JP2009264143A - ディーゼル機関、及びピストン - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンの冠部材において応力が他に比べて高い部位が生じることを抑制可能なピストン及びディーゼル機関を提供する。
【解決手段】ピストン10は、略円板状をなしてピストン頂面21とその裏側にある裏面23とを構成する頂部22と、頂部22の裏面23から、略筒状をなしてピストン棒50側に突出して延設されており、ピストン棒50に連結される中支え部30とを有し、中支え部30には、冷却油が貫流可能な冷却孔70が形成されている。冷却孔70を流れる冷却油により、頂部22のうち中支え部30が突出している根元の部位22aの近傍を冷却する。
【選択図】図3

Description

本発明は、クロスヘッド式のディーゼル機関に関し、詳細には、ピストン棒と連結されるピストンの構造に関する。
船舶用等の大型のディーゼル機関、特に、2ストローク機関には、一般的に、連接棒(connecting rod)とピストン棒(piston rod)が、クロスヘッド(crosshead)により連結されている、いわゆるクロスヘッド機関(crosshead engine)が用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、下記の特許文献1に記載のクロスヘッド式ディーゼル機関において、ピストン棒は、シリンダ側の掃気室と、クランク室とを隔離する部材であるパッキング箱(ピストンロッド・スタフィングボックス:piston rod stuffing box)に形成された穴を貫通して設けられている。ピストンは、ピストン棒のうち連接棒と反対側の端に形成されたフランジ部にボルト等により、ピストン棒に連結されている。
このようなディーゼル機関において、ピストン頂面を構成している部材(以下、冠部材と記す)は、燃焼ガスに曝されて高温となり、且つ燃焼ガス圧力を受ける。このような冠部材を冷却するため、特許文献1のディーゼル機関においては、ピストン棒の内部にオイルを供給する通路(以下、単に「内部通路」と記す)を設けており、当該内部通路から、冠部材のピストン頂面の裏側にある面(以下、単に「裏面」と記す)等に、冷却及び潤滑用のオイル(以下、単に「冷却油」と記す)を流すことで冠部材を冷却している。
特開2000−54844号公報 特開平10−196326号公報
ところで、上述のようなピストンの冠部材には、円板状をなして、ピストン頂面とその裏面を構成する部分(以下、頂部と記す)に加えて、ピストン頂面で受けた燃焼ガス圧力による力をピストン棒に向けて伝達するため、頂部の裏面からピストン棒側に突出して延設されており、ボルト等によりピストン棒に連結/固定される部分(以下、「中支え部」と記す)が設けられたものがある。
このようなピストンの冠部材のうち、ピストン頂面の中心部には、他の部位に比べて高い燃焼ガス圧力が作用するため、頂部のうち、中支え部の根元よりピストン中心軸側の部位には、他の部位に比べて高い応力が生じることとなる。加えて、頂部は、燃焼ガスに曝されて高温となるため、ピストン中心軸から離間する方向すなわちピストン径方向外側に熱膨張し易い。しかし、頂部の熱膨張は、頂部から突出して延設され且つピストン棒に連結されている中支え部により拘束されるため、頂部のうち中支え部の根元の近傍には、他の部位に比べて高い熱応力が生じてしまうという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ピストンの冠部材において応力が他に比べて高い部位が生じることを抑制可能なピストン及びディーゼル機関を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るピストンは、クロスヘッド式のディーゼル機関に用いられ、ピストン棒と連結されて、ピストン棒の内部に形成された内部通路から冷却油の供給を受けるピストンであって、ピストン頂面を構成する冠部材は、略円板状をなしてピストン頂面とその裏側にある裏面とを構成する頂部と、頂部の裏面から、略筒状をなしてピストン棒側に突出して延設されており、ピストン棒に連結される中支え部と、を有し、中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されていることを特徴とする。
本発明に係るピストンにおいて、冠部材は、頂部の外縁部から略筒状をなしてピストン軸方向に延設されている外壁部を有しており、前記冷却孔は、中支え部のピストン棒側の空間と外壁部側の空間とを連通させて、ピストン棒側から供給された冷却油を外壁部側に導くものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、前記冷却孔は、前記裏面に沿ってピストン径方向に延びているものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、冠部材は、中支え部よりピストン中心軸側において、前記裏面からピストン棒に向けて突出して延設されており、ピストン頂面からの力をピストン棒に伝達可能な中心側支え部を有するものとすることができる。
本発明に係るピストンにおいて、中支え部は、前記頂部の裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するよう延びているものとすることができる。
本発明に係るディーゼル機関は、ピストンとピストン棒が連結されて、ピストン棒の内部に形成された内部通路からピストンが冷却油の供給を受けるクロスヘッド式のディーゼル機関であって、ピストンのうちピストン頂面を構成する冠部材は、ピストン頂面の裏側にある裏面からピストン棒側に突出して延びており、ピストン棒と連結される中支え部を有し、中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されていることを特徴とする。
