JP2009279651A - 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置 - Google Patents

熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009279651A
JP2009279651A JP2009081607A JP2009081607A JP2009279651A JP 2009279651 A JP2009279651 A JP 2009279651A JP 2009081607 A JP2009081607 A JP 2009081607A JP 2009081607 A JP2009081607 A JP 2009081607A JP 2009279651 A JP2009279651 A JP 2009279651A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel strip
hot
flat spray
rolled steel
cooling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009081607A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5428452B2 (ja
Inventor
Satoshi Kamioka
悟史 上岡
Takashi Kuroki
高志 黒木
Nobuo Nishiura
伸夫 西浦
Takayuki Murata
貴幸 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2009081607A priority Critical patent/JP5428452B2/ja
Publication of JP2009279651A publication Critical patent/JP2009279651A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5428452B2 publication Critical patent/JP5428452B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

【課題】熱延鋼帯の製造ラインにおいて、ランアウトテーブルのように搬送テーブルロール間の間隔が狭い場所でも、熱延鋼帯の下面を大水量で高い冷却速度によって冷却することができる熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送テーブルロール1間にフラットスプレーノズル2を幅方向に複数配置して、熱延鋼帯10の下面の幅方向のすべての位置がそれらフラットスプレーノズル2からの冷却水2aの衝突域2bを1回以上通過するようにするとともに、フラットスプレーノズル2の外径Dとフラットスプレーノズル2の幅方向取り付けピッチPwとの比D/Pwを0.5以下とし、フラットスプレーノズル2からの冷却水2aの熱延鋼帯10への衝突部2bの軸線を鋼帯幅方向に対して45〜70゜傾け、フラットスプレーノズル2の先端から熱延鋼帯10までの距離を50mmからテーブルロール2の半径未満までとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱間圧延された熱延鋼帯を冷却するに際して、特に熱延鋼帯の下面側の冷却について、特にスプレーを配置して大水量噴射する場合に、冷却水の排水を円滑に行い、幅および長手方向に均一な温度で冷却を終了させることができる熱延鋼帯の下面冷却方法及び下面冷却装置に関するものである。
熱延鋼帯の製造ラインでは、高温加熱したスラブが目的とするサイズになるよう圧延され、その後材質調整などの観点からランアウトテーブル上で冷却される。ここで行う冷却の目的は、主に鋼帯の析出物や変態組織を制御することにより目的の強度、延びなど材質を調整するために行われている。その冷却での冷却媒体としては、コストが安い水を使うことが多い。
近年、高強度鋼板のニーズが高く、これを達成するために、変態組織制御の観点から高い冷却速度が必要なケースが増えてきている。高い冷却速度とするためには、冷却水量を多くする必要がある。一方、熱延鋼帯の仕上げ圧延後は2〜4mm程度と鋼帯厚みが薄く剛性が低いため、ランアウトテーブル上を安定して通板させるために、テーブルロールを密に配置している。多くの設備では250〜300φ程度の直径をもつテーブルロールを300〜400mmピッチで配置しているため、テーブルロール間のスペースが狭く、テーブルロール間にノズルが配置しにくいといった問題がある。そのため、ランアウトテーブルでの熱延鋼帯の下面冷却では、狭いスペースに設置可能で且つ冷却面積を広くする目的でスプレーノズルを配置することが多い。
このスプレー冷却で大水量を噴射する場合は、重力の関係から上方に噴射した冷却水は、鋼帯に衝突した後に下方に落下するため狭いテーブルロールの間から効率よく冷却水を排水できず、スプレーノズルが水没した状態で噴射されることによる打力不足、噴射水量分布の不均一が発生し、冷却能力が低下したり、温度ムラが発生したりするといった問題があった。
このスプレーノズルによる冷却で大水量を噴射する場合は、重力の関係から上方に噴射した冷却水は、鋼帯に衝突した後に下方に落下するため、テーブルロール間の狭いスペースから効率よく冷却水を排水することができず、スプレーノズルが水没した状態で冷却水が噴射されることによる打力不足、噴射水量分布の不均一が発生し、冷却能力が低下したり、温度ムラが発生したりするといった問題があった。
そのため、一般的なランアウトテーブルの下面冷却設備は、投入水量を1000L/min・m以下に制限して使用することが多く、高冷却速度化の障害となっている。
従来、鋼板の冷却をする場合のノズル配置については、様々な検討がなされており、その例をいくつか説明する。
例えば、特許文献1には、鋼板を拘束する拘束ロールの間で鋼板上面側にフラットスプレーノズルを配置して、鋼板上面に向かって冷却水を噴射可能な装置であって、フラットスプレーノズルを複数配置したノズルボックスを有し、鋼板幅方向の中心線に対してノズル噴流の衝突部の配置が対称であり、鋼板進行方向のロール間の中心線を境にノズル噴流の衝突部形状の配置が異なり、ノズル噴流の衝突部形状が鋼板幅方向および進行方向の拘束ロール間の中心点より20〜45゜の角度を持って、放射状に配置されているものが記載されている。
また、特許文献2には、通板方向に対して直角にフラットスプレーノズルが取り付けられた複数のヘッダを配置し、それぞれのヘッダ毎にフラットスプレーの広がり方向を各ヘッダ間中心軸に対して対称になるように配置し、且つフラットスプレーの振り角を5〜45゜になる範囲で傾け、さらにフラットスプレーノズルから噴出する気体と液体の重量混合比が1/50〜1/1となるようにした上面冷却方法が記載されている。
