本発明の一形態によれば、移動局から受信したチャネル状態情報に基づいて、一組の送信パラメータが導出される。一組の送信パラメータは、チャネル状態情報と、上りリンクの変調方式及びチャネル符号化率と、移動局の送信電力及び送信帯域幅の双方又は一方との記憶済みの対応関係から導出され、移動局に通知される。移動局はこの送信パラメータに合わせて各種の設定を行い、以後の上りリンクの信号を送信する。
AMCや送信電力だけでなく送信帯域幅も通信状況に応じて調整されるので、送信パラメータの組み合わせ数を大きく増やすことができ、送信パラメータをチャネル状態に合わせて更に適切に組み合わせることができ、信号の伝送品質を更に向上させることができる。
ある一定の期間内で、上りリンクのデータレートは適応的に調整されるが、送信電力は一定に維持されるように一組の送信パラメータが導出されてもよい。具体的には例えば、チャネル状態情報の時間平均値から送信電力が導出され、チャネル状態情報の瞬時値から送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率が導出される。或いはチャネル状態情報の平均値から送信電力及び送信帯域幅が導出されてもよい。これによりシステム全体のスループットを向上させ、リソースの利用効率を更に向上させることができる。
或いは、ある一定の期間内で、上りリンクのデータレートは一定に維持されるが、送信電力は可変に調整されるように前記一組の送信パラメータが導出されてもよい。具体的には例えば、チャネル状態情報の時間平均値から送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率が導出され、チャネル状態情報の瞬時値から送信電力が導出されてもよい。この場合はリアルタイム性の要求される通信に特に有利である。
上りリンクの受信誤り率及びスループットの少なくとも一方が改善されるように前記一組の送信パラメータが導出されてもよい。
複数の移動局から複数のチャネル状態情報を受信し、移動局各自の一組の送信パラメータが、複数のチャネル状態情報から導出されてもよい。個々の移動局だけでなく、複数の移動局の間さえも考慮して更に適切な送信帯域幅を決定することができる。
図1は本発明の一実施例による基地局の概略ブロック図を示す。基地局10は無線部(RF部)11と、信号抽出部12と、チャネル状態測定部13と、復調及び復号部14,15と、送信パラメータ決定部16とを有する。
無線部(RF部)11は移動局から送信され不図示のアンテナで受信された無線パケットをベースバンドの信号に変換するための各種の処理(例えば、周波数変換、帯域制限、アナログディジタル変換等)を行う。無線パケットが移動局から送信されることは必須ではなく、それは固定局を含む如何なる通信端末から送信されてもよいが、説明の簡明化のため移動局を例にとって説明が行われる。
信号抽出部12はRF部11の出力に結合され、受信信号に含まれているパイロットチャネル、共有パケット制御チャネル(「制御チャネル」と略す)及び共有パケットデータチャネル(「データチャネル」と略す)を抽出し、それらを出力する。パイロットチャネル、制御チャネル及びデータチャネルは時間多重、周波数多重、符号多重又はそれらの組み合わせで多重されて無線伝送される。従って信号抽出部12は多重されたそれらの信号を適切に分離し、デマルチプレクサとしても機能する。
チャネル状態測定部13は信号抽出部12の出力の1つに結合され、パイロットチャネルの受信品質を測定し、受信品質の瞬時値を用意する。受信品質又はチャネル状態の良否は典型的には受信したパイロットチャネルの信号電力対雑音電力比(SIR又は受信SIR)で測定されるが、より一般的には適切な何らかのチャネル状態情報(CQI: Channel Quality Indicator)で測定されてよい。また、チャネル状態測定部13は受信品質の瞬時値を一定期間(例えば、10ms乃至1s程度の期間)にわたって平均化し、受信品質の時間平均値を算出し、平均的なチャネル状態も出力する。
復調及び復号部14,15は信号抽出部12から制御チャネル及びデータチャネルをそれぞれ受信する。復調及び復号部14は受信した制御チャネルを復調及び復号し、データチャネルを復調等するために必要な情報(変調多値数、チャネル符号化率等)を抽出し、それを変調及び復号部15に通知する。復調及び復号部15は通知された制御情報に基づいて、受信したデータチャネルを復調及び復号し、更なるデータ伝送等の処理に備える。
送信パラメータ決定部16はチャネル状態測定部13の出力に結合され、受信品質の瞬時値及び時間平均値に基づいて、以後の上りリンクに関する一組の送信パラメータを導出し、それを出力する。一組の送信パラメータには、移動局の送信電力、送信帯域、変調多値数、チャネル符号化率等の上りリンクの信号伝送に関するパラメータが含まれる。このような一組の送信パラメータは移動局毎に適切な頻度で導出される。導出された送信パラメータは下りリンクの制御チャネルで各移動局に通知される。送信パラメータの具体的な導出法については後述される。
図2は本発明の一実施例による移動局の概略ブロック図を示す。移動局20は送信バッファ21と、変調及び符号化部22,23と、多重部24と、帯域制限フィルタ25と、RF部26と、電力増幅部27と、制御チャネルの復調及び復号部28とを有する(データチャネルに関する復調及び復号部等は図示の簡明化のため描かれていない。)。
送信バッファ21はユーザが送信しようとするトラフィックデータを一時的に格納し、指示されたデータレートに合わせて出力する。実際には制御チャネル用のデータを格納及び出力する要素もあるが、図示の簡明化のためそれは描かれていない。このトラフィックデータは送信信号の内のデータチャネルを構成することになる。
変調及び符号化部22は送信バッファ21の出力に結合され、指示されたデータレートを実現するようにデータチャネルをチャネル符号化し、データ変調する。
変調及び符号化部23は制御チャネルのチャネル符号化及びデータ変調を行う。
多重部24は変調及び符号化部22,23の出力に結合され、データチャネル及び制御チャネルを多重化する。多重化は時間多重、周波数多重、符号多重又はそれらの組み合わせでもよい。
