JP2009279594A - 伝熱板の製造方法及び伝熱板 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業工程の少ない伝熱板の製造方法及び伝熱板を提供することを課題とする。
【解決手段】ベース部材2の表面側に開口する蓋溝6の底面に形成された凹溝8に、熱媒体用管16を挿入する熱媒体用管挿入工程と、蓋溝6に蓋部材10を挿入し、蓋溝6の底面に蓋部材10を当接させる蓋部材挿入工程と、蓋溝6の両側壁と蓋部材の両側面とがそれぞれ対向する一対の突合部V1,V2に対して回転ツールを相対的に移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、前記回転ツールのショルダ部の外径は、蓋溝6の開口部の幅以上であり、前記接合工程では、熱媒体用管16が塑性変形しない状態で、前記回転ツールを一回移動させて一対の突合部V1,V2に対して同時に摩擦攪拌を行うことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このような観点から、本発明は、作業工程の少ない伝熱板の製造方法及び伝熱板を提供することを課題とする。
本発明の最良の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係る伝熱板を示した斜視図である。図2の(a)は、第一実施形態に係る回転ツールの側面図及び伝熱板の分解側面図であり、(b)は、第一実施形態に係る伝熱板の模式配置図である。
なお、本実施形態では、接合用回転ツール20を前記したように設定したが、例えば、撹拌ピン26の基端部(最大外径X2)を、蓋溝6の幅E以上に設定してもよい。また、例えば、撹拌ピン26の先端部(最小外径X3)を、蓋溝6の幅E以上に設定してもよい。このように、幅Eに対して、接合用回転ツール20の大きさを大きく設定することで、突合部V1,V2を一回の移動でより確実に摩擦攪拌を行うことができる。
まず、図2の(a)を参照するように、例えばフラットエンドミル加工により、厚板部材に蓋溝6を形成する。そして、蓋溝6の底面6aに、例えばボールエンドミル加工により半円形断面を備えた凹溝8を形成する。これにより、蓋溝6と、蓋溝6の底面6aに開口された凹溝8を備えたベース部材2が形成される。凹溝8は、下半部に断面半円形の底部7を備えており、底部7の上端から一定の幅で上方に向けて開口されている。
なお、ベース部材2を本実施形態においては切削加工により形成したが、アルミニウム合金の押出形材を用いてもよい。
次に、図3の(a)に示すように、凹溝8に熱媒体用管16を挿入する。熱媒体用管16の下半部は、凹溝8の下半分を形成する底部7と面接触する。
次に、図3の(a)に示すように、凹溝8と熱媒体用管16によって囲まれた部分に熱伝導性物質25を充填する。充填工程では、熱伝導性物質25の上面と、蓋溝6の底面6aとが面一になるまで充填する。熱伝導性物質25は、空隙部P(図2の(b)参照)に充填されることで、空隙部Pを埋めて伝熱板1の熱伝導効率を高めるとともに、水密性及び気密性を高める役割を果たす。熱伝導性物質25は、本実施形態では、公知の金属粉末の低融点ろう材を用いる。なお、熱伝導性物質25は、伝熱板1の空隙部Pを埋めて、伝熱効率を高める材料であればよく金属粉末ペースト及び金属シートなどであってもよい。
次に、図3の(b)に示すように、ベース部材2の蓋溝6内に、蓋部材10を挿入する。この際、蓋部材10の下面12が蓋溝6の底面6aに当接すると共に、蓋部材10の上面11が、ベース部材2の表面3と面一なる。また、蓋溝6の側壁5a,5bと蓋部材10の側面13a,13bによって突合部V1,V2が形成される。
次に、図3の(c)に示すように、突合部V(突合部V1,V2)に対して接合用回転ツール20を用いて摩擦攪拌を行う。即ち、接合用回転ツール20の中心と、蓋溝6の幅方向の中心とを合わせた後、接合用回転ツール20のショルダ部22の下面24をベース部材2の表面3に所定の深さで押し込み、突合部Vに沿って相対移動させる。
