JP2009263305A - 多層錠剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤およびその製造方法の提供。
【解決手段】複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造される多層錠剤において、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が、0.2超、かつ0.7未満であることを特徴とする多層錠剤、および圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形することを特徴とする多層錠剤の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造される多層錠剤において、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が、0.2超、かつ0.7未満であることを特徴とする多層錠剤、および圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形することを特徴とする多層錠剤の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、多層錠剤およびその製造方法に関する。
錠剤は、一般的に、生理活性成分(薬物)を、結合剤(バインダ)、崩壊剤、賦形剤、香料、色素などの各種成分と混合し、圧縮成形することにより製造されている。
また、多層錠剤は、薬物とその他成分とを造粒して薬剤顆粒を製造し、当該薬剤顆粒を2層以上積み重ねて圧縮成形することにより製造されている。
これら錠剤の製造においては、錠剤の成形性を良好に保つため、使用する成分に応じて適当なバインダが選択され、配合成分同士の結合力の向上が図られている。
また、多層錠剤は、薬物とその他成分とを造粒して薬剤顆粒を製造し、当該薬剤顆粒を2層以上積み重ねて圧縮成形することにより製造されている。
これら錠剤の製造においては、錠剤の成形性を良好に保つため、使用する成分に応じて適当なバインダが選択され、配合成分同士の結合力の向上が図られている。
錠剤には、服用後、時間が経過するとともに、錠剤から薬物が徐々に溶出するように制御できることが求められる。
この錠剤から溶出する薬物の溶出速度を制御するため、水易溶性薬物の結晶に、当該水易溶性薬物の溶液を散布しながら造粒することで得られた薬物顆粒を、放出制御被膜剤にてコーティングしてなるコーティング顆粒が提案されている(特許文献1参照)。
当該薬物顆粒にコーティング処理を施すことにより、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が遅延し、薬物の効果が数時間長く持続するとされている。
特開2002−332226号公報
この錠剤から溶出する薬物の溶出速度を制御するため、水易溶性薬物の結晶に、当該水易溶性薬物の溶液を散布しながら造粒することで得られた薬物顆粒を、放出制御被膜剤にてコーティングしてなるコーティング顆粒が提案されている(特許文献1参照)。
当該薬物顆粒にコーティング処理を施すことにより、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が遅延し、薬物の効果が数時間長く持続するとされている。
一方、錠剤のなかには、解熱剤や鎮痛剤などのように、短時間(〜60分間程度)で薬物の効果が発揮されること(速効性)が必要なものがある。そのような速効性の錠剤においては、服用後、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が速いことが求められる。
特許文献1に記載の技術は、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が、数時間単位で遅延するものであり、上記目的(速効性)の解熱剤や鎮痛剤などに対しては不適切なものである。
特許文献1に記載の技術は、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が、数時間単位で遅延するものであり、上記目的(速効性)の解熱剤や鎮痛剤などに対しては不適切なものである。
ところで、本発明者らの検討によれば、たとえば解熱性鎮痛薬として代表的なアスピリン(酸性薬物)と制酸剤(塩基性薬物)を用いた多層錠剤において、アスピリンは酸性薬物であるため、胃に対する影響(胃荒れ等)を考慮して、当該多層錠剤から溶出するアスピリンの溶出速度を遅くし、制酸剤の溶出速度を速くして胃を保護することができれば、短時間であっても、両方の薬物の溶出速度に差を設けることによって、従来に比べて胃にやさしい多層錠剤を提供できることが分かった。
しかしながら、特に、短時間で、薬物の効果の発揮が必要とされる多層錠剤においては、従来、薬物を速く溶出させる技術開発はなされてきたものの、多層錠剤の各層から溶出する薬物の溶出速度に差を設けることは困難であった。
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤およびその製造方法を提供することを課題とする。
しかしながら、特に、短時間で、薬物の効果の発揮が必要とされる多層錠剤においては、従来、薬物を速く溶出させる技術開発はなされてきたものの、多層錠剤の各層から溶出する薬物の溶出速度に差を設けることは困難であった。
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、2層以上の層構成を備えた多層錠剤において、互いに接する層をそれぞれ構成する薬剤顆粒同士の顆粒強度比を特定の範囲に調整することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造される多層錠剤において、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が、0.2超、かつ0.7未満であることを特徴とする多層錠剤である。
すなわち、本発明は、複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造される多層錠剤において、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が、0.2超、かつ0.7未満であることを特徴とする多層錠剤である。
本発明の多層錠剤においては、前記第1薬剤顆粒が酸性薬物を造粒した薬剤顆粒であり、かつ前記第2薬剤顆粒が塩基性薬物を造粒した薬剤顆粒であることが好ましい。
また、前記酸性薬物が、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、およびセファレキシンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記塩基性薬物が、制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、およびアリプロナールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記酸性薬物が、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、およびセファレキシンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記塩基性薬物が、制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、およびアリプロナールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形することを特徴とする多層錠剤の製造方法である。
本発明により、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤およびその製造方法を提供することができる。
≪多層錠剤≫
本発明の多層錠剤は、複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造されるものである。
本発明において「薬剤顆粒」とは、薬物を、バインダを用いて造粒した粒子をいう。
本発明の多層錠剤は、複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造されるものである。