帯域制限フィルタ部25は送信信号の帯域幅を指示内容に応じて設定する。本実施例では1.25MHz,2.5MHz,5MHz,10MH及び20MHzの5種類の帯域幅がシステムに用意されており、その内の1つが適宜選択される。具体的な帯域幅の値や用意される帯域幅の種類はこれらに限定されず、様々な数値が使用されてもよい。
無線部(RF部)26はベースバンドの信号を無線信号に変換するための各種の処理(例えば、ディジタルアナログ変換、周波数変換等)を行う。
電力増幅部27は送信信号の電力を指示内容に応じて適切に増幅する。
制御チャネルの復調及び復号部28は、下りリンクで受信した制御チャネルを復調及びチャネル復号し、送信電力、送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率等を含む一組の送信パラメータを抽出する。復調及び復号部28は、抽出した送信パラメータの内容を送信バッファ21、変調及び符号化部22,23、帯域制限フィルタ部25及び電力増幅部27に通知する。
図3は本発明の一実施例による送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。このフローは基地局で行われ、図1のチャネル状態測定部13及び送信パラメータ決定部16で主に行われる。フローはステップS0から始まり、各移動局から上りリンクでパイロットチャネルが受信される。ステップS1ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態の瞬時値が測定される。上述したように受信品質又はチャネル状態は受信SIRで測定されてもよい。この受信SIRはチャネル状態情報(CQI)として使用される。基地局は受信SIRに基づいて周波数スケジューリングを行い、移動局に適切な周波数帯域が割り当てられてもよい。
ステップS2ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間(典型的は10ms乃至1s程度の期間であるが、用途に応じて様々な長さの期間が使用されてもよい)にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS3では移動局がデータチャネルを送信する際の送信電力が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態情報の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。移動局の達成可能な送信電力値は移動局の性能に依存して異なるかもしれないからである。移動局の送信電力は本実施例ではルックアップテーブルを参照することで決定される。
図4はルックアップテーブルの一例を示す。図示の例では、基地局でのパイロットチャネルの受信電力R1〜RXと、チャネル状態情報CQI1〜CQIXと、移動局の送信電力PT1〜PTXと、帯域幅当たりの基地局での受信電力D1,W〜DX,Wの対応関係が示されている。受信電力は複数の帯域幅Wの各々について用意されている。この対応関係は何らかの記憶手段に格納され、必要に応じて読み出されたり更新されたりする。目下のステップS3の段階では、チャネル状態情報の時間平均値に相当するCQIiが特定され、そのCQIiに対応する送信電力PTiを見出すことで、送信電力が決定される。なお,ルックアップテーブルにおけるチャネル状態情報と送信電力の関係は、周辺セルへ与える干渉や、複数の移動局のそれぞれが実現できるデータレートの公平性を考慮して決定されても良い。すなわち、セル境界付近に存在する移動局は受信状態だけを考慮して送信電力を増大させると、隣接の周辺セルへの干渉が大きくなるため、周辺セルへの干渉を考慮したルックアップテーブルを考慮することが望ましい。一方、基地局の近辺に存在する移動局は周辺セルへ与える干渉が小さいため、送信電力をさらに増大させることにより、周辺セルへの干渉を増大させることなく、実現できるデータレートを増大させることができる。ただし、以上のような操作を行う場合には、セル境界付近の移動局が実現できるデータレートを犠牲にして基地局周辺の移動局のデータレートの増大を行っているため、複数の移動局のそれぞれが実現できるデータレートの公平性を考慮することが望ましい。
図3のステップS4ではチャネル状態の瞬時値CQIt及び決定された送信電力PTiに基づいて、上りデータチャネル用の送信帯域幅が決定される。本実施例では、1.25MHz,2.5MHz,5MHz,10MHz及び20MHzの5種類の帯域幅が上りリンク用に用意されている。これらのうち、目下のチャネル状態に最も相応しいものが本ステップで選択される。図4に示される単位帯域当たりの(基地局での)受信電力は、移動局がある帯域幅Wで送信電力PTiで信号を送信した場合に、基地局で受信される電力の推定値を表す。例えば、帯域幅が1.25MHzであり送信電力がPT1であった場合には、基地局での単位帯域当たりの受信電力はD1,1.25である。同じ送信電力で帯域幅が2.5MHzであった場合の基地局での受信電力はD1,2.5で表現される。このように、5種類の帯域幅の各々について送信電力がPT1〜PTxであった場合の基地局での帯域幅当たりの受信電力D1,1.25 ,...,Dx,20がテーブルに用意される。また、送信帯域幅の決定の際には移動局がサポートしている送信帯域幅が考慮されても良い。これは、移動局の達成可能な送信帯域幅は移動局の性能に依存して異なるかもしれないからである。さらに、送信帯域幅の割り当ては該当する移動局が必要とするデータレートとともに他の移動局への送信帯域幅の割り当てが考慮されても良い。この場合、複数の移動局への送信帯域幅の割り当てを考慮する周波数スケジューリングの一環として送信帯域幅の割り当てが行われる。 ステップ3で導出された送信電力PTiはチャネル状態情報の時間平均値から導出されたものであるので、それから導出された受信電力Di,Wも平均的な値を表す。本実施例では更にこの平均的な受信電力がチャネル状態情報の瞬時値CQItで補正され、瞬時的な受信電力Di,W'が導出される。このようにして導出された瞬時的な受信電力の推定値及び所定の閾値に基づいて、瞬時的に最適な送信帯域幅が導出される。
