JP2009288631A - 位相差書き込み及び読み取り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で、位相差の書き込みと読み取りが可能な装置の提供。
【解決手段】光源1、偏光子2、試料台8、及び受光素子6を有し、かつ試料台に配置される試料3の一部又は全部を加熱するための加熱源9を有する、位相差書き込み及び読み取り装置。加熱源がレーザである前記記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
【選択図】図6
【解決手段】光源1、偏光子2、試料台8、及び受光素子6を有し、かつ試料台に配置される試料3の一部又は全部を加熱するための加熱源9を有する、位相差書き込み及び読み取り装置。加熱源がレーザである前記記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
【選択図】図6
Description
本発明は位相差書き込み及び読み取り装置に関する。
近年、種々の光学素子や認証画像などに、複屈折性を有する物品が多く用いられている。このような物品の作製の際に、複屈折性、すなわち位相差を材料に形成しつつ、形成された位相差を確認することができれば、所望の位相差を物品に付与することができると考えられる。
物品に何らかの性質を付与しつつ、その性質に基づく情報を読み取る技術としては、例えば、光ディスク等の光学記憶媒体に対する信号の書き込みと読み取りを行うための光学ヘッド技術が挙げられる。非特許文献1には光ディスク読み取りヘッドとして、種々の構成が記載されている。そのうち、CD-ROM型ヘッドは、半導体レーザをレンズで集光・照射し、反射光の強度変化から書き込まれている情報を読み取る構成である。しかし、光学系に偏光素子を有していないため、位相差測定機能を有する装置に応用できる構成とは言えない。
偏光素子を有する光学系としては、追記型ディスク用光ヘッドがある。追記型ディスク用光ヘッドには、薄膜にレーザスポットの熱エネルギーで小孔を形成しながら記録するタイプや、膜の結晶状態を変えて反射率の差として記録するタイプ、膜と基板の間にバブルを発生させるタイプ等が含まれる。ここで偏光素子は、光の利用効率向上を目的として利用されており、位相差計測ができるものではない。同様に、偏光素子を有する光学系を利用した光磁気ディスク用ヘッドは、磁気の方向が一定方向に揃った媒体にレーザスポットを照射し、記録部の温度を高め媒体の保磁力を低下させ、外部磁界により磁化の向きを反転させることにより書き込みが行なわれる構成である。しかし、偏光素子は、p波とs波の相対強度比較を行うために設けられているだけのため、位相差計測ができるものではない。
特許文献1には光学記憶装置用の信号の書き込みと読み取りを行う光学素子として、ホログラムを利用して偏光成分を分離して各偏光成分の強度の差を検出することで光学記憶媒体の状態を表す信号を検知するように構成されている光学素子が開示されている。しかし、この光学素子も、偏光素子をp波とs波の相対強度比較に利用するものであって、位相差計測ができるものではない。
特開平8-279200号公報
光ディスク技術ハンドブック, 光産業技術振興協会監修(日経マグロウヒル社), p73〜79
本発明は、簡素な構成で、位相差の書き込みと読み取りが可能な装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意研究を行った結果、位相差の書き込み法として加熱処理を行う方法を採用して、各種の位相差測定方法と組み合わせることによって、位相差の書き込みと読み取りを同時に行う装置が作製できることを見出し、この知見を基に本発明を完成した。すなわち、本発明は下記[1]〜[6]を提供するものである。
[1]光源、偏光子、試料台、及び受光素子を有し、かつ試料台に配置される試料の一部又は全部を加熱するための加熱源を有する、位相差書き込み及び読み取り装置。
[2]加熱源がレーザである[1]に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[3]光源、偏光子、試料台、レンズ、補償子、検光子、及び受光素子をこの順に有する[1]又は[2]に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[4]光源が、白色光源及びバンドパスフィルタの組み合わせ又はレーザである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[5]受光素子が分光器を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[6]受光素子から得られた情報より位相差量を算出する手段及び前記位相差量に対して加熱源の強度を制御する手段を有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[2]加熱源がレーザである[1]に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[3]光源、偏光子、試料台、レンズ、補償子、検光子、及び受光素子をこの順に有する[1]又は[2]に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[4]光源が、白色光源及びバンドパスフィルタの組み合わせ又はレーザである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[5]受光素子が分光器を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
[6]受光素子から得られた情報より位相差量を算出する手段及び前記位相差量に対して加熱源の強度を制御する手段を有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
本発明により、簡素な構成で、位相差の書き込みと読み取りが可能な装置が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、角度について記載のある場合は、厳密な角度との誤差が±1度の範囲内であればよく、±0.1度の範囲内であることがより好ましい。
0度とは実質的に二つの軸の為す角度が平行である状態を表し、90度とは実質的に二つの軸の為す角度が直交している状態を表す。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、角度について記載のある場合は、厳密な角度との誤差が±1度の範囲内であればよく、±0.1度の範囲内であることがより好ましい。
0度とは実質的に二つの軸の為す角度が平行である状態を表し、90度とは実質的に二つの軸の為す角度が直交している状態を表す。
パラニコルとは偏光子と検光子の透過軸の為す角度が0度であることを表し、クロスニコルとは偏光子と検光子の透過軸の為す角度が90度であることを表すが、実際は後述の測定手段で示すように、本発明の測定装置で用いられる光学系において、試料がない状態での偏光子と検光子の配置につき、入射光透過率が最も小さい位置と最も大きい位置をそれぞれクロスニコル、パラニコル位置とする場合もある。
本明細書において、「分光スペクトル」とは「吸収スペクトル」、「散乱スペクトル」、及び「透過スペクトル」等を含む意味であり、「透過スペクトル」であることが好ましい。
本明細書において、「分光スペクトル」とは「吸収スペクトル」、「散乱スペクトル」、及び「透過スペクトル」等を含む意味であり、「透過スペクトル」であることが好ましい。
本明細書において、「位相差読み込み」とは位相差測定、位相差算出などの意味であり、位相差を求めることを意味する。
本明細書において、「位相差書き込み」とは、材料に位相差を付与する又は位相差を形成することを意味する。
本明細書において、「位相差書き込み」とは、材料に位相差を付与する又は位相差を形成することを意味する。
位相差読み込みのために、本発明の装置においては、光源、偏光子、試料台、及び受光素子を含む構成で位相差を測定する従来のいずれの方法を用いてもよく、例えば、分光エリプソメトリー、藤原裕之著(丸善)、pp.77-98、2003年に記載の、回転検光子型、回転補償子型、及び位相変調型のエリプソメータなどを用いればよい。特に、一般的な複屈折測定装置に採用されているセナルモン法を用いることも好ましい。セナルモン法とは、光学素子を光源、偏光子、試料、1/4波長板、検光子、ディテクタの順番に配置し、検出される直線偏光の傾きから試料の位相差を測定する方法である。その他、受光素子として分光器を使用する方法により位相差読み込みを行ってもよい。分光器を使用する方法によっては、試料の加熱による光の透過率の誤差の影響を受けにくい位相差読み込みを行うことができる。受光素子として分光器を使用する方法については後述する。