本発明において「薬剤顆粒」とは、薬物を、バインダを用いて造粒した粒子をいう。
(薬物)
薬物は、たとえば以下に示す酸性薬物、塩基性薬物が挙げられる。
薬物は、たとえば以下に示す酸性薬物、塩基性薬物が挙げられる。
酸性薬物としては、たとえばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、セファレキシン等が挙げられる。
なかでも、酸性薬物は、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、およびセファレキシンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アスピリンが特に好ましい。
酸性薬物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
なかでも、酸性薬物は、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、およびセファレキシンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アスピリンが特に好ましい。
酸性薬物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
塩基性薬物としては、たとえば制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、アリプロナール等が挙げられる。
なかでも、塩基性薬物は、制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、およびアリプロナールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、制酸剤が特に好ましい。
塩基性薬物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
なかでも、塩基性薬物は、制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、およびアリプロナールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、制酸剤が特に好ましい。
塩基性薬物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
制酸剤としては、アミノ酢酸、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩、水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
なかでも、制酸剤は、炭酸マグネシウム、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩が好ましく、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩がより好ましい。
制酸剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
なかでも、制酸剤は、炭酸マグネシウム、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩が好ましく、アルミニウムグリシネート、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩がより好ましい。
制酸剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
(バインダ)
バインダとしては、たとえばトウモロコシデンプン(スターチ)、D−マンニトール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、その他の天然高分子、合成高分子等が挙げられる。
バインダは、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
バインダとしては、たとえばトウモロコシデンプン(スターチ)、D−マンニトール、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、その他の天然高分子、合成高分子等が挙げられる。
バインダは、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
多層錠剤中の薬物の割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して100〜900質量部であることが好ましく、150〜890質量部であることがより好ましい。
また、多層錠剤中の酸性薬物の割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して100〜800質量部であることが好ましく、100〜700質量部であることがより好ましい。
また、多層錠剤中の塩基性薬物の割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して50〜700質量部であることが好ましく、100〜500質量部であることがより好ましい。
これら薬物の割合が前記範囲の下限値以上であると、それぞれの薬物の効果がより得られやすくなり、上限値以下であると、他の成分とのバランスをとることができる。
また、多層錠剤中の酸性薬物の割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して100〜800質量部であることが好ましく、100〜700質量部であることがより好ましい。
また、多層錠剤中の塩基性薬物の割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して50〜700質量部であることが好ましく、100〜500質量部であることがより好ましい。
これら薬物の割合が前記範囲の下限値以上であると、それぞれの薬物の効果がより得られやすくなり、上限値以下であると、他の成分とのバランスをとることができる。
多層錠剤中のバインダの割合は、多層錠剤全体1000質量部に対して50〜300質量部であることが好ましく、100〜250質量部であることがより好ましい。
バインダの割合が前記範囲の下限値以上であると、多層錠剤の成形性がより良好に保たれ、上限値以下であると、多層錠剤の溶解性がより向上する。
バインダの割合が前記範囲の下限値以上であると、多層錠剤の成形性がより良好に保たれ、上限値以下であると、多層錠剤の溶解性がより向上する。
複数種の薬剤顆粒は、それぞれ必要に応じて、薬物およびバインダ以外の成分を用いて造粒した粒子であってもよい。
薬物およびバインダ以外の成分としては、色素、香料、タルク等を用いることができる。
薬物およびバインダ以外の成分としては、色素、香料、タルク等を用いることができる。
<圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)>
本発明の多層錠剤においては、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比)が、0.2超、かつ0.7未満である。当該顆粒強度比が前記範囲であると、多層錠剤から溶出する薬物の溶出速度を制御できる。
以下、本明細書においては、顆粒強度(圧縮崩壊強度)の低い方の薬剤顆粒を「第1薬剤顆粒」とする。
すなわち、本明細書において「圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)」とは、第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度に対する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度の比(第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)を示すものとする。
本発明の多層錠剤においては、第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比)が、0.2超、かつ0.7未満である。当該顆粒強度比が前記範囲であると、多層錠剤から溶出する薬物の溶出速度を制御できる。
以下、本明細書においては、顆粒強度(圧縮崩壊強度)の低い方の薬剤顆粒を「第1薬剤顆粒」とする。
