JP2009272949A - 地上デジタルテレビジョン放送における緊急速報を受信する受信機及び受信機付き時計 - Google Patents

地上デジタルテレビジョン放送における緊急速報を受信する受信機及び受信機付き時計 Download PDF

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Abstract

【課題】受信機の位置を特定し、緊急地震速報を適切に受信する受信機及び受信機付き時計を提供する。
【解決手段】本発明の受信機(1)は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号又はTMCC信号を受信する受信機であって、少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグと、緊急地震速報の情報を含む緊急速報とを格納する電文情報が、AC信号又はTMCC信号にて伝送されるように予め規定されており、地上デジタルテレビジョン放送波を受信してAC信号又はTMCC信号を抽出する手段(9)と、郵便番号を設定して当該受信機の位置を特定し、当該受信機の位置情報として検出する手段(28)と、前記位置情報に基づいて、前記緊急地震速報に格納される緊急地震速報の地域と一致するか否か判別し、当該郵便番号で特定される地域と一致する場合に、警告を発する警告手段(22)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、地上デジタルテレビジョン放送において緊急速報を送受信する技術に関し、特に、緊急地震速報を迅速、且つ、確実に受信する受信機、及び受信機付き時計に関する。
現在、地上デジタルテレビジョン放送の伝送方法として、例えば、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial、ARIB規格STD‐B31)方式が実用化されている。
そこでは、アナログ放送から引き続き、大規模地震や津波警報、地方自治体からの要請に応じて、放送局が緊急警報放送を実施した場合に、電源が入っていない地上デジタルテレビジョン放送の受信機を起動するための仕組みが設けられている。
例えば、受信機の復調動作に関わる情報を伝送するために設けられている、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control: 伝送制御)信号と呼ばれる信号がある。
このTMCC信号には、緊急警報放送用起動フラグと呼ばれる、緊急警報放送に基づきビットの値を変更される情報が記載されている。この緊急警報放送用起動フラグを検出して、その値が1である場合、緊急警報放送が行われることから、この緊急警報放送用起動フラグにより受信機を立ち上げることができる。
これを、待機消費電力を抑えて動作し、受信機の電源が入っていない受信機を起動して受信機に知らせる仕組みが知られている(例えば、特許文献1参照)。緊急警報放送用起動フラグを検出する伝送制御信号受信回路を備えることにより、緊急警報放送用起動フラグが1のとき、地上デジタルテレビジョン放送の受信機の電源を投入し、受信機に緊急警報放送の視聴を促す技術である。
一方、気象庁は、平成19年10月1日から緊急地震速報(例えば、非特許文献1参照)の一般への提供を開始した。これに伴い、テレビジョン並びにラジオの各放送局も前記速報が発表される際には、チャイム音とともにテレビジョン画面に表示または音声で伝えるなどの放送を実施することを開始した。尚、緊急地震速報のラジオ放送の一部は、平成20年4月1日から開始している。
また、緊急地震速報を含む災害、防災情報等の地上デジタルテレビジョン放送における伝送のため、TMCC信号による起動フラグの送受信に加え、AC(Auxiliary Channel)キャリアを利用する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。TMCCキャリアの緊急警報放送用起動フラグと、例えば部分受信セグメント内の特定のACキャリアに置かれた信号種別ビットとの組合せにより、緊急速報の種別及び開始又は終了を提示する。その他ARIB規格STD‐B10の緊急情報記述子及び緊急速報の映像・音声を、ACキャリアを用いて伝送する。この緊急情報記述子は、信号種別ビットを含み部分受信セグメントのAC信号に格納され、映像・音声は他のセグメントのAC信号に格納されて伝送される。