位相差書き込み方法は、後述の加熱源を利用した方法であることが好ましい。位相差の書き込みは、通常露光及び加熱をこの順に行うことによっても可能であるが、この場合は位相差が露光時の条件によって決定するため、後述のフィードバック機構等を生かせない場合がある。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、光源、偏光子、試料台、及び受光素子を含み、かつ試料台に配置される試料の一部又は全部を加熱するための加熱源を含む。 本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、さらに検光子を有することが好ましい。
また、本発明の位相差書き込み及び読み取り装置においては、光源、偏光子、試料台、検光子、及び受光素子がこの順で配置されていることが好ましい。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、さらに補償子を有していてもよい。補償子は前記の配置において偏光子と試料台との間、又は試料台と検光子との間に配置されていることが好ましい。
また、本発明の位相差書き込み及び読み取り装置においては、光源、偏光子、試料台、検光子、及び受光素子がこの順で配置されていることが好ましい。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、さらに補償子を有していてもよい。補償子は前記の配置において偏光子と試料台との間、又は試料台と検光子との間に配置されていることが好ましい。
また、本発明の位相差書き込み及び読み取り装置はさらにレンズを含んでいてもよい。レンズを含むことによって、より微細な位相差パターンの書き込みや読み取りが可能である。レンズは、受光素子と試料台との間、好ましくは検光子と試料台との間に配置されていればよい。受光素子と試料台の間に補償子が配置されている場合は、該補償子と試料台の間にレンズを配置することが好ましい。
[受光素子]
受光素子は、位相差読み込みの方法に応じていずれの受光素子を用いてもよく、フォトダイオード、CMOSイメージセンサ、CCDなどを用いればよい。また上記のように受光素子は分光器を有していてもよい。
受光素子は、位相差読み込みの方法に応じていずれの受光素子を用いてもよく、フォトダイオード、CMOSイメージセンサ、CCDなどを用いればよい。また上記のように受光素子は分光器を有していてもよい。
[光源]
光源としては、受光素子としてフォトダイオード、CMOSイメージセンサ、CCDなどを用いる場合には、各種レーザ又は白色光源及びバンドパスフィルタの組み合わせを用いればよい。用いられる波長は特に限定されないが、435nm(青色)、545nm(緑色)、610nm(赤色)などが好ましい。
光源としては、受光素子としてフォトダイオード、CMOSイメージセンサ、CCDなどを用いる場合には、各種レーザ又は白色光源及びバンドパスフィルタの組み合わせを用いればよい。用いられる波長は特に限定されないが、435nm(青色)、545nm(緑色)、610nm(赤色)などが好ましい。
受光素子として分光器を用いる場合は、光源は白色光源であることが好ましい。白色光源としては、レーザやLEDのように狭い波長範囲でなく、測定波長範囲において出力を有していれば特に限定はなく、測定波長範囲が可視域の一部であるならば、必ずしも見た目に白色でなくともよい。そのような光源の例としては、ハロゲンランプやキセノンランプが挙げられる。また、複数色の光源を混色させて用いてもよい。光源は入力する電源や環境温度により出力が変化するため、電源点灯後20分〜1時間程度放置した後に輝度の変化が5%/時間以下であることが好ましく、そのようにするために電源に安定化装置が用いられていることが好ましい。
[偏光子、検光子]
偏光子には回転機構は特に必要ないが、光軸中心の回転機構があると全方位角測定が可能となるので好ましい。検光子は、その透過軸を偏光子の透過軸とパラニコル又はクロスニコルにする等の必要があるため、光軸中心の回転機構があることが好ましい。
受光素子として分光器を用いる場合は、偏光子および検光子としては広い波長域で高い偏光度を有することが望ましい。このとき、偏光度は95%以上あればよく、この偏光度を有する波長域は390〜800nmであることが特に好ましい。
偏光子には回転機構は特に必要ないが、光軸中心の回転機構があると全方位角測定が可能となるので好ましい。検光子は、その透過軸を偏光子の透過軸とパラニコル又はクロスニコルにする等の必要があるため、光軸中心の回転機構があることが好ましい。
受光素子として分光器を用いる場合は、偏光子および検光子としては広い波長域で高い偏光度を有することが望ましい。このとき、偏光度は95%以上あればよく、この偏光度を有する波長域は390〜800nmであることが特に好ましい。
偏光子は吸収型偏光子でも反射型偏光子でもよい。検光子としては吸収型偏光子が好ましい。具体的には、広い波長域で比較的高い偏光度を有するヨウ素系偏光子、二色性色素を用いた二色性色素偏光子、プリズム型偏光子としてグラントムソン型偏光子、グランテーラー型偏光子、その他の偏光子としてワイヤグリッド偏光子、誘電体偏光子等が挙げられ、波長域が広いヨウ素系偏光子とプリズム型偏光子が好ましく、より波長域が広くかつ必要とする偏光度を有するヨウ素系偏光子が特に好ましい。
[試料]
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置により、位相差の書き込みと読み取りが可能である試料は、加熱によって位相差の形成が可能な試料である限り、特に限定されない。試料は、用いられる位相差読み込み方法に応じた形状又は性質を有することが好ましい。この観点から、通常、試料は、平面状(シート状又はフィルム状)の形状であることが好ましい。また、透明であることが好ましい。
具体的には、反応性基を有する高分子からなる層を有する材料を用いることができ、例えば、下記実施例で用いられているような、少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含んでなる溶液を、塗布乾燥して液晶相を形成した後、熱または電離放射線照射して固化した層を有する材料を用いることができる。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置により、位相差の書き込みと読み取りが可能である試料は、加熱によって位相差の形成が可能な試料である限り、特に限定されない。試料は、用いられる位相差読み込み方法に応じた形状又は性質を有することが好ましい。この観点から、通常、試料は、平面状(シート状又はフィルム状)の形状であることが好ましい。また、透明であることが好ましい。
具体的には、反応性基を有する高分子からなる層を有する材料を用いることができ、例えば、下記実施例で用いられているような、少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含んでなる溶液を、塗布乾燥して液晶相を形成した後、熱または電離放射線照射して固化した層を有する材料を用いることができる。
[試料台]
試料台は、光源から受光素子までの光の進行方向に対して試料を略垂直に配置することができる台であればよく、その形態は特に限定されない。試料台は光軸中心の回転機構があることが好ましく、さらに斜め入射時の位相差を測定するために、試料台全体が回転する機構があることが好ましい。また、加熱源が試料台と一体化して設けられていてもよい。
試料台は、光源から受光素子までの光の進行方向に対して試料を略垂直に配置することができる台であればよく、その形態は特に限定されない。試料台は光軸中心の回転機構があることが好ましく、さらに斜め入射時の位相差を測定するために、試料台全体が回転する機構があることが好ましい。また、加熱源が試料台と一体化して設けられていてもよい。
[加熱源]
加熱源は試料台に配置される試料の一部又は全部を加熱することができる手段であればよく、特に限定されない。例としては、ホットステージやレーザが挙げられる。ホットステージの例として具体的には、FP82HT、メトラートレド(株)製のホットステージが挙げられる。また、レーザとして、例えばSoftbeam LP(3型 60Wレーザダイオード加熱装置)(松下溶接システム(株)製)、Trendsetter(水冷赤外半導体レーザ)(Creo製)等を用いることにより、レーザによる加熱書き込みが可能である。また、加熱源レーザとしては、赤外領域の波長を発振するレーザが好ましい。レーザは、細かい複屈折パターンの形成を行う際に好ましく用いることができる。
