JP2009268453A - ヒガンバナ科球根圧搾液を使用した松食い虫松枯れ防止液 - Google Patents
ヒガンバナ科球根圧搾液を使用した松食い虫松枯れ防止液 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 低コストの松食い虫松枯れ防止剤の提供、及び他の植物への影響を無くす防止剤の提供。
【解決手段】 安価で入手しやすいヒガンバナ科に属する植物の球根を圧搾して、その球根内に含まれているアルカロイド系リコリンという毒物成分を樹幹注入剤として活用し、松食い虫であるマツノザイセンチュウを殺虫して松食い虫松枯れ防止を行う。
【選択図】図6
【解決手段】 安価で入手しやすいヒガンバナ科に属する植物の球根を圧搾して、その球根内に含まれているアルカロイド系リコリンという毒物成分を樹幹注入剤として活用し、松食い虫であるマツノザイセンチュウを殺虫して松食い虫松枯れ防止を行う。
【選択図】図6
Description
本発明は、ヒガンバナ科球根の圧搾液を使用した松食い虫を殺虫するための松枯れ防止剤に関する。
松は根からの浸透圧と葉からの蒸散で茎から葉の組織まで仮導管から水や養分を運んでいく生命活動を営んでいる。
松食い虫被害は、マツノマダラカミキリ(以下、カミキリと称す)によって伝播されるマツノザイセンチュウ(以下センチュウと称す)の2つの生き物が介在して起こる。カミキリは、産卵するための枯死木を提供してもらい、センチュウは生存圏の移動を助けてもらっている。特にカミキリは、弱っている松の木を識別する能力があり、弱っている木をいち早く見つけては飛び移り、センチュウが伝播する。その為、松枯れの木が一本でも発生すると、そこから大量に松食い虫による松枯れが広がるという悪循環に陥るので、それを防ぐために松枯れ木を伐採していかなければならない。
センチュウによる松枯れ発生のメカニズムについて説明する。カミキリの体内に付着していたセンチュウは、春から初夏にかけて健全木の小枝の皮を食べる。その口からセンチュウが食した傷口から松の中に進入して、仮導管等の細胞中で増殖を始める。松はセンチュウが入り込むと過剰に反応を起こし、根から水分を吸い上げる仮導管に気体が生じ水分が通らなくなる。松食い虫に感染し、20日位で樹木中の水分移動や樹皮分泌が止まり、8月〜9月頃にかけて松葉が赤変色する。同時に樹木が乾燥して葉は退色して落葉する。このような経過を経て、松枯れが急速に進行して枯死する。
カミキリの成虫は1ヶ月ほど生存し、その間に交尾と産卵を行う。移動範囲は2〜3kmで、その範囲に被害木があれば危険度は増大する。カミキリの卵は、4〜5日でふ化し、1ヶ月後位から材内へ穿孔し、10月には蛹室を作り、越冬する。その頃、センチュウが蛹室周りに集まる。翌年5〜6月に蛹になり、センチュウは、蛹に移動して成虫の体に付着し、共に穴から脱出する。このようなメカニズムで松食い虫被害が拡大され、その被害は甚大なものであり、わが国の林業に多大な損害を与えている。
このようなことから、松の枯死を防止するため、予防という対策がある。その中で特に一般的な対策として実施されているのは、幹への薬品による注入(以下、樹幹注入と称する)である。しかし、これらの薬品はいずれも高価であり、又、継続して実施しなければその効果を持続することが出来ず、継続的な経費高の負担が強いられている。又、前記したように、松食い虫による松枯れ被害を断ち切るため、センチュウに感染した松木を早めに伐採して焼却するという方法もあるが、伐採、焼却に必要な経費も多大なものであり、前記、予防と駆除も合わせての松食い虫被害対策に投じる各自治体の財政的な負担は莫大なものとなっている。
このように従来の方法では、薬品や伐採等の高コストが継続的に発生し、経済的な面から伐採を断念し、松枯れが発生する場合も起こり得る問題があった。そこで本発明は、昔、小動物の忌避用としても使用されていた、ヒガンバナ科植物の球根の中に含有されているアルカロイド系リコリンという毒物に着目し、それが松食い虫を殺虫する効果があるのではという視点から松食い虫による松枯れ防止剤として開発した。ヒガンバナ科植物の球根は安価で比較的入手しやすいため、前記の経済的負担もかなり軽減される。また、自然界に存在する毒物の使用なので、他の植物にも悪影響を及ぼすことがない。
本発明は、松食い虫による松枯れの予防として、ヒガンバナ科植物の球根を圧搾した液体を使用することを特徴とした松食い虫松枯れ防止剤である。その防止剤を樹幹注入剤として使用する時は、センチュウが松木に進入する前の12月〜1月頃に松木に樹幹注入してセンチュウの進入及び増殖防止をする。
