JP2009270968A - 道路の路面性能測定装置及び路面性能測定結果に基づく路面管理システム - Google Patents

道路の路面性能測定装置及び路面性能測定結果に基づく路面管理システム Download PDF

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Abstract

【課題】路面のIRIを簡易に求めることができる路面性能測定装置を提供し、これを用いて広い地域での路面の管理に有効に活用できる路面管理システムを提供する。
【解決手段】路面管理システムは、複数の行政区画で仕切られた地域に適用され、地域内の道路を走行するタクシー等の複数の車両1に路面性能測定装置10が搭載されており、道路の複数個所にはインターネットの中継局53が設けられており、さらに地域内の所定の1か所には中継局53を介して車両からの信号を受信する路面管理システム全体をコントロールする分配センター55が設けられている。路面性能測定装置10から位置情報,IRI値、映像データを含む信号が中継局に送信され、分配センターが中継局から信号を受けてIRI値を補正して、位置情報、映像データと共に該当する市、町等の地方行政区画の道路管理部門に送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、道路の路面の凹凸状態を評価するための道路の路面性能測定装置、及び路面性能測定結果に基づく路面管理システムに関する。
道路の路面性能は乗り心地で表現でき、乗り心地を表す指標としては、国際ラフネス指数IRI(International Roughness Index)が用いられている。従来、路面のIRIを測定する方法としては、例えば特許文献1に示すように、路面のプロファイルを測定し、そのプロファイルに基づいてIRIを演算により求める方法が知られている。同文献によれば、路面断面プロファイルの測定装置として、同一直線上に所定間隔を隔ててかつ回転方向を同一直線方向に合わせて円盤状の第1ローラ、第2ローラ及び第3ローラを配設し、第1及び第2ローラの各回転軸に取り付けられて第1及び第2ローラを回転自在に連結する第1連結棒と、第2及び第3ローラの各回転軸に取り付けられて第2及び第3ローラを回転自在に連結する第2連結棒と、ローラの移動距離を測定する距離測定手段と、第1連結棒と第2連結棒が互いに真直な状態から回動したときの変位角度である連結角を検出する角度検出手段とを設けてなる測定ブロックが用いられている。この測定ブロックを連結棒材を介して車体に連結し、車体から連結棒材を通して測定ブロックを路面に押し付けることにより、三点計測点を形成する3つのローラが路面から離れないようにして路面のプロファイルが精度よく測定されるようになっている。
この路面プロファイルを用いて、所定のばね定数の線状ばね材の一端に所定重量の重りを取り付けてなる測定具を、線状ばね材を上下に向けかつ重りを上端側に配置し、下端を上記縦断プロファイルに接触させた状態で、所定速度vで縦方向に移動させ、その際の重りの上下方向の変位を積分して、その積分値を算出することによりIRI値を算出している。IRI値の演算は、通常はマイクロコンピュータを用いたソフトウエア処理により行われている。
特開2002−48534号
しかし、上記IRIを求めるためには、路面のプロファイルを測定し、このプロファイル上を仮想車を走行させるシミュレーションを行う必要があり、算出の手間が煩雑であり利用し易い方法ではなく、また算出のコストも高価であった。特に、地方の市、町等の複数の地方行政区域を含んだ広い範囲の地域において、地域内の道路の路面管理をIRIを用いて行うような場合に、IRIデータの取得が容易でないことから、行政区域の道路を管理する管理部門は、このデータにより道路の修理等を含む維持管理を適正に行うことは非常に困難であった。
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、路面のIRIを簡易に求めることができる路面性能測定装置を提供することを目的とする。また、本発明は、IRIの測定結果を広い地域での路面の管理に有効に活用できる路面性能測定結果に基づく路面管理システムを提供することを他の目的とする。
