JP2009260899A - スピーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型キャビネットにおいても低音域の量感が増し、音質的に好ましい特性を有するスピーカを提供すること。
【解決手段】 スピーカーユニットがキャビネットに取り付けられたスピーカーにおいて、該キャビネットの内部が間隔を置いて設置された複数の傾斜した仕切板により区切られ、該仕切板により拡大方向が交互に反転する複数の漏斗状空間が形成され、上記各仕切板は導通口を有し、該導通口により連通した音道が形成され、かつ該音道の終端近傍のキャビネット壁に開口を有するスピーカーを構成した。これにより、小型キャビネットであっても、低音域の量感が増し、音質的に好ましい特性を有するスピーカを提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、低音域の量感が増し、音質的に好ましい特性を有するスピーカーに関する。
音声信号再生に用いられるスピーカーにおいて、スピーカーユニットは低音域の再生特性を改善するために各種のキャビネットに取り付けられる。キャビネットの形式としてはバスレフ型、ホーン型、音響迷路型、共鳴管型などがよく知られている。キャビネットの形状による分類としては、比較的高さの低いブックシェルフ型、高さの高いトールボーイ型などがある。
ホーン型、音響迷路型、共鳴管型(以下これらを総称してスリム型と呼ぶ)はいずれも細長い管状の音道を有し、該音道の一部または全部がキャビネット壁により形成されていることがバスレフ型とは異なる特徴である。上記4種類の形式の厳密な区別は困難であり、これらの周辺には様々な変形があり得る。
これらの従来よく知られた形式のキャビネットでは、低域における十分な量感を得るには、バスレフ型においては大型のスピーカーユニットを搭載した大型キャビネットと長いバスレフダクトが必要であり、スリム型においては通常は2m程度の長さの音道が必要であって、折り曲げた音道を採用するにしても、キャビネットは必然的に大型にならざるを得なかった。
発明が解決しようとする課題
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記既存のキャビネット形式と比較して小型のキャビネットにおいても低音域の量感が増し、音質的に好ましい特性を有するスピーカを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、キャビネットにスピーカーユニットが取り付けられたスピーカーであって、該キャビネットの内部が間隔を置いて設置された複数の傾斜した仕切板により区切られ、該仕切板により拡大方向が交互に反転する複数の漏斗状空間が形成され、上記各仕切板は導通口を有し、該導通口により連通した音道が形成され、かつ該音道の終端近傍のキャビネット壁に開口を有することを特徴とするスピーカーである。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明によるスピーカーでは、断面積が直線的に拡大する漏斗状の音道を複数個つなぎ合わせることにより全体の音道が形成されている。これにより音道断面積は拡大と縮小を繰り返すことになり、音道を通過する音の中高域は減衰し、低域が強調される。
ここで、音道とはスピーカーユニットから放射される音波の通り道として設けられた連通した空間であって、音道を通過した音波は該音道の終端に設けられた開口からキャビネットの外部に放出される。
本発明は、内部の形状が実質的に立方体または直方体であって、互いに平行な平面壁を有するキャビネットに主として適用される。これらを総称して角形キャビネットと呼ぶ。本明細書では主として上記角形キャビネットを前提として説明するが、その他の変形キャビネット、例えば断面形状が円形、楕円形、または三角形あるいは五角形以上の多角形であるキャビネット、などへの応用も可能である。
本発明で用いられるスピーカーユニットは通常のダイナミック型に限定されるものではなく、コンデンサ型(静電型)や圧電型などの特殊な変換方式であってもよい。再生帯域はフルレンジだけでなくウーファー、スコーカー、トウィーターなどを用いたマルチウエイであってもよい。実施例等においては図面などの簡明さのためフルレンジユニットを用いた場合について説明する。