特許文献2の技術においても、受信機の電源が入っていない場合、又は他のチャンネルを受信している場合に、電源投入やチャンネル切り替えを促すことが開示されており、この制御のため部分受信セグメント内のTMCC信号及びAC信号を受信し、電源投入後又はチャンネル切り替え後に、その他の災害・防災情報並びに映像・音声の再生を行う技術が提示されている。
また、緊急警報放送や緊急地震速報を受信して、受信機のユーザに伝達する端末として、生活に身近な時計を用いる事例が知られている。例えば、緊急警報放送を受信し、或いは、インターネット等から緊急警報放送を受信して、当該時計上に表示したり、音声を発したりする時計の技術が開示されている(例えば、実用新案文献1参照)。また、P波地震計を備えた端末において、情報通信ネットワークを介して緊急地震速報を受信し、その情報を、GPS機能を持つ携帯端末に向けて送信することにより、その情報を受信した携帯端末が、当該緊急地震速報を携帯端末のユーザに伝達する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。その携帯端末にはFMデータ放送などを受信できる腕時計が一事例として提示されている。
特開2006−319771 特開2007−243936 特開2006−112922 実願2007−4489 "緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料"、気象庁地震火山部、[平成20年1月31日検索]、インターネット〈URL:http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/Whats_EEW/reference.pdf〉
前述したように、地上デジタルテレビジョン放送により緊急地震速報を伝達することができるようになる可能性がある。その際、現在の緊急警報放送と同様に、全国に一斉に放送することが考えられる。
この時、当該緊急地震速報が伝える地震の被災地にある受信機のユーザに、当該緊急地震速報を的確に伝達するためには、当該受信機のユーザが緊急地震速報の対象となる地域にいる場合に当該緊急地震速報を確実に受信できることが望ましい。
そのためには、地上デジタルテレビジョン放送の送信側は、緊急地震速報の対象となる地域又は当該受信機において自身が居る地域を特定することができるように当該緊急地震速報の情報を送信することが望まれる一方、受信機側は、地上デジタルテレビジョン放送の緊急地震速報が示す予測される被災地と当該受信機の所在地との一致を確認することができるようにする必要がある。
つまり、地上デジタルテレビジョン放送の緊急地震速報を受信する受信機は、当該地域を認識する手段が必要である。
一方、置時計などの時計は、国民の生活に身近な機器の一つである。これに、地上デジタルテレビジョン放送の緊急地震速報を受信する受信機を具備させることは、極めて有意義であり、安全、且つ安心につながる。
このとき、地上デジタルテレビジョン放送受信機を備え、緊急地震速報を受信する時計が、緊急地震速報が警告する強震地域に当該時計が位置するか否かを判断するには、予め当該時計の位置情報を知っておく必要がある。
しかしながら、前述の実用新案文献1に開示される時計は、自身の位置を検出することができないものであるため、緊急地震速報の場合に適用するには更なる工夫が必要である。
また、前述の特許文献3に開示される携帯端末は、GPS機能により位置情報を入手することが可能であるが、一般に、置時計など屋内で使用するので、放送波については、室内にアンテナ線を引き込んで、或いはさらに簡易な再送信装置を用いて受信するものであるため利用の懸念がない一方、同時に複数の衛星からの電波を受信する必要があるGPS機能では、屋内で利用できないことが多い。また、放送波の受信機以外の無線機器を有することは、消費電力等において経済的ではない。
従って、GPSとは別の、簡易に位置情報を提示することができる受信機及び受信機付き時計が望まれる。
本発明の目的は、位置情報と関連付けられる郵便番号を用いて、受信機の位置を特定し、緊急速報、特に緊急地震速報を適切に受信する受信機及び受信機付き時計を提供することにある。
本発明による受信機は、地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号又はTMCC信号を受信する受信機であって、少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグと、緊急地震速報の情報を含む緊急速報とを格納する電文情報が、AC信号又はTMCC信号にて伝送されるように予め規定されており、地上デジタルテレビジョン放送波を受信してAC信号又はTMCC信号を抽出する手段と、郵便番号を設定して当該受信機の位置を特定し、当該受信機の位置情報として検出する手段と、前記位置情報に基づいて、前記緊急地震速報に格納される緊急地震速報の地域と一致するか否か判別し、当該郵便番号で特定される地域と一致する場合に、警告を発する警告手段とを備えることを特徴とする。好適には、前記緊急地震速報の情報は、「震央地」及び「震度4以上の強震地域」の情報を含み、前記警告手段は、前記位置情報が「震央地」及び「震度4以上の強震地域」に一致する場合に警告を発する。