すなわち、本明細書において「圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)」とは、第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度に対する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度の比(第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)を示すものとする。
なお、たとえば第3の層を有する、3層構成を備えた多層錠剤においては、第3の層を構成する第3薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、当該第3の層に隣接する層を構成する薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比)を、0.2超、かつ0.7未満とすればよい。かかる顆粒強度比において、第3薬剤顆粒の顆粒強度(圧縮崩壊強度)が分子であってもよく、分母であってもよい。
ただし、第3の層を構成する第3薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、当該第3の層に隣接する層を構成する薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比)は、前記範囲内であってもよく、前記範囲外であってもよく、適宜調整すればよい。
ただし、第3の層を構成する第3薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、当該第3の層に隣接する層を構成する薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比)は、前記範囲内であってもよく、前記範囲外であってもよく、適宜調整すればよい。
本発明の多層錠剤において、圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)は0.2超、かつ0.7未満であり、0.3以上0.6未満であることが好ましい。
当該顆粒強度比が0.7未満であると、第1の層から溶出する薬物の溶出速度が短時間(たとえば服用後15分以内程度)であっても遅くなり始める。顆粒強度比が0.2超であると、第1の層から溶出する薬物の溶出速度が遅くなりすぎず、多層錠剤として良好な即効性が得られる。
当該顆粒強度比が0.7未満であると、第1の層から溶出する薬物の溶出速度が短時間(たとえば服用後15分以内程度)であっても遅くなり始める。顆粒強度比が0.2超であると、第1の層から溶出する薬物の溶出速度が遅くなりすぎず、多層錠剤として良好な即効性が得られる。
薬剤顆粒の顆粒強度は、以下のようにして測定できる。
すなわち、円柱状の所定の容器(セル)に薬剤顆粒を充填して圧縮した後(以下、圧縮後の薬剤顆粒を「薬剤顆粒層」という。)、薬剤顆粒層を長軸方向に引っ張り、薬剤顆粒層が破断する時点の圧力を測定する。
具体的には、測定機械としてホソカワミクロン(株)製の「Aggrobot:Powder Strength Measuring Tester」(製品名)を使用し、以下に示す方法によって圧縮崩壊強度を測定することにより、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの薬剤顆粒の顆粒強度を求めることができる。
すなわち、円柱状の所定の容器(セル)に薬剤顆粒を充填して圧縮した後(以下、圧縮後の薬剤顆粒を「薬剤顆粒層」という。)、薬剤顆粒層を長軸方向に引っ張り、薬剤顆粒層が破断する時点の圧力を測定する。
具体的には、測定機械としてホソカワミクロン(株)製の「Aggrobot:Powder Strength Measuring Tester」(製品名)を使用し、以下に示す方法によって圧縮崩壊強度を測定することにより、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの薬剤顆粒の顆粒強度を求めることができる。
[薬剤顆粒に対する圧縮崩壊強度の測定方法]
測定機械本体のキャリブレーションを実行した後、所定のセル(容器)に検体顆粒をそれぞれ投入し、所定の測定条件下で測定を行う。
測定後、充填率−圧縮応力グラフを作成し、当該グラフの2接線の交点から、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]を求める。
測定機械本体のキャリブレーションを実行した後、所定のセル(容器)に検体顆粒をそれぞれ投入し、所定の測定条件下で測定を行う。
測定後、充填率−圧縮応力グラフを作成し、当該グラフの2接線の交点から、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]を求める。
図1は、薬剤顆粒に対する圧縮崩壊強度の測定により作成される、充填率−圧縮応力グラフの一例を示す図である。
充填率−圧縮応力グラフにおいて、横軸は「logX」で表される圧縮応力(N/m2)、縦軸は「logY」で表される充填率(%)を示す。
圧縮崩壊強度は、充填率−圧縮応力グラフ(曲線)を基にして、下記手順(1)〜(3)に従って求めることができる。
(1)当該曲線に接する2つの接線(接線1、接線2)を決定する。
(2)(1)で決定した2つの接線の交点を求め、この交点における圧縮応力(下向き矢印が指し示すlogX)の値を求める。
(3)(2)で求めた圧縮応力(logX)の値から「X」を算出し、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]とする。
充填率−圧縮応力グラフにおいて、横軸は「logX」で表される圧縮応力(N/m2)、縦軸は「logY」で表される充填率(%)を示す。
圧縮崩壊強度は、充填率−圧縮応力グラフ(曲線)を基にして、下記手順(1)〜(3)に従って求めることができる。
(1)当該曲線に接する2つの接線(接線1、接線2)を決定する。
(2)(1)で決定した2つの接線の交点を求め、この交点における圧縮応力(下向き矢印が指し示すlogX)の値を求める。
(3)(2)で求めた圧縮応力(logX)の値から「X」を算出し、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]とする。
顆粒強度比を0.2超、かつ0.7未満に調整する方法としては、第1薬剤顆粒の顆粒強度を調節してもよく、第2薬剤顆粒の顆粒強度を調節してもよく、両方の薬剤顆粒の顆粒強度を同時に調節してもよい。
第1薬剤顆粒の顆粒強度は1.0〜1.6[×10−6N/m2]であることが好ましく、1.0〜1.5[×10−6N/m2]であることがより好ましい。
第2薬剤顆粒の顆粒強度は1.4〜4.8[×10−6N/m2]であることが好ましく、1.5〜4.8[×10−6N/m2]であることがより好ましい。
これら顆粒強度は、いずれも下限値以上であると、各層から溶出する薬物の溶出速度が遅くなりすぎず、より良好な即効性が得られる。顆粒強度が上限値以下であると、各層から溶出する薬物の溶出速度が短時間(たとえば服用後15分以内程度)であっても遅くなり始める。
第2薬剤顆粒の顆粒強度は1.4〜4.8[×10−6N/m2]であることが好ましく、1.5〜4.8[×10−6N/m2]であることがより好ましい。
これら顆粒強度は、いずれも下限値以上であると、各層から溶出する薬物の溶出速度が遅くなりすぎず、より良好な即効性が得られる。顆粒強度が上限値以下であると、各層から溶出する薬物の溶出速度が短時間(たとえば服用後15分以内程度)であっても遅くなり始める。
第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒の顆粒強度は、薬剤顆粒の組成(薬物の種類若しくはその量、バインダの種類若しくはその量)、薬剤顆粒の平均粒子径、薬剤顆粒を製造する際(造粒時の練合)に使用する水の量、又は薬剤顆粒を製造する際(造粒時の練合)における撹拌羽根の回転速度若しくは撹拌時間などを適宜設定することにより調節できる。
特に、薬剤顆粒の組成が一定の場合、薬剤顆粒の平均粒子径を調節することが好ましく、かかる場合、造粒後の粒子に対して一定条件の整粒処理を行うことにより、薬剤顆粒の平均粒子径を容易に調節できる。
ここでいう「薬剤顆粒の平均粒子径」とは、後述する、薬剤顆粒に超音波振動を与えて分級する方法により測定される質量平均粒子径を示す。