上記目的を達成するために上記請求項1の発明の構成上の特徴は、車両の車軸端部に設けられた車輪のホイールに対して同軸状に固定されて車軸の延長方向に延びる取付軸部材と、一端にて取付軸部材に回転自在に取り付けられて車両の前後いずれか一方向に延びて他端にて路面に接触するローラが車輪に合わせた方向に回転自在に取り付けられたアーム部と、ローラを路面に押し付ける押付手段と、アーム部の取付軸部材への取り付け部分あるいは取付軸部材に回転自在に取り付けられて径方向に延びた基準棒を有する基準部材と、基準部材と車体間に設けられて車輪の上下動に対して基準棒を常に所定方向に向くようにさせるリンク機構と、ローラが路面の凹凸に応じて上下動したときの基準棒とアーム部とのなす変位角を検出する変位角検出手段と、車両の移動距離を検出する距離検出手段と、変位角検出手段による角度検出結果に基づいて距離検出手段による所定距離検出毎に路面のIRI値を演算するIRI演算手段とを備えたことにある。
上記のように構成した請求項1の発明においては、車両の移動により、車両の車軸端部に設けたホイールに固定された取付軸部材を中心として前後いずれか一方に延びたアーム部と、アーム部の取付軸部材への取り付け部分あるいは取付軸部材に回転可能に取り付けられた基準部材の径方向に延びた基準棒との間の変位角が、路面の凹凸によるローラの高さの変動に応じて変化する。ここで、基準部材に設けた基準棒については、基準部材と車体間に設けられたリンク機構により車輪の上下動に対して常に所定方向に向くようにコントロールされている。そのため、変位角検出手段による基準棒とアーム部とのなす変位角の検出結果はほぼ正確なものになる。この変位角検出結果に基づいて、距離検出手段による車両の所定移動距離ごとに、IRI演算手段により所定距離検出毎に路面のIRI値を演算することができる。その結果、本発明においては、簡易な測定手段と演算手段によって、車両の移動に伴って、路面プロファイルを求めることなく簡易にIRI値を演算することができるので便利であり、演算コストも安価にされる。
また、本発明において、衛星利用位置側位システムからの信号を受けて車両の位置を認識する車両位置認識手段を設けることができる。このように、衛星利用位置側位システム(以下、GPSと記す)からの信号を受けて車両の位置を認識することにより、路面のIRI演算結果が地域のどの位置でのデータなのかが明確にされるため、地域のいずれの場所の路面状態かを明確に知ることができる。
また、本発明において、車両の前面側に、車両の前方の所定位置の路面状態を撮影する前方画像撮影装置を設けることができる。このように、前方画像撮影装置により、車両の前方の所定位置の路面状態を撮影することができるため、IRI値に対応した路面の実際の状態が、ポットホール、穴あき、はがれ、陥没、段差(マンホール、路面標識等)、わだち掘れ、ひび割れ、縦断の凹凸コルゲーション、薄層舗装の剥離、滞水、ポンピング、ブリスタリング、目地部の破損等のいずれであるかを確認することができ、修理の程度を容易に判断することができる。
また、本発明において、IRI演算手段によるIRI値と、車両位置データとを合わせたデータ信号あるいはこれに前方画像撮影装置による撮影データを合わせたデータ信号を外部受信局に送信する送信手段を設けることができる。これにより、路面のIRI値あるいはこれに加えて路面の撮影データを、地域のどの位置でのデータなのかを明確にしたデータ信号として外部受信局に送られるので、外部受信局を通してデータを得ることにより、地域の所定の場所の路面状態を明確に知ることができる。
また、本発明の他の特徴は、所定地域の路面を走行する車両に特許請求の範囲の請求項4に記載の路面性能測定装置を搭載させ、路面性能測定装置の送信手段から路面の位置情報とIRI値又はこれらに撮影データを加えたデータ信号を中継局に送信し、所定地域内の1か所に分配センターを設け、中継局を介して分配センターにおいてデータ信号を受信し、分配センターにおいて、予め求めた補正データに基づいてIRI値を補正し、補正されたIRI値と位置情報あるいはこれに映像データを加えたデータ信号を、位置情報に基づいて該当する地域の管理部門に、中継局を介して送信するようにしたことにある。
本発明においては、市、町等の複数の地方行政区域を含んだ地域において、地域内を走行する車両に路面性能測定装置を取り付け、路面性能測定装置の送信手段から送信された車両位置情報とIRI値を含むデータ信号あるいはこれに路面の撮影データを加えたデータ信号を中継局を介して分配センターにおいて受信することにより、分配センターにおいては、データ信号が地域のどの行政区画のどの位置から送信されたかを認識できる。また、分配センターにおいては、受信したIRI値について、あらかじめ取得した所定の補正データに基づいてこれを精度の良いIRI値に補正することができる。そして、分配センターでは、受信データに係る道路を管理する行政区域の道路管理部門に対して、道路の位置情報と補正された精度のよいIRI値あるいはこれに撮影データを加えたデータ信号を送信することができるため、このデータ信号を受けた行政区域の管理部門は、このデータにより道路の修理等を含む維持管理を適正にかつ簡易に行うことができる。