また、本発明による受信機において、好適には、前記緊急地震速報の情報は、「震源の緯度」、「震源の経度」及び「震源の深さ」及び「マグニチュード」の情報を含み、該情報を用いて、前記位置情報により特定される地域の予測震度、及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する手段を備え、前記警告手段は、前記予測震度が震度4以上である場合に、前記到達予測時刻を提示して警告を発することを特徴とする。
更に、本発明による受信機付き時計は、本発明による受信機を備える時計であって、前記郵便番号の情報が、前記受信機付き時計における時刻表示機能を用いて入力されることを特徴とする。
本発明によれば、当該ユーザのいる地域に応じて的確に、緊急地震速報を伝達できる受信機及び受信機付き時計を提供することができる。
まず、本発明による一実施例の受信機について説明する。尚、本実施例の受信機の説明から、受信機付き時計として構成することができることも明らかになる。
本実施例の受信機1及び受信機1を備えた時計は、AC信号を用いて、緊急速報(以下、緊急警報放送及び緊急地震速報を含む情報を総括して、緊急速報と称する)を伝送する地上デジタル放送のサービスにおいて、当該AC信号により伝達される信号を受信する装置であり、位置情報と関連付けられる郵便番号を用いて、受信機の位置を特定し、緊急速報、特に緊急地震速報を適切に受信することを可能にする。
AC信号は、例えば、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)のモード3の同期変調部の場合、キャリア番号#7、#89、#206、#209、#226、#244、#377及び#407の8箇所にあるACキャリアによって運ばれる信号である。
例えば放送事業者は、気象庁から緊急地震速報を受信した場合、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送に係る送信装置によって、代表的に例示する表1の電文情報のフォーマット例に基づく緊急地震速報の情報、即ち、地震の発生時刻、発生場所(緯度、経度、深さ)、及び規模といった緊急地震速報の情報を、8箇所のACキャリアが運ぶAC情報の全てに格納して、受信機1に向けて送信する。ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送に係る送信装置のハードウェア構成は既知であり、図示しない。
即ち、TMCC信号と同一フレーム長であり、TMCC信号と同一の位相基準、及び同期信号と、少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグと、緊急地震速報の情報を含む緊急速報とを格納する電文情報(表1に例示する電文情報のフォーマット)が、送信装置からACキャリアにて伝送されるように予め規定されている。
尚、本発明の理解を容易とするために、以下においてはISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送におけるモード3のACキャリアが運ぶAC情報の全てを用いる場合について説明するが、他のモードにおいても適用可能であることに留意する。
Figure 2009272949
表1は、緊急地震速報を配信するためには、受信機にとって最小限必要な情報を的確に、且つ、迅速、確実に伝送するための電文情報である。例えば、強い揺れ(震度5弱以上)が推定される場合に、その地域名及び震度4以上が推定される地域名を受信側で知ることを可能とする情報を発信することが所望される。
そこで、放送事業者は、地上デジタルテレビジョン放送の送信装置によって、地上デジタルテレビジョン放送の部分受信セグメント内にあるAC信号に、表1に示すような緊急地震速報の電文情報を多重して伝送することができる。例えば、放送事業者は地上デジタルテレビジョン放送の送信装置によって、「地震発生時刻」、発生場所(「震源の緯度」、「震源の経度」、「震源の深さ」)、及び「マグニチュード」を、緊急地震速報を識別する緊急地震速報起動フラグ(速報時に1とし、それ以外は0とする)とともに伝送する。