図5は最適な送信帯域幅を決定する様子を示す。先ず、平均的な受信電力を瞬時的なチャネル状態情報で補正した結果、受信電力Di,W'が得られ、帯域幅及び受信電力の関係が、図5に示されるような関係になったとする。所定の閾値が破線で示されるような位置にあったとする。本実施例では、基地局での単位帯域当たりの受信電力が閾値を上回り、なるべく広い帯域になるように送信帯域幅が選択される。図示の例では閾値を上回る帯域幅として、1.25MHz、2.5MHz及び5MHzの帯域幅が候補として挙げられ、これらのうち最も広い5MHzが送信帯域幅として決定される。なお、閾値の設定法によっては、受信電力が閾値を下回り、なるべく狭い帯域になるように送信帯域幅が選択されてもよい。いずれにせよ、周波数ダイバーシチ効果を得てフェージング耐性を高める観点からは、より広い帯域幅にすることが望ましい。また、基地局での受信品質をある程度以上確保するには基地局での受信電力はある程度大きいことを要する。但し、信号のピーク電力を小さくする観点からは、基地局での受信電力が低くなるような帯域幅にすることが望ましい。
図3のステップS5ではチャネル状態情報の瞬時値CQIt及び送信帯域幅に基づいて、変調多値数及びチャネル符号化率が決定される。本実施例では変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせが事前に定められており、組み合わせの各々はMCSテーブル中のMCS番号(MCS1,...,MCSx)を指定することで特定される。チャネル状態情報とMCS番号との対応関係は、図6に示されるように事前に定められている。図7はMCSテーブルの一例を示し、変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせの一例も示す。図示の例ではMCS番号が増えるにつれて相対的なビットレートが増えるように組み合わせが設定されている。
図3のステップS6では、ステップS3,S4及びS5で決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例によれば、チャネル状態情報の瞬時値に基づいて送信帯域幅及びMCS番号が瞬時瞬時に変更されるので、本実施例は伝送帯域をシステム全体として効率的に使用する観点から非常に望ましい。本実施例ではデータレートが瞬時瞬時に変更される一方、送信電力は平均的に一定に維持される。従って本実施例はリアルタイム性の要請の少ない非リアルタイムのデータ通信等に特に有利である。
本実施例によればAMCだけでなく、送信電力及び送信帯域幅の制御も行われ、上りリンクの送信パラメータの組み合わせ数を大幅に増やすことができ、送信パラメータをチャネル状態に合わせて更に適切に組み合わせることができる。AMC及び送信電力制御だけならば、例えばチャネル状態が良い場合には送信電力を小さくする或いはMCS番号を大きくするような選択肢しかなかった。しかしながら本実施例によれば、送信帯域幅を変更する選択肢も用意されている。所与の送信電力の下で、帯域幅が広がると単位帯域当たりの送信電力(ひいては基地局での受信電力)は減少し、帯域幅が狭まると単位帯域当たりの送信電力(ひいては基地局での受信電力)は増加する傾向がある。従って、チャネル状態が悪い場合に、帯域幅を維持しつつ送信電力を増やすことで単位帯域当たりの電力を増やす代わりに、帯域幅を減らすことで単位帯域当たりの電力を増やしてもよい。或いは、チャネル状態が良い場合に、上記の選択肢以外に例えば送信電力を小さくしたりMCS番号を大きくせずに送信帯域幅だけが狭められてもよい。そのようにすると伝送レートを変えずにシステムリソースを節約することができる。これらは単なる一例に過ぎず、送信パラメータを様々に組み合わせることができる。
なお、基地局が一組の送信パラメータを導出する際に、チャネル状態情報CQIに加えて誤り率の大小やスループットの良否が参酌されてもよい。例えば、一組の送信パラメータが説明済みの方法で導出された後に、誤り率の大小等に基づいて送信電力の値等が修正されてもよい。また、送信帯域幅の広狭に応じて拡散符号の拡散率が調整されてもよい。
図8は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS0から始まり、各移動局から上りリンクでパイロットチャネルが受信される。ステップS1ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態情報の瞬時値が測定される。
ステップS2ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS3では移動局がデータチャネルを送信する際の送信電力が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。移動局の送信電力は図4に示されるようなルックアップテーブルを参照することで決定される。より具体的には、チャネル状態情報の時間平均値に相当するCQIiが特定され、そのCQIiに対応する送信電力PTiを見出すことで、送信電力が決定される。
更に本実施例ではステップS3で、チャネル状態情報の平均値CQIiに基づいて送信帯域幅も導出される。即ち、チャネル状態情報の平均値CQIi及び決定された送信電力PTiに対応する基地局での単位帯域当たりの受信電力Di,Wが導出され、その受信電力Di,Wと所定の閾値との関係から送信帯域幅が導出される。受信電力Di,Wから送信帯域幅を導出する方法については、図5で説明済みの手法を適用することができる。
ステップS4ではチャネル状態情報の瞬時値CQItに基づいて、変調多値数及びチャネル符号化率が決定される。
ステップS5では、ステップS3及びS4で決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに関する指示内容に合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例は送信帯域幅を瞬時瞬時には変更せず、平均的に決定している。本実施例は、固定帯域幅でAMCを行っているような既存のシステムに容易に適用する観点から好ましい。