加熱源は試料台に配置される試料の一部又は全部を加熱することができる手段であればよく、特に限定されない。例としては、ホットステージやレーザが挙げられる。ホットステージの例として具体的には、FP82HT、メトラートレド(株)製のホットステージが挙げられる。また、レーザとして、例えばSoftbeam LP(3型 60Wレーザダイオード加熱装置)(松下溶接システム(株)製)、Trendsetter(水冷赤外半導体レーザ)(Creo製)等を用いることにより、レーザによる加熱書き込みが可能である。また、加熱源レーザとしては、赤外領域の波長を発振するレーザが好ましい。レーザは、細かい複屈折パターンの形成を行う際に好ましく用いることができる。
[補償子]
補償子としては、用いる位相差読み込み方法に応じて、従来の位相差測定装置で用いられている光学補償子及び市販の光学補償フィルムから選択される補償子のいずれを用いてもよい。通常、λ/4板として市販されている光学補償フィルムを用いればよい。受光素子として分光器を用いる場合は、下記に波長板として説明されている補償子を下記の記載にしたがって選択して用いることが好ましい。
補償子は用いる位相差読み込み方法に応じて、固定されていても、光軸方向を中心として回転可能に配置されていてもよい。
補償子としては、用いる位相差読み込み方法に応じて、従来の位相差測定装置で用いられている光学補償子及び市販の光学補償フィルムから選択される補償子のいずれを用いてもよい。通常、λ/4板として市販されている光学補償フィルムを用いればよい。受光素子として分光器を用いる場合は、下記に波長板として説明されている補償子を下記の記載にしたがって選択して用いることが好ましい。
補償子は用いる位相差読み込み方法に応じて、固定されていても、光軸方向を中心として回転可能に配置されていてもよい。
[分光器を使用した方法による位相差読み込み方法]
[原理]
分光スペクトルから試料の位相差を決定する原理を以下に説明する。
偏光状態とそれに基づく透過率などの光学特性は、ジョーンズ行列やミューラー行列により記述することができるが、以下では特に偏光解消度が考慮できるミューラー行列で説明する。ミューラー行列によれば、偏光状態はストークスパラメータで記述され、位相差フィルムや偏光子、検光子などを通過するときの各素子による偏光状態の変化が、4×4のミューラー行列により記述される。
まず、偏光子と検光子とがクロスニコルであり、偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた位相差フィルムの光の透過率につき説明する。
[原理]
分光スペクトルから試料の位相差を決定する原理を以下に説明する。
偏光状態とそれに基づく透過率などの光学特性は、ジョーンズ行列やミューラー行列により記述することができるが、以下では特に偏光解消度が考慮できるミューラー行列で説明する。ミューラー行列によれば、偏光状態はストークスパラメータで記述され、位相差フィルムや偏光子、検光子などを通過するときの各素子による偏光状態の変化が、4×4のミューラー行列により記述される。
まず、偏光子と検光子とがクロスニコルであり、偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた位相差フィルムの光の透過率につき説明する。
式中、Reは前記位相差フィルムの位相差であり、λは測定波長である。
入射光が偏光子を100%通過する偏光であるとしたとき、言い換えると偏光子を通過した光を100%としたとき、この偏光子→位相差フィルム→検光子を通過するストークスパラメータは式(5)のようになる。
入射光が偏光子を100%通過する偏光であるとしたとき、言い換えると偏光子を通過した光を100%としたとき、この偏光子→位相差フィルム→検光子を通過するストークスパラメータは式(5)のようになる。
上記式Soutの第一成分が光の透過率である。すなわち、光の透過率T(λ)は以下式(6)のように表される
式(6)から、偏光子と検光子とがクロスニコルであり、偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた位相差Reのフィルムの光の透過率T(λ)は、理論上Re/λが整数のときに0(透過率0%)となり、Re/λが半整数のときに1(透過率100%)となることが分かる。図1にRe=2000nmの試料(フィルム)の分光透過スペクトルの例を示す。
また、同様に偏光子と検光子とがパラニコルとして、偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた位相差フィルムの光の透過率は、下記の式(7)で表される。
また、同様に偏光子と検光子とがパラニコルとして、偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた位相差フィルムの光の透過率は、下記の式(7)で表される。
式(7)から、理論上Re/λが整数のときに0(透過率0%)となり、Re/λが半整数のときに1(透過率100%)となることが分かる。
したがって、偏光子、試料、および検光子が上記何れかの配置である場合には、分光スペクトルにおいて谷の位置(透過率0%)である波長及び山の位置(透過率100%)である波長を読み取ることによって位相差Reの値を求めることができることがわかる。
したがって、偏光子、試料、および検光子が上記何れかの配置である場合には、分光スペクトルにおいて谷の位置(透過率0%)である波長及び山の位置(透過率100%)である波長を読み取ることによって位相差Reの値を求めることができることがわかる。
[位相差の波長分散]
試料の位相差に波長分散がある場合は、分光スペクトルにある山と谷のピークにおける波長が上記の理論で説明される波長よりずれる。例えば図1の例で500nmにおいて位相差が2000nmならば図1の通り透過率は0%であるが、仮に400nmにおける位相差が波長分散で2200nmとなったとすると、半整数倍なので透過率は100%となり、図1と異なる。この2200nmは400nmの5.5倍であるが、2000nmの5.5分の1は約363nmであるから、この波長分散を有する試料の400nmに見られる山のピークは、図1においてグラフの外にある363nmに存在するはずの山のピークが、位相差が大きくなったことによって長波側にシフトしたものであるということになる。位相差の波長分散は、コーシーの分散式によって記述することができるので、透過スペクトルからフィッティングにより位相差を求めるには、コーシーの分散式を用いることが好ましい。
試料の位相差に波長分散がある場合は、分光スペクトルにある山と谷のピークにおける波長が上記の理論で説明される波長よりずれる。例えば図1の例で500nmにおいて位相差が2000nmならば図1の通り透過率は0%であるが、仮に400nmにおける位相差が波長分散で2200nmとなったとすると、半整数倍なので透過率は100%となり、図1と異なる。この2200nmは400nmの5.5倍であるが、2000nmの5.5分の1は約363nmであるから、この波長分散を有する試料の400nmに見られる山のピークは、図1においてグラフの外にある363nmに存在するはずの山のピークが、位相差が大きくなったことによって長波側にシフトしたものであるということになる。位相差の波長分散は、コーシーの分散式によって記述することができるので、透過スペクトルからフィッティングにより位相差を求めるには、コーシーの分散式を用いることが好ましい。
コーシーの分散式は、一般に屈折率の波長依存性(波長分散)を表すのに用いられ、式(8)のように記述される。
レターデーションは、複屈折すなわち二つの異なる屈折率の差に試料の厚みdを乗じたものであるから、屈折率と同様に式(9)のようにコーシーの分散式を適用することができる。
コーシーの分散式は波長の4次までを用いることが多いが、よりフィッティングをより簡便かつ高速にするためには2次まででもよく、精度上必要がある場合には6次以上の偶数次まで用いてもよい。精度と速度のバランスからは4次までを用いることが好ましい。また、位相差の波長分散としてはコーシーの分散式以外にもHandbook of optics(2nd ed.),vol.1(McGraw−Hill)のp.33.61−33.84に記載されている任意の式もしくは任意の2つ以上の和を用いることができる。
[波長板の利用]