本発明においては、簡易な測定手段とIRI演算手段によって、車両の移動に伴って、路面プロファイルを求めることなく簡易にIRI値を演算することができるので便利であり、演算コストも安価にされ、さらに、車両位置データと映像データを加えることにより、道路の特定位置の路面の状況をIRI値に加えて映像によっても正確に認識することができる。また、本発明においては、複数の行政区画を含んだ地域において、地域内を走行する車両に路面性能測定装置を取り付けることにより、路面性能測定装置の送信手段から送信された車両位置データとIRI値を含む信号あるいはこれに路面の撮影データを加えた信号を中継局を介して分配センターにおいて受信することにより、分配センターにおいては、地域のどの行政区画のどの位置であるかを認識できる。また、分配センターにおいては、受信したIRI値について、あらかじめ取得した所定の補正データに基づいてこれを精度の良い値に補正することができ、受信データに係る行政区画の道路管理部門に対して、道路の位置データと補正された精度のよいIRIデータとを送信することができるため、このデータを受けた行政区画の管理部門は、このデータにより道路の修理等を含む維持管理を適正にかつ簡易に行うことができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1は一実施例である車両に取り付けた路面性能測定装置を用いた路面性能測定結果に基づく路面管理システムを摸式図により示したものである。図2、図3は、路面性能測定装置を正面図及びIII−III線方向の一部破断面図により示したものである。路面管理システムは、市、町等の複数の地方行政区域を含んだ地域に適用されるものであり、地域内の道路を走行するタクシー、宅配車両等の複数の車両1に路面性能測定装置10が搭載されており、道路の複数個所にはVICSデータを送信受信するインターネットの中継局53が設けられており、さらに地域内の所定の1か所には中継局53を介して車両からの信号を受信する路面管理システム全体をコントロールする分配センター55が設けられており、分配センター55から中継局53を介して該当信号を受け取る市、町等の地方行政区域の道路管理部門A,B,…M,Nが設けられている。路面性能測定装置10は、測定部11と、前方画像撮影装置44と、信号制御装置45とを備えている。
測定部11は、図2,図3に示すように、サスペンション(図示しない)によって車体2に吊り下げられた車軸3の端部側に同軸的に固定される取付軸部材12を有している。車軸3端部のハブ4には、車輪5のホイール6が取り付けられている。ホイール6の外周縁側の周方向に等間隔な4箇所に取り付け用のボルト7が垂直に立設されており、ホイール6にはボルト7を介して取付アダプター8が固定されている。取付軸部材12は、取付アダプター8を通してホイール6の中心位置に固定され、車軸3の延長方向に延びている。取付軸部材12の外端側にはアーム部13が回転可能にかつ軸方向に移動不能に挿嵌されている。
アーム部13は、取付軸部材12に挿嵌される円筒部14と、円筒部14から径方向外方でかつ車両1の後方に向けて延びた長尺の水平棒部15と、水平棒部15の先端で下方に直角に折り曲げられた垂直棒部16と、垂直棒部16の下端で折り曲げられて円筒部14と反対方向に延びた取付棒部17とを一体で設けている。取付棒部17の先端には、円盤形状の硬質のゴムあるいはプラスチック製であるローラ18が同軸状にかつ回転自在に取り付けられている。図3に示すように、ローラ18は、車輪4に対して車両後方向(図3の右方向)の同一線上に合わせて離間して配置されている。
アーム部13の円筒部14の外周面には、円筒形棒状の基準部材21が回転可能にかつ軸方向に移動不能に挿嵌されている。基準部材21は、軸方向内端(図3の右端)に径方向に延びた基準棒22を一体で有している。基準棒22は、車両1後方に向けて水平より上方に向いて傾斜した状態になっている。基準部材21の軸方向中間位置には外周面に歯が設けられたタイミングプーリである下プーリ23が同軸状に取り付けられて固定されている。取付軸部材12の鉛直上方には、タイミングプーリである上プーリ25が車体2に固定されている。取付軸部材12と車体2の間において取付軸部材12に対してわずかに車両前方向位置には、中間軸部27が車軸2に対して平行になるように配設されている。中間軸27の車輪側端部(図3の右端)にはタイミングプーリである後中間プーリ28が同軸状に固定されている。後中間プーリ28は上プーリ25と同一径であり、上プーリ25との間に内周面に歯が設けられたタイミングベルトである上平行リンクベルト29が巻装されて、上プーリ25及び後中間プーリ28とそれぞれ噛み合っている。