また、特許文献3には、鋼板進行方向に対してフラットスプレーノズルが取り付けられた複数のヘッダを配設し、フラットスプレーノズルからは水と空気が混合された冷却媒体を噴射し、フラットスプレーの鋼板衝突面の縦横比率を0.2〜0.5とする冷却方法が記載されている。
また、特許文献4には、被冷却面に帯状又は長円状の冷媒噴流衝突域を形成するノズル(フラットスプレーノズル)を複数具備し、搬送される鋼板表裏の少なくとも一面の、幅方向の全ての点が冷媒噴流衝突域を2回以上通過するようにノズルを配し、ノズルが鋼板の幅方向に一定の間隔で配置され、かつ冷媒噴流衝突域の長軸が鋼板の幅方向に対して一定の角度をなしており、その一定の間隔をPw(m)、その一定の角度をβ(rad)、各ノズルに供給可能な冷媒の流量の最大値をQm(m/s)、ノズル先端から鋼板の搬送面までの距離をH(m)、ノズル先端と冷媒噴流衝突域の長軸の両端部で形成される三角形のノズル先端を頂点としたときの頂角をα(rad)、ノズル先端から鋼板面に下した垂線と、冷媒噴流の中心線とがなす角をγ(rad)、冷媒の圧力の最大値をPm(Pa)、冷媒の密度をρ(kg/m)とするとき、
Pw・sin(β)≦0.1・[Qm/{2・H・tan(α/2)/cos(γ)}・(Pm/ρ)1/21/3
・・・(1)
Pw/cos(β)≦H・tan(α/2)/cos(γ) ・・・(2)
を満たすようにPw及びβを設定した冷却装置が記載されている。
特開2006−297410号公報 特開2004−330238号公報 特開2005−021951号公報 特開2004−306064号公報
しかしながら、前述した従来技術(特許文献1〜4)は、何れも熱延鋼帯の下面側の冷却に対しては実用上十分なものではない。
特許文献1に記載されている技術は、特に厚鋼板の上面冷却を対象にしており、テーブルロールおよび水切りロールの間隔が広い場合のノズル配置について記載されている。そのため、熱延鋼帯のランアウトテーブルにおける下面側の冷却のように、テーブルロール間隔が50〜100mm程度しかない場合、ノズルを幅方向に並べて設置するくらいのスペースしかなく、特許文献1に記載されているような長手方向にはノズルを配置できない。
また、放射状の配置にすることにより、冷却水を放射状に流し、特に上面冷却の排水はテーブルおよび拘束ロールの際で幅方向に排水させようとしているが、テーブルロール間隔の狭い熱延鋼帯のランアウトテーブルでは、排水させるスペースがほとんどなく、実現は困難である。
特許文献2、3に記載されている技術は、通板方向に対して直角に複数のヘッダを配置し、隣り合うヘッダごとにフラットスプレーノズルをヘッダ間中心軸に対して対称になるように配置するものであるが、これも、特許文献1と同じく、熱延鋼帯のランアウトテーブルのようにテーブルロール間隔が50〜100mm程度しかない場合、ノズルを幅方向に並べるスペースしかなく、特許文献2、3に記載されているような長手方向にはノズルを配置できない。また、特許文献2、3は上面冷却に限定しており、下面冷却についての記載はない。
特許文献4に記載されている技術は、スプレーノズルによる冷却水の衝突領域を最適化することにより、温度の均一化を狙って、冷却水量、水圧、ノズル高さ、スプレーノズルの取り付け角度を限定したものである。しかし、冷却水の排水を円滑にする視点がないため、特に熱延鋼帯のランアウトテーブルにおける下面側の冷却のように、テーブルロール間隔が狭い領域で大水量を噴射した場合には、先に述べたように冷却水の排水の問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、熱延鋼帯の製造ラインにおいて、ランアウトテーブルのように搬送テーブルロール間の間隔が狭い場所でも、熱延鋼帯の下面を大水量で高い冷却速度によって冷却することができる熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
[1]熱延鋼帯の下面冷却を行うに際して、搬送テーブルロール間に被冷却面に対して冷却水が帯状または長円状に衝突するフラットスプレーノズルを幅方向に複数配置し、かつ、前記複数のフラットスプレーノズルを、搬送される熱延鋼帯の下面の幅方向のすべての点がそれらフラットスプレーノズルからの冷却水の衝突域を1回以上通過するように配置するとともに、前記フラットスプレーノズルの外径Dと前記フラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwとの比D/Pwを0.5以下とし、前記フラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部の軸線を鋼帯幅方向に対して45〜70゜傾け、前記フラットスプレーノズルの先端から熱延鋼帯までの距離を50mmから前記テーブルロールの半径未満までとすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[2]前記[1]に記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、1本のフラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部を鋼帯搬送方向側面に投影した長さLLと前記テーブルロール間の距離PLとの比LL/PLを0.5以上となるようにすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[3]前記[1]または[2]に記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、前記テーブルロール間の距離を基準とした冷却水量密度を1500L/min・mm以上とすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーノズルを鋼帯搬送方向に複数列配置することを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーの衝突部の鋼帯進行方向から投影した冷却水衝突幅Lwとフラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwの比Lw/Pwを1.8〜2.2とすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーノズルを幅方向に複数配置したノズル列を鋼帯進行方向に複数配置することとし、任意のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置が鋼帯進行方向で隣り合う上流側及び下流側のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置と一致しないようにすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