図9は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS0から始まり、各移動局から上りリンクでパイロットチャネルが受信される。ステップS1ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態情報の瞬時値が測定される。
ステップS2ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS3では移動局がデータチャネルを送信する際の送信帯域幅及びMCS番号が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態情報の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。移動局の送信帯域幅は図4に示されるようなルックアップテーブルを参照すること導出される。具体的にはチャネル状態情報の平均値CQIiに対応する基地局での単位帯域当たりの受信電力Di,Wが導出され、その受信電力Di,Wと所定の閾値との関係から送信帯域幅が導出される。受信電力Di,Wから送信帯域幅を導出する方法については、図5で説明済みの手法を適用することができる。
更に本実施例ではステップS3で、チャネル状態情報の平均値CQIiに基づいてMCS番号も導出される。チャネル状態の平均値とMCS番号との対応関係は事前に用意しておくことができ、その対応関係からMCS番号を導出することができる。
ステップS4では、チャネル状態情報の瞬時値CQItから、移動局の送信電力が導出される。チャネル状態の瞬時値と送信電力との対応関係も事前に用意しておくことができ、その対応関係から送信電力を導出することができる。
ステップS5では、ステップS3及びS4で決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例では送信帯域幅及びMCS番号が瞬時瞬時には変更されず、平均的に決定されている。従ってデータレートが比較的一定になるので、本実施例は例えばリアルタイムの通信に特に有利である。
図10は本発明の一実施例による送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS0から始まり、各移動局から上りリンクでパイロットチャネルが受信される。ステップS1ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態の瞬時値が測定される。
ステップS2ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間(典型的は10ms乃至1s程度の期間)にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS3では、移動局がデータチャネルを送信する際のMCS番号が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態情報の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。
ステップS4では、チャネル状態情報の瞬時値CQIt及び決定されたMCS番号から、移動局の送信電力が導出される。
ステップS5ではチャネル状態情報の瞬時値CQIt及び決定された送信電力に基づいて、送信帯域幅が決定される。
ステップS6では、ステップS3,S4及びS5で決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例によれば、本実施例ではデータレートが一定に維持される一方、送信電力及び送信帯域は瞬時瞬時に変更される。従って本実施例はリアルタイム性の要請の多い通信等(例えば音声通信等)に特に有利である。
図12は送信電力、送信帯域幅及び変調方式等を決定する第1乃至第4実施例の手法の比較例を示す。図中、「低」とあるのは各列の最上位行に示される量(送信電力等)が低速制御で決定されることを意味し、チャネル状態情報の長周期的な時間平均値による制御で決定されることを意味する。「高」とあるのは各列の最上位行に示される量が高速制御で決定されることを意味し、チャネル状態情報の瞬時値を用いる制御で適応的に決定されることを意味する。
第1乃至第4実施例では、移動局毎に送信パラメータがそれぞれ独立に決定されていた。本発明の第5実施例では個々の移動局だけでなく、複数の移動局の間さえも考慮して送信帯域幅が決定される。
図11は本実施例により送信帯域幅を決定する様子を示す。説明の便宜上システムの上りリンクに用意されている帯域幅が、2.5MHz、5MHz、10MHz及び15MHzであったとする。そして、ユーザA,Bについての基地局での単位帯域当たりの受信電力が図11(A),(B)のような大小関係になったとする。この場合、所定の閾値を上回る候補の中で最も広い帯域幅は、ユーザAもユーザBも共に10MHzになる。従ってシステム全体の帯域幅が20MHz以上ならば双方に10MHzの帯域幅を割り当てることができる。しかしながらシステム全体で使用可能な帯域幅が例えば15MHzしかなかったとすると、そのような割り当てをすることはできない。本実施例はこのような状況に対処するための手法を与える。
図示の状況では、ユーザBについての閾値からのマージンmBはユーザAについての閾値からのマージンmAより大きい(mB>mA)。このことはユーザBに関するチャネル状態がより良好であり、より高い信号品質で基地局が受信できることを意味する。そこで本実施例ではユーザBに広い帯域幅の10MHzが割り当てられ、ユーザAに狭い帯域幅の5MHzが割り当てられ、送信帯域幅が効率的に割り当てられる。チャネル状態の良好なユーザBは広い帯域で大きなダイバーシチ効果を享受できる一方、ユーザAはより大きな単位帯域当たりの電力を確保できるので、それぞれのチャネル状態に応じて伝送品質の向上を図ることができる。
第5実施例で言及されたように、移動局の送信パラメータは個々の移動局について独立に決定されてもよいし、複数の移動局の間で何らかの調整がなされてもよい。更に送信電力制御については以下の(1)〜(3)のような手法も考えられる。