「各種フラグ」は、「緊急警報放送の起動」、「緊急地震速報の起動・識別」、「通常」/「訓練」の識別、「ニュース速報」の有無などの情報を提示する。例えば「各種フラグ」には、9ビットを割り当てるものとする。基本的な情報の分類は、上位6ビットで行うものとする。7ビット目以降は、7ビット目に例えば「緊急地震速報の起動・識別」のコピービットを、先頭8ビットの1の数が偶数となるように8ビット目の値に1か0を入れるようにして、「各種フラグ」、特に「緊急地震速報の起動・識別」の受信誤りに対処している。後者は、先頭8ビット中の1の数を偶数化して偶数パリティを構成し、受信側にて偶数誤り検出可能にする。そして、9ビット目にバッファビットを置いた。バッファビットは、待機動作時から電源投入する際に、データ検出までの間の緩衝用の時間を確保するためである。
具体的には、「各種フラグ」は、緊急地震速報のニュース番組の有無、データ放送の有無、緊急警報放送の有無、平常時を識別可能なフラグで構成する。例えば「緊急地震速報」の起動に対応するビットの組合せを受信側で認知できるようにする。一例として、平常時の「いずれもなし(000001010)」の状態から、緊急地震速報に該当するビットの組合せ、例えば「緊急警報放送、緊急地震速報(番組あり、データなし)(110100100)」の状態を受信機が受信したとする。これにより、受信機側において、「緊急地震速報のニュース番組があり、データ放送がない」ことを知ることができる。
「位相基準」及び「同期信号」、「パリティビット」は、TMCC信号と同一とし、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送の場合、そのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の1シンボルを基準に、TMCC信号と同じ204シンボルにDBPSK信号の204ビットを割り振り、1フレームとする構成とする。よって、表1に記載したフォーマットの信号は、OFDM信号の1フレームで伝送される。尚、「パリティビット」は、例えば予め定めた差集合巡回符号方式に基づく誤り訂正に用いるパリティビットである。
「同期信号」は、TMCC信号と同様に同期を取るのに用いれられ、1フレーム毎に16ビット送信され、奇数フレームと偶数フレームとで位相が反転する。その値は奇数フレームの表記で「0011010111101110」である。
「位相基準」は、TMCC信号と同様に、キャリア番号iのSP(Scattered
Pilot)信号に割り当てられるBPSK信号の値Wと同じ生成多項式(x11+ x+1)に基づく値であるが、電文情報の伝送には、ACキャリアを用いる例を説明する。例えば、ISDB−T方式の地上デジタルテレビジョン放送波の部分受信セグメント(セグメント番号#0)におけるACキャリアは、モード3の同期変調部の場合、キャリア番号#7、#89、#206、#209、#226、#244、#377及び#407の8箇所にある。この8箇所のACキャリアが運ぶAC情報に記述の「位相基準」として格納されるWは、各々0、0、0、1、1、1、1及び1である。尚、BPSK以外の変調方式を用いることもでき、前述の差集合巡回符号方式とともに、送信側及び受信側で利用する方式は、予め定めておくようにする。
「地震発生時刻」、地震源の位置情報の「震源の緯度」、「震源の経度」、「震源の深さ」、及び地震の規模の「マグニチュード」に関する情報は、詳細に後述するが、非特許文献1の記載に基づく情報であり、誤り訂正のパリティ符号をつけて伝送される。
図1に、本発明による実施例の受信機1を示す。受信機1におけるAC信号の受信部分は、周波数変換回路6と、AD変換回路7と、FFT8と、AC抽出回路9と、誤り訂正回路16と、AC復号回路17と、予測情報計算手段18と、警告手段22とを備える。
時計付き受信機として機能させるための受信機1における時刻・位置表示制御部分は、現在時刻計数回路25と、表示制御回路26と、時間検出手段27と、位置検出手段28と、郵便番号入力回路29とから構成される。
周波数変換回路6は、アンテナ5から入力された地上デジタルテレビジョン放送波のうち所定のフィルタにより不要な周波数成分を除去した後、指定されたチャンネルを選択し、中間周波信号に周波数変換するとともに適宜増幅して出力する回路である。このチャネル選択は、受信機にて予め定めておくこともできる。
AD変換回路7は、周波数変換回路6から出力される中間周波信号をデジタルに変換し、デジタルベースバンド信号を送出する。