また、中間軸27の上記下プーリ23の上方位置にはタイミングプーリである前中間プーリ31が固定されている。前中間プーリ31は、下プーリ23と同一径であり、下プーリ23との間にタイミングベルトである下平行リンクベルト32が巻装されている。上プーリ25の中心には回転軸34が図示しないベアリングによって回転自在に取り付けられており、回転軸34の先端には剛直な真直ぐの棒状の上連結棒35が直角をなして固定されて下方に延びている。上連結棒35の下端は、中間軸27の後中間プーリ28と前中間プーリ31の間にてベアリング36により回転可能に取り付けられている。基準部材21の前端と中間軸27の前端間には剛直な真直ぐな棒状の下連結棒38が取り付けられている。下連結棒38は、上下端がベアリング38a,38bによって中間軸27と基準部材21とに回転自在に取り付けられている。
基準部材21の基準棒22とアーム部13の水平棒部15との間には、基準棒22と水平棒部15のなす変位角を検出するリニアエンコーダを用いた変位角検出手段である角度検出器41が取り付けられている。また、車体2と水平棒部15の間にはローラ18を地面Gに押し付けるためのコイルばねからなる押付部材42が取り付けられている。また、車両の前面側には、前方10m先の路面状態を撮影する前方画像撮影装置44が設けられている。
上記路面性能測定装置10においては、車輪5が上方に移動すると、中間軸27が上前方に移動するが、上プーリ25は車体2に固定されており、さらに上プーリ25と後中間プーリ28とが上連結棒35で連結されているため、上平行リンクベルト29が上プーリ25に噛み合って前方に振られ、後中間プーリ28は上平行リンクベルト29と噛み合って上前方に移動するが回転はしない。すなわち、上プーリ25と後中間プーリ28と上平行リンクベルト29とにより上リンク機構が構成され、後中間プーリ28は上プーリ25を中心として上平行ベルト29を介して前方向に振られるが回転はしないようになっている。
また、前中間プーリ31は中間軸27に固定されて回転しないようになっており、さらに下プーリ23と前中間プーリ31とが下連結棒38で連結されているため、下平行リンクベルト32が前中間プーリ31に噛み合って後方に振られ、下プーリ23は下平行リンクベルト32と噛み合って上後方に移動するが回転はしない。すなわち、下プーリ23と前中間プーリ31と下平行リンクベルト32とにより下リンク機構が構成され、下プーリ23は前中間プーリ31を中心として下平行リンクベルト32を介して後方に振られるが回転はしないようになっている。上リンク機構と下リンク機構とを合わせてリンク機構が構成されている。従って、車輪5の上方への移動によって、下プーリ23に固定された基準部材21も回転することなく基準棒22も一定位置が維持される。車輪5が下方に移動しても同様である。
信号制御装置45は、マイクロコンピュータ等により構成されており、IRI演算部46と、映像処理部47と、GPS処理部48と、信号形成送信部49とを備えている。IRI演算部46は、ROMに記憶された変位角演算プログラムを実行して道路の所定長さの区間(例えば10mの区間)において、角度検出器41から入力された角度変化を積分することにより、その区間のIRI値を演算するものである。映像処理部47は、前方画像撮影装置44からの映像信号を送信用の映像デジタル信号に変換するものである。GPS処理部48は、衛星利用位置側位システムGPSからの位置信号を入力して位置出力信号に変換するものである。信号形成送信部49は、IRI信号と映像デジタル信号と位置出力信号をまとめて、道路交通情報通信システム(VICS)を利用して中継局53にVICS信号を送信するもので、例えばVICS信号の形態としては、(ヘッダ)(送信宛アドレス信号)(GPS信号)(IRI信号)(画像信号)(その他)のような形となる。距離検出手段としては、車両1のエンジンコントローラ51の回転数検出部からの回転数信号等が利用される。
IRI演算部46の入力側には角度検出器41が接続され、映像処理部47の入力側には前方画像撮影装置44が接続され、GPS処理部48の入力側にはGPS信号を受信する受信アンテナ48aが接続されている。信号形成送信部49の入力側には、IRI演算部46、映像処理部47、GPS処理部48が接続されており、さらにエンジンコントローラ51が接続されている。また、信号形成送信部49の出力側には送信アンテナ49aが接続されている。本実施例においては、IRI(10m)の値が、あらかじめ規定された所定の値以上であるとき、すなわち路面の状態が注意を要するような場合にのみ、信号制御装置45からの信号送信が行われるようになっている。このように必要なデータのみを送信することにより、道路管理部門における管理の手間が低減する。