(1)全ての移動局が基地局において同じ受信電力となるように、移動局の送信電力が制御されてもよい。この手法は、すべての移動局が同程度のスループットや誤り率を実現でき、移動局間の公平性を確保する観点から有利である。但し、セル端の移動局が他セルに対して大きな干渉を及ぼすおそれがある点では不利かもしれない。
(2)全ての移動局が同一の送信電力で送信を行うように送信電力が制御されてもよい。この手法は、セル内のスループットを最大化できる観点から有利である。但し、セル端のユーザのスループットが劣化し、ユーザ間の公平性が失われるかもしれない。
(3)(1)と(2)の中間的な方法として、全ての移動局が基地局においてある程度以上の受信電力となるように送信電力制御を行い、基地局の周辺の移動局からの信号は、より高い電力で基地局で受信されるように移動局の送信電力が制御されてもよい。これにより、移動局間の公平性に配慮しつつセル内のスループットを改善することができる。
本発明の第7乃至第10実施例はマルチアンテナシステム又は多入力多出力(MIMO: Multiple Input Multiple Output)システムに関連する実施例である。一般にMIMOシステムにはシングルユーザMIMO方式とマルチユーザMIMO方式とがある。
図13はシングルユーザMIMO方式の原理図を示す。説明の簡明化のため、2つの送信アンテナを有する通信端末(UE)から2つの受信アンテナを有する基地局(NodeB)が示されているが、アンテナ数はそのような数に限定されず、様々な本数のアンテナが使用されてもよい。図示の例では通信端末(UE)の送信アンテナ#1,#2から別々の信号が同時に同一の周波数帯域で送信される。基地局は空間で多重されたこれらの信号を受信し、何らかの信号分離法を実行することで各送信アンテナから送信された信号系列の各々を復元する。
図14はマルチユーザMIMO方式の原理図を示す。説明の簡明化のため、1以上の送信アンテナを有する通信端末が2台存在し(UE1,UE2)、各通信端末から別々の信号が送信される。空間で多重されたこれらの信号は基地局で受信される。受信された信号に何らかの信号分離法が適用され、各通信端末から送信された信号系列の各々が復元される。
シングルユーザMIMO及びマルチユーザMIMOの何れの場合も、同一帯域内の異なる信号が基地局で同時に受信され、それらは信号分離法により分離され、上りリンクの信号がそれぞれ復元される。以下に説明されるように本発明はマルチアンテナシステムにおける上りリンクの信号に適用されてもよい。但し、複数の送信アンテナ又は複数のユーザで使用される周波数帯域は共通することが前提とされる。
図15はシングルユーザMIMO方式において、第1の送信アンテナ#1で通信される信号の周波数帯域と、第2の送信アンテナ#2で通信される信号の周波数帯域とが等しい様子を示す。例えばシステムに与えられた周波数帯域(システム帯域幅)が20MHzであり、あるユーザに5MHzの帯域が割り当てられた場合に、第1及び第2の送信アンテナ#1,#2はそれぞれ同じ5MHzの周波数帯域を使用する。
図16はマルチユーザMIMO方式において、第1のユーザが通信する信号の周波数帯域と、第2のユーザ2が通信する信号の周波数帯域とが等しい様子を示す。例えばシステムに与えられた周波数帯域が20MHzであり、第1,第2のユーザに同じ5MHzの帯域が割り当てられていることが仮定される。
図17は2つの受信アンテナを有する基地局の概略ブロック図を示す。基地局は無線部(RF部)11−1,11−2と、信号分離部171と、信号抽出部12と、チャネル状態測定部13−1,13−2と、復調及び復号部14−1,15−1,14−2,15−2と、送信パラメータ決定部16とを有する。説明の便宜上、受信アンテナは2つであるが2より多くの受信アンテナ数が使用されてもよい。また、シングルユーザMIMO方式における説明がなされるが、本発明はマルチユーザMIMO方式にも同様に適用可能である。
無線部(RF部)11−1,11−2は移動局から送信され不図示の複数の受信アンテナで受信された無線パケットをベースバンドの信号に変換するための各種の処理(例えば、周波数変換、帯域制限、アナログディジタル変換等)を行う。
信号分離部171は空間的に多重され且つ同時に受信された2つの信号又はデータ系列に何らかの信号分離法を適用することで、送信アンテナ#1,#2から送信された2つの信号を得る。
信号抽出部12は、分離された送信信号に含まれているパイロットチャネル、共有パケット制御チャネル(「制御チャネル」と略す)及び共有パケットデータチャネル(「データチャネル」と略す)を抽出し、それらを出力する。パイロットチャネル、制御チャネル及びデータチャネルは時間多重、周波数多重、符号多重又はそれらの組み合わせで多重されて各送信アンテナから無線伝送される。従って信号抽出部12は多重されたそれらの信号を適切に分離し、デマルチプレクサとしても機能する。
チャネル状態測定部13−1,13−2は信号抽出部12のパイロットチャネルに関する出力に結合され、パイロットチャネルの受信品質を送信アンテナ毎に測定し、受信品質の瞬時値をそれぞれ測定する。チャネル状態測定部13−1,13−2は受信品質の瞬時値を一定期間(例えば、10ms乃至1s程度の期間)にわたって各送信アンテナについて平均化し、受信品質の時間平均値を算出し、平均的なチャネル状態も出力する。
復調及び復号部14−1,2,15−1,2は信号抽出部12から制御チャネル及びデータチャネルを送信アンテナ毎にそれぞれ受信する。復調及び復号部14−1,14−2は送信アンテナ毎に受信した制御チャネルをそれぞれ復調及び復号し、データチャネルを復調等するために必要な情報(変調多値数、チャネル符号化率等)を抽出し、それを変調及び復号部15−1,15−2に通知する。復調及び復号部15−1,15−2は通知された制御情報に基づいて、受信したデータチャネルを復調及び復号し、更なるデータ伝送等の処理に備える。
送信パラメータ決定部16はチャネル状態測定部13−1,13−2の出力に結合され、受信品質の瞬時値及び時間平均値に基づいて、以後の上りリンクに関する一組の送信パラメータを導出し、それを出力する。一組の送信パラメータには、移動局の送信電力、送信帯域、変調多値数、チャネル符号化率等の上りリンクの信号伝送に関するパラメータが含まれる。このような一組の送信パラメータは移動局毎に適切な頻度で導出される。導出された送信パラメータは下りリンクの制御チャネルで各移動局に通知される。送信パラメータの具体的な導出法については後述される。