本発明に係るディーゼル機関において、中支え部は、ピストン棒とボルトにより連結され、ピストン棒には、当該ボルトを通す通し穴が形成されており、前記通し穴は、前記ボルトがピストン径方向に移動可能な形状に構成されているものとすることができる。
本発明に係るディーゼル機関において、冠部材は、中支え部よりピストン中心軸側において、前記裏面からピストン棒に向けて突出して延びており、当該ピストン棒にピストン頂面からの力を伝達可能な中心支え部を有するものとすることができる。
本発明に係るディーゼル機関において、中支え部は、前記裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するように延びているものとすることができる。
本発明によれば、中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されているものとしたので、頂部のうち中支え部が突出している根元の部位の近傍を冷却することができる。これにより、冠部材の頂部のうち中支え部の根元の近傍に、熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
本発明において、冷却孔は、中支え部のピストン棒側と外壁部側とを連通させて、ピストン棒側からの冷却油を外壁部側に導くものとすることで、頂部の裏面のうち中支え部より外壁部側の部位に、中支え部を迂回させることなく、冷却油を導いて冷却することができる。外壁部側に導かれる冷却油の温度上昇を抑制することができる。
本発明において、冷却孔は、裏面に沿ってピストン径方向に延びているものとすることで、内部通路から供給され頂部の裏面に沿ってピストン径方向に流れる冷却油を、直線的に外壁部側に導くことができる。冷却油の流動方向を直線的なものとすることで、スラッジ等の堆積による流路の縮小を抑制することができる。
本発明において、冠部材は、中支え部よりピストン中心軸側において、頂部の裏面からピストン棒に向けて突出して延設されており、ピストン頂面からの力をピストン棒に伝達可能な中心側支え部を有するものとすることで、頂部がピストン棒側に撓み変形することを抑制することができ、中支え部がピストン棒に伝達する力が低減されるため、頂部のうち中支え部の根元の部位の近傍に、他に比べて応力の高い部位が生じてしまうことを抑制することができる。
本発明において、中支え部は、頂部の裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するように延びているものとすることで、頂部のうち中心部がピストン棒側に撓み変形することを抑制することができる。中支え部のうちピストン棒に力を伝達する部位は、ピストン中心軸から離間したところに位置しているので、当該中心軸に沿って内部通路が形成されているピストン棒に連結されるピストンに有用である。
本発明において、中支え部は、ピストン棒とボルトにより連結され、ピストン棒には、当該ボルトを通す通し穴が形成されており、通し穴は、ボルトがピストン径方向に移動可能な形状に構成されているものとすることで、冠部材の頂部がピストン径方向外側に熱膨張しても、中支え部と、当該中支え部に螺合されたボルトは、ピストン径方向外側に移動することができる。これにより、頂部は、中支え部によりピストン径方向の熱膨張が拘束されることがなくなり、頂部に熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態(以下、実施形態と記す)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
まず、本実施形態に係るディーゼル機関の概略構成について、図1−1及び図1−2を用いて説明する。図1−1は、ディーゼル機関の概略構成を示す断面図である。図1−2は、燃焼室の天井壁における燃料噴射装置の噴孔及び噴霧方向の配置関係を示す図である。なお、図1−1及び図1−2には、本発明に関連する要部のみを示している。また、図1−2は、天井壁を排気弁側から見た透視図となっている。
図1−1に示すように、ディーゼル機関1は、連接棒9とピストン棒50がクロスヘッド6により連結されており、ピストン10がピストン棒50に連結されている構造の内燃機関、いわゆるクロスヘッド式機関である。このディーゼル機関1は、機関本体3に形成されたシリンダボア5の内壁5a(以下、シリンダ壁と記す)にピストンリング(図示せず)が摺接して、シリンダボア5内を往復運動するピストン10と、ピストン10に連結されているピストン棒50と、ピストン10から伝達される機械的動力を出力するクランク軸のクランクピン(図示せず)に連結されている連接棒9とを有しており、さらに、連接棒9とピストン棒50とを連結して、ピストン10の往復運動を連接棒9に伝達するクロスヘッド6とを有している。クロスヘッド6は、機関本体3に形成されたクロスヘッド案内面6aに沿って動き、ピストン棒50からの機械的動力を連接棒9に伝達する。
加えて、ディーゼル機関1は、シリンダボア5内においてピストンの1往復中に1回の吸気、圧縮、膨張、掃気が行われる、2ストローク機関である。ディーゼル機関1には、クランク軸(図示せず)を収容するクランク室16が形成されており、当該クランク室16とシリンダボア5側の空間は、スタフィングボックス18(piston rod stuffing box)により仕切られている。スタフィングボックス18には、シリンダボア5の軸心に沿って貫通穴19が形成されており、ピストン棒50は、当該貫通穴19を摺動可能となっている。このように、クロスヘッド式のディーゼル機関1は、スタフィングボックス18により、シリンダボア5側の空間とクランク室16とを隔離しており、クランク室16内に貯留されているオイルの汚損、劣化を抑制している。