中継局53は、インターネットの送受信部であり、車両1に搭載された路面性能測定装置10からのVICS信号を受信アンテナ53aで受信すると共に送信アンテナ53bから信号を送信するものである。分配センター55は、中継局53間と相互に送受信可能になっている。また、分配センター55は、予め仮IRI値の補正値を求めた補正データを所有しており、中継局53から信号を受けて、IRI測定値については補正データによって適正なIRI値に修正し、GPS信号から該当する区域の道路管理部門を選択して、中継局53を介して該当する区域の道路管理部門に位置情報とIRI値と映像データとを含むVICS信号を送信するようになっている。
上記実施例においては、車両1の移動により、車両の車軸3端部に設けたホイール6に固定された取付軸部材12を中心として後方に延びたアーム部13と、取付軸部材12に回転可能に取り付けられて基準部材21の径方向に延びた基準棒22との間の変位角が、路面の凹凸によるローラ18の高さの変動に応じて変化する。ここで、基準部材21に設けた基準棒22については、アーム部13と車体2間に設けられた上記上下リンク機構により車輪5の上下動に対して常に一定方向に向くようにコントロールされている。そのため、角度検出器41による基準棒22とアーム部13とのなす変位角の検出結果はほぼ正確なものになる。この変位角検出結果に基づいて、エンジンコントローラ51からの信号に基づく車両1の所定移動距離毎に、IRI演算部46により路面のIRI値を演算することができる。その結果、本実施例においては、簡易な構成の測定部11とIRI演算部46によって、車両1の移動に伴って、プロファイルを求めることなく簡易にIRI値を演算することができるので便利であり、演算コストも安価にされる。
本実施例においては、市、町等の複数の地方行政区域を含んだ地域において、地域内を走行する車両に路面性能測定装置10を取り付け、路面性能測定装置10の信号形成送信部49から送信された車両位置についての位置情報とIRI値と映像データを含むVICS信号が中継局53を介して分配センター55において受信されることにより、分配センター55においては、地域のどの行政区画のどの位置であるかを認識できる。さらに、分配センター55においては、受信したIRI値について、あらかじめ取得した所定の補正データに基づいてこれを精度の良い値に補正することができる。
そして、分配センター55では、道路を管理する行政区域の道路管理部門A,B…M,Nの内の該当する部門に対して、道路の位置情報と補正された精度のよいIRI値と映像データとを含むVICS信号を送信することができる。そして、このVICS信号を受けた行政区域の管理部門は、このデータによりIRI値と、路面の実際の状態が、ポットホール、穴あき、はがれ、陥没、段差(マンホール、路面標識等)、わだち掘れ、ひび割れ、縦断の凹凸コルゲーション、薄層舗装の剥離、滞水、ポンピング、ブリスタリング、目地部の破損等であるかとから、路面の状態を詳しく確認して道路の修理の程度を容易に判断することができるので、道路の修理等を含む維持管理を適正にかつ簡易に行うことができる。
なお、上記実施例においては、取付軸部材12はホイール6の中心位置に固定されているが、これに代えて車軸3端部のハブ4に固定されてもよい。また、上記実施例においては、基準部材21はアーム部13の円筒部14外周面に挿嵌されているが、場合によっては、取付軸部材12外周面に直接挿嵌されることも可能である。さらに、上記実施例では、測定部11がFF車両の非駆動の後輪に取り付けられているが、これに代えて、多少変位検出精度に影響があるが前輪に取り付けることも可能である。また、上記実施例では、アーム部13が車両の後方に向けて配置されているが、これに代えて車両の前方に向けて配置することも可能である。さらに、実施例では、路面性能測定装置10からのデータ信号が、GPS位置情報とIRI値と映像データを含んでいるが、映像データについては必要に応じて省くことも可能である。また、実施例では、路面性能測定装置10から中継局53を介して分配センター55にデータ信号が送信されているが、場合によっては、データ信号を測定装置に設けたCDROM等の記憶手段で直接取り出して利用することも可能である。その他、上記実施例に示した路面性能測定装置の具体的構成については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。