[7]熱延鋼帯の下面冷却装置であって、搬送テーブルロール間に被冷却面に対して冷却水が帯状または長円状に衝突するフラットスプレーノズルが幅方向に複数配置され、かつ、前記複数のフラットスプレーノズルが、搬送される熱延鋼帯の下面の幅方向のすべての点がそれらフラットスプレーノズルからの冷却水の衝突域を1回以上通過するように配置されているとともに、前記フラットスプレーノズルの外径Dと前記フラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwとの比D/Pwが0.5以下で、前記フラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部の軸線が鋼帯幅方向に対して45〜70゜傾き、前記フラットスプレーノズルの先端から熱延鋼帯までの距離が50mmから前記テーブルロールの半径未満となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
[8]前記[7]に記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、1本のフラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部を鋼帯搬送方向側面に投影した長さLLと前記テーブルロール間の距離PLとの比LL/PLが0.5以上となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
[9]前記[7]または[8]に記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、前記テーブルロール間の距離を基準とした冷却水量密度が1500L/min・mm以上であることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
[10]前記[7]〜[9]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーノズルが鋼帯搬送方向に複数列配置されていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
[11]前記[7]〜[10]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーの衝突部の鋼帯進行方向から投影した冷却水衝突幅Lwとフラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwの比Lw/Pwが1.8〜2.2となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
[12]前記[7]〜[11]のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーノズルを幅方向に複数配置したノズル列が鋼帯進行方向に複数配置されていて、任意のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置が鋼帯進行方向で隣り合う上流側及び下流側のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置と一致していないことを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
本発明においては、熱延鋼帯の下面冷却に関して、特にテーブルローラー間隔が狭く、これまでは大流量の冷却ノズルの設置が困難であったランアウトテーブルに適用可能であり、これによって熱延鋼帯下面の大流量冷却ができるため、従来に比べて幅方向の温度均一性を確保しつつ高い冷却速度を得ることができる。その結果、高強度鋼帯を機械特性のバラツキなく製造することができる。
熱延鋼帯の下面冷却にフラットスプレーノズルを用いた場合の図である。 熱延鋼帯の下面冷却に円管ジェットノズルを用いた場合の図である。 本発明におけるフラットスプレーの幾何学的な関係を示した図である。 スプレー角度等の影響を調査するための圧力センターの配置図である。 衝突面における衝突打力とLL/PLの関係を示した図である。 衝突面における衝突打力とスプレー捻り角β、D/Pwの関係を示した図である。 本発明においてフラットスプレーノズルを複数列配置した場合の図である。 本発明においてフラットスプレーノズルを複数列配置した場合の図である。 本発明の実施例における熱延鋼帯製造設備のレイアウトである。 フラットスプレーによる冷却の場合の冷却水量密度と冷却速度の関係を示す図である。 本発明の実施例1における冷却後の鋼帯の幅方向温度分布を示した図である。
本発明は、熱延鋼帯製造ラインにおいて、テーブルロール間隔が狭いランアウトテーブルにおける熱延鋼帯下面冷却ノズルに関するものであり、特に大水量噴射を前提としており、狭いスペースから効率よく冷却水を排水することが重要となる。
まず、排水による問題を実験室で再現した結果について説明する。
熱延鋼帯のランアウトテーブルを模擬するために、φ300のテーブルロールを370mmピッチで設置し、その間に様々な冷却ノズルを配置し、冷却水を噴射させて、水流の流れを観察した。なお、テーブルロールの間隔を基準に求めた水量密度は4000L/min・mmにした。ちなみに、テーブルロールとテーブルロールの隙間は70mmしかないので、長手方向(鋼帯搬送方法)に複数列のノズルを取り付けることは困難である。
図1は、フラットスプレーノズル2の配置例と冷却水の流れを模式的に示すものであり、図2は、円管ジェットノズル3の配置例と冷却水の流れを模式的に示すものである。図1、図2において、それぞれ(a)は側面図、(b)は平面図である。
図1に示すフラットスプレーノズル2は、一般的に、幅方向に複数並べて噴射する場合、幅方向に対してフラットスプレーノズル2からの冷却水2aが鋼帯10に衝突した部分2bの軸線をある程度傾けて、かつ鋼帯搬送方向から見たときに冷却水2aが鋼帯10に衝突した部分2bが重なり合うように配置する。図1では、幅方向軸に対してフラットスプレーノズル2からの冷却水2aが鋼帯10に衝突した部分2bの軸線の角度を45゜としているが、鋼帯10に衝突した後の鋼帯下面に沿う冷却水2aの流れは、図1(b)中の矢印のように、幅方向に対して45゜の角度で流れてゆき、ノズル2とノズル2の間で衝突して、下方に落下した。