図1−1及び図1−2に示すように、ディーゼル機関1において、ピストン10の頂面(以下、ピストン頂面と記す)21と、当該ピストン頂面21と対向する機関本体3の天井壁7との間には、燃焼室が形成される。ディーゼル機関1の機関本体3のうち天井壁7の略中央部には、排気弁8が設けられている。また、機関本体3の天井壁7の周縁部には、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置80の噴孔が配設されている。燃料噴射装置80は、機関本体3の天井壁7に配設されており、噴孔Nが燃焼室に露出している。燃料噴射装置80の噴孔Nは、天井壁7の周縁部、すなわちシリンダ壁5a側に配設されている。燃料噴射装置80は、噴孔Nから上死点近傍に位置するピストン頂面21に向けて、詳細には図1−2に矢印Sで示すように、ピストン中心軸よりカム側又は排気側に偏向させて燃料を噴射する。
図1−1に示すように、シリンダボア5内には、燃料噴射装置80からの噴射燃料が着火して高温の燃焼ガスが生成される。ピストン10は、当該燃焼ガスの圧力をピストン頂面21で受けて、シリンダボア5の軸心に沿う方向に作用する力をピストン棒50に伝達する。図1−2に示すように、排気弁8から一方側には、排気ポート8cが延びており、ピストン10を押し下げた燃焼ガスは、シリンダボア5から、排気弁8及び排気ポート8cを通って排出される。
このように構成されたディーゼル機関1において、ピストン10は、その中心軸(図に一点鎖線Cで示す)が、シリンダボア5の軸心に一致するようにシリンダボア5内に挿入されている。なお、以下の説明において、ピストン10の中心軸を「ピストン中心軸」と記して図に一点鎖線Cで示し、当該ピストン中心軸に沿う方向を「ピストン軸方向」と記す。なお、ピストン軸方向のうちピストン頂面21側を、単に「頂面側」と記し、頂面側とは逆側を「ピストン棒側」と記す。
また、ピストン中心軸Cに直交する方向すなわちシリンダボア5の径方向を「ピストン径方向」と記して図に矢印Rで示す。また、ピストン径方向のうち排気ポート8cが延びる方向を「排気側」と記し、当該排気側とは逆側を「カム側」と記す。また、ピストン中心軸Cを中心とする周方向を「ピストン周方向」と記して図に矢印Eで示す。
次に、本実施形態に係るピストン及びピストン棒の構成について、図2〜図4を用いて説明する。図2は、ディーゼル機関におけるピストン及びピストン棒の断面図である。図3は、ピストン及びピストン棒の拡大断面図である。図4は、ピストンの冠部材及び内部金物の拡大断面図である。図5は、ピストン頂面のうち高温の燃焼ガスに曝される領域を説明する図である。
ピストン10は、ピストン頂面21を構成する部材であって後述する頂部22と外壁部26と中支え部30が一体に成形された冠部材20と、ピストンスカートの裾側を構成する部材(以下、スカート部材と記す)40と、冠部材20とピストン棒50との間に配設されてピストン棒からの冷却油を分配する部材(以下、内部金物と記す)44とを有している。
さらに、冠部材20は、ピストン頂面21を構成し、円板状をなしている部分である頂部22と、頂部22の外縁部24から、ピストン中心軸を軸心とする略筒状をなして、ピストン軸方向をピストン棒50側に延設されている外壁部26と、頂部22の裏面23から、略筒状をなしてピストン棒50側に突出して延設されており、ピストン棒50に固定されて連結される中支え部30とを有している。以下、図2及び図3を用いて詳細を説明する。
冠部材20のうち頂部22は、略円板状をなしており、ピストン頂面21と、その裏側すなわちピストン棒側にある面(以下、裏面と記す)23を構成している部分である。頂部22は、外縁部24からピストン中心軸(図に一点鎖線Cで示す)が通る中心部22cに向かうに従ってピストン棒側に位置するよう、ピストン棒側に凸となって湾曲している。すなわち頂部22は、中心部22cがピストン棒50側に凹んでいる。頂部22の裏面23は、ピストン頂面21との間に所定の距離を空けてピストン頂面21に沿って延びている。頂部22のうち外縁部24からは、ピストン中心軸を軸心とする略筒状をなして、ピストン軸方向のピストン棒側に延びている外壁部26が延設されている。
外壁部26は、シリンダ壁5aに対向する壁体であり、ピストン径方向外側の面27(以下、外面と記す)には、ピストンリングを収容する複数のリング溝28が形成されている。リング溝28に挿入されたピストンリング(図示せず)がシリンダ壁5aと摺接する。外壁部26を構成する面のうち、外面27の裏側、すなわちピストン径方向内側にある面を、以下に、内面と記して図に符号29で示す。外壁部26よりピストン軸方向のピストン棒側には、スカート部材40が配設されており、スカート部材40は、ボルト41により外壁部26に結合されている。一方、外壁部26の内面29よりピストン径方向内側には、内部金物44が配設される。
中支え部30は、ピストン中心軸を軸心とする略円筒状をなしており、頂部22の裏面23からピストン棒側に突出して設けられている。中支え部30は、外壁部26の内面29よりピストン径方向に所定の間隔を空けて設けられている。中支え部30のうちピストン棒側にある端面31は、内部金物44に当接している。
なお、中支え部30を構成する面のうち、ピストン径方向内側にある面を、以下に「内面」と記して図に符号32で示す。これに対して中支え部30を構成する面のうちピストン径方向外側にある面を、以下に「外面」と記して符号33で示す。中支え部30の外面33と外壁部26の内面29との間にある空間には、後述する内部金物44の外側突出部46が配設される。一方、中支え部30の内面32よりピストン径方向内側には、内部金物44の内側突出部48が配設される。中支え部30のうち、内部金物44と当接する端面31には、後述するボルト45を螺合するための雌ねじが掘り下げられている。
これら頂部22と外壁部26と中支え部30は、鋳造等により一体に成形されて、一つの冠部材20を構成している。冠部材20の中支え部30は、ピストン棒50との間に内部金物44を挟んで、ボルト45によりピストン棒50に連結されている。冠部材20は、頂部22がピストン頂面21で受けた燃焼ガス圧力による力、いわゆる燃焼荷重を、中支え部30の端面31から内部金物44を介してピストン棒50に伝達する。