図2にRe=100nmの試料(フィルム)の分光スペクトル例を示す。このように位相差が小さくなると、測定波長範囲において半整数倍も整数倍も見られなくなるため、スペクトルにピークが見られなくなる。ピークが観測されていないスペクトルを用いても理論的には位相差を求めることはできるが、実際には計測系のノイズや試料の吸収、散乱、偏光解消などの影響によってスペクトルの絶対値が変化してしまい、算出される位相差の精度に影響がある。
図2にRe=100nmの試料(フィルム)の分光スペクトル例を示す。このように位相差が小さくなると、測定波長範囲において半整数倍も整数倍も見られなくなるため、スペクトルにピークが見られなくなる。ピークが観測されていないスペクトルを用いても理論的には位相差を求めることはできるが、実際には計測系のノイズや試料の吸収、散乱、偏光解消などの影響によってスペクトルの絶対値が変化してしまい、算出される位相差の精度に影響がある。
したがって、分光器を用いた位相差読み込み方法においては、測定波長範囲の分光スペクトルにピークが観測される状態とするため、補償子として波長板を利用することが好ましい。例えば、試料の光学軸と光学軸の一致した既知の波長板を挿入することができる。
偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた波長板のミューラー行列Mwpは式(10)のようになる。
偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた波長板のミューラー行列Mwpは式(10)のようになる。
偏光子と検光子とがクロスニコルであり偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた試料および偏光子の透過軸に対して光学軸が45度傾いた波長板を有する光学系のストークスパラメータは式(11)となる。
すなわち光の透過率T(λ)は下記の式(12)で表される。
式(12)からわかるように、本発明の装置では波長板によって位相差が底上げされる。試料の位相差は、測定波長範囲においてスペクトルにピークを検出し、測定された位相差を決定後、波長板の位相差を差し引くことで算出すればよい。
分光器を用いた位相差読み込み方法は上記に示した補正、フィッティング等を行う計算手段として光信号解析装置等を含むことが好ましい。計算手段としては、コンピュータ上でソフトウェアとして解析する方法や、メモリや演算プロセッサを搭載した専用のボードで解析する方法、あるいはピーク等の特徴的な箇所を人力で計算可能な数点ピックアップし、その値が一致するように自ら位相差を決定する手段が挙げられる。
[波長板]
波長板は補償子として試料台の偏光子側に配置しても、検光子側に配置してもよい。波長板は光軸を中心とした回転機構と、光軸上から波長板を退避させるための一軸ステージがあることが好ましい。波長板によって、前述の通り小さな位相差の試料を測定することが可能となる。さらに、光源や分光器にはわずかな偏光依存性があり、それがスペクトル測定に影響する可能性があるため、光源と偏光子の間、および検光子と分光器の間には測定波長域においてなるべく吸収を持たない偏光解消子を挿入することもできる。
前記波長板は、前記波長板は、0.5以上の整数または半整数であるnxとの積λxnxが前記波長板のレターデーション値を示している波長λxを測定波長域λmin〜λmaxにおいて2つ以上有する。すなわち、波長板としては測定波長域のスペクトルにおいて少なくとも山1つおよび谷1つを有する波長板を選択する。
波長板は補償子として試料台の偏光子側に配置しても、検光子側に配置してもよい。波長板は光軸を中心とした回転機構と、光軸上から波長板を退避させるための一軸ステージがあることが好ましい。波長板によって、前述の通り小さな位相差の試料を測定することが可能となる。さらに、光源や分光器にはわずかな偏光依存性があり、それがスペクトル測定に影響する可能性があるため、光源と偏光子の間、および検光子と分光器の間には測定波長域においてなるべく吸収を持たない偏光解消子を挿入することもできる。
前記波長板は、前記波長板は、0.5以上の整数または半整数であるnxとの積λxnxが前記波長板のレターデーション値を示している波長λxを測定波長域λmin〜λmaxにおいて2つ以上有する。すなわち、波長板としては測定波長域のスペクトルにおいて少なくとも山1つおよび谷1つを有する波長板を選択する。
上記の条件を満たす波長板につき、波長板の位相差(波長分散を考慮しない値であってもよい)と測定波長域とから、nxがとり得る最大値n1及び最小値n2は以下のように決めることができる。波長板の位相差をλmaxおよびλminにおいてそれぞれの波長で割った値をnmax、nminとする。n1はnminより小さくて最も近い整数または半整数である。n2はnmaxよりも大きくて最も近い整数または半整数である。これは、波長板のみの分光スペクトル、即ち本発明の位相差測定装置で空気を測定したときの分光スペクトルの測定波長範囲の両側に存在する山または谷のピークの次数(nx)と一致する。
波長板のn2は0.5以上であり、1.0以上が好ましく、5以上がより好ましい。
通常波長板の位相差はλmin以上であることが好ましく、λmin×3以上であることがより好ましく、λmin×5以上であることがさらに好ましい。すなわち測定波長域が400nm〜である場合、400nm程度以上であることが好ましく、1200nm程度以上であることがより好ましく、2000nm程度以上であることがさらに好ましい。
通常波長板の位相差はλmin以上であることが好ましく、λmin×3以上であることがより好ましく、λmin×5以上であることがさらに好ましい。すなわち測定波長域が400nm〜である場合、400nm程度以上であることが好ましく、1200nm程度以上であることがより好ましく、2000nm程度以上であることがさらに好ましい。
波長板の位相差は大きすぎると逆に問題となる。クロスニコルの測定ではΓがπの偶数倍のときに谷のピークを与える。例えばΓ=2nπとするとき、Re=nλpeakとなる。つまり、ピーク位置λpeakは式(13)となる。
式(14)から、位相差の変化によるピークシフトはnが大きくなるにつれて小さくなることが分かる。このことから、位相差が大きな波長板を使うとスペクトルのシフト量が小さくなり、測定精度が低下することが分かる。
また、測定精度は分光器の波長分解能にも依存する。高い波長分解能の分光器ならばわずかなピークシフトでも十分な精度で検出できる。分光器の波長分解能は、通常FWHM(Full Width Half Maximum)で表し、ピーク位置検出精度としては分光器に用いられるディテクタの強度分解能にもよるがおよそ100分の1は検出可能である。従って、FWHMがFの分光器により波長板の位相差が特定の測定波長のn倍のものを用いる場合、該測定波長において測定位相差精度が±Anm必要ならば、光学系のスペックとしては式(15)を満たせばよい。
F×n≦A×200nm (15)
例えば、測定位相差精度が±0.25nm必要であれば
F×n≦50nm
を満たせばよい。
F×n≦A×200nm (15)
例えば、測定位相差精度が±0.25nm必要であれば
F×n≦50nm
を満たせばよい。
さらに、F×nは30nm以下がより好ましく、20nm以下が最も好ましい。
装置としては、nとしてn1を選択して上記式(15)を判断することが好ましい。
上記2点および市販の分光器のFWHMを考慮すると、n1が33以下となる波長板が好ましく、15以下となる波長板がより好ましい。しかしながら、市販の波長板の厚さなどを考慮すると、波長板の位相差は通常10000nm程度以下であることが好ましく、8000nm程度以下であることがより好ましく、6000nm程度以下であることがさらに好ましい。
波長板の材料としては一般に延伸したポリマーフィルムや水晶、カルサイトなどの無機結晶が挙げられるが、波長板は測定される位相差の値に直接影響するため、温度や湿度などの環境により変化しにくいものが望ましい。そのような波長板の好ましい例としては、水晶、カルサイト、ポリマー延伸フィルムをガラスでサンドイッチしたものなどが挙げられる。
装置としては、nとしてn1を選択して上記式(15)を判断することが好ましい。
上記2点および市販の分光器のFWHMを考慮すると、n1が33以下となる波長板が好ましく、15以下となる波長板がより好ましい。しかしながら、市販の波長板の厚さなどを考慮すると、波長板の位相差は通常10000nm程度以下であることが好ましく、8000nm程度以下であることがより好ましく、6000nm程度以下であることがさらに好ましい。