図18は本発明の一実施例による移動局の概略ブロック図を示す。移動局は送信バッファ21と、変調及び符号化部22−1,22−2と、帯域制限フィルタ25−1,25−2と、RF部26−1,26−2と、電力増幅部27−1,27−2と、制御チャネルの復調及び復号部28とを有する(制御チャネルに関する符号化及び変調等は図示の簡明化のため描かれていない。)。
送信バッファ21はユーザが送信しようとするトラフィックデータを一時的に格納し、指示されたデータレートに合わせて出力する。
変調及び符号化部22−1,22−2は送信バッファ21の出力に結合され、送信アンテナ毎に指示されたデータレートを実現するようにデータチャネルをチャネル符号化し、データ変調する。
帯域制限フィルタ部25−1,25−2は送信信号の帯域幅を送信アンテナ毎の指示内容に応じて設定する。本実施例では1.25MHz,2.5MHz,5MHz,10MH及び20MHzの5種類の帯域幅がシステムに用意されており、その内の1つが適宜選択される。上述したように2つの送信アンテナで通信される信号はそれぞれ同じ周波数帯域を占める。
無線部(RF部)26−1,26−2はベースバンドの信号を無線信号に変換するための各種の処理(例えば、ディジタルアナログ変換、周波数変換等)を送信アンテナ毎に行う。
電力増幅部27−1,27−2は送信信号の電力を送信アンテナ毎の指示内容に応じて適切に増幅する。
制御チャネルの復調及び復号部28は、下りリンクで受信した制御チャネルを復調及びチャネル復号し、送信電力、送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率等を含む一組の送信パラメータを送信アンテナ毎に抽出する。復調及び復号部28は、抽出した送信パラメータの内容を送信バッファ21、変調及び符号化部22−1,22−2、帯域制限フィルタ部25−1,25−2及び電力増幅部27−1,27−2に送信アンテナ毎にそれぞれ通知する。
図19は本発明の一実施例による送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。このフローは基地局で行われ、図17のチャネル状態測定部13−1,13−2及び送信パラメータ決定部16で主に行われる。フローはステップS11,S21から始まり、移動局の各送信アンテナから送信された上りリンクのパイロットチャネルが、基地局の2つの受信アンテナで受信される。図示のフローは何らかの信号分離法が行われた後の処理を示す。上りリンクには2種類あり、1つは第1の送信アンテナ#1からの上りリンクであり、もう1つは第2の送信アンテナ#2からの上りリンクである。説明の簡明化のためシングルユーザMIMO方式における説明がなされるが、本発明はマルチユーザMIMO方式にも適用可能である。その場合も第1のユーザからの上りリンクと第2のユーザからの上りリンクとがある。ステップS11,21では上りパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態の瞬時値が測定される。
ステップS12,S22ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間にわたって測定され、ステップS13でチャネル状態情報の時間平均値が算出される。一定期間は典型的は10ms乃至1s程度の期間であるが、用途に応じて様々な長さの期間が使用されてもよい。チャネル状態情報の瞬時値は送信アンテナ#1,#2で異なるが、それらの時間平均値は同様な値になることが予想される。このためステップS13は上りリンクの各々に関して共通に行われている。
ステップS14では移動局がデータチャネルを送信する際の送信電力が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態情報の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。移動局の達成可能な送信電力値は移動局の性能に依存して異なるかもしれないからである。移動局の送信電力は本実施例では図4に関連して説明された手法で決定されてもよい。
ステップS15では上りリンクの各々に関するチャネル状態の瞬時値CQIt (1),CQIt (2)及びステップS14で決定された送信電力PTiに基づいて、上りデータチャネル用の送信帯域幅が決定される。本実施例では、1.25MHz,2.5MHz,5MHz,10MHz及び20MHzの5種類の帯域幅が上りリンク用に用意されている。これらのうち、目下のチャネル状態に最も相応しいものが図4に関して説明されたのと同様な手法で選択される。ステップS14で導出された送信電力PTiはチャネル状態情報の時間平均値から導出されたものであるので、その値から推定された基地局での受信電力Di,Wも平均的な値を表す。本実施例では更にこの平均的な受信電力がチャネル状態情報の瞬時値CQItを用いて補正され、瞬時的な受信電力Di,W'が導出される。このようにして導出された受信電力及び所定の閾値に基づいて、瞬時的に最適な送信帯域幅が導出される。
ステップS16,S26ではチャネル状態情報の瞬時値CQIt及び送信帯域幅に基づいて、変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせが上りリンクの各々について決定される。本実施例では変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせが事前に定められており、組み合わせの各々はMCSテーブル中のMCS番号(MCS1,...,MCSx)を指定することで特定される。
ステップS17では、ステップS14,S15及びS16で上りリンクの各々についてそれぞれ決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力を送信アンテナ毎にそれぞれ設定する。