ピストン棒50は、長手方向の両端にフランジ部52,53を有している。ピストン棒50のうちピストン10と連結される側のフランジ部52には、上述のボルト45を通す通し穴72が形成されている。もう一方のフランジ部53は、ピストン棒50を上述のクロスヘッド6と連結するためのものである。
ピストン棒50の内部には、その軸心(図に一点鎖線Cで示す)に沿って円筒状の内管54が設けられている。なお、ピストン棒50の軸心は、シリンダボア5の軸心、すなわちピストン中心軸(図に一点鎖線Cで示す)と略一致している。ピストン棒50において、内管54の内側には、クロスヘッド6側から供給される冷却油をピストン10に導く内部通路55が形成されている。内部通路55は、矢印F1で示すように、冷却油をピストン10のうち内部金物44及び冠部材20に導くことが可能となっている。一方、内管54の外側には、ピストン10の冷却に供された余分な冷却油を、クロスヘッド6側に戻す内部通路56が形成されている。内管54は、その端部部材58がピストン棒50のフランジ部52に固定されている。なお、端部部材58は、内管54と一体に結合されており、ピストン棒50のフランジ部52に固定されている。
ピストン棒50は、ボルト45によりフランジ結合されてピストン10に連結される。詳細には、ピストン棒50のフランジ52は、内部金物44の本体部47を挟んで、冠部材20の中支え部30と結合される。つまり、冠部材20は、中支え部30で内部金物44を挟んでピストン棒50と連結され、頂部22のピストン径方向外側への熱膨張は、中支え部30により拘束される。
内部金物44は、図3及び図4に示すように、ピストン中心軸側において、本体部47からピストン軸方向のピストン頂面21側に突出して延びている内側突出部48を有している。内側突出部48は、中支え部30の内面32よりピストン中心軸側に配設されており、頂部22の裏面23に向けて延びている。内側突出部48と、頂部22の裏面23との間には、ピストン周方向の全周に亘って、冷却油が流通可能な隙間が設けられており、内部通路55から供給された冷却油を、図に矢印F2で示すように、頂部22の裏面23に沿わせて流し、中支え部30の内面32に導く。
内部金物44の本体部47のうち内側突出部48よりピストン棒50側には、油通路47aが形成されており、内部通路55から供給された冷却油を、図に矢印F3,F4で示すように中支え部30の内面32に導くことが可能となっている。また、内部金物44の本体部47のうち中支え部30の端面31よりピストン棒50側には、油通路47cが設けられており、図に矢印F5で示すように中支え部30の内面32に沿って流れる冷却油を、図に矢印F6で示すように中支え部30の外面33に導く。
また、内部金物44は、内側突出部48よりピストン径方向外側に所定の間隔をあけて、本体部47からピストン軸方向のピストン頂面21側に突出して延びている外側突出部46を有している。外側突出部46は、中支え部30の外面33と外壁部26の内面29との間に配設されており、頂部22の裏面23のうち外壁部26の内面29側の部位29aに向けて延びている。外側突出部46と、中支え部30の外面33との間には、冷却油が流通可能な隙間がピストン周方向の全周に亘って設けられており、図に矢印F7で示すように、冷却油を中支え部30の外面33に沿わせて流し、裏面23のうち外壁部26の内面29側の部位29aに導く。
また、外側突出部46には、油通路46aが設けられており、中支え部30の外面33に沿って流れる冷却油を、裏面23のうち内面29側の部位29aに導くことが可能となっている。また、外側突出部46と外壁部26の内面29との間には、冷却油が流通可能な隙間がピストン周方向の全周に亘って設けられており、図に矢印F10で示すように、部位29aからの冷却油を外壁部26の内面29に沿わせて流し、スカート部材40側に導く。
また、内部金物44の本体部47のうちピストン棒側には、図示しない油通路が設けられており、矢印F11で示すように、スカート部材40側から内管54の端部部材58側に冷却油を導くことが可能となっている。加えて、端部部材58には、内部金物44側と、内管54の外側にある内部通路56とを連通させる、図示しない油通路が設けられており、矢印F12に示すように、内部金物44を流れた冷却油を、内部通路56に導き、クロスヘッド6側に戻す。
以上のように、ピストン10は、クロスヘッド式のディーゼル機関1に用いられ、ピストン棒50と連結されて、ピストン棒50の内部に形成された内部通路55から冷却油の供給を受ける。ディーゼル機関1が作動すると、ピストン頂面21が高温の燃焼ガスに曝されて、冠部材20の頂部22が高温となる。特に、図5に二点鎖線Hで示すように、頂部22のうち中支え部30に対応する部位が高温となる。冠部材20の頂部22は、ピストン中心軸Cを中心としてピストン径方向外側に熱膨張しようとする。
しかし、図3に示すように、冠部材20において、頂部22の裏面23から突出して延設されている中支え部30は、内部金物44を挟んでピストン棒50とボルト45により結合されている。このため、頂部22の熱膨張は、ピストン棒50に連結されている中支え部30により拘束されるため、頂部22のうち中支え部30が突出している根元の部位22aの近傍には、他の部位に比べて高い熱応力が生じてしまう。
そこで、本実施形態に係るピストンにおいては、中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されており、以下、図3、図4及び図6を用いて説明する。図6は、中支え部における冷却孔の配置関係を説明する図である。
図3及び図4に示すように、冷却孔70は、中支え部30に対してピストン棒50側すなわち内面32側の空間と、外壁部26側すなわち外面33側の空間とを連通させるよう構成されており、ピストン棒50の内部通路55から供給される冷却油を、外壁部26の内面29に導くことが可能となっている。
詳細には、図4に示すように、冷却孔70は、頂部22の裏面23に沿って延びており、頂部22の裏面23に沿ってピストン径方向外側に流れる冷却油(図に矢印F2で示す)を、内部金物44の本体部47に設けられた油通路47cに流す(即ち中支え部30を迂回させる)ことなく、図に矢印F9で示すように、裏面23のうち外壁部26の内面29側の部位29aに直線的に導いている。