FFT8は、OFDMシンボルの有効シンボル期間についてFFT(Fast Fourier Transform)演算を行い、OFDM形式のストリームに復調する。尚、有効シンボル期間は、ガードインターバル相関などによりシンボル同期を行って規定することができ、予め定めた伝送モードに従ったFFTサンプル周波数でFFT演算を行う。
AC抽出回路9は、OFDM形式のストリームからDBPSKで遅延検波した後、0又は1のレベル判定を行い、AC信号のビットストリームを得る。
誤り訂正回路16は、フレーム同期検出回路10によって生成されたフレーム同期信号に同期して、緊急速報の情報(AC信号)を、例えば差集合巡回符号方式のパリティビットを有する場合はその符号に基づき、誤り訂正する。
AC復号回路17は、送信側の符号化方式に対応する復号形式で緊急速報の情報を復号する。
予測情報計算手段18は、復号した緊急速報の情報から、例えば緊急地震速報であれば、各地域の震度及び到達時刻の予測情報を計算する。予測情報計算手段18は、自身の受信機1の位置と現在時刻の取得のため、時間検出手段27及び位置検出手段28に接続される。予測情報計算手段18の機能の更なる詳細は、後述する。
時間検出手段27は、時計の現在時刻計数回路25から現在時刻を取得して保持し、現在時刻の情報を予測情報計算手段18に供給する。当該受信機1を備える端末は、時計(時計自体の構成は、既知であり説明しない)であり、現在時刻を計数している。現在時刻計数回路25は、時計自身の機能を兼ねる部分であり、常に現在時刻を計数している。尚、現在時刻の補正は、時計のユーザによる手入力、標準電波より定期的に、或いは地上デジタルテレビジョン放送を定期的に受信して、受信信号に含まれるTDT(Time Date Table)などから現在時刻情報を検出して、行うことができる。また、現在時刻計数回路25の出力信号は、表示制御回路26にも入力され、表示制御回路26は、現在時刻を時計の表示部33に表示するように制御する。
位置検出手段28は、本発明の主たる部分である郵便番号入力回路29に接続される。尚、時計が設置される場所(即ち、住所)に対応する郵便番号7桁が、時計のユーザの操作により郵便番号入力回路29に設定され、位置検出手段28は、郵便番号入力回路29から設定された郵便番号の情報を取得して住所を特定且つ検出し、当該受信機1の位置の情報を予測情報計算手段18に供給する。
より詳細に、予測情報計算手段18の動作を説明する。表1に示すような緊急地震速報の電文情報、即ち地震源の位置情報(緯度、経度、深さ)及び地震の規模(マグニチュード)と、予め規定することができる地盤増強度との情報から、予測震度及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する。更に、予測情報計算手段18は、地震の発生時刻との足し算で、到達予測時刻の絶対時刻も算出することもできる。
具体的には、予測情報計算手段18は、次のように予測震度及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する。
震度は、計測震度IINSTRとして次式の非特許文献1に記載の計算式により算出される。
IINSTR=2.68+1.72 log(PGV)±0.21 (1)
ここで、PGVは地表面での各地点の最大速度[cm/s]であり、非特許文献1に記載されるように、最大速度減衰式で計算される基準基盤(硬質基盤、S波速度600m/s)での最大速度PGV600と国土数値情報にある各対象となる地点での地盤増幅度ARViとの乗算で求められる値である。
PGV=1.31 PGV600×ARVi (2)
尚、非特許文献1に記載されるように、最大速度減衰式は、式(3)で表され、PGV600[cm/s]の算出に必要となる情報は、マグニチュードM、震源の深さD[km]と断層最短距離x[km]のみである。
log(PGV600)=0.58 (M−0.171)+0.0038 D−1.29
−log(x+0.028×100.50(M−0.171))−0.002x (3)
予測情報計算手段18は、位置検出手段28から位置情報を取得し、現在受信機が存在する地点を把握することができるため、震源の位置情報と受信機の位置情報によりxを容易に算出することができる。尚、7桁の郵便番号と当該地域の住所に対応する値として、代表点の緯度及び経度を、予め設定しておくものとする。
また、ARViは地点に依存する値であるので、予め受信機1に記憶させておくことで、位置情報に基づき選択利用することができる。