本実施例によれば、チャネル状態情報の瞬時値に基づいて送信帯域幅及びMCS番号が瞬時瞬時に上りリンクの各々について変更されるので、本実施例は伝送帯域をシステム全体として効率的に使用する観点から非常に望ましい。本実施例ではデータレートが瞬時瞬時に変更される一方、送信電力は平均的に一定に維持される。従って本実施例はリアルタイム性の要請の少ない非リアルタイムのデータ通信等に特に有利である。
図20は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。本フローは概して図19で説明済みのフローと同様であるが、ステップS16'に関する処理内容が異なる。本フローのステップS16'では、送信アンテナ#1,#2に関して測定された瞬時的なチャネル状態値及び決定された送信帯域幅に基づいて、上りリンクの双方に(送信アンテナ#1,#2の双方に)共通に使用されるMCS番号が決定される。これによりAMC制御を行う際の制御チャネル(シグナリングチャネル)の制御ビット数を節約することができる。
図21は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS11,21から始まり、移動局の各送信アンテナからの上りパイロットチャネルが受信される。ステップS12,22ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態情報の瞬時値が測定される。
ステップS13ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS14では移動局が各送信アンテナからデータチャネルを送信する際の送信電力が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。この場合において、チャネル状態の時間平均値に加えて各移動局の送信電力に関するマージンが考慮されてもよい。移動局の送信電力は図4に示されるようなルックアップテーブルを参照することで決定される。より具体的には、チャネル状態情報の時間平均値に相当するCQIiが特定され、そのCQIiに対応する送信電力PTiを見出すことで、送信電力が決定される。
更に本実施例ではステップS14で、チャネル状態情報の平均値CQIiに基づいて送信帯域幅も導出される。
ステップS15,S25ではチャネル状態情報の瞬時値CQIt及び送信帯域幅に基づいて、変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせが送信アンテナ毎に決定される。本実施例では変調多値数及びチャネル符号化率の組み合わせが事前に定められており、組み合わせの各々はMCSテーブル中のMCS番号(MCS1,...,MCSx)を指定することで特定される。
ステップS16では、ステップS14,S15及びS25で上りリンクの各々についてそれぞれ決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力を送信アンテナ毎にそれぞれ設定する。
本実施例は送信帯域幅を瞬時瞬時には変更せず、平均的に決定している。本実施例は、固定帯域幅でAMCを行っているような既存のシステムに容易に適用する観点から好ましい。
図22は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。本フローは概して図21で説明済みのフローと同様であるが、ステップS15'に関する処理内容が異なる。本フローのステップS15'では、送信アンテナ#1,#2に関して測定された瞬時的なチャネル状態値及び決定された送信帯域幅に基づいて、送信アンテナ#1,#2の双方に共通に使用されるMCS番号が決定される。これによりAMC制御を行う際の制御チャネルの制御ビット数を節約することができる。
図23は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS11,21から始まり、移動局の各送信アンテナからの上りパイロットチャネルが受信される。ステップS12,22ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態情報の瞬時値が上りリンクの各々について測定される。
ステップS13ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS14では移動局がデータチャネルを送信する際の送信帯域幅が、チャネル状態の時間平均値に基づいて決定される。更に本実施例ではステップS14で、チャネル状態情報の平均値CQIiに基づいてMCS番号(変調多値数及びチャネル符号化率)も導出される。チャネル状態の平均値とMCS番号との対応関係は事前に用意しておくことができ、その対応関係からMCS番号を導出することができる。
ステップS15,S25では、チャネル状態情報の瞬時値CQItから、移動局の各送信アンテナに関する送信電力が導出される。
ステップS16では、ステップS14,S15及びS25で上りリンクの各々について決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、各送信アンテナに関する送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例では送信帯域幅及びMCS番号が瞬時瞬時には変更されず、平均的に決定されている。従ってデータレートが比較的一定になるので、本実施例は例えばリアルタイムの通信に特に有利である。
図24は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。本フローは概して図23で説明済みのフローと同様であるが、ステップS15'に関する処理内容が異なる。本フローのステップS15'では、送信アンテナ#1,#2に関して測定された瞬時的なチャネル状態値及び決定された送信帯域幅及びMCS番号に基づいて、送信アンテナ#1,#2の双方に共通に使用される送信電力が決定される。これによりAMC制御を行う際の制御チャネルの制御ビット数を節約することができる。