また、冷却孔70は、図6に示すように、中支え部30を貫通するようピストン径方向に延びており、且つ冠部材20のピストン頂面21のうち高温のガスに曝される領域(図に二点鎖線Hで示す)に対応して、ピストン周方向に所定の間隔をあけて配列されている。
このように構成された冷却孔70に冷却油を流すことで、冠部材20の頂部22のうち中支え部30が突出している根元の部位22aの近傍を冷却してメタル温度を低減することができる。これにより、ピストン10の冠部材20に熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
以上に説明したように本実施形態において、ピストン10は、略円板状をなしてピストン頂面21とその裏側にある裏面23とを構成する頂部22と、頂部22の裏面23から、略筒状をなしてピストン棒50側に突出して延設されており、ピストン棒50に連結される中支え部30とを有し、中支え部30には、前記内部通路55からの冷却油が貫流可能な冷却孔70が形成されているものとしたので、頂部22のうち中支え部30が突出している根元の部位22aの近傍を冷却することができる。これにより、冠部材20の頂部22のうち中支え部30の根元の近傍に、熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
また、本実施形態において、冷却孔70は、中支え部30のピストン棒50側の空間と外壁部26側の空間とを連通させて、ピストン棒50側からの冷却油を外壁部26側に導くものとしたので、頂部22の裏面23のうち中支え部30より外壁部26側の部位に、中支え部30を迂回させることなく、冷却油を導いて冷却することができる。外壁部26側に導かれる冷却油の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態において、冷却孔70は、裏面23に沿ってピストン径方向に延びているものとしたので、内部通路55から供給され頂部22の裏面23に沿ってピストン径方向に流れる冷却油を、直線的に外壁部26側に導くことができる。冷却油の流動方向を直線的なものとすることで、スラッジ等の堆積による流路の縮小を抑制することができる。
なお、本実施形態において、冷却孔70は、ピストン頂面21が高温のガスに曝される部位に対応して、ピストン周方向に配列されているものとしたが、冷却孔70の配置は、これに限定されるものではない。冠部材20において、中支え部30の根元の部位22aを冷却できれば良く、例えば、冷却孔70がピストン周方向に全周に亘って設けられるものとしても良い。
〔実施形態2〕
本実施形態に係るディーゼル機関の構成について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、ディーゼル機関におけるピストン及びピストン棒の断面図である。図8は、ピストン棒のフランジ部の断面図であり、図7のA−A線による断面図である。本実施形態に係るディーゼル機関は、ピストンの冠部材の中支え部は、ピストン棒とボルトにより連結され、且つピストン棒には、当該ボルトを通す通し穴が形成されており、この通し穴は、当該ボルトがピストン径方向に移動可能な形状に構成されている点で、実施形態1と異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施形態1と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るディーゼル機関1において、ピストン棒50Bのフランジ部52Bには、ボルト45を通す通し穴72が貫通して設けられている。通し穴72は、図8に示すように、ピストン周方向に所定の間隔で配列されており、ピストン径方向に長さを有する形状となっている。詳細には、ピストン径方向に長軸を有する長円形状となっている。
このように構成されたディーゼル機関1において、冠部材20のピストン頂面21が高温の燃焼ガスに曝されて、頂部22がピストン径方向外側に熱膨張して、頂部22の裏面23から突出して設けられている中支え部30と、当該中支え部30の雌ねじに螺合されているボルト45は、ピストン径方向外側に移動しようとする。このとき、ボルト45は、通し穴72内を、ピストン径方向外側に移動することができる。すなわち、頂部22の熱膨張に伴う中支え部30のピストン径方向外側への移動が拘束されないこととなる。これにより、冠部材20の頂部22がピストン径方向外側に熱膨張しても、当該頂部22、特に、中支え部30の根元の部位22aの近傍において、熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
以上に説明したように本実施形態において、中支え部30は、ピストン棒50とボルト45により連結され、ピストン棒50には、当該ボルト45を通す通し穴72が形成されており、通し穴72は、前記ボルト45がピストン径方向に移動可能な形状に構成されているものとしたので、冠部材20の頂部22がピストン径方向外側に熱膨張しても、中支え部30と、当該中支え部30に螺合されたボルト45は、ピストン径方向外側に移動することができる。これにより、頂部22は、中支え部30によりピストン径方向の熱膨張が拘束されることがなくなり、頂部22に熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
なお、本実施形態において、ピストン棒50Bのフランジ部52Bに設けられた通し穴72は、ピストン径方向に長軸を有する長円形状であるものとしたが、通し穴の断面形状は、これに限定されるものではない。中支え部30に螺合されるボルト45がピストン径方向に移動可能であれば良く、断面略矩形の通し穴としても良い。
〔実施形態3〕