よって、計測震度IINSTRは、受信機1において未知数である震源の位置情報とマグニチュードを送信側から取得することにより、当該受信機において容易に算出できる。
尚、計測震度IINSTRは小数点を含む数値として計算されるので、例えば表2に示すように、震度階級における最大予測震度の情報に変換する。
Figure 2009272949
また、受信機1のいる地点への地震の発生時刻からの到達予測時刻(到達所要時刻)は、震央距離Δ[km]と震源の深さD[km]をもとに気象庁が示す走時表(例えばJMA2001)を用いて算出することができる。震央距離Δは震源の位置情報(緯度、経度)と当該受信機の位置情報から算出することができる値である。
このように、予測情報計算手段18は、自身の受信機1の位置とこの位置に基づく地盤増幅度、地上デジタルテレビジョン放送の緊急地震速報により伝えられた震源の緯度、経度及び深さ、及びマグニチュードを用いて、震源距離xを算出するとともに、式(1)〜(3)の演算を行い、自身の受信機がある地点における予測震度を算出する。そして、震央距離Δを算出するとともに、JMA2001などの走時表と時間検出手段27から取得した現在時刻の情報から、到達予測時刻を算出する。
図6に、郵便番号入力回路29の具体的な構成と、現在時刻計数回路25、表示制御回路26、及び表示部33の具体的な構成例を示す。
郵便番号入力回路29は、郵便番号設定回路43及び設定情報記憶回路45を備え、好適には、現在時刻計数回路25と郵便番号入力回路29との間に切り替え回路42を設ける。切り替え回路42は、現在時刻計数回路25及び郵便番号入力回路29から得られる現在時刻の情報及び郵便番号の設定情報を表示部33に表示させるための信号を例えば「時、分」の表示を受け持つ表示制御回路26に送出することができる。
郵便番号設定回路43は、受信機1により構成される受信機付き時計のユーザの操作により、例えば時計裏などにある設定冶具を用いて、郵便番号を入力するインターフェース回路41に組み込まれ、切り替え回路42に連動して、入力された郵便番号の数値を認識するとともに、当該数値を設定情報記憶回路45に格納する。
郵便番号設定回路43のインターフェース回路41の一事例を示す。
図4は、本発明による一実施例の受信機を具備するデジタルタイプの時計の場合のユーザインタフェース34及び表示部33を模範的に示す図である。
図4において、「設定」ボタン34−1で、「通常動作」→「時刻設定」→「アラーム設定」→「郵便番号入力(3桁)」→「郵便番号入力(−以降、上2桁)」→「郵便番号入力(−以降、下2桁)」→「通常動作」を切り替える。例えば、「+」及び「−」ボタンで、「設定」ボタン34−1で設定した状態に対する数値の入力を行う。尚、インクリメント(「+」)及びディクリメント(「−」)を表す。「アラーム設定」は、「+」又は「−」ボタンのいずれか一方ずつを押すと「ON」に設定され、同時に押すと「OFF」に設定されるものとする。
例えば、図4における表示部33に示すように、デジタル時計における時刻表示機能を用いて郵便番号を設定することができる。
アナログタイプの時計の場合には、ユーザインタフェース35などを好適に用いることができる。
図5は、本発明による一実施例の受信機を具備するアナログタイプの時計の場合のユーザインタフェースを模範的に示す図である。
この場合の設定は、「時計」35−1、「アラーム」35−2、及び「郵便」35−3をスライドスイッチ35−6により切り替える。各状態で、つまみ35−4を右(「+」)又は左(「−」)に回して数字を変更する。「郵便」番号入力は、1桁ずつダイヤルスイッチ35−5を切り替えて入力する。尚、数値の確定は、つまみ35−4を1回押すことで行う。この郵便番号入力時には、数値の表示は、例えば時計面の各時間(1時〜12時のうち12時及び1時〜9時を0〜9と置く。)の文字盤を、例えば分針が指示するものとし、時計のユーザはその値を確認して操作する。また、「アラーム」35−2は、同じつまみ35−4を2回押すと、「OFF」とする。
このようなユーザインタフェースを用いて、郵便番号設定回路43は、受信機1の地域設定位置を認識させる郵便番号の入力を可能とする。
設定情報記憶回路45は、郵便番号設定回路43の出力を、郵便番号の桁(ケタ)の識別とともに記憶する。設定情報記憶回路45の出力は、位置検出手段28に送られる。
切り替え回路42は、現在時刻計数回路25の出力と、郵便番号設定回路43の出力とを切り替えて表示できるように、表示制御回路26へ送る数値を切り替えるとともに、郵便番号設定回路43において読み込む数値を、郵便番号の桁の変化とともに切り替える信号を出力する。