一方、図2に示す円管ジェットノズル3を配置した場合、円管ジェットノズル3からの冷却水3aは、鋼帯10と衝突した後、鋼帯搬送方向に流れ、テーブルロール1の頂点と鋼帯10が接しているところで方向を変え、テーブルロール1の表面に沿って落下していく。そのため、落下した冷却水(落下水)は円管ジェットノズル3に向かって落下してゆき、円管ジェットノズル3からの新鮮な冷却水と干渉してしまった。このため、円管ジェットノズル3からの新鮮な冷却水は落下水を打ち破るために運動量を費やしてしまい、打力が低下すると共に、落下水は連続的には落下してこないため、衝突力は時間と共に変動してしまった。
この実験から、ノズルから噴射した冷却水を安定的に排水させるためには、なるべく冷却水の流動を幅方向に向かって流れるようにすると共に、隣り合うノズルの間で鋼帯に沿って流れた冷却水を衝突・落下させて、落下する冷却水がノズルにかからないような配置にすることが重要であることがわかる。
このような幅方向に冷却水を流動させるためには、上述したことからも、特許文献1〜4に記載されているようなフラットスプレーノズルを採用することが好適である。ここで、フラットスプレーノズルとは、冷却水が扇型に噴射され、鋼帯と衝突したときの衝突部は長方形(帯状)または長円状となるノズルのことを言う。
次に、フラットスプレーノズルを用いる場合に、安定的な冷却水の排水を実現するためのノズル配置について述べる。
フラットスプレーノズルを用いる場合の幾何学的な関係を図3に示す。図3(a)は側面図、図3(b)は平面図である。なお、前述したように、特許文献4では、数式によりフラットスプレーの条件を限定しているため、この特許文献4との差異を示すために、記号などは同じものを採用する。
上述したように、複数のフラットスプレーノズル2を用いる場合、鋼帯搬送方向から見たときに冷却水2aが鋼帯10に衝突した部分2bが重なり合うように配置することによって、搬送される熱延鋼帯10の下面の幅方向のすべての位置がそれらフラットスプレーノズル2からの冷却水2aの衝突部2bを1回以上通過するようにするのが一般的である。
その際に、特許文献4にも記載されているように、衝突部2bの重なり量(水膜ラップ量)SLが小さい場合、場所により冷却水が一回衝突しているところと二回衝突しているところができるが、二回衝突しているところが一回衝突しているところに比べて、2倍程度の冷却能力をもつため、一回衝突部と二回衝突部がある程度の広さを持って交互に発生させるのは好ましくない。また、一部のノズルが異物などにより詰まることもあり、その場合はノズルが詰まった部位では冷却がなされなくなるため、一回衝突部の領域が大部分を占めても好ましくない。したがって、なるべくどの位置においても、冷却水が二回程度衝突するように配置するのが好ましい。また、冷却水が三回以上衝突するように配置する方法もあるが、ノズルとノズルの間隔Pwが狭くなり、排水が円滑に進まなくなる。
よって、冷却水が二回程度衝突する配置が最も効果がある。図3中の記号で定義しなおすと、フラットスプレー2aの衝突部2bの鋼帯進行方向から投影した冷却水衝突幅Lwとフラットスプレーノズル2の幅方向取り付けピッチPwの比Lw/Pwが2に近くなるように配置することがよい。実用上は、Lw/Pwを1.8〜2.2とすると好適である。
本発明のポイントは、フラットスプレーノズル2から噴射されて鋼帯10下面に衝突した後の冷却水の流れる方向をなるべく幅方向になるようにして、隣り合うフラットスプレーノズル2からの鋼帯下面衝突後の冷却水の流れと衝突させて、下方に落下させる必要がある。このため、テーブルロール1とフラットスプレー2aにより壁を作る必要がある。
そのため、図3中の鋼帯搬送方向に対するフラットスプレー衝突長さ(フラットスプレーノズル2からの冷却水2aの熱延鋼帯10への衝突部2bを鋼帯搬送方向側面に投影した長さ)LLは、なるべくロールピッチPLに近いほうがよい。
ここで、最適なフラットスプレー衝突長さLLを検証するために行った実験の内容を説明する。先に説明した熱延鋼帯のランアウトテーブルを模擬するためのφ300のテーブルロール1を370mmピッチで設置し、テーブルロール1間に、幅方向に80mmピッチ、ロール間水量密度を4000L/min・mm、フラットスプレー2aの捻り角度βを45゜、フラットスプレーノズル2とパスライン距離を150mmとして、噴射テストを実施した。その際、定量評価するために、図4に示すように、フラットスプレー衝突部2bの数箇所に圧力センサー40をつけて、その圧力センサー40により計測された平均衝突打力で評価するようにした。
図5に、フラットスプレー衝突長さLLとテーブルロールピッチPLとの比LL/PLに対する平均衝突打力(LL/PL=1.0の場合の平均衝突打力を1)の関係を示す。図5に示すように、LL/PLが0.5よりも小さくなると急激に衝突打力が低下することが分かる。フラットスプレーノズル2から噴射された冷却水2aを目視観察したところ、LL/PLが0.5よりも小さい条件では、多くの冷却水2aがテーブルロール1側に流れて、テーブルロール1に沿って落下して行き、フラットスプレーノズル2の先端が多く被水していたが、LL/PLが0.5以上の条件では、そのような現象はほとんど発生していなかった。よって、LL/PLは0.5以上確保する必要がある。これをしないと、テーブルロール1間を基準とした水量密度が1000L/min・mm以上となるような大水量噴射した場合、冷却水2aを堰きとめる効果が少なくなり、図2に示した円管ノズル3から冷却水3aを噴射した場合のように、テーブルロール1を伝ってフラットスプレーノズル2上に落下する危険がある。
このように、フラットスプレー衝突長さLLはなるべく長くする必要があるが、そのためには、鋼帯搬送方向側面からみたフラットスプレー2aの広がり角度φはなるべく広く取る必要がある。ただし、フラットスプレー2aの広がり角度φを大きくとりすぎると、フラットスプレーノズル2から噴射した冷却水2aがテーブルロール1に衝突する。したがって、フラットスプレーノズル2の製作のバラツキ等を考えると、フラットスプレー2aの広がり角度φとしては、フラットスプレー2aがテーブルロール1から5〜10mm程度離れた位置を通過するような角度を選択すればよい。
また、鋼帯幅方向に対するフラットスプレー衝突部2bの軸線の角度(スプレー捻り角度)βについて、先の実験と同様に、ロール間水量密度を4000L/min・mm、フラットスプレー衝突長さLLとテーブルロールピッチPLとの比LL/PLを0.6、スプレーノズル2とパスライン距離を150mmとして、フラットスプレーノズル2のノ外径Dとフラットスプレーノズル2の幅方向取り付けピッチPwの比D/Pwと、捻り角度βを変更して、噴射テストを実施した。
図6に、βおよびD/Pwに対する平均衝突打力(β=90°、D/Pw=1.0の場合の平均衝突打力を1)の関係を示す。