図3の(d)に示すように、接合工程によってベース部材2の表面3に塑性化領域W1が形成される。塑性化領域W1の最深部は、本実施形態では、蓋部材10の略中央に達するように撹拌ピン26の長さ及び接合用回転ツール20の押込み量等を設定している。また、突合部V1,V2における塑性化領域W1の深さWbは、蓋部材10の厚さの1/4程度となるように設定している。突合部V1,V2における塑性化領域W1の深さWbを大きく設定することにより、ベース部材2と蓋部材10との接合力を高めることができる。
なお、塑性化領域W1の大きさ(深さ)、接合用回転ツール20の形状や回転数又は押込み量等はあくまで例示であって、限定されるものではなく、ベース部材2及び蓋部材10の材料等を加味して適宜設定すればよい。
次に、本発明の第二実施形態に係る伝熱板の製造方法について説明する。
第二実施形態に係る伝熱板の製造方法は、図4に示すように、蓋部材30が断面視略T字状を呈することを特徴とする。なお、第一実施形態と重複する部分については説明を省略する。
幅狭部42は、幅広部41の下面44の中央から下方に延設されている。幅狭部42の幅g2は、凹溝38の幅Aと略同等に形成されている。
なお、第二実施形態に係る伝熱板の製造方法の準備工程、熱媒体用管挿入工程は、第一実施形態と略同等であるため、説明を省略する。
図5の(a)を参照するように、凹溝8と熱媒体用管16によって囲まれた部分に熱伝導性物質25を充填する。本実施形態では、熱媒体用管16、凹溝38及び蓋部材30の下面45で囲まれる部分に所定の厚さで熱伝導性物質25を充填する。
蓋部材挿入工程では、図4を参照するように、ベース部材32の蓋溝36内に、蓋部材30を挿入する。この際、蓋部材30の幅広部41の下面44が、蓋溝36の底面36aに当接するとともに、幅広部41の上面43がベース部材32の表面3と面一になる。また、幅狭部42の下面45は、熱伝導性物質25に当接する。
接合工程では、図5の(a)及び(b)に示すように、突合部V1,V2に対して接合用回転ツール20を用いて摩擦攪拌を行う。即ち、接合用回転ツール20の中心と、蓋溝36の中心を合わせた後、接合用回転ツール20のショルダ部22の下面24をベース部材32の表面3に所定の深さで押し込み、突合部Vに沿って相対移動させる。
次に、本発明の第三実施形態に係る伝熱板の製造方法について説明する。
第三実施形態に係る伝熱板の製造方法は、図6の(a)に示すように、蓋部材50の下部が熱媒体用管16の形状に沿って形成されている点で第一実施形態と相違する。なお、第一実施形態と重複する部分については説明を省略する。
次に、第四実施形態に係る伝熱板について説明する。図8は、第四実施形態に係る伝熱板を示した分解側面図である。図9は、第四実施形態に係る伝熱板を示した側面図である。
図8に示す第四実施形態に係る伝熱板81は、第一実施形態に係る伝熱板1(図1参照)と略同等の構造を内包し、蓋部材10の表面側にさらに上蓋部材70を配置して、摩擦攪拌接合を施して接合した点で第一実施形態と相違する。
なお、前記した伝熱板1と同等の構造を以下、下蓋部Mともいう。また、第一実施形態に係る伝熱板1と重複する部材については、同等の符号を付し、重複する説明は省略する。
面削工程では、上蓋溝64の底面66に形成された段差(溝)やバリを切削除去して、底面66を平滑にする。
上蓋部材挿入工程では、面削工程をした後、上蓋溝64の底面に上蓋部材70を配置する。面削工程を行ったことにより、上蓋部材70の下面72と、上蓋溝64の底面とを隙間なく配置することができる。
上蓋部材接合工程は、上側突合部V5,V6に沿って接合用回転ツール(図示省略)を移動させて摩擦攪拌接合を施す。上蓋部材接合工程における接合用回転ツールの押し込み量は、当該接合用回転ツールの撹拌ピンの長さ及び上蓋部材70の厚さF’を考慮して適宜設定すればよい。なお、上蓋部材接合工程では、第一実施形態で使用する接合用回転ツール20を用いてもよい。
2 ベース部材
5a 側壁
5b 側壁
6 蓋溝
6a 底面
8 凹溝
10 蓋部材
13a 側面
13b 側面
16 熱媒体用管
20 接合用回転ツール
V 突合部
W 塑性化領域
Claims (14)
- ベース部材の表面側に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝に、熱媒体用管を挿入する熱媒体用管挿入工程と、