波長板の材料としては一般に延伸したポリマーフィルムや水晶、カルサイトなどの無機結晶が挙げられるが、波長板は測定される位相差の値に直接影響するため、温度や湿度などの環境により変化しにくいものが望ましい。そのような波長板の好ましい例としては、水晶、カルサイト、ポリマー延伸フィルムをガラスでサンドイッチしたものなどが挙げられる。
[分光器]
分光器としては、必要な波長範囲の分光が可能で十分な光強度の分解能を有していれば特に限定はない。モノクロメータでスキャンする分光器でも回折格子で分光した光を1次元フォトディテクタアレイで計測するマルチチャンネルタイプ分光器でもよいが、測定時間が短いマルチチャンネルタイプが好ましい。分光器の強度の分解能としてはデジタルならば8ビット以上であることが好ましく、12ビット以上であることが特に好ましい。また、波長分解能Fは位相差の測定精度と対応するため、FWHMで10nm以下が好ましく、5nm以下が特に好ましい。
分光器としては、必要な波長範囲の分光が可能で十分な光強度の分解能を有していれば特に限定はない。モノクロメータでスキャンする分光器でも回折格子で分光した光を1次元フォトディテクタアレイで計測するマルチチャンネルタイプ分光器でもよいが、測定時間が短いマルチチャンネルタイプが好ましい。分光器の強度の分解能としてはデジタルならば8ビット以上であることが好ましく、12ビット以上であることが特に好ましい。また、波長分解能Fは位相差の測定精度と対応するため、FWHMで10nm以下が好ましく、5nm以下が特に好ましい。
[分光器を用いた位相差読み込み方法における測定手順]
測定手順の一例を説明する。
入射偏光子は試料台全体の回転軸方向に対して45度に透過軸を固定する。次に、光軸上に波長板と試料がない状態で検光子を360度回転させ、分光器で透過スペクトルを観測しながら、最も透過率の小さい位置と透過率の大きい位置をそれぞれクロスニコル、パラニコル位置として検出する。それらのときの分光スペクトルをそれぞれ、0%、100%として光学系を較正し、透過率測定ができるようにしてから、検光子をクロスニコルもしくはパラニコルに配置する。以下、クロスニコルで説明する。次いで、標準となる波長板の位相差を測定する。波長板を光軸回転で360度回転させて試料の透過率が最小となる角度を検出する。次いで、最小となる角度から45度回転させ(クロスニコル下における明光位)、分光スペクトルを測定すると図1のようなスペクトルが得られる。このスペクトルに対し、式(7)の第一要素を用いてフィッティングすることで、位相差を求めることができる。波長板は既知のものを用いてよいので、波長板の遅相軸(屈折率の大きい方の軸で光学軸に対して平行または直交)はあらかじめ既知であるから、最初から遅相軸を45度傾斜させた状態で分光スペクトルを測定してもよい。
測定手順の一例を説明する。
入射偏光子は試料台全体の回転軸方向に対して45度に透過軸を固定する。次に、光軸上に波長板と試料がない状態で検光子を360度回転させ、分光器で透過スペクトルを観測しながら、最も透過率の小さい位置と透過率の大きい位置をそれぞれクロスニコル、パラニコル位置として検出する。それらのときの分光スペクトルをそれぞれ、0%、100%として光学系を較正し、透過率測定ができるようにしてから、検光子をクロスニコルもしくはパラニコルに配置する。以下、クロスニコルで説明する。次いで、標準となる波長板の位相差を測定する。波長板を光軸回転で360度回転させて試料の透過率が最小となる角度を検出する。次いで、最小となる角度から45度回転させ(クロスニコル下における明光位)、分光スペクトルを測定すると図1のようなスペクトルが得られる。このスペクトルに対し、式(7)の第一要素を用いてフィッティングすることで、位相差を求めることができる。波長板は既知のものを用いてよいので、波長板の遅相軸(屈折率の大きい方の軸で光学軸に対して平行または直交)はあらかじめ既知であるから、最初から遅相軸を45度傾斜させた状態で分光スペクトルを測定してもよい。
次いで波長板を光軸上から退避させ、試料を光軸回転で360度回転させて試料の透過率が最小となる角度を検出する。次いで波長板を遅相軸を45度にして挿入し、試料を透過率が最小となる角度から±45度に設定して2つの分光スペクトルを測定する。この分光スペクトルを波長板のときと同様にしてフィッティングすると、式(11)に従って波長板+試料、もしくは波長板−試料(偏光子と検光子とがクロスニコルであり偏光子の透過軸に対して遅相軸が−45度傾いた試料および偏光子の透過軸に対して遅相軸が45度傾いた波長板を有する光学系のストークスパラメータとして式(11)と同様に求められる)の位相差を得ることができる。±45度の二つの配置のうち、波長板+試料を得る配置が波長板と試料の遅相軸が一致しているので、これにより試料の遅相軸を識別することができる。以上により、位相差の波長分散と遅相軸の方向を得ることができる。
吸収や散乱を有する試料の場合、波長板測定後に波長板を退避させ、試料を光軸回転で360度回転させて試料の透過率が最小となる角度を検出した後、この配置のままでスペクトルを測定して位相差の影響がない分光スペクトル(吸収・散乱スペクトル)を得てもよい。このまま上記と同様にして波長板挿入状態で試料の±45度での分光スペクトルを求めるが、フィッティングの前にこの分光スペクトルを位相差の影響がない分光スペクトルで除算することにより、吸収や散乱による透過率のロスを補正することができる。これにより、吸収や散乱を有する試料でも、精度よく位相差を測定することができる。
[分光器を用いた位相差読み込み方法における補正、及びフィッティング手段]
実際には位相差の波長分散としてコーシーの式を用い、さらに光学系のノイズ等に起因する透過率変化を考慮し、式(16)を用いてフィッティングすることが好ましい。
実際には位相差の波長分散としてコーシーの式を用い、さらに光学系のノイズ等に起因する透過率変化を考慮し、式(16)を用いてフィッティングすることが好ましい。
Tmax(λ)、Tmin(λ)は透過率を補正するためのものであり、波長依存性のない定数でも一次式(17)でも二次式(18)でも指数関数(19)でもよいが、精度上は一次式で十分であるので好ましい。
フィッティングの方法は、例えば科学計測のためのデータ処理入門,南茂夫監修、河田聡編著に記載のような非線形最適化手法や、遺伝的アルゴリズム等を用いることができる。これら手法はフィッティングの際の初期値が重要であるが、精度良くフィッティングするために、式(16)においてC=0、Tmax=1、Tmin=0として先にフィッティングしたものを初期値として、全パラメータをフィッティングすることが好ましい。フィッティングにおいては、二乗誤差を最小にするのが最もポピュラーであり好ましい。あるいは、各波長の二乗誤差に対し、山谷のピーク位置が重要であるから例えば(50−T(λ))の二乗を重み関数として乗じる方法や、吸収・散乱スペクトルの透過率が高い部分が重要であるから例えば吸収・散乱スペクトルを乗じる方法、さらにはそれらの組み合わせなどの手法を用いることが好ましい。
分光器を用いた位相差読み込み方法においては、上記の順序でなくとも必要な測定データを得ることができれば、上記の方法に限定されない。また、試料や波長板の光軸上での回転は360度でなくとも180度でも可能である。さらには、偏光子を45度以外に配置しても測定は可能であるし、偏光子と検光子がクロスニコルでなくパラニコルでも測定は可能である。
[制御機能]
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、受光素子で得られる情報から位相差(位相差量)を算出する手段をさらに有することが好ましい。本発明の装置は、位相差を書き込むための機能と読み取るための機能を同時に有しているため、測定、算出された位相差と加熱源強度とを対応させ、試料を所望の位相差値に到達させる温度を導出及びその温度に設定させるための機構(フィードバック機構)をさらに設けることによって、所望の位相差を精密に制御しながら書き込みを行うことが可能である。フィードバック機構のために、本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、さらに、試料の温度を測定する手段、位相差測定制御用のPC、又は加熱源強度制御用のPC等を有していることが好ましい。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、受光素子で得られる情報から位相差(位相差量)を算出する手段をさらに有することが好ましい。本発明の装置は、位相差を書き込むための機能と読み取るための機能を同時に有しているため、測定、算出された位相差と加熱源強度とを対応させ、試料を所望の位相差値に到達させる温度を導出及びその温度に設定させるための機構(フィードバック機構)をさらに設けることによって、所望の位相差を精密に制御しながら書き込みを行うことが可能である。フィードバック機構のために、本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、さらに、試料の温度を測定する手段、位相差測定制御用のPC、又は加熱源強度制御用のPC等を有していることが好ましい。