特に、薬剤顆粒の組成が一定の場合、薬剤顆粒の平均粒子径を調節することが好ましく、かかる場合、造粒後の粒子に対して一定条件の整粒処理を行うことにより、薬剤顆粒の平均粒子径を容易に調節できる。
ここでいう「薬剤顆粒の平均粒子径」とは、後述する、薬剤顆粒に超音波振動を与えて分級する方法により測定される質量平均粒子径を示す。
薬剤顆粒の顆粒強度を上げるためには、バインダ配合量を増加する、バインダ液の濃度を高くする、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする、練合時の撹拌羽根の回転数を多くする、練合時の撹拌時間を長くする等の各種方法が挙げられる。
また、薬剤顆粒を押出し造粒により製造する場合には、練合時に使用する水の量を増加する方法も挙げられる。
薬剤顆粒の平均粒子径を大きくするには、造粒機又は整粒機のmesh径の拡大化、押出し造粒の場合には造粒ペレッター孔径の増大化等の方法が挙げられる。
一方、薬剤顆粒の顆粒強度を下げるためには、上記の薬剤顆粒の顆粒強度を上げるための方法の逆を行えばよい。
また、薬剤顆粒を押出し造粒により製造する場合には、練合時に使用する水の量を増加する方法も挙げられる。
薬剤顆粒の平均粒子径を大きくするには、造粒機又は整粒機のmesh径の拡大化、押出し造粒の場合には造粒ペレッター孔径の増大化等の方法が挙げられる。
一方、薬剤顆粒の顆粒強度を下げるためには、上記の薬剤顆粒の顆粒強度を上げるための方法の逆を行えばよい。
なお、上記のなかでも、バインダ配合量とバインダ液の濃度が、薬剤顆粒の顆粒強度に大きく影響する。また、練合時に使用する水の量や、撹拌羽根による練り込み度合いにも影響する。
そのため、上記のなかでも、薬剤顆粒の顆粒強度を上げるためには、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法、バインダ配合量を増加する方法、バインダ液の濃度を高くする方法、練合時の撹拌羽根の回転数を多くする方法、練合時に使用する水の量を増加する方法が好ましく、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法、バインダ配合量を増加する方法、バインダ液の濃度を高くする方法が特に好ましく、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法が最も好ましい。
そのため、上記のなかでも、薬剤顆粒の顆粒強度を上げるためには、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法、バインダ配合量を増加する方法、バインダ液の濃度を高くする方法、練合時の撹拌羽根の回転数を多くする方法、練合時に使用する水の量を増加する方法が好ましく、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法、バインダ配合量を増加する方法、バインダ液の濃度を高くする方法が特に好ましく、薬剤顆粒の平均粒子径を大きくする方法が最も好ましい。
本発明の多層錠剤においては、前記第1薬剤顆粒が酸性薬物を造粒した薬剤顆粒であり、かつ前記第2薬剤顆粒が塩基性薬物を造粒した薬剤顆粒であることが好ましい。
このような多層錠剤であると、第1の層から溶出する酸性薬物の溶出速度が遅くなり、第2の層から溶出する塩基性薬物の溶出速度が速くなる。そのため、服用後、短時間であっても、先に当該塩基性薬物により胃が保護されやすくなり、従来よりも胃にやさしい効果が得られる。
このような多層錠剤であると、第1の層から溶出する酸性薬物の溶出速度が遅くなり、第2の層から溶出する塩基性薬物の溶出速度が速くなる。そのため、服用後、短時間であっても、先に当該塩基性薬物により胃が保護されやすくなり、従来よりも胃にやさしい効果が得られる。
以上説明した、本発明によれば、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤を提供できる。かかる効果が得られる理由としては、以下のように推測される。
錠剤においては、薬剤顆粒の顆粒強度が高い方が、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が速い。これは、薬剤顆粒の顆粒強度が高いほど、粒子間に空隙が多く存在するため、当該空隙に水が入りやすくなることによって、薬物が溶解しやすくなるためと考えられる。
錠剤においては、薬剤顆粒の顆粒強度が高い方が、錠剤から溶出する薬物の溶出速度が速い。これは、薬剤顆粒の顆粒強度が高いほど、粒子間に空隙が多く存在するため、当該空隙に水が入りやすくなることによって、薬物が溶解しやすくなるためと考えられる。
従来の多層錠剤に関する技術においては、多層錠剤の原料である、薬物、結合剤、崩壊剤、賦形剤などの各種成分の物性が異なるため、原料粒子間の結合力の違いや粒子の崩壊性の違い等により、多層錠剤から溶出する薬物の溶出速度を制御することが困難であった。また、隣接する層をそれぞれ構成する薬剤顆粒同士の顆粒強度比は、通常1付近に設定され、いずれの薬物も速く溶出させることが課題とされていた。
しかし、本発明においては、薬剤顆粒同士の顆粒強度を変化させて顆粒強度比を特定の範囲に調整することにより、従来の成分を用いても、一方の薬物の溶出速度を遅くでき、服用後に溶出する薬物の溶出速度を制御できる。
本発明に係る顆粒強度比を調整して当該溶出速度を制御する方法は、医薬品の有効性を向上させる手段として好適な技術である。
しかし、本発明においては、薬剤顆粒同士の顆粒強度を変化させて顆粒強度比を特定の範囲に調整することにより、従来の成分を用いても、一方の薬物の溶出速度を遅くでき、服用後に溶出する薬物の溶出速度を制御できる。
本発明に係る顆粒強度比を調整して当該溶出速度を制御する方法は、医薬品の有効性を向上させる手段として好適な技術である。
≪多層錠剤の製造方法≫
本発明の多層錠剤の製造方法は、圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形する方法である。
本発明に係る圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)については、上記本発明の多層錠剤についての説明における<圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)>と同じである。
本発明の多層錠剤の製造方法は、圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形する方法である。
本発明に係る圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)については、上記本発明の多層錠剤についての説明における<圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比)>と同じである。
第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒は、たとえば、薬物およびバインダ等を、造粒装置を用いて造粒し、得られた造粒粒子を、整粒機を用いて整粒し、その後、バインダおよび必要に応じてその他成分を配合して混合することにより製造できる。
かかる第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒の製造においては、顆粒強度比が0.2超、かつ0.7未満となるように、それぞれの薬剤顆粒の顆粒強度を、上述した方法により調節する。
かかる第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒の製造においては、顆粒強度比が0.2超、かつ0.7未満となるように、それぞれの薬剤顆粒の顆粒強度を、上述した方法により調節する。
前記造粒粒子は、たとえば、薬物およびバインダ等を、押出し造粒機で混練し押出して造粒する方法;ローラーコンパクターとロールグラニュレータを用いて混練破砕造粒する方法;リボンミキサー、ハイスピードミキサー、バーチカルグラニュレーター等の撹拌造粒機で撹拌造粒する方法、流動層造粒乾燥機等を用いて流動造粒する方法、又は薬物とバインダ等に、バインダ等の水溶液を噴霧し造粒する方法により調製できる。
造粒の際、練合に使用する水の量は、好適な顆粒強度に調節できることから、練合に使用する原料全体の100質量部に対して5〜30質量部とすることが好ましく、5〜15質量部とすることがより好ましい。
