、管継手23)から前記テスト肺を取り外して、このガス出入口部23にフェイスマスク5を取り付ける。そして、このフェイスマスク5を図6および図7に示すように患者24の口元に当てる。
(h)ついで、図6に示すように調整操作キャップ36の開口53を指52で断続的に閉塞することによって、患者24の呼吸回数を調節する。
(i)上記(e)項に記載した最大吸気圧を変更したい場合には、吸気圧調節摘み13を再調節する必要がある。そして、これは、患者24を換気している間に行うことができて、上記テスト肺を再装着する必要がない。
つぎに、本発明の第2の実施例を図8〜図14を参照しつつ説明する。なお、この第2の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置は、図1〜図7に示す第1の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置と基本的には同一の構成を備えるとともに同一の動作を行うことができる。したがって、以下において、第2の実施例における圧力調節装置4およびTピース蘇生装置が第1の実施例における圧力調整装置4およびTピース蘇生装置と共通な部分には、両者で同一の符号を付して、その説明を必要に応じて省略する。
(a)上記第1の実施例においては、ハウジング機構は、図3に示すように、多岐管21、管継手22、23、外筒部材25および回動型調整作動部材35から構成されている。これに対し、上記第2の実施例においては、図8に示すように、ハウジング部材としての多岐管61と、回動型調整作動部材35とから構成されている。したがって、上記第2の実施例においては、上記第1の実施例における管継手22、23は、省略されている。そして、上記第2の実施例においては、分岐管部61aおよび下端管部61bによって第1および第2の管継手部(換言すれば、第1および第2の通気口部)が構成されている。
(b)上記第1の実施例においては、分岐管21とは別に外筒部材25が設けられている。これに対し、上記第2の実施例においては、ハウジング部材としての分岐管61は、上記第1の実施例における外筒部材25を兼ねているので、この外筒部材25に相当するほぼ円筒状などの筒状部61cを備えている。
(c)上記第2の実施例においては、PEEP調整弁31の形状が変更され、これにともなって、この調整弁31の上面に支持軸部31aが突設されている。このために、回動型調節作動部材35の作動軸部35aは、支持軸部31aを側面から包囲するように、ほぼ筒状に構成されている。そして、この支持軸部31aの先端部は、回動型調節作動部材35によって、軸心方向に摺動自在に支持されている。
(d)上記第1の実施例においては、ばね圧調節ねじ34の最下降位置を規制するために、ストッパ部材33が分岐管21上に配設されている。これに対し、上記第2の実施例においては、ストッパ部材33は省略されていて、上向きの位置規制用段部61dが多岐管61の内周面に設けられている。
5 フェイスマスク
5d 第2の吸気ガス用入口部
21 多岐管(ハウジング機構)
22 管継手(吸気ガス用の入口部、第1の通気口部、ハウジング機構)
23 管継手(患者に対するガス出入口部、吸気ガス用の出口部、第2の通気口部、ハウジング機構)
24 患者
25 外筒部材(ハウジング機構)
31 呼気終末陽圧(PEEP)調節弁
32 反撥用コイルばね(弾性付勢手段)
34 ばね圧調整ねじ(第2の調整作動部材、昇降型調整作動部材)
35 回動型調整作動部材(第1の調整作動部材、ハウジング機構)
35c 頭部
35d 外周係合部(第2の係合部)
36 調整操作キャップ(PEEP調整キャップ、調整操作部材)
36a 頂面部
36b 内周係合部(第1の係合部)
42 弁座部
48 呼気排気口部(第3の通気口部)
50 ガス通路
53 開口
61 多岐管(ハウジング部材、ハウジング機構)
L1 第2の通気口部の軸心
L2 第1の通気口部の軸心
θ2 L1がL2に対して成す角度
Claims (8)
- 呼吸補助を必要とする患者にガスを送る人工呼吸器に用いるための圧力調節装置において、
第1の通気口部、第2の通気口部および第3の通気口部をそれぞれ有しかつ上記第1の通気口部および第2の通気口部のうちの一方の通気口部が吸気ガス用の入口部として用いられることができるとともに他方の通気口部が吸気ガス用の出口部として用いられることができるハウジング機構と、
上記第1の通気口部と上記第2の通気口部との間のガス通路に臨むように上記ハウジング機構に配設された調節弁と、
上記調節弁を上記ハウジング機構に設けた弁座部に弾性的に付勢する弾性付勢手段と、
上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動される調整作動部材と、
上記調整作動部材を作動させるために回動操作される調整操作部材とをそれぞれ備え、
上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも低いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を閉塞するとともに、上記ガス通路のガス圧が所定のレベルよりも高いときには、上記調節弁が上記第3の通気口部を開放して、上記ガス通路のガスが上記第3の通気口部を流れるように構成され、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動しているときには、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して引っ張り出されたときには、上記調整操作部材の回動操作によって上記調整作動部材が作動して、上記弾性付勢手段の弾性付勢力が調整されるように構成されていることを特徴とする圧力調節装置。 - 上記調整作動部材が、上記ハウジング機構にそれぞれ配設された第1の調整作動部材および第2の調整作動部材を備え、
上記第1の調整作動部材が、上記調整操作部材の回動操作によって回動して、上記第2の調整作動部材を回動させるように構成され、
上記第2の調整作動部材が、その回動によって、上記弾性付勢手段の弾性付勢力を調整するために作動するように構成されていることとを特徴とする請求項1に記載の圧力調節装置。 - 上記調整操作部材が調整操作キャップであり、
上記調整操作キャップが上記第1の調整作動部材の頭部に被せられていることを特徴とする請求項2に記載の圧力調節装置。 - 上記調整操作部材が第1の係合部を備え、
上記調整作動部材が第2の係合部を備え、
上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して復動している復動位置にあるときには、上記調整操作部材の上記第1の係合部と上記調整作動部材の上記第2の係合部との相互の係合が解除されていて、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して空回りするように構成されるとともに、上記調整操作部材が上記調整作動部材に対して上記復動位置から引っ張り出されたときには、上記第1の係合部と上記第2の係合部とが相互に係合することによって、上記調整操作部材の回動操作が上記調整作動部材に伝達されて、上記調整作動部材が作動するように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の圧力調節装置。 - 上記第3の通気口部に連なっている開口が上記調整操作部材の頂面部に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置。
- 請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の圧力調節装置によってガス圧が調節されるように構成されていることを特徴とする人工呼吸器。
- 上記圧力調整装置の上記吸気ガス用出口部に連結されることができる第2の吸気ガス用入口部を有するフェイスマスクをさらに備え、
上記圧力調節装置の上記第1の通気口部および上記第2の通気口部のいずれもが上記フェイスマスクの上記第2の吸気ガス用入口部を選択的に連結し得るように構成され、
上記第1および第2の通気口部のうちの、上記第2の吸気ガス用入口部を連結した通気口部が、上記圧力調節装置の上記吸気ガス用出口部として機能するように構成されるとともに、他方の通気口部が上記圧力調節装置の上記吸気ガス用入口部として機能するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の人工呼吸器。 - 上記圧力調節装置の上記第1の通気口部の軸心が上記第2の通気口部の軸心に対して成す角度が、85°〜95°の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の人工呼吸器。
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