図25は本発明の一実施例による送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。フローはステップS11,S21から始まり、移動局の各送信アンテナからの上りパイロットチャネルが受信される。ステップS12,S22ではパイロットチャネルの受信電力レベルに基づいて受信品質又はチャネル状態の瞬時値が上りリンクの各々に関して測定される。
ステップS13ではチャネル状態情報の瞬時値が一定期間(典型的は10ms乃至1s程度の期間)にわたって測定され、チャネル状態情報の時間平均値が算出される。
ステップS14では、移動局がデータチャネルを送信する際のMCS番号が、チャネル状態の時間平均値に基づいて上りリンクの各々について決定される。
ステップS15,S25では、各送信アンテナに関するチャネル状態情報の瞬時値CQIt及び決定されたMCS番号から、上りリンクの各々に関する送信電力がそれぞれ導出される。
ステップS16では、ステップS14,S15及びS25で上りリンクの各々に関して決定された一組の送信パラメータ(送信電力、送信帯域幅及びMCS番号)を基地局が移動局に下り制御チャネルで通知する。移動局は、下り制御チャネルを復調し、各送信アンテナに関して送信パラメータに合わせてチャネル符号化率、変調多値数、送信帯域幅及び送信電力をそれぞれ設定する。
本実施例によれば、本実施例ではデータレートが一定に維持される一方、各送信アンテナに関する送信電力は瞬時瞬時に変更される。従って本実施例はリアルタイム性の要請の多い通信等(例えば音声通信等)に特に有利である。
図26は本発明の一実施例による別の送信パラメータ決定方法のフローチャートを示す。本フローは概して図25で説明済みのフローと同様であるが、ステップS15'に関する処理内容が異なる。本フローのステップS15'では、送信アンテナ#1,#2に関して測定された瞬時的なチャネル状態値及び決定されたMCS番号に基づいて、送信アンテナ#1,#2の双方に共通に使用される送信電力が決定される。これによりAMC制御を行う際の制御チャネルの制御ビット数を節約することができる。
図27は送信電力、送信帯域幅及び変調方式等を決定する第7乃至第10実施例の手法の比較例を示す。図12の場合と同様に、図中、「低」とあるのは各列の最上位行に示される量(送信電力等)が低速制御で決定されることを意味し、チャネル状態情報の長周期的な時間平均値による制御で決定されることを意味する。「高」とあるのは各列の最上位行に示される量が高速制御で決定されることを意味し、チャネル状態情報の瞬時値を用いる制御で適応的に決定されることを意味する。「共通」とあるのはその量が送信アンテナ間で共通に設定されることを意味する。「相違」とあるのはその量が送信アンテナ間で別々に設定されることを意味する。
以下、本発明により教示される手段を例示的に列挙する。
(第1項)
上りリンクで信号を伝送するための送信パラメータを決定する装置であって、
移動局からチャネル状態情報を受信する手段と、
チャネル状態情報と、上りリンクの変調方式及びチャネル符号化率と、移動局の送信電力及び送信帯域幅の双方又は一方との対応関係を記憶する手段と、
前記対応関係から一組の送信パラメータを導出する手段と、
前記一組の送信パラメータを前記移動局に通知する手段と、
を備えることを特徴とする装置。
(第2項)
ある一定の期間内で、上りリンクのデータレートは適応的に調整されるが、送信電力は一定に維持されるように前記一組の送信パラメータが導出される
ことを特徴とする第1項記載の装置。
(第3項)
ある一定の期間内で、上りリンクのデータレートは一定に維持されるが、送信電力は可変に調整されるように前記一組の送信パラメータが導出される
ことを特徴とする第1項記載の装置。
(第4項)
上りリンクの受信誤り率及びスループットの少なくとも一方が改善されるように前記一組の送信パラメータが導出される
ことを特徴とする第1項記載の装置。
(第5項)
前記受信する手段が、複数の移動局から複数のチャネル状態情報を受信し、
移動局各自の一組の送信パラメータが、前記複数のチャネル状態情報から導出される
ことを特徴とする第1項記載の装置。
(第6項)
チャネル状態情報を受信する手段が、複数の受信アンテナで受信した複数の信号についてのチャネル状態情報を受信する
ことを特徴とする第1項記載の装置。
(第7項)
ある一定の期間内で、複数の上りリンク各々についてのデータレートは適応的に調整され、複数の上りリンクについての複数の送信電力は一定に維持される
ことを特徴とする第6項記載の装置。
(第8項)
ある一定の期間内で、複数の上りリンク各々についての複数の送信電力は適応的に調整され、複数の上りリンクについてのデータレートは一定に維持される
ことを特徴とする第6項記載の装置。
(第9項)
前記複数の信号は同一の通信端末から送信された信号である、
ことを特徴とする第6項記載の装置。
(第10項)
前記複数の信号の少なくとも2つは異なる通信端末から送信された信号である、
ことを特徴とする第6項記載の装置。
(第11項)
上りリンクで信号を伝送するための送信パラメータを決定する方法であって、
移動局からチャネル状態情報を受信し、
チャネル状態情報と、上りリンクの変調方式及びチャネル符号化率と、移動局の送信電力及び送信帯域幅の双方又は一方との記憶済みの対応関係から一組の送信パラメータを導出し、
前記一組の送信パラメータを前記移動局に通知する
ことを特徴とする方法。
(第12項)
チャネル状態情報の時間平均値から送信電力が導出され、
チャネル状態情報の瞬時値から送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率が導出される
ことを特徴とする第11項記載の方法。
(第13項)
チャネル状態情報の時間平均値から送信電力及び送信帯域幅が導出され、
チャネル状態情報の瞬時値から変調多値数及びチャネル符号化率が導出される
ことを特徴とする第11項記載の方法。
(第14項)
チャネル状態情報の時間平均値から送信帯域幅、変調多値数及びチャネル符号化率が導出され、
チャネル状態情報の瞬時値から送信電力が導出される
ことを特徴とする第11項記載の方法。
(第15項)
チャネル状態情報の時間平均値から変調多値数及びチャネル符号化率が導出され、
チャネル状態情報の瞬時値から送信電力及び送信帯域幅が導出される
ことを特徴とする第11項記載の方法。