本実施形態に係るピストンの構成について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、ピストン及びピストン棒の拡大断面図である。図10は、中支え部及び中心側支え部における冷却孔の配置関係を説明する図である。本実施形態に係るピストンにおいて、冠部材は、中支え部よりピストン中心軸側において、前記裏面からピストン棒に向けて突出して延設されており、ピストン頂面からの力をピストン棒に伝達可能な中心側支え部を有する点で、実施形態1と異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施形態1と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るピストン10Cにおいて、ピストン頂面21を構成する冠部材20Cは、頂部22の裏面23から略円筒状をなしてピストン棒50側に突出して延設されており、ボルト45によりピストン棒50に連結される中支え部30に加えて、当該中支え部30より、ピストン中心軸側において、裏面23からピストン棒50に向けて突出して延設されている中心側支え部60を有している。
中心側支え部60は、中支え部30と同軸に、ピストン中心軸を軸心とする略円筒形状をなしている。中心側支え部60は、頂部22の中央部22cの裏面23から突出しており、ピストン棒50のうち内管54の端部部材58に向けて延設されている。中心側支え部60は、頂部22の裏面23からピストン軸方向のピストン棒側に向かうに従ってピストン中心軸との距離が小さくなるように延びている。中心側支え部60のピストン棒50側の端面61は、内管54の端部部材58に当接している。
なお、中心側支え部60を構成する面のうち、ピストン径方向内側にある面を、以下に「内面」と記して図に符号62で示す。これに対して中心側支え部60を構成する面のうち、ピストン径方向外側にある面を、以下に「外面」と記して図に符号63で示す。中心側支え部60は、その外面63と、中支え部30の内面32との間に、内部金物44の内側突出部48が配設されるように構成されている。
このように構成された冠部材20Cは、ピストン頂面21のうち特に中心部で受けた燃焼ガス圧力による力を、頂部22の中心部22cから突出している中心側支え部60を介してピストン棒50に伝達することができる。このため、頂部22の中心部22cがピストン棒50側に撓み変形することを抑制することができる。加えて、中支え部30が内部金物44を介してピストン棒50に伝達する力が低減されるため、頂部22のうち中支え部30の根元の部位22aの近傍に、他に比べて応力の高い部位が生じてしまうことを抑制することができる。
また、中心側支え部60には、冷却油が貫流可能な冷却孔76が形成されている。冷却孔76は、中心側支え部60に対してピストン中心軸側すなわち内面62側の空間と、中支え部30側すなわち外面63側の空間とを連通させるよう構成されており、頂部22の裏面23に沿って延びている。冷却孔76は、ピストン棒50の内部通路55から供給される冷却油を、中支え部30の冷却孔70に向けて導くことが可能となっている。
冷却孔76は、図10に示すように、中心側支え部60を貫通するようピストン径方向に延びており、且つピストン頂面21が高温のガスに曝される領域(図に二点鎖線Hで示す)に設けられた中支え部30の各冷却孔70に対応して、ピストン周方向に配列されている。詳細には、冷却孔76が延びている方向は、中支え部30の冷却孔70とピストン中心軸Cとを結んだ直線の方向となるよう設定されている。
このように構成されたピストン10Cの冠部材20Cは、ピストン棒50の内部通路55から頂部22の裏面23の中央部に供給され、当該裏面23に沿ってピストン径方向外側に流れる冷却油を、図に矢印F20で示すように、中心側支え部60の冷却孔76と、中支え部30の冷却孔70とを通して、外壁部26の内面29に直線的に導くことができる。
これにより、中支え部30よりピストン中心軸側に中心側支え部60を設けても、内部通路55からの冷却油を、頂部22の裏面23に沿って、外壁部26の内面29まで導くことができる。中支え部30の冷却孔70に対応して中心側支え部60の冷却孔76が設けられているため、高い圧力損失を生じさせることなく冷却油を流すことができる。
以上に説明したように本実施形態において、冠部材20Cは、中支え部30よりピストン中心軸側において、頂部22の裏面23からピストン棒50に向けて突出して延設されており、ピストン頂面21からの力をピストン棒50に伝達可能な中心側支え部60を有するものとしたので、頂部22がピストン棒50側に撓み変形することを抑制することができ、中支え部30がピストン棒50に伝達する力が低減されるため、頂部22のうち中支え部30の根元の部位22aの近傍に、他に比べて応力の高い部位が生じてしまうことを抑制することができる。
〔実施形態4〕
本実施形態に係るピストンの構成について図11を用いて説明する。図11は、ピストン及びピストン棒の拡大断面図である。本実施形態に係るピストンにおいて、中支え部は、頂部の裏面からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するように延びている点で、実施形態1と異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施形態1と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係るピストン10Dにおいて、ピストン頂面21を構成する冠部材20Dは、略円板状をなしてピストン頂面21と、その裏面23を構成する頂部22と、頂部22の外縁部24から略筒状をなしてピストン軸方向に延設されている外壁部26と、頂部22の裏面23から、略筒状をなしてピストン棒50側に突出して延設されており、ピストン棒50に連結される中支え部90とを有している。当該中支え部90は、頂部22の裏面23の中心部23cから、ピストン棒50側に向かうに従って、ピストン中心軸(図に一点鎖線Cで示す)から離間するように延びている。