本発明は、センチュウを殺虫するヒガンバナ科に属する植物の球根を圧搾した液とすることで、従来の工業的に合成された薬品よりも低コストで製造することが出来る上、自然界の毒性であるアルカロイド系リコリンを使用することで、土壌等への蓄積が無いことから、他の植物への悪影響を与える恐れもない。この発明により、樹幹注入が低コストで行えるので、従来よりも更に、樹幹注入が促進されて、松食い虫被害木が減少し、それと連動するように被害木の伐採も減少するので、従来の自治体による松食い虫被害に要する継続的な経費が大幅に削減されると共に、それに伴って予防の拡大につながり、松食い虫被害根絶の実現も可能である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。松食い虫による松枯れ防止の為、ヒガンバナ科植物球根の圧搾液を樹幹注入剤として使用する実施例として説明する。
始めにヒガンバナ科植物球根から圧搾液を取り出す方法について説明する。図1にはヒガンバナ科植物球根を圧搾するための器具を示す。圧搾器具台座1の所定の位置に、ヒガンバナ植物球根6を所要数入れた圧搾液缶3を乗せ、圧搾液缶3の開口部の上部より、圧搾板4と連動する取っ手2を矢印7方向へ徐々に下げながら圧搾板4を圧搾缶3内に入れ、一気に矢印7方向へ取っ手2を人力で押し込む。その圧力によって、圧搾板4に空いている複数の小孔から球根3の圧搾された液が空間5の部分に押し出されて液が溜まっていく。
球根の圧搾液が空間5内に十分に溜まった後、取っ手2を矢印方向7とは逆方向に上げて圧搾液缶3内から圧搾板4を出す。そして、圧搾液缶3内に入っている圧搾液3aを残して球根のみを全て缶内から取り出し、図2に示す圧搾液希釈容器9に圧搾液3aを入れる。それと同時に希釈液8aを予め入れていた希釈液容器8から希釈液8aを圧搾液希釈容器9に入れる。希釈濃度は8%〜10%。液の量は、樹幹注入する対象木の直径の太さに比例した量にする。圧搾液希釈容器9にそれぞれ所要量を入れた後、攪拌棒10で圧搾液3aと希釈液8aを攪拌させる。
次に松食い虫予防対象木木へヒガンバナ科植物球根圧搾液を樹幹注入する為の準備について説明する。図3に松食い虫予防対象木11を示す。対象木11が生えている地面12から50cmくらいの地上高13の位置にポンチ14で穴を開ける印しを付ける。対象木11の垂直方向に対して下向きに35°〜45°くらいの角度で電気ハンドドリル16で深さ20mm〜40mmくらいの穴15を開ける。穴15の直径は、後述する樹幹注入容器挿入口18の太さに合わせる。
図4に樹幹注入容器全体図を示す。樹幹注入容器17の長手方向一端に樹幹注入挿入口18が付いていて、その相対する方向に液を入れる開口部を塞ぐようにねじ回し式のキャップ19が付いている。
次にヒガンバナ科植物球根圧搾液の樹幹注入について図5で説明する。図3で実施した穴15に樹幹注入容器17の樹幹注入液挿入口18を挿入する。樹幹注入容器キャップ19を取り外して樹幹注入容器17の開口部を開放し、開口部へ前記図2で用意した圧搾希釈液容器9から圧搾希釈液9aを注ぎ込む。圧搾希釈液容器9内が空になる事を確認した後、キャップ19を樹幹注入容器17へねじ込んで開口部を塞ぎ、キャップ19の任意の位置に小孔の空気穴を開ける。これは、大気圧により対象木へ液が入っていきやすくするための処置である。その他に液が入っていきやすくする方法として、ガスの圧力を利用して樹幹注入する手段もあるが、ここでは説明しない。
図6は、樹幹注入状態を表した図である。樹幹注入時間は気候条件によって変動はあるが、1日〜2日である。樹幹注入容器17内に入っている圧搾希釈液9aが完全に無くなるのを確認した後、樹幹注入容器17を対象木11から取り外す。その後、図7に示すように穴15を癒合剤で塞ぐ。これは、雨や細菌が穴から入り込むのを防ぐ処置のためである。以上で、樹幹注入の実施例についての説明は終了するが、前記した樹幹注入容器や癒合剤は、市販されているので容易に入手することはできる。また、圧搾器具については、本実施例では既存の物を改良して製作した物ではあるが、大量に圧搾液を作る場合など、必要に応じて器具を準備しても良い。
また、樹幹注入する時期は、対象木全体へ液が行き渡る期間1ヶ月〜2ヶ月を考慮し、12月〜1月が最適である。それよりも遅いと、マダラカミキリ発生時期の6月頃までに間に合わないか、もしくは、松ヤニが出て樹幹注入液が樹木内へ入りにくい状態になってしまう。