まず、D/Pwが0.5よりも大きい場合は全体的に衝突打力が低く、D/Pwが0.5以下ではほとんど同程度の衝突打力を得ることができた。すなわち、D/Pwが大きくなるほど排水面積が小さくなり、テーブルロール間から円滑に排水ができず、フラットスプレー2aが水没したために衝突打力が低下したが、D/Pwを0.5以下にすると円滑に排水されたため、衝突打力が高い状態を維持することが可能となった。
また、スプレーの捻り角度βは45゜以上では衝突打力があまり変化しないが、それ未満になると急激に衝突打力が低下する傾向が見られた。これは、スプレー捻り角度βを45゜未満の角度にすると、冷却水2aが鋼帯10下面に衝突した後に幅方向に流れる速度成分が小さくなり、テーブルロール1側に流れてゆく。テーブルロール1側に流れる水流の量が多くなると、この水はテーブルロール1を伝って落下するため、前述と同様に、フラットスプレーノズル2上に落下する危険がある。ただし、角度βは70°以下の角度が好ましく、これよりもスプレー捻り角度βを大きくすると、1本のフラットスプレーノズル2がカバーできる幅方向の冷却水衝突範囲Lwが小さくなり、幅方向に設置するフラットスプレーノズル2の個数が増えてしまう。そのため、なるべくどの位置においても、冷却水が二回程度衝突するように配置した場合、幅方向のノズルピッチPwが狭くなり、排水が円滑に進まなくなり、好ましくない。
また、図3(b)に模式的に示しているが、フラットスプレー2aの広がり角度(フラットスプレーノズル2先端とフラットスプレー衝突部2bの長軸の両端部で形成される三角形のフラットスプレーノズル2先端を頂点としたときの頂角)αについては、なるべく小さいほうが、ノズル2先端から垂直方向に鋼帯10へ噴射された冷却水の噴射距離L1とノズル2先端から垂直方向に対してαだけ傾斜して鋼帯10へ噴射された冷却水の噴射距離L2の差が小さくなり好ましい。鋼帯10までの噴射距離が遠くなるほど、空気抵抗により冷却水2aが減速されて、鋼帯10に衝突する力が低下し、冷却水2aの堰き止め力が小さくなる。
傾向としては以上で述べたとおりであるが、フラットスプレーノズル2の構造により、距離が遠くなる衝突面端部における流速を衝突面中央と揃えるような設計も可能ではあるが、一般的に市販されているノズルを採用する場合、L2/L1を2以下にするのが好ましく、このような条件とするために、幾何学的な関係からフラットスプレー2aの広がり角度(スプレー噴射角度)αは120゜以下にすることが望ましい。
また、ノズル2先端から鋼帯10までの距離Hは、鋼帯10に近接させるほどよい。これは、冷却水2aがテーブルロール1に衝突しないようにすると、距離Hを大きくするほど、鋼帯搬送方向側面に投影したスプレー広がり角度φが小さくなり、フラットスプレー衝突長さLLが小さくなる。その結果、フラットスプレー衝突長さLLとテーブルロールピッチPLとの比LL/PLが小さくなり、先に説明したように、冷却水2aの堰き止め効果が小さくなるからである。
また、冷却水2aの排水はテーブルロール1とテーブルロール1の間隙からなされるが、テーブルロール1の中心軸の高さ位置で最もテーブルロール1間の間隔が狭くなる。そのため、この領域では排水を最もしづらいため、テーブルロール1間に冷却水2aの一部が溜まり、フラットスプレーノズル2が水没する恐れがある。そこで、フラットスプレーノズル2の先端と鋼帯10までの距離は、テーブルロール1の半径rよりも小さくする必要がある。ただし、フラットスプレーノズル2の先端と鋼帯10までの距離は近ければ近いほうがいいが、あまり近接させると、テーブルロール1上を通板する鋼帯10がばたついた場合、鋼帯10がノズル2と接触して、ノズル2を破損する危険がある。そこで、実用上は、ノズル2の先端と鋼帯の距離は50mm以上とするのがよい。
また、フラットスプレーの傾き角度(スプレー向い角)γについては、フラットスプレーノズル2とテーブルロール1との干渉を回避するために、基本的にはγ=0°とする。なお、スプレー迎え角度γを5〜10゜程度までは鋼帯進行方向に傾斜させてもかまわないが、これ以上傾斜させるとフラットスプレーノズル2を傾斜させた方向に多く冷却水2aが流れるため、テーブルロール1側への水流が発生し、先に述べたようにテーブルロール1に沿って冷却水が落下しやすくなり、その流下水がフラットスプレーノズル2の噴射口にかかることから、衝突面打力低下の原因となり好ましくない。
なお、本発明は、テーブルロール1間を基準とした冷却水量密度が1500L/min・mm以上の場合に適用することが好ましい。これは、冷却水量が少ない場合、もともとテーブルロール1間からスムーズに排水できるためである。ただし、その場合でも、本発明を適用することにより、より均一な冷却を行うことができるという効果はある。
そして、ここまでに説明したようなフラットスプレーノズル2は、鋼板搬送方向に複数個配置されているテーブルロール1の各隙間にそれぞれ設置して使用する。すなわち、鋼板搬送方向にフラットスプレーノズル2を複数列設置して使用する。特に、熱延鋼帯のランアウトテーブルでは、鋼帯10を数100℃程度冷却する必要があることから、数10程度のテーブルロール間に設置することもありうる。その場合のノズル配置例を図7に示す。この例のように、お互い隣り合うテーブルロール1間でフラットスプレー衝突部2bの軸線の角度βを逆向きにしてもよいし、また同じ向きにしてもよい。本発明の範囲内であれば、それぞれのテーブルロール毎にフラットスプレー衝突部2bの軸線の角度βを変更してもかまわない。
また、図8に示すように、フラットスプレーノズル2の噴射位置(噴射口の幅方向位置)をお互い隣り合うテーブルロール間であるピッチだけずらすと更に好適である。先に、フラットスプレー噴射幅LwとフラットスプレーノズルピッチPwとの関係は、実用上Lw/Pwを1.8〜2.2とすると良いと述べたが、スプレーノズルピッチPwやスプレー噴射角度βの選択により、わずかな領域で1回しか衝突しなかったり、3回衝突したりする場合があるので、鋼帯進行方向にノズル列を複数列設置する際に、隣り合うノズル列で衝突位置をずらすことにより、この影響が分散させる効果がある。すなわち、任意のノズル列のフラットスプレーノズル2の噴射口の幅方向位置が鋼帯進行方向で隣り合う上流側及び下流側のノズル列のフラットスプレーノズル2の噴射口の幅方向位置と一致しないようにすることが好ましい。
また、冷却水2aの噴射圧力Pmはあまり高くする必要はなく、通常ランアウトテーブルで使用させているせいぜい数気圧程度でよい。特許文献4に示しているような数MPa程度まで水圧を高めると、水圧により鋼帯10を持上げてしまう危険があり、好ましくない。
次に、本発明と特許文献4との違いについて説明する。
特許文献4は、冷却水の衝突面がなるべく均一に冷えるようなノズル配置を提案しているが、本発明のように熱延鋼帯のランアウトテーブル間のような狭いスペースにノズルを設置することは想定していない。このため、本発明で規定する範囲は、特許文献4で限定している範囲と異なっている。