本発明によれば、簡易な変位角測定手段とIRI演算手段によって、車両の移動に伴って、プロファイルを求めることなく簡易にIRI値を演算することができるので便利であり、演算コストも安価にされ、さらに、車両位置データと映像データを加えることにより、道路の特定位置の路面の状況をIRI値に加えて映像によっても正確に認識することができる。また、本発明においては、複数の行政区画を含んだ地域において、地域内を走行する車両に路面性能測定装置を取り付けることにより、路面性能測定装置の送信手段から送信された車両位置データとIRI値を含む信号あるいはこれに路面の撮影データを加えた信号を中継局を介して分配センターにおいて受信し、受信データに係る道路を管理する行政区画に対して、道路の位置情報と補正された精度のよいIRI値と映像データを含むデータ信号を送信することができるため、このデータを受けた行政区画の管理部門は、このデータにより道路の修理等を含む維持管理を適正にかつ簡易に行うことができる。その結果、本発明は、有用である。
本発明の一実施例である車両の車軸端部に取り付けた路面性能測定装置を用いた路面性能測定結果に基づく路面管理システムを概略的に示す摸式図である。 同路面性能測定装置の全体構成を概略的に示す正面図である。 同路面性能測定装置を概略的に示す図2のIII−III線方向の一部破断面図である。
符号の説明
10…路面性能測定装置、11…測定部、12…取付軸部材、13…アーム部、18…ローラ、21…基準部材、22…基準棒、23…下プーリ、25…上プーリ、27…中間軸、28…後中間プーリ、29…上平行リンクベルト、31…前中間プーリ、32…下へ移行リンクベルト、35…上連結棒、38…下連結棒、41…角度検出器、42…押付部材、44…前方画像撮影装置、45…信号制御装置、53…中継局、55…分配センター。

Claims (5)

  1. 車両の車軸端部に設けられた車輪のホイールに対して同軸状に固定されて該車軸の延長方向に延びる取付軸部材と、一端にて該取付軸部材に回転自在に取り付けられて車両の前後いずれか一方向に延びて他端にて路面に接触するローラが該車輪に合わせた方向に回転自在に取り付けられたアーム部と、前記ローラを路面に押し付ける押付手段と、前記アーム部の前記取付軸部材への取り付け部分あるいは前記取付軸部材に回転自在に取り付けられて径方向に延びた基準棒を有する基準部材と、該基準部材と車体間に設けられて車輪の上下動に対して前記基準棒を常に所定方向に向くようにさせるリンク機構と、前記ローラが路面の凹凸に応じて上下動したときの前記基準棒と前記アーム部とのなす変位角を検出する変位角検出手段と、車両の移動距離を検出する距離検出手段と、前記変位角検出手段による角度検出結果に基づいて前記距離検出手段による所定距離検出毎に路面のIRI値を演算するIRI演算手段とを備えたことを特徴とする道路の路面性能測定装置。
  2. 衛星利用位置側位システムからの信号を受けて車両の位置を認識する車両位置認識手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の道路の路面性能測定装置。
  3. 車両の前面側に、該車両の前方の所定位置の路面状態を撮影する前方画像撮影装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の道路の路面性能測定装置。
  4. 前記IRI演算手段によるIRI値と、前記車両位置データと合わせたデータ信号あるいはこれに前記前方画像撮影装置による撮影データを合わせたデータ信号を外部受信局に送信する送信手段を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の道路の路面性能測定装置。
  5. 所定地域の路面を走行する車両に前記請求項4に記載の路面性能測定装置を搭載させ、該路面性能測定装置の送信手段から該路面の位置情報とIRI値又はこれらに前記撮影データを加えたデータ信号を中継局に送信し、所定地域内の1か所に分配センターを設け、前記中継局を介して該分配センターにおいてデータ信号を受信し、該分配センターにおいて、予め求めた補正データに基づいて前記IRI値を補正し、補正されたIRI値と位置情報あるいはこれに前記映像データを加えたデータ信号を、前記位置情報に基づいて該当する地域の管理部門に、前記中継局を介して送信するようにしたことを特徴とする路面性能測定結果に基づく路面管理システム。
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