練合における撹拌羽根の回転速度は、好適な顆粒強度に調節できることから、10〜30(単位:rpm)とすることが好ましく、10〜20(単位:rpm)とすることがより好ましい。
練合における撹拌時間は、好適な顆粒強度に調節できることから、10〜30分間とすることが好ましく、10〜20分間とすることがより好ましい。
造粒の際、練合に使用する水の量は、好適な顆粒強度に調節できることから、練合に使用する原料全体の100質量部に対して5〜30質量部とすることが好ましく、5〜15質量部とすることがより好ましい。
練合における撹拌羽根の回転速度は、好適な顆粒強度に調節できることから、10〜30(単位:rpm)とすることが好ましく、10〜20(単位:rpm)とすることがより好ましい。
練合における撹拌時間は、好適な顆粒強度に調節できることから、10〜30分間とすることが好ましく、10〜20分間とすることがより好ましい。
造粒粒子の整粒は、たとえば、パワーミル、TC解砕機、コーミル等の密閉式整粒機を用いて行うことができる。
整粒後の造粒粒子と、バインダ等との混合は、ダブルコーンミキサー、V型ミキサー、ボーレミキサー、コンテナーブレンダー等の混合機を用いて行うことができる。
整粒後の造粒粒子と、バインダ等との混合は、ダブルコーンミキサー、V型ミキサー、ボーレミキサー、コンテナーブレンダー等の混合機を用いて行うことができる。
第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒の平均粒子径は、いずれも、400〜1100μmであることが好ましく、550〜1100μmであることがより好ましく、550〜700μmであることがさらに好ましい。
ここで、「薬剤顆粒の平均粒子径」とは、薬剤顆粒に超音波振動を与えて分級する方法により測定される質量平均粒子径をいう。具体的には、目開きの小さな篩の上に目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の篩上に、サンプリングした薬剤顆粒を置き、超音波振動を一定時間与えて分級することにより求める。
ここで、「薬剤顆粒の平均粒子径」とは、薬剤顆粒に超音波振動を与えて分級する方法により測定される質量平均粒子径をいう。具体的には、目開きの小さな篩の上に目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の篩上に、サンプリングした薬剤顆粒を置き、超音波振動を一定時間与えて分級することにより求める。
薬剤顆粒中の薬物の割合(1つの薬剤層に対する薬物の割合)は、70〜93質量%であることが好ましく、75〜90質量%であることがより好ましい。
また、薬剤顆粒中の酸性薬物の割合は、5〜93質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
また、薬剤顆粒中の塩基性薬物の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
これら薬物の割合が前記範囲の下限値以上であると、多層錠剤とした際、それぞれの薬物の効果がより得られやすくなり、上限値以下であると、他の成分とのバランスをとることができる。
薬剤顆粒中のバインダの割合は、4〜20質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。
バインダの割合が前記範囲の下限値以上であると、薬剤顆粒の顆粒強度がより高まり、上限値以下であると、多層錠剤とした際、溶解性がより向上する。
また、薬剤顆粒中の酸性薬物の割合は、5〜93質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
また、薬剤顆粒中の塩基性薬物の割合は、5〜90質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましい。
これら薬物の割合が前記範囲の下限値以上であると、多層錠剤とした際、それぞれの薬物の効果がより得られやすくなり、上限値以下であると、他の成分とのバランスをとることができる。
薬剤顆粒中のバインダの割合は、4〜20質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。
バインダの割合が前記範囲の下限値以上であると、薬剤顆粒の顆粒強度がより高まり、上限値以下であると、多層錠剤とした際、溶解性がより向上する。
次いで、上記で得た、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形することにより多層錠剤が製造される。
圧縮成形の方法としては、特に限定されるものではなく、顆粒を打錠する公知の顆粒打錠法が挙げられる。
打錠には、錠剤の成型に一般に用いられている公知の打錠装置を用いることができる。
打錠装置としては、たとえば多層式ロータリー打錠機が挙げられる。
本発明の多層錠剤の製造方法の一実施形態例としては、以下に示す製造方法が挙げられる。すなわち、上杵および下杵からなる打錠用杵と、円盤状の回転盤の周方向に所定間隔をおいて複数設けられる製錠臼とを備えた多層式ロータリー打錠機を用いて、製錠臼に、第1薬剤顆粒を供給する供給機(好ましくは撹拌型の供給機)および第2薬剤顆粒を供給する供給機(好ましくは撹拌型の供給機)からそれぞれの薬剤顆粒を機械的に供給し、前記製錠臼内で、第1薬剤顆粒の層と第2薬剤顆粒の層とを積層し、その後、積層された両方の薬剤顆粒を、上杵と下杵の間で圧縮成形することにより多層錠剤を製造できる。
前記圧縮成形の際の圧縮圧力は400〜2000kg・f/cm2とすることが好ましく、800〜1700kg・f/cm2とすることがより好ましい。
圧縮成形の方法としては、特に限定されるものではなく、顆粒を打錠する公知の顆粒打錠法が挙げられる。
打錠には、錠剤の成型に一般に用いられている公知の打錠装置を用いることができる。
打錠装置としては、たとえば多層式ロータリー打錠機が挙げられる。
本発明の多層錠剤の製造方法の一実施形態例としては、以下に示す製造方法が挙げられる。すなわち、上杵および下杵からなる打錠用杵と、円盤状の回転盤の周方向に所定間隔をおいて複数設けられる製錠臼とを備えた多層式ロータリー打錠機を用いて、製錠臼に、第1薬剤顆粒を供給する供給機(好ましくは撹拌型の供給機)および第2薬剤顆粒を供給する供給機(好ましくは撹拌型の供給機)からそれぞれの薬剤顆粒を機械的に供給し、前記製錠臼内で、第1薬剤顆粒の層と第2薬剤顆粒の層とを積層し、その後、積層された両方の薬剤顆粒を、上杵と下杵の間で圧縮成形することにより多層錠剤を製造できる。
前記圧縮成形の際の圧縮圧力は400〜2000kg・f/cm2とすることが好ましく、800〜1700kg・f/cm2とすることがより好ましい。
本発明の多層錠剤の製造方法の他の実施形態例、たとえば第3の層を有する、3層構成を備えた多層錠剤を製造する方法においては、所定の顆粒強度に調整した第3薬剤顆粒を製造し、前記第3薬剤顆粒を、上記第1の層又は上記第2の層のいずれかに隣接するように製錠臼に供給し、その後、積層された薬剤顆粒を、上杵と下杵の間で圧縮成形すればよい。
以上説明した、本発明の多層錠剤の製造方法により、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
本実施例において使用した原料は、下記の通りである。
(薬物)
塩基性薬物:
炭酸マグネシウム(協和化学工業(株)製)。
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(協和化学工業(株)製)。
塩基性薬物:
炭酸マグネシウム(協和化学工業(株)製)。
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(協和化学工業(株)製)。
(バインダ)
トウモロコシデンプン(松谷化学工業製)。
トウモロコシデンプン(松谷化学工業製)。
(第1薬剤顆粒)
アスピリン含有顆粒1a(アスピリン90質量%、トウモロコシデンプン10質量%;平均粒子径800μm)(ローディア社製)。
アスピリン含有顆粒1b(アスピリン90質量%、トウモロコシデンプン10質量%;平均粒子径900μm)(ローディア社製)。
アスピリン含有顆粒1a(アスピリン90質量%、トウモロコシデンプン10質量%;平均粒子径800μm)(ローディア社製)。