以下に具体例で説明する。
これまで説明してきたような、本発明で規定する条件に基づいてフラットスプレーノズルを設置した場合、その一例は次のようになる。
テーブルロール径r:140mm、テーブルロールピッチPL:350mm、ノズルと鋼帯間の距離H:100mm、スプレー噴射角度α:105゜、スプレー捻り角度β:56゜、スプレー向い角γ:0°、ノズルの幅方向取り付けピッチPw:80mm、ノズル一本あたりの流量Qm:110L/min、テーブルロール間水量密度:4000L/min・mm、冷却水圧力Pm:0.3MPa である。
一方、特許文献4では、前述したように、下記(1)式、(2)式によって規定している。
Pw・sin(β)≦0.1・[Qm/{2・H・tan(α/2)/cos(γ)}・(Pm/ρ)1/21/3
・・・(1)
Pw/cos(β)≦H・tan(α/2)/cos(γ) ・・・(2)
ここで、(1)式、(2)式に基づいて、
A値=Pw・sin(β)−0.1・[Qm/{2・H・tan(α/2)/cos(γ)}・(Pm/ρ)1/21/3
・・・(3)
B値=Pw/cos(β)−H・tan(α/2)/cos(γ) ・・・(4)
とすると、特許文献4では、A値≦0、B値≦0ということになるが、上記の数値を(3)式、(4)式に代入すると、A値≒0.0154、B値≒0.013となり、特許文献4で規定した条件を満足していない。
このように、本発明で規定する範囲は、特許文献4で限定している範囲と異なっている。
なお、本発明は熱延鋼帯の下面冷却に適用されるが、テーブルロール間が狭い場所であれば、厚板や形鋼など様々な設備に適用することも可能である。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
図9は、本発明の実施例における熱延鋼帯の製造設備のレイアウトを示したものである。
250mm厚みのスラブが加熱炉60により約1200℃まで加熱された後、粗圧延機群61により40mm厚みまで圧延され、仕上げ圧延機群62により2.6mmまで圧延される。圧延後は、ランアウトテーブル63で所定の温度まで冷却された後、コイラー64で巻き取られる。
そして、ランアウトテーブル63では、鋼帯上面の冷却をヘアピンラミナーの上面冷却装置51(上面冷却装置群52)によって行い、鋼帯下面の冷却を下面冷却装置55(下面冷却装置群56)によって行う。ここで、上面冷却装置51は下面冷却装置55と対で設置されており、それぞれのテーブルロールの上に冷却水が落下するようになっている。ランアウトテーブル63での冷却前後の鋼帯の温度分布は、放射温度計65により測定することができる。
なお、ランアウトテーブル63で鋼帯を冷却する際の必要な冷却速度は200℃/s以上である。図10に、2.6mm厚みの材料をフラットスプレーで冷却したときの冷却速度と水量密度の関係を示すが、冷却速度を200℃/s以上とするためには、水量密度は約3500/min・m以上とする必要がある。そこで、ここでは、冷却水量を4000/min・mにして実施した。
(本発明例)
本発明例として、本発明に基づいてランアウトテーブル63での冷却を行った。すなわち、下面冷却装置55として、本発明で規定する条件に基づいてフラットスプレーノズルが設置された下面冷却装置を用いた。
具体的には、テーブルロール1とフラットスプレーノズル2の幾何学的な関係等は以下のとおりにした。
テーブルロール径r:140mm、テーブルロールピッチPL:350mm、ノズルと鋼帯間の距離H:100mm、スプレー噴射角度α:105゜、スプレー捻り角度β:34゜、スプレー向い角γ:0°、ノズルの幅方向取り付けピッチPw:80mm、ノズル一本あたりの流量Qm:110L/min、テーブルロール間水量密度:4000L/min・mm、冷却水圧力Pm:0.2MPa、冷却水衝突幅Lwとノズル取り付けピッチPwの比Lw/Pw:2 である。
ちなみに、上記の条件を前記(3)式と(4)式に代入すると、A値≒0.020、B値≒0.013となり、特許文献4が規定したA値≦0、B値≦0という条件は満足していない。
そして、通板速度650mpmでランアウトテーブル入側温度870℃、ランアウトテーブル出側温度640℃となるように、上面冷却装置51と下面冷却装置55の使用台数(使用ノズルヘッダ数)を設定して冷却を行った。具体的には、図10から水量密度4000/min・mの場合、210℃/sの冷却速度が出るため、冷却時間は1.1sec、設備長(冷却ゾーン長)としては11.9m必要である。これに対して、上面冷却装置51および下面冷却装置55は、テーブルロールピッチ350mm毎に設置されているので、上面冷却装置51と下面冷却装置55について各34台(各34ヘッダ)から冷却水を噴射した。
(比較例1)
比較例として、特許文献4に基づいてランアウトテーブル63での冷却を行った。すなわち、下面冷却装置55として、特許文献4に規定する条件に基づいてフラットスプレーノズルが設置された下面冷却装置を用いた。
具体的には、テーブルロール1とフラットスプレーノズル2の幾何学的な関係等は以下のとおりにした。
テーブルロール径r:140mm、テーブルロールピッチPL:350mm、ノズルと鋼帯間の距離H:100mm、スプレー噴射角度α:105゜、スプレー捻り角度β:70゜、スプレー向い角γ:0°、ノズルの幅方向取り付けピッチPw:120mm、ノズル一本あたりの流量Qm:85L/min、テーブルロール間水量密度:4000L/min・mm、冷却水圧力Pm:0.2MPa、冷却水衝突幅Lwとノズル取り付けピッチPwの比Lw/Pw:2 である。
ちなみに、上記の条件を前記(3)式と(4)式に代入すると、A値≒−0.002、B値≒−0.002となり、特許文献4が規定したA値≦0、B値≦0という条件を満足している。
そして、通板速度650mpmでランアウトテーブル入側温度870℃、ランアウトテーブル出側温度640℃となるように、上面冷却装置51と下面冷却装置55の使用台数(使用ノズルヘッダ数)を設定して冷却を行った。具体的には、図10から水量密度4000/min・mの場合、210℃/sの冷却速度が出るため、冷却時間は1.1sec、設備長(冷却ゾーン長)としては11.9m必要である。これに対して、上面冷却装置51および下面冷却装置55は、テーブルロールピッチ350mm毎に設置されているので、上面冷却装置51と下面冷却装置55について各34台(各34ヘッダ)から冷却水を噴射した。
図11に、本発明例と比較例における冷却後の鋼帯幅方向の温度分布を示す。
本発明例では、幅方向に非常に均一な温度分布となっている。その結果、引張強度や伸びなどが目的の機械特性となった。これに対して、比較例では、周期的に幅方向の温度ムラが発生し、その温度偏差は最大で50℃程度あった。その結果、引張強度や伸びなどが局所的に目的を大きく外れ、規格外の機械特性となる部位があり、製品として出荷ができなかった。