前記蓋溝に蓋部材を挿入し、前記蓋溝の底面に前記蓋部材を当接させる蓋部材挿入工程と、
前記蓋溝の側壁と前記蓋部材の側面とが対向する突合部に対して回転ツールを相対的に移動させて摩擦攪拌を行う接合工程と、を含み、
前記回転ツールのショルダ部の外径は、前記蓋溝の開口部の幅以上であり、
前記接合工程では、前記熱媒体用管が塑性変形しない状態で、前記回転ツールを一回移動させて、前記蓋溝の一方の側壁と前記蓋部材の一方の側面との突合部、及び、前記蓋溝の他方の側壁と前記蓋部材の他方の側面との突合部に対して同時に摩擦攪拌を行うことを特徴とする伝熱板の製造方法。 - 前記凹溝の底部から前記蓋部材の下部までの距離は、前記熱媒体用管の鉛直方向高さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記蓋部材の下部は、前記熱媒体用管の形状に沿って形成されており、前記熱媒体用管と接していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記蓋部材挿入工程前に、前記凹溝と、前記熱媒体用管の周囲とで囲まれた空間に熱伝導性物質を充填する充填工程を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記熱伝導性物質は、金属粉末、金属粉末ペースト又は金属シートであることを特徴とする請求項4に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記熱伝導性物質は、低融点ろう材であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記回転ツールの撹拌ピンの最大径は、前記蓋溝の幅以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記回転ツールの撹拌ピンの最小径は、前記蓋溝の幅以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記接合工程では、摩擦攪拌によって形成される塑性化領域の最深部が、前記蓋部材の上部2/3の深さ位置に達することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記接合工程では、摩擦攪拌によって形成される塑性化領域の最深部が、前記蓋部材の上部1/2の深さ位置に達することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記接合工程では、摩擦攪拌によって形成される塑性化領域の最深部が、前記蓋部材の上部1/3の深さ位置に達することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。
- 前記接合工程後に、
前記ベース部材の表面側に、前記蓋溝の幅よりも幅広に形成された上蓋溝の底面に上蓋部材を当接させる上蓋部材挿入工程と、
前記上蓋溝の側壁と前記上蓋部材の側面との上側突合部に沿って回転ツールを相対的に移動させて摩擦攪拌を行う上蓋部材接合工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の伝熱板の製造方法。 - 表面側に開口する蓋溝の底面に形成された凹溝を有するベース部材と、
前記凹溝に挿入された熱媒体用管と、
前記蓋溝に挿入された蓋部材と、を有し、回転ツールを用いて摩擦攪拌接合されるとともに前記熱媒体用管が塑性変形していない伝熱板であって、
前記蓋溝の一方の側壁と前記蓋部材の一方の側面との突合部、及び、前記蓋溝の他方の側壁と前記蓋部材の他方の側面との突合部に対して形成された一条の塑性化領域の幅は、前記蓋溝の幅以上に形成されていることを特徴とする伝熱板。 - 前記ベース部材の表面側に、前記蓋溝よりも幅広に形成された上蓋溝を備えた前記ベース部材と、前記上蓋溝に挿入された上蓋部材と、を有し、
前記上蓋溝の側壁と前記上蓋部材の側面との上側突合部に沿って摩擦攪拌が施されていることを特徴とする請求項13に記載の伝熱板。
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