図6に示すように、表示部33の上側表示部33−1又は下側表示部33−2が、切り替え回路42によって切り替えて、現在時刻の計数(例えば、時、分、秒)及び郵便番号の設定、又は入力された数値を分離して表示する。
尚、ユーザインタフェースにおける時刻設定及びアラーム設定の入力は、切り替え回路42に接続されているものとする(図示せず)。
警告手段22は、当該受信機1を具備する置時計が備える表示器(時計の時刻の表示器をそのまま用いることもできる。)に文字で表示するか、当該受信機1を具備する置時計が備えるスピーカから音で発生させるか、当該受信機1を具備する置時計が備えるバイブレータによる振動警告を発するか、又は通常動作時とは異なる動作で知覚的に警告を発生する。
時計の表示部33を用いて、緊急地震速報を表示する例を説明する。
第1の例は、速報を重視し、予測情報計算手段で当該地域での予測震度のみ計算し、震度4の基準値を超えた場合に提示する。
図2に、緊急地震速報を受信時の表示部33における表示例を示す。上側表示部33−1の日付表示部分が緊急地震速報の受信とともに、受信前の状態(図2(A))から「緊急地震速報(気象庁)」を明示的に表示し、警戒を提示する受信後の状態に遷移する(図2(B))。
第2の例は、当該地域における予測震度と予測余裕時間(残時間数)を提示し、当該時計のユーザに、どれぐらいの規模の地震の揺れが到来するか、あとどれぐらいの余裕があるか、を提示する。
当該緊急地震速報における表示の更に別の例を図3に示す。図2と同様の「緊急地震速報(気象庁)」の明示的な表示とともに、下側表示部33−2の時刻(時、分)の表示部分が、受信前の状態(図3(A))から、受信後に、「震度」及び主要動が当該地域に到達するまでの「残時間」の表示に切り替わり、警戒を提示する(図3(B))様子を示す。また、図3の例では、「震度5強、残り時間12秒」の例を示している。
次に、本実施例の受信機1の動作を確認する。
受信機1は、地上デジタルテレビジョン放送の、例えばワンセグ信号を受信する。つまり、アンテナ5で受信し、選択されたチャンネルにて受信したOFDM信号からガードインターバル相関などによりシンボル同期を行い、FFT演算を経てAC信号を抽出する。
更に、本実施例の受信機1は、電文情報に含まれる、AC信号に多重された同期信号に基づき、AC信号のフレーム同期を行う。
そして、本実施例の受信機1は、フレーム同期に基づいて得られたタイミングに従い、電文情報に含まれる「緊急地震速報」の起動フラグを監視し、該起動フラグが1のときには、以後に続く電文情報を受信し、前記電文情報の残り、即ち、「地震発生時刻」、「震源の緯度」、「震源の経度」、「震源の深さ」、及び「マグニチュード」に関する情報を認識する。
そして、予測情報計算手段18は、受信した情報と、位置情報、及び、現在時刻を基に、前述した手法(式(1)〜(3)の演算、及びJMA2001などの走時表)に従い、当該地域における予測震度及び主要動の到達予測時刻を計算する。
この震度が、基準値(震度4以上)の場合、警告手段22による当該緊急地震速報の情報を提示する(表示、警告音、音声など)。
このため、時計が有する現在時刻計数機能に付加する形で、本発明が開示する技術においては、予測情報計算手段18は、郵便番号入力回路29を介して入力された位置情報を特定可能な郵便番号から、該当する「住所」並びに当該地域の「緯度、経度」を導出する。
尚、これまでの緊急地震速報の電文情報として、「地震発生時刻」、「震源の緯度」、「震源の経度」、「震源の深さ」、及び「マグニチュード」を送受信し、受信機において予測震度と主要動の到達予測時刻を予測情報計算手段18において計算により求める例で説明したが、例えば、電文情報として「震央地」、「震度4以上の強震地域」を直接伝送して、予測情報計算手段18により該「震度4以上の強震地域」が当該地域の位置情報と一致するか否かを判別し、一致する場合に、警告手段22に情報を提示するとしてもよい。
上述した実施例の受信機1は、AC信号により伝送される緊急地震速報を受信するものとして説明したが、TMCC信号により伝送される緊急警報放送又は緊急地震速報を受信するように構成した場合にも、同様の効果が得られる。即ち、TMCCの将来の拡張性を考慮して、TMCCの現在未利用な部分、リザーブビットを用いて緊急地震速報が伝送される場合も、緊急警報放送の場合と同様に動作させることができる。
実施例の受信機1及び受信機付き時計によれば、位置情報と関連付けられる郵便番号を用いて、受信機の位置を特定し、緊急警報放送を適切に受信することができるようになる。