本発明では、キャビネット内部は間隔を置いて設置された複数の仕切板により区切られている。仕切板はスピーカーユニットの配置を妨げない位置に設置されるのはいうまでもない。
本発明で用いられる仕切板は、二つの平行な壁面、例えば実質的な直方体キャビネットの場合、左右の側板、バッフル板および裏板、底板および天板、のいずれかの壁面対に実質的に垂直または垂直に比較的近い角度で設置され、かつ別の壁面対に対して傾斜して設置された板状体である。ここで壁面とは、角形キャビネットの内壁であって、実質的な平面を指すものとする。仕切板の形状は、通常は平板状の長方形または正方形であり、その形状はキャビネットの断面形状に応じて変化させることができる。仕切板は、後述の導通口を除き、キャビネットの断面全部を覆う大きさである。
通常の直方体キャビネットにおいては、仕切板は側板に対して垂直に設置され、天板および底板からなる壁面対、またはバッフル板および裏板からなる壁面対のいずれか(以下これらを傾斜壁面対と呼ぶ)に仕切板末端が接し、かつ該傾斜壁面対に対して傾斜して設置される。
別の組み合わせとしては、天板および底板に対して垂直に設置し、左右の側板を傾斜壁面対とすることもできる。直方体ではない変則的な形状のキャビネットであっても、上記直方体に準ずるものとする。
傾斜して設置された板状体である仕切板の傾斜壁面対に対する傾斜角度は、傾斜壁面対の一方を基準(角度ゼロ)として30度以上150度以下の範囲が好適である。さらに好ましくは60度以上120度以下である。これらの範囲の外ではキャビネットが大型化するため通常は好ましくない。該傾斜角度は互いに隣接する仕切板ごとに異なる。
隣接する2枚の仕切板、または底板または天板と1枚の仕切板、の間隔は上記傾斜角度を変化させることにより末広がり(または漏斗状)空間が形成されるよう設置する。該漏斗状空間のうち、狭い部分を首、広い部分を頭と呼ぶことにする。
漏斗状空間が形成されるのであれば、複数の仕切板のうちの何枚かの傾斜角度が90度であってもよい。
キャビネット内には、少なくとも2枚以上の(複数の)仕切板および天板または底板により複数の漏斗状空間が形成される。隣接する漏斗状空間の向き、すなわち拡大の方向、は交互に反転する。
図1,2および3に本発明の具体的な配置例が示されている。これらの図において、前記傾斜壁面対は、図1および2についてはバッフル板と裏板の対であり、図3においては天板と底板の対である。
上記仕切板が傾斜壁面対のうちの一方の壁面に接する部分の近傍には導通口が設けられる。該導通口は円形、四角形またはその他の形状の穴であってもよく、仕切板と傾斜壁面との間に設けられた隙間であってもよい。穴または隙間の面積は音質に大きな影響がある。通常はキャビネット断面積の1%から40%の間が好適である。この範囲から外れる場合には低域増強効果が低下する。
各仕切板は少なくとも1カ所に導通口を有し、キャビネット内部の全体を通して連通した音道が形成される。該音道の末端近傍には後述の開口が設けられ、そこから外部に向けて音波が放射される。
仕切板に設けられる導通口の位置と、上記漏斗状空間の首または頭の位置、の関係の記述については、スピーカーユニットから見て当該する仕切板の奥(向こう側)に位置する漏斗状空間を基準とする。導通口の位置は漏斗状空間の首または頭のどちらか一方の近傍が望ましく、キャビネットの設計に当たっては、どちらかに統一しなければならない。
こうすることで、キャビネット内部における音道の長さが実質的に最長になることが保証される。例えば、図1においては、上記基準に従えば、導通口は首の近傍に位置する。図2においては、導通口は頭の近傍に位置する。
上記連通した音道の終端、すなわちスピーカーユニットから最も離れた位置、の近傍においてキャビネット壁に穴が設けられる。これを開口と呼ぶ。上述のように、音道を通過した音波が開口を通じて外部に放射される。
開口の形状は円形や四角形などの穴であってもよく、スリット状であっても良い。通常のバスレフ式キャビネットのようにダクトが取り付けられてもよく(図2の7)、取り付けられなくてもよい(図1および図3の7)。いずれにせよ、開口の構造や大きさにより音質が大きな影響を受ける。
一般論として言えば、開口の断面積はあまり大きくなく、スピーカーユニットの振動板面積の二分の一から八分の一程度で良好な結果が得られる場合が多いが、必ずしもこれに限定されるものではない。
発明の効果