1 テーブルロール
2 フラットスプレーノズル
2a フラットスプレーノズルからの冷却水(フラットスプレー)
2b フラットスプレー衝突部
3 円管ジェットノズル
3a 円管ジェットノズルからの冷却水
40 衝突打力測定用の圧力センサー
51 上面冷却装置
52 上面冷却装置群
55 下面冷却装置
56 下面冷却装置群
60 加熱炉
61 粗圧延機群
62 仕上げ圧延機群
63 ランアウトテーブル
64 コイラー
65 放射温度計

Claims (12)

  1. 熱延鋼帯の下面冷却を行うに際して、搬送テーブルロール間に被冷却面に対して冷却水が帯状または長円状に衝突するフラットスプレーノズルを幅方向に複数配置し、かつ、前記複数のフラットスプレーノズルを、搬送される熱延鋼帯の下面の幅方向のすべての点がそれらフラットスプレーノズルからの冷却水の衝突域を1回以上通過するように配置するとともに、前記フラットスプレーノズルの外径Dと前記フラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwとの比D/Pwを0.5以下とし、前記フラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部の軸線を鋼帯幅方向に対して45〜70゜傾け、前記フラットスプレーノズルの先端から熱延鋼帯までの距離を50mmから前記テーブルロールの半径未満までとすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  2. 請求項1に記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、1本のフラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部を鋼帯搬送方向側面に投影した長さLLと前記テーブルロール間の距離PLとの比LL/PLを0.5以上となるようにすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  3. 請求項1または2に記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、前記テーブルロール間の距離を基準とした冷却水量密度を1500L/min・mm以上とすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーノズルを鋼帯搬送方向に複数列配置することを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーの衝突部の鋼帯進行方向から投影した冷却水衝突幅Lwとフラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwの比Lw/Pwを1.8〜2.2とすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却方法において、フラットスプレーノズルを幅方向に複数配置したノズル列を鋼帯進行方向に複数配置することとし、任意のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置が鋼帯進行方向で隣り合う上流側及び下流側のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置と一致しないようにすることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却方法。
  7. 熱延鋼帯の下面冷却装置であって、搬送テーブルロール間に被冷却面に対して冷却水が帯状または長円状に衝突するフラットスプレーノズルが幅方向に複数配置され、かつ、前記複数のフラットスプレーノズルが、搬送される熱延鋼帯の下面の幅方向のすべての点がそれらフラットスプレーノズルからの冷却水の衝突域を1回以上通過するように配置されているとともに、前記フラットスプレーノズルの外径Dと前記フラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwとの比D/Pwが0.5以下で、前記フラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部の軸線が鋼帯幅方向に対して45〜70゜傾き、前記フラットスプレーノズルの先端から熱延鋼帯までの距離が50mmから前記テーブルロールの半径未満となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
  8. 請求項7に記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、1本のフラットスプレーノズルからの冷却水の熱延鋼帯への衝突部を鋼帯搬送方向側面に投影した長さLLと前記テーブルロール間の距離PLとの比LL/PLが0.5以上となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
  9. 請求項7または8に記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、前記テーブルロール間の距離を基準とした冷却水量密度が1500L/min・mm以上であることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーノズルが鋼帯搬送方向に複数列配置されていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーの衝突部の鋼帯進行方向から投影した冷却水衝突幅Lwとフラットスプレーノズルの幅方向取り付けピッチPwの比Lw/Pwが1.8〜2.2となっていることを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の熱延鋼帯の下面冷却装置において、フラットスプレーノズルを幅方向に複数配置したノズル列が鋼帯進行方向に複数配置されていて、任意のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置が鋼帯進行方向で隣り合う上流側及び下流側のノズル列のフラットスプレーノズルの噴射口の幅方向位置と一致していないことを特徴とする熱延鋼帯の下面冷却装置。
JP2009081607A 2008-04-24 2009-03-30 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置 Active JP5428452B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009081607A JP5428452B2 (ja) 2008-04-24 2009-03-30 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008113289 2008-04-24