上述の実施例については特定の例を挙げて説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、上述した実施例では、本発明の理解を容易にするために、本発明に係る受信機を、例えば置時計に具備させることが可能であるとして説明したが、当該置時計が予め有する機能に本発明に係る受信機の機能を統合させることもできる。例えば、当該置時計が幾つかの切り替えスイッチを有する場合には、上述の実施例のように応用させることができる。また、本発明は、壁掛け時計や柱時計など、種々の時計に適用することができる。更に、緊急速報がAC信号により伝送されるとして説明したが、TMCC信号により伝送されるように構成してもよい。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
本発明による受信機は、確実な緊急警報放送や緊急地震速報などの緊急速報の伝達を可能とするので、緊急速報の通知を直ちに受けるデバイスとして、様々な日用生活機器と組み合わせる用途に有用である。
本発明による一実施例の受信機を示す図である。 本発明による一実施例の受信機を介して受信する緊急地震速報の表示例を示す図である。 本発明による一実施例の受信機を介して受信する緊急地震速報の更に別の表示例を示す図である。 本発明による一実施例の受信機を具備するデジタルタイプの時計の場合のユーザインタフェース及び表示部を模範的に示す図である。 本発明による一実施例の受信機を具備するアナログタイプの時計の場合のユーザインタフェースを模範的に示す図である。 本発明による一実施例の受信機における郵便番号入力回路の具体的な構成と、現在時刻計数回路、表示制御回路、及び表示部の具体的な構成例を示す図である。
符号の説明
1 受信機
5 アンテナ
6 周波数変換回路
7 AD変換回路
8 FFT
9 AC抽出回路
16 誤り訂正回路
17 AC復号回路
18 予測情報計算手段
22 警告手段
25 現在時刻計数回路
26 表示制御回路
27 時間検出手段
28 位置検出手段
29 郵便番号入力回路
33 表示部
33−1 上側表示部(「緊急地震速報」、及び「月、日」表示画面を兼用)
33−2 下側表示部(「時、分」、及び「震度、残時間」表示画面を兼用)
34,35 ユーザインタフェース
34−1「設定」、「+」、「−」ボタン
35−1 「時刻」メニュー
35−2 「アラーム」メニュー
35−3 「郵便」メニュー
35−4 つまみ
35−5 ダイヤルスイッチ
35−6 スライドスイッチ
41 インターフェース回路
42 切り替え回路
43 郵便番号設定回路
45 設定情報記憶回路

Claims (4)

  1. 地上デジタルテレビジョン放送波からAC信号又はTMCC信号を受信する受信機であって、
    少なくとも緊急地震速報の有無を識別するフラグと、緊急地震速報の情報を含む緊急速報とを格納する電文情報が、AC信号又はTMCC信号にて伝送されるように予め規定されており、
    地上デジタルテレビジョン放送波を受信してAC信号又はTMCC信号を抽出する手段と、
    郵便番号を設定して当該受信機の位置を特定し、当該受信機の位置情報として検出する手段と、
    前記位置情報に基づいて、前記緊急地震速報に格納される緊急地震速報の地域と一致するか否か判別し、当該郵便番号で特定される地域と一致する場合に、警告を発する警告手段とを備えることを特徴とする、受信機。
  2. 前記緊急地震速報の情報は、「震央地」及び「震度4以上の強震地域」の情報を含み、
    前記警告手段は、前記位置情報が「震央地」及び「震度4以上の強震地域」に一致する場合に、警告を発することを特徴とする、請求項1に記載の受信機。
  3. 前記緊急地震速報の情報は、「震源の緯度」、「震源の経度」及び「震源の深さ」及び「マグニチュード」の情報を含み、
    該情報を用いて、前記位置情報により特定される地域の予測震度、及び強震動(主要動)の到達予測時刻を算出する手段を備え、
    前記警告手段は、前記予測震度が震度4以上である場合に、前記到達予測時刻を提示して警告を発することを特徴とする、請求項1に記載の受信機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の受信機を備える時計であって、
    前記郵便番号の情報が、前記受信機付き時計における時刻表示機能を用いて入力されることを特徴とする、受信機付き時計。
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