[用途]
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、細かい複屈折性の制御が必要である物品の製造に好ましく用いることができる。また、パターン状の複屈折性を有する層を含む物品の作製に特に好ましく用いることができる。このような物品としては、液晶表示装置用基板などが挙げられる。
本発明の位相差書き込み及び読み取り装置は、細かい複屈折性の制御が必要である物品の製造に好ましく用いることができる。また、パターン状の複屈折性を有する層を含む物品の作製に特に好ましく用いることができる。このような物品としては、液晶表示装置用基板などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
<熱書き込み及び読み込み用試料の作製>
(力学特性制御層用塗布液CU−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、力学特性制御層用塗布液CU−1として用いた。
──────────────────────────────────―─────
力学特性制御層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―─────
メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/30/10/5、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)
5.89
スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=65/35、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
13.74
BPE−500(新中村化学(株)製) 9.20
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製) 0.55
メタノール 11.22
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.43
メチルエチルケトン 52.97
──────────────────────────────────―─────
(力学特性制御層用塗布液CU−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、力学特性制御層用塗布液CU−1として用いた。
──────────────────────────────────―─────
力学特性制御層用塗布液組成(%)
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メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/30/10/5、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃)
5.89
スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=65/35、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃)
13.74
BPE−500(新中村化学(株)製) 9.20
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製) 0.55
メタノール 11.22
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.43
メチルエチルケトン 52.97
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(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
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配向層用塗布液組成(%)
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ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
──────────────────────────────────―
(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は特開2004−123882号公報に記載の方法を基に合成した。LC−1−2はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
──────────────────────────────────―
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―
棒状液晶(LC−1−1) 19.59
水平配向剤(LC−1−2) 0.01
カチオン系光重合開始剤
(Cyracure UVI6974、ダウ・ケミカル製) 0.40
メチルエチルケトン 80.0
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は特開2004−123882号公報に記載の方法を基に合成した。LC−1−2はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
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光学異方性層用塗布液組成(%)
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棒状液晶(LC−1−1) 19.59
水平配向剤(LC−1−2) 0.01
カチオン系光重合開始剤
(Cyracure UVI6974、ダウ・ケミカル製) 0.40
メチルエチルケトン 80.0
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(転写接着層用塗布液AD−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、転写接着層用塗布液AD−1として用いた。
──────────────────────────────────―
転写接着層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル
=35.9/22.4/41.7モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量3.8万) 8.05
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 4.83
ラジカル光重合開始剤(2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
1,3,4−オキサジアゾール) 0.12
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
メガファックF−176PF(大日本インキ化学工業(株)製) 0.05
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 34.80
メチルエチルケトン 50.538
メタノール 1.61
──────────────────────────────────―
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、転写接着層用塗布液AD−1として用いた。
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転写接着層用塗布液組成(質量%)
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ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル
=35.9/22.4/41.7モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量3.8万) 8.05
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 4.83
ラジカル光重合開始剤(2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)
1,3,4−オキサジアゾール) 0.12
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
メガファックF−176PF(大日本インキ化学工業(株)製) 0.05
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 34.80
メチルエチルケトン 50.538
メタノール 1.61
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(転写材料TR−1の作製)
厚さ100μmの易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績(株)製)の仮支持体の上に、ワイヤーバーを用いて順に、力学特性制御層用塗布液CU−1、配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚はそれぞれ14.6μm、1.6μmであった。次いで、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度105℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ2.4μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−B領域(波長280nm〜320nmの積算)において50mW/cm2、照射量はUV−B領域において35mJ/cm2であった。
最後に、光学異方性層の上に転写接着層用塗布液AD−1を塗布、乾燥して1.0μmの転写接着層を形成した後に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着し、転写材料TR−1を作製した。
厚さ100μmの易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績(株)製)の仮支持体の上に、ワイヤーバーを用いて順に、力学特性制御層用塗布液CU−1、配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚はそれぞれ14.6μm、1.6μmであった。次いで、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度105℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ2.4μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−B領域(波長280nm〜320nmの積算)において50mW/cm2、照射量はUV−B領域において35mJ/cm2であった。
最後に、光学異方性層の上に転写接着層用塗布液AD−1を塗布、乾燥して1.0μmの転写接着層を形成した後に保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着し、転写材料TR−1を作製した。
(熱書き込み及び読み込み用試料の作製)
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM−603、信越化学)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
前記転写材料TR−1の保護フィルムを剥離後、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度1.4m/分でラミネートした。ラミネート後、仮支持体を剥離した。同様の工程を繰り返し、転写材料TR−1を2枚積層し、熱書き込み及び読み込み用試料を得た。
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン0.3%水溶液、商品名:KBM−603、信越化学)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱した。
前記転写材料TR−1の保護フィルムを剥離後、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度1.4m/分でラミネートした。ラミネート後、仮支持体を剥離した。同様の工程を繰り返し、転写材料TR−1を2枚積層し、熱書き込み及び読み込み用試料を得た。
<位相差書き込み及び読み取り装置例1>
光源に、UVランプ(EXECURE3000、HOYA(株)製)及びハロゲンランプ(EDI100DH、三菱レイヨン製)、偏光子、及び検光子にヨウ素ドープPVA偏光板(HC2-8118、(株)サンリッツ製)、補償子に10λ波長板(シグマ光機(株)製)、試料台を加熱する手段にホットステージ(FP82HT、メトラートレド(株)製)、受光素子にファイバ型マルチチャンネル分光器(USB2000、オーシャンオプティクス社製、A/D分解能12bit、波長分解能(FWHM)1.5nm)を用い、それぞれを図3のように暗箱内に配置した位相差書き込み及び読み取り装置を作製した。
光源に、UVランプ(EXECURE3000、HOYA(株)製)及びハロゲンランプ(EDI100DH、三菱レイヨン製)、偏光子、及び検光子にヨウ素ドープPVA偏光板(HC2-8118、(株)サンリッツ製)、補償子に10λ波長板(シグマ光機(株)製)、試料台を加熱する手段にホットステージ(FP82HT、メトラートレド(株)製)、受光素子にファイバ型マルチチャンネル分光器(USB2000、オーシャンオプティクス社製、A/D分解能12bit、波長分解能(FWHM)1.5nm)を用い、それぞれを図3のように暗箱内に配置した位相差書き込み及び読み取り装置を作製した。
また、Real timeで測定している位相差値と設定温度とを対応させ、試料を所望の位相差値に到達させる温度を導出及びその温度に設定させるための機構(フィードバック機構)を有するPC(位相差測定制御及びホットステージ温度制御用)を組み込んだ(図4参照)。
作製した装置を用いて位相差の書き込み及び読み込みを行った。試料としては、上記で作製した熱書き込み及び読み込み用試料を用い、図3に示すホットステージ(試料台)に挿入した。ホットステージ上、異なる温度で2分間加熱した試料につき、分光器を用いる方法を用いて位相差を測定した。まず、40℃で加熱し、UV照射(UV照射量278 mJ)で位相差を固定化した試料1を作製し、以下のように位相差を測定した。
作製した装置を用いて位相差の書き込み及び読み込みを行った。試料としては、上記で作製した熱書き込み及び読み込み用試料を用い、図3に示すホットステージ(試料台)に挿入した。ホットステージ上、異なる温度で2分間加熱した試料につき、分光器を用いる方法を用いて位相差を測定した。まず、40℃で加熱し、UV照射(UV照射量278 mJ)で位相差を固定化した試料1を作製し、以下のように位相差を測定した。
試料1と10λ波長板を試料台に配置し透過スペクトルを測定したところ、図5に示すスペクトルが得られた。
このスペクトル上記式(16)を用いてフィッティングして得たフィッティングパラメータは以下のようになった。
このスペクトル上記式(16)を用いてフィッティングして得たフィッティングパラメータは以下のようになった。
A= 5545.42655466162
B= 97680856.722759
C=1356481119995.3
D(Tmax)= -0.0000857515621189138
E(Tmax)= 0.851391138696428
D(Tmin)= -0.000038945960061438
E(Tmin)= 0.0300913796913386
B= 97680856.722759
C=1356481119995.3
D(Tmax)= -0.0000857515621189138
E(Tmax)= 0.851391138696428
D(Tmin)= -0.000038945960061438
E(Tmin)= 0.0300913796913386
また、10λ波長板のみを挿入して別に測定した透過スペクトルから得られたフィッティングパラメータは以下のようであった。
A= 5204.94044317272