以上の実施形態によって、ヒガンバナ科植物球根の圧搾液により、松食い虫の根源である樹木内に進入したマツノザイセンチュウを殺虫したり、増殖防止したりして松食い虫松枯れ予防効果が得られる。
本発明のヒガンバナ科植物球根の圧搾液を、松食い虫以外の他の植物害虫の殺虫剤や忌避剤として用いても良い。
1 圧搾器具台座
2 取っ手
3 圧搾液缶
3a 圧搾液
4 圧搾板
5 空間
6 ヒガンバナ科植物球根
7 矢印
8 希釈液容器
8a 希釈液
9 圧搾希釈液容器
9a 圧搾希釈液
10 攪拌棒
11 松食い虫予防対象木
12 地面
13 地上高
14 ポンチ
15 穴
16 電気ハンドドリル
17 樹幹注入容器
18 樹幹注入容器挿入口
19 キャップ
20 癒合剤
2 取っ手
3 圧搾液缶
3a 圧搾液
4 圧搾板
5 空間
6 ヒガンバナ科植物球根
7 矢印
8 希釈液容器
8a 希釈液
9 圧搾希釈液容器
9a 圧搾希釈液
10 攪拌棒
11 松食い虫予防対象木
12 地面
13 地上高
14 ポンチ
15 穴
16 電気ハンドドリル
17 樹幹注入容器
18 樹幹注入容器挿入口
19 キャップ
20 癒合剤
Claims (2)
- 松食い虫による松枯れの予防として、ヒガンバナ科に属する球根を圧搾した液体を使用する松枯れ防止液。
- 松枯れに起因するマツノザイセンチュウを殺虫して樹内進入及び増殖防止させ、松枯れを防止する為の請求項1に記載の樹幹注入液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145119A JP2009268453A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | ヒガンバナ科球根圧搾液を使用した松食い虫松枯れ防止液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145119A JP2009268453A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | ヒガンバナ科球根圧搾液を使用した松食い虫松枯れ防止液 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009268453A true JP2009268453A (ja) | 2009-11-19 |
Family
ID=41435556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008145119A Pending JP2009268453A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | ヒガンバナ科球根圧搾液を使用した松食い虫松枯れ防止液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009268453A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102626095A (zh) * | 2012-03-28 | 2012-08-08 | 浙江农林大学 | 一种地下害虫驱避剂及用途 |
WO2021038674A1 (ja) * | 2019-08-23 | 2021-03-04 | 株式会社ゆめみオーガニックファーム | 松枯れ防止方法および松枯れ防止剤ならびに茸の栽培方法 |
-
2008
- 2008-05-02 JP JP2008145119A patent/JP2009268453A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102626095A (zh) * | 2012-03-28 | 2012-08-08 | 浙江农林大学 | 一种地下害虫驱避剂及用途 |
CN102626095B (zh) * | 2012-03-28 | 2015-07-29 | 浙江农林大学 | 一种地下害虫驱避剂及用途 |
WO2021038674A1 (ja) * | 2019-08-23 | 2021-03-04 | 株式会社ゆめみオーガニックファーム | 松枯れ防止方法および松枯れ防止剤ならびに茸の栽培方法 |
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