なお、中支え部90を構成する面のうち、ピストン径方向内側にある面を、以下に「内面」と記して図に符号92で示す。これに対して中支え部90を構成する面のうちピストン径方向外側にある面を、以下に「外面」と記して符号93で示す。中支え部90の内面92及び外面93は、ピストン中心軸を通る断面が、ピストン頂面21側に凸となって湾曲した形状となっている。
中支え部90の外面93と外壁部26の内面29との間にある空間には、後述する内部金物44Dの外側突出部46Dが配設される。一方、中支え部90の内面92よりピストン径方向内側には、ピストン棒50の内管54の端部部材58が配設されている。中支え部90のうち、内部金物44Dと当接する端面91には、後述するボルト45を螺合するための雌ねじが掘り下げられている。
また、本実施形態に係る内部金物44Dは、ピストン棒50のフランジ部52に沿ってピストン中心軸と直交する方向に延びており、当該フランジ部52と中支え部90との間に挟みこまれる本体部47Dと、当該本体部47Dの外縁部49からピストン軸方向のピストン頂面21側に突出して延びている外側突出部46Dとを有している。外側突出部46Dは、外壁部26の内面29と、中支え部90の外面93との間に配設されている。
内部金物44Dの本体部47Dには、中支え部90の内面92側の空間と、外面93側の空間とを連通させる図示しない油通路が設けられている。加えて外側突出部46Dと、中支え部90の外面93との間には、冷却油が流通可能な隙間がピストン周方向の全周に亘って設けられている。これにより、ピストン棒50の内部通路55から供給された冷却油を、図に矢印F31で示すように、本体部47Dから中支え部90の外面93に沿って流して、頂部22の裏面23のうち中支え部90よりピストン径方向外側の裏面23aに導くことができる。
また、内部金物44Dの外側突出部46Dと、中支え部90よりピストン径方向外側の裏面23aとの間には、ピストン周方向の全周に亘って隙間が設けられており、図に矢印F32で示すように、当該裏面23aに沿って冷却油を流して、裏面23aのうち外壁部26の内面29側の部位29aに導くことができる。外側突出部46Dと外壁部26の内面29との間には、冷却油が流通可能な隙間がピストン周方向の全周に亘って設けられており、図に矢印F33で示すように、部位29aからの冷却油を外壁部26の内面29に沿わせて流し、スカート部材40側に導く。
また、内部金物44Dの本体部47Dのうちピストン棒側には、図示しない油通路が設けられており、矢印F34で示すように、スカート部材40側から内管54の端部部材58側に冷却油を導くことが可能となっている。加えて、端部部材58には、内部金物44D側と、内管54の外側にある内部通路56とを連通させる図示しない油通路が設けられており、本体部47Dを流れた冷却油を、内部通路56に導いてクロスヘッド6側に戻す。
このように構成された冠部材20Dにおいて、中支え部90は、頂部22の裏面23の略中心部23cから延びており、当該中心部23cからピストン棒50側に向かうに従ってピストン径方向外側に位置するよう、すなわちピストン中心軸から離間するように延びており、そのピストン棒50側の端面91が内部金物44Dの本体部47Dに当接している。冠部材20Dは、ピストン頂面21のうち特に中心部で受けた高い燃焼ガス圧力による力を、中支え部90によりピストン棒50のフランジ部52に伝達することができる。これにより、頂部22のうち中心部22cがピストン棒50側に撓み変形することを抑制することができ、頂部22に応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
以上に説明したように本実施形態において、中支え部90は、頂部22の裏面23の中心部23cからピストン棒50側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するように延びているものとしたので、頂部22のうち中心部22cがピストン棒50側に撓み変形することを抑制することができる。中支え部90のうちピストン棒50に力を伝達する部位(端面91)は、ピストン中心軸から離間したところに位置しているので、本発明は、当該中心軸に沿って内部通路55が形成されているピストン棒50に連結されるピストン10Dに有用である。
〔実施形態5〕
本実施形態に係るピストンの構成について図12を用いて説明する。図12は、ピストン及びピストン棒の拡大断面図である。本実施形態に係るピストンにおいて、中支え部は、前記頂部の裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するよう延びており、且つ冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されている点で、実施形態4と異なり、以下に詳細を説明する。なお、実施形態4と略共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
ピストン10Eのピストン頂面21を構成する冠部材20Eにおいて、中支え部90Eには、冷却油が貫流可能な冷却孔78が形成されている。冷却孔78は、中支え部90Eに対してピストン棒50側すなわち内面92側の空間と、外壁部26側すなわち外面93側の空間とを連通させるよう構成されており、ピストン棒50の内部通路55から供給される冷却油を、外壁部26の内面29に導くことが可能となっている。
詳細には、冷却孔78は、頂部22の裏面23に沿って延びており、頂部22の裏面23に沿ってピストン径方向外側に流れる冷却油を、中支え部90Eを迂回させるために内部金物44Dの本体部47Dに流すことなく、図に矢印F41で示すように、頂部22の裏面23のうち中支え部90Eよりピストン径方向外側の裏面23aに導くことができる。さらに、外側突出部46Dと、当該裏面23aとの間の隙間に沿って冷却油を流し、頂部22の裏面23のうち外壁部26の内面29側の部位29aに直線的に導くことができる。
