JP2009276416A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】鮮やかな色調を実現しつつ、ドキュメントオフセット性、耐昇華性に優れたトナーを提供する。
【解決手段】樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、前記着色剤の発色成分が下記一般式Aの構造を有するトナー。
【化1】
Figure 2009276416

上記一般式Aにおいて、Yは分子量Mpが2000〜18000の重合体であり、Zは置換基を有してもよい芳香環又は複素環を示す。R、R、R、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又はアルコキシ基を示す。
【選択図】なし

Description

本発明は、トナーに関する。
オフィス等で使われるプリンタ、複合機(MFP;Multi Function Peripheral)等のカラー電子写真方式の画像形成装置の開発は競争が激化している。
これら画像形成装置は、処理の高速化が大幅に進んだ結果、「デジタル印刷機」として、ダイレクトメールや料金明細等の可変情報を印刷する用途に用いられるようになった。刷版が不要なため、商業印刷の主流だったオフセット印刷機の代替として普及が進んでいる。また、高速機は印刷枚数が多大であるためトナー等の消耗品の回転率が高く、差別化された技術をもって参入する企業が相次いでいる。
ところで、印刷市場で採用されている標準色は、「JAPAN COLOR 2001」と呼ばれるものである。既に、この標準色に準拠するフルカラー画像形成装置が各社から開発され、市場に提供されている。今後に向けては、デジタルカメラやディスプレイ装置等の高スペック化に合わせて、ディスプレイ上に表示した画像を印刷する場合にも表示したとおりに忠実に色再現するニーズが高まっている。
ディスプレイの色域には、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Communication)で策定した「s−RGB」と呼ばれる規格が採用されている。この規格による色域は元来RGBによる加色法により達成されたものであり、Y(イエロー)、M(マジェンタ)、C(シアン)、K(黒)を中心においた減色法である「JAPAN COLOR 2001」の色域よりも格段に広い。そのため、現状用いているトナーではディスプレイに表示された画像を忠実に色再現することができない。とりわけ、ブルー、レッド領域の2次色を鮮やかに再現する彩度拡大のニーズがあった。
従来、彩度と透明性を高める着色剤として、着色剤に低分子量の色素を用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、低分子量の色素は昇華性が大きいため、高速機においては、昇華による機内汚染の問題があった。高速機では熱伝導速度を加味して、同じ熱特性のトナーに対しても定着加熱部材の温度が高く設定され、かつ単位時間あたりに定着装置を通過する画像枚数が多いためである。
また、着色効率を向上させる方法として、着色剤に顔料を用い、この顔料の粒子表面を処理してトナーの粒子に取り込まれやすくする技術についても提案されている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、顔料分散剤にラジカル重合性基を有するものを用いることによって、粒子内部に顔料を含有する粒子径の揃ったトナーの粒子を得ることができる。しかしながら、実際はわずかに粒子に取り込むことができている状況であって、更なる着色効率の向上が望まれている。
また、特許文献2の方法では、重合反応初期における顔料の取り込み効率が悪いため、結果的に顔料が表面近傍に多く付着したようなものとなりやすく、顔料の種類によってはトナー表面の環境特性が悪く、帯電制御しにくい場合があった。これに対し、顔料を容易に微分散させるため、顔料に吸着するフタロシアニン系の分子骨格と、顔料の再凝集を防止し分散効果をもたらすオリゴマー又はポリマーとが共有結合で結合した構造を持つ顔料分散剤を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−123759号公報 特開平3−200976号公報 特開2002−226727号公報
一方、色再現の向上と並行してトナーの低温定着化が進められており、この低温定着化を進めるにあたって、接触している画像面の間で画像の一部が汚染しあうドキュメントオフセットと呼ばれる問題が障害になっている。すなわち、画素率の高いカラー画像を両面印刷した場合、画像面間で文字や画像が汚染し合って長期保存時の画像欠陥を生じさせ、ときに用紙同士の接着が発生することがあり、このような問題の解決が急務となっている。
しかしながら、上記特許文献1〜3の技術によっても、鮮やかな色調を実現しつつ、ドキュメントオフセットの問題、トナー粒子から着色剤が昇華する問題を解決するという両立は困難である。
本発明の課題は、鮮やかな色調を実現しつつ、ドキュメントオフセット性、耐昇華性に優れたトナーを提供することである。
請求項1に記載の発明によれば、
樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、
前記着色剤の発色成分が下記一般式Aの構造を有するトナー。
Figure 2009276416
上記一般式Aにおいて、Yは分子量Mpが2000〜18000の重合体であり、Zは置換基を有してもよい芳香環又は複素環を示す。R、R、R、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又はアルコキシ基を示す。
本発明によれば、鮮やかな色調を実現することができる。また、ドキュメントオフセット性に優れたトナーであって、着色剤の昇華が少なく、昇華による汚染の少ないトナーを提供することができる。
《トナー》
本発明に係るトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなる粒子(以下、着色粒子ともいう)により構成されるものである。必要に応じて離型剤、荷電制御剤、外添剤を添加することができる。
〈樹脂〉
樹脂は、特に限定されるものではないが、下記のビニル系単量体と呼ばれる重合性単量体を重合して形成される重合体が一例として挙げられる。この重合体は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分とするものであり、これらビニル系単量体を単独或いは複数種類組み合わせて作製した重合体である。
以下、ビニル系の重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレン或いはスチレン誘導体
例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
(3)アクリル酸エステル誘導体
例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
(4)オレフィン類
例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられる。
(5)ビニルエステル類
例えば、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
(6)ビニルエーテル類
例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等が挙げられる。
(7)ビニルケトン類
例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等が挙げられる。
(8)N−ビニル化合物類
例えば、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
(9)その他
その他、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸、或いはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
また、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂を構成するビニル系の重合性単量体には、以下に示すイオン性解離基を有するものも用いることができる。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の官能基を単量体の側鎖に有するものが挙げられる。具体的には、カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。また、スルフォン基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等が挙げられる。リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
また、架橋剤として多官能性ビニル類を使用することにより、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジイメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
また、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂の一つとして、ポリエステル樹脂やポリエステルポリオール樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の単量体としては、アルコールとカルボン酸若しくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等を使用できる。