本発明によれば、低音域の量感が増し、音質的に好ましい特性を有するスピーカーを製作することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるブックシェルフ型スピーカーの概略断面図である。
図1に示すスピーカーは、電気信号を空気振動に変換して音を発するスピーカーユニット1と、スピーカーユニット1が取り付けられるキャビネット12と、4枚の仕切板2と、該仕切板により形成されてなる連通した音道3,4,5および6と、該音道を通過した音波を外部に放出するために音道の終端近傍に設けられた開口7を備える。音道のうち、3は5個の漏斗状空間を指し示している。漏斗状空間3は仕切板と天板または底板との間でも形成されている。漏斗状空間3の中で狭い部分が首4であり、広い部分が頭5である。
互いに隣り合う漏斗状空間3の拡大の方向(向き)は反転している。上記仕切板2は左右両端の一方がバッフル板および裏板のどちらかに接し、かつ他方は少し離れていて音の通過のための4カ所の隙間6を形成している。仕切板2は側板に対して垂直に取り付けられ、バッフル板および裏板からなる傾斜壁面対に対して傾斜している。バッフル板に対する傾斜角度は、上から1枚目の仕切板が107度、2枚目と4枚目は84度、3枚目は96度である。
図2は本発明の好ましい実施形態によるブックシェルフ型スピーカーの他の具体例である。仕切板2の左右両端がバッフル板および裏板の両方に接している点で図1と異なる。さらに、仕切板上に設けられた穴6が音の通路となっている点でも図1と異なる。さらに、図1の隙間6と図2の穴6の位置が異なる。開口7にはダクトが取り付けられている。このように、開口の長さ(奥行き)は板の厚さよりも長くすることができる。これら複数の手段により音質を制御することが可能である。
上記本発明の好ましい実施形態である図1および図2では、それぞれ5個の漏斗状空間3は上下方向に積み上げられている点で共通している。
図3は、本発明の好ましい実施形態によるブックシェルフ型スピーカーの概略断面図である。仕切板2により形成された5個の漏斗状空間3は水平方向に並んでいる点で前記図1および図2とは異なる。この場合、傾斜壁面対は天板および底板であり、傾斜角度はおよそ82度および98度である。
図3に示すブックシェルフ型スピーカーの正面における中低音域の音圧周波数特性を図4に示す。横軸は再生音波の周波数(Hz)、縦軸は測定された音圧レベル(dB)を表す。この図から明らかなように、本実施形態の低音域での再生周波数帯域は50Hzまでほぼ平坦に伸びており、十分な低域再生能力を有していることがわかる。
なお、図4の音圧周波数特性は、口径8cmのフルレンジ・スピーカーユニットを用いた内容積約5リットルのキャビネットを試作して測定したものである。キャビネットの外形寸法は幅140mm、奥行き280mm、高さ220mm、板厚15mmである。使用した4枚の仕切板の形状はすべて同一であり、幅110mm、長さ150mm、厚さ15mmの長方形板で、取り付け傾斜角度は底板を基準として82度および98度である。隙間の幅は約40mmである。裏板に設けた開口7は直径30mmで、有効振動板面積の約0.25倍(四分の一)である。
本発明の仕切板を用いたブックシェルフ型スピーカーの断面図である。 本発明の仕切板を用いたブックシェルフ型スピーカーの断面図である。 本発明の仕切板を用いたブックシェルフ型スピーカーの断面図である。 本発明の仕切板を有するブックシェルフ型スピーカーの正面において測定した音圧周波数特性のグラフである。
符号の説明
1 スピーカーユニット
2 仕切板
3 漏斗状空間
4 首
5 頭
6 隙間または穴
7 開口
12 キャビネット

Claims (1)

  1. キャビネットにスピーカーユニットが取り付けられたスピーカーであって、該キャビネットの内部が間隔を置いて設置された複数の傾斜した仕切板により区切られ、該仕切板により拡大方向が交互に反転する複数の漏斗状空間が形成され、上記各仕切板は導通口を有し、該導通口により連通した音道が形成され、かつ該音道の終端近傍のキャビネット壁に開口を有することを特徴とするスピーカー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101462343B1 (ko) * 2013-04-30 2014-12-04 이광희 스피커 장치

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