アスピリン含有顆粒1b(アスピリン90質量%、トウモロコシデンプン10質量%;平均粒子径900μm)(ローディア社製)。
[平均粒子径の測定]
株式会社セイシン企業社製の超音波ふるい分け測定器(製品名:ロボットシフターRPS−95C)を使用して、以下に示す方法により質量平均粒子径を測定し、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの平均粒子径とした。なお、Mは「mesh」を表す。
すなわち、16M(1000μm)、24M(710μm)、30M(500μm)、42M(355μm)、60M(250μm)、80M(180μm)、100M(150μm)、150M(106μm)、200M(75μm)、270M(53μm)、325M(45μm)および635M(20μm)を目開きの小さな篩の上に目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の16Mの篩上に、サンプリングした第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒の各粒子5gをそれぞれ置き、前記超音波ふるい分け測定器により超音波振動を一定時間(5分間)与えて分級し、30M篩残、42M篩残、60M篩残、80M篩残、100M篩残、150M篩残、200M篩残、270M篩残および270M篩通過分の各質量を測定した。
そして、各質量に、予め算出しておいた各篩間の粒径区分の中央値を乗じ、その総和を全質量(5g)で除し、これにより算出された値を「質量平均粒子径(μm)」とした。
株式会社セイシン企業社製の超音波ふるい分け測定器(製品名:ロボットシフターRPS−95C)を使用して、以下に示す方法により質量平均粒子径を測定し、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの平均粒子径とした。なお、Mは「mesh」を表す。
すなわち、16M(1000μm)、24M(710μm)、30M(500μm)、42M(355μm)、60M(250μm)、80M(180μm)、100M(150μm)、150M(106μm)、200M(75μm)、270M(53μm)、325M(45μm)および635M(20μm)を目開きの小さな篩の上に目開きの大きな篩を順に積み重ね、最上部の16Mの篩上に、サンプリングした第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒の各粒子5gをそれぞれ置き、前記超音波ふるい分け測定器により超音波振動を一定時間(5分間)与えて分級し、30M篩残、42M篩残、60M篩残、80M篩残、100M篩残、150M篩残、200M篩残、270M篩残および270M篩通過分の各質量を測定した。
そして、各質量に、予め算出しておいた各篩間の粒径区分の中央値を乗じ、その総和を全質量(5g)で除し、これにより算出された値を「質量平均粒子径(μm)」とした。
[顆粒強度(圧縮崩壊強度)の測定]
ホソカワミクロン(株)製の「Aggrobot:Powder Strength Measuring Tester」(製品名)を使用して、以下に示す方法により圧縮崩壊強度を測定し、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの顆粒強度とした。
すなわち、測定機械本体のキャリブレーションを実行した後、所定のセル(容器)に検体顆粒をそれぞれ投入して測定を実施した。測定条件は、以下のように設定して行った。
測定後、図1に示すような充填率−圧縮応力グラフを作成し、当該グラフの2接線の交点から圧縮応力を求めて、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]を算出した。
<測定条件>
セル内径 :10φ
セル温度 :25℃
バネ線径 :1.2mm
圧縮速度 :0.1mm/sec
最大圧縮力測定値:100kg
圧縮後保持時間 :0秒
なお、第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒の試料条件は、以下に示す物性値を代入して、顆粒強度の測定を行った。
<試料条件>
第1薬剤顆粒
粉体仕入質量 :1.0g
粉体の真密度 :1560kg/m3
粉体の体面積平均径 :50μm
比表面積形状係数 :6.0
乾燥粉体の最小空間率:0.2
第2薬剤顆粒
粉体仕入質量 :1.0g
粉体の真密度 :1600kg/m3
粉体の体面積平均径 :45μm
比表面積形状係数 :6.0
乾燥粉体の最小空間率:0.2
ホソカワミクロン(株)製の「Aggrobot:Powder Strength Measuring Tester」(製品名)を使用して、以下に示す方法により圧縮崩壊強度を測定し、第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒のそれぞれの顆粒強度とした。
すなわち、測定機械本体のキャリブレーションを実行した後、所定のセル(容器)に検体顆粒をそれぞれ投入して測定を実施した。測定条件は、以下のように設定して行った。
測定後、図1に示すような充填率−圧縮応力グラフを作成し、当該グラフの2接線の交点から圧縮応力を求めて、圧縮崩壊強度の計算値[N/m2]を算出した。
<測定条件>
セル内径 :10φ
セル温度 :25℃
バネ線径 :1.2mm
圧縮速度 :0.1mm/sec
最大圧縮力測定値:100kg
圧縮後保持時間 :0秒
なお、第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒の試料条件は、以下に示す物性値を代入して、顆粒強度の測定を行った。
<試料条件>
第1薬剤顆粒
粉体仕入質量 :1.0g
粉体の真密度 :1560kg/m3
粉体の体面積平均径 :50μm
比表面積形状係数 :6.0
乾燥粉体の最小空間率:0.2
第2薬剤顆粒
粉体仕入質量 :1.0g
粉体の真密度 :1600kg/m3
粉体の体面積平均径 :45μm
比表面積形状係数 :6.0
乾燥粉体の最小空間率:0.2
[アスピリン溶出性の試験]
アスピリン溶出性の試験は、日局溶出性試験に準拠して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用い行った。
具体的には、所定量の多層錠剤を用い、HPLC法により当該日局溶出性試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するアスピリンのピーク面積の比(Q$dT及びQ$dS)を求めた。なお、「Q$dT」はアスピリン定量値を意味し、「Q$dS」はアスピリン標準値(スタンダード)を意味し、これらを測定してピーク面積の比を求めた。
そして、経過時間(15分経過後、30分経過後、45分経過後)ごとのアスピリンの溶出率(質量%)を求めた。
アスピリンの溶出率(質量%)は、多層錠剤の製造に使用したアスピリン全量に対するアスピリンの溶出量(累加量)の割合を示す。
「溶出率100(質量%)」は、アスピリン全量が多層錠剤から溶出したことを意味する。
アスピリン溶出性の試験は、日局溶出性試験に準拠して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用い行った。
具体的には、所定量の多層錠剤を用い、HPLC法により当該日局溶出性試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するアスピリンのピーク面積の比(Q$dT及びQ$dS)を求めた。なお、「Q$dT」はアスピリン定量値を意味し、「Q$dS」はアスピリン標準値(スタンダード)を意味し、これらを測定してピーク面積の比を求めた。
そして、経過時間(15分経過後、30分経過後、45分経過後)ごとのアスピリンの溶出率(質量%)を求めた。
アスピリンの溶出率(質量%)は、多層錠剤の製造に使用したアスピリン全量に対するアスピリンの溶出量(累加量)の割合を示す。
「溶出率100(質量%)」は、アスピリン全量が多層錠剤から溶出したことを意味する。
(実施例1)
生理活性成分(薬物)としてアスピリンを用い、下記組成の多層錠剤を、以下に示す方法により製造した。
多層錠剤の組成(多層錠剤全体1000質量部に対する割合)
アスピリン 611.1質量部
トウモロコシデンプン 111.1質量部
炭酸マグネシウム 185.2質量部
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート 92.6質量部