B= 93550145.7272811
C= -1262754510969.33
D(Tmax)= -0.000263499206079131
E(Tmax)= 1.06575304595138
D(Tmin)= -0.0000322959128408866
E(Tmin)= 0.022821961011352
A= 5204.94044317272
B= 93550145.7272811
C= -1262754510969.33
D(Tmax)= -0.000263499206079131
E(Tmax)= 1.06575304595138
D(Tmin)= -0.0000322959128408866
E(Tmin)= 0.022821961011352
これらのフィッティングパラメータから計算される測定試料の位相差のうち、波長=545nmにおける値を代表値として、表1に記載した。
同様に、その後、それぞれの試料について各温度で熱書き込みした位相差をUV照射(UV照射量278 mJ)で固定化し、位相差を測定した。結果を表1に示す。
同様に、その後、それぞれの試料について各温度で熱書き込みした位相差をUV照射(UV照射量278 mJ)で固定化し、位相差を測定した。結果を表1に示す。
<位相差書き込み及び読み取り装置例2>
光源に、UVランプ(EXECURE3000、HOYA(株)製)及びハロゲンランプ(EDI100DH、三菱レイヨン製)、及び545nmバンドパスフィルタ、偏光子、及び検光子にヨウ素ドープPVA偏光板(HC2-8118、(株)サンリッツ製)、出し入れ可能な補償子としてλ/4板、試料台を加熱する手段にホットステージ(FP82HT、メトラートレド(株)製)、受光素子としてCCDカメラ、並びに対物レンズ、を図6のように暗箱内に配置した位相差書き込み及び読み取り装置を作製した。
作製した装置を用いて位相差の書き込み及び読み込みを行った。試料としては、上記で作製した熱書き込み及び読み込み用試料を用い、図に示すホットステージ(試料台)に挿入した。異なるホットステージの温度で2分間加熱した試料につき、セナルモン法を用いて位相差を測定した。その後、それぞれの試料について各温度で熱書き込みした位相差を、UV照射(UV照射量278 mJ)によって固定化した。結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
光源に、UVランプ(EXECURE3000、HOYA(株)製)及びハロゲンランプ(EDI100DH、三菱レイヨン製)、及び545nmバンドパスフィルタ、偏光子、及び検光子にヨウ素ドープPVA偏光板(HC2-8118、(株)サンリッツ製)、出し入れ可能な補償子としてλ/4板、試料台を加熱する手段にホットステージ(FP82HT、メトラートレド(株)製)、受光素子としてCCDカメラ、並びに対物レンズ、を図6のように暗箱内に配置した位相差書き込み及び読み取り装置を作製した。
作製した装置を用いて位相差の書き込み及び読み込みを行った。試料としては、上記で作製した熱書き込み及び読み込み用試料を用い、図に示すホットステージ(試料台)に挿入した。異なるホットステージの温度で2分間加熱した試料につき、セナルモン法を用いて位相差を測定した。その後、それぞれの試料について各温度で熱書き込みした位相差を、UV照射(UV照射量278 mJ)によって固定化した。結果を表2に示す。
結果を表2に示す。
表1及び表2において得られた結果の差異は、位相差読み込み方法としての分光法とセナルモン法との測定精度の差異に由来していると考えられる。すなわち、セナルモン法が消光位(受光する光がもっとも弱くなる位置)を利用して位相差を計算する方法であるため、受光する光がもっとも弱くなる位置を正確に測ることがむずかしいため、より真の値に近いと考えられる分光法を用いた表1に結果との差異が生じていると考えられる。
1 ハロゲンランプ
2.偏光子
3 測定試料
4 補償子
5 検光子
6 CCD
7 分光器
8 ホットステージ
9 UVランプ
10 対物レンズ
11 545nmバンドパスフィルタ
12 暗箱
21 位相差読取及び位相差書き込み部
22 測定制御部
23 データ処理部
24 メモリ
25 表示部
2.偏光子
3 測定試料
4 補償子
5 検光子
6 CCD
7 分光器
8 ホットステージ
9 UVランプ
10 対物レンズ
11 545nmバンドパスフィルタ
12 暗箱
21 位相差読取及び位相差書き込み部
22 測定制御部
23 データ処理部
24 メモリ
25 表示部
Claims (6)
- 光源、偏光子、試料台、及び受光素子を有し、かつ試料台に配置される試料の一部又は全部を加熱するための加熱源を有する、位相差書き込み及び読み取り装置。
- 加熱源がレーザである請求項1に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
- 光源、偏光子、試料台、レンズ、補償子、検光子、及び受光素子をこの順に有する請求項1又は2に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
- 光源が、白色光源及びバンドパスフィルタの組み合わせ又はレーザである請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
- 受光素子が分光器を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
- 受光素子から得られた情報より位相差量を算出する手段及び前記位相差量に対して加熱源の強度を制御する手段を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の位相差書き込み及び読み取り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008142613A JP2009288631A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 位相差書き込み及び読み取り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008142613A JP2009288631A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 位相差書き込み及び読み取り装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009288631A true JP2009288631A (ja) | 2009-12-10 |
Family
ID=41457878
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008142613A Pending JP2009288631A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 位相差書き込み及び読み取り装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009288631A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016124438A1 (de) * | 2015-02-04 | 2016-08-11 | Technische Universität München | Verfahren und system zum ermitteln eines optischen gangunterschieds zwischen in einem doppelbrechenden objekt entstehenden teillichtwellen |
-
2008
- 2008-05-30 JP JP2008142613A patent/JP2009288631A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016124438A1 (de) * | 2015-02-04 | 2016-08-11 | Technische Universität München | Verfahren und system zum ermitteln eines optischen gangunterschieds zwischen in einem doppelbrechenden objekt entstehenden teillichtwellen |
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