このように、頂部22の裏面23の中心部23cから、中支え部90Eのピストン径方向外側にある裏面23aまで直線的に冷却油を流すことができ、中支え部90E及び頂部22の裏面23全体を効率よく冷却することができる。冷却孔78を有していない場合、冷却が困難となる中支え部90Eが突出する頂部22の根元の部位22dの近傍において生じる熱応力を低減することができる。
以上に説明したように本実施形態において、中支え部90Eは、頂部22の裏面23の中心部23cからピストン棒50側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するよう延びており、当該中支え部90Eには、冷却油が貫流可能な冷却孔78が形成されているものとしたので、頂部22のうち中支え部90Eが突出している根元の部位22dの近傍を効率よく冷却することができる。これにより、冠部材20Eの頂部22のうち中支え部90Eの根元の近傍に熱応力の高い部位が生じることを抑制することができる。
以上のように、本発明は、クロスヘッド式のディーゼル機関に有用である。
実施形態1に係るディーゼル機関の概略構成を示す断面図である。 実施形態1に係るディーゼル機関における燃焼室の天井壁における燃料噴射装置の噴孔及び噴霧方向の配置関係を示す図である。 実施形態1に係るディーゼル機関におけるピストン及びピストン棒の断面図である。 実施形態1に係るピストン及びビストン棒の断面図である。 実施形態1に係るピストンの冠部材及び内部金物の拡大断面図である。 実施形態1に係るピストン頂面のうち高温の燃焼ガスに曝される領域を説明する図である。 実施形態1に係るピストンの中支え部における冷却孔の配置関係を説明する図である。 実施形態2に係るディーゼル機関におけるピストン及びピストン棒の断面図である。 実施形態2に係るピストン棒のフランジ部の断面図であり、図7のA−A線による断面図である。 実施形態3に係るピストン及びピストン棒の拡大断面図である。 実施形態3に係る中支え部及び中心側支え部における冷却孔の配置関係を説明する図である。 実施形態4に係るピストン及びピストン棒の拡大断面図である。 実施形態5に係るピストン及びピストン棒の拡大断面図である。
符号の説明
1 ディーゼル機関
5 シリンダボア
6 クロスヘッド
9 連接棒
10,10C,10D,10E ピストン
20,20C,20D,20E 冠部材
21 ピストン頂面
22 頂部
23 裏面
23c 裏面の中心部
24 頂部の外縁部
26 外壁部
29 外壁部の内面
30 中支え部
40 スカート部材
44 内部金物
45 ボルト
46,46D 内部金物の外側突出部
48 内部金物の内側突出部
50,50B ピストン棒
52,52B ピストン棒のフランジ部
54 ピストン棒の内管
55,56 内部通路
60 中心側支え部
70,76,78 冷却孔
72 通し穴
80 燃料噴射装置
90,90E 中支え部

Claims (9)

  1. クロスヘッド式のディーゼル機関に用いられ、ピストン棒と連結されて、ピストン棒の内部に形成された内部通路から冷却油の供給を受けるピストンであって、
    ピストン頂面を構成する冠部材は、
    略円板状をなしてピストン頂面とその裏側にある裏面とを構成する頂部と、
    頂部の裏面から、略筒状をなしてピストン棒側に突出して延設されており、ピストン棒に連結される中支え部と、
    を有し、
    中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されている
    ことを特徴とするピストン。
  2. 請求項1に記載のピストンであって、
    冠部材は、頂部の外縁部から略筒状をなしてピストン軸方向に延設されている外壁部を有しており、
    前記冷却孔は、中支え部のピストン棒側の空間と外壁部側の空間とを連通させて、ピストン棒側から供給された冷却油を外壁部側に導く
    ことを特徴とするピストン。
  3. 請求項2に記載のピストンであって、
    前記冷却孔は、前記裏面に沿ってピストン径方向に延びている
    ことを特徴とするピストン。
  4. 請求項1に記載のピストンであって、
    冠部材は、
    中支え部よりピストン中心軸側において、前記裏面からピストン棒に向けて突出して延設されており、ピストン頂面からの力をピストン棒に伝達可能な中心側支え部を、
    有することを特徴とするピストン。
  5. 請求項1に記載のピストンであって、
    中支え部は、前記頂部の裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するよう延びている
    ことを特徴とするピストン。
  6. ピストンとピストン棒が連結されて、ピストン棒の内部に形成された内部通路からピストンが冷却油の供給を受けるクロスヘッド式のディーゼル機関であって、
    ピストンのうちピストン頂面を構成する冠部材は、
    ピストン頂面の裏側にある裏面からピストン棒側に突出して延びており、ピストン棒と連結される中支え部を有し、
    中支え部には、冷却油が貫流可能な冷却孔が形成されている
    ことを特徴とするディーゼル機関。
  7. 請求項6に記載のディーゼル機関において、
    中支え部は、ピストン棒とボルトにより連結され、ピストン棒には、当該ボルトを通す通し穴が形成されており、
    前記通し穴は、前記ボルトがピストン径方向に移動可能な形状に構成されている
    ことを特徴とするディーゼル機関。
  8. 請求項6に記載のディーゼル機関において、
    冠部材は、
    中支え部よりピストン中心軸側において、前記裏面からピストン棒に向けて突出して延びており、当該ピストン棒にピストン頂面からの力を伝達可能な中心支え部を、
    有することを特徴とするディーゼル機関。
  9. 請求項6に記載のディーゼル機関において、
    中支え部は、前記裏面の中心部からピストン棒側に向かうに従って、ピストン中心軸から離間するように延びている
    ことを特徴とするディーゼル機関。
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