生理活性成分(薬物)としてアスピリンを用い、下記組成の多層錠剤を、以下に示す方法により製造した。
多層錠剤の組成(多層錠剤全体1000質量部に対する割合)
アスピリン 611.1質量部
トウモロコシデンプン 111.1質量部
炭酸マグネシウム 185.2質量部
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート 92.6質量部
<第1薬剤顆粒>
上記アスピリン含有顆粒1aを使用した。
上記アスピリン含有顆粒1aを使用した。
<第2薬剤顆粒>
流動層造粒乾燥機に、炭酸マグネシウム10.0kgと、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート5.0kgと、トウモロコシデンプン0.8kgを投入し、予めα化したトウモロコシデンプン5.0質量%水溶液14.0kgを噴霧して造粒した。
これを乾燥した後、目開きφ1.5mmの整粒機にかけて粒度を調整した。
次いで、整粒後の造粒粒子に、トウモロコシデンプン0.8kgを加え、ダブルコーンミキサーで混合して第2薬剤顆粒を得た。
流動層造粒乾燥機に、炭酸マグネシウム10.0kgと、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート5.0kgと、トウモロコシデンプン0.8kgを投入し、予めα化したトウモロコシデンプン5.0質量%水溶液14.0kgを噴霧して造粒した。
これを乾燥した後、目開きφ1.5mmの整粒機にかけて粒度を調整した。
次いで、整粒後の造粒粒子に、トウモロコシデンプン0.8kgを加え、ダブルコーンミキサーで混合して第2薬剤顆粒を得た。
そして、第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒について、上記の測定方法により、平均粒子径と顆粒強度をそれぞれ測定し、また、顆粒強度比(第1薬剤顆粒の顆粒強度/第2薬剤顆粒の顆粒強度)を算出した。それらの結果を表1に示した。
[多層錠剤の製造]
上記の第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒とを用いて、以下に示す方法により、多層錠剤の製造を行った。
2層錠用打錠機(多層式ロータリー打錠機)を、打錠可能な状態に組み、1層目原料ホッパーに第1薬剤顆粒を供給し、次いで、同様にして、2層目原料ホッパーに第2薬剤顆粒を供給した。
その際、1層目の顆粒充填深さを、1層薬剤顆粒の質量目標値(367mg)に調整した。2層目の顆粒充填深さは、錠剤全体の質量目標値となる(540mg)に調整した。
そして、原料フィーダーの撹拌羽根1層目を140rpm、2層目を120rpmで運転した。
次いで、目標の打錠圧縮圧力(1500kg・f/cm2)が得られる、圧縮ローラー位置(約2.9mm)に調整し、試し打ちを行った。
その後、顆粒供給が安定して、錠剤質量のばらつきが無くなったところの多層錠剤に対して、多層錠剤中のアスピリン(第1の層の薬物)の割合を測定した。
なお、顆粒充填深さは、アスピリンの割合の測定値が100±3%の範囲内となるまで調整を行った。
アスピリンの割合の測定は、上記アスピリン溶出性の試験と同様の方法により行った。
上記の第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒とを用いて、以下に示す方法により、多層錠剤の製造を行った。
2層錠用打錠機(多層式ロータリー打錠機)を、打錠可能な状態に組み、1層目原料ホッパーに第1薬剤顆粒を供給し、次いで、同様にして、2層目原料ホッパーに第2薬剤顆粒を供給した。
その際、1層目の顆粒充填深さを、1層薬剤顆粒の質量目標値(367mg)に調整した。2層目の顆粒充填深さは、錠剤全体の質量目標値となる(540mg)に調整した。
そして、原料フィーダーの撹拌羽根1層目を140rpm、2層目を120rpmで運転した。
次いで、目標の打錠圧縮圧力(1500kg・f/cm2)が得られる、圧縮ローラー位置(約2.9mm)に調整し、試し打ちを行った。
その後、顆粒供給が安定して、錠剤質量のばらつきが無くなったところの多層錠剤に対して、多層錠剤中のアスピリン(第1の層の薬物)の割合を測定した。
なお、顆粒充填深さは、アスピリンの割合の測定値が100±3%の範囲内となるまで調整を行った。
アスピリンの割合の測定は、上記アスピリン溶出性の試験と同様の方法により行った。
そして、得られた多層錠剤について、上記アスピリン溶出性の試験を行い、経過時間ごとのアスピリンの溶出率(質量%)を求めた。その結果を表1に示した。
(実施例2)
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ2.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例1と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ2.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例1と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
(実施例3)
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ3.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例1と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ3.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例1と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
(実施例4)
生理活性成分(薬物)としてアスピリンを用い、下記組成の多層錠剤を、以下に示す方法により製造した。
多層錠剤の組成(多層錠剤全体1000質量部に対する割合)
アスピリン 610質量部
トウモロコシデンプン 240質量部
炭酸マグネシウム 100質量部
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート 50質量部
生理活性成分(薬物)としてアスピリンを用い、下記組成の多層錠剤を、以下に示す方法により製造した。
多層錠剤の組成(多層錠剤全体1000質量部に対する割合)
アスピリン 610質量部
トウモロコシデンプン 240質量部
炭酸マグネシウム 100質量部
ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート 50質量部
<第1薬剤顆粒>
上記アスピリン含有顆粒1bを使用した。
上記アスピリン含有顆粒1bを使用した。
<第2薬剤顆粒>
流動層造粒乾燥機に、炭酸マグネシウム10.0kgと、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート5.0kgと、トウモロコシデンプン0.8kgを投入し、予めα化したトウモロコシデンプン5.0質量%水溶液14.0kgを噴霧して造粒した。
これを乾燥した後、目開きφ3.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した。
次いで、整粒後の造粒粒子に、トウモロコシデンプン0.8kgを加え、ダブルコーンミキサーで混合して第2薬剤顆粒を得た。
流動層造粒乾燥機に、炭酸マグネシウム10.0kgと、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート5.0kgと、トウモロコシデンプン0.8kgを投入し、予めα化したトウモロコシデンプン5.0質量%水溶液14.0kgを噴霧して造粒した。
これを乾燥した後、目開きφ3.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した。
次いで、整粒後の造粒粒子に、トウモロコシデンプン0.8kgを加え、ダブルコーンミキサーで混合して第2薬剤顆粒を得た。
そして、第1薬剤顆粒および第2薬剤顆粒について、上記の測定方法により、平均粒子径と顆粒強度をそれぞれ測定し、また、顆粒強度比(第1薬剤顆粒の顆粒強度/第2薬剤顆粒の顆粒強度)を算出した。それらの結果を表1に示した。