JP2008113289 2008-04-24
JP2009081607A JP5428452B2 (ja) 2008-04-24 2009-03-30 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009279651A true JP2009279651A (ja) 2009-12-03
JP5428452B2 JP5428452B2 (ja) 2014-02-26

Family

ID=41450664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009081607A Active JP5428452B2 (ja) 2008-04-24 2009-03-30 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5428452B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011131248A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Jfe Steel Corp 熱延鋼帯の下面冷却装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5721408U (ja) * 1980-07-09 1982-02-03
JPH06190431A (ja) * 1992-12-28 1994-07-12 Nippon Steel Corp 厚鋼板の冷却方法及び冷却装置
JPH1058026A (ja) * 1996-08-23 1998-03-03 Sumitomo Metal Ind Ltd 高温鋼板の冷却方法およびその装置
JP2004306064A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 高温鋼板の冷却装置
JP2007030030A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Nippon Steel Corp 鋼板の上下面均一冷却装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5721408U (ja) * 1980-07-09 1982-02-03
JPH06190431A (ja) * 1992-12-28 1994-07-12 Nippon Steel Corp 厚鋼板の冷却方法及び冷却装置
JPH1058026A (ja) * 1996-08-23 1998-03-03 Sumitomo Metal Ind Ltd 高温鋼板の冷却方法およびその装置
JP2004306064A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 高温鋼板の冷却装置
JP2007030030A (ja) * 2005-07-29 2007-02-08 Nippon Steel Corp 鋼板の上下面均一冷却装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011131248A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Jfe Steel Corp 熱延鋼帯の下面冷却装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5428452B2 (ja) 2014-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4678069B1 (ja) 熱延鋼板の冷却装置
JP4449991B2 (ja) 熱延鋼帯の冷却装置及び方法
JP4586791B2 (ja) 熱延鋼帯の冷却方法
TWI553124B (zh) Hot - rolled steel strip cooling method and cooling device
JP2008073695A (ja) 鋼板の冷却方法
JP4779749B2 (ja) 鋼板の冷却方法および冷却設備
KR20080034966A (ko) 강판의 열간압연 설비 및 열간압연 방법
WO2008013318A1 (fr) Appareil de refroidissement et procédé de refroidissement de bande d'acier laminé à chaud
JP4214134B2 (ja) 厚鋼板の冷却装置
JP5640648B2 (ja) 熱鋼板の下面冷却方法及び装置
JP4876781B2 (ja) 鋼板の冷却設備および冷却方法
JP5597989B2 (ja) 熱延鋼帯の下面冷却装置
TWI731415B (zh) 熱軋鋼板之冷卻裝置及熱軋鋼板之冷卻方法
JP5428452B2 (ja) 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置
JP2008212943A (ja) 鋼材の冷却装置および冷却方法
JP2012040575A (ja) 冷媒流量の決定方法及び鋼板の冷却装置
JP4398898B2 (ja) 厚鋼板の冷却装置及び方法
JP4888124B2 (ja) 鋼材の冷却装置および冷却方法
JP4720198B2 (ja) 厚鋼板の冷却装置および冷却方法
JP5741165B2 (ja) 熱鋼板の下面冷却装置
JP5597916B2 (ja) 鋼材の冷却設備
JP5387093B2 (ja) 熱鋼板の冷却設備
JP5515440B2 (ja) 厚鋼板の冷却設備およびその冷却方法
JP6558344B2 (ja) 鋼板の下面冷却装置及び下面冷却方法
JP4962349B2 (ja) 熱延鋼帯の下面冷却方法および下面冷却装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120223

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120321

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130910

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5428452

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250