具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレンレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物が挙げられる。
それらの中でも特に、下記一般式B1で表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、或いはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、トナーに良好な耐電特性を付与するので好ましい。
Figure 2009276416
式中、R11はエチレン基又はプロピレン基を示し、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及びこれらの無水物やエステル化合物が挙げられる。
また、ポリエステルポリオール樹脂としては、下記一般式B2で表されるビスフェノール類(b1)と、下記一般式B3で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂(b2)と、多価アルコール(b3)及び当該多価アルコールと酸無水物との反応物(b4)から選択される少なくとも1種と、エポキシ基と反応する活性水素基を分子内に少なくとも1個含有する化合物(b5)と、さらに必要に応じて架橋剤(b6)とを主原料とし、これらの主原料を反応させて得られるものである。
Figure 2009276416
上記式B2において、R12、R13は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であり、R12とR13とで同一でも異なっていてもよい。
Figure 2009276416
上記式B3において、R14、R15は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であり、nは0以上の整数である。R14とR15は同一でもよいし、異なっていてもよい。
前記一般式B2で示されるビスフェノール類(b1)の具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(通称ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(通称ビスフェノールAD)、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
これらのビスフェノール類は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
前記一般式B3で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂(b2)としては、例えば前記一般式B2で表されるビスフェノール類(b1)とエピクロロヒドリンから製造される、いわゆる一段法エポキシ樹脂、或いは一段法エポキシ樹脂とビスフェノール類(b1)との重付加反応生成物である二段法エポキシ樹脂が挙げられる(「新エポキシ樹脂」垣内弘編著、昭晃堂、昭和60年、p30)。
また、主原料の一つである多価アルコール類(b3)としては、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環族ジオール等の2価アルコール、3価又は4価のアルコール等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、下記一般式B4により表される化合物が挙げられる。
Figure 2009276416
上記一般式B4において、R16、R17はエチレン基又はプロピレン基であり、p、qは1以上の整数、p+qは2〜10である。R16とR17は同一でもよいし異なるものでもよい。
このような芳香族ジオールの具体例としては、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(1.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1.1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。また、本発明においては、芳香族ジオールとしてp−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールも使用することができる。
脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂環族ジオールとしては、例えばジヒドロキシメチルシクロヘキサン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
3価又は4価のアルコールとしては、例えば1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタン撮りオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
また、主原料の一つである多価アルコールと酸無水物との反応物(b4)について、多価アルコールとの反応に用いられる酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテントラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物を挙げることができる。
多価アルコール類と酸無水物の反応は、通常触媒の存在下、80℃〜150℃で1〜8時間の反応時間で行うことができる。この多価アルコール類と酸無水物の反応は、後述する本発明に好ましく用いられる樹脂の製造における重付加反応と同時に行ってもよいし、重付付加反応の前に行ってもよい。酸無水物が架橋剤として作用し、場合によってはゲル化が起こることもあるため、重付加反応の前に行うことが好ましい。この反応で用いられる触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等の有機リン化合物、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ、オクチル酸スズ、安息香酸亜鉛等のルイス酸等を例示することができる。その使用量は生成物量に対して、通常1〜1000ppm、好ましくは5〜500ppmとなる量である。また、この反応においては溶剤を使用してもしなくてもよい。溶剤を使用する場合はトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好ましい。
主原料の一つであるエポキシ基と反応する活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物(b5)は、1価のフェノール類、2級アミン類、1価のカルボン酸類である。
1価のフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、P−クミルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
2級アミン類としては、例えばジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリルアミン、ジエタノールアミン、ジアリルアミン等の脂肪族2級アミン、N−メチルアニリン、N−メチルトルイジン、N−メチルニトロアニリン、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ベンジルジメチルアミン等の芳香環含有2級アミン等が挙げられる。
1価のカルボン酸類としては、例えばプロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、フェニル酢酸等の芳香環含有1価カルボン酸を挙げることができる。
また、必要に応じて用いられる架橋剤(b6)としては、例えば芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン等のポリアミン類、酸無水物、3価以上のフェノール化合物、3価以上のエポキシ樹脂等が用いられる。ポリアミン類としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メタキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。
〈着色剤〉
本発明に係るトナーでは、着色剤は下記一般式Aで示される化合物を含有する。
Figure 2009276416
上記一般式Aにおいて、Yは分子量Mpが2000〜18000の重合体であり、Zは置換基を有してもよい芳香環又は複素環を示す。R、R、R、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又はアルコキシ基を示す。Z、R、R、R、Rにおいて有してもよい置換基としては、ハロゲン基、メトキシ基又はヒドロキシ基が挙げられる。
一般式Aにより示される化合物は、重合体と色素成分を結合させた重合体結合色素である。
一般式AにおいてYで示される重合体をラジカル重合によって作製する場合、重合によってYの構造となる単量体と、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等とを共重合してもよい。共重合比は、色素が結合した単量体が30〜90%となることが好ましい。また、Yで示される重合体を、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミドとしてもよい。好ましいのは、ポリエステルポリオールである。
下記式A1、A2で示すのは重合体結合色素の具体例である。
Figure 2009276416
Figure 2009276416
k、l、m、nは有る程度の分布を持つが、そのピーク値でk、l、m、nを示すと、式A1において、k=21、m=25、n=4であり、式A2において、j=40、k=30、m=32、n=7である。
一般式Aで示す化合物は、例えば次の方法により合成することができる。
まずp−ニトロスチレン、スチレン、n−ブチルアクリレート等を乳化重合し、重合体を得る。重合関連薬剤は一般に乳化重合に使用するものを用いることができる。次に、このニトロ重合体体を接触還元し、アミノ重合体とする。接触還元はPd−C等の一般的な触媒を使用することができる。次に、このアミノ重合体体を亜硝酸ソーダでジアゾ化し、ジアゾニウム塩を得る。このとき、ジアゾニウム塩はカウンターアニオンによっては不安定になる場合がある。よって、安定化を図るため、6フッ化リンや4フッ化ホウ素等のカウンターアニオンに置換し、含水状態で次の反応に使用する。次に、得られたジアゾニウム塩と色素成分であるカップリング剤をカップリングさせた後、分離、乾燥することにより、一般式Aで示す化合物を得る。
ここで、カップリング剤としては下記式D1〜D14のものが挙げられる。式D1〜D14とともに記載したのは、カップリング剤の呼称である。下記式D1〜D17においてXを除く構造は、上記一般式Aで示されるZに該当する。
Figure 2009276416
Figure 2009276416
なお、上記式D1〜D17において、Xは下記式により示される。
Figure 2009276416
前記Yで示される重合体とカップリング剤を結合させる他の方法としては、側鎖に水酸基を有するポリエステルポリオールに、イソシアネート基含有のカップリング剤を反応させる方法がある。他の方法としては、3価以上のアルコール又は3価以上のカルボン酸を縮重合させ、重合体にエステル結合可能な置換基を有する側鎖を形成し、カップリング剤部分と共縮重合させる方法が挙げられる。
一般式Aで示される重合体結合色素を含有する着色剤をトナーに用いることにより、ドキュメントオフセットや昇華による汚染のないトナーを作製することができる。これは、おそらく低分子量の色素が重合体に結合した一般式Aの構造を選択することにより、トナー粒子中の色素成分がトナーに固定化されたことや、色素のトナーへの分散性が良好となり、昇華性及びドキュメントオフセット性が改善されたことによると推察される。
なお、分子量Mpの測定は、濃度1(mg/ml)になるように測定試料をテトラヒドロフランに加え、室温にて超音波分散機を用いて5分間分散を行い、溶解させる。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルタで処理した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)へ10μlの試料溶解液を注入する。GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:TSKguardcolmn+TSKgelSuperHZM-M3(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.2(ml/分)
検出器:屈折率検出器
試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。そして、描いた分子量分布のピークの頂点の位置からピークトップ分子量Mpを求める。
〈離型剤〉
本発明に係るトナーに使用可能な離型剤としては、以下に示すような公知のワックスが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
(2)長鎖炭化水素系ワックス
例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
(3)ジアルキルケトン系ワックス
例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。
(4)アミド系ワックス
例えば、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。
(5)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内とすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等を起こさずに安定したトナー画像の形成を行うことができる。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
〈外添剤〉
外添剤は、その添加によりトナーの流動性や帯電性が改良され、またクリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、例えば無機微粒子や有機微粒子、滑剤等が挙げられる。
無機微粒子としては、平均一次粒径は4〜800nm程度の公知のものを使用することが可能である。例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
シリカ微粒子の具体例としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形のものを使用することができる。具体的にはスチレンやメチルメタクリレート等の単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
クリーニング性や転写性をさらに向上させるためには滑剤を使用することができる。滑剤としては高級脂肪酸の金属塩が挙げられ、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤の添加方法としてはタービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機等の種々の公知の混合装置を使用する方法が挙げられる。
次に、本発明に係るトナーの粒径等について説明する。
本発明に係るトナーは、体積基準におけるメディアン径(D50v)を3μm以上8μm以下とすることが好ましい。本発明に係るトナーは写真画像の色再現を忠実に行うことが課題の一つであるが、体積基準メディアン径をこの範囲とすることにより、例えば1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することができる。これにより、写真画像を印刷する際にも写真画像を構成するドット画像が微小化され、印刷画像と同等以上の高精細写真画像が得られる。特に、オンデマンド印刷と呼ばれる数百部から数千部レベルで印刷注文を受ける印刷分野では、高精細な写真画像が注文に含まれる場合でも、高画質な印刷物を迅速にユーザに納品することができる。
なお、トナーの体積基準のメディアン径(D50v)は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純粋で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液をサンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカに測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定器カウントを2500個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパーチャー径は50μmのものを使用する。
また、本発明に係るトナーはその体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が2%以上21%以下のものが好ましく、5%以上15%以下のものがより好ましい。
体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準で示したもので、下記式によって定義される。
CV値(%)=(個数粒度分布における標準偏差)/(個数粒度分布におけるメディアン径(D50v))×100
このCV値が小さいほど、粒度分布がシャープであることを示し、それだけトナー粒子の大きさがそろっていることを意味する。すなわち、大きさの揃ったトナーが得られ、画像に求められる微細なドットや細線をより高精度に再現することが可能である。
また、本発明に係るトナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上130℃以下となるものが好ましく、さらに70℃以上110℃以下となるものがより好ましい。トナーの軟化点をこの範囲とすることにより、従来よりも低い温度でトナー画像の定着を行うことができ、電力消費の低減を実現した、環境に優しい画像形成を可能とする。本発明に係るトナーに使用される着色剤は、熱の影響を受けてもスペクトルが変化することのない安定した性質を有するものであるが、軟化点を前記範囲とすることで定着時にトナーが熱変形し、形成されるトナー画像の厚みが安定するので、さらに鮮やかで安定した色再現性を発現させる点で好ましい。
なお、トナーの軟化点は、例えば次の方法(1)〜(3)を単独で又は組み合わせることにより制御することが可能である。
(1)樹脂形成に用いる単量体の種類や組成比を調節する。
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により樹脂の分子量を調節する。
(3)ワックス等の種類や添加量を調節する。
トナーの軟化点の測定は、「フローテスターTFT−500(島津製作所製)」を用いて行うことができる。まず、測定試料を高さ10mmの円柱形状に成形し、フローテスターTFT−500にセットする。そして、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×106Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶解開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とする。
《トナーの製造方法》
本発明に係るトナーは従来のトナーの製造方法により作製することができる。従来のトナーの製造方法としては、混練、粉砕、分級の工程を経て作製する粉砕法の他、重合性の単量体を重合させ、同時に形状や大きさを制御しながらトナーの粒子形成を行う重合トナーの製造方法(例えば、乳化会合法、懸濁重合法、ポリエステル伸張法等)を適用することにより作製可能である。また、トナーをコアとシェルから構成し、トナーのカプセル化を行うこととしてもよい。
例えば、粉砕法によるトナーの製造方法の場合、以下の工程を含む。
(1)重合体結合色素の合成
(2)トナーを構成する材料(樹脂、重合体結合色素の合成品を含む着色剤、離型剤、外添剤等)の混練・破砕
なお、粉砕法により本発明に係るトナーを製造する場合、混練物の温度を吐出部すなわち混練物の冷却前の時点で、樹脂の軟化点以上130℃以下に維持した状態で作成することが、着色剤の分散性を高める観点から好ましい。
また、乳化会合法によるトナーの製造方法の場合、下記に示す工程を含む。
(1)重合体結合色素の合成
(2)重合体結合色素の合成品を含む着色剤の分散液の調整
(3)樹脂粒子の重合
(4)樹脂粒子と着色剤粒子の塩析/融着
(5)濾過・洗浄
(6)外添処理
なお、着色剤の分散性を高める観点から、乳化会合法、懸濁重合法においては、重合性単量体に本発明の着色剤を溶解又は分散させた後、水系媒体中で重合性単量体を重合する工程を設けることが好ましい、溶解懸濁法、ポリエステル伸張法では、メチルエチルケトン等の樹脂溶液に本発明の着色剤を溶解させる工程を設けることで、本発明の着色剤をトナー粒子に導入することができる。
本発明に係るトナーは、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することもできるし、キャリアとトナーから構成される二成分現像剤として用いることもできる。
非磁性一成分現像剤として使用する場合、画像形成時にトナーは帯電部材や現像ローラ面に摺擦、押圧して帯電が行われる。非磁性一成分現像方式による画像形成は、現像装置の構造を簡略化できるので、画像形成装置全体をコンパクト化できるメリットがある。従って、本発明に係るトナーを非磁性一成分現像剤として用いると、スペースに制限のある作業環境下でもコンパクトでかつ色再現性に優れたフルカラー印刷が可能となる。
二成分現像剤として使用する場合、後述するタンデム方式の画像形成装置を用いて、高速でのフルカラー印刷が可能である。また、トナーを構成する樹脂やワックスを選択することにより、定着時の用紙温度が100℃程度のいわゆる低温定着対応のフルカラー印刷も可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、公知のものを用いることができる。例えば鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等であるが、これらの中ではフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
〈画像形成方法〉
本発明に係るトナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
まず、図1を参照して本発明に係るトナーを二成分現像剤として用いた場合の画像形成方法及び画像形成装置を説明する。図1に示すのは、本発明に係るトナーを用いて画像形成を行う画像形成装置11の一例である。この画像形成装置11はタンデム型のカラー画像形成装置と称せられるものある。
図1に示すように、画像形成装置11の本体上部には画像読取装置21が設けられている。
また、画像形成装置11はY、M、C、Kのトナーの色毎に、露光及び現像を行うユニットuY、uM、uC、uKを備えている。ユニットuY、uM、uC、uKは、それぞれ露光装置u1、現像装置u2、感光体u3、帯電部u4、クリーニング部u5、1次転写ローラu6を含んでいる。1次転写ローラu6は感光体u3に圧接されている。
さらに、画像形成装置11は中間転写ユニット22、2次転写ローラ23、定着装置24、給紙部25を備えている。中間転写ユニット22は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間ベルト2aと、クリーニング部2bとを含む。2次転写ローラ23は中間ベルト2aに圧接されている。
画像形成時には、帯電部u4により感光体u3の帯電が行われると、露光装置u1により露光が行われ、感光体u3上に画像信号に基づく静電潜像が形成される。次いで、現像装置u2により現像が行われ、感光体u3上にトナーが付着されてトナー画像が形成されると、当該トナー画像は感光体u3の回転及び1次転写ローラu6の作用により中間ベルト2a上に転写される。この露光、現像、転写の工程を、中間ベルト2aの回動に合わせて、各色のユニットuY、uM、uC、uKが順次繰り返すことにより、中間ベルト2a上に各色のトナー画像が重ねられ、カラー画像が形成される。
一方、給紙部25からは用紙が搬送され、2次転写ローラ23の位置まで当該用紙が搬送されると、2次転写ローラ23の作用によって中間ベルト2aから用紙上にカラー画像が一括して転写される。その後、用紙は定着装置24に搬送されて加圧及び加熱により用紙上にカラー画像が固定され定着されると、最終的に外部に設けられているトレイに排出される。このようにして、画像形成が終了すると、クリーニング部u5、22により感光体u3や中間ベルト2aに残存するトナーが除去される。
次に、図2を参照して本発明に係るトナーを非磁性一成分現像剤として用いた場合の画像形成方法及び画像形成装置について説明する。
図2は、非磁性一成分現像剤を用いるカラー画像形成装置12の一例である。
図2に示すように、画像形成装置12には、回動駆動される感光体62の周囲に、感光体62表面を所定電位に均一帯電させる帯電ブラシ61、クリーニング部63が設けられている。
露光装置3はレーザダイオード、ポリゴンミラー、fθ光学素子を備えたレーザ走査光学系である。露光装置3は、図示しないホストコンピュータからY、M、C、Kの各色の画像信号が転送されると、当該画像信号に基づきレーザビームを出力して、帯電ブラシ61により均一帯電された感光体62上を走査露光し、感光体62上に静電潜像を形成する。
また、画像形成装置12は、支軸43の周囲にY、M、C、Kの各色の非磁性一成分トナーをそれぞれ収容する4つの現像装置4Y、4M、4C、4Kを備えて構成されている。露光装置3により感光体62上に各色の静電潜像が形成される毎に、対応する色のトナーを収容した現像装置4Y、4M、4C、4Kが感光体62に対向する位置にくるように、各現像装置4Y、4M、4C、4Kは支軸43を中心に回転駆動される。そして、感光体62に対向する位置に導かれた各現像装置4Y、4M、4C、4Kは、帯電された感光体62上に各色のトナーを付着させて現像を行う。
感光体62の回転方向下流側には、中間ベルト71、クリーニング部74を有する中間転写ユニット7と、1次転写ローラ5と、2次転写ローラ73とが設けられている。中間ベルト71は感光体62と同期して回動する。1次転写ローラ5は感光体62側へ押圧が加えられているので、中間ベルト71は1次転写ローラ5により押圧された部位で感光体62と接触し、感光体62に形成されたトナー画像は中間ベルト71へと転写される。以上の露光、現像、転写を各色の画像について繰り返し行うことにより、中間ベルト71上には各色のトナー画像を重ね合わせたカラー画像が形成される。
一方、給紙部64からは2次転写ローラ73の位置まで用紙が搬送される。2次転写ローラ73は中間ベルト71を支持する支持ローラ72と対向して設けられており、用紙はこの2つのローラ間に搬送されるので、中間ベルト71上のトナー画像は用紙上に押圧転写される。トナー画像が転写された用紙は搬送部65により定着装置8へと搬送され、トナー画像の定着が行われる。定着を終えると用紙は画像形成装置12の外部へと排出される。その後、クリーニング部63、74により感光体62や中間ベルト71に残存するトナーの除去が行われる。
なお、図2に示す画像形成装置12では、現像装置4Y、4M、4C、4K(以下、総称して現像装置4とする)は交換可能に構成されている。このような交換可能な現像装置4はトナーカートリッジと呼ばれる。トナーカートリッジの形態で提供される現像装置4は、画像形成装置12内の所定位置に装填されると収容する現像剤を供給する。供給する現像剤がなくなると現像装置4Y、4M、4C、4Kを取り外して新しい現像装置4に交換して使用することができる。
図3Aに交換可能な現像装置4の外観を示し、図3Bに断面構成を示す。
図3Bに示すように現像装置4には現像ローラ41に隣接してバッファ室42、バッファ室42に隣接してホッパ43が設けられている。
現像ローラ41は、導電性の円柱基体と、基体の外周にシリコーンゴム等の硬度の高い物質を用いて形成した弾性層を有する。また、現像ローラ41には供給ローラ46が押圧されている。供給ローラは図示しないモータにより現像ローラ41と同一方向(図中反時計回りの芳香)に回転駆動する。供給ローラ46は導電性の円柱基体と当該基体の外周にウレタンフォーム等によって形成された発泡層を有する。
バッファ室42にはブレード44が現像ローラ41に圧接するように配置されている。ブレード44は現像ローラ41上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。さらに、現像ローラ41上のトナーの帯電量、付着量の規制を補助する部材として、現像ローラ41の回転方向に対してブレード44の下流側に補助ブレード45を設けることも可能である。
ホッパ43には一成分現像剤であるトナーTが収容されている。ホッパ43にはトナーTを攪拌する回転体431が設けられている。回転体431にはフィルム状の搬送羽根が取り付けられており、回転体431が図3Bに示す矢印方向へと回転することによりトナーTの搬送を行う。搬送によって、トナーTはホッパ43とバッファ室42を隔てる隔壁に設けられた通路433を介してバッファ室42に供給される。なお、搬送羽根は回転体431の回転に伴い、搬送羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓み、さらに搬送羽根が通路433の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように形状が湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るように、搬送羽根を形成することでトナーTを通路433に供給することができる。
また、通路433には通路433を閉鎖する弁が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路433右側面上側に固定され、トナーTがホッパ43から通路433に供給されると、トナーTの押圧力により右側に押されてバッファ室42への通路433が通じるようになっている。その結果、バッファ室42内にトナーTが供給される。
弁の他端には規制部材432が取り付けられている。規制部材432と供給ローラ46は、弁が通路433を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成するように配置されている。規制部材432はバッファ室42の底部にたまるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ41から供給ローラ46に回収されたトナーTがバッファ室42の底部に多量に落下しないように形成される。
画像形成装置12において現像を行う際、現像装置4では現像ローラ41が図3Bに示す矢印方向に回転駆動するとともに、供給ローラ46の回転によりバッファ室42のトナーTが現像ローラ41上に供給される。現像ローラ41上に供給されたトナーTは、ブレード44、補助ブレート45により帯電、薄層化された後、感光体62との対向領域に搬送され、感光体62上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーTは、現像ローラ41の回転に伴ってバッファ室42に戻り、供給ローラ46により現像ローラ41から掻き取られて回収される。
次に、図4を参照して定着装置8について説明する。
本発明に係るトナーは、従来の定着装置の加熱温度でトナー中の着色アジの結晶構造に変動を来すものではなく、公知の定着装置であれば安定した色再現性を有するトナー画像が得られる。ところで、近年では地球環境への配慮等の視点から、画像形成装置のエネルギー消費量を低減化させる動きがある。そのため、定着工程におけるエネルギー消費量の低減化についても注目され、現状の定着温度よりも低い温度でトナー画像を定着するいわゆる低温定着対応の技術がとりいれられている。
よって、本発明に係るトナーを低温定着対応のトナーとしたときには、定着装置8における加熱部材の表面温度を200℃未満に設定することが好ましく、さらに加熱部材の表面温度を180℃未満に設定することがより好ましくなる。この設定温度下では、加熱部材から供給される熱を用紙に効率良く供給することが求められ、加熱部材或いは加圧部材の何れか一方に耐熱性のベルトを用いたいわゆるベルト定着と呼ばれる定着方法が好ましい。
図4は、ベルト定着方式の定着装置8の一例を示す図である。
図4に示すように、定着装置8はニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラを用いたタイプのもので、定着ローラ81、シームレスベルト82、圧力パッド821、潤滑剤供給部材85を主に備える。
定着ローラ81は、金属製のコア(円筒状芯金)81aの周囲に耐熱性弾性体層81b、離型層(耐熱性樹脂層)81cが形成されてなり、コア81aの内部には加熱源としてハロゲンランプ83が配置されている。定着ローラ81の表面温度は温度センサ84により計測され、その計測信号に基づいて図示しない温度コントローラによりハロゲンランプ83がフィードバック制御され、定着ローラ81の表面が一定温度を保持するように調整される。
シームレスベルト82は定着ローラ81に対し所定の角度で巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。シームレスベルト82の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド821がシームレスベルト82を介して定着ローラ81に押圧される状態で配置されている。圧力パッド821は強いニップ圧が係る圧力パッド821aと弱いニップ圧がかかる圧力パッド821bを含み、金属製等のホルダ821cによって保持されている。ホルダ821cにはシームレスベルト82がスムーズに摺動回動するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト82内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が好ましく、かつシームレスベルト82から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材が好ましい。そのような材質の具体例としては例えばポリイミドが挙げられる。
なお、本発明に係るトナーを用いて画像形成を行う用紙としては、薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された用紙の他、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスティックフィルム、布等の各種用紙を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、1〜17の実施例を説明するが、これら実施例に係るトナー及び当該トナーを用いた現像剤を1〜17の番号を付して表す。また、1〜3の比較例に係るトナーを比較用トナーH1〜H3と表し、当該比較用トナーH1〜H3を用いた現像材を現像剤H1〜H3と表す。
《実施例に係るトナーの作製》
〈重合体結合色素の合成〉
まず、着色剤に用いる重合体結合色素の合成を行った。このとき、表1〜表3に示すように合成に用いる主材料を変えて各実施例1〜17の重合体結合色素を合成している。
Figure 2009276416
Figure 2009276416
Figure 2009276416
以下、重合体結合色素の合成方法を例に説明する。
重合工程:まず、蒸留水3000質量部にラウリル硫酸ナトリウム1.5質量部を溶解する。その後、窒素気流下で内温80℃に加熱し、攪拌しながら過硫酸カリウム水溶液(200質量部の蒸留水に過硫酸カリウム10.3質量部を溶解したもの)を添加する。次に、この溶液にp−ニトロスチレン350質量部、メチルメタアクリレート350質量部、n−オクチルメルカプタン14質量部をよく混合した液を1時間かけて滴下する。その後、内温を90℃に昇温し、1時間攪拌を続けた後、冷却し、重合体結合色素のベース重合体となる共重合体ラテックスを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量Mpは15300であった。
還元工程:この液に、パラジウム炭素(Pd−C)触媒50質量部を添加し、攪拌しながら水素ガスを通気させる。24時間攪拌した後、パラジウム炭素触媒を除き、アミノ体を得た。
ジアゾ化工程:次に、パラジウム炭素(Pd−C)触媒をデカンテーションにて除去し、得られた液に氷冷下、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム180質量部を蒸留水1800質量部に溶解したもの)を徐々に滴下する。この液を1時間攪拌した後、6フッ化リンナトリウム435質量部を蒸留水2000質量部に溶解したものを添加し、さらに攪拌を続ける。1時間攪拌した後、液を濾過してウェット状のジアゾ体を得た。このジアゾ体はウェット状のまま冷蔵庫にて保管し、24時間以内に次の反応に使用した。
カップリング工程:次に、カップリング剤(上記式D1で表されるカップリング剤)の370質量部及びカップリング反応の触媒となる試薬をジメチルホルムアミド3000質量部に入れ、氷冷下で攪拌する。これを、先のジアゾ体をジメチルホルムは見度2000質量部に入れて氷冷下にて攪拌しているところに、急激に発熱しないように注意しながら徐々に添加し、本紫色の発色物を得た。遠心分離とデカンテーションを繰り返し、精製した後、よく乾燥し、実施例1に係る重合体結合色素を950質量部得た。
実施例2〜17に係る重合体結合色素については、上記表1〜表3に示すようにカップリング剤等の主原料を変え、上述したのと同様の方法により合成を行った。また、実施例6〜10では、表2に示すように還元工程で使用する触媒をPS−PEG(ポリスチレン−ポリエチレングリコール)固定Pd錯体触媒に変更している。
〈重合体結合色素の粉砕、分散〉
先に得られた重合体結合色素をヘンシェルミキサーによりよく粉砕した。
次に、エマールE−27C(花王社製)100質量部を蒸留水3000質量部に溶解し、粉砕した重合体結合色素380部を添加してよく攪拌した。攪拌後、SCミル(三井鉱山社製)により200nm(D50v)まで分散した。この分散液を、重合体色素の分散液としてトナーの作製に用いる。
実施例2〜17では、重合工程において上記表1に示す連鎖移動剤、重合開始剤を用いて、表1に示すモノマー1〜4により重合体を得る。得られた重合体の分子量Mpは表1に示す通りである。なお、表1において、MMA;メチルメタアクリレート、ST:スチレン、BA;n−ブチルアクリレート、AA;アクリル酸、MAA;メタクリル酸、IA;イタコン酸、NOM;n−オクチルメルカプタン、NOMP;β−メルカプトプロピオン酸−n−オクチルエステル、TDM;t−ドデシルメルカプタン、TOM:t−オクチルメルカプタン、KPS;過硫酸カリウム、APS;過硫酸アンモニウム、SPS;過硫酸ナトリウムである。また、各実施例2〜17の還元工程で使用する触媒、ジアゾ化工程使用する亜硝酸ナトリウムの質量部、置換塩は表2に示した。カップリング工程では、表3に示すようにカップリング剤を変えてカップリング反応させた。カップリング反応により得られる重合体結合色素の一般式AにおけるR〜R、重合体結合色素の収量、色は表3に示す通りである。
(1)トナー1(混練破砕法によるトナー)の作製
下記材料をヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)に投入し、攪拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理した。
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸の縮合物、重量平均分子量20000):100質量部
重合体結合色素(実施例1に係るもの):5質量部
離型剤(ペンタエリスリトールテトラステアレート):6質量部
荷電制御剤(ジベンジル酸ホウ素):1質量部
なお、上記ポリエステル樹脂は例えば以下のような方法で調製することができる。
まず、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸0.1mol、フマル酸2.4mol、酸化ジブチル錫:0.12gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れた。このフラスコに温度計、攪拌棒、コンデンサ及び窒素導入管を取り付け、マントルヒータ内においた。窒素雰囲気下、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂(Tm=95℃)を得る。このポリエステル樹脂の分子量Mpは12000であった。
また、ポリエステル樹脂ではなく、ポリエステルポリオール樹脂を用いる場合には、以下の方法により調製することができる。
攪拌装置、温度計、窒素導入口及び還流管を備えた容量500mlセパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井東圧化学社製、KB−280、OH価:291KOHmg/g)33.9g、無水フタル酸26.1g、キシレン15gを仕込み、系が均一になるまで内温80℃で攪拌した。次に、触媒としてベンジルジメチルアミン(BDMA)30mgを添加後、130℃まで昇温し、4時間反応させた。
反応混合物を50℃以下に冷却後、ビスフェノールA41.3g、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三井石油化学社製、エポミックR140P、エポキシ当量188g/eq)127.6g、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三井石油化学社製、エポミックR309、エポキシ当量2750g/eq)48g、安息香酸19.7g、ステアリン酸3.5gを仕込み、80℃でテトラメチルアンモニウムクロリド50%水溶液0.12gを加えた。160℃で1時間反応後、還流管を減圧蒸留装置に替え、減圧度を徐々に高めながらキシレン及び水を留去した。1時間後、減圧度は1333Pa(10mmHg)に達した。さらに1時間攪拌した後、反応系内の圧力を常圧に戻し、攪拌を7時間継続し、ポリエステルポリオール樹脂を得る。
混合処理により得られた混合物を2軸押出混練機で混練し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、さらにコアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行うことで、体積基準メディアン径が5.5μmの着色粒子を得た。
次に、上記着色粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)にて投入し、外添処理を行って実施例1に係るトナー1を作製した。外添処理ではヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下、混合する。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm):0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm):0.8質量部
(2)トナー2(乳化会合法によるトナー;会合時導入法)の作製
i)着色剤粒子分散液の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解、攪拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、実施例2に係る重合体結合色素5質量部を徐々に添加し、クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)を用いて分散処理を行って、着色剤粒子分散液を調製した。
着色剤粒子分散液中の着色剤粒子は体積基準メディアン径(D50v)が98nmであった。体積基準メディアン径はMICROTRAC UPA−150(HONEYWELL社製)を用い、下記測定条件によって測定したものである。
サンプル屈折率:1.59
サンプル比重:1.05(球状粒子換算)
溶媒屈折率:1.33
溶媒粘度:0.797(30℃)、1.002(20℃)
0点調整:測定セルにイオン交換水を投入し調製
ii)コア用樹脂粒子の作製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有するコア用樹脂粒子を作製した。
a)第1段重合
攪拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、C1012(OCHCHSONaの構造式を持つアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
スチレン:532質量部
n−ブチルアクリレート:200質量部
メタクリル酸:68質量部
n−オクチルメルカプタン:16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この径を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(これを第1段重合という)を行い、樹脂粒子J1を作製した。
b)第2段重合
攪拌装置を取り付けたフラスコ内に下記材料からなる単量体混合液を投入し、続いて離型剤としてパラフィンワックスHNP−57(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させ、単量体溶液を調製した。
スチレン:101.1質量部
n−ブチルアクリレート:62.2質量部
メタクリル酸:12.3質量部
n−オクチルメルカプタン:1.75質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に、前記樹脂粒子J132.8質量部(固形分換算した値)添加し、さらに上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エムテクニック社製)により8時間混合分散した。これにより、分散粒子径が340nm(D50v)の乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、得られた乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、90℃にて12時間にわたり加熱攪拌することで重合(これを第2段重合という)を行って樹脂粒子J2を調製した。この樹脂粒子J2の重量平均分子量は23000であった。
c)第3段重合
上記第2段重合で得られた樹脂粒子J2に、過硫酸カリウム5。45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、88℃の温度条件下で、下記材料からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン:293.8質量部
n−ブチルアクリレート:154.1質量部
n−オクチルメルカプタン:7.08質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌を行って重合(これを第3段重合という)を行い、重合終了後、28℃に冷却してコア用樹脂粒子を作製した。このコア用樹脂粒子の重量平均分子量は26800であった。
iii)シェル用樹脂粒子の作製
前記コア用樹脂粒子の作製において第1段重合で使用された単量体混合液を、下記材料からなる単量体混合液に変更した以外は、上記コア用樹脂粒子の作製と同様に重合反応及び反応後の処理を行い、シェル用樹脂粒子を作製した。
スチレン:624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート:120質量部
メタクリル酸:56質量部
n−オクチルメルカプタン:16.4質量部
iv)トナー2の作製
下記手順により実施例2に係るトナー2を作製した。
a)コアの形成
攪拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、下記材料を投入、攪拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8〜11に調整した。
コア用樹脂粒子:420.7質量部(固形分換算)
イオン交換水:900質量部
着色剤粒子分散液:200質量部
次いで、上記調整液に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を攪拌しながら30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、60分間かけて65℃まで昇温させ、コア用樹脂粒子と着色剤粒子との会合を行った。この状態でマルチサイザ3(コールター社製)を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が5.5μmになったときに、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
会合停止後、さらに熟成処理として液温を70℃にして1時間にわたり加熱攪拌を行うことにより融着を継続させてコアを形成した。コアの平均円形度をFPIA2000(システックス社製)で測定したところ、0.905であった。
b)シェルの形成
次に、上記会合を停止させた液を65℃にしてシェル用樹脂粒子を96質量部添加し、さらに塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加する。その後、70℃まで昇温させて1時間にわたり攪拌を行ってコアの表面にシェル用樹脂粒子を融着させた後、75℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
この後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した着色粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有するトナー粒子を作製した。
c)外添処理
作製したトナー粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)に投入し、外添処理を行って実施例2に係るトナー2とした。外添処理ではヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下、混合する。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm):0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm):0.8質量部
(3)トナー3〜14の作製
トナー2の作製において、重合体結合色素を各実施例3〜17に係るものに変更する他は同様の手順でトナー3〜14を作製した。各実施例3〜14に係るトナーについて測定されたコアの平均円形度は表4に示す。
Figure 2009276416
(4)トナー15(乳化会合法によるトナー:重合時導入法)の作成
i)色素含有コア用樹脂粒子の作製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有するコア用樹脂粒子を作製した。
a)第1段重合
攪拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、C1012(OCHCHSONaの構造式を持つアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3000質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水700質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
スチレン:532質量部
n−ブチルアクリレート:200質量部
メタクリル酸:68質量部
n−オクチルメルカプタン:16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この径を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子J3を作製した。
b)第2段重合
攪拌装置を取り付けたフラスコ内に下記材料からなる単量体混合液を投入し、続いて離型剤としてパラフィンワックスHNP−57(日本製蝋社製)72.8質量部を添加し、さらに実施例15に係る重合体結合色素40質量部を添加して、90℃に加温して溶解させ、単量体溶液を調製した。
スチレン:100.0質量部
n−ブチルアクリレート:60.2質量部
メタクリル酸:8.5質量部
n−オクチルメルカプタン:1.50質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1500質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、90℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に、前記樹脂粒子J3;30.5質量部(固形分換算した値)を添加し、さらに上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機クレアミックス(エムテクニック社製)により8時間混合分散した。これにより、分散粒子径が385nm(D50v)の乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、得られた乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、92℃にて12時間にわたり加熱攪拌するこで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子J4を調製した
この樹脂粒子J4の重量平均分子量は25000であった。
c)第3段重合
上記第2段重合で得られた樹脂粒子J4に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記材料からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン:350.0質量部
n−ブチルアクリレート:170.0質量部
n−オクチルメルカプタン:7.00質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌を行って重合(第3段重合)を行い、重合終了後、28℃に冷却してコア用樹脂粒子を作製した。このコア用樹脂粒子の重量平均分子量は29000であった。
ii)シェル用樹脂粒子の作製
前記コア用樹脂粒子の作製において第1段重合で使用された単量体混合液を、下記材料からなる単量体混合液に変更した以外は、上記コア用樹脂粒子の作製と同様に重合反応及び反応後の処理を行い、シェル用樹脂粒子を作製した。
スチレン:605質量部
2−エチルヘキシルアクリレート:120質量部
メタクリル酸:40質量部
n−オクチルメルカプタン:8.0質量部
iii)トナー15の作製
下記手順により実施例15に係るトナー15を作製した。
a)コアの形成
攪拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、下記材料を投入、攪拌した。反応容器内の温度を30℃に調製後、5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
コア用樹脂粒子:290.0質量部(固形分換算)
イオン交換水:1100質量部
次いで、上記調製液に、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解した水溶液を攪拌しながら30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、60分間かけて85℃まで昇温させ、会合を行った。この状態でマルチサイザ3(コールター社製)を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径(D50v)が5.5μmになったときに、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水900質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
会合停止後、さらに熟成処理として液温を85℃にして1時間にわたり加熱攪拌を行うことにより融着を継続させてコアを形成した。コアの平均円形度をFPIA2100(システックス社製)で測定したところ、0.908であった。
b)シェルの形成
次に、上記会合を停止させた液を80℃にしてシェル用樹脂粒子を96質量部添加し、さらに塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加する。その後、85℃まで昇温させて1時間にわたり攪拌を行ってコアの表面にシェル用樹脂粒子を融着させた後、92℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
この後、塩化ナトリウム42.5質量部をイオン交換水1400質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。さらに、8℃/分の速度で35℃に冷却して生成した着色粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有するトナー粒子を作製した。
c)外添処理
作製したトナー粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)に投入し、外添処理を行って実施例15に係るトナー15とした。外添処理ではヘンシェルミキサーの攪拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下、混合する。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm):0.7質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm):0.7質量部
(4)トナー16、17の作製
トナー15の作製において、重合体結合色素を各実施例16、17に係るものに変更する他は、同様の手順でトナー16、17を作製した。
《比較例に係るトナーの作製》
(1)比較用トナーH1の作製
トナー2の作製において、実施例2に係る重合体結合色素を、低分子色材G1に変更した他は同様の手順で比較例1に係る比較用トナーH1を作製した。
低分子色材G1は、実施例1に係る重合体結合色素の構造からポリマー部分のYを除いた構造を有する。低分子色材G1を調製するには、実施例1に係る重合体結合色素の製造過程において、重合工程を経ずに還元工程においてp−ニトロスチレンのアミノ体を得て、ジアゾ化工程、カップリング工程を経ればよい。
(2)比較用トナーH2の作製
トナー2の作製において、実施例2に係る重合体結合色素を、低分子色材G2に変更した他は同様の手順で比較例2に係る比較用トナーH2を作製した。低分子色材G1は、実施例2に係る重合体結合色素の構造からポリマー部分のYを除いた構造を有する。低分子色材G2を調製するには、実施例2に係る重合体結合色素の製造過程において、重合工程を経ずに還元工程においてp−ニトロスチレンのアミノ体を得て、ジアゾ化工程、カップリング工程を経ればよい。
(3)比較用トナーH3の作製
トナー2の作製において、実施例2に係る重合体結合色素を、低分子色材G3に変更した他は同様の手順で比較例3に係る比較用トナーH3を作製した。低分子色材G3は、実施例3に係る重合体結合色素の構造からポリマー部分のYを除いた構造を有する。低分子色材G3を調製するには、実施例3に係る重合体結合色素の製造過程において、重合工程を経ずに還元工程においてp−ニトロスチレンのアミノ体を得て、ジアゾ化工程、カップリング工程を経ればよい。
《現像剤の作製》
上記作製したトナー1〜17、比較用トナーH1〜H3のそれぞれに、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1〜17、比較用現像剤H1〜H3を調製した。
《評価実験》
(1)ドキュメントオフセット性の評価
市販のフルカラー高速複合機(c6500;コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)により、評価用画像を両面印刷した。評価用画像はイエローの背景に、調整した現像剤1〜17、比較用現像剤H1〜H3によって6.0ポイントのアルファベットを36行分印字するものである。この評価用画像をA4サイズの光沢紙を用いて両面に印刷し、用紙50枚分(つまり印刷するのは100ページ分となる)の印刷を連続で行う。
上記両面印刷した50枚分の印刷物を重ねて大理石テーブル上に揃えて置き、重ねた部分に対して19.6kPa(200g/cm)相当の圧力が加わるようにおもりを載せた。この状態で温度30℃、湿度60%RHの環境下で3日間放置した後、重ね合わせたトナー画像上における画像欠損の度合いを下記基準により評価した。
優良:トナー移行による画像不良やトナー画像同士の軽微な貼付きが見られず、画像欠損の問題が全くないレベル
良好:重ねた状態にある印刷物を1枚1枚離すときにパリッという音がしたが、画像不良はなく画像欠損の問題がないレベル
実用可:重ねた状態にある印刷物を1枚1枚離したときに、トナー画像上に若干のグロスムラの発生は認められるが、画像不良がなく画像欠損はほとんどないと判断できるレベル
不良:イエロー色の背景上で当初文字画像が出力されていなかった領域上に文字画像の移行が認められ、文字画像上にも接触トナーが図の移行による変色が認められるレベル
上記優良、良好、実用可、不良の評価のうち、優良、良好、実用可のものを合格とした。
(2)トナーの昇華性
トナー1.0gをアルミホイルシャーレに広げ、シャーレの上面を白紙で覆う。200℃に加熱したホットプレートで30分シャーレを加熱した後、着色剤昇華による紙の色変化を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:色変化なし
△:微小な色変化あり
×:明らかな色変化あり
(3)機内汚染性
上記評価機により10万枚の印刷を行い、着色剤の昇華による定着装置内の汚染状態を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:汚染は全く見られない
△:定着ローラ付近の部材に昇華した着色剤の軽微な付着が認められる
×:定着装置の部材の一部に昇華した着色剤の明らかな付着が認められる
(4)トナーの飛散性(帯電特性)
上記評価機により10万枚の印刷を行った後、現像装置を取り出し、空回転機にセットした。現像装置のスリーブ真下を中心にA4用紙を置き、60分間の空回転を行い、用紙上に落ちたトナーの重量を測定した。測定値は以下の基準によりランク付けして評価した。なお、現像装置のスリーブ回転周速は620mm/秒とした。
ランク1:3mg未満
ランク2:3mg以上6mg未満
ランク3:6mg以上9mg未満
ランク4:9mg以上12mg未満
ランク5:12mg以上15mg未満
ランク6:15mg以上
ランク1〜3を合格とする。
(5)透明性
OHTシートに画像を形成し、当該画像の透明性について評価を行った。まず、330型自記分光光度計(日立製作所製)によりトナーが担持されていないOHTシートをレファレンスとして画像の可視分光透過率を測定し、650nmでの分光透過率を求め、OHT画像の透明性の尺度とした。求めた分光透過率の数値が大きいほど透明性に優れており、ここでは65%以上であれば良好な透明性を持つと判断した。なお、評価用画像のトナー付着量は4g/mとなる条件で印刷を行っている。
上記評価結果を表5に示す。
Figure 2009276416
表5に示すように、実施例に係るトナー1〜17は全てドキュメントオフセット性に優れており、さらに昇華性、昇華による汚染性についても良好な結果となっている。これはおそらく、着色剤に用いる色素として低分子量の色素が重合体に結合した一般式Aの構造を選択することにより、トナー粒子中での色素の固定が確実となり、かつトナー全体への分散が良好となったことによると考えられる。これに対し、比較例に係るトナーH1〜H3は、ドキュメントオフセット性は全て不良であり、昇華性の評価も低いことから、定着装置内の汚染が起こっていることが分かる。これは、低分子量の色素を重合体に結合することなくそのまま用いていることから、トナー粒子での色素の固定が弱いからと推察される。
また、実施例に係るトナー1〜17は昇華性の改善により、飛散・帯電特性の評価値が大きくても6.1mgと、合格ランクの9mgをかなり下回るという良好な結果である。比較例に係るトナーH1〜H3は全て13.0g以上と合格ランクに到達できていない。
さらに、透明性の評価においては、実施例に係るトナー1〜17はほとんどが80(%)を超えており、鮮やかで透明感のある発色が可能である。
また、表3に示したように実施例で合成して得た重合体結合色素の合成品は本紫や江戸紫、桔梗色等、同じ紫系の色の中でも様々な色を呈している。すなわち、本発明に係るトナーでは、カップリング剤とベースの組合せ(ジアゾニウム塩とのカップリング反応)によって色調を選択することができ、従来よりも広い色調で安定した色再現性を実現することが可能となる。特に、近年ではディスプレイ上に表示した画像を印刷するケースが多いが、従来のカラー印刷の色域はディスプレイでの色域よりもはるかに狭かったため、ディスプレイ上の画像と印刷した画像との色合いに大きな差異があった。しかしながら、本発明に係るトナーを用いることにより、従来よりもディスプレイの色域に近いプリント画像を得ることが可能となる。このように、本発明に係るトナーはトナー画像における色域の拡大に大きく貢献するものといえる。
二成分系現像方式の画像形成が可能な画像形成装置の一例である。 非磁性一成分系現像方式の画像形成が可能な画像形成装置の一例である。 現像装置(トナーカートリッジ)の一例を示す図である。 現像装置(トナーカートリッジ)の内部断面図である。 ベルトと加熱ローラを用いたベルト定着方式の定着装置の一例である。
符号の説明
11 画像形成装置(二成分系現像方式)
u2 現像装置
24 定着装置
12 画像形成装置(非磁性一成分系現像方式)
4Y、4M、4C、4K 現像装置
41 現像ローラ

Claims (1)

  1. 樹脂と着色剤を含むトナーにおいて、
    前記着色剤の発色成分が下記一般式Aの構造を有するトナー。
    Figure 2009276416
    上記一般式Aにおいて、Yは分子量Mpが2000〜18000の重合体であり、Zは置換基を有してもよい芳香環又は複素環を示す。R、R、R、Rは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又はアルコキシ基を示す。
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WO2011068196A1 (ja) 2009-12-04 2011-06-09 本田技研工業株式会社 レゾルバデジタルコンバータ
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