[多層錠剤の製造]
上記の第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒とを用いて、以下に示す方法により、多層錠剤の製造を行った。
2層錠用打錠機(多層式ロータリー打錠機)を、打錠可能な状態に組み、1層目原料ホッパーに第1薬剤顆粒を供給し、次いで、同様にして、2層目原料ホッパーに第2薬剤顆粒を供給した。
その際、1層目の顆粒充填深さを、1層薬剤顆粒の質量目標値(367mg)に調整した。2層目の顆粒充填深さは、錠剤全体の質量目標値となる(540mg)に調整した。
そして、原料フィーダーの撹拌羽根1層目を140rpm、2層目を120rpmで運転した。
次いで、目標の打錠圧縮圧力(1500kg・f/cm2)が得られる、圧縮ローラー位置(約2.9mm)に調整し、試し打ちを行った。
その後、顆粒供給が安定して、錠剤質量のばらつきが無くなったところの多層錠剤に対して、多層錠剤中のアスピリン(第1の層の薬物)の割合を測定した。
なお、顆粒充填深さは、アスピリンの割合の測定値が100±3%の範囲内となるまで調整を行った。
アスピリンの割合の測定は、上記アスピリン溶出性の試験と同様の方法により行った。
上記の第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒とを用いて、以下に示す方法により、多層錠剤の製造を行った。
2層錠用打錠機(多層式ロータリー打錠機)を、打錠可能な状態に組み、1層目原料ホッパーに第1薬剤顆粒を供給し、次いで、同様にして、2層目原料ホッパーに第2薬剤顆粒を供給した。
その際、1層目の顆粒充填深さを、1層薬剤顆粒の質量目標値(367mg)に調整した。2層目の顆粒充填深さは、錠剤全体の質量目標値となる(540mg)に調整した。
そして、原料フィーダーの撹拌羽根1層目を140rpm、2層目を120rpmで運転した。
次いで、目標の打錠圧縮圧力(1500kg・f/cm2)が得られる、圧縮ローラー位置(約2.9mm)に調整し、試し打ちを行った。
その後、顆粒供給が安定して、錠剤質量のばらつきが無くなったところの多層錠剤に対して、多層錠剤中のアスピリン(第1の層の薬物)の割合を測定した。
なお、顆粒充填深さは、アスピリンの割合の測定値が100±3%の範囲内となるまで調整を行った。
アスピリンの割合の測定は、上記アスピリン溶出性の試験と同様の方法により行った。
そして、得られた多層錠剤について、上記アスピリン溶出性の試験を行い、経過時間ごとのアスピリンの溶出率(質量%)を求めた。その結果を表1に示した。
(実施例5)
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ4.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例4と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
第2薬剤顆粒の製造方法において、目開きφ4.0mmの整粒機にかけて粒度を調整した以外は、実施例4と同様にして、多層錠剤の製造を行った。
そして、上記の方法により、平均粒子径の測定、顆粒強度の測定、およびアスピリン溶出性の試験をそれぞれ行った。それらの結果を表1に示した。
表1から、実施例1〜5の多層錠剤における顆粒強度比は0.22〜0.67であり、いずれの顆粒強度比も0.2超、かつ0.7未満の範囲内であり、実施例1、2の多層錠剤は、30分経過後で、多層錠剤から全量のアスピリンが溶出し、実施例4、5の多層錠剤は、45分経過後で、多層錠剤から全量のアスピリンが溶出し、実施例3の多層錠剤は、45分経過後であっても、多層錠剤から全量のアスピリンが溶出していないことが確認された。
この結果より、顆粒強度比が異なるとともに、多層錠剤から溶出するアスピリンの溶出速度が変化し、顆粒強度比が小さい(0.2に近い)ほど、アスピリンの溶出速度が遅くなる傾向があることが分かる。
したがって、本発明の多層錠剤によれば、顆粒強度比を調整することにより、服用後に溶出する薬物の溶出速度を制御できることが確認できた。
また、本発明の多層錠剤の製造方法により、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤を提供できることが確認できた。
この結果より、顆粒強度比が異なるとともに、多層錠剤から溶出するアスピリンの溶出速度が変化し、顆粒強度比が小さい(0.2に近い)ほど、アスピリンの溶出速度が遅くなる傾向があることが分かる。
したがって、本発明の多層錠剤によれば、顆粒強度比を調整することにより、服用後に溶出する薬物の溶出速度を制御できることが確認できた。
また、本発明の多層錠剤の製造方法により、服用後に溶出する薬物の溶出速度が制御された多層錠剤を提供できることが確認できた。
Claims (5)
- 複数種の薬剤顆粒を2層以上に積み重ねて圧縮成形することにより製造される多層錠剤において、
第1の層を構成する第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度と、前記第1の層に隣接する第2の層を構成する第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度との比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が、0.2超、かつ0.7未満であることを特徴とする多層錠剤。 - 前記第1薬剤顆粒が酸性薬物を造粒した薬剤顆粒であり、かつ前記第2薬剤顆粒が塩基性薬物を造粒した薬剤顆粒である請求項1に記載の多層錠剤。
- 前記酸性薬物が、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナックナトリウム、インドメタシン、ケトプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸エフェドリン、マレイン酸クロルフェニラミン、およびセファレキシンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の多層錠剤。
- 前記塩基性薬物が、制酸剤、カフェイン、アセトアミノフェン、およびアリプロナールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2又は請求項3に記載の多層錠剤。
- 圧縮崩壊強度の比(顆粒強度比:第1薬剤顆粒の圧縮崩壊強度/第2薬剤顆粒の圧縮崩壊強度)が0.2超、かつ0.7未満となる第1薬剤顆粒と第2薬剤顆粒を積層して圧縮成形することを特徴とする多層錠剤の製造方法。
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JP2008117221A JP2009263305A (ja) | 2008-04-28 | 2008-04-28 | 多層錠剤およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPWO2012074110A1 (ja) * | 2010-12-03 | 2014-05-19 | 武田薬品工業株式会社 | 口腔内崩壊錠 |
CN105582009A (zh) * | 2014-10-23 | 2016-05-18 | 华中药业股份有限公司 | 复方扑热息痛组合物及其制备方法 |
JP2016204296A (ja) * | 2015-04-21 | 2016-12-08 | ライオン株式会社 | 積層錠剤及びその製造方法 |
CN106727380A (zh) * | 2016-12-28 | 2017-05-31 | 西藏昌都金方药业有限公司 | 一种铝镁匹林片(ⅱ)及其制备工艺 |
JP2021066742A (ja) * | 2021-02-02 | 2021-04-30 | ライオン株式会社 | 積層錠剤 |
-
2008
- 2008-04-28 JP JP2008117221A patent/JP2009263305A/ja active Pending
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JP6037840B2 (ja) * | 2010-12-03 | 2016-12-07 | 武田薬品工業株式会社 | 口腔